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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-25
(54)【発明の名称】温度インジケータ
(51)【国際特許分類】
   G01K 5/64 20060101AFI20230818BHJP
   G01K 1/024 20210101ALI20230818BHJP
【FI】
G01K5/64
G01K1/024
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023505453
(86)(22)【出願日】2021-07-23
(85)【翻訳文提出日】2023-03-20
(86)【国際出願番号】 US2021070940
(87)【国際公開番号】W WO2022026986
(87)【国際公開日】2022-02-03
(31)【優先権主張番号】63/056,577
(32)【優先日】2020-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
(71)【出願人】
【識別番号】513227572
【氏名又は名称】ショックウォッチ インク
【氏名又は名称原語表記】ShockWatch,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】フォンク,アンソニー,エヌ.
(72)【発明者】
【氏名】バース,フィリップ,ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン ニーキルク,ヨハネス
【テーマコード(参考)】
2F056
【Fターム(参考)】
2F056AE03
2F056AE05
2F056AE07
(57)【要約】
【解決手段】温度インジケータは、第1の層が第2の層に連結されている検知要素を有するマイクロセンサを備えており、第1の層及び第2の層は異なる膨張係数を有する。検知要素は、温度イベントにさらされると第1の位置から第2の位置に移動するように構成されており、検知要素が第2の位置に移動すると、第1の状態から第2の状態に変化するように構成されている検出回路を有している。検出回路は、第2の状態に変化すると、第1の状態に戻ることが防止されている。RFIDモジュールが検出回路に連結されており、検知要素が第2の位置にあることを示す値を出力するように構成されている。起動要素は、マイクロセンサから起動要素が外されるまで検知要素を第1の位置に維持するように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の層を、前記第1の層の膨張係数とは異なる膨張係数を有する第2の層に連結し、温度イベントにさらされると第1の位置から第2の位置に移動するように構成されている検知要素、及び
前記検知要素の前記第1の位置から前記第2の位置への移動に応じて第1の状態から第2の状態に変化するように構成されている検出回路であって、前記第2の状態への変化に応じて前記第1の状態に戻ることを防止されている前記検出回路
を有するマイクロセンサと、
前記検出回路に連結されており、前記検知要素が前記第2の位置にあることを示す値を出力するように構成されている無線周波数識別(RFID)モジュールと、
前記マイクロセンサから起動要素が外されるまで前記検知要素を前記第1の位置に維持するように構成されている前記起動要素と
を備えている、温度インジケータ。
【請求項2】
前記検知要素はカンチレバー検知要素を有している、請求項1に記載の温度インジケータ。
【請求項3】
前記マイクロセンサは、前記検知要素が前記第2の位置に移動した後に前記第1の位置に戻ることを防止するように構成されている係止要素を更に有している、請求項1に記載の温度インジケータ。
【請求項4】
前記マイクロセンサはウエハ基板上に形成されている、請求項1に記載の温度インジケータ。
【請求項5】
前記マイクロセンサは、液晶表示(LCD) パネル基板上に形成されている、請求項1に記載の温度インジケータ。
【請求項6】
前記マイクロセンサはロールツーロール(R2R) 基板上に形成されている、請求項1に記載の温度インジケータ。
【請求項7】
前記起動要素は、
前記検知要素の直近に配置されている第1の部分、及び
加えられる力を受けて、前記第1の部分を前記検知要素の直近から変位させるように構成されている第2の部分
を有している、請求項1に記載の温度インジケータ。
【請求項8】
温度インジケータであって、
前記温度インジケータの作動状態を通信するように構成されている通信モジュールインレイを有する基板と、
温度イベントを検出するために前記通信モジュールインレイと通信可能に連結されているマイクロセンサであって、前記作動状態を検出するように構成されている不可逆的な検出回路を有している前記マイクロセンサと、
前記マイクロセンサから外されるまで前記マイクロセンサを非反応状態に維持するように構成されている起動要素と
を備えている、温度インジケータ。
【請求項9】
前記起動要素は、阻止体に連結されている保持要素を有しており、前記保持要素が前記温度インジケータから外されると、前記阻止体を前記マイクロセンサから外す、請求項8に記載の温度インジケータ。
【請求項10】
前記阻止体は前記保持要素に接着連結されている、請求項9に記載の温度インジケータ。
【請求項11】
前記起動要素は、前記マイクロセンサの可動要素の動きを制限するように構成されている阻止体を有している、請求項8に記載の温度インジケータ。
【請求項12】
前記マイクロセンサはウエハ基板上に形成されている、請求項8に記載の温度インジケータ。
【請求項13】
温度インジケータであって、
温度イベントを受けると起動するように構成されているマイクロセンサであって、前記マイクロセンサの起動に応じて第1の状態から第2の状態に変化するように構成されて前記起動に応じて前記第1の状態に戻ることが防止されている検出回路を有している前記マイクロセンサと、
前記検出回路に連結されており、前記マイクロセンサが作動したことを示す値を出力するように構成されている無線周波数識別(RFID)モジュールと、
前記マイクロセンサから外されるまで前記マイクロセンサを非反応状態に維持するように構成されている起動要素と
を備えている、温度インジケータ。
【請求項14】
前記マイクロセンサはウエハ基板上に形成されている、請求項13に記載の温度インジケータ。
【請求項15】
