IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ハンファ ソルーションズ コーポレーションの特許一覧

特表2023-536454熱硬化性接着フィルムおよびこれを含むカバーレイフィルム
<>
  • 特表-熱硬化性接着フィルムおよびこれを含むカバーレイフィルム 図1
  • 特表-熱硬化性接着フィルムおよびこれを含むカバーレイフィルム 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-25
(54)【発明の名称】熱硬化性接着フィルムおよびこれを含むカバーレイフィルム
(51)【国際特許分類】
   C09J 163/00 20060101AFI20230818BHJP
   C09J 7/35 20180101ALI20230818BHJP
   C09J 133/00 20060101ALI20230818BHJP
   C09J 11/04 20060101ALI20230818BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20230818BHJP
   C08L 33/08 20060101ALI20230818BHJP
   C08L 63/00 20060101ALI20230818BHJP
   C08K 5/49 20060101ALI20230818BHJP
   C08G 59/62 20060101ALI20230818BHJP
   H05K 3/28 20060101ALI20230818BHJP
【FI】
C09J163/00
C09J7/35
C09J133/00
C09J11/04
C09J11/06
C08L33/08
C08L63/00
C08K5/49
C08G59/62
H05K3/28 C
H05K3/28 F
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023505814
(86)(22)【出願日】2022-01-25
(85)【翻訳文提出日】2023-01-27
(86)【国際出願番号】 KR2022001291
(87)【国際公開番号】W WO2022164171
(87)【国際公開日】2022-08-04
(31)【優先権主張番号】10-2021-0010952
(32)【優先日】2021-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0180810
(32)【優先日】2021-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520263899
【氏名又は名称】ハンファ ソルーションズ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】HANWHA SOLUTIONS CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アン,ジンマン
【テーマコード(参考)】
4J002
4J004
4J036
4J040
5E314
【Fターム(参考)】
4J002BG042
4J002CD031
4J002CD061
4J002EW046
4J002EW156
4J002FD136
4J002FD140
4J002FD150
4J002GJ01
4J002GM00
4J002GQ01
4J004AA10
4J004AA13
4J004AA18
4J004AB04
4J004BA02
4J004CA06
4J004CB03
4J004CC02
4J004DB03
4J004FA05
4J036AC03
4J036AD08
4J036AF06
4J036FA12
4J036FB03
4J036JA08
4J036JA11
4J040DF022
4J040DF032
4J040DF062
4J040EC051
4J040EC061
4J040HA266
4J040HC01
4J040HC23
4J040HD21
4J040JA09
4J040JB02
4J040KA16
4J040KA31
4J040KA36
4J040KA42
4J040LA01
4J040LA02
4J040NA19
5E314AA25
5E314AA32
5E314BB02
5E314CC15
5E314FF05
5E314GG05
5E314GG26
(57)【要約】
本発明は、熱硬化性接着フィルムおよびこれを含むカバーレイフィルムに関し、より詳細には、優れた耐イオン性マイグレーションを有すると共に、低い誘電率を有するだけでなく、剥離強度にも優れた熱硬化性接着フィルムおよびこれを含むカバーレイフィルムに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
15~28℃の温度で固状のエポキシ樹脂、15~28℃の温度で固状の熱硬化性アクリルゴムおよびリン系難燃剤を含む熱硬化性接着フィルムであって、
前記熱硬化性アクリルゴムは、官能基としてヒドロキシ基およびカルボキシル基を含み、400,000~1,500,000の重量平均分子量(Mw)、-10~15℃のガラス転移温度(Tg)を有し、
前記熱硬化性接着フィルムは、条件(1)~(3)を全て満たすことを特徴とする熱硬化性接着フィルム。
(1)A≧100MΩ
(2)B≦3.3、B≦3.1
(3)C≧0.7kgf/cm
前記条件(1)において、Aは、IPC-TM 650試験規格によって、85℃の温度、85%の相対湿度および50Vの直流電圧の条件で、500~1000時間測定した絶縁抵抗(insulation resistance)を示し、
前記条件(2)において、Bは、1GHzでの誘電率(dielectric constant)を示し、Bは、10GHzでの誘電率(dielectric constant)を示し、
前記条件(3)において、Cは、50mm/分の速度、90°の剥離方向の条件で剥離時に測定した剥離強度(peel strength)を示す。
【請求項2】
前記熱硬化性接着フィルムは、条件(4)~(6)をさらに満たすことを特徴とする請求項1に記載の熱硬化性接着フィルム。
(4)D≦0.5%
(5)65℃≦E≦85℃
(6)65ppm/℃≦F≦95ppm/℃、200ppm/℃≦F≦280ppm/℃
前記条件(4)において、Dは、IPC TM-650試験規格によって、下記関係式1によって測定された測定した吸湿率(moisture absorption)を示し、
前記条件(5)において、Eは、ガラス転移温度(Tg)を示し、
前記条件(6)において、Fは、10℃/minの速度で温度を上昇させるとき、ガラス転移温度(Tg)到達前の熱膨張係数(Coefficient of Thermal Expansion)を示し、Fは、10℃/minの速度で温度を上昇させるとき、ガラス転移温度(Tg)到達後の熱膨張係数(Coefficient of Thermal Expansion)を示す。
[関係式1]
吸湿率(%)=(D-D)/D×100
前記関係式1において、Dは、乾燥した熱硬化性接着フィルムの重さを示し、Dは、乾燥した熱硬化性接着フィルムを蒸留水に24時間沈積した後の重さを示す。
【請求項3】
前記熱硬化性接着フィルムは、条件(7)~(9)をさらに満たすことを特徴とする請求項1に記載の熱硬化性接着フィルム。
(7)20MPa≦G≦50MPa
(8)0.3 GPa≦H≦1.0GPa
(9)30%≦I≦130%
前記条件(7)において、Gは、IPC TM-650試験規格によって測定した引張強度(tensile strength)を示し、
前記条件(8)において、Hは、IPC TM-650試験規格によって測定したヨンニュル(Young’s Modulus)を示し、
前記条件(9)において、Iは、IPC TM-650試験規格によって測定した伸び率(Elongation)を示す。
【請求項4】
前記エポキシ樹脂は、ビスフェノールA型エポキシ(bisphenol-A type epoxy)樹脂、O-クレゾールノボラック型エポキシ(O-cresol novolac type epoxy)樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、低塩素型エポキシ(low-chlorine type epoxy)樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ(dicycolpentadiene type epoxy)樹脂、ビフェニル型エポキシ(biphenyl type epoxy)樹脂および多官能性ノボラック型エポキシ(multi-functional novolac type epoxy)樹脂の中から選ばれた2種以上を含むことを特徴とする請求項1に記載の熱硬化性接着フィルム。
