(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-25
(54)【発明の名称】リチウムイオン電池用セパレータ、その製造方法及びそれによって製造されたリチウムイオン電池
(51)【国際特許分類】
H01M 50/417 20210101AFI20230818BHJP
H01M 50/411 20210101ALI20230818BHJP
H01M 50/403 20210101ALI20230818BHJP
H01M 50/489 20210101ALI20230818BHJP
H01M 50/491 20210101ALI20230818BHJP
【FI】
H01M50/417
H01M50/411
H01M50/403 B
H01M50/403 Z
H01M50/489
H01M50/491
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023517269
(86)(22)【出願日】2020-12-31
(85)【翻訳文提出日】2023-03-14
(86)【国際出願番号】 CN2020142169
(87)【国際公開番号】W WO2022099905
(87)【国際公開日】2022-05-19
(31)【優先権主張番号】202011277996.2
(32)【優先日】2020-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521449843
【氏名又は名称】青島藍科途膜材料有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO LANKETU MEMBRANE MATERIALS CO., LTD
【住所又は居所原語表記】Room 294, Qingdao Sino German Ecological Park Management Committee, 2877 Tuanjie Road, Huangdao District Qingdao, Shandong 266510 (CN)
(74)【代理人】
【識別番号】100216471
【氏名又は名称】瀬戸 麻希
(72)【発明者】
【氏名】劉鵬
【テーマコード(参考)】
5H021
【Fターム(参考)】
5H021BB02
5H021BB05
5H021EE01
5H021EE04
5H021HH00
5H021HH01
5H021HH02
5H021HH03
5H021HH06
(57)【要約】
本発明は、耐高温特性を有するリチウムイオン電池用セパレータ、その製造方法及びそれによって製造されたリチウムイオン電池を提供し、リチウムイオン電池用セパレータの分野に属する。当該セパレータは、厚さが3.5~30μmであり、孔隙率が30~80%であり、孔径が20~2000nmで調整可能であり、二方向延伸強度が50MPa以上であり、通気度が400s/100cc以下であり、破断温度が160℃以上である。当該製造方法としては、20~60%のポリプロピレン主材、2~10%の可溶化剤、30~80%の溶媒、0.1~5%の成核助剤及び/又は0.1~1%の酸化防止剤を混合、溶融可塑化し、二軸スクリュで押出した後、熱誘起相分離により鋳片を得て、その後、鋳片の延伸、抽出及び後処理を経て又は直接抽出及び後処理を経て得られる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐高温特性を有するリチウムイオン電池用セパレータの製造方法であって、質量パーセント基準で、20~60%のポリプロピレン主材、2~10%の可溶化剤、30~80%の溶媒、0.1~5%の成核助剤及び/又は0.1~1%の酸化防止剤を混合、溶融可塑化し、二軸スクリュで押出した後、熱誘起相分離により鋳片を得て、
その後、鋳片の延伸、抽出及び後処理を経て得られ、又は、
直接抽出及び後処理を経て得られ、
前記鋳片の延伸工程において、130~165℃の風温及び124~140℃のフィルム表面温度を保持し、3~60m/分の延伸速度で(1~30)倍縦方向延伸し、(1~30)倍横方向延伸し且つ/又は(1~30)×(1~30)倍二方向同時延伸し、
前記後処理は、順次行われるドライフィルムの縦横二方向延伸、縦横二方向引き込め及び熱成形を含み、前記ドライフィルムの縦方向・横方向延伸工程において、130~175℃の風温及び125~150℃のフィルム表面温度を保持し、3~40m/分の延伸速度で(1~30)倍縦方向延伸し、(1~30)倍横方向延伸し且つ/又は(1~30)×(1~30)倍二方向同時延伸し、前記縦横二方向引き込め工程において、130~175℃の風温及び125~150℃のフィルム表面温度を保持し、3~20m/分の引き込め速度で(1~3)倍縦方向引き込め、(1~3)倍横方向引き込め且つ/又は(1~3)×(1~3)倍二方向同時引き込め、
