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特表2023-536451シングルモード動作のための低クロストークのマルチコア光ファイバ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-25
(54)【発明の名称】シングルモード動作のための低クロストークのマルチコア光ファイバ
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/02 20060101AFI20230818BHJP
   G02B 6/036 20060101ALI20230818BHJP
【FI】
G02B6/02 461
G02B6/036
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023505744
(86)(22)【出願日】2021-07-23
(85)【翻訳文提出日】2023-03-27
(86)【国際出願番号】 US2021042894
(87)【国際公開番号】W WO2022026305
(87)【国際公開日】2022-02-03
(31)【優先権主張番号】63/056,869
(32)【優先日】2020-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】ミシュラ,スニグダラジ クマール
(72)【発明者】
【氏名】タンドン,プシュカル
【テーマコード(参考)】
2H250
【Fターム(参考)】
2H250AA53
2H250AB05
2H250AB10
2H250AC63
2H250AC64
2H250AC66
2H250AC93
2H250AC95
2H250AC96
2H250AD19
2H250AD36
2H250AD43
2H250AD45
2H250AE25
2H250AE26
2H250AE39
2H250AE47
2H250AE54
2H250AE63
2H250AH09
2H250AH22
2H250AH27
(57)【要約】
マルチコア光ファイバ(110)は、共通クラッドと、共通クラッドに配置された複数のコア部分(C、C、C、C)とを含む。各コア部分は、中心軸と、中心軸から半径rまで延伸し、相対屈折率Δを有するコア領域と、半径rから半径rまで延伸し、相対屈折率Δを有する内側クラッド領域と、半径rから半径rまで延伸し、相対屈折率Δおよび最小相対屈折率Δ3minを有する低屈折率クラッド領域とを含む。相対屈折率は、Δ>Δ>Δ3minを満たしうる。各コア部分のモードフィールド直径は、8.2μm以上で9.5μm以下でありうる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチコア光ファイバにおいて、
共通クラッドと、
前記共通クラッドに配置された複数のコア部分と
を含み、
各前記複数のコア部分は、
中心軸と、
前記中心軸から半径rまで延伸し、純シリカに対する相対屈折率Δを有するコア領域と、
前記コア領域を囲んで直に接触し、半径rから半径rまで延伸し、純シリカに対する相対屈折率Δを有する内側クラッド領域と、
前記内側クラッド領域を囲んで直に接触し、前記半径rから半径rまで延伸し、純シリカに対する相対屈折率Δおよび純シリカに対する最小相対屈折率Δ3minを有する低屈折率クラッド領域と
を含むものであって、
Δ>Δ>Δ3minであり、
各前記コア部分のモードフィールド直径は、1310nm波長において、8.2μm以上で9.5μm以下であり、
各前記コア部分のゼロ分散波長は、1300nm以上で1324nm以下であるマルチコア光ファイバ。
【請求項2】
前記共通クラッドは、120μm以上で200μm以下の外半径RCCを有するものである、請求項1に記載のマルチコア光ファイバ。
【請求項3】
前記複数のコア部分は、3以上で8以下のコア部分を含むものである、請求項2に記載のマルチコア光ファイバ。
【請求項4】
前記複数のコア部分は、2×2配列で前記共通クラッド内に配列されて、各該複数のコア部分の中心軸は、それに隣接した2つのコア部分の中心軸から、35μm以上の最小コア間離間距離で離間したものである、請求項3に記載のマルチコア光ファイバ。
【請求項5】
各前記複数のコア部分の前記低屈折率クラッド領域全体の前記相対屈折率Δは、Δ以下で、該低屈折率クラッド領域は、該各コア部分の相対屈折率プロファイルにおいて、低屈折率トレンチを形成するものであり、
各該コア部分の前記相対屈折率プロファイルにおける前記低屈折率トレンチは、30%Δμm以上で75%Δμm以下のトレンチボリュームを有するものであり、
前記低屈折率トレンチは、11μm以上で20μm以下である半径rまで延伸するものである、請求項1に記載のマルチコア光ファイバ。
【請求項6】
各前記コア部分の前記低屈折率クラッド領域の前記相対屈折率Δは、前記半径rにおける前記Δから前記半径rにおける前記Δ3minまで単調減少するものである、請求項5に記載のマルチコア光ファイバ。
【請求項7】
各前記コア部分の前記低屈折率クラッド領域の前記相対屈折率Δは、前記半径rにおける前記Δから前記半径rにおける前記Δ3minまで連続的に減少して、前記トレンチは、略三角形の形状を有するものである、請求項6に記載のマルチコア光ファイバ。
【請求項8】
各前記コア部分の前記低屈折率クラッド領域の前記相対屈折率Δ3minは、-0.2%Δ以下で-0.6%Δ以上である、請求項6に記載のマルチコア光ファイバ。
【請求項9】
各前記コア部分の前記低屈折率クラッド領域は、前記中心軸からの半径方向距離と共に変化する濃度を有する屈折率下げドーパントを含み、該低屈折率クラッド領域は、前記半径rにおいて、最大屈折率下げドーパント濃度を有し、前記半径rにおいて、最小屈折率下げドーパント濃度を有するものであり、
前記屈折率下げドーパントは、フッ素であり、前記最大屈折率下げドーパント濃度は、1.2質量%以上で2.0質量%以下である、請求項6に記載のマルチコア光ファイバ。
【請求項10】
前記複数のコア部分の前記中心軸は、互いに、35マイクロメートル以上の最小離間距離で離間したものであり、
前記複数のコア部分の各コア部分と、該複数のコア部分の内、それに最も近いコア部分の間のクロストークは、-30dB以下である、請求項1に記載のマルチコア光ファイバ。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、米国特許法第119条の下、2020年7月27日出願の米国仮特許出願第63/056,869号の優先権の利益を主張し、その内容は依拠され、全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本開示は、光ファイバに関する。特に、本開示は、低クロストークを実現するためのトレンチを含む相対屈折率プロファイルを有するコア部分を含むマルチコア光ファイバに関する。
【背景技術】
【0003】
シングルモード光ファイバを通した伝送容量は、理論的には、ファイバ当たり約100Tb/sである本質的限界に達した。大陸間の距離において、シングルモード光ファイバで80Tb/sの伝送を行うことさえ、光信号雑音比(OSNR)を改良しない限り難しいことが証明されてきた。大陸間伝送システムで用いられる約10,000kmに亘る海底のシングルモード光ファイバシステムの実際の容量限界は、超低損失で低非線形性の光ファイバを用いても、約50Tb/sに過ぎない。
【0004】
マルチコアファイバ(MCF)は、大陸間利用で用いられた場合に、低い伝送損失を示しうる。しかしながら、超長距離海底システムで実際に用いるには、MCFは、超低損失(つまり、低減衰)を有して、高いOSNRを生じ、更に、高い空間モード密度を有して、空間チャネル数を増加させ、更に、空間モード間の低い群遅延差(DGD)を可能にして、デジタル信号処理の複雑化を減らすべきである。更に、125μmである標準クラッド直径を維持して、ケーブルの設置のために、大きな変更が必要ないようにすべきである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、減衰を満足できる程度とし、伝送容量を増加させながら、上記問題を解決する新しい光ファイバが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様は、共通クラッドと、共通クラッドに配置された複数のコア部分とを含むマルチコア光ファイバを含む。各複数のコア部分は、中心軸と、中心軸から半径rまで延伸し、純シリカに対する相対屈折率Δを有するコア領域と、コア領域を囲んで直に接触し、半径rから半径rまで延伸し、純シリカに対する相対屈折率Δを有する内側クラッド領域と、内側クラッド領域を囲んで直に接触し、半径rから半径rまで延伸し、純シリカに対する相対屈折率Δおよび純シリカに対する最小相対屈折率Δ3minを有する低屈折率クラッド領域とを含む。実施形態において、相対屈折率Δ、Δ、Δ3minは、Δ>Δ>Δ3minを満たす。各コア部分のモードフィールド直径は、1310nm波長において、8.2μm以上で9.5μm以下である。各コア部分のゼロ分散波長は、1300nm以上で1324nm以下である。
【0007】
本開示の第2の態様は、第1の態様を含み、共通クラッドは、120μm以上で200μm以下の外半径RCCを有するものでありうる。
【0008】
本開示の第3の態様は、第1または第2の態様を含み、複数のコア部分は、3以上で8以下のコア部分を含むものでありうる。
【0009】
本開示の第4の態様は、第1から第3の態様のいずれか1つを含み、外半径RCCは、125μmに等しいものでありうる。
【0010】
本開示の第5の態様は、第1から第4の態様のいずれか1つを含み、複数のコア部分は、2×2配列で共通クラッド内に配列されて、各複数のコア部分の中心軸は、それに隣接した2つのコア部分の中心軸から、35μm以上の最小コア間離間距離で離間したものでありうる。
【0011】
本開示の第6の態様は、第1から第5の態様のいずれか1つを含み、各複数のコア部分のケーブルカットオフ波長は、1260nm以下でありうる。
【0012】
本開示の第7の態様は、第1から第6の態様のいずれか1つを含み、各複数のコア部分の低屈折率クラッド領域全体の相対屈折率Δは、Δ以下で、低屈折率クラッド領域は、各コア部分の相対屈折率プロファイルにおいて、低屈折率トレンチを形成するものでありうる。
【0013】
本開示の第8の態様は、第1から第7の態様のいずれか1つを含み、各コア部分の相対屈折率プロファイルにおける低屈折率トレンチは、30%Δμm以上で75%Δμm以下のトレンチボリュームを有するものでありうる。
【0014】
本開示の第9の態様は、第1から第8の態様のいずれか1つを含み、各コア部分の相対屈折率プロファイルにおける低屈折率トレンチは、40%Δμm以上で70%Δμm以下のトレンチボリュームを有するものでありうる。
【0015】
本開示の第10の態様は、第1から第9の態様のいずれか1つを含み、低屈折率トレンチは、11μm以上で20μm以下である半径rまで延伸するものでありうる。
【0016】
本開示の第11の態様は、第1から第10の態様のいずれか1つを含み、半径rは、12μm以上で18μm以下でありうる。
【0017】
本開示の第12の態様は、第1から第11の態様のいずれか1つを含み、最小相対屈折率Δ3minは、半径rで生じるものでありうる。
【0018】
本開示の第13の態様は、第1から第12の態様のいずれか1つを含み、各コア部分の低屈折率クラッド領域の相対屈折率Δは、半径rにおけるΔから半径rにおけるΔ3minまで単調減少するものでありうる。
【0019】
本開示の第14の態様は、第1から第13の態様のいずれか1つを含み、各コア部分の低屈折率クラッド領域の相対屈折率Δは、半径rにおけるΔから半径rにおけるΔ3minまで連続的に減少して、トレンチは、略三角形の形状を有するものでありうる。
【0020】
本開示の第15の態様は、第1から第14の態様のいずれか1つを含み、各コア部分の低屈折率クラッド領域の相対屈折率Δ3minは、-0.2%Δ以下で-0.6%Δ以上でありうる。
【0021】
本開示の第16の態様は、第1から第15の態様のいずれか1つを含み、各コア部分の低屈折率クラッド領域は、中心軸からの半径方向距離と共に変化する濃度を有する屈折率下げドーパントを含み、低屈折率クラッド領域は、半径rにおいて、最大屈折率下げドーパント濃度を有し、半径rにおいて、最小屈折率下げドーパント濃度を有するものでありうる。
【0022】
本開示の第17の態様は、第1から第16の態様のいずれか1つを含み、屈折率下げドーパントは、フッ素であり、最大屈折率下げドーパント濃度は、1.2質量%以上で2.0質量%以下でありうる。
【0023】
本開示の第18の態様は、第1から第17の態様のいずれか1つを含み、最大屈折率下げドーパント濃度は、1.2質量%以上で1.8質量%以下でありうる。
【0024】
本開示の第19の態様は、第1から第18の態様のいずれか1つを含み、各コア部分の内側クラッド領域は、屈折率下げドーパントを実質的に含まないものでありうる。
【0025】
本開示の第20の態様は、第1から第19の態様のいずれか1つを含み、各コア部分のモードフィールド直径は、波長1310nmにおいて、8.8μm以上で9.5μm以下でありうる。
【0026】
