(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-25
(54)【発明の名称】化合物の固体形態
(51)【国際特許分類】
C07D 401/14 20060101AFI20230818BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230818BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20230818BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230818BHJP
A61K 31/506 20060101ALI20230818BHJP
【FI】
C07D401/14 CSP
A61P35/00
A61P35/02
A61P43/00 111
A61K31/506
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023507466
(86)(22)【出願日】2021-08-02
(85)【翻訳文提出日】2023-03-30
(86)【国際出願番号】 CN2021110069
(87)【国際公開番号】W WO2022028367
(87)【国際公開日】2022-02-10
(31)【優先権主張番号】202010768730.1
(32)【優先日】2020-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202010837005.5
(32)【優先日】2020-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522196582
【氏名又は名称】▲應▼世生物科技(南京)有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】王 在▲チ▼
(72)【発明者】
【氏名】高 晶
(72)【発明者】
【氏名】桑 迎霞
【テーマコード(参考)】
4C063
4C086
【Fターム(参考)】
4C063AA03
4C063BB08
4C063CC29
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4C063EE01
4C086AA01
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4C086MA52
4C086NA02
4C086NA03
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC20
(57)【要約】
本発明は、式(I)の化合物、その塩、その溶媒和物、その塩の溶媒又はそれらの混合物の固体形態に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物、その塩、その溶媒和物、その塩の溶媒又はそれらの混合物を含む固体形態。
【化1】
【請求項2】
結晶形である、ことを特徴とする請求項1に記載の固体形態。
【請求項3】
式(I)の化合物の遊離塩基である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の固体形態。
【請求項4】
式(I)の化合物の遊離塩基の結晶形Aである、ことを特徴とする請求項3に記載の固体形態。
【請求項5】
10.979、19.26、21.581及び24.801度の2θにおけるピークを含むX線粉末回折(XRPD)を有する、ことを特徴とする請求項4に記載の固体形態。
【請求項6】
4.781、10.979、19.26、21.581、22.26及び24.801度の2θにおけるピークを含むX線粉末回折(XRPD)を有する、ことを特徴とする請求項4に記載の固体形態。
【請求項7】
4.781、9.58、10.979、11.459、14.678、17.402、19.26、21.581、22.26、22.54、24.801及び29.219度の2θにおけるピークを含むX線粉末回折(XRPD)を有する、ことを特徴とする請求項4に記載の固体形態。
【請求項8】
4.781、7.361、7.619、9.58、10.54、10.979、11.459、12.34、12.96、13.278、14.678、17.402、18.54、19.26、19.918、21.581、22.26、22.54、23.521、24.217、24.801、25.181及び29.219度の2θにおけるピークを含むX線粉末回折(XRPD)を有する、ことを特徴とする請求項4に記載の固体形態。
【請求項9】
実質的に
図1に示すXRPDパターンを有する、ことを特徴とする請求項5に記載の固体形態。
【請求項10】
式(I)の化合物の酒石酸塩である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の固体形態。
【請求項11】
式(I)の化合物の酒石酸塩の結晶形Iである、ことを特徴とする請求項9に記載の固体形態。
【請求項12】
10.34、17.981、18.281及び21.901度の2θにおけるピークを含むX線粉末回折(XRPD)を有する、ことを特徴とする請求項10に記載の固体形態。
【請求項13】
4.627、10.34、17.981、18.281、21.901及び23.121度の2θにおけるピークを含むX線粉末回折(XRPD)を有する、ことを特徴とする請求項10に記載の固体形態。
【請求項14】
4.627、10.34、13.019、17.981、18.281、21.2、21.901、23.121、27.299、27.541及び29.879度の2θにおけるピークを含むX線粉末回折(XRPD)を有する、ことを特徴とする請求項10に記載の固体形態。
【請求項15】
4.627、10.34、13.019、15.76、16.54、17.159、17.981、18.281、20.538、21.2、21.901、23.121、24.721、25.659、27.299、27.541、29.879、32.277及び41.821度の2θにおけるピークを含むX線粉末回折(XRPD)を有する、ことを特徴とする請求項10に記載の固体形態。
【請求項16】
実質的に
図3に示すXRPDパターンを有する、ことを特徴とする請求項10に記載の固体形態。
【請求項17】
式(I)の化合物のリン酸塩である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の固体形態。
【請求項18】
式(I)の化合物のリン酸塩の結晶形Iである、ことを特徴とする請求項17に記載の固体形態。
【請求項19】
13.76、19.08、20.581及び22.319度の2θにおけるピークを含むX線粉末回折(XRPD)を有する、ことを特徴とする請求項18に記載の固体形態。
【請求項20】
13.76、15.941、19.08、20.581、22.319及び24.642度の2θにおけるピークを含むX線粉末回折(XRPD)を有する、ことを特徴とする請求項18に記載の固体形態。
【請求項21】
13.76、14.52、15.941、19.08、20.581、22.319、23.381、23.818、24.642及び28.219度の2θにおけるピークを含むX線粉末回折(XRPD)を有する、ことを特徴とする請求項18に記載の固体形態。
【請求項22】
9.121、10.082、12.6、13.76、14.52、15.941、18.581、19.08、19.781、20.581、22.319、23.381、23.818、24.642、25.66、26.537、28.219、29.419及び33.98度の2θにおけるピークを含むX線粉末回折(XRPD)を有する、ことを特徴とする請求項18に記載の固体形態。
【請求項23】
実質的に
図10に示すXRPDパターンを有する、ことを特徴とする請求項18に記載の固体形態。
【請求項24】
式(I)の化合物のマレイン酸塩である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の固体形態。
【請求項25】
式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形Iである、ことを特徴とする請求項24に記載の固体形態。
【請求項26】
18.459、20.237、22.185及び24.12度の2θにおけるピークを含むX線粉末回折(XRPD)を有する、ことを特徴とする請求項25に記載の固体形態。
【請求項27】
10.32、15.998、18.459、20.237、22.185及び24.12度の2θにおけるピークを含むX線粉末回折(XRPD)を有する、ことを特徴とする請求項25に記載の固体形態。
【請求項28】
6.801、10.32、15.998、18.459、19.761、20.237、22.185、24.12、25.599及び35.258度の2θにおけるピークを含むX線粉末回折(XRPD)を有する、ことを特徴とする請求項25に記載の固体形態。
【請求項29】
6.801、9.575、10.32、13.258、13.662、15.041、15.998、18.459、19.761、20.237、20.781、21.498、21.78、22.185、24.12、25.599、27.062、28.203及び35.258度の2θにおけるピークを含むX線粉末回折(XRPD)を有する、ことを特徴とする請求項25に記載の固体形態。
【請求項30】
実質的に
図12に示すXRPDパターンを有する、ことを特徴とする請求項25に記載の固体形態。
【請求項31】
式(I)の化合物の安息香酸塩である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の固体形態。
【請求項32】
式(I)の化合物の安息香酸塩の結晶形Iである、ことを特徴とする請求項31に記載の固体形態。
【請求項33】
6.639、8.461、20.16及び21.699度の2θにおけるピークを含むX線粉末回折(XRPD)を有する、ことを特徴とする請求項32に記載の固体形態。
【請求項34】
6.639、8.461、12.119、14.52、20.16及び21.699度の2θにおけるピークを含むX線粉末回折(XRPD)を有する、ことを特徴とする請求項32に記載の固体形態。