前記ポリプロピレンは、メルトインデックスが2g/10分以内の単一の成分であり、又は、それとメルトインデックスが0.5g/10分以内のポリプロピレンから配合されたものであり、
前記成核助剤は、アジピン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ソルビトールベンジリデン誘導体、安息香酸ナトリウム及びビス(4-tert-ブチルベンゾアト-κO)ヒドロキシドアルミニウムのうちの1つ又は複数の混合物を含み、
前記可溶化剤は、ポリエチレン/プロピレンコポリマー、ポリプロピレン/エチレン-ブテンコポリマー、ポリプロピレン/エチレン-ヘキセンコポリマー、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス及びポリエステルワックスのうちの1つ又は複数の混合物を含み、
前記セパレータは、厚さが3.5~30μmであり、孔隙率が30~80%であり、孔径が20~2000nmで調整可能であり、二方向延伸強度が50MPa以上であり、通気度が400s/100cc以下であり、破断温度が160℃以上であることを特徴とする製造方法。
【請求項2】
前記ポリプロピレン主材、可溶化剤、溶媒、成核助剤及び酸化防止剤の質量パーセントは、それぞれ、25~40%、3~6%、50~70%、0.2~3%、0.1~0.5%であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記溶媒は、アルカン、エステル、エーテル及び芳香族炭化水素化合物のうちの1つ又は複数の混合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
前記溶媒は、流動パラフィン、固体パラフィン、パラフィン油、天然植物油、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、セバシン酸ジオクチル、サリチル酸メチル、ジフェニルエーテル及びジフェニルメタンのうちの1つ又は複数の混合物を含むことを特徴とする請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
前記成核助剤は、1,3:2,4-ビス(3,4-ジメチルベンジリデン)ソルビトールであることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
前記酸化防止剤は、酸化防止剤1076、酸化防止剤1010及び酸化防止剤168のうちの1つを含むことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項7】
押出前の供給方式は、同時供給及び/又は非同時供給を採用し、
前記二軸スクリュ押出工程において、スクリュ温度は140~240℃であり、溶融物のパイプ温度は190~230℃であり、ダイ温度は180~220℃であり、
前記押出した溶融物の厚さは、0.7~5mmであり、
前記鋳片の製造工程において、同方向二軸スクリュの回転数は60~100rmpであり、
前記押出後にさらに冷却工程を含み、前記冷却の方式は、急速冷却ロール冷却10~80℃、急速冷却ロール冷却+引寄せロール冷却10~80℃、急速冷却ロール+水冷冷却5~80℃、水冷+ボトムロール冷却5~80℃、急速冷却ロール+油冷冷却5~80℃及び/又は油冷+ボトムロール冷却5~80℃であり、
前記抽出の時に、延伸端材は事前に切り落とさないことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の耐高温特性を有するリチウムイオン電池用セパレータの製造方法で製造されたリチウムイオン電池用セパレータを使用して製造されたことを特徴とするリチウムイオン電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウムイオン電池用セパレータの分野に関し、特に、耐高温特性を有するリチウムイオン電池用セパレータに関し、
本発明は、さらに、前記耐高温特性を有するリチウムイオン電池用セパレータの製造方法を提供し、
本発明は、またさらに、前記耐高温特性を有するリチウムイオン電池用セパレータによって製造されたリチウムイオン電池を提供する。
【背景技術】
【0002】
現在までに発展しているリチウムイオン電池用セパレータは、主なプロセスとしてポリプロピレン乾式法フィルム及びポリエチレン湿式法フィルムの2つに分かれており、そのうち、乾式法セパレータにはポリプロピレンを主原料として採用し、溶融延伸法プロセスを採用しており、さらに乾式法一方向延伸、乾式法二方向延伸に分かれる。湿式法セパレータの主原料はポリエチレンであり、延伸方式によって湿式法二方向同時延伸及び非同時延伸に分かれる。
【0003】
