(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-28
(54)【発明の名称】飲料装置及び飲料容器
(51)【国際特許分類】
A47G 21/18 20060101AFI20230821BHJP
B65D 85/72 20060101ALI20230821BHJP
【FI】
A47G21/18
B65D85/72 200
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023506100
(86)(22)【出願日】2021-07-20
(85)【翻訳文提出日】2023-03-24
(86)【国際出願番号】 EP2021070240
(87)【国際公開番号】W WO2022023119
(87)【国際公開日】2022-02-03
(32)【優先日】2020-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520020524
【氏名又は名称】エアー アップ グループ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ユングスト,マグダレナ
(72)【発明者】
【氏名】コピッツ,ヤニス
(72)【発明者】
【氏名】イェーガー,ティム
(72)【発明者】
【氏名】シュラング,ファビアン
【テーマコード(参考)】
3B115
3E035
【Fターム(参考)】
3B115AA06
3B115AA13
3B115AA14
3B115AA22
3B115BA18
3B115BA19
3B115DA11
3B115DA21
3B115DA25
3B115DB03
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3B115DB07
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3B115DB16
3B115DB20
3B115DC00
3E035AA03
3E035AB10
3E035BA05
3E035BA10
3E035BB02
3E035BC02
(57)【要約】
【要約】
飲料装置は、内部流れチャンネル(32)と飲む端部(18)とを有する飲料ストロー(12)と、飲料ストロー(12)に接続され、芳香容器(20)から流出する空気の流れに芳香物質を添加する芳香容器(20)とを備えている。芳香容器は、少なくとも1つの空気出口開口(40)を含み、少なくとも1つの空気出口開口(40)は、飲料ストローの内部流れチャンネル(32)への少なくとも1つの芳香入口開口(42)、又は飲料ストロー(12)の飲む端部(18)まで延びる芳香チャンネル(38)のいずれかと流れ接続している。芳香容器(20)は、飲料ストロー(12)と結合することができ、その結果、飲料ストロー(12)の飲む端部(18)において、飲料ストロー(12)の飲む端部(18)と接続されたマウスピース(14)で負圧を加えると、少なくとも1つの空気出口開口(40)を通って空気の流れが芳香容器から出る。芳香容器は、芳香物質のキャリア物質(46)を収容する芳香室(44)を含む。好ましくは、キャリア物質(46)は、500Pa・s/m未満の固有流動抵抗を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部流れチャンネルと飲む端部とを有する飲料ストローと、
固定的に又は着脱可能に前記飲料ストローに接続され、芳香容器から流出する空気の流れに芳香物質を添加する芳香容器とを備え、
前記芳香容器は、少なくとも1つの空気出口開口を含み、少なくとも1つの前記空気出口開口は、前記飲料ストローの前記内部流れチャンネルへの少なくとも1つの芳香入口開口、又は前記飲料ストローの前記飲む端部へ延びる芳香チャンネルのいずれかと流れ接続され、
前記芳香容器は、前記飲料ストローと結合可能であることに適合し、その結果、前記飲料ストローの前記飲む端部に負圧を加えた場合に、又は前記飲料ストローの前記飲む端部に接続されたマウスピースに負圧を加えた場合に、空気の前記流れが少なくとも1つの前記空気出口開口を通って前記芳香容器から出て、
前記芳香容器は、芳香物質のためのキャリア物質を収容する芳香室を含み、前記キャリア物質は、好ましくは500Pa・s/m未満、特に好ましくは400Pa・s/m未満、最も好ましくは約380Pa・s/mの固有流動抵抗を有する、飲料装置。
【請求項2】
前記飲料ストローに対して、好ましくは、前記飲料ストローの長手方向に沿って、前記芳香容器はさらに、活性位置と非活性位置との間で移動可能であり、
前記活性位置でのみ、少なくとも1つの前記空気出口開口が、少なくとも1つの前記芳香入口開口又は前記芳香チャンネルと流れ接続する、請求項1記載の飲料装置。
【請求項3】
前記芳香容器は、前記マウスピースを含む、請求項1又は2記載の飲料装置。
【請求項4】
前記芳香容器は、前記飲料ストローを取り付ける円錐形の受け領域を有する、請求項3記載の飲料装置。
【請求項5】
前記飲料ストローは前記芳香チャンネルを含み、前記芳香チャンネルは、前記内部流れチャンネルとは別に設けられ、前記飲料ストローの前記飲む端部で終わる、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の飲料装置。
【請求項6】
前記芳香容器は、前記芳香チャンネルを含む、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の飲料装置。
【請求項7】
前記芳香容器は、前記飲料ストローの前記内部流れチャンネルを囲む第1境界壁と、前記芳香容器によって形成される第2境界壁との間に形成されている、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の飲料装置。
【請求項8】
さらに、前記飲料ストローにあるシール部材を備え、前記シール部材は前記飲料ストローの周囲に延び、異なる直径の飲料容器に取り付け可能であることに適合している、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の飲料装置。
【請求項9】
前記シール部材は、連続的に円錐形又は段付きで円錐形の、回転対称な部材である、請求項8記載の飲料装置。
【請求項10】
