(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-25
(54)【発明の名称】燃料電池、燃料電池を備えるシステム、及び、該システムを制御するための方法
(51)【国際特許分類】
H01M 8/2465 20160101AFI20230818BHJP
H01M 8/2483 20160101ALI20230818BHJP
H01M 8/0432 20160101ALI20230818BHJP
H01M 8/04858 20160101ALI20230818BHJP
H01M 8/10 20160101ALI20230818BHJP
【FI】
H01M8/2465
H01M8/2483
H01M8/0432
H01M8/04858
H01M8/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023508524
(86)(22)【出願日】2021-07-28
(85)【翻訳文提出日】2023-04-03
(86)【国際出願番号】 FR2021051405
(87)【国際公開番号】W WO2022029381
(87)【国際公開日】2022-02-10
(32)【優先日】2020-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516284345
【氏名又は名称】サフラン・パワー・ユニッツ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】レミ アンドレ アルマン ステファヌ
(72)【発明者】
【氏名】テオフィル オルド
(72)【発明者】
【氏名】ロイク ピエール ミシェル リオ
【テーマコード(参考)】
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
5H126AA26
5H126AA28
5H127AB29
5H127BA02
5H127BA22
5H127BB02
5H127BB12
5H127BB37
5H127CC07
5H127DB47
5H127DC42
5H127DC96
(57)【要約】
燃料電池1は、膜・電極アセンブリのスタック10と、入口端板12及び出口端板11と、前記スタック12と出口端板11との間に配置された、前記スタック10のn+1枚のサブスタック101、102、103を形成する、1以上のn枚の中間板13と、前記入口端板12、前記出口端板11及びn枚の中間板13内を通る、伝熱流体、酸化剤及び燃料を循環させるダクトと、前記出口端板11の、循環ダクト内の伝熱流体を制御する弁と、前記n枚の中間板13の、循環ダクト内の酸化剤及び燃料を制御する弁とを備え、前記制御弁は、スタック10の1以上かつn以下のm枚のスタック101、102、103において、前記伝熱流体、前記酸化剤及び前記燃料を循環させるように構成されている。燃料電池を有するシステム及び該システムを制御するための方法。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池(1)において、
前記燃料電池(1)は、
陽極(152)と陰極(154)との間に配置されたイオン伝導性電解質(150)を有する、膜・電極アセンブリのスタック(10)であって、隣接する2つの前記アセンブリは双極板(156)によって分離されており、前記スタック(10)は第1端部及び第2端部を有する、膜・電極アセンブリのスタック(10)と、
前記スタック(10)の第1端部に配置された入口端板(12)と、前記スタック(10)の第2端部に配置された出口端板(11)と、
前記スタック(10)の前記入口端板(12)と前記出口端板(11)との間に配置された、n枚の中間板(13)であって、前記スタック(10)のn+1枚のサブスタック(101、102、103)を形成し、nは1以上である、n枚の中間板(13)と、
前記燃料電池(1)内で伝熱流体を循環させるためのダクト(24A~24D、113)と、酸化剤を循環させるためのダクト(32A~32D)と、燃料を循環させるためのダクト(51A~51D)であって、複数の循環ダクトは、前記入口端板(12)と、前記出口端板(11)と、前記n枚の中間板(13)とを通る、ダクトと、
前記出口端板(11)の前記複数の循環ダクト内の伝熱流体を制御するための制御弁(111、112)と、前記n枚の中間板(13)の前記複数の循環ダクト内で前記伝熱流体を制御するための制御弁(131、132)、前記酸化剤を制御するための制御弁(135、136)及び前記燃料を制御するための制御弁(133、134)とを備え、
前記制御弁は、前記スタック(10)のm枚のサブスタック(101、102、103)内で前記伝熱流体、前記酸化剤及び燃料の循環を可能にするように構成されており、前記mは1以上かつ前記n以下である、燃料電池(1)。
【請求項2】
前記燃料電池の予熱のため及び前記燃料電池の冷却のために前記伝熱流体を循環させるための複数のダクトが組み合わされている、請求項1に記載の燃料電池(1)。
【請求項3】
前記イオン伝導性電解質(150)がプロトン交換膜である、請求項1又は2に記載の燃料電池(1)。
【請求項4】
前記プロトン交換膜が高温のプロトン交換膜である、請求項3に記載の燃料電池(1)。
【請求項5】
前記n枚の中間板(13)の内の少なくとも1つを制御するための弁が、前記中間板(13)の外部にある、請求項1~4のいずれか1項に記載の燃料電池(1)。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の燃料電池(1)と、
前記伝熱流体を循環させるための回路(24、25)と、
