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特表2023-536443車両のための運転支援システムおよび運転支援方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-25
(54)【発明の名称】車両のための運転支援システムおよび運転支援方法
(51)【国際特許分類】
   B60W 50/00 20060101AFI20230818BHJP
   B60W 60/00 20200101ALI20230818BHJP
【FI】
B60W50/00
B60W60/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023505444
(86)(22)【出願日】2021-07-27
(85)【翻訳文提出日】2023-01-25
(86)【国際出願番号】 EP2021070933
(87)【国際公開番号】W WO2022023306
(87)【国際公開日】2022-02-03
(31)【優先権主張番号】102020120301.2
(32)【優先日】2020-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】398037767
【氏名又は名称】バイエリシエ・モトーレンウエルケ・アクチエンゲゼルシヤフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】ベルクヴァイラー・トビアス
【テーマコード(参考)】
3D241
【Fターム(参考)】
3D241BA50
3D241CC01
3D241CC08
3D241CC11
3D241CC17
3D241CE04
3D241CE05
(57)【要約】
本開示は、車両のための運転支援システムに関する。この運転支援システムは、第一の制御ユニットと第二の制御ユニットを有し、第二の制御ユニットは、動作の実行のための命令を第一の制御ユニットから受信するように設けられ、第一の制御ユニットに対して設けられている少なくとも一つの第一のセンサユニットを有し、第二の制御ユニットは、上記の動作を実行するとともに当該動作の実行についての情報を第一の制御ユニットに送信するように設けられ、第一の制御ユニットは、少なくとも一つの第一のセンサユニットのセンサデータに基づいて、第二の制御ユニットから受信した情報の信頼性を確認するように設けられている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(10)のための運転支援システム(100)であって、
第一の制御ユニット(110)と第二の制御ユニット(120)を有し、前記第二の制御ユニット(120)は、動作の実行のための命令を前記第一の制御ユニット(110)から受信するように設けられ、
前記第一の制御ユニット(110)に対して設けられている少なくとも一つの第一のセンサユニット(130)を有し、
前記第二の制御ユニット(120)は、前記動作を実行するとともに前記動作のその実行についての情報を前記第一の制御ユニット(110)に送信するように設けられ、
前記第一の制御ユニット(110)は、少なくとも一つの前記第一のセンサユニット(130)のセンサデータに基づいて、前記第二の制御ユニット(120)から受信した前記情報の信頼性を確認するように設けられている
運転支援システム。
【請求項2】
前記第一の制御ユニット(110)は、前記第二の制御ユニット(120)に対して上位にある請求項1に記載の運転支援システム(100)。
【請求項3】
前記第二の制御ユニット(120)に対して設けられている少なくとも一つの第二のセンサユニット(140)をさらに有し、特に、少なくとも一つの前記第二のセンサユニット(140)は、少なくとも一つの前記第一のセンサユニット(130)とは異なっている請求項1または2に記載の運転支援システム(100)。
【請求項4】
前記第二の制御ユニット(120)は、少なくとも一つの前記第二のセンサユニット(140)のセンサデータに基づいて前記動作の実行の信頼性を確認するように設けられ、前記第二の制御ユニット(120)は、さらに、前記第二の制御ユニット(120)により実行された前記信頼性の確認の結果に基づいて前記動作の実行についての前記情報を生成するように設けられている請求項3に記載の運転支援システム(100)。
【請求項5】
前記第一の制御ユニット(110)により実行された前記信頼性の確認が否定的である場合に、運転操作、特に緊急停止を開始させるように設けられている請求項1から4のいずれかに記載の運転支援システム(100)。
【請求項6】
動作の実行のための前記命令が、コーナリングのための曲率半径の設定に関している請求項1から5のいずれかに記載の運転支援システム(100)。
【請求項7】
自動運転を行なうために設けられている請求項1から6のいずれかに記載の運転支援システム(100)。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載の運転支援システム(100)を有する車両(10)、特に自動車。