本開示の第21の態様は、第1から第20の態様のいずれか1つを含み、各コア部分のモードフィールド直径は、波長1310nmにおいて、9.0μm以上で9.5μm以下でありうる。
【0027】
本開示の第22の態様は、第1から第21の態様のいずれか1つを含み、各コア部分のモードフィールド直径は、波長1310nmにおいて、9.1μm以上で9.5μm以下である、実施形態1に記載のマルチコア光ファイバ。
【0028】
本開示の第23の態様は、第1から第22の態様のいずれか1つを含み、複数のコア部分の中心軸は、互いに、35マイクロメートル以上の最小離間距離で離間したものでありうる。
【0029】
本開示の第24の態様は、第1から第23の態様のいずれか1つを含み、複数のコア部分の各コア部分と、複数のコア部分の内、それに最も近いコア部分の間のクロストークは、-30dB以下でありうる。
【0030】
本開示の第25の態様は、第1から第24の態様のいずれか1つを含み、複数のコア部分の各コア部分と、複数のコア部分の内、それに最も近いコア部分の間のクロストークは、-50dB以下でありうる。
【0031】
本開示の第26の態様は、共通クラッドと、共通クラッドに配置された複数のコア部分とを含むマルチコア光ファイバを含みうる。各複数のコア部分は、中心軸と、中心軸から半径rまで延伸し、純シリカに対する相対屈折率Δを有するコア領域と、コア領域を囲んで直に接触し、半径rから半径rまで延伸し、純シリカに対する相対屈折率Δを有する内側クラッド領域と、内側クラッド領域を囲んで直に接触し、半径rから半径rまで延伸し、純シリカに対する相対屈折率Δおよび純シリカに対する最小相対屈折率Δ3minを有する低屈折率クラッド領域とを含みうる。相対屈折率Δ、Δ、Δ、Δ3minは、Δ>Δ>Δ3min、かつ、Δ≧Δを満たし、低屈折率クラッド領域は、各コア部分の相対屈折率プロファイルにおける低屈折率トレンチを、半径rと半径rの間に形成しうる。実施形態において、Δは、各コア部分の中心軸からの半径方向距離が増加するにつれて、最小相対屈折率Δ3minまで単調減少するものである。
【0032】
本開示の第27の態様は、第26の態様を含み、各コア部分のモードフィールド直径は、波長1310nmにおいて、8.2μm以上で9.5μm以下でありうる。
【0033】
本開示の第28の態様は、第26または第27の態様を含み、各コア部分のゼロ分散波長は、1300nm以上で1324nm以下でありうる。
【0034】
本開示の第29の態様は、第26から第28の態様のいずれか1つを含み、各コア部分の相対屈折率プロファイルにおける低屈折率トレンチは、40%Δμm以上で70%Δμm以下のボリュームを有するものでありうる。
【0035】
本開示の第30の態様は、第26から第29の態様のいずれか1つを含み、各複数のコア部分のケーブルカットオフ波長は、1260nm以下でありうる。
【0036】
本開示の第31の態様は、第26から第30の態様のいずれか1つを含み、各コア領域は、純シリカに対する最大相対屈折率Δ1maxを有し、各コア部分におけるΔ1maxは、0.28%Δ以上で0.45%Δ以下でありうる。
【0037】
本開示の第32の態様は、第26から第31の態様のいずれか1つを含み、各コア部分のコア領域内の屈折率プロファイルは、グレーデッドインデックスプロファイルでありうる。
【0038】
本開示の第33の態様は、第26から第32の態様のいずれか1つを含み、グレーデッドインデックスプロファイルのアルファ値は、10以上でありうる。
【0039】
本開示の第34の態様は、第26から第33の態様のいずれか1つを含み、グレーデッドインデックスプロファイルのアルファ値は、5以下でありうる。
【0040】
本開示の第35の態様は、第26から第34の態様のいずれか1つを含み、半径rは、12μm以上で18μm以下でありうる。
【0041】
本開示の第36の態様は、第26から第35の態様のいずれか1つを含み、Δ3minは、-0.2%Δ以下で-0.6%Δ以上でありうる。
【0042】
本開示の第37の態様は、第26から第36の態様のいずれか1つを含み、共通クラッドは、120μm以上で200μm以下の外半径RCCを有するものでありうる。
【0043】
本開示の第38の態様は、第26から第37の態様のいずれか1つを含み、複数のコア部分は、3以上で8以下のコア部分を含むものでありうる。
【0044】
本開示の第39の態様は、第26から第38の態様のいずれか1つを含み、各コア部分の低屈折率クラッド領域の相対屈折率Δは、半径rにおけるΔから半径rにおけるΔ3minまで、連続的に減少して、トレンチは、略三角形の形状を有するものでありうる。
【0045】
本開示の第40の態様は、マルチコア光ファイバの形成方法を含みうる。その方法は、屈折率上げドーパントを含むコア領域を、コアケーンから形成する工程と、オーバークラッド層を、コア領域の周りに成膜して、シリカスートプリフォームを形成する工程と、シリカスートプリフォームを、固化炉において固化させる工程とを含む。方法は、シリカスートプリフォームが固化を開始した後、時間Tの間、シリカスートプリフォームを屈折率下げドーパントに曝す工程を含む。時間Tは、屈折率下げドーパントがオーバークラッド層を通して拡散する速度に基づいて決定されるものであり、シリカスートプリフォームが固化した時に、オーバークラッド層の内側クラッド領域は実質的に屈折率下げドーパントを含まず、固化したシリカスートプリフォームは、純シリカに対する相対屈折率Δを有するコア領域、純シリカに対する相対屈折率Δを有する内側クラッド領域、および、Δ2と最小相対屈折率Δ3minの間で減少する純シリカに対する相対屈折率Δを有する低屈折率クラッド領域を含むものである。方法は、更に、固化したシリカスートプリフォームを、スートブランクに挿入して、マルチコアプリフォームを形成する工程と、マルチコアファイバプリフォームを線引きして、マルチコア光ファイバにする工程とを含む。
【0046】
本開示の第41の態様は、第40の態様を含み、オーバークラッド層を、コア領域の周りに、外付け蒸着処理を用いて形成するものでありうる。
【0047】
本開示の第42の態様は、第40または第41の態様を含み、屈折率上げドーパントは、ゲルマニウムを含むものでありうる。
【0048】
本開示の第43の態様は、第40から第42の態様のいずれか1つを含み、屈折率下げドーパントは、フッ素を含むものでありうる。
【0049】
本開示の第44の態様は、第40から第43の態様のいずれか1つを含み、コア領域が部分的に固化した状態の時に、オーバークラッド層をコア領域の周りに成膜し、コア領域がオーバークラッド層と共に固化されるものでありうる。。
【0050】
ここまでの概略的記載および次の詳細な記載の両方が例示に過ぎず、請求項の本質および特徴を理解するための概観または枠組みを提供することを意図すると、理解すべきである。更なる特徴および利点を、次の詳細な記載に示し、それは、部分的には、当業者には、その記載から容易に明らかであるか、または、次の詳細な記載、請求項、および、添付の図面に記載の実施形態を実施することによって分かるだろう。
【0051】
添付の図面は、更なる理解のために提供されたものであり、本明細書に組み込まれ、その一部を構成する。図面は、本開示の選択した態様を示し、明細書の記載と共に、本開示に含まれる方法、製品、および、構成の原理および動作を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1】本明細書に示し記載した1つ以上の実施形態による信号源、マルチコア光ファイバ、および、光検出器を含む光システムを示す概略図である。
図2】本明細書に記載の1つ以上の実施形態による図1に示すマルチコア光ファイバの断面を示す概略図である。
図3】本明細書に記載の1つ以上の実施形態によるマルチコア光ファイバの断面を示す概略図である。
図4】本明細書に記載の1つ以上の実施形態によるマルチコア光ファイバの断面を示す概略図である。
図5】本明細書に記載の1つ以上の実施形態によるコア領域、内側クラッド領域、および、低屈折率クラッド領域を含むマルチコア光ファイバのコア部分の断面を示す概略図である。
図6】本明細書に記載の1つ以上の実施形態によるコア部分と共通クラッドの相対屈折率プロファイルを示すグラフである。
図7】本明細書に記載の1つ以上の実施形態によるコア部分と共通クラッドの相対屈折率プロファイルを示すグラフである。
図8】本明細書に記載の1つ以上の実施形態によるコア領域、内側クラッド領域、および、低屈折率クラッド領域を含むコア部分を含むマルチモード光ファイバの製作方法のフローチャートである。
図9】本明細書に記載の1つ以上の実施形態による、コアケーンを屈折率下げドーパントに曝して、低屈折率クラッド領域を生成しながら、コアケーンを固化させる処理の概略を示す。
【発明を実施するための形態】
【0053】
ここで、添付の図面に例を示したマルチコア光ファイバの実施形態を詳細に記載する。全図を通して、同じ、または、類似の部分を称するには、可能な限り同じ参照符号を用いている。マルチコア光ファイバの一実施形態を図1の断面図に示している。マルチコア光ファイバは、複数のコア部分を含みうる。各複数のコア部分は、中心軸、および、中心軸から半径rまで延伸するコア領域を含みうる。コア領域は、純シリカに対する相対屈折率Δを有する。内側クラッド領域は、コア領域を囲んで直に接触し、半径rから半径rまで延伸しうる。内側クラッド領域は、純シリカに対する相対屈折率Δを有しうる。低屈折率クラッド領域は、内側クラッド領域を囲んで直に接触し、半径rから半径rまで延伸しうる。低屈折率クラッド領域は、純シリカに対する相対屈折率Δ、および、純シリカに対する最小相対屈折率Δ3minを有しうる。本実施形態において、Δ>Δ>Δ3minである。各コア部分のモードフィールド直径は、1310nmにおいて、8.2μm以上で9.5μm以下でありうる。各コア部分のゼロ分散波長は、1300nm以上で1324nm以下である。本明細書において、マルチコア光ファイバの様々な実施形態を、特に添付の図面を参照して、更に詳細に記載する。
【0054】
本明細書、および、以下の請求項において、多くの用語を用いて記載するが、次のような意味を有すると定義されるものとする。
【0055】
本明細書で用いるように、「約」という用語は、量、サイズ、調合、パラメータ、並びに、他の量および特徴が、正確でないか、または、正確である必要がなく、概数であるか、および/または、許容度、換算係数、四捨五入、測定誤差など、および、当業者に知られた他の要因を反映して、望ましいように、大きいか、または、小さくてもよいことを意味する。「約」という用語を、値、または、範囲の端点を記載するのに用いた場合、本開示は、その記載した特定の値または端点を含むと理解すべきである。本明細書で、数値、または、範囲の端点を「約」を付けて記載するかに関わらず、数値、または、範囲の端点は、「約」を付けた実施形態と「約」を付けない実施形態の2つの実施形態を含むことを意図する。更に、各範囲の端点は、他方の端点との関係と、他方の端点とは独立にとの両方で重要なことも分かるだろう。
【0056】
本開示の目的のために、マルチコア光ファイバ、または、「MCF」とも称されるマルチコア光ファイバを、共通クラッド内に配置された2つ以上のコア部分を含むものと考える。各コア部分を、低屈折率の内側クラッド領域によって囲まれた高屈折率のコア領域を有するものとみなしうる。本明細書で用いるように、「内側コア部分」という用語は、高屈折率のコア領域のことを称する。つまり、コア部分は、内側コア部分、および、1つ以上のより低屈折率の内側クラッドを含みうる。
【0057】
「半径方向位置」および/または「半径方向距離」を動径座標「r」について用いる場合、「r」は、マルチコア光ファイバの個々の各コア部分の中心線(r=0)に対する半径方向位置を称する。「半径方向位置」および/または「半径方向距離」を動径座標「R」について用いる場合、「R」は、中心線(R=0、中心ファイバ軸)に対する半径方向位置を称する。
【0058】
本明細書において、長さ寸法「マイクロメートル」を、ミクロン(または、英語の場合の複数形のミクロン)若しくは、μmで表しうる。
【0059】
「屈折率プロファイル」は、屈折率または相対屈折率と、マルチコア光ファイバの各コア部分のコア部分中心線からの半径方向距離rとの関係である。本明細書に示す相対屈折率プロファイルおいて、様々な領域間の境界を比較的急峻に示しているが、処理条件を通常に変化させて、隣接した領域間で、急峻ではなく、段階的な境界を生じうる。本明細書において、屈折率プロファイルの境界を、屈折率の段階的な変化として示しうるが、実際の境界は、丸まっているか、または、他の態様で完全な段階的な関数特性とは異なりうる。更に、相対屈折率の値は、コア領域、および/または、任意のクラッド領域内の半径方向位置で変化すると理解される。相対屈折率が、ファイバの特定の領域(コア領域、および/または、任意のクラッド領域)内の半径方向位置で変化する場合、それを、実際または近似の関数依存性で、または、その領域に適用しうる平均値で表しうる。別段の記載がない限り、領域(コア領域、並びに/若しくは、内側クラッド領域、および/または、共通クラッド領域の任意の領域)の相対屈折率を、単一の値で表した場合、その領域の相対屈折率が一定であるか、または、略一定で、その単一の値に対応するか、若しくは、その単一の値が、領域の半径方向位置に依存して一定ではない相対屈折率の平均値を表すものと理解される。設計によるか、通常の製造時変動によるかに関わらず、半径方向位置に依存する相対屈折率は、傾斜するか、湾曲するか、または、他の態様で一定ではないものでありうる。