前記燃料を循環させるための回路(30~33)と、
前記酸化剤を循環させるための回路(50~52)と、
エネルギを貯蔵する装置を備える電気回路とを備える、システム(600)。
【請求項7】
前記伝熱流体循環回路が、前記伝熱流体を冷却するように構成された熱交換器(21)と、前記伝熱流体を加熱するように構成された熱交換器(20)とを備える、請求項6に記載のシステム(600)。
【請求項8】
請求項6又は7に記載のシステム(600)を制御するための方法(700)において、
前記方法(700)は、
燃料電池(1)のスタック(10)のm枚のサブスタック(101、102、103)を予熱するステップ(702)と、
前記m枚のサブスタック(101、102、103)が作動温度にあるとき、前記m枚のサブスタック(101、102、103)においてエネルギを生成するステップ(704)とを備える、方法(700)。
【請求項9】
前記方法は、
前記燃料電池(1)の前記スタック(10)のp枚のサブスタック(101、102、103)を、少なくとも部分的に、前記m枚のサブスタック(101、102、103)によって生成されたエネルギ及び/又は熱によって予熱するステップ(706)であって、前記p枚のサブスタックは、前記m枚のサブスタックから分離されており、前記pは1以上でありかつ前記m+前記pは前記n+1以下である、ステップ(706)と、
前記p枚のサブスタックが作動温度にあるとき、前記m+p枚のサブスタックにおいてエネルギを生成するステップ(708)とを備える、請求項8に記載の制御方法(700)。
【請求項10】
前記m枚のサブスタック(101、102、103)によって生成されたエネルギは、前記エネルギ蓄積装置に貯蔵され、かつび/又は、前記システム(600)の補助構成要素に給電するのに使用され、かつ/又は、前記システム(600)の外部の構成要素に給電するのに使用される、請求項8又は9に記載の制御方法(700)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、燃料電池、特にプロトン交換膜燃料電池を加熱するシステムを有する燃料電池に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、一般に、2つの集電体の間に配置されている、スタックとも呼ばれる、基本セルのスタックを備える。各基本セルは、陽極電極と陰極電極の間に配置されたプロトン交換膜で形成される、膜・電極アセンブリで構成されている。膜・電極アセンブリは、それ自体、双極板とも呼ばれる2つの分配板の間に配置されている。基本セルの積み重ねの間、2つの膜・電極アセンブリの間に配置された分配板は、それらの面の一方で水素を循環させ、反対側の面で空気を循環させることを可能にする。
【0003】
各燃料電池は、燃料電池を形成する様々な構成要素の性質に依存する最適な作動温度を有する。また、燃料電池の最大寿命だけでなく、最適な作動を保証するために、燃料電池を、スタック内で均質にこの最適温度に近い温度及び最適温度に維持できるようにすることが推奨される。
【0004】
しかし、その作動中に、各基本燃料電池内で起こる電気化学反応は発熱反応であるため、燃料電池の温度を最適作動温度に近い温度に維持したい場合には、燃料電池を冷却することが有利である。
【0005】
公知の方法では、燃料電池を冷却するための装置は、燃料電池の空間要求を増しかつエネルギを消費する、冷却剤循環ポンプを備える。
【0006】
さらに、電気化学反応を開始させて燃料電池のエネルギ効率を迅速に最大化するために、燃料電池のスタックは、PEMFC HTと呼ばれる、特にプロトン交換膜燃料電池高温の場合に、一般に周囲温度よりも高い又は100℃(摂氏)よりもさらに高い、燃料電池の最適作動温度に予熱される。この予熱は、電池によって給電される電気抵抗によって行うことができる。
【0007】
従って、加熱装置によって予熱機能を実行し、加熱装置とは別の冷却装置によって冷却機能を実行することが知られていることが理解される。これら2つの装置は、燃料電池内に配置されている。このような構成によって燃料電池の温度を調節することが可能となるが、それは、特に、燃料電池の質量及び空間要求の著しい増加を意味する。更に、加熱装置によって、質量が約60kg (キログラム)であり得る電池を必要とし得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本開示は、少なくとも部分的にこれらの欠点を克服することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このため、本開示は、燃料電池であって、燃料電池は、
陽極と陰極との間に配置されたイオン伝導性電解質を有する、膜・電極アセンブリのスタックであって、隣接する2つのアセンブリは双極板によって分離されており、前記スタックは第1端部及び第2端部を有する、膜・電極アセンブリのスタックと、
前記スタックの第1端部に配置された入口端板と、前記スタックの第2端部に配置された出口端板と、
前記入口端板と前記出口端板との間に配置された、n枚の中間板であって、前記スタックのn+1枚のサブスタックを形成し、nが1以上であり、n枚の中間板と、
前記燃料電池内で伝熱流体と酸化剤と燃料を循環させる複数のダクトであって、これら循環ダクトは前記入口端板と前記出口端板と前記n枚の中間板とを通る、複数ダクトと、
出口端板の、複数の循環ダクト内の伝熱流体を制御するための弁と、n枚の中間板の、複数の循環ダクト内で伝熱流体、酸化剤及び燃料を制御するための弁とを備え、これら制御弁は、前記スタックのm枚のサブスタック内で伝熱流体、酸化剤及び燃料の循環を可能にするように構成されており、mは1以上かつn以下である、燃料電池に関する。
