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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-25
(54)【発明の名称】サイトゾル送達
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/62 20060101AFI20230818BHJP
   C12N 15/85 20060101ALI20230818BHJP
   C07K 14/705 20060101ALI20230818BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20230818BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20230818BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20230818BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20230818BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20230818BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230818BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20230818BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20230818BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20230818BHJP
   A61K 35/15 20150101ALI20230818BHJP
   A61K 47/46 20060101ALI20230818BHJP
   A61K 39/00 20060101ALN20230818BHJP
   A61K 38/02 20060101ALN20230818BHJP
   A61K 38/43 20060101ALN20230818BHJP
   A61K 39/395 20060101ALN20230818BHJP
   A61K 47/62 20170101ALN20230818BHJP
   A61K 47/68 20170101ALN20230818BHJP
【FI】
C12N15/62 Z
C12N15/85 Z ZNA
C07K14/705
C07K19/00
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
A61P35/00
A61P31/00
A61P37/04
A61K48/00
A61K35/15
A61K47/46
A61K39/00 H
A61K38/02
A61K38/43
A61K39/395 N
A61K39/395 D
A61K47/62
A61K47/68
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023505425
(86)(22)【出願日】2021-07-30
(85)【翻訳文提出日】2023-03-20
(86)【国際出願番号】 EP2021071399
(87)【国際公開番号】W WO2022023528
(87)【国際公開日】2022-02-03
(31)【優先権主張番号】2011859.2
(32)【優先日】2020-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519041013
【氏名又は名称】ザ フランシス クリック インスティテュート リミテッド
【氏名又は名称原語表記】The Francis Crick Institute Limited
【住所又は居所原語表記】1 Midland Road London Greater London NW1 1AT United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】ライス エ ソウサ、 カエターノ
(72)【発明者】
【氏名】カントン、 ジョナサン アナイス
(72)【発明者】
【氏名】ヘンリー、 コナー モーリス
(72)【発明者】
【氏名】ブリース、 ハンナ
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C084
4C085
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA93X
4B065AA93Y
4B065AA94X
4B065AB01
4B065BA01
4B065CA44
4C076AA95
4C076CC27
4C076CC31
4C076CC41
4C076EE57
4C076EE59
4C084AA02
4C084AA13
4C084BA44
4C084DA27
4C084DC01
4C084DC50
4C084NA13
4C084NA14
4C084ZB091
4C084ZB261
4C084ZB311
4C085AA03
4C085AA13
4C085AA14
4C085BA01
4C085BB50
4C085CC01
4C085CC31
4C085DD62
4C085EE01
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB34
4C087CA04
4C087NA13
4C087NA14
4C087ZB09
4C087ZB26
4C087ZB31
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA10
4H045DA50
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、抗原の交差提示(XP)を促進させることができるキメラ受容体、およびそれを行う方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞外標的結合ドメインと、膜貫通ドメインと、DNGR-1の細胞質尾部のシグナル伝達ドメインに由来するSyk結合配列を含む細胞内ドメインとを含むキメラ受容体であって、前記Syk結合配列はチロシン残基を含有する、キメラ受容体。
【請求項2】
前記Syk結合配列が、配列番号15(MHAEXXYXXLQWD)または配列番号90(MHEEXXYXXLQWD)に記載されたアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のキメラ受容体。
【請求項3】
前記Syk結合配列が、配列番号11(MHAEEIYTSLQWD)に記載されたアミノ酸配列または配列番号89(MHEEEIYTSLQWD)に記載されたアミノ酸配列を含む、請求項2に記載のキメラ受容体。
【請求項4】
前記標的結合ドメインは非DNGR-1レクチン、トランスフェリン受容体に由来するか、または、前記標的結合ドメインは抗体可変領域重鎖(VH)および/または軽鎖(VL)を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のキメラ受容体。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載のキメラ受容体を含む、細胞。
【請求項6】
前記細胞はプロフェッショナル抗原提示細胞(APC)である、請求項5に記載の細胞。
【請求項7】
前記プロフェッショナルAPCはマクロファージである、請求項6に記載の細胞。
【請求項8】
前記細胞はプロフェッショナル抗原提示細胞(APC)でない、請求項5に記載の細胞。
【請求項9】
バイオポリマーを細胞のサイトゾルに送達する方法であって、前記細胞は、DNGR-1の細胞質尾部のシグナル伝達ドメインに由来するSyk結合配列を含む細胞内ドメインを含む膜貫通型タンパク質を発現し、前記バイオポリマーは、前記膜貫通型タンパク質の細胞外部分に特異的に結合することができる結合ドメインを含み、前記方法は、前記細胞を前記バイオポリマーと接触させて、前記結合ドメインを前記膜貫通型タンパク質の細胞外部分に結合させることを含み、従って前記バイオポリマーが内在化されてファゴソーム中で分解されることなくサイトゾルに移行され、前記バイオポリマーは遺伝子産物をコードする核酸をさらに含む、方法。
【請求項10】
前記遺伝子産物が、アポトーシス促進性タンパク質、酵素、細胞毒性ペプチド、または抗原である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記バイオポリマーの結合ドメインが、抗体可変領域重鎖(VH)および/または可変領域軽鎖(VL)の鎖を含むポリペプチドである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第2のドメインが、細胞のサイトゾルに存在するプロテアーゼによって切断されることができるリンカーを介して前記結合ドメインに共有結合的に連結されている、請求項9または10に記載の方法。
【請求項13】
前記膜貫通型タンパク質がDNGR-1であり、前記バイオポリマーの前記結合ドメインはDNGR-1の細胞外部分に特異的に結合する、請求項9~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
結合ドメインと第2のドメインとを含むバイオポリマーであって、前記結合ドメインはDNGR-1の細胞外部分に特異的に結合することができ、前記第2のドメインは遺伝子産物をコードする核酸である、バイオポリマー。
【請求項15】
前記遺伝子産物はアポトーシス促進性タンパク質、酵素、細胞毒性ペプチド、または抗原である、請求項14に記載のバイオポリマー。
【請求項16】
請求項1~4のいずれか一項に記載のキメラ受容体をコードする、または、請求項14もしくは15に記載のバイオポリマーをコードする、核酸。
【請求項17】
請求項16に記載の核酸を含むベクター。
【請求項18】
請求項16に記載の核酸または請求項17に記載のベクターを含む、細胞。
【請求項19】
請求項17に記載のベクターまたは請求項18に記載の細胞を含む、医薬組成物。
【請求項20】
医療用の、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項21】
がんを治療する方法における使用のための、請求項19に記載の医薬組成物であって、前記方法は患者に前記医薬組成物を投与することを含む、医薬組成物。
【請求項22】
前記治療は前記患者において抗癌Th1反応を誘導する、請求項20に記載の医薬組成物。
【請求項23】
感染症を治療する方法における使用のための、請求項18に記載の医薬組成物であって、前記方法は、感染患者に前記医薬組成物を投与することを含む、医薬組成物。
【請求項24】
ワクチンとして使用するための、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項25】
前記方法は患者細胞のサイトゾルに抗原を発現させる、請求項18~22のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項26】
前記方法は、STING経路、RIG-I経路、および/またはMDA5経路を活性化させる、請求項18~23のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機能性マクロ分子をサイトゾルに送達するための手段に関する。本発明は、膜貫通型受容体であるDNGR-1の一部を含むキメラ受容体、ならびに該キメラ受容体を発現する細胞、該キメラ受容体を産生するための手段、およびそれらの医学的用途を提供する。DNGR-1および/または本発明のキメラ受容体に結合してトリガーする、バイオポリマーなどの機能性マクロ分子、および該マクロ分子を含む構築物も提供される。
【背景技術】
【0002】
DNGR-1(CLEC9Aとしても知られる)はC型レクチンであり、タイプ1の従来型樹状細胞(cDC1)による交差提示の重要なメディエーターとして以前に報告されている(いずれも参照により具体的に本明細書に組み込まれるD Sancho et al. Nature 200912; WO2009/013484A120)。交差提示(XP:cross-presentation)は、抗原提示細胞(APC)によって行われる、MHCクラスI分子上の外因性抗原を細胞傷害性Tリンパ球(CTL)に提示するプロセスを指す。XPは、腫瘍および多くのウイルスに対する保護的CTL応答の誘導に不可欠である1-7
【0003】
マクロファージ、単球由来樹状細胞、その他の骨髄系細胞種、および非免疫細胞が、XPに関与する機序のいくつかを分析するために広く使用されてきた8, 21, 38。このことから、多くの場合XPにはサイトゾル経路(ファゴソームからサイトゾルへの転移;P2C)が関与しているという見解が導かれてきたが、これらの研究は概して、特に死細胞のような複雑な基質について、P2Cがどのように起こるかを説明するには至っていない。実際、DNGR-1による、細胞死骸由来抗原の交差提示の制御の根底にある実際の機序は謎のままであると報告されている28。インビボでのXPは、特にウイルス感染と抗腫瘍免疫の文脈において、cDC1欠損Batf3-/-マウスで消失し39、cDC1が非重複的な交差提示APCであることを指し示している。
【0004】
特にcDC1におけるXP機序に焦点を当てた論文は比較的少ない7, 30, 36, 40-42。典型的には、死滅しつつあるウイルス感染細胞または腫瘍細胞が、交差提示cDC1にとっての外因性抗原の供給源であると考えられている。これらの細胞によって発現されたDNGR-1は、死細胞の残骸上に露出したF-アクチン/ミオシン複合体を検出し、死骸関連抗原(corpse-associated antigens)のXPを促進することによって12-16、細胞死の検出を免疫に結びつける。
【0005】
DNGR-1の細胞質尾部(tail)にあるチロシン含有hemITAMモチーフ154は、チロシンリン酸化に際して、チロシンキナーゼSykの結合を可能にする12。しかしこれまでのところ、DNGR-1が結合抗原のXPを促進することを可能にするその後の細胞内シグナル伝達事象(およびXPの基礎となる機序全般)は、ほとんど解明されていない。いくつかの以前の開示では、CD3ζの細胞内ドメインに融合されたDNGR-1の細胞外ドメインを含むキメラタンパク質を生成することによって、DNGR-1の機能が調べられた12, 20。この文脈において、検出可能なシグナル伝達は、二価のリガンドがDNGR-1の細胞外ドメインに結合するときに引き起こされ、CD3ζの活性化によって開始される容易に検出可能なシグナル伝達カスケードをもたらす。しかし、XPを担う細胞機序の理解の不足が、DNGR-1が有用な生物医学的技術の基礎を提供できるかどうかについての研究を妨げている。
【発明の概要】
【0006】
本発明者らは、DNGR-1が交差提示(XP)を媒介する機序を明らかにした。このことが、本発明者らが本発明のキメラ受容体を提供することにつながり、これは、標的抗原(特定の種類またはクラスの抗原に限定されない)のXPを促進させるプラットフォーム技術を提供するものである。驚くべきことにこれは、プロフェッショナルな抗原提示細胞(APC)だけでなく、広範囲の細胞型によって標的抗原のXPを達成するために適用することができる。このXP経路の新しい理解は、バイオポリマーのようなマクロ分子を分解させることなくサイトゾルに送達する方法の提供にもつながる。以下において本発明およびその基礎となるメカニズムがより詳細に説明される。
【0007】
本発明者らは、DNGR-1依存的XPがサイトゾル経路を介して進行することを発見した。DNGR-1は、ファゴソームの破裂を促進させ、これが、内在化された抗原をサイトゾル中へと放出させ、そこで抗原は従来のMHCクラスI抗原プロセシング経路を介してプロセスされ提示される。本発明者らは、驚くべきことに、内在化された抗原がサイトゾルに放出される前には実質的に分解されないことを発見した。キメラ受容体を使用して、本発明者らはいまDNGR-1の細胞質尾部がこのプロセスの重要なメディエーターであり斯くしてXPを可能にすることを実証した。これにはDNGR-1のシグナル伝達ドメインのみが必要であり、これが脾臓チロシンキナーゼ(Syk)およびNADPHオキシダーゼを動員して活性化させ、脂質過酸化およびファゴソーム膜不安定性を引き起こすことを本発明者らは示す。特に、DNGR-1シグナル伝達は、非プロフェッショナルのAPCを含め異種(heterologous)細胞においてファゴソーム膜破裂およびXPを誘導することができる。これらの結果は、ファゴソーム破裂がXPとカップリングされており、外因性抗原が内因性MHC I経路にアクセスするためのシンプルな機序を提供することを示している。この機序は非選択的であり、特定の抗原トランスポーターを必要としない。さらに、ファゴソーム破裂の基本的な機構はDCに限定されないため、他の非APCは外因性抗原を交差提示する潜在的能力を有する。しかしながら、この機構の効果的な従事には、DNGR-1のような専用のXPシグナル伝達受容体が必要となる。
【0008】
従って、本発明は、DNGR-1の細胞質尾部のシグナル伝達ドメインを含むキメラタンパク質を提供する。本発明のキメラタンパク質はXPを促進させることができる。細胞(DCに限定されない)を操作して該キメラタンパク質を発現させることにより、本発明は、所望の標的(死細胞上のアクチン/ミオシンIIシグナルに限定されない)を認識してプロセスし、該標的由来の抗原をCD8+T細胞に提示して、標的に対するロバストな免疫応答を引き出すことができる、広範な細胞を提供する。本発明はまた、バイオポリマー(例えばタンパク質や核酸など)を分解することなくサイトゾルに送達する方法を提供する。
【0009】
従って、第一の側面において、本発明は、バイオポリマーを細胞のサイトゾルに送達する方法を提供し、ここで、該細胞は、DNGR-1の細胞質尾部のシグナル伝達ドメインに由来するSyk結合配列を含む細胞内ドメインを含む膜貫通タンパク質を発現し、ここで、該バイオポリマーは、上記膜貫通タンパク質の細胞外部分に特異的に結合することができる結合ドメインを含み、この方法は、該細胞を該バイオポリマーに接触させて上記結合ドメインを上記膜貫通タンパク質の細胞外部分に結合させることを含み、それによって該バイオポリマーが内在化され、ファゴソームで分解されることなくサイトゾルに移行する。好ましくは、該バイオポリマーは、遺伝子産物をコードする核酸をさらに含む。
【0010】
従って、本発明は、積載物(payload)をサイトゾルに送達する方法を提供する。積載物は、バイオポリマー自体、および/または、バイオポリマーと共有結合的もしくは非共有結合的に結合している追加部分(例えば遺伝子産物をコードする核酸等)であり得る。このような積載物の送達は、研究、診断および医療用途での使用を見出す。このように、本発明は、例えばワクチン接種のような医学的方法における使用のための、本明細書で規定されるバイオポリマーを提供する。インビトロの方法は、研究および/または診断用途に特に適している。
【0011】
いくつかの実施形態では、該バイオポリマーは、上記膜貫通タンパク質の細胞外部分に直接に結合はしない第2のドメインを含む。この第2のドメインは、例えばリンカーを介して、上記結合ドメインと共有結合的に連結している。いくつかの実施形態では、リンカーは細胞のサイトゾル中に存在するプロテアーゼによって切断され得、サイトゾルにおいて第2のドメインが結合ドメインから解離することを可能にする。(この第2のバイオポリマードメインは積載物と呼ばれ得る。)第2のドメインは、遺伝子産物をコードする核酸であってもよい。該遺伝子産物は、本明細書に記載されているように、アポトーシス促進性タンパク質、酵素、または細胞毒性ペプチドであってもよい。
【0012】
いくつかの実施形態では、(結合ドメインを含む)(第1の)バイオポリマーは、第2のバイオポリマーと非共有結合的に結合している。この第2のバイオポリマーは、本明細書において「第2のドメイン」と呼ばれることがあり、積載物と呼ばれることもある。非共有結合的結合は、例えば、第1のバイオポリマーをアビジンもしくはストレプトアビジン部分に融合させ、ビオチン「タグ」を第2のバイオポリマーに共有結合的に連結することによって、またはその逆によって達成され得る。アビジン/ストレプトアビジンはビオチンタグに非共有結合的に結合し、それによって第1および第2のバイオポリマーを互いに結合させる。