従来の乾式法セパレータは融点の高いポリプロピレンを主材として採用しているため、セパレータは比較的高い融点、破断温度を有し、耐熱性能が比較的優れており、典型的な乾式法ポリプロピレンフィルムは140℃以上の熱収縮安定性及び160℃を超える破断温度を保持することができる。しかしながら、成形プロセスの関係上、主流の乾式法セパレータは依然として縦方向・横方向の低倍率延伸、又は一方向延伸をメインとし、セパレータには明らかな縦方向と横方向の不均一性が存在し、横方向延伸強度が不十分であり、突刺強度が比較的低いため、厚さを増す方式でしか補完することができない。乾式法フィルムにおける孔形成のメカニズムとしては、ポリマーを溶融押出する時に高応力の作用で結晶化して、延伸方向に垂直の層状結晶が形成され、続いて熱処理を経て硬質弾性材料を得て、その後、さらに延伸を経て、層状結晶同士が転位分離して、微孔が形成され、最後に熱成形を行って微多孔質フィルムを得ることができる。孔径は貫通孔であり、孔隙率は一般に35~45%である。当該方法で形成させるのは貫通孔であり、孔のくねり曲がった部分が少ないため、等価孔径が大きく等価孔長が短いという問題があり、正負極間の微小短絡及び自己放電過剰の問題は特に起こりやすい。上記の問題点があるため、乾式法フィルムとしては厚めのフィルムというローエンド製品がメインであり、ハイエンド分野への適用が難しい。
【0004】
従来の湿式法セパレータは、分子量の比較的高いポリエチレンを主材として採用しているため、セパレータは比較的高い二方向延伸強度及び突刺強度を有する。孔形成原理として熱誘起相分離原理と油膜延伸の組み合わせを採用しているため、孔は緻密で均一な球晶又は層状結晶を延伸し転位させ、絶えず繊維化させることで形成された多層網目構造を積層させたものであるため、孔径の分布は細やかで均一であり、等価孔径は小さく、等価孔長は大きく、極薄の厚さ(例えば、4~9μm)の範囲でも依然として比較的良好な抵抗特性を保持しており、より幅広いハイエンド適用を有している。しかしながら、主材のポリエチレン自体は軟化点と融点が比較的低いため、湿式法ポリエチレンセパレータの耐熱性は比較的悪く、破断温度は低く、典型的な湿式法ポリエチレンセパレータは120℃以内の熱収縮安定性及び140℃以内の破断温度しか保証することができない。ハイエンドのリチウムイオン電池製品の殆どは、高ニッケル三元系を採用しており、正極活物質の活性特性はセパレータに高度な熱安定性を求めているため、これらの矛盾は電池の安全リスクの増加をきたしている。
【0005】
耐熱性、機械的性能、電気化学的機能などの方面を同時に配慮するための、乾式法ポリプロピレンセパレータに対する改良に関して、従来技術としては、主に横方向延伸倍率を増して横方向強度を高めること、小粒径セラミックをコーティングして孔径が大きいという不足を補うなどの対応策があるが、強度の向上には限界があり、孔の均一性は湿式法ポリエチレンセパレータのレベルに達することができない。湿式法ポリエチレンセパレータの改良に関して、従来技術としては主に湿式法ポリエチレンセパレータに無機物又は有機物(例えば、セラミック、アラミド繊維、ベーマイト、PIなど)をコーティングすることであるが、セパレータの表面に無機物又は有機物をコーティングするとある程度は孔径の閉塞が起こるという問題に加え、ポリエチレンセパレータ自体の高熱条件下の機械的強度の急激な低下が、被付着物が崩れるという劣化効果を引き起こす。融点の140℃近くになる時に、セパレータはコーティング層の保護で収縮が防止されても、セパレータ自体の溶融により正負極の大面積の短絡が起こる。
【0006】
したがって、前記技術的課題を解決するために、高温安定性、良好な機械的性能に配慮しており、孔隙率が高く、孔径が均一で調整可能なリチウムイオン電池用セパレータが必要になる。
【0007】
上記の事情に鑑みて、本願を提出する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、耐高温特性を有するリチウムイオン電池用セパレータ、その製造方法を提供することにより、前記課題を解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記の目的を達成するために、下記の技術的解決手段を採用する。
耐高温特性を有するリチウムイオン電池用セパレータであって、前記セパレータは、厚さが3.5~30μmであり、孔隙率が30~80%であり、孔径が20~2000nmで調整可能であり、二方向延伸強度が50MPa以上であり、通気度が400s/100cc以下であり、破断温度が160℃以上である。
【0010】
好ましくは、前記セパレータは、厚さが3.5~20μmであり、孔隙率が35~60%であり、孔径が30~100nmであり、二方向延伸強度が100MPa以上であり、通気度が300s/100cc以下であり、破断温度が170℃以上である。
【0011】
本発明は、さらに、前記耐高温特性を有するリチウムイオン電池用セパレータの製造方法を提供する。