【請求項5】
前記エポキシ樹脂は、60~80℃の軟化点(softening point)、200~350g/eqのエポキシ当量(Epoxy Equivalent Weight)を有することを特徴とする請求項1に記載の熱硬化性接着フィルム。
【請求項6】
前記熱硬化性アクリルゴムは、ブチルアクリレート(butyl acrylate)単量体、2-エチルヘキシルアクリレート(2-ethylhexyl acrylate)単量体、2-メトキシエチルアクリレート(2-methoxyethyl acrylate)単量体、4-ヒドロキシブチルアクリレート(4-hydroxybuthyl acrylate)単量体、エチルアクリレート(ethyl acrylate)単量体、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-hydroxyethyl acrylate)単量体、2-ヒドロキシプロピルアクリレート(2-hydroxypropyl acrylate)単量体、ペンチルメタクリレート(pentylmethacrylate)単量体、2-ヒドロキシメチルアクリレート(2-hydroxymethyl acrylate)単量体、エチルメタクリレート(ethylmethacrylate)単量体、メチルメタクリレート(methylmethacrylate)単量体、アクリル酸(acrylic acid)単量体およびアクリロニトリル(acrylonitrile)単量体の中から選ばれた3種以上を含む単量体混合物を含んで重合させた重合物であることを特徴とする請求項1に記載の熱硬化性接着フィルム。
【請求項7】
前記熱硬化性アクリルゴムは、30~45の酸価、500~8,000cpsの粘度を有することを特徴とする請求項6に記載の熱硬化性接着フィルム。
【請求項8】
前記リン系難燃剤は、ホスフェート(Phosphate)系難燃剤、ホスファゼン(Phosphazene)系難燃剤およびホスフィネート(Phosphinate)系難燃剤の中から選ばれた1種以上を含むことを特徴とする請求項1に記載の熱硬化性接着フィルム。
【請求項9】
前記熱硬化性接着フィルムは、熱硬化性アクリルゴム100重量部に対して、エポキシ樹脂120~180重量部およびリン系難燃剤10~40重量部で含むことを特徴とする請求項1に記載の熱硬化性接着フィルム。
【請求項10】
前記熱硬化性接着フィルムは、硬化剤および無機充填剤の中から選ばれた1種以上をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の熱硬化性接着フィルム。
【請求項11】
前記熱硬化性接着フィルムは、熱硬化性アクリルゴム100重量部に対して、硬化剤8~18重量部および無機充填剤20~40重量部で含むことを特徴とする請求項10に記載の熱硬化性接着フィルム。
【請求項12】
前記硬化剤は、アミン系硬化剤、イミダゾール系硬化剤および酸無水物系硬化剤の中から選ばれた1種以上を含み、
前記無機充填剤は、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、シリカ、アルミナ、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄、酸化コバルトおよび酸化クロムの中から選ばれた1種以上を含むことを特徴とする請求項11に記載の熱硬化性接着フィルム。
【請求項13】
電気絶縁性基材と、
前記電気絶縁性基材の一面に形成された請求項1に記載の熱硬化性接着フィルムと、
前記熱硬化性接着フィルムの一面に形成された離型フィルムと、
を含むことを特徴とするカバーレイフィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱硬化性接着フィルムおよびこれを含むカバーレイフィルムに関し、より詳細には、優れた耐イオン性マイグレーションを有すると共に、低い誘電率を有するだけでなく、剥離強度にも優れた熱硬化性接着フィルムおよびこれを含むカバーレイフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
最近、電子産業分野の小型化、軽量化、薄膜化、集積化の傾向に伴い、軟性印刷回路基板(FPCB:Flexible Printed Circuits Board)の使用が増加しており、技術の発展が加速化している。
【0003】
しかしながら、電子製品の製作会社および軟性回路基板の製作会社の大容量高速伝送、マイクロ単位の微細回路具現など急速な技術発展レベルに比べてカバーレイフィルム、ボンディングシート、金属積層板に用いられる接着剤技術は、それに符合していない。
【0004】
その代表的な例がイオンマイグレーション現象である。
【0005】
イオンマイグレーション現象は、カバーレイフィルム、ボンディングシート、金属積層板に用いられる接着剤上で起こる現象であり、媒質、水分、導体間の印加電圧があれば発生する。
【0006】
一般的な軟性印刷回路基板において媒質は、接着剤であり、接着剤が含有しているイオン残留物、水分などによってイオンマイグレーション現象が加速化する。
【0007】
従来技術においてカバーレイフィルム、ボンディングシート、金属積層板に適用する接着剤組成物としては、高い鉛浴耐熱性、安定した剥離強度などを維持できるが、イオンマイグレーション現象を防止することができなかった。
【0008】
日本国など先進技術の場合にも、イオンマイグレーションを遅延させるための方法としてアクリロニトリルブタジエンゴムの純度を高めて使用することに過ぎなかった。この場合、ゴムの不純物の除去を通じてイオンマイグレーション現象が一部抑制および遅延されたが、完全な解決策にならず、従来と比べて10倍以上に原材料コストが上昇する問題が発生し、高温での色変問題に対応することができなかった。
【0009】
一方、5G世代は、4G級移動通信に比べてデータ伝送速度が速くなると予想されるので、高速化、高周波化に対応する素材を開発する場合、情報通信機器の高性能化、高機能化要求に対応することができる。したがって、携帯電話、デジタルビデオカメラ、ノートパソコン、LCDモニターなどデジタル家電製品に用いられるカバーレイフィルム、ボンディングシート、金属積層板を構成することができる接着剤の誘電定数が大きい場合には、シグナル伝送の遅延が起こり、これは、伝送速度の向上を遅延させるので、誘電率が低い素材を使用しなければならない。
【0010】
しかしながら、カバーレイフィルム、ボンディングシート、金属積層板に用いられる接着剤において、イオンマイグレーションを遅延させることができるだけでなく、低い誘電率を有する接着剤の開発が難しいという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】韓国特許登録第10-0730985号公報(公開日:2007.06.15)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、前述のような問題点を解決するためになされたものであって、本発明の解決しようとする課題は、優れた耐イオン性マイグレーションを有すると共に、低い誘電率を有するだけでなく、剥離強度にも優れた熱硬化性接着フィルムを提供することにある。
【0013】
また、本発明の熱硬化性接着フィルムを適用して、優れた耐イオン性マイグレーションを有すると共に、低い誘電率を有することができるカバーレイフィルム、ボンディングシートまたは金属積層板を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明の熱硬化性接着フィルムは、15~28℃の温度で固状のエポキシ樹脂、15~28℃の温度で固状の熱硬化性アクリルゴムおよびリン系難燃剤を含む。
【0015】
本発明の好ましい一実施例において、熱硬化性アクリルゴムは、官能基としてヒドロキシ基およびカルボキシル基を含んでもよい。
【0016】