【0013】
従って、バイオポリマーの結合ドメインは第2のバイオポリマードメインにカップリングされ得、そのカップリングは共有結合的または非共有結合であり得る。
【0014】
ポリペプチドバイオポリマー、ポリヌクレオチドバイオポリマー、および多糖類バイオポリマーはすべて企図される。
【0015】
バイオポリマーはポリペプチドであってもよく、結合ドメインは抗体の抗原結合フラグメントの少なくとも一部を含み得る。例えば、ポリペプチドは抗体のVHドメインを含み得、これは、別のポリペプチドとして提供される抗体VLドメインと対を成すことができる。あるいは、ポリペプチドは抗体のVLドメインを含み得、これは、別のポリペプチドとして提供される抗体VHドメインと対を成すことができる。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、例えばscFVの形態で、単一のポリペプチド鎖上に存在する抗体VHドメインとVLドメインの両方を含み得る。
【0016】
バイオポリマーは核酸であってもよく、結合ドメインはアプタマーであってもよい。
【0017】
結合ドメインについてと第2のドメインについて、異なるクラスのバイオポリマーの組合せも企図される。例えば、抗体(ポリペプチド)である結合ドメインが、非ペプチドである第2のドメインにカップリングされ得る。そのような異なるクラスのバイオポリマードメインのカップリングは、例えば本明細書に記述されているように、共有結合的または非共有結合的に達成され得る。本明細書で使用される「バイオポリマー」という用語および当該バイオポリマーの送達方法は、結合ドメインが1つのタイプのバイオポリマーであり積載物が別のタイプのバイオポリマーである場合のバイオポリマーのペアリングを包含することを意図している。
【0018】
バイオポリマーは複数の結合ドメインを含むことができる。例えば、2つ以上の抗体と1つ以上の第2のバイオポリマードメインとが全て単一の担体粒子(例えばラテックスビーズ)上に固定化され得る。
【0019】
バイオポリマーがポリヌクレオチドを含む実施形態では、該ポリヌクレオチドは遺伝子産物をコードし得、宿主細胞において該遺伝子産物を発現することができる。コードされた遺伝子産物は、本明細書に開示されるポリペプチドであってもよい。他の実施形態では、ポリヌクレオチドは、細胞における別のタンパク質の発現に干渉するRNA配列であるか、(例えばsiRNAのようなRNAi分子)またはそれをコードする。ポリヌクレオチドはDNAであってもよい。DNAは、STING経路を活性化する能力を有し得る。ポリヌクレオチドはRNAであってもよい。RNAはRIG-Iおよび/またはMDA5経路を活性化する能力を有し得る。
【0020】
いくつかの実施形態では、第2のドメインはサイトトキシンまたはアポトーシス促進性タンパク質を含む。例えば、第2のドメインは、シトクロムC、カスパーゼ、メイタンシノイド、ドラスタチン、アウリスタチン薬物アナログ、クリプトフィシン、デュオカルマイシン誘導体、エンジイン抗生物質、またはピロロベノジアゼピンを含み得る。いくつかの実施形態では、第2のドメインは、細胞内標的に結合する抗体を含む。いくつかの実施形態では、バイオポリマーは、抗DNGR-1抗体(第1のドメイン)にコンジュゲートされた腫瘍抗原(第2のドメイン)を含む。いくつかの実施形態では、第2のドメインはペプチド抗原ではない。言い換えれば、いくつかの実施形態では、第2のドメインはタンパク質全体であるかまたはタンパク質のドメイン全体である。いくつかの実施形態では、第2のドメインは50超のアミノ酸残基を含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、第2のドメインはサイトトキシンまたはアポトーシス促進性タンパク質をコードする核酸である。例えば、第2のドメインは、シトクロムC、カスパーゼ、メイタンシノイド、ドラスタチン、アウリスタチン薬物アナログ、クリプトフィシン、デュオカルマイシン誘導体、エンジイン抗生物質、またはピロロベノジアゼピンをコードし得る。いくつかの実施形態では、第2のドメインは、細胞内標的に結合する抗体をコードする。いくつかの実施形態では、バイオポリマーは、抗DNGR-1抗体(第1のドメイン)にコンジュゲートした腫瘍抗原(第2のドメイン)をコードする。いくつかの実施形態では、第2のドメインはペプチド抗原ではない。言い換えれば、いくつかの実施形態では、第2のドメインはタンパク質全体であるかまたはタンパク質のドメイン全体である。いくつかの実施形態では、第2のドメインは50超のアミノ酸残基をコードする。
【0022】
バイオポリマーの1つ以上の結合ドメインおよび/または第2のドメインは、例えばペプチドリンカーなどの、リンカーを介して互いに連結され得る。ペプチドリンカーは本分野でよく知られている。当業者はGGGSGGG (配列番号92)、GGGGSGGGGS (配列番号93)、PGPG (配列番号94)およびGSAGSAAGSGEF (配列番号95)などのリンカー配列の選択肢から選択することができる。これらのリンカー配列の組合せや反復も使用することができる。
【0023】
細胞は腫瘍細胞であり得る。細胞は免疫細胞であり得る。いくつかの実施形態では、細胞はNOX2を含むNADPHオキシダーゼを発現する。
【0024】
第1の側面の細胞によって発現される膜貫通タンパク質は、本明細書の他の箇所でより詳細に説明されているように、本発明のキメラ受容体であり得る。第1の側面の方法は、細胞がバイオポリマーと接触される前に、細胞において該膜貫通タンパク質を発現させるステップを含み得る。発現の方法は、核酸を含むベクターを細胞に送達することを含み得る。ベクターは、非ウイルス性遺伝子治療ベクター、例えばプラスミド(任意でリポソームまたは送達剤と複合体化される)であってもよく、あるいはベクターは、ウイルス性遺伝子治療ベクター、例えばウイルスベクターであってもよい。レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクターおよびアデノ随伴ウイルス(AAV)に基づくベクターはすべて企図される。
【0025】
他の実施形態では、細胞によって発現される膜貫通タンパク質はDNGR-1である。これらの実施形態では、バイオポリマーの結合ドメインはDNGR-1の細胞外ドメインに結合する。例えば、バイオポリマーの結合ドメインは、F-アクチン/ミオシン複合体のDNGR-1結合フラグメントを含むポリペプチドであり得る。あるいは、バイオポリマーの結合ドメインは、DNGR-1に特異的に結合する抗体またはアプタマーであり得る。
【0026】
第二の側面において、本発明は、第一の側面の方法を用いて患者の細胞のサイトゾルにバイオポリマーを送達することにより、必要とする患者の疾患を治療する方法を提供する。関連する第三の側面において、本発明は、必要とする患者の疾患を治療する方法における使用のためのバイオポリマーを提供し、該方法は、第一の側面の方法を用いて患者の細胞のサイトゾルにバイオポリマーを送達することを含む。関連する第四の側面において、本発明は、必要とする患者における疾患の治療用の医薬の製造におけるバイオポリマーの使用を提供し、該治療は、第一の側面の方法を用いて患者の細胞のサイトゾルにバイオポリマーを送達することを含む。
【0027】
バイオポリマーは、患者に投与することによって、患者の体内にある間に患者の細胞に送達することができる。細胞はがん細胞であり得る。バイオポリマーは、がんまたは周辺組織への注射によって投与され得る。あるいは、細胞を採取するステップの後、エクスビボで患者の細胞にバイオポリマーを送達することもできる。細胞は免疫細胞であり得る。これらの実施形態において、該細胞は細胞療法として患者に再導入され得る。
【0028】
いくつかの実施形態では、バイオポリマーは、がん患者に投与されて、抗がんTh1反応を誘発する。いくつかの実施形態では、バイオポリマーは自己抗原を含み、自己免疫疾患に罹患している患者に投与されて、自己抗原に対する寛容原性反応を誘導する。
【0029】
第五の側面では、本発明は、本明細書に記載されているバイオポリマーを提供する。本発明のポリペプチドバイオポリマーをコードする核酸分子も提供される。いくつかの実施形態では、これらの核酸はベクターの一部を形成する。
【0030】
第六の側面において、本発明は、細胞外標的結合ドメインと、膜貫通ドメインと、DNGR-1の細胞質尾部のシグナル伝達ドメイン由来のSyk結合配列を含む細胞内ドメインとを含むキメラ受容体を提供し、ここで、Syk結合配列はチロシン残基を含有する。Syk結合配列はhemITAMを含み得る。いくつかの実施形態では、hemITAMは配列番号14(EXXYXXL;ここでXは任意のアミノ酸残基を表す)に提供されるアミノ酸配列を含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、Syk結合配列は配列番号15(MHAEXXYXXLQWD)に記載されたアミノ酸配列を含み、ここで「X」は任意のアミノ酸残基を表す。いくつかの実施形態では、Syk結合配列は配列番号15(MHAEXXYXXLQWD)に記載されたアミノ酸配列を含み、ここで「X」は任意のアミノ酸残基を表し、N末端の残基のうちの1つ、2つ、もしくは3つすべてを除去もしくは別のアミノ酸残基で置換することができ、および/または、C末端の残基のうちの1つ、2つ、もしくは3つすべてを除去もしくは別のアミノ酸残基で置換することができる。いくつかの実施形態では、Syk結合配列は配列番号90(MHEEXXYXXLQWD)に記載されたアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、Syk結合配列は配列番号90(MHEEXXYXXLQWD)に記載されたアミノ酸配列を含み、ここで「X」は任意のアミノ酸残基を表し、N末端の残基の1つ、2つ、もしくは3つすべてを除去もしくは別のアミノ酸残基で置換することができ、および/または、C末端の残基の1つ、2つ、もしくは3つすべてを除去もしくは別のアミノ酸残基で置換することができる。いくつかの実施形態では、Syk結合配列は配列番号11(MHAEEIYTSLQWD)に記載されたアミノ酸配列を含み、ここで任意で一つ、二つまたは三つのアミノ酸残基が別のアミノ酸残基で置換される。好ましくは、細胞内シグナル伝達ドメインのN末端アミノ酸残基が、本発明のキメラ受容体のN末端に存在する。いくつかの実施形態では、Syk結合配列は、配列番号89(MHEEEIYTSLQWD)に記載されたアミノ酸配列を含む。
【0032】
配列番号11はマウスDNGR-1に由来するが、配列番号69はヒトDNGR-1に由来する。これらの配列は3番目のアミノ酸残基において互いと異なっており、マウスではアラニン、ヒトではグルタミン酸である。従って、Syk結合配列は、配列番号91に記載されたアミノ酸配列を含み得、これはMHXEEIYTSLQWDであり、ここでXは任意のアミノ酸を表す。好ましくは、配列番号91のXはアラニン(A)またはグルタミン酸(E)である。
【0033】
いくつかの実施形態では、標的結合ドメインは、病原体、病原性細胞、死細胞または疾患細胞上に存在する標的に結合する。標的抗原は、がん細胞上に存在してもよい。標的抗原は、腫瘍抗原、例えば、新生抗原であってもよい。例えば、腫瘍抗原は、CEA、ERBB2、EGFR、GD2、メソテリン、MUC1、PSMA、CAIX、CD133、c-Met、EGFR、EGFRvIII、Epcam、EphA2、FRα、CD19、CD20、GPC3、GUCY2C、HER1、HER2、ICAM-1、MAGE、またはMETであり得る。
【0034】
標的抗原は、ウイルスに感染した細胞上(例えば細胞表面)に存在し得る。標的抗原は、ウイルス抗原、例えば、HCMV gB、インフルエンザAヘマグルチニン、インフルエンザマトリックス2タンパク質M2e、RSV糖タンパク質F、SARS-Cov-2スパイクタンパク質、HIV gp120、またはHIV Envであり得る。
【0035】
いくつかの実施形態では、キメラ受容体の標的結合ドメインは、非DNGR-1レクチンに由来するか、またはトランスフェリン受容体に由来する。非DNGR-1レクチンの一例は、Dectin-1である。例えば、キメラ受容体の標的結合ドメインはマウスのDectin-1に由来し得る。
【0036】
他の実施形態では、標的結合ドメインは抗体可変領域重鎖(VH)および/または可変領域軽鎖(VL)を含む。例えば、キメラ受容体は抗体VHドメインを含み得、そしてこれが、別途発現される抗体VLドメインと対を成し得る。あるいは、キメラ受容体は抗体VLドメインを含み得、そしてこれが、別途発現される抗体VHドメインと対を成し得る。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、例えば単一鎖可変フラグメント(scFv)形態で、単一のポリペプチド鎖上に存在する抗体VHドメインとVLドメインの両方を含み得る。
【0037】
キメラ受容体の標的結合ドメインは、核酸受容体(例えばパターン認識受容体)のリガンド結合ドメインを含み得、キメラ受容体が核酸標的に結合することを可能にし、サイトゾルへの核酸の輸送を促進させる。
【0038】
キメラ受容体の標的結合ドメイン、膜貫通ドメインおよび/またはサイトゾルドメインは、リンカー(例えばペプチドリンカー)を介して互いに連結され得る。ペプチドリンカーは本ぎ技術分野でよく知られている。当業者はGGGSGGG (SEQ ID NO(配列番号): 92)、GGGGSGGGGS (SEQ ID NO:93)、PGPG (SEQ ID NO:94)、およびGSAGSAAGSGEF (SEQ ID NO:95)などのリンカー配列の選択肢から選択することができる。これらのリンカー配列の組合せや反復を使用することもできる。
【0039】
いくつかの実施形態では、キメラ受容体の膜貫通ドメインはI型膜貫通タンパク質に由来する。いくつかの実施形態では、キメラ受容体の細胞外ドメインはI型膜貫通タンパク質に由来する。いくつかの実施形態では、キメラ受容体の膜貫通ドメインはII型膜貫通タンパク質に由来する。いくつかの実施形態では、キメラ受容体の細胞外ドメインはII型膜貫通タンパク質に由来する。
【0040】
関連する側面は、本発明のキメラ受容体を含む細胞を提供する。キメラ受容体は、細胞の表面、すなわち細胞膜において発現され得る。その細胞は、例えば腫瘍細胞のような、非プロフェッショナルのAPCであり得る。その細胞は免疫細胞であり得る。その細胞は、マクロファージやDCなどのプロフェッショナルなAPCであってもよい。いくつかの実施形態では、その細胞はNOX2を含むNADPHオキシダーゼを発現する。
【0041】
膜貫通型受容体とその構成ドメインのアミノ酸配列が本明細書に開示されている。開示された発明に照らして、Syk結合配列(DNGR-1の細胞質尾部のシグナル伝達ドメインに由来する)を含む細胞内ドメインは、これらの例示的な配列のいずれかからの膜貫通ドメインおよび細胞外/リガンド結合ドメインと組み合わされて、広範なキメラ受容体を提供できることが明らかであろう。この原理を利用して、所望の標的特異性のキメラ受容体を提供し、目的の標的を細胞のサイトゾルへと移行させることを促進できる。
【0042】
本発明のキメラ受容体の非限定的で例示的なアミノ酸配列をここに示す:
MHAEEIYTSLQWDIPTSEASQKCQSPSKCSGAVGLGILCFVVVVVAAVLGALAFWRHNSGRNPEEKDSFLSRNKENHKPTESSLDEKVAPSKASQTTGGFSQSCLPNWIMHGKSCYLFSFSGNSWYGSKRHCSQLGAHLLKIDNSKEFEFIESQTSSHRINAFWIGLSRNQSEGPWFWEDGSAFFPNSFQVRNAVPQESLLHNCVWIHGSEVYNQICNTSSYSICE (SEQ ID NO:96)
【0043】
配列番号(SEQ ID NO:)96の例示的なキメラ受容体は、マウスDNGR-1(配列番号7に記載)の細胞質ドメインがマウスDectin-1の膜貫通ドメインおよび細胞外ドメインに融合されたものからなる。配列番号18は膜貫通ドメインである。細胞外ドメインは、ネック領域(配列番号19)とC型レクチンドメインすなわちCTLD(配列番号20)とを含む。
【0044】
MHEEEIYTSLQWDSPAPDTYQKCLSSNKCSGACCLVMVISCVFCMGLLTASIFLGVCKGVEPKTECERLAGTESPVREEPGEDFPAARRLYWDDLKRKLSEKLDSTDFTGTIKLLNENSYVPREAGSQKDENLALYVENQFREFKLSKVWRDQHFVKIQVKDSAQNSVIIVDKNGRLVYLVENPGGYVAYSKAATVTGKLVHANFGTKKDFEDLYTPVNGSIVIVRAGKITFAEKVANAESLNAIGVLIYMDQTKFPIVNAELSFFGHAHLGTGDPYTPGFPSFNHTQFPPSRSSGLPNIPVQTISRAAAEKLFGNMEGDCPSDWKTDSTCRMVTSESKNVKLTVSNVLKEIKILNIFGVIKGFVEPDHYVVVGAQRDAWGPGAAKSGVGTALLLKLAQMFSDMVLKDGFQPSRSIIFASWSAGDFGSVGATEWLEGYLSSLHLKAFTYINLDKAVLGTSNFKVSASPLLYTLIEKTMQNVKHPVTGQFLYQDSNWASKVEKLTLDNAAFPFLAYSGIPAVSFCFCEDTDYPYLGTTMDTYKELIERIPELNKVARAAAEVAGQFVIKLTHDVELNLDYERYNSQLLSFVRDLNQYRADIKEMGLSLQWLYSARGDFFRATSRLTTDFGNAEKTDRFVMKKLNDRVMRVEYHFLSPYVSPKESPFRHVFWGSGSHTLPALLENLKLRKQNNGAFNETLFRNQLALATWTIQGAANALSGDVWDIDNEF (SEQ ID NO:97)
【0045】
配列番号97の例示的なキメラ受容体は、配列番号67に記載されたヒトトランスフェリン受容体の細胞外ドメインに融合されたヒトDNGR-1の細胞質ドメインおよび膜貫通ドメイン(配列番号2および3にそれぞれ記載されている)からなる。
【0046】
MILTSFGDDMWLLTTLLLWVPVGGEVVNATKAVITLQPPWVSIFQKENVTLWCEGPHLPGDSSTQWFINGTAVQISTPSYSIPEASFQDSGEYRCQIGSSMPSDPVQLQIHNDWLLLQASRRVLTEGEPLALRCHGWKNKLVYNVVFYRNGKSFQFSSDSEVAILKTNLSHSGIYHCSGTGRHRYTSAGVSITVKELFTTPVLRASVSSPFPEGSLVTLNCETNLLLQRPGLQLHFSFYVGSKILEYRNTSSEYHIARAEREDAGFYWCEVATEDSSVLKRSPELELQVLGPQSSAPVWFHILFYLSVGIMFSLNTVLYVGGGSGGGMHEEEIYTSLQWD (SEQ ID NO:98)
【0047】
配列番号98の例示的なキメラ受容体は、短いリンカー配列GGGSGGG(配列番号92)によって分離されてヒトDNGR-1のSyk結合配列(配列番号69に記載されている)に融合されたマウスFcγRIの細胞外ドメインおよび膜貫通ドメイン(配列番号36および35にそれぞれ記載されている)からなる。
【0048】
ペプチドリンカーは本技術分野でよく知られている。当業者は、GGGSGGG (SEQ ID NO:92)、GGGGSGGGGS (SEQ ID NO:93)、PGPG (SEQ ID NO:94)、およびGSAGSAAGSGEF (SEQ ID NO:95)などのリンカー配列の選択肢から選択することができる。これらのリンカー配列の組合せや繰返しを使用することもできる。
【0049】
さらなる側面において、本発明は、本発明のキメラ受容体をコードする核酸分子を提供する。いくつかの実施形態では、この核酸はベクターの一部を形成する。
【0050】
本発明はさらに、キメラ受容体をコードする核酸またはベクターを含む宿主細胞を提供する。好ましい実施形態では、宿主細胞はキメラ受容体を発現し、従ってキメラ受容体に結合する外因性抗原を交差提示する能力を有する。
【0051】
いくつかの実施形態では、キメラ受容体細胞を発現する細胞は骨髄細胞であり、例えばマクロファージ、単球、または樹状細胞である。いくつかの実施形態では、キメラ受容体を発現する細胞はリンパ球である。いくつかの実施形態では、キメラ受容体を発現する細胞はプロフェッショナルな抗原提示細胞ではない。いくつかの実施形態では、キメラ受容体を発現する細胞は樹状細胞ではない。
