(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-25
(54)【発明の名称】システムスリープ中の低減電力によるタイミング精度維持
(51)【国際特許分類】
G06F 1/08 20060101AFI20230818BHJP
H04W 52/02 20090101ALI20230818BHJP
【FI】
G06F1/08 510
H04W52/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023506050
(86)(22)【出願日】2021-07-28
(85)【翻訳文提出日】2023-01-27
(86)【国際出願番号】 US2021043509
(87)【国際公開番号】W WO2022031496
(87)【国際公開日】2022-02-10
(32)【優先日】2020-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】520490417
【氏名又は名称】アナログ ディヴァイスィズ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ブレット・ワルネケ
(72)【発明者】
【氏名】ゲイリー・ウェイン・ング
(72)【発明者】
【氏名】マーク・アラン・レムキン
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067CC21
5K067EE02
(57)【要約】
本開示の実施形態は、デバイス(例えば、無線ノード)の異なる動作モードでタイミング精度を維持するためのシステム及び方法を提供する。タイミング回路は、タイミング精度を維持しながら、2つの異なるモード(例えば、高電力及び低電力)間でクロック信号を切り替えることができる。高電力モードで、タイミング回路は、高周波数クロック信号を提供することができ、低電力モードで、低周波数クロック信号を提供することができる。更に、異なるクロック信号間の切り替えは同期され、低周波数クロック信号のエッジを選択してもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロック回路であって、
第1の周波数を有する第1のクロック信号を生成するクロックと、
前記第1のクロック信号を分割して、第2の周波数で出力される第2のクロック信号を生成するクロック分割器であって、前記第1の周波数が前記第2の周波数よりも高い、クロック分割器と、
前記第1及び第2のクロック信号を入力として受信するマルチプレクサと、
前記マルチプレクサに結合されたコントローラであって、第1のモード中に前記第1のクロック信号を出力し、第2のモード中に前記第2のクロック信号を出力するように前記マルチプレクサを制御するための、コントローラと、を備え、
前記マルチプレクサによる前記第1のクロック信号と前記第2のクロック信号との間の切り替えは、前記第2のクロック信号の選択エッジに基づいて行われる、クロック回路。
【請求項2】
前記第1のモードから前記第2のモードに切り替えるコマンドに応答して、前記コントローラは、前記第2のクロック信号の前記選択エッジで前記第1のクロック信号から前記第2のクロック信号に前記マルチプレクサ出力を切り替えるように構成されている、請求項1に記載のクロック回路。
【請求項3】
前記第2のモードから前記第1のモードに切り替えるコマンドに応答して、前記コントローラは、前記第2のクロック信号の前記選択エッジで前記第2のクロック信号から前記第1のクロック信号に前記マルチプレクサ出力を切り替えるように構成されている、請求項1に記載のクロック回路。
【請求項4】
前記マルチプレクサへの前記第1のクロック信号を接続及び切断するように前記第1のクロック信号出力に結合されたクロックゲートを更に備える、請求項1に記載のクロック回路。
【請求項5】
前記クロックゲート及び前記分割器は、前記クロックに空間的に近接して位置し、前記クロックは、水晶発振器を含む、請求項4に記載のクロック回路。
【請求項6】
システム時刻カウントを維持するように前記マルチプレクサに結合されたシステム時刻カウンタを更に備える、請求項1に記載のクロック回路。
【請求項7】
前記システムカウンタは、前記第1のモード中に前記第1のクロック信号に基づいて前記システム時刻カウントをインクリメントし、前記第2のモード中に前記第2のクロック信号に基づいて前記システム時刻カウントをインクリメントするように構成されている、請求項6に記載のクロック回路。
【請求項8】
前記クロック分割器は、複数の第2のクロック信号を生成し、各第2のクロック信号は、異なる周波数で振動するように構成されている、請求項1に記載のクロック回路。
【請求項9】
異なるモード間のタイミングを維持する方法であって、前記方法は、
第1の電力モードから第2の電力モードに切り替えるコマンドを受信することと、