【請求項9】
車両の運転支援方法(300)であって、
第一の制御ユニットにより、動作の実行のための命令を第二の制御ユニットに送信(310)し、
前記第二の制御ユニットにより、前記動作を実行(320)し、
前記第二の制御ユニットにより、前記動作のその実行についての情報を前記第一の制御ユニットに送信(330)し、
前記第一の制御ユニットにより、前記第一の制御ユニットに対して設けられている少なくとも一つの第一のセンサユニットのセンサデータに基づいて、受信した前記情報の信頼性を確認(340)する
ことを含む運転支援方法。
【請求項10】
一つまたは複数のプロセッサ上で実行され、それにより請求項9に記載の運転支援方法(400)を実行するように設けられたソフトウェアプログラムを含む記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両のための運転支援システム、そのような運転支援システムを備えた車両、車両のための運転支援方法およびその運転支援方法を実行するための記録媒体に関する。本開示は、特に、車両における運転支援システム用コントローラの信頼性を段階的に確認することに関する。
【背景技術】
【0002】
自動運転のための運転支援システムが次第に重要性を増してきている。自動運転は、様々な自動化レベルで行うことができる。自動化レベルの例は、支援運転、部分自動運転、高度自動運転ないし完全自動運転である。これらの自動化レベルは、連邦交通制度協会(Bundesanstalt fuer Strassenwesen)(BASt)によって定義された(BASt公報「Forschung kompakt(リサーチコンパクト)」,20212年11月刊行を参照)。例えば、レベル4の車両は、市街地運転では完全自動で運行する。
【0003】
自動運転のための運転支援システムは、人間の目に見える範囲と見えない範囲の両方で、視覚的に環境を認識するセンサを使用する。そのセンサは、例えば、カメラ、レーダおよび/またはLiDARであることもある。これらは、高精度マップに並んで、自動運転のための運転支援システムの主な信号源である。
【0004】
自動運転のために、運転支援システムの上位コントローラは、運転支援システムの下位コントローラに向けて期待や命令を出すことができる。このとき、下位コントローラは正しい値を返すか或いは正しい動作を実行するものと信頼されている。しかしながら、高度なセーフティ・インテグリティ(安全度レベル)が求められる場合には、これでは不十分なこともあり、しかも、危険な道路交通の状況につながるおそれもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の課題は、運転支援システムの信頼性を改善することができる車両用の運転支援システム、そのような運転支援システムを備えた車両、車両のための運転支援方法および運転支援方法を実行するための記録媒体を提供することである。特に、本開示の課題は、運転支援システムの安全性インテグリティを改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
これらの課題は、独立請求項の主題により解決される。有利な態様は、下位請求項に示されている。
【0007】
本開示の独立した態様によれば、車両、特に自動車のための運転支援システムが示される。この運転支援システムは、第一の制御ユニットと第二の制御ユニットを有し、第二の制御ユニットは、動作の実行のための命令を第一の制御ユニットから受信するように設けられ、第一の制御ユニットに対して設けられている少なくとも一つの第一のセンサユニットを有し、第二の制御ユニットは、上記の動作を実行するとともに上記の動作の実行についての情報を第一の制御ユニットに送信するように設けられ、第一の制御ユニットは、少なくとも一つの第一のセンサユニットのセンサデータに基づいて、第二の制御ユニットから受信した情報の信頼性を確認するように設けられている。
【0008】
本発明によれば、第一の制御ユニットは、自身の独自のセンサデータを用い、上記の動作の実行について第二の制御ユニットにより提供された情報が信頼できるか否かを検証する。例えば、第二の制御ユニットは、計算された曲率半径が走破した曲率半径に一致することを第一の制御ユニットに通知することができる。第一の制御ユニットは、この情報を検証する。第一の制御ユニットは、第二の制御ユニットにより提供された情報が上記のセンサデータと一致しないが故に信頼できるものではないと結論付ける場合、第一の制御ユニットは、適切な措置を講じることができる。このような措置は、例えば、緊急停止および/または運転者への警告とすることができる。これにより、運転支援システムのセーフティ・インテグリティを向上させることができる。
【0009】
