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特表2023-536442オキサアザスピロ環系誘導体、その調製方法及びその医薬的応用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-25
(54)【発明の名称】オキサアザスピロ環系誘導体、その調製方法及びその医薬的応用
(51)【国際特許分類】
   C07D 495/04 20060101AFI20230818BHJP
   A61K 31/4162 20060101ALI20230818BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230818BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20230818BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20230818BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230818BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20230818BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20230818BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20230818BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20230818BHJP
   A61P 17/14 20060101ALI20230818BHJP
   A61P 7/06 20060101ALI20230818BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20230818BHJP
   A61P 27/16 20060101ALI20230818BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20230818BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20230818BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20230818BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20230818BHJP
   A61P 15/00 20060101ALI20230818BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20230818BHJP
   A61P 5/16 20060101ALI20230818BHJP
   A61P 5/14 20060101ALI20230818BHJP
   A61P 7/04 20060101ALI20230818BHJP
   A61P 13/10 20060101ALI20230818BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20230818BHJP
   A61P 21/04 20060101ALI20230818BHJP
   A61P 25/20 20060101ALI20230818BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20230818BHJP
   A61P 25/18 20060101ALI20230818BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20230818BHJP
【FI】
C07D495/04 CSP
A61K31/4162
A61P43/00 111
A61P29/00
A61P37/02
A61P35/00
A61P35/02
A61P11/06
A61P19/02
A61P25/00
A61P17/14
A61P7/06
A61P1/16
A61P27/16
A61P11/00
A61P1/04
A61P21/00
A61P3/10
A61P15/00
A61P13/12
A61P5/16
A61P5/14
A61P7/04
A61P13/10
A61P17/00
A61P21/04
A61P25/20
A61P17/06
A61P25/18
A61P9/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023505442
(86)(22)【出願日】2021-07-29
(85)【翻訳文提出日】2023-01-25
(86)【国際出願番号】 CN2021109205
(87)【国際公開番号】W WO2022022630
(87)【国際公開日】2022-02-03
(31)【優先権主張番号】202010746651.0
(32)【優先日】2020-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202010954059.X
(32)【優先日】2020-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202110210203.3
(32)【優先日】2021-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516174219
【氏名又は名称】江蘇恒瑞医薬股▲ふん▼有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】516174208
【氏名又は名称】上海恒瑞医薬有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI HENGRUI PHARMACEUTICAL CO., LTD
【住所又は居所原語表記】NO. 279 WENJING ROAD, MINHANG DISTRICT, SHANGHAI 200245, CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100150500
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100176474
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 信彦
(72)【発明者】
【氏名】陸 標
(72)【発明者】
【氏名】張 蔡華
(72)【発明者】
【氏名】賀 峰
(72)【発明者】
【氏名】陶 維康
【テーマコード(参考)】
4C071
4C086
【Fターム(参考)】
4C071AA01
4C071AA07
4C071BB01
4C071BB05
4C071CC02
4C071CC21
4C071DD40
4C071EE15
4C071FF04
4C071GG01
4C071GG02
4C071HH01
4C071HH05
4C071HH08
4C071HH28
4C071JJ01
4C071JJ04
4C071JJ08
4C071KK14
4C071LL01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086AA04
4C086CB26
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA02
4C086ZA05
4C086ZA18
4C086ZA34
4C086ZA36
4C086ZA53
4C086ZA55
4C086ZA59
4C086ZA68
4C086ZA75
4C086ZA81
4C086ZA89
4C086ZA92
4C086ZA94
4C086ZA96
4C086ZB07
4C086ZB11
4C086ZB15
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC06
4C086ZC20
4C086ZC35
(57)【要約】
本開示は、オキサアザスピロ環系誘導体、その調製方法及びその医薬的応用に関する。具体的に、本開示は、一般式(I)で示されるオキサアザスピロ環系誘導体、その調製方法及び当該誘導体を含む医薬組成物とその治療剤としての用途、特にPI3Kδ阻害剤としての用途、並びにPI3Kδへの阻害により改善される疾患又は病状を治療するための薬剤の調製における用途に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)で示される化合物又はその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態、又はその薬学的に許容される塩であって、式(I):
【化1】
[式中、
、R、R、R、RとRは同じであるか、又は異なり、且つそれぞれ独立的に水素原子、アルキル基、ハロゲン、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、シアノ基、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基、-(CHNR、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、シクロアルキルオキシ基、ヘテロシクリル基、ヘテロシクリルアルキル基、ヘテロシクリルオキシ基、アリール基とヘテロアリール基から選ばれ、そのうち、前記アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基とヘテロアリール基は、それぞれ独立して任意選択的にハロゲン、アルキル基、ハロアルキル基、シアノ基、ニトロ基、-(CHNRと-ORから選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、
、Rは、それらの結合する炭素原子と一緒になって、その結合したヘテロ環においてスピロ環を形成し、前記スピロ環は、任意選択的に1つ又は複数のR’で置換され、
R’は同じであるか、又は異なり、且つそれぞれ独立的に水素原子、アルキル基、ハロゲン、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、シアノ基、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基、-(CHNRとニトロ基から選ばれ、
は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基とヘテロアリール基から選ばれ、前記アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基とヘテロアリール基は、それぞれ独立して任意選択的にハロゲン、アルキル基、ハロアルキル基、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシアルキル基、-(CHNR、-OR、-COR、-COOR、-OS(O)、-S(O)、-NRCOR、-NRSOとRから選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、
前記Rは、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキルアルキル基、ヘテロシクリルアルキル基、アリールアルキル基とヘテロアリールアルキル基から選ばれ、前記Rは、それぞれ独立して任意選択的にハロゲン、アルキル基、ハロアルキル基、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシアルキル基、-(CHNR、-OR、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、ヘテロシクリル基、ヘテロシクリルアルキル基、アリール基とヘテロアリール基から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、
とRは同じであるか、又は異なり、且つそれぞれ独立的に水素原子、ハロゲン、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロシクリル基、ヘテロアリール基、シクロアルキルアルキル基、アリールアルキル基、ヘテロシクリルアルキル基とヘテロアリールアルキル基から選ばれ、そのうち、前記アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基とヘテロアリール基は、それぞれ独立して任意選択的にアルキル基、ハロアルキル基、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、-(CHNR、-OR、-COR、-COOR、-OS(O)、-S(O)、-NRCORと-NRSOから選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、
は同じであるか、又は異なり、且つそれぞれ独立的に水素原子、ハロゲン、アルキル基、ハロアルキル基、シアノ基、ニトロ基、-(CHNR、-OR、-COR、-COOR、-OS(O)、-S(O)、-NRCOR、-NRSO、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基とヘテロアリール基から選ばれ、そのうち、前記アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基とヘテロアリール基は、それぞれ独立して任意選択的にアルキル基、ハロアルキル基、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、-(CHNR、-OR、-COR、-COOR、-OS(O)、-S(O)、-NRCORと-NRSOから選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、
又は、2つの隣接するRは、それらの結合する炭素原子と一緒になって、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基又はヘテロアリール基を形成し、前記シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基とヘテロアリール基は、それぞれ独立して任意選択的に水素原子、アルキル基、ハロゲン、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基とヘテロアリール基から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、
は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基とアリール基から選ばれ、そのうち、前記アルキル基、シクロアルキル基とアリール基は、それぞれ独立して任意選択的にアルキル基、アルコキシ基、オキソ基、ハロゲン、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基とヘテロアリール基から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、
、R、RとRは同じであるか、又は異なり、且つそれぞれ独立的に水素原子、アルキル基、ハロアルキル基、ヒドロキシアルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基とヘテロアリール基から選ばれるか、
又は、RとR、RとRは、それらの結合する窒素原子と一緒になってヘテロシクリル基を形成し、前記ヘテロシクリル基は、任意選択的にアルキル基、アルコキシ基、オキソ基、ハロゲン、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基とヘテロアリール基から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、
とRは同じであるか、又は異なり、且つそれぞれ独立的に水素原子、ハロゲン、アルキル基、ハロアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、-(CHNR、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基とヘテロアリール基から選ばれ、そのうち、前記アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基とヘテロアリール基は、それぞれ独立して任意選択的にハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルキル基、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、シクロアルキル基とヘテロシクリル基から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、
nは1又は2であり、
qは0、1、2、3又は4であり、
sとyは同じであるか、又は異なり、且つそれぞれ独立的に0、1、2、3、4又は5から選ばれ、且つ
tとxは同じであるか、又は異なり、且つそれぞれ独立的に0、1又は2から選ばれる]
で示される化合物又はその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
とRは、それらの結合する炭素と一緒になって、その結合したヘテロ環においてスピロ3員~6員環を形成し、好ましくはスピロ3員~6員炭素環を形成し、より好ましくはスピロシクロプロピル基を形成する、請求項1に記載の一般式(I)で示される化合物又はその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
一般式(II)で示される化合物又はその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態、又はその薬学的に許容される塩であって、一般式(II):
【化2】
[式中、mは0、1、2又は3であり、
R’、R~R、R~Rとqは、請求項1に定義された通りである]
で示される、請求項1又は2に記載の一般式(I)の化合物又はその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
はアリール基又はヘテロアリール基であり、前記アリール基とヘテロアリール基は、それぞれ独立して任意選択的にハロゲン、アルキル基、ハロアルキル基、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシアルキル基、-(CHNR、-OR、-COR、-COOR、-OS(O)、-S(O)、-NRCOR、-NRSOとRから選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、
前記Rは、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキルアルキル基、ヘテロシクリルアルキル基、アリールアルキル基とヘテロアリールアルキル基から選ばれ、前記Rは、それぞれ独立して任意選択的にハロゲン、アルキル基、ハロアルキル基と-ORから選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、
、R、R、R、yとtは、請求項1に定義された通りである、
請求項1~3の何れか一項に記載の一般式(I)で示される化合物又はその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
はアリール基又はヘテロアリール基であり、前記アリール基とヘテロアリール基は、それぞれ独立して任意選択的にRで置換され、前記Rは、シクロアルキルアルキル基、ヘテロシクリルアルキル基、アリールアルキル基とヘテロアリールアルキル基から選ばれ、前記Rは、それぞれ独立して任意選択的にハロゲン、アルキル基とハロアルキル基から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換される、請求項1~4の何れか一項に記載の一般式(I)で示される化合物又はその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
一般式(III)で示される化合物又はその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態、又はその薬学的に許容される塩であって、一般式(III):
【化3】
[式中、
10は同じであるか、又は異なり、且つそれぞれ独立的に水素原子、ハロゲン、アルキル基、ハロアルキル基、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシアルキル基、-(CHNR、-OR、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基とヘテロアリール基から選ばれ、そのうち、前記シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基とヘテロアリール基は、それぞれ独立して任意選択的にアルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基と-(CHNRから選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、
11は同じであるか、又は異なり、且つそれぞれ独立的に水素原子、ハロゲン、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基、シアノ基、ニトロ基、-(CHNR、シクロアルキル基、シクロアルキルオキシ基とシクロアルキルアルキル基から選ばれ、
それぞれのR12は同じであるか、又は異なり、且つそれぞれ独立的に水素原子、ハロゲン、アルキル基、ハロアルキル基、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシアルキル基、-(CHNR、-OR、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、ヘテロシクリル基、ヘテロシクリルアルキル基、アリール基とヘテロアリール基から選ばれ、uが2以上である場合、2つのR12は、モルホリン環においてスピロ環又は架橋環系を形成してもよく、
wは0、1、2、3又は4であり、
uは0、1、2、3、4、5又は6であり、
R’、R~R、R~R、R~R、s、m、yとqは、請求項3に定義された通りである]
で示される、請求項1~5の何れか一項に記載の一般式(I)の化合物又はその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項7】
とRは同じであるか、又は異なり、且つそれぞれ独立的に水素原子、ハロゲンとC1-6アルキル基から選ばれ、好ましくは、RとRは何れも水素原子である、請求項1~6の何れか一項に記載の一般式(I)で示される化合物又はその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項8】
は同じであるか、又は異なり、且つそれぞれ独立的に水素原子、ハロゲン、ハロC1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基とC1-6アルキル基から選ばれ、
好ましくは、Rは同じであるか、又は異なり、且つそれぞれ独立的に水素原子、ハロゲンとC1-6アルキル基から選ばれる、
請求項1~7の何れか一項に記載の一般式(I)で示される化合物又はその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項9】
10は同じであるか、又は異なり、且つそれぞれ独立的に水素原子、ハロゲンとC1-6アルキル基であり、好ましくは、R10は水素原子である、請求項6~8の何れか一項に記載の一般式(I)で示される化合物又はその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項10】
11は同じであるか、又は異なり、且つそれぞれ独立的に水素原子、ハロゲンとC1-6アルキル基であり、好ましくは、R11は水素原子である、請求項6~9の何れか一項に記載の一般式(I)で示される化合物又はその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項11】
12は同じであるか、又は異なり、且つそれぞれ独立的に水素原子、ハロゲンとC1-6アルキル基であり、好ましくは、R12は水素原子である、請求項6~10の何れか一項に記載の一般式(I)で示される化合物又はその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項12】
~Rは、それぞれ独立的に水素原子である、請求項1~11の何れか一項に記載の一般式(I)で示される化合物又はその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項13】
という化合物から選ばれる、請求項1~12の何れか一項に記載の一般式(I)で示される化合物又はその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項14】
請求項1に記載の一般式(I)で示される化合物又はその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態、又はその薬学的に許容される塩を調製する方法であって、
【化4】
一般式(IA)の化合物又はその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態、又はその薬学的に許容される塩を一般式(IB)の化合物又はその薬学的に許容される塩と反応させ、一般式(I)の化合物又はその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態、又はその薬学的に許容される塩を得るステップを含み、