質量パーセント基準で、20~60%のポリプロピレン主材、2~10%の可溶化剤、30~80%の溶媒、0.1~5%の成核助剤及び/又は0.1~1%の酸化防止剤を混合、溶融可塑化し、二軸スクリュで押出した後、熱誘起相分離により鋳片を得て、その後、鋳片の延伸、抽出及び抽出後のドライフィルム延伸、引き込め、熱成形などの後処理を経て得られ、又は、熱誘起相分離により得られた鋳片に対して直接抽出及び抽出後のドライフィルム延伸、引き込め、熱成形などの後処理を行って得られてもよい。
【0012】
好ましくは、前記ポリプロピレン主材、可溶化剤、溶媒、成核助剤及び酸化防止剤の質量パーセントが、それぞれ、25~40%、3~6%、50~70%、0.2~3%、0.1~0.5%である。
【0013】
さらに、前記ポリプロピレンは、メルトインデックスが20g/10分以内の単一の成分であり、又は、メルトインデックスの異なる複数のポリプロピレンから配合されたものである。
【0014】
好ましくは、前記ポリプロピレンが、メルトインデックスが2g/10分以内の単一の成分であり、又は、それとメルトインデックスが0.5g/10分以内のポリプロピレンから配合されたものである。
【0015】
前記可溶化剤は、長い直鎖炭化水素鎖セグメント及び/又は分枝を備える炭化水素鎖セグメントに対して同時に良好な共融性を有する可溶化剤成分を有する。
【0016】
好ましくは、前記可溶化剤が、ポリオレフィンコポリマー及び/又はポリオレフィンワックスを含み、
好ましくは、前記可溶化剤が、ポリエチレン/プロピレンコポリマー、ポリプロピレン/エチレン-ブテンコポリマー、ポリプロピレン/エチレン-ヘキセンコポリマー、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス及びポリエステルワックスのうちの1つ又は複数の混合物を含む。当該構成の可溶化剤は、可塑化効果を大幅に向上させることができる。
【0017】
前記溶媒は、アルカン、エステル、エーテル及び芳香族炭化水素化合物のうちの1つ又は複数の混合物を含む。
【0018】
好ましくは、前記溶媒が、流動パラフィン、固体パラフィン、パラフィン油、天然植物油、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、セバシン酸ジオクチル、サリチル酸メチル、ジフェニルエーテル及びジフェニルメタンのうちの1つ又は複数の混合物を含む。前記溶媒は、熱誘起相分離に好適である。
【0019】
前記成核助剤は、アジピン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ソルビトールベンジリデン誘導体、安息香酸ナトリウム及びビス(4-tert-ブチルベンゾアト-κO)ヒドロキシドアルミニウムのうちの1つ又は複数の混合物を含む。
【0020】
好ましくは、前記成核助剤が、1,3:2,4-ビス(3,4-ジメチルベンジリデン)ソルビトールである。
【0021】
前記成核助剤は、一般に乾式法セパレータの製造だけに用いられ、本発明では前記メルトインデックスの異なるポリプロピレン又は配合物、及び前記可溶化剤と溶媒を組み合わせる構成を採用することにより、可塑化効果と流延効果にバランスを取り両者を正常に保持できるだけでなく、湿式法の熱誘起相分離工程における成核及び結晶化の効果の制御、結晶の形態及びサイズの制御に役立ち、後続の延伸などの処理に役立つ。主原料、可溶化剤、溶媒と成核助剤の組み合わせは、精密なバランスをなすことができ、これによってセパレータの二方向の高強度を保持するとともに、孔隙率が高く、孔径が均一で調整可能であるなどの利点を有する。
【0022】
前記酸化防止剤は、酸化防止剤1076、酸化防止剤1010及び酸化防止剤168のうちの1つを含む。
【0023】
前記押出前の供給方式は、同時供給及び/又は非同時供給を採用する。
【0024】
好ましくは、前記二軸スクリュ押出工程において、スクリュ温度が140~240℃であり、溶融物のパイプ温度が190~230℃であり、ダイ温度が180~220℃である。
【0025】
好ましくは、前記押出した溶融物の厚さが、0.7~5mmである。
【0026】
好ましくは、前記鋳片の製造工程において、同方向二軸スクリュの回転数が60~100rmpである。
【0027】
好ましくは、前記押出後にさらに冷却工程を含み、前記冷却の方式は、急速冷却ロール冷却10~80℃、急速冷却ロール冷却+引寄せロール冷却10~80℃、急速冷却ロール+水冷冷却5~80℃、水冷+ボトムロール冷却5~80℃、急速冷却ロール+油冷冷却5~80℃及び/又は油冷+ボトムロール冷却5~80℃である。
【0028】
好ましくは、前記鋳片の延伸工程において、130~165℃の風温及び124~140℃のフィルム表面温度を保持し、3~40m/分の延伸速度で(1~30)倍縦方向延伸し、(1~30)倍横方向延伸し且つ/又は(1~30)×(1~30)倍二方向同時延伸し、「1倍延伸」とは、当該方向に延伸しないことを表す。延伸工程は、縦方向延伸、横方向延伸、縦方向・横方向同時延伸、及び複数回の縦方向・横方向延伸を重ねることによる異なる組み合わせ及び異なる風温、風速、延伸速度により、鋳片内の結晶の延伸を実現でき、層状結晶は膨張、転位、滑りを起こし、最終的に繊維化した空間的なネットワーク構造を実現し、これによって孔隙率の異なる、孔径の異なる、強度の異なる耐高温ポリオレフィン多孔質セパレータの油膜前駆体を得る。