本発明の好ましい一実施例において、熱硬化性アクリルゴムは、400,000~1,500,000の重量平均分子量(Mw)を有していてもよい。
【0017】
本発明の好ましい一実施例において、熱硬化性アクリルゴムは、-10~15℃のガラス転移温度(Tg)を有していてもよい。
【0018】
本発明の好ましい一実施例において、本発明の熱硬化性接着フィルムは、条件(1)を満たすことができる。
【0019】
(1)A≧100MΩ
【0020】
前記条件(1)において、Aは、IPC-TM 650試験規格によって、85℃の温度、85%の相対湿度および50Vの直流電圧の条件で、500~1000時間測定した絶縁抵抗(insulation resistance)を示す。
【0021】
本発明の好ましい一実施例において、本発明の熱硬化性接着フィルムは、条件(2)を満たすことができる。
【0022】
(2)B≦3.3、B≦3.1
【0023】
前記条件(2)において、Bは、1GHzでの誘電率(dielectric constant)を示し、Bは、10GHzでの誘電率(dielectric constant)を示す。
【0024】
本発明の好ましい一実施例において、本発明の熱硬化性接着フィルムは、条件(3)を満たすことができる。
【0025】
(3)C≧0.7kgf/cm
【0026】
前記条件(3)において、Cは、50mm/分の速度、90°の剥離方向の条件で剥離時に測定した剥離強度(peel strength)を示す。
【0027】
本発明の好ましい一実施例において、本発明の熱硬化性接着フィルムは、条件(4)を満たすことができる。
【0028】
(4)D≦0.5%
【0029】
前記条件(4)において、Dは、IPC TM-650試験規格によって、下記関係式1によって測定された測定した吸湿率(moisture absorption)を示す。
【0030】
[関係式1]
吸湿率(%)=(D-D)/D×100
【0031】
前記関係式1において、Dは、乾燥した熱硬化性接着フィルムの重さを示し、Dは、乾燥した熱硬化性接着フィルムを蒸留水に24時間沈積した後の重さを示す。
【0032】
本発明の好ましい一実施例において、本発明の熱硬化性接着フィルムは、条件(5)を満たすことができる。
【0033】
(5)65℃≦E≦85℃
【0034】
前記条件(5)において、Eは、ガラス転移温度(Tg)を示す。
【0035】
本発明の好ましい一実施例において、本発明の熱硬化性接着フィルムは、条件(6)を満たすことができる。
【0036】
(6)65ppm/℃≦F≦95ppm/℃、200ppm/℃≦F≦280ppm/℃
【0037】
前記条件(6)において、Fは、10℃/minの速度で温度を上昇させるとき、ガラス転移温度(Tg)到達前の熱膨張係数(Coefficient of Thermal Expansion)を示し、Fは、10℃/minの速度で温度を上昇させるとき、ガラス転移温度(Tg)到達後の熱膨張係数(Coefficient of Thermal Expansion)を示す。
【0038】
本発明の好ましい一実施例において、本発明の熱硬化性接着フィルムは、条件(7)を満たすことができる。
【0039】
(7)20MPa≦G≦50MPa
【0040】
前記条件(7)において、Gは、IPC TM-650試験規格によって測定した引張強度(tensile strength)を示す。
【0041】
本発明の好ましい一実施例において、本発明の熱硬化性接着フィルムは、条件(8)を満たすことができる。
【0042】
(8)0.3GPa≦H≦1.0GPa
【0043】
前記条件(8)において、Hは、IPC TM-650試験規格によって測定したヤング率(Young’s Modulus)を示す。
【0044】
本発明の好ましい一実施例において、本発明の熱硬化性接着フィルムは、条件(9)を満たすことができる。
【0045】
(9)30%≦I≦130%
【0046】
前記条件(9)において、Iは、IPC TM-650試験規格によって測定した伸び率(Elongation)を示す。
【0047】
本発明の好ましい一実施例において、エポキシ樹脂は、ビスフェノールA型エポキシ(bisphenol-A type epoxy)樹脂、O-クレゾールノボラック型エポキシ(O-cresol novolac type epoxy)樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、低塩素型エポキシ(low-chlorine type epoxy)樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ(dicycolpentadiene type epoxy)樹脂、ビフェニル型エポキシ(biphenyl type epoxy)樹脂および多官能性ノボラック型エポキシ(multi-functional novolac type epoxy)樹脂の中から選ばれた2種以上を含んでもよい。
【0048】
本発明の好ましい一実施例において、エポキシ樹脂は、60~80℃の軟化点(softening point)、200~350g/eqのエポキシ当量(Epoxy Equivalent Weight)を有していてもよい。
【0049】
本発明の好ましい一実施例において、熱硬化性アクリルゴムは、ブチルアクリレート(butyl acrylate)単量体、2-エチルヘキシルアクリレート(2-ethylhexyl acrylate)単量体、2-メトキシエチルアクリレート(2-methoxyethyl acrylate)単量体、4-ヒドロキシブチルアクリレート(4-hydroxybuthyl acrylate)単量体、エチルアクリレート(ethyl acrylate)単量体、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-hydroxyethyl acrylate)単量体、2-ヒドロキシプロピルアクリレート(2-hydroxypropyl acrylate)単量体、ペンチルメタクリレート(pentylmethacrylate)単量体、2-ヒドロキシメチルアクリレート(2-hydroxymethyl acrylate)単量体、エチルメタクリレート(ethylmethacrylate)単量体、メチルメタクリレート(methylmethacrylate)単量体、アクリル酸(acrylic acid)単量体およびアクリロニトリル(acrylonitrile)単量体の中から選ばれた3種以上を含む単量体混合物を含んで重合させた重合物でありうる。
【0050】
本発明の好ましい一実施例において、熱硬化性アクリルゴムは、30~45の酸価、500~8,000cpsの粘度を有していてもよい。
【0051】
本発明の好ましい一実施例において、リン系難燃剤は、ホスフェート(Phosphate)系難燃剤、ホスファゼン(Phosphazene)系難燃剤およびホスフィネート(Phosphinate)系難燃剤の中から選ばれた1種以上を含んでもよい。
【0052】
本発明の好ましい一実施例において、本発明の熱硬化性接着フィルムは、熱硬化性アクリルゴム100重量部に対して、エポキシ樹脂120~180重量部およびリン系難燃剤
10~40重量部で含んでもよい。
【0053】
本発明の好ましい一実施例において、本発明の熱硬化性接着フィルムは、硬化剤および無機充填剤の中から選ばれた1種以上をさらに含んでもよい。
【0054】
本発明の好ましい一実施例において、本発明の熱硬化性接着フィルムは、熱硬化性アクリルゴム100重量部に対して、硬化剤8~18重量部および無機充填剤20~40重量部で含んでもよい。
【0055】
本発明の好ましい一実施例において、硬化剤は、アミン系硬化剤、イミダゾール系硬化剤および酸無水物系硬化剤の中から選ばれた1種以上を含んでもよい。
【0056】
本発明の好ましい一実施例において、無機充填剤は、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、シリカ、アルミナ、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄、酸化コバルトおよび酸化クロムの中から選ばれた1種以上を含んでもよい。
【0057】