前記シール部材は、弾性シールグロメットである、請求項8記載の飲料装置。
【請求項11】
前記飲料ストローは、長手方向に関して分割可能である、請求項1ないし10のいずれか1項に記載の飲料装置。
【請求項12】
前記飲料ストローはフィルムヒンジを有し、前記フィルムヒンジは、長手方向に延び、前記長手方向に関して開放可能である、請求項1ないし11のいずれか1項に記載の飲料装置。
【請求項13】
前記飲料ストローは、予め定められた複数の曲げ点を有する、請求項1ないし12のいずれか1項に記載の飲料装置。
【請求項14】
前記飲料ストローは、弾性変形可能である、請求項1ないし12のいずれか1項に記載の飲料装置。
【請求項15】
さらに、前記飲料ストローの前記飲む端部とは長手方向での反対側の端部に設けられている重りを備え、
前記重りは、飲料容器の内側の底部に静止する支持面を有する、請求項1ないし14のいずれか1項に記載の飲料装置。
【請求項16】
前記飲料ストローは、前記芳香容器のためのレセプタクルを有し、前記芳香容器は、前記レセプタクルに挿入可能である、請求項1ないし15のいずれか1項に記載の飲料装置。
【請求項17】
前記飲料ストローは、第1縦部分と第2縦部分とを含み、前記芳香容器は、前記飲料ストローの前記第1縦部分と前記第2縦部分との間に取り付け可能である、請求項1ないし16のいずれか1項に記載の飲料装置。
【請求項18】
前記芳香容器は、前記飲料ストローに取り付けられ、好ましくはクリップ留めされ、
前記芳香容器は、貫通部材を含み、前記貫通部材は、前記芳香容器を前記飲料ストローに取り付ける際に前記飲料ストローを貫通し、前記芳香入口開口を形成するのに適合している、請求項1ないし16のいずれか1項に記載の飲料装置。
【請求項19】
ある領域での前記飲料ストローの前記内部流れチャンネルは、前記芳香入口開口の領域の断面に細幅にした部分を有する、請求項1ないし18のいずれか1項に記載の飲料装置。
【請求項20】
底部と、
前記底部から上方に延び、飲料液を受ける体積を制限する少なくとも1つの側壁と、
請求項1ないし19のいずれか1項に記載の飲料装置とを備えている、飲料容器。
【請求項21】
前記飲料装置の飲料ストローは、飲料容器の前記側壁に固定的に接続され、好ましくは、飲料容器の前記側壁は、ある領域で内部流れチャンネルを直接制限する、請求項20記載の飲料容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料装置、及びそのような飲料装置を伴った飲料容器に関する。
【背景技術】
【0002】
心地よい風味を有するが、その一方で健康リスクを防ぐようにした飲料を摂取する必要性が高まっている。健康リスクとは、飲料液に溶解している芳香物質や安定剤の摂取によって、引き起こされる可能性がある。増加したカロリーの摂取もまた、避けた方がよいものである。
【0003】
そのためここ数年、わずかにフルーティな芳香が与えられた水が、人気となっている。しかし、このアロマ化された水は、安定剤の物質や一定量の砂糖といった望ましくない添加物も含まれている。多くのユーザは、単にこのカロリー量と歯の衛生状態とを理由に、このような飲料を拒否する。
【0004】
嗅覚は、食品や飲料の消費での味覚知覚に重要な役割を果たしているため、これまでの飲料システムは、飲む間に知覚される匂いに影響を与えることを試みてきた。その目的のために、飲む間に鼻から呼吸をし、それにより芳香を知覚するユーザの鼻のすぐ近くに芳香要素が存在するように、飲料容器の飲み口の近くに取り付けることができる芳香要素が提案されている。
【発明の概要】
【0005】
芳香物質を鼻腔後部に摂取する飲料装置は、芳香容器を備え、芳香容器は、空気が流れることができ、アロマ化された空気を飲料液の搬送路に供給する。これは、国際公開WO2019/016096から既知である。このようにして、芳香物質は口腔香気として(retronasally,鼻腔後部に)摂取される。飲む間には、芳香物質は飲料液とともにユーザの口に到達し、その後、咽頭を経由して嗅覚粘膜へと鼻腔後部に上昇し、そこにある受容体によって検出され、ユーザに知覚される。嗅覚と味覚との間に密接な相関関係があるということを利用する。そのため、実際には嗅いでいるのは口腔香気としてだけであるにもかかわらず、ユーザは芳香を味わっているという印象を受ける。
【0006】
本発明は、芳香物質を添加する飲料装置を提案するという目的に基づく。飲料装置は省スペースであり、様々な方法で使用することができる。
【0007】
この目的は、請求項1の特徴を有する飲料装置(飲みの装置,drinking device)と、請求項20の特徴を有する飲料容器(飲む容器,drinking vessel)とによって、達成される。
【0008】
好ましい実施形態は、他の請求項から明らかである。
【0009】
本発明による飲料装置は、飲料ストローと芳香容器とを備えている。飲料ストローは、内部流れチャンネルと飲む端部とを有する。芳香容器から流出する空気の流れに芳香物質を供給する芳香容器は、固定的に、又は移動可能に、又は着脱可能に飲料ストローに接続されている。芳香容器は、少なくとも1つの空気出口開口を含み、少なくとも1つの空気出口開口は、飲料ストローの内部流れチャンネルへの少なくとも1つの芳香入口開口、又は飲料ストローの飲む端部へ延びる芳香チャンネルのいずれかと流れ接続されている。芳香容器は、飲料ストローと結合可能であることに適合し、その結果、飲料ストローの飲む端部に負圧を加えた場合に、又は飲料ストローの飲む端部に配置されたマウスピースに負圧を加えた場合に、空気の流れが少なくとも1つの空気出口開口を通って芳香容器から出る。芳香容器は、芳香物質のためのキャリア物質を収容する芳香室を含む。キャリア物質は、好ましくは500Pa・s/m未満、特に好ましくは400Pa・s/m未満、最も好ましくは約380Pa・s/mの固有流動抵抗を有する。
【0010】
マウスピース又は飲料ストローの飲む端部のいずれかで、飲むプロセス中に負圧があるとすぐに、芳香チャンネルの端と、芳香容器の出口とにも十分な負圧があり、芳香容器に空気が流れるようにする。
【0011】
