(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-25
(54)【発明の名称】分割デバイス
(51)【国際特許分類】
A61B 17/3205 20060101AFI20230818BHJP
G01N 1/28 20060101ALI20230818BHJP
【FI】
A61B17/3205
G01N1/28 J
G01N1/28 G
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023507452
(86)(22)【出願日】2021-08-04
(85)【翻訳文提出日】2023-03-31
(86)【国際出願番号】 GB2021052010
(87)【国際公開番号】W WO2022029426
(87)【国際公開日】2022-02-10
(32)【優先日】2020-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522232488
【氏名又は名称】アキレス セラピューティクス ユーケー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】プロクター,トビー
(72)【発明者】
【氏名】シエナ,リッカルド ラヤン
(72)【発明者】
【氏名】タング,ジョアンヌ ウェイ-グナン
(72)【発明者】
【氏名】ヤング,ダンカン
(72)【発明者】
【氏名】ワデロー,サイモン
(72)【発明者】
【氏名】グリフィン,ミシェル
(72)【発明者】
【氏名】ウッドハウス,サミュエル
(72)【発明者】
【氏名】ブライアント,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】パーカー,マシュー
【テーマコード(参考)】
2G052
4C160
【Fターム(参考)】
2G052AA33
2G052AD32
2G052AD52
2G052EC02
2G052EC22
2G052GA32
2G052JA08
4C160FF21
4C160KL03
4C160MM32
4C160NN01
(57)【要約】
本発明は、組織の分割のための装置に関する。装置は、第1の切断ゾーンであって、第1の回転軸周りで回転するように構成された第1の切断ブレードと、組織の進入のための開口部と、を備える第1の切断ゾーンを備える。開口部は、第1の回転軸に対して角度を付けて配向される。
【選択図】
図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織の分割のための装置であって、
第1の切断ゾーンであって、
第1の回転軸周りで回転するように構成された第1の切断ブレードと、
組織の進入のための開口部であって、前記第1の回転軸に対して角度を付けて配向される、開口部と、を備える、第1の切断ゾーンを備える、装置。
【請求項2】
前記第1の切断ブレードは、らせん状である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記開口部は、前記第1の回転軸に対して実質的に垂直に配向される、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
第2の切断ブレードを備える第2の切断ゾーンをさらに備え、前記第2の切断ブレードは、第2の回転軸周りで回転するように構成される、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記第2の切断ブレードは、らせん状である、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記第1および第2の回転軸は、同軸である、請求項4に記載の装置。
【請求項7】
前記第1および第2の切断ブレードは、使用時に、それらのそれぞれの軸周りで一つ以上の駆動機構によって回転されるように構成される、請求項4に記載の装置。
【請求項8】
前記一つ以上の駆動機構は、前記第1および第2の切断ブレードを同一または逆方向に回転させるように構成される、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記第1の切断ブレードは、前記第2の切断ブレードより大きい直径を有する、請求項3から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記第1の切断ブレードのらせんブレードは、第1のピッチを有し、前記第2の切断ブレードのらせんブレードは、第2のピッチを有し、前記第1のピッチは、前記第2のピッチ以上である、請求項3から9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
ハウジングをさらに備え、前記第1の切断ゾーンおよび前記第2の切断ゾーンは、前記ハウジング内に配置される、請求項3から10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記第1の切断ゾーンは、流体入口を備える、請求項1から11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記第2の切断ゾーンは、流体入口を備える、請求項4から12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記流体入口は、前記一つ以上の切断ブレードに隣接する、請求項12または13に記載の装置。
【請求項15】
前記組織は、前記第1の切断ゾーンに続いて前記第2の切断ゾーンを順次通過するように構成される、請求項3から14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記第1の切断ゾーンは、前記組織のための第1の入口および第1の出口を備え、前記第2の切断ゾーンは、前記組織のための第2の入口および第2の出口を備え、導管は、前記第1の出口を前記第2の入口に接続する、請求項3から15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記第2の入口は、使用時に、組織を前記第2の切断ゾーン内に、前記第2の切断ブレードの前記第2の回転軸に対して角度を付けて移すように構成される、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記第2の入口は、使用時に、組織を前記第2の切断ゾーン内に、前記第2の切断ブレードの前記回転軸に対して実質的に垂直に移すように構成される、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記ハウジングは、前記第1の切断ゾーンに隣接する、熱電気接続または赤外線伝導性/透過性材料のための開口部をさらに備える、請求項11から18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