一方、本発明のカバーレイフィルムは、電気絶縁性基材と、前記電気絶縁性基材の一面に形成された本発明の熱硬化性接着フィルムと、前記熱硬化性接着フィルムの一面に形成された離型フィルムと、を含んでもよい。
【発明の効果】
【0058】
本発明の熱硬化性接着フィルムおよびこれを含むカバーレイフィルムは、優れた耐イオン性マイグレーションを有すると共に、低い誘電率を有するだけでなく、剥離強度にも優れている。
【図面の簡単な説明】
【0059】
図1】本発明の好ましい一具現例によるカバーレイフィルムの断面図である。
図2】熱硬化性接着フィルムの絶縁抵抗を測定するための電極パターンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0060】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施例について本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように詳細に説明する。本発明は、様々な異なる形態で具現され得、ここで説明する実施例に限定されない。図面において本発明を明確に説明するために説明と関係ない部分は省略し、明細全般において同一または類似の構成要素については同じ参照符号を付加する。
【0061】
本発明の熱硬化性接着フィルムは、15~28℃、好ましくは、20~26℃の温度で固状のエポキシ樹脂、15~28℃、好ましくは、20~26℃の温度で固状の熱硬化性アクリルゴムおよびリン系難燃剤を含んでもよい。
【0062】
まず、本発明のエポキシ樹脂は、架橋密度を向上させ、吸湿率および塩素含有量の低減効果を付与することができるものであり、ビスフェノールA型エポキシ(bisphenol-A type epoxy)樹脂、ビスフェノールF型エポキシ(bisphenol-F type epoxy)樹脂、O-クレゾールノボラック型エポキシ(O-cresol novolac type epoxy)樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、低塩素型エポキシ(low-chlorine type epoxy)樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ(dicycolpentadiene type
epoxy)樹脂、ビフェニル型エポキシ(biphenyl type epoxy
)樹脂および多官能性ノボラック型エポキシ(multi-functional novolac type epoxy)樹脂の中から選ばれた2種以上、好ましくは、2種~4種を含んでもよい。もし本発明のエポキシ樹脂として上記に掲載されたエポキシ樹脂のうち1種のみを使用する場合は、接着力が低下するだけでなく、耐脆性が低下する問題があり得る。
【0063】
具体的には、本発明のエポキシ樹脂は、60~80℃の軟化点(softening point)、好ましくは、66~75℃の軟化点を有していてもよく、200~350g/eqのエポキシ当量(Epoxy Equivalent Weight)、好ましくは、240~300g/eqのエポキシ当量を有していてもよい。もしエポキシ当量が200g/eq未満なら、レジンフローの調節が難しい問題があり得、350g/eqを超過すれば、耐化学性が低下する問題があり得る。
【0064】
次に、本発明の熱硬化性アクリルゴムは、レジンフロー(Resin flow)を調節することができるだけでなく、耐脆性を向上させることができるものであり、多様な単量体混合物を重合させた重合物でありうる。具体的には、熱硬化性アクリルゴムは、ブチルアクリレート(butyl acrylate)単量体、2-エチルヘキシルアクリレート(2-ethylhexyl acrylate)単量体、2-メトキシエチルアクリレート(2-methoxyethyl acrylate)単量体、4-ヒドロキシブチルアクリレート(4-hydroxybuthyl acrylate)単量体、エチルアクリレート(ethyl acrylate)単量体、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-hydroxyethyl acrylate)単量体、2-ヒドロキシプロピルアクリレート(2-hydroxypropyl acrylate)単量体、ペンチルメタクリレート(pentylmethacrylate)単量体、2-ヒドロキシメチルアクリレート(2-hydroxymethyl acrylate)単量体、エチルメタクリレート(ethylmethacrylate)単量体、メチルメタクリレート(methylmethacrylate)単量体、アクリル酸(acrylic acid)単量体およびアクリロニトリル(acrylonitrile)単量体の中から選ばれた3種以上、好ましくは、3種~5種を含む単量体混合物を含んで重合させた重合物でありうる。もし本発明の熱硬化性アクリルゴムが上記に掲載された単量体を3種未満で含んで重合させた重合物であれば、機械的強度(引張強度、ヤング率など)が低下する問題があり得る。
【0065】
また、本発明の熱硬化性アクリルゴムは、官能基としてヒドロキシ基およびカルボキシル基を含んでもよいし、もし官能基としてヒドロキシ基およびカルボキシル基のうちいずれか1つも含まなければ、エポキシとの相溶性の低下および接着力の低下の問題があり得る。
【0066】
また、本発明の熱硬化性アクリルゴムは、400,000~1,500,000の重量平均分子量(Mw)、好ましくは、800,000~1,100,000の重量平均分子量(Mw)を有していてもよく、もし重量平均分子量が400,000未満なら、レジンフローの過多発生および耐脆性の低下の問題があり得、1,500,000を超過すれば、粘度の上昇による作業性の低下の問題があり得る。
【0067】
また、本発明の熱硬化性アクリルゴムは、-10~15℃のガラス転移温度(Tg)、好ましくは、-5~10℃のガラス転移温度(Tg)を有していてもよく、もしガラス転移温度が-10℃未満なら、接着剤の表面べとべと感(Tacky)の上昇の問題があり得、15℃を超過すれば、接着剤の耐脆性の低下、特に10℃以下の低温状態での耐脆性の低下問題があり得る。
【0068】
また、本発明の熱硬化性アクリルゴムは、30~45の酸価、好ましくは、35~41の酸価を有していてもよく、もし酸価が30未満なら、接着力の低下の問題があり得、45を超過すれば、混合物の安定性が低下する問題があり得る。
【0069】
また、本発明の熱硬化性アクリルゴムは、500~8,000cpsの粘度、好ましくは、4,000~6,000cpsの粘度を有していてもよく、もし粘度が500cps未満なら、配合安定性の低下(難燃剤の沈降および凝集など)問題があり得、8,000cpsを超過すれば、配合およびミキシング(Mixing)作業性の低下の問題があり得る。
【0070】
次に、本発明のリン系難燃剤は、難燃効果を付与することができるだけでなく、耐熱性を確保するためのものであり、ホスフェート(Phosphate)系難燃剤、ホスファゼン(Phosphazene)系難燃剤およびホスフィネート(Phosphinate)系難燃剤の中から選ばれた1種以上を含んでもよいし、好ましくは、ホスフェート(Phosphate)系難燃剤およびホスファゼン(Phosphazene)系難燃剤の中から選ばれた1種以上を含んでもよい。
【0071】
一方、本発明の熱硬化性接着フィルムは、熱硬化性アクリルゴム100重量部に対して、エポキシ樹脂120~180重量部、好ましくは、140~160重量部で含んでもよいし、もしエポキシ樹脂が120重量部未満で含まれる場合、接着力および耐熱性の低下の問題があり得、180重量部を超過すれば、レジンフローの過多発生の問題があり得る。
【0072】
また、本発明の熱硬化性接着フィルムは、熱硬化性アクリルゴム100重量部に対して、リン系難燃剤10~40重量部、好ましくは、15~30重量部で含んでもよいし、もしリン系難燃剤が10重量部未満に含まれる場合、難燃性の未確保の問題があり得、40重量部を超過すれば、耐熱性の低下の問題があり得る。
【0073】
さらに、本発明の熱硬化性接着フィルムは、硬化剤および無機充填剤の中から選ばれた1種以上をさらに含んでもよいし、好ましくは、硬化剤および無機充填剤をさらに含んでもよい。
【0074】
本発明の硬化剤は、エポキシ樹脂の架橋結合を形成させることができるものであり、アミン系硬化剤、イミダゾール系硬化剤および酸無水物系硬化剤の中から選ばれた1種以上を含んでもよい。