従って、本発明による飲料装置は、様々な方法で構成してよい。芳香容器の少なくとも1つの空気出口開口から出るアロマ化された空気の流れが、少なくとも1つの芳香入口開口を通って飲料ストローの内部流れチャンネルに進入するように、芳香容器は飲料ストローに配置されてよい。アロマ化された空気の流れが供給された飲料液を、飲料ストローの飲む端部で直接に、又は飲む端部に取り付けられた追加のマウスピースを介して、ユーザは摂取してよい。これに代えて、ユーザは、飲料ストローの内部流れチャンネルを通って飲料液を摂取し、内部流れチャンネルとは別に設けられた芳香チャンネルを介して、アロマ化された空気の流れを摂取してよい。この点、芳香チャンネルは、内部流れチャンネルとは別に飲料ストローに設けたり、芳香容器に接続したりすることができる。後者の場合に、飲料ストローは、内部流れチャンネルへの芳香入口開口を有さなくてよい通常の飲料ストローとしてよい。別の代替では、芳香容器と、飲料ストローの飲む端部に配置されたマウスピースとを、組み合わせて構成する方法がある。この場合に、アロマ化された空気の流れは、飲料ストローの内部流れチャンネルに流れず、またこれに平行に流れず、マウスピースの領域の下流の飲料液に供給されるか、又はマウスピースの飲料液のための流れ室に平行に流れる。
【0012】
本質的には、芳香容器は、芳香室を含み、芳香室は、空気が芳香容器を流れるときに空気中に放出される芳香物質のキャリア物質を収容する。
【0013】
キャリア物質は、好ましくは500Pa・s/m未満、特に好ましくは400Pa・s/m未満、最も好ましくは約380Pa・s/mの固有流動抵抗を有する。この場合に、従来の定義に従い、材料層前後の圧力差と、流れる空気の速度との比を固有流動抵抗という。流動抵抗は、DIN EN ISO9053-1に従って、キャリア材料の試験片で測定される。空気の流速は、試験片全体の圧力差の関数として決定される。多くの試験で、好ましい流動抵抗は、芳香容器の芳香室内のキャリア物質を通過する良好な流れを引き起こすのに特に適していることが判明した。さらに、同時に芳香容器内を流れる空気の流れを良好に強化し、飲料ストローと一緒に芳香容器を使用した場合の芳香の発達を改善することも可能になった。
【0014】
アロマ化された空気の流れが、ユーザにおいて鼻腔香気として(orthonasally,経鼻的に)作用するために、周囲の空気に放出されず、むしろ飲む間にユーザによって口を介して摂取される。その結果、アロマ化された空気が口腔香気として知覚され、飲料液の味覚知覚の感覚的印象を作り出すことができる。この点で、上記の全ての変形例は共通している。
【0015】
本発明の好ましい実施形態によれば、飲料ストローに対して、好ましくは、飲料ストローの長手方向に沿って、芳香容器は、活性位置と非活性位置との間で移動可能である。活性位置でのみ、少なくとも1つの空気出口開口が、少なくとも1つの芳香入口開口及び芳香チャンネルと流れ接続する。
【0016】
非活性位置と活性位置との間の芳香容器の移動は、作動していないときに意図されない蒸発がないため、芳香容器の耐用年数を延長する。非活性位置と活性位置との間の芳香容器の移動は、ユーザ自身が行うことができるので、本発明による飲料装置はさらに、アロマ化されていない飲料液を保持するために使用してよい。
【0017】
最も単純なケースでは、芳香容器の移動は、好ましくは飲料ストローの長手方向であり、芳香容器の空気出口開口と、飲料ストローの芳香入口開口、又は飲料ストローの芳香チャンネルへの入口開口との間で、流れ接続を確立又は中断することができる。
【0018】
好ましくは、芳香容器は、マウスピースを含む。この場合に、芳香容器は、飲料ストローの飲む端部に取り付けられ、ユーザのためのマウスピースを含む。これにより、ユーザは、アロマ化された空気の流れを伴う飲料液を、口を介して摂取することができ、又は、マウスピースの口の端部で終わる2つの別個の搬送路(transport channels)によって、純粋な飲料液とアロマ化された空気とを、同時に口を介して摂取してよい。
【0019】
マウスピースを芳香容器に設けることは、芳香容器を交換したときに、ユーザが直感的に飲料装置を正しく組み立て直すことができるという利点がある。また、飲料液とアロマ化された空気の流れとに別々の流れチャンネルを設けた場合に、さらに、飲料装置に従来の飲料ストローを使用してよい。
【0020】
第1の代替の好ましい実施形態によれば、飲料ストローは芳香チャンネルを含み、芳香チャンネルは、流れチャンネルとは別に設けられ、飲料ストローの飲む端部で終わる。しかしこれに代えて、芳香容器はさらに、芳香チャンネルを有してよい。ただし、飲料液の流れチャンネルとアロマ化された空気の流れの搬送路とを別々に設ける場合は、飲料ストローの内部流れチャンネルを囲む第1境界壁と、芳香容器によって形成された第2境界壁との間に芳香チャンネルを構成することが、特に好ましい。このように、別々の流れチャンネルを有する飲料装置の構成は、最小限の材料使用で実現することができる。
【0021】
本発明の好ましい実施形態によれば、飲料装置はさらに、シール部材を備え、シール部材は、飲料ストローの周囲に延び、異なる直径の飲料容器に取り付け可能であることに適合している。
【0022】
シール部材を備えた飲料装置の構成は、飲料容器内の飲料液が飛び散ることなく移送するのに特に適している。直径の異なる飲料容器に装着するのに適したシール部材を備えることは、ユーザが異なる飲料容器で使用できるため、飲料装置の多様性を大きくする。
【0023】
この点で、シール部材を、連続的に円錐形又は段付きで円錐形の、回転対称な部材として構成するのに、特に適した構成であることが判明した。このように、飲料容器の上端の開口径にかかわらず、飲料容器が円形の開口を有し、かつ円形の開口の直径がシール部材の回転対称なコンポーネントの直径の範囲の中にある限り、シール部材を飲料容器にシールして配置することができる。連続的な円錐形のコンポーネントは、任意の開口径の上に置くことができるが、段付きの円錐形のコンポーネントの場合に、段付きの円錐形のコンポーネントの領域のリング状の段は、飲料容器の上端に置かれる。
【0024】
別の実施形態によれば、シール部材は、弾性シールグロメットとしてよい。このようなシールグロメットは、例えばシリコン材料でできており、様々なサイズの容器を緊密にシールすることで知られている。弾性シールグロメットは、飲料容器の上端に伸張され、上端の領域の飲料容器の側壁又は複数の側壁に対して弾性的に横たわっている。上記の連続円錐形、又は段付き円錐形の回転対称部材を設けることは、円形開口の断面形状の飲料容器にのみ適している。一方、弾性シールグロメットの形でシール部材を設ける場合には、他の断面形状、例えば正方形の断面形状の飲料容器は、同様に上部で閉じることができる。
