(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-25
(54)【発明の名称】車載電気回路網のためのセンサ
(51)【国際特許分類】
G01R 31/52 20200101AFI20230818BHJP
B60L 3/00 20190101ALI20230818BHJP
B60L 58/10 20190101ALI20230818BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20230818BHJP
【FI】
G01R31/52
B60L3/00 S
B60L58/10
H02J7/00 P
H02J7/00 S
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023508092
(86)(22)【出願日】2021-06-30
(85)【翻訳文提出日】2023-04-03
(86)【国際出願番号】 EP2021067959
(87)【国際公開番号】W WO2022028779
(87)【国際公開日】2022-02-10
(31)【優先権主張番号】102020120433.7
(32)【優先日】2020-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】593116434
【氏名又は名称】イザベレンヒュッテ ホイスラー ゲー・エム・ベー・ハー ウント コンパニー コマンデイトゲゼルシャフト
(71)【出願人】
【識別番号】523040336
【氏名又は名称】ベンダー ゲーエムベーハー ウント コンパニー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100180334
【氏名又は名称】山本 洋美
(74)【代理人】
【識別番号】100100860
【氏名又は名称】長谷川 陽子
(74)【代理人】
【識別番号】100222922
【氏名又は名称】和田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】マリエン、ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ゼール、ベンヤミン
(72)【発明者】
【氏名】レッパー、アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ルボー、フェリックス
(72)【発明者】
【氏名】ヴァスマン、アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】レーア、マリオ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルフェル、ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ブレックマン、エックハルト
(72)【発明者】
【氏名】ヴァイス、カルステン
(72)【発明者】
【氏名】グリューン、マティアス
【テーマコード(参考)】
2G014
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
2G014AA16
2G014AB24
2G014AB61
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503FA06
5G503FA14
5G503GB06
5H125AA01
5H125AC12
5H125BC18
5H125EE12
5H125EE22
(57)【要約】
本発明はセンサ(S)に関し、特に電気駆動車の、特に電気自動車の電気回路網のためのセンサ(S)に関する。本発明に係るセンサは、まず、電気回路網における電流測定及び/又は電圧測定のための測定装置(ME)、特に4線式に係る電流測定のための低抵抗電流検出抵抗器を備える。更に、本発明に係るセンサ(S)は、電気回路網のハイサイド及び/又はローサイドの電気的絶縁を監視するための統合された絶縁監視装置(ME、IQ、Rk、S3)を備える。本発明に係るセンサ(S)は、絶縁監視装置(ME、IQ、Rk、S3)がアクティブに動作し、絶縁監視のために測定パルスを電気回路網に印加することを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気回路網のためのセンサ(S)、特に電気駆動車両の、特に電気自動車の車載回路網のためのセンサ(S)であって、
a)特に、4線技術に従って電流測定のための低抵抗電流検出抵抗を用いた、前記電気回路網における電流測定のための、及び/又は電圧測定のための測定装置(ME)と、
b)前記電気回路網のハイサイド及び/又はローサイドの電気抵抗を監視するための、統合された絶縁監視装置(ME、IQ、Rk、S3)と、を備え、
c)前記絶縁監視装置(ME、IQ、Rk、S3)は、アクティブに動作し、絶縁監視のために前記電気回路網に測定パルスを印加する、ことを特徴とするセンサ(S)。
【請求項2】
a)前記絶縁監視装置(ME,IQ,Rk,S3)の前記電気回路網への抵抗性結合であって、前記測定パルスはDC測定パルスである、又は、
b)前記絶縁監視装置(ME,IQ,Rk,S3)の前記電気回路網への容量性結合であって、前記測定パルスは任意にAC測定パルスである、又は、
c)前記絶縁監視装置(ME,IQ,Rk,S3)の前記電気回路網への抵抗性結合であって、前記測定パルス数はAC測定パルスである、
ことを特徴とする請求項1に記載のセンサ(S)。
【請求項3】
a)前記電気回路網が、バッテリ(BAT)の正極端子(+)に接続可能なハイサイドを備え、
b)前記電気回路網が、前記バッテリ(BAT)の負極端子(-)に接続されることができるローサイドを備え、
c)シャシーグランド(GND
Chassis)が、特に前記車両に、設けられ、
d)前記アクティブ絶縁監視装置(ME,IQ,Rk,S3)が、一方で前記電気回路網の前記ローサイド及び/又は前記ハイサイドと、他方で前記電気回路網の前記シャシーグランド(GND
Chassis)との間の漏れ容量(Cy1,Cy2,Cy3,Cy4)を定義し、
e)前記アクティブ絶縁監視装置(ME,IQ,Rk,S3)が、定義された前記漏れ容量(Cy1,Cy2,Cy3,Cy4)の関数として、前記測定パルスの前記周波数を適合させる、