【0010】
「燃料電池の端板(end plate of the fuel cell)」とは、スタックの機械的クランプを可能にしかつ燃料電池の液体インターフェイスを有する、板を意味する。
【0011】
循環回路は、さらに、双極板内を通ることが理解される。
【0012】
n枚の中間板によって、n+1枚のサブスタックを形成することができ、したがって、燃料電池のスタック全体を予熱するのではなく、1以上かつn以下であるm枚のサブスタックを予熱することができる。そして、m枚のサブスタックが燃料電池の作動温度にあるとき、m枚のサブスタック内で電気エネルギを生成し、このエネルギを他のサブスタックの予熱に使用することができる。また、スタック全体を予熱するのに必要なエネルギは、中間板を欠いた燃料電池と比較して減少する。
【0013】
燃料電池によって提供される電力が比較的低いアイドルモードで燃料電池を作動させることも可能であり、m枚のサブスタックによって提供されるエネルギは、例えば、燃料電池を有するシステムの補助構成要素に給電するために、かつ/又は、システムの電池を充電するために、かつ/又は、エネルギを低電力消費機器に供給するために使用される。
【0014】
したがって、アイドルモードでは、完全なスタックを停止する必要はない。これにより、必要なときに迅速に電力を再供給できる。実際、アイドルモードでは、スタックの一部が燃料電池の作動温度に維持され、燃料電池が停止されてそれゆえ冷却されたときよりも迅速に燃料電池は最大電力を提供することができる。
【0015】
いくつかの実施形態では、燃料電池の予熱のため及び燃料電池の冷却のために伝熱流体を循環させるためのダクトを組み合わせることができる。
【0016】
燃料電池を予熱する段階で燃料電池を予熱するためと、燃料電池においてエネルギを生成する段階で燃料電池を冷却するために、同じ伝熱流体を使用することが可能であることが理解される。
【0017】
予熱段階とエネルギ生成段階の間で伝熱流体を循環させるために別々のダクトを設ける必要はないことが理解される。
【0018】
いくつかの実施形態では、イオン伝導性電解質はプロトン交換膜としうる。
【0019】
いくつかの実施形態では、プロトン交換膜は、高温プロトン交換膜としうる。
【0020】
いくつかの実施形態では、n枚の中間板の内の少なくとも1つを制御するための弁は、中間板の外部にあってもよい。
【0021】
いくつかの実施形態では、これら制御弁の内の少なくとも1つに逆止弁を設けることができる。
【0022】
また、本開示は、先に規定した燃料電池と、伝熱流体を循環させるための回路と、燃料を循環させるための回路と、酸化剤を循環させるための回路と、エネルギを貯蔵する装置を有する電気回路とを有するシステムに関する。
【0023】
いくつかの実施形態では、エネルギ貯蔵装置は、電池、スーパーキャパシタ(supercapacitor)、又は、エネルギを貯蔵するための任意の他の装置を有しうる。
【0024】
いくつかの実施形態では、伝熱流体循環回路は、伝熱流体を冷却するように構成された熱交換器と、伝熱流体を加熱するように構成された熱交換器とを有しうる。
【0025】
本開示は、また、上記に規定されるシステムを制御するための方法であって、前記方法は、
燃料電池のスタックのm枚のサブスタックを予熱するステップと、
m枚のサブスタックが作動温度にあるとき、m枚のサブスタックにおいてエネルギを生成するステップとを有する、方法に関する。
【0026】
いくつかの実施形態では、この方法は、
前記燃料電池のスタックのp枚のサブスタックを、少なくとも部分的に、m枚のサブスタックによって生成された加熱によって予熱するステップであって、前記p枚のサブスタックは前記m枚のサブスタックから分離されており、pは1以上でありかつm+pはn+1以下である、ステップと、
p枚のサブスタックが作用温度にあるとき、m+p枚のサブスタックにおいてエネルギを生成するステップと有しうる。
【0027】
いくつかの実施形態では、m枚のサブスタックによって生成されたエネルギは、エネルギ蓄積装置に蓄積することができ、かつ/又は、システムの補助構成要素に給電するために、かつ/又は、システム(600)の外部の構成要素に給電するために使用することができる。
【0028】
本開示の目的の他の特性及び利点は、添付の図を参照して、非限定的な実施例として与えられる、実施形態の以下の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】
図1は、複数の膜・電極アセンブリの模式図であり、隣接する2つのアセンブリは、双極板によって分離されている。
【
図2】
図2は、従来技術の燃料電池の模式図である。
【
図3】
図3は、本開示による燃料電池の模式図である。
【
図4】
図4は、本開示による別の燃料電池の模式図である。
【
図5】
図5は、本開示による例示的なシステムの模式図である。
【
図6】
図6は、
図3の燃料電池における伝熱流体の循環の例の模式図である。
【
図7】
図7は、
図3の燃料電池における燃料の循環の例の模式図である。
【
図8】
図8は、
図3の燃料電池における酸化剤の循環の例の模式図である。
【
図9】
図9は、
図5のシステムを制御するための方法のステップを表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
全ての図において、共通する要素は同一の参照番号によって識別される。
【0031】
以下では、異なる実施形態に共通する要素は、同一の参照番号によって識別される。
【0032】