【0025】
本発明の好ましい実施形態によれば、飲料ストローは、長手方向に関して分割可能である。この構成は、例えば流水の下で、別々に清掃が可能な2つのU字型の部分に、飲料ストローを分割して、飲料ストローを容易に清掃することができるという利点がある。
【0026】
代替の好ましい実施形態によれば、飲料ストローは、長手方向に延びるフィルムヒンジを有し、長手方向に関して開放可能である。この手段は、飲料ストローを開放することを可能にし、飲料ストローの内壁を容易にアクセス可能にすることで、飲料ストローの清掃を簡素化するのにも役立つ。
【0027】
好ましくは、飲料ストローは、予め定められた複数の曲げ点を有する。このように、飲料容器の形状にかかわらず、長さが規格化された飲料ストローを使用することが可能である。もう1つの利点は、本発明による飲料装置は、例えば移送中にかばんの中で意図せずに飲料ストローを圧迫しても、飲料ストローに損傷を与えないため、より安全に移送することができることである。なぜなら、曲げ点によって、飲料ストローは力の作用を避けたり、非平坦な接触面に適応したりすることを可能にするからである。さらに、所定の曲げ点を有する飲料ストローは、特に省スペースで移送することができる。
【0028】
これに代えて、なお好ましい実施形態によれば、さらに、飲料ストローを弾性変形可能に構成することが可能である。このように、所定の曲げ点は、定められた位置に設けられていないが、飲料ストローは全体的に十分な弾性変形可能性を有しているため、飲料ストローのもつれなどの意図しない損傷のリスクを最大限に回避することができる。
【0029】
本発明の好ましい実施形態によれば、本発明の飲料装置はさらに、重りを備え、重りは、飲料ストローの飲む端部とは長手方向での反対側の端部に設けられている。この重りは、飲料容器の内側の底部に静止する支持面を有する。
【0030】
重りを設けることにより、飲料ストローが常に飲料容器の底部に保持されるという利点がある。剛性のある飲料ストローの場合に、さらに、これにより飲料容器内で飲料装置が倒れるのを防止することができる。
【0031】
本発明のさらに好ましい実施形態によれば、飲料ストローは、芳香容器のためのレセプタクルを有し、芳香容器は、レセプタクルに挿入可能である。つまり、アダプタが飲料ストローに既に固定され、アダプタに芳香容器を挿入することができる。このように、第1に、芳香容器をレセプタクルに入れたときにのみ、空気出口開口を露出させることで、芳香容器を活性化させることができる。さらに第2に、レセプタクルの形状と芳香容器の相補的な形状とによって、芳香容器が飲料ストローに対して正しい機能配置で接続されていることを、確実にすることができる。
【0032】
好ましくは、飲料ストローは、第1縦部分と第2縦部分とを含む。芳香容器は、飲料ストローの第1縦部分と第2縦部分との間に取り付け可能である。従って、芳香容器は、飲料ストローの第1縦部分と第2縦部分との間の結合部材を構成する。この構成は、ユーザにとって理解しやすいため、芳香容器を入れ替えるのに、芳香容器が空になった場合や、別の風味がほしい場合に、非常に簡単な方法で芳香容器を交換することができる。また、飲料ストローと芳香容器との間の結合形状を利用して、芳香容器を活性化することもできる。
【0033】
この点で、外径の異なる飲料ストローを芳香容器と併用できるように、飲料ストローの受け領域を円錐形に構成した方が、芳香容器を構成する上で有利である。
【0034】
本発明のさらに好ましい実施形態によれば、芳香容器は、飲料ストローに取り付けられ、好ましくはクリップ留めされる。芳香容器は、貫通部材を含み、貫通部材は、芳香容器を飲料ストローに取り付ける際に飲料ストローを貫通し、芳香入口開口を形成するのに適合している。このように、芳香容器を取り付ける前に、飲料ストローにプレハブの芳香入口開口を設ける必要がまだないため、芳香容器を従来の飲料ストローと併用することができる。別の利点は、芳香容器を取り付ける際に芳香入口開口が形成されるため、芳香容器の正確な位置合わせが必要ないということである。貫通部材は、芳香容器の位置を飲料ストローに固定する追加的な機能を有する。
【0035】
好ましくは、ある領域での飲料ストローの内部流れチャンネルは、芳香入口開口の領域の断面に減少がある。飲料ストローの流れチャンネルの断面が小さくなると、ベンチュリ効果が生じる。流れが狭くなる領域では、動圧は最大になるが、静水圧は最小になる。さらに、飲む間の飲料液の流れの速度は、狭くなる領域で増加する。このように、狭くなることで、断面が小さくなる領域での内部流れチャンネルの圧力が低下し、芳香容器からアロマ化された空気が送り出されるのを助ける吸引効果を生じる。
【0036】
本発明による飲料装置と並んで、本発明はさらに、飲料容器に関し、飲料容器は、底部と、底部から上方に延び、飲料液を受ける体積を制限する少なくとも1つの側壁とを備えている。
【0037】
好ましくは、飲料容器は、飲料装置の飲料ストローが飲料容器の側壁に固定的に接続されるように構成されている。好ましくは、飲料容器の側壁は、内部流れチャンネルを直接制限する。これにより、本発明の飲料装置は、飲料容器に固定的に一体化することができる。
【0038】
また、使用状況に応じて、芳香室には、空気出口開口に加えて、少なくとも1つの空気入口開口を設けてよい。この構成は、飲料容器内で飲料装置を意図した通りに使用するときに、芳香容器が飲料液の中にある場合にのみ、回避される。しかし、芳香容器が飲料装置の飲む端部の領域にある場合や、芳香容器にマウスピースが設けられている場合には、空気入口開口によって芳香容器内の空気の流れを容易にし、芳香物質による空気の流れを一層豊かにすることができる。
【0039】
芳香容器への空気入口開口がないこれらの実施形態では、周囲の液体によって空気出口開口が閉じられないとすぐに、周囲の空気が空気出口開口を通って芳香容器の中に逆流することによって圧力が均等化される。芳香容器が飲料容器内の飲料液の中に位置するように飲料ストローに配置されている場合に、さらに飲料ストローに、少なくとも飲料容器内の液体の高さまで飲料液が充填される。このようにすると、アロマ化された空気が外に出ることがないため、芳香容器の空気出口開口を閉じることができると同時に、空気出口開口が小サイズであることとそれに伴う毛細管現象とにより、芳香容器の中に液体がはいり込むことがない。このようにして、アロマ化された空気は、飲む間にのみ芳香容器の空気出口開口から出るため、飲料装置は、芳香物質の望ましくない損失なしに、使用中に液体を満たした飲料容器の中に残すことができる。