ことを特徴とする請求項2に記載のセンサ(S)。
【請求項4】
a)前記電気回路網の主電流(I)を、前記センサ(S)内に導入するための第1電流接続部(A1)と、
b)前記電気回路網の前記主電流(I)を、前記センサ(S)から放出するための第2電流接続部(A2)と、を特徴とし、
c)前記測定装置(ME)が、前記主電流(I)を測定する、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のセンサ(S)。
【請求項5】
a)前記電気回路網の前記ハイサイドの切り替え可能なハイサイド接触器(RHV+)の下流の前記電気回路網の前記ハイサイドにおける第1測定点(1)で電圧を測定するための第1電圧測定端子(M1)、及び、
b)前記電気回路網の前記ローサイドの切り替え可能なローサイド接触器(RHV-)の下流の前記電気回路網の前記ローサイドにおける第2測定点(2)で電圧を測定するための第2電圧測定端子(M2)、及び、
c)前記電気回路網の前記ハイサイドにある前記バッテリ(BAT)と、前記ハイサイド接触器(RHV+)との間の前記電気回路網の前記ハイサイドにおける前記第3測定点(3)で電圧を測定するための第3電圧測定端子(M3)、
を含む、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のセンサ(S)。
【請求項6】
a)前記第1電圧測定端子(M1)における、制御可能であり、高電圧耐性の第1切断スイッチ(S1)であって、前記第1切断スイッチ(S1)は、選択的に、前記第1電圧測定端子(M1)での測定検出を有効にする、又は前記第1電圧測定端子(M1)の接続を解除する、及び/又は、
b)前記第2電圧測定端子(M2)における、制御可能であり、高電圧耐性の第2切断スイッチ(S2)であって、前記第2切断スイッチ(S2)は、任意に、前記第2電圧測定端子(M2)における測定検出を有効にする、又は前記第2電圧測定端子(M2)の接続を解除する、
ことを特徴とする請求項5に記載のセンサ(S)。
【請求項7】
a)前記センサ(S)をシャシーグランド(GND
Chassis)に、特に車両に結合するための結合出力部(AK)であって、該結合出力部(AK)は、好ましくは高インピーダンスである結合出力部(AK)、
b)アクティブ絶縁監視のためのパルス電圧源(IQ)であって、該パルス電圧源(IQ)は、アクティブ絶縁監視の間、前記測定パルスを生成し、前記結合出力部(AK)でそれらを出力するパルス電圧源(IQ)、
c)任意に、前記センサ(S)の前記結合出力部(AK)における、制御可能で、高電圧耐性の第3切断スイッチ(S3)であって、該第3切断スイッチ(S3)は、任意に、前記パルス電圧源(IQ)を、前記電気回路網に結合する、又はそれを前記電気回路網から分離させる第3切断スイッチ(S3)、
を含む、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のセンサ(S)。
【請求項8】
絶縁監視において、少なくとも1つの抵抗値(Rf1,Rf2,Rf3,Rf4)及び/又は少なくとも1つの容量値(Cy1,Cy2,Cy3,Cy4)を計算するための演算部を含む、
ことを特徴とする、請求項7に記載のセンサ(S)。
【請求項9】
a)前記演算部は、少なくとも1つの前記電圧測定端子(M1~M3)における前記電圧測定値と、前記パルス電圧源(IQ)の前記測定パルスとの関数として、以下の変数、
a1)一方ではハイサイド接触器(RHV+)の前の前記電気回路網の前記ハイサイドと、他方では前記シャシーグランド(GND
Chassis)との間の第1抵抗(Rf1)、及び/又は、
a2)一方では前記ハイサイド接触器(RHV+)の上流の前記電気回路網の前記ハイサイドと、他方では前記シャシーグランド(GND
Chassis)との間の第1容量(Cy1)、
を算出する、及び/又は、
b)前記演算部は、少なくとも1つの前記電圧測定端子(M1~M3)における前記電圧測定値と、前記パルス電圧源(IQ)の前記測定パルスとの関数として、以下の変数、
b1)一方では前記ローサイド接触器(RHV-)の前の前記電気回路網の前記ローサイドと、他方では前記シャシーグランド(GND
Chassis)との間の第2抵抗(Rf2)、及び/又は、
b2)一方では前記ローサイド接触器(RHV-)の上流の前記電気回路網の前記ローサイド、と他方では前記シャシーグランド(GND
Chassis)との間の第2容量(Cy2)、
を算出する、及び/又は、
c)前記演算部は、少なくとも1つの前記電圧測定端子(M1~M3)における前記電圧測定値と、前記パルス電圧源(IQ)の前記測定パルスとの関数として、以下の変数、
c1)一方では前記ハイサイド接触器(RHV+)の後の前記電気回路網の前記ハイサイドと、他方では前記シャシーグランド(GND
Chassis)との間の第3抵抗(Rf3)、及び/又は、
c2)一方では前記ハイサイド接触器(RHV+)の後の前記電気回路網の前記ハイサイドと、他方では前記シャシーグランド(GND
Chassis)との間の第3容量(Cy3)、
を算出する、及び/又は、
d)前記演算部は、少なくとも1つの前記電圧測定端子(M1~M3)における前記電圧測定値と、前記パルス電圧源(IQ)の前記測定パルスとの関数として、以下の変数、
d1)一方では前記ローサイド接触器(RHV-)の後の前記電気回路網の前記ローサイドと、他方では前記シャシーグランド(GND
Chassis)との間の第4抵抗(Rf4)、及び/又は、
d2)一方では前記ローサイド接触器(RHV-)の後の前記電気回路網の前記ローサイドと、他方では前記シャシーグランド(GND
Chassis)との間の第4容量(Cy4)、
を算出する、
ことを特徴とする請求項8に記載のセンサ(S)。
【請求項10】
a)前記電気回路網の前記ハイサイドの前記切り替え可能なハイサイド接触器(RHV+)の前の前記電気回路網の前記ハイサイドにおける第4測定点(4)での電圧測定のための第4電圧測定端子(M4)、
b)前記電気回路網の前記ハイサイドにおける前記切り替え可能なハイサイド接触器(RHV+)と並列に延びる二次経路内の第5測定点(5)での電圧測定のための第5電圧測定端子(M5)、及び/又は、
c)前記電気回路網の前記ローサイドにおける前記切り替え可能なローサイド接触器(RHV-)の上流で、前記電気回路網の前記ローサイドにおける第6測定点(6)での電圧測定のための第6電圧測定端子(M6)、