図1は、複数の膜・電極アセンブリ150~154の模式図であり、隣接する2つのアセンブリ150~154は、双極板156によって分離されている。各アセンブリ150~154は、陽極152と陰極154との間に配置されたイオン伝導性電解質150を有する。矢印Xは、スタック10内の流体の循環方向を表す。
【0033】
非限定的な例として、イオン伝導性電解質150は、プロトン交換膜、例えば、高温プロトン交換膜としうる。
【0034】
【0035】
図2の燃料電池1Aは、膜・電極アセンブリ10のスタックと、第1端部及び第2端部とを有する。
図2の燃料電池1Aは、スタック10の第1端部に配置された入口端板12と、スタック10の第2端部に配置された出口端板11とを備えている。矢印Xは、燃料電池1A内の流体の循環方向を表す。
【0036】
図3及び
図4は、本開示による燃料電池1の模式図である。
【0037】
図3及び
図4の燃料電池1は、膜・電極アセンブリ10のスタックと、第1端部及び第2端部とを有する。
図3の燃料電池1は、スタック10の第1端部に配置された入口端板12と、スタック10の第2端部に配置された出口端板11とを備えている。このスタック10は、入口端板12と出口端板11との間に形成されている。矢印Xは、燃料電池1内の流体の循環方向を表す。
【0038】
図3の実施形態において、燃料電池1は、nが1に等しい、中間板13を有する。中間板13は、入口端板12と出口端板11との間のスタック10に配置されており、2つのサブスタック101、102(n+1)を形成している。
【0039】
図4の実施形態において、燃料電池1は、2枚の中間板13を有し、nは2に等しい。2枚の中間板13は、入口端板12と出口端板11との間でスタック10内に配置され、3枚のサブスタック101、102、103(n+1)を形成している。
【0040】
本開示は、1枚又は2枚の中間板13を有するスタック10に限定されないことが理解される。スタックは、スタック10のn+1枚のサブスタックを形成する、n枚の中間板13を有しうる。
【0041】
図6~
図8は、
図3の燃料電池1内の伝熱流体、燃料及び酸化剤の循環のそれぞれの模式図である。
【0042】
図6は、入口端板12、出口端板11及び中間板13を通る伝熱流体循環ダクト24A~24D、113の模式図である。燃料電池1は、出口端板11の循環ダクト内の伝熱流体を制御する弁111、112と、中間板13の循環ダクト内の伝熱流体を制御する弁131、132とを備えている。ダクト113は、制御弁111、112を接続する出口端板11内にある。制御弁131は、第1のサブスタック101のダクト24Aと第2のサブスタック102のダクト24Cとの間に配置されている。制御弁132は、第1のサブスタック101のダクト24Bと第2のサブスタック102のダクト24Dとの間に配置されている。制御弁112は、第2のサブスタック102のダクト24Cと出口端板11のダクト113との間に配置されている。制御弁111は、第2のサブスタック102のダクト24Dと出口端板11のダクト113との間に配置されている。
【0043】
図6の実施形態において、伝熱流体循環ダクト24A~24D、113は、燃料電池1の加熱及び冷却を可能にする。燃料電池1を予熱するための伝熱流体循環ダクトは、燃料電池1を冷却するための伝熱流体循環ダクトと組み合わされる。
【0044】
燃料電池1は、燃料電池1の予熱のために伝熱流体を循環させるためのダクトと、燃料電池1の冷却のために伝熱流体を循環させるための別々のダクトを備えうることが理解される。
【0045】
図7は、入口端板12、出口端板11及び中間板13を通る燃料循環ダクト51A~51Dの模式図である。燃料電池1は、中間板13の循環ダクト内の燃料を制御するための弁133、134を備えている。制御弁133は、第1のサブスタック101のダクト51Bと第2のサブスタック102のダクト51Dとの間に配置されている。制御弁134は、第1のサブスタック101のダクト51Aと第2のサブスタック102のダクト51Cとの間に配置されている。
【0046】
図8は、入口端板12、出口端板11及び中間板13を通る酸化剤循環ダクト32A~32Dの模式図である。燃料電池1は、中間板13の循環ダクト内の酸化剤を制御するための弁135、136を備える。制御弁135は、第1のサブスタック101のダクト32Aと第2のサブスタック102のダクト32Cとの間に配置されている。制御弁136は、第1のサブスタック101のダクト32Bと第2のサブスタック102のダクト32Dとの間に配置されている。
【0047】
図6~
図8の実施形態では、伝熱流体を制御する弁111、112、131、132、燃料を制御する弁133、134及び酸化剤を制御する弁135、136は、m枚のサブスタック101、102内の酸化剤及び燃料の循環を可能にするように構成されており、mは1以上かつn以下である。
【0048】
図6~
図8の実施形態において、mは1又は2に等しくすることができ、即ち、制御弁が、単一のサブスタック101又は両方のサブスタック101、102において、伝熱流体、酸化剤及び燃料の循環を可能にするように構成されている。
【0049】
非限定的な例として、伝熱流体は、オイル又は水としうる。
【0050】
非限定的な例として、酸化剤は、空気又は純酸素としうる。
【0051】
図6~
図8の実施形態では、制御弁は中間板13に含まれている。
【0052】
中間板13には一部の制御弁を含めることができず、即ち、一部の制御弁が中間板13の外部にあってもよいことが理解される。
【0053】
図5は、
図3、6及び8の燃料電池1を非限定的な例として、燃料電池1を有するシステム600を表している。システム600は、2枚以上の中間板13を有する燃料電池を有しうることが理解される。