組織処理デバイスであって、
蓋と、該蓋に取り付けられるように構成されたベースと、を備え、
前記ベースは、
外側ケーシングと、
該外側ケーシング内に配置された組織受け入れ部分と、
前記外側ケーシング内に配置された請求項1から19のいずれか一項に記載の装置と、を備える、組織処理デバイス。
【請求項21】
前記蓋は、前記ベースに取り外し可能に取り付けられるように構成される、請求項20に記載の組織処理デバイス。
【請求項22】
ラチェットは、前記組織受け入れ部分と前記蓋との一方の上に位置し、該ラチェットは、前記ベースからの前記蓋の取り外しを防止するように構成される、請求項20または21に記載の組織処理デバイス。
【請求項23】
前記外側ケーシングの一部分は、前記組織受け入れ部分の一部分と相互作用して、これらの二つを取り外し可能に一体に結合させるように構成される、請求項20から22のいずれか一項に記載の組織処理デバイス。
【請求項24】
前記蓋は、前記デバイスが組み立てられたときに前記組織受け入れ部分内に延びるように構成された突起部分を備え、該突起部分は、疎水性フィルタを備える、請求項20から23のいずれか一項に記載の組織処理デバイス。
【請求項25】
請求項20から24のいずれか一項の組織処理デバイスを使用する方法であって、
組織を前記組織処理デバイスに加えることと、
前記組織処理デバイスを処理システム内にドッキングさせることと、
組織の分割のための装置を操作することと、
分割された組織を前記組織処理デバイスから抜き出すことと、を含む、方法。
【請求項26】
組織の分割のための前記装置の動作前に、
前記デバイスから輸送媒体を除去することと、
前記デバイスを処理流体によってプライミングすることと、をさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記組織処理デバイス内に加えられた前記組織は、組織の分割のための前記装置によって、ほぼ同一サイズの断片へ分割されるように構成される、請求項25または26に記載の方法。
【請求項28】
前記組織処理デバイス内に加えられた前記組織は、組織の分割のための前記装置によって、約0.5から約10mmの間のサイズを有する断片へ分割されるように構成される、請求項25から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記組織処理デバイス内に加えられた前記組織は、組織の分割のための装置によって、1.5から5mmのサイズを有する断片へ分割されるように構成される、請求項25から28のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、ただし制限的ではないが、組織の分割のための装置に関する。具体的には、本明細書において説明する発明は、ヒトの組織を保管し、輸送し、その後の処理および使用に適したサイズに細断することが望まれる用途において使用され得る。組織は、腫瘍からのものであってもよい。
【背景技術】
【0002】
組織を処理または検査するために、最初に組織を分割して、そのような処理/検査に適するように各々がサイズ設定された断片を形成しなければならない。1から3mmのサイズが、その後の処理に最も適切であることが見出されている。いくつかの用途では、1から6mmまたは0.5から10mmのサイズを有する組織片が、適切となり得る。組織片が小さすぎると、これらは、その後の処理に最適とはいえない。
【0003】
患者の体から取り出されたとき、腫瘍または他の組織の断片は、さまざまな形状およびサイズのものとなり得る。したがって、腫瘍のさまざまな形状およびサイズを取り扱い、これらをその後の処理に合わせて所望の形状およびサイズに縮小することができるシステムが、必要とされる。
【0004】
腫瘍浸潤リンパ球(TIL)拡張は、処理された腫瘍片の一般的な使用法であり、これは、一貫性のあるサイズを有する腫瘍片を必要とする。したがって、さまざまなサイズの腫瘍の塊を、TIL拡張の開始材料として使用できるようなサイズに縮小することができる装置を提供することができることが、望ましい。これは、腫瘍を分割または細断することによって行われる。
【0005】
腫瘍を分割するための既存のシステムは、医療専門家による複雑な処理手順を必要とし、腫瘍の保管および輸送のための閉システムを提供しておらず、および/または一貫したサイズの組織片を結果として得られない。綿密なまたは複雑な処理手順が医療専門家によって必要とされるとき、間違いが、頻繁に起こる恐れがあり、それによって組織は、その後の処理に使用できないために無駄にされる。さらに、閉式ではないシステムを使用することで、組織汚染のリスクが増大し、これも組織の無駄につながる。既存の手術用モルセレータはしばしば、組織を軸方向に引っ張り、これを回転軸に沿って引いて細切除去を行う。この結果、組織片は、さまざまなサイズおよび形状を有するようになり、したがって、これは、TIL拡張に使用できないことを意味する。
【0006】
本発明者は、均一な形状およびサイズの断片を達成するために腫瘍を分割することでTIL拡張に最適な開始物質を提供する代替的な方法を特定した。本発明者によって開発された新規の装置は、たった一人のオペレータ/臨床医などによって容易かつ簡単に操作可能である。この装置は、腫瘍片の保管および処理のための閉式システムを提供する。したがって、臨床医は、腫瘍を装置に加え、その中で腫瘍は、分割およびその後の処理のために検査所に輸送される。この新規のシステムは、患者から取り出された腫瘍片が汚染され、それによってこれらがさらなる処理および検査に使用できないというリスクを軽減する。デバイスの操作は、簡単であり、エラーの可能性、ひいては腫瘍のサンプルの無駄も低減する。