【請求項35】
3.981、6.639、8.461、12.119、14.52、15.441、20.16、20.639、21.699及び24.659度の2θにおけるピークを含むX線粉末回折(XRPD)を有する、ことを特徴とする請求項32に記載の固体形態。
【請求項36】
3.981、6.639、8.461、9.6、12.119、12.602、14.52、15.441、16.882、18.12、18.941、20.16、20.639、21.699、23.378、23.719、24.659、28.418及び29.259度の2θにおけるピークを含むX線粉末回折(XRPD)を有する、ことを特徴とする請求項32に記載の固体形態。
【請求項37】
実質的に
図18に示すXRPDパターンを有する、ことを特徴とする請求項32に記載の固体形態。
【請求項38】
式(I)の化合物の酒石酸塩である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の固体形態。
【化2】
【請求項39】
式(I)の化合物の酒石酸塩の結晶形Iである、ことを特徴とする請求項38に記載の固体形態。
【請求項40】
10.34、17.981、18.281及び21.901度の2θにおけるピークを含むX線粉末回折(XRPD)を有する、ことを特徴とする請求項38に記載の固体形態。
【請求項41】
4.627、10.34、17.981、18.281、21.901及び23.121度の2θにおけるピークを含むX線粉末回折(XRPD)を有する、ことを特徴とする請求項38に記載の固体形態。
【請求項42】
4.627、10.34、13.019、17.981、18.281、21.2、21.901、23.121、27.299、27.541及び29.879度の2θにおけるピークを含むX線粉末回折(XRPD)を有する、ことを特徴とする請求項38に記載の固体形態。
【請求項43】
4.627、10.34、13.019、15.76、16.54、17.159、17.981、18.281、20.538、21.2、21.901、23.121、24.721、25.659、27.299、27.541、29.879、32.277及び41.821度の2θにおけるピークを含むX線粉末回折(XRPD)を有する、ことを特徴とする請求項38に記載の固体形態。
【請求項44】
実質的に
図3に示すXRPDパターンを有する、ことを特徴とする請求項38に記載の固体形態。
【請求項45】
請求項1~44のいずれか一項に記載の固体形態を含む、医薬組成物。
【請求項46】
FAK阻害剤としての請求項1~44のいずれか一項に記載の固体形態又は請求項45に記載の医薬組成物の使用。
【請求項47】
ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、肺癌、肝癌、胆管癌、骨髄異形成症候群、白血病、甲状腺癌、神経膠腫、結腸癌、直腸癌、大腸癌、卵巣癌、膀胱癌、前立腺癌、乳癌、肉腫、神経芽腫、腎細胞癌、頭頸部癌、胃癌、食道癌、食道胃接合部腺癌、胸腺癌、膵臓癌、子宮癌、精巣癌、悪性黒色腫、皮膚癌、中皮腫、胸腺腫、生殖細胞癌、膠芽腫、鼻咽頭癌、口腔咽頭癌又は喉頭癌、特に非小細胞肺癌、小細胞肺癌、大腸癌、膵臓癌、白血病、膀胱癌、子宮頸癌、胆管癌、食道癌、胃癌、膠芽腫、肝癌、悪性黒色腫、中皮腫、卵巣癌、前立腺癌、腎臓癌、肉腫、甲状腺癌、精巣癌、胸腺腫、又は子宮癌を治療する薬物の製造における請求項1~44のいずれか一項に記載の固体形態又は請求項45に記載の医薬組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬化学の分野に属する。具体的には、本発明は、化合物の固体形態に関する。
【背景技術】
【0002】
FAKは、タンパク質チロシンキナーゼ2(PTK2)とも呼ばれ、非受容体型チロシンキナーゼであり、接着斑複合体の重要な成分である。FAKは、インテグリンと成長因子シグナルを媒介して、腫瘍細胞の侵襲、増殖及び生存を調整することに重要な役割を果たしている。FAKは、広く発現し、かつ進化的に保存される。過去の20年の研究によれば、FAKは、複数種の固形腫瘍において過剰発現し、かつ発現レベルが腫瘍予後と負の相関があることを示している。最近の研究によれば、FAKが腫瘍微小環境の調節において重要な役割を果たすことを示し、FAKが免疫療法及び抗腫瘍治療における適応性と薬剤耐性において重要な役割を果たすことを示唆している。
【0003】
式(I)の化合物は、FAK阻害剤であり、複数の腫瘍種のCDX(ヒト由来腫瘍細胞株移植マウス)モデルにおいて、抗腫瘍活性を示す。所望の薬物物質を製造するために、化合物のドラッグアビリティを向上させ、特に結晶性、安定性、吸湿性、溶解度の面において有益な性質を有する固体形態を早急に見つけなければならない。
【発明の概要】
【0004】
一態様では、本発明は、固体形態の式(I)の化合物、その塩、その溶媒和物、その塩の溶媒又はそれらの混合物を提供する。
【化1】
【0005】
好ましくは、前記塩は、薬学的に許容される塩である。
【0006】
好ましくは、前記固体形態は、結晶形である。
【0007】
好ましくは、前記固体形態は、式(I)の化合物の遊離塩基である。
【0008】
好ましくは、前記固体形態は、式(I)の化合物の遊離塩基の結晶形Aである。
【0009】
好ましくは、前記固体形態は、10.979、19.26、21.581及び24.801度の2θにおけるピークを含むX線粉末回折(XRPD)を有する。
【0010】
好ましくは、前記固体形態は、4.781、10.979、19.26、21.581、22.26及び24.801度の2θにおけるピークを含むX線粉末回折(XRPD)を有する。
【0011】
好ましくは、前記固体形態は、4.781、9.58、10.979、11.459、14.678、17.402、19.26、21.581、22.26、22.54、24.801及び29.219度の2θにおけるピークを含むX線粉末回折(XRPD)を有する。
【0012】
好ましくは、前記固体形態は、4.781、7.361、7.619、9.58、10.54、10.979、11.459、12.34、12.96、13.278、14.678、17.402、18.54、19.26、19.918、21.581、22.26、22.54、23.521、24.217、24.801、25.181及び29.219度の2θにおけるピークを含むX線粉末回折(XRPD)を有する。
【0013】
好ましくは、前記固体形態は、4.781、5.255、6.395、7.361、7.619、8.818、9.58、10.54、10.979、11.459、12.34、12.96、13.278、14.678、15.58、16.377、17.402、18.54、19.26、19.918、20.819、21.581、22.26、22.54、23.22、23.521、24.217、24.801、25.181、26.101、26.439、27.38、28.543、29.219、29.721、31.4、31.717、32.621、33.118、33.118、33.458、34.462、35.178、35.658、36.556、36.999、39.335、39.836、43.02、44.279にあるピークのうちの1つ以上のピークを含むX線粉末回折(XRPD)を有する。好ましくは、前記固体形態は、実質的に
図1に示すXRPDパターンを有する。
【0014】
好ましくは、前記固体形態は、約212.95℃にある開始温度及び/又は約214.24℃にあるピーク温度を有する、DSCによって特徴付けられた吸熱現象を示す。
【0015】
好ましくは、前記固体形態は、式(I)の酒石酸塩の結晶形Iである。
【0016】
好ましくは、前記固体形態は、10.34、17.981、18.281及び21.901度の2θにおけるピークを含むX線粉末回折(XRPD)を有する。
【0017】
好ましくは、前記固体形態は、4.627、10.34、17.981、18.281、21.901及び23.121度の2θにおけるピークを含むX線粉末回折(XRPD)を有する。
【0018】
好ましくは、前記固体形態は、4.627、10.34、13.019、17.981、18.281、21.2、21.901、23.121、27.299、27.541及び29.879度の2θにおけるピークを含むX線粉末回折(XRPD)を有する。
【0019】
好ましくは、前記固体形態は、4.627、10.34、13.019、15.76、16.54、17.159、17.981、18.281、20.538、21.2、21.901、23.121、24.721、25.659、27.299、27.541、29.879、32.277及び41.821度の2θにおけるピークを含むX線粉末回折(XRPD)を有する。
【0020】
好ましくは、前記固体形態は、4.637、9.143、10.34、11.56、13.019、13.7、14.039、14.838、15.76、16.54、17.159、17.981、18.281、19.14、19.795、20.538、21.2、21.901、23.121、23.879、24.721、25.659、26.179、27.299、27.541、28.22、29.879、30.459、31.723、32.277、33.479、33.941、34.802、35.401、36.234、36.536、37、37.666、38.296、38.777、39.602、39.94、40.877、41.821、42.981、44.403にあるピークのうちの1つ以上のピークを含むX線粉末回折(XRPD)を有する。
【0021】
好ましくは、前記固体形態は、実質的に
図3に示すXRPDパターンを有する。
【0022】
好ましくは、前記固体形態は、約235.42℃にある開始温度及び/又は約235.89℃にあるピーク温度を有する、DSCによって特徴付けられた吸熱現象を示す。
【0023】
好ましくは、前記固体形態は、式(I)の酒石酸塩の結晶形IIIである。
【0024】
好ましくは、前記固体形態は、13.2、13.519、15.181、21.901、22.521、23.121及び24.9度の2θにおけるピークを含むX線粉末回折(XRPD)を有する。
【0025】