そのうち、R~R、R~R、nとqは、請求項1に定義された通りである、
方法。
【請求項15】
請求項1~13の何れか一項に記載の一般式(I)で示される化合物又はその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態、又はその薬学的に許容される塩と、1種又は複数種の薬学的に許容されるベクター、希釈剤又は賦形剤とを含む、医薬組成物。
【請求項16】
請求項1~13の何れか一項に記載の一般式(I)で示される化合物又はその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態、又はその薬学的に許容される塩、或いは請求項15に記載の医薬組成物の、PI3Kδを阻害するための薬剤の調製における用途。
【請求項17】
請求項1~13の何れか一項に記載の一般式(I)で示される化合物又はその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態、又はその薬学的に許容される塩、或いは請求項15に記載の医薬組成物の、炎症性疾患、自己免疫性疾患、がん及び関連疾患を治療及び/又は予防するための薬剤の調製における用途であって、
前記がんは、黒色腫、皮膚がん、肝がん、腎がん、肺がん、鼻咽頭がん、胃がん、食道がん、大腸がん、胆嚢がん、胆管がん、絨毛上皮腫、膵臓がん、真性赤血球増加症、小児腫瘍、子宮頸がん、卵巣がん、乳がん、膀胱がん、尿路上皮がん、尿管腫瘍、前立腺がん、精原細胞瘤、精巣腫瘍、白血病、頭頸部腫瘍、子宮内膜がん、甲状腺がん、リンパ腫、肉腫、骨腫、神経芽腫、神経芽細胞腫、神経内分泌がん、脳腫瘍、CNSがん、骨髄腫、星状細胞腫、膠芽細胞腫と神経膠腫から選ばれることが好ましく、前記白血病は慢性リンパ球白血病、急性リンパ球性白血病(ALL)、急性骨髄細胞白血病(AML)、慢性骨髄細胞白血病(CML)と有毛細胞白血病から選ばれることが好ましく、前記リンパ腫は小リンパ球リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、非ホジキンリンパ腫(NHL)、リンパ形質細胞性リンパ腫、節外性辺縁帯リンパ腫、T細胞リンパ腫、B細胞リンパ腫とびまん性大細胞型B細胞リンパ腫から選ばれることが好ましく、前記肺がんは非小細胞肺がん又は小細胞肺がんが好ましく、前記骨髄腫は多発性骨髄腫(MM)が好ましく、前記自己免疫性疾患は、喘息、関節リウマチ、急性播種性脳脊髄炎(ADEM)、アジソン病、円形脱毛症、強直性脊椎炎、抗リン脂質症候群(APS)、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫性内耳疾患、天疱瘡、類天疱瘡、ベーチェット病、セリアック病、抗-トランスグルタミナーゼ、シャーガス病、慢性閉塞性肺疾患、クローン病、皮膚筋炎、1型糖尿病、子宮内膜症、肺腎症候群、グレーブス病、ギラン・バレー症候群(GBS)、橋本病、汗腺膿瘍、川崎病、lgA腎症、免疫性血小板減少性紫斑病、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、間質性膀胱炎、ループス、ループス腎炎、膜性腎症、混合性結合組織疾患、限局性強皮症、多発性硬化症(MS)、重症筋無力症、ナルコレプシー、ニューロミオトニア、悪性貧血、乾癬、乾癬性関節炎、多発性筋炎、原発性胆汁性肝硬変、統合失調症、強皮症、眼球口腔乾燥症候群、シェーグレン症候群、スティフマン症候群、側頭動脈炎、潰瘍性結腸炎、血管炎、白斑とウェゲナー肉芽腫症から選ばれることが好ましく、前記ループスはエリテマトーデス又は全身性エリテマトーデスが好ましく、前記天疱瘡は尋常性天疱瘡が好ましく、前記肝がんは肝細胞がんが好ましく、前記頭頸部腫瘍は頭頸部扁平上皮がんが好ましく、前記肉腫は骨肉腫又は軟部組織肉腫が好ましく、前記大腸がんは結腸がん又は直腸がんが好ましい、
用途。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は医薬分野に属し、一般式(I)で示されるオキサアザスピロ環系誘導体、その調製方法、当該誘導体を含む医薬組成物及びその治療剤としての用途、特にPI3Kδ阻害剤としての用途、並びにPI3Kδへの阻害により改善される疾患又は病状を治療するための薬剤の調製における用途に関する。
【背景技術】
【0002】
ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ(phosphoinositide 3-kinase、PI3K)は、PI3K/AKT/mTORシグナル伝達経路における肝心な調節キナーゼであり、細胞の増殖、分化、アポトーシス及び血管新生などのプロセスの調節に関与する。PI3Kの異常活性化は、種々の腫瘍の発生と発展に緊密に関わっており、さまざまな種類のPI3Kは様々な機能を果たす。PI3Kには、それぞれα、β、γとδである4種類のアイソフォームがあり、そのうち、PI3Kδは主に免疫細胞と血液細胞に存在し、免疫、血液腫瘍及び炎症の発生に緊密に関わっている(Cell, 170(4), 605-635)。
【0003】
PI3Kδは主に免疫細胞と造血細胞に発現し、B細胞中のBCRのシグナル伝達に関与し、体内のB細胞の発達と成熟のプロセスを制御する。抗原が体を刺激すると、BCR表面の特異的表面免疫グロブリンIgは、抗原に結合することで、CD79A/B複合物の細胞内領域のITAMをリン酸化することができ、リン酸化されたITAMは、SYKを動員して活性化し、BTK及びその下流分子PLCγ2を更に活性化することができる。活性化されたSYKは、PI3KδのP85サブユニットに結合し、PI3Kδを活性化し、PIP3の生成を促進することができ、生成されたPIP3は、BTKのN末端ドメインを認識し、且つそれと相互作用してBTKの細胞膜上への動員を媒介することで、BTKにより媒介されるB細胞シグナル伝達を活性化し、多くの関連遺伝子の発現を誘導することができる。また、リン酸化されたCD19も、細胞膜上のPI3Kδを動員し、PI3Kδを活性化し、PIP2によるPIP3の生成に触媒作用を及ぼし、AKTを活性化し、細胞の増殖、移動、アポトーシスなどのプロセスを促進することができる(N Engl J Med, 379, 2052-2062)。B細胞の機能を調節する他に、最近の研究報告によると、PI3Kδの活性化は、Treg細胞の発達、成熟及び動員を促進することができる(Cancer Immunol Res, 2, 1080-1089)。PI3Kδの阻害は、CD8+記憶T細胞の増殖と生存を促進することができる(Cancer Res, 77, 4135-4145)。従って、PI3Kδは、B細胞リンパ腫を治療する理想的な標的の一つであり、選択的なPI3Kδ阻害剤を血液腫瘍治療薬として開発することは、ますます重視されるようになる。
【0004】
イデラリシブ(Idelalisib)は、初めての販売が承認されたPI3Kδ選択的阻害剤であり、2014年に慢性リンパ球白血病(CLL)、濾胞性リンパ腫(FL)と小リンパ球性リンパ腫(SLL)の治療に承認された。その後、2018年にDuvelisib(PI3Kδとγに作用する)は、慢性リンパ性白血病(CLL)と濾胞性リンパ腫(FL)の治療に承認された。PI3Kδ阻害剤は、これらの血液腫瘍の治療においてかなりの効果を上げたが、早期の上記阻害剤は一般的に、PI3Kキナーゼに対する選択性が比較的悪いので、薬剤に関連する肝毒性及び胃腸管毒性や副作用が多く臨床的に認められた。PI3Kδ阻害剤の潜在的な副作用を更に低減するために、ここ数年で、多くの会社は第2世代の高選択性のPI3Kδ阻害剤を積極的に開発しており、代表的なものとして、Parsaclisib、ME-401とIOA-244などがあり、これらの薬剤は現在、それぞれ異なる臨床段階にある。
【0005】
IOA-244は、iOnctura社により開発された第2世代のPI3Kδ阻害剤である(WO2011058149、WO2014121901)。従来のPI3Kδ阻害剤と比べ、ATP非競合的な阻害剤であるという特徴によって、この薬剤は、PI3Kδアイソフォームへの阻害に高い選択性を有するようになる。
【0006】
現在市販されている第1世代のPI3Kδ阻害剤は、何れも副作用が比較的顕著で、このタイプの薬剤のより多くの患者集団における使用が制限されているので、第2世代の高選択性のPI3Kδ阻害剤の開発は、関連患者集団において満たされていない大きな医学的ニーズが存在している。
【0007】
現在、関連する特許出願は、WO2011058149A1、WO2015196759A1、WO2015196335A1、WO2014209980A1、WO2004069824A1などを含む。
【発明の概要】
【0008】
本開示は、一般式(I)で示される化合物又はその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態、又はその薬学的に許容される塩を提供することを目的とする:
【化1】
そのうち、
、R、R、R、R、R、RとRは同じであるか、又は異なり、且つそれぞれ独立的に水素原子、アルキル基、ハロゲン、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、シアノ基、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基、-(CHNR、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、シクロアルキルオキシ基、ヘテロシクリル基、ヘテロシクリルアルキル基、ヘテロシクリルオキシ基、アリール基とヘテロアリール基から選ばれ、そのうち、上記アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基とヘテロアリール基は、それぞれ独立して任意選択的にハロゲン、アルキル基、ハロアルキル基、シアノ基、ニトロ基、-(CHNRと-ORから選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、そのうち、R、R、R、R、R、R、RとRのうちの少なくとも2つは、、それらの結合する炭素原子と一緒になって、その結合したヘテロ環においてスピロ環を形成し、上記スピロ環は任意選択的に1つ又は複数のR’で置換され、
R’は同じであるか、又は異なり、且つそれぞれ独立的に水素原子、アルキル基、ハロゲン、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、シアノ基、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基、-(CHNRとニトロ基から選ばれ、
は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基とヘテロアリール基から選ばれ、上記アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基とヘテロアリール基は、それぞれ独立して任意選択的にハロゲン、アルキル基、ハロアルキル基、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシアルキル基、-(CHNR、-OR、-COR、-COOR、-OS(O)、-S(O)、-NRCOR、-NRSOとRから選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、
上記Rは、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキルアルキル基、ヘテロシクリルアルキル基、アリールアルキル基とヘテロアリールアルキル基から選ばれ、上記Rは、それぞれ独立して任意選択的にハロゲン、アルキル基、ハロアルキル基、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシアルキル基、-(CHNR、-OR、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、ヘテロシクリル基、ヘテロシクリルアルキル基、アリール基とヘテロアリール基から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、
とRは同じであるか、又は異なり、且つそれぞれ独立的に水素原子、ハロゲン、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロシクリル基、ヘテロアリール基、シクロアルキルアルキル基、アリールアルキル基、ヘテロシクリルアルキル基とヘテロアリールアルキル基から選ばれ、そのうち、上記アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基とヘテロアリール基は、それぞれ独立して任意選択的にアルキル基、ハロアルキル基、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、-(CHNR、-OR、-COR、-COOR、-OS(O)、-S(O)、-NRCORと-NRSOから選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、
は同じであるか、又は異なり、且つそれぞれ独立的に水素原子、ハロゲン、アルキル基、ハロアルキル基、シアノ基、ニトロ基、-(CHNR、-OR、-COR、-COOR、-OS(O)、-S(O)、-NRCOR、-NRSO、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基とヘテロアリール基から選ばれ、そのうち、上記アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基とヘテロアリール基は、それぞれ独立して任意選択的にアルキル基、ハロアルキル基、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、-(CHNR、-OR、-COR、-COOR、-OS(O)、-S(O)、-NRCORと-NRSOから選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、
又は、2つの隣接するRは、それらの結合する炭素原子と一緒になって、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基又はヘテロアリール基を形成し、上記シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基とヘテロアリール基は、それぞれ独立して任意選択的に水素原子、アルキル基、ハロゲン、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基とヘテロアリール基から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、
は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基とアリール基から選ばれ、そのうち、上記アルキル基、シクロアルキル基とアリール基は、それぞれ独立して任意選択的にアルキル基、アルコキシ基、オキソ基、ハロゲン、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基とヘテロアリール基から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、
、R、RとRは同じであるか、又は異なり、且つそれぞれ独立的に水素原子、アルキル基、ハロアルキル基、ヒドロキシアルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基とヘテロアリール基から選ばれ、
又は、RとR、RとRは、それらの結合する窒素原子と一緒になってヘテロシクリル基を形成し、上記ヘテロシクリル基は、任意選択的にアルキル基、アルコキシ基、オキソ基、ハロゲン、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基とヘテロアリール基から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、
とRは同じであるか、又は異なり、且つそれぞれ独立的に水素原子、ハロゲン、アルキル基、ハロアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、-(CHNR、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基とヘテロアリール基から選ばれ、そのうち、上記アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基とヘテロアリール基は、それぞれ独立して任意選択的にハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルキル基、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、シクロアルキル基とヘテロシクリル基から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、
nは1又は2であり、
qは0、1、2、3又は4であり、
sとyは同じであるか、又は異なり、それぞれ独立的に0、1、2、3、4又は5から選ばれ、且つ
tとxは同じであるか、又は異なり、それぞれ独立的に0、1又は2から選ばれる。
【0009】
本開示は、更に、一般式(I)で示される化合物又はその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態、又はその薬学的に許容される塩を提供することを目的とする:
【化2】
そのうち、
、R、R、R、RとRは同じであるか、又は異なり、且つそれぞれ独立的に水素原子、アルキル基、ハロゲン、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、シアノ基、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基、-(CHNR、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、シクロアルキルオキシ基、ヘテロシクリル基、ヘテロシクリルアルキル基、ヘテロシクリルオキシ基、アリール基とヘテロアリール基から選ばれ、そのうち、上記アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基とヘテロアリール基は、それぞれ独立して任意選択的にハロゲン、アルキル基、ハロアルキル基、シアノ基、ニトロ基、-(CHNRと-ORから選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、
、Rは、それらの結合する炭素原子と一緒になって、その結合したヘテロ環においてスピロ環を形成し、上記スピロ環は、任意選択的に1つ又は複数のR’で置換され、
R’は同じであるか、又は異なり、且つそれぞれ独立的に水素原子、アルキル基、ハロゲン、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、シアノ基、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基、-(CHNRとニトロ基から選ばれ、
は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基とヘテロアリール基から選ばれ、上記アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基とヘテロアリール基は、それぞれ独立して任意選択的にハロゲン、アルキル基、ハロアルキル基、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシアルキル基、-(CHNR、-OR、-COR、-COOR、-OS(O)、-S(O)、-NRCOR、-NRSOとRから選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、
上記Rは、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキルアルキル基、ヘテロシクリルアルキル基、アリールアルキル基とヘテロアリールアルキル基から選ばれ、上記Rは、それぞれ独立して任意選択的にハロゲン、アルキル基、ハロアルキル基、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシアルキル基、-(CHNR、-OR、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、ヘテロシクリル基、ヘテロシクリルアルキル基、アリール基とヘテロアリール基から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、
とRは同じであるか、又は異なり、且つそれぞれ独立的に水素原子、ハロゲン、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロシクリル基、ヘテロアリール基、シクロアルキルアルキル基、アリールアルキル基、ヘテロシクリルアルキル基とヘテロアリールアルキル基から選ばれ、そのうち、上記アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基とヘテロアリール基は、それぞれ独立して任意選択的にアルキル基、ハロアルキル基、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、-(CHNR、-OR、-COR、-COOR、-OS(O)、-S(O)、-NRCORと-NRSOから選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、
は同じであるか、又は異なり、且つそれぞれ独立的に水素原子、ハロゲン、アルキル基、ハロアルキル基、シアノ基、ニトロ基、-(CHNR、-OR、-COR、-COOR、-OS(O)、-S(O)、-NRCOR、-NRSO、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基とヘテロアリール基から選ばれ、そのうち、上記アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基とヘテロアリール基は、それぞれ独立して任意選択的にアルキル基、ハロアルキル基、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、-(CHNR、-OR、-COR、-COOR、-OS(O)、-S(O)、-NRCORと-NRSOから選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、
又は、2つの隣接するRは、それらの結合する炭素原子と一緒になって、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基又はヘテロアリール基を形成し、上記シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基とヘテロアリール基は、それぞれ独立して任意選択的に水素原子、アルキル基、ハロゲン、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基とヘテロアリール基から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、
は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基とアリール基から選ばれ、そのうち、上記アルキル基、シクロアルキル基とアリール基は、それぞれ独立して任意選択的にアルキル基、アルコキシ基、オキソ基、ハロゲン、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基とヘテロアリール基から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、
、R、RとRは同じであるか、又は異なり、且つそれぞれ独立的に水素原子、アルキル基、ハロアルキル基、ヒドロキシアルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基とヘテロアリール基から選ばれ、
又は、RとR、RとRは、それらの結合する窒素原子と一緒になってヘテロシクリル基を形成し、上記ヘテロシクリル基は、任意選択的にアルキル基、アルコキシ基、オキソ基、ハロゲン、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基とヘテロアリール基から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、
とRは同じであるか、又は異なり、且つそれぞれ独立的に水素原子、ハロゲン、アルキル基、ハロアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、-(CHNR、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基とヘテロアリール基から選ばれ、そのうち、上記アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基とヘテロアリール基は、それぞれ独立して任意選択的にハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルキル基、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、シクロアルキル基とヘテロシクリル基から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、