【0007】
本明細書の本開示から、本発明が他の組織の分割にも適することが、認識される。たとえば、本発明は、組織の分割を必要とするが、均質化は必要としない任意の用途に適する。一つのそのような用途は、組織切片の生成であり、この組織切片は、その後、薬物スクリーンのために三次元モデルのための足場として使用され得る。
【発明の概要】
【0008】
特定の態様および実施形態が、付属の特許請求の範囲において記載される。
【0009】
第1の側面から見れば、組織の分割のための装置が、提供される。装置は、第1の切断ゾーンであって、第1の回転軸周りで回転するように構成された第1の切断ブレードと、組織の進入のための開口部であって、第1の回転軸に対して角度を付けて配向される、開口部と、を備える、第1の切断ゾーンを備える。
【0010】
組織の分割のための装置は、組織分割部分と称されてもよい。実際には、この装置は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)拡張に使用するために組織を分割または細切除去するためのデバイスとして機能する。第1の回転軸に対して角度を付けた開口部の配向は、この分割の効率を高め、組織が切断ブレードの切断縁に提供される速度に対してより優れた制御を及ぼすことを可能にする。この角度は、回転軸から15度から90度の間であってもよい。
【0011】
第1の切断ブレードは、らせん状であってもよい。らせんブレードの使用は、有益である。その理由は、らせん溝が、分割された組織を組織進入用の開口部から除去するのを助けるためである。これは、切断ブレードの詰まりを防止する。高いらせん角度は、柔軟な物質に対してより良好な切断作用をもたらす。
【0012】
開口部は、第1の回転軸に対して実質的に垂直に配向され得る。したがって、組織は、らせんブレード上に、らせんブレードの動作の方向に対して垂直に送られる。ここでも、これにより、組織が切断ブレードの切断縁に提供される速度に対してより優れた制御を及ぼすことが可能になる。
【0013】
装置は、さらに、第2の切断ブレードを備える第2の切断ゾーンを備えることができる。第2の切断ブレードは、第2の回転軸周りで回転するように構成され得る。二つの切断ゾーンの使用は、単一の切断ゾーンで達成できるものより小さい断片に組織を分割できることを意味する。その理由は、組織は、第1の切断ゾーンを通過し、第1の切断ゾーンにおいて小さい断片に細断されてから、第2の切断ゾーンを通過し、第2の切断ゾーンにおいてさらにより小さい断片に切断されるためである。
【0014】
第2の切断ブレードは、らせん状であってもよい。第1の切断ゾーンと同様に、らせんブレードは、有益である。その理由は、らせん溝が、分割された組織をブレードから除去するのを助けるためである。らせんの第1および第2の切断ブレードは、いずれも右巻きであってもよく、いずれも左巻きであってもよく、または相反する方向に配向されてもよい。らせんブレードを異なる方向に配向すると、切断されたサンプルが切断ゾーンを通って移動することが、助けられる。
【0015】
第1および第2の回転軸は、同軸であってもよい。これは、切断ゾーンによって占有される空間を低減し、両方のカッタを、単一のモータシャフトによって、複雑なギヤ機構およびカップリング無しに駆動することを可能にする。第1および第2の切断ブレードまたは部分は、単一の材料片から形成されてもよく、または別個の材料片で形成されてもよい。
【0016】
第1および第2の切断ブレードは、使用時に、それらのそれぞれの軸周りで一つ以上の駆動機構によって回転されるように構成され得る。駆動機構の使用により、切断ブレードを高速で回転させることができる。これにより、組織のより効果的な分割が可能になる。
【0017】
一つ以上の機構は、第1および第2の切断ブレードを同一または逆方向に回転させるように構成され得る。
【0018】
第1の切断ブレードは、第2の切断ブレードより大きい直径を有することができる。これにより、第1の切断ブレードは、最初の大きい組織片または複数の組織片を受け入れて、これを小さい断片に分割するのにより適したものになり、この小さい断片は、次いで、より小さい直径の切断ブレードを通過することができる。より小さい直径の切断ブレードの使用は、小さくなった断片をさらにより小さい断片に分割できることを意味する。したがって、組織は、さらなる処理に適した形状およびサイズを有する断片に分割可能である。
【0019】
第1の切断ブレードのらせんブレードは、第1のピッチを有することができ、第2の切断ブレードのらせんブレードは、第2のピッチを有することができ、第1のピッチは、第2のピッチより大きくてもよく、これより小さくてもよく、またはこれと等しくてもよい。第1の切断ブレードが、第2の切断ブレードのものより大きいピッチを有するとき、組織の切断の深さは、第2の切断ブレードと比較して増大することができる。
【0020】
装置は、さらに、ハウジングを備えることができ、第1の切断ゾーンおよび第2の切断ゾーンは、ハウジング内に配置され得る。
【0021】
第1の切断ゾーンおよび第2の切断ゾーンは、流体入口を備えることができる。これらの流体入口は、流体を分割部分を通してフラッシングするために使用され得る。これにより、組織によるブレードの詰まりが防止されると共に、摩擦による切断ブレードの過熱も防止される。単一の切断ゾーンが使用される場合、単一の流体入口が、使用され得る。
【0022】
流体入口は、一つ以上の切断ブレードに隣接し得る。したがって、流体をブレード上に直接フラッシングすることができる。単一の切断ゾーンが使用される場合、流体入口は、単一の切断ゾーンに隣接する。
【0023】
組織は、第1の切断ゾーンに続いて第2の切断ゾーンを順次通過することができる。したがって、第1の切断ゾーンは、組織をいくつかの断片に分割することができ、これらの断片は、次いで、第2の切断ゾーン内でより小さい断片にさらに分割される。
【0024】
第1の切断ゾーンは、組織のための第1の入口および第1の出口を備えることができ、第2の切断ゾーンは、組織のための第2の入口および第2の出口を備えることができ、導管が、第1の出口を第2の入口に接続することができる。したがって、組織は、第1の切断ゾーンから、導管を通って第2の切断ゾーンに移動することができる。
【0025】