【0052】
本発明はさらに、本発明のキメラ受容体を発現する細胞を生産する方法を提供し、その方法は、
a. 前駆細胞を提供すること;
b. キメラ受容体をコードする核酸またはベクターを上記前駆細胞に導入して宿主細胞を産生すること;および
c. ステップbの宿主細胞を、当該核酸にコードされるキメラ受容体の発現を促進する条件下で増殖させ、それによって宿主細胞がキメラ受容体を発現し従って外因性抗原を交差提示することができるようになること
を含む。
【0053】
本発明のいくつかの実施形態において、キメラ受容体を発現する細胞によって提示される外因性抗原は、キメラ受容体の標的結合ドメインによって結合される標的である。他の実施形態において、キメラ受容体を発現する細胞によって提示される外因性抗原は、キメラ受容体の標的結合ドメインによって結合される標的に結合している。
【0054】
本発明はさらに、本発明のベクターを含む医薬組成物を提供する。本発明はまた、本発明のキメラ受容体を発現する細胞を含む医薬組成物も提供する。
【0055】
本発明の医薬組成物は、がんを治療する方法における使用に適しており、該方法は、がん患者にその医薬組成物を投与することを含む。がんは固形腫瘍であり得、この方法は、任意で、固形腫瘍に、または固形腫瘍のすぐ周囲の組織に医薬組成物を注入することを含み得る。本発明の医薬組成物は医薬において使用され得る。
【0056】
本発明の医薬組成物は、感染症を治療する方法における使用に適しており、その方法は、該医薬組成物を感染患者に投与することを含む。
【0057】
本発明の医薬組成物は、ワクチンとして、またはワクチン接種プログラムの一部としての使用にも適している。
【0058】
[DNGR-1結合剤;DNGR-1結合剤複合体およびコンジュゲート]
本発明者らは、DNGR-1のSyk結合配列を含む細胞内ドメインを有する膜貫通型受容体が、マクロ分子を、実質的な分解を被らせることなく細胞外空間からサイトゾルへ移行させることを促進できることを見出した。これは、膜貫通型受容体の細胞外部分へのターゲッティングを介して、タンパク質や核酸などの機能性マクロ分子をサイトゾルに輸送する方法を提供する。膜貫通型受容体は、野生型DNGR-1である場合もあれば、本発明のキメラ受容体である場合もある。従って本発明は、積載物に関連する結合剤を提供し、該結合剤は該膜貫通型受容体の細胞外ドメインに結合する能力を有する。この結合剤-積載物の複合体/コンジュゲートは、該膜貫通型受容体を発現する細胞のサイトゾルにアクセスすることができる。
【0059】
積載物は、例えばタンパク質や核酸のような、生物学的マクロ分子であり得る。積載物は、化学的コンジュゲーションを介して(例えば融合タンパク質としての発現を介して)、またはビオチンとストレプトアビジンもしくはアビジンとの間のような高親和性非共有結合相互作用を通じて、結合剤に付随され得る。結合剤は、抗DNGR-1抗体、DNGR-1結合アプタマー、またはDNGR-1の天然リガンドであるF-アクチン/ミオシン複合体のDNGR-1結合フラグメントであり得る。いくつかの実施形態では、結合剤はDNGR-1アゴニストとして作用し、本明細書に記述されているXP経路を強く刺激する。いくつかの実施形態では、積載物は複数の結合剤(例えば2つ以上の抗体)に付随する。このような「多価」コンジュゲートは、本明細書に記述されているXP経路を刺激することにおいて特に効果的となり得る。
【0060】
本発明のこの側面は、例えば複合体化されていない積載物が細胞膜を容易に貫通しないような場合に、生物学的に活性な積載物を細胞内に送達するために有用である。従って、いくつかの実施形態において、積載物は、例えばメイタンシノイド、ドラスタチン、アウリスタチン薬物アナログ、クリプトフィシン、デュオカルマイシン、デュオカルマイシン誘導体、エンジイン抗生物質、またはピロロベノジアゼピンのような、タンパク質またはサイトトキシンである。いくつかの実施形態において、積載物は、遺伝子的に活性な核酸(すなわち、翻訳および/または転写機構と相互作用する核酸)である。従って、いくつかの実施形態では、核酸はアジュバントとして作用しない。これらの実施形態では、核酸はTLRアゴニストではない。より具体的には、これらの実施形態では、核酸はTLR3に結合するポリI:C(ポリイノシン-ポリシチジル酸)ではなく、TLR7に結合するポリU RNA(1-(2-メチルプロピル)-1H-イミダゾ(4,5-c)キノリン-4-アミン)ではなく、TLR9に結合するCpG(DNA CpGモチーフ)ではない。その代わり、核酸は遺伝子産物をコードし得、あるいは干渉RNAをコードし得る(もしくは干渉RNAであり得る)。
【0061】
核酸が遺伝子産物をコードしている実施形態では、該遺伝子産物は抗原であり得、例えば腫瘍抗原またはウイルス抗原であり得、結合剤/積載物複合体はワクチンとして使用され得る。
【0062】
[配列]
本開示を考慮すると、下記の受容体のドメインのアミノ酸配列を連結して本発明のキメラ受容体を形成することができる。
【0063】
ヒトDNGR-1(CLEC9A)
ヒトDNGR-1はII型膜貫通タンパク質である。ヒトDNGR-1(CLEC9A)の完全長アミノ酸配列は、公開されているタンパク質データベースで入手可能であり(例えば識別子NP_997228.1によるNCBIデータベース)、本明細書では配列番号(SEQ ID NO:)1によって提供されている。
MHEEEIYTSLQWDSPAPDTYQKCLSSNKCSGACCLVMVISCVFCMGLLTASIFLGVKLLQVSTIAMQQQEKLIQQERALLNFTEWKRSCALQMKYCQAFMQNSLSSAHNSSPCPNNWIQNRESCYYVSEIWSIWHTSQENCLKEGSTLLQIESKEEMDFITGSLRKIKGSYDYWVGLSQDGHSGRWLWQDGSSPSPGLLPAERSQSANQVCGYVKSNSLLSSNCSTWKYFICEKYALRSSV (SEQ ID NO:1)
(ヒトDNGR-1にはスプライスバリアントが存在するが、細胞質ドメインに関してはそれらは変化しない。)
【0064】
ヒトDNGR-1の細胞質ドメイン
N末端細胞質ドメインである、ヒトDNGR-1のアミノ酸配列の部分は、配列番号2に記載される:
MHEEEIYTSLQWDSPAPDTYQKCLSSNKCSGA (SEQ ID NO:2)
【0065】
ヒトDNGR-1の膜貫通ドメイン
膜貫通ドメインである、ヒトDNGR-1のアミノ酸配列の部分は、配列番号3に記載される:
CCLVMVISCVFCMGLLTASIFLGV (SEQ ID NO:3)
【0066】
ヒトDNGR-1のネックドメイン
ネックドメインである、ヒトDNGR-1のアミノ酸配列の部分は、配列番号4に記載される:
KLLQVSTIAMQQQEKLIQQERALLNFTEWKRSCALQMKYCQAFMQNSLSSAHNSS (SEQ ID NO:4)
【0067】
ヒトDNGR-1のC型レクチンドメイン(CTLD)
CTLDである、ヒトDNGR-1のアミノ酸配列の部分は、配列番号5に記載される:
PCPNNWIQNRESCYYVSEIWSIWHTSQENCLKEGSTLLQIESKEEMDFITGSLRKIKGSYDYWVGLSQDGHSGRWLWQDGSSPSPGLLPAERSQSANQVCGYVKSNSLLSSNCSTWKYFICEKYA (SEQ ID NO:5)
【0068】
マウスDNGR-1(CLEC9A)
マウスDNGR-1はII型膜貫通タンパク質である。マウスDNGR-1(CLEC9A)の完全長アミノ酸配列は、公開されているタンパク質データベース(例えば識別子NP_001192292.1によるNCBIデータベース)で入手可能であり、ここでは配列番号6によって提供される:
MHAEEIYTSLQWDIPTSEASQKCQSPSKCSGAWCVVTMISCVVCMGLLATSIFLGIKFFQVSSLVLEQQERLIQQDTALVNLTQWQRKYTLEYCQALLQRSLHSGTDASTGPVLLTSPQMVPQTLDSKETGSDCSPCPHNWIQNGKSCYYVFERWEMWNISKKSCLKEGASLFQIDSKEEMEFISSIGKLKGGNKYWVGVFQDGISGSWFWEDGSSPLSDLLPAERQRSAGQICGYLKDSTLISDKCDSWKYFICEKKAFGSCI (SEQ ID NO:6)
【0069】
マウスDNGR-1の細胞質ドメイン
N末端細胞質ドメインである、マウスDNGR-1のアミノ酸配列の部分は、配列番号7に記載される:
MHAEEIYTSLQWDIPTSEASQKCQSPSKCSGA (SEQ ID NO:7)
【0070】
マウスDNGR-1の膜貫通ドメイン
膜貫通ドメインである、マウスDNGR-1のアミノ酸配列の部分は、配列番号8に記載される:
WCVVTMISCVVCMGLLATSIFLGI (SEQ ID NO:8)
【0071】
マウスDNGR-1のネックドメイン
ネックドメインである、マウスDNGR-1のアミノ酸配列の部分は、配列番号9に記載される:
KFFQVSSLVLEQQERLIQQDTALVNLTQWQRKYTLEYCQALLQRSLHSGTDASTGPVLLTSPQMVPQTLDSKETGSDCS (SEQ ID NO:9)
【0072】
マウスDNGR-1のC型レクチンドメイン(CTLD)
CTLDである、マウスDNGR-1のアミノ酸配列の部分は、配列番号10に記載される:
PCPHNWIQNGKSCYYVFERWEMWNISKKSCLKEGASLFQIDSKEEMEFISSIGKLKGGNKYWVGVFQDGISGSWFWEDGSSPLSDLLPAERQRSAGQICGYLKDSTLISDKCDSWKYFICEKKA (SEQ ID NO:10)
【0073】
DNGR-1の細胞質尾部のシグナル伝達ドメイン
本開示は、DNGR-1の細胞質尾部がXPの重要なメディエーターであり、XPを媒介するその能力はDNGR-1シグナル伝達ドメインのみを必要とすることを示す。この配列は、マウスDectin-1に融合された際にSyk結合を可能にする/媒介する「HemITAM」54配列を含む。
【0074】
DNGR-1細胞質ドメインのシグナル伝達部分は、配列番号11に示される、細胞質ドメインの最初の13残基に存在する:MHAEEIYTSLQWD (SEQ ID NO:11)。この配列はマウスDNGR-1の最初の13残基である。
【0075】
ヒトDNGR-1細胞質ドメインのシグナル伝達部分は、配列番号89に示される、細胞質ドメインの最初の13残基に存在する:MHEEEIYTSLQWD (SEQ ID NO:89)。
【0076】
hemITAMドメイン
DNGR-1細胞質ドメインの上記13アミノ酸部分は、配列番号12に示されるhemITAMドメインを含む:
EEIYTSL (SEQ ID NO:12)
【0077】
例えば配列番号13に記載されるもののような、他のhemITAM配列が報告されている(その全体が参照により本明細書に組み込まれるBaur and Steinle, 2017)。
DEDGYXXL (SEQ ID NO:13)
【0078】
hemITAM配列の必須アミノ酸残基は、最初のグルタミン酸(E)、中央のチロシン(Y)、およびロイシン(L)であるが、それはこれらの残基が異なるタンパク質間および異なる種間に渡ってhemITAM配列に保存されているためである。従って、本発明のキメラ受容体のシグナル伝達ドメインは、配列番号14に記載されるhemITAMを含み得:
EXXYXXL (SEQ ID NO:14)、ここで、「X」は任意のアミノ酸残基を表す。
【0079】
細胞内シグナル伝達ドメイン
発明者らは、DNGR-1のhemITAMの各側の1~3アミノ酸がXPを促進するために重要である可能性があると考えている。従って、本発明のキメラ受容体は、配列番号15に記載されている配列を含む細胞内シグナル伝達ドメイン(「DNGR-1の細胞質尾部のシグナル伝達ドメインに由来するSyk結合配列」と表すことができる)を含み得:
MHAEXXYXXLQWD (SEQ ID NO:15)、ここで、「X」は任意のアミノ酸残基を表す。
【0080】
マウスDectin-1(CLEC7A)
マウスDectin-1はII型膜貫通タンパク質である。マウスDectin-1(CLEC7A)の完全長アミノ酸配列は、公的なタンパク質データベース(例えば識別子AAS37670.1によるNCBIデータベース)で利用可能であり、ここでは配列番号16によって提供される:
MKYHSHIENLDEDGYTQLDFSTQDIHKRPRGSEKGSRAPSSPWRPIAVGLGILCFVVVVVAAVLGALAFW
RHNSGRNPEEKDSFLSRNKENHKPTESSLDEKVAPSKASQTTGGFSQSCLPNWIMHGKSCYLFSFSGNSWYGSKRHCSQLGAHLLKIDNSKEFEFIESQTSSHRINAFWIGLSRNQSEGPWFWEDGSAFFPNSFQVRNAVPQESLLHNCVWIHGSEVYNQICNTSSYSICEKEL (SEQ ID NO:16)
【0081】
マウスDectin-1の細胞質ドメイン
N末端細胞質ドメインである、マウスDectin-1のアミノ酸配列の部分は、配列番号17に示される:
MKYHSHIENLDEDGYTQLDFSTQDIHKRPRGSEKGSRAPSSPWR (SEQ ID NO:17)
【0082】
マウスDectin-1の膜貫通ドメイン
膜貫通ドメインである、マウスDectin-1のアミノ酸配列の部分は、配列番号18に記載される:
VGLGILCFVVVVVAAVLGALAFW (SEQ ID NO:18)
【0083】
マウスDectin-1のネックドメイン
ネックドメインである、マウスDectin-1のアミノ酸配列の部分は、配列番号19に記載される:
RHNSGRNPEEKDSFLSRNKENHKPTESSLDEKVAPSKASQTTGGFSQSCLPNWIM (SEQ ID NO:19)
【0084】
マウスDectin-1のC型レクチンドメイン(CTLD)
CTLDである、マウスDectin-1のアミノ酸配列の部分は、配列番号20に記載される:
HGKSCYLFSFSGNSWYGSKRHCSQLGAHLLKIDNSKEFEFIESQTSSHRINAFWIGLSRNQSEGPWFWEDGSAFFPNSFQVRNAVPQESLLHNCVWIHGSEVYNQICNTSSYSICE (SEQ ID NO:20)
【0085】
ヒトFcRガンマ鎖
ヒトFcRガンマ鎖はI型膜貫通タンパク質である。ヒトFcRガンマ鎖の完全長アミノ酸配列は、公開されているタンパク質データベース(例えば識別子NP_004097によるNCBIデータベース)で入手可能であり、ここでは配列番号21によって提供されている:
MIPAVVLLLLLLVEQAAALGEPQLCYILDAILFLYGIVLTLLYCRLKIQVRKAAITSYEKSDGVYTGLSTRNQETYETLKHEKPPQ (SEQ ID NO:21)
【0086】
ヒトFcRガンマ鎖の細胞質ドメイン
C末端細胞質ドメインである、ヒトFcRガンマ鎖のアミノ酸配列の部分は、配列番号22に記載される:
RLKIQVRKAAITSYEKSDGVYTGLSTRNQETYETLKHEKPPQ (SEQ ID NO:22)
【0087】
ヒトFcRガンマ鎖の膜貫通ドメイン
膜貫通ドメインである、ヒトFcRガンマ鎖のアミノ酸配列の部分は、配列番号23に記載される:
LCYILDAILFLYGIVLTLLYC (SEQ ID NO:23)
【0088】
ヒトFcRガンマ鎖の細胞外ドメイン
細胞外ドメインである、ヒトFcRガンマ鎖のアミノ酸配列の部分は、配列番号24に記載される:
LGEPQ (SEQ ID NO:24)
【0089】
マウスFcRガンマ鎖
マウスFcRガンマ鎖はI型膜貫通タンパク質である。マウスFcRガンマ鎖の完全長アミノ酸配列は、公開されたタンパク質データベース(例えば識別子NP_034315.1によるNCBIデータベース)で入手可能であり、ここでは配列番号25によって提供されている:
MISAVILFLLLLVEQAAALGEPQLCYILDAVLFLYGIVLTLLYCRLKIQVRKAAIASREKADAVYTGLNT
RSQETYETLKHEKPPQ (SEQ ID NO:25)
【0090】
マウスFcRガンマ鎖の細胞質ドメイン
C末端細胞質ドメインである、マウスFcRガンマ鎖のアミノ酸配列の部分は、配列番号26に記載される:
RLKIQVRKAAIASREKADAVYTGLNTRSQETYETLKHEKPPQ (SEQ ID NO:26)
【0091】
マウスFcRガンマ鎖の膜貫通ドメイン
膜貫通ドメインである、マウスFcRガンマ鎖のアミノ酸配列の部分は、配列番号27に記載される:
LCYILDAVLFLYGIVLTLLYC (SEQ ID NO:27)
【0092】
マウスFcRガンマ鎖の細胞外ドメイン
細胞外ドメインである、マウスFcRガンマ鎖のアミノ酸配列の部分は、配列番号28に記載される:
LGEPQ (SEQ ID NO:28)
【0093】
ヒトFcγRI
ヒトFcγRIはI型膜貫通タンパク質である。ヒトFcγRIの完全長アミノ酸配列は、公的なタンパク質データベース(例えば識別子NP_001365733によるNCBIデータベース)で利用可能であり、ここでは配列番号29によって提供される:
MWFLTTLLLWVPVDGQVDTTKAVITLQPPWVSVFQEETVTLHCEVLHLPGSSSTQWFLNGTATQTSTPSYRITSASVNDSGEYRCQRGLSGRSDPIQLEIHRGWLLLQVSSRVFTEGEPLALRCHAWKDKLVYNVLYYRNGKAFKFFHWNSNLTILKTNISHNGTYHCSGMGKHRYTSAGISVTVKELFPAPVLNASVTSPLLEGNLVTLSCETKLLLQRPGLQLYFSFYMGSKTLRGRNTSSEYQILTARREDSGLYWCEAATEDGNVLKRSPELELQVLGLQLPTPVWFHVLFYLAVGIMFLVNTVLWVTIRKELKRKKKWDLEISLDSGHEKKVISSLQEDRHLEEELKCQEQKEEQLQEGVHRKEPQGAT (SEQ ID NO:29)
【0094】
ヒトFcγRIの細胞質ドメイン
C末端細胞質ドメインである、ヒトFcγRIのアミノ酸配列の部分は、配列番号30に記載される:
RKELKRKKKWDLEISLDSGHEKKVISSLQEDRHLEEELKCQEQKEEQLQEGVHRKEPQGAT (SEQ ID NO:30)
【0095】
ヒトFcγRIの膜貫通ドメイン
膜貫通ドメインである、ヒトFcγRIのアミノ酸配列の部分は、配列番号31に記載される:
VLFYLAVGIMFLVNTVLWVTI (SEQ ID NO:31)
【0096】
ヒトFcγRIの細胞外ドメイン
細胞外ドメインである、ヒトFcγRIのアミノ酸配列の部分は、配列番号32に記載される:
QVDTTKAVITLQPPWVSVFQEETVTLHCEVLHLPGSSSTQWFLNGTATQTSTPSYRITSASVNDSGEYRCQRGLSGRSDPIQLEIHRGWLLLQVSSRVFTEGEPLALRCHAWKDKLVYNVLYYRNGKAFKFFHWNSNLTILKTNISHNGTYHCSGMGKHRYTSAGISVTVKELFPAPVLNASVTSPLLEGNLVTLSCETKLLLQRPGLQLYFSFYMGSKTLRGRNTSSEYQILTARREDSGLYWCEAATEDGNVLKRSPELELQVLGLQLPTPVWFH (SEQ ID NO:32)
【0097】
マウスFcγRI
マウスFcγRIはI型膜貫通タンパク質である。マウスFcγRIの完全長アミノ酸配列は、公開されているタンパク質データベース(例えば識別子NP_034316によるNCBIデータベース)で利用可能であり、ここでは配列番号33によって提供される:
MILTSFGDDMWLLTTLLLWVPVGGEVVNATKAVITLQPPWVSIFQKENVTLWCEGPHLPGDSSTQWFINGTAVQISTPSYSIPEASFQDSGEYRCQIGSSMPSDPVQLQIHNDWLLLQASRRVLTEGEPLALRCHGWKNKLVYNVVFYRNGKSFQFSSDSEVAILKTNLSHSGIYHCSGTGRHRYTSAGVSITVKELFTTPVLRASVSSPFPEGSLVTLNCETNLLLQRPGLQLHFSFYVGSKILEYRNTSSEYHIARAEREDAGFYWCEVATEDSSVLKRSPELELQVLGPQSSAPVWFHILFYLSVGIMFSLNTVLYVKIHRLQREKKYNLEVPLVSEQGKKANSFQQVRSDGVYEEVTATASQTTPKEAPDGPRSSVGDCGPEQPEPLPPSDSTGAQTSQS (SEQ ID NO:33)