第二の制御ユニットにより提供された情報はこのとき、上記の動作の実行を記述するのに適したものとすることができる。第二の制御ユニットにより提供された情報は、例えば、上記の動作が指示通りに実行されたことを示すものであってもよい。付加的または代替的に、第二の制御ユニットにより提供された情報は、実行された動作についての第一の制御ユニットにより検証可能なデータおよび/または数値を含むことができる。実行された動作についてのデータおよび/または数値は、例えば、特定されたおよび/または設定されたコーナリングの曲率半径を示すものであってもよい。
【0010】
制御ユニットは、動作、コンポーネント等を制御するように設けられており、車両で多岐にわたって使用される。例えば、第一の制御ユニットは、車道上の車両の位置を割り出し、それに基づいて第二の制御ユニットを制御するように設けられていてもよい。この例では、第二の制御ユニットは、コーナリングのための曲率半径を設定するように設けることができる。この目的のために、第二の制御ユニットは、特に、適当なアクチュエータを介して車両のステアリングを制御することができる。
【0011】
しかしながら、第一の制御ユニットと第二の制御ユニットは、この例に限定されることなく、例えば自動運転の一環で動作を実行するように互いに協働する車両の別の制御ユニットであってもよい。
【0012】
第一の制御ユニットと第二の制御ユニットは、それぞれ少なくとも一つのプロセッサユニットを有していてもよい。制御ユニットのその少なくとも一つのプロセッサユニットは、与えられた命令に従って他の素子を制御しつつその際にアルゴリズム(プロセス)を実行していくプログラミング可能な算術演算装置、つまり機械または電子回路である。
【0013】
第一の制御ユニットと第二の制御ユニットは、共通のソフトウェアおよび/またはハードウェアのモジュールに実装することができる。それに代えて、第一の制御ユニットと第二の制御ユニットは、それぞれ別個のソフトウェアおよび/またはハードウェアのモジュールに実装してもよい。
【0014】
“信頼性の確認”という用語は、第一の制御ユニットおよび/または第二の制御ユニットによるデータおよび/または情報の検証であって、これらのデータおよび/または情報が信頼できるかどうか、つまり納得でき、妥当で且つ理解できるものかどうかという検証を指す。データおよび/または情報が信頼できる場合、その結果は、信頼性を肯定的に確認したこと(信頼性の肯定的な確認)である。しかしながら、データおよび/または情報が信頼できるものではない場合、その結果は、信頼性を否定的に確認したこと(信頼性の否定的な確認)である。
【0015】
第一の制御ユニットは、第二の制御ユニットに対して上位にあることが好ましい。“上位”という用語はここで、第一の制御ユニットが第二の制御ユニットに命令、特に、上記の動作の実行のための命令を伝えることを意味する。換言すれば、第二の制御ユニットは、第一の制御ユニットが決めたことを実行し、第一の制御ユニットにフィードバックする。
【0016】
動作の実行のための命令が、コーナリングのための曲率半径の設定を含んでいることが好ましい。換言すれば、第二の制御ユニットにより行なわれる若しくは行なわれるべき“動作”とは、曲率半径の設定である。しかしながら、本開示は、これに限定されることなく、動作は、例えば、自動運転の一環で実行されるべき若しくは実行される他の任意の動作であってもよい。
【0017】
運転支援システムは、第二の制御ユニットに対して設けられている少なくとも一つの第二のセンサユニットを有していることが好ましい。この少なくとも一つの第二のセンサユニットは、上記の少なくとも一つの第一のセンサユニットとは異なっていてもよい。特に、少なくとも一つの第一のセンサユニットと少なくとも一つの第二のセンサユニットは、異なるタイプのセンサを有する或いは異なるタイプのセンサであることもある。
【0018】
好ましくは、少なくとも一つの第一のセンサユニットと少なくとも一つの第二のセンサユニットは、少なくとも一つのLiDARシステム、少なくとも一つのレーダシステム、少なくとも一つのカメラ、少なくとも一つの超音波システム、少なくとも一つのレーザスキャナ、少なくとも一つのGPSセンサおよび少なくとも一つの慣性センサ若しくは加速度センサを含む或いはそれらにより構成される一群の中から選択されている。
【0019】
車両は、環境検知手段を有していることが好ましい。この環境検知手段は、少なくとも一つのLiDARシステムおよび/または少なくとも一つのレーダシステムおよび/または少なくとも一つのカメラおよび/または少なくとも一つの超音波システムおよび/または少なくとも一つのレーザスキャナを有することができる。この環境検知手段は、車両の周辺領域を反映した周辺データ(“環境データ”とも呼ばれる)を提供することができる。
【0020】
いくつかの実施形態では、少なくとも一つの第一のセンサユニットは、車両の環境検知手段のセンサユニット、例えば少なくとも一つのカメラである。付加的または代替的に、少なくとも一つの第二のセンサユニットは、慣性センサ若しくは加速度センサであってもよい。
【0021】