を含む、
ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載のセンサ(S)。
【請求項11】
a)請求項1乃至10のいずれか1項に記載のセンサ(S)、
b)前記センサ(S)の前記第1電圧測定端子(M1)から、前記ハイサイド接触器(RHV+)の下流の前記電気回路網の前記ハイサイドにおける前記第1測定点(1)への第1測定経路、
c)前記センサ(S)の前記第2電圧測定端子(M2)から、前記ローサイド接触器(RHV-)の下流の前記電気回路網の前記ローサイドにおける前記第2測定点(2)への第2測定経路、
d)前記センサ(S)の前記第3電圧測定端子(M3)から、前記ハイサイド接触器(RHV+)の前の前記電気回路網の前記ハイサイドでの前記第3測定点(3)への第3測定経路、
e)前記センサ(S)の前記結合出力部(AK)と前記シャシーグランド(GND
Chassis)との間の結合経路、
を含む、
電気回路網のための、特に電気駆動車両の車載回路網のためのバッテリ管理システム。
【請求項12】
請求項11に記載のバッテリ管理システムを備える電気回路網、特に車両の車載回路網であって、特に以下の
a)前記電気回路網に給電するためのバッテリ(BAT)であって、再充電可能であるバッテリ(BAT)、及び/又は、
b)ハイサイド接触器(RHV+)の下流及びローサイド接触器(RHV-)の下流の前記電気回路網の前記ハイサイド及び前記ローサイド間の放電回路(Rx)、及び/又は、
c)前記電気回路網の前記ハイサイド及び前記ローサイドから給電されるインバータ(INV)、
の部品を備える、電気回路網。
【請求項13】
請求項12に記載の電気回路網を備える、車両、特に電気自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気駆動車両の、特に電気自動車における車載電気回路網のためのセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
現代の自動車、特に電気駆動車両では、車載回路網で電流を測定する必要がある。この目的のために、例えば特許文献1から知られている、いわゆる4線式技術を使用することができる。被測定電流は、低抵抗の電流検出抵抗器(「シャント」)を通り、低抵抗の電流検出抵抗器における電圧降下が測定され、オームの法則に従って、被測定電流の測定値を形成する。この4線式技術に従う測定方法は、特許文献2及び特許文献3から知られるような電流センサによって使用される。
【0003】
加えて、例えば技術規格DIN EN 61557-8に記載されているように、車載回路網では絶縁監視が必要である。この目的のため、様々な半導体製造者が、電流測定に加えてパッシブ絶縁監視を可能にするチップを提供している。しかしながら、これらの既知のチップでは、アクティブ絶縁監視は不可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0605800号明細書
【特許文献2】欧州特許第2542902号明細書
【特許文献3】国際公開第2010/121841号
【特許文献4】独国特許出願公開第102014204870号明細書
【特許文献5】独国特許出願公開第102015008831号明細書
【特許文献6】独国特許出願公開第102008010980号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、既知の車載回路網では、一方では電流測定、他方ではアクティブ絶縁監視のために、異なる部品が必要とされる。
【0006】
最後に、先行技術に関して、特許文献4、特許文献5及び特許文献6も参照されるべきである。特許文献4は、絶縁監視システムを開示するが、この刊行物は、特に、絶縁監視の種類において、また、回路網への結合の種類において、本発明と異なる。
【0007】
従って、本発明は、車載電気回路網において電流測定と絶縁監視とを簡略化するという課題に基づく。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、主請求項に従う本発明に係るセンサによって解決される。
【0009】
本発明は、一方では電流測定の、他方ではアクティブ絶縁監視の技術的機能を単一のセンサに統合し、それによって車載回路網の構造上の試みを削減するという、一般的な技術教示を含む。
【0010】
従って、従来技術によれば、本発明に係るセンサは、第一に、車載電気回路網における電流測定のための及び/又は電圧測定のための測定装置を備える。
【0011】
本発明の好適な実施形態において、電流測定のためのこの測定装置は、既知の4線式技術に従って動作し、この目的のために、先行技術に関して上述したように、低抵抗の電流検出抵抗器(「シャント」)を備える。
【0012】
しかし、本発明は、電流測定のための測定装置の動作に関して、4線式技術の測定原理に限定されない。電流測定のための測定装置は、他の測定原理を使用することも可能である。例えば、電流測定のための測定装置は、欧州特許出願公開第2511714号明細書から知られているようなホールセンサを有することができる。更に、本発明の範囲内で、電流測定のための測定装置は、冗長電流の測定を可能にするために、異なる測定原理を適用することも可能である。例えば、測定装置は、低抵抗の電流検出抵抗器と、加えてホールセンサを有することができる。このタイプの冗長電流測定は、欧州特許出願公開第2511714号明細書にも説明されている。
【0013】
加えて、本発明に係るセンサは、冒頭で説明した従来のチップと同様に、車載回路網のハイサイド時及び/又はローサイド時における車載回路網の電気絶縁性を監視する統合された絶縁監視装置を備える。
【0014】
本発明によるセンサは、統合された絶縁監視装置がアクティブに動作し、絶縁監視のために車載回路網に測定パルスを印加することを特徴としている。上述の統合された絶縁監視装置を有するチップとは対照的に、本発明に係るセンサにおける絶縁監視装置は、受動的に動作しない、又は少なくとも排他的に動作しない。
【0015】
電流及び電圧測定のためのセンサにアクティブ絶縁監視装置を統合することで、使用者はバッテリ管理システム(BMS)に高電圧をかける必要がなく、ハードウェア構造が大幅に簡素化され、製造時のテスト作業を軽減し、コストを削減するという利点がある。
【0016】