【0075】
また、本発明の無機充填剤は、難燃効果を付与することができるだけでなく、機械的強度を向上させることができる物質であり、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、シリカ、アルミナ、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄、酸化コバルトおよび酸化クロムの中から選ばれた1種以上を含んでもよい。
【0076】
一方、本発明の熱硬化性接着フィルムは、熱硬化性アクリルゴム100重量部に対して、硬化剤8~18重量部、好ましくは、10~16重量部で含んでもよいし、もし硬化剤が8重量部未満で含まれる場合、接着成分の未硬化による耐熱性の低下の問題があり得、18重量部を超過すれば、接着成分の過硬化による接着力の低下および長期保管作業性の低下(速い経時変化)の問題があり得る。
【0077】
また、本発明の熱硬化性接着フィルムは、熱硬化性アクリルゴム100重量部に対して、無機充填剤20~40重量部、好ましくは、25~35重量部で含んでもよいし、もし無機充填剤が20重量部未満で含まれる場合、機械的強度の低下の問題があり得、40重
量部を超過すれば、無機充填剤の沈降および凝集の問題があり得る。
【0078】
さらに、本発明の熱硬化性接着フィルムは、粘度を調節して作業性を容易にすることができるように有機溶剤をさらに含んでもよいし、有機溶剤としてメチルエチルケトンを含んでもよい。
【0079】
また、本発明の熱硬化性接着フィルムは、物性の向上のために多様な添加剤をさらに含んでもよいし、好ましくは、ポリエステル系原料、シランカップリング剤および界面活性剤の中から選ばれた1種以上をさらに含んでもよい。
【0080】
一方、本発明の熱硬化性接着フィルムは、条件(1)~(3)を全て満たすことができる。
【0081】
(1)A≧100MΩ、好ましくは、500MΩ≦A≦11,000MΩ、より好ましくは、1,000MΩ≦A≦5,000MΩ
【0082】
前記条件(1)において、Aは、IPC-TM 650試験規格によって、85℃の温度、85%の相対湿度および50Vの直流電圧の条件で、500~1000時間測定した絶縁抵抗(insulation resistance)を示す。
【0083】
(2)B≦3.3、B≦3.1、好ましくは、2.9≦B≦3.3、2.8≦B≦3.1、より好ましくは、3.1≦B≦3.25、3.0≦B≦3.1
【0084】
前記条件(2)において、Bは、1GHzでの誘電率(dielectric constant)を示し、Bは、10GHzでの誘電率(dielectric constant)を示す。
【0085】
(3)C≧0.7kgf/cm、好ましくは、1.2kgf/cm≦C≦2.2kgf/cm、より好ましくは、1.7kgf/cm≦C≦2.0kgf/cm
【0086】
前記条件(3)において、Cは、50mm/分の速度、90°の剥離方向の条件で剥離時に測定した剥離強度(peel strength)を示す。
【0087】
また、本発明の熱硬化性接着フィルムは、条件(4)をさらに満たすことができる。
【0088】
(4)D≦0.5%、好ましくは、0.1%≦D≦0.4%、より好ましくは、0.2%≦D≦0.3%
【0089】
前記条件(4)において、Dは、IPC TM-650試験規格によって、下記関係式1によって測定された測定した吸湿率(moisture absorption)を示す。
【0090】
[関係式1]
吸湿率(%)=(D-D)/D×100
【0091】
前記関係式1において、Dは、乾燥した熱硬化性接着フィルムの重さを示し、Dは、乾燥した熱硬化性接着フィルムを蒸留水に24時間沈積した後の重さを示す。
【0092】
また、本発明の熱硬化性接着フィルムは、条件(5)をさらに満たすことができる。
【0093】
(5)65℃≦E≦85℃、好ましくは、68℃≦E≦80℃、より好ましくは、70℃≦E≦75℃
【0094】
前記条件(5)において、Eは、ガラス転移温度(Tg)を示し、もしガラス転移温度が65℃未満なら、接着フィルムの表面べとべと感(Tacky)の問題があり得、85℃を超過すれば、耐脆性の低下および接着力の低下の問題があり得る。
【0095】
また、本発明の熱硬化性接着フィルムは、条件(6)をさらに満たすことができる。
【0096】
(6)65ppm/℃≦F≦95ppm/℃、200ppm/℃≦F≦280ppm/℃、好ましくは、75ppm/℃≦F≦90ppm/℃、220ppm/℃≦F≦260ppm/℃、より好ましくは、80ppm/℃≦F≦85ppm/℃、240ppm/℃≦F≦250ppm/℃
【0097】
前記条件(6)において、Fは、10℃/minの速度で温度を上昇させるとき、ガラス転移温度(Tg)到達前の熱膨張係数(Coefficient of Thermal Expansion)を示し、Fは、10℃/minの速度で温度を上昇させるとき、ガラス転移温度(Tg)到達後の熱膨張係数(Coefficient of Thermal Expansion)を示す。
【0098】
また、本発明の熱硬化性接着フィルムは、条件(7)をさらに満たすことができる。
【0099】
(7)20MPa≦G≦50MPa、好ましくは、22MPa≦G≦40MPa、より好ましくは、25MPa≦G≦33MPa
【0100】
前記条件(7)において、Gは、IPC TM-650試験規格によって測定した引張強度(tensile strength)を示す。
【0101】
また、本発明の熱硬化性接着フィルムは、条件(8)をさらに満たすことができる。
【0102】
(8)0.3GPa≦H≦1.0GPa、好ましくは、0.4GPa≦H≦0.8GPa、より好ましくは、0.5GPa≦H≦0.7GPa
【0103】
前記条件(8)において、Hは、IPC TM-650試験規格によって測定したヤング率(Young’s Modulus)を示す。
【0104】
また、本発明の熱硬化性接着フィルムは、条件(9)をさらに満たすことができる。
【0105】
(9)30%≦I≦130%、好ましくは、40%≦I≦120%、より好ましくは、60%≦I≦120%、より一層好ましくは、100%≦I≦120%
【0106】
前記条件(9)において、Iは、IPC TM-650試験規格によって測定した伸び率(Elongation)を示す。
【0107】
さらに、図1を参照すると、本発明のカバーレイフィルムは、電気絶縁性基材20、電気絶縁性基材の一面に形成された熱硬化性接着フィルム10および熱硬化性接着フィルム10の一面に形成された離型フィルム30を含んでもよい。この際、熱硬化性接着フィルム10は、前述した本発明の熱硬化性接着フィルムを含んでもよい。
【0108】
また、本発明の熱硬化性接着フィルムを含むカバーレイフィルムを代表的に言及したが
、本発明の熱硬化性接着フィルムは、これに限定されず、ボンディングシート、金属積層板などにもそのまま適用され得ることは言うまでもない。
【0109】
また、電気絶縁性基材20および離型フィルム30それぞれは、特に限定されないが、ポリイミド(PI)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、液晶高分子(LCP)フィルム、アラミドフィルム、フッ素系フィルムなどを一般的に適用することができ、好ましくは、電気絶縁性基材としては、240℃以上の温度で高温寸法安定性が要求される場合、ポリイミドフィルムを適用することができ、離型フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを適用することができる。
【0110】
以下、本発明を下記実施例に基づいて説明する。この際、下記実施例は、ただ発明を例示するために提示されたものであり、本発明の権利範囲が下記実施例によって限定されるものではない。
【実施例
【0111】
実施例1:熱硬化性接着フィルムの製造
有機溶剤としてのメチルエチルケトンに20~26℃の温度で固状であり、官能基としてヒドロキシ基およびカルボキシル基を含む熱硬化性アクリルゴム、20~26℃の温度で固状のエポキシ樹脂、リン系難燃剤、硬化剤および無機充填剤を混合して混合物を製造し、製造した混合物を150℃オーブンで2分間乾燥して、20μmの厚さ、73℃のガラス転移温度(Tg)を有する熱硬化性接着フィルムを製造した。