【0060】
本明細書で、マルチコア光ファイバ、および、マルチコア光ファイバのコアについて用いる「相対屈折率」または「相対屈折率パーセント」は、式(1)で定義される:
【0061】
【数1】
【0062】
但し、別段の記載がない限り、n(r)は、波長1550nmでのコア中心線からの半径方向距離rでの屈折率であり、nは、波長1550nmでの無添加シリカグラスの屈折率である1.444である。別段の記載がない限り、本明細書で用いるように、相対屈折率は、Δ(または、「デルタ」)、または、Δ%(または、「デルタ%」)で表され、「%」または「%Δ」の単位を用いる。相対屈折率を、Δ(r)、または、Δ(r)%とも表しうる。領域の屈折率が、基準屈折率n未満の場合、その相対屈折率は、負の値であり、トレンチと称しうる。領域の屈折率が、基準屈折率nより高い場合、その相対屈折率は、正の値であり、領域を、上がった領域、または、正の屈折率を有する領域と称しうる。
【0063】
マルチコア光ファイバの領域の平均相対屈折率を、式(2)で定義しうる:
【0064】
【数2】
【0065】
但し、rinnerは、領域の内半径であり、routerは、領域の外半径であり、Δ(r)は、領域の相対屈折率である。
【0066】
(「アルファプロファイル」とも称する)「α-プロファイル」という用語は、次のような関数形式(3)を有する相対屈折率プロファイルΔ(r)のことを称する:
【0067】
【数3】
【0068】
但し、rは、Δ(r)が最大である点であり、rは、Δ(r)がゼロの点であり、rは、r≦r≦rの範囲であり、rは、α-プロファイルの始点であり、rは、α-プロファイルの終点であり、αは、実数である。いくつかの実施形態において、本明細書に示した例は、1≦α≦100のコアアルファを有しうる。実際には、目標プロファイルがアルファプロファイルの場合でも、実際の光ファイバは、いくらかは、理想的な構成から逸脱しうる。したがって、光ファイバについてのアルファパラメータを、従来から知られたように、測定した屈折率プロファイルのベストフィットから取得しうる。
【0069】
「グレーデッドインデックスプロファイル」という用語は、α<10の場合のα-プロファイルのことを称する。「ステップインデックスプロファイル」は、α≧10の場合のα-プロファイルのことを称する。
【0070】
「有効面積」を、式(4)のように定義しうる:
【0071】
【数4】
【0072】
但し、f(r)は、導かれた光信号の電界の横成分であり、rは、ファイバ内の半径方向位置である。「有効面積」または「Aeff」は、光信号の波長に応じたものである。本明細書において「有効面積」または「Aeff」を記載する際は、具体的に波長を示す。本明細書において、有効面積を、「μm」、「平方マイクロメートル」、「平方ミクロン」などの単位で表す。
【0073】
別段の記載がない限り、本明細書において、(分散、分散勾配などの)光学特性をLP01モードについて報告している。
【0074】
本明細書において、別段の記載がない限り、「分散」と称する光ファイバの「色分散」は、材料分散、導波路分散、および、モード間分散の合計である。「材料分散」は、光学コアに用いられた材料の屈折率が、異なる光波長がコア内で伝播する速度に影響する様子を称する。「導波路分散」は、光ファイバのコアとクラッドの屈折率が異なることによって生じる分散を称する。シングルモード導波路ファイバの場合、モード間分散は、ゼロである。2つのモード領域での分散値は、モード間分散はゼロであると想定している。ゼロ分散波長(λ)は、分散がゼロの値を有する波長である。分散勾配は、波長についての分散の変化率である。本明細書において、1310nmまたは1550nm波長における分散および分散勾配を報告し、各々、ps/nm/kmとps/nm/kmの単位で表している。色分散は、IEC60793-1-42:2013規格「Optical fibres-Part 1-42:Measurement methods and test procedures-Chromatic dispersion」が特定するように測定される。
【0075】
光ファイバのカットオフ波長は、光ファイバが1つのみの伝播モードを支持する最短波長である。カットオフ波長より短い波長では、マルチモード伝送を生じ、更なる分散源が発生して、ファイバの情報伝送容量を制限しうる。本明細書において、カットオフ波長を、ケーブルカットオフ波長として報告する。ケーブルカットオフ波長は、Telecommunications Industry Association(TIA)によるTIA-455-80:FOTP-80IEC-60793-1-44 Optical Fibres-Part 1-44: Measurement Methods and Test Procedures-Cut-Off Wavelength(2003年5月21日)が特定するように、22メートルケーブルのファイバ長さに基づく。
【0076】
本明細書において「曲げ損失」として表される光ファイバの曲げ抵抗は、IEC-60793-1-47:2017規格「Optical fibres-Part 1-47:Measurement methods and test procedures-Macrobending Loss」が特定する試験条件下で生じた減衰によって判断されうる。例えば、試験条件は、ファイバを、規定直径のマンドレルの周りに1周以上、配置または巻き付けること、例えば、15mm、20mm、30mm、または、同様の直径のマンドレルに巻き付けること(例えば、「1×15mm直径曲げ損失」、「1×20mm直径曲げ損失」または「1×30mm直径曲げ損失」)、および、1周ごとの減衰の増加を測定することを含みうる。
【0077】
本明細書で用いるように、「減衰」という用語は、光ファイバに沿って信号として進む光パワーの損失である。減衰は、「Optical fibres-Part1-40:Attenuation measurement methods」という名称のIEC60793-1-40:2019規格に特定されたように測定される。
【0078】
本明細書で用いるように、マルチコア光ファイバは、複数のコア部分を含み、各コア部分を、第iの(つまり、第1、第2、第3、第4などの)コア部分と定義しうる。各第iのコア部分は、外半径rCiを有しうる。実施形態において、各コア部分の外半径rCiは、そのコア部分の低屈折率クラッド領域の外半径rに対応する。各第iのコア部分は、マルチコア光ファイバのクラッドマトリックス内に配置され、クラッドマトリックスは、マルチコア光ファイバの共通クラッドを画定する。共通クラッドは、相対屈折率ΔCC、および、外半径RCCを有する。
【0079】
本開示の1つの態様によれば、コア領域は、マルチコア光ファイバ内の各コア部分の中心部分を形成し、略円筒状の形状である。2つの領域が直に隣接した場合、2つの領域のうち内側の方の領域の外半径は、2つの領域のうち外側の方の領域の内半径と一致する。例えば、内側クラッド領域がコア領域を囲んで直に隣接した実施形態において、コア領域の外半径は、内側クラッド領域の内半径と一致する。
【0080】
「屈折率上げドーパント」は、ガラスに加えられて、無添加である純シリカと比べて屈折率を上げる傾向を有すると研究されている物質である。「屈折率下げドーパント」は、ガラスに加えられて、無添加である純シリカと比べて屈折率を下げる傾向を有すると研究されている物質である。屈折率上げドーパントの例は、GeO(ゲルマニア)、Al、P、TiO、Cl、Br、および、KO、NaO、LiO、CsO、RbOなどのアルカリ金属酸化物、並びに、それらの混合物を含む。屈折率下げドーパントの例は、フッ素、および、ホウ素を含む。
【0081】
マルチコア光ファイバにおける「クロストーク」という用語は、1つのコア部分から隣接した他のコア部分に漏れるパワーの測定値を意味する。本明細書で用いるように、「隣接したコア部分」という用語は、基準としたコア部分から最も近いコア部分のことを称する。実施形態において、全てのコア部分は、互いに等間隔で離間しうるもので、全てのコア部分が互いに隣接することを意味する。他の実施形態において、コア部分は、互いに等間隔で離間しないことがあり、いくつかのコア部分は、それに隣接したコア部分が基準としたコア部分から離れる距離より長い距離で、基準としたコア部分から離間しうる。クロストークは、結合係数に基づいて特定されうるものであり、結合係数は、コア部分の屈折率プロファイル設計、2つの隣接したコア部分の間の距離、2つの隣接したコア部分を囲むクラッドの構造、および、2つの隣接したコア部分(例えば、本明細書に記載のように、最小コア間離間距離で離れた中心線を有する2つのコア部分)の伝播定数βの値の差Δβに依存する。2つの隣接したコア部分について、パワーPを第1のコア部分に与えて、次に、第1のコア部分から第2のコア部分に結合されたパワーPを、結合モード理論から、次の式(5)を用いて特定しうる:
【0082】
【数5】
【0083】
但し、<>は、平均を表し、Lは、ファイバの長さであり、κは、2つのコアの電界の間の結合係数であり、ΔLは、ファイバの長さ、Lは、相関長さであり、gは、次の式(6)で与えられる:
【0084】
【数6】
【0085】
但し、Δβは、2つの隣接したコア部分が分離している時のそれらのLP01モード間の伝播定数の不一致である。次に、クロストーク(単位は、dB)を、次の式(7)を用いて特定する:
【0086】
【数7】
【0087】
2つの隣接したコア部分の間のクロストークは、ファイバの長さが線形スケールで増加するにつれて、線形に増加するが(式(5))、ファイバの長さがdBスケールで増加しても、線形に増加しない(式(7))。本明細書で用いるように、クロストーク性能を、100kmの長さLの光ファイバについて記載する。しかしながら、クロストーク性能を、その代わりの適切な尺度の光ファイバの長さについても表しうる。100km以外の光ファイバの長さについて、コア間のクロストークを、次の式(8)を用いて特定しうる:
【0088】
【数8】
【0089】
例えば、10kmの長さの光ファイバについて、クロストークを、100kmの長さの光ファイバのクロストークの値に「-10dB」を加えることによって特定しうる。1kmの長さの光ファイバについて、クロストークを、100kmの長さの光ファイバのクロストークの値に「-20dB」を加えることによって特定しうる。非結合コア型マルチコアファイバにおける長距離伝送について、クロストークは、-30dB以下、-40dB以下、または、更に、-50dB以下にするべきである。
【0090】
マルチコア光ファイバにおけるコアの間のクロストークを特定する技術は、M.Liらの「Coupled Mode Analysis of Crosstalk in Multicore fiber with Random Perturbations」、Optical Fiber Communication Conference、OSA Technical Digest(online)、Optical Society of America、2015、paper W2A.35、Shoichiro Matsuoらの「Crosstalk behavior of cores in multi‐core portion under bent condition」、IEICE Electronics Express、Vol.8、No.6、p.385-390、2011年3月25日発行、および、Lukasz Szostkiewiczらの「Cross talk analysis in multicore optical fibers by supermode theory」、Optics Letters、Vol.41、No.16、p.3759-3762、2016年8月15日発行に開示されており、それらの全ての内容は、参照により、全体として、本明細書に組み込まれる。
【0091】
本明細書で用いるように、「結合係数」κという用語は、2つのコアが互いに近接した時の電界の重なりに関係する。結合係数の二乗κは、マルチコア光ファイバの他のコアにおけるパワーから影響された時のコアにおける平均パワーに関係する。「結合係数」を、結合パワー理論を用いて、M.Koshiba、K.Saitoh、K.Takenaga、および、S.Matsuoの「Analytical Expression of Average Power-Coupling Coefficients for Estimating Intercore Crosstalk in Multicore fibers」、IEEE Photonics J.,4(5)、1987-95(2012)、および、T.Hayashi、T.Sasaki、E.、Sasaoka、K.Saitoh、および、M.Koshiba、「Physical Interpretation of Intercore Crosstalk in Multicore fiber:Effects of Macrobend、Structure Fluctuation、and Microbend」、Optics Express,21(5),5401-12(2013)に開示された方法で推定しうるものであり、それらの全ての内容は、参照により、全体として、本明細書に組み込まれる。
【0092】