好ましくは、前記固体形態は、13.2、13.519、15.181、18.539、21.901、22.521、23.121、23.219、24.9、26.419及び26.62度の2θにおけるピークを含むX線粉末回折(XRPD)を有する。
【0026】
好ましくは、前記固体形態は、8.939、11.199、13.2、13.519、14.02、15.181、18.539、20.921、21.901、22.521、23.121、23.219、24.9、26.419及び26.62度の2θにおけるピークを含むX線粉末回折(XRPD)を有する。
【0027】
好ましくは、前記固体形態は、6.159、7.339、8.939、10.179、11.199、11.481、13.2、13.519、14.02、14.719、15.181、16.461、17.64、17.999、18.539、19.22、19.479、20.019、20.442、20.921、21.619、22.521、23.219、23.518、24.019、24.9、25.281、25.9、26.419、26.62、28.198、28.978、28.978、29.703、30.779、31.202、32.357、33.117、33.819、34.183、35.116、36.059、36.519、37.219、38.061、39.161、40.659、41.654、41.903、43.139にあるピークのうちの1つ以上のピークを含むX線粉末回折(XRPD)を有する。
【0028】
好ましくは、前記固体形態は、実質的に
図5に示すXRPDパターンを有する。
【0029】
好ましくは、前記固体形態は、約235.42℃にある開始温度及び/又は約235.89℃にあるピーク温度を有する、DSCによって特徴付けられた吸熱現象を示す。
【0030】
好ましくは、前記固体形態は、式(I)の化合物のリン酸塩である。
【0031】
好ましくは、前記固体形態は、式(I)の化合物のリン酸塩の結晶形Iである。
【0032】
好ましくは、前記固体形態は、13.76、19.08、20.581及び22.319度の2θにおけるピークを含むX線粉末回折(XRPD)を有する。
【0033】
好ましくは、前記固体形態は、13.76、15.941、19.08、20.581、22.319及び24.642度の2θにおけるピークを含むX線粉末回折(XRPD)を有する。
【0034】
好ましくは、前記固体形態は、13.76、14.52、15.941、19.08、20.581、22.319、23.381、23.818、24.642及び28.219度の2θにおけるピークを含むX線粉末回折(XRPD)を有する。
【0035】
好ましくは、前記固体形態は、9.121、10.082、12.6、13.76、14.52、15.941、18.581、19.08、19.781、20.581、22.319、23.381、23.818、24.642、25.66、26.537、28.219、29.419及び33.98度の2θにおけるピークを含むX線粉末回折(XRPD)を有する。
【0036】
好ましくは、前記固体形態は、実質的に
図10に示すXRPDパターンを有する。
【0037】
好ましくは、前記固体形態は、式(I)の化合物のマレイン酸塩である。
【0038】
好ましくは、前記固体形態は、式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形Iである。
【0039】
好ましくは、前記固体形態は、18.459、20.237、22.185及び24.12度の2θにおけるピークを含むX線粉末回折(XRPD)を有する。
【0040】
好ましくは、前記固体形態は、10.32、15.998、18.459、20.237、22.185及び24.12度の2θにおけるピークを含むX線粉末回折(XRPD)を有する。
【0041】
好ましくは、前記固体形態は、6.801、10.32、15.998、18.459、19.761、20.237、22.185、24.12、25.599及び35.258度の2θにおけるピークを含むX線粉末回折(XRPD)を有する。
【0042】
好ましくは、前記固体形態は、6.801、9.575、10.32、13.258、13.662、15.041、15.998、18.459、19.761、20.237、20.781、21.498、21.78、22.185、24.12、25.599、27.062、28.203及び35.258度の2θにおけるピークを含むX線粉末回折(XRPD)を有する。
【0043】
好ましくは、前記固体形態は、実質的に
図12に示すXRPDパターンを有する。
【0044】
好ましくは、前記固体形態は、式(I)の化合物の安息香酸塩である。
【0045】
好ましくは、前記固体形態は、式(I)の化合物の安息香酸塩の結晶形Iである。
【0046】
好ましくは、前記固体形態は、6.639、8.461、20.16及び21.699度の2θにおけるピークを含むX線粉末回折(XRPD)を有する。
【0047】
好ましくは、前記固体形態は、6.639、8.461、12.119、14.52、20.16及び21.699度の2θにおけるピークを含むX線粉末回折(XRPD)を有する。
【0048】
好ましくは、前記固体形態は、3.981、6.639、8.461、12.119、14.52、15.441、20.16、20.639、21.699及び24.659度の2θにおけるピークを含むX線粉末回折(XRPD)を有する。
【0049】
好ましくは、前記固体形態は、3.981、6.639、8.461、9.6、12.119、12.602、14.52、15.441、16.882、18.12、18.941、20.16、20.639、21.699、23.378、23.719、24.659、28.418和29.259度の2θにおけるピークを含むX線粉末回折(XRPD)を有する。
【0050】
好ましくは、前記固体形態は、実質的に
図18に示すXRPDパターンを有する。
【0051】
別の態様では、本発明は、式(I)の化合物の酒石酸塩を提供する。
【化2】
【0052】
好ましくは、前記固体形態は、式(I)の化合物の酒石酸塩の結晶形Iである。
【0053】
好ましくは、前記固体形態は、10.34、17.981、18.281及び21.901度の2θにおけるピークを含むX線粉末回折(XRPD)を有する。
【0054】
好ましくは、前記固体形態は、4.627、10.34、17.981、18.281、21.901及び23.121度の2θにおけるピークを含むX線粉末回折(XRPD)を有する。
【0055】
好ましくは、前記固体形態は、4.627、10.34、13.019、17.981、18.281、21.2、21.901、23.121、27.299、27.541及び29.879度の2θにおけるピークを含むX線粉末回折(XRPD)を有する。
【0056】
好ましくは、前記固体形態は、4.627、10.34、13.019、15.76、16.54、17.159、17.981、18.281、20.538、21.2、21.901、23.121、24.721、25.659、27.299、27.541、29.879、32.277及び41.821度の2θにおけるピークを含むX線粉末回折(XRPD)を有する。
【0057】
好ましくは、前記固体形態は、4.637、9.143、10.34、11.56、13.019、13.7、14.039、14.838、15.76、16.54、17.159、17.981、18.281、19.14、19.795、20.538、21.2、21.901、23.121、23.879、24.721、25.659、26.179、27.299、27.541、28.22、29.879、30.459、31.723、32.277、33.479、33.941、34.802、35.401、36.234、36.536、37、37.666、38.296、38.777、39.602、39.94、40.877、41.821、42.981、44.403にあるピークのうちの1つ以上のピークを含むX線粉末回折(XRPD)を有する。
【0058】
好ましくは、前記固体形態は、実質的に
図3に示すXRPDパターンを有する。
【0059】
別の態様では、本発明は、式(I)の化合物の非固体形態を1種以上の溶媒に曝し、加熱条件で一定の時間撹拌して溶解させ、その後に室温まで冷却して、固体形態を得るステップを含み、前記式(I)の化合物は、以下の化3である、式(I)の化合物の固体形態の製造方法を提供する。
【化3】
【0060】
好ましくは、前記溶媒は、無水エタノールである。
【0061】
別の態様では、本発明は、式(I)の化合物の非固体形態及び酸基を1種以上の溶媒に曝し、加熱条件で一定の時間撹拌して溶解させ、その後に室温まで冷却して、化合物の塩固体形態を得るステップを含み、前記式(I)の化合物は、以下の化4である、式(I)の化合物の塩固体形態の製造方法を提供する。
【化4】
【0062】
別の態様では、本発明は、本発明に記載の式(I)の化合物の固体形態及び薬学的に許容される賦形剤を含む、ことを特徴とする医薬組成物を提供する。特に、有効量の式(I)の化合物の固体形態である。
【0063】
別の態様では、本発明は、本発明に記載の式(I)の化合物の固体形態及び医薬組成物のFAK阻害剤として使用される用途を提供する。
【0064】
別の態様では、本発明は、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、肺癌、肝癌、胆管癌、骨髄異形成症候群、白血病、甲状腺癌、神経膠腫、結腸癌、直腸癌、大腸癌、卵巣癌、膀胱癌、前立腺癌、乳癌、肉腫、神経芽腫、腎細胞癌、頭頸部癌、胃癌、食道癌、食道胃接合部腺癌、胸腺癌、膵臓癌、子宮癌、精巣癌、悪性黒色腫、皮膚癌、中皮腫、胸腺腫、生殖細胞癌、膠芽腫、鼻咽頭癌、口腔咽頭癌又は喉頭癌、特に非小細胞肺癌、小細胞肺癌、大腸癌、膵臓癌、白血病、膀胱癌、子宮頸癌、胆管癌、食道癌、胃癌、膠芽腫、肝癌、悪性黒色腫、中皮腫、卵巣癌、前立腺癌、腎臓癌、肉腫、甲状腺癌、精巣癌、胸腺腫、又は子宮癌を治療する薬物の製造における本発明に記載の式(I)の化合物の固体形態及び医薬組成物の使用を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【
図1】式(I)の化合物の遊離塩基の結晶形AのX線粉末回折(XRPD)を示す図である。