nは1又は2であり、
qは0、1、2、3又は4であり、
sとyは同じであるか、又は異なり、且つそれぞれ独立的に0、1、2、3、4又は5から選ばれ、且つ
tとxは同じであるか、又は異なり、且つそれぞれ独立的に0、1又は2から選ばれる。
【0010】
本開示の幾つかの好ましい実施形態において、一般式(I)で示される化合物又はその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態、又はその薬学的に許容される塩であり、そのうち、RとRは、それらの結合する炭素と一緒になって、その結合したヘテロ環においてスピロ環を形成し、好ましくはスピロ3員~6員環を形成し、より好ましくはスピロ3員~6員炭素環を形成し、更に好ましくはスピロシクロプロピル基を形成する。
【0011】
本開示の幾つかの好ましい実施形態において、一般式(I)で示される化合物又はその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態、又はその薬学的に許容される塩であり、それは、一般式(II)で示される化合物又はその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態、又はその薬学的に許容される塩である:
【化3】
そのうち、mは0、1、2又は3であり、
R’、R~R、R~Rとqは、一般式(I)に定義された通りである。
【0012】
本開示の幾つかの好ましい実施形態において、一般式(I)又は(II)で示される化合物又はその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態、又はその薬学的に許容される塩であり、そのうち、Rはアリール基又はヘテロアリール基であり、上記アリール基とヘテロアリール基は、それぞれ独立して任意選択的にハロゲン、アルキル基、ハロアルキル基、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシアルキル基、-(CHNR、-OR、-COR、-COOR、-OS(O)、-S(O)、-NRCOR、-NRSOとRから選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、
上記Rは、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキルアルキル基、ヘテロシクリルアルキル基、アリールアルキル基とヘテロアリールアルキル基から選ばれ、上記Rは、それぞれ独立して任意選択的にハロゲン、アルキル基、ハロアルキル基と-ORから選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、
、R、R、R、yとtは、一般式(I)又は(II)に定義された通りである。
【0013】
本開示の幾つかの好ましい実施形態において、一般式(I)又は(II)で示される化合物又はその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態、又はその薬学的に許容される塩であり、そのうち、Rはアリール基又はヘテロアリール基であり、上記アリール基とヘテロアリール基は、それぞれ独立して任意選択的にRで置換され、上記Rは、シクロアルキルアルキル基、ヘテロシクリルアルキル基、アリールアルキル基とヘテロアリールアルキル基から選ばれ、上記Rは、それぞれ独立して任意選択的にハロゲン、アルキル基とハロアルキル基から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、
好ましくは、Rはアリール基であり、上記アリール基は、任意選択的にヘテロシクリルアルキル基で置換され、上記ヘテロシクリルアルキル基は、任意選択的にハロゲン、アルキル基とハロアルキル基から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、
更に好ましくは、Rは6員~10員アリール基であり、上記6員~10員アリール基は、任意選択的に3員~8員ヘテロシクリルC1-6アルキル基で置換され、上記3員~8員ヘテロシクリルC1-6アルキル基は、任意選択的にハロゲン、C1-6アルキル基とC1-6ハロアルキル基から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、
より好ましくは、Rはフェニル基であり、上記フェニル基はモルホリニルメチル基で置換され、更により好ましくは、R
【化4】
である。
【0014】
本開示の幾つかの好ましい実施形態において、一般式(I)又は(II)で示される化合物又はその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態、又はその薬学的に許容される塩であり、それは、一般式(III)で示される化合物又はその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態、又はその薬学的に許容される塩である:
【化5】
そのうち、
10は同じであるか、又は異なり、且つそれぞれ独立的に水素原子、ハロゲン、アルキル基、ハロアルキル基、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシアルキル基、-(CHNR、-OR、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基とヘテロアリール基から選ばれ、そのうち、上記シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基とヘテロアリール基は、それぞれ独立して任意選択的にアルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基と-(CHNRから選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、
11は同じであるか、又は異なり、且つそれぞれ独立的に水素原子、ハロゲン、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基、シアノ基、ニトロ基、-(CHNR、シクロアルキル基、シクロアルキルオキシ基とシクロアルキルアルキル基から選ばれ、
それぞれのR12は同じであるか、又は異なり、且つそれぞれ独立的に水素原子、ハロゲン、アルキル基、ハロアルキル基、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシアルキル基、-(CHNR、-OR、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、ヘテロシクリル基、ヘテロシクリルアルキル基、アリール基とヘテロアリール基から選ばれ、uが2以上である場合、2つのR12は、モルホリン環においてスピロ環又は架橋環系を形成してもよく、
wは0、1、2、3又は4であり、
uは0、1、2、3、4、5又は6であり、
R’、R~R、R~R、R~R、s、m、yとqは、一般式(I)又は(II)に定義された通りである。
【0015】
本開示の幾つかの好ましい実施形態において、一般式(I)、(II)又は(III)で示される化合物又はその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態、又はその薬学的に許容される塩であり、そのうち、R’は同じであるか、又は異なり、且つそれぞれ独立的に水素原子、アルキル基とハロゲンから選ばれ、好ましくは、R’は同じであるか、又は異なり、それぞれ独立的に水素原子、C1-6アルキル基とハロゲンから選ばれ、より好ましくは水素原子である。
【0016】
本開示の幾つかの好ましい実施形態において、一般式(I)、(II)又は(III)で示される化合物又はその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態、又はその薬学的に許容される塩であり、そのうち、RとRは同じであるか、又は異なり、且つそれぞれ独立的に水素原子、ハロゲン、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基とシクロアルキルアルキル基から選ばれ、そのうち、上記アルキル基とシクロアルキル基は、それぞれ独立して任意選択的にアルキル基、ハロアルキル基、ハロゲン、シアノ基と-ORから選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、Rは、一般式(I)に定義された通りであり、
好ましくは、RとRは同じであるか、又は異なり、且つそれぞれ独立的に水素原子、ハロゲンとC1-6アルキル基から選ばれ、より好ましくは、RとRは何れも水素原子である。
【0017】
本開示の幾つかの好ましい実施形態において、一般式(I)、(II)又は(III)で示される化合物又はその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態、又はその薬学的に許容される塩であり、そのうち、Rは同じであるか、又は異なり、且つそれぞれ独立的に水素原子、ハロゲン、アルキル基、ハロアルキル基、シアノ基、ニトロ基、-(CHNRと-ORから選ばれ、R、R、R、sは、一般式(I)に定義された通りであり、
好ましくは、Rは同じであるか、又は異なり、且つそれぞれ独立的に水素原子、ハロゲン、ハロC1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基とC1-6アルキル基から選ばれ、
より好ましくは、Rは同じであるか、又は異なり、且つそれぞれ独立的に水素原子、ハロゲンとC1-6アルキル基から選ばれ、更に好ましくはフッ素である。
【0018】
本開示の幾つかの好ましい実施形態において、一般式(I)、(II)又は(III)で示される化合物又はその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態、又はその薬学的に許容される塩であり、そのうち、Rは、水素原子、アルキル基とシクロアルキル基から選ばれ、そのうち、上記アルキル基とシクロアルキル基は、それぞれ独立して任意選択的にアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン、ヒドロキシ基とヒドロキシアルキル基から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、好ましくは、Rは水素原子又はC1-6アルキル基である。
【0019】
本開示の幾つかの好ましい実施形態において、一般式(I)、(II)又は(III)で示される化合物、又はその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態、又はその薬学的に許容される塩であり、そのうち、RとRは同じであるか、又は異なり、且つそれぞれ独立的に水素原子、アルキル基、ハロアルキル基とシクロアルキル基から選ばれ、又はRとRは、それらの結合する窒素原子と一緒になってヘテロシクリル基を形成し、上記ヘテロシクリル基は、任意選択的にアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン、ヒドロキシアルキル基とシクロアルキル基から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、
好ましくは、RとRは同じであるか、又は異なり、且つそれぞれ独立的に水素原子、C1-6アルキル基とC1-6ハロアルキル基から選ばれ、又はRとRは、それらの結合する窒素原子と一緒になってヘテロシクリル基を形成し、上記ヘテロシクリル基は、任意選択的にC1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基とハロゲンから選ばれる1つ又は複数の置換基で置換される。
【0020】
本開示の幾つかの好ましい実施形態において、一般式(I)、(II)又は(III)で示される化合物、又はその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態、又はその薬学的に許容される塩であり、そのうち、RとRは同じであるか、又は異なり、且つそれぞれ独立的に水素原子、アルキル基、ハロアルキル基、ヒドロキシアルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基とヘテロアリール基から選ばれ、そのうち、上記アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基とヘテロアリール基は、それぞれ独立して任意選択的にハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルキル基、シアノ基とアミノ基から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、
好ましくは、RとRは同じであるか、又は異なり、且つそれぞれ独立的に水素原子、アルキル基、ハロアルキル基とシクロアルキル基から選ばれ、そのうち、上記アルキル基とシクロアルキル基は、それぞれ独立して任意選択的にハロゲン、アルキル基、アルコキシ基とハロアルキル基から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、
より好ましくは、RとRは同じであるか、又は異なり、且つそれぞれ独立的に水素原子、C1-6アルキル基とC1-6ハロアルキル基から選ばれる。
【0021】
本開示の幾つかの好ましい実施形態において、一般式(III)で示される化合物又はその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態、又はその薬学的に許容される塩であり、そのうち、R10は同じであるか、又は異なり、且つそれぞれ独立的に水素原子、ハロゲン、アルキル基、ハロアルキル基、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシアルキル基、-(CHNRと-ORから選ばれ、R、R、Rとsは一般式(III)に定義された通りであり、
好ましくは、R10は同じであるか、又は異なり、且つそれぞれ独立的に水素原子、ハロゲンとC1-6アルキル基であり、より好ましくは水素原子である。
【0022】
本開示の幾つかの好ましい実施形態において、一般式(III)で示される化合物又はその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態、又はその薬学的に許容される塩であり、そのうち、R11は同じであるか、又は異なり、且つそれぞれ独立的に水素原子、ハロゲン、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基、シアノ基と-(CHNRから選ばれ、R、Rとyは一般式(III)に定義された通りであり、
好ましくは、R11は同じであるか、又は異なり、且つそれぞれ独立的に水素原子、ハロゲンとC1-6アルキル基であり、より好ましくは水素原子である。
【0023】
本開示の幾つかの好ましい実施形態において、一般式(III)で示される化合物又はその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態、又はその薬学的に許容される塩であり、そのうち、R12は同じであるか、又は異なり、且つそれぞれ独立的に水素原子、ハロゲン、アルキル基、ハロアルキル基、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシアルキル基、-(CHNRと-ORから選ばれ、R、R、Rとyは、一般式(III)に定義された通りであり、
好ましくは、R12は同じであるか、又は異なり、且つそれぞれ独立的に水素原子、ハロゲンとC1-6アルキル基であり、より好ましくは水素原子である。
【0024】
本開示の幾つかの好ましい実施形態において、一般式(I)、(II)又は(III)で示される化合物、又はその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態、又はその薬学的に許容される塩であり、そのうち、R~Rは同じであるか、又は異なり、且つそれぞれ独立的に水素原子、ハロゲン、アルキル基、シアノ基、ヒドロキシ基とヒドロキシアルキル基から選ばれ、
好ましくは、R~Rは同じであるか、又は異なり、且つそれぞれ独立的に水素原子、ハロゲンとC1-6アルキル基から選ばれ、より好ましくは、R~Rは何れも水素原子である。
【0025】
本開示の幾つかの好ましい実施形態において、一般式(I)で示される化合物又はその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態、又はその薬学的に許容される塩であり、そのうち、nは1である。
【0026】
本開示の幾つかの好ましい実施形態において、一般式(I)、(II)又は(III)で示される化合物又はその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態、又はその薬学的に許容される塩であり、そのうち、qは0、1、2又は3であり、好ましくは1である。
【0027】
本開示の幾つかの好ましい実施形態において、一般式(I)、(II)又は(III)で示される化合物又はその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態、又はその薬学的に許容される塩であり、そのうち、sとyは同じであるか、又は異なり、且つそれぞれ独立的に0又は1から選ばれ、好ましくは0である。
【0028】
本開示の幾つかの好ましい実施形態において、一般式(I)、(II)又は(III)で示される化合物又はその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態、又はその薬学的に許容される塩であり、そのうち、tとxは同じであるか、又は異なり、且つそれぞれ独立的に0又は2から選ばれ、好ましくは2である。
【0029】
本開示の幾つかの好ましい実施形態において、一般式(II)又は(III)で示される化合物又はその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態、又はその薬学的に許容される塩であり、そのうち、mは0、1又は2であり、好ましくは0又は1であり、より好ましくは0である。
【0030】
本開示の幾つかの好ましい実施形態において、一般式(III)で示される化合物又はその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態、又はその薬学的に許容される塩であり、そのうち、uは0、1、2又は3であり、好ましくは0又は1であり、より好ましくは0である。
【0031】
本開示の幾つかの好ましい実施形態において、一般式(III)で示される化合物又はその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態、又はその薬学的に許容される塩であり、そのうち、wは0、1又は2であり、好ましくは0又は1であり、より好ましくは0である。
【0032】
本開示の幾つかの好ましい実施形態において、一般式(III)で示される化合物又はその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩であり、そのうち、R’、R10、R12、R、R、R、R、RとRは同じであるか、又は異なり、且つそれぞれ独立的に水素原子、ハロゲンとC1-6アルキル基から選ばれ、mは0又は1であり、wは0又は1であり、uは0又は1であり、R11、RとRは同じであるか、又は異なり、且つそれぞれ独立的に水素原子、ハロゲンとC1-6アルキル基から選ばれ、Rは同じであるか、又は異なり、且つそれぞれ独立的に水素原子、ハロゲン、ハロC1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基とC1-6アルキル基から選ばれ、且つqは1である。
【0033】
表A 本開示の典型的な化合物は、次のものを含むが、これらに限定されない:
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【0034】
本開示の別の態様は、一般式(I)で示される化合物又はその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態、又はその薬学的に許容される塩を調製する方法に関し、当該方法は、
【化6】
一般式(IA)の化合物又はその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩を一般式(IB)の化合物又はその薬学的に許容される塩と反応させ、一般式(I)の化合物又はその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態、又はその薬学的に許容される塩を得るステップを含み、
そのうち、R~R、R~R、nとqは、一般式(I)に定義された通りである。
【0035】
本開示の別の態様は、一般式(II)で示される化合物又はその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態、又はその薬学的に許容される塩を調製する方法に関し、当該方法は、
【化7】
一般式(IA)の化合物又はその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩を一般式(IIB)の化合物又はその薬学的に許容される塩と反応させ、一般式(II)の化合物又はその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態、又はその薬学的に許容される塩を得るステップを含み、
そのうち、R’、R~R、R~R、mとqは、一般式(II)に定義された通りである。
【0036】
本開示の別の態様は、一般式(III)で示される化合物又はその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態、又はその薬学的に許容される塩を調製する方法に関し、当該方法は、
【化8】
一般式(IIIA)の化合物又はその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩を一般式(IIB)又はその薬学的に許容される塩と反応させ、一般式(III)の化合物又はその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態、又はその薬学的に許容される塩を得るステップを含み、
そのうち、R’、R~R、R~R、R10~R12、q、u、wとmは、一般式(III)に定義された通りである。
【0037】
本開示の別の態様は、本開示に係る一般式(I)、(II)、(III)又は表Aに示される化合物又はその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態、又はその薬学的に許容される塩と、1種又は複数種の薬学的に許容されるベクター、希釈剤又は賦形剤とを含む医薬組成物に関する。
【0038】
本開示は、更に、一般式(I)、(II)、(III)又は表Aに示される化合物又はその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態、又はその薬学的に許容される塩、或いはそれらを含む医薬組成物の、PI3Kδを阻害する薬剤の調製における用途に関する。
【0039】
本開示は、更に、一般式(I)、(II)、(III)又は表Aに示される化合物又はその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態、又はその薬学的に許容される塩、或いはそれらを含む医薬組成物の、炎症性疾患、自己免疫性疾患、がん及び関連疾患を治療及び/又は予防する薬剤の調製における用途に関し、上記がんは、黒色腫、皮膚がん、肝がん、腎がん、肺がん、鼻咽頭がん、胃がん、食道がん、大腸がん、胆嚢がん、胆管がん、絨毛上皮腫、膵臓がん、真性赤血球増加症、小児腫瘍、子宮頸がん、卵巣がん、乳がん、膀胱がん、尿路上皮がん、尿管腫瘍、前立腺がん、精原細胞瘤、精巣腫瘍、白血病、頭頸部腫瘍、子宮内膜がん、甲状腺がん、リンパ腫、肉腫、骨腫、神経芽腫、神経芽細胞腫、神経内分泌がん、脳腫瘍、CNSがん、骨髄腫、星状細胞腫、膠芽細胞腫と神経膠腫(上記腫瘍は何れも対応する悪性腫瘍)から選ばれることが好ましく、上記白血病は、慢性リンパ球白血病、急性リンパ球性白血病(ALL)、急性骨髄細胞白血病(AML)、慢性骨髄細胞白血病(CML)と有毛細胞白血病から選ばれることが好ましく、上記リンパ腫は、小リンパ球リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、非ホジキンリンパ腫(NHL)、リンパ形質細胞性リンパ腫、節外性辺縁帯リンパ腫、T細胞リンパ腫、B細胞リンパ腫とびまん性大細胞型B細胞リンパ腫から選ばれることが好ましく、上記肺がんは非小細胞肺がん又は小細胞肺がんが好ましく、上記骨髄腫は多発性骨髄腫(MM)が好ましく、上記自己免疫性疾患は、喘息、関節リウマチ、急性播種性脳脊髄炎(ADEM)、アジソン病、円形脱毛症、強直性脊椎炎、抗リン脂質症候群(APS)、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫性内耳疾患、天疱瘡、類天疱瘡、ベーチェット病、セリアック病、抗-トランスグルタミナーゼ、シャーガス病、慢性閉塞性肺疾患、クローン病、皮膚筋炎、1型糖尿病、子宮内膜症、肺腎症候群、グレーブス病、ギラン・バレー症候群(GBS)、橋本病、汗腺膿瘍、川崎病、lgA腎症、免疫性血小板減少性紫斑病、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、間質性膀胱炎、ループス、ループス腎炎、膜性腎症、混合性結合組織疾患、限局性強皮症、多発性硬化症(MS)、重症筋無力症、猝睡症、ニューロミオトニア、悪性貧血、乾癬、乾癬性関節炎、多発性筋炎、原発性胆汁性肝硬変、統合失調症、強皮症、眼球口腔乾燥症候群、シェーグレン症候群、スティフマン症候群、側頭動脈炎、潰瘍性結腸炎、血管炎、白斑とウェゲナー肉芽腫症から選ばれることが好ましく、上記ループスはエリテマトーデス又は全身性エリテマトーデスが好ましく、上記天疱瘡は尋常性天疱瘡が好ましく、上記肝がんは肝細胞がんが好ましく、上記頭頸部腫瘍は頭頸部扁平上皮がんが好ましく、上記肉腫は骨肉腫又は軟部組織肉腫が好ましく、上記大腸がんは結腸がん又は直腸がんが好ましい。