【0098】
マウスFcγRIの細胞質ドメイン
C末端細胞質ドメインである、マウスFcγRIのアミノ酸配列の部分は、配列番号34に記載される:
KIHRLQREKKYNLEVPLVSEQGKKANSFQQVRSDGVYEEVTATASQTTPKEAPDGPRSSVGDCGPEQPEPLPPSDSTGAQTSQS (SEQ ID NO:34)
【0099】
マウスFcγRIの膜貫通ドメイン
膜貫通ドメインである、マウスFcγRIのアミノ酸配列の部分は、配列番号35に記載される:
VWFHILFYLSVGIMFSLNTVLYV (SEQ ID NO:35)
【0100】
マウスFcγRIの細胞外ドメイン
細胞外ドメインである、マウスFcγRIのアミノ酸配列の部分は、配列番号36に記載される:
EVVNATKAVITLQPPWVSIFQKENVTLWCEGPHLPGDSSTQWFINGTAVQISTPSYSIPEASFQDSGEYRCQIGSSMPSDPVQLQIHNDWLLLQASRRVLTEGEPLALRCHGWKNKLVYNVVFYRNGKSFQFSSDSEVAILKTNLSHSGIYHCSGTGRHRYTSAGVSITVKELFTTPVLRASVSSPFPEGSLVTLNCETNLLLQRPGLQLHFSFYVGSKILEYRNTSSEYHIARAEREDAGFYWCEVATEDSSVLKRSPELELQVLGPQSSAP (SEQ ID NO:36)
【0101】
ヒトFcγRIIA
ヒトFcγRIIAはI型膜貫通タンパク質である。ヒトFcγRIIAの完全長アミノ酸配列は、公開されているタンパク質データベース(例えば識別子NP_001129691によるNCBIデータベース)で入手可能であり、ここでは配列番号37によって提供されている:
MTMETQMSQNVCPRNLWLLQPLTVLLLLASADSQAAAPPKAVLKLEPPWINVLQEDSVTLTCQGARSPESDSIQWFHNGNLIPTHTQPSYRFKANNNDSGEYTCQTGQTSLSDPVHLTVLSEWLVLQTPHLEFQEGETIMLRCHSWKDKPLVKVTFFQNGKSQKFSHLDPTFSIPQANHSHSGDYHCTGNIGYTLFSSKPVTITVQVPSMGSSSPMGIIVAVVIATAVAAIVAAVVALIYCRKKRISANSTDPVKAAQFEPPGRQMIAIRKRQLEETNNDYETADGGYMTLNPRAPTDDDKNIYLTLPPNDHVNSNN (SEQ ID NO:37)
【0102】
ヒトFcγRIIAの細胞質ドメイン
C末端細胞質ドメインである、ヒトFcγRIIAののアミノ酸配列の部分は、配列番号38に記載される:
CRKKRISANSTDPVKAAQFEPPGRQMIAIRKRQLEETNNDYETADGGYMTLNPRAPTDDDKNIYLTLPPNDHVNSNN (SEQ ID NO:38)
【0103】
ヒトFcγRIIAの膜貫通ドメイン
膜貫通ドメインである、ヒトFcγRIIAのアミノ酸配列の部分は、配列番号39に記載される:
IIVAVVIATAVAAIVAAVVALIY (SEQ ID NO:39)
【0104】
ヒトFcγRIIAの細胞外ドメイン
細胞外ドメインである、ヒトFcγRIIAのアミノ酸配列の部分は、配列番号40に記載される:
QAAAPPKAVLKLEPPWINVLQEDSVTLTCQGARSPESDSIQWFHNGNLIPTHTQPSYRFKANNNDSGEYTCQTGQTSLSDPVHLTVLSEWLVLQTPHLEFQEGETIMLRCHSWKDKPLVKVTFFQNGKSQKFSHLDPTFSIPQANHSHSGDYHCTGNIGYTLFSSKPVTITVQVPSMGSSSPMG (SEQ ID NO:40)
【0105】
ヒトTIMD4
ヒトTIMD4はI型膜貫通タンパク質である。ヒトTIMD4の完全長アミノ酸配列は、公開されているタンパク質データベース(例えば識別子NP_612388によるNCBIデータベース)で入手可能であり、ここでは配列番号41によって提供されている:
MSKEPLILWLMIEFWWLYLTPVTSETVVTEVLGHRVTLPCLYSSWSHNSNSMCWGKDQCPYSGCKEALIRTDGMRVTSRKSAKYRLQGTIPRGDVSLTILNPSESDSGVYCCRIEVPGWFNDVKINVRLNLQRASTTTHRTATTTTRRTTTTSPTTTRQMTTTPAALPTTVVTTPDLTTGTPLQMTTIAVFTTANTCLSLTPSTLPEEATGLLTPEPSKEGPILTAESETVLPSDSWSSVESTSADTVLLTSKESKVWDLPSTSHVSMWKTSDSVSSPQPGASDTAVPEQNKTTKTGQMDGIPMSMKNEMPISQLLMIIAPSLGFVLFALFVAFLLRGKLMETYCSQKHTRLDYIGDSKNVLNDVQHGREDEDGLFTL (SEQ ID NO:41)
【0106】
ヒトTIMD4の細胞質ドメイン
C末端細胞質ドメインである、ヒトTIMD4のアミノ酸配列の部分は、配列番号42に記載される:
LRGKLMETYCSQKHTRLDYIGDSKNVLNDVQHGREDEDGLFTL (SEQ ID NO:42)
【0107】
ヒトTIMD4の膜貫通ドメイン
膜貫通ドメインである、ヒトTIMD4のアミノ酸配列の部分は、配列番号43に記載される:
LLMIIAPSLGFVLFALFVAFL (SEQ ID NO:43)
【0108】
ヒトTIMD4の細胞外ドメイン
細胞外ドメインである、ヒトTIMD4のアミノ酸配列の部分は、配列番号44に記載される:
ETVVTEVLGHRVTLPCLYSSWSHNSNSMCWGKDQCPYSGCKEALIRTDGMRVTSRKSAKYRLQGTIPRGDVSLTILNPSESDSGVYCCRIEVPGWFNDVKINVRLNLQRASTTTHRTATTTTRRTTTTSPTTTRQMTTTPAALPTTVVTTPDLTTGTPLQMTTIAVFTTANTCLSLTPSTLPEEATGLLTPEPSKEGPILTAESETVLPSDSWSSVESTSADTVLLTSKESKVWDLPSTSHVSMWKTSDSVSSPQPGASDTAVPEQNKTTKTGQMDGIPMSMKNEMPISQ (SEQ ID NO:44)
【0109】
マウスTIMD4
マウスTIMD4はI型膜貫通タンパク質である。マウスTIMD4の完全長アミノ酸配列は、公開されているタンパク質データベース(例えば識別子NP_848874によるNCBIデータベース)で入手可能であり、ここでは配列番号45によって提供されている:
MSKGLLLLWLVTELWWLYLTPAASEDTIIGFLGQPVTLPCHYLSWSQSRNSMCWGKGSCPNSKCNAELLRTDGTRIISRKSTKYTLLGKVQFGEVSLTISNTNRGDSGVYCCRIEVPGWFNDVKKNVRLELRRATTTKKPTTTTRPTTTPYVTTTTPELLPTTVMTTSVLPTTTPPQTLATTAFSTAVTTCPSTTPGSFSQETTKGSAFTTESETLPASNHSQRSMMTISTDIAVLRPTGSNPGILPSTSQLTTQKTTLTTSESLQKTTKSHQINSRQTILIIACCVGFVLMVLLFLAFLLRGKVTGANCLQRHKRPDNTEDSDSVLNDMSHGRDDEDGIFTL (SEQ ID NO:45)
【0110】
マウスTIMD4の細胞質ドメイン
C末端細胞質ドメインである、マウスTIMD4のアミノ酸配列の部分は、配列番号46に記載される:
LRGKVTGANCLQRHKRPDNTEDSDSVLNDMSHGRDDEDGIFTL (SEQ ID NO:46)
【0111】
マウスTIMD4の膜貫通ドメイン
膜貫通ドメインである、マウスTIMD4のアミノ酸配列の部分は、配列番号88に記載される:
ILIIACCVGFVLMVLLFLAFL (SEQ ID NO:88)
【0112】
マウスTIMD4の細胞外ドメイン
細胞外ドメインである、マウスTIMD4のアミノ酸配列の部分は、配列番号47に記載される:
ASEDTIIGFLGQPVTLPCHYLSWSQSRNSMCWGKGSCPNSKCNAELLRTDGTRIISRKSTKYTLLGKVQFGEVSLTISNTNRGDSGVYCCRIEVPGWFNDVKKNVRLELRRATTTKKPTTTTRPTTTPYVTTTTPELLPTTVMTTSVLPTTTPPQTLATTAFSTAVTTCPSTTPGSFSQETTKGSAFTTESETLPASNHSQRSMMTISTDIAVLRPTGSNPGILPSTSQLTTQKTTLTTSESLQKTTKSHQINSRQT (SEQ ID NO:47)
【0113】
ヒトMegf10
ヒトMegf10はI型膜貫通タンパク質である。ヒトMegf10の完全長アミノ酸配列は、公開されているタンパク質データベース(例えば識別子NP_001243474によるNCBIデータベース)で入手可能であり、ここでは配列番号48によって提供されている。
MVISLNSCLSFICLLLCHWIGTASPLNLEDPNVCSHWESYSVTVQESYPHPFDQIYYTSCTDILNWFKCTRHRVSYRTAYRHGEKTMYRRKSQCCPGFYESGEMCVPHCADKCVHGRCIAPNTCQCEPGWGGTNCSSACDGDHWGPHCTSRCQCKNGALCNPITGACHCAAGFRGWRCEDRCEQGTYGNDCHQRCQCQNGATCDHVTGECRCPPGYTGAFCEDLCPPGKHGPQCEQRCPCQNGGVCHHVTGECSCPSGWMGTVCGQPCPEGRFGKNCSQECQCHNGGTCDAATGQCHCSPGYTGERCQDECPVGTYGVLCAETCQCVNGGKCYHVSGACLCEAGFAGERCEARLCPEGLYGIKCDKRCPCHLENTHSCHPMSGECACKPGWSGLYCNETCSPGFYGEACQQICSCQNGADCDSVTGKCTCAPGFKGIDCSTPCPLGTYGINCSSRCGCKNDAVCSPVDGSCTCKAGWHGVDCSIRCPSGTWGFGCNLTCQCLNGGACNTLDGTCTCAPGWRGEKCELPCQDGTYGLNCAERCDCSHADGCHPTTGHCRCLPGWSGVHCDSVCAEGRWGPNCSLPCYCKNGASCSPDDGIC
ECAPGFRGTTCQRICSPGFYGHRCSQTCPQCVHSSGPCHHITGLCDCLPGFTGALCNEVCPSGRFGKNCAGICTCTNNGTCNPIDRSCQCYPGWIGSDCSQPCPPAHWGPNCIHTCNCHNGAFCSAYDGECKCTPGWTGLYCTQRCPLGFYGKDCALICQCQNGADCDHISGQCTCRTGFMGRHCEQKCPSGTYGYGCRQICDCLNNSTCDHITGTCYCSPGWKGARCDQAGVIIVGNLNSLSRTSTALPADSYQIGAIAGIIILVLVVLFLLALFIIYRHKQKGKESSMPAVTYTPAMRVVNADYTISGTLPHSNGGNANSHYFTNPSYHTLTQCATSPHVNNRDRMTVTKSKNNQLFVNLKNVNPGKRGPVGDCTGTLPADWKHGGYLNELGAFGLDRSYMGKSLKDLGKNSEYNSSNCSLSSSENPYATIKDPPVLIPKSSECGYVEMKSPARRDSPYAEINNSTSANRNVYEVEPTVSVVQGVFSNNGRLSQDPYDLPKNSHIPCHYDLLPVRDSSSSPKQEDSGGSSSNSSSSSE (SEQ ID NO:48)
【0114】
ヒトMegf10の細胞質ドメイン
C末端細胞質ドメインである、ヒトMegf10のアミノ酸配列の部分は、配列番号49に記載される:
YRHKQKGKESSMPAVTYTPAMRVVNADYTISGTLPHSNGGNANSHYFTNPSYHTLTQCATSPHVNNRDRMTVTKSKNNQLFVNLKNVNPGKRGPVGDCTGTLPADWKHGGYLNELGAFGLDRSYMGKSLKDLGKNSEYNSSNCSLSSSENPYATIKDPPVLIPKSSECGYVEMKSPARRDSPYAEINNSTSANRNVYEVEPTVSVVQGVFSNNGRLSQDPYDLPKNSHIPCHYDLLPVRDSSSSPKQEDSGGSSSNSSSSSE (SEQ ID NO:49)
【0115】
ヒトMegf10の膜貫通ドメイン
膜貫通ドメインである、ヒトMegf10のアミノ酸配列の部分は、配列番号50に記載される:
AIAGIIILVLVVLFLLALFII (SEQ ID NO:50)
【0116】
ヒトMegf10の細胞外ドメイン
細胞外ドメインである、ヒトMegf10のアミノ酸配列の部分は、配列番号51に記載される:
LNLEDPNVCSHWESYSVTVQESYPHPFDQIYYTSCTDILNWFKCTRHRVSYRTAYRHGEKTMYRRKSQCCPGFYESGEMCVPHCADKCVHGRCIAPNTCQCEPGWGGTNCSSACDGDHWGPHCTSRCQCKNGALCNPITGACHCAAGFRGWRCEDRCEQGTYGNDCHQRCQCQNGATCDHVTGECRCPPGYTGAFCEDLCPPGKHGPQCEQRCPCQNGGVCHHVTGECSCPSGWMGTVCGQPCPEGRFGKNCSQECQCHNGGTCDAATGQCHCSPGYTGERCQDECPVGTYGVLCAETCQCVNGGKCYHVSGACLCEAGFAGERCEARLCPEGLYGIKCDKRCPCHLENTHSCHPMSGECACKPGWSGLYCNETCSPGFYGEACQQICSCQNGADCDSVTGKCTCAPGFKGIDCSTPCPLGTYGINCSSRCGCKNDAVCSPVDGSCTCKAGWHGVDCSIRCPSGTWGFGCNLTCQCLNGGACNTLDGTCTCAPGWRGEKCELPCQDGTYGLNCAERCDCSHADGCHPTTGHCRCLPGWSGVHCDSVCAEGRWGPNCSLPCYCKNGASCSPDDGICECAPGFRGTTCQRICSPGFYGHRCSQTCPQCVHSSGPCHHITGLCDCLPGFTGALCNEVCPSGRFGKNCAGICTCTNNGTCNPIDRSCQCYPGWIGSDCSQPCPPAHWGPNCIHTCNCHNGAFCSAYDGECKCTPGWTGLYCTQRCPLGFYGKDCALICQCQNGADCDHISGQCTCRTGFMGRHCEQKCPSGTYGYGCRQICDCLNNSTCDHITGTCYCSPGWKGARCDQAGVIIVGNLNSLSRTSTALPADSYQIG (SEQ ID NO:51)
【0117】
マウスMegf10
マウスMegf10はI型膜貫通タンパク質である。マウスMegf10の完全長アミノ酸配列は、公的なタンパク質データベース(例えば識別子NP_001001979によるNCBIデータベース)で利用可能であり、ここでは配列番号52によって提供される:
MAISSSSCLGLICSLLCHWVGTASSLNLEDPNVCSHWESYSVTVQESYPHPFDQIYYTSCTDILNWFKCTRHRISYRTAYRHGEKTMYRRKSQCCPGFYESRDMCVPHCADKCVHGRCIAPNTCQCEPGWGGTNCSSACDGDHWGPHCSSRCQCKNRALCNPITGACHCAAGYRGWRCEDRCEQGTYGNDCHQRCQCQNGATCDHITGECRCSPGYTGAFCEDLCPPGKHGPHCEQRCPCQNGGVCHHVTGECSCPSGWMGTVCGQPCPEGRFGKNCSQECQCHNGGTCDAATGQCHCSPGYTGERCQDECPVGSYGVRCAEACRCVNGGKCYHVSGTCLCEAGFSGELCEARLCPEGLYGIKCDKRCPCHLDNTHSCHPMSGECGCKPGWSGLYCNETCSPGFYGEACQQICSCQNGADCDSVTGRCACAPGFKGTDCSTPCPLGRYGINCSSRCGCKNDAVCSPVDGSCICKAGWHGVDCSIRCPSGTWGFGCNLTCQCLNGGACNTLDGTCTCAPGWRGAKCEFPCQDGTYGLNCAERCDCSHADGCHPTTGHCRCLPGWSGVHCDSVCAEGRWGPNCSLPCYCKNGASCSPDDGIC
ECAPGFRGTTCQRICSPGFYGHRCSQTCPQCVHSSGPCHHITGLCDCLPGFTGALCNEVCPSGRFGKNCAGVCTCTNNGTCNPIDRSCQCYPGWIGSDCSQPCPPAHWGPNCIHTCNCHNGAFCSAYDGECKCTPGWTGLYCTQRCPLGFYGKDCALICQCQNGADCDHISGQCTCRTGFMGRHCEQKCPAGTYGYGCRQICDCLNNSTCDHITGTCYCSPGWKGARCDQAGVIIVGNLNSLSRTSTALPADSYQIGAIAGIVVLVLVVLFLLALFIIYRHKQKRKESSMPAVTYTPAMRVINADYTIAETLPHSNGGNANSHYFTNPSYHTLSQCATSPHVNNRDRMTIAKSKNNQLFVNLKNVNPGKRGTLVDCTGTLPADWKQGGYLNELGAFGLDRSYMGKSLKDLGKNSEYNSSTCSLSSSENPYATIKDPPALLPKSSECGYVEMKSPARRDSPYAEINNSTPANRNVYEVEPTVSVVQGVFSNSGHVTQDPYDLPKNSHIPCHYDLLPVRDSSSSPKREDGGGSNSTSSNSTSSSSSSSE (SEQ ID NO:52)
【0118】
マウスMegf10の細胞質ドメイン
C末端細胞質ドメインである、マウスMegf10のアミノ酸配列の部分は、配列番号53に記載される:
YRHKQKRKESSMPAVTYTPAMRVINADYTIAETLPHSNGGNANSHYFTNPSYHTLSQCATSPHVNNRDRMTIAKSKNNQLFVNLKNVNPGKRGTLVDCTGTLPADWKQGGYLNELGAFGLDRSYMGKSLKDLGKNSEYNSSTCSLSSSENPYATIKDPPALLPKSSECGYVEMKSPARRDSPYAEINNSTPANRNVYEVEPTVSVVQGVFSNSGHVTQDPYDLPKNSHIPCHYDLLPVRDSSSSPKREDGGGSNSTSSNSTSSSSSSSE (SEQ ID NO:53)
【0119】
マウスMegf10の膜貫通ドメイン
膜貫通ドメインである、マウスMegf10のアミノ酸配列の部分は、配列番号54に記載される:
AIAGIVVLVLVVLFLLALFII (SEQ ID NO:54)
【0120】
マウスMegf10の細胞外ドメイン
細胞外ドメインである、マウスMegf10のアミノ酸配列の部分は、配列番号55に記載される:
LNLEDPNVCSHWESYSVTVQESYPHPFDQIYYTSCTDILNWFKCTRHRISYRTAYRHGEKTMYRRKSQCCPGFYESRDMCVPHCADKCVHGRCIAPNTCQCEPGWGGTNCSSACDGDHWGPHCSSRCQCKNRALCNPITGACHCAAGYRGWRCEDRCEQGTYGNDCHQRCQCQNGATCDHITGECRCSPGYTGAFCEDLCPPGKHGPHCEQRCPCQNGGVCHHVTGECSCPSGWMGTVCGQPCPEGRFGKNCSQECQCHNGGTCDAATGQCHCSPGYTGERCQDECPVGSYGVRCAEACRCVNGGKCYHVSGTCLCEAGFSGELCEARLCPEGLYGIKCDKRCPCHLDNTHSCHPMSGECGCKPGWSGLYCNETCSPGFYGEACQQICSCQNGADCDSVTGRCACAPGFKGTDCSTPCPLGRYGINCSSRCGCKNDAVCSPVDGSCICKAGWHGVDCSIRCPSGTWGFGCNLTCQCLNGGACNTLDGTCTCAPGWRGAKCEFPCQDGTYGLNCAERCDCSHADGCHPTTGHCRCLPGWSGVHCDSVCAEGRWGPNCSLPCYCKNGASCSPDDGICECAPGFRGTTCQRICSPGFYGHRCSQTCPQCVHSSGPCHHITGLCDCLPGFTGALCNEVCPSGRFGKNCAGVCTCTNNGTCNPIDRSCQCYPGWIGSDCSQPCPPAHWGPNCIHTCNCHNGAFCSAYDGECKCTPGWTGLYCTQRCPLGFYGKDCALICQCQNGADCDHISGQCTCRTGFMGRHCEQKCPAGTYGYGCRQICDCLNNSTCDHITGTCYCSPGWKGARCDQAGVIIVGNLNSLSRTSTALPADSYQIG (SEQ ID NO:55)