【
図2a】式(I)の化合物の遊離塩基の結晶形Aの熱重量(TGA)を示す。
【
図2b】式(I)の化合物の遊離塩基の結晶形Aの示差走査熱量測定(DSC)分析結果を示す。
【
図3】式(I)の化合物の酒石酸塩の結晶形IのX線粉末回折(XRPD)を示す図である。
【
図4a】式(I)の化合物の酒石酸塩の結晶形Iの熱重量(TGA)を示す。
【
図4b】式(I)の化合物の酒石酸塩の結晶形Iの示差走査熱量測定(DSC)分析結果を示す。
【
図4c】式(I)の化合物の酒石酸塩の結晶形Iの
1H NMR(DMSO-d
6)を示す図である。
【
図4d】式(I)の化合物の酒石酸塩の結晶形Iの動的水蒸気吸着(DVS)等温線を示す図である。
【
図5】式(I)の化合物の酒石酸塩の結晶形IIIのX線粉末回折(XRPD)を示す図である。
【
図5a】式(I)の化合物の酒石酸塩の結晶形IIIの熱重量(TGA)を示す。
【
図5b】式(I)の化合物の酒石酸塩の結晶形IIIの示差走査熱量測定(DSC)分析結果を示す。
【
図5c】式(I)の化合物の酒石酸塩の結晶形IIIの
1H NMR(DMSO-d
6)を示す図である。
【
図5d】式(I)の化合物の酒石酸塩の結晶形IIIの動的水蒸気吸着(DVS)等温線を示す図である。
【
図6】式(I)の化合物の遊離塩基の結晶形BのXRPD図を示す。
【
図7】式(I)の化合物の遊離塩基の結晶形CのXRPD図を示す。
【
図8】式(I)の化合物の遊離塩基の結晶形DのXRPD図を示す。
【
図9】式(I)の化合物の硫酸塩の結晶形IのXRPD図を示す。
【
図10】式(I)の化合物のリン酸塩の結晶形IのXRPD図を示す。
【
図11】式(I)の化合物のリン酸塩の結晶形IIのXRPD図を示す。
【
図12】式(I)の化合物マレイン酸塩の結晶形IのXRPD図を示す。
【
図13】式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形IIのXRPD図を示す。
【
図14】式(I)の化合物のクエン酸塩の結晶形IのXRPD図を示す。
【
図15】式(I)の化合物の乳酸塩の結晶形IのXRPD図を示す。
【
図16】式(I)の化合物のベンゼンスルホン酸塩の結晶形IのXRPD図を示す。
【
図17】式(I)の化合物の2-イセチオン酸塩の結晶形IのXRPD図を示す。
【
図18】式(I)の化合物の安息香酸塩の結晶形IのXRPD図を示す。
【
図19】式(I)の化合物のp-トルエンスルホン酸塩の結晶形IのXRPD図を示す。
【
図20】式(I)の化合物の臭化水素酸塩の結晶形IのXRPD図を示す。
【
図23】酒石酸塩の結晶形IIIの安定性分析である。
【
図24】遊離塩基の結晶形Aの圧力条件での安定性のXRPD図である。
【
図25】酒石酸塩の結晶形Iの圧力条件での安定性のXRPD図である。
【
図26】酒石酸塩の結晶形IIIの圧力条件での安定性のXRPD図である。
【
図27】遊離塩基の結晶形Aの研磨条件での安定性のXRPD図である。
【
図28】酒石酸塩の結晶形Iの研磨条件での安定性のXRPD図である。
【
図29】酒石酸塩の結晶形IIIの研磨条件での安定性のXRPD図である。
【
図30】室温での酒石酸塩Iと酒石酸塩IIIの懸濁競合実験分析である。
【
図31】50℃での酒石酸塩Iと酒石酸塩IIIの懸濁競合実験分析である。
【発明を実施するための形態】
【0066】
実施例
以下、実施例を提供して本発明をさらに説明する。これらの実施例は、本発明を説明するためのものに過ぎず、本発明の範囲を限定するものではないことを理解されたい。
【0067】
以下の実施例において具体的な条件が明記されていない実験方法は、いずれもこのような反応の一般的な条件、又はメーカーの薦めの条件で行われる。
【0068】
以下の実施例において使用される実験材料及び試薬は、特に説明しない限り、いずれも市販で購入できる。
【0069】
別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学技術用語は、当業者によって通常理解されるものと同じ意味を有する。
【0070】
本明細書で使用される用語「約」又は「概ね」は、数値又は数値の範囲と組み合わせて使用されると、上記値又は数値の範囲が当業者が合理的と考えられる範囲を逸脱することができることを意味し、例えば、実験変動内(又は統計学上の実験誤差内)にある。したがって、上記数値又は数値の範囲は、例えば、上記数値又は数値の範囲の1%~15%の間、1%~10%の間、1%~5%の間、0.5%~5%の間及び0.5%~1%の間に変化し得る。本明細書に開示された数値又は数値の範囲の前に用語「約」がある場合には、所定の値の実施形態がさらに含まれる。例えば、「約3℃」の場合、温度が「3℃」である実施形態が開示される。本明細書全体を通して、用語「約」及び「概ね」は、完全に交換可能に使用される。用語「...の間」は、範囲の両端を規定する数字を含み、例えば、「3~5の間」に記載の範囲には、数字「3」及び「5」が含まれる。本明細書で使用される数値又は数値の範囲の前の波線(すなわち「~」)は、「約」又は「概ね」を意味する。
【0071】
本明細書で使用される用語「混合」は、1種以上の化学物質を別の1種以上の化学物質と混合することを意味する。混合は、1種以上の化合物を1種以上の化合物(同じ又は他の化学物質)の固体、液体若しくは気体の混合物、又は液体溶液若しくは多相液体混合物に加える過程(例えば、結合の形成又は分解、塩の形成、溶媒和物の形成、キレート化又は他の非結合を変更する会合)を含むステップを含む。混合の役割は、例えば異性化(例えば、相互変換、異性体と別の異性体との分割及びラセミ)による1種以上の化合物の変更を含んでもよい。
【0072】
本明細書で使用される用語「薬学的に許容される」は、無毒で、生物学的に許容され、被験者への投与に適することを意味する。
【0073】
本明細書で使用される用語「薬学的に許容される塩」とは、無毒で生物学的に許容され、被験者への投与に適する塩を指し、上記化合物の薬学的に許容される塩とは、無毒で生物学的に許容され、被験者への投与に適する酸付加塩を指し、塩酸塩、臭化水素酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸塩、硫酸塩、亜硫酸塩、硝酸塩などの、上記化合物と無機酸で形成された酸付加塩と、ギ酸塩、酢酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、メタンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩及び式HOOC-(CH2)n-COOH(式中、nは、0~4である)のアルカンジカルボン酸で形成された塩などの、上記化合物と有機酸で形成された酸付加塩とを含むが、それらに限定されない。また、本発明の化合物が酸付加塩から得られるものであれば、酸性塩の溶液をアルカリ化することにより遊離塩基を得ることができる。逆に、生成物が遊離塩基であれば、遊離塩基化合物で酸付加塩を製造する従来の方法で、遊離塩基を適切な有機溶媒に溶解させ、該溶液を酸処理することにより、薬学的に許容される塩を製造することができる。当業者であれば、薬学的に許容される塩を製造する様々な合成方法を知るべきである。いくつかの実施形態では、上記塩は、酒石酸塩、塩酸塩、ブタン二酸塩、サリチル酸塩又はフマル酸塩である。いくつかの実施形態では、上記塩は、酒石酸塩である。
【0074】
本明細書で使用される用語「溶媒和物」は、さらに、非共有結合分子間力により結合した化学量論的量又は非化学量論的量の溶媒を含む化合物を意味する。例えば、溶媒が水である場合、溶媒和物は、「水和物」である。溶媒和物は、チャネル溶媒和物であってもよい。本明細書で使用される用語「溶媒和物」は、化合物、化合物の溶媒和物及びそれらの混合物を含むことを理解されたい。
【0075】
他に説明しない限り、本明細書で使用される用語「溶媒」、「有機溶媒」及び「不活性溶媒」は、それぞれ、それらに関連して記載される反応の条件で不活性な有機溶媒を意味し、ベンゼン、トルエン、アセトニトリル(MeCN)、酢酸エチル(EtOAc)、酢酸イソプロピル(IPAc)、ヘキサン、ヘプタン、ジオキソラン、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルホルムアミド(DMF)、クロロホルム、ジクロロメタン(DCM)、エチルエーテル、メタノール(MeOH)、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、メチル-t-ブチルエーテル(MTBE又はTBME)、ジオキサン、アセトン、2-ブタノン(MEK)、N-メチルピロリドン(NMP)、ピリジンなどを含むが、それらに限定されない。いくつかの実施例では、酢酸エチル(EtOAc)、テトラヒドロフラン(THF)、メタノール(MeOH)、75%エタノール、ジオキサン、メチル-t-ブチルエーテル、アセトンなどを含むが、それらに限定されない。反対に規定されない限り、本明細書に記載の反応に使用される溶媒は、不活性な有機溶媒である。
【0076】
本明細書で使用される用語「被験者」は、哺乳動物及び非哺乳動物を意味する。哺乳動物は、哺乳類の任意のメンバーを意味し、ヒトと、ゴリラ及び他のサル類などの非ヒト霊長類動物と、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ及びブタなどの農場動物と、ウサギ、イヌ及びネコなどの家畜と、ラット、マウス及びモルモットなどのげっ歯類動物を含む実験室動物とを含むが、それらに限定されない。非哺乳動物の例としては、鳥などを含むが、それに限定されない。用語「被験者」は、特定の年齢又は性別に限定されない。いくつかの実施形態では、被験者は、ヒトである。
【0077】
本明細書で使用される用語「治療」は、所望の薬理作用及び/又は生理作用を得ることを意味する。該作用は、治療的作用であってもよく、疾患、病気又は症候群を部分的に又は完全に軽減するという結果、疾患に関連する臨床症状又は指標を改善するという結果、又は疾患、病気又は症候群の進行を遅延、抑制又は低減するという結果のうちの1つ以上を部分的又は基本的に得ることを含む。
【0078】