【0040】
本開示は、更に、PI3Kδを阻害する方法に関し、それは、必要とする患者に阻害有効量の一般式(I)、(II)、(III)又は表Aに示される化合物又はその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態、又はその薬学的に許容される塩、或いはそれらを含む医薬組成物を投与することを含む。
【0041】
本開示は、更に、PI3Kδ媒介性の疾患を治療及び/又は予防する方法に関し、それは、必要とする患者に治療有効量の一般式(I)、(II)、(III)又は表Aに示される化合物又はその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー又はその混合物の形態、又はその薬学的に許容される塩、或いはそれらを含む医薬組成物を投与することを含む。
【0042】
本開示は、更に、炎症性疾患、自己免疫性疾患、がん及び関連疾患を治療及び/又は予防する方法に関し、それは、必要とする患者に治療又は予防有効量の一般式(I)、(II)、(III)又は表Aに示される化合物又はその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態、又はその薬学的に許容される塩、或いはそれらを含む医薬組成物を投与することを含み、上記がんは、黒色腫、皮膚がん、肝がん、腎がん、肺がん、鼻咽頭がん、胃がん、食道がん、大腸がん、胆嚢がん、胆管がん、絨毛上皮腫、膵臓がん、真性赤血球増加症、小児腫瘍、子宮頸がん、卵巣がん、乳がん、膀胱がん、尿路上皮がん、尿管腫瘍、前立腺がん、精原細胞瘤、精巣腫瘍、白血病、頭頸部腫瘍、子宮内膜がん、甲状腺がん、リンパ腫、肉腫、骨腫、神経芽腫、神経芽細胞腫、神経内分泌がん、脳腫瘍、CNSがん、骨髄腫、星状細胞腫、膠芽細胞腫と神経膠腫から選ばれることが好ましく、上記白血病は、慢性リンパ球白血病、急性リンパ球性白血病(ALL)、急性骨髄細胞白血病(AML)、慢性骨髄細胞白血病(CML)と有毛細胞白血病から選ばれることが好ましく、上記リンパ腫は、小リンパ球リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、非ホジキンリンパ腫(NHL)、リンパ形質細胞性リンパ腫、節外性辺縁帯リンパ腫、T細胞リンパ腫、B細胞リンパ腫とびまん性大細胞型B細胞リンパ腫から選ばれることが好ましく、上記肺がんは非小細胞肺がん又は小細胞肺がんが好ましく、上記骨髄腫は多発性骨髄腫(MM)が好ましく、上記自己免疫性疾患は、喘息、関節リウマチ、急性播種性脳脊髄炎(ADEM)、アジソン病、円形脱毛症、強直性脊椎炎、抗リン脂質症候群(APS)、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫性内耳疾患、天疱瘡、類天疱瘡、ベーチェット病、セリアック病、抗-トランスグルタミナーゼ、シャーガス病、慢性閉塞性肺疾患、クローン病、皮膚筋炎、1型糖尿病、子宮内膜症、肺腎症候群、グレーブス病、ギラン・バレー症候群(GBS)、橋本病、汗腺膿瘍、川崎病、lgA腎症、免疫性血小板減少性紫斑病、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、間質性膀胱炎、ループス、ループス腎炎、膜性腎症、混合性結合組織疾患、限局性強皮症、多発性硬化症(MS)、重症筋無力症、ナルコレプシー、ニューロミオトニア、悪性貧血、乾癬、乾癬性関節炎、多発性筋炎、原発性胆汁性肝硬変、統合失調症、強皮症、眼球口腔乾燥症候群、シェーグレン症候群、スティフマン症候群、側頭動脈炎、潰瘍性結腸炎、血管炎、白斑とウェゲナー肉芽腫症から選ばれることが好ましく、上記ループスはエリテマトーデス又は全身性エリテマトーデスが好ましく、上記天疱瘡は尋常性天疱瘡が好ましく、上記肝がんは肝細胞がんが好ましく、上記頭頸部腫瘍は頭頸部扁平上皮がんが好ましく、上記肉腫は骨肉腫又は軟部組織肉腫が好ましく、上記大腸がんは結腸がん又は直腸がんが好ましい。
【0043】
本開示は、更に、薬剤として利用される、一般式(I)、(II)、(III)又は表Aに示される化合物又はその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態、又はその薬学的に許容される塩、或いはそれらを含む医薬組成物に関する。
【0044】
本開示は、更に、PI3Kδ阻害剤として利用される、一般式(I)、(II)、(III)又は表Aに示される化合物又はその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態、又はその薬学的に許容される塩、或いはそれらを含む医薬組成物に関する。
【0045】
本開示は、更に、PI3Kδ媒介性の疾患を治療及び/又は予防するための一般式(I)、(II)、(III)又は表Aに示される化合物又はその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態、又はその薬学的に許容される塩、或いはそれらを含む医薬組成物に関する。
【0046】
本開示は、更に、炎症性疾患、自己免疫性疾患、がん及び関連疾患を治療及び/又は予防するための一般式(I)、(II)、(III)又は表Aに示される化合物又はその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態、又はその薬学的に許容される塩、或いはそれらを含む医薬組成物に関し、上記がんは、黒色腫、皮膚がん、肝がん、腎がん、肺がん、鼻咽頭がん、胃がん、食道がん、大腸がん、胆嚢がん、胆管がん、絨毛上皮腫、膵臓がん、真性赤血球増加症、小児腫瘍、子宮頸がん、卵巣がん、乳がん、膀胱がん、尿路上皮がん、尿管腫瘍、前立腺がん、精原細胞瘤、精巣腫瘍、白血病、頭頸部腫瘍、子宮内膜がん、甲状腺がん、リンパ腫、肉腫、骨腫、神経芽腫、神経芽細胞腫、神経内分泌がん、脳腫瘍、CNSがん、骨髄腫、星状細胞腫、膠芽細胞腫と神経膠腫から選ばれることが好ましく、上記白血病は、慢性リンパ球白血病、急性リンパ球性白血病(ALL)、急性骨髄細胞白血病(AML)、慢性骨髄細胞白血病(CML)と有毛細胞白血病から選ばれることが好ましく、上記リンパ腫は、小リンパ球リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、非ホジキンリンパ腫(NHL)、リンパ形質細胞性リンパ腫、節外性辺縁帯リンパ腫、T細胞リンパ腫、B細胞リンパ腫とびまん性大細胞型B細胞リンパ腫から選ばれることが好ましく、上記肺がんは非小細胞肺がん又は小細胞肺がんが好ましく、上記骨髄腫は多発性骨髄腫(MM)が好ましく、上記自己免疫性疾患は、喘息、関節リウマチ、急性播種性脳脊髄炎(ADEM)、アジソン病、円形脱毛症、強直性脊椎炎、抗リン脂質症候群(APS)、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫性内耳疾患、天疱瘡、類天疱瘡、ベーチェット病、セリアック病、抗-トランスグルタミナーゼ、シャーガス病、慢性閉塞性肺疾患、クローン病、皮膚筋炎、1型糖尿病、子宮内膜症、肺腎症候群、グレーブス病、ギラン・バレー症候群(GBS)、橋本病、汗腺膿瘍、川崎病、lgA腎症、免疫性血小板減少性紫斑病、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、間質性膀胱炎、ループス、ループス腎炎、膜性腎症、混合性結合組織疾患、限局性強皮症、多発性硬化症(MS)、重症筋無力症、ナルコレプシー、ニューロミオトニア、悪性貧血、乾癬、乾癬性関節炎、多発性筋炎、原発性胆汁性肝硬変、統合失調症、強皮症、眼球口腔乾燥症候群、シェーグレン症候群、スティフマン症候群、側頭動脈炎、潰瘍性結腸炎、血管炎、白斑とウェゲナー肉芽腫症から選ばれることが好ましく、上記ループスはエリテマトーデス又は全身性エリテマトーデスが好ましく、上記天疱瘡は尋常性天疱瘡が好ましく、上記肝がんは肝細胞がんが好ましく、上記頭頸部腫瘍は頭頸部扁平上皮がんが好ましく、上記肉腫は骨肉腫又は軟部組織肉腫が好ましく、上記大腸がんは結腸がん又は直腸がんが好ましい。
【0047】
活性化合物を任意の適当な経路による投与に適する形態に作製し、通常の方法により、1種又は複数種の薬学的に許容されるベクターを用いて本開示の組成物を調製することができる。従って、本開示の活性化合物は、経口投与、注射(例えば、静脈内、筋肉内又は皮下)投与、吸い込み又は吹き込み投与用の各剤形に調製することができる。本開示の化合物は、例えば、タブレット剤、硬・軟カプセル剤、水性又は油性懸濁液、エマルジョン、注射液、分散性粉末又は顆粒、坐剤、錠剤又はシロップなどの剤形に調製されてもよい。
【0048】
一般的な目安として、本開示の活性化合物は、単位用量の形態、又は患者が単剤で自己投与できる形態であることが好ましい。本開示に係る化合物又は組成物の単位用量の表現形態は、タブレット剤、カプセル、カシェ剤、瓶詰めの薬液、ドラッグパウダー、顆粒剤、錠剤、坐剤、再生粉末又は液体製剤であってもよい。好適な単位用量は、0.1 mg~1000 mgであってもよい。
【0049】
本開示に係る医薬組成物には、活性化合物の他に、1種又は複数種の添加物が含まれてもよく、上記添加物は、充填剤(希釈剤)、結合剤、湿潤剤、崩壊剤や賦形剤などの成分から選ばれる。組成物は、投与方法によって、0.1重量%~99重量%の活性化合物を含んでもよい。
【0050】
タブレット剤は、活性成分と、タブレット剤の調製に適する混合用の無毒性の薬学的に許容される賦形剤と、を含む。これらの賦形剤は、不活性賦形剤、造粒剤、崩壊剤、結合剤及び潤滑剤であってもよい。これらのタブレット剤は、コーティングされなくてもよく、又は、薬剤の味を隠したり胃腸管における崩壊と吸収を遅らせたりすることで、長期間にわたって持続放出効果を果たせる既知の技術によりコーティングされてもよい。
【0051】
その中の活性成分と不活性固体希釈剤、又はその中の活性成分と水溶性ベクター又は油性溶媒を混合したソフトゼラチンカプセルにより、経口製剤を提供してもよい。
【0052】
水性懸濁液は、活性物質と、水性懸濁液の調製に適する混合用の賦形剤と、を含む。このような賦形剤は、懸濁剤、分散剤又は湿潤剤である。水性懸濁液は、1種又は複数種の防腐剤、1種又は複数種の着色剤、1種又は複数種の矯味薬及び1種又は複数種の甘味料を含んでもよい。
【0053】
油性懸濁液は、活性成分を植物油又は鉱油に懸濁させることにより調製することができる。油性懸濁液は、増粘剤を含んでもよい。口当たりの良い製剤を提供するためには、上記甘味料及び矯味薬を加えてもよい。酸化防止剤を加えることにより、これらの組成物を保存することができる。
【0054】
本開示に係る医薬組成物は、水中油型エマルジョンの形態であってもよい。油相は、植物油、又は鉱油、又はそれらの混合物であってもよい。好適な乳化剤は、自然発生のリン脂質であってもよく、エマルジョンは甘味料、矯味薬、防腐剤及び酸化防止剤を含んでもよい。このような製剤は、緩和剤、防腐剤、着色剤及び酸化防止剤を含んでもよい。
【0055】
本開示に係る医薬組成物は、滅菌注射用水溶液の形態であってもよい。使用可能な許容される溶媒又は溶剤としては、水、リンゲル液及び等張塩化ナトリウム液がある。滅菌注射製剤は、その中の活性成分が油相に溶解された滅菌注射水中油型マイクロエマルジョンであってもよく、大量に局所注射することで、注射液又はマイクロエマルジョンを患者の血流に注入することができる。又は、本開示に係る化合物の一定のサイクル濃度を維持可能な方式で、溶液及びマイクロエマルジョンを投与することが好ましい。このような一定の濃度を維持するために、連続静脈内投与装置を使用することができる。このような装置の実例は、Deltec CADD-PLUS. TM. 5400型静脈注射ポンプである。
【0056】
本開示に係る医薬組成物は、筋肉内及び皮下投与に使用される滅菌注射水又は油性懸濁液の形態であってもよい。当該懸濁液は、既知の技術に従って、上記適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤を用いて調製することができる。滅菌注射製剤は、非経口的に許容される無毒性の希釈剤又は溶剤において調製された滅菌注射液又は懸濁液であってもよい。また、滅菌固定油を溶剤又は懸濁媒体として便利に用いることができる。このために、任意の配合用固定油を使用することができる。また、脂肪酸も、注射剤を製造することができる。
【0057】
本開示に係る化合物は、直腸投与用の坐剤の形態で投与されてもよい。これらの医薬組成物は、薬剤と、常温では固体であるが直腸では液体であるため、直腸において溶けて薬物を放出する刺激性のない適切な賦形剤とを混合することにより、調製することができる。
【0058】
本開示の化合物は、水を加えて水性懸濁の分散性粉末と顆粒を調製することにより、投与することができる。これらの医薬組成物は、活性成分と、分散剤や湿潤剤、懸濁剤や1種又は複数種の防腐剤とを混合することにより、調製することができる。
【0059】
当業者によく知られているように、薬剤の投与量は、多くの要因によるものであり、その要因は、使用される具体的な化合物の活性、疾患の重症度、患者の年齢、患者の体重、患者の体調、患者の行動、患者の食事、投与時間、投与方法、排泄速度、薬剤の組成などを含むが、これらに限定されず、また、最適な治療方法、例えば、治療モード、化合物の1日投与量又は薬学的に許容される塩の種類などは、従来の治療計画に従って検証することができる。
【0060】
用語の説明
特に逆の説明がない限り、明細書及び特許請求の範囲に使用される用語は、下記の意味を有する。
【0061】
「アルキル基」という用語は、1個~20個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖基である飽和脂肪族炭化水素基を指し、好ましくは1個~12個(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11及び12個)の炭素原子を含むアルキル基であり、より好ましくは1個~6個の炭素原子(例えば1、2、3、4、5及び6個)を含むアルキル基である。その非限定的な実例は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、sec-ブチル基、n-ペンチル基、1,1-ジメチルプロピル基、1,2-ジメチルプロピル基、2,2-ジメチルプロピル基、1-エチルプロピル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、n-ヘキシル基、1-エチル-2-メチルプロピル基、1,1,2-トリメチルプロピル基、1,1-ジメチルブチル基、1,2-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、1,3-ジメチルブチル基、2-エチルブチル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、4-メチルペンチル基、2,3-ジメチルブチル基、n-ヘプチル基、2-メチルヘキシル基、3-メチルヘキシル基、4-メチルヘキシル基、5-メチルヘキシル基、2,3-ジメチルペンチル基、2,4-ジメチルペンチル基、2,2-ジメチルペンチル基、3,3-ジメチルペンチル基、2-エチルペンチル基、3-エチルペンチル基、n-オクチル基、2,3-ジメチルヘキシル基、2,4-ジメチルヘキシル基、2,5-ジメチルヘキシル基、2,2-ジメチルヘキシル基、3,3-ジメチルヘキシル基、4,4-ジメチルヘキシル基、2-エチルヘキシル基、3-エチルヘキシル基、4-エチルヘキシル基、2-メチル-2-エチルペンチル基、2-メチル-3-エチルペンチル基、n-ノニル基、2-メチル-2-エチルヘキシル基、2-メチル-3-エチルヘキシル基、2,2-ジエチルペンチル基、n-デシル基、3,3-ジエチルヘキシル基、2,2-ジエチルヘキシル基、及びその種々の分岐鎖異性体などを含む。より好ましくは1個~6個の炭素原子を含む低級アルキル基であり、その非限定的な実施例はメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、sec-ブチル基、n-ペンチル基、1,1-ジメチルプロピル基、1,2-ジメチルプロピル基、2,2-ジメチルプロピル基、1-エチルプロピル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、n-ヘキシル基、1-エチル-2-メチルプロピル基、1,1,2-トリメチルプロピル基、1,1-ジメチルブチル基、1,2-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、1,3-ジメチルブチル基、2-エチルブチル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、4-メチルペンチル基、2,3-ジメチルブチル基などを含む。アルキル基は置換されても、置換されなくてもよく、置換される場合、それは任意の利用可能な連結点で置換されてもよく、上記置換基は、独立して任意選択的にD原子、ハロゲン、アルコキシ基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、ヘテロシクリルオキシ基、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基、ヘテロアリール基から選ばれる1つ又は複数の置換基が好ましい。
【0062】
「アルキレン基」という用語は、飽和の直鎖又は分岐鎖の脂肪族炭化水素基を指し、親アルカンの同じ炭素原子又は2つの異なる炭素原子から2つの水素原子を除去して誘導された残基であり、1個~20個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖基であり、好ましくは1個~12個(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11と12個)の炭素原子を含み、より好ましくは1個~6個の炭素原子を含むアルキレン基である。アルキレン基の非限定的な実例は、メチレン(-CH-)、1,1-エチレン(-CH(CH)-)、1,2-エチレン(-CHCH)-、1,1-プロピレン(-CH(CHCH)-)、1,2-プロピレン(-CHCH(CH)-)、1,3-プロピレン(-CHCHCH-)、1,4-ブチレン(-CHCHCHCH-)などを含むが、これらに限定されない。アルキレン基は置換されても、置換されなくてもよく、置換される場合、任意の利用可能な連結点で置換されてもよく、上記置換基は、独立して任意選択的に、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、ヘテロシクリルオキシ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、ハロゲン、メルカプト基、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルコキシ基、ヘテロシクロアルコキシ基、シクロアルキルチオ基、ヘテロシクロアルキルチオ基及びオキソ基から選ばれる1つ又は複数の置換基が好ましい。
【0063】
「アルケニル基」という用語は、分子に少なくとも1つの炭素-炭素二重結合が含まれるアルキル化合物を指し、そのうち、アルキル基の定義は上記の通りである。アルケニル基は、置換されても、置換されなくてもよく、置換される場合に、置換基は、1つ又は複数の以下の基、即ち、独立的にアルコキシ基、ハロゲン、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、ヘテロシクリルオキシ基、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基とヘテロアリール基から選ばれる1つ又は複数の置換基であることが好ましい。
【0064】
「アルキニル基」という用語は、分子に少なくとも1つの炭素-炭素三重結合が含まれるアルキル化合物を指し、そのうち、アルキル基の定義は上記の通りである。アルキニル基は、置換されても、置換されなくてもよく、置換される場合に、置換基は、1つ又は複数の以下の基、即ち、独立的にアルコキシ基、ハロゲン、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、ヘテロシクリルオキシ基、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基とヘテロアリール基から選ばれる1つ又は複数の置換基であることが好ましい。
【0065】
「シクロアルキル基」という用語は、飽和又は部分的に不飽和の単環式又は多環式の環状炭化水素置換基を指し、シクロアルキル環は3個~20個の炭素原子を含み、好ましくは3個~12個の炭素原子を含み、好ましくは3個~8個(例えば、3、4、5、6、7と8個)の炭素原子を含み、より好ましくは3個~6個の炭素原子を含む。単環式シクロアルキル基の非限定的な実例は、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロペンテニル基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基、シクロヘキサジエニル基、シクロヘプチル基、シクロヘプタトリエニル基、シクロオクチル基などを含み、多環式シクロアルキル基は、スピロ環、縮合環及び架橋環のシクロアルキル基を含む。
【0066】
「スピロシクロアルキル基」という用語は、5員~20員で、単環同士が1つの炭素原子(スピロ原子と称する)を共有する多環式基を指し、1つ又は複数の二重結合を含んでもよい。好ましくは6員~14員であり、より好ましくは7員~10員(例えば7、8、9又は10員)である。スピロシクロアルキル基は、環同士の共有するスピロ原子の数により、モノスピロシクロアルキル基、ビススピロシクロアルキル基又はポリスピロシクロアルキル基に分けられ、好ましくはモノスピロシクロアルキル基及びビススピロシクロアルキル基である。より好ましくは、3員/4員、3員/5員、3員/6員、4員/4員、4員/5員、4員/6員、5員/5員、5員/6員又は6員/6員のモノスピロシクロアルキル基である。スピロシクロアルキル基の非限定的な実例は、
【化9】
を含む。
【0067】
「縮合シクロアルキル基」という用語は、5員~20員で、系内の各環が系内の他の環と隣接する1対の炭素原子を共有する全炭素多環式基を指し、そのうち、1つ又は複数の環は1つ又は複数の二重結合を含んでもよい。好ましくは6員~14員であり、より好ましくは7員~10員(例えば7、8、9又は10員)である。構成する環の数によって、二環式、三環式、四環式又は多環式の縮合シクロアルキル基に分けることができ、好ましくは二環式又は三環式であり、より好ましくは3員/4員、3員/5員、3員/6員、4員/4員、4員/5員、4員/6員、5員/4員、5員/5員、5員/6員、6員/3員、6員/4員、6員/5員と6員/6員のビシクロアルキル基である。縮合シクロアルキル基の非限定的な実例は、
【化10】
を含む。
【0068】
「架橋シクロアルキル基」という用語は、5員~20員で、何れか2つの環が直接連結していない2つの炭素原子を共有する全炭素多環式基を指し、1つ又は複数の二重結合を含んでもよい。好ましくは6員~14員であり、より好ましくは7員~10員(例えば7、8、9又は10員)である。構成する環の数によって、二環式、三環式、四環式又は多環式の架橋シクロアルキル基に分けることができ、好ましくは二環式、三環式又は四環式であり、より好ましくは二環式又は三環式である。架橋シクロアルキル基の非限定的な実例は、
【化11】
を含む。
【0069】
上記シクロアルキル環は、上記シクロアルキル基(単環、スピロ環、縮合環及び架橋環を含む)がアリール基、ヘテロアリール基又はヘテロシクロアルキル環に縮合されたものを含み、そのうち、母体構造に連結された環はシクロアルキル基であり、非限定的な実例は、
【化12】
などを含み、
【化13】
が好ましい。
【0070】
シクロアルキル基は置換されても、置換されなくてもよく、置換される場合、それは任意の利用可能な連結点で置換されてもよく、上記置換基は、独立して任意選択的にハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、ヘテロシクリルオキシ基、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基、ヘテロアリール基から選ばれる1つ又は複数の置換基が好ましい。
【0071】
「アルコキシ基」という用語は、-O-(アルキル基)を指し、そのうち、アルキル基の定義は上記の通りである。アルコキシ基の非限定的な実例は、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基とブトキシ基を含む。アルコキシ基は任意選択的に置換されても、置換されなくてもよく、置換される場合に、置換基は、1つ又は複数の以下の基、即ち、独立的にD原子、ハロゲン、アルコキシ基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、ヘテロシクリルオキシ基、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基とヘテロアリール基から選ばれる1つ又は複数の基であることが好ましい。
【0072】