前記コマンドを受信することに応答して、クロック信号のセットの低周波数クロック信号の次の指定されたエッジを検出することと、
前記低周波数クロックの前記検出されたエッジにおいて、前記第2の電力モードに対応するクロック信号に切り替えることと、を含む、方法。
【請求項10】
前記第1の電力モードに対応する第2のクロック信号に基づいてシステム時刻カウントを維持することと、
前記第2の電力モードに対応する前記クロック信号に切り替えることに応答して、前記第2の電力モードに対応する前記クロック信号に基づいて前記システム時刻カウントを維持することと、を更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の電力モードは、高電力モードであり、前記第2の電力モードは、低電力モードであり、前記第2の電力モードに対応する前記クロック信号は、前記低周波数クロック信号である、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記第2の電力モードに対応する前記クロック信号に切り替えることに応答して、前記第1の電力モードに対応する第2のクロック信号をブロックすることを更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1のモードは、低電力モードであり、前記第2の電力モードは、高電力モードであり、前記第2の電力に対応する前記クロック信号は、高周波数クロック信号である、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記第2の電力モードに対応する前記クロック信号に切り替える前に、前記高周波数クロック信号を有効にすることを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記高周波数クロック信号を使用して前記低周波数クロック信号を生成することを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
モード間のタイミングを維持するデバイスであって、前記デバイスは、
別のデバイスと通信する無線インタフェースと、
クロック回路であって、
第1の周波数を有する第1のクロック信号を生成するクロックと、
前記第1のクロック信号を分割して第2の周波数で第2のクロック信号を生成するクロック分割器であって、前記第1の周波数が前記第2の周波数よりも高い、クロック分割器と、
前記第1及び第2のクロック信号を入力として受信するマルチプレクサと、
マルチプレクサに結合されたコントローラであって、第1のモード中に前記第1のクロック信号を出力し、第2のモード中に前記第2のクロック信号を出力するように前記マルチプレクサを制御するための、コントローラと、を備える、クロック回路と、を備え、
前記マルチプレクサによる前記第1のクロック信号と前記第2のクロック信号との間の切り替えは、前記第2のクロック信号の選択エッジに基づいて行われる、デバイス。
【請求項17】
前記第1のモードから前記第2のモードに切り替えるコマンドに応答して、前記コントローラは、前記第2のクロック信号の前記選択エッジで、前記第1のクロック信号から前記第2のクロック信号に前記マルチプレクサ出力を切り替えるように構成されている、請求項16に記載のデバイス。
【請求項18】
前記第2のモードから前記第1のモードに切り替えるコマンドに応答して、前記コントローラは、前記第2のクロック信号の前記選択エッジで、前記第2のクロック信号から前記第1のクロック信号に前記マルチプレクサ出力を切り替えるように構成されている、請求項16に記載のデバイス。
【請求項19】
前記マルチプレクサへの前記第1のクロック信号を接続及び切断するように前記クロックに結合されたクロックゲートを更に備える、請求項16に記載のデバイス。
【請求項20】
システム時刻カウントを維持するように前記マルチプレクサに結合されたシステム時刻カウンタを更に備える、請求項16に記載のデバイス。
【請求項21】
前記システムカウンタは、前記第1のモード中に前記第1のクロック信号に基づいて前記システム時刻カウントをインクリメントし、前記第2のモード中に前記第2のクロック信号に基づいて前記システム時刻カウントをインクリメントするように構成されている、請求項20に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本特許出願は、2021年7月26日に出願された「TIMING PRECISION MAINTENANCE WITH REDUCED POWER DURING SYSTEM SLEEP」と題された米国仮特許出願第17/385,536号の優先権の利益を主張し、2020年8月5日に出願された「TIMING PRECISION MAINTENANCE WITH REDUCED POWER DURING SYSTEM SLEEP」と題された米国仮特許出願第63/061,370号の優先権の利益を主張し、これらは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般に、異なる電力モードでタイミング精度を維持するためのタイミングスイッチ回路に関する。