本明細書で使用される用語「有効量」は、式(I)の化合物の固体形態が疾患又は病気の重症度、持続時間、進展又は発作を低下させるか又は改善し、疾患又は病気の進行を遅延させるか又は阻止し、疾患又は病気を解消するか又は症状の再発又は進行を遅延させ、又は他の療法の治療効果を増強又は改善するのに十分である量を意味する。被験者に投与される正確な量は、様々な因子に依存し、例えば、投与される薬物又は化合物、医薬製剤、投与経路、疾患のタイプ、病気、治療対象の被験者又は宿主の身分などに依存するが、依然として当業者によって一般的に決定される。例えば、有効量の決定はまた、細胞増殖の程度、重症度及びタイプに依存する。当業者であれば、これらの因子及び他の要因に基づいて適切な投与量を決定することができる。他の治療剤と共に投与される場合、例えば、抗癌剤と共に投与される場合、任意の他の治療剤の「有効量」は、使用される薬物のタイプに依存する。適切な投与量は、承認された治療剤に対して既知であり、かつ当業者によって被験者の病態、治療される病態のタイプ及び上記化合物又はその薬学的に許容される塩の量に基づいて調整できる。量が明記されていない場合、いくつかの量があると仮定すべきである。上記式(I)の化合物の固体形態の有効な投与量は、10μg~2000mgであってもよい。この実施例は、非限定的なものである。
【0079】
任意の適切な投与方法で式(I)の化合物の固体形態を投与することができる。適切な方法は、被験者に対する経口投与、静脈投与、筋肉投与又は皮下投与を含む。
【0080】
本明細書で使用される用語「薬学的に許容される賦形剤」又は「薬学的に許容される担体」は、任意及び全ての溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤、等張剤及び吸収遅延剤などを含む。医薬活性物質に対してこのような媒体及び試薬を使用することは、当業者によく知られている。任意の一般的な媒体又は試薬が活性成分と相溶しない限り、本明細書の組成物に使用されることを考慮する。補充された活性成分は、医薬組成物に加えられてもよい。
【0081】
したがって、上記式(I)の化合物の固体形態は、薬学的に許容される担体、例えば不活性希釈剤又は吸収可能な食用担体と共に経口投与されてもよい。それらは、硬質又は軟質のゼラチンカプセルに封入され、錠剤に圧縮されるか又は患者の食物と直接混合されてもよい。経口による治療的投与の場合、上記化合物又はその薬学的に許容される塩は、1種以上の賦形剤と組み合わせされ、摂取可能な錠剤、口腔用錠剤、トローチ剤、カプセル、エリキシル剤、懸濁液、シロップ又はカシェ剤などの形態で使用されてもよい。これらの製剤には、有効量の上記式(I)化合物(又はその薬学的に許容される塩)が含まれる。
【0082】
錠剤、トローチ剤、丸剤、カプセル剤などは、トラガカントゴム、アラビアゴム、トウモロコシデンプン若しくはゼラチンなどの結合剤、リン酸二カルシウムなどの賦形剤、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、アルギン酸などの崩壊剤、ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤、又はスクロース、フルクトース、ラクトース若しくはアスパルテームなどの甘味料、又は調味剤をさらに含んでもよい。
【0083】
上記式(I)の化合物の固体形態は、静脈内点滴又は腹膜内注射によって投与されてもよい。
【0084】
注射又は点滴のための例示的な薬物の剤形は、無菌水溶液、分散液、又は活性成分を含む無菌粉末を含み、該無菌粉末は、無菌注射溶液又は点滴溶液又は分散液の即時調製に適する。いずれにしても、最終剤形は、製造条件及び貯蔵条件で無菌であり、流動し、かつ安定すべきである。
【0085】
無菌注射溶液は、必要な量の上記
図13の酒石酸塩の結晶形Iの研磨条件での安定性のXRPD図の化合物の固体形態を必要な上記様々な他の成分と共に適切な溶媒に配合し、次に濾過滅菌されて調製されてもよい。無菌注射溶液の調製のための無菌粉末の場合、好ましい調製方法は、活性成分+予め無菌濾過された後に存在する任意の他の所望の成分の粉末をもたらす真空乾燥及び凍結乾燥の技術であってもよい。
【0086】
治療に用いられる式(I)の化合物の固体形態の必要な量は、選択された特定の塩に応じて変化し得るだけでなく、投与経路、治療される疾患の性質、並びに患者の年齢及び状況に応じても変化し、最終的には主治医又は臨床医によって自分で決定され得る。しかしながら、一般的には、投与量は、毎日約0.1~約50mg/kg体重の範囲内にあってもよい。
【0087】
必要な投与量は、単一投与量又は適切な間隔で投与される分割投与量で容易に存在することができる。
【0088】
本明細書で使用される用語「固体形態」及び関連用語は、主に液体状態又は気体状態ではない物理的な形態を意味する。固体形態は、結晶性、非結晶又はそれらの混合物であってもよい。
【0089】
本明細書で使用される用語「結晶形」は、結晶形態を意味する。結晶形態は、一成分結晶形態及び多成分結晶形態を含み、多形、溶媒和物及び他の分子複合体、並びにその塩、塩の溶媒和物、塩の他の分子複合体及び結晶多形を含むが、それらに限定されない。いくつかの実施例では、物質の結晶形は、非結晶形及び/又は他の結晶形を実質的に含んでいなくてもよい。いくつかの実施例では、物質の結晶形は、重量基準で約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%又は50%より少ない1種以上の非結晶形及び/又は他の結晶形を含んでもよい。いくつかの実施例では、物質の結晶形は、物理的に及び/又は化学的に純粋であってもよい。いくつかの実施例では、物質の結晶形は、約99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%又は90%物理的に及び/又は化学的に純粋であってもよい。いくつかの実施例では、本明細書に記載の結晶形は、実質的に純粋であり、すなわち、他の結晶形及び/又は他の化合物を実質的に含まず、重量基準で約25%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.75%、0.5%、0.25%又は0.1%より少ない1種以上の他の結晶形及び/又は他の化合物を含む。
【0090】
結晶形は、特定の結晶形、例えば本明細書に記載の結晶形に特有の異なる物理的特徴データを示すことができる。これらの特徴データは、例えばx線粉末回折(XRPD)、示差走査熱量測定(DSC)、熱重量分析(TGA)及び核磁気共鳴分光法(HNMR)を含む当業者に知られている様々な技術により取得され得る。これらの技術によって提供されるデータは、具体的な結晶形を同定するために使用されてもよい。当業者であれば、結晶形が本明細書に係る、具体的な結晶形に特有であると同定される対照データと「一致」するか否かを決定することができる。対照結晶形のデータと「一致」する特徴データを有する結晶形は、対照結晶形と同じ結晶形に相当するものとして当業者によって理解される。データが「一致」するか否かの分析では、当業者であれば、実験誤差と通常のサンプルの間の分析などにより具体的な特徴データ点が合理的な程度変化しても所定の結晶形と説明されることを理解すべきである。
【0091】
本明細書で使用される「非結晶形」又は「非結晶形の形態」及び関連用語は、上記物質、成分又は製品がx線粉末回折によって測定されて実質的に結晶性ではないことを意味する。特に、用語「非結晶形」は、無秩序な固体形態、すなわち、長距離の結晶性秩序を欠く固体形態を説明する。いくつかの実施例では、物質の非結晶形は、他の非結晶形及び/又は結晶形を実質的に含んでいなくてもよい。いくつかの実施例では、物質の非結晶形は、重量基準で約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%又は50%より少ない1種以上の他の非結晶形及び/又は結晶形を含んでもよい。いくつかの実施例では、物質の非結晶形は、物理的に及び/又は化学的に純粋であってもよい。いくつかの実施例では、物質の非結晶形は、約99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%又は90%物理的に及び/又は化学的に純粋であってもよい。
【0092】
一態様では、本発明は、式(I)の化合物、その塩、その溶媒和物、その塩の溶媒又はそれらの混合物を含む固体形態を提供する。
【化5】
【0093】
いくつかの実施例では、式(I)の化合物を含む固体形態は、結晶形、一部結晶形態、又は結晶形と非結晶形の混合物であってもよい。いくつかの実施例では、上記固体形態は、式(I)の化合物、その塩、その溶媒和物、その塩の溶媒又はそれらの混合物の結晶形を含んでもよい。いくつかの実施例では、前記固体形態は、共形成物をさらに含む。いくつかの実施例では、式(I)の化合物と共形成物の固体形態の共結晶を含む。いくつかの実施例では、上記固体形態は、非結晶形である。いくつかの実施例では、上記固体形態は、実質的に純粋である。
【0094】
いくつかの実施例では、上記固体形態は、式(I)の化合物の遊離塩基又はその溶媒和物の固体形態を含む。いくつかの実施例では、上記固体形態は、式(I)の化合物の無水遊離塩基の固体形態を含む。いくつかの実施例では、上記固体形態は、式(I)の化合物の遊離塩基の溶媒和物の固体形態を含む。上記式(I)の化合物、その塩、その溶媒和物、その塩の溶媒又はそれらの混合物は、様々な固体形態で存在することができる。このような固体形態には、結晶形固体、非結晶形固体、又は結晶形固体と非結晶形固体の混合物を含む。いくつかの実施例では、上記固体形態は、実質的に結晶形である。いくつかの実施例では、上記固体形態は、結晶形である。
【0095】
いくつかの実施例では、上記固体形態中の式(I)の化合物と溶媒/水とのモル比の範囲は、約10:1~約1:10である。いくつかの実施例では、上記固体形態中の式(I)の化合物と溶媒/水とのモル比の範囲は、約5:1~約1:5である。上記固体形態中の式(I)の化合物と溶媒/水とのモル比の範囲は、約3:1~約1:3である。上記固体形態中の式(I)の化合物と溶媒/水とのモル比の範囲は、約2:1~約1:2である。いくつかの実施例では、上記モル比は、約1:2(すなわち、二溶媒和物)である。いくつかの実施例では、上記モル比は、約1:1(すなわち、一溶媒和物)である。いくつかの実施例では、上記モル比は、約2:1(すなわち、半溶媒和物)である。