「ヘテロシクリル基」という用語は、飽和又は部分的に不飽和の単環式又は多環式の置換基を指し、3個~20個の環原子を含み、そのうち、1つ又は複数の環原子は窒素、酸素と硫黄から選ばれるヘテロ原子であり、上記硫黄は任意選択的に酸化されてもよい(即ち、スルホキシド又はスルホンを形成する)が、-O-O-、-O-S-又は-S-S-の環部分を含まず、残りの環原子は炭素である。好ましくは3個~12個(例えば3、4、5、6、7、8、9、10、11及び12個)の環原子を含み、そのうち、1個~4個(例えば1、2、3及び4個)がヘテロ原子であり、より好ましくは3個~8個の環原子(例えば3、4、5、6、7及び8個)を含み、そのうち、1個~3個(例えば1、2及び3個)がヘテロ原子であり、更に好ましくは3個~6個の環原子を含み、そのうち、1個~3個がヘテロ原子であり、最も好ましくは5又は6個の環原子を含み、そのうち、1個~3個がヘテロ原子である。単環式ヘテロシクリル基の非限定的な実例は、ピロリジニル基、テトラヒドロピラニル基、1,2,3,6-テトラヒドロピリジル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、モルホリニル基、チオモルホリニル基、ホモピペラジニル基などを含む。多環式ヘテロシクリル基は、スピロ環、縮合環及び架橋環のヘテロシクリル基を含む。
【0073】
「スピロヘテロシクリル基」という用語は、5員~20員で、単環同士が1つの原子(スピロ原子と称する)を共有する多環式ヘテロシクリル基を指し、そのうち、1つ又は複数の環原子は窒素、酸素と硫黄から選ばれるヘテロ原子であり、上記硫黄は、任意選択的に酸化されてもよく(即ち、スルホキシド又はスルホンを形成する)、残りの環原子は炭素である。それは、1つ又は複数の二重結合を含んでもよい。好ましくは6員~14員であり、より好ましくは7員~10員(例えば7、8、9又は10員)である。スピロヘテロシクリル基は、環同士の共有するスピロ原子の数により、モノスピロヘテロシクリル基、ビススピロヘテロシクリル基又はポリスピロヘテロシクリル基に分けられ、好ましくはモノスピロヘテロシクリル基及びビススピロヘテロシクリル基である。より好ましくは、3員/4員、3員/5員、3員/6員、4員/4員、4員/5員、4員/6員、5員/5員、5員/6員又は6員/6員のモノスピロヘテロシクリル基である。スピロヘテロシクリル基の非限定的な実例は、
【化14】
を含む。
【0074】
「縮合ヘテロシクリル基」という用語は、5員~20員で、系内の各環が系内の他の環と隣接する1対の原子を共有する多環式ヘテロシクリル基を指し、1つ又は複数の環は1つ又は複数の二重結合を含んでもよく、そのうち、1つ又は複数の環原子は窒素、酸素と硫黄から選ばれるヘテロ原子であり、上記硫黄は任意選択的に酸化されてもよく(即ち、スルホキシド又はスルホンを形成する)、残りの環原子は炭素である。好ましくは6員~14員であり、より好ましくは7員~10員(例えば7、8、9又は10員)である。構成する環の数によって、二環式、三環式、四環式又は多環式の縮合ヘテロシクリル基に分けることができ、好ましくは二環式又は三環式であり、より好ましくは3員/4員、3員/5員、3員/6員、4員/4員、4員/5員、4員/6員、5員/4員、5員/5員、5員/6員、6員/3員、6員/4員、6員/5員及び6員/6員の二環式縮合ヘテロシクリル基である。縮合ヘテロシクリル基の非限定的な実例は、
【化15】
を含む。
【0075】
「架橋ヘテロシクリル基」という用語は、5員~14員で、何れか2つの環が直接連結していない2つの原子を共有する多環式ヘテロシクリル基を指し、1つ又は複数の二重結合を含んでもよく、そのうち、1つ又は複数の環原子は窒素、酸素と硫黄から選ばれるヘテロ原子であり、上記硫黄は任意選択的に酸化されてもよく(即ち、スルホキシド又はスルホンを形成する)、残りの環原子は炭素である。好ましくは6員~14員であり、より好ましくは7員~10員(例えば7、8、9又は10員)である。構成する環の数によって、二環式、三環式、四環式又は多環式の架橋ヘテロシクリル基に分けることができ、好ましくは二環式、三環式又は四環式であり、より好ましくは二環式又は三環式である。架橋ヘテロシクリル基の非限定的な実例は、
【化16】
を含む。
【0076】
上記ヘテロシクリル環は、上記ヘテロシクリル基(単環、スピロヘテロ環、縮合ヘテロ環及び架橋ヘテロ環を含む)がアリール基、ヘテロアリール基又はシクロアルキル環に縮合されたものを含み、そのうち、母体構造に連結された環はヘテロシクリル基であり、その非限定的な実例は、
【化17】
などを含む。
【0077】
ヘテロシクリル基は置換されても、置換されなくてもよく、置換される場合、それは任意の利用可能な連結点で置換されてもよく、上記置換基は、独立して任意選択的にハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、ヘテロシクリルオキシ基、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基、ヘテロアリール基から選ばれる1つ又は複数の置換基が好ましい。
【0078】
「アリール基」という用語は、共役したπ電子系を有する6員~14員全炭素単環式又は縮合多環式(縮合多環は、隣接する炭素原子対を共有する環である)基であり、好ましくは6員~10員であり、例えば、フェニル基及びナフチル基である。上記アリール環は、上記アリール環がヘテロアリール基、ヘテロシクリル基又はシクロアルキル環に縮合されたものを含み、そのうち、母体構造に連結された環はアリール環であり、その非限定的な実例は、
【化18】
を含む。
【0079】
アリール基は、置換されても、置換されなくてもよく、置換される場合に、それは任意の利用可能な連結点で置換されてもよく、上記置換基は、独立して任意選択的に水素原子、ハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、ヘテロシクリルオキシ基、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基、ヘテロアリール基から選ばれる1つ又は複数の置換基が好ましい。
【0080】
「ヘテロアリール基」という用語は、1個~4個(例えば1、2、3及び4個)のヘテロ原子、5個~14個の環原子を含む複素芳香族系を指し、そのうち、ヘテロ原子は酸素、硫黄及び窒素から選ばれる。ヘテロアリール基は、5員~10員(例えば5、6、7、8、9又は10員)であることが好ましく、5員又は6員であることがより好ましく、例えば、フラニル基、チエニル基、ピリジル基、ピロリル基、N-アルキルピロリル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基などである。上記ヘテロアリール環は、上記ヘテロアリール基がアリール基、ヘテロシクリル基又はシクロアルキル環に縮合されたものを含み、そのうち、母体構造に連結された環はヘテロアリール環であり、その非限定的な実例は、
【化19】
を含む。
【0081】
ヘテロアリール基は置換されても、置換されなくてもよく、置換される場合、それは任意の利用可能な連結点で置換されてもよく、上記置換基は、独立して任意選択的にハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、ヘテロシクリルオキシ基、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基、ヘテロアリール基から選ばれる1つ又は複数の置換基が好ましい。
【0082】
上記シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基及びヘテロアリール基は、母体環原子から1つの水素原子を除去して誘導された残基、又は母体の同じ又は2つの異なる環原子から2つの水素原子を除去して誘導された残基、即ち、「2価シクロアルキル基」、「2価ヘテロシクリル基」、「アリーレン基」、「ヘテロアリーレン基」を含む。
【0083】
「アミノ保護基」という用語は、分子の他の部位が反応する時に、アミノ基が変化されないように、除去され易い基でアミノ基を保護するものである。非限定的な実施例は、(トリメチルシリコン)エトキシメチル、テトラヒドロピラニル基、tert-ブトキシカルボニル基、アセチル基、ベンジル基、アリル基及びp-メトキシベンジル基などを含む。これらの基は、任意選択的にハロゲン、アルコキシ基又はニトロ基から選ばれる1個~3個の置換基で置換可能である。
【0084】
「ヒドロキシ保護基」という用語は、この分野で知られているヒドロキシ基の保護に適用される基を指し、文献(「Protective Groups in Organic Synthesis」, 5Th Ed. T. W. Greene&P. G. M. Wuts)におけるヒドロキシ保護基が参照される。例として、好ましくは、上記ヒドロキシ保護基は、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、tert-ブチルジメチルシリル基、tert-ブチルジフェニルシリル基などの(C1-10アルキル又はアリール)シラン基であってもよく、C1-10アルキル基又は置換アルキル基であってもよく、好ましくはアルコキシ基又はアリール基で置換されたアルキル基で、より好ましくはC1-6アルコキシ基で置換されたC1-6アルキル基又はフェニル基で置換されたC1-6アルキル基で、最も好ましくはC1-4アルコキシ基で置換されたC1-4アルキル基で、例えば、メチル基、tert-ブチル基、アリル基、ベンジル基、メトキシメチル基(MOM)、エトキシエチル基、2-テトラヒドロピラニル基(THP)などであり、ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基、p-ニトロベンゾイルなどの(C1-10アルキル又はアリール)アシル基であってもよく、(C1-6アルキル又はC6-10アリール)スルホニル基であってもよく、(C1-6アルコキシ又はC6-10アリールオキシ)カルボニル基であってもよい。
【0085】
「アリールアルキル基」という用語は、アリール-アルキレン-を指し、そのうち、アリール基とアルキレン基は上記に定義された通りである。
【0086】
「ヘテロアリールアルキル基」という用語は、ヘテロアリール-アルキレン-を指し、そのうち、ヘテロアリール基とアルキレン基は上記に定義された通りである。
【0087】
「シクロアルキルアルキル基」という用語は、シクロアルキル-アルキレン-を指し、そのうち、シクロアルキル基とアルキレン基は上記に定義された通りである。
【0088】
「ヘテロシクリルアルキル基」という用語は、ヘテロシクリル-アルキレン-を指し、そのうち、ヘテロシクリル基とアルキレン基は上記に定義された通りである。
【0089】
「シクロアルキルオキシ基」という用語は、シクロアルキル-O-を指し、そのうち、シクロアルキル基は上記に定義された通りである。
【0090】
「ヘテロシクリルオキシ基」という用語は、ヘテロシクリル-O-を指し、そのうち、ヘテロシクリル基は上記に定義された通りである。
【0091】
「アルキルチオ基」という用語は、アルキル-S-を指し、そのうち、アルキル基は上記に定義された通りである。
【0092】
「ハロアルキル基」という用語は、アルキル基が1つ又は複数のハロゲンで置換されたものを指し、そのうち、アルキル基は上記に定義された通りである。
【0093】
「ハロアルコキシ基」という用語は、アルコキシ基が1つ又は複数のハロゲンで置換されたものを指し、そのうち、アルコキシ基は上記に定義された通りである。
【0094】
「重水素化アルキル基」という用語は、アルキル基が1つ又は複数の重水素原子で置換されたものを指し、そのうち、アルキル基は上記のように定義される。
【0095】
「ヒドロキシアルキル基」という用語は、アルキル基が1つ又は複数のヒドロキシ基で置換されたものを指し、そのうち、アルキル基は上記に定義された通りである。
【0096】
「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を指す。
【0097】
「ヒドロキシ基」という用語は、-OHを指す。
【0098】
「メルカプト基」という用語は、-SHを指す。
【0099】
「アミノ基」という用語は、-NHを指す。
【0100】
「シアノ基」という用語は、-CNを指す。
【0101】
「ニトロ基」という用語は、-NOを指す。
【0102】
「オキソ基」という用語は、「=O」を指す。
【0103】
「カルボニル基」という用語は、C=Oを指す。
【0104】
「カルボキシ基」という用語は、-C(O)OHを指す。
【0105】
「カルボン酸エステル基」という用語は、-C(O)O(アルキル基)、-C(O)O(シクロアルキル基)、(アルキル基)C(O)O-又は(シクロアルキル基)C(O)O-を指し、そのうち、アルキル基及びシクロアルキル基は上記に定義された通りである。
【0106】
本開示に記載される化合物の化学構造において、結合
【化20】
は未指定の配置を表し、即ち、化学構造にキラル異性体が存在する場合、結合
【化21】

【化22】
であってもよく、或いは
【化23】
の2種類の配置を同時に含んでもよい。
【0107】
本開示に係る化合物は、その同位体誘導体を含んでもよい。「同位体誘導体」という用語は、1種又は複数種の同位体に富む原子が存在するだけにおいて構造が異なる化合物を指す。例えば、本開示に係る構造を有し、「重水素」又は「三重水素」で水素を置換した以外、又は18F-フッ素標識(18F同位体)でフッ素を置換し、又は11C-、13C-、又は14C-に富む炭素(11C-、13C-、又は14C-炭素標識、11C-、13C-、又は14C-同位体)で炭素原子を置換した化合物は、本開示の範囲内にある。このような化合物は例えば、生物測定における分析ツール又はプローブとして使用されてもよく、又は疾患のインビボ診断のためのイメージングトレーサーとして使用されてもよく、又は薬力学的、薬物動態学的又は受容体研究のトレーサーとされてもよい。
【0108】
本開示は、種々の重水素化形態の式(I)、(II)、(III)又は表Aの化合物を更に含む。炭素原子に連結されている各々の利用可能な水素原子は、独立的に重水素原子で置換可能である。当業者は、関連文献を参照して重水素化形態の式(I)、(II)、(III)又は表Aの化合物を合成することができる。重水素化形態の式(I)、(II)、(III)又は表Aの化合物は調製される場合、市販の重水素化出発物質を使用してもよく、又は、通常の技術により重水素化試薬で合成されてもよく、重水素化試薬は、重水素化ボラン、三重水素化ボランテトラヒドロフラン溶液、重水素化水素化アルミニウムリチウム、重水素化ヨードエタン及び重水素化ヨードメタンなどを含むが、これらに限定されない。重水素化物は、一般的に、非重水素化の化合物に相当する活性を保つことができると共に、重水素化がある特定の部位にある時に、より優れた代謝安定性を得て、幾つかの治療上の利点を得ることができる。
【0109】
「任意選択」又は「任意選択的に」は、その後に説明される事象又は状況が生じてもよいが、生じなくてもよいことを意味し、この説明は、当該事象又は状況が生じる場合と生じない場合を含む。例えば、「任意選択的にアルキル基で置換されるヘテロシクリル基」とは、アルキル基が存在してもよいが、存在しなくてもよいことを意味し、この説明は、ヘテロシクリル基がアルキル基で置換される場合と、ヘテロシクリル基がアルキル基で置換されない場合と、を含む。
【0110】
「置換される」とは、基における1つ又は複数の水素原子、好ましくは1個~5個、より好ましくは1個~3個の水素原子が互いに独立的に対応する数の置換基で置換されることを指す。当業者は、それほど努力をせずに(実験又は理論で)可能又は不可能な置換を決定することができる。例えば、遊離水素を有するアミノ基又はヒドロキシ基が不飽和(例えば、オレフィン)結合を有する炭素原子と結合する場合は、不安定になる可能性がある。
【0111】
「医薬組成物」は、1種又は複数種の本明細書に記載される化合物又はその生理学的/薬学的に許容される塩又はプロドラッグと他の化学成分との混合物と、生理学的/薬学的に許容されるベクター及び賦形剤などの他の成分と、を含むことを示す。医薬組成物は、生体への投与を促進し、活性成分の吸収に寄与して更に生物活性を発揮するためである。
【0112】
「薬学的に許容される塩」とは、本開示に係る化合物の塩であり、このような塩は哺乳動物の体内に使用される場合に安全性と有効性を有すると共に、所望の生物活性を有する。。化合物の最終分離と精製過程において、或いは適切な基と適切な塩基又は酸とを反応させることで、単独で塩を調製してもよい。一般的に、薬学的に許容される塩を生成するための塩基は、例えば水酸化ナトリウムと水酸化カリウムなどの無機塩基、及びアンモニウムなどの有機塩基を含む。一般的に、薬学的に許容される塩を生成するための酸は、無機酸及び有機酸を含む。
【0113】
薬物又は薬理学的活性剤について、「治療有効量」という用語は、無毒性でありながら、所望の効果が得られる薬物又は薬剤の十分な用量を指す。有効量は人によって決定されるもので、対象の年齢と一般的状態に依存し、具体的な活性物質にも依存し、個体での好適な有効量は、当業者により通常の試験で決定されてよい。
【0114】
本明細書に使用される「薬学的に許容される」という用語は、これらの化合物、材料、組成物及び/又は剤形が合理的な医学的判断範囲において、過度の毒性、刺激性、アレルギー反応や他の問題又は合併症がなく、患者の組織との接触に適用され、合理的な損益比を有すると共に、所望の用途に有効であることを意味する。
【0115】
本明細書に使用される単数形である「1つ」、「1種」と「当該」は、文脈に特に明記のない限り、複数の引用を含み、その逆も同様である。
【0116】
「約」という用語は、pH、濃度、温度などのパラメータに用いられる場合、このパラメータが±10%、場合により、より好ましくは±5%以内に変化されてもよいことを示す。当業者に理解されるように、パラメータは肝心なものではない場合、一般的に、制限ではなく、ただ説明のために数字が示されている。
本開示に係る化合物の合成方法
【0117】
本開示の目的を達成するために、本開示は、以下の技術案を採用する。
【0118】
技術案1
本開示に係る一般式(I)で示される化合物又はその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態、又はその薬学的に許容される塩の調製方法は、
【化24】
一般式(IA)の化合物又はその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩を一般式(IB)の化合物又はその薬学的に許容される塩(好ましくは塩酸塩)と塩基性条件下で、任意選択的な縮合剤の存在下で反応させ、一般式(I)の化合物又はその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態、又はその薬学的に許容される塩を得るステップを含み、
そのうち、R~R、R~R、nとqは、一般式(I)に定義された通りである。
【0119】
技術案2
本開示に係る一般式(II)で示される化合物又はその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態、又はその薬学的に許容される塩の調製方法は、
【化25】
一般式(IA)の化合物又はその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩を一般式(IIB)の化合物又はその薬学的に許容される塩(好ましくは塩酸塩)と塩基性条件下で、任意選択的な縮合剤の存在下で反応させ、一般式(II)の化合物又はその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態、又はその薬学的に許容される塩を得るステップを含み、
そのうち、R’、R~R、R~R、mとqは、一般式(II)に定義された通りである。
【0120】
技術案3
本開示に係る一般式(III)で示される化合物、又はその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態、又はその薬学的に許容される塩の調製方法は、
【化26】
一般式(IIIA)の化合物又はその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩を一般式(IIB)の化合物又はその薬学的に許容される塩(好ましくは塩酸塩)と塩基性条件下で、任意選択的な縮合剤の存在で反応させ、一般式(III)の化合物又はその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態、又はその薬学的に許容される塩を得るステップを含み、
そのうち、R’、R~R、R~R、R10~R12、q、u、wとmは、一般式(III)に定義された通りである。
【0121】
上記反応における塩基性条件を提供する試薬は、有機塩基と無機塩基類を含み、上記有機塩基類は、トリエチルアミン、4-ジメチルアミノピリジン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、n-ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、酢酸カリウム、ナトリウムtert-ブトキシド、カリウムtert-ブトキシド又は1,8-ビアザジシクロウンデカ-7-エンを含むが、これらに限定されず、上記無機塩基類は、水素化ナトリウム、リン酸カリウム、炭酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、炭酸カリウム又は炭酸セシウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム及び水酸化カリウムを含むが、これらに限定されず、好ましくはN,N-ジイソプロピルエチルアミン及び/又は4-ジメチルアミノピリジンであり、より好ましくはN,N-ジイソプロピルエチルアミンと4-ジメチルアミノピリジンの組み合わせである。
【0122】
上記反応に記載される縮合剤は、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N’-ジイソプロピルカルボジイミド、O-ベンゾトリアゾール-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール、O-ベンゾトリアゾール-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート、2-(7-アザベンゾトリアゾール)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート(HATUで、N,N,N’,N’-テトラメチル-O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)ウロニウムヘキサフルオロホスファート、O-(7-アザベンゾトリアゾール)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファートとも称する)、2-(7-ベンゾトリアゾールオキシド)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート、ベンゾトリアゾール-1-オキシトリス(ジメチルアミノ))ホスホニウムヘキサフルオロホスファート又はベンゾトリアゾール-1-イル-オキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスファートを含むが、これらに限定されず、好ましくは1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩及び/又は1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、又は単独のHATUであり、より好ましくは1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩と1-ヒドロキシベンゾトリアゾールの組み合わせである。
【0123】
上記反応は、溶媒において行われることが好ましく、使用される溶媒は、酢酸、メタノール、エタノール、アセトニトリル、n-ブタノール、トルエン、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、石油エーテル、酢酸エチル、n-ヘキサン、ジメチルスルホキシド、1,4-ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、水、トルエン、キシレン、ピリジン、ジオキサン、N,N-ジメチルアセトアミド又はN,N-ジメチルホルムアミドとその混合物を含むが、これらに限定されない。
【発明を実施するための形態】
【0124】
以下、実施例と合わせて本開示を更に説明するが、これらの実施例は本開示の範囲を限定するものではない。
【0125】
実施例
化合物の構造は、核磁気共鳴(NMR)又は/及び質量分析(MS)によって決定される。NMRシフト(δ)は10-6(ppm)の単位で表記される。NMRの測定には、核磁気共鳴装置Bruker AVANCE NEO 500Mが使用され、測定溶剤が重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO-d)、重水素化クロロホルム(CDCl)、重水素化メタノール(CDOD)であり、内部標準がテトラメチルシラン(TMS)である。
【0126】
MSの測定には、液体クロマトグラフ質量分析計Agilent 1200/1290 DAD-6110/6120 Quadrupole MS(メーカー:Agilent、MS型番:6110/6120 Quadrupole MS)、waters ACQuity UPLC-QD/SQD(メーカー:waters、MS型番:waters ACQuity Qda Detector/waters SQ Detector)、THERMO Ultimate 3000-Q Exactive(メーカー:THERMO、MS型番:THERMO Q Exactive)が使用された。
【0127】
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析には、高速液体クロマトグラフAgilent HPLC 1200DAD、Agilent HPLC 1200VWD及びWaters HPLC e2695-2489が使用された。