【背景技術】
【0003】
世界は、日々一層つながりつつある。例えば、モノのインターネット(IoT)により、様々なデバイス(例えば、家電、スピーカなど)をインターネットに接続することができ、その結果、とりわけ、それらを遠隔制御することができる。無線ノードをデバイスに埋め込んで、それらのデバイスを無線ネットワークに接続することができる。したがって、デバイスは、無線ノード及び無線ネットワークを使用して通信することができる。
【0004】
更に、無線ノードは、無線ノードのサイズ及び場所により、バッテリによって電力を供給することができる。電力を節約し、バッテリ寿命を延ばすために、無線ノードは、アクティブな通信でない場合に低電力モード(例えば、スリープモード)で動作することによって、消費電力を低減することができる。例えば、無線ノードは、スリープモードから復帰して、アクティブモードに入り、同期された又は協調された通信プロトコルを使用して通信(例えば、データの送信及び/又は受信)を実行することができ、無線ノードは、指定された時間の通信を行う。すなわち、無線ノードは、通信のために指定された時間に復帰し、その後電力を節約するためにスリープモードに再び入ることができる。しかしながら、スリープモード中に無線ノード内のタイミングがドリフトすることにより、このような通信の信頼性に影響を与える可能性がある。クロックのドリフトは、正確なスケジューリング活動、タイムスタンプの正確な取得など、他の問題にもつながる可能性がある。更に、ドリフトを補償するにはアクティブモードでより長く動作する必要があり、スリープモードで動作することの恩恵を低減する可能性がある。
【0005】
添付の図面の様々なものは、本開示の例示的な実施形態を示すに過ぎず、その範囲を限定するものとして考慮されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図4】高電力モードから低電力モードに移行する流れ図である。
【
図5】低電力モードから高電力モードに移行する流れ図である。
【
図6】複数の低電力モードを有するクロック回路を示す。
【
図8A】高電力モードから低電力モードへの移行に関するタイミング図を示す。
【
図8B】低電力モードから高電力モードへの移行に関するタイミング図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本開示の実施形態は、デバイスの異なる動作モードにおいてタイミング精度を維持するためのシステム及び方法を提供する。例えば、タイミング回路は、デバイス内に提供されてもよく、この回路は、異なるモード(例えば、相対的により高い消費電力モードと、より高い消費電力モードと比較して相対的により低い消費電力モードとの)間でクロック信号を切り替えつつも、このようなモードにわたってタイミング精度を維持することができる。いくつかの実施形態では、より高い電力消費モードでのデジタル論理電力消費の比率は、低電力モードでの電力消費の2倍を超える。高電力モードでは、タイミング回路は、高周波数クロック信号を提供することができ、低電力モードでは、低周波数クロック信号を提供することができる。低周波数クロック信号は、高周波数クロック信号から合成され得るため、高周波数クロック信号及び低周波数クロック信号は、実質的に同期され得る。更に、異なるクロック信号間の切り替えは同期されて、指定されたクロックのエッジを選択してもよい。この切り替えスキームは、周波数安定性及び精度を維持し得る。更に、タイミング回路は、システム時刻カウンタを駆動することができ、このカウンタは、モードに応じてタイムベースを切り替えて、例えば、協調又は同期された通信プロトコルで使用するためのタイミング精度を維持する。
【0008】
図1は、無線通信ネットワーク100の一部の例を示している。無線通信ネットワーク100は、複数の無線ノード102、104、106及びマスタノード108を備えてもよい。無線ノード102、104、106は、通信可能にマスタノード108に結合されてもよく、次にマスタノード108はインターネットに結合されてもよい。無線ノード102、104、106は、通信プロトコルに基づいてマスタノードと通信してもよい。通信プロトコルは、短距離無線通信又は長距離無線通信のためのものであってもよい。近距離無線通信の場合、プロトコルは、Bluetooth(例えば、Low Energy Bluetooth)、Zigbee、IrDa、又は別の適切なプロトコルを含んでもよい。
【0009】