第二の制御ユニットは、少なくとも一つの第二のセンサユニットのセンサデータに基づいて上記の動作の実行の信頼性を確認するように設けられていることが好ましい。第二の制御ユニットは、さらに、第二の制御ユニットにより実行された信頼性の確認の結果に基づいて上記の動作の実行についての情報を生成するように設けられていてもよい。こうして、信頼性の確認の第一段階は、第二の制御ユニットにより行うことができ、その後の信頼性の確認の第二段階は、第一の制御ユニットにより行なうことができる。従って、運転支援システムのための高度のセーフティ・インテグリティを提供することができる。
【0022】
運転支援システムは、第一の制御ユニットにより実行された信頼性の確認が否定的である場合に、運転操作、特に緊急停止を開始させるように設けられていることが好ましい。信頼性の否定的な確認が示すのは、第二の制御ユニットの情報が信頼できるものではなく、間違っているかもしれないということである。緊急停止により、車両や他の道路利用者を危険にさらすことを回避できる。
【0023】
緊急停止は、路肩などに車両を緊急停止させるように車両が自律的または自動的に緊急停止運転操作を実行するときの運転操作である。このような自動緊急停止運転操作では、車両の進行方向および横方向の操縦が自動的に行なわれる。こうして、運転者支援システムは、車両が停まるまで車両の操縦を担う。この目的のために、運転者支援システムは、例えば、ドライブ、トランスミッション、油圧サービスブレーキおよびステアリングを制御する。
【0024】
付加的または代替的に、第一の制御ユニットにより実行された信頼性の確認が否定的である場合に、車両の運転者に情報、特に警告を発してもよい。その情報は、例えば、自動運転の走行機能がオフにされたために運転者が車両の制御を引き継がなければならないことを示すものでもよい。
【0025】
本開示のさらに他の独立した態様によれば、車両、特に自動車が挙げられる。車両は、本開示の実施形態による運転支援システムを有する。
【0026】
車両という用語には、人や物などを輸送するために使用される乗用車、トラック、バス、トレーラーハウス、オートバイなどが含まれる。特に、旅客輸送用の自動車という用語が含まれる。
【0027】
運転支援システムは、車両の自動運転のために設けられていることが好ましい。
【0028】
本明細書の範囲において、“自動運転”という用語は、進行方向または横方向の自動操縦による走行、または進行方向および横方向の自動操縦による自律走行を意味する。自動運転は、例えば、高速道路を比較的長く走行することや、駐車や操車の一環として時間的に限られた運転であることもある。“自動運転”という用語には、あらゆる自動化レベルによる自動運転が含まれる。例示的な自動化レベルは、支援運転、部分自動運転、高度自動運転ないし完全自動運転である。これらの自動化レベルは、連邦交通制度協会(Bundesanstalt fuer Strassenwesen)(BASt)によって定義がなされた(BASt公報「Forschung kompakt(リサーチコンパクト)」,2012年11月刊行を参照)。
【0029】
支援運転では、運転者が進行方向または横方向の操縦を継続的に実行しながら、システムが一定の制限内で他の機能を担う。部分自動運転(TAF)では、システムが一定期間および/または特殊な状況のもとで進行方向および横方向の操縦を担うが、支援運転時のように運転者がシステムを常に監視していなければならない。高度自動運転(HAF)では、運転者がシステムを常に監視する必要なしにシステムが一定期間進行方向および横方向の操縦を担うが、運転者は、一定時間内に車両の操縦を引き継ぐことができなければならない。完全自動運転(VAF)では、或る特化した利用例についてシステムがいかなる状況でも自動で運転を管理し、この利用例についてはもはや運転者を必要としない。
【0030】
上述した四つの自動化レベルは、SAE J3016規格(SAE-Society of Automotive Engineering(自動車技術者協会))のSAE-レベル1-4に対応する。例えば、高度自動運転(HAF)は、SAE J3016規格のレベル3に対応する。また、SAE J3016には、BAStの定義に含まれていない最高の自動化レベルとしてSAEレベル5が設けられている。SAEレベル5は無人運転に対応し、その場合には、システムは、全走行期間中、人間の運転者であるかのようにあらゆる状況に自動で対処することができ、基本的にもはや運転者を必要としない。
【0031】
本開示のさらなる独立した態様によれば、車両、特に自動車のための運転支援方法が示される。この運転支援方法は、第一の制御ユニットにより、動作の実行のための命令を第二の制御ユニットに送信し、第二の制御ユニットにより上記の動作を実行し、第二の制御ユニットにより、上記の動作の実行についての情報を第一の制御ユニットに送信し、第一の制御ユニットにより、第一の制御ユニットに対して設けられている少なくとも一つの第一のセンサユニットのセンサデータに基づいて、受信した情報の信頼性を確認することを含む。
【0032】