【0112】
この際、熱硬化性アクリルゴム100重量部に対して、エポキシ樹脂150重量部、リン系難燃剤20重量部、硬化剤13重量部、無機充填剤30重量部を混合し、熱硬化性アクリルゴム(固形分:20重量%)として、エチルアクリレート単量体、アクリロニトリル単量体、2-ヒドロキシエチルアクリレート単量体およびエチルメタクリレート単量体を1:6:1:2の重量比で重合させた重合物を使用し、850,000の重量平均分子量(Mw)、5.85℃のガラス転移温度(Tg)、37.5の酸価、5,000cpsの粘度を有するものを使用した。
【0113】
また、エポキシ樹脂として71℃の軟化点、270g/eqのエポキシ当量(Epoxy Equivalent Weight)を有するものを使用し、20~26℃の温度で固状のビスフェノールA型エポキシ樹脂100重量部に対して、20~26℃の温度で液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂30重量部およびフェノールノボラック型エポキシ樹脂20重量部を混合したものを使用した。
【0114】
また、リン系難燃剤としてホスファゼン(Phosphazene)系難燃剤を使用し、硬化剤としてアミン系硬化剤10重量部、イミダゾール系硬化剤3重量部を混合したものを使用し、無機充填剤として水酸化アルミニウムを使用した。
【0115】
実施例2:熱硬化性接着フィルムの製造
実施例1と同じ方法で熱硬化性接着フィルムを製造した。ただし、実施例1とは異なって、熱硬化性アクリルゴム100重量部に対して、エポキシ樹脂110重量部を混合して、最終的に熱硬化性接着フィルムを製造した。この際、エポキシ樹脂として、71℃の軟化点、270g/eqのエポキシ当量(Epoxy Equivalent Weight)を有するものを使用し、エポキシ樹脂110重量部は、20~26℃の温度で固状のビスフェノールA型エポキシ樹脂73重量部、20~26℃の温度で液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂22重量部およびフェノールノボラック型エポキシ樹脂15重量部を混合したものである。
【0116】
実施例3:熱硬化性接着フィルムの製造
実施例1と同じ方法で熱硬化性接着フィルムを製造した。ただし、実施例1とは異なって、熱硬化性アクリルゴム100重量部に対して、エポキシ樹脂190重量部を混合して、最終的に熱硬化性接着フィルムを製造した。この際、エポキシ樹脂として、71℃の軟化点、270g/eqのエポキシ当量(Epoxy Equivalent Weight)を有するものを使用し、エポキシ樹脂190重量部は、20~26℃の温度で固状のビスフェノールA型エポキシ樹脂127重量部、20~26℃の温度で液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂38重量部およびフェノールノボラック型エポキシ樹脂25重量部を混合したものである。
【0117】
実施例4:熱硬化性接着フィルムの製造
実施例1と同じ方法で熱硬化性接着フィルムを製造した。ただし、実施例1とは異なって、エポキシ樹脂として、20~26℃の温度で固状のビスフェノールA型エポキシ樹脂100重量部に対して、20~26℃の温度で液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂30重量部を混合したものを使用して、最終的に熱硬化性接着フィルムを製造した。この際、エポキシ樹脂は、67℃の軟化点、285g/eqのエポキシ当量(Epoxy Equivalent Weight)を有した。
【0118】
実施例5:熱硬化性接着フィルムの製造
実施例1と同じ方法で熱硬化性接着フィルムを製造した。ただし、実施例1とは異なって、エポキシ樹脂として、20~26℃の温度で固状のビスフェノールA型エポキシ樹脂100重量部に対して、フェノールノボラック型エポキシ樹脂20重量部を混合したものを使用して、最終的に熱硬化性接着フィルムを製造した。この際、エポキシ樹脂は、77℃の軟化点、291g/eqのエポキシ当量(Epoxy Equivalent Weight)を有した。
【0119】
実施例6:熱硬化性接着フィルムの製造
実施例1と同じ方法で熱硬化性接着フィルムを製造した。ただし、実施例1とは異なって、エポキシ樹脂として、20~26℃の温度で液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂100重量部に対して、20~26℃の温度で固状のビスフェノールA型エポキシ樹脂30重量部を混合したものを使用して、最終的に熱硬化性接着フィルムを製造した。この際、エポキシ樹脂は、52℃の軟化点、190g/eqのエポキシ当量(Epoxy Equivalent Weight)を有した。
【0120】
実施例7:熱硬化性接着フィルムの製造
実施例1と同じ方法で熱硬化性接着フィルムを製造した。ただし、実施例1とは異なって、エポキシ樹脂として、20~26℃の温度で固状のビスフェノールF型エポキシ樹脂100重量部に対して、20~26℃の温度で液状のビスフェノールF型エポキシ樹脂30重量部を混合したものを使用して、最終的に熱硬化性接着フィルムを製造した。この際、エポキシ樹脂は、85℃の軟化点、364g/eqのエポキシ当量(Epoxy Equivalent Weight)を有した。
【0121】
実施例8:熱硬化性接着フィルムの製造
実施例1と同じ方法で熱硬化性接着フィルムを製造した。ただし、実施例1とは異なって、熱硬化性アクリルゴム(固形分:20重量%)として、エチルアクリレート単量体、アクリロニトリル単量体、2-ヒドロキシエチルアクリレート単量体およびエチルメタクリレート単量体を1:6:1:2の重量比で重合させた重合物を使用し、最終的に熱硬化性接着フィルムを製造した。この際、熱硬化性アクリルゴムは、830,000の重量平均分子量(Mw)、5.6℃のガラス転移温度(Tg)、19.7の酸価、4,900c
psの粘度を有するものを使用した。
【0122】
実施例9:熱硬化性接着フィルムの製造
実施例1と同じ方法で熱硬化性接着フィルムを製造した。ただし、実施例1とは異なって、熱硬化性アクリルゴム(固形分:20重量%)として、エチルアクリレート単量体、アクリロニトリル単量体、2-ヒドロキシエチルアクリレート単量体およびエチルメタクリレート単量体を1:6:1:2の重量比で重合させた重合物を使用し、最終的に熱硬化性接着フィルムを製造した。この際、熱硬化性アクリルゴムは、350,000の重量平均分子量(Mw)、4.3℃のガラス転移温度(Tg)、35.6の酸価、2,100cpsの粘度を有するものを使用した。
【0123】
実施例10:熱硬化性接着フィルムの製造
実施例1と同じ方法で熱硬化性接着フィルムを製造した。ただし、実施例1とは異なって、リン系難燃剤として、ホスファゼン(Phosphazene)系難燃剤でなく、ホスフェート(Phosphate)系難燃剤を使用して、最終的に熱硬化性接着フィルムを製造した。
【0124】
実施例11:熱硬化性接着フィルムの製造
実施例1と同じ方法で熱硬化性接着フィルムを製造した。ただし、実施例1とは異なって、リン系難燃剤として、ホスファゼン(Phosphazene)系難燃剤でなく、窒素系メラミン化合物難燃剤を使用して、最終的に熱硬化性接着フィルムを製造した。
【0125】
実施例12:熱硬化性接着フィルムの製造
実施例1と同じ方法で熱硬化性接着フィルムを製造した。ただし、実施例1とは異なって、熱硬化性アクリルゴム100重量部に対して、リン系難燃剤5重量部を混合して、最終的に熱硬化性接着フィルムを製造した。
【0126】
実施例13:熱硬化性接着フィルムの製造
実施例1と同じ方法で熱硬化性接着フィルムを製造した。ただし、実施例1とは異なって、熱硬化性アクリルゴム100重量部に対して、リン系難燃剤45重量部を混合して、最終的に熱硬化性接着フィルムを製造した。
【0127】
比較例1:熱硬化性接着フィルムの製造
実施例1と同じ方法で熱硬化性接着フィルムを製造した。ただし、実施例1とは異なって、熱硬化性アクリルゴム(固形分:20重量%)として、エチルアクリレート単量体、アクリロニトリル単量体、2-ヒドロキシエチルアクリレート単量体およびエチルメタクリレート単量体を1:5:1:1の重量比で重合させた重合物を使用し、最終的に熱硬化性接着フィルムを製造した。この際、熱硬化性アクリルゴムは、830,000の重量平均分子量(Mw)、-16℃のガラス転移温度(Tg)、35.0の酸価、4,000cpsの粘度を有するものを使用した。