無線ノード102、104、106は、センサ、器具、照明システム、スピーカ等の様々なデバイスに結合されてもよく、又は様々なデバイスに埋め込まれてもよい。無線ノード102、104、106は、マスタノード108に/からデータを送信及び/又は受信してもよい。マスタノード108は、制御情報を無線ノード102、104、106に送ってもよい。無線ノード102、104、106は、データ(例えば、測定データ又は状態データ)をマスタノード108に送ってもよい。無線ノード102、104、106とマスタノード108との間の通信は、通信プロトコル(例えば、同期された競合のないネットワーク)に基づいて協調されてもよい。すなわち、マスタコントローラ108は、指定された時間に無線ノード102、104、106にデータを送ってもよく、無線ノード102、104、106は、他の指定された時間にマスタノード108にデータを送ってもよい。したがって、無線ノード102、104、106とマスタノード108との間のタイミングは、ネットワークによって使用される通信プロトコルに基づいて同期されてもよい。いくつかの実施形態では、無線ノード102、104、106は、互いに通信してもよく、又はインターネットに直接接続してもよい(例えば、マスタノードは任意であってもよい)。無線ネットワーク100は、スターネットワーク、マルチホップメッシュネットワーク、及び他の既知のネットワークタイプなどの異なるタイプとして提供されてもよい。
【0010】
図2は、無線ノード200の一部の例を示している。無線ノード200は、クロック回路202、プロセッサ204、無線ネットワークインタフェース206、メモリ208、及び電源210を備えてもよい。無線ノード200は、異なる電力モード又は動作モードで動作してもよい。例えば、無線ノード200は、高電力モード(例えば、ウェイクモード又はアクティブモード)及び1つ以上の低電力モード(例えば、スリープ、休眠など)で動作してもよい。クロック回路202は、異なる電力モードで使用される異なるクロック信号を生成してもよい。以下で更に詳細に説明されるように、クロック回路202は、高電力モードで使用される高周波数クロック信号と、低電力モードで使用される1つ以上の低周波数クロック信号とを生成してもよい。プロセッサ204は、メモリ208に結合されてもよく、メモリ208に記憶された命令を実行して動作を行ってもよい。プロセッサ204は、異なる電力モードで動作してもよい。
【0011】
無線ネットワークインタフェース206は、無線通信を提供する無線周波数(RF)回路を備えてもよい。無線ネットワークインタフェース206は、本明細書に記載されるように、協調された通信プロトコルを使用して、マスタデバイスなどの他のデバイスと通信してもよい。無線ネットワークインタフェース206は、本明細書に記載されるように、異なるモードで動作してもよい。例えば、無線ネットワークインタフェース206は、低電力モード中に電源をオフにするか、又はスリープモードに入れられ、高電力モード中に完全動作のために電源をオンにしてもよい。
【0012】
電源210は、バッテリ、コンデンサ、エネルギハーベストデバイス、又は他の適切な電源として提供されてもよい。電源210は、無線ノード200内の他の構成要素に電力を供給してもよい。例えば、電源210は、リチウム電池バッテリとして提供されてもよい。電源210の充電は、低電力モードと比較して、無線ノード200が高電力モードで動作している場合に、より多くの電力を消耗する可能性がある。したがって、電源210の充電は、低電力モードで動作することによって延長され得る。
【0013】
図3は、クロック切り替え回路300の一部の例を示している。クロック切り替え回路300は、発振器302、クロックゲート304、クロック分割器306、マルチプレクサ308、システム時刻カウンタ310、及びコントローラ312を備えてもよい。発振器302は、高周波数クロック信号を生成してもよい。発振器302は、水晶発振器として提供されてもよい。例えば、発振器302は、~40MHzのクロック信号を生成してもよい。発振器302は、高周波数クロック信号を生成しながらも消費する電力は低く抑えることができる。以下に説明するように、高周波数クロック信号は、高電力モード及び低電力モードの両方で生成され得る。発振器302は、基準クロック発生器の一部であってもよい。
【0014】
クロックゲート304は、高周波数クロック信号を受信してもよく、イネーブル信号に応答して高周波数クロック信号をマルチプレクサ308に提供してもよい。例えば、イネーブル信号がハイの場合、クロックゲート304は、高周波数クロック信号をマルチプレクサ308に提供してもよい。しかしながら、イネーブル信号がローの場合、クロックゲート304は、マルチプレクサ308からの高周波数クロック信号をブロックしてもよい。以下で更に詳細に説明されるように、クロックゲート304は、高電力モード中にマルチプレクサ308に高周波数クロック信号を提供し得るとともに、低電力モード中にそれを無効にするか、又はブロックし得るが、低電力モードから高電力モードへの移行に先立つ短い期間は除く。クロックゲート304は、(