本発明に係る電流及び電圧測定のためのセンサにアクティブ絶縁監視装置を統合することの別の利点は、多くの構成要素を省略できることである。例えば、電流及び電圧測定用の既知のセンサは、スタンドアロンの絶縁監視装置も必要とする多くの構成要素を含んでいる(例えば、電圧測定入力、A/D変換器、マイクロコンピュータ、ガルバニック絶縁、通信インターフェイス)。アクティブ絶縁監視装置がセンサに統合されている場合、電流センサのこれらの構成要素をアクティブ絶縁監視装置によって共有することができるため、これらの構成要素の重複はもはや必要がない。
【0017】
本明細書では、車載回路網における本発明に係るセンサの使用を説明する。しかしながら、本発明に係るセンサは、定置型バッテリの用途にも使用することができる。従って、本発明の文脈で使用される車載回路網という特定の用語は、電気回路網より一般的な用語に置き換えることもできる。しかし、理解を容易にするために、本明細書では、車載回路網という特定の用語を使用する。
【0018】
アクティブ絶縁監視の文脈で必要とされる車載回路網への測定パルスの結合は、車載回路網への絶縁監視装置の結合を必要とする。好ましくは、測定パルスを印加するための絶縁監視装置のこの結合は、車載回路網のハイサイド(バッテリの正極)で行われず、ローサイド(バッテリの負極)でも行われないが、詳細に説明するように、車両のシャシーグランドで行われる。
【0019】
本発明の1つの変形例では、車載回路網への絶縁監視装置の抵抗性結合が設けられ、それにより測定パルスはDC測定パルス(DC:Direct Current)である。一方、本発明の別の変形例では、車載回路網への絶縁監視装置の容量性結合が設けられ、測定パルスはAC測定パルス(AC:Alternating Current)である。本発明の第3の変形例では、車載回路網への絶縁監視装置の抵抗性結合も設けられ、測定パルスはAC測定パルスである。
【0020】
本発明の文脈において、ハイサイドという用語は、既に上記で簡単に取り上げたように、好ましくは、車載回路網がハイサイドでバッテリの正極端子に接続され得るという意味を有する。一方、ローサイドという用語は、本発明の文脈では、好ましくは、車載回路網がローサイドでバッテリの負極端子に接続され得るという意味を有する。これと区別されるべきは、車両とそのシャシーとによって形成される、いわゆるシャシーグランドである。
【0021】
ここで好ましくは、アクティブ絶縁監視装置は、一方が車載回路網のローサイド及び/又はハイサイド、他方がシャシーグランドの間の漏れ容量を決定することを可能にする。
【0022】
また、アクティブ絶縁監視装置が、決定された漏れ容量の関数として、車載回路網に結合される測定パルスの周波数を適応させることも可能である。例えば、多周波方式を有するアクティブ絶縁監視装置は、欧州特許出願公開第2717063号明細書から知られているため、測定パルスの周波数の適応に関しては、この特許出願の内容を本明細書に取り込むことができる。
【0023】
電流測定のために機能するセンサの測定装置は、例えば特許文献1に説明されているように、好ましくは4線式技術に従って、動作することは既に簡単に述べた。従って、センサは、測定すべき車載電流をセンサ内に供給するため、又はセンサから排出するため、好ましくは2つの電流接続部を有する。そして、測定装置は、例えば4線式技術に従って、車載回路網電流を測定する。
【0024】
アクティブ絶縁監視では、車載回路網内の様々な測定点での電圧測定が必要である。
【0025】
この目的のために、本発明に係るセンサは、第1に、切替可能なハイサイド接触器の後ろのハイサイドにおける車載回路網の第1の測定点における電圧を測定するための第1の電圧測定端子を有する。ここで、「上流」及び「下流」という用語は、バッテリの視点を意味する、つまり、第1の測定点は、バッテリの視点から見て、切替可能なハイサイド接触器の下流に位置していることに言及すべきである。従って、第1の測定点は、車載回路網において、ハイサイド接触器と負荷(例えば、インバータ)との間のハイサイドに好ましくは配置される。更に、ハイサイド接触器は、好ましくは主経路に配置され、主経路と並列に走る二次経路は、スイッチオンプロセス中に電流を制限する役割を果たし、切断スイッチと抵抗器(「プレチャージ抵抗器」)を含むことに言及すべきである。そして、アクティブ絶縁監視のための第1測定点は、好ましくは、主経路に配置される。
【0026】
加えて、本発明に係るセンサは、切替可能なローサイド接触器の下流にある車載回路網のローサイドの第2測定点における電圧を測定するための第2電圧測定端子を有する。アクティブ絶縁監視のための第2測定点は、ローサイドの車載回路網に、つまり好ましくはローサイド接触器と負荷(例えばインバータ)との間に配置される。
【0027】
更に、好ましくは、センサは、バッテリとハイサイド接触器との間の車載回路網のハイサイドの第3測定点における電圧測定のための第3電圧測定端子を有する。好ましくは、車載回路網は、ハイサイドにヒューズを有する。そして、アクティブ絶縁監視のための第3測定点は、ハイサイドに、好ましくはバッテリとヒューズとの間に配置される。
【0028】
車載回路網内のこれら3つの測定点における電圧測定は、アクティブ絶縁監視を可能にし、これにより、一方のローサイド及び/又はハイサイドと、他方のシャシーグランドとの間の漏れ容量及び漏れ抵抗を、電圧測定値から導き出すことができる。漏れ容量又は漏れ抵抗の計算は、アクティブ絶縁監視のための既知の方法から基本的に知られている。例えば、欧州特許第0654673号明細書、欧州特許第2256506号明細書、独国特許発明第102018117296号明細書が参照されるため、ここでは、漏れ抵抗又は漏れ容量の計算に関する詳細な説明は必要ない。
【0029】
本発明の好適な実施形態において、センサは、ハイサイドの第1電圧測定端子に、制御可能で高耐電圧性の第1切断スイッチを有する。第1切断スイッチは、任意に、第1電圧測定ポートにおける測定検出、又は第1電圧測定ポートの切断を可能にする。
【0030】
更に、本発明に係るセンサは、好ましくは、第2電圧測定端子に制御可能で高耐電圧性の第2切断スイッチを備え、第2切断スイッチは、任意に、第2電圧測定端子における測定検出又は第2電圧測定端子の切断を可能にする。
【0031】