前記マイクロセンサは、液晶表示(LCD) パネル基板上に形成されている、請求項13に記載の温度インジケータ。
【請求項16】
前記起動要素は、前記マイクロセンサの可動要素の動きを制限するように構成されている阻止体を有している、請求項13に記載の温度インジケータ。
【請求項17】
前記起動要素は、阻止体に連結されている保持要素を有しており、前記保持要素が前記温度インジケータから外されると、前記阻止体を前記マイクロセンサから外す、請求項13に記載の温度インジケータ。
【請求項18】
前記マイクロセンサはバイモルフ型カンチレバーを有している、請求項13に記載の温度インジケータ。
【請求項19】
前記マイクロセンサは、前記マイクロセンサが起動後に前記非反応状態に戻ることを防止するように構成されている係止要素を有している、請求項13に記載の温度インジケータ。
【請求項20】
前記検出回路は前記バイモルフ型カンチレバー上に形成されている、請求項18に記載の温度インジケータ。
【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0001】
多くのタイプの対象物は、製造、保管又は輸送中、対象物の温度感応性又は壊れやすさにより監視又は追跡される必要がある。例えば、あるタイプの対象物は、ある温度にさらされると損なわれる場合がある(例えば、食品又は医薬品)。従って、品質管理及び/又は輸送状況の一般的な監視のために、対象物がさらされた環境条件を決定及び/又は検証することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0002】
本開示の一態様によれば、温度検出のためのデバイス及び技術が開示されている。温度インジケータは、第1の層が第2の層に連結されている検知要素を有するマイクロセンサを備えており、第1の層及び第2の層は異なる膨張係数を有する。検知要素は、温度イベントにさらされると第1の位置から第2の位置に移動するように構成されている。マイクロセンサは、検知要素が第1の位置から第2の位置に移動すると、第1の状態から第2の状態に変化するように構成されている検出回路を更に有している。検出回路は、第2の状態に変化すると、第1の状態に戻ることが防止されている。温度インジケータは、検出回路に連結されている無線周波数識別(RFID)モジュールを更に備えており、RFIDモジュールは、検知要素が第2の位置にあることを示す値を出力するように構成されている。温度インジケータは、マイクロセンサから起動要素が外されるまで検知要素を第1の位置に維持するように構成されている起動要素を更に備えている。
【0003】
本開示の別の実施形態によれば、温度インジケータは、温度インジケータの作動状態を通信するように構成されている通信モジュールインレイを有する基板と、温度イベントを検出するために通信モジュールインレイと通信可能に連結されているマイクロセンサであって、作動状態を検出するように構成されている不可逆的な検出回路を有しているマイクロセンサと、マイクロセンサから外されるまでマイクロセンサを非反応状態に維持するように構成されている起動要素とを備えている。
【0004】
本開示の更に別の実施形態によれば、温度インジケータは、温度イベントを受けると起動するように構成されているマイクロセンサを備えている。マイクロセンサは、マイクロセンサの起動に応じて第1の状態から第2の状態に変化するように構成されている検出回路を有しており、検出回路は、起動に応じて第1の状態に戻ることが防止されている。温度インジケータは、検出回路に連結されている無線周波数識別(RFID)モジュールを更に備えており、RFIDモジュールは、マイクロセンサが作動したことを示す値を出力するように構成されている。温度インジケータは、マイクロセンサから外されるまでマイクロセンサを非反応状態に維持するように構成されている起動要素を更に備えている。
【図面の簡単な説明】
【0005】
本願、本願の目的及び利点のより完全な理解のために、添付図面に関連した以下の記載に言及する。
【0006】
図1】本開示に係る温度インジケータの実施形態の適用を示す図である。
図2】本開示に係る温度インジケータの実施形態を示すブロック図である。
図3】本開示に係る温度インジケータの実施形態を示す分解図である。
図4】本開示に係る図3に示されている温度インジケータの一部を示す拡大図である。
図5】本開示に係る図3及び図4の温度インジケータのマイクロセンサの実施形態を示す図である。
図6】本開示に係る作動状態の図5の温度インジケータの実施形態を示す図である。
図7】本開示に係る図5及び図6に示されている温度インジケータの一部を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本開示の実施形態は、温度の検出及び表示のためのデバイス及び技術を提供する。一実施形態によれば、温度インジケータは、第1の層が第2の層に連結されている検知要素を有するマイクロセンサを備えており、第1の層及び第2の層は異なる膨張係数を有する。検知要素は、温度イベントにさらされると第1の位置から第2の位置に移動するように構成されている。マイクロセンサは、検知要素が第1の位置から第2の位置に移動すると、第1の状態から第2の状態に変化するように構成されている検出回路を更に有している。検出回路は、第2の状態に変化すると、第1の状態に戻ることが防止されている。温度インジケータは、検出回路に連結されている無線周波数識別(RFID)モジュールを更に備えており、RFIDモジュールは、検知要素が第2の位置にあることを示す値を出力するように構成されている。温度インジケータは、マイクロセンサから起動要素が外されるまで検知要素を第1の位置に維持するように構成されている起動要素を更に備えている。本開示の実施形態により、内部電源を使用せずに温度イベントの検出が可能になる。RFIDモジュールは、スイッチ回路の状態を検出して、温度インジケータの作動状態を示す値を発する又は出力することができる。例えば、ある実施形態では、RFIDモジュールを起動させて温度インジケータの作動状態を決定するためにRFIDリーダが使用され得る。更に、本発明の実施形態では、マイクロセンサ(例えばマイクロメカニカル部品及び/又はマイクロ電子部品)を使用して温度イベントを検出し、マイクロセンサは、温度イベントを検出した後に温度インジケータの作動状態の不可逆性をもたらす回路を有している。更に、本発明の実施形態では、温度インジケータの意図された適用前に検出された温度イベントが温度インジケータを意図せずに作動させないように、温度インジケータのその場での起動(すなわち、温度インジケータを非反応状態に維持すること)を可能にする。