モードフィールド直径(MFD)は、Petermann II法を用いて測定され、次の式から特定される:
【0093】
【数9】
【0094】
【数10】
【0095】
但し、f(r)は、導かれた光の電界分布の横成分であり、rは、ファイバにおける半径方向位置である。別段の記載がない限り、「モードフィールド直径」、または、「MFD」は、1310nmでのモードフィールド直径のことを称する。
【0096】
本明細書で用いるように、例えば、上に、下に、右、左、前、後ろ、最上部、底部などの方向を表す用語は、示した図面に関する記載であり、絶対的な向きを意味することを意図しない。
【0097】
別段の記載がない限りは、本明細書に示した、いずれの方法も、工程が特定の順序で行われることを要するとも、いずれの装置も、特定の向きであることを要すると解釈されることを意図しない。したがって、方法の請求項が、工程の行われる順序を実際に記載しないか、または、いずれの装置の請求項も、個々の構成要素の順序も向きも実際に記載しないか、若しくは、そうではなく、請求項または明細書の記載で、工程は特定の順序に限定されるとも、装置の構成要素の具体的な順序も向きも記載しない場合には、いかなる点でも、順序も向きも推測されることを全く意図しない。このことは、記載がないことに基づく、いずれの解釈にも当てはまり、そのような解釈は、工程の配列についての論理的事項、動作フロー、構成要素の順序、または、構成要素の向き、文法構造または句読点に由来する単なる意味、並びに、明細書に記載された実施形態の数または種類を含む。
【0098】
本明細書で用いるように、「実質的に含まない」という用語を、ファイバの特定の部分における特定の屈折率上げドーパントまたは屈折率下げドーパントの濃度、および/または、それが存在するかについて記載するのに用いた場合、その構成要素が、ファイバに意図的に加えられたものではないことを意味する。それでも、ファイバは、不純物またはトランプとして、0.15質量%未満の僅かな量の構成要素を含みうる。
【0099】
本明細書において用いるように、原文の英語で単数を表す不定冠詞および定冠詞は、文脈から、そうでないことが明らかでない限りは、複数のものを含む。したがって、例えば、不定冠詞を付けた構成要素は、文脈から、そうでないことが明らかでない限りは、そのような構成要素を2つ以上有する態様を含む。
【0100】
マルチコア光ファイバは、ファイバ密度を高めて、ケーブルサイズの限界、および、受動光ネットワーク(「PON」)システムにおけるダクト密集の問題を解決するための使用を含む多数の光ファイバ利用で魅力がある。例えば、マルチコア光ファイバを、データセンターで利用すること、および、高速光接続に用いることが検討されている。そのような利用例において、ファイバ密度を高めて、そのような利用例で用いられる従来の光ファイバと比べて比較的多いファイバ心数を提供しながら、マルチコア光ファイバのコンパクト性を維持する(例えば、そのような利用例で用いられる従来の光ファイバの直径と一致する略125μmなどの直径を有するマルチコア光ファイバを提供する)ことが有益である。マルチコア光ファイバのコア間のクロストークを削減しながら、そのようなマルチモード光ファイバ内で高いファイバ密度を実現するための従来のアプローチは、1310nmでの各コア部分のモードフィールド直径を8.0μm未満まで減らすことを含むものだった。そのようにモードフィールド直径を減らすことで、コア部分の間のクロストークを削減しうるが、光接続において、各コア部分を標準シングルモードファイバに結合するのは困難で、信号損失につながりうる。
【0101】
本明細書に記載のマルチモード光ファイバは、これらの従来のアプローチの欠点に取り組んで、比較的小さいマルチコア光ファイバにおいて、高いファイバ密度を提供する。特に、コア領域、内側クラッド領域、および、低屈折率クラッド領域を含み、トレンチを有する屈折率プロファイルを有するコア部分を組み込んで、本明細書に記載のマルチモード光ファイバは、比較的低いクロストーク(例えば、-30dB未満、-40dB未満、または、-50dB未満さえ)、角部ファイバから縁部への低いトンネリング損失、および、優れた曲げ性能を提供する。更に、本明細書に記載のマルチモード光ファイバは、1310nmで、比較的大きいモードフィールド直径(例えば、8.2μm以上で9.5μm以下)を実現し、標準シングルモードファイバへの結合を従来のアプローチより改良する。
【0102】
ここで図1を参照すると、複数のコア部分C、C、C、C図2)を有する非結合コア型マルチコア光ファイバ110、信号源180、および、光検出器190を含む光システム100を示す概略図である。信号源180は、分布帰還型レーザ(DFB)、または、垂直共振器型面発光レーザ(VCSEL)によって生成されたものなどの多数の変調信号を生成しうる。非結合コア型マルチコア光ファイバ110は、信号源180に光学的に接続された入射端部112、光検出器190に光学的に接続された出射端部114、および、外面116を含む。動作において、信号源180は、光子を、1つのレーザから複数のコア部分C、C、C、Cの個々のコア部分に選択的に向けうる。例えば、信号源180、非結合コア型マルチコア光ファイバ110の入射端部112、または、それらの両方を、信号源180を複数のコア部分C、C、C、Cの任意の個々のコア部分と位置合わせするように構成されたマルチコアのファンイン装置に接続しうる(図2を参照)。
【0103】
図2は、非結合コア型マルチコア光ファイバ110の図1のII-II断面に沿った断面図を示している。非結合コア型マルチコア光ファイバ110は、(非結合コア型マルチコア光ファイバ110の中心線であり、半径方向位置R=0を画定する)中心ファイバ軸12、および、共通クラッド19を含む。共通クラッド19は、外半径RCCを有しうるもので、外半径RCCは、図2に示す実施形態では、非結合コア型マルチコア光ファイバ110の外半径に対応する。複数のコア部分C図2の例では、個々に、C、C、C、Cと示し、まとめて、コア部分「C」と称する)は、共通クラッド19内に配置されて、各コア部分Cは、概して、中心ファイバ軸12に平行な非結合コア型マルチコア光ファイバ110の長さに沿って延伸する。
【0104】
実施形態において、2*RCC(例えば、マルチコア光ファイバ110の直径)は、125マイクロメートルに等しい。実施形態において、マルチコア光ファイバ110の直径は、140マイクロメートルより大きい。実施形態において、マルチコア光ファイバ110の直径は、170マイクロメートルより大きい。実施形態において、マルチコア光ファイバ110の直径は、200マイクロメートル未満である。実施形態において、マルチコア光ファイバ110の直径は、160マイクロメートル未満である。実施形態において、マルチコア光ファイバ110の直径は、120以上で130マイクロメートル以下である。
【0105】
各コア部分C、C、C、Cは、(各コア部分について、半径方向位置r=0を画定する)中心軸または中心線CL、CL、CL、CL、並びに、外半径rC1、rC2、rC3、rC4を有する。非結合コア型マルチコア光ファイバ110内の各中心線CL、CL、CL、CLの位置を、中心ファイバ軸12がx-y座標系の原点(0,0)を画定するデカルト座標を用いて画定しうるもので、それは、動径座標Rによって画定される座標系と一致する。中心線CLの位置は、(x,y)として画定しうるもので、中心線CLの位置は、(x,y)として画定しうるもので、中心線CLの位置は、(x,y)として画定しうるもので、中心線CLの位置は、(x,y)として画定しうるものである。実施形態において、各コア部分Cは、最も近いコア部分(例えば、そのコア部分の中心線に最も近い中心線CLを有するコア部分C)から、最小コア間離間距離(または、「最小離間距離」)で離間する。実施形態において、各コア部分Cは、多数のコア部分から、最小離間距離で離間する。例えば、図2に示すように、コア部分C、C、C、Cは、2×2配列で、各中心線CL、CL、CL、CLが正方形の角部になるように配列される。そのような配列において、コア部分C、Cの中心線CL、CLは、Dc1-Dc2=√[(x-x+(y-y]として画定しうる最小離間距離で離間する。コア部分C、Cの中心線CL、CLも、Dc1-Dc4=√[(x-x+(y-y]として画定しうる最小離間距離で離間する。本明細書で用いるように、「隣接したコア部分」という用語は、互いに最も近接した中心線を有するコア部分を表すのに用いられる(つまり、コア部分に、隣接したコア部分より近接した中心線CLを有する他のコア部分Cがない)。実施形態において、隣接したコア部分の中心線は、最小離間距離で離間する。特定のコア部分は、多数の隣接したコア部分を有しうると理解すべきである。
【0106】
実施形態において、コア部分C、C、C、Cの間の最小離間距離は、35マイクロメートル以上で、コア部分C、C、C、Cの間で、比較的低いクロストークを維持するのを容易にする。実施形態において、最小離間距離は、40マイクロメートル以上である。実施形態において、最小離間距離は、45マイクロメートル以上(例えば、50マイクロメートル以上、60マイクロメートル以上、70マイクロメートル以上、75マイクロメートル以上)である。
【0107】
実施形態において、複数のコア部分Cの縁部は、非結合コア型マルチコア光ファイバ110の外面116からも、少なくとも、各複数のコア部分Cの縁部から外面116まで測定した最小コア縁部からファイバ縁部距離Dで離間しうる。図2に示すように、最小コア縁部からファイバ縁部距離Dは、(例えば、本明細書で図5について記載するように、コア部分Cについて、rの値に対応する)コア部分Cの外周に沿った点(例えば、外面116に最も近い外周上の点)から外面116の周囲に沿った最も近い点までの最小距離であり、ファイバ軸に垂直な平面において、コア部分Cの外周に沿った点と外面116の周囲に沿った最も近い点の間の線分によって特定される。実施形態において、Dは、8マイクロメートル以上である。実施形態において、Dは、12マイクロメートル以上である。実施形態において、Dは、15マイクロメートルより長い。任意の特定の理論に縛られることを意図しないが、トンネリングによる信号損失の程度は、Dについての最小値に依存すると考えられる。
【0108】
実施形態において、非結合コア型マルチコア光ファイバ110は、円形の断面形状を有しうる。マルチコア光ファイバ110は、図1および2について記載したコア部分の数と異なる数のコア部分を有しうるもので、共通クラッド内のコア部分の配列(図1を参照)は異なりうると理解すべきである。実施形態において、非結合コア型マルチコア光ファイバ110は、合計N個のコア部分Cを有しうるもので、但し、i=1…Nで、Nは、少なくとも3である。本開示の1つの態様によれば、非結合コア型マルチコア光ファイバ110におけるコア部分Cの合計数Nは、3から12、3から10、3から8、3から6、3から5、または、3から4である。例えば、非結合コア型マルチコア光ファイバ10におけるコア部分Cの合計数Nは、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、または、これらの値の任意の値の間の任意の数でありうる。コア部分Cの合計数Nは、偶数でも奇数でもよく、共通クラッド19内に任意のパターンで配列されうるものであり、限定するものではない例として、2×2パターン(または、2×4パターンなど、それを何倍かにしたパターン)、矩形パターン、正方形パターン、矩形パターン、円形パターン、および、六方格子パターンを含む。
【0109】
例えば、図3は、N=7で六方格子パターンに配列されたコア部分Cを有する非結合コア型マルチコア光ファイバ400の断面図を示している。実施形態において、非結合コア型マルチコア光ファイバ400を、図1について記載した非結合コア型マルチコア光ファイバ110の代わりに用いうる。非結合コア型マルチコア光ファイバ400は、非結合コア型マルチコア光ファイバ400の中心軸412を通って延伸する第1のコア部分Cを含む。6つの更なるコア部分C、C、C、C、C、Cが、クラッドマトリックス410に、第1のコア部分Cから等距離に六角形配列で配置される。実施形態において、第1のコア部分Cおよび更なるコア部分C、C、C、C、C、Cのうち2つのコア部分を含む3つのコア部分の組は、正三角形を形成し、各3つのコア部分の組におけるコア部分の中心線同士が、DC1-DC2に等しい最小離間距離で離間する。実施形態において、最小離間距離DC1-DC2は、35マイクロメートル以上で、コア部分C、C、C、Cの間で比較的低いクロストークを維持するのを容易にする。実施形態において、最小離間距離は、40マイクロメートル以上である。実施形態において、最小離間距離DC1-DC2は、45マイクロメートル以上である。実施形態において、コア部分の配列は、クラッドマトリックス410内に中心をおいて、各更なるコア部分C、C、C、C、C、Cがクラッドマトリックス410の外面420から、少なくとも、最小コア縁部からファイバ縁部距離Dで離間する。実施形態において、Dは、8マイクロメートル以上である。実施形態において、Dは、12マイクロメートル以上である。実施形態において、Dは、15マイクロメートルより長い。
【0110】