【0121】
ヒトCD3ゼータ鎖
ヒトCD3ゼータ鎖はI型膜貫通タンパク質である。ヒトCD3ゼータ鎖の完全長アミノ酸配列は、公開されているタンパク質データベース(例えば識別子NP_932170によるNCBIデータベース)で入手可能であり、ここでは配列番号56によって提供されている:
MKWKALFTAAILQAQLPITEAQSFGLLDPKLCYLLDGILFIYGVILTALFLRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPQRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR (SEQ ID NO:56)
【0122】
ヒトCD3ゼータ鎖の細胞質ドメイン
C末端細胞質ドメインである、ヒトCD3ゼータ鎖のアミノ酸配列の部分は、配列番号57に記載される:
RVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPQRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR (SEQ ID NO:57)
【0123】
ヒトCD3ゼータ鎖の膜貫通ドメイン
膜貫通ドメインである、ヒトCD3ゼータ鎖のアミノ酸配列の部分は、配列番号58に記載される:
LCYLLDGILFIYGVILTALFL (SEQ ID NO:58)
【0124】
ヒトCD3ゼータ鎖の細胞外ドメイン
細胞外ドメインである、ヒトCD3ゼータ鎖のアミノ酸配列の部分は、配列番号59に記載される:
QSFGLLDPK (SEQ ID NO:59)
【0125】
マウスCD3ゼータ鎖
マウスCD3ゼータ鎖はI型膜貫通タンパク質である。マウスCD3ゼータ鎖の完全長アミノ酸配列は、公開されているタンパク質データベース(例えば識別子NP_001106862によるNCBIデータベース)で入手可能であり、ここでは配列番号60によって提供されている:
MKWKVSVLACILHVRFPGAEAQSFGLLDPKLCYLLDGILFIYGVIITALYLRAKFSRSAETAANLQDPNQLYNELNLGRREEYDVLEKKRARDPEMGGKQQRRRNPQEGVYNALQKDKMAEAYSEIGTKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQTLAPR (SEQ ID NO:60)
【0126】
マウスCD3ゼータ鎖の細胞質ドメイン
C末端細胞質ドメインである、マウスCD3ゼータ鎖のアミノ酸配列の部分は、配列番号61に記載される:
RAKFSRSAETAANLQDPNQLYNELNLGRREEYDVLEKKRARDPEMGGKQQRRRNPQEGVYNALQKDKMAEAYSEIGTKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQTLAPR (SEQ ID NO:61)
【0127】
マウスCD3ゼータ鎖の膜貫通ドメイン
膜貫通ドメインである、マウスCD3ゼータ鎖のアミノ酸配列の部分は、配列番号62に記載される:
LCYLLDGILFIYGVIITALYL (SEQ ID NO:62)
【0128】
マウスCD3ゼータ鎖の細胞外ドメイン
細胞外ドメインである、マウスCD3ゼータ鎖のアミノ酸配列の部分は、配列番号63に記載される:
QSFGLLDPK (SEQ ID NO:63)
【0129】
ヒトトランスフェリン受容体
ヒトのトランスフェリン受容体はII型膜貫通タンパク質である。ヒトのトランスフェリン受容体の全長アミノ酸配列は、公開されているタンパク質データベース(例えば識別子NP_001121620によるNCBIデータベース)で入手可能であり、ここでは配列番号64によって提供されている:
MMDQARSAFSNLFGGEPLSYTRFSLARQVDGDNSHVEMKLAVDEEENADNNTKANVTKPKRCSGSICYGTIAVIVFFLIGFMIGYLGYCKGVEPKTECERLAGTESPVREEPGEDFPAARRLYWDDLKRKLSEKLDSTDFTGTIKLLNENSYVPREAGSQKDENLALYVENQFREFKLSKVWRDQHFVKIQVKDSAQNSVIIVDKNGRLVYLVENPGGYVAYSKAATVTGKLVHANFGTKKDFEDLYTPVNGSIVIVRAGKITFAEKVANAESLNAIGVLIYMDQTKFPIVNAELSFFGHAHLGTGDPYTPGFPSFNHTQFPPSRSSGLPNIPVQTISRAAAEKLFGNMEGDCPSDWKTDSTCRMVTSESKNVKLTVSNVLKEIKILNIFGVIKGFVEPDHYVVVGAQRDAWGPGAAKSGVGTALLLKLAQMFSDMVLKDGFQPSRSIIFASWSAGDFGSVGATEWLEGYLSSLHLKAFTYINLDKAVLGTSNFKVSASPLLYTLIEKTMQNVKHPVTGQFLYQDSNWASKVEKLTLDNAAFPFLAYSGIPAVSFCFCEDTDYPYLGTTMDTYKELIERIPELNKVARAAAEVAGQFVIKLTHDVELNLDYERYNSQLLSFVRDLNQYRADIKEMGLSLQWLYSARGDFFRATSRLTTDFGNAEKTDRFVMKKLNDRVMRVEYHFLSPYVSPKESPFRHVFWGSGSHTLPALLENLKLRKQNNGAFNETLFRNQLALATWTIQGAANALSGDVWDIDNEF (SEQ ID NO:64)
【0130】
ヒトトランスフェリン受容体の細胞質ドメイン
C末端細胞質ドメインである、ヒトのトランスフェリン受容体のアミノ酸配列の部分は、配列番号65に記載される:
MMDQARSAFSNLFGGEPLSYTRFSLARQVDGDNSHVEMKLAVDEEENADNNTKANVTKPKRCSGSIC (SEQ ID NO:65)
【0131】
ヒトトランスフェリン受容体の膜貫通ドメイン
膜貫通ドメインである、ヒトのトランスフェリン受容体のアミノ酸配列の部分は、配列番号66に記載される:
YGTIAVIVFFLIGFMIGYLGY (SEQ ID NO:66)
【0132】
ヒトトランスフェリン受容体の細胞外ドメイン
細胞外ドメインである、ヒトのトランスフェリン受容体のアミノ酸配列の部分は、配列番号67に記載される:
CKGVEPKTECERLAGTESPVREEPGEDFPAARRLYWDDLKRKLSEKLDSTDFTGTIKLLNENSYVPREAGSQKDENLALYVENQFREFKLSKVWRDQHFVKIQVKDSAQNSVIIVDKNGRLVYLVENPGGYVAYSKAATVTGKLVHANFGTKKDFEDLYTPVNGSIVIVRAGKITFAEKVANAESLNAIGVLIYMDQTKFPIVNAELSFFGHAHLGTGDPYTPGFPSFNHTQFPPSRSSGLPNIPVQTISRAAAEKLFGNMEGDCPSDWKTDSTCRMVTSESKNVKLTVSNVLKEIKILNIFGVIKGFVEPDHYVVVGAQRDAWGPGAAKSGVGTALLLKLAQMFSDMVLKDGFQPSRSIIFASWSAGDFGSVGATEWLEGYLSSLHLKAFTYINLDKAVLGTSNFKVSASPLLYTLIEKTMQNVKHPVTGQFLYQDSNWASKVEKLTLDNAAFPFLAYSGIPAVSFCFCEDTDYPYLGTTMDTYKELIERIPELNKVARAAAEVAGQFVIKLTHDVELNLDYERYNSQLLSFVRDLNQYRADIKEMGLSLQWLYSARGDFFRATSRLTTDFGNAEKTDRFVMKKLNDRVMRVEYHFLSPYVSPKESPFRHVFWGSGSHTLPALLENLKLRKQNNGAFNETLFRNQLALATWTIQGAANALSGDVWDIDNEF (SEQ ID NO:67)
【0133】
ヒトトランスフェリン受容体の細胞外ドメイン
リガンド結合ドメインである、ヒトトランスフェリン受容体のアミノ酸配列の部分は、配列番号68に記載される:
EDTDYPYLGTTMDTYKELIERIPELNKVARAAAEVAGQFVIKLTHDVELNLDYERYNSQLLSFVRDLNQYRADIKEMGLSLQWLYSARGDFFRATSRLTTDFGNAEKTDRFVMKKLNDRVMRVEYHFLSPYVSPKESPFRHVFWGSGSHTLPALLENLKLRKQNNGAFNETLFRNQLALATWTIQGAANALSGDVWDIDNEF (SEQ ID NO:68)
【0134】
ヒトClec-2受容体
ヒトClec-2受容体はII型膜貫通タンパク質である。ヒトClec-2受容体の完全長アミノ酸配列は、公開されているタンパク質データベース(例えば識別子NP_057593によるNCBIデータベース)で入手可能であり、ここでは配列番号69によって提供される:
MQDEDGYITLNIKTRKPALISVGSASSSWWRVMALILLILCVGMVVGLVALGIWSVMQRNYLQGENENRTGTLQQLAKRFCQYVVKQSELKGTFKGHKCSPCDTNWRYYGDSCYGFFRHNLTWEESKQYCTDMNATLLKIDNRNIVEYIKARTHLIRWVGLSRQKSNEVWKWEDGSVISENMFEFLEDGKGNMNCAYFHNGKMHPTFCENKHYLMCERKAGMTKVDQLP (SEQ ID NO:69)
【0135】
ヒトClec-2受容体の細胞質ドメイン
C末端細胞質ドメインである、ヒトClec-2受容体のアミノ酸配列の部分は、配列番号70に記載される:
MQDEDGYITLNIKTRKPALISVGSASSSWWRVM (SEQ ID NO:70)
【0136】
ヒトClec-2受容体の膜貫通ドメイン
膜貫通ドメインである、ヒトClec-2受容体のアミノ酸配列の部分は、配列番号71に記載される:
ALILLILCVGMVVGLVALGIW (SEQ ID NO:71)
【0137】
ヒトClec-2受容体の細胞外ドメイン
細胞外ドメインである、ヒトClec-2受容体のアミノ酸配列の部分は、配列番号72に記載される:
SVMQRNYLQGENENRTGTLQQLAKRFCQYVVKQSELKGTFKGHKCSPCDTNWRYYGDSCY
GFFRHNLTWEESKQYCTDMNATLLKIDNRNIVEYIKARTHLIRWVGLSRQKSNEVWKWED
GSVISENMFEFLEDGKGNMNCAYFHNGKMHPTFCENKHYLMCERKAGMTKVDQLP (SEQ ID NO:72)
【0138】
ヒトKLRF1受容体
ヒトKLRF1受容体はII型膜貫通タンパク質である。ヒトKLRF1受容体の完全長アミノ酸配列は、公開されたデータベース(例えば識別子Q9NZS2によるNCBIデータベース)で入手可能であり、ここでは配列番号73によって提供されている:
MQDEERYMTLNVQSKKRSSAQTSQLTFKDYSVTLHWYKILLGISGTVNGILTLTLISLILLVSQGVLLKCQKGSCSNATQYEDTGDLKVNNGTRRNISNKDLCASRSADQTVLCQSEWLKYQGKCYWFSNEMKSWSDSYVYCLERKSHLLIIHDQLEMAFIQKNLRQLNYVWIGLNFTSLKMTWTWVDGSPIDSKIFFIKGPAKENSCAAIKESKIFSETCSSVFKWICQY
(SEQ ID NO:73)
【0139】
ヒトKLRF1受容体の細胞質ドメイン
C末端細胞質ドメインである、ヒトKLRF1受容体のアミノ酸配列の部分は、配列番号74に記載される:
MQDEERYMTLNVQSKKRSSAQTSQLTFKDYSVTLHWYK (SEQ ID NO:74)
【0140】
ヒトKLRF1受容体の膜貫通ドメイン
膜貫通ドメインである、ヒトKLRF1受容体のアミノ酸配列の部分は、配列番号75に記載される:
ILLGISGTVNGILTLTLISLI (SEQ ID NO:75)
【0141】
ヒトKLRF1受容体の細胞外ドメイン
細胞外ドメインである、ヒトKLRF1受容体のアミノ酸配列の部分は、配列番号76に記載される:
LLVSQGVLLKCQKGSCSNATQYEDTGDLKVNNGTRRNISNKDLCASRSADQTVLCQSEWL
KYQGKCYWFSNEMKSWSDSYVYCLERKSHLLIIHDQLEMAFIQKNLRQLNYVWIGLNFTS
LKMTWTWVDGSPIDSKIFFIKGPAKENSCAAIKESKIFSETCSSVFKWICQY (SEQ ID NO:76)
【0142】
ヒトDectin-1受容体
ヒトDectin-1(デクチン1)受容体はII型膜貫通タンパク質である。ヒトDectin-1受容体の完全長アミノ酸配列は、公開されているタンパク質データベース(例えば識別子NP_922938のNCBIデータベース)で入手可能であり、ここでは配列番号77によって提供される:
MEYHPDLENLDEDGYTQLHFDSQSNTRIAVVSEKGSCAASPPWRLIAVILGILCLVILVIAVVLGTMAIWRSNSGSNTLENGYFLSRNKENHSQPTQSSLEDSVTPTKAVKTTGVLSSPCPPNWIIYEKSCYLFSMSLNSWDGSKRQCWQLGSNLLKIDSSNELGFIVKQVSSQPDNSFWIGLSRPQTEVPWLWEDGSTFSSNLFQIRTTATQENPSPNCVWIHVSVIYDQLCSVPSYSICEKKFSM (SEQ ID NO:77)
【0143】
ヒトDectin-1受容体の細胞質ドメイン
C末端細胞質ドメインである、ヒトDectin-1受容体のアミノ酸配列の部分は、配列番号78に記載される:
MEYHPDLENLDEDGYTQLHFDSQSNTRIAVVSEKGSCAASPPWR (SEQ ID NO:78)
【0144】
ヒトDectin-1受容体の膜貫通ドメイン
膜貫通ドメインである、ヒトDectin-1受容体のアミノ酸配列の部分は、配列番号79に記載される:
LIAVILGILCLVILVIAVVLG (SEQ ID NO:79)
【0145】
ヒトDectin-1受容体の細胞外ドメイン
細胞外ドメインである、ヒトDectin-1受容体のアミノ酸配列の部分は、配列番号80に記載される:
TMAIWRSNSGSNTLENGYFLSRNKENHSQPTQSSLEDSVTPTKAVKTTGVLSSPCPPNWI
IYEKSCYLFSMSLNSWDGSKRQCWQLGSNLLKIDSSNELGFIVKQVSSQPDNSFWIGLSR
PQTEVPWLWEDGSTFSSNLFQIRTTATQENPSPNCVWIHVSVIYDQLCSVPSYSICEKKF
SM (SEQ ID NO:80)
【0146】
ここに開示された配列情報は、本発明のさらなる例示的キメラ受容体を作成するために組み合わせることができる例示的な細胞質ドメイン、膜貫通ドメインおよび細胞外ドメインを提供する。しかしながら、本発明のキメラ受容体は特許請求の範囲によって規定されるのであって、特許請求の範囲にそのように明記されていない限り、上記に開示された例示的配列に限定されない。
【0147】
キメラタンパク質
本発明によって提供されるもののようなキメラタンパク質は、複数の野生型タンパク質に由来する配列を含む。例えば、本発明のキメラタンパク質は、DNGR-1タンパク質に由来するアミノ酸配列を含む細胞内配列が、他の(非DNGR-1)タンパク質に由来する配列に融合されたものを有する。従って、本発明のキメラタンパク質の細胞外ドメインは、いくつかの点で野生型DNGR-1の細胞外ドメインとは機能的に異なる。例えば、本発明のキメラタンパク質は、野生型ヒトDNGR-1の天然リガンドである(そしてDNGR-1の細胞外ドメインにおけるCTLDに結合する)F-アクチン/ミオシン複合体に結合しない可能性がある。例えば、野生型ヒトDNGR-1の細胞外ドメインに特異的に結合する抗DNGR-1抗体は、本発明のキメラタンパク質に特異的に結合しない可能性がある。これらの機能的差異の他に、本発明のキメラタンパク質の細胞外ドメインはDNGR-1に由来しないため、DNGR-1の細胞外ドメインとの配列同一性は低い。例えば、本発明のキメラタンパク質の細胞外ドメインは、DNGR-1細胞外ドメインの全長にわたって測定した場合、野生型ヒトDNGR-1の細胞外ドメインとの配列同一性が50%未満であり得る。いくつかの実施形態において、本発明のキメラタンパク質の細胞外ドメインは、DNGR-1の細胞外ドメインの全長にわたって測定した場合、野生型ヒトDNGR-1の細胞外ドメインとの配列同一性が40%未満、30%未満、25%未満、または20%未満である。
【0148】
配列の関係
生化学や分子生物学の分野では、関連する配列を同定することはルーチンである。当業者は、対象配列が参照配列と関連しているかどうかを容易に決定できる。配列が互いに関連している場合、配列の一方が他方に「由来」していると言うことがあり得る。
【0149】
当業者は、第1のタンパク質の機能に重要なアミノ酸残基をいったん理解すれば、次いで、第2の配列がこれらのアミノ酸残基を適切に配置して有しており従って第1のタンパク質の機能を共有している可能性が高いかどうかを決定することができる。そうである場合、それらの配列は構造的および機能的に関連している。本発明のアミノ酸配列の場合、「DNGR-1の細胞質尾部のシグナル伝達ドメインに由来するSyk結合配列」は、DNGR-1の細胞質尾部の重要なアミノ酸配列モチーフを共有しており、従ってSykに結合しサイトゾル経路を介してXPを促進する能力を共有しているため、DNGR-1の細胞質尾部のシグナル伝達ドメインと構造的および機能的に関連している。配列番号15(MHAEXXYXXLQWD)または配列番号90(MHEEXXYXXLQWD)で表されるSyk結合配列の中央にあるチロシン残基は、Syk結合機能にとって重要である。対照的に、1位のメチオニン残基は、Syk結合配列がキメラタンパク質のN末端に位置する場合の構築物の翻訳のためには必要であるが、機能にとって重要である可能性は低い。それはN末端に追加のリーダー配列またはリンカーが存在するキメラ構築物では省略され得る。従って、これらの構築物は配列番号81(HAEXXYXXLQWD)または配列番号82(HEEXXYXXLQWD)を含み得る。さらに、Syk結合配列のC末端の3つのアミノ酸残基はそれほど重要ではないと考えられる。従って、本発明のキメラタンパク質は、配列番号83(MHAEXXYXXL)、配列番号84(MHEEXXYXXL)、配列番号85(HAEXXYXXL)、または配列番号86(HEEXXYXXL)を含み得る。本発明のキメラタンパク質は、配列番号87(HXEXXYXXL)を含み得る。
【0150】
それに加えて、またはそれに代えて、配列同一性の程度を特定して、二つの配列間の構造的関係を定義することができる。例えば、配列同一性の程度は、少なくとも60%から100%の配列同一性までで特定され得る。より好ましくは、特定された配列同一性の程度は、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一性のいずれかである。
【0151】
本発明は、そのような組合せが明らかに許容されないかまたは明示的に回避される場合を除き、記述された態様および好ましい特徴の組合せを包含する。
【0152】
以下、本発明の原理を説明する実施形態および実験について、添付の図面を参照しながら論じる。
【図面の簡単な説明】
【0153】
図1】ファゴソームの損傷。WT DNGR-1または変異体(Y7F)DNGR-1で再構成されたDNGR-1欠損MuTuDCにおいてmCherry-ガレクチン-3が発現され、細胞をFM-OVAビーズとインキュベートした。ガレクチン-3ファゴソーム+ 細胞をカウントし、ビーズ+ 細胞に対する比率(指数)としてプロットした。ガレクチン-3は、損傷したエンドソームおよびファゴソームの内腔側の膜タンパク質に付いている糖部分に結合する。mCherry-ガレクチン-3は、野生型(WT)を発現する細胞ではファゴソームにリクルートされたが、チロシンからフェニルアラニンへの変異体(Y7F)を発現する細胞ではリクルートされていない。