【0008】
多くのタイプの対象物は、保管、輸送又は使用中、対象物の温度(つまりコールドチェーン)の監視が必要である。例えば、食品又は医薬品などのあるタイプの対象物は、余りにも長い時間、高過ぎる温度にさらされると腐敗し易くなるか又は効き目がなくなる場合がある。温度逸脱の継続時間又は閾値(つまり、「時間-温度」変数)は、継続時間に着目しない、すなわちリアルタイムの温度測定より重要であることが多い。従って、品質管理及び/又は輸送状況の一般的な監視のために、対象物がさらされた温度条件を決定及び/又は検証することが望ましい。
【0009】
図面、特に図1を参照すると、本開示の図示されている実施形態が実施されてもよい温度インジケータ10の例示的な図が示されている。図1は、温度インジケータ10の正面図である。図1では、温度インジケータ10は、関連する温度イベントが監視される対象物を含む輸送用容器に付加されるか又は輸送用容器内に配置されるように構成されている携帯用デバイスである。温度インジケータ10の実施形態では、対象物の製造、保管及び/又は輸送中に対象物が特定の温度又は環境にさらされたか否かを監視する。ある実施形態では、温度インジケータ10は、例えば接着剤、永久的若しくは一時的な留め具、又は様々な異なるタイプの取付デバイスを使用して輸送用容器に付加されてもよい。輸送用容器は、監視対象物が緩く配置される容器を含んでもよく、又は、監視対象物自体の容器を含んでもよい。図1は単なる例示であり、様々な実施形態が実施されてもよい環境に関して、いかなる制限も主張又は暗示することを意図していないことを認識すべきである。
【0010】
図1に示されている実施形態では、温度インジケータ10は、温度検知、温度感応性及び/又は温度検出アセンブリ14が内部に配置されているハウジング12を備えている。図示されている実施形態では、温度検出アセンブリ14は、温度インジケータ10に関連する温度イベントを検出して示すように構成されており、(例えば温度インジケータ10(及び相応して温度インジケータ10が関連付けられている容器)が特定の環境温度にさらされたことを検出するように構成されている)。ある実施形態では、ハウジング12は、透明又は半透明の材料から構成及び/又は構築されており、マスキングラベル16がハウジングの前面に設けられているか又はハウジングの前面に付加されている。ある実施形態では、マスキングラベル16は、温度検出の視覚的な指標を与えるための一又は複数の開口部又は「窓」18を有するように構成されている。例えば、ある実施形態では、温度インジケータ10が特定の温度にさらされると、温度検出アセンブリ14によって、視覚的な指標が一若しくは複数の窓18の内部に又は一若しくは複数の窓18を通して表示されて、監視対象物があるレベルの温度にさらされているか又はさらされている可能性があることを視覚的に表示する。しかしながら、温度検出アセンブリ14が作動状態に移行した及び/又は他の方法で作動状態に置かれたという視覚的な指標を与えて、インジケータ10があるレベルの温度にさらされたことを示すために他の方法が使用されてもよいことを理解すべきである。更に、ハウジング12が他の材料(例えば、一又は複数の窓18が形成されている不透明な材料)から構成及び/又は製造されてもよいことを理解すべきである。ある実施形態では、ハウジング12は窓18無しで構成されてもよい。例えば、以下に更に詳細に記載されるように、温度インジケータ10は、温度インジケータ10に温度条件が課されたか否かの視覚的及び/又は非視覚的な指標を(例えばRFID信号を使用して)与えるように構成されてもよい。
【0011】
図2は、本開示の実施形態に係るインジケータ10の実施形態を表して図示するブロック図である。図2では、インジケータ10は、マイクロセンサ20及び無線通信モジュール22を備えている。マイクロセンサ20は、温度イベント(例えば、ある閾値を超える温度)を検出するためのマイクロメカニカルデバイス及び/又はマイクロ電子デバイス((例えば全体のサイズが一般に平方ミリメートルで測定されるマイクロメートルサイズの部品を一般的に有する)微細なデバイス又はシステム)である。マイクロセンサ20は、(例えば、材料層を堆積させてフォトリソグラフィによってパターニングし、エッチングして必要な形状/部品を製造する処理又は技術でシリコン又は他の材料を使用する)微小電気機械システム(MEMS)デバイスとして構成されてもよく、液晶表示(LCD) パネルで製造されたデバイス(例えば、LCD 製造処理、例えばパターニング、積層、マスキング、切断、及び薄膜トランジスタ(TFT) 堆積技術により、液晶を含んでも含まなくてもよいガラス部品及び/又はガラス基板を使用して製造されたデバイス)として構成されてもよく、並びに/又は、ロールツーロール(R2R) 加工技術を使用して(例えば軟質プラスチック、金属箔若しくはフレキシブルガラスのロール上にデバイスを作製して)形成されてもよい。ある実施形態では、十分な規模及び/又は一若しくは複数の特定の閾値を超過する温度状態の受信及び/又は検出に応じて、温度インジケータ10が、このようなイベントの電子信号/指標を与えるように、温度インジケータ10は、プリント基板に(永久的若しくは着脱可能に)付加されてもよく、及び/又は、他の態様で(例えば着脱可能なカートリッジなどの)電子回路に永久的若しくは着脱可能に接続されてもよい。
【0012】
ある実施形態では、マイクロセンサ20は検出回路24を有している。検出回路24は、センサ20の作動状態の変化の検出に反応する一又は複数のスイッチ素子、トレース、接点及び/又は回路を含んでもよい。例えば、ある実施形態では、センサ20は、温度イベントを受けると移動するか又は変位する可動要素又は可動部材を有してもよい。可動要素の変位によって、検出回路24の状態を変化させてもよい(例えば、インピーダンスを変化させる、開回路状態から閉回路状態に又はその逆に変化させるなど)。無線通信モジュール22は、(例えば検出回路24の開回路状態又は閉回路状態に基づき)インジケータ10の作動状態を示す、検出回路24の状態に関連する情報を無線で通信するように構成されている。例えば、一実施形態では、無線通信モジュール22はRFIDモジュール30を有している。ある実施形態では、RFIDモジュール30は、(例えばプリント回路基板上に又はプリント回路基板の一部として配置されている)RFID集積回路又はRFID回路32とメモリ34とをアンテナ36と共に有する受動型RFIDモジュール30(例えば受動型RFIDタグ)を有している。