【0054】
図5の実施形態において、システム600は、伝熱流体を循環させるための回路20~25と、酸化剤を循環させるための回路30~33と、燃料を循環させるための回路50~52とを有している。
【0055】
図5の実施形態では、システム600は、非限定的な例として電気ヒータである、伝熱流体を加熱するように構成された熱交換器20と、伝熱流体を冷却するように構成された熱交換器21とを有する。伝熱流体を加熱するように構成された熱交換器20と、伝熱流体を冷却するように構成された熱交換器21は、伝熱流体循環回路20~25の一部を形成する。
【0056】
図5の実施形態では、伝熱流体循環回路20~25は、燃料電池1内への伝熱流体の流入のための入口ダクト24と、燃料電池1からの伝熱流体の退出のための出口ダクト25と、伝熱流体を循環させるポンプ22と、燃料電池1から来る伝熱流体を、伝熱流体を加熱するように構成された熱交換器20の方へ向ける又は伝熱流体を冷却するように構成された熱交換器21の方へ向けることを可能にしている、三方弁23とを備えている。伝熱流体入口ダクト24は燃料電池1の入口端板12に接続されており、伝熱流体出口ダクト25は燃料電池1の出口端板11に接続されている。
【0057】
図5の実施形態において、ポンプ22及び弁23は、燃料電池1と熱交換器20、21との間の伝熱流体出口ダクト25内に配置されている。
【0058】
燃料電池1の作動時において、伝熱流体は、伝熱流体循環回路20~25内でループ状に循環する。例えば、伝熱流体は燃料電池1内を循環し、即ち、伝熱流体循環ダクト24A~24D、113内を循環し、燃料電池から出て、伝熱流体出口ダクト25内を循環し、ポンプ22内を通る。ポンプ22の出口では、弁23内で開く方向に応じて、伝熱流体を加熱するように構成された熱交換器20内を、又は、伝熱流体を冷却するように構成された熱交換器21内を、伝熱流体が循環する。熱交換器20又は21の出口において、伝熱流体は伝熱流体入口ダクト24内を循環し、燃料電池1に入る。
【0059】
図5の実施形態において、燃料循環回路50~52は、水素タンク50と、燃料電池1内への水素の流入のための入口ダクト51と、燃料電池1からの未消費水素の出口のための出口ダクト52とを有する。水素タンク50は、燃料電池1に供給する水素を含む燃料気体源に置き換えてもよいことが理解される。水素導入ダクト51は燃料電池1の入口端板12に接続されており、未消費水素出口ダクト52は燃料電池1の出口端板11に接続されている。
【0060】
水素は、高圧下で(極低温の)液体状又は気体状で水素タンク50内に貯蔵され得る。
【0061】
非限定的な例として、水素タンク50は、必要に応じて、水素を蒸発させ、その圧力(減圧弁)を燃料電池1にとって適切な値、例えば数bar(10分の数MPa)、典型的には0.1MPa(1バール)~0.2MPa(2バール)絶対圧に下げるための1つ又は複数の装置を介して、燃料電池1に接続される。
【0062】
燃料電池に気体状水素を供給するモードには、主に「循環」モード又は「行き止まり(dead-end)」モードの2つがある。
【0063】
「循環」モードでは、燃料電池1の電気生成の機能として必要な水素流量を燃料電池1に与えるように、流量制御弁が燃料電池1の上流に配置されている。この流量はある余剰分を与えられ、未消費水素の割合が出口ダクト52を通って排出される。
【0064】
「行き止まり」モードでは、弁が出口ダクト52に配置されている。この弁はほとんどの時間にわたって閉じている。燃料電池1には、流量制御装置なしで、正しい圧力で水素が直接的に供給される。燃料電池1に必要な水素のみが燃料電池で消費され、これにより、燃料電池1内の水素圧力を低下させる傾向がある。供給装置は、燃料電池1内の所望の水素圧力を維持し、したがって、燃料電池1に水素を供給することが可能となる。燃料電池1に供給される水素は、燃料電池1によって消費される水素と同程度である。
【0065】
しかし、燃料電池内には寄生現象(クロスオーバ)、陰極内で生成された窒素と水の移動(migration)が存在する。これらの種は膜を通過し、陽極内で終わる可能性がある。これらを排出するために、出口ダクト52上に配置された弁は、時々開かれる。次いで、この水素流量により、望ましくない窒素及び水を排出することが可能となる。そして、この作動で一定量の水素が失われることが理解される。しかしながら、この供給モードで失われる水素の量は、循環モードにおける水素の損失よりもはるかに低いままである。
【0066】
第3のモードは、「循環」モードから導かれ、を燃料電池1を出る水素を燃料電池1の入口で再注入し、したがって、さもなくば失われる水素の大部分を再利用することができる。この方法を「再循環」法と呼ぶ。
【0067】
燃料電池1の作動時において、水素タンク50に貯蔵された燃料は、燃料電池1への水素の流入のために入口ダクト51内を循環し、燃料電池1内に入り、燃料電池1内、特に燃料循環ダクト51A~51D内を循環し、燃料電池1を出て未消費水素出口ダクト52内を循環する。
【0068】
図5の実施形態において、酸化剤循環回路30~33は、空気圧縮機30と、空気圧縮機30内の空気を吸い込むためのダクト31と、空気圧縮機30と燃料電池1を接続する入口ダクト32と、燃料電池1の出口ダクト33とを有する。入口ダクト32は燃料電池1の入口端板12に接続されており、出口ダクト33は燃料電池1の出口端板11に接続されており、空気圧縮機は、空気圧縮機31内の空気を吸い込むためのダクト30と入口ダクト32との間に配置されている。
【0069】