【0096】
いくつかの実施例では、上記固体形態は、式(I)の化合物の遊離塩基の結晶形Aである。いくつかの実施例では、遊離塩基の結晶形Aは、非結晶形を実質的に含まない。いくつかの実施例では、遊離塩基の結晶形Aは、他の結晶形を実質的に含まない。いくつかの実施例では、遊離塩基の結晶形Aは、式(I)の化合物の塩を実質的に含まない。いくつかの実施例では、遊離塩基の結晶形Aは、実質的に純粋な結晶形Aである。
【0097】
いくつかの実施例では、遊離塩基の結晶形Aは、4.8、9.6、11.0、11.5、17.4、19.3、21.6、22.3、22.5及び24.8度の2θにおけるピークを含むx線粉末回折(XRPD)を有する。いくつかの実施例では、遊離塩基の結晶形Aは、実質的に
図1に示すXRPDパターンを有する。
【0098】
いくつかの実施例では、遊離塩基の結晶形Aは、約25℃から約172℃に加熱されたとき、約0.46%の重量損失を示す。いくつかの実施例では、遊離塩基の結晶形Aは、実質的に
図2aに示すTGAパターンを有する。TGA分析から分かるように、上記式(I)の化合物の遊離塩基の結晶形Aは、非溶媒和物である。
【0099】
いくつかの実施例では、遊離塩基の結晶形Aは、約212.95℃にある開始温度及び/又は約214.24℃にあるピーク温度を有する、DSCによって特徴付けられた吸熱現象を示す。いくつかの実施例では、遊離塩基の結晶形Aは、実質的に
図2bに示すDSCパターンを有する。
【0100】
いくつかの実施例では、上記固体形態は、式(I)の化合物の塩である。上記式(I)の化合物と酸とは、塩を形成する。上記式(I)の化合物と酸との比率は、化学量論的又は非化学量論的であってもよい。いくつかの実施例では、上記式(I)の化合物と酸の比率の範囲は、約5:1~約1:5である。いくつかの実施例では、上記式(I)の化合物と酸の比率の範囲は、約5:1、4:1、3:1、2.5:1、2:1、1.5:1、1:1、1:1.5、1:2、1:2.5、1:3、1:4又は1:5である。いくつかの実施例では、上記式(I)の化合物と酸の比率の範囲は、約1:1である。いくつかの実施形態では、上記酸は、酒石酸、塩酸、ブタン二酸、サリチル酸、硫酸、リン酸、酢酸、マレイン酸、フマル酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、グルコン酸、アスパラギン酸、馬尿酸、グルタミン酸、アジピン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、2-ヒドロキシエチルスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸及び臭化水素酸のうちの1種以上である。いくつかの実施例では、上記酸は、酒石酸、塩酸、ブタン二酸、サリチル酸及びフマル酸のうちの1種以上である。
【0101】
いくつかの実施例では、上記固体形態は、式(I)の化合物の酒石酸塩の結晶形である。いくつかの実施例では、上記固体形態は、式(I)の化合物の酒石酸塩の結晶形Iである。上記式(I)の化合物の酒石酸塩の結晶形I中の式(I)の化合物と酒石酸とのモル比は、約1:1である。いくつかの実施例では、上記式(I)の化合物の酒石酸塩の結晶形Iは、10.3、13.0、18.0、18.3、21.2、21.9、23.1、25.7、27.3及び30.0度の2θにおけるピークを含むx線粉末回折(XRPD)を有する。いくつかの実施例では、上記式(I)の化合物の酒石酸塩の結晶形Iは、実質的に
図3に示すXRPDパターンを有する。
【0102】
いくつかの実施例では、上記式(I)の化合物の酒石酸塩の結晶形Iは、約25℃から約158℃に加熱されたとき、約0.87%の重量損失を示す。いくつかの実施例では、上記式(I)の化合物の酒石酸塩の結晶形Iは、実質的に
図4aに示すTGAパターンを有する。TGA分析から分かるように、上記式(I)の化合物の酒石酸塩の結晶形Iは、非溶媒和物である。
【0103】
いくつかの実施例では、上記式(I)の化合物の酒石酸塩の結晶形Iは、約235.42℃にある開始温度及び/又は約235.89℃にあるピーク温度を有する、DSCによって特徴付けられた吸熱現象を示す。いくつかの実施例では、上記式(I)の化合物の酒石酸塩の結晶形Iは、実質的に
図4bに示すDSCパターンを有する。
【0104】
いくつかの実施形態では、上記式(I)の化合物の酒石酸塩の結晶形Iは、相対湿度が約0から約95%の相対湿度に上昇したとき、約1%の重量増加を示す。いくつかの実施例では、上記式(I)の化合物の酒石酸塩の結晶形Iは、実質的に
図4cに示すDVSパターンを有する。
【0105】
いくつかの実施例では、本発明は、式(I)の化合物の固体形態及び薬学的に許容される賦形剤を含む、ことを特徴とする医薬組成物を提供する。特に、有効量の式(I)の化合物の固体形態である。
【0106】
いくつかの実施例では、本発明は、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、肺癌、肝癌、胆管癌、骨髄異形成症候群、白血病、甲状腺癌、神経膠腫、結腸癌、直腸癌、大腸癌、卵巣癌、膀胱癌、前立腺癌、乳癌、肉腫、神経芽腫、腎細胞癌、頭頸部癌、胃癌、食道癌、食道胃接合部腺癌、胸腺癌、膵臓癌、子宮癌、精巣癌、悪性黒色腫、皮膚癌、中皮腫、胸腺腫、生殖細胞癌、膠芽腫、鼻咽頭癌、口腔咽頭癌又は喉頭癌、特に非小細胞肺癌、小細胞肺癌、大腸癌、膵臓癌、白血病、膀胱癌、子宮頸癌、胆管癌、食道癌、胃癌、膠芽腫、肝癌、悪性黒色腫、中皮腫、卵巣癌、前立腺癌、腎臓癌、肉腫、甲状腺癌、精巣癌、胸腺腫、又は子宮癌を治療する薬物の製造における本発明に記載の式(I)の化合物の固体形態及び医薬組成物の使用を提供する。
【0107】
使用される略語は、以下の意味を有する。
mg ミリグラム
ml ミリリットル
TGA 熱重量分析
DSC 示差走査熱量測定法
DVS 重量分析水蒸気吸着等温線
【0108】
測定方法
1、粉末X線回折測定(XRPD)
【表1】
2、熱重量分析(TGA)
【表2】
3、示差走査熱量測定法(DSC)
【表3】
4、重量分析水蒸気吸着等温線(DVS)
【表4】
【0109】
実施例1、式(I)の化合物の遊離塩基の製造
WO2010058032に開示されている方法に従って、式(I)の化合物の遊離塩基を製造して得た。(M+H)+:589である。
【0110】
実施例2、式(I)の化合物の遊離塩基の結晶形のスクリーニング
上記得られた遊離塩基に対して、異なる溶媒において結晶性研究及びスケールアップ性研究を行った結果、遊離塩基に結晶多形が存在し、結晶形スクリーニング範囲内で4種の結晶多形が得られるが、結晶形Aのみがスケールアップして反復できるため、遊離塩基の結晶形Aが式(I)の化合物の遊離塩基の最も好ましい結晶形であることを見出した。
【0111】
表1、式(I)の化合物の遊離塩基の結晶性研究
【表5】
【0112】
上記得られた遊離塩基(1.7g)を無水エタノール(170mL)に溶解させ、82~87℃で1~2時間撹拌し、室温まで冷却し、減圧蒸留して一部の溶媒を除去し、固体が析出するまで停止し、その後に静置し、固体を収集し、乾燥させて、遊離塩基の結晶形Aを得ることができる。
【0113】
1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ8.78(d,J=12.5Hz,2H),7.98-7.91(m,1H),7.70(t,J=7.8Hz,1H),7.57(d,J=7.6Hz,1H),7.31(d,J=7.9Hz,1H),7.16(s,1H),7.05(d,J=6.4Hz,1H),4.48(s,2H),3.79(s,3H),3.67(s,1H),2.94(s,3H),2.73(d,J=11.3Hz,2H),2.16(s,3H),1.94(t,J=11.2Hz,2H),1.79-1.71(m,2H),1.52(qd,J=11.9,3.9Hz,2H)。
【0114】
式(I)の化合物の遊離塩基の結晶AのXRPD特徴データは以下のとおりである。
【表6A】
【表6B】
【0115】
実施例3、式(I)の化合物の結晶形の塩のスクリーニング
3.1、酸溶液の調製
異なる酸の溶解性に基づいて、酸溶液をそれぞれ調製し、具体的には、以下のとおりである。
【0116】
硫酸、リン酸、酢酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、グルコン酸、アジピン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、2-ヒドロキシエチルスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、臭化水素酸に対して、メタノール溶液を用い、濃度を1mol/Lとし、
アスパラギン酸、馬尿酸、グルタミン酸に対して、水溶液を用い、濃度を0.02mol/Lとし、
2-ナフタレンスルホン酸に対して、水溶液を用い、濃度を0.01mol/Lとする。
【0117】
17.6mg(約0.03mmol)の遊離塩基の結晶形Aを10mLのサンプル瓶に入れ、適量の反応溶媒を加え、撹拌して溶解させた後にそれぞれ酸溶液(反応モル比を1:1とする)を加え、50℃で3h反応させた後に室温まで降温させ、一晩撹拌し続け、その後に4℃の冷蔵庫に入れて8h静置した。固体が析出していないサンプルに対して、室温で揮発させて固体を得た後にXRPD測定を行い、固体が析出したサンプルを遠心分離して溶媒を除去し、遠心分離して得られた固体と、上澄み液を揮発させて得られた固体とに対して、それぞれ乾燥させた後にXRPD測定を行い、塩を形成したか否かを判定した。結果を表2に示す。
【0118】
表2、式(I)の化合物の酸付加塩のスクリーニング結果
【表7】
備考:以上の表に記載のI又はIIは、いずれも対応する酸基が塩を形成した後の対応する酸の異なる結晶形である。例えば、酸が硫酸であり、溶媒が酢酸エチルである場合、析出して得られた結晶形Iは、硫酸塩の結晶形Iである。他の結晶形についても、これによって類推する。上記A、B及びCは、いずれも遊離塩基の結晶形Aの化合物の遊離塩基の結晶形である。NAは、サンプルが得られなかったことを示す。
【0119】
図6は、式(I)の化合物の遊離塩基の結晶形BのXRPD図を示す。
【0120】