受動型RFIDモジュール30として、インジケータ10はバッテリを含まない(例えば、RFIDリーダ40によって電力が供給される)ことにより、バッテリ無しの温度インジケータ10を形成する。例えば、RFIDリーダ40からの電波をRFIDモジュール30が受けると、アンテナ36が磁場を形成することにより、電力をRFIDモジュール30に供給してRFID回路32に通電する。通電される/起動すると、RFIDモジュール30は、(例えば、NFC, ISO-18000-3, ISO 18000-6, UHF Gen2, ISO-15693などの通信プロトコルを使用して)メモリ34に符号化されている情報を出力/送信してもよい。しかしながら、ある実施形態では、RFIDモジュール30は、ある情報を連続的に、間欠的に、及び/又は、プログラムトリガ若しくはイベントトリガに応じて伝送又は送信するように構成されてもよい、電源(例えばバッテリ)を含む能動型RFIDモジュール30を有してもよいと理解すべきである。受動型RFIDタグの一実施形態は、ロール形態のフレックス回路RFIDである。フレックス回路RFIDでは、チップ及びアンテナは、銅エッチング又はホットスタンピングにより、例えばポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、フェノール類、ポリエステル、スチレン又は紙を使用した100 ~200 nmの薄い基板に埋め込まれている。RFID製造の一処理が、銅、ニッケル又は炭素を含む導電性インクを使用したスクリーン印刷である。1ロールで数百又は数千個になり得る市販のフレックス回路受動型RFIDタグ製品の一例が、Avery Dennison CorporationのSmartrac(商標)製品である。
【0013】
無線通信モジュール22は、他のタイプの無線通信タイプ、モード、プロトコル及び/又は形式(例えば、ショートメッセージサービス(SMS) 、汎用パケット無線サービス(GPRS)/3G/4Gを用いた無線データ、Wi-Fi 経由の公衆インターネットを介した無線データ、又はWi-Fi 、Z-Wave、ZigBee、Bluetooth (登録商標)、Bluetooth Low Energy (BLE)、LoRA、NB-IoT、SigFox、Digital Enhanced Cordless Telecommunications(DECT)などの他の無線通信プロトコル規格若しくは他の一般的な技術を局所的に用いた無線データ)のために構成されてもよいことを更に理解すべきである。以下に更に述べるように、温度インジケータ10は、特定のレベル及び/又は大きさの温度イベントを受けると、電子信号又は回路の一部として使用され得る受動型温度センサ/インジケータとして機能する。ある実施形態では、本開示の温度インジケータ10の温度検知性能/機能は、監視状態の間は電力を必要としない。
【0014】
図示されている実施形態では、メモリ34は、少なくとも2つの異なる記憶及び/又は符号化されている値42及び値44を含んでいる。例えば、値42は、検出回路24が開回路の状況又は状態であるときにRFIDモジュール30によって出力/送信される値に相当してもよく、値44は、検出回路24が閉回路の状況又は状態であるときにRFIDモジュール30によって出力/送信される値に相当してもよい。例として、値44は、温度検出回路24が起動していないRFIDタグ識別(ID)番号を表してもよく、RFIDタグのID番号は末尾に追加の文字(例えば「0」)を有してもよい。値42は、温度検出回路24が起動しているRFID識別(ID)番号を表してもよく、RFIDタグのID番号は、値44の追加の文字とは異なる追加の文字(例えば「1」)を末尾に有してもよい。図示されている実施形態では、RFIDモジュール30(例えばRFID回路32)は検出回路24に連結されており、検出回路24が開回路又は閉回路の状況又は状態にあるか否かを検出することが可能である。従って、例えば、検出回路24は最初に閉回路の状況又は状態であってもよい。従って、RFIDモジュール30は、通電される/起動すると値44をリーダ40に送信する。インジケータが温度イベントにさらされると、センサ20は、検出回路24の変化を生じさせることにより、検出回路24は開回路の状況又は状態になる。従って、(例えば温度イベント後に)通電される/起動すると、RFIDモジュール30は代わりに値42をリーダ40に送信する。従って、本発明の実施形態により、インジケータ10がいかなる内部電源(例えばバッテリ)も含まない又は必要としないけれども、インジケータ10は、電子インジケータ(例えばRFIDリーダ)を使用して、温度変化によって引き起こされる可能性がある損傷のために、インジケータが取り付けられている精密な製品/対象物を監視することが可能になる。ある実施形態では、検出回路24は、検出回路24の状態が変化すると、検出回路24が以前の状態に戻ることが防止されるように不可逆的に構成されている。例えば、検出回路24がセンサ20の作動前に閉回路の状態又は状況にあり、温度イベントによってセンサ20が作動し、更に検出回路24を開回路の状態又は状況に移行させる場合、検出回路24は、開回路状態に維持されるように構成されているため、閉回路状態に戻ることはできない。同様に、検出回路24は、センサ20の作動に応じて開回路状態から閉回路状態に移行し、その後、開回路状態に戻ることなく閉回路状態のままであるように構成されてもよい。従って、本発明の実施形態は、温度インジケータ10のあらゆる許可されていないリセットを防止する。インジケータ10は、メモリ34に記憶されているより多い又はより少ない量の値(例えば、センサ20が起動するときのみ発する1つの値、超過する異なる温度閾値に対応して発する異なる値など)を有するように構成されてもよい。
【0015】