燃料電池1の作動中、酸化剤は、空気圧縮機30内の空気を吸い込むためのダクト31内を循環し、空気圧縮機30内を通り、空気圧縮機30と燃料電池1を接続する入口ダクト32内を循環し、燃料電池1内に入り、燃料電池1内、特に酸化剤循環ダクト32A~32D内を循環し、燃料電池1を出て出口ダクト33内を循環する。
【0070】
図5の実施形態において、システム600は電池40を有する電気回路を有する。電気回路は、電池40を、例えば、空気圧縮機30用の電気変換器41と、燃料電池1用の電気変換器42と、ポンプ22用の電気変換器43と、伝熱流体を加熱するように構成された熱交換器20用の電気変換器44などの電気変換器に接続する電気バス4を有しうる。電気回路は、電気バス4を、空気圧縮機30に、燃料電池1に、ポンプ22に、伝熱流体を加熱するように構成された熱交換器20に、かつ/又は、電池40に接続することができるように、又は、それから隔離することができるように構成された電気接触器(又はスイッチ)400~440を有する。
【0071】
電気変換器及び電気接触器は選択任意であることが理解される。適切であれば、互いに別々としても、又は、共通としうる。変換器44は、特に、加熱が電気的に行われることを前提とした単なる例示的な実施形態であり、加熱は、他の態様によっても想定され得る。
【0072】
システム600を制御するための方法700を以下に説明する。
【0073】
制御方法700は、燃料電池1のスタック10のm枚のサブスタック101、102、103を予熱するステップ702であって、mは1以上かつn以下であり、nは燃料電池1の中間板13の枚数でありかつ1以上である、ステップ702を有する。
【0074】
m枚のサブスタック101、102、103が作動温度にあるとき、m枚のサブスタック101、102、103においてエネルギを生成するステップ704がある。
【0075】
制御方法700は、少なくとも部分的にm枚のサブスタック101、102、103によって生成されたエネルギによって、燃料電池1のスタック10のp枚のサブスタック101、102、103を予熱するステップ706であって、p枚のサブスタックはm枚のサブスタックから分離されており、pは1以上であり、m+pはn+1以下である、ステップ706を有しうる。p枚のサブスタックが作動温度にあるとき、制御方法700は、m+p枚のサブスタックにおいてエネルギを生成するステップ708を有しうる。
【0076】
制御方法700では、m枚のサブスタックによって生成されたエネルギは、エネルギ蓄積装置として作用する電池40に蓄積することができ、かつ/又は、システム600の補助構成要素に給電するために用いることができ、かつ/又は、システム600に接続されかつシステム600によって給電される外部構成要素にエネルギを供給するために用いることができる。
【0077】
システム600を制御するための方法700について、
図5~
図9を参照して説明する。即ち、nが1に等しい1つの実施形態では、即ち、燃料電池1が単一の中間板13と、スタック10の2つのサブスタック101、102とを有している。
【0078】
制御方法700は、燃料電池1、即ち
図6~
図8の実施形態におけるサブスタック101を予熱するステップ702有する。燃料電池1を予熱するステップ702は、
図6~
図8の段階Iに対応する。
【0079】
図6~
図8では、制御弁が閉じているとき、即ち流体を通さないときを実線で表し、制御弁が開いているとき、即ち流体を通すことを可能にしているときを破線で表している。
【0080】
予熱ステップ702の間、電気バス4と電池40との間に配置された接触器400と、電気変換器43とポンプ22との間に配置された接触器430と、電気変換器44と伝熱流体を加熱するように構成された熱交換器20との間に配置された接触器440は、閉鎖される。三方弁23は、伝熱流体を加熱するように構成された熱交換器20を伝熱流体が通って移動するような位置にある。
【0081】
ポンプ22によって、伝熱流体循環回路20~25内の伝熱流体を駆動する。伝熱流体は、伝熱流体を加熱する熱交換器20に入る。加熱された伝熱流体は、伝熱流体が燃料電池1内に入るために入口ダクト24内を循環する。この伝熱流体は、入口端板12を通って燃料電池1に入り、第1のサブスタック101のダクト24Aに入る。
【0082】
中間板13を制御するための弁131は閉じており、中間板13を制御するための弁132は開いているので、伝熱流体は第2のサブスタック102のダクト24C内に流入せず、伝熱流体は第1のサブスタック101内を循環する、即ち伝熱流体は第1のサブスタック101を通る。
【0083】
出口端板11を制御する弁112は閉じており、出口端板を制御する弁111は開いており、伝熱流体が第2のサブスタック102内を循環せず、即ち、第2のサブスタック102を通過しない。次いで、伝熱流体は、燃料電池1を出て、伝熱流体出口ダクト25内を循環し、ポンプ22及び熱交換器20に戻る。
【0084】
伝熱流体は第2のサブスタック102を通過しないので、加熱は主に第1のサブスタック101で行われることが理解される。
【0085】
予熱ステップ702の間、反応物質(酸化剤及び/又は燃料)は燃料電池1内を循環しない。
【0086】
燃料電池1の第1のサブスタック101が燃料電池1の作動温度にあるとき、第1のサブスタック101においてエネルギを生成するステップ704が開始しうる。
【0087】
第1のサブスタック101においてエネルギを生成するステップ704の間、電気変換器41と空気圧縮機30の間に配置された接触器410が閉じられて、空気圧縮機30が燃料電池1に酸化剤を供給するようになる。
【0088】