第2の入口は、使用時に、組織を第2の切断ゾーン内に、第2の切断ブレードの第2の回転軸に対して角度を付けて移すように構成され得る。
【0026】
第2の入口は、使用時に、組織を第2の切断ゾーン内に、第2の切断ブレードの回転軸に対して実質的に垂直に移すように構成され得る。
【0027】
ハウジングは、第1の切断ゾーンに隣接する、熱電気接続または赤外線伝導性/透過性材料のための開口部を、さらに備えることができる。これにより、ユーザは、分割が行われているときに切断ブレードの温度を監視することができる。赤外線伝導性/透過性材料が使用される場合、赤外線温度計を使用して、切断ゾーンの温度監視を可能にすることができる。
【0028】
さらなる側面から見れば、蓋と、ベースと、を備える組織処理デバイスが、提供される。ベースは、蓋に取り付けられるように構成される。ベースは、外側ケーシングと、外側ケーシング内に配置された組織受け入れ部分と、外側ケーシング内に配置された組織の分割のための装置と、を備える。
【0029】
デバイスは、組織のための統合された収集、保管、および分割デバイスとして機能するように構成され得る。したがって、デバイスは、閉式システムをもたらし、したがって、輸送または分割中に汚染物質が組織に接触するのを防止することができる。
【0030】
蓋は、ベースに取り外し可能に取り付けられるように構成され得る。したがって、医療専門家は、蓋を取り外して組織を付加してから、蓋をベースに再接続することができる。
【0031】
組織処理デバイスは、組織受け入れ部分と蓋との一方の上に位置するラチェットを備えることができ、ラチェットは、ベースからの蓋の取り外しを防止するように構成される。したがって、医療専門家が蓋をベースに再取り付けするとき、たとえば、ねじ込みによって蓋を取り付けることが可能であり、それにより、ラチェットは係合し、蓋は取り外せなくなる。これにより、組織の汚染またはデバイス内側のいかなる流体の漏出も防止される。
【0032】
外側ケーシングの一部分は、組織受け入れ部分の一部分と相互作用して、これら二つを取り外し可能に一体に結合させるように構成され得る。したがって、外側ケーシングは、内部組織受け入れ部分および組織分割部分を保護し、医療専門家にとって取り扱いやすいデバイスを提供する。外側ケーシングは、次いで、デバイスが、処理システムに接続するために検査所に到着したとき、容易に取り外すことができる。
【0033】
蓋は、デバイスが組み立てられたときに組織受け入れ部分内に延びるように構成された突起部分を備えることができ、突起部分は、疎水性フィルタを備えることができる。このフィルタは、2μmのポアサイズを備え、それによって組織受け入れ部分と蓋の内部との間に無菌バリアをもたらすことができる。突起部分は、追加された組織を下方向に組織受け入れ部分内へと分割部分に向かって押し進める。疎水性フィルタは、蓋が外側ケーシングに取り付けられているとき、およびユニット全体が空輸中などにおいて外圧変動にさらされたときに、空気の通過を可能にして圧力上昇を防止しながら、デバイスから蓋内への輸送媒体の漏出を防止する。
【0034】
さらに別の側面から見れば、組織処理デバイスの使用方法が、提供される。方法は、組織を組織処理デバイスに加えることと、組織処理デバイスを処理システム内にドッキングさせることと、組織の分割のための装置を操作することと、分割された組織を組織処理デバイスから抜き出すことと、を含む。
【0035】
方法は、さらに、組織の分割のための装置の動作前に、デバイスから輸送媒体を除去することと、デバイスを処理流体によってプライミングすることと、を含むことができる。これは、システムが定量システムとして動作することを可能にするためのものである。
【0036】
組織処理デバイス内に加えられた組織は、組織の分割のための装置によって、ほぼ同じサイズの断片へ分割されるように構成され得る。これは、腫瘍浸潤リンパ球のその後の処理に有利である。
【0037】
組織処理デバイス内に加えられた組織は、組織の分割のための装置によって、約0.5から約10mmの間のサイズを有する断片へ分割されるように構成され得る。これにより、生成された断片が、下流の流体システムを通過できるほど十分小さいが、すべての細胞内含量が組織から完全に洗い流されるほど小さくなく、または過剰なせん断応力を受け、それによって細胞内含量がTIL拡張のための開始材料として使用不能になるほど小さくないことが、確実にされる。組織片のこのサイズは、一つまたは二つの切断ゾーンによって達成可能である。
【0038】
組織処理デバイス内に加えられた組織は、組織の分割のための装置によって、1.5から5mmの間のサイズを有する断片へ分割されるように構成され得る。これは、上記の利益を達成するサイズの最適な範囲である。
【0039】
他の側面もまた、本開示を検討することで、特に図面の簡単な説明、発明を実施するための形態、および特許請求の範囲の項を検討することで明白になるであろう。
【0040】
次に、本開示の教示を、添付の図を参照しながら例としてのみ説明する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1A】本発明の組織処理デバイスを示す図である。
【
図1B】本発明の組織処理デバイスの断面図である。
【
図1C】本発明の組織受け入れ部分の一部を示す図である。
【
図2A】蓋が取り外されている、本発明の組織処理デバイスを示す図である。
【
図2B】蓋が取り外されている、本発明の組織処理デバイスの断面図である。
【
図3A】外側ケーシングが取り外されている、本発明の組織処理デバイスを示す図である。
【
図3B】外側ケーシングが取り外されている、本発明の組織処理デバイスの断面図である。
【
図4A】蓋および外側ケーシングが取り外されている、本発明の組織処理デバイスを示す図である。
【
図4B】蓋および外側ケーシングが取り外されている、本発明の組織処理デバイスの断面図である。
【
図7】腫瘍片サイズ(粒子短軸長さ)と組織分割部分内への処理流体の流量との間の関係を示すグラフである。
【