【0040】
好ましくは、キャリア物質とは別に、キャリア物質と芳香室を塞ぐ芳香容器の壁との間で、ヘッドスペースが芳香室の中に設けられている。ヘッドスペースを設けることで、芳香容器の中でのアロマ化された空気の混合を改善する。芳香物質は多数の化学物質である化合物から構成されてよく、その物質の芳香容器のヘッドスペースへの物質移動挙動は、キャリア物質とは異なる。異なる化学物質の2つの異なる搬送速度が、発生してよい。ヘッドスペース内で均質化されることが可能な、異なるアロマ化組成物が、芳香室の中に存在してよい。
【0041】
好ましくは、不織布がキャリア物質として設けられ、200 l/(m2・s)を下回ることが想定されない、高い通気性を有する。同時に、好ましくは、100Paの差圧での不織布の通気性は、500 l/(m2・s)以下である。その理由は、通気性が高すぎるとリスクが生じるためであり、リスクとは、不織布の中に好ましい流れチャンネルが形成され、この結果、芳香物質が実際に使い果たされるずっと前に、芳香容器から出る空気の流れのアロマ化の程度がすでに低すぎるということである。また、個々の芳香物質によって、キャリア物質の最適な形状やヘッドスペースの大きさが異なってよい。異なる芳香物質は、物質移動や流動特性に関する挙動に影響を与える化学構造が異なる。従って、最適な味覚体験を実現するために、個々の風味ごとに別々の最適化プロセスを実行してよい。
【0042】
好ましくは、芳香容器の高さに対するキャリア物質の厚みは、芳香容器の下壁と上壁との間の高さの少なくとも50%、好ましくは少なくとも80%である。
【0043】
好ましくは、芳香容器は、基本的にリング状の形状になっているので、芳香容器を飲料ストローの周りに配置することができ、その結果、ユーザが特に快適と感じる重量分布が得られる。この点に関して、芳香容器の形状は正確な円形から逸脱することが可能である。しかし、飲料ストローに対する芳香容器の単一の半径方向の向きのみが可能であるように、補完的な形状の飲料ストローと相互作用し、飲料ストローに対する芳香容器の正確な半径方向の位置を定義することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
下記の図面では、異なる実施形態により、単に例として本発明が示される。図面は下記のものを示す。
【0045】
【
図1a】活性状態と非活性状態とにある本発明による飲料装置である。
【
図1b】活性状態と非活性状態とにある本発明による飲料装置である。
【
図2】芳香容器を不活性化することができない飲料装置である。
【
図3a】展開図と部分断面図とでの、芳香容器内の飲料ストローのための受け領域の可能な構成である。
【
図3b】直径の異なる飲料ストローを備えた
図3aによる飲料装置の使用である。
【
図3c】直径の異なる飲料ストローを備えた
図3aによる飲料装置の使用である。
【
図4a】本発明による飲料装置の追加的な実施形態の分解図、及び組立状態の図である。
【
図4b】本発明による飲料装置の追加的な実施形態の分解図、及び組立状態の図である。
【
図5a】分解図及び組み立てた状態での、本発明による飲料装置の追加的な実施形態である。
【
図5b】分解図及び組み立てた状態での、本発明による飲料装置の追加的な実施形態である。
【
図6】本発明による飲料装置の追加的な実施形態、及び詳細図である。
【
図6a】本発明による飲料装置の追加的な実施形態、及び詳細図である。
【
図7a】本発明による飲料装置の追加的な実施形態の外観図、及び断面図である。
【
図7b】本発明による飲料装置の追加的な実施形態の外観図、及び断面図である。
【
図8】本発明による飲料装置の追加的な実施形態の外観図、及び断面A-Aで得られた断面図である。
【
図8a】本発明による飲料装置の追加的な実施形態の外観図、及び断面A-Aで得られた断面図である。
【
図9a】飲料容器とともに、本発明による飲料装置の追加的な実施形態である。
【
図9b】飲料容器とともに、本発明による飲料装置の追加的な実施形態である。
【
図10a】飲料容器とともに、本発明による飲料装置の追加的な実施形態である。
【
図10b】飲料容器とともに、本発明による飲料装置の追加的な実施形態である。
【
図11a】飲料容器とともに、本発明による飲料装置の追加的な実施形態である。
【
図11b】飲料容器とともに、本発明による飲料装置の追加的な実施形態である。
【
図11c】飲料容器とともに、本発明による飲料装置の追加的な実施形態である。
【
図12a】断面図とともに、2つの異なる構成の飲料ストローの可能な構造である。
【
図12b】断面図とともに、2つの異なる構成の飲料ストローの可能な構造である。
【
図12c】断面図とともに、2つの異なる構成の飲料ストローの可能な構造である。
【
図13a】飲料容器とともに、本発明による飲料装置の追加的な実施形態である。
【
図13b】飲料容器とともに、本発明による飲料装置の追加的な実施形態である。
【
図14a】飲料容器とともに、本発明による飲料装置の追加的な実施形態である。
【
図14b】飲料容器とともに、本発明による飲料装置の追加的な実施形態である。
【
図15a】閉鎖した状態(
図15a)と、部分的に開放した状態(
図15b)と、詳細図(
図15c)とでの飲料ストローの追加的な可能な構成である。
【
図15b】閉鎖した状態(
図15a)と、部分的に開放した状態(
図15b)と、詳細図(
図15c)とでの飲料ストローの追加的な可能な構成である。
【
図15c】閉鎖した状態(
図15a)と、部分的に開放した状態(
図15b)と、詳細図(
図15c)とでの飲料ストローの追加的な可能な構成である。
【
図16a】閉鎖した状態(
図16a)と、部分的に開放した状態(
図16b)と、詳細図(
図16c)とでの飲料ストローの追加的な可能な構成である。
【
図16b】閉鎖した状態(
図16a)と、部分的に開放した状態(
図16b)と、詳細図(
図16c)とでの飲料ストローの追加的な可能な構成である。