アクティブ絶縁監視の一部として、測定パルスが車載回路網に結合されることは既に述べた。この目的のために、好適な実施形態において、本発明に係るセンサは、センサを車両のシャシーグランドに結合できるようにするために結合出力部を有し、センサの結合出力部は、好ましくは高インピーダンスである。
【0032】
アクティブ絶縁監視のための測定パルスを生成するために、好適な実施形態のセンサは、パルス電圧源を有し、パルス電圧源は、アクティブ絶縁監視中に測定パルスを生成し、センサの結合出力部に出力する。
【0033】
任意に、センサは、センサの結合出力部に制御可能な高耐電圧性の第3切断スイッチを有してもよく、これにより、第3の切断スイッチは、任意に、パルス電圧源をシャシーグランドに結合するか、シャシーグランドから分離する。
【0034】
更に、好適な実施形態において、センサは、アクティブ絶縁監視の範囲内で少なくとも1つの抵抗値及び少なくとも1つの静電容量値を計算するための計算ユニットを含む。漏れ抵抗値及び/又は漏れ容量を計算する方法は、既に言及した欧州特許第0654673号明細書、欧州特許第2256506号明細書、独国特許発明第102018117296号明細書に記載されているため、計算に関する詳細な説明はここでは必ずしも必要ない。
【0035】
例えば、演算部は、電圧測定値とパルス電圧源の測定パルスとの関数として、以下の量、
・一方がハイサイド接触器の前の車載回路網のハイサイドと、他方が車両のシャシーグランドと、の間の第1漏れ抵抗、
・一方がハイサイド接触器の前の車載回路網のハイサイドと、他方が車両のシャシーグランドと、の間の第1漏れ容量、
・一方がローサイド接触器の前の車載回路網のローサイドと、他方が車両のシャシーグランドと、の間の第2漏れ抵抗、
・一方がローサイド接触器の前の車載回路網のローサイドと、他方が車両のシャシーグランドと、の間の第2漏れ容量、
・一方がハイサイド接触器の下流の車載回路網のハイサイドと、他方が車両のシャシーグランドとの間の第3漏れ抵抗、
・一方がハイサイド接触器の下流の車載回路網のハイサイドと、他方が車両のシャシーグランドと、の間の第3漏れ容量、
・一方がローサイド接触器の下流の車載回路網のローサイドと、他方が車両のシャシーグランドと、の間の第4漏れ抵抗、
・一方のローサイド接触器の下流の車載回路網のローサイドと、他方が車両のシャシーグランドと、の間の第4漏れ容量、
を算出することができる。
【0036】
従って、本発明の範囲内において、シャシーグランドに対する漏れ抵抗及び漏れ容量は、好ましくは、DCパック(DC-PACK)及びDCリンク(DC-LINK)の両方において、車載回路網のハイサイド及びローサイドについて別々に決定することができる。
【0037】
3つの測定点における電圧測定の結果と併せて絶縁監視の結果を組み合わせることで、HVバッテリ内又は電気駆動自動車のパワートレイン内の絶縁レベルについての決定、DCリンク側の絶縁障害の極性(HV-Pos又はHV-Neg)についての決定が可能となる。DCパック側での絶縁測定(主接触器が開いている間、ハイサイド接触器と並列な二次経路でスイッチが開いている場合、及び第1及び第2測定点の測定経路で切断スイッチが開いている場合)に加えて、絶縁監視装置は、第3測定点での測定電圧と組み合わせて、HV-Pos/HV-Negに関する絶縁障害の極性、及びHVパック側の中のシャシーグランドに対する漏れ抵抗の個別の値を決定する。ここで主接触器が閉じられた場合、車両全体の絶縁値は、結果としてHVパックとHVリンクとの並列値として決定され、第3測定点の測定電圧を考慮して、HV-Pos/HV-Negに対する絶縁障害の極性、及び漏れ抵抗の個別値とが算出されることで、接触器の後方でシャシーグランドに対する漏れ抵抗も算出できるようになる。
【0038】
上記の3つの電圧測定端子は、上述のようにアクティブ絶縁監視のために使用される。しかしながら、センサは、他の測定点で車載回路網の電圧を測定する他の電圧測定端子を有していてもよい。
【0039】
例えば、切替可能なハイサイド接触器の前の車載回路網のハイサイドにある第4測定点で車載回路網内の電圧を測定するために、第4電圧測定端子を設けることができる。好適な実施形態において、第4測定点は、ヒューズの後方、及び、電流制限のために機能する主経路及び二次経路への上述した分岐の前で、ハイサイドに配置される。
【0040】
更に、第5電圧測定端子を設けて、車載回路網のハイサイドで切替可能なハイサイド接触器と並走する前述の二次経路の第5測定点における電圧を測定することができる。切替可能なハイサイド接触器と並走するこのような二次経路は、先行技術から知られており、ハイサイド接触器がスイッチオンされたときに、ソフトスイッチオン処理を可能にする。この目的のために、二次経路のスイッチはまず閉じられ、その際、抵抗器(「プレチャージ抵抗器」)が電流を制限する。その後に初めてハイサイドの接触器が閉じられる。
【0041】
更に、センサは、切替可能なローサイド接触器の前の車載回路網のローサイドの第6測定点の電圧を測定するための第6電圧測定端子を有することができる。第6測定点は、好ましくは、ヒューズとローサイド接触器との間のローサイドに配置される。
【0042】
この3つの更なる電圧測定端子は、アクティブ絶縁監視以外の目的にも使用できる。
【0043】
更に、一方の電流/電圧測定用センサと他方のアクティブ絶縁監視装置との統合は、共通の集積回路(「チップ」)内で行うことができることに留意されたい。しかしながら、両方の構成要素(電流/電圧測定用センサ及びアクティブ絶縁監視装置)が共通のプリント回路基板上にのみ配置される、又は共通のハウジング内にのみ配置されることも可能である。
【0044】
更に、本発明は、単一の構成要素としての本発明に係る上記センサの保護のみを主張するものではないことに言及すべきである。むしろ、本発明は、本発明に係るこのようなセンサを備える電気駆動車両の車載回路網のためのバッテリ管理システム(BMS:Battery Management System)に対する保護も請求する。そして、バッテリ管理システムは、センサの電圧測定端子と関連する測定点との間の測定経路も備える。更に、次に、バッテリ管理システムは、センサの結合出力部と車両のシャシーグランドとの間の結合経路も備える。
【0045】
更に、本発明は、本発明に係るセンサを備えたバッテリ管理システムを有する車両の完全な車載回路網の保護も主張することに言及すべきである。車載回路網は、例えば、以下の更なる構成要素である、