【0128】
キラルHPLC分析測定には、高速液体クロマトグラフAgilent 1260 DADが使用された。
【0129】
分取高速液体クロマトグラフィーには、分取クロマトグラフWaters 2545-2767、Waters 2767-SQ Detecor2、Shimadzu LC-20AP及びGilson GX-281が使用された。
【0130】
キラル分取には、分取クロマトグラフShimadzu LC-20APが使用された。
【0131】
CombiFlash高速分取クロマトグラフとしては、Combiflash Rf200(TELEDYNE ISCO)が使用された。
【0132】
薄層クロマトグラフィー用シリカゲル板としては、煙台黄海HSGF254又は青島GF254シリカゲル板が使用され、薄層クロマトグラフィー(TLC)に使用されたシリカゲル板の仕様は、0.15 mm~0.2 mmであり、薄層クロマトグラフィーによる生成物の分離精製用の仕様は0.4 mm~0.5 mmである。
【0133】
シリカゲルカラムクロマトグラフィーには、一般的に、煙台黄海シリカゲル製200メッシュ~300メッシュのシリカゲルがベクターとして使用された。
【0134】
キナーゼ平均阻害率及びIC50値の測定には、マイクロプレートリーダーNovoStar(独BMG社)が使用された。
【0135】
本開示に係る既知の出発原料はこの分野で知られている方法を採用し、又はそれに従って合成してもよいし、或いはABCR GmbH & Co. KG、Acros Organics、Aldrich Chemical Company、韶遠化学科技(Accela ChemBio Inc)、達瑞化学品などの会社より購入してもよい。
【0136】
実施例において、特に説明のない限り、反応は何れもアルゴン雰囲気又は窒素雰囲気において行うことができる。
【0137】
アルゴン雰囲気又は窒素雰囲気は、反応フラスコに容量が約1 Lのアルゴン又は窒素バルーンが連結されていることを指す。
【0138】
水素雰囲気は、反応フラスコに容量が約1 Lの水素バルーンが連結されていることを指す。
【0139】
加圧水素化反応には、Parr 3916EKX型水素化装置及び清藍QL-500型水素発生器又はHC2-SS型水素化装置が使用された。
【0140】
水素化反応は、一般的に、真空引きして水素を充填する操作を3回繰り返した。
【0141】
マイクロ波反応には、CEM Discover-S 908860型マイクロ波反応器が使用された。
【0142】
実施例において、特に説明のない限り、溶液は水溶液を指す。
【0143】
実施例において特に説明のない限り、反応温度は室温で、20℃~30℃である。
【0144】
実施例における反応進行の監視には薄層クロマトグラフィー(TLC)が用いられ、反応に使用された展開溶媒、化合物を精製するためのカラムクロマトグラフィーの溶離剤系及び薄層クロマトグラフィーの展開溶媒系は、A:ジクロロメタン/メタノール系を含み、溶剤の体積比は化合物の極性によって調整してもよく、少量のトリエチルアミン及び酢酸などの塩基性又は酸性試薬を加えて調整してもよい。
【0145】
実施例1
(6-フルオロ-1-(4-(モルホリニルメチル)フェニル)-5,5-ジオキシド-1,4-ジヒドロチオクロメノ[4,3-c]ピラゾール-3-イル)(4-オキサ-7-アザスピロ[2.5]オクタン-7-イル)メタノン 1
【化27】
【化28】
【0146】
ステップ1
1-(4-(モルホリニルメチル)フェニル)ヒドラジノ-1-カルボン酸tert-ブチル 2b
アルゴン雰囲気下で、化合物4-(4-ヨードベンジル)モルホリン2a(51 g、168.24 mmol、特許出願「WO200832191A2」中の明細書の第59頁の実施例17.1に開示された方法により調製されて得られた)とヒドラジノギ酸tert-ブチル(23.347 g、176.66 mmol、韶遠)を400 mLのジメチルスルホキシドに溶け、10分間撹拌し、更にヨウ化第1銅(1.603 g、8.42 mmol)を加え、50℃に昇温し、17時間撹拌しながら反応させた。400 mLの水を加え、水相を酢酸エチル(300 mL×6)で抽出し、有機相を合わせ、減圧濃縮し、残留物をCombiFlash高速分取クロマトグラフにより溶離剤系Aで精製し、表題化合物2b(51 g、収率98.6%)を得た。
MS m/z (ESI):308.1 [M+1]。
【0147】
ステップ2
4-(4-ヒドラジノベンジル)モルホリン 2cの塩酸塩
0℃で、化合物2b(51 g、165.91 mmol)を80 mLのメタノールに溶け、塩化水素の1,4-ジオキサン溶液(350 mL、4.0 M、研峰科技)を滴下し、室温まで自然に昇温し、17時間撹拌しながら反応させた。減圧濃縮し、粗生成物である表題化合物2cの塩酸塩(45.4 g)を得て、生成物を精製せずにそのまま次の反応に使用した。
【0148】
ステップ3
3-((2-フルオロフェニル)チオ)プロピオン酸 1e
2-フルオロチオフェノール1d(50 g、390.11 mmol、韶遠)、炭酸カリウム(70 g、507.14 mmol、国薬)をN,N-ジメチルホルムアミド(500 mL)に溶け、60℃で1時間撹拌し、3-ブロモプロピオン酸(65.6 g、429.15 mmol、韶遠)を加え、60℃で3時間反応させ続けた。反応が完了した後、反応液に1000 mLの水を加え、酢酸エチルで抽出し(300 mL×2)、水相を濃塩酸でpH約3に調整し、酢酸エチルで抽出し(400 mL×3)、有機相を合わせ、順に水(400 mL×3)、飽和食塩水溶液(400 mL×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで15分間乾燥し、ろ過し、減圧濃縮し、粗生成物である表題化合物1e(70 g)を得て、生成物を精製せずにそのまま次の反応に使用した。
MS m/z (ESI):198.9 [M-1]。
【0149】
ステップ4
8-フルオロチオクロマン-4-オン 1f
化合物1e(70 g、356.65 mmol)を濃硫酸(200 mL)に溶け、0℃で3時間撹拌し、反応が完了した後、反応液を1000 mLの氷水に注入し、酢酸エチルで抽出し(400 mL×3)、有機相を合わせ、飽和食塩水溶液(400 mL×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで15分間乾燥し、ろ過し、ろ液を減圧濃縮し、粗生成物である表題化合物1f(30 g)を得て、生成物を精製せずにそのまま次の反応に使用した。
【0150】
ステップ5
2-(8-フルオロ-4-オキソチオクロマン-3-イル)-2-オキソ酢酸エチル 1g
ナトリウムエチラート(52 g、152.59 mmol、20% w/wエタノール溶液、Adamas)を500 mLの三口フラスコに入れ、0℃で、シュウ酸ジエチル(16.7 g、114.47 mmol、100 mLトルエンに溶けた、韶遠)を徐々に滴下した後、化合物1f(13.9 g、76.28 mmol、100 mLのトルエンに溶けた)を徐々に滴下した。反応液を減圧濃縮し、残留物に400 mLの水を加え、ジクロロメタンで抽出し(200 mL×2)、水相を5 MのHCl溶液でpH約2に調整し、酢酸エチルで抽出し(250 mL×3)、有機相を合わせ、飽和食塩水溶液(200 mL×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで15分間乾燥し、ろ過し、ろ液を減圧濃縮し、粗生成物である表題化合物1g(22 g)を得て、生成物を精製せずにそのまま次の反応に使用した。
MS m/z (ESI):280.9 [M-1]。
【0151】
ステップ6
2-(8-フルオロ-1,1-ジオキシド-4-オキソチオクロマン-3-イル)-2-オキソ酢酸エチル 1h
化合物1g(22 g、77.93 mmol)を250 mLのジクロロメタンに溶け、氷浴で冷却しながら数回に分けてメタクロロ過安息香酸(34.8 g、171.46 mmol、沃凱)を加え、室温で17時間撹拌した。ろ過し、ろ液を減圧濃縮し、残留物をCombiFlash高速分取クロマトグラフにより溶離剤系Aで精製し、表題化合物1h(24.5 g、収率100%)を得た。
MS m/z (ESI):313.0 [M-1]。
【0152】
ステップ7
6-フルオロ-1-(4-(モルホリニルメチル)フェニル)-1,4-ジヒドロチオクロメノ[4,3-c]ピラゾール-3-カルボン酸エチル5,5-ジオキシド 1i
化合物1h(9.4 g、29.90 mmol)、化合物2cの塩酸塩(6.8 g、75%)及び氷酢酸(3.6 g、59.94 mmol、滬試)を200 mLの無水エタノールに溶け、還流するまで昇温し、3時間撹拌した。300 mLの飽和炭酸水素ナトリウム溶液を加え、混合液を酢酸エチル(250 mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、減圧濃縮し、残留物をCombiFlash高速分取クロマトグラフにより溶離剤系Aで精製し、表題化合物1i(7.5 g、収率51.6%)を得た。
MS m/z (ESI):486.1 [M+1]。
【0153】
ステップ8
6-フルオロ-1-(4-(モルホリニルメチル)フェニル)-1,4-ジヒドロチオクロメノ[4,3-c]ピラゾール-3-カルボン酸5,5-ジオキシド 1a
化合物1i(14 g、29.07 mmol)を150 mLのテトラヒドロフランに溶け、水酸化ナトリウム水溶液(58.2 mL、2 M)を加え、4時間撹拌した。濃塩酸溶液を加え、pHを約3に調整し、減圧濃縮し、粗生成物である表題化合物1a(21.2 g)を得て、生成物を精製せずにそのまま次の反応に使用した。
MS m/z (ESI):458.0 [M+1]。
【0154】
ステップ9
(6-フルオロ-1-(4-(モルホリニルメチル)フェニル)-5,5-ジオキシド-1,4-ジヒドロチオクロメノ[4,3-c]ピラゾール-3-イル)(4-オキサ-7-アザスピロ[2.5]オクタン-7-イル)メタノン 1
化合物1a(100 mg、218.59 mmol)と4-オキサ-7-アザスピロ[2.5]オクタン塩酸塩(33 mg、220.77 mmol、江蘇艾康)、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(251 mg、651.77 mmol)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(99 mg、655.77 mmol)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(110 mg、1.09 mmol)、4-ジメチルアミノピリジン(53 mg、437.18 mmol)をジクロロメタン(30 mL)に溶け、室温で16時間撹拌した。50 mLの水を加え、ジクロロメタンとメタノール(v:v=10:1)の混合溶剤(60 mL)で抽出し、有機相を合わせ、順に水(60 mL)と飽和食塩水溶液(60 mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、ろ液を減圧濃縮し、得られた残留物をCombiFlash高速分取クロマトグラフにより溶離剤系Aで精製し、表題生成物1(60 mg, 収率:49.6%)を得た。
MS m/z (ESI):553.3 [M+1]。
H NMR (500 MHz, DMSO-d): δ 7.62-7.44 (m, 6H), 6.66 (d, 1H), 4.99 (d, 2H), 4.07 (t, 1H), 3.90 (s, 1H), 3.76-3.59 (m, 9H), 3.32 (s, 1H), 2.42 (s, 4H) , 0.73-0.60 (m, 4H)。
【0155】
実施例2
(6-クロロ-1-(4-(モルホリニルメチル)フェニル)-5,5-ジオキシド-1,4-ジヒドロチオクロメノ[4,3-c]ピラゾール-3-イル)(4-オキサ-7-アザスピロ[2.5]オクタン-7-イル)メタノン 2
【化29】
【化30】
【0156】
ステップ1
1-(4-(モルホリニルメチル)フェニル)ヒドラジノ-1-カルボン酸tert-ブチル 2b
アルゴン雰囲気下で、化合物4-(4-ヨードベンジル)モルホリン2a(51 g、168.24 mmol、特許出願「WO200832191A2」中の明細書の第59頁の実施例17.1に開示された方法により調製されて得られた)とヒドラジノギ酸tert-ブチル(23.347 g、176.66 mmol、韶遠)を400 mLのジメチルスルホキシドに溶け、10分間撹拌し、更にヨウ化第1銅(1.603 g、8.42 mmol)を加え、50℃に昇温し、17時間撹拌しながら反応させた。400 mLの水を加え、水相を酢酸エチル(300 mL×6)で抽出し、有機相を合わせ、減圧濃縮し、残留物をCombiFlash高速分取クロマトグラフにより溶離剤系Aで精製し、表題化合物2b(51 g、収率98.6%)を得た。
MS m/z (ESI):308.1 [M+1]。
【0157】
ステップ2
4-(4-ヒドラジノベンジル)モルホリン 2cの塩酸塩
0℃で、化合物2b(51 g、165.91 mmol)を80 mLのメタノールに溶け、塩化水素の1,4-ジオキサン溶液(350 mL、4.0 M、研峰科技)を滴下し、室温まで自然に昇温し、17時間撹拌しながら反応させた。減圧濃縮し、粗生成物である表題化合物2cの塩酸塩(45.4 g)を得て、生成物を精製せずにそのまま次の反応に使用した。
【0158】
ステップ3
2-(8-クロロ-1,1-ジオキシド-4-オキソチオクロマン-3-イル)-2-オキソ酢酸エチル 2e
化合物2-(8-クロロ-4-オキソチオクロマン-3-イル)-2-オキソ酢酸エチル2d(25.7 g、86.03 mmol、特許「CN102695710B」中の明細書の第169頁の中間体E4に開示された方法により調製されて得られた)を250 mLジクロロメタンに溶け、氷浴で冷却しながら数回に分けてメタクロロ過安息香酸(43.664 g、215.07 mmol)を加え、室温で17時間撹拌した。ろ過し、ろ液を減圧濃縮し、残留物をCombiFlash高速分取クロマトグラフにより溶離剤系Aで精製し、表題化合物2e(28.323 g、収率99.5%)を得た。
MS m/z (ESI):330.9 [M+1]。
【0159】
ステップ4
6-クロロ-1-(4-(モルホリニルメチル)フェニル)-1,4-ジヒドロチオクロメノ[4,3-c]ピラゾール-3-カルボン酸エチル5,5-ジオキシド 2f
化合物2e(10 g、30.24 mmol)、化合物2cの塩酸塩(9.192 g、75%)及び氷酢酸(3.632 g、60.48 mmol、滬試)を300 mLの無水エタノールに溶け、還流するまで昇温し、3時間撹拌した。300 mLの飽和炭酸水素ナトリウム溶液を加え、混合液を酢酸エチル(250 mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、減圧濃縮し、残留物をCombiFlash高速分取クロマトグラフにより溶離剤系Aで精製し、表題化合物2f(10 g、収率65.9%)を得た。
MS m/z (ESI):502.0 [M+1]。
【0160】
ステップ5
6-クロロ-1-(4-(モルホリニルメチル)フェニル)-1,4-ジヒドロチオクロメノ[4,3-c]ピラゾール-3-カルボン酸5,5-ジオキシド 2g
化合物2f(10 g、19.92 mmol)を150 mLのテトラヒドロフランに溶け、水酸化ナトリウム水溶液(39.8 mL、2.5 M)を加え、4時間撹拌した。濃塩酸溶液を加え、pHを約3に調整し、減圧濃縮し、粗生成物である表題化合物2g(17.028 g)を得て、生成物を精製せずにそのまま次の反応に使用した。
MS m/z (ESI):474.0 [M+1]。
【0161】
ステップ6
(6-クロロ-1-(4-(モルホリニルメチル)フェニル)-5,5-ジオキシド-1,4-ジヒドロチオクロメノ[4,3-c]ピラゾール-3-イル)(4-オキサ-7-アザスピロ[2.5]オクタン-7-イル)メタノン 2
化合物2g(544 mg、633.61 μmol、55.2%)、4-オキサ-7-アザスピロ[2.5]オクタン塩酸塩(97 mg、648.32 μmol、薬石)、HATU(290 mg、762.70 μmol)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(411 mg、3.18 mmol)を60 mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶け、室温で17時間撹拌した。50 mLの飽和炭酸水素ナトリウム溶液を加え、水相を酢酸エチル(50 mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、減圧濃縮し、得られた残留物をCombiFlash高速分取クロマトグラフにより溶離剤系Aで精製し、表題化合物2(108 mg、収率:30.0%)を得た。
MS m/z (ESI):569.0 [M+1]。
H NMR (500 MHz, DMSO-d): δ 7.66-7.64 (m, 1H), 7.54-7.40 (m, 5H), 6.83-6.81 (m, 1H), 5.02-5.00 (m, 2H), 4.08 (s, 1H), 3.92 (s, 1H), 3.75-3.58 (m, 10H), 2.46-2.41 (m, 4H) , 0.73-0.61 (m, 4H)。
【0162】
実施例3
(9-メトキシ-1-(4-(モルホリニルメチル)フェニル)-5,5-ジオキシド-1,4-ジヒドロチオクロメノ[4,3-c]ピラゾール-3-イル)(4-オキサ-7-アザスピロ[2.5]オクタン-7-イル)メタノン 3
【化31】
【化32】
【0163】
ステップ1
5-メトキシチオクロマン-4-オン 3b
3-(3-メトキシフェニルチオ)ギ酸 3a(12 g、56.53 mmol、「Organic Letters, 2020, 22(3), 1155-1159」に開示された方法により調製されて得られた)、硫酸(40 mL)を100 mLの単口フラスコに加え、常温で3時間撹拌した。反応液を100 mLの氷水に注入し、酢酸エチルで抽出し(100 mL×3)、有機相を飽和食塩水(100 mL×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、ろ液を減圧濃縮し、目標生成物3b(300 mg、収率:2.73%)を得た。
【0164】
ステップ2
2-(5-メトキシ-4-オキソチオクロマン-3-イル)-2-オキソ酢酸エチル 3c
ナトリウムエチラート(1.44 g、4.23 mmol、20% w/wエタノール溶液)を20 mLのトルエンに溶け、0℃に冷却し、シュウ酸ジエチル(463 mg、3.166 mmol)の20 mLのトルエン溶液を滴下し、更に化合物3b(410 mg、2.11 mmol)を加え、室温で17時間反応させた。反応液を減圧濃縮し、残留物に100 mLの水を加え、ジクロロメタンで抽出し(50 mL)、水相を5 Mの塩酸溶液でpH約2に調整し、酢酸エチルで抽出し(50 mL×3)、有機相を合わせて飽和食塩水(20 mL×2)で洗浄し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、ろ液を減圧濃縮して表題化合物3c(900 mg)を得て、生成物を精製せずにそのまま次の反応を行った。
【0165】
ステップ3
2-(5-メトキシ-1,1-ジオキシド-4-オキソチオクロマン-3-イル)-2-オキソ酢酸エチル 3d
粗生成物3c(900 mg、3.058 mmol)を30 mLのジクロロメタンに溶け、3-クロロ過安息香酸(1.2 g、6.95 mmol)を加え、室温で17時間撹拌した。減圧濃縮し、残留物をCombiFlash高速分取クロマトグラフにより溶離剤系Bで精製し、表題化合物3d(550 mg、収率:55.1%)を得た。
【0166】
ステップ4
9-メトキシ-1-(4-(モルホリニルメチル)フェニル)-1,4-ジヒドロチオクロメノ[4,3-c]ピラゾール-3-カルボン酸エチル5,5-ジオキシド 3e
化合物3d(550 mg、1.68 mmol)を30 mLのエタノールに溶け、化合物2cの塩酸塩(384 mg)、氷酢酸(203 mg、3.3804 mmol)を加え、90℃で2時間撹拌しながら反応させた。減圧濃縮し、エタノールでスラリー化し、ろ過し、ろ過ケーキを乾燥して表題生成物3e(700 mg)を得て、収率:83.4%であった。
【0167】
ステップ5
9-メトキシ-1-(4-(モルホリニルメチル)フェニル)-1,4-ジヒドロチオクロメノ[4,3-c]ピラゾール-3-カルボン酸5,5-ジオキシド 3f
化合物3e(10.2 g、20.5 mmol)を50 mLのテトラヒドロフランに溶け、水酸化ナトリウム水溶液(3 M、2.8 mL)を加え、常温で4時間撹拌した。反応液を5.0 Mの塩酸溶液でpH約2に調整し、減圧濃縮し、粗生成物である表題生成物3f(1 g、60%の純度)を得て、生成物を精製せずにそのまま次の反応に使用した。
【0168】
ステップ6
(9-メトキシ-1-(4-(モルホリニルメチル)フェニル)-5,5-ジオキシド-1,4-ジヒドロチオクロメノ[4,3-c]ピラゾール-3-イル)(4-オキサ-7-アザスピロ[2.5]オクタン-7-イル)メタノン 3
粗生成物化合物3f(300 mg、332.26 μmol、純度60%)、4-オキサ-7-アザスピロ[2.5]オクタン塩酸塩(50 mg、334.18 μmol、薬石)、HATU(152 mg、399.76 μmol)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(215 mg、1.66 mmol)を60 mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶け、室温で17時間撹拌した。50 mLの飽和炭酸水素ナトリウム溶液を加え、水相を酢酸エチル(50 mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、減圧濃縮し、得られた残留物をCombiFlash高速分取クロマトグラフにより溶離剤系Aで精製し、表題化合物3(40 mg、収率:21.3%)を得た。
MS m/z (ESI):565.0 [M+1]。
H NMR (500 MHz, CDCl) δ 7.77-7.75 (m, 1H), 7.59-7.56 (m, 1H), 7.42-7.39(m, 2H), 7.35-7.33 (m, 1H), 7.31-7.30 (m, 1H), 7.03-7.01 (m, 1H), 4.73-4.71 (m, 2H), 4.33-4.32 (m, 1H), 4.19 (s, 1H), 3.89-3.82 (m, 3H), 3.79-3.74 (m, 5H), 3.57 (s, 2H), 3.13 (s, 3H), 2.50-2.48 (m, 4H), 0.87-0.85 (m, 2H), 0.74-0.72 (m, 2H)。
【0169】
実施例4
(7-メトキシ-1-(4-(モルホリニルメチル)フェニル)-5,5-ジオキシド-1,4-ジヒドロチオクロメノ[4,3-c]ピラゾール-3-イル)(4-オキサ-7-アザスピロ[2.5]オクタン-7-イル)メタノン 4
【化33】
【化34】
【0170】
ステップ1
2-(7-メトキシ-4-オキソチオクロマン-3-イル)-2-オキソ酢酸エチル 4b
ナトリウムエチラート(19.267 g、56.62 mmol、20% w/wエタノール溶液)を500 mLの単口フラスコに入れ、0℃でシュウ酸ジエチル(6.207 g、42.47 mmol)のトルエン溶液300 mLを加え、更に7-メトキシチオクロマン-4-オン 4a(5.5 g、28.31 mmol、「Organic Letters, 2020, 22( 3), 1155-1159」に開示された方法により調製されて得られた)を加え、常温で17時間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、残留物に400 mLの水を加え、ジクロロメタンで抽出し(200 mL×2)、水相を5 Mの塩酸溶液でpH約2に調整し、酢酸エチルで抽出し(200 mL×3)、有機相を合わせて飽和食塩水(200 mL×2)で洗浄し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、ろ液を減圧濃縮して粗生成物である表題化合物4b(8.3 g)を得て、生成物を精製せずにそのまま次の反応を行った。
【0171】
ステップ2
2-(7-メトキシ-1,1-ジオキシド-4-オキソチオクロマン-3-イル)-2-オキソ酢酸エチル 4c
粗生成物である化合物4b(8.3 g、28.20 mmol)を200 mLのジクロロメタンに溶け、氷浴で冷却しながら数回に分けてメタクロロ過安息香酸(12.166 g、70.50 mmol)を加え、常温で17時間撹拌した。ろ過し、ろ液を減圧濃縮し、残留物をCombiFlash高速分取クロマトグラフにより溶離剤系Bで精製し、表題化合物4c(8.8 g、収率:95.6%)を得た。
【0172】
ステップ3
7-メトキシ-1-(4-(モルホリニルメチル)フェニル)-1,4-ジヒドロチオクロメノ[4,3-c]ピラゾール-3-カルボン酸エチル5,5-ジオキシド 4d
化合物4c(8.8 g、26.96 mmol)を200 mLのエタノールに溶け、2cの塩酸塩(6.7 g)、氷酢酸(3.239 g、53.93 mmol)を加え、90℃で2時間撹拌しながら反応させた。減圧濃縮し、エタノールでスラリー化し、ろ過し、ろ過ケーキを乾燥して表題生成物4d(10.2 g)を得て、収率:76.0%であった。
【0173】
ステップ4