図4は、中心軸512の周りに三角形パターンで配列されたN=3のコア部分Cを有する非結合コア型マルチコア光ファイバ500の断面図を示している。実施形態において、非結合コア型マルチコア光ファイバ500を、図1について記載した非結合コア型マルチコア光ファイバ110の代わりに用いうる。非結合コア型マルチコア光ファイバ500は、クラッドマトリックス510に配列されたコア部分C、C、Cを含む。実施形態において、コア部分C、C、Cは、正三角形を形成し、各3つのコア部分の組におけるコア部分の中心線同士が、DC1-DC2に等しい離間距離で離間する。実施形態において、コア部分C、C、Cは、等間隔に離間しない(例えば、第1のコア部分Cの中心線は、第2のコア部分Cから第1の距離で離間し、第2のコア部分Cは、第3のコア部分Cから、第1の距離とは異なる第2の距離で離間する)。実施形態において、DC1-DC2は、本明細書に記載の最小離間距離より大きく、コア部分C、C、Cの間で比較的低いクロストークを維持するのを容易にする。実施形態において、最小離間距離は、35マイクロメートル以上または40マイクロメートル以上である。実施形態において、最小離間距離DC1-DC2は、45マイクロメートル以上である。実施形態において、各コア部分C、C、Cは、クラッドマトリックス410の外面520から、少なくとも、最小コア縁部からファイバ縁部距離Dで離間する。実施形態において、Dは、8マイクロメートル以上である。実施形態において、Dは、12マイクロメートル以上である。実施形態において、Dは、15マイクロメートルより長い。
【0111】
非結合コア型マルチコア光ファイバ110について、コア部分の様々な数および配列を企図しており、可能なことが分かるはずである。例えば、実施形態において、非結合コア型マルチコア光ファイバ110は、円形パターンに配列されたN=12のコア部分Cを含みうる。実施形態において、非結合コア型マルチコア光ファイバ110は、コアの中心線CLが中心ファイバ軸12と位置合わせされるように配置されたコア部分Cを有しうる。実施形態において、非結合コア型マルチコア光ファイバ110は、コアCiが中心ファイバ軸12の周りで離間したコア部分Cパターンを有しうる。
【0112】
図5は、図2のV-Vに沿った断面図であり、本明細書で図1および2について記載のコア部分Cの1つの概略を示す。実施形態において、各コア部分Cは、中心線CLを中心とするコア領域150、および、クラッド領域155を含む。クラッド領域155は、コア領域150を囲んで直に接触する内側クラッド領域160(本明細書において、内側クラッド層とも称する)、および、内側クラッド領域160を囲んで直に接触する低屈折率クラッド領域170を含む。実施形態において、コア領域150およびクラッド領域155は同心で、コア部分Cの断面は中心線CLに対して略円対称で、全体で半径rCiを有する。コア領域150は、半径rを有し、低屈折率クラッド領域170は、コア部分Cの外半径を画定する半径rを有し、rは、図2について本明細書に記載の各コア部分Cに関連する半径rCiに対応する。内側クラッド領域160は、コア領域150の半径rと、低屈折率クラッド領域170の内半径rの間に延伸し、内側クラッド領域160は、半径方向に、厚さT=r-rを有する。低屈折率クラッド領域170は、半径方向に、厚さT=r-rを有する。コア領域150、内側クラッド領域160、および、低屈折率クラッド領域170の各々の構造、構成、および、光学特性を、本明細書でより詳しく記載する。
【0113】
図5および6を参照すると、コア部分Cの1つの一実施形態の半径方向断面(図5)、および、図2のVI線に沿ったコア部分Cに対応する相対屈折率プロファイル(図6)を概略的に示す。図6において、コア部分Cの相対屈折率プロファイルを、コア部分Cの中心線CLからの半径方向距離rの関数としてプロットしている。図2に示すように、図6に示す相対屈折率プロファイルは、コア部分Cの中心線CLから共通クラッド19の一部の中まで、半径方向に外側に向かって延伸する。図6に示すように、コア領域150は、相対屈折率Δを有する。実施形態において、相対屈折率Δは、動径座標(半径)rに応じて変化しうるもので、Δ(r)と表しうる。実施形態において、コア領域150は、屈折率上げドーパント(例えば、ゲルマニウム)を含むシリカ系ガラスを含む。実施形態において、相対屈折率Δ(r)は、(純シリカに対する)最大相対屈折率Δ1maxを含む。実施形態において、Δ1maxは、0.28%Δ以上で0.45%Δ以下である。実施形態において、Δ1maxについて、これらの値を実現するために、コア領域150は、6質量%以上で9質量%以下の屈折率上げドーパント(例えば、ゲルマニウム)濃度を有する。屈折率上げドーパント濃度は、コア領域150内で変化しうる。この範囲内のΔ1maxの値を有するコア部分Cを備えることで、各コア部分Cが、1310nmで、8.2μm以上で9.5μm以下のモードフィールド直径を有するのを容易にする。
【0114】
実施形態において、相対屈折率Δ(r)は、グレーデッドインデックスプロファイルに従い、α値は、1.5以上で5.0以下である。例えば、実施形態において、最大相対屈折率Δ1maxは、r=0(例えば、中心線CL)で生じ、アルファプロファイルと共に、半径rに達するまで減少する。実施形態において、相対屈折率Δ(r)は、ステップインデックスプロファイルに従い、α値は、10以上である。例えば、実施形態において、相対屈折率Δ(r)は、半径rまで、最大相対屈折率Δ1maxに略等しいままでありうる。実施形態において、半径rは、内側クラッド領域160の内半径と一致する。実施形態において、コア半径rは、3.0マイクロメートル以上で7.0マイクロメートル以下である。実施形態において、コア半径rは、3.5マイクロメートル以上で6.5マイクロメートル以下(例えば、4.0マイクロメートル以上で6.0マイクロメートル以下)である。コア半径rをこの範囲にすることで、各コア部分Cが、1310nmで、8.2μm以上で9.5μm以下のモードフィールド直径を有するのを容易にする。
【0115】
更に、図5および6を参照すると、内側クラッド領域160は、半径rから半径rまで延伸し、内側クラッドは、半径方向厚さT=r-rを有する。実施形態において、内側クラッド領域160は、相対屈折率Δを有する。実施形態において、内側クラッド領域160は、ドーパント(例えば、屈折率上げドーパントおよび屈折率下げドーパント)を実質的に含まないシリカ系ガラスから形成され、相対屈折率Δは、略0である。実施形態において、内側クラッド領域160は、共通クラッド19と同様のシリカ系ガラスから形成されて、Δ=ΔCCである。理論に縛られることを望まないが、rの値(したがって、内側クラッド領域160の半径方向厚さT)は、部分的には、各コア部分Cのゼロ分散波長を決定すると考えられる。実施形態において、各コア部分Cは、1300nm以上で1324nm以下のゼロ分散波長を有する。そのようなゼロ分散波長を実現するには、rは、4.5μm以上で17μm以下でありうる。実施形態において、rは、7.0μm以上で7.5μm以下である。
【0116】
低屈折率クラッド領域170は、半径rから半径rまで延伸して、外側クラッドは、半径方向厚さT=r-rを有する。半径rは、図2について本明細書に記載のコア部分Cの半径である外半径rCiに対応しうる。実施形態において、各コア部分Cは、外径d=2*rを有する。理論に縛られることを望まないが、rの値(したがって、低屈折率クラッド領域170の半径方向厚さT)は、部分的には、各コア部分Cのゼロ分散波長を決定すると考えられる。本明細書に記載のように、実施形態において、各コア部分Cは、1300nm以上で1324nm以下のゼロ分散波長を有する。そのようなゼロ分散波長を実現するために、rは、11μm以上で20μm以下でありうる。実施形態において、rは、12μm以上で18μm以下でありうる。実施形態において、rは、14.5μm以上で16μm以下でありうる。
【0117】
低屈折率クラッド領域170は、相対屈折率Δを有する。実施形態において、相対屈折率Δは、低屈折率クラッド領域170を通して、内側クラッド領域160の相対屈折率Δ以下である。相対屈折率Δは、共通クラッド19(図2を参照)の相対屈折率ΔCC以下で、低屈折率クラッド領域170がコア部分Cの相対屈折率プロファイルにおいて、トレンチを形成しうる。本明細書で用いるように、「トレンチ」という用語は、半径方向断面において、マルチコアファイバの比較的高い屈折率を有する領域(例えば、内側クラッド領域160および共通クラッド19)に囲まれたコア部分の領域のことを称する。実施形態において、相対屈折率Δは、低屈折率クラッド領域170全体を通して一定でありうる。他の実施形態において、相対屈折率Δは、動径座標r(半径)に応じて変化し、Δ(r)と表しうる。実施形態において、低屈折率クラッド領域170内の相対屈折率Δ(r)は、中心線CLからの半径方向距離が増加するにつれて、単調減少して、低屈折率クラッド領域170は、rにおいて、最小相対屈折率Δ3minを有する。実施形態において、Δ(r)は、中心線CLからの半径方向距離に応じて、一定の割合で減少し、低屈折率クラッド領域170内の相対屈折率プロファイルは、実質的に線形である。実施形態において、相対屈折率Δ(r)は、中心線CLからの半径方向距離が増加するにつれて、低屈折率クラッド領域170内の相対屈折率プロファイルが凹状または凸状の放物線または同様の形状を有するような増加率または減少率で連続的に減少する。更に、図5および6を参照すると、実施形態において、Δ>Δ>Δ3minである。実施形態において、Δ≧Δで、低屈折率クラッド領域は、各コア部分の相対屈折率プロファイルにおいて、rとrの間に低屈折率トレンチを形成する。
【0118】
更に、図5および6を参照すると、実施形態において、低屈折率クラッド領域170は、1つ以上の屈折率下げドーパント(例えば、フッ素)を有するシリカガラスを含む。実施形態において、低屈折率クラッド領域170内の屈折率下げドーパント濃度は、コア部分Cの中心線CLからの半径方向距離の関数として変化する。例えば、実施形態において、屈折率下げドーパント濃度は、屈折率クラッド領域170内で、例えば、半径方向位置rにおける0質量%の最小値から半径方向位置rにおける最大値まで単調増加によって変化する。実施形態において、屈折率下げドーパント濃度の最大値は、1.2質量%以上で2.0質量%以下である。実施形態において、最大フッ素濃度Fmaxは、1.2質量%以上で1.8質量%以下である。低屈折率クラッド領域170内の屈折率下げドーパント濃度に応じて、相対屈折率Δ(r)は、コア部分Cの中心線CLからの半径方向距離の増加につれて単調減少し、図6および7に示すように、低屈折率クラッド領域170は、屈折率プロファイルにおいて、三角形の形状のトレンチを形成しうる。そのような実施形態は、本明細書で、更に図8および9を参照して記載する単一工程処理を用いて形成しうるという点で、有益である。実施形態において、Δ3minは、-0.2%Δ以下で-0.6%Δ以上である。
【0119】
コア部分Cの特定のガラス部分の半径方向厚さは、その特定のガラス部分の相対屈折率と相関関係を有しうる。具体的には、相対屈折率Δ%、内半径rin、および、外半径routを有するガラス部分「i」は、次のように定義されるトレンチボリュームVを有しうる:
【0120】
【数11】
【0121】
これを、次のように、書き換えうる。
【0122】
【数12】
【0123】
したがって、低屈折率クラッド領域170は、
【0124】
【数13】
【0125】
であるトレンチボリュームVを有しうる。
【0126】
実施形態において、低屈折率クラッド領域170は、各コア部分C内で、30%Δμm以上で75%Δμm未満のトレンチボリュームVを実現する屈折率下げドーパント濃度を有するように構成される。理論に縛られることを望まないが、低屈折率クラッド領域170内のトレンチボリュームVは、各コア部分Cのゼロ分散波長およびモードフィールド直径を決定すると考えられる。トレンチボリュームVを提供することで、1300nm以上で1324nm以下のゼロ分散波長、および、(1310nmで)8.2μm以上で9.5μm以下のモードフィールド直径を有するコア部分Cを提供しうる。理論に縛られることを望まないが、トレンチボリュームVが大きいほど、各コア部分Cを通って進む光が閉じ込められて、各コア部分Cのモードフィールド直径を小さくすると考えられる。実施形態において、トレンチボリュームが75%Δμmより大きいと、モードフィールド直径は、8.2μmより小さくなる傾向があり、標準シングルモードファイバとの結合をより困難にさせるか、または、1260nmより高いケーブルカットオフを有するようにして、ファイバが1310nm波長、または、Oバンドでの動作に適さないようにさせる。更に、低屈折率クラッド領域170の半径方向の始点(例えば、図示した実施形態においてr)は、各コア部分Cのモードフィールド直径も決定すると考えられる。比較的大きいrの値は、低屈折率クラッド領域が各コア部分Cを通って伝播する光を閉じ込める傾向を低下させる。実施形態において、比較的大きいrの値(例えば、15μm以上)を有するコア部分Cは、トレンチボリューム75%Δμm以上を含みうる。トレンチボリュームVがそのような範囲内の場合には、低屈折率クラッド領域170を含まないマルチコアファイバより、各コア部分Cの曲げ性能も改良しうる。
【0127】