-車載回路網に電力を供給するためのバッテリであって、好ましくは、充電可能であるバッテリ、
-ハイサイド接触器及びローサイド接触器の下流にある車載回路網のハイサイドとローサイドとの間の放電回路、
-インバータ、
も含むことができる。
【0046】
最後に、本発明は、本発明に係るセンサを備えるバッテリ管理システムを備えるような、車載回路網を備える完全な車両(例えば、電気自動車)の保護をも請求する。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【
図1】
図1は、本発明に係る電気駆動車両のための車載回路網の回路図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0048】
車載回路網は、先行技術から知られているように、電気駆動自動車のDCパックをDCリンクに接続する。DCパックは、それぞれハイサイドとローサイドの2つの切替可能な接触器RHV+、RHV-を介してDCリンクに接続される。
【0049】
車載回路網は、再充電可能なバッテリBATによって給電され、バッテリBATの正極端子+は車載回路網のハイサイドに接続され、バッテリBATの負極端子-は車載回路網のローサイドに接続される。従って、車載回路網のローサイドは、GND、VMGND1、VMGMD2の記号で表されるバッテリグランドを形成する。しかしながら、通常は車載回路網に接続されないシャシーグランドGNDChassisとは区別する必要がある。
【0050】
車載回路網において、ヒューズF+、F-は、DCパックのハイサイドとローサイドとの両方に配置されているが、これは先行技術から知られている。
【0051】
更に、二次経路が、車載回路網のハイサイドにおける切り替え可能な接触器RHV+と並列に接続されており、一方で抵抗器PRES(「プレチャージ抵抗器」)を、他方で切断スイッチPRを含むことに言及すべきである。2つの接触器RHV+、RHV-がオンになる前に、切断スイッチPRが最初に閉じられ、それにより、より小さな電流が二次経路を介して最初に流れる。その後、接触器RHV+だけが閉じられる。このような、切断スイッチPRと接触器RHV+との段階的な閉鎖により、スイッチオン処理中に車載回路網内で電流が急激に増加することを防ぐ。
【0052】
ハイサイドとハイサイドとの間のDCリンクにおいて、バッファキャパシタCDC-Linkが接続されている。
【0053】
更に、ここでは模式的にのみ示すが、ハイサイドとハイサイドとの間のDCリンクに放電回路Rxが接続される。
【0054】
最後に、これもここでは模式的にのみ示すが、車載回路網からインバータINVに給電される。
【0055】
ここで、車載回路網には、2つの機能を有する本発明に係るセンサSがある。一方が、センサSは、4線式技術に従って車載回路網電流Iの測定を可能にする。他方が、センサSは、アクティブな絶縁監視も可能とし、この2つの機能を以下に説明する。
【0056】
電流測定のため、センサSは、測定すべき車載回路網電流IをセンサSに導入し、センサSから排出するための2つの電流接続部A1、A2をそれぞれ有する。そして、測定装置MEがセンサS内の車載回路網電流Iを測定し、それによって測定装置は、例えば特許文献1から知られているような4線式技術に従って動作することができる。
【0057】
加えて、センサSは、アクティブ絶縁監視のための3つの電圧測定端子M1、M2、及びM3を有し、それぞれ3つの測定点1、2、及び3において車載回路網の電圧を測定する。
【0058】
また、アクティブ絶縁監視のために、センサSは、結合抵抗Rkと制御可能なスイッチS3を介して結合出力部AKに測定パルスを出力するパルス電圧源IQを備え、結合出力部AKはシャシーグランドGNDChassisに接続されている。そして、測定装置MEは、測定点1、2、3における電圧測定値から、以下の漏れ抵抗又は漏れ容量、
・ハイサイドコンタクタRHV+の前の車載回路網のハイサイドと、車両のシャシーグランドGNDChassisとの間の第1漏れ抵抗Rf1、
・一方がハイサイド接触器RHV+の前の車載回路網のハイサイドと、他方が車両のシャシーグランドGNDChassisと、の間の第1漏れ容量Cy1、
・一方がローサイド接触器RHV-より上流の車載回路網のローサイドと、他方が車両のシャシーグランドGNDChassisと、の間の第2漏れ抵抗Rf2、
・一方がローサイド接触器RHV-の前の車載回路網のローサイドと、他方が車両のシャシーグランドGNDChassisとの間の第2漏れ容量Cy2、
・一方でハイサイド接触器RHV+の下流の車載回路網のハイサイドと、他方で車両のシャシーグランドGNDChassisとの間の第3漏れ抵抗Rf3、
・一方でハイサイド接触器RHV-の下流の車載回路網のハイサイドと、他方で車両のシャシーグランドGNDChassisとの間の第3漏れ容量Cy3、
・一方のローサイド接触器RHV-の下流の車載回路網のローサイドと、他方で車両のシャシーグランドGNDChassisとの間の第4漏れ抵抗Rf4、
・一方のローサイド接触器RHV-の下流の車載回路網のローサイドと、他方で車両のシャシーグランドGNDChassisとの間の第4漏れ容量Cy4、
を算出することができる。
【0059】
漏れ抵抗Rf1、Rf2、Rf3、Rf4及び漏れ容量Cy1、Cy2、Cy3、Cy4の計算は、例えば、欧州特許第0654673号明細書、欧州特許第2256506号明細書、及び独国特許発明第102018117296号明細書において説明されているような、従来の方法で実施することができる。
【0060】
更に、センサSは、高電圧耐性で、電圧測定端子M1、M3、M3と結合出力部AKとをそれぞれ切断できる複数の切断スイッチS1、S2、S3を有する。
【0061】
最後に、センサSは、更に3つの電圧測定端子M4、M5、M6を有し、これにより、車載回路網の更に3つの測定点4、5、6での電圧測定が可能となる。しかしながら、測定点M4、M5、M6での電圧測定は任意であり、アクティブ絶縁監視とは関係がない。
【0062】
本発明は、上述した好適な実施形態に限定されない。むしろ、多数の変形及び修正が可能であり、これらもまた、本発明のアイディアを利用し、それゆえ、保護の範囲に入る。特に、本発明は、各場合に参照される請求項とは独立して、特に主請求項の特徴を伴わない、従属請求項の主題及び特徴に対する保護も主張する。従って、本発明は、互いに独立して保護を享受する発明の様々な態様を備える。