この酸化剤は、空気圧縮機30内の空気を吸い込むためのダクト31内を循環し、空気圧縮機30内に通り、空気圧縮機30と燃料電池1とを接続する入口ダクト32内を循環し、燃料電池1内に入り、燃料電池1の第1のサブスタック101内を循環し、燃料電池1から出て出口ダクト33内を循環する。
【0089】
酸化剤は以下の方法で燃料電池1内を循環する。中間板13を制御するための弁135が閉じられ、中間板を制御するための弁136が開いており、第1のサブスタック101のダクト32Aに入った酸化剤は、第2のサブスタック102のダクト32Cに流入せず、酸化剤は第1のサブスタック101内で循環する。即ち、
図8の段階IIに例示されているように、酸化剤は、第1のサブスタック101を通過して制御弁136を通過し、第2のサブスタック102のダクト32Dに入り、燃料電池1を出て出口ダクト33に入る。
【0090】
燃料は、燃料電池1への水素の流入のために流入ダクト51内を循環し、燃料電池1内に入り、燃料電池1の第1のサブスタック101内を循環し、燃料電池1から出て未消費水素出口ダクト52内を循環する。
【0091】
燃料は次のように燃料電池1内を循環する。中間板13を制御するための弁133が閉じられ、中間板13を制御するための弁134が開いており、第1のサブスタック101のダクト51Aに入った酸化剤は、第2のサブスタック102のダクト51Cに流入せず、燃料は第1のサブスタック101内を循環する、即ち、燃料は、
図7の段階IIに例示されているように、第1のサブスタック101を通過して制御弁134を通過し、第2のサブスタック102のダクト51Dに入り、燃料電池1を出て未消費水素出口ダクト52に入る。
【0092】
燃料電池の第1のスタック101と電気変換器42との間に配置された、燃料電池1用の電気変換器42の接触器420は、燃料電池1の第1のスタック101が電気バス4に接続されるように閉じられている。
【0093】
第1のサブスタック101は、エネルギを生成する。第1のサブスタック101においてエネルギを生成するステップは、
図6の段階I及び
図7-8の段階IIに対応する。
【0094】
第1のサブスタック101におけるエネルギの生成が、空気圧縮機30、ポンプ22、及び熱交換器20、21などの補助機器のエネルギの消費より大きい場合、接触器400は、電池40を再充電するために閉じたままにすることができ、又は、接触器400は、電池40が再充電されるときに開位置に切り替えることができる。接触器400が開いているとき、第1のサブスタック101が補助機器に供給する。また、第1のサブスタック101は、電気バス4に接続されたシステムの外部の機器にエネルギを供給することができる。
【0095】
第1のサブスタック101におけるエネルギの生成が、空気圧縮機30、ポンプ22、及び熱交換器20、21などの補助機器のエネルギ消費よりも低いときには、接触器400は閉じたままとすることができ、その結果、電池40は、補助機器の電力需要を補うことができる。
【0096】
第1のサブスタック101におけるエネルギの生成が進行中であるとき、第1のサブスタック101における温度は上昇する場合があり、所定の閾値が検出されると、三方弁23は、燃料電池1から来る伝熱流体を、伝熱流体を冷却するように構成されている熱交換器21に向けて配向する。燃料電池1の冷却モードでは、電気変換器44と、伝熱流体を加熱するように構成された熱交換器20との間に配置された接触器440が開いている。
【0097】
第1のサブスタック101におけるエネルギの生成がニーズを満たすのに十分でないとき、制御方法400は、燃料電池1のスタック10の第2のサブスタック102を予熱するステップ706を有しうる。
【0098】
予熱ステップ706の間、第1のサブスタック101は、前述のようにエネルギ及び熱を生成し、第1のサブスタック101によって生成されたエネルギ及び/又は加熱の少なくとも一部が、第2のサブスタック102を予熱するために用いられる。例えば、第1のサブスタック101によって生成されたエネルギは、圧縮機30と、ポンプ22と、伝熱流体を加熱するように構成された熱交換器20とに供給することができる。第1のサブスタック101によって生成された熱は、第1のサブスタック101内を最初に循環して次いで第2のサブスタック102内を循環する伝熱流体を介して、第2のサブスタック102に伝達される。
【0099】
図6の段階IIに表されるように、第2のスタック102を予熱するために、出口端板11を制御するための弁112が開いており、出口端板を制御するための弁111が閉じられており、伝熱流体は第1のサブスタック101、次いで第2のサブスタック102内を循環し、制御弁112から出て、ダクト113を通り、燃料電池を出て伝熱流体出口ダクト25に入り、ポンプ22及び熱交換器20に戻る。
【0100】
p枚のサブスタックを予熱するステップ706は、m枚のサブスタックにおいてエネルギを生成するステップ704が進行中に実行されることが理解される。m枚のサブスタックにおいてエネルギを生成するステップ704は、p枚のサブスタックを予熱するステップ706が実行されることなく(アイドルモード)実行しうることが理解される。
【0101】
第2のサブスタック102が作動温度にあるとき、制御方法700は、2つのサブスタック101、102においてエネルギを生成するステップ708を有しうる。
【0102】
燃料電池1の第1のサブスタック101及び第2のサブスタック102が燃料電池1の作動温度にあるとき、第1のサブスタック101及び第2のサブスタック102においてエネルギを生成するステップ708が開始することができる。
【0103】