図3の破線を使用して示されるように)水晶発振器302に空間的に近接して設けられて、電力を消費する可能性のある配線寄生を最小限に抑えてもよい。3)
【0015】
クロック分割器306はまた、高周波数クロック信号を受信してもよく、高周波数クロック信号を整数(例えば、400)で分割又は縮尺して、低周波数クロック信号(例えば、100kHz)を生成してもよい。クロック分割器306は、クロック分割器306の回路に固有の遅延によるおそらくわずかな遅延(例えば、2~4ナノ秒)を除いて、高周波数クロック信号の対応するエッジと実質的に同期する低周波数クロック信号を生成してもよい。クロック分割器306はまた、水晶発振器302に空間的に近接して設けられて、電力を消費する可能性のある配線寄生を最小限に抑えてもよい。以下に更に詳細に記載される実施形態(例えば、
図6)では、クロック分割器306は、複数の異なる低電力モードで使用される複数の低周波数クロック信号を生成するための複数の分割器を備えてもよい。リップル分割器が低電力構成要素として提供されてもよく、リップル分割器は、当然ながらバイナリ比率で分割してもよい。このバイナリハイ/ロー関係は、バイナリサブセクションに基づくカウンタセグメンテーションを可能にしてもよい。
【0016】
マルチプレクサ308(クロック切り替えブロックとも呼ばれることがある)は、(例えば、クロックゲート304から)高周波数クロック信号及び(例えば、クロック分割器306から)低周波数クロック信号を受信してもよい。マルチプレクサ308は、高電力モード中の高周波数クロック信号、又は低電力モード中の低周波数クロック信号のいずれかを、システム時刻カウンタ310及び他の構成要素に出力してもよい。システム時刻カウンタ310は、例えば、本明細書に記載されるような協調された通信のために、タイマスケジューラによって使用されるシステム時刻を維持してもよい。高電力モードの間、マルチプレクサ308は、高周波数クロック信号を提供してもよく、システム時刻カウンタ310は、高周波数クロックを使用してシステム時刻を維持してもよい。低電力モードの間、マルチプレクサ308は、低周波数クロック信号を提供してもよく、システム時刻カウンタ310は、低周波数クロックを使用してシステム時刻を維持してもよい。低電力モードは、スリープモードに対応してもよい。システム時刻カウンタ310はまた、電力モードに応じて異なるベースによってカウントしてもよい。例えば、「16」整数分割器の使用により、システム時刻カウントは、低電力モード中の低周波数クロックごとに16×25ns単位でカウントされてもよく、高電力モード中の高周波数クロックごとに25ns単位でカウントされてもよい。システム時刻を使用して、センサ又は入力ピンのサンプリング、出力ピンのトグリング、アクチュエータのトリガリング、一連の動作のトリガリングなどのアクティビティをスケジュールしてもよい。
【0017】
コントローラ312は、マルチプレクサ308の切り替えを同期された方法で制御してタイミング精度を維持してもよい。高電力モードから低電力モードへの移行中、コントローラ312は、マルチプレクサ308の出力を、高周波数クロック信号から、低周波数クロックの次の指定されたエッジに同期された低周波数クロック信号に切り替えてもよい。移行同期のための指定されたエッジは、立ち上がりエッジ又は立ち下がりエッジのいずれかに選択されてもよい。したがって、立ち上がりエッジが選択された場合、コントローラ312は、クロック信号切り替えのために低周波数クロック信号の次の指定された立ち上がりエッジまで待って、システム時刻の精度を維持してもよい。次の指定された立ち上がりエッジは、後続の立ち上がりエッジであってもよく、又はコントローラ312は、次の指定された立ち上がりエッジのために1つ以上のサイクルを飛ばしてもよい。同様に、低電力モードから高電力モードへの移行中に、コントローラ312は、マルチプレクサ308の出力を、低周波数クロック信号から、低周波数クロックの次の指定されたエッジに同期された高周波数クロック信号に切り替えてもよい。再び、立ち上がりエッジが選択された場合、コントローラ312は、クロック信号切り替えのために低周波数クロック信号の次の指定された立ち上がりエッジまで待って、システム時刻の精度を維持してもよい。次の指定された立ち上がりエッジは、後続の立ち上がりエッジであってもよく、又はコントローラ312は、次の指定された立ち上がりエッジのために1つ以上のサイクルを飛ばしてもよい。コントローラ312は、デジタル論理回路として提供されてもよい。
【0018】