【0063】
[付記]
[付記1]
電気回路網のためのセンサ(S)、特に電気駆動車両の、特に電気自動車の車載回路網のためのセンサ(S)であって、
a)特に、4線技術に従って電流測定のための低抵抗電流検出抵抗を用いた、前記電気回路網における電流測定のための、及び/又は電圧測定のための測定装置(ME)と、
b)前記電気回路網のハイサイド及び/又はローサイドの電気抵抗を監視するための、統合された絶縁監視装置(ME、IQ、Rk、S3)と、を備え、
c)前記絶縁監視装置(ME、IQ、Rk、S3)は、アクティブに動作し、絶縁監視のために前記電気回路網に測定パルスを印加する、ことを特徴とするセンサ(S)。
【0064】
[付記2]
a)前記絶縁監視装置(ME,IQ,Rk,S3)の前記電気回路網への抵抗性結合であって、前記測定パルスはDC測定パルスである、又は、
b)前記絶縁監視装置(ME,IQ,Rk,S3)の前記電気回路網への容量性結合であって、前記測定パルスは任意にAC測定パルスである、又は、
c)前記絶縁監視装置(ME,IQ,Rk,S3)の前記電気回路網への抵抗性結合であって、前記測定パルス数はAC測定パルスである、
ことを特徴とする付記1に記載のセンサ(S)。
【0065】
[付記3]
a)前記電気回路網が、バッテリ(BAT)の正極端子(+)に接続可能なハイサイドを備え、
b)前記電気回路網が、前記バッテリ(BAT)の負極端子(-)に接続されることができるローサイドを備え、
c)シャシーグランド(GNDChassis)が、特に前記車両に、設けられ、
d)前記アクティブ絶縁監視装置(ME,IQ,Rk,S3)が、一方で前記電気回路網の前記ローサイド及び/又は前記ハイサイドと、他方で前記電気回路網の前記シャシーグランド(GNDChassis)との間の漏れ容量(Cy1,Cy2,Cy3,Cy4)を定義し、
e)前記アクティブ絶縁監視装置(ME,IQ,Rk,S3)が、定義された前記漏れ容量(Cy1,Cy2,Cy3,Cy4)の関数として、前記測定パルスの前記周波数を適合させる、
ことを特徴とする付記2に記載のセンサ(S)。
【0066】
[付記4]
a)前記電気回路網の主電流(I)を、前記センサ(S)内に導入するための第1電流接続部(A1)と、
b)前記電気回路網の前記主電流(I)を、前記センサ(S)から放出するための第2電流接続部(A2)と、を特徴とし、
c)前記測定装置(ME)が、前記主電流(I)を測定する、
ことを特徴とする付記1乃至3のいずれか1つに記載のセンサ(S)。
【0067】
[付記5]
a)前記電気回路網の前記ハイサイドの切り替え可能なハイサイド接触器(RHV+)の下流の前記電気回路網の前記ハイサイドにおける第1測定点(1)で電圧を測定するための第1電圧測定端子(M1)、及び、
b)前記電気回路網の前記ローサイドの切り替え可能なローサイド接触器(RHV-)の下流の前記電気回路網の前記ローサイドにおける第2測定点(2)で電圧を測定するための第2電圧測定端子(M2)、及び、
c)前記電気回路網の前記ハイサイドにある前記バッテリ(BAT)と、前記ハイサイド接触器(RHV+)との間の前記電気回路網の前記ハイサイドにおける前記第3測定点(3)で電圧を測定するための第3電圧測定端子(M3)、
を含む、
ことを特徴とする付記1乃至4のいずれか1つに記載のセンサ(S)。
【0068】
[付記6]
a)前記第1電圧測定端子(M1)における、制御可能であり、高電圧耐性の第1切断スイッチ(S1)であって、前記第1切断スイッチ(S1)は、選択的に、前記第1電圧測定端子(M1)での測定検出を有効にする、又は前記第1電圧測定端子(M1)の接続を解除する、及び/又は、
b)前記第2電圧測定端子(M2)における、制御可能であり、高電圧耐性の第2切断スイッチ(S2)であって、前記第2切断スイッチ(S2)は、任意に、前記第2電圧測定端子(M2)における測定検出を有効にする、又は前記第2電圧測定端子(M2)の接続を解除する、
ことを特徴とする付記5に記載のセンサ(S)。
【0069】
[付記7]
a)前記センサ(S)をシャシーグランド(GNDChassis)に、特に車両に結合するための結合出力部(AK)であって、該結合出力部(AK)は、好ましくは高インピーダンスである結合出力部(AK)、
b)アクティブ絶縁監視のためのパルス電圧源(IQ)であって、該パルス電圧源(IQ)は、アクティブ絶縁監視の間、前記測定パルスを生成し、前記結合出力部(AK)でそれらを出力するパルス電圧源(IQ)、
c)任意に、前記センサ(S)の前記結合出力部(AK)における、制御可能で、高電圧耐性の第3切断スイッチ(S3)であって、該第3切断スイッチ(S3)は、任意に、前記パルス電圧源(IQ)を、前記電気回路網に結合する、又はそれを前記電気回路網から分離させる第3切断スイッチ(S3)、
を含む、
ことを特徴とする付記1乃至6のいずれか1つに記載のセンサ(S)。
【0070】
[付記8]
絶縁監視において、少なくとも1つの抵抗値(Rf1,Rf2,Rf3,Rf4)及び/又は少なくとも1つの容量値(Cy1,Cy2,Cy3,Cy4)を計算するための演算部を含む、
ことを特徴とする、付記7に記載のセンサ(S)。
【0071】
[付記9]
a)前記演算部は、少なくとも1つの前記電圧測定端子(M1~M3)における前記電圧測定値と、前記パルス電圧源(IQ)の前記測定パルスとの関数として、以下の変数、
a1)一方ではハイサイド接触器(RHV+)の前の前記電気回路網の前記ハイサイドと、他方では前記シャシーグランド(GNDChassis)との間の第1抵抗(Rf1)、及び/又は、
a2)一方では前記ハイサイド接触器(RHV+)の上流の前記電気回路網の前記ハイサイドと、他方では前記シャシーグランド(GNDChassis)との間の第1容量(Cy1)、
を算出する、及び/又は、
b)前記演算部は、少なくとも1つの前記電圧測定端子(M1~M3)における前記電圧測定値と、前記パルス電圧源(IQ)の前記測定パルスとの関数として、以下の変数、
b1)一方では前記ローサイド接触器(RHV-)の前の前記電気回路網の前記ローサイドと、他方では前記シャシーグランド(GNDChassis)との間の第2抵抗(Rf2)、及び/又は、
b2)一方では前記ローサイド接触器(RHV-)の上流の前記電気回路網の前記ローサイド、と他方では前記シャシーグランド(GNDChassis)との間の第2容量(Cy2)、