本発明は、プロセッサに本発明の態様を行わせるために(例えば(一又は複数の)コンピュータ可読記憶媒体(例えばメモリ34)に記憶されている)あらゆる技術的に可能な詳細な統合レベルにコンピュータプログラム命令を含んでもよい。本明細書に記載されているコンピュータ可読プログラム命令は、夫々の計算/処理デバイス(例えば無線通信モジュール22及び/又はRFIDモジュール30)にダウンロードされ得る。本発明の動作を実行するためのコンピュータ可読プログラム命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA) 命令、機械命令、機械依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、集積回路のための構成データ、又は、一若しくは複数のプログラミング言語のあらゆる組み合わせで記述されているソースコード若しくはオブジェクトコードであってもよい。ある実施形態では、例えばプログラマブルロジック回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)又はプログラマブルロジックアレイ(PLA) を含む電子回路(例えば回路32)は、本発明の態様を実施するために、電子回路をカスタマイズすべくコンピュータ可読プログラム命令の状態情報を使用してコンピュータ可読プログラム命令を実行してもよい。本発明の態様は、本発明の実施形態に係る方法及び/又は装置の説明図及び/又はブロック図を参照して本明細書に記載されている。説明図及び/又はブロック図の各ブロック、並びに、説明図及び/又はブロック図のブロックの組み合わせが、コンピュータ可読プログラム命令によって実行され得るモジュール、セグメント又はコードの一部を表してもよいことが理解される。プロセッサを介して実行されるコンピュータ可読プログラム命令が説明図及び/又はブロック図の一又は複数のブロックに指定された機能/動作を実行する手段をもたらすように、これらのコンピュータ可読プログラム命令は、マシンを製造すべくプロセッサ又は他のプログラマブルデータ処理装置に与えられてもよい。命令が記憶されているコンピュータ可読記憶媒体が説明図及び/又はブロック図の一又は複数のブロックに指定された機能/動作の態様を実行する命令を含む製品を有するように、計算デバイス、プログラマブルデータ処理装置及び/又は他のデバイスに特定の方法で機能するように指示し得るこれらのコンピュータ可読プログラム命令はコンピュータ可読記憶媒体に更に記憶されてもよい。検出回路24、無線通信モジュール22、及び/又はRFIDモジュール30は、ハードウェアベース、ソフトウェアベース又はこれら両方のある組み合わせであってもよい既知の技術を使用して、あらゆる適切な方法で実施されてもよい。例えば、検出回路24、無線通信モジュール22及び/又はRFIDモジュール30は、(例えばプロセッサユニットで実行するソフトウェア及び/又はアルゴリズムとして、プロセッサ又は他のタイプのロジックチップに存在するか又は1つの集積回路に集められているか又はデータ処理システムの異なるチップに分散しているハードウェアロジックとして存在する)上述したような様々な機能を行うためのソフトウェア、ロジック及び/又は実行可能なコードを有してもよい。当業者によって認識されるように、本開示の態様は、システム、方法又はコンピュータプログラム製品として具体化されてもよい。従って、本開示の態様は、ハードウェア実施形態、(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む)ソフトウェア実施形態、又は本明細書では概して全て「回路」、「モジュール」又は「システム」と称されてもよいソフトウェア態様及びハードウェア態様を組み合わせた実施形態の形態を取ってもよい。
【0016】
図3は、本開示に係る温度インジケータ10の様々な実施形態を示す分解図であり、図4は、本開示に係る図3に示されている温度インジケータ10の実施形態の一部を示す拡大図である。図3を参照すると、温度インジケータ10は、底部、つまり下壁52及び最上部、つまり上壁54を有する筐体又はハウジング50を備えている。上壁54と下壁52との間にRFIDモジュール30が配置されている。図4は、RFIDモジュール30の拡大図である。図3及び図4では、RFIDモジュール30は、アンテナ36を形成するRFIDインレイ62を、RFIDインレイに連結されているRFIDチップ又はRFID回路32と共に有する基板60を有している。図示されている実施形態では、マイクロセンサ20はRFIDモジュール30に接着及び/又は連結されている。例えば、図示されている実施形態では、センサ20は、MEMSセンサ201 又はLCD パネルで製造されたセンサ202 又はR2R で製造されたマイクロセンサ203 を含んでもよい。図4を参照すると、RFIDモジュール30は、マイクロセンサ20を受けるための取付領域66を有しており、RFIDモジュール30は、センサ20をRFID回路32に通信可能に及び/又は電気的に連結するためのトレース又はリード線68を更に有している。
【0017】
図3を参照すると、図示されている実施形態では、インジケータ10は起動要素70を備えている。起動要素70は、起動要素70がインジケータ10から外されるまでセンサ20を非反応状態で維持するように構成されている(つまり、非作動状態から作動状態に移行することができない。ここで、非作動状態とは、特定の閾値を超える温度イベントをセンサ20が受ける前のセンサ20の状態を指し、作動状態とは、前記閾値で又は前記閾値を超えてセンサが温度イベントを受けた後のセンサ20の状態を指す)。例えば、インジケータ10をエンドユーザ(又はその他)に輸送している間、インジケータ10は、センサ20によって検出されてセンサ20を作動状態にさせる温度イベントを受けてもよい(つまり、温度イベントを受けたことを示してもよい)。起動要素70は、センサ20が温度イベントを受ける場合でも、センサ20が非作動状態から作動状態に移行するのを防止する。起動要素70がインジケータ10から外されると、センサ20はアクティブモード又は検知モードになる(つまり、温度イベントを検出して作動状態に移行し、温度イベントを受けたことを示すことができる)。
【0018】
例えば、以下により詳細に記載されるように、一実施形態では、起動要素70は、上壁54に接着接合されている及び/又は他の方法で連結されている保持要素72を有しており、上壁54に形成されている開口部80を通って下方に延びている阻止体74を有している。阻止体74は、下方に延びて、センサ20の作動を防止するためにセンサ20の少なくとも一部と係合するピン又は他の構造部材の形態であってもよい。動作中、保持要素72をインジケータ10から外す(例えば、保持要素72を上壁54から剥がす)と、更に阻止体74がインジケータ10から外側に引っ張られることにより、センサ20から離脱し、センサ20が温度イベントを検出するとセンサ20は作動することが可能になる。
【0019】