図7は、本明細書で図1および2を参照して記載のマルチコア光ファイバ110のコア部分Cの他の相対屈折率プロファイルを示す概略図である。実施形態において、図7に示すコア部分の相対屈折率プロファイルも、図2に示す線VIに沿ってコア部分Cの中心線CLから共通クラッド19の中まで延伸する。コア部分Cは、図5および6について記載したのと同様の構造要素を含みうる。したがって、図7の実施形態において、各コア部分Cは、コア領域150’、および、クラッド領域155’を含む。クラッド領域155’は、コア領域150’を囲んで直に接触する内側クラッド領域160’、および、内側クラッド領域160’を囲んで直に接触する低屈折率クラッド領域170’を含む。コア領域150’は、半径r1’を有し、低屈折率クラッド領域170’は、コア部分Cの外半径を画定する半径r3’を有し、r3’は、本明細書で図2について記載の各コア部分Cに関連する半径rCiに対応する。内側クラッド領域160’は、コア領域150’の半径r1’と低屈折率クラッド領域170’の内半径r2’の間に延伸し、内側クラッド領域160は、半径方向に、厚さT2’=r2’-r1’を有する。低屈折率クラッド領域170’は、半径方向に、厚さT3’=r3’-r2’を有する。
【0128】
コア領域150’、内側クラッド領域160’、および、低屈折率クラッド領域170’は、各々、コア領域150、内側クラッド領域160、および、低屈折率クラッド領域170について本明細書で図5および6について記載したものと概して同様の構造的および構成的特徴を有しうる。図示したように、図7に示すコア領域150’は、図5および6について記載のコア領域150と、相対屈折率Δ1’(r)が、図6に示す10より大きいアルファ値を有するコア領域150の相対屈折率Δ(r)のアルファ値より低いアルファ値(例えば、2.5未満)を有する点で異なる。コア領域150’の半径r1’は、図6に示すコア領域150の半径rより大きく、内側クラッド領域160’の厚さT2’は、図6に示す内側クラッド領域160の厚さTより薄い。図7に示す低屈折率クラッド領域170’の最小相対屈折率Δ3min’は、本明細書で図5および6について記載の低屈折率クラッド領域170の最小相対屈折率Δ3minより低く、低屈折率クラッド領域170’のr3’は、低屈折率クラッド領域170のrと比べて小さくなり、低屈折率クラッド領域170’は、僅かに小さいトレンチボリュームを画定する。図6に示す相対屈折率プロファイルは、図7に示す相対屈折率プロファイルにより構成されたコアファイバCより、僅かに優れた曲げ損失性能を実現した。図6および7に示す相対的屈折プロファイルの性能、および、それに関する具体的な値を、本明細書の実施例の部で、非常に詳細に記載する。
【0129】
実施形態において、各コア部分Cとそれに隣接したコア部分Cの間のクロストークは、-30dB以下である。クロストークは、コア部分の設計(例えば、相対屈折率プロファイル)、および、隣接したコア部分の間の距離(例えば、本明細書に記載の最小離間距離)に応じたものである。実施形態において、クロストークは、本明細書の式5~8で特定される。実施形態において、各コア部分と、それに隣接したコア部分の間のクロストークは、-35dB以下である。実施形態において、各コア部分と、それに隣接したコア部分の間のクロストークは、-40dB以下である。
【0130】
実施形態において、非結合コア型マルチコア光ファイバ110の各コア部分Cは、1310nm波長において、62μmより大きく、72μm以下の有効面積Aeffを有しうる。有効面積は、非結合コア型マルチコア光ファイバ110のコア部分C間のクロストークの影響を考慮せずに、非結合コア型マルチコア光ファイバ110の各コア部分Cについて、個々に特定される。
【0131】
非結合コア型マルチコア光ファイバ110の平均減衰は、波長1310nmまたは1550nmで非結合コア型マルチコア光ファイバ110の各コア部分Cの減衰を測定し、次に、非結合コア型マルチコア光ファイバ110全体についての平均減衰を、各コア部分Cの個々の減衰測定値に基づいて計算することによって、特定される。実施形態において、1310nmでの非結合コア型マルチコア光ファイバ110の平均減衰は、0.34dB/km以下(例えば、0.33dB/km以下、0.32dB/km以下)である。実施形態において、1550nmでの非結合コア型マルチコア光ファイバ110の平均減衰は、0.19dB/km未満(例えば、0.185dB/km以下、0.18dB/km以下)である。非結合コア型マルチコア光ファイバ110の減衰は、本明細書に記載の減衰の任意の下限と減衰の任意の上限により形成される範囲内でありうると理解すべきである。
【0132】
様々な実施形態において、非結合コア型マルチコア光ファイバ110の各コア部分Cのケーブルカットオフは、1100nm以上で1260nm以下(例えば、1150nm以上で1260nm以下)である。実施形態において、非結合コア型マルチコア光ファイバ110の各コア部分Cのケーブルカットオフは、1200nm以上で1260nm以下である。非結合コア型マルチコア光ファイバ110の各コア部分Cのケーブルカットオフは、本明細書に記載のケーブルカットオフの任意の下限とケーブルカットオフの任意の上限により形成される範囲内でありうると理解すべきである。
【0133】
非結合コア型マルチコア光ファイバの平均15mm曲げ損失は、波長1510nmで、非結合コア型マルチコア光ファイバ110の各コア部分Cの15mm曲げ損失を測定し、次に、非結合コア型マルチコア光ファイバ全体についての平均15mm曲げ損失を、各コア部分Cの個々の15mm曲げ損失測定値に基づいて計算することによって、特定される。実施形態において、波長1550nmで15mm直径のマンドレルを用いて測定した非結合コア型マルチコア光ファイバ110の平均曲げ損失(「1×15mm直径曲げ損失」)は、0.5dB/turn以下、または、0.25dB/turn以下である。
【0134】
非結合コア型マルチコア光ファイバの平均20mm曲げ損失は、波長1510nmで、非結合コア型マルチコア光ファイバ110の各コア部分Cの20mm曲げ損失を測定し、次に、非結合コア型マルチコア光ファイバ110全体についての平均20mm曲げ損失を、各コア部分Cの個々の20mm曲げ損失測定値に基づいて計算することによって、特定される。実施形態において、波長1550nmで20mm直径のマンドレルを用いて測定した非結合コア型マルチコア光ファイバ110の平均曲げ損失(「1×20mm曲げ損失」)は、0.1dB/turn以下、または、0.005dB/turn以下である。
【0135】
非結合コア型マルチコア光ファイバの平均30mm曲げ損失は、波長1510nmで、非結合コア型マルチコア光ファイバ110の各コア部分Cの30mm曲げ損失を測定し、次に、非結合コア型マルチコア光ファイバ110全体についての平均30mm曲げ損失を、各コア部分Cの個々の30mm曲げ損失測定値に基づいて計算することによって、特定される。実施形態において、波長1550nmで30mm直径のマンドレルを用いて測定した非結合コア型マルチコア光ファイバ110の平均曲げ損失(「1×30mm曲げ損失」)は、0.005dB/turn以下、0.003dB/turn以下、または、0.0025dB/turn以下である。
【0136】
様々な実施形態において、非結合コア型マルチコア光ファイバ110の各コア部分Cのゼロ分散波長は、1300nm以上で1324nm以下である。実施形態において、各コア部分Cのゼロ分散波長は、1308以上で1322以下である。実施形態において、各コア部分Cのゼロ分散波長は、1310以上で1318以下である。非結合コア型マルチコア光ファイバ110の各コア部分Cのゼロ分散波長は、本明細書に記載のゼロ分散波長の任意の下限とゼロ分散波長の任意の上限により形成される範囲内でありうると理解すべきである。
【0137】
様々な実施形態において、1310nmでの非結合コア型マルチコア光ファイバ110の各コア部分Cの分散は、-1.3ps/nm/km以上で1ps/nm/km以下である。1310nmでの非結合コア型マルチコア光ファイバ110の各コア部分Cの分散は、本明細書に記載の1310nmでの分散の任意の下限と1310nmでの分散の任意の上限により形成される範囲内でありうると理解すべきである。
【0138】
様々な実施形態において、1310nmでの非結合コア型マルチコア光ファイバ110の各コア部分Cの分散勾配は、0.085ps/nm/km以上で0.093ps/nm/km以下である。1310nmでの非結合コア型マルチコア光ファイバ110の各コア部分Cの分散勾配は、本明細書に記載の1310nmでの分散勾配の任意の下限と1310nmでの分散勾配の任意の上限により形成される範囲内でありうると理解すべきである。
【0139】
様々な実施形態において、1550nmでの非結合コア型マルチコア光ファイバ110の各コア部分Cの分散は、17ps/nm/km以上で20ps/nm/km以下である。1550nmでの非結合コア型マルチコア光ファイバ110の各コア部分Cの分散は、本明細書に記載の1550nmでの分散の任意の下限と1550nmでの分散の任意の上限により形成される範囲内でありうると理解すべきである。
【0140】
様々な実施形態において、1550nmでの非結合コア型マルチコア光ファイバ110の各コア部分Cの分散勾配は、0.060ps/nm/km以上で0.070ps/nm/km以下である。1550nmでの非結合コア型マルチコア光ファイバ110の各コア部分Cの分散勾配は、本明細書に記載の1550nmでの分散勾配の任意の下限と1550nmでの分散勾配の任意の上限により形成される範囲内でありうると理解すべきである。
【0141】
図5を再び参照し、実施形態において、各コア部分Cは、低屈折率クラッド領域170の変化する相対屈折率Δが、動径座標rに応じて変化する屈折率下げドーパント濃度D、つまり、D=D(r)によって決定されるように製作される。実施形態において、屈折率下げドーパントは、フッ素であり、D(r)は、半径方向位置に応じたフッ素濃度F(r)として表される。したがって、低屈折率クラッド領域170内のF(r)は、最小値Fminと最大値Fmaxの間で変化しうる。実施形態において、Fminは、半径方向位置rでの値であり、Fmaxは、半径方向位置rでの値である。実施形態において、Fmin=0質量%である。実施形態において、Fmaxは、1.2質量%以上で2.0質量%以下である。実施形態において、Fmaxは、1.2質量%以上で1.8質量%以下である。
【0142】
低屈折率クラッド領域170内の屈折率下げドーパント濃度の値(例えば、FmaxおよびFmin)は、そこでの屈折率プロファイルを、したがって、図6および7における低屈折率クラッド領域170、170’のトレンチボリュームVを決定する。理論に縛られることを望まないが、トレンチボリュームが、各コア部分Cのゼロ分散波長を決定すると考えられる。本明細書に記載のように、屈折率下げドーパント濃度を、各コア部分Cのゼロ分散波長が1300nm以上で1324nm以下になるように選択しうる。そのようなゼロ分散波長を実現するために、各コア部分Cの低屈折率クラッド領域170のトレンチボリュームは、30%Δμm以上で75%Δμm未満でありうる。
【0143】
本開示のマルチコア光ファイバ110は、任意の適したマルチコア光ファイバ形成方法を用いて製作しうる。例えば、2020年2月14日出願の米国特許出願第16/791,708号明細書を参照されたく、その開示は、全体として参照により本明細書に組み込まれる。ここで、例として図8を参照すると、マルチコア光ファイバ形成方法800のフローチャートを示している。方法800を用いて、本明細書で図1~7について記載の非結合コア型マルチコア光ファイバ110(または、その任意の代わりの実施形態)を形成しうる。工程802において、共通クラッド19のためのスートブランクを形成する。スートブランクの形成工程は、外付け蒸着(「OVD」)処理、スート押圧法、軸付け蒸着(「VAD」)処理、または、任意の他の既知の方法を介してスート体を形成する第1処理を含みうる。スート体は、ガラス前駆体材料で形成されうる。実施形態において、スート体は、シリカ系材料で形成される。例えば、OVD処理において、四塩化ケイ素(SiCl)蒸気などの蒸気をバーナー炎に通して、蒸気を炎中で反応させて、不活性ロッド上に成膜される微細なシリカ系スート粒子を形成することによって、その形成されたシリカ系スート粒子を不活性ロッド上に積層しうる。スート成膜を完了した後に、不活性ロッドは、取り外され、スート体は、部分的に固化して、孔開けしてスートブランクを形成するのに適合するバルク密度に達しうる。次に、スートブランクは、既知の技術を用いて、孔開けされて、コアケーンを挿入するための開口部を生成しうる。
【0144】
工程804において、コアケーンからコア領域を形成しうる。実施形態において、方法800が完了すると(例えば、線引き後に)、コア領域は、本明細書で図5~7について記載のコア領域150に対応しうる。コア領域を、OVD処理、スート押圧法、VAD処理、または、任意の既知の方法を介して形成しうる。コア領域を、方法800完了後に、本明細書で図5~7について記載した相対屈折率Δ(r)を有するように形成しうる。したがって、コア領域を、屈折率上げドーパントを用いて形成しうる。例において、OVD処理を用いて、SiCl蒸気を屈折率上げドーパント蒸気(例えば、ゲルマニウム含有蒸気)と混合させて、その蒸気をバーナーに通して反応させ、不活性ロッド上にスート粒子を形成して、コア領域を形成しうる。実施形態において、OVD処理完了後に、コア領域を、コア領域を形成するのに用いられる材料の標準焼結ピーク温度より低い温度まで、所定の時間加熱することによって、コア領域を部分的に固化させうる。