図8】腫瘍片サイズ(粒子短軸長さ)と組織分割部分の第1の切断ブレード(カッタ)の直径との間の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本開示は、さまざまな改変形態および代替的形態が可能であるが、具体的な例となる方法が、図において例として示され、本明細書において詳細に説明される。しかし、図および図に添付された詳細な説明が、本開示を、開示する特定の形態に限定することを意図するのではなく、むしろ、本開示は、特許請求する発明の趣旨および範囲内に含まれるすべての改変形態、等価物、および代替物をカバーするものであることを理解されたい。
【0043】
本明細書において使用するとき、用語「備える」、「備えている」、および類似の用語は、制限的または包括的な意味で解釈されるものではない。換言すれば、これらは、「それだけに限定されないが、含む」を意味することを意図する。
【0044】
本開示の上記で説明した教示の特徴が、任意の適切な組み合わせで好都合におよび交換可能に使用可能であることが、認識されよう。また、本発明が、個々の実施形態のみならず、本明細書において論じている実施形態の組み合わせもカバーすることが、認識されよう。
【0045】
本教示は、組織の保管、輸送、および分割のための組織処理デバイスに関する。デバイスはまた、他の物質の分割に使用されてもよい。
【0046】
デバイスの構造が、たとえば、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の分離および拡張に使用するための組織の保管および分割を可能にする一実施形態を説明する。
【0047】
図1は、本発明によるデバイス1を示す。
図1Aは、組織処理デバイスの側面図を示し、
図1Bは、組織処理デバイスの断面図を示す。デバイスは、ベースに取り付けられた蓋4を備え、ベースは、外側ケーシング2を備える。外側ケーシング2は、視認窓20を有し、この視認窓を通して、デバイスの内部構成要素を見ることができる。
【0048】
図1Bから、デバイスの内部構成要素を見ることができる。蓋4は、ユニットのベース上のねじ嵌合部5に取り付け可能なリップ36を備える。
【0049】
本教示では、蓋4は、プランジャまたは突起部分3を備え、この部分は、蓋4がベースに取り付けられたとき、デバイスのベース内に突起する。本教示では、突起部分3は、テーパにされた端部を有する。
【0050】
疎水性フィルタ23が、蓋4の突起部分3の直径を渡して配置される。このようにして、空気は、フィルタを通って移動することができるが、液体は、開口部を通って移動して蓋4の突起部分3を上昇することが防止される。蓋4はまた、空気用の単一の漏出経路をもたらすための開口部を有する(図示せず)。これは、蓋の上部の上部に形成される。漏出経路は、突起部分の側部内にも形成される(図示せず)。このようにして、デバイスが、
図1Bに示すように組み立てられたとき、空気は、内側収集空間6(後でさらに論じる)から、突起部分の側部内の漏出経路を通って移動することができる。本教示では、漏出経路は、スリット形状にされる。したがって、蓋がベースに取り付けられたとき、圧力上昇が防止される。
【0051】
突起部分は、プランジャとして作用する。組織が挿入され、蓋がベースに取り付けられたとき、別個のツールを使用して、突起部分を内側収集空間6内へとさらに展開して、組織を下方向に押し進めることができる。内側収集空間6は、視認窓20から見ることができ、それにより、内側収集空間6の内側の組織の場所を監視することができる。突起部分のテーパにされた端部は、後でさらに論じる組織分割部分10内の開口部11によって受け入れられるように成形される。突起部分が、突入動作で展開されたとき、突起部分の側部内の漏出経路は、内側収集空間6の内面と接触する。したがって、流体は、この経路を通って漏出することが防止される。これにより、内側収集空間6内に圧力の増大が引き起こされ、それによって、組織を切断部分内へと押し進めるのを助ける。
【0052】
蓋4は、さらに、転動型ダイアフラムシール22を備えることができ、転動型ダイアフラムシールは、突起部分3の径方向外側部分と蓋の径方向外側縁との間に位置し、転動型ダイアフラムシールの一方の端部は、蓋の突起部分に取り付けられる。突起部分が、組織を開口部11内に押し進めるためにプランジャとして展開されるとき、転動型ダイアフラムシール22は、突起部分に取り付けられたシールの端部が突起部分と共に下方向に移動するときに、シールを維持することを可能にする。
【0053】
デバイスは、さらに、組織受け入れ部分37を備える。本教示では、外側カバー2は、突起リップ42によって組織受け入れ部分37に取り付け可能であり、突起リップ42は、外側カバー2の一部と相互作用する。内方向に向けられた圧力が、外側カバー2に対して、その長さに沿って約半分のところに加えられたとき、上側縁は、外方向に広げられ、リップ42から解放される。このようにして、外側カバー2は、蓋4および組織受け入れ部分37から取り外し可能である。
【0054】
本教示の組織受け入れ部分37は、組織サンプルまたは分割を必要とする他の材料を受け入れるための漏斗形状部分12を備える。いくつかの教示では、この部分は、その内面にマーキングを有する(図示せず)。漏斗形状部分12は、内側収集空間6の上部に接続され、突起部分3は、デバイスが組み立てられたとき、内側収集空間6内に延びる。
【0055】
内側収集空間6は、輸送媒体(図示せず)を含む。漏斗形状部分の内面上のマーキングは、医療専門家が、デバイスに加えられた組織の体積を、輸送媒体のレベルの変化を監視することによって監視することを可能にする。
【0056】
内側収集空間6の底部は、分割部分10に接続される。組織または分割を必要とする他の物質は、開口部11を通って分割部分10内に送られるように構成される。本教示では、開口部11は、漏斗形状にされる。これにより、組織片が分割部分10に入る前にこれらを中心位置に置くことが可能になる。組織が分割されると、これは、出口19を通って分割部分を離れる。分割部分10は、後でさらに論じる。
【0057】
組織受け入れ部分37は、少なくとも一つのドッキング機構を有する。本教示では、組織受け入れ部分37は、二つのドッキング機構8、9を有する。二つのドッキング機構は、デバイスが、正しい配向でドッキングされ、正しく位置合わせされることを確実にするために使用される。ドッキング機構の一つは、磁気機構43を含むことができる。これらは、内側収集空間の径方向外側に位置する。これらは、後でさらに論じる。
【0058】