7-メトキシ-1-(4-(モルホリニルメチル)フェニル)-1,4-ジヒドロチオクロメノ[4,3-c]ピラゾール-3-カルボン酸5,5-ジオキシド 4e
化合物4d(10.2 g、20.5 mmol)を100 mLのテトラヒドロフランに溶け、水酸化ナトリウム水溶液(1.0 M、102.5 mL)を加え、常温で4時間撹拌した。反応液を5.0 Mの塩酸溶液でpH約2に調整し、減圧濃縮し、表題生成物4e(16.3 g、純度8.8%)を得た。
【0174】
ステップ5
(7-メトキシ-1-(4-(モルホリニルメチル)フェニル)-5,5-ジオキシド-1,4-ジヒドロチオクロメノ[4,3-c]ピラゾール-3-イル)(4-オキサ-7-アザスピロ[2.5]オクタン-7-イル)メタノン 4
化合物4e(300 mg、332.26 μmol、58.8%)、4-オキサ-7-アザスピロ[2.5]オクタン塩酸塩(50 mg、334.18 μmol、薬石)、HATU(151 mg、397.13 μmol)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(215 mg、1.66 mmol)を5 mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶け、室温で17時間撹拌した。10 mLの飽和炭酸水素ナトリウム溶液を加え、水相を酢酸エチル(20 mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、減圧濃縮し、得られた残留物をCombiFlash高速分取クロマトグラフにより溶離剤系Aで精製し、表題化合物4(47 mg、収率:25.1%)を得た。
MS m/z (ESI):565.1 [M+1]。
H NMR (500 MHz, CDCl) δ 7.62-7.60 (m, 1H), 7.53-7.49 (m, 2H), 7.46-7.40 (m, 2H), 7.07-6.89 (m, 1H), 6.83-6.81 (m, 1H), 4.76-4.75 (m, 2H), 4.31-4.29 (m, 1H), 4.18-4.16 (m, 1H), 3.91-3.88 (m, 5H), 3.83-3.78 (m, 6H), 3.63-3.60 (m, 2H), 2.54-2.51 (m, 4H), 0.87-0.84 (m, 2H), 0.72-0.68 (m, 2H)。
【0175】
実施例5
(6-メトキシ-1-(4-(モルホリニルメチル)フェニル)-5,5-ジオキシド-1,4-ジヒドロチオクロメノ[4,3-c]ピラゾール-3-イル)(4-オキサ-7-アザスピロ[2.5]オクタン-7-イル)メタノン 5
【化35】
【化36】
【0176】
ステップ1
3-((2-メトキシフェニル)チオ)プロピオン酸 5b
2-メトキシチオフェノール 5a(25.0 g、178.31 mmol、韶遠)と炭酸カリウム(36.9 g、267.50 mmol、国薬)を200 mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶け、窒素雰囲気下で、60℃で30分間撹拌し、室温に冷却し、3-ブロモプロピオン酸(28.6 g、187.28 mmol、Adamas)を加え、窒素雰囲気下で60℃で3時間撹拌し続けた。反応液に1000 mLの水を加え、酢酸エチルで抽出し(300 mL×2)、水相を濃塩酸でpH約3に調整し、酢酸エチルで抽出し(400 mL×2)、有機相を合わせて順に水(400 mL×2)、飽和食塩水(400 mL×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、ろ液を減圧濃縮して表題生成物5b(37 g)を得て、収率:98%であった。
MS m/z (ESI):213.1 [M-1]。
【0177】
ステップ2
8-メトキシチオクロマン-4-オン 5c
化合物5b(37 g、174.3 mmol)を濃硫酸(200 mL)に溶け、0℃で2時間撹拌した。反応液を1000 mLの氷水に注入し、酢酸エチルで抽出し(300 mL×3)、有機相を飽和食塩水(300 mL×2)で洗浄し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、ろ液を減圧濃縮し、残留物をCombiFlash高速分取クロマトグラフにより溶離剤系Bで精製して表題生成物5c(1.74 g、収率:4.3%)を得た。
MS m/z (ESI):194.9 [M+1]。
【0178】
ステップ3
2-(8-メトキシ-4-オキソチオクロマン-3-イル)-2-オキソ酢酸エチル 5d
ナトリウムエチラート(6.10 g、17.92 mmol、20% w/wエタノール溶液)を100 mLの三口フラスコに入れ、0℃でシュウ酸ジエチル(1.97 g、13.49 mmol、30 mLのトルエンに溶けた)と化合物5c(1.74 g、8.95 mmol、30 mLのトルエンに溶けた)を加え、室温で16時間反応させた。反応液を減圧濃縮し、残留物に80 mLの水を加え、ジクロロメタンで抽出し(80 mL×2)、水相を5 Mの塩酸溶液でpH約2に調整し、酢酸エチルで抽出し(70 mL×3)、有機相を合わせ、飽和食塩水(60 mL×2)で洗浄し、更に無水硫酸ナトリウムで15分間乾燥し、ろ過し、ろ液を減圧濃縮し、表題生成物5d(2.6 g)を得て、収率:98.6%であった。
MS m/z (ESI):295.0[M+1]。
【0179】
ステップ4
2-(8-メトキシ-1,1-ジオキシド-4-オキソチオクロマン-3-イル)-2-オキソ酢酸エチル 5e
化合物5d(2.6 g、8.83 mmol)を250 mLのジクロロメタンに溶け、氷浴で冷却しながら数回に分けてメタクロロ過安息香酸(3.9 g、19.47 mmol、沃凱)を加え、室温で17時間撹拌した。ろ過し、ろ液を減圧濃縮し、残留物をCombiFlash高速分取クロマトグラフにより溶離剤系Aで精製し、表題化合物5e(2.8 g、収率97.1%)を得た。
MS m/z (ESI):326.9 [M+1]。
【0180】
ステップ5
6-メトキシ-1-(4-(モルホリニルメチル)フェニル)-1,4-ジヒドロチオクロメノ[4,3-c]ピラゾール-3-カルボン酸エチル5,5-ジオキシド 5f
化合物5e(1.3 g、3.98 mmol)、化合物2cの塩酸塩(825.7mg)及び氷酢酸(478.4 mg、7.96 mmol)を60 mLの無水エタノールに溶け、還流するまで昇温し、3時間撹拌した。60 mLの飽和炭酸水素ナトリウム溶液を加え、混合液を酢酸エチル(80 mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、減圧濃縮し、残留物をCombiFlash高速分取クロマトグラフにより溶離剤系Aで精製し、表題化合物5f(1.63 g、収率82.2%)を得た。
MS m/z (ESI):498.0 [M+1]。
【0181】
ステップ6
6-メトキシ-1-(4-(モルホリニルメチル)フェニル)-1,4-ジヒドロチオクロメノ[4,3-c]ピラゾール-3-カルボン酸5,5-ジオキシド 5g
化合物5f(1.63 g、3.27 mmol)を30 mLのテトラヒドロフランに溶け、水酸化ナトリウム水溶液(6.5 mL、2.5 M)を加え、4時間撹拌した。濃塩酸溶液を加え、pHを約3に調整し、減圧濃縮し、粗生成物である表題化合物5g(2.4 g、収率156.0%)を得て、生成物を精製せずにそのまま次の反応に使用した。
MS m/z (ESI):470.0 [M+1]。
【0182】
ステップ7
(6-メトキシ-1-(4-(モルホリニルメチル)フェニル)-5,5-ジオキシド-1,4-ジヒドロチオクロメノ[4,3-c]ピラゾール-3-イル)(4-オキサ-7-アザスピロ[2.5]オクタン-7-イル)メタノン 5
粗生成物である化合物5g(330 mg、421.71 μmol、60%の純度)、4-オキサ-7-アザスピロ[2.5]オクタン塩酸塩(63 mg、421.74 μmol、江蘇艾康)とHATU(297.6 mg、1.26 mmol)を30 mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶け、更にN,N-ジイソプロピルエチルアミン(326 mg、2.53 mmol)を加え、2時間撹拌しながら反応させた。60 mLの水を加えて反応をクエンチし、水相を酢酸エチル(80 mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、飽和食塩水溶液で洗浄し(80 mL×3)、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、ろ液を減圧濃縮し、残留物をCombiFlash高速分取クロマトグラフにより溶離剤系Aで精製し、表題化合物5(102 mg、収率42.8%)を得た。
MS m/z (ESI):565.1 [M+1]。
H NMR (500 MHz, DMSO-d): δ 7.53-7.50(m, 2H), 7.45-7.37 (m, 3H), 7.25(d, 1H), 6.39-6.37(m, 1H), 4.80 (d, 2H), 4.07 (m, 2H), 3.91 (s, 3H), 3.74-3.57 (m, 9H), 3.32 (s, 1H), 2.41 (t, 4H),0.74-0.59 (m, 4H)。
【0183】
実施例6
(6-メチル-1-(4-(モルホリニルメチル)フェニル)-5,5-ジオキシド-1,4-ジヒドロチオクロメノ[4,3-c]ピラゾール-3-イル)(4-オキサ-7-アザスピロ[2.5]オクタン-7-イル)メタノン 6
【化37】
【化38】
【0184】
ステップ1
3-(o-メチルフェニルチオ)プロピオン酸 6b
2-メチルチオフェノール6a(25.0 g、201.2 mmol、韶遠)と炭酸カリウム(41.7 g、301.9 mmol)を200 mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶け、窒素雰囲気下で60℃で30分間撹拌した。室温に冷却し、3-ブロモプロピオン酸(32.3 g、211.4 mmol、Adamas)を加え、窒素雰囲気下で60℃で3時間撹拌し続けた。反応液に1000 mLの水を加え、酢酸エチルで抽出し(300 mL×2)、水相を濃塩酸でpH約3に調整し、酢酸エチルで抽出し(400 mL×2)、有機相を合わせて順に水(400 mL×2)、飽和食塩水(400 mL×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、ろ液を減圧濃縮して表題生成物6b(39 g)を得て、収率:98%であった。
MS m/z (ESI):195.2 [M-1]。
【0185】
ステップ2
8-メチルチオクロマン-4-オン 6c
化合物6b(39 g、198.6 mmol)を濃硫酸(200 mL)に溶け、0℃で2時間撹拌した。反応液を1000 mLの氷水に注入し、酢酸エチルで抽出し(300 mL×3)、有機相を飽和食塩水(300 mL×2)で洗浄し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ液を減圧濃縮し、残留物をCombiFlash高速分取クロマトグラフにより溶離剤系Bで精製して表題生成物6c(15.5 g、収率:43%)を得た。
MS m/z (ESI):178.9 [M+1]。
【0186】
ステップ3
2-(8-メチル-4-オキソチオクロマン-3-イル)-2-オキソ酢酸エチル 6d
ナトリウムエチラート(59 g、173.93 mmol、20% w/wエタノール溶液)を500 mLの三口フラスコに入れ、0℃でシュウ酸ジエチル(19 g、130.49 mmol、100 mLのトルエンに溶けた)と化合物6c(15.5 g、86.9 mmol、100 mLのトルエンに溶けた)を加え、室温で16時間反応させた。反応液を減圧濃縮し、残留物に400 mLの水を加え、ジクロロメタンで抽出し(200 mL×2)、水相を5 Mの塩酸溶液でpH約2に調整し、酢酸エチルで抽出し(200 mL×3)、有機相を合わせ、飽和食塩水(200 mL×2)で洗浄し、更に無水硫酸ナトリウムで15 min乾燥し、ろ過し、ろ液を減圧濃縮し、表題生成物6d(24 g)を得て、収率:99.0%であった。
MS m/z (ESI):279.0[M+1]。
【0187】
ステップ4
2-(8-メチル-1,1-ジオキシド-4-オキソチオクロマン-3-イル)-2-オキソ酢酸エチル 6e
化合物6d(24 g、86.23 mmol)を250 mLのジクロロメタンに溶け、氷浴で冷却しながら数回に分けてメタクロロ過安息香酸(29 g、172.5 mmol)を加え、室温で17時間撹拌した。ろ過し、ろ液を減圧濃縮し、残留物をCombiFlash高速分取クロマトグラフにより溶離剤系Aで精製し、表題化合物6e(26 g、収率97.1%)を得た。
MS m/z (ESI):310.9 [M+1]。
【0188】
ステップ5
6-メチル-1-(4-(モルホリニルメチル)フェニル)-1,4-ジヒドロチオクロメノ[4,3-c]ピラゾール-3-カルボン酸エチル5,5-ジオキシド 6f
化合物6e(15 g、49.01 mmol)、化合物2cの塩酸塩(10 g)及び氷酢酸(5.9 g、98.11 mmol)を300 mLの無水エタノールに溶け、還流するまで昇温し、3時間撹拌した。300 mLの飽和炭酸水素ナトリウム溶液を加え、混合液を酢酸エチル(250 mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、減圧濃縮し、残留物をCombiFlash高速分取クロマトグラフにより溶離剤系Aで精製し、表題化合物6f(20 g、収率86.9%)を得た。
MS m/z (ESI):482.0 [M+1]。
【0189】
ステップ6
6-メチル-1-(4-(モルホリニルメチル)フェニル)-1,4-ジヒドロチオクロメノ[4,3-c]ピラゾール-3-カルボン酸5,5-ジオキシド 6g
化合物6f(14 g、29.07 mmol)を150 mLのテトラヒドロフランに溶け、水酸化ナトリウム水溶液(58.2 mL、2.5 M)を加え、4時間撹拌した。濃塩酸溶液を加え、pHを約3に調整し、減圧濃縮し、粗生成物である表題化合物6g(21.2 g)を得て、生成物を精製せずにそのまま次の反応に使用した。
MS m/z (ESI):454.0 [M+1]。
【0190】
ステップ7
(6-メチル-1-(4-(モルホリニルメチル)フェニル)-5,5-ジオキシド-1,4-ジヒドロチオクロメノ[4,3-c]ピラゾール-3-イル)(4-オキサ-7-アザスピロ[2.5]オクタン-7-イル)メタノン 6
化合物6g(250 mg、330.75 μmol)、4-オキサ-7-アザスピロ[2.5]オクタン塩酸塩(49.5 mg、330.77 μmol)とHATU(233.4 mg、992.28 μmol)を30 mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶け、更にN,N-ジイソプロピルエチルアミン(256 mg、1.98 mmol)を加え、2時間撹拌しながら反応させた。60 mLの水を加えて反応をクエンチし、水相を酢酸エチル(80 mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、飽和食塩水溶液で洗浄し(80 mL×3)、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、ろ液を減圧濃縮し、残留物をCombiFlash高速分取クロマトグラフにより溶離剤系Aで精製し、表題化合物6(40 mg、収率22%)を得た。
MS m/z (ESI):549.1 [M+1]。
H NMR (500 MHz, DMSO-d): δ 7.52-7.49(m, 2H), 7.42-7.35 (m, 4H), 6.71-6.68 (m,1H), 4.89 (d, 2H), 4.09 (t, 2H), 3.92 (s, 3H), 3.74-3.57 (m, 9H), 3.29 (s, 1H),2.41 (t, 4H), 0.72-0.61(m, 4H)。
【0191】
実施例7
(7-クロロ-1-(4-(モルホリニルメチル)フェニル)-5,5-ジオキシド-1,4-ジヒドロチオクロメノ[4,3-c]ピラゾール-3-イル)(4-オキサ-7-アザスピロ[2.5]オクタン-7-イル)メタノン 7
【化39】
【化40】
【0192】
ステップ1
2-(7-クロロ-4-オキソチオクロマン-3-イル)-2-オキソ酢酸エチル 7b
ナトリウムエチラート(62.0 g、182.2 mmol、20% w/wエタノール溶液)を500 mLの単口フラスコに入れ、0℃でシュウ酸ジエチル(19.9 g、136.2 mmol)のトルエン溶液300 mLを加え、更に7-クロロチオクロマン-4-オン 7a(18.0 g、90.6 mmol、「Organic Letters, 2020, 22( 3), 1155-1159」に開示された方法により調製されて得られた)を加え、常温で17 h撹拌した。反応液を減圧濃縮し、残留物に400 mLの水を加え、ジクロロメタンで抽出し(200 mL×2)、水相を5 Mの塩酸溶液でpH約2に調整し、酢酸エチルで抽出し(200 mL×3)、有機相を合わせて飽和食塩水(200 mL×2)で洗浄し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、ろ液を減圧濃縮して表題化合物7b(13.7 g)を得て、生成物を精製せずにそのまま次の反応を行った。
【0193】
ステップ2
2-(7-クロロ-1,1-ジオキシド-4-オキソチオクロマン-3-イル)-2-オキソ酢酸エチル 7c
粗生成物である化合物7b(11.80 g、36.15 mmol)を150 mLのジクロロメタンに溶け、3-クロロ過安息香酸(17.2 g、81.79 mmol)を加え、室温で17時間撹拌した。減圧濃縮し、残留物をCombiFlash高速分取クロマトグラフにより溶離剤系Bで精製し、表題化合物7c(12.3 g)を得て、収率:98.3%であった。
【0194】
ステップ3
7-クロロ-1-(4-(モルホリニルメチル)フェニル)-1,4-ジヒドロチオクロメノ[4,3-c]ピラゾール-3-カルボン酸エチル5,5-ジオキシド7 d
化合物7c(11.3 g、33.6 mmol)を80 mLのエタノールに溶け、化合物2cの塩酸塩(9.0 g)、氷酢酸(20 mL)を加え、80℃で2時間撹拌しながら反応させた。減圧濃縮し、エタノールでスラリー化し、ろ過し、ろ過ケーキを真空下で乾燥して表題生成物7d(13.9 g)を得て、収率:83.2%であった。
【0195】
ステップ4
7-クロロ-1-(4-(モルホリニルメチル)フェニル)-1,4-ジヒドロチオクロメノ[4,3-c]ピラゾール-3-カルボン酸5,5-ジオキシド 7e
化合物7d(13.9 g、28.3 mmol)を100 mLのテトラヒドロフランに溶け、水酸化ナトリウム(3 M、5.5 mL)水溶液を加え、常温で16時間撹拌した。反応液を5.0 Mの塩酸溶液でpH約2に調整し、減圧濃縮し、表題生成物7e(16.1 g)を得て、生成物を精製せずにそのまま次の反応に使用した。
【0196】
ステップ5
(7-クロロ-1-(4-(モルホリニルメチル)フェニル)-5,5-ジオキシド-1,4-ジヒドロチオクロメノ[4,3-c]ピラゾール-3-イル)(4-オキサ-7-アザスピロ[2.5]オクタン-7-イル)メタノン 7
粗生成物である化合物7e(200 mg、255.2 μmol)、4-オキサ-7-アザスピロ[2.5]オクタン塩酸塩(49.5 mg、330.77 μmol)とHATU(233.4 mg、992.28 μmol)を10 mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶け、更にN,N-ジイソプロピルエチルアミン(256 mg、1.98 mmol)を加え、3時間撹拌しながら反応させた。60 mLの水を加えて反応をクエンチし、水相を酢酸エチル(80 mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、飽和食塩水溶液で洗浄し(80 mL×3)、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、ろ液を減圧濃縮し、残留物をCombiFlash高速分取クロマトグラフにより溶離剤系Aで精製し、表題化合物7(55 mg、収率32.7%)を得た。
MS m/z (ESI):569.1 [M+1]。
H NMR (500 MHz, DMSO-d): δ 8.00 (s, 1H), 7.72 (d, 1H), 7.61-7.47 (m, 4H), 6.89 (d, 1H), 4.94 (d, 2H), 4.05 (s, 1H), 3.90 (s, 1H), 3.76-3.59 (m, 10H), 2.42 (brs, 4H), 0.68-0.64 (m, 4H)。
【0197】
実施例8
(1-(4-(モルホリニルメチル)フェニル)-5,5-ジオキシド-6-(トリフルオロメチル)-1,4-ジヒドロチオクロメノ[4,3-c]ピラゾール-3-イル)(4-オキサ-7-アザスピロ[2.5]オクタン-7-イル)メタノン 8
【化41】
【化42】
【0198】
ステップ1
3-((2-(トリフルオロメチル)フェニル)チオ)プロピオン酸 8b
化合物8a(10.4 g、58.3 mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(60 mL)に溶け、炭酸カリウム(16.1 g、116.5 mmol)を加え、60℃で30分間撹拌した。冷却後、ブロモプロピオン酸(9.8 g、64.3 mmol)を加え、60℃で3時間撹拌し続けた。冷却し、水に注入し、2 Mの塩酸をpH=2に調整し、酢酸エチルで3回抽出し、有機相を合わせ、飽和食塩水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、ろ液を減圧濃縮し、残留物をCombiFlash高速分取クロマトグラフにより溶離剤系Bで精製し、表題化合物8b(11.0 g)を得て、収率:75.3%であった。
【0199】
ステップ2
8-(トリフルオロメチル)チオクロマン-4-オン 8c
化合物8b(11.0 g、46.5 mmol)を濃硫酸(150 mL)に加え、室温で3時間撹拌した。反応液を氷水に注入し、均一に撹拌した。ろ過し、水で洗浄し、固体を酢酸エチルに溶けた後、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、ろ液を減圧濃縮し、残留物をCombiFlash高速分取クロマトグラフにより溶離剤体Aで精製し、表題化合物8c(8.0 g)を得て、収率:71.8%であった。
【0200】
ステップ3
2-(8-(トリフルオロメチル)-4-オキソチオクロマン-3-イル)-2-オキソ酢酸エチル 8d
ナトリウムエチラート(23.5 g、69.1 mmol、20% w/wエタノール溶液)を500 mLの単口フラスコに加え、0℃でシュウ酸ジエチル(7.6 g、51.7 mmol)のトルエン溶液200 mLを加え、更に化合物8c(8.0 g、34.5 mmol)を加え、常温で17 h撹拌した。反応液を減圧濃縮し、残留物に300 mLの水を加え、ジクロロメタンで抽出し(100 mL×2)、水相を5 Mの塩酸溶液でpH約2に調整し、酢酸エチルで抽出し(100 mL×3)、有機相を合わせて飽和食塩水(200 mL×2)で洗浄し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、ろ液を減圧濃縮して粗生成物である表題化合物8d(9.1 g)を得て、生成物を精製せずに次のステップに使用した。
【0201】
ステップ4
2-(8-(トリフルオロメチル)-1,1-ジオキシド-4-オキソチオクロマン-3-イル)-2-オキソ酢酸エチル 8e
粗生成物である化合物8d(9.1 g、27.2 mmol)を150 mLのジクロロメタンに溶け、3-クロロ過安息香酸(11.6 g、57.2 mmol)を加え、室温で17時間撹拌した。減圧濃縮し、残留物をCombiFlash高速分取クロマトグラフにより溶離剤系Bで精製し、表題化合物8e(9.8 g)を得て、収率:99.3%であった。
【0202】
ステップ5
6-(トリフルオロメチル)-1-(4-(モルホリニルメチル)フェニル)-1,4-ジヒドロチオクロメノ[4,3-c]ピラゾール-3-カルボン酸エチル5,5-ジオキシド 8f
化合物8e(9.8 g、26.9 mmol)を80 mLのエタノールに溶け、化合物2cの塩酸塩(7.0 g)、氷酢酸(20 mL)を加え、80℃で2時間撹拌しながら反応させた。減圧濃縮し、エタノールでスラリー化し、ろ過し、ろ過ケーキを乾燥して表題生成物8f(8.0 g)を得て、収率:55.5%であった。
【0203】
ステップ6
6-(トリフルオロメチル)-1-(4-(モルホリニルメチル)フェニル)-1,4-ジヒドロチオクロメノ[4,3-c]ピラゾール-3-カルボン酸5,5-ジオキシド 8g
化合物8f(8.0 g、14.9 mmol)を100 mLのテトラヒドロフランに溶け、水酸化ナトリウム水溶液(3 M、5.5 mL)を加え、常温で16時間撹拌した。反応液を5.0 Mの塩酸溶液でpH約2に調整し、減圧濃縮し、表題生成物8g(10.5 g、純度70%)を得て、生成物を精製せずにそのまま次の反応に使用した。
【0204】
ステップ7
(1-(4-(モルホリニルメチル)フェニル)-5,5-ジオキシド-6-(トリフルオロメチル)-1,4-ジヒドロチオクロメノ[4,3-c]ピラゾール-3-イル)(4-オキサ-7-アザスピロ[2.5]オクタン-7-イル)メタノン 8