【
図16c】閉鎖した状態(
図16a)と、部分的に開放した状態(
図16b)と、詳細図(
図16c)とでの飲料ストローの追加的な可能な構成である。
【
図17】本発明による飲料容器内の飲料装置の追加的な可能な構成である。
【
図18】一体型の飲料装置を有する飲料容器である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下の例示的な実施形態では、同一の要素は、同一の参照番号で示す。
【0047】
図1a,1b及び2を参照して、本発明による飲料装置10の基本構造を説明する。飲料装置10は、飲料ストロー12と、芳香容器20と、任意のマウスピース14とから構成されている。これらは以下の実施形態にも存在してよい、これが便利な場合はどこにでもある。マウスピース14は、ユーザのための飲む端部を規定する。飲料ストロー12は、通常の方法で飲料液に挿入され、マウスピース14で吸引することにより、内部流れチャンネルを通じて飲料ストロー12を介してマウスピース14の方向に上向きに吸引され、そこを通る。
【0048】
飲料装置はさらに芳香容器20を備え、芳香容器20は、
図5cで後述するように、芳香物質のキャリア物質、又は様々な芳香物質の混合物を収容する芳香室を有する。飲むプロセスでは、芳香容器20は、次にいくつかの例で説明するように、飲料ストロー12の内部流れチャンネルに導入された、又は別の芳香チャンネルでマウスピース14への方向に搬送された、芳香物質でアロマ化された空気を放出する。マウスピース14では、アロマ化された空気は、液体を得るために流れチャンネルに復帰するか、又はマウスピース14の飲む端部28まで別の流れチャンネルに向けられることが可能である。
【0049】
ただし、飲料液とアロマ化された空気とのために別の流れチャンネルがある場合は、飲料液とアロマ化された空気との両方が、飲むプロセスで口を介して摂取されるようにマウスピース14を構成することが重要である。
【0050】
図2に示す例では、芳香容器は、飲料装置10に固定的に接続され、アロマ化された空気が芳香容器から放出できる活性状態に、常にある。
【0051】
本発明による飲料装置10の寿命を延ばすには、芳香容器20が活性位置と非活性位置との間で移動できるように飲料装置を構成すれば好都合である。この目的のために、
図1及び1bによる例示的な実施形態で、飲料ストロー12の周囲に実質的にリング状に延びる芳香容器20は、活性位置と非活性位置との間の回転運動によって移動されることができる。又は芳香容器20は、
図1a及び1bによる例示的な実施形態に示すように、
図1aに示された非活性位置と
図1bに示された活性位置の間で飲料ストロー12を長手方向に変位させることによって、長手方向に変位されることができる。活性位置でのみ、芳香容器に設けられた空気出口開口は、飲料ストロー12の内部流れチャンネル、又は別の芳香チャンネルのいずれかの芳香入口開口と合致する。非活性位置では、芳香容器からの空気出口開口は閉じられる。
【0052】
活性位置と非活性位置との間での変位する移動について、ユーザに触覚フィードバックを与えるために、ストップ(阻止部)16が飲料ストロー12に固定的に設けられ、非活性位置に持ち込まれたときに芳香容器がこれに対して変位する。マウスピースにはさらに、活性位置へ変位する移動を制限するストップ30が設けられている。このように、ユーザは簡単に2つの停止位置の間で芳香容器を変位させることによって、芳香容器を活性化することができる。
図2に示すような、常に活性状態にある芳香容器を備えた飲料装置の実施形態と比較すると、芳香容器を活性化させるという選択肢は、寿命の延長という利点を有するだけでなく、例えば、純粋な飲料液を飲みたい場合などに、非活性状態で飲料装置を使用するという選択肢でもある。
【0053】
図3a,3b及び3cでは、飲料装置10の代替的な実施形態が示され、ここでは、従来の飲料ストロー12が挿入可能な一体型マウスピース14を有する芳香容器20で構成されている。
【0054】
さらに、芳香容器の中に、飲料ストロー12の飲む端部18を受けるように機能する、円錐形の受け領域22(ソケット22)を設けることが、好ましい。
図3aによる芳香容器は、円錐形の受け領域22により、
図3b及び3cに示すように、直径の異なる飲料ストロー12a,12bで使用可能である。
【0055】
図3aに示す飲料装置10の構成で、芳香容器20からのアロマ化された空気は、マウスピース14の領域に供給されるため、従来の飲料ストロー12を使用することができる。従って、飲料ストローの内部流れチャンネルへの、明確かつ具体的に配置された芳香入口開口を有する飲料ストロー12を使用する必要がない。
【0056】
図4a及び4bに、本発明による飲料装置10のこれ以外の代替的な実施形態を示す。これに関して、芳香容器20は、飲料ストローの部分的部分12-1及び12-2の間に位置する。
図4a及び4bによる実施形態は、芳香容器20の交換が非常に簡単で、ユーザが直感的に行えるので有利である。この目的のために、好ましくは、芳香容器20は、円形のリング状の形状から逸脱する。少なくとも芳香容器の内側開口は、円形の形状を有さないため、それぞれに結合要素24が設けられている飲料ストローの2つの部分12-1及び12-2は、芳香容器20に対して定義された向きでしか挿入できない。2つの結合要素24は、リング状の芳香容器20内の内側開口を貫通するだけでなく、さらに、飲料ストローの部分12-1及び12-2の間の流れについて密な(flow-tight)接続を与えるように、流体密な方式で相互に挿入することができるように構成してよい。同時に、芳香容器20に対して正しい向きを与え、芳香容器からの空気出口開口が、いずれかの結合要素24への芳香入口開口に対して正確に合致する。
【0057】
図4a及び4bによる実施形態は、芳香容器20を別の芳香容器に交換しやすいだけでなく、飲料ストローの清掃ができるという利点がある。もちろん、
図4a及び4bによる実施形態では、さらに、飲料ストロー12-1の飲む端部をマウスピースに結合することが可能である。
【0058】
図5a,5b及び5cによる実施形態では、芳香容器20は、飲料ストロー12の周囲に延びるのでなく、飲料ストロー12でのレセプタクル26(ソケット26)に挿入され、飲料装置10を動作状態にしている。このため、