図5は、非作動・非反応状態の本開示に係るMEMS型マイクロセンサ20を組み込んだ温度インジケータ10の実施形態を示す図であり、図6は、本開示に係る作動状態の図5の温度インジケータ10の実施形態を示す図である。センサ20は、インジケータ10内の任意の数のセンサ20とすることができるセンサの内の少なくとも1つを表す(センサ20の較正が必要である場合、2以上のセンサ20が必要となり得る)。
【0020】
図示されている実施形態では、センサ20は、温度イベントにさらされると移動する(例えば、図5に示されているような第1の位置又は場所から図6に示されているような第2の位置又は場所に移動する)ように構成されている検知要素100 を有している。検知要素100 は複数の材料層を有してもよく、これらの材料層の内の少なくとも2つは異なる温度感応性を有する。例えば、図示されている実施形態では、検知要素100 は、複数の層又は梁104 及び梁106 を有するカンチレバー構造102 を有している。梁104 及び梁106 の一方が他方の梁106 又は梁104 内の少なくとも1つの材料とは異なる少なくとも1つの材料を含むように、梁104 及び梁106 は形成されている。図示されている実施形態では、梁104 及び梁106 は、梁104 及び梁106 の間に梁104 及び梁106 の長さに沿って間隙108 を画定するように、互いに並列に又は隣り合って、平行(又は実質的に平行)に配置されており、少なくとも一定の距離、互いに離隔している。この実施形態では、カンチレバー102 が平面構造として形成されている。カンチレバー102 は、センサ20の下にある構造(例えば基板60(図3))とは異なる平面に配置されてもよい。カンチレバー構造102 は、図示されている実施形態では梁を有するように図示されているが、センサ20は、隔板などの平らな構造を含む他のカンチレバー構造又は非カンチレバー構造を有してもよいことを理解すべきである。「バイモルフ型」という用語は、2つのアクティブ層によって形成された1つの梁における曲げ作用を指すのに一般的に使用されており、この用語は、異なる材料の組み合わせが注目するパラメータにさらされるとカンチレバー構造で引き起こす曲げ作用をより一般的に指すために使用される。特に、異なる材料は、注目するパラメータに対する一致しない膨張/収縮(伸長/縮小)反応を有するように選択されているため、カンチレバー構造は、他方の梁より縮む又は他方の梁ほど伸びない梁に向かって曲がる。パラメータが十分に高い(閾値)レベルにある場合、カンチレバー構造の撓みは、カンチレバー構造に関連付けられている電気接点を(検知デバイスの動作モードに応じて)開閉するのに十分であり、電荷若しくは電流の移動、電圧の発生を夫々中断若しくは可能にするか、又はデジタル信号に対応することができる別の形式の出力を与える役目を果たし得る。カンチレバー構造と電気接点との接触を、本明細書では接触モードスイッチング機能又は接触モード動作と称し、ある実施形態では非係止と称する(すなわち、曲げ又は撓みの結果以外では、カンチレバー構造は機械的に係止されないか又は他の態様で電気接点に固定されない)。
【0021】
好ましい実施形態では、パラメータに反応する検知要素100 の特性変化は一時的且つ可逆的である。例えば、検知要素100 が温度に応答する場合(熱膨張又は収縮)、カンチレバー構造102 の生じる反応(撓み)は一時的であり、カンチレバー102 は、カンチレバーが(例えば曲がったカンチレバーを係止するか又は他の方法でカンチレバー102 が元の位置/形状に戻る移動を制限することにより)元の構成に戻ることを機械的に制限されていない限り温度逸脱が終わると元の構成に戻る。
【0022】
図示されている実施形態では、センサ20は、カンチレバー102 に固定されている(又はカンチレバー102 の一部として一体的に形成されている)支持部材110 を有している。ある実施形態では、支持部材110 は、センサ20が更に製造されてもよい従来のCMOS回路基板上の特徴として製造されている。図5及び図6に示されているように、支持部材110 の直近のカンチレバー102 の端部120 が、支持部材110 に連結されているか又は支持部材110 の一部として形成されている一方、カンチレバー102 の反対側の遠位端部122 は、あらゆる隣り合う基板又は構造に対して浮いている及び/又は自立しているため、端部122 を、固定された端部120 に対して移動させることができる。図示されている実施形態では、端部122 はラッチ又は係止爪体130 の直近に配置されている。例えば、ラッチ130 は、支持部材134 に連結されているか又は支持部材134 の一部として形成されている端部132 を有している。カンチレバー102 が非作動状態又は非反応状態であるとき(図5)、ラッチ130 の反対側の遠位端部136 は浮いている及び/又は自立しており、カンチレバー102 の端部122 と隣り合うが端部122 と接することなく配置されている。図示されている実施形態では、端部136 の面140 がカンチレバー102 の端部122 の面142 に対向している。面140 及び面142 は、非作動状態又は非反応状態(図5)では互いに平行に構成されており、互いに間隔を空けて配置されている。面140 及び面142 は、面140 の少なくとも一部が面142 の少なくとも一部に亘って延びているような角度をなしている(例えば、面142 は梁106 の表面144 に対して鋭角に形成されており、面140 は表面144 に対してカンチレバー102 に向かって補角で形成されている)。カンチレバー102 が矢印150 で示されている方向に移動すると、面142 が面140 に接して、ラッチ130 が矢印152 で示されている方向にカンチレバー102 から離れるように、ラッチ130 は可撓性のラッチ130 として構成されているため、カンチレバー102 は温度イベントに応じてラッチ130 の端部136 を通過することが可能である。
【0023】
図5に示されているように、センサ20は起動要素70を有しているため、インジケータ10の製造、保管及び/又は発送中(例えば、インジケータ10が温度監視対象商品に配置される前)、カンチレバー102 が方向150 に十分な距離を移動せず、センサ20が温度イベントにさらされても、ラッチ130 との係止が生じない。図5に示されているように、起動要素70は、カンチレバー102 の直近に配置されている阻止体74を有しているため、センサ20が温度イベントを受ける場合に方向150 へのカンチレバー102 の移動を制限する。センサ20が作動位置又は作動状態になるポイントにカンチレバー102 が移動することを制限及び/又は防止するために、阻止体74がカンチレバー102 の直近に他の態様で配置されてもよい及び/又は位置付けられてもよいことを理解すべきである。