粗生成物である化合物8g(200 mg、255.2 μmol)、4-オキサ-7-アザスピロ[2.5]オクタン塩酸塩(49.5 mg、330.77 μmol)とHATU(233.4 mg、992.28 μmol)を10 mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶け、更にN,N-ジイソプロピルエチルアミン(172.9 mg、1.34 mmol)を加え、3時間撹拌しながら反応させた。60 mLの水を加えて反応をクエンチし、水相を酢酸エチル(50 mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、飽和食塩水溶液で洗浄し(80 mL×2)、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過し、ろ液を減圧濃縮し、残留物をCombiFlash高速分取クロマトグラフにより溶離剤系Aで精製し、表題化合物8(60 mg、収率37.2%)を得た。
MS m/z (ESI):603.1 [M+1]。
H NMR (500 MHz, DMSO-d): δ 8.01 (d, 1H), 7.72 (t, 1H), 7.52 (t, 2H), 7.46-7.41 (m, 2H), 7.19 (d, 1H), 5.00 (d, 2H), 4.11 (s, 1H), 3.95 (s, 1H), 3.75-3.52 (m, 10H), 2.41 (brs, 4H), 0.69-0.65 (m, 4H)。
【0205】
実施例9
(7-メチル-1-(4-(モルホリニルメチル)フェニル)-5,5-ジオキシド-1,4-ジヒドロチオクロメノ[4,3-c]ピラゾール-3-イル)(4-オキサ-7-アザスピロ[2.5]オクタン-7-イル)メタノン 9
【化43】
【化44】
【0206】
ステップ1
3-(m-メチルフェニルチオ)プロピオン酸 9b
3-メチルチオフェノール9a(10 g、80.5 mmol)を100 mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶け、炭酸カリウム(16 g、115.7 mmol)を加え、室温で撹拌しながら3-ブロモプロピオン酸を加え、室温で2時間撹拌しながら反応させた。500 mLの水を加えてクエンチし、水相を酢酸エチル(80 mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、ろ液を減圧濃縮し、粗生成物である表題化合物9b(8.94 g、収率:56.5%)を得て、生成物を精製せずにそのまま次の反応に使用した。
MS m/z(ESI):195.0 [M-1]。
【0207】
ステップ2
7-メチルチオクロマン-4-オン 9c
粗生成物である化合物9b(8.94 g、45.5 mmol)を100 mLの濃硫酸に溶け、室温で3時間撹拌した。反応液を丁寧に500 gの氷水に注入してクエンチし、水相を酢酸エチル(80 mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、ろ液を減圧濃縮し、残留物はカラムクロマトグラフィーにより、得られた残留物を展開溶媒系Bで精製し、表題化合物9c(5.17 g、収率:63.7%)を得た。
H NMR (500 MHz, CDCl) δ 7.30 (t, 1H), 7.20 (d, 1H), 7.03 (d, 1H), 3.27-3.21 (m, 2H), 2.93-2.85 (m, 2H), 2.49 (s, 3H)。
【0208】
ステップ3
2-(7-メチル-4-オキソチオクロマン-3-イル)-2-オキソ酢酸エチル 9e
単口フラスコにナトリウムエチラート(20 g、58.78 mmol、20% w/wエタノール溶液)を入れ、氷浴で冷却し、更にシュウ酸ジエチル(4.5 g、30.79 mmol、50 mLのトルエンに溶けた)を加え、撹拌しながら化合物9c(5.17 g、29.00 mmol、50 mLのトルエンに溶けた)を加え、室温で18時間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、200 mLの水を加えて反応をクエンチし、3 Mの塩酸水溶液でpHを中性に調整し、水相を酢酸エチル(100 mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、ろ液を減圧濃縮し、粗生成物である表題化合物9e(7.87 g、収率:97.5%)を得た。
MS m/z(ESI):279.0 [M+1]。
【0209】
ステップ4
2-(7-メチル-1,1-ジオキシド-4-オキソチオクロマン-3-イル)-2-オキソ酢酸エチル 9f
化合物9e(7.78 g、28.28 mmol)を240 mLのジクロロメタンに溶け、氷浴で冷却しながら数回に分けてメタクロロ過安息香酸(14 g、68.96 mmol)を加え、室温で3時間撹拌した。ろ過して不溶物を除去し、ろ液を減圧濃縮し、残留物をカラムクロマトグラフィーによりA系で精製して表題化合物9f(6.88 g、收率78.2%)を得た。
MS m/z(ESI):310.9 [M+1]。
【0210】
ステップ5
7-メチル-1-(4-(モルホリニルメチル)フェニル)-1,4-ジヒドロチオクロメノ[4,3-c]ピラゾール-3-ギ酸エチル5,5-ジオキシド 9g
化合物9f(6.88 g、22.17 mmol)と化合物2cの塩酸塩(4.5 g、21.71 mmol)を150 mLのエタノールに溶け、氷酢酸(2.5 g、41.63 mmol)を加え、6時間還流しながら撹拌した。反応液を室温に冷却した後、ろ過して黄い固体を得て、固体を収集して真空下で乾燥し、粗生成物である表題生成物9g(14.7 g)を得て、生成物を精製せずにそのまま次の反応を行った。
MS m/z(ESI):482.2 [M+1]。
【0211】
ステップ6
7-メチル-1-(4-(モルホリニルメチル)フェニル)-1,4-ジヒドロチオクロメノ[4,3-c]ピラゾール-3-ギ酸5,5-ジオキシド 9h
粗生成物である化合物9g(5 g、10.38 mmol)を60 mLのテトラヒドロフランに溶け、水酸化ナトリウム水溶液(2.5 M、10 mL)を加え、60℃で1時間加熱しながら撹拌した。反応を室温に冷却した後、3 Mの塩酸でpHを中性に調整し、減圧下で有機溶剤を除去し、残りの水相を凍結乾燥し、粗生成物である表題生成物9h(9 g)を得て、生成物を精製せずにそのまま次の反応を行った。
MS m/z(ESI):452.1 [M-1]。
【0212】
ステップ7
(7-メチル-1-(4-(モルホリニルメチル)フェニル)-5,5-ジオキシド-1,4-ジヒドロチオクロメノ[4,3-c]ピラゾール-3-イル)(4-オキサ-7-アザスピロ[2.5]オクタン-7-イル)メタノン 9
粗生成物である化合物9h(200 mg、0.22 mmol)、4-オキサ-7-アザスピロ[2.5]オクタン塩酸塩(40 mg、0.27 mmol)とHATU(120 mg、0.32 mmol)を5 mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶け、更にN,N-ジイソプロピルエチルアミン(100 mg、0.77 mmol、0.13 mL)を加え、2時間撹拌しながら反応させた。150 mLの水を加えて反応をクエンチし、水相を酢酸エチル(50 mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、飽和食塩水溶液で洗浄し(50 mL×3)、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、ろ液を減圧濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより溶離剤系Aで精製して表題生成物9(32 mg、収率26.5%)を得た。
MS m/z(ESI):549.1 [M+1]。
H NMR (500 MHz, DMSO-d) δ 7.84 (s, 1H), 7.54 (t, 2H), 7.49 (d, 1H), 7.45 (d, 1H), 7.38 (d, 1H), 6.73 (d, 1H), 4.84 (d, 2H), 4.10-4.03 (m, 1H), 3.91 (s, 1H), 3.73 (d, 2H), 3.70-3.64 (m, 2H), 3.64-3.56 (m, 6H), 2.44-2.36 (m, 7H), 0.75-0.66 (m, 2H), 0.66-0.58 (m, 2H)。
【0213】
対照例10
(6-フルオロ-1-(4-(モルホリニルメチル)フェニル)-5,5-ジオキシド-1,4-ジヒドロチオクロメノ[4,3-c]ピラゾール-3-イル)(7-オキサ-4-アザスピロ[2.5]オクタン-4-イル)メタノン 10
【化45】
【化46】
化合物1a及び7-オキサ-4-アザスピロ[2.5]オクタン塩酸塩(33 mg、220.77 mmol、江蘇艾康)、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(251 mg、651.77 mmol)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(99 mg、655.77 mmol)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(110 mg、1.09 mmol)、4-ジメチルアミノピリジン(53 mg、437.18 mmol)をジクロロメタン(30 mL)に溶け、室温で16時間撹拌した。50 mLの水を加え、ジクロロメタンとメタノール(V:V=10:1)の混合溶剤(60 mL)で抽出し、有機相を合わせ、順に水(60 mL)と飽和食塩水溶液(60 mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、ろ液を減圧濃縮し、得られた残留物をCombiFlash高速分取クロマトグラフにより溶離剤系Aで精製し、表題生成物10(25 mg、収率:20.6%)を得た。
MS m/z (ESI):553.3 [M+1]。
H NMR (500 MHz, DMSO-d): δ 7.60-7.44 (m, 6H), 6.65 (d, 1H), 4.95 (d, 2H), 3.99-3.56 (m, 9H), 2.41 (s, 4H), 1.27-0.72 (m, 7H)。
【0214】
実施例11
(7-クロロ-6-フルオロ-1-(4-(モルホリニルメチル)フェニル)-5,5-ジオキシド-1,4-ジヒドロチオクロメノ[4,3-c]ピラゾール-3-イル)(4-オキサ-7-アザスピロ[2.5]オクタン-7-イル)メタノン 11
【化47】
【化48】
【0215】
ステップ1
3-((3-クロロ-2-フルオロフェニル)チオ)プロピオン酸 11b
3-クロロ-2フルオロチオフェノール11a(8 g、49.20 mmol、無錫科華)を100 mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶け、炭酸カリウム(8.840 g、63.96 mmol)を加え、60℃で30分間撹拌し、3-ブロモプロピオン酸(8.279 g、54.12 mmol)を加え、60℃で2時間撹拌しながら反応させた。500 mLの水を加えてクエンチし、酢酸エチル(200 mL×1)で抽出し、水相を濃塩酸でpH約3に調整し、水相を更に酢酸エチル(300 mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、ろ液を減圧濃縮し、粗生成物である表題化合物11b(11.166 g、収率:96.7%)を得て、生成物を精製せずにそのまま次の反応に使用した。
【0216】
ステップ2
7-クロロ-8-フルオロチオクロマン-4-オン 11c
粗生成物である化合物11b(11.116 g、47.37 mmol)を100 mLの濃硫酸に溶け、室温で3時間撹拌した。反応液を丁寧に500 mLの氷水に注入してクエンチし、水相を酢酸エチル(200 mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、ろ液を減圧濃縮して表題化合物11c(8.731 g、収率:85.1%)を得て、生成物を精製せずにそのまま次の反応に使用した。
【0217】
ステップ3
2-(7-クロロ-8-フルオロ-4-オキソチオクロマン-3-イル)-2-オキソ酢酸エチル 11d
単口フラスコにナトリウムエチラート(27.423 g、80.60 mmol、20% w/wエタノール溶液、TCI)と125 mLのトルエンを加え、氷浴で冷却し、更にシュウ酸ジエチル(8.834 g、60.45 mmol)を加え、撹拌しながら粗生成物である化合物11c(8.731 g、40.30 mmol)を加え、室温で17時間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、600 mLの水を加えて反応をクエンチし、濃塩酸でpHを約3に調整し、水相を酢酸エチル(250 mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、ろ液を減圧濃縮し、粗生成物である表題化合物11d(11.919 g、収率:93.4%)を得た。
MS m/z(ESI):316.9 [M+1]。
【0218】
ステップ4
2-(7-クロロ-8-フルオロ-1,1-ジオキシド-4-オキソチオクロマン-3-イル)-2-オキソ酢酸エチル 11e
化合物11d(11.919 g、37.63 mmol)を130 mLのジクロロメタンに溶け、氷浴で冷却しながら数回に分けてメタクロロ過安息香酸(19.100 g、94.08 mmol)を加え、室温で17時間撹拌した。ろ過して不溶物を除去し、ろ液を濃縮し、残留物をカラムクロマトグラフィーによりA系で精製して表題化合物11e(11.5 g、收率:87.6%)を得た。
MS m/z(ESI):347.0 [M-1]。
【0219】
ステップ5
7-クロロ-6-フルオロ-1-(4-(モルホリニルメチル)フェニル)-1,4-ジヒドロチオクロメノ[4,3-c]ピラゾール-3-ギ酸エチル5,5-ジオキシド 11f
化合物11e(11.5 g、32.98 mmol)と化合物2cの塩酸塩(10.024 g)を250 mLのエタノールに溶け、氷酢酸(3.961 g、65.96 mmol)を加え、3時間還流しながら撹拌した。反応液に300 mLの飽和炭酸水素ナトリウム溶液を加え、酢酸エチル(250 mL×4)で抽出し、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、ろ液を減圧濃縮し、粗生成物である表題生成物11f(16 g、收率:93.3%)を得て、生成物を精製せずにそのまま次の反応を行った。
MS m/z(ESI):520.0 [M+1]。
【0220】
ステップ6
7-クロロ-6-フルオロ-1-(4-(モルホリニルメチル)フェニル)-1,4-ジヒドロチオクロメノ[4,3-c]ピラゾール-3-ギ酸5,5-ジオキシド 11g
粗生成物である化合物11f(16 g、30.77 mmol)を250 mLのテトラヒドロフランに溶け、水酸化ナトリウム水溶液(2.5 M、62 mL)を加え、室温で4時間撹拌した。反応液を3 Mの塩酸でpH約3に調整し、減圧濃縮して粗生成物である表題生成物11g(15 g、收率:99.1%)を得て、生成物を精製せずにそのまま次の反応を行った。
MS m/z(ESI):491.9 [M+1]。
【0221】
ステップ7
(7-クロロ-6-フルオロ-1-(4-(モルホリニルメチル)フェニル)-5,5-ジオキシド-1,4-ジヒドロチオクロメノ[4,3-c]ピラゾール-3-イル)(4-オキサ-7-アザスピロ[2.5]オクタン-7-イル)メタノン 11
粗生成物である化合物11g(506 mg、0.52 mmol)、4-オキサ-7-アザスピロ[2.5]オクタン塩酸塩(80 mg、0.53 mmol)とHATU(240 mg、0.63 mmol)を25 mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶け、更にN,N-ジイソプロピルエチルアミン(340 mg、2.63 mmol)を加え、17時間撹拌しながら反応させた。50 mLの飽和炭酸水素ナトリウム溶液を加えて反応をクエンチし、水相を酢酸エチル(50 mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、ろ液を減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより溶離剤系Aで精製して表題生成物11(72.6 mg、収率:23.6%)を得た。
MS m/z(ESI):587.0 [M+1]。
H NMR (500 MHz, DMSO-d) δ 7.85 (s, 1H), 7.53-7.46 (m, 4H), 6.68-6.66 (m, 1H), 5.05-5.03 (m, 2H), 4.06-3.47 (m, 12H), 2.50-2.42 (m, 4H), 0.73-0.60 (m, 4H)。
【0222】
実施例12
(9-メチル-1-(4-(モルホリニルメチル)フェニル)-5,5-ジオキシド-1,4-ジヒドロチオクロメノ[4,3-c]ピラゾール-3-イル)(4-オキサ-7-アザスピロ[2.5]オクタン-7-イル)メタノン 12
【化49】
【化50】
【0223】
ステップ1
5-メチルチオクロマン-4-オン 12a
粗生成物である化合物9b(8.94 g、45.5 mmol)を100 mLの濃硫酸に溶け、室温で3時間撹拌した。反応液を丁寧に500 gの氷水に注入してクエンチし、水相を酢酸エチル(80 mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、ろ液を減圧濃縮し、残留物はカラムクロマトグラフィーにより、得られた残留物を展開溶媒系Bで精製し、表題化合物12a(5.17 g、収率:41.6 %)を得た。
H NMR (500 MHz, CDCl) δ 7.30 (t, 1H), 7.20 (d, 1H), 7.03 (d, 1H), 3.27-3.21 (m, 2H), 2.93-2.85 (m, 2H), 2.49 (s, 3H)。
【0224】
ステップ2
2-(5-メチル-4-オキソチオクロマン-3-イル)-2-オキソ酢酸エチル 12b
単口フラスコにナトリウムエチラート(13 g、38.21 mmol、20% w/wエタノール溶液)を入れ、氷浴で冷却し、更にシュウ酸ジエチル(3.0 g、20.53 mmol、50 mLのトルエンに溶けた)を加え、撹拌しながら化合物12a(3.38 g、18.93 mmol、50 mLのトルエンに溶けた)を加え、室温で18時間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、200 mLの水を加えて反応をクエンチし、3 Mの塩酸水溶液でpHを中性に調整し、水相を酢酸エチル(100 mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、ろ液を減圧濃縮し、粗生成物である表題化合物12b(3.66 g、収率:69.56%)を得て、生成物を精製せずにそのまま次の反応を行った。
MS m/z(ESI):279.0 [M+1]。
【0225】
ステップ3
2-(5-メチル-1,1-ジオキシド-4-オキソチオクロマン-3-イル)-2オキソ酢酸エチル 12c
化合物12b(3.66 g、13.17 mmol)を50 mLのジクロロメタンに溶け、氷浴で冷却しながら数回に分けてメタクロロ過安息香酸(6 g、29.55 mmol、含有量85%)を加え、室温で3時間撹拌した。ろ過して不溶物を除去し、ろ液を減圧濃縮し、残留物をカラムクロマトグラフィーによりA系で精製して粗生成物である表題化合物12c(7.3 g、粗生成物)を得た。
MS m/z(ESI):310.9 [M+1]。
【0226】
ステップ4
9-メチル-1-(4-(モルホリニルメチル)フェニル)-1,4-ジヒドロチオクロメノ[4,3-c]ピラゾール-3-ギ酸エチル5,5-ジオキシド 12d
粗生成物である化合物12c(7.3 g、12.94 mmol)と化合物2cの塩酸塩(3.6 g)を50 mLのエタノールに溶け、氷酢酸(1.5 g、24.98 mmol)を加え、6時間還流しながら撹拌した。反応液を室温に冷却した後、ろ過し、ろ過ケーキを収集して真空下で乾燥し、表題生成物12d(6.8 g)を得て、生成物を精製せずにそのまま次の反応を行った。
MS m/z(ESI):482.2 [M+1]。
【0227】
ステップ5
9-メチル-1-(4-(モルホリニルメチル)フェニル)-1,4-ジヒドロチオクロメノ[4,3-c]ピラゾール-3-ギ酸5,5-ジオキシド 12e
粗生成物である化合物12d(1.35 g、1.54 mmol)を15 mLのテトラヒドロフランに溶け、水酸化ナトリウム水溶液(2.5 M、3 mL)を加え、60℃で1時間加熱しながら撹拌した。反応を室温に冷却した後、3 Mの塩酸でpHを中性に調整し、減圧下で有機溶剤を除去し、残りの水相を凍結乾燥し、粗生成物である表題生成物12e(2.2 g)を得て、生成物を精製せずにそのまま次の反応を行った。
MS m/z(ESI):452.1 [M-1]。
【0228】
ステップ6
(9-メチル-1-(4-(モルホリニルメチル)フェニル)-5,5-ジオキシド-1,4-ジヒドロチオクロメノ[4,3-c]ピラゾール-3-イル)(4-オキサ-7-アザスピロ[2.5]オクタン-7-イル)メタノン 12
チオ化して粗生成物である化合物12e(200 mg、0.22 mmol)、4-オキサ-7-アザスピロ[2.5]オクタン塩酸塩(45 mg、0.30 mmol)とHATU(150 mg、0.40 mmol)を5 mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶け、更にN,N-ジイソプロピルエチルアミン(150 mg、1.16 mmol、0.19 mL)を加え、2時間撹拌しながら反応させた。150 mLの水を加えて反応をクエンチし、水相を酢酸エチル(50 mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、飽和食塩水溶液で洗浄し(50 mL×3)、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、ろ液を減圧濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより溶離剤系Aで精製して表題生成物12(62 mg、収率43.7%)を得た。
MS m/z(ESI):549.1 [M+H]。
H NMR (500 MHz, DMSO-d) δ 7.89 (d, 1H), 7.64 (t, 1H), 7.53 (d, 1H), 7.45 (t, 2H), 7.27 (d, 2H), 4.79 (s, 2H), 4.06 (t, 1H), 3.93 (s,1H), 3.79-3.47 (m, 9H), 3.29 (s, 1H), 2.37 (s, 4H), 1.61 (d, 3H), 0.75-0.52 (m, 4H)。
【0229】
試験例:
生物学的評価
試験例1、本開示に係る化合物のPI3Kδ酵素に対する阻害活性及び選択性試験
一、実験の目的
この実験は、化合物のPI3Kδ酵素活性に対する阻害作用及び選択性を試験し、IC50の大きさによって化合物のインビトロ活性を評価することを目的とする。
【0230】
二、実験の原理
この実験は、ADP-Glo(登録商標)キナーゼ検出試薬キット(Kinase Assay Kit)により、酵素の作用下で、基質がリン酸化されると共にADPが産生され、ADP-Glo試薬(ADP-Glo Reagent)を加えて反応系における未反応のATPを除去し、キナーゼ検出試薬(Kinase detection reagent)により、反応で産生されたADPを検出した。化合物が存在している条件下で、シグナル値を測定することにより化合物の阻害率を算出した。
【0231】
三、実験の材料
1、機器
【表1】
【0232】
2、試薬及び消耗品
【表2】
【0233】
四、実験の方法
試験化合物の試験濃度は10000 nMから、3倍希釈し、11つの濃度であり、平行ウェルで試験した。384ウェルプレートにおいて、最終濃度が100倍である11個の異なる濃度の溶液に勾配希釈した。Echoで50 nLを384ウェルプレートの化合物ウェルに移し、陰性対照ウェルには50 nLのDMSOを加えた。1×キナーゼ緩衝液(Kinase buffer)で最終濃度が2倍であるキナーゼ溶液を調製した。化合物ウェルには最終濃度が2倍であるキナーゼ溶液2.5 μLを加え、陰性対照ウェルには1×キナーゼ緩衝液(Kinase buffer)2.5 μLを加えた。1000 rpmで30秒間遠心分離し、振とうして均一に混合した後に室温で10分間インキュベートした。1×キナーゼ緩衝液(Kinase buffer)で最終濃度が2倍であるATPと基質P1P2の混合溶液を調製した。最終濃度が2倍であるATPと基質の混合溶液2.5 μLを加え、反応を開始させた。384ウェルプレートを1000 rpmで30秒間遠心分離し、振とうして均一に混合した後に室温で120分間反応させた。5 μLのADP-Glo試薬を加え、1000 rpmで30秒間遠心分離し、振とうして均一に混合した後に室温で40分間インキュベートした。10 μLのキナーゼ検出試薬(Kinase Detection Reagent)を加え、1000 rpmで30秒間遠心分離し、振とうして均一に混合した後に室温で30分間インキュベートした。Envisionマイクロプレートリーダーにより発光値RLUを読み取った。
【0234】
五、データの分析
ソフトウェアGraphpad Prismにより化合物の阻害活性のIC50値を算出し、結果は下記の表1に示されている。
【0235】
表1 本開示に係る化合物のPI3Kδ酵素に対する阻害及び選択性活性のデータ(単位nM)
【表4】
【0236】
結論:本開示に係る化合物は、対照例に対して、PI3Kδ酵素に阻害活性及び選択性が比較的強い。
【国際調査報告】