【0128】
比較例2:熱硬化性接着フィルムの製造
実施例1と同じ方法で熱硬化性接着フィルムを製造した。ただし、実施例1とは異なって、熱硬化性アクリルゴム(固形分:20重量%)として、エチルアクリレート単量体、アクリロニトリル単量体、2-ヒドロキシエチルアクリレート単量体およびエチルメタクリレート単量体を1:4.5:1:2の重量比で重合させた重合物を使用し、最終的に熱硬化性接着フィルムを製造した。この際、熱硬化性アクリルゴムは、790,000の重量平均分子量(Mw)、20℃のガラス転移温度(Tg)、36.3の酸価、4,200cpsの粘度を有するものを使用した。
【0129】
実施例14:熱硬化性接着フィルムの製造
有機溶剤としてのメチルエチルケトンに20~26℃の温度で固状であり、官能基としてヒドロキシ基およびカルボキシル基を含む熱硬化性アクリルゴム、20~26℃の温度で固状のエポキシ樹脂、リン系難燃剤、硬化剤および無機充填剤を混合して混合物を製造して、製造した混合物を150℃オーブンで2分間乾燥して、20μmの厚さ、64℃のガラス転移温度(Tg)を有する熱硬化性接着フィルムを製造した。
【0130】
この際、熱硬化性アクリルゴム100重量部に対して、エポキシ樹脂150重量部、リン系難燃剤20重量部、硬化剤13重量部、無機充填剤30重量部を混合し、熱硬化性アクリルゴム(固形分:20重量%)として、エチルアクリレート単量体、アクリロニトリル単量体、2-ヒドロキシエチルアクリレート単量体およびエチルメタクリレート単量体を1:5.2:1:0.5の重量比で重合させた重合物を使用し、790,000の重量平均分子量(Mw)、-8℃のガラス転移温度(Tg)、36.2の酸価、3,900cpsの粘度を有するものを使用した。また、エポキシ樹脂として20~26℃の温度で固状のビスフェノールA型エポキシ樹脂100重量部に対して、20~26℃の温度で液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂50重量部を混合したものを使用した。また、リン系難燃剤としてホスファゼン(Phosphazene)系難燃剤を使用し、硬化剤としてアミン系硬化剤10重量部、イミダゾール系硬化剤3重量部を混合したものを使用し、無機充填剤として水酸化アルミニウムを使用した。
【0131】
実施例15:熱硬化性接着フィルムの製造
有機溶剤としてのメチルエチルケトンに20~26℃の温度で固状であり、官能基としてヒドロキシ基およびカルボキシル基を含む熱硬化性アクリルゴム、20~26℃の温度で固状のエポキシ樹脂、リン系難燃剤、硬化剤および無機充填剤を混合して混合物を製造し、製造した混合物を150℃オーブンで2分間乾燥して、20μmの厚さ、83℃のガラス転移温度(Tg)を有する熱硬化性接着フィルムを製造した。この際、熱硬化性アクリルゴム100重量部に対して、エポキシ樹脂150重量部、リン系難燃剤20重量部、硬化剤13重量部、無機充填剤30重量部を混合し、熱硬化性アクリルゴム(固形分:20重量%)として、エチルアクリレート単量体、アクリロニトリル単量体、2-ヒドロキシエチルアクリレート単量体およびエチルメタクリレート単量体を1:4.8:1:2の重量比で重合させた重合物を使用し、820,000の重量平均分子量(Mw)、13℃のガラス転移温度(Tg)、37.1の酸価、4,000cpsの粘度を有するものを使用した。また、エポキシ樹脂として20~26℃の温度で固状のビスフェノールA型エポキシ樹脂100重量部に対して、フェノールノボラック型エポキシ樹脂50重量部を混合したものを使用した。また、リン系難燃剤としてホスファゼン(Phosphazene)系難燃剤を使用し、硬化剤としてアミン系硬化剤10重量部、イミダゾール系硬化剤3重量部を混合したものを使用し、無機充填剤として水酸化アルミニウムを使用した。
【0132】
実験例1
前記実施例1~15および比較例1~2によって製造された熱硬化性接着フィルムそれぞれに対して下記の物性を測定し、下記表1~表4に示した。
【0133】
1.絶縁抵抗(マイグレーション評価)
IPC-TM 650試験規格によって、実施例1~15および比較例1~2によって製造された熱硬化性接着フィルムに対する絶縁抵抗(MΩ)を測定した。
【0134】
具体的には、図2に示されたような一面に負極と正極が交差したコム(Comb)形態構造のパターン(pattern)が形成されたポリイミド(PI)フィルム(厚さ:25μm)を準備し、パターンが形成されたポリイミドフィルムの上に実施例1~15および比較例1~2によって製造された熱硬化性接着フィルムそれぞれを積層して試験片を製
作し、絶縁抵抗測定装置としてAMI-025-U-5(Espec Corp.,Japan)を使用して、85℃の温度、85%の相対湿度および50Vの直流電圧の条件(使用用水:10MΩ・cm以上の超純水)で、1000時間試験片の絶縁抵抗(insulation resistance)を測定し、測定時間中、500~1000時間測定した平均絶縁抵抗(insulation resistance)を下記表1~表5に示した。
【0135】
2.誘電率
ホットプレス(hot press)用第1離型フィルムとホットプレス(hot press)用第2離型フィルムとの間に実施例1~15および比較例1~2によって製造された熱硬化性接着フィルムそれぞれを位置させた後、ホットプレス(Hot Pressing)を用いて熱硬化して、試験片を製造した。この際、熱硬化は、温度160℃、圧力45kgf/cmの条件で60分間行った。
【0136】
製造した試験片を横150mm、縦160mm、厚さ20μmに裁断し、LCRメーター(Key sight E5041C)を用いて、1GHzでの誘電率(dielectric constant)を測定し、下記表1~表5に示した
【0137】
また、製造した試験片を横40mm、縦40mm、厚さ20μmに裁断し、LCRメーター(Key sight E5041C)を用いて、10GHzでの誘電率(dielectric constant)を測定し、下記表1~表5に示した
【0138】
3.剥離強度
電解銅箔(厚さ:1oz)、接着剤(厚さ:10μm)、ポリイミド(PI)フィルム(厚さ:25μm)が順次に積層されたFCCL(FLEXIBLE COPPER CLAD LAMINATION,HGLS-S211EM)を2枚準備した。2枚のFCCLのポリイミドフィルムが互いに向かい合うように位置させた後、それらの間に実施例1~15および比較例1~2によって製造された熱硬化性接着フィルムそれぞれを位置させた後、ホットプレス(Hot Pressing)を用いて熱硬化して、試験片を製造した。この際、熱硬化は、温度160℃、圧力45kgf/cmの条件で60分間行った。
【0139】
製造した試験片を横150mm、縦150mmに裁断し、50mm/分の速度、90°の剥離方向の条件で1枚のFCCLを剥離して、剥離強度を測定した(剥離強度の測定において、初期5mm値を除いて、3回繰り返して測定した後の平均値を下記表1~表5に示した。)。
【0140】
4.吸湿率
IPC-TM 650試験規格によって、実施例1~15および比較例1~2によって製造された熱硬化性接着フィルムそれぞれに対する吸湿率(%)を測定した。
【0141】
具体的には、ホットプレス(hot press)用第1離型フィルムとホットプレス(hot press)用第2離型フィルムとの間に実施例1~15および比較例1~2によって製造された熱硬化性接着フィルムそれぞれを位置させた後、ホットプレス(Hot Pressing)を用いて熱硬化して試験片を製造した。この際、熱硬化は、温度160℃、圧力45kgf/cmの条件で60分間行った。
【0142】
製造した試験片を横50mm、縦50mm、厚さ20μmに裁断し、試験片を105℃の温度で1時間乾燥した後に、乾燥した試験片の重さを測定した。
【0143】
乾燥した試験片を常温(23±1℃)で蒸留水に24時間沈積した。沈積した後に乾いた布で試験片の表面の水分をぬぐい取った後、吸湿後の試験片の重さを測定した。
【0144】
吸湿率は、下記関係式1によって計算し、計算した値を下記表1~表5に示した。
【0145】