図A(
図5a)に示す芳香容器20を、レセプタクル26の矢印Aの方向に挿入することで、
図5bのように、すぐに使用できる飲料装置が得られる。
【0059】
レセプタクル26と芳香容器20の形状とを適切に相補的に形成することで、芳香容器が正確に配置されることを確実にして、アロマ化された空気を放出できるようにする。
【0060】
芳香容器20は、クランプすること、レセプタクル内の吸盤を使用することなど、他のあらゆる方法でレセプタクル26に取り付けられてよい。例えば、芳香容器は、ピン留めされてよいし、高速ネジ止めされてよいし、又はバヨネットロックによって取り付けられてよい。さらに、磁石、ベルクロ(登録商標)ストリップ(面ファスナー)、またゴムバンドなどの他の補助具を使用してよい。
【0061】
図5cでは、
図5bによる飲料装置10の可能な構成が示されている。この点で、飲料ストロー12には内部流れチャンネル(内部流路)32があり、これを介して、通常の飲料ストローと同様に、飲料ストロー12の飲む端部18に向かう方向に飲料液がユーザによって吸引される。
図5a及び5bに示す鉢形(bowl-shaped)の外壁34に加えて、芳香容器20の容器26にも、芳香チャンネル38が位置する内壁36があり、それは芳香容器内の空気出口開口40と流れ接続し、さらに飲料ストロー12の芳香入口開口42と流れ接続する。芳香入口開口42は、飲料ストロー12の内部流れチャンネル32に開口する。
【0062】
さらに
図5cに示すように、芳香室44が芳香容器の中にあり、芳香室44を完全には満たさないキャリア物質46を含んでいる。これに関連して、芳香容器20の図示されたリング状形状では、キャリア物質46はリング状の芳香室44の周囲に一杯に延びることはできないが、U字型に構成することができ、例えば、芳香室を形成する際にキャリア物質を芳香室に自動的に挿入することを容易にする。キャリア物質46は芳香室44を完全には充填しないため、芳香室44の中には空気で満たされたヘッドスペース48が形成され、そこでは様々な化合物からなる芳香物質を混合及び均質化することができる。
【0063】
図5cに示す芳香容器の形状は円形のリング状ではないため、レセプタクル26に対して、芳香容器は決められた位置にしか挿入できない。レセプタクル26は、芳香容器と飲料ストロー12の内部流れチャンネル32との間に、流れ接続が存在する。
【0064】
キャリア物質は、500Pa・s/m未満、好ましくは400Pa・s/m未満の固有流動抵抗を有し、最も好ましくは約380Pa・s/mの固有流動抵抗を有する。その結果、ユーザが飲料ストロー12を従来のように使用する間に、十分な量のアロマ化された空気を飲料ストロー12の内部流れチャンネル32に供給する。
【0065】
図6の飲料ストローの飲む端部の領域を拡大図で示した
図6a、及び
図6による実施形態は、本発明による飲料装置の代替構成である。
図5cの断面図で示したものとは対照的に、芳香チャンネル38は飲料ストローの内部流れチャンネル32への芳香入口開口を介して開放するのではなく、それと平行に飲料ストロー12の飲む端部18に導かれる、この目的のために、内部流れチャンネル32と平行に芳香チャンネル38が設けられ、これを介して飲むプロセスでアロマ化された空気を吸引し、口を介して摂取される。
【0066】
さらに、
図6aに空気入口開口50が示され、これを介して空気が芳香容器20に進入する。芳香容器20の一般的なリング状の構成では、空気入口開口50は空気出口開口40と反対側に配置され、これにより、芳香容器を流れる空気が十分な距離を移動してから、十分にアロマ化された状態で、再び空気出口開口40を通って芳香容器を離れるようになっている。
【0067】
図7a及び7bによる実施形態は、
図6及び6aによる実施形態と本質的に同一である。ただし、
図7a及び7bに従った構成では、芳香チャンネル38は、飲料ストローに固定的に設けられたストップ52に接触するまで、飲料ストロー12にスライドされる芳香容器20の一部である。これにより、芳香容器の芳香チャンネル38は、飲料ストロー12の飲む端部18で終了することが確実にされる。
【0068】
図7bに従った構成により、内部流れチャンネル32と芳香チャンネル38との間の領域に二重の壁が生じる。しかし、この二重壁はさらに、
図8及び8aによる実施形態に示すように、除去することができる。
図8の実施形態で、さらに芳香容器20は、飲料ストロー12にスライドさせる。この実施形態で、芳香チャンネル38は、飲料ストロー12の内部流れチャンネル32を囲む壁54(第1境界壁)と、芳香容器20の壁56(第2境界壁)との間に形成される。
【0069】
図8による構成では、芳香容器は非常に小さく軽量に構成してよいため、全体的な美的印象が向上するだけでなく、飲料ストローが飲料容器内で倒れるのを防止し、又は、少なくとも倒れるのを困難にする。
【0070】
本発明による飲料装置の一層の特性をここに例示することのために、
図9aないし16cによる実施形態では、芳香容器又は可能なマウスピースは示されていない。それにもかかわらず、これらの全ての実施形態で、芳香容器と、任意にはマウスピースとがさらに設けられていることは、明らかである。
【0071】
図9a及び9bによる実施形態で、本発明による飲料装置10は、飲料容器100の中に図示されている。飲料装置10は、飲料ストロー12に固定的に接続されたシール部材58を有し、
図9a及び9bに従った構成では、その周囲にいくつかの段59(ステップ59)を有する回転対称の本体からなる。
図9a及び9bの例によって示されるように、段状のシール部材58が飲料容器100の飲み口の中央に自動的に配置されることのために、シール部材58は、開口サイズの異なる飲料容器にぴったりと取り付けることができる。
【0072】
図10a及び10bによる実施形態が、
図9a及び9bによる実施形態と異なる点は、単に、シール部材58が円錐形状をし、従って飲料容器100の円形飲み口の大きさに関係なく飲み口60の上にしっかりと置くことができることのみである。
【0073】
図9a,9b,10a及び10bによる実施形態は、円形形状の飲み口60を有する飲料容器に特に適している。