図4は、高電力モードから低電力モードに移行する方法400の一部の例の流れ図を示している。方法400は、例えば、クロック回路300によって実行されてもよい。402で、コマンドは、高電力モードから低電力モードに移行するように受信されてもよい。コマンドは、デバイスの中央処理ユニット(例えば、プロセッサ204)によって送られてもよい。404で、低周波数クロック信号の次の指定されたエッジが検出されてもよい。選択されたエッジは、低周波数クロック信号の立ち上がりエッジ又は立ち下がりエッジに設定されてもよい。406で、低周波数クロック信号の次の指定されたエッジを検出することに応答して、クロック切り替えブロックの出力は、高周波数クロック信号から低周波数クロック信号に切り替えられてもよい。408で、高周波数クロックは、(例えば、クロックゲート304によって)クロック切り替えブロック(例えば、マルチプレクサ308)に到達することをブロックされてもよい。次いで、デバイスの構成要素は、低周波数クロック信号を使用して動作してもよい。例えば、デバイスは、スリープモードに入ってもよい。更に、システム時刻は、低周波数クロック期間に基づいて、そのステップをインクリメントすることによって追跡されてもよい。
【0019】
図5は、低電力モードから高電力モードに移行する方法500の一部の例の流れ図を示す。方法500は、クロック回路300によって実行されてもよい。502で、低電力モードから低高モードに移行するコマンドが受信されてもよい。コマンドは、デバイスの中央処理ユニット(例えば、プロセッサ204)によって送られてもよい。504で、高周波数クロック信号が有効にされてもよく、例えば、高周波数クロック信号が(例えば、クロックゲート304によって)クロック切り替えブロック(例えば、マルチプレクサ308)に到達することを許可されてもよい。506で、低周波数クロック信号の次の指定されたエッジが検出されてもよい。選択されたエッジは、低周波数クロック信号の立ち上がりエッジ又は立ち下がりエッジに設定されてもよい。508で、低周波数クロック信号の次の指定されたエッジを検出することに応答して、クロック切り替えブロックの出力は、低周波数クロック信号から高周波数クロック信号に切り替えられてもよい。次に、デバイスの構成要素は、高周波数クロック信号を使用して動作してもよい。更に、システム時刻は、高周波数クロック期間に基づいて、そのステップをインクリメントすることによって追跡されてもよい。いくつかの実施形態では、カウンタの最下位ビット(LSB)は静的保持されてもよく、最上位ビット(MSB)はインクリメントされてもよい。
【0020】
次いで、システム時刻を使用して、通信のスケジューリング、タイムスタンプの取得などの他の動作を制御してもよい。例えば、デバイスは、アクティブモードに入って協調された通信プロトコルに基づいてメッセージを送信及び/又は受信してもよく、通信は指定された時間にスケジュールされる。低消費電力モードでは、デバイスは、システム時刻を使用して正確なタイムスタンプを取得してもよい。
【0021】
指定された低周波数クロックエッジで、ハイからロー及びローからハイモードへの移行を同期させることにより、タイミング精度は維持される。デバイスのタイマスケジューラは、高周波数クロック信号が低電力モードで利用できない場合でも、高周波発振器のタイミング精度を維持することができる。したがって、クロックドメインクロッシングによるタイミング誤差は、低減又は排除され得る。
【0022】
上述のように、デバイスは、異なる低電力モードで動作してもよい。各低電力モードは、異なる低周波数クロック信号を使用して動作してもよい。
図6は、高電力モード及び異なる低電力モードで使用するためのクロック回路600の一部の例を示している。クロック回路600は、
図3を参照して上述のように、水晶発振器302、クロックゲート304、マルチプレクサ308、及びシステム時刻カウンタ310を備えてもよい。クロック回路600はまた、クロック分割器回路606及びコントローラ612を備え、異なる低周波数クロック信号を提供してもよい。
【0023】
クロック分割器回路606は、クロック分割器及び第2のマルチプレクサを備えてもよい。クロック分割器回路606は、高周波数クロック信号を受信してもよい。クロック分割器回路606内のクロック分割器は、高周波数クロック信号を異なる整数で分割又は縮尺して異なる低周波数クロック信号を生成してもよく、第2のマルチプレクサは、選択された低周波数クロック信号を出力してもよい。第2のマルチプレクサの出力は、コントローラ612によって制御されてもよい。低周波数クロック信号は、互いの倍数であってもよい。例えば、第1の低周波数クロック信号は、高周波数クロック信号を第1の整数で割ることによって生成されてもよい。第2の低周波数クロック信号は、第1の低周波数クロック信号を第2の整数で割ることによって生成されてもよい。第3の低周波数クロック信号は、第2の低周波数クロック信号を第3の整数で割ることによって生成されてもよい。クロック分割回路606は、クロック分割回路606の回路に固有の遅延によるおそらくわずかな遅延(例えば、2~4ナノ秒)を除いて、高周波数クロック信号の対応するエッジと実質的に同期する低周波数クロック信号を生成してもよい。クロック分割器回路606はまた、水晶発振器302に空間的に近接して設けられ、電力を消費する可能性のある配線寄生を最小限に抑えてもよい。