【0145】
工程806において、オーバークラッド層を、コア領域の上に成膜する。実施形態において、OVDまたはVAD処理を介して、シリカ系スートのオーバークラッド層を、コア領域の上に形成する。工程808および810において、オーバークラッドを有するコア領域を、固化炉の中に配置して、オーバークラッドを有するコア領域の固化を開始する。例えば、オーバークラッドを有するコア領域を、ピーク焼結温度まで加熱して、固化を開始しうる。
【0146】
工程812において、固化の間、オーバークラッドを有するコア領域を、屈折率下げドーパントに、固化開始後から期間Tの間、曝して、固化した時に、屈折率下げドーパントが、オーバークラッドの内側クラッド領域に達しないようにする。図9は、本明細書に記載の工程808、810、および、812を行うのに用いうる例示的な固化炉914を示す概略図である。図9は、固化処理の完了により生じるスートプリフォーム900を示している。スートプリフォーム900は、コア領域902、および、コア領域902を囲むオーバークラッド層904を含む。工程808の間、コア領域902(例えば、固化していない状態か、または、部分的に固化した状態)、および、オーバークラッド層904を、固化炉914の内部920に配置しうる。固化炉914を、オーバークラッド層904のピーク焼結温度まで加熱して、固化を開始しうる。
【0147】
気体源916は、固化炉914の内部920と流体連通する。気体源916は、屈折率下げドーパント912を含む気体918を内部920に提供する。次に、固化する間に、屈折率下げドーパント912(例えば、フッ素)は、オーバークラッド層904を通って拡散する。実施形態において、オーバークラッド層を通る屈折率下げドーパント912の拡散速度は、オーバークラッド層904の構成および材料特性(例えば、多孔度、密度など)に応じたものである。オーバークラッド層904が固化する時に、オーバークラッド層904の多孔度は低下して、オーバークラッド層904の固化につれて、屈折率下げドーパント912の拡散速度が減少しうる。
【0148】
本明細書に記載のように、コア領域902は、ゲルマニウムなどの屈折率上げドーパントを含みうる。屈折率下げドーパント、および、屈折率上げドーパントがコア領域902に存在することで、方法800を行うことで生じるコア部分の屈折率プロファイルが変更されて、コア部分が、望ましい特性(例えば、モードフィールド直径、ゼロ分散波長、カットオフ波長、トレンチボリューム)を有さないようになりうる。したがって、固化を開始した後に屈折率下げドーパント912を内部920に導入する時間Tは、オーバークラッド層904が固化する前に、屈折率下げドーパント912が、オーバークラッド層904全体を通って拡散しないように決定されうる。時間Tは、屈折率下げドーパント912のオーバークラッド層904を通る拡散速度、および、スートプリフォーム900について推定される固化時間に基づいて決定されうる。時間Tは、例えば、オーバークラッド層904に厚さに基づいて選択され、スートプリフォーム900が固化した時に、オーバークラッド層904の一部のみが、屈折率下げドーパント912を含むようにしうる。
【0149】
図9に示すように、オーバークラッド層904の内側クラッド領域910は、固化した後に、屈折率下げドーパント912を実質的に含まない。オーバークラッド層904が固化することで、屈折率下げドーパント912が内側クラッド領域910の中まで分散するのを防ぎうる。実施形態において、方法800の完了後に、内側クラッド領域910は、本明細書で図5~7について記載の内側クラッド領域160に対応する。オーバークラッド層904の外側領域906は、濃度が変化する屈折率下げドーパント912を含む。オーバークラッド層904の外面908は、最も長い時間、屈折率下げドーパント912に曝されるので、最も高い濃度の屈折率下げドーパント912を含む。実施形態において、方法800の完了後に、外側領域906は、その相対屈折率プロファイルにトレンチを含む本明細書で図5~7について記載した低屈折率クラッド領域170に対応する。
【0150】
図8を再び参照すると、工程812において、オーバークラッドを有するコア領域が固化して、スートプリフォーム900になった後に、スートプリフォーム900は、工程802の間に形成されたスートブランクに孔開けされた孔に挿入される。工程804、806、808、810、812を、任意の回数で繰り返して、非結合コア型マルチコア光ファイバに組み込むのが望ましい数のコア部分に対応する任意の数のスートプリフォームを挿入して、ファイバプリフォームを形成しうる。工程816において、各スートプリフォームを、スートブランクの中に挿入した後に、ファイバプリフォームを、マルチコア光ファイバへと線引きする。
【実施例
【0151】
本明細書に記載の実施形態を、次の実施例によって、更に明らかにする。
【0152】
三角形トレンチの実施例
2つの異なるコア部分設計を有する2つのマルチコアファイバ設計(実施例Aおよび実施例B)を、数学的モデルにして、ファイバの光学特性を特定した。両方のマルチコア光ファイバにおけるコア部分の各コア領域は、屈折率を上げるように、ゲルマニウムが添加されたものだった。実施形態において、各コア領域は、屈折率を上げるように、ゲルマニウムが添加され、6質量%以上で6.7質量%以下の最高ゲルマニウム濃度を有する。実施形態において、各コア部分は、屈折率を下げるようにフッ素が添加された低屈折率クラッド領域も含むものだった。低屈折率クラッド領域は、1.6質量%以上で1.85質量%以下の最大フッ素濃度を有しうる。両方のマルチコア光ファイバにおける各コア部分を、図5に示す構造でモデル化した。つまり、実施例AおよびBにおける各コア部分を、コア領域150、コア領域150を囲んで直に接触する内側クラッド領域160、および、内側クラッド領域160を囲んで直に接触すると共に、コア部分の相対屈折率プロファイルにおけるトレンチを画定する低屈折率クラッド領域170を含むようにモデル化した。実施例AおよびBにおける各マルチコア光ファイバは、無添加シリカ系ガラスで構成された外側の共通クラッドを含み、共通クラッドは、半径RCC=62.5μmを有する。実施例Aの各コア部分Cは、図6に示す相対屈折率プロファイルを有する。実施例Bの各コア部分Cは、図7に示す相対屈折率プロファイルを有する。実施例AおよびBの光ファイバの構造、および、光学特性を表1に示す。
【0153】
記載した実施例における単位μmで表した各コア部分Cのr、r、rの値、および、単位μmで表した共通クラッドのRCCを含む幾何学パラメータを特定した。単位nmで表した各コアのゼロ分散波長、単位μmで表したコアの有効面積(Aeff)、単位マイクロメートルで表した1310nmでの各コアのモードフィールド直径、単位マイクロメートルで表した1510nmでの各コアのモードフィールド直径、単位nmで表した各コアのケーブルカットオフ、単位dB/turnで表した1550nmでの平均1×15mm直径曲げ損失、単位dB/turnで表した1550nmでの平均1×20mm直径曲げ損失、単位dB/turnで表した1550nmでの平均1×30mm直径曲げ損失、単位ps/nm/kmで表した1310nmでの各コアの分散、単位ps/nm/kmで表した1310nmでの各コアの分散勾配、単位ps/nm/kmで表した1550nmでの各コアの分散、および、単位ps/nm/kmで表した1550nmでの各コアの分散勾配を含む物理的特徴も特定した。
【0154】
【表1】
【0155】
実施例AおよびBに示すように、本明細書に記載の光ファイバは、各コア部分について、1310nmで、60μm以上で72μm以下の有効面積Aeffを実現可能である。実施形態において、本明細書に記載の光ファイバは、各コア部分について、1310nmで、63μm以上で70μm以下の有効面積Aeffを実現可能である。本明細書に記載の光ファイバは、1310nmで、9μm以上で9.5μm以下のモードフィールド直径も示し、標準シングルモードファイバとの結合を容易にする。実施形態において、本明細書に記載の光ファイバは、9.1μm以上で9.2μm以下のモードフィールド直径を有し、標準シングルモードファイバとの結合を容易にする。本明細書に記載の光ファイバは、1260nm以下(例えば、1230nm以下)のケーブルカットオフも示し、本明細書のコア部分の容量を、シングルモード伝送に用いうることを示している。
【0156】
実施例AおよびBに示すように、本明細書に記載の光ファイバの各コア部分は、1300nm以上で1324nm以下のゼロ分散波長を有し、その波長範囲内で、光信号の長距離伝送を容易にする。実施例AおよびBに示していないが、実施形態において、本明細書に記載の各光ファイバのコア部分は、隣接したコア部分と、-30dB以下(例えば、-40dB以下、または、-50dB以下さえ)のクロストークを有する。そのような範囲のクロストークの値を実現するために、本明細書に記載の光ファイバのコア部分は、少なくとも30μm以上(例えば、35μm以上、40μm以上)の最小離間距離で、互いに離間しうる。実施形態において、本明細書に記載の光ファイバ内でのトンネリング損失を防ぐために、本明細書に記載の光ファイバのコア部分は、外縁部(例えば、共通クラッドの外縁部)から、少なくとも18μm以上(例えば、20μm以上、25μm以上)の最小のコア縁部からファイバ縁部への距離で離間しうる。
【0157】
矩形トレンチの実施例
更なる実施例において、2つの異なるコア部分設計を有する他の2つのマルチコアファイバ設計(実施例Cおよび実施例D)を、数学的モデルにして、ファイバの光学特性を特定した。両方のマルチコア光ファイバにおけるコア部分の各コア領域は、屈折率を上げるように、ゲルマニウムが添加されたものだった。実施形態において、各コア領域は、屈折率を上げるように、ゲルマニウムが添加され、6質量%以上で6.7質量%以下の最高ゲルマニウム濃度を有する。実施形態において、各コア部分は、屈折率を下げるようにフッ素が添加された低屈折率クラッド領域も含むものだった。低屈折率クラッド領域は、1.5質量%以上で1.7質量%以下の最大フッ素濃度を有しうる。両方のマルチコア光ファイバにおける各コア部分を、図5に示す構造でモデル化した。つまり、実施例CおよびDにおける各コア部分を、コア領域150、コア領域150を囲んで直に接触する内側クラッド領域160、および、内側クラッド領域160を囲んで直に接触すると共に、コア部分の相対屈折率プロファイルにおけるトレンチを画定する低屈折率クラッド領域170を含むようにモデル化した。実施例CおよびDにおける各マルチコア光ファイバは、無添加シリカ系ガラスで構成された外側の共通クラッドを含み、共通クラッドは、半径RCC=62.5μmを有する。実施例CおよびDは本明細書に記載の実施例AおよびBと、実施例CおよびDは、矩形トレンチプロファイルを有する低屈折率クラッド領域170を含む点で異なる。つまり、相対屈折率Δは、実施例CおよびDの低屈折率クラッド領域170内で、最小相対屈折率Δ3minで略一定である。実施形態において、低屈折率クラッド領域170は、40%Δμm以上で70%Δμm以下のトレンチボリュームVを有するトレンチを画定する。
【0158】
記載した実施例における単位μmで表した各コア部分Cのr、r、rの値、および、単位μmで表した共通クラッドのRCCを含む幾何学パラメータを特定した。単位nmで表した各コアのゼロ分散波長、単位μmで表したコアの有効面積(Aeff)、単位マイクロメートルで表した1310nmでの各コアのモードフィールド直径、単位マイクロメートルで表した1510nmでの各コアのモードフィールド直径、単位nmで表した各コアのケーブルカットオフ、単位dB/turnで表した1550nmでの平均1×15mm直径曲げ損失、単位dB/turnで表した1550nmでの平均1×20mm直径曲げ損失、単位dB/turnで表した1550nmでの平均1×30mm直径曲げ損失、単位ps/nm/kmで表した1310nmでの各コアの分散、単位ps/nm/kmで表した1310nmでの各コアの分散勾配、単位ps/nm/kmで表した1550nmでの各コアの分散、および、単位ps/nm/kmで表した1550nmでの各コアの分散勾配を含む物理的特徴も特定した。
【0159】
【表2】
【0160】
実施例CおよびDに示すように、本明細書に記載の光ファイバは、各コア部分について、1310nmで、60μm以上で72μm以下の有効面積Aeffを実現可能である。実施形態において、本明細書に記載の光ファイバは、各コア部分について、1310nmで、63μm以上で70μm以下の有効面積Aeffを実現可能である。本明細書に記載の光ファイバは、1310nmで、9μm以上で9.5μm以下のモードフィールド直径も示し、標準シングルモードファイバとの結合を容易にする。本明細書に記載の光ファイバは、1260nm以下(例えば、1230nm以下)のケーブルカットオフも示し、本明細書のコア部分の容量を、シングルモード伝送に用いうることを示している。
【0161】
実施例CおよびDに示すように、本明細書に記載の光ファイバの各コア部分は、1300nm以上で1324nm以下のゼロ分散波長を有し、その波長範囲内で、光信号の長距離伝送を容易にする。実施例CおよびDに示していないが、実施形態において、本明細書に記載の各光ファイバのコア部分は、隣接したコア部分と、-30dB以下(例えば、-40dB以下、または、-50dB以下さえ)のクロストークを有する。