【0029】
好ましくは、前記抽出の時に、延伸端材は事前に切り落とさない。抽出乾燥の時に、延伸端材は事前に切り落とさず、厚めの端材のより大きな緊張力から、抽出工程における薄膜の横方向収縮が抑えられる。抽出時の収縮により薄膜の横方向極差が増し、均一性が悪いなどの問題が生じると、ポリプロピレン薄膜の安定性に深刻な影響を与えるためである。
【0030】
好ましくは、前記後処理が、ドライフィルムの二方向延伸及び引き込め、熱成形を含む。
【0031】
より好ましくは、前記後処理が、順次行われるドライフィルムの縦横二方向延伸、縦横二方向引き込め処理及び熱成形を含む。抽出後のドライフィルムに対する延伸及び引き込めにより、微視的な繊維化ポリプロピレンの二次結晶、微細繊維のデニール数低減、内部応力の除去などの効果を実現でき、これによって拡孔及び熱成形の目的を達成し、セパレータの透過性及び熱安定性を向上させる。縦方向・横方向二方向引き込め処理及び熱成形は、従来の横方向一方向引き込め処理の方法をベースとして、フィルム材料の縦方向に同時に引き込め処理を施すことにより、二方向の熱収縮安定性を同時に向上させることができる。具体的な方法は次のとおりである。抽出後のドライフィルムの縦方向・横方向延伸では130~175℃の風温及び125~150℃のフィルム表面温度を保持し、3~40m/分の延伸速度で(1~30)倍縦方向延伸し、(1~30)倍横方向延伸し且つ/又は(1~30)×(1~30)倍二方向同時延伸する必要があり、「1倍延伸」とは、当該方向に延伸しないことを表し、延伸工程は、縦方向延伸、横方向延伸、縦方向・横方向同時延伸、及び複数回の縦方向・横方向延伸を重ねることによる異なる組み合わせにより所定の延伸倍率を実現でき、縦横二方向引き込めでは、130~175℃の風温及び125~150℃のフィルム表面温度を保持し、3~20m/分の引き込め速度で(1~3)倍縦方向引き込め、(1~3)倍横方向引き込め且つ/又は(1~3)×(1~3)倍二方向同時引き込める必要があり、「1倍引き込め」とは、当該方向に引き込めないことを表す。
【0032】
本発明は、さらに、前記耐高温特性を有するリチウムイオン電池用セパレータを使用して製造されたリチウムイオン電池を提供する。
【発明の効果】
【0033】
従来技術と比べると、本発明は、乾式法ポリプロピレンセパレータの主材が耐熱性に優れることと、湿式法二方向延伸ポリエチレンセパレータの微視的な構造が均一で、強度が高いという優位性を組み合わせることにより、湿式法二方向高倍率延伸ポリプロピレンセパレータ製品の製造を新規に実現しており、耐熱性、機械的強度及び微視的な孔構造の均一性と制御可能性への配慮を実現しており、耐高温、二方向における高い強度、高い孔隙率、孔径が均一で調整可能、高い抵抗率などの特性を有する新規なリチウムイオン電池用セパレータを得ている。また、本発明に係るセパレータは、その耐高温特性、高い孔隙率及び孔径制御可能の特性により、液体、気体粉塵粒子の濾過及び防水通気フィルムなどの分野にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
以下、本発明の実施例の技術的解決手段の一層の説明のために、実施例の説明で使用する図面を簡単に紹介する。なお、下記の図面は本発明の一部の実施例を示すものに過ぎず、範囲に対する限定と見なされない。当業者が新規性のある作業をしなくても、これらの図面から他の関連の図面を得ることができる。
【
図1】本発明の実施例2のポリプロピレン微多孔質フィルムの走査電子顕微鏡写真である。
【
図2】本発明の実施例4のポリプロピレン微多孔質フィルムの走査電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施例を詳しく説明する。図面には実施例の例が示される。同じ若しくは類似する要素又は同じ若しくは類似する機能を有する要素は一貫して同じ又は類似する符号で表す。以下に図面を参照して説明する実施例は例示的なもので、本発明の説明に供するものに過ぎず、本発明に対する限定として理解できない。
【0036】
本明細書は、下記の用語を使用する。
用語「…によって製造される」は、「含む」と同じ意味である。本明細書で使用する用語「含む」、「含有する」、「有する」又はそのあらゆる変形は、非排他的な包含をカバーすることを意図する。例えば、列挙されている要素を含む組成物、ステップ、方法、製品又は装置は必ずしもそれらの要素に限るとは限らず、明記していない他の要素又はこのような組成物、ステップ、方法、製品若しくは装置に固有の要素を含んでもよい。
【0037】