燃料電池1の冷却モードでは、ポンプ22と電気バス4との間に配置された接触器430が閉じられ、電気変換器44と、伝熱流体を加熱するように構成された熱交換器20との間に配置された接触器440が開いている。三方弁23により、燃料電池1から来る伝熱流体を、伝熱流体を冷却するように構成された熱交換器21に向かって配向させる。出口端板11を制御するための弁111は開いており、出口端板11を制御するための弁112は閉じており、中間板13を制御するための弁131は開いており、中間板13を制御するための弁132は開いており、伝熱流体が第1のサブスタック101内及び第2のサブスタック102内を循環するようになっている。即ち、伝熱流体は、第1のサブスタック101及び第2のサブスタック102を並行して通過し(且つ、第2のサブスタック102を予熱するステップと連続して行われず)、制御弁111を通って出て、燃料電池を出て伝熱流体出口ダクト25に入ってポンプ22及び熱交換器20に戻る。伝熱流体は、
図6の段階IIIに例示されているように、ダクト24Aの第1のサブスタック101を通ってダクト24Bに向かって通過し、ダクト24Cの第2のサブスタック102を通ってダクト24Dに向かって通過する。
【0104】
第1のサブスタック101及び第2のサブスタック102においてエネルギを生成するステップ708の間、電気変換器41と空気圧縮機30との間に配置された接触器410が閉じられ、その結果、空気圧縮機30が燃料電池1に酸化剤を供給する。
【0105】
この酸化剤は、空気圧縮機30内の空気を吸い込むためのダクト31内を循環し、空気圧縮機30内に入り、空気圧縮機30と燃料電池1を接続する入口ダクト32内を循環し、燃料電池1に入り、燃料電池1の第1のサブスタック101及び第2のサブスタック102内を循環し、燃料電池1から出て出口ダクト33内を循環する。
【0106】
酸化剤は以下の方法で燃料電池1内を循環する。中間板13を制御するための弁135は開いており、中間板を制御するための弁136は開いており、第1のサブスタック101のダクト32Aに入った酸化剤が第2のサブスタック102のダクト32Cに流れ、酸化剤が第1のサブスタック101内及び第2のサブスタック102内を循環するように、即ち、酸化剤は、
図8の段階IIIに例示されているように、ダクト32Aから第1のサブスタック101のダクト32Bに通ることによって第1のサブスタック101を通過し、ダクト32Cからダクト32Dに通ることにより第2のサブスタック102を通過し、燃料電池1を出て出口ダクト33に入る。
【0107】
燃料は、燃料電池1内への水素の流入のために入口ダクト51内を循環し、燃料電池1内に入り、燃料電池1の第1のサブスタック101内及び第2のサブスタック102内を循環し、燃料電池1から出て未消費水素出口ダクト52内を循環する。
【0108】
燃料は次のように燃料電池1内を循環する。中間板13を制御する弁133は開いており、中間板を制御する弁134は、第1のサブスタック101のダクト51Aに入った燃料が第2のサブスタック102のダクト51Cに流入し、燃料が第1のサブスタック101及び第2のサブスタック102内を循環するように開いている、即ち、燃料は、
図7の段階IIIに示すように、第1のサブスタック101のダクト51Aからダクト51Bに通ることによって第1のサブスタック101を通過し、ダクト51Cからダクト51Dに通ることによって第2のサブスタック102を通過し、燃料電池1を出て未消費水素出口ダクト52に入る。
【0109】
電気変換器42と、燃料電池1の第1のサブスタック101及び第2のサブスタック102との間にそれぞれ配置された燃料電池1用の電気変換器42の接触器420、421は、燃料電池1の第1のサブスタック101及び第2のサブスタック102が電気バス4に接続されるように閉じている。
【0110】
第1のサブスタック101及び第2のサブスタック102はエネルギを生成する。第1のサブスタック101及び第2のサブスタック102のエネルギを生成するステップ708は、
図6~
図8の段階IIIに対応する。
【0111】
需要が低減するとき、第2のサブスタック102におけるエネルギの生成を停止することが可能であることが理解される。
【0112】
再び需要が増加するとき、第1のサブスタック101及び第2のサブスタック102においてエネルギを生成することによって、より多くのエネルギを再び生成することができる。
【0113】
当然のことながら、制御方法700は、単一の中間板13を備えた燃料電池1に限定されない。制御方法700は、単一の中間板13よりも多くを有する燃料電池1と同様の方法で適用することができる。また、中間板13の枚数に応じて、m枚のサブアセンブリを予熱するステップ702の間、又は、p枚のサブスタックを予熱するステップ706の間において、一度に1つ以上の小集団(サブセット)を予熱することができる。
【0114】
必要に応じて、各サブスタックを予熱することも、必要に応じて、要求に応じて予熱することも、そうしないことも可能であることが理解される。
【0115】
同様に、各サブスタックは、必要に応じてエネルギを生成しても、そうしないことも可能であることが理解される。
【0116】
本開示は、特定の例示的な実施形態を参照して説明されたが、請求項により規定される発明の一般的な範囲から逸脱することなく、これらの例に種々の修正及び変更を加えることができることは自明である。さらに、説明される様々な実施形態の個々の特徴は、さらなる実施形態で組み合わされうる。したがって、明細書及び図面は、限定的意味ではなく、例示的意味で考慮されるべきである。電気加熱手段でなくてもよい加熱手段20についても同様である。
【国際調査報告】