図2】本発明のキメラ受容体である「C9/C7」(「C 9::C 7」と表示されている)を発現する非プロフェッショナルAPCにおける効率的なXP。ザイモサン-OVA(Zym-OVA)で刺激した、B3ZハイブリドーマおよびHEK293T C7、C9/C7、またはC9(Y7F)/C7(「C9(Y7F)::C7」と表示されている)細胞共培養上清からのIL-2 ELISA。データは三重複製実験の平均±標準偏差としてプロットされている。
図3】Sykのリン酸化。HEK293T C7、C7(Y15F)、C9/C7(「C9::C7」と表示されている)、およびC9(Y7F)/C7(「C9(Y7F)::C7」と表示されている)細胞におけるファゴソーム(n>50ファゴソーム)上のリン酸化SYK染色の富化倍数の定量化。p値は両側Mann-Whitney検定により算出した。代表的なプロット(n=2)。
【発明を実施するための形態】
【0154】
本開示は、XPにおけるcDC1の優位性が固有の細胞生物学に完全に依存するのではなく、DNGR-1のような受容体の発現(関連するXP基質を検出して、ファゴソームの破壊を可能にし効率的なXPを可能にする細胞内シグナル伝達を開始させる)にも依存することを示している。本発明者らは、ファゴソームのレベルでのリガンド依存性DNGR-1シグナル伝達が、ファゴソーム膜を不安定化させる局所的なNADPH依存性酸化バーストを誘導し、これが破裂および細胞質区画(コンパートメント)への内腔内容物の全面的アクセスを引き起こし、そこでそれらが内因性MHCクラスIプロセシング経路に入ることができることを示している。特筆すべきことに、ファゴソーム破裂をシグナル伝達するDNGR-1の能力は、その細胞質シグナル伝達ドメインに固有であり、他の受容体や他の細胞型に移植することができる。従って、XPはエンドソームでの活性酸素種産生のための遍在的な機構に依存しており、この機構を特殊な受容体によって乗っ取らせて意図的に液胞膜の損傷とP2Cを引き起こすことができる。
【0155】
これらの結果は、cDC1がXPに有利な細胞生物学的特殊化を有しているという事実7,30,36,40-42を排除するものではない。実際、これらの細胞で本発明者らは、分解されていない積荷(cargo)を長期間保持できる、ゆっくりと成熟するファゴソーム区画を同定しており、これはXPに有利であることが知られている22,23。DNGR-1はこれらの初期ファゴソームに優先的に局在するがその成熟には影響しないという事実は、該受容体の主な機能が、露出したF-アクチン/ミオシン複合体の存在(比較的無傷である推定抗原性積荷を示す)について液胞区画を調査することであるという考えと一致している。受容体の係合はその後、Syk依存的なROSの局所産生と膜損傷につながる。所与のファゴソームの破裂は、膜修復によって相殺される可能性もある損傷の程度によって部分的に決定される、確率論的事象である可能性が高い。破裂しないファゴソームは成熟し続けることができ、我々のアッセイでも検出されるLAMP+ DNGR-1-分解性後期ファゴソームプールを生成する。破裂事象の限定的な性質と、それが初期の非分解性エンドソームと外接されているという事実は、サイトゾルへのタンパク質分解酵素の導入によって誘発されると予想される細胞毒性49の防止に寄与し得る。しかし、破裂の可能性は十分に高いため、C9/C7を発現するすべてのHEK293T細胞は、チトクロームcを浸したザイモサンと一晩インキュベートすると死滅し、これは24時間の期間内に各細胞で少なくとも一つのファゴソーム破裂事象があることを示している。Sykを介してシグナル伝達ができる他の受容体(例えばインテグリン)も、さまざまな効率でファゴソーム損傷経路に参画し得る可能性があり、これは、Vav-Rac-NADPHオキシダーゼ依存性XP経路35に関与することが示されているラテックスビーズのようなリガンドによるXPの事例を説明することができる。しかしながら、例えばマンノース受容体など、cDC1によるXPのために抗原を標的化できるいくつかの受容体は、P2Cの別個の機序を採用し得る44,50。さらに、すべてのSyk活性化受容体がファゴソーム損傷とP2Cを引き起こすわけではないことは明らかであり、Syk活性化のレベルでのシグナルの分岐が論じられる。最も特筆すべきことに、カノニカルなSyk共役hemITAM含有受容体51であるDectin-1はXPを誘導せず、むしろDC活性化と炎症性遺伝子発現を促進する52。逆に、DNGR-1シグナル伝達はXPを誘発するがDC活性化は誘導せず4、これはDNGR-1が専ら、内在化した積荷の抗原性を解読する受容体として作用することを意味する。従って、交差提示性cDC1を活性化させそれらをCD8+ T細胞のプライミング(例えば抗腫瘍免疫のために)可能にするためには、死細胞から放出される追加のシグナルが必要であり、このことは、生産的なCTL応答を誘導するためにはアジュバントが必要となる、DNGR-1への抗体媒介抗原ターゲティングの文脈で以前記述されたとおりである11。活性化シグナルはXPにも影響を与え得るため53、それらがDNGR-1のような専用のXP促進受容体から放出されるシグナルとどのように相乗作用するかをさらに理解することは、CD8+ T細胞の力を利用する免疫療法やワクチンの設計に大きな可能性をもたらす。
【0156】
[プロフェッショナル/非プロフェッショナル抗原提示細胞]
樹状細胞やマクロファージなどの一部の免疫細胞は、この機能を果たすように特化しているため、「プロフェッショナルな」抗原提示細胞(professional APC)であると考えられている。多くの種類の細胞は、MHCクラスI分子上にある程度の抗原提示を行うことができるが(特定の条件下で、特に抗原が細胞内で合成された場合)、プロフェッショナルなAPCは、MHCクラスI上に抗原を提示することに加えて、MHCクラスII分子上に抗原を提示することができる。DNGR-1または本発明のキメラ受容体を発現させることにより、プロフェッショナルなAPCではない細胞が、MHC I上に抗原を交差提示できるようにすることができる。例えば、線維芽細胞または筋細胞(非プロフェッショナルなAPCである)においてDNGR-1または本発明のキメラ受容体を発現することにより、これらの細胞はMHC I上に抗原を交差提示できるようになり得る。
【0157】
[バイオポリマー]
バイオポリマーはポリマー性の生体分子であり、自然界では細胞などの生体系で生成されるほか、無細胞発現系などのバイオテクノロジー系でも生成され得る。バイオポリマーには、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、多糖が含まれる。ポリペプチド、ポリヌクレオチド、および/または多糖ドメインを含む分子は、そのペプチド、ヌクレオチド、または糖の配列が自然界に存在しない場合、および/またはその分子が追加の非生体分子および/または非ポリマー性ドメインを含む場合であっても、バイオポリマーであると考える。
【0158】
[医薬組成物]
医薬組成物は、安全かつ有効であると考えられる材料で構成された薬学的に許容される「担体」を使用して調製することができる。「薬学的に許容される」とは、例えば、生理学的に忍容性があり、ヒトに投与されたときに、胃の不調等のアレルギー反応または同様の好ましくない反応を典型的に生じない、「一般的に安全と考えられる」分子実体および組成物を表す。いくつかの実施形態では、この用語は、FDAによる市販前審査および承認の対象となる連邦食品医薬品化粧品法第204条(s)および第409条に基づくGRASリストまたは同様のリストとして米国連邦政府または州政府の規制機関により、米国薬局方により、または動物(より具体的にはヒト)における使用についての他の一般的に認められた薬局方により承認された、分子実体および組成物を指す。
【0159】
用語「担体」は、希釈剤、結合剤、潤滑剤および崩壊剤を指す。当業者は、そのような医薬品担体、およびそのような担体を用いて医薬組成物を配合する方法に精通している。
【0160】
本明細書で提供される医薬組成物は、1つ以上の賦形剤、例えば、溶媒、溶解性増強剤、懸濁剤、緩衝剤、等張剤、抗酸化剤または抗微生物保存剤を含み得る。使用される場合、組成物の賦形剤は、組成物中に使用される活性成分、すなわちベクター、細胞および/またはキメラ受容体の安定性、バイオアベイラビリティ、安全性および/または有効性に悪影響を及ぼさない。従って、当業者は、剤形のいずれの成分間にも不適合性がなく組成物が提供されることを理解するであろう。賦形剤は、緩衝剤、可溶化剤、張性剤、キレート剤、抗酸化剤、抗微生物剤、および保存剤からなる群から選択され得る。
【0161】
[対象]
処置される対象は動物またはヒトであり得る。対象は好ましくは哺乳類であり、より好ましいのはヒトである。対象は非ヒト哺乳類であってもよいが、より好ましくはヒトである。対象は男性であっても女性であってもよい。対象は患者であり得る。治療的使用はヒトまたは動物(獣医学的使用)におけるものであり得る。
【0162】
[がん(癌)]
「がん」は、以下のものの1つ以上を含み得る:急性リンパ性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、副腎皮質がん、肛門がん、膀胱がん、血液がん、骨がん、脳腫瘍、乳がん、女性生殖器系のがん、男性生殖器系のがん、中枢神経系リンパ腫、子宮頸がん、小児横紋筋肉腫、小児肉腫、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、結腸および直腸がん、結腸がん、子宮内膜がん、子宮内膜肉腫、食道がん、眼がん、胆嚢がん、胃がん、消化管がん、有毛細胞白血病、頭頸部がん、肝細胞がん、ホジキン病、下咽頭がん、カポジ肉腫、腎臓がん、喉頭がん、白血病、白血病、肝臓がん、肺がん、悪性線維性組織球腫、悪性胸腺腫、黒色腫、中皮腫、多発性骨髄腫、骨髄腫、鼻腔・副鼻腔癌、上咽頭癌、神経系癌、神経芽腫、非ホジキンリンパ腫、口腔癌、中咽頭癌、骨肉腫、卵巣癌、膵癌、副甲状腺癌、陰茎癌、咽頭癌、下垂体腫瘍、形質細胞腫瘍、原発性CNSリンパ腫、前立腺癌、直腸癌、呼吸器系、網膜芽細胞腫、唾液腺癌、皮膚癌、小腸癌、軟部肉腫、胃癌、胃癌、精巣癌、甲状腺癌、泌尿器系癌、子宮肉腫、膣癌、血管系、ワルデンシュトレーム型マクログロブリン血症、ウィルムス腫瘍。
【0163】
がんは特定の種類のものであり得る。がんの種類の例には、星細胞腫、がん腫(例えば腺肉腫、肝細胞癌、髄様癌、乳頭癌、扁平上皮癌など)、神経膠腫、リンパ腫、髄芽腫、黒色腫、骨髄腫、髄膜腫、神経芽腫、肉腫(例えば血管肉腫、慢性肉腫、骨肉腫)が含まれる。
【0164】
固形腫瘍を引き起こす癌がある。このような固形腫瘍は、例えば膵臓、肺、乳房、子宮、胃、腎臓、精巣など、あらゆる組織に位置し得る。対照的に、白血病などの血液のがんは固形腫瘍を引き起こさない可能性があり、液性腫瘍と呼ばれることもある。
【0165】
[ベクター]
本明細書でいう「ベクター」とは、細胞内に外来遺伝物質を移入するための媒体として用いられるオリゴヌクレオチド分子(DNAまたはRNA)である。ベクターは、細胞において外来遺伝物質を発現させるための発現ベクターであり得る。そのようなベクターには、発現させる遺伝子配列をコードするヌクレオチド配列に動作可能に連結されたプロモーター配列が含まれ得る。ベクターには、終止コドンおよび発現エンハンサーも含まれ得る。当該技術分野で知られる任意の適切なベクター、プロモーター、エンハンサーおよび終止コドンを用いて、細胞または組織において本発明のキメラ受容体を発現させることができる。
【0166】
当業者は、遺伝子治療ベクターを用いて、本発明の核酸をレシピエントの細胞または組織に導入することができることを理解するであろう。いくつかの実施形態において、遺伝子治療ベクターはウイルスベクターである。ウイルスベクターは、アデノウイルスベクター、AAVまたはレンチウイルスベクターであり得る。いくつかのアプリケーションでは、造血幹細胞および/または前駆細胞の形質導入を促進する、エンベロープタンパク質でシュードタイプ化されたウイルスベクターを使用することが有利である。いくつかの実施形態では、核酸はCRISPR-CAS9システムを使用して哺乳類細胞に導入される。
【0167】
[抗体ベースの標的結合ドメイン]
本明細書で論じられる標的に結合する抗体は既に知られている。モノクローナル抗体テクノロジーに関連する今日の技術を考慮すると、ほとんどの抗原に対して抗体を調製することができる。
【0168】
標的結合ドメインは、抗体の一部(例えばFabフラグメント)または合成抗体フラグメント(例えば単一鎖Fvフラグメント[ScFv])であり得る。選択された抗原に対する適切なモノクローナル抗体は、例えば"Monoclonal Antibodies: A manual of techniques ", H Zola (CRC Press, 1988) および "Monoclonal Hybridoma Antibodies: Techniques and Applications ", J G R Hurrell (CRC Press, 1982)で開示されているような既知の技術によって調製することができる。キメラ抗体はNeuberger et al (1988, 8th International Biotechnology Symposium Part 2, 792-799)によって説明されている。
【0169】
モノクローナル抗体(mAb)は、本発明の方法において有用であり、抗原上の単一のエピトープを特異的に標的とする抗体の均質な集団である。適切なモノクローナル抗体は、当該技術分野でよく知られた方法を用いて調製することができる(例えばKoehler, G.; Milstein, C. (1975). "Continuous cultures of fused cells secreting antibody of predefined specificity". Nature 256 (5517): 495; Siegel DL (2002). "Recombinant monoclonal antibody technology". Schmitz U, Versmold A, Kaufmann P, Frank HG (2000); "Phage display: a molecular tool for the generation of antibodies--a review". Placenta. 21 Suppl A: S106-12. Helen E. Chadd and Steven M. Chamow; “Therapeutic antibody expression technology,” Current Opinion in Biotechnology 12, no. 2 (April 1, 2001): 188-194; McCafferty, J.; Griffiths, A.; Winter, G.; Chiswell, D. (1990). "Phage antibodies: filamentous phage displaying antibody variable domains". Nature 348 (6301): 552-554; "Monoclonal Antibodies: A manual of techniques ", H Zola (CRC Press, 1988)および "Monoclonal Hybridoma Antibodies: Techniques and Applications ", J G R Hurrell (CRC Press, 1982)を参照。キメラ抗体はNeuberger et al (1988, 8th International Biotechnology Symposium Part 2, 792-799)によって説明されている)。
【0170】
ポリクローナル抗体は本発明の方法において有用である。単一特異性ポリクローナル抗体が好ましい。適切なポリクローナル抗体は、当技術分野でよく知られた方法を使用して調製することができる。FabやFab2フラグメントのような、抗体のフラグメントも、遺伝子操作された抗体および抗体フラグメントと同様に使用することができる。抗体の可変重鎖(VH)および可変軽鎖(VL)ドメインは、抗原認識に関与しており、これは初期のプロテアーゼ消化実験によって初めて認識された事実である。さらなる確認は、げっ歯類抗体の「ヒト化」によって見出された。得られる抗体がげっ歯類の親抗体の抗原特異性を保持するように、げっ歯類由来の可変ドメインをヒト由来の定常ドメインに融合することができる(Morrison et al (1984) Proc. Natl. Acad. Sd. USA 81, 6851-6855)。
【0171】
抗原特異性は可変ドメインによって付与され、定常ドメインに依存しないことは、抗体フラグメント(すべてが1つ以上の可変ドメインを含む)の細菌発現を含む実験から知られている。これらの分子には、Fab様分子(Better et al (1988) Science 240, 1041);Fv分子(Skerra et al (1988) Science 240, 1038);VHとVLのパートナードメインが柔軟なオリゴペプチドを介して連結されている単一鎖Fv(ScFv)分子(Bird et al (1988) Science 242, 423; Huston et al (1988) Proc. Natl. Acad. Sd. USA 85, 5879);および単離されたVドメインを含む単一ドメイン抗体(dAb)(Ward et al (1989) Nature 341, 544)が含まれる。特異的結合部位を保持した抗体フラグメントの合成に関わる技術の一般的なレビューはWinter & Milstein (1991) Nature 349, 293- 299に見出される。
【0172】
「ScFv分子」とは、VHおよびVLのパートナードメインが、例えば直接に、またはペプチドによって、もしくは柔軟なオリゴペプチドによって、共有結合的に連結している分子を意味する。Fab、Fv、ScFvおよびdAb抗体フラグメントはすべて大腸菌で発現させ大腸菌から分泌されることができるため、当該フラグメントを大量に容易に生産することが可能になる。
【0173】
完全な抗体、およびF(ab')2フラグメントは「二価」である。「二価」とは、上記の抗体およびF(ab')2フラグメントが2つの抗原結合部位を持つことを意味する。これに対して、Fab、Fv、ScFv、およびdAbフラグメントは一価であり、抗原結合部位を1つだけ有する。ここで論じられている標的に結合する合成抗体は、当技術分野でよく知られているファージディスプレイ技術を用いて作製することもできる(例えば、"Phage display: a molecular tool for the generation of antibodies--a review". Placenta. 21 Suppl A: S106-12. Helen E. Chadd and Steven M. Chamow; "Phage antibodies: filamentous phage displaying antibody variable domains". Nature 348 (6301): 552-554参照)。
【0174】
抗体鎖の1つ(例えば重鎖)をコードするヌクレオチド配列の3’末端で、所望のペプチドまたはタンパク質をコードするヌクレオチド配列を動作可能に連結することによって、抗体をペプチドまたはタンパク質部分に容易にコンジュゲートすることができる。したがって、抗体ポリペプチドのC末端が所望のペプチドまたはタンパク質に(多くの場合リンカー配列を介して)融合された融合抗体を、発現させることができる。抗体融合体は、当技術分野ではよく知られている。
【0175】
[アプタマーベースの標的結合ドメイン]
アプタマーは標的分子に特異的に結合できる短いDNA/RNA/ペプチド分子である(Pan & Clawson, 2009)。特定の標的に特異的なアプタマーは、例えばSystematic Evolution of Ligands by Exponential Enrichment(SELEX)法を用いて、ランダムに生成された分子ライブラリーの大きなプールから選択されることが多い。SELEX法には、ランダム配列ライブラリーを特定の標的に曝露し、そして結合した分子を増幅することが関わり、その後、増幅された分子が追加のラウンドの選択を受ける。複数のラウンドの選択後、標的分子に結合することについて同定された特異的アプタマーは、その結合親和性と安定性を向上させるために、さらなるラウンドの修飾を受けることができる。アプタマーは、追加の核酸部分に容易にコンジュゲートすることができるため、アプタマーの特異的結合標的に追加の核酸部分を標的指向化結合させることを促進する。