用語「…によって構成される」は、記載されていない要素、ステップ又は成分を全て排除する。請求項において使用する場合、当該用語の使用により請求項は閉鎖式になり、記載されている材料とは別の材料は含まれなくなり、それに関係する通常の不純物は対象外である。用語「…によって構成される」が主題の直後ではなく請求項の主体に対する説明に出現している場合、当該説明で言及される要素だけを限定し、その他の要素は当該請求項の全体から排除されない。
【0038】
当量、濃度、その他の値又はパラメータが範囲、好ましい範囲、あるいは上限として好ましい値と下限として好ましい値のいくつかで限定した範囲で示される場合、そのいずれの範囲の上限又は好ましい値といずれの範囲の下限又は好ましい値が組み合わさって形成される範囲の全てが具体的に開示されると理解され、当該範囲が単独で開示されるかどうは関係ない。例えば、範囲「1~5」を開示している場合、説明される範囲は、範囲「1~4」、「1~3」、「1~2」、「1~2と4~5」、「1~3と5」などを含むように解釈される。本明細書で数値範囲の説明がある場合、特に説明がない限り、当該範囲はその境界値及び当該範囲内の全ての整数と分数を含むことを意図する。
【0039】
下記の実施例では、特に説明がない限り、前記部又はパーセンテージはいずれも質量基準である。
【0040】
「及び/又は」は、説明される状況の一方又は両方がいずれも生じ得ることを表す。例えば、A及び/又はBは、A及びB、A又はBを含む。
【0041】
(実施例1)
同時供給及び非同時供給の方式で、質量パーセント基準で30%のメルトインデックスが0.5g/10分のポリプロピレン、5%のポリエチレン/プロピレンコポリマー及び63.8%の100#鉱油を粉体秤量装置及びプランジャーポンプによって、それぞれ、二軸スクリュ押出機に投入し、さらに1%の1,3:2,4-ビス(3,4-ジメチルベンジリデン)ソルビトール(即ち、3988成核剤)及び2‰の1076酸化防止剤を加えて190℃で溶融による可塑化を行った。なお、スクリュ温度は220℃であり、溶融物のパイプ温度は200℃であり、ダイ温度は195℃であり、同方向二軸スクリュの回転数は90rmpであった。
【0042】
溶融物をダイから押出して片状にし、直ちにゲル状の片材を流延機の成形ロール(急速冷却ロール)と引寄せロールとの間に予め設けられたギャップに通過させた(成形ロール及び引寄せロールの表面温度を15℃に設定した)。当実施例では、さらに冷却槽を増設して(冷却媒体は水)溶融物の背面を強制冷却し、冷却槽の温度は20℃であり、厚さ1.5mmの鋳片として成形させた。その後、160℃の風温で、当該鋳片に対して縦方向延伸機を用いて130℃のフィルム表面温度と30m/分の速度で進行方向(MD)に沿って6倍延伸し、さらに横方向延伸機を用いて幅方向(TD)に沿って140℃のフィルム表面温度と30m/分の速度で6倍延伸した。その後、延伸で形成させた油膜の端部を切り落として整えた後、分断機を用いて3段に分断し、各段の幅は800mmであり、その後、延伸していた油膜をジクロロメタンを含んでいる抽出槽に通過させて、油膜中の鉱油を抽出して油膜を乾燥した。乾燥後の微多孔質フィルムを横方向延伸機に入れて、135℃でTD方向に沿って1.2倍延伸し、その後、さらにTD方向に沿って1.1倍に引き込めると同時に、135℃で熱成形を行った。続いて、巻取ロールを用いて巻き取って、厚さ15.6μmのポリプロピレン微多孔質フィルムを得た。
【0043】
上記のように製造したポリプロピレン微多孔質フィルムの厚さ、延伸強度、突刺強度、孔隙率、通気度及び熱収縮率をそれぞれ測定して、測定結果を得て表1に示す。また、当該ポリプロピレン微多孔質フィルムを使用して対応する耐高温リチウムイオン電池を製造することができる。
【0044】
(実施例2)
同時供給及び非同時供給の方式で、質量パーセント基準で31%のポリプロピレン、6%のポリプロピレン/エチレン-ブテンコポリマー及び61.55%の100#鉱油を粉体秤量装置及びプランジャーポンプによって、それぞれ、二軸スクリュ押出機に投入し、さらに1.1%の1,3:2,4-ビス(3,4-ジメチルベンジリデン)ソルビトール(即ち、3988成核剤)及び3.5‰の1076酸化防止剤を加えて185℃で溶融による可塑化を行った。なお、ポリプロピレンは、メルトインデックスがそれぞれ0.5g/10分、2g/10分であるポリプロピレンの配合物であり、配合比は8:2であり、スクリュ温度は210℃であり、溶融物のパイプ温度は200℃であり、ダイ温度は195℃であり、同方向二軸スクリュの回転数は80rmpであった。
【0045】