この運転支援方法は、本明細書において述べられている運転支援システムの態様を実装することができる。
【0033】
本開示のさらに他の独立した態様によれば、ソフトウェア(SW)プログラムが示される。このSWプログラムは、一つまたは複数のプロセッサ上で実行され、それにより、本明細書において延べられている運転支援方法を実行するように設けることができる。
【0034】
本開示のさらに他の独立した態様によれば、記憶媒体が示される。この記憶媒体は、一つまたは複数のプロセッサ上で実行されることにより本明細書で述べられている車両のための運転支援方法を実行するように設けられているSW(ソフトウェア)プログラムを含むことができる。
【0035】
本開示のさらに他の独立した態様によれば、ソフトウェアが一つまたは複数のソフトウェア制御デバイス上で走るときに運転支援方法を実行するプログラムコードを有するソフトウェアが示される。
【0036】
本開示の実施例を図に示して以下に詳細を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本開示の実施形態による車両のための運転支援システムを概略的に示す図である。
図2】本開示の実施形態による自動運転のための運転支援システムを備えた車両を概略的に示す図である。
図3】本開示の実施形態による車両のための運転支援方法のフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下では、同じ要素および作用が同じ要素には、特に断りのない限り同じ参照符号を用いる。
【0039】
図1は、本開示の実施形態による車両のための運転支援システム100を概略的に示している。
【0040】
運転支援システム100は、第一の制御ユニット110と第二の制御ユニット120を有し、第二の制御ユニット120は、或る動作の実行のための命令を第一の制御ユニット110から受信するように設けられ、第一の制御ユニット110に対して設けられている少なくとも一つの第一のセンサユニット130を有し、第二の制御ユニット120は、上記の動作を実行するとともに上記の動作の実行についての情報を第一の制御ユニット110に送信するように設けられ、第一の制御ユニット110は、少なくとも一つの第一のセンサユニット130のセンサデータに基づいて、第二の制御ユニット120から受信した情報の信頼性を確認するように設けられている。
【0041】
いくつかの実施形態において、運転支援システム100は、第二の制御ユニット120に対して設けられている少なくとも一つの第二のセンサユニット140を有している。少なくとも一つの第二のセンサユニット140は、少なくとも一つの第一のセンサユニット130とは異なっていてもよい。特に、少なくとも一つの第一のセンサユニット130と少なくとも一つの第二のセンサユニット140は、異なるタイプのセンサを有しているか或いは異なるタイプのセンサであることもある。
【0042】
例えば、少なくとも一つの第一のセンサユニット130は、カメラなどの車両10の環境検知手段のセンサユニットである。付加的または代替的に、少なくとも一つの第二のセンサユニット140は、慣性センサ若しくは加速度センサとすることができる。
【0043】
通常、第一の制御ユニット110と第二の制御ユニット120は、双方向通信接続により互いに接続されている。第一の制御ユニット110と第二の制御ユニット120は、双方向通信接続を介して、データ、とりわけ、上記の動作の実行のための命令に関連したデータおよび上記の動作の実行についての情報に関連したデータを交換することができる。双方向通信接続は、有線通信接続または無線通信接続とすることができる。
【0044】
従って、本発明による運転支援システム100は、(“コントローラ”とも呼ばれる)少なくとも二つの制御ユニットを有し、一方の制御ユニットが他方の制御ユニットに対して上位にあり、信頼性の段階的な確認が行なわれる。
【0045】
特に、上位の制御ユニットは、下位の制御ユニットが特定の行動をするように要求する。
次に、下位の制御ユニットは、この制御ユニットが、上記の(複数の)動作の特定/実行の際にエラーが発生していないとの見立てをしているかどうかを知らせる。これが、下位の制御ユニットにより実行される信頼性の確認の第一段階となり得る。
【0046】
上位の制御ユニットが下位の制御ユニットから相応の情報を得ると、上位の制御ユニットにより改めて信頼性の確認が実行される。両方の制御ユニットがプロセスの信頼性を肯定的に確認する場合にのみ、そのプロセス(例えば、自動運転)もまた実行若しくは継続される。
【0047】
しかしながら、上位の制御ユニットが、信頼性を肯定的に確認しないようなら、下位の制御ユニットは信頼されず、そのプロセス(例えば、自動運転)は、事前に定められた安全機構に従って中止される。特に、車両の緊急停止を行うことができる。或いは、車両の制御を運転支援システムから運転者に返上してもよい。
【0048】