【0176】
***
ここで、本発明の側面および実施形態について、添付の図面を参照して説明する。さらなる側面および実施形態は、当業者には明らかとなるであろう。本テキストで言及されるすべての文書は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0177】
その特定の形式で、もしくは開示された機能を実行するための手段の観点から表現されている、上記の説明、もしくは以下の請求項、もしくは添付の図面に開示された特徴、または、開示された結果を得るための方法もしくはプロセスは、必要に応じて、別々に、またはそれらの特徴を任意に組み合わせて、発明をその多様な形態で実現するために利用され得る。
【0178】
本発明は、上記の例示的な実施形態と併せて説明されているが、本開示を参照すれば、多くの同等の修正およびバリエーションが当業者には明らかであろう。従って、上述した本発明の典型的な実施形態は、例示的であって、限定的ではないと考えられる。本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、記載された実施形態に様々な変更を加えることができる。
【0179】
疑義を避けるために述べると、本明細書で提供される理論的な説明は、読者の理解を深めることを目的として提供されている。発明者らはこれらの理論的説明のいずれかに拘束されることは望まない。
【0180】
本明細書で使用されているセクション見出しは、まとめる目的のみのものであり、記述されている主題を限定するものと解されるべきではない。
【0181】
後に続くクレームを含むこの明細書全体を通して、「含む(comprise)」および「含む(include)」という語、および「comprises」、「comprising」、「including」などのバリエーションは、文脈が別の意味を要求しない限り、言及された実体もしくは工程または実体もしくは工程の群を含むことを意味するが、その他の実体もしくは工程または実体もしくは工程の群を排除することは意味しないと理解される。
【0182】
本明細書および添付されたクレームで使用される場合、文脈が明確に別の指示をしない限り、単数形の「a」、「an」および「the」は複数形の対象を包含することに注意しなければならない。数値範囲は、本明細書では、「約」ある特定値から、および/または「約」別の特定値までとして表され得る。そのような範囲が表現される場合、別の実施形態は、当該ある特定値からおよび/または当該別の特定値までを含む。同様に、値が近似値として表される場合、先行する「約」の使用によって、当該特定値が別の実施形態を形成することが理解される。数値に関して「約」という用語は任意であり、例えば+/- 10%を意味する。
【実施例
【0183】
[実施例1―DNGR-1ノックアウトcDC1細胞]
cDC1による死細胞関連抗原のXP 112, 15に対するDNGR-1の寄与を研究するために、本発明者らはcDC1細胞株MuTuDC1940(以下、MuTuDCと呼ぶ)17を利用した。MuTuDCを、UV照射したオボアルブミン(OVA)発現H-2Kbm1マウス胚性線維芽細胞(OVA死細胞)でパルスした後、事前活性化したOVA特異的(OT-I)CD8+ T細胞と共に培養した。培養物中のインターフェロン-γ(IFN-γ)の蓄積は、OT-I受容体がH2Kb/OVA複合体によってトリガーされていることを示し、従って、MuTuDCによるOVA XPの間接的な測定値となる。報告されているように18、DNGR-1欠損MuTuDC(KO)を用いたOT-I T培養では、野生型MuTuDC(WT)を用いた培養よりも低いレベルのIFN-γが蓄積した。この欠損は、DNGR-1欠損MuTuDC(KO-WT)における該受容体の異所性再発現によって修正され、KO、WTおよびKO-WT MuTuDCはいずれも色素標識死細胞物質を内在化する同様の能力を示したため、抗原取り込みに対する影響に起因するものではなかった。対照的に、OVAでコーティングされたラテックスビーズ(OVAビーズ)の取り込みを研究する際には、DNGR-1の生理的リガンドであるF-アクチン/ミオシンII複合体16で追加コーティングすると(FM-OVAビーズ)、ビーズの内在化が大きくなり(p<0.0001)、OVA XPが強化されることに気づいた(事前活性化されたOT-I CD8+ T細胞との共培養後のIFN-γ産生によって測定され、これがOVA XPを強化した)。従って、DNGR-1はリガンドを持つ粒子のための食作用受容体としての役割を果たすことができるが、cDC1による死細胞片の取り込みのためには冗長であり、これはおそらく後者が追加のcDC1食作用受容体を関与させることができるリガンドを含有するためである。
【0184】
XPに対するDNGR-1の影響を、リガンド取り込みに対するその寄与から分離するために、本発明者らは、OVAビーズまたはFM-OVAビーズをMuTuDCに与え、それら細胞をXPアッセイにおいて試験する前に、単一ビーズをファゴサイトースした細胞をソーティングした19。単一のFM-OVAビーズを含むMuTuDCは、単一のOVAビーズを有する細胞よりも効率的にCD8+OT-I T細胞を刺激したことが見出された。ソーティングされた両方のセットのMuTuDC(FM-OVAビーズ取り込みと、OVAビーズ取り込み)が同程度にCD4+ OT-II T細胞を刺激したため、この効果はXPについて特異的であることが示された。
【0185】
野生型受容体(KO-WT)またはF-アクチンに結合できない変異型受容体(W155A/W250A;KO-2WAと称する)のいずれかを再発現するDNGR-1欠損MuTuDCを比較したところ、KO-2WA細胞における死細胞関連抗原のXPには欠陥があるが、OVAビーズまたは卵白(内毒素フリー可溶性OVA抗原の供給源)を交差提示する能力は変化していないことが示された。KO-WA MuTuDCは、KO-WT細胞よりも少数のFM-OVAビーズを内在化し、OT-I細胞を刺激する能力を著しく低下させた。従って、上記と同様に、単一FM-OVAビーズ+ MuTuDCを用いて、発明者らは、DNGR-1のF-アクチン結合領域の変異が粒子取り込みとは独立してXPに影響を与えたかどうかを調べた。ここでも、リガンドを結合できない変異DNGR-1を持つ細胞においてXPの減少が観察された。これらのデータは合わせて、リガンド関連抗原のXPに対するDNGR-1関与の特異的な効果を示しており、これはリガンド取り込みに対する受容体の寄与から形式的に区別することができる。
【0186】
[実施例2―交差提示へのサイトゾル経路]
XPの2つの基本的なモデルが、複数の細胞型における研究から現れている。1つは、抗原プロセシングとMHCクラスI分子のローディングがAPCのファゴソーム/エンドソーム区画内で完全に起こるもの(「液胞」経路)であり、もう1つは、外因性抗原が何らかの方法でAPCサイトゾルにアクセスし(「サイトゾル」経路あるいは「ファゴソーム・トゥ・サイトゾル」(P2C)経路)、内因性抗原の場合と同様にプロテアソームによってプロセスされるものである21。液胞経路をブロックするロイペプチンまたはペプスタチンによるリソソームプロテアーゼの阻害は、可溶性抗原、ビーズ結合OVAまたは死細胞関連OVAのXPを減少させなかった。対照的に、プロテアソーム阻害剤であるラクタシスチンは、ビーズ結合抗原と死細胞関連抗原の両方のXPを阻害したが、可溶性抗原(高濃度における場合を除く)のXPには影響を有さず、事前プロセシングされたOVAペプチドSIINFEKLで刺激したT細胞に対する悪影響も有さなかった。以前の報告22-24と同様に、クロロキンによるリソソーム酸性化の遮断またはE64によるシステインプロテアーゼの遮断は、FM-OVAビーズおよび死細胞関連抗原のXPを強化した。
【0187】
総合すると、これらの結果は、リソソームプロテアーゼを介した抗原分解がDNGR-1依存性XPにとっては不利益であり、DNGR-1はcDC1において液胞XP経路ではなくサイトゾルXP経路に関与することを示唆している。
【0188】
[実施例3―DNGR-1+ファゴソーム区画]
DNGR-1がどのように抗原含有ファゴソームの特性に影響するかを調べるために、MuTuDCからFM-OVAビーズファゴソームを単離し、フローサイトメトリー(PhagoFACS)によって特徴づけをした。興味深いことに、DNGR-1とリソソームマーカーLAMP-2は、相互に排他的な2つのファゴソーム集団を標識し、それらは顕微鏡観察によって個々の細胞中で共存することが見出された。さらに分析すると、DNGR-1+ファゴソームはMHC IおよびMHC IIについて共染色するのに対し、LAMP-2+ファゴソームはMHC II+であるが、MHC Iの含有量はより低いことが明らかになった。
【0189】
重要なことに、DNGR-1+ファゴソームはフローサイトメトリーと顕微鏡アッセイの両方で高い抗OVA染色を示したのに対し、LAMP-2+ファゴソームは弱くしか染色されなかったため、2つのファゴソーム集団は抗原を分解する能力が異なっていた。長い追跡期間の後、一部のDNGR-1+MHC I+OVAhighファゴソームは最終的にDNGR-1染色性を失い、LAMPを獲得してOVAを分解し、そのことはそれらが成熟して完全に停止していたわけではないことを示した。DNGR-1+ MHC I+ OVAhighファゴソームは、Flt3L中で培養した骨髄から得られた初代cDC1に由来するファゴソーム調製物および第2のcDC1細胞株であるKID細胞26においても認められたため、MuTu DCの特異な区画ではなかった。さらに、マクロファージ細胞株RAW264.7におけるDNGR-1の異所性発現は、LAMP-2+ OVAlowファゴソームとは異なるDNGR-1+ OVAhighファゴソームの同定を可能にした。MHC I+ OVAhighファゴソーム区画の形成にDNGR-1が必要かどうかを確認するために、本発明者らは、DNGR-1欠損(KO)および野生型(WT)MuTuDCからのFM-OVAビーズファゴソームを比較した。興味深いことに、MHC I+ LAMP-2-およびMHC I+ OVAhighのファゴソームは両方の細胞で同様の頻度で同定された。さらに、OVAビーズを与えられた野生型MuTuDCから得られたDNGR-1+ファゴソームをFM-OVAビーズの場合と比較したところ、OVAの分解やMHC Iのリクルートに関して差は認められなかった。
【0190】
総合すると、これらのデータは、DNGR-1はcDC1において(また、異所的に発現された場合に、RAW264.7マクロファージにおいて)、MHC I+ファゴソーム区画をマークしており、その区画は、分解能力が低く、少なくとも一時的には未分解抗原を保存する能力を有することを示唆している。しかし、DNGR-1またはそのリガンドの存在は、食作用の積荷がこの分解能力の低い区画にアクセスする能力には影響しない。
【0191】
[実施例4―ファゴソームからサイトゾルへの移行(P2C)]
DNGR-1リガンドによって調節され得る、XPにおける後続ステップを探索した。DNGR-1依存的XPはサイトゾル経路を通じて媒介されるため(上記参照)、我々はファゴソームからサイトゾルへの抗原の移行に焦点を当てた。DNGR-1+ファゴソームが膜の損傷(破壊と一致する)の兆候を示すかどうかを、損傷したエンドソームおよびファゴソームの内腔側の膜タンパク質に付随する糖部分に結合する27サイトゾル性ガレクチン3または8の局所的動員を測定することによって調査した。驚くべきことに、PhagoFACSによって、4時間後、MuTuDCにおけるガレクチン8+ ファゴソームの頻度が、LAMP-2+ ファゴソームと比較してDNGR-1+ ファゴソームではより高いことが見出された。共焦点顕微鏡によって同様に、MuTuDCにFM-OVAビーズを与えた場合にはmCherry-ガレクチン3がファゴソームを修飾していることが見られたが、DNGR-1をトリガーしないOVAビーズを与えた場合の頻度ははるかに低かった。
【0192】
DNGR-1は、単一のhemITAMシグナル伝達モチーフを持つ短いN末端細胞内尾部を有するII型膜貫通タンパク質である28。DNGR-1 hemITAMの役割を試験するために、野生型(KO-WT)またはhemITAMシグナル伝達不能DNGR-1(7位でのチロシンからフェニルアラニンへの変異―KO-Y7F)のいずれかで再構成されたDNGR-1欠損MuTuDCにおいてmCherry-ガレクチン-3を発現させた。細胞にFM-OVAビーズを供給すると、WT受容体を発現する細胞ではmCherry-ガレクチン-3はファゴソームに動員されたが、Y7F受容体ではそうならなかった(図1)。
【0193】
これらの観察を検証するために、エンドソーム膜損傷の、異なるサイトゾルセンサーを使用した。スフィンゴミエリンは細胞膜において非対称的に分布し、ファゴソーム損傷時にのみサイトゾルに曝露される。そのため、mCherryに融合されたバージョンのスフィンゴミエリン結合タンパク質ライセニンを含有するプローブをサイトゾルで発現させると、損傷したファゴソーム膜を特異的に標識することができる(Ellison et al、サブミット済み)。ガレクチンの結果と一致して、Y7F DNGR-1ではなく野生型DNGR-1を発現させた場合に、mCherry-ライセニンプローブはFM-OVAビーズファゴソームに特異的に蓄積した。そのhemITAMを介したDNGR-1のリガンド依存的シグナル伝達がMutuDCにおいてファゴソーム膜損傷を誘導すると本発明者らは結論付ける。
【0194】
[実施例5―キメラ受容体はP2Cを促進させる]
発明者らは、DNGR-1 hemITAMシグナル伝達が異種(heterologous)システムにおいてファゴソーム損傷を媒介できる可能性を調査した。Dectin-1(別名CLEC7A;DNGR-1と構造的に相同な受容体)、または、Dectin-1の細胞外ドメインと膜貫通領域とがDNGR-1の細胞質尾部のバリアントに融合されたものを含むキメラを、HEK293T細胞にトランスフェクトした。Dectin-1は酵母のベータ-グルカンに結合し、酵母食作用受容体として機能するため、ラテックスビーズの代わりにザイモサン粒子(すなわち酵母細胞壁)の取り込みを分析することを可能にする。実際、Dectin-1(C7)、DNGR-1の野生型(C9/C7)またはhemITAMチロシン変異型(C9(Y7F)/C7)の細胞質尾部に融合されたDectin-1はすべて、ザイモサンを取り込む能力をHEK293Tに付与したが、Dectin-1の尾部無し変異体はしなかった。
【0195】
注目すべきことに、HEK293TでmCherry-ライセニンプローブとキメラ受容体とを共発現させた場合、C9/C7キメラを発現する細胞ではライセニン+ ファゴソームが観察されたが、野生型C7(p<0.0001)またはシグナル伝達不能キメラC9(Y7F)/C7(p=0.03)を発現する細胞では観察されなかった。ラテックスビーズとは対照的に、ザイモサン粒子は多孔性であって中実なコアを持たず、従ってファゴソーム内腔にアクセスするプローブにとってのスポンジとして作用する。驚くべきことに、C9/C7キメラを発現するHEK293T細胞におけるファゴソームは、サイトゾルで発現されたGFPについて陽性になることに我々は気づいた。対照的に、C7またはC9(Y7F)/C7を発現するHEK293Tにおけるザイモサン含有ファゴソームでは、ファゴソーム内GFPはほとんど存在しなかったことから、DNGR-1 hemITAMシグナル伝達の特異的な必要性が示された。
【0196】
ライセニン+ ファゴソームは、ライセニン- ファゴソームと比較して、GFPについての平均蛍光強度(MFI)がより高いことを示したことから、サイトゾルGFPがファゴソームにアクセスすることは膜損傷とカップリングしていることが示唆された。これは生細胞イメージングからも明らかであり、ライセニンのリクルートは、GFPの流入を予測するがそれに先行することが示された。これらの結果は、DNGR-1 hemITAMシグナル伝達がファゴソームを透過性にし、その内腔をサイトゾルタンパク質にとってアクセスできるようにすることを示唆している。
【0197】
透過性が双方向性であってファゴソーム積荷のサイトゾルへの放出を許容するかどうかを評価するために、C9/C7またはC9(Y7F)/C7のいずれかを発現するHEK293Tを、スルホローダミンB(SRB)に浸したザイモサンでパルスした。C9/C7を発現するHEK293TのサイトゾルではSRB蛍光の有意な増加が検出されたが、C9(Y7F)/C7を発現するものでは検出されなかった。
【0198】
以前に報告されたP2Cアッセイ29も使用して、C9(Y7F)/C7よりもC9/C7を発現するHEK293T細胞において、ザイモサン吸着ベータ-ラクタマーゼのファゴソームからサイトゾルへの放出されることの効力が高いことを確認した。
【0199】
C7、C9/C7、およびC9(Y7F)/C7を発現するHEK293T細胞に、ザイモサンに浸したシトクロムc粒子(zymosan-cyt. c粒子)を添加した(図3g)。zymosan-cyt. c粒子とインキュベートされた場合、C7またはC9(Y7F)/C7を発現するHEK293T細胞は該粒子を内在化したが、生存に影響はなかった。全く対照的に、C9/C7を発現するすべての細胞は24時間以内に死滅し、DNGR-1 hemITAM依存性P2Cは、本質的に、受容体シグナル伝達がトリガーされるすべての細胞において起こることを示した。総合すると、これらの結果は、hemITAMシグナル伝達がファゴソームを透過性にして、腔内容物のサイトゾルへの流出を可能にすることを示しており、そしてこの効果は、DNGR-1以外の他の膜貫通型タンパク質の細胞質尾部にhemITAMモチーフが存在する場合に保持されることを示している。
【0200】
[実施例6―hemITAM誘導によるファゴソーム透過性の特徴づけ]
DNGR-1 hemITAM誘導によるファゴソーム透過性の性質と持続性を調べるため、本発明者らは、ライセニンプローブで染色されたGFP+ ファゴソームに対してFRAP実験を行った。ライセニン+ ファゴソームの内腔内のGFPを光退色させた後、2分間以内にシグナルが再観察されたことから、連続的なGFP流入が示され、不可逆的なファゴソーム膜損傷が示唆された。対照として、ライセニンシグナルの退色は蛍光回復をもたらさなかった。
【0201】
C9/C7発現細胞におけるGFP+ ライセニン+ ザイモサンファゴソームの、相関的な光顕微鏡と電子顕微鏡とによる超微細構造の分析は、ファゴソーム膜が直径約1~1.5μmの大きな穴を含有することを明らかにした。このように、DNGR-1シグナル伝達はファゴソームの大規模な破裂を引き起こすことができ、そのことがかなりの量の内腔内容物がサイトゾルに放出されることさえも可能にする。
【0202】
[実施例7―HEK293T細胞におけるXP]
マウスのH-2Kbおよびベータ-2-ミクログロブリンを安定的に発現するHEK293T株をさらに形質転換してC7、C9/C7、またはC9(Y7F)/C7キメラを発現させ、単一細胞をクローン化して、同等なH-2KbとDectin-1細胞外ドメインの発現レベルについて選択した。3つの細胞株はすべて、外因性のSIINFEKLペプチドでパルスされたときにOVA/H-2Kb特異的T細胞ハイブリドーマであるB3Zを刺激する同等の能力を示し、内因性OVAの融合タンパク質模倣物であるVenus-SIINFEKLを発現するようにトランスフェクトされた際に内因性抗原を提示する能力も同等であった。これらの細胞を、卵白に浸漬したザイモサン(ザイモサン-OVA)に曝露した。C7、C9/C7およびC9(Y7F)/C7 HEK293T株はすべて同様の効力でザイモサン-OVAを内在化した。しかし、HEK293T細胞固定後のB3Z活性化によって測定されるところの効率的なXPは、C9/C7キメラを発現する細胞でのみ観察された(図2)。
【0203】
次に、C9/C7を発現するHEK293T細胞に、卵白とシトクロムcの両方に二重に浸漬したザイモサンを与えた。細胞のごく一部のみを殺すように曝露時間を最適化した。これは、OVAのみに浸漬したザイモサン粒子を細胞に与えた場合と比較して、交差提示活性の完全な損失をもたらした。zymosan-cyt. c粒子をC9/C7キメラおよびVenus-SIINFEKLを発現するHEK293T細胞とインキュベートしたときにはB3Z活性化の減少は観察されなかったという事実により、培養物中のシトクロムcの全体的な細胞毒性は除外された。これらのデータは、DNGR-1 hemITAMシグナル伝達誘導によるファゴソーム破裂がXPの原因であることを正式に示している。