図7は、式(I)の化合物の遊離塩基の結晶形CのXRPD図を示す。
【0121】
図8は、式(I)の化合物の遊離塩基の結晶形DのXRPD図を示す。
【0122】
図9は、式(I)の化合物の硫酸塩の結晶形IのXRPD図を示す。
【0123】
図10は、式(I)の化合物のリン酸塩の結晶形IのXRPD図を示す。
【0124】
図11は、式(I)の化合物のリン酸塩の結晶形IIのXRPD図を示す。
【0125】
図12は、式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形IのXRPD図を示す。
【0126】
図13は、式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形IIのXRPD図を示す。
【0127】
図14は、式(I)の化合物のクエン酸塩の結晶形IのXRPD図を示す。
【0128】
図15は、式(I)の化合物の乳酸塩の結晶形IのXRPD図を示す。
【0129】
図16は、式(I)の化合物のベンゼンスルホン酸塩の結晶形IのXRPD図を示す。
【0130】
図17は、式(I)の化合物の2-イセチオン酸塩の結晶形IのXRPD図を示す。
【0131】
図18は、式(I)の化合物の安息香酸塩の結晶形IのXRPD図を示す。
【0132】
図19は、式(I)の化合物のp-トルエンスルホン酸塩の結晶形IのXRPD図を示す。
【0133】
図20は、式(I)の化合物の臭化水素酸塩の結晶形IのXRPD図を示す。
【0134】
実施例4、式(I)の化合物の酒石酸塩の結晶形Iの製造
上記酸付加塩のスクリーニング結果における方法で上記結晶形Iを製造する以外に、さらに、具体的には以下のように製造されてもよい。
【0135】
上記得られた遊離塩基(2.5g)及び酒石酸(0.65g)を75%エタノール(180mL)に溶解させ、55~65℃で1~3時間撹拌し、室温まで冷却し、減圧蒸留して一部の溶媒を除去し、固体が析出するまで停止し、その後に静置し、固体を収集し、乾燥させて、酒石酸塩の結晶形Iを得ることができる。上記式(I)の化合物の酒石酸塩の結晶形I中の式(I)の化合物と酒石酸とのモル比は、約1:1である。
【0136】
1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ8.78(d,J=15.1Hz,2H),8.06(d,J=7.4Hz,1H),7.70(t,J=7.8Hz,1H),7.57(d,J=7.6Hz,1H),7.31(d,J=7.9Hz,1H),7.18(d,J=13.8Hz,1H),7.06(d,J=6.5Hz,1H),4.48(s,2H),4.03(s,2H),3.79(s,4H),3.01(d,J=11.5Hz,2H),2.94(s,3H),2.41(s,3H),1.86(d,J=12.3Hz,2H),1.62(q,J=11.8Hz,2H)。
【0137】
酒石酸塩の結晶形IのXRPD特徴データは、以下のとおりである。
【表8A】
【表8B】
【0138】
実施例5、式(I)の化合物の酒石酸塩の結晶形IIIの製造
上記酸付加塩のスクリーニング結果における方法で上記結晶形IIIを製造する以外に、さらに、具体的には以下のように製造されてもよい。
【0139】
上記得られた遊離塩基(2.95g)を酢酸エチル(188mL)に溶解させ、60~65℃に加熱し、5mlの酒石酸メタノール溶液を滴下し、1~3時間撹拌し、室温まで冷却し、濾過し、乾燥させて、酒石酸塩の結晶形IIIを得ることができる。上記式(I)の化合物の酒石酸塩の結晶形III中の式(I)の化合物と酒石酸とのモル比は、約1:1である。
【0140】
1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ8.78(d,J=12.9Hz,2H),8.03(d,J=7.6Hz,1H),7.70(t,J=7.8Hz,1H),7.57(d,J=7.6Hz,1H),7.31(d,J=8.0Hz,1H),7.18(s,1H),7.06(d,J=6.5Hz,1H),4.48(s,2H),3.97(s,2H),2.95(d,J=12.4Hz,5H),2.36(s,5H),1.84(d,J=12.7Hz,2H),1.61(d,J=11.3Hz,2H)。
【0141】
酒石酸塩の結晶形IIIのXRPD特徴データは、以下のとおりである。
【表9A】
【表9B】
【0142】
実施例6、溶解度の測定
式(I)の化合物の遊離塩基の結晶形A、酒石酸塩の結晶形I及び酒石酸の結晶形IIIを一定の質量ではかりとり、5mLのサンプル瓶に入れ、それぞれ脱イオン水、pH2.0のグリシン-塩酸緩衝液、pH4.5のNa2HPO4-クエン酸緩衝液、pH6.8のNa2HPO4-クエン酸緩衝液を2mL加え、25℃の振とう機に入れて24時間振動させた後に濾過し、濾液に対してHPLCを用いて溶解度を測定し、固体に対してXRPDにより結晶形が転移するか否かを検出した。
【0143】
クロマトグラフィー条件は、以下のとおりである。
クロマトグラフィーカラム:Unitary C18(5μm、100A、4.6×250mm)、
移動相:A相をpH=6.2の酢酸アンモニウムとし、B相をアセトニトリルとし、A:B=10:90とし、
検出波長:230nm、カラム温度:35℃、
サンプル注入量:20μL。
【0144】
溶解度の測定結果を表3に示す。
【0145】
表3、式(I)の化合物の遊離塩基及び塩の溶解度(25℃、mg/mL)
【表10】
【0146】
溶解度の測定結果によれば、遊離塩基アモルファスに比べて、遊離塩基の結晶形Aは、pH6.8の緩衝塩溶液において溶解度が顕著に向上したことを示す。酒石酸の結晶形Iは、脱イオン水及びpH6.8の緩衝塩溶液において溶解度がいずれも顕著に向上した。酒石酸塩の結晶形IIIは、全ての溶媒系において溶解度が非常に良い。脱イオン水における溶解度の向上により、製剤の難しさは、大幅に低減され、pH6.8の緩衝塩溶液における溶解度の向上により、薬物の経口バイオアベイラビリティは、大幅に向上し、XRPD検出によれば、遊離塩基の結晶形Aは、pH6.8の緩衝塩溶液及び脱イオン水において結晶形が転移せず、酒石酸の結晶形Iは、脱イオン水において結晶形が転移しなかった。
【0147】
実施例7、加速安定性試験評価
『中国薬典』2015年版第4部における『原料薬物と製剤安定性試験指導原則』に従って、原料薬物安定性試験には、結晶形に対する影響因子試験及び加速試験の考察を行うことが要求される。
【0148】
高温試験(T):粉末を適切な密封したガラス瓶に入れ、60℃の温度で10日間放置し、5日目及び10日目にサンプリングし、固体のXRPDを測定した。
【0149】
高湿試験(H):粉末を開封して恒温恒湿槽に入れ、25℃、90%±5%RHの条件で10日間放置し、5日目及び10日目にサンプリングし、固体のXRPDを測定した。吸湿・潮解性を考察した。
【0150】
強光照射試験(L):粉末を開封して、蛍光灯が取り付けられた光照射の安定なボックス内に入れ、照度が4500±500lxである条件で10日間放置し、5日目及び10日目にサンプリングし、固体のXRPDを測定した。
【0151】
加速試験(A):粉末を開封して恒温恒湿槽に入れ、40℃、75%±5%RHの条件で10日間放置し、5日目及び10日目にサンプリングし、固体のXRPDを測定した。
【0152】
安定性試験結果を
図4に示し、スペクトルの詳細について、
図21~23を参照する。
【0153】
【0154】
安定性結果によれば、遊離塩基の結晶形A、酒石酸の結晶形I、酒石酸塩の結晶形IIIは、各実験条件でいずれも安定し、結晶形が転移しないことを示す。しかしながら、酒石酸塩の結晶形IIIは、結晶化度が高湿環境で低下する。これは、結晶形IIIを貯蔵する際に環境湿度を注意すべきであり、そうでなければアモルファスに転移する潜在的な可能性があることを示唆している。
【0155】
実施例8、機械的応力での安定性研究
8.1、圧力条件での安定性
適量の遊離塩基の結晶形A、酒石酸塩の結晶形I及び酒石酸塩の結晶形IIIの粉末を粉末打錠機の金型の底部に敷き、製剤プロセスの圧力条件をシミュレーションし、それぞれ2N、4N、6N、8N、10Nの機械的圧力を加え、安定するように圧力を5min維持した後、サンプリングしてXRPDを測定し、圧力条件での結晶形の安定性を考察し、スペクトルの詳細について、
図24~26を参照する。XRPD結果を比較すれば、圧力条件で遊離塩基の結晶形A、酒石酸塩の結晶形I及び酒石酸塩の結晶形IIIの結晶形がいずれも安定することを示す。
【0156】
8.2、研磨条件での安定性
適量の遊離塩基の結晶形A、酒石酸塩の結晶形I及び酒石酸塩の結晶形IIIの粉末をメノウ乳鉢に敷き、メノウビーズを加えた。製剤プロセスの研磨条件をシミュレーションし、自動ボールミルの振動周波数を25S-1に設定し、それぞれ5min、10min、15min、30min研磨した後、サンプリングしてXRPDを測定し、研磨条件での結晶形の安定性を考察し、スペクトルの詳細について、
図27~29を参照する。
【0157】
XRPD結果を比較すれば、研磨条件での遊離塩基の結晶形A及び酒石酸塩の結晶形IIIは、アモルファスに転移したが、酒石酸塩の結晶形Iは、結晶化度が低下しただけであることを示す。したがって、酒石酸塩の結晶形Iは、研磨条件での安定性がより高く、製剤プロセスにおいてより安定する。
【0158】
実施例9、式(I)の化合物の酒石酸塩の水蒸気吸脱着実験
動的水蒸気吸着装置(DVS)を用いて酒石酸の結晶形I及びIIIの25℃及び0~95%の相対湿度の範囲内での吸脱着実験を考察することにより、様々な異なる結晶形の吸湿性能を決定する(詳細について、
図4d、5dを参照する)。結果によれば、40~80%RHの湿度範囲内で、結晶形Iの吸湿量が0.33%であり、結晶形IIIの吸湿量が0.37%であり、結晶形Iは、結晶形の高湿条件(RH>90%)での安定性が結晶形IIIより明らかに優れていることを示す。結晶形IIIは、90%~95%RHで吸湿量が18.1%であり、酒石酸塩の結晶形Iは、ほとんど吸湿しない(0.08%)。
【0159】
実施例10、式(I)の化合物の酒石酸塩の変換関係の研究