[関係式1]
吸湿率(%)=(吸湿後の試験片-乾燥した試験片)/乾燥した試験片×100
【0146】
5.熱膨張係数
ホットプレス(hot press)用第1離型フィルムとホットプレス(hot press)用第2離型フィルムとの間に実施例1~15および比較例1~2によって製造された熱硬化性接着フィルムそれぞれを位置させた後、ホットプレス(Hot Pressing)を用いて熱硬化して試験片を製造した。この際、熱硬化は、温度160℃、圧力45kgf/cmの条件で60分間行った。また、製造した試験片は、酸化防止のために50cc/minの窒素でパージング(purging)した。
【0147】
製造した試験片を横5mm、縦16mmに裁断し、TMA Q 400装置を用いて10℃/minの昇温速度で常温(23±1℃)から200℃に上昇させる間に、試験片のガラス転移温度(Tg)到達前の熱膨張係数(F)およびガラス転移温度(Tg)到達後の熱膨張係数(F)をそれぞれ測定し、下記表1~表5に示した。
【0148】
6.引張強度、ヤング率、伸び率
IPC-TM 650試験規格によって、実施例1~15および比較例1~2によって製造された熱硬化性接着フィルムそれぞれに対する引張強度、ヤング率および伸び率それぞれを測定した。
【0149】
具体的には、ホットプレス(hot press)用第1離型フィルムとホットプレス(hot press)用第2離型フィルムとの間に実施例1~15および比較例1~2によって製造された熱硬化性接着フィルムそれぞれを位置させた後、ホットプレス(Hot Pressing)を通じて熱硬化して試験片を製造した。この際、熱硬化は、温度160℃、圧力45kgf/cmの条件で60分間行った。
【0150】
製造した試験片を横100mm、縦100mm、厚さ20μmに裁断し、製造した試験片の中間部分を打ち抜いた。打ち抜きによって試験片の打ち抜いた部分は、20mmの長さ、5mmの厚さを有した。
【0151】
引張実験機にspan 10mmで試験片をセットし、50mm/minの速度で試験片を引っ張って、破断させるときの引張強度、ヤング率および伸び率を計算し、下記表1~表5に示した。
【0152】
7.レジンフロー
ポリイミド(PI)フィルム(厚さ:25μm)の一面に実施例1~15および比較例1~2によって製造された熱硬化性接着フィルムそれぞれを仮固定し、試験片を製造した。この際、仮固定は、110℃の温度、1.0m/minの速度で行った。製造した試験片の一面を打ち抜き、試験片の熱硬化性接着フィルムをFCCLのポリイミドフィルムに積層した後、ホットプレス(Hot Pressing)を用いて熱硬化した。この際、熱硬化は、温度160℃、圧力45kgf/cmの条件で60分間行った。FCCLで電解銅箔(厚さ:1oz)、接着剤(厚さ:10μm)、ポリイミド(PI)フィルム(厚さ:25μm)が順次に積層されたもの(HGLS-S211EM)を使用した。
【0153】
その後、顕微鏡を用いて試験片の打ち抜いた部分のレジンフロー(ホットプレス過程で接着剤が流れ出た長さ)を測定し、下記表1~表5に示した。
【0154】
8.難燃性
ポリイミド(PI)フィルム(厚さ:25μm)を2枚準備した。2枚のポリイミドフィルムが互いに向かい合うように位置させた後、それらの間に実施例1~15および比較例1~2によって製造された熱硬化性接着フィルムそれぞれを位置させた後、ホットプレス(Hot Pressing)を用いて熱硬化して試験片を製造した。この際、熱硬化は、温度160℃、圧力45kgf/cmの条件で60分間行った。
【0155】
製造した試験片をUL94難燃規格に準じて難燃試験を進め、難燃規格を満たす場合、OK、難燃規格を満たさない場合、NGと評価し、下記表1~表5に示した。
【0156】
【表1】
【0157】
表1から明らかなように、実施例1で製造した熱硬化性接着フィルムは、優れた耐イオンマイグレーションを有し、1GHzだけでなく、10GHzでも、低い誘電率を示し、吸湿率が低く、機械的物性にも優れ、難燃性を有することを確認することができた。
【0158】
しかしながら、実施例1で製造した熱硬化性接着フィルムと比較して、実施例2で製造した熱硬化性接着フィルムは、引張強度だけでなく、ヤング率が低下することを確認することができた。
【0159】
また、実施例1で製造した熱硬化性接着フィルムと比較して、実施例3で製造した熱硬化性接着フィルムは、熱膨張係数だけでなく、伸び率が非常に増加することを確認することができた。
【0160】
また、実施例1で製造した熱硬化性接着フィルムと比較して、実施例4で製造した熱硬化性接着フィルムは、剥離強度が低下し、熱膨張係数だけでなく、伸び率が増加することを確認することができた。
【0161】
また、実施例1で製造した熱硬化性接着フィルムと比較して、実施例5で製造した熱硬化性接着フィルムは、剥離強度だけでなく、レジンフローが低下することを確認することができた。
【0162】
【表2】
【0163】
表2から明らかなように、実施例1で製造した熱硬化性接着フィルムと比較して、実施例6で製造した熱硬化性接着フィルムは、剥離強度だけでなく、伸び率が低下し、レジンフローが増加することを確認することができた。
【0164】
また、実施例1で製造した熱硬化性接着フィルムと比較して、実施例7で製造した熱硬化性接着フィルムは、絶縁抵抗と剥離強度、伸び率およびレジンフローが低下するだけでなく、吸湿率および熱膨張係数が増加することを確認することができた。
【0165】
また、実施例1で製造した熱硬化性接着フィルムと比較して、実施例8で製造した熱硬化性接着フィルムは、剥離強度が低下するだけでなく、レジンフローが増加することを確認することができた。
【0166】
また、実施例1で製造した熱硬化性接着フィルムと比較して、実施例9で製造した熱硬化性接着フィルムは、剥離強度、引張強度、ヤング率および伸び率が低下するだけでなく、熱膨張係数とレジンフローが増加することを確認することができた。
【0167】
【表3】
【0168】
表3から明らかなように、実施例1で製造した熱硬化性接着フィルムと比較して、実施例10で製造した熱硬化性接着フィルムは、誘電率が増加するだけでなく、吸湿率も増加することを確認することができた。
【0169】
また、実施例1で製造した熱硬化性接着フィルムと比較して、実施例11で製造した熱硬化性接着フィルムは、誘電率が増加するだけでなく、難燃性が低下することを確認することができた。
【0170】
また、実施例1で製造した熱硬化性接着フィルムと比較して、実施例12で製造した熱硬化性接着フィルムは、難燃性が低下することを確認することができた。
【0171】
また、実施例1で製造した熱硬化性接着フィルムと比較して、実施例13で製造した熱硬化性接着フィルムは、絶縁抵抗が低下するだけでなく、剥離強度が低下することを確認することができた。
【0172】
【表4】
【0173】
表4から明らかなように、実施例1で製造した熱硬化性接着フィルムと比較して、比較例1で製造した熱硬化性接着フィルムは、引張強度とヤング率が低下するだけでなく、熱膨張係数と伸び率が増加することを確認することができた。
【0174】
また、実施例1で製造した熱硬化性接着フィルムと比較して、比較例2で製造した熱硬化性接着フィルムは、剥離強度が低下するだけでなく、レジンフローが増加することを確認することができた。
【0175】
【表5】
【0176】
表5から明らかなように、実施例1で製造した熱硬化性接着フィルムと比較して、実施例14で製造した熱硬化性接着フィルムは、熱膨張係数および伸び率が増加するだけでな
く、引張強度およびヤング率が低下することを確認することができた。
【0177】
また、実施例1で製造した熱硬化性接着フィルムと比較して、実施例15で製造した熱硬化性接着フィルムは、剥離強度が低下することを確認することができた。
【0178】
本発明の単純な変形や変更は、当該分野における通常の知識を有する者によって容易に実施され得、このような変形や変更は、全て本発明の領域に含まれるものと見なすべきである。
【産業上の利用可能性】
【0179】
本発明は、熱硬化性接着フィルムおよびこれを含むカバーレイフィルムに関し、より詳細には、優れた耐イオン性マイグレーションを有すると共に、低い誘電率を有するだけでなく、剥離強度にも優れた熱硬化性接着フィルムおよびこれを含むカバーレイフィルムに関する。
図1
図2
【国際調査報告】