溶融物をダイから押出して片状にし、直ちにゲル状の片材を流延機の成形ロール(急速冷却ロール)と引寄せロールとの間に予め設けられたギャップに通過させた(成形ロール及び引寄せロールの表面温度を10℃に設定した)。当実施例では、さらに冷却槽を増設して(冷却媒体は水)溶融物の背面を強制冷却し、冷却槽の温度は15℃であり、厚さ0.8mmの鋳片として成形させた。その後、130℃の風温で、当該鋳片に対して縦方向延伸機を用いて130℃のフィルム表面温度と35m/分の速度で進行方向(MD)に沿って9倍延伸し、さらに横方向延伸機を用いて幅方向(TD)に沿って140℃のフィルム表面温度と35m/分の速度で7倍延伸した。その後、延伸で形成させた油膜に対して、分断機を用いて3段に分断し、各段の幅は800mmであり、その後、延伸していた油膜をジクロロメタンを含んでいる抽出槽に通過させて、油膜中の鉱油を抽出して油膜を乾燥した。乾燥後の微多孔質フィルムを横方向延伸機に入れて、135℃でTD方向に沿って1.2倍延伸し、その後、さらにTD方向に沿って1.1倍に引き込めると同時に、135℃で熱成形を行った。続いて、巻取ロールを用いて巻き取って、厚さ9.4μmのポリプロピレン微多孔質フィルムを得た。
【0046】
上記のように製造したポリプロピレン微多孔質フィルムの厚さ、延伸強度、突刺強度、孔隙率、通気度及び熱収縮率をそれぞれ測定して、測定結果を得て表1に示し、その走査電子顕微鏡写真は
図1に示すとおりである。また、当該ポリプロピレン微多孔質フィルムを使用して対応する耐高温リチウムイオン電池を製造することができる。
【0047】
(実施例3)
同時供給の方式で、質量パーセント基準で35%のポリプロピレン、3%のポリエチレンワックス及び59.5%の流動パラフィンを粉体秤量装置及びプランジャーポンプによって、それぞれ、二軸スクリュ押出機に投入し、さらに2%のアジピン酸及び5‰の1010酸化防止剤を加えて190℃で溶融による可塑化を行った。なお、ポリプロピレンは、メルトインデックスがそれぞれ0.5g/10分、2g/10分であるポリプロピレンの配合物であり、配合比は6:4であり、スクリュ温度は205℃であり、溶融物のパイプ温度は205℃であり、ダイ温度は190℃であり、同方向二軸スクリュの回転数は100rmpであった。
【0048】
溶融物をダイから押出して片状にし、直ちにゲル状の片材を流延機の成形ロール(急速冷却ロール)と引寄せロールとの間に予め設けられたギャップに通過させた(成形ロール及び引寄せロールの表面温度を20℃に設定した)。当実施例では、さらに冷却槽を増設して(冷却媒体は水)溶融物の背面を強制冷却し、冷却槽の温度は15℃であり、厚さ0.9mmの鋳片として成形させた。その後、165℃の風温で、当該鋳片に対して縦方向延伸機を用いて130℃のフィルム表面温度と40m/分の速度で進行方向(MD)に沿って9倍延伸し、さらに横方向延伸機を用いて幅方向(TD)に沿って140℃のフィルム表面温度と40m/分の速度で7倍延伸した。その後、延伸で形成させた油膜の端部を切り落として整えた後、分断機を用いて3段に分断し、各段の幅は800mmであり、その後、延伸していた油膜をジクロロメタンを含んでいる抽出槽に通過させて、油膜中の鉱油を抽出して油膜を乾燥した。乾燥後の微多孔質フィルムを横方向延伸機に入れて、135℃でTD方向に沿って1.2倍延伸し、その後、さらにTD方向に沿って1.1倍に引き込めると同時に、135℃で熱成形を行った。続いて、巻取ロールを用いて巻き取って、厚さ10.7μmのポリプロピレン微多孔質フィルムを得た。
【0049】
上記のように製造したポリプロピレン微多孔質フィルムの厚さ、延伸強度、突刺強度、孔隙率、通気度及び熱収縮率をそれぞれ測定して、測定結果を得て表1に示す。また、当該ポリプロピレン微多孔質フィルムを使用して対応する耐高温リチウムイオン電池を製造することができる。
【0050】
(実施例4)
同時供給及び非同時供給の方式で、質量パーセント基準で30%のメルトインデックスが0.5g/10分のポリプロピレン、5%のポリエチレン/プロピレンコポリマー及び63.8%の100#鉱油を粉体秤量装置及びプランジャーポンプによって、それぞれ、二軸スクリュ押出機に投入し、さらに1%の1,3:2,4-ビス(3,4-ジメチルベンジリデン)ソルビトール(即ち、3988成核剤)及び2‰の1076酸化防止剤を加えて190℃で溶融による可塑化を行った。なお、スクリュ温度は220℃であり、溶融物のパイプ温度は200℃であり、ダイ温度は195℃であり、同方向二軸スクリュの回転数90rmpであった。
【0051】
溶融物をダイから押出して片状にし、直ちにゲル状の片材を流延機の成形ロール(急速冷却ロール)と引寄せロールとの間に予め設けられたギャップに通過させた(成形ロール及び引寄せロールの表面温度を40℃に設定した)。当実施例では、さらに冷却槽を増設して(冷却媒体は水)溶融物の背面を強制冷却し、冷却槽の温度は20℃であり、厚さ0.7mmの鋳片として成形させた。その後、得られた鋳片を2m/分の速度で純ジクロロメタン超音波抽出槽に通過させて抽出した。162℃の風温で、当該抽出後の鋳片に対して縦方向延伸機を用いて133℃のフィルム表面温度と30m/分の速度で進行方向(MD)に沿って7倍延伸し、さらに横方向延伸機を用いて幅方向(TD)に沿って140℃のフィルム表面温度と30m/分の速度で7倍延伸した。その後、延伸で形成させた防水通気フィルムの端部を切り落として整えて、端部を切り落とされて整ったフィルムを得て横方向延伸機に入れて、135℃でTD方向に沿って1.2倍延伸し、その後、さらにTD方向に沿って1.1倍に引き込めると同時に、135℃で熱成形を行った。続いて、巻取ロールを用いて巻き取って、厚さ14.3μmのポリプロピレン微多孔質フィルムを得た。