【0024】
センサ20及びそのカンチレバー構造102 は集積回路基板(例えばCMOSウエハ)上に直接製造されてもよく、集積回路基板にはインジケータ10の他の電子デバイス(例えばRFID回路32、アンテナ36など)が更に形成され得る。代替例では、その後、異なる基板に電気的に連結又は結合される別個の基板上にセンサ20及びそのカンチレバー構造102 を製造する。センサ20のカンチレバー構造102 は、ポストCMOS処理に対応しており、センサ20に複数のカンチレバー102 がある場合でも、非常に小さな領域で製造され得ることは容易に認識され得る。電気接点を閉じる及び/又は開くことにより、注目する環境パラメータに応答することができる片持ち梁以外の構造が採用され得ることを更に理解すべきである。
【0025】
図示されている実施形態では、梁104 及び梁106 の異なる材料は、注目する環境パラメータに応じてカンチレバー構造102 が方向150 (図5)に曲がる又は撓むように選択されている(例えば、梁104 及び梁106 は、温度に関連する異なる膨張係数を有する材料を夫々含んでいる)。図5及び図6に示されているように、梁106 の遠位端部122 は、梁104 の遠位端部160 に連結するために間隙108 を塞いでいる。上述したように、注目する環境パラメータに対するカンチレバー構造102 の個々の反応は、以下の記載ではバイモルフ型と称されてもよいが、厳密にはバイモルフ型カンチレバー構造102 が必要ではないことを理解すべきである(例えば、カンチレバー構造102 は、必ずしも2つのアクティブ梁104, 106を必要としない。代わりに、カンチレバー構造102 は1つのアクティブ梁又は3以上のアクティブ梁を有してもよい)。センサ20は、RFIDモジュール又はRFIDタグ30が受ける場合がある多くの種類の異なる環境パラメータ(例えば、温度、湿気/湿度、電磁放射、核粒子放射、化学物質、生物由来物質など)を検知するように構成され得る。このような機能は、以下の記載から理解されるように、適切な材料を使用して検知要素100 のカンチレバー構造102 を形成することによって実現され得る。
【0026】
既に記載されているように、梁104 及び梁106 の異なる材料は、注目するパラメータに対する一致しない膨張/収縮(伸長/縮小)反応を有するように選択されているため、ある環境条件下(例えば、閾値温度又は時間-温度パラメータ)で梁106 が梁104 より伸びるか又は梁104 ほど縮まないので、カンチレバー構造102 は方向150 に曲がる。梁104 及び梁106 が並列に配置されて、遠位端部160, 122で取り付けられているため、カンチレバー構造102 は、カンチレバー構造102 並びにその梁104 及び梁106 がある面内の方向に撓む。梁104 及び梁106 が並列且つ平行に配置されているため、間隙108 は、梁104 及び梁106 によって梁104 及び梁106 間に画定されており、梁104 及び梁106 の長さに沿って幅が均一であるように示されている。間隙108 が設けられているため、梁104 及び梁106 は、ほとんどの長さに沿って互いに直接接触せず、梁106 の遠位端部122 のみが間隙108 を塞いで梁104 の遠位端部160 に取り付けられている。従って、バイモルフ作用を生み出す梁104 及び梁106 の有効長部分は、互いに直接接触しないか又は相互に作用しない。
【0027】
本開示のある実施形態によれば、センサ20は、インジケータ10を取り巻く環境の一又は複数の環境パラメータに応じたスイッチとして機能するMEMSデバイスである(すなわち、検出回路24を有する)。例えば、ある実施形態では、検出回路24はカンチレバー102 の一部として(又はカンチレバー102 上に直接)形成されてもよい。例えば、ある実施形態では、梁106 (及びその遠位端部122 )並びに係止爪体130 は、互いに接するとスイッチとして機能するように導電性を有する。この実施形態では、支持部材110, 134も、検出回路24のための接点として機能すべく少なくとも部分的に導電性を有する。ある実施形態では、カンチレバー102 及び/又は係止爪体130 は、カンチレバー102 及び係止爪体130 をスイッチとして機能させることができる導電性材料の外層及び/又は堆積した導電性トレースを有してもよい。
【0028】
上述したように、図5は、インジケータ10の非反応・非作動状態(つまり、例えば起動要素70を外すことにより、インジケータが現地で作動状態にされる前)を示す。インジケータ10が温度センサとして使用される例では、温度イベント又は温度条件によって梁106 が梁104 より膨張する場合、この膨張によって、通常カンチレバー102 は方向150 に移動する。しかしながら、起動要素70を外す前、起動要素70は、カンチレバー102 の方向150 への移動を防止及び/又は制限することによってカンチレバーが係止爪体130 と係合することを防止する。従って、起動要素70を外す前、インジケータ10は、そうでなければインジケータ10を動作させることなくセンサ20の作動又は起動を引き起こす温度イベントを受けることができる。
【0029】
起動要素70を外した後、インジケータ10は反応状態になる(つまり、温度イベントを受けると作動することができる)。例えば、この実施形態では、温度イベントにさらされると、カンチレバー102 は図6に示されているように方向150 に移動する。この実施形態では、カンチレバー102 の方向150 への移動によって生じる、係止爪体にカンチレバー102 により加えられる力(例えば面142 が面140 と接すること)により、係止爪体130 が方向152 に移動し、それによってカンチレバー102 が係止爪体130 の端部136 を通過し得るように、係止爪体130 は構成されている。カンチレバー102 が係止爪体130 の端部136 を通過した後、係止爪体130 は、図6に示されているように元の場所/位置に戻る(例えば、方向152 とは反対の方向に移動する)。従って、係止爪体130 が元の場所/位置に戻ると、係止爪体130 は、カンチレバー102 が元の位置又は非反応状態の位置に戻るのを防止することにより、インジケータ10が不可逆的に作動する。
【0030】