図11a,11b及び11cに示す実施形態は、この点でさらに可変であり、円形の飲み口を有する飲料容器と、飲み口のさまざまな形状の両方で使用してよい。この目的のために、弾性シール部材62は、飲料ストロー12に固定的に接続され、例えば、さまざまな形状の飲料容器の飲み口の上に延ばすことができる弾性ラテックス材料で構成され、また上部でこれらをしっかりとシールする。弾性シール部材62が対応する弾性を有していれば、それに応じて高い弾性張力で飲料容器100の上端に巻き付けることができ、強い動きの場合でも液体は、飲料容器100から外へ飛び散ることができなくなる。
【0074】
図12a,12b及び12cに、飲料ストロー12を示す。これは、好ましくは一定間隔での、予め定められた複数の曲げ点64を有し、曲げ可能である。
図12cに示すように、飲料ストローを予め定められた複数の曲げ点64で屈曲させることにより、形状の異なる飲料容器に調整してよい。
【0075】
図13a及び13bによる実施形態は、
図12aによる実施形態のように所定の曲げ点を有さないが、可撓性があり、任意の形状に調整できる飲料ストロー12の一層の可能な構成を示している。これに代えて、飲料容器100に向けて任意の形状に、飲料ストローを調整できるように、飲料ストローを構成してよい。このためには、ユーザは、
図13bの例に示すように、飲料ストロー12に矢印Bの方向に圧力を加えて、飲料ストローが曲がってその位置に保持されるようにするだけでよい。
【0076】
可撓性がある飲料ストローを伴った
図13a及び13bによる実施形態にかかわらず、飲料ストローに重り66を設けてよい。さらに、これは他の全ての実施形態に存在してよい。重りは、飲料装置100の底部70に重りが平坦に置かれるように、支持面68を有する。重りは、飲料容器100内の液体の中で飲料ストローを深く保持する機能を有し、さらに、飲料ストローの端部を飲む端部から反対側に向けて、剛性をもって受け入れるために使用してよい。その結果、飲料ストローが飲料容器100の側壁72に当たらず、いわば飲料容器の中に起立するようになる。
【0077】
剛性のある飲料ストローとともに重り66を使用することは、例として
図14a及び14bに示されている。剛性のある飲料ストロー12は、倒れることなく飲料容器に保持される。
【0078】
図15a,15b及び15cに、2つの部分12a及び12bに分割可能な飲料ストロー12を示す。このために、2つのU字型要素12a,12bは、適当な舌/溝の接続点を介して相互に挿入され、長手方向に相互に対して移動する。
図15aないし15cによると、分割可能な飲料ストローは、一層簡単に清掃できるという利点がある。
【0079】
図16a,16b及び16cに示すように、2つの部分要素からなる飲料ストローの実施形態の代替として、飲料ストローはフィルムヒンジ(一体丁番、リビングヒンジ)74を有してよく、長手方向に舌/溝の接続点76を有してよい。その結果、飲料ストローを開放することができ、内部流れチャンネルを制限する壁が簡単に清掃できる。
【0080】
図17による実施形態では、芳香容器20が位置するテーパー部分(細幅にした部分)78を有する飲料ストロー12が図示されている。テーパー部分78は、芳香容器20の位置を飲料ストロー12の長手方向に固定する。さらに、飲むプロセスでベンチュリ効果が生じる。これは、最初に説明したように、空気出口開口40から、アロマ化された空気を吸い込み、芳香入口開口42を通って、芳香容器20から飲料ストロー12の内部流れチャンネル32へ吸い込む役割を果たす吸引効果が、細幅にした部分78に生じる。
【0081】
飲料ストローを囲む本質的にリング状の芳香容器は、フィルムヒンジを介して開放することができ、飲料ストロー12の細幅にした部分78の周りに取り付けることができる。これに代えて、細幅にした部分は、内部流れチャンネルの領域のみに配置してよく、外側の輪郭をそこで狭めないようにする。その結果、円形のリング状の断面を有する芳香容器は、長手方向に飲料ストローにスライドさせることができる。
【0082】
図18の実施形態は、
図17の実施形態と異なり、本発明の飲料容器100は、飲料装置10と一体に形成されている。内部流れチャンネル32は、飲料装置10が飲料容器100の固定コンポーネントとなるように、飲料装置の側壁72と飲料ストローの壁54との間に形成されている。
【0083】
飲料容器も蓋(図示せず)で緊密にシールされていれば、飲料容器は、飲料ストローから飲料液を漏らさずに、傾けることができる。
【0084】
飲料ストローと飲料容器とを一体的に構成した
図18による実施形態は、例として、
図17による飲料装置10の構成に基づいている。しかし、飲料容器100と一体的に構成された飲料装置10は、飲料装置10の先行する実施形態の多くでも実現可能であることは明らかである。さらに、全ての実施形態で、同様に提供可能なマウスピースの提供について同様である。
【0085】
フィルムヒンジによって2つのハーフシェルに開放可能であり、空気出口開口の領域に尖ったカニューレ状の部分を有し、飲料ストローの周りで閉鎖可能である、本質的にリング状の芳香容器が、図示しない構成により設けられる。これにより、カニューレ状の突出部分が飲料ストロー12の壁を貫通し、芳香室と飲料ストローの内部流れチャンネルとの間の流れ接続を生じる。この実施形態は、芳香容器が、調節可能な外径まで、従来の飲料ストローと一緒に使用できるという利点がある。芳香容器を閉じ、飲料ストローの外壁を貫通させることで、芳香室と飲料ストローの内部流れチャンネルとの流れ接続を生じるだけでなく、芳香容器を飲料ストローに対して相対的な位置に固定することができる。
【符号の説明】
【0086】
10 飲料装置
12 飲料ストロー
14 マウスピース
16 凹部
18 飲料ストローの飲む端部
20 芳香容器
22 円錐形の受け領域
24 結合部材
26 レセプタクル
28 マウスピースの飲む端部
30 マウスピースでのストップ
32 内部流れチャンネル
34 レセプタクルの外壁
36 レセプタクルの内壁
38 芳香チャンネル
40 空気出口開口
42 芳香入口開口
44 芳香室
46 キャリア物質
48 ヘッドスペース
50 空気入口開口
52 ストップ
54 飲料ストローの壁
56 芳香容器の壁
58 円錐形のシール部材
60 飲み口
62 弾性シール部材
64 所定の曲げ点
66 重り
68 支持面
70 底部
72 側壁
74 フィルムヒンジ
76 舌/溝の接続点
78 細幅にした部分
100 飲料容器
【国際調査報告】