【0024】
上述のように、マルチプレクサ308(クロック切り替えブロックとも呼ばれることがある)は、(例えば、クロックゲート304から)高周波数クロック信号及び(例えば、クロック分割器回路606から)選択された低周波数クロック信号を受信してもよい。マルチプレクサ308は、高電力モード中の高周波数クロック信号又は低電力モード中の選択された低周波数クロック信号のいずれかをシステム時刻カウンタ310及び他の構成要素に出力してもよい。システム時刻カウンタ310は、例えば、本明細書に記載されるような協調された通信のために、タイマスケジューラによって使用されるシステム時刻を維持してもよい。高電力モードの間、マルチプレクサ308は、高周波数クロック信号を提供してもよく、システム時刻カウンタ310は、高周波数クロック信号を使用してシステム時刻を維持してもよい。低電力モードのそれぞれの間、マルチプレクサ308は、選択された低周波数クロック信号を提供してもよく、システム時刻カウンタ310は、選択された低周波数クロック信号を使用してシステム時刻を維持してもよい。異なる低電力モードは、異なるレベルの低動作モード(例えば、スリープモード、スタンバイモード、休眠モードなど)に対応してもよい。
【0025】
コントローラ612は、本明細書で説明されるように(例えば、
図4及び5)、低周波数クロック信号の選択及びマルチプレクサ308の切り替えを同期された方法で制御してタイミング精度を維持してもよい。例えば、高電力モードから低電力モードへの移行の間、コントローラ612は、マルチプレクサの出力を高周波数クロック信号から低周波数クロックの次の指定されたエッジに同期された低周波数クロック信号に切り替えてもよい。移行同期のためのエッジは、立ち上がりエッジ又は立ち下がりエッジのいずれかに選択されてもよい。同様に、低電力モードから高電力モードへの移行の間、コントローラ612は、マルチプレクサの出力を低周波数クロック信号から低周波数クロックの次の指定されたエッジに同期された高周波数クロック信号に切り替えてもよい。コントローラ612は、デジタル論理回路として提供されてもよい。
【0026】
本明細書に記載されるように、コントローラは、論理回路、プロセッサなどの異なる構成を使用して実施されてもよい。
図7は、コントローラのデジタル論理回路構成を有するクロック回路700の一部の例を示している。クロック回路700は、水晶発振器702、クロックゲート704、クロック分割器706、マルチプレクサ708、システム時刻カウンタ710、及びコントローラ712を備えてもよい。水晶発振器702は、本明細書に記載されるように(例えば、302)、高周波数クロック信号を生成してもよい。
【0027】
クロックゲート704は、高周波数クロック信号を受信してもよく、イネーブル信号(xo_40mhz_clk_out_en_lv)に基づいて高周波数クロック信号(hf_xtal_clk)をマルチプレクサ708に提供してもよい。クロックゲート704は、NANDゲートとして提供されてもよい。コントローラ712は、イネーブル信号を生成してクロックゲート704を制御してもよい。
図8A及び
図8Bを参照して以下で更に詳細に説明するように、クロックゲート704は、高電力モード中にマルチプレクサ708に高周波数クロック信号を提供してもよく、低電力モード中に、低電力モードから高電力モードへの移行に先立つ短い期間を除いて、それを無効にするか、又はブロックしてもよい。クロックゲート704は、水晶発振器702に空間的に近接して設けられ、電力を消費する可能性のある配線寄生を最小限に抑えてもよい。
【0028】
クロック分割器706はまた、高周波数クロック信号を受信してもよく、高周波数クロック信号を整数(例えば、400)で分割又は縮尺して、低周波数クロック信号(lf_xtal_clk)を生成してもよい。クロック分割器706は、クロック分割器706の回路に固有の遅延によるおそらくわずかな遅延(例えば、2~4ナノ秒)を除いて、高周波数クロック信号の特定のエッジと実質的に同期している低周波数クロック信号を生成してもよい。クロック分割器706はまた、水晶発振器702に空間的に近接して設けられ、電力を消費する可能性のある配線寄生を最小限に抑えてもよい。
【0029】