図7は、本開示に係る起動要素70の実施形態を示す図である。図示されている実施形態では、阻止体74はセンサ20の基板200 に固定及び/又は連結されている。例えば、ある実施形態では、カンチレバー102 のマイクロスケール及びインジケータ10全体の所望の小さな設置面積のため、阻止体74も、マイクロスケールで形成されて、センサ20の形成に使用される同一のMEMS製造技術を使用して製造される。図7では、カンチレバー102 の一部が阻止体74と隣り合って示されている。起動要素70に関連付けられている様々な要素は、図5及び図6に関連したセンサ20の動作の図示及び説明を容易にするために図5及び図6に示されていない。図7では、阻止体74は、基板200 に対して阻止体74の近位端部202 で基板200 から外されるように構成されている。例えば、カンチレバー102 は温度イベントにさらされると移動可能であるため、温度イベントによって、カンチレバー102 が作動状態に移行すると、カンチレバー102 が、まず阻止体74に接することにより、カンチレバー102 の移動量を制限し、そうでなければカンチレバー102 を係止爪体130 と係合させるカンチレバー102 の移動量(図5及び図6)を防止する。従って、阻止体74は、温度イベントを受けるためにカンチレバー102 が移動する可能性によるカンチレバー102 の運動量に耐えるのに十分な強度でカンチレバー102 の端部122 の近くで基板200 に取り付けられている。
【0031】
図7に示されている実施形態では、阻止体74は、接着層206 を使用して保持要素72に取り付けられている(近位端部202 に対して遠位の)拡大遠位端部204 と、近位端部202 及び拡大遠位端部204 間に延びている中間部分208 とを有している。マイクロセンサ20がマイクロスケールであるため、保持要素72がセンサ20から外されるか又は引き離されると、保持要素72が拡大遠位端部204 を引っ張り、その結果、基板200 から離れる方向に阻止体74の近位端部202 に加えられる力が生じて、阻止体74を基板200 から離脱させるように、拡大遠位端部204 は、接着層206 が拡大遠位端部204 に取り付けられたままになる十分な表面積を有して構成されている。図示されている実施形態では、近位端部202 は、拡大遠位端部204 より小さい断面積を有して構成されているため、基板200 に取り付けられている近位端部202 の表面積が減少し、インジケータ10から保持要素72を外す際に阻止体74が基板200 から離脱することが可能になる。ある実施形態では、近位端部202 は、保持要素72が外されると基板200 からの近位端部202 の分離を容易にすべく、阻止体74の他の部分の材料より脆い材料で形成されてもよい。一実施形態では、阻止体74は、近位端部202 で基板200 への阻止体74の取付を弱めるために近位端部202 でアンダーカットされてもよい。
【0032】
更に、カンチレバー構造102 は、カンチレバー構造102 内のあらゆる加工によるひずみの分散を高めるために応力補償層などの追加の層/膜を含み得る。温度、湿度、化学物質、電磁放射、粒子放射、UV光、及び/又は他の環境条件など、検知される環境パラメータへの反応を含み、梁104 及び梁106 を変更する目的でパターン化され得る層を有するようにカンチレバー構造102 の梁104 及び梁106 の一方又は両方を製造することも本発明の範囲内である。更に、上述したように、梁106 は、係止爪体130 上で導体に接するとスイッチとして使用され得るように、導電性材料の外層を有してもよい。
【0033】
従って、本開示の実施形態は、温度スイッチ回路の状態に応じて異なる読み取り値を与える受動型RFIDタグと共に機械的な検知要素100 を用いた、設置面積が小さい温度インジケータを使用して温度及び/又は温度イベント検出を可能にする。RFIDタグは受動型であるため、温度インジケータはバッテリ又は他の外部電源を必要としない。更に、温度インジケータの構成により、温度インジケータは、作動すると(又は十分な規模の温度イベントにさらされると)不可逆的になることが可能である。更に、本開示の温度インジケータは、一又は複数の表示メカニズムと共に構成されてもよい(例えば、LCD パネルで製造されたセンサ20は、作動の際にインジケータ10のある領域内に見え得る液体を含んでもよい)。更に、様々な製造処理がインジケータ10に使用されてもよい(例えば、1)電気的に接触することが可能な導電性要素、及び2)温度変化に反応する移動可能な検知要素を有する一又は複数のマイクロメカニカル構造層を実現するあらゆる製造処理が使用されてもよい)。例として、シリコン、二酸化ケイ素、セラミック、ニッケル、チタン及び他の導体でのバルク微細加工及びウエハ接合の製造手法、電気めっき金属を用いたLIGAタイプの製造処理(つまり、リソグラフィ、電気めっき及び成形)、インクジェットディスペンス、ペーストスクリーニングなどの積層製造方法、及び、その後に固化される液体を使用した他の堆積方法がある。
【0034】
本明細書に使用されている用語は、特定の実施形態を記載するためだけのものであり、本開示を制限することを意図していない。本明細書で使用されているように、単数形「a」、「an」及び「the 」は、文脈上明らかに別段の規定がない限り、複数形を同様に含むことが意図されている。「備える"comprises"」及び/又は「備えている"comprising"」という用語は、本明細書で使用される場合、記載された特徴、整数、工程、動作、要素及び/又は部品の存在を指定するが、一又は複数の他の特徴、整数、工程、動作、要素、部品及び/又はそのグループの存在又は追加を除外しないことが更に理解される。
【0035】
以下の特許請求の範囲における対応する構造、材料、動作及び全ての手段又は工程の均等物、並びに機能要素は、具体的に請求されているような他の請求された要素と組み合わせて機能を行うためのあらゆる構造、材料又は動作を含むように意図されている。本開示の記載は、図示及び記載のために示されているが、開示された形態の本開示に網羅的であるか又は限定的であることが意図されていない。多くの調整及び変更が、本開示の範囲及び趣旨から逸脱することなく当業者に明らかである。本実施形態は、本開示の原理及び実用性を最適に説明するために、且つ、当業者が、検討された特定の用途に適した様々な調整を伴う様々な実施形態の開示を理解し得るために選択されて記載されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】