【0162】
ここまでの記載から明らかなように、複数のコア部分を含み、コア領域を囲む低屈折率クラッド領域を有する非結合コア型マルチコア光ファイバは、比較的高いファイバ密度を実現しながら、コア部分同士の間で、比較的低いクロストークを提供する。更に、そのような低屈折率クラッド領域は、マルチコア光ファイバに、比較的低い曲げ損失を提供する。半径が増加するにつれて単調減少する相対屈折率を有する低屈折率クラッド領域は、その低屈折率クラッド領域が、添加中に、屈折率を有するコア領域と単一工程で固化される方法によって、有益に製作されうる。本開示の実施形態は、比較的低いクロストーク(例えば、-30dB未満)を提供し、各コア部分モードフィールド直径を8.2μm以上に維持して、標準シングルモードファイバとの結合を容易にしながら、複数のコア部分(例えば、3以上で8以下のコア部分)を標準の125μm光ファイバに組み込むのを容易にする。
【0163】
当業者であれば、請求した主題の精神および範囲を逸脱することなく、本明細書に記載の実施形態に様々な変更および変形が可能なことが明らかだろう。したがって、本明細書に記載の様々な実施形態の変更および変形が、添付の請求項、および、その等価物の範囲内である限りは、本明細書は、そのような変更および変形を網羅することを意図する。
【0164】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0165】
実施形態1
マルチコア光ファイバにおいて、
共通クラッドと、
前記共通クラッドに配置された複数のコア部分と
を含み、
各前記複数のコア部分は、
中心軸と、
前記中心軸から半径rまで延伸し、純シリカに対する相対屈折率Δを有するコア領域と、
前記コア領域を囲んで直に接触し、半径rから半径rまで延伸し、純シリカに対する相対屈折率Δを有する内側クラッド領域と、
前記内側クラッド領域を囲んで直に接触し、前記半径rから半径rまで延伸し、純シリカに対する相対屈折率Δおよび純シリカに対する最小相対屈折率Δ3minを有する低屈折率クラッド領域と
を含むものであって、
Δ>Δ>Δ3minであり、
各前記コア部分のモードフィールド直径は、1310nm波長において、8.2μm以上で9.5μm以下であり、
各前記コア部分のゼロ分散波長は、1300nm以上で1324nm以下であるマルチコア光ファイバ。
【0166】
実施形態2
前記共通クラッドは、120μm以上で200μm以下の外半径RCCを有するものである、実施形態1に記載のマルチコア光ファイバ。
【0167】
実施形態3
前記複数のコア部分は、3以上で8以下のコア部分を含むものである、実施形態2に記載のマルチコア光ファイバ。
【0168】
実施形態4
前記外半径RCCは、125μmに等しいものである、実施形態3に記載のマルチコア光ファイバ。
【0169】
実施形態5
前記複数のコア部分は、2×2配列で前記共通クラッド内に配列されて、各該複数のコア部分の中心軸は、それに隣接した2つのコア部分の中心軸から、35μm以上の最小コア間離間距離で離間したものである、実施形態3に記載のマルチコア光ファイバ。
【0170】
実施形態6
各前記複数のコア部分のケーブルカットオフ波長は、1260nm以下である、実施形態1に記載のマルチコア光ファイバ。
【0171】
実施形態7
各前記複数のコア部分の前記低屈折率クラッド領域全体の前記相対屈折率Δは、Δ以下で、該低屈折率クラッド領域は、該各コア部分の相対屈折率プロファイルにおいて、低屈折率トレンチを形成するものである、実施形態1に記載のマルチコア光ファイバ。
【0172】
実施形態8
各前記コア部分の前記相対屈折率プロファイルにおける前記低屈折率トレンチは、30%Δμm以上で75%Δμm以下のトレンチボリュームを有するものである、実施形態7に記載のマルチコア光ファイバ。
【0173】
実施形態9
各前記コア部分の前記相対屈折率プロファイルにおける前記低屈折率トレンチは、40%Δμm以上で70%Δμm以下のトレンチボリュームを有するものである、実施形態7に記載のマルチコア光ファイバ。
【0174】
実施形態10
前記低屈折率トレンチは、11μm以上で20μm以下である半径rまで延伸するものである、実施形態7に記載のマルチコア光ファイバ。
【0175】
実施形態11
前記半径rは、12μm以上で18μm以下である、実施形態10に記載のマルチコア光ファイバ。
【0176】
実施形態12
前記最小相対屈折率Δ3minは、前記半径rで生じるものである、実施形態7に記載のマルチコア光ファイバ。
【0177】
実施形態13
各前記コア部分の前記低屈折率クラッド領域の前記相対屈折率Δは、前記半径rにおける前記Δから前記半径rにおける前記Δ3minまで単調減少するものである、実施形態7に記載のマルチコア光ファイバ。
【0178】
実施形態14
各前記コア部分の前記低屈折率クラッド領域の前記相対屈折率Δは、前記半径rにおける前記Δから前記半径rにおける前記Δ3minまで連続的に減少して、前記トレンチは、略三角形の形状を有するものである、実施形態13に記載のマルチコア光ファイバ。
【0179】
実施形態15
各前記コア部分の前記低屈折率クラッド領域の前記相対屈折率Δ3minは、-0.2%Δ以下で-0.6%Δ以上である、実施形態13に記載のマルチコア光ファイバ。
【0180】
実施形態16
各前記コア部分の前記低屈折率クラッド領域は、前記中心軸からの半径方向距離と共に変化する濃度を有する屈折率下げドーパントを含み、該低屈折率クラッド領域は、前記半径rにおいて、最大屈折率下げドーパント濃度を有し、前記半径rにおいて、最小屈折率下げドーパント濃度を有するものである、実施形態13に記載のマルチコア光ファイバ。
【0181】
実施形態17
前記屈折率下げドーパントは、フッ素であり、前記最大屈折率下げドーパント濃度は、1.2質量%以上で2.0質量%以下である、実施形態16に記載のマルチコア光ファイバ。
【0182】
実施形態18
前記最大屈折率下げドーパント濃度は、1.2質量%以上で1.8質量%以下である、実施形態16に記載のマルチコア光ファイバ。
【0183】
実施形態19
各前記コア部分の前記内側クラッド領域は、前記屈折率下げドーパントを実質的に含まないものである、実施形態16に記載のマルチコア光ファイバ。
【0184】
実施形態20
各前記コア部分の前記モードフィールド直径は、8.8μm以上で9.5μm以下である、実施形態1に記載のマルチコア光ファイバ。
【0185】
実施形態21
各前記コア部分の前記モードフィールド直径は、9.0μm以上で9.5μm以下である、実施形態1に記載のマルチコア光ファイバ。
【0186】
実施形態22
各前記コア部分の前記モードフィールド直径は、9.1μm以上で9.5μm以下である、実施形態1に記載のマルチコア光ファイバ。
【0187】
実施形態23
前記複数のコア部分の前記中心軸は、互いに、35マイクロメートル以上の最小離間距離で離間したものである、実施形態1に記載のマルチコア光ファイバ。
【0188】
実施形態24
前記複数のコア部分の各コア部分と、該複数のコア部分の内、それに最も近いコア部分の間のクロストークは、-30dB以下である、実施形態23に記載のマルチコア光ファイバ。
【0189】
実施形態25
前記複数のコア部分の各コア部分と、該複数のコア部分の内、それに最も近いコア部分の間のクロストークは、-50dB以下である、実施形態23に記載のマルチコア光ファイバ。
【0190】
実施形態26
マルチコア光ファイバにおいて、
共通クラッドと、
前記共通クラッドに配置された複数のコア部分と
を含み、
各前記複数のコア部分は、
中心軸と、
前記中心軸から半径rまで延伸し、純シリカに対する相対屈折率Δを有するコア領域と、
前記コア領域を囲んで直に接触し、半径rから半径rまで延伸し、純シリカに対する相対屈折率Δを有する内側クラッド領域と、
前記内側クラッド領域を囲んで直に接触し、前記半径rから半径rまで延伸し、純シリカに対する相対屈折率Δおよび純シリカに対する最小相対屈折率Δ3minを有する低屈折率クラッド領域と
を含むものであって、
Δ>Δ>Δ3min、かつ、
Δ≧Δで、
前記低屈折率クラッド領域は、各前記コア部分の相対屈折率プロファイルにおける低屈折率トレンチを、前記半径rと前記半径rの間に形成するものであり、
前記Δは、各前記コア部分の前記中心軸からの半径方向距離が増加するにつれて、最小相対屈折率Δ3minまで単調減少するものであるマルチコア光ファイバ。
【0191】
実施形態27
各前記コア部分のモードフィールド直径は、8.2μm以上で9.5μm以下である、実施形態26に記載のマルチコア光ファイバ。
【0192】
実施形態28
各前記コア部分のゼロ分散波長は、1300nm以上で1324nm以下である、実施形態26に記載のマルチコア光ファイバ。
【0193】
実施形態29
各前記コア部分の前記相対屈折率プロファイルにおける前記低屈折率トレンチは、40%Δμm以上で70%Δμm以下のボリュームを有するものである、実施形態26に記載のマルチコア光ファイバ。
【0194】
実施形態30
各前記複数のコア部分のケーブルカットオフ波長は、1260nm以下である、実施形態26に記載のマルチコア光ファイバ。
【0195】
実施形態31
各前記コア領域は、純シリカに対する最大相対屈折率Δ1maxを有し、各該コア部分におけるΔ1maxは、0.28%Δ以上で0.45%Δ以下である、実施形態26に記載のマルチコア光ファイバ。
【0196】
実施形態32
各前記コア部分の前記コア領域内の前記屈折率プロファイルは、グレーデッドインデックスプロファイルである、実施形態31に記載のマルチコア光ファイバ。
【0197】
実施形態33
前記グレーデッドインデックスプロファイルのアルファ値は、10以上である、実施形態32に記載のマルチコア光ファイバ。
【0198】
実施形態34
前記グレーデッドインデックスプロファイルのアルファ値は、5以下である、実施形態32に記載のマルチコア光ファイバ。
【0199】
実施形態35
前記半径rは、12μm以上で18μm以下である、実施形態26に記載のマルチコア光ファイバ。
【0200】
実施形態36
前記Δ3minは、-0.2%Δ以下で-0.6%Δ以上である、実施形態35に記載のマルチコア光ファイバ。
【0201】
実施形態37
前記共通クラッドは、120μm以上で200μm以下の外半径RCCを有するものである、実施形態26に記載のマルチコア光ファイバ。
【0202】
実施形態38
前記複数のコア部分は、3以上で8以下のコア部分を含むものである、実施形態37に記載のマルチコア光ファイバ。
【0203】
実施形態39
各前記コア部分の前記低屈折率クラッド領域の前記相対屈折率Δは、前記半径rにおける前記Δから前記半径rにおける前記Δ3minまで、連続的に減少して、前記トレンチは、略三角形の形状を有するものである、実施形態26に記載のマルチコア光ファイバ。
【0204】
実施形態40
マルチコア光ファイバの形成方法において、
屈折率上げドーパントを含むコア領域を、コアケーンから形成する工程と、
オーバークラッド層を、前記コア領域の周りに成膜して、シリカスートプリフォームを形成する工程と、
前記シリカスートプリフォームを、固化炉において固化させる工程と、
前記シリカスートプリフォームが固化を開始した後、時間Tの間、該シリカスートプリフォームを屈折率下げドーパントに曝す工程であって、該時間Tは、該屈折率下げドーパントが前記オーバークラッド層を通して拡散する速度に基づいて決定されるものであり、該シリカスートプリフォームが固化した時に、該オーバークラッド層の内側クラッド領域は実質的に該屈折率下げドーパントを含まず、該固化したシリカスートプリフォームは、純シリカに対する相対屈折率Δを有する前記コア領域、純シリカに対する相対屈折率Δを有する該内側クラッド領域、および、該Δと最小相対屈折率Δ3minの間で減少する純シリカに対する相対屈折率Δを有する低屈折率クラッド領域を含むものである工程と、
前記固化したシリカスートプリフォームを、スートブランクに挿入して、マルチコアプリフォームを形成する工程と、
前記マルチコアファイバプリフォームを線引きして、マルチコア光ファイバにする工程と
を含む方法。
【0205】
実施形態41
前記オーバークラッド層を、前記コア領域の周りに、外付け蒸着処理を用いて形成するものである、実施形態40に記載の方法。
【0206】
実施形態42
前記屈折率上げドーパントは、ゲルマニウムを含むものである、実施形態40に記載の方法。
【0207】
実施形態43
前記屈折率下げドーパントは、フッ素を含むものである、実施形態40に記載の方法。
【0208】
実施形態44
前記コア領域が部分的に固化した状態の時に、前記オーバークラッド層を該コア領域の周りに成膜し、該コア領域が該オーバークラッド層と共に固化されるものである、実施形態40に記載の方法。
【符号の説明】
【0209】
19 共通クラッド
110、400、500 マルチコア光ファイバ
12、412、512 中心ファイバ軸
150、150’、902 コア領域
160、160’、910 内側クラッド領域
170、170’ 低屈折率クラッド領域
904 オーバークラッド層
、C、C、C コア部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】