マルチプレクサ708(又はクロック切り替えブロック)は、(例えば、クロックゲート704から)高周波数クロック信号及び(例えば、クロック分割器706から)低周波数クロック信号を受信してもよい。マルチプレクサ708は、高電力モード中の高周波数クロック信号、又は低電力モード中の低周波数クロック信号のいずれかを、システム時刻カウンタ710及び他の構成要素に出力してもよい。システム時刻カウンタ710は、例えば、本明細書に記載されるような協調された通信のために、タイマスケジューラによって使用されるシステム時刻を維持してもよい。高電力モードの間、マルチプレクサ708は、高周波数クロック信号を提供してもよく、システム時刻カウンタ710は、高周波数クロックを使用してシステム時刻を維持してもよい。低電力モードの間、マルチプレクサ708は、低周波数クロック信号を提供してもよく、システム時刻カウンタ710は、低周波数クロックを使用してシステム時刻を維持してもよい。低電力モードは、スリープモードに対応してもよい。
【0030】
コントローラ712は、同期された方法でマルチプレクサ708の切り替えを制御して、タイミング精度を維持してもよい。コントローラ712は、NOTゲート712.1、第1のDフリップフロップ712.2、第2のDフリップフロップ712.3、及びNANDゲート712.4を備えてもよい。NOTゲート712.1は、デバイスが高電力モードであるか低電力モードであるかについてのコマンドを示してもよいhf_osc_pd_enb信号を反転してもよく、NOTゲート712.2の出力は、第1のDフリップフロップ712.2及びNANDゲート712.4への入力として提供されてもよい。低周波数クロック信号(lf_xtal_clk)はまた、第1のDフリップフロップ712.3への入力として提供されてもよい。第1のDフリップフロップ(hf_osc_pd_en_lf_negedge)の出力は、マルチプレクサ708の切り替えを制御してもよい。マルチプレクサの出力は、clk_varで表される。この例では、異なるモード間の切り替えは、本明細書に記載するように、低周波数クロック信号の立ち下がり(ネガティブ)エッジ上で行われる。第1のDフリップフロップ712.2及び低周波数クロック(lf_xtal_clk)の出力を受信してもよい第2のフリップフロップ712.3、及びNANDゲート712.4は、クロックゲート706を制御するためのイネーブル信号を生成してもよい。
【0031】
図8Aは、ここで説明されるクロック回路の高電力モードから低電力モードへの移行を示すタイミング図である。例えば、タイミング図は、高電力モードから低電力モードへの移行中の
図3のクロック回路300の動作を示してもよい。タイミング図は、クロック分割器306の出力であってもよい低周波数クロック802、クロックゲート304の出力であってもよいゲーテッド高周波数クロック出力804、スイッチクロックコマンド806、低周波数クロックの立ち下がりエッジに同期されたクロックを切り替えるコマンドを表してもよい同期コマンド808、クロックゲート304のためのイネーブルコマンド810、及びマルチプレクサ308の出力であってもよい出力812を示している。上述のように、高電力モードから低電力モードへの移行は、低周波数クロックの立ち下がりエッジ上で行われる。すなわち、移行は、低電力モードに進むためのコマンドを受信した後(806)、低周波数クロック(802)の後続の立ち下がりエッジ上で行われる。更に、移行後、クロックゲート810は、高周波数クロック信号を無効にしてもよい(804)。
【0032】
図8Bは、ここで説明されるクロック回路の低電力モードから高電力モードへの移行を示すタイミング図である。例えば、タイミング図は、低電力モードから高電力モードへの移行中の
図3のクロック回路300の動作を示してもよい。図示及び上述のように、低電力モードから高電力モードへの移行は、低周波数クロックの立ち下がりエッジ上で行われる。すなわち、移行は、高電力に進むためのコマンドを受信した後(806)、低周波数クロック(802)の後続の立ち下がりエッジ上で行われる。更に、移行の前に、クロックゲート810は、高周波数クロック信号を有効にしてもよい(804)。
【0033】
いくつかの実施形態が、本明細書に具体的に例示及び/又は記載される。しかしながら、本発明の改変及び変形は、上記の教示によって、本発明の意図される範囲から逸脱することなく、添付の態様の範囲内に含まれることが理解されるであろう。
【0034】
本開示の実施形態は、具体的な例示的な実施形態を参照して説明されてきたが、本発明の主題のより広範な範囲から逸脱することなく、これらの実施形態に対して様々な修正及び変更が行われ得ることが明らかであろう。したがって、本明細書及び図面は、限定的な意味ではなく例示的な意味で見なされるべきである。本明細書の一部を形成する添付の図面は、例示として、限定されることなく、主題が実施され得る特定の実施形態を示す。例示される実施形態は、当業者が本明細書に開示される教示を実践することを可能にするのに十分に詳細に記載される。構造的及び論理的置換及び変更が、本開示の範囲から逸脱することなく行われ得るように、他の実施形態が使用され、そこから誘導され得る。したがって、この詳細な説明は、限定的な意味で解釈されるべきではなく、様々な実施形態の範囲は、そのような態様が権利を有する等価物の全範囲と共に、添付の態様によってのみ定義される。
【国際調査報告】