異なる有機溶媒において結晶形I、結晶形IIIに対して懸濁競合結晶転移研究を行って、異なる条件で安定する結晶形を決定し、結晶形Iと結晶形IIIとの間の相互転移関係を決定する。結晶形I及び結晶形IIIをそれぞれ20mgを秤取して2mL又は10mLのガラス瓶に入れ、溶解度に基づいてそれぞれ0.5mL又は1mLの有機溶媒を加えた。同じ種類の溶媒を2バッチに分け、それぞれ室温及び50℃で24h懸濁して競合してから、懸濁液を遠心分離した後(10000rpm、3min)の固体粉末を真空乾燥させ、PXRDを測定した(詳細について、
図30、31を参照する)。懸濁結晶転移試験結果を表2に示す。結果によれば、メチル-t-ブチルエーテル及びシクロヘキサンの以外、室温及び50℃で、結晶形I及び結晶形IIIの物理的混合物は、75%エタノール、無水エタノール、アセトン、酢酸エチル、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、メタノール、イソプロピルアルコール、2-ブタノン、トルエン、水などの一般的な溶媒に懸濁して競合した後にいずれも結晶形Iに転移したことを示す。これらの条件で結晶形Iが安定する結晶形であると判断することができる。
【0160】
表5、式(I)の化合物の酒石酸塩の結晶形I及び結晶形IIIの懸濁結晶転移試験結果
【表12】
【0161】
以上より、酒石酸塩の結晶形I及び結晶形IIIの安定性評価及び溶解度研究により、開発に適する酒石酸塩の最適な結晶形がさらに選択される。安定性実験結果によれば、結晶形Iは、溶媒媒介結晶転移、研磨、吸湿安定性がいずれも結晶形IIIより優れていることを示す。
【0162】
本願全体を通して引用される全ての参照文献(文献、発行された特許、公開された特許出願及び同時継続中の特許出願を含む)の内容全体は、参照により本明細書に明確に引用される。別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、いずれも当業者によって通常理解されるものと同じ意味を有する。
【0163】
本明細書に開示される全ての特徴は、任意の組み合わせで組み合わせることができる。本明細書に開示される各特徴は、同じ、均等な又は類似した目的を果たす代替的な特徴によって置換されてもよい。したがって、別段の明確な説明がない限り、開示された各特徴は、一連の均等な又は類似した特徴の一例に過ぎない。
【0164】
上記説明から、当業者であれば、本発明の本質的な特徴を容易に確認することができ、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、本発明に対して様々な変更及び修正を行って本発明を様々な用途及び条件に適合させることができる。したがって、他の実施例も添付された特許請求の範囲内にある。
【手続補正書】
【提出日】2023-04-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物、その塩、その溶媒和物、その塩の溶媒又はそれらの混合物を含
み、
【化1】
結晶形であることを特徴とする、固体形態。
【請求項2】
式(I)の化合物の遊離塩基である
、請求項
1に記載の固体形態。
【請求項3】
式(I)の化合物の遊離塩基の結晶形Aであ
り、
その性質は、
(a)、10.979、19.26、21.581及び24.801度の2θにおけるピークを含むX線粉末回折(XRPD)を有すること、
(b)、4.781、10.979、19.26、21.581、22.26及び24.801度の2θにおけるピークを含むX線粉末回折(XRPD)を有すること、
(c)、4.781、9.58、10.979、11.459、14.678、17.402、19.26、21.581、22.26、22.54、24.801及び29.219度の2θにおけるピークを含むX線粉末回折(XRPD)を有すること、
(d)、4.781、7.361、7.619、9.58、10.54、10.979、11.459、12.34、12.96、13.278、14.678、17.402、18.54、19.26、19.918、21.581、22.26、22.54、23.521、24.217、24.801、25.181及び29.219度の2θにおけるピークを含むX線粉末回折(XRPD)を有すること、及び
(e)、実質的に図1に示すXRPDパターンを有すること、
の1つ又は複数を満たす、請求項2に記載の固体形態。
【請求項4】
式(I)の化合物の酒石酸塩である
、請求項
1に記載の固体形態。
【請求項5】
式(I)の化合物の酒石酸塩の結晶形Iであ
り、
その性質は、
(a)、10.34、17.981、18.281及び21.901度の2θにおけるピークを含むX線粉末回折(XRPD)を有すること、
(b)、4.627、10.34、17.981、18.281、21.901及び23.121度の2θにおけるピークを含むX線粉末回折(XRPD)を有すること、
(c)、4.627、10.34、13.019、17.981、18.281、21.2、21.901、23.121、27.299、27.541及び29.879度の2θにおけるピークを含むX線粉末回折(XRPD)を有すること、
(d)、4.627、10.34、13.019、15.76、16.54、17.159、17.981、18.281、20.538、21.2、21.901、23.121、24.721、25.659、27.299、27.541、29.879、32.277及び41.821度の2θにおけるピークを含むX線粉末回折(XRPD)を有すること、及び
(e)、実質的に図3に示すXRPDパターンを有すること、
の1つ又は複数を満たす、請求項4に記載の固体形態。
【請求項6】
式(I)の化合物のリン酸塩である
、請求項
1に記載の固体形態。
【請求項7】
式(I)の化合物のリン酸塩の結晶形Iであ
り、
その性質は、
(a)、13.76、19.08、20.581及び22.319度の2θにおけるピークを含むX線粉末回折(XRPD)を有すること、
(b)、13.76、15.941、19.08、20.581、22.319及び24.642度の2θにおけるピークを含むX線粉末回折(XRPD)を有すること、
(c)、13.76、14.52、15.941、19.08、20.581、22.319、23.381、23.818、24.642及び28.219度の2θにおけるピークを含むX線粉末回折(XRPD)を有すること、
(d)、9.121、10.082、12.6、13.76、14.52、15.941、18.581、19.08、19.781、20.581、22.319、23.381、23.818、24.642、25.66、26.537、28.219、29.419及び33.98度の2θにおけるピークを含むX線粉末回折(XRPD)を有すること、及び
(e)、実質的に図10に示すXRPDパターンを有すること、
の1つ又は複数を満たす、請求項6に記載の固体形態。
【請求項8】
式(I)の化合物のマレイン酸塩である
、請求項
1に記載の固体形態。
【請求項9】
式(I)の化合物のマレイン酸塩の結晶形Iであ
り、
その性質は、
(a)、18.459、20.237、22.185及び24.12度の2θにおけるピークを含むX線粉末回折(XRPD)を有すること、
(b)、10.32、15.998、18.459、20.237、22.185及び24.12度の2θにおけるピークを含むX線粉末回折(XRPD)を有すること、
(c)、6.801、10.32、15.998、18.459、19.761、20.237、22.185、24.12、25.599及び35.258度の2θにおけるピークを含むX線粉末回折(XRPD)を有すること、
(d)、6.801、9.575、10.32、13.258、13.662、15.041、15.998、18.459、19.761、20.237、20.781、21.498、21.78、22.185、24.12、25.599、27.062、28.203及び35.258度の2θにおけるピークを含むX線粉末回折(XRPD)を有すること、及び
(e)、実質的に図12に示すXRPDパターンを有すること、
の1つ又は複数を満たす、請求項8に記載の固体形態。
【請求項10】
式(I)の化合物の安息香酸塩である
、請求項
1に記載の固体形態。
【請求項11】
式(I)の化合物の安息香酸塩の結晶形Iであ
り、
その性質は、
(a)、6.639、8.461、20.16及び21.699度の2θにおけるピークを含むX線粉末回折(XRPD)を有すること、
(b)、6.639、8.461、12.119、14.52、20.16及び21.699度の2θにおけるピークを含むX線粉末回折(XRPD)を有すること、
(c)、3.981、6.639、8.461、12.119、14.52、15.441、20.16、20.639、21.699及び24.659度の2θにおけるピークを含むX線粉末回折(XRPD)を有すること、
(d)、3.981、6.639、8.461、9.6、12.119、12.602、14.52、15.441、16.882、18.12、18.941、20.16、20.639、21.699、23.378、23.719、24.659、28.418及び29.259度の2θにおけるピークを含むX線粉末回折(XRPD)を有すること、及び
(e)、実質的に図18に示すXRPDパターンを有すること、
の1つ又は複数を満たす、請求項10に記載の固体形態。
【請求項12】
請求項1~
11のいずれか一項に記載の固体形態を含む医薬組成物。
【請求項13】
FAK阻害剤としての請求項1~
11のいずれか一項に記載の固体形態又は請求項
12に記載の医薬組成物の使用。
【請求項14】
ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、肺癌、肝癌、胆管癌、骨髄異形成症候群、白血病、甲状腺癌、神経膠腫、結腸癌、直腸癌、大腸癌、卵巣癌、膀胱癌、前立腺癌、乳癌、肉腫、神経芽腫、腎細胞癌、頭頸部癌、胃癌、食道癌、食道胃接合部腺癌、胸腺癌、膵臓癌、子宮癌、精巣癌、悪性黒色腫、皮膚癌、中皮腫、胸腺腫、生殖細胞癌、膠芽腫、鼻咽頭癌、口腔咽頭癌又は喉頭癌、特に非小細胞肺癌、小細胞肺癌、大腸癌、膵臓癌、白血病、膀胱癌、子宮頸癌、胆管癌、食道癌、胃癌、膠芽腫、肝癌、悪性黒色腫、中皮腫、卵巣癌、前立腺癌、腎臓癌、肉腫、甲状腺癌、精巣癌、胸腺腫、又は子宮癌を治療する薬物の製造における請求項1~
11のいずれか一項に記載の固体形態又は請求項
12に記載の医薬組成物の使用。
【国際調査報告】