【0204】
[実施例8―hemITAMモチーフとチロシンキナーゼSykとの相互作用]
DNGR-1のhemITAMモチーフは、DNGR-1リガンド係合に応答してSykまたはSHP-1をリクルートし活性化することができる12, 33。従って、抗DNGR-1架橋抗体またはF-アクチン/ミオシンII複合体(DNGR-1リガンド;DNGR-1L)で処理した野生型MuTuDCでは、2つの異なる部位でのSykリン酸化が観察された。本発明者らはここで、C9/C7キメラもザイモサン処理に応答してHEK293TでSykのリン酸化を誘導することを確認している。これはファゴソームのレベルで観察され、C9(Y7F)/C7を発現する細胞では観察されなかったためhemITAM依存性である(図3)。
【0205】
Sykのリン酸化がファゴソーム破裂の上流にあるかどうかを判断するために、CRISPR/Cas9を用いてSyk欠損C9/C7発現HEK293T細胞(SykCRISPR)を作製した。ザイモサンファゴソームへの細胞質GFPの流入は、SykCRISPR細胞では完全に失われた。しかしながら、この流入は、Syk欠損C9/C7発現HEK293T細胞を、触媒欠損変異体(K396R―キナーゼ不活;Syk KD)ではなく(CRISPR耐性)野生型マウスSyk(Syk WT)で再構成することによって、回復された。同様に、C9/C7発現HEK293T細胞をSyk阻害剤R406で処理した場合、ザイモサン取り込みは影響されなかったにもかかわらず、ファゴソームGFP流入は観察されなかった。MuTu DCでは、R406および別のSyk阻害剤である阻害剤IVのいずれもが、ライセニンプローブによるファゴソームの染色を消失させ、FM-OVAビーズのXPを遮断した。これは、ファゴソームの破裂およびXPの誘導ためにDNGR-1の下流のSyk活性化とキナーゼ活性が必要であることを示唆している。
【0206】
[実施例9―Sykは活性酸素種を介して膜の不安定化と破裂を媒介した]
本発明者らは、膜の不安定化と破裂を引き起こす可能性のあるSykの下流のメカニズムを調べた。NADPHオキシダーゼによって生成される活性酸素種(ROS:reactive oxygen species)は、膜の不安定化とエンドソーム内容物の漏出をもたらす脂質過酸化を引き起こす34-37。さらに、SykはVavとRacを介してNADPHオキシダーゼ活性化を活性化するが、これらはいずれも骨髄細胞による粒子状抗原のXPに関連付けられている34-37。本発明者らは、ザイモサンへの曝露が、C9(Y7F)/C7ではなくC9/C7を異所的に発現しているRAW264.7細胞において非常に強力な酸化バーストをもたらすことに気づいた。蛍光プローブを使用して、発明者らは、このバーストが個々のファゴソームのレベルで起こり、C9(Y7F)/C7を発現しているRAW264.7細胞またはNADPH阻害剤DPIで処理された細胞では減少することを確認した。同様に、DNGR-1(C9)を発現し、固定および透過処理されたヒツジ赤血球(DNGR-1によって認識されることができる露出した皮質Fアクチンを持つ食作用標的14)を与えられたRAW264.7細胞において、SYK阻害またはDPI処理によって減少したファゴソーム周辺の酸化バーストを発明者らは観察した。同様の結果は、C9/C7を発現するHEK293T細胞においても得られた。NADPHによって産生される活性酸素種は脂質過酸化を引き起こし、膜の不安定化とエンドソーム内容物の漏出を引き起こす37。この概念と一致して、DPIによるNADPHオキシダーゼの阻害は、RAW264.7細胞におけるファゴソームでのライセニンの蓄積を防いだ。注目すべきことに、それはHEK293T細胞によるザイモサン-OVAのXPも減少させたが、Venus-SIINFEKLの提示には影響しなかった。最後に、MuTuDCにおいて、DPI、および活性酸素種(ROS)スカベンジャーであるアルファ-トコフェロール(ビタミンE)は、FM-OVAビーズまたはOVA含有死細胞のXPを消失させたが、SIINFEKLペプチドの提示には影響しなかった。これらの結果は、NADPHのDNGR-1/Syk依存性活性化が、脂質過酸化を引き起こし、ファゴソーム破裂およびP2Cを可能にすることを示している。このことが、内在化されたリガンド関連抗原をcDC1のサイトゾルへと非選択的に放出することを可能にし、内因性のMHCクラスIプロセシングおよび提示経路へのアクセスを可能にする。
【0207】
NADPHオキシダーゼによって産生される活性酸素種(ROS)は脂質過酸化を引き起こし、膜の不安定化およびエンドソーム内容物の漏出を引き起こすことができる37。膜損傷におけるROSの役割と符合して、DPIによるNADPHオキシダーゼの阻害は、C9/C7を発現するRAW264.7細胞におけるファゴソーム上のライセニンの蓄積を、Y7F変異と同じレベルまで遮断した。さらに、DPI、およびROSスカベンジャーであるアルファ-トコフェロール(ビタミンE)は、MutuDCにおいて、SIINFEKLペプチドの提示に影響を与えることなくFM-OVAビーズおよびOVA含有死細胞の両方のXPを大幅に減少させた。同様に、DPIは、C9/C7を発現するHEK293T細胞によるザイモサン-OVAのXPを減少させたが、内因性のVenus-SIINFEKL抗原の提示は減少させなかった。最後に、骨髄細胞におけるNADPHオキシダーゼの主要な触媒サブユニットであるNOX2(CYBB)のsiRNA媒介サイレンシングは、C9/C7とH-2Kbを発現するRAW264.7によるザイモサン-OVAのXPを減少させたが、SIINFEKLペプチドの提示には影響しなかった。
【0208】
これらのデータは、野生型、DNGR-1 KOおよびNOX2 KOマウスの骨髄と磁気濃縮によって精製されたcDC1によりFlt3L培養物を確立することによって、初代cDC1に拡張された。NOX2 KO cDC1は、DNGR-1刺激に応答するファゴソームROS産生に欠陥があり、DNGR-1 KOとNOX2 KO cDC1の両方が、SIINFEKLペプチドを提示することおよび死細胞物質を内在化することにおいて同等に有効であるにもかかわらず、WT cDC1と比較してOVA含有死細胞のXPの減少を示した。インビボでのDNGR-1依存性XPに対するNOX2の重要性を評価するために、最初に、野生型、DNGR-1 KO、BATF3KO、またはNOX2 KOマウスをFM-OVAビーズ+ポリI:Cで免疫し、H-2Kb/OVA五量体染色によってOVA特異的CD8+T細胞応答を測定した。報告されているように16、WTマウスはFM-OVAビーズ+ポリI:Cに対して強い応答を示したが、それはDNGR-1 KOマウスとBATF3 KOマウスの両方で有意に減少した。重要なことに、NOX2 KOマウスはOVA特異的CD8+ T細胞のクロスプライミングの減少も示した。このことがcDC1におけるNOX2機能を反映していることを確認し、該データを死細胞関連抗原に対するクロスプライミングに拡張するために、BATF3 KO CD45.1マウスからの骨髄と、BATF3 KO、野生型、DNGR-1 KOまたはNOX2 KO CD45.2マウスからの骨髄とを80:20の比率で混合したものを用いて放射線キメラを作成した。発明者らは、BATF3 KO CD45.1マウスをレシピエントとして使用し、再構成後に発生する唯一のcDC1がCD45.2ドナー骨髄から発生することをさらに確実にし、リンパ球におけるNOX2欠失の細胞固有的影響を除外するためにCD45.1 T細胞の応答のみを分析した。OVA+ポリI:Cパルスした死細胞による免疫後、BATF3 KO:BATF3 KOキメラは、予測されたように18、OVA特異的CD8+ T細胞の生成に失敗した。対照的に、H-2Kb/OVA四量体染色によって、または、SIINFEKLペプチドによるex vivo脾臓細胞再刺激に応答したIFNγについての細胞内染色によって測定されたように、BATF3 KO:WTキメラでは、OVAに対する強固なクロスプライミングが見られた。DNGR-1 KOマウスでの以前の観察3, 11, 12, 44と一致して、OVA特異的CD8+ T細胞応答はBATF3 KO:DNGR-1 KOキメラで有意に減少した。注目すべきことに、それはBATF3 KO:NOX2 KOキメラでも有意に減少した。
【0209】
マクロファージ、単球由来樹状細胞、その他の骨髄細胞型、および非免疫細胞も、XPに関与するメカニズムの一部を分析するために広く使用されてきた7、23、45。cDC1に特異的なXPメカニズムに焦点を当てた論文は比較的少ない。ここで本発明者らは、XPにおけるcDC1の優位性は、固有の細胞生物学だけでなく、関連するXP基質を検出するDNGR-1のような受容体の発現にも依存するという可能性に焦点を当てている。本発明者らは、ファゴソームのレベルでのリガンド依存性DNGR-1シグナル伝達が、ファゴソーム膜を不安定化させる局所的なNADPH依存性酸化バーストを誘発し、その結果、破裂と腔内容物の細胞質コンパートメントへの全面的なアクセスとが引き起こされ、それらがそこで内因的なMHC Iプロセシング経路に入ることができることを示している。注目すべきことに、ファゴソーム破裂のシグナルを伝達するDNGR-1の能力は、その細胞質シグナル伝達ドメインに固有であり、他の受容体に移植されたり、非免疫細胞を含む他の細胞型で作用することができる。斯くして、XPはエンドソームにおける活性酸素種産生の機構に依存する。この機構を特殊な受容体によって乗っ取らせて意図的に液胞膜の損傷とP2Cを引き起こすことができる。
【0210】
[番号付き段落]
1.細胞外標的結合ドメインと、膜貫通ドメインと、DNGR-1の細胞質尾部のシグナル伝達ドメインに由来するSyk結合配列を含む細胞内ドメインとを含むキメラ受容体であって、前記Syk結合配列はチロシン残基を含有する、キメラ受容体。
2.前記Syk結合配列がhemITAMを含む、1項に記載のキメラ受容体。
3.前記hemITAMが配列番号14(EXXYXXL;ここでXは任意のアミノ酸残基を表す)に記載のアミノ酸配列を含む、2項に記載のキメラ受容体。
4.前記Syk結合配列が、配列番号15(MHAEXXYXXLQWD)または配列番号90(MHEEXXYXXLQWD)に記載のアミノ酸配列を含み、任意で、MHAEXXYXXLQWD(配列番号15)またはMHEEXXYXXLQWD(配列番号90)配列のN末端のアミノ酸残基の1つ、2つもしくは3つすべてが除去されているか、もしくは、別のアミノ酸残基で置換されており、または、MHAEXXYXXLQWD(配列番号15)配列のC末端のアミノ酸残基の1つ、2つもしくは3つすべてが除去されるているか、もしくは別のアミノ酸残基で置換されている、3項に記載のキメラ受容体。。
5.前記Syk結合配列が、配列番号11(MHAEEIYTSLQWD)に記載されたアミノ酸配列または配列番号89(MHEEEIYTSLQWD)に記載されたアミノ酸配列を含み、ここで任意で、1つ、2つまたは3つのアミノ酸残基が別のアミノ酸残基で置換される、1項から4項のいずれか一つに記載のキメラ受容体。
6.前記標的結合ドメインが、病原体、病原性細胞、死細胞または疾患細胞上に存在する標的に結合する、前各項のいずれか一つに記載のキメラ受容体。
7.前記標的が腫瘍細胞上に存在する抗原であり、任意で前記標的は腫瘍新抗原である、6項に記載のキメラ受容体。
8.腫瘍細胞上に存在する前記抗原がCEA、ERBB2、EGFR、GD2、メソテリン、MUC1、PSMA、CAIX、CD133、c-Met、EGFR、EGFRvIII、Epcam、EphA2、FRα、CD19、CD20、GPC3、GUCY2C、HER1、HER2、ICAM-1、MAGE、またはMETである、7項に記載のキメラ受容体。
9.前記標的は、ウイルス粒子の表面に存在する、またはウイルス感染細胞上に存在するウイルス抗原である、6項に記載のキメラ受容体。
10.前記ウイルス抗原がHCMV gB、インフルエンザAヘマグルチニン、インフルエンザマトリックス2タンパク質M2e、RSV糖タンパク質F、SARS-Cov-2スパイクタンパク質、HIV gp120またはHIV Envである、9項に記載のキメラ受容体。
11.前記標的結合ドメインが非DNGR-1レクチン、トランスフェリン受容体、FcR、FcRI、FcRIIA、TIMD4、Megf10、またはCD3ゼータ鎖のリガンド結合ドメインに由来するものである、前各項のいずれか一つに記載のキメラ受容体。
12.前記標的結合ドメインがマウスDectin-1に由来するものである、11項に記載のキメラ受容体。
13.前記標的結合ドメインが抗体可変領域重鎖(VH)および/または軽鎖(VL)を含む、前各項のいずれか一つに記載のキメラ受容体。
14.前記標的結合ドメインが単一鎖可変フラグメント(scFv)を含む、13項に記載のキメラ受容体。
15.前記標的結合ドメインが核酸受容体のリガンド結合ドメインを含み、前記標的が核酸である、前各項のいずれか一つに記載のキメラ受容体。
16.前各項のいずれか一つに記載のキメラ受容体をコードする核酸。
17.16項に記載の核酸を含むベクター。
18.16項に記載の核酸または17項に記載のベクターを含む宿主細胞。
19.外因性抗原を交差提示することができる細胞であって、18項に記載の宿主細胞と、細胞表面に発現された1項から15項のいずれか一つに記載のキメラ受容体とを含む、細胞。
20.18項または19項に記載の細胞であって、前記細胞は骨髄細胞である、細胞。
21.20項に記載の細胞であって、前記細胞はマクロファージ、単球または樹状細胞である、細胞。
22.18項または19項に記載の細胞であって、前記細胞がリンパ球である、細胞。
23.18項または19項に記載の細胞であって、前記細胞は樹状細胞でない、細胞。
24.19項に記載の細胞であって、前記細胞はプロフェッショナル抗原提示細胞でない、細胞。
25.19項から24項のいずれか一つに記載の細胞であって、前記細胞は線維芽細胞または筋細胞である、細胞。
26.19項から25項のいずれか一つに記載の細胞を生産する方法であって、
a.前駆細胞を提供すること;
b.16項に記載の核酸または17項に記載のベクターを前記前駆細胞に導入し、18項に記載の宿主細胞を産生すること;
c.ステップbの宿主細胞を、前記核酸によりコードされるキメラ受容体の発現を促進する条件下で増殖させ、従って前記宿主細胞に前記キメラ受容体を発現させ外因性抗原を交差提示することができるようにすること
を含む方法。
27.前記外因性抗原が前記キメラ受容体の標的結合ドメインによって結合される標的である、19項から26項のいずれか一つに記載の方法。
28.前記外因性抗原は前記キメラ受容体の標的結合ドメインによって結合される標的に付随するものである、19項から26項のいずれか一つに記載の方法。
29.17項に記載のベクターまたは19項から28項のいずれか一つに記載の細胞を含む、医薬組成物。
30.がんを治療する方法における使用のための、29項に記載の医薬組成物であって、前記方法は、前記医薬組成物を患者に投与することを含む、医薬組成物。
31.患者の感染症を治療する方法における使用のための、29項に記載の医薬組成物であって、前記方法は、前記医薬組成物を前記患者に投与することを含む、医薬組成物。
【0211】
32.必要とする患者においてがんを治療する方法であって、29項に記載の医薬組成物を前記患者に投与することを含む、方法。
33.必要とする患者において感染症を治療する方法であって、29項に記載の医薬組成物を前記患者に投与することを含む、方法。
34.前記がんが固形腫瘍である、30項に記載の使用のための医薬組成物または32項に記載のがんを治療する方法。
35.前記方法は、前記医薬組成物を前記固形腫瘍またはそのすぐ周囲の組織に注射することを含む、34項に記載の使用の医薬組成物またはがんを治療する方法。
36.ワクチンとしての使用のための、29項に記載の医薬組成物。
37.対象にワクチン接種する方法であって、ワクチン接種を必要とする対象に、28項に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
38.バイオポリマーを細胞のサイトゾルに送達する方法であって、前記細胞は、DNGR-1の細胞質尾部のシグナル伝達ドメインに由来するSyk結合配列を含む細胞内ドメインを含む膜貫通型タンパク質を発現し、前記バイオポリマーは、前記膜貫通型タンパク質の細胞外部分に特異的に結合することができる結合ドメインを含み、前記方法は、前記細胞を前記バイオポリマーと接触させて、前記結合ドメインを前記膜貫通型タンパク質の細胞外部分に結合させることを含み、従って前記バイオポリマーが内在化されてファゴソーム中で分解されることなくサイトゾルに移行される、方法。
39.前記バイオポリマーが、前記結合ドメインに共有結合的に連結された第2のドメインを含む、38項に記載の方法。
40.前記結合ドメインが、細胞のサイトゾルに存在するプロテアーゼによって切断されることができるリンカーによって、前記第2のドメインに共有結合的に連結されている、39項に記載の方法。
41.前記バイオポリマーが第2のバイオポリマーと非共有結合的に付随しており、前記第2のバイオポリマーが第2のドメインを構成する、38項に記載の方法。
42.前記バイオポリマーはタンパク質である、38項から41項のいずれか一項に記載の方法。
43.前記結合ドメインは抗体である、38項から42項のいずれか一項に記載の方法。
44.前記第2のドメインが核酸であり、任意で抗原をコードする、38項から43項のいずれか一項に記載の方法。
45.前記核酸は、STING経路を介して細胞を活性化することができるDNAを含む、44項に記載の方法。
46.前記核酸は、RIG-Iおよび/またはMDA5経路を介して細胞を活性化することができるRNAを含む、44項に記載の方法。
47.前記第2のドメインがアポトーシス促進性タンパク質またはサイトトキシンである、38項から42項のいずれか一項に記載の方法。
48.前記アポトーシス促進性タンパク質またはサイトトキシンが、シトクロムC、カスパーゼ、メイタンシノイド、ドラスタチン、アウリスタチン薬物アナログ、クリプトフィシン、デュオカルマイシン誘導体、エンジイン抗生物質、およびピロロベノジアゼピンからなる群から選択される、47項に記載の方法。
49.前記膜貫通型タンパク質が、1項から15項のいずれか一項に記載のキメラ受容体である、38項から48項のいずれか一項に記載の方法。
50.前記細胞は腫瘍細胞である、38項から49項のいずれか一項に記載の方法。
51.前記細胞は免疫細胞である、38項から49項のいずれか一項に記載の方法。
52.前記細胞を前記バイオポリマーと接触させることの前に、前記細胞において前記膜貫通型タンパク質を発現させるステップを含む、38項から51項のいずれか一項に記載の方法。
53.38項から52項のいずれか一項に記載の方法を含む、治療方法。
54.前記バイオポリマーが、抗DNGR-1抗体にコンジュゲートされた腫瘍抗原を含む、53項に記載の治療方法。
55.前記バイオポリマーががん患者に投与されて、抗がんTh1反応を誘導する、54項に記載の治療方法。
56.前記バイオポリマーは自己抗原を含み、前記バイオポリマーが、自己免疫疾患に罹患している患者に投与されて前記自己抗原に対する寛容原性反応を誘導する、55項に記載の治療方法。
【0212】
[参考文献]
発明およびそれが関係する技術水準をより完全に記述し、開示するために、多数の出版物を上記で引用している。これらの参考文献のいくつかの完全な引用を以下に提供する。本文書のいずれかの箇所で言及されている各参考文献の全体は、それぞれが完全に再現されているかのように、本明細書において参照によって明示的に組み込まれる。
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【0213】
標準的な分子生物学の手法についてはSambrook, J., Russel, D.W. Molecular Cloning, A Laboratory Manual. 3 ed. 2001, Cold Spring Harbor, New York: Cold Spring Harbor Laboratory Press参照。
図1
図2
図3
【配列表】
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【国際調査報告】