図1Cは、組織受け入れ部分の一部を示す。この部分は、蓋4(図示せず)の一部と相互作用するためのラチェット機構38を有する。蓋4が、ねじ嵌合部5を使用して組織受け入れ部分37上にねじ込まれ、ラチェット38が蓋の一部と係合すると、蓋4は、蓋とラチェット部分との相互作用により、組織受け入れ部分37から弛めることができない。
【0059】
図2Aおよび2Bは、蓋4を取り外したユニット1の側面図および断面図それぞれを示す。
図2Bのデバイス1の断面図から、入口7を見ることができ、組織の分割が実施されているとき、処理媒体は、この入口を通って内側収集空間6へ流入する。チュービング(図示せず)が、輸送媒体の通過のために入口7に取り付けられる。チュービングは、チュービング保管空間39内に保管される。分割部分10は、使用時に分割部分10を通して処理媒体をフラッシングするための一次および二次のフラッシング導管24、25をさらに備える。
【0060】
図3Aは、外側ケーシング2が取り外され、蓋4が取り付けられているユニット1の側面図を示す。
図3Bは、外側ケーシング2が取り外され、蓋4が取り付けられている、
図3Aに示す矢印の方向のデバイス1の断面図を示す。
【0061】
これらの図から分かるように、組織受け入れ部分37は、その径方向外側面に取り付けられたチュービング保持部分40、41を備えることができる。デバイスが
図1に示すような形態にあるとき、開口部7に取り付けられたチュービングは、チュービング保持部分40、41に巻き付けられる。分割部分10は、後でさらに論じる赤外線温度監視窓21を有することができる。
【0062】
図4Aおよび4Bは、蓋4が取り外されている
図3Aおよび3Bの図を示す。
【0063】
図5Aおよび5Bは、分割部分10を示す。
図5Aは、分割部分10の上面図を示す。
図5Bは、
図5Aに示す矢印の方向の分割部分10の断面図を示す。
【0064】
分割部分10は、少なくとも一つの切断部分を備える。本教示では、分割部分10は、二つの切断部分、第1の切断部分17および第2の切断部分18を備える。いくつかの教示では、分割部分10は、単一の切断部分を有する。
【0065】
本教示では、組織は、第1の切断部分17を通過し、続いて第2の切断部分18を通過するように構成される。図から分かるように、第1の切断部分17は、第2の切断部分18より大きい直径を有する。
【0066】
本教示の分割部分10は、ハウジング13を備える。ハウジングの第1の部分14は、少なくとも一つの切断部分を収納する。ハウジングの第2の部分15は、後でさらに論じる駆動ギヤ26を収納する。シール31、たとえばOリングシールが、第1のハウジング部分14と第2のハウジング部分15との間に配置される。これにより、分割部分10からの輸送媒体または処理媒体の漏出が防止される。
【0067】
組織がそこを通って分割部分に入る開口部11は、第1のハウジング部分14内に形成される。本教示では、開口部11は、上方から見て円形または楕円形の形状を有する。
図5Aを参照されたい。組織は、開口部11を通って第1の切断部分17内に送られる。
【0068】
本教示では、第1および第2の切断部分17、18は、同軸の回転軸周りで回転可能である。本教示では、組織は、第1の切断部分17内に回転軸に実質的に垂直な方向に送られる。他の教示では、組織は、第1の切断部分内に回転軸に対して異なる角度で送られてもよい。たとえば、組織は、第1の切断部分内に回転軸に対して15度から90度の間の角度で送られてもよい。
【0069】
本教示では、第1および第2の切断部分17、18のそれぞれは、らせんブレードを備える。本教示では、第1のらせんブレードのピッチは、第2のらせんブレードのピッチより大きい。たとえば、第1のブレードのピッチは、52mmであってもよく、第2のブレードのピッチは、22mmであってもよい。他の教示では、第1のらせんブレードのピッチは、26mmから無限であってもよく、ここでピッチが無限であるとき、ブレードは、切断部分の回転軸に平行である。第2のらせんブレードのピッチは、11mmから無限であってもよい。他の教示では、第1のブレードのピッチは、30mmから70mm、またはより好ましくは40mmから60mmであってもよく、第2のブレードのピッチは、5mmから40mm、またはより好ましくは10mmから30mmであってもよい。ブレードピッチは、ブレードの内の組織の詰まりを防止するように選択される。切断ブレードの直径は、0.5から16mmの間であってもよい。いくつかの例では、直径は、4から8mmの間であってもよい。
【0070】
本教示のらせんブレードのらせんは、相反する「巻き方」を有する。具体的には、二つのらせんブレードの一方は、右巻きであり、二つのらせんブレードの他方は、左巻きである。これにより、組織を各切断部分の入口から出口に駆動することが可能になる。本教示では、第1のらせんブレードは、右巻きブレードであり、第2のらせんブレードは、左巻きブレードであり、らせんブレードは、駆動ギヤ26によって反時計回りに回転される。
【0071】
本教示では、らせんブレードのそれぞれは、二つの溝を有する。他の教示では、それぞれのらせんブレードは、三つ以上の溝を有することができる。たとえば、各ブレードは、最大五つの溝を有することができる。
【0072】
他の教示では、他の非らせんブレードが、使用されてもよい。たとえば、上記で論じたように、長さに沿って一つ以上のブレードが走る(すなわち無限ピッチを有する)回転シャフトが、使用されてもよい。あるいは、直角の切欠部を有するブレードが、使用されてもよい。
【0073】
第1および第2の切断部分17、18は、そのそれぞれの軸周りで駆動ギヤ26を使用して回転されるように構成される。切断部分は、1から1000rpmの間の速度で回転するように構成され得る。いくつかの例では、切断部分は、50から200rpmの間の速度で回転するように構成され得る。
【0074】
一次および二次のフラッシング導管24、25は、第1および第2の切断部分17、18のそれぞれにそれぞれ接続される。処理媒体は、開口部11を通って分割部分に入り、ブレードのそれぞれ上を通過する。各切断段階において、さらなる処理媒体が、導管24、25に接続されたチュービングを通してフラッシングされる。これにより、切断ブレードの詰まりが防止され、摩擦による過熱が防止される。処理媒体は、分割部分内に導管24および25を通して0.1から2リットル/分の速度で圧送され得る。いくつかの例では、速度は、0.2から1リットル/分であってもよい。流体流量は、流体内のたんぱく質含量によって引き起こされる流体の泡立ちを最小限にするように制限される。