【0052】
上記のように製造したポリプロピレン微多孔質フィルムの厚さ、延伸強度、突刺強度、孔隙率、通気度及び熱収縮率をそれぞれ測定して、測定結果を得て表1に示し、その走査電子顕微鏡写真は
図2に示すとおりである。また、当該ポリプロピレン微多孔質フィルムを使用して対応する高孔隙率フィルム材料を製造することができる。
【0053】
(実施例5)
同時供給及び非同時供給の方式で、質量パーセント基準で30%のメルトインデックスが0.5g/10分のポリプロピレン、5%のポリエチレン/プロピレンコポリマー及び63.8%の100#鉱油を粉体秤量装置及びプランジャーポンプによって、それぞれ、二軸スクリュ押出機に投入し、さらに1%の1,3:2,4-ビス(3,4-ジメチルベンジリデン)ソルビトール(即ち、3988成核剤)及び2‰の1076酸化防止剤を加えて190℃で溶融による可塑化を行った。なお、スクリュ温度は220℃であり、溶融物のパイプ温度は200℃であり、ダイ温度は195℃であり、同方向二軸スクリュの回転数は90rmpであった。
【0054】
溶融物をダイから押出して片状にし、直ちにゲル状の片材を流延機の成形ロール(急速冷却ロール)と引寄せロールとの間に予め設けられたギャップに通過させた(成形ロール及び引寄せロールの表面温度を15℃に設定した)。当実施例では、さらに冷却槽を増設して(冷却媒体は水)溶融物の背面を強制冷却し、冷却槽の温度は20℃であり、厚さ1.9mmの鋳片として成形させた。その後、160℃の風温で、当該鋳片に対して二方向同時延伸機を用いて130℃のフィルム表面温度と10m/分の速度で進行方向(MD×TD)に沿って3×3倍延伸して厚めの油膜を得た。延伸で得られた厚めの油膜は、158℃の風温で、当該鋳片に対して縦方向延伸機を用いて129℃のフィルム表面温度と60m/分の速度で進行方向(MD)に沿って7倍延伸し、さらに横方向延伸機を用いて幅方向(TD)に沿って137℃のフィルム表面温度と60m/分の速度で7倍延伸した。その後、延伸で形成させた油膜の端部を切り落として整えた後、分断機を用いて3段に分断し、各段の幅は800mmであり、その後、延伸していた油膜をジクロロメタンを含んでいる抽出槽に通過させて、油膜中の鉱油を抽出して油膜を乾燥した。乾燥後の微多孔質フィルムを横方向延伸機に入れて、135℃でTD方向に沿って1.2倍延伸し、その後、さらにTD方向に沿って1.1倍に引き込めると同時に、135℃で熱成形を行った。続いて、巻取ロールを用いて巻き取って、厚さ3.9μmのポリプロピレン微多孔質フィルムを得た。
【0055】
上記のように製造したポリプロピレン微多孔質フィルムの厚さ、延伸強度、突刺強度、孔隙率、通気度及び熱収縮率をそれぞれ測定して、測定結果を得て表1に示す。また、当該ポリプロピレン微多孔質フィルムを使用して対応する耐高温リチウムイオン電池を製造することができる。
【0056】
(比較例1)
実施例1と比べて、主材はPEであり、湿式法プロセスで製造した。
【0057】
(比較例2)
実施例1と比べて、主材はPPであり、乾式法プロセスで製造した。
【表1】
【0058】
表1のデータの比較及び
図1から分かるように、本発明のポリプロピレンセパレータは耐熱性に優れ、微視的な構造が均一であり、強度が高く、湿式法二方向高倍率延伸ポリプロピレンセパレータ製品の製造を新規に実現しており、耐熱性、機械的強度及び微視的な均一性と制御可能性への配慮を実現しており、耐高温、二方向における高い強度、孔径均一、高抵抗率などの特性を有する新規なリチウムイオン電池用セパレータを得ている。また、当該プロセスはスピードが速く、加工コストが安い。
【0059】
本明細書の説明で、用語「一実施例」、「一部の実施例」、「例」、「具体例」、又は「一部の例」などを用いる説明は、当該実施例又は例を用いて説明する特定の特徴、構造、材料又は特性が、本発明の少なくとも1つの実施例又は例に含まれることを意味する。本明細書で、前記用語の用例は必ずしも同じ実施例又は例が対象になるとは限らない。しかも、説明される特定の特徴、構造、材料又は特性をいずれ1つ又は複数の実施例又は例において適切に組み合わせることができる。また、当業者は、本明細書で説明される異なる実施例又は例及び異なる実施例又は例の特徴を、互いに矛盾しなければ組み合わせることができる。
【0060】
上記で本発明の実施例を示しそれを説明しているが、前記実施例は、例示的なもので、本発明に対する限定として理解できないことが理解できる。当業者は、本発明の範囲において前記実施例に改変、補正、置き換え、変形を行うことができる。
【国際調査報告】