信頼性の確認は、異なる検知手段に基づいて行なわれることが有利である。例えば、下位の制御ユニットが慣性検知手段を用いて信頼性を確認し、上位の制御ユニットが光学検知手段を用いて信頼性を確認することができる。
【0049】
上で説明した一般原理の例示的な詳細な実装を以下に説明する。
【0050】
二以上の制御ユニットが組み込まれた運転者支援システムの場合、最上位の制御ユニットは、走行路上における車両の絶対位置を認識および/または割り出すことができるというものにすることができる。上位の制御ユニットは、下位の制御ユニットが、この制御ユニットが曲率を設定することでカーブを走破するように要求する。
【0051】
次に、下位の制御ユニットは、計算された曲率半径が実際に走行した曲率半径と一致するかどうかを慣性センサなどを使用して確認する。
【0052】
続いて、上位の制御ユニットは、下位の制御ユニットにより設定された曲率半径が実際に走行した曲率半径と一致するかどうかを光学センサなどを使用して絶対位置に基づき検証する。
【0053】
これらの曲率半径が一致しない場合、自動運転を中止することができる。この中止は、例えば、車両の緊急停止、運転者への警告、車両コントロールの運転者への返上などとすることができるか或いはそれらを含むことができる。
【0054】
図2は、本開示の実施形態による自動運転のための運転支援システム100を備えた車両10を概略的に示している。
【0055】
車両10は、自動運転のための運転支援システム100を有している。自動運転では、車両10の進行方向および/または横方向の操縦が自動的に行われる。こうして、この運転支援システム100は、車両の操縦を担う。この目的のために、運転支援システム100は、図2に示されていない車両10の中間ユニットを介してドライブ20、トランスミッション22、(油圧などの)サービスブレーキ24およびステアリング26を制御する。
【0056】
自動運転を計画し実行するために、車両周辺を監視する周辺検知手段の周辺データが運転者支援システム100により受信される。特に、車両は、車両周辺を表す環境データを受け取るように設けられている少なくとも一つの環境センサ12を有することができる。少なくとも一つの環境センサ12は、例えば、一つまたは複数のLiDARシステム、一つまたは複数のレーダシステム、一つまたは複数のレーザスキャナおよび/または一つまたは複数のカメラを有することができる。
【0057】
図3は、本開示の実施形態による車両、特に自動車のための運転支援方法300のフローチャートを概略的に示している。
【0058】
この運転支援方法300は、適切なソフトウェアにより実装することができ、一つまたは複数のプロセッサ(CPUなど)により実行可能とされている。
【0059】
この運転支援方法300は、ブロック310において、第一の制御ユニットにより、動作の実行のための命令を第二の制御ユニットに送信することを有し、ブロック320において、第二の制御ユニットにより上記の動作を実行することを有し、ブロック330において、第二の制御ユニットにより、上記の動作の実行についての情報を第一の制御ユニットに送信することを有し、ブロック340において、第一の制御ユニットにより、第一の制御ユニットに対して設けられている少なくとも一つの第一のセンサユニットのセンサデータに基づいて、受信した上記の情報の信頼性を確認することを有する。
【0060】
本発明によれば、第一の制御ユニットは、自身の独自のセンサデータを用い、上記の動作の実行について第二の制御ユニットにより提供された情報が信頼できるか否かを検証する。例えば、第二の制御ユニットは、計算された曲率半径が走行した曲率半径に一致することを第一の制御ユニットに通知することができる。第一の制御ユニットは、この情報を検証する。第一の制御ユニットは、第二の制御ユニットにより提供された情報が、センサデータと一致しないために、信頼できるものではないと結論付ける場合、第一の制御ユニットは、適切な措置を講じることができる。そのような措置は、例えば、緊急停止および/または運転者への警告とすることができる。これにより、運転支援システムのセーフティ・インテグリティを向上させることができる。
【0061】
本発明を好ましい例示的な実施例によってより詳細に例示および説明してきたが、本発明は、開示された実施例によって限定されず、当業者は、本発明の保護範囲から逸脱することなくそこから他の変形例を導き出すことができる。従って、可能な変形例が多数存在することは明らかである。同様に、例として挙げられた実施形態は、実際には単なる例であり、いかなる態様であれ、本発明の保護範囲、用途の可能性または構成を限定するものとして捉えられるべきでないことも明らかである。むしろ、前述の明細書の記載および図面の説明により、当業者は、例示的な実施形態を具体的に実施することができ、開示された発明の思想に知見を得た当業者であれば、例えば、請求項並びにその法的同等物(明細書におけるさらなる説明など)により規定される保護範囲を離れることなく、例示的な実施形態において挙げられた個々の要素の機能や配置に関して、多様な変更を行なうことができる。
図1
図2
図3
【国際調査報告】