【0075】
第1のハウジング部分14は、組織受け入れ部分37の一部に取り付けられる。第2のシール32、たとえばOリングシールが、第1のハウジング部分14と組織受け入れデバイス37のその一部との間に形成される。
【0076】
図6Aおよび6Bもまた、デバイス1から取り外された分割部分10を示す。
図6Aは、分割部分10の側面図を示す。この図では、分割部分は、開口部11を有して示され、この開口部は、分割部分10がデバイス1内に設置されたときに分割部分10の上部に、下方向を向いて位置する。
図6Bは、
図6A上にマークした方向に見た、分割部分の断面図を示す。
【0077】
これらの図から分かるように、導管28が、第1の切断ゾーン出口33から第2の切断ゾーン入口34まで延びる。
【0078】
導管28は、第1のハウジング部分14内の溝から形成される。溝は、組織受け入れ部分37の一部内に設置され、それにより、組織受け入れ部分の内面は、溝と組み合わさって導管28を形成する。これは、
図3Bおよび4Bに最適に示されている。右巻きの第1のらせんブレードの反時計回り回転は、開口部11に入った組織を左に移動させながら第1のブレードによって分割して、第1の切断ゾーン出口33を通って退出させる。左巻きの第2のらせんブレードの反時計回り回転は、次いで、入口34に入った組織を右に移動させながら分割して、出口19を通って退出させる。このようにして、「巻き方」は、すなわちブレードが右巻きまたは左巻きに関係なく、組織が組織分割部分を通って移動することを制御する。
【0079】
上記で論じたように、他の教示では、第1のらせんブレードは、左巻きであってもよく、第2のらせんブレードは右巻きであってもよい。この場合、組織が分割部分に入った後その移動方向は異なるため、図に示すものの代替の組織入口および出口の場所が、使用される。
【0080】
組織が入口11を通って分割部分10に挿入されると、これは、第1の切断部分17を通過する。らせん切断ブレードは、組織をより小さい断片に切断する。組織は、その後、第1の切断部分出口33を通って第1の切断部分を離れ、導管28に沿って移動して第2の切断部分入口34に至る。この段階で、組織片は、第2の切断部分18内に向けられる。本教示では、この断片は、回転角度に対して実質的に垂直にブレード上に向けられる。第1の切断部分17と同様に、他の教示では、組織は、第2の切断部分内に回転軸に対して異なる角度で送られてもよい。たとえば、組織は、第2の切断部分内に回転軸に対して15から90度の間の角度で送られてもよい。
【0081】
組織片は、第2の切断ブレードによってより小さい断片に切断される。分割された断片は、次いで、組織出口19を通って第2の切断部分を離れる。チュービング(図示せず)が、出口19に接続されて分割された組織を運び去る。
【0082】
単一の切断部分を有する分割部分10が、使用されるとき、組織は、開口部11を通って、
図5Aおよび5Bに示すように第1の切断部分17に入る。組織片は、第2の切断部分に進められるのではなく、組織出口19を通って第1の切断部分を離れる。単一の導管24が、第1の切断部分17上に処理媒体をフラッシングするために使用される。処理媒体は、次いで、分割された組織を伴って移動して出口19を通り抜ける。
【0083】
分割部分10は、赤外線温度監視窓21を有することができる。これを
図6Bに示す。このようにして、切断ブレードが動いているとき、ユーザは、ブレードの温度を監視することができる。本教示では、温度監視窓は、高密度ポリエチレン(HDPE)で作製される。HDPEは、約20から40℃の黒体放射について監視するために必要とされる10μm範囲内の赤外放射線に対して透過性である。したがって、HDPEの使用は、伝達媒体および第1の切断ブレードの表面が、温度が上昇するにつれて赤外フォトンを発するために、ユーザがこれらを「見る」ことができることを意味する。他の教示では、一つ以上の切断ブレードまたは取り囲んでいるハウジング13の温度を監視するために、温度読み取りのための代替の熱電気接続が、使用されてもよい。
【0084】
次に、デバイスを使用する方法の説明を解説する。
【0085】
医療専門家は、
図1Aに示す形態のデバイスを受け取る。蓋4は、外側ケーシング2上にねじ込まれて、ラチェット機構38を蓋と係合させることなく蓋を所定の場所に保持する。医療専門家は、蓋4をとり、組織を漏斗形状部分12内に置き、それにより、組織は、組織受け入れ部分6内に沈む。上記で論じたように、漏斗形状部分の内面は、マーキングを有して、医療専門家がデバイス内に置かれた組織の体積を記録できるようにする。医療専門家は、次いで、蓋4をデバイスのベース上にねじ込む。本教示では、また
図1Cに示すように、ラチェット機構38は、二つの突起部材が前にある。したがって、医療専門家は、蓋4をベース2上にねじ込む際に3番目のクリックを聴くか、または感じたとき、蓋4が外側ケーシング2にしっかりと接続されたことを確信することができる。蓋がねじ込まれるにつれて、プランジャまたは突起部分3は、組織を下方に内側収集空間6内へと押し進める。
【0086】
内側に組織を備えたデバイス1は、次いで、検査所に戻される。検査所内に戻されると、技術者は、デバイスの外側ケーシング2を取り外す。上記で論じたように、これは、技術者が外側ケーシング2の下側部分を圧迫し、それによって外側ケーシングの上側縁をリップ42から解放することによって行われる。外側ケーシングが取り外されると、デバイスは、
図3Aおよび3Bに示すようになる。組織受け入れ部分37は、次いで、チュービング保持部分40から巻き出されたチュービングと、導管24および25ならびに出口19に取り付けられたチュービングとを使用して、処理システムに接続される。組織が組織分割部分10に入っていないことを視認窓20を通して技術者が確認できると、プランジャは、組織を分割部分10内に押し進めるように展開される。
【0087】