を算出する、及び/又は、
c)前記演算部は、少なくとも1つの前記電圧測定端子(M1~M3)における前記電圧測定値と、前記パルス電圧源(IQ)の前記測定パルスとの関数として、以下の変数、
c1)一方では前記ハイサイド接触器(RHV+)の後の前記電気回路網の前記ハイサイドと、他方では前記シャシーグランド(GNDChassis)との間の第3抵抗(Rf3)、及び/又は、
c2)一方では前記ハイサイド接触器(RHV+)の後の前記電気回路網の前記ハイサイドと、他方では前記シャシーグランド(GNDChassis)との間の第3容量(Cy3)、
を算出する、及び/又は、
d)前記演算部は、少なくとも1つの前記電圧測定端子(M1~M3)における前記電圧測定値と、前記パルス電圧源(IQ)の前記測定パルスとの関数として、以下の変数、
d1)一方では前記ローサイド接触器(RHV-)の後の前記電気回路網の前記ローサイドと、他方では前記シャシーグランド(GNDChassis)との間の第4抵抗(Rf4)、及び/又は、
d2)一方では前記ローサイド接触器(RHV-)の後の前記電気回路網の前記ローサイドと、他方では前記シャシーグランド(GNDChassis)との間の第4容量(Cy4)、
を算出する、
ことを特徴とする付記8に記載のセンサ(S)。
【0072】
[付記10]
a)前記電気回路網の前記ハイサイドの前記切り替え可能なハイサイド接触器(RHV+)の前の前記電気回路網の前記ハイサイドにおける第4測定点(4)での電圧測定のための第4電圧測定端子(M4)、
b)前記電気回路網の前記ハイサイドにおける前記切り替え可能なハイサイド接触器(RHV+)と並列に延びる二次経路内の第5測定点(5)での電圧測定のための第5電圧測定端子(M5)、及び/又は、
c)前記電気回路網の前記ローサイドにおける前記切り替え可能なローサイド接触器(RHV-)の上流で、前記電気回路網の前記ローサイドにおける第6測定点(6)での電圧測定のための第6電圧測定端子(M6)、
を含む、
ことを特徴とする付記1乃至9のいずれか1つに記載のセンサ(S)。
【0073】
[付記11]
a)付記1乃至10のいずれか1つに記載のセンサ(S)、
b)前記センサ(S)の前記第1電圧測定端子(M1)から、前記ハイサイド接触器(RHV+)の下流の前記電気回路網の前記ハイサイドにおける前記第1測定点(1)への第1測定経路、
c)前記センサ(S)の前記第2電圧測定端子(M2)から、前記ローサイド接触器(RHV-)の下流の前記電気回路網の前記ローサイドにおける前記第2測定点(2)への第2測定経路、
d)前記センサ(S)の前記第3電圧測定端子(M3)から、前記ハイサイド接触器(RHV+)の前の前記電気回路網の前記ハイサイドでの前記第3測定点(3)への第3測定経路、
e)前記センサ(S)の前記結合出力部(AK)と前記シャシーグランド(GNDChassis)との間の結合経路、
を含む、
電気回路網のための、特に電気駆動車両の車載回路網のためのバッテリ管理システム。
【0074】
[付記12]
付記11に記載のバッテリ管理システムを備える電気回路網、特に車両の車載回路網であって、特に以下の
a)前記電気回路網に給電するためのバッテリ(BAT)であって、再充電可能であるバッテリ(BAT)、及び/又は、
b)ハイサイド接触器(RHV+)の下流及びローサイド接触器(RHV-)の下流の前記電気回路網の前記ハイサイド及び前記ローサイド間の放電回路(Rx)、及び/又は、
c)前記電気回路網の前記ハイサイド及び前記ローサイドから給電されるインバータ(INV)、
の部品を備える、電気回路網。
【0075】
[付記13]
付記12に記載の電気回路網を備える、車両、特に電気自動車。
【符号の説明】
【0076】
1 切替可能な接触器RHV+の後方の、車載回路網のハイサイドにおける第1測定点
2 切替可能な接触器RHV-の後方の、車載回路網のローサイドにおける第2測定点
3 切替可能な接触器RHV+の前方の、車両回路網のハイサイドにおける第3測定点
4 切替可能な接触器RHV+の上流の車載回路網のハイサイドにおける第4測定点
5 切替可能な接触器RHV+と並列な二次経路における車載回路網のハイサイドにおける第5測定点
6 切替可能な接触器の上流にある車載回路網のローサイドにおける第6測定点
A1 車載回路網電流をセンサに導入するための電流接続部
A2 センサから車載回路網電流を排出するための電流接続部
AK センサの結合出力部
BAT 蓄電池
CDC-Link バッファのコンデンサ
Cy1 切替可能な接触器の前の車載回路網のハイサイドと、シャシーグランドGNDChassisとの間の漏れ容量
Cy2 切替可能な接触器の前の車載回路網のローサイドと、シャシーグランドGNDChassisとの間の漏れ容量
Cy3 切替可能な接触器の後ろの車載回路網のハイサイドと、シャシーグランドGNDChassisとの間の漏れ容量
Cy4 切替可能な接触器の後ろの主電源のローサイドと、シャシーグランドGNDChassisとの間の漏れ容量
F- 車載回路網のローサイドにおけるヒューズ
F+ 車載回路網のハイサイドにおけるヒューズ
GND バッテリグランド
GNDChassis シャシーグランド
I 車載回路網電流
INV インバータ
IQ パルス電圧源
M1~M6 センサの電圧測定端子
ME センサの測定装置
+ バッテリBATの正極
- バッテリBATの負極
PR 切替可能な接触器RHV+と並列な二次経路におけるスイッチ
PRES 切替可能な接触器RHV+と並列な二次経路における抵抗器
RHV- 車載回路網のローサイドにおける切替可能な接触器
RHV+ 車載回路網のハイサイドにおける切替可能な接触器
Rk 結合抵抗
Rx 放電回路
Ry1 切替可能な接触器の前の車載回路網のハイサイドとシャシーグランドGNDChassis間の漏れ抵抗
Ry2 切替可能な接触器の前の車載回路網のローサイドとシャシーグランドGNDChassisとの間の漏れ抵抗
Ry3 切替可能な接触器の後ろの車載回路網のハイサイドと、シャシーグランドGNDChassisと間の漏れ抵抗
Ry4 切替可能な接触器の後ろの車載回路網のローサイドと、シャシーグランドGNDChassisとの間の漏れ抵抗
S センサ
S1~S3 制御可能な切断スイッチ
VMGND1 バッテリグランド
VMGND2 バッテリグランド
【国際調査報告】