ドッキング機構8、9は、デバイスをドッキングポート上にドッキングさせるために使用される。上記で論じたように、本教示では、ドッキング機構9の一つは、磁気機構43を含む。磁気機構43がドッキングポート上の対応する機構に接触すると、駆動ギヤ26を回転させるモータを駆動することが可能になる。これは、デバイスが正しくドッキングされたときにのみモータが駆動されることを確実にする。
【0088】
入口7ならびに導管24および25に接続されたチュービングは、一体型の4方マニフォールドチューブコネクタ(図示せず)に接続され、この4方マニフォールドチューブコネクタは、ポンプの出口および処理媒体容器に接続される。出口19からのチュービングは、溶出容器を介してポンプに接続される。これは、無菌溶接によって行われる。
【0089】
溶出容器は、出口容器にも接続される。処理システムはまた、溶出容器およびポンプの出口に接続されたバッグも含む。
【0090】
入口7、導管24および25、ならびに出口19のそれぞれからのチュービングが、検査所内で接続されると、デバイス1内の輸送流体は、入口7ならびに導管24および25からのチュービングに負圧をかけ、出口19からのチュービングを流体が通過できないようにクランピングすることによって、輸送媒体容器内に取り出される。
【0091】
デバイスは、次いで、処理流体によってプライミングされる。処理流体は、バッグから、溶出容器を通り、次いでデバイス内へと圧送される。これは、出口19からのチュービングに対するクランピングを維持しながら、入口7ならびに導管24および25を通して加えられる。
【0092】
次いで、組織の分割が、実施される。処理流体により、組織は、組織分割部分内に移動する。必要とされる場合、組織を組織分割部分内に押し進めるために、突起部分が、技術者によって内側収集空間6内へと展開され得る。モータが、駆動され、それによって駆動ギヤ26を回転させる。一つ以上の切断ブレードは、駆動ギヤ26によって回転させられ、それによって上記で論じたように、組織の分割が、可能になる。
【0093】
分割中、処理流体は、システム中を循環する。流体は、入口7ならびに導管24および25を介してデバイス1に入り、負圧がかけられた出口19を介して、分割された組織を伴ってデバイス1を退出する。分割された組織は、溶出容器に入り、溶出容器から、組織は、さらなる使用のために出力容器に輸送される。処理流体が導管24および25を通って圧送される流量は、分割される組織片のサイズを制御するように変えることができる。具体的には、流量が増加する場合、組織は、より大きい断片に細断される。
【0094】
次に、本発明を、以下の実施例を参照しながら、例としてのみ説明する。
【0095】
[実施例]
[実施例1]
組織片の生成
ブタのリンパ節、前方頸椎、耳下腺、咽頭後方、下あご、および気管気管支を成熟ブタ臓物から分離した。リンパ節をリン酸緩衝生理食塩水中に保管し、-20℃で凍結させた。調査日に、サンプルを水浴内において37℃で完全に解凍するまで暖めた。約0.5gの重さのリンパ節を、腫瘍処理デバイスの内側収集空間の内側に、リン酸緩衝生理食塩水中に入れて置いた。次いで、組織を、単一の切断部分を有する組織分割部分内で、たとえば0.4L毎分もしくは1.0L毎分の処理流体の異なる流体入口流量、たとえば6mmもしくは8mmの切断ブレード(カッタ)直径、またはたとえば56rpm、170rpm、もしくは876rpmの切断ブレード(カッタ)速度の組み合わせを使用して分割した。
【0096】
分割した組織を、照明光プレート上に収集し、撮像した。Fiji(ImageJ、オープンソース)を使用して画像を分析して、各粒子を囲む最良当てはめ楕円の短軸長さを特定した。次いで、短軸長さを分析し、GraphPad Prism v9.0.2(グラフパッドソフトウェア(GraphPad Software)、米国、ラホヤ)を使用してプロットした。
【0097】
入口に入る流体の流量を0.4L毎分から1.0L毎分まで増加させた結果、ブタリンパ節から生成された粒子集団の短軸長さの中央値の増大を検出することができた。この場合、切断ブレード(カッタ)速度および直径は、制御されていた。流量を0.4L毎分から1.0L毎分まで増加させると共に、切断ブレードの速度を8mm切断ブレードについて56rpmに設定した結果、中央短軸長さは、2.63mm(n=77)から4.88(n=20)まで大きく(p<0.001)増大した。この結果を
図7に示す。
【0098】
切断ブレード直径を6mmから8mmに増大させた結果、ブタリンパ節から生成された粒子集団の短軸長さの中央値に減少を検出することができた。この場合、切断ブレード速度および流体流量は、制御されていた。切断ブレード直径を6mmから8mmに増大させると共に、切断速度を876rpmに設定し、流量を1.0L毎分にした結果、中央短軸長さは、4.74mm(n=30)から2.68mm(n=92)まで大きく(p<0.0001)減少した。この結果を
図8に示す。
【0099】
本明細書において説明するさまざまな実施形態は、特許請求する特徴を理解および教示するのを助けるためにのみ提示される。これらの実施形態は、実施形態の代表的なサンプルとしてのみ提供され、包括的および/または制限的ではない。本明細書において説明する利点、実施形態、例、機能、特徴、構造、および/または他の態様が、特許請求の範囲によって定義する本発明の範囲に対する限定、または特許請求の範囲の等価物に対する限定と考えられるものではなく、特許請求する発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、他の実施形態が利用されてもよく、改変が加えられてもよいことを理解されたい。本発明のさまざまな実施形態は、本明細書において具体的に説明するもの以外の、開示する要素、構成要素、特徴、部材、ステップ、手段などの適切な組み合わせを適切に含み、これらからなり、または本質的にこれらからなることができる。加えて、本開示は、現在は特許請求されていないが、将来的に特許請求され得る他の発明を含むことができる。
【符号の説明】
【0100】
1 組織処理デバイス
2 外側ケーシング
3 突起部分
4 蓋
11 開口部
13 ハウジング
17 第1の切断部分
18 第2の切断部分
19 出口
23 疎水性フィルタ
28 導管
33 第1の切断ゾーン出口
34 第2の切断ゾーン入口
37 組織受け入れ部分
38 ラチェット
【国際調査報告】