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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-28
(54)【発明の名称】内視鏡用照明装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/06 20060101AFI20230821BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20230821BHJP
【FI】
A61B1/06 531
A61B1/00 C
A61B1/06 611
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023508077
(86)(22)【出願日】2021-12-13
(85)【翻訳文提出日】2023-02-06
(86)【国際出願番号】 IB2021061621
(87)【国際公開番号】W WO2022137005
(87)【国際公開日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】102020134332.9
(32)【優先日】2020-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000113263
【氏名又は名称】HOYA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】ランデス,ヘルマン
(72)【発明者】
【氏名】ヴィーバッハ,トーマス
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161CC06
4C161DD07
4C161FF40
4C161LL02
4C161QQ06
4C161QQ07
(57)【要約】
内視鏡先端部またはカプセル型内視鏡であって、シーンを照明するように構成された照明装置を備え、照明装置が、第1のスペクトル分布の光を放射するように構成された第1の光源と、第2のスペクトル分布の光を放射するように構成された第2の光源とを含み、
第1のスペクトル分布が、第2のスペクトル分布とは異なり、第1の光源と第2の光源との間のクリアランスが、第1の光源の寸法と第2の光源の寸法とのうちの寸法の2倍よりも小さく、第1の光源と第2の光源との間のクリアランスが、第1の光源上の点と第2の光源上の点とを結ぶ最短直線線分の長さを示す、内視鏡先端部またはカプセル型内視鏡が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡先端部またはカプセル型内視鏡であって、
シーンを照明するように構成された照明装置を備え、
前記照明装置が、光源のいくつかのグループを含み、
前記グループのそれぞれが、第1のスペクトル分布を有する光を放射するように構成されたそれぞれの第1の光源と、第2のスペクトル分布を有する光を放射するように構成されたそれぞれの第2の光源とを含み、
前記第1のスペクトル分布が、前記第2のスペクトル分布とは異なり、
各グループについて、且つ前記それぞれのグループの前記第1の光源、前記それぞれのグループの前記第2の光源、前記それぞれのグループに隣接するグループの前記第1の光源、および前記それぞれのグループに隣接するグループの前記第2の光源から選択された2つの光源AおよびBについて、前記光源AおよびBの間のクリアランスが、前記光源A上の点と前記光源B上の点とを結ぶ最短直線線分の長さを示し、
以下の条件、すなわち、
各グループについて、前記それぞれのグループの前記第1の光源と前記それぞれのグループの前記第2の光源との間の前記クリアランスが、前記それぞれのグループの前記第1の光源と前記それぞれのグループに隣接するグループの前記第1の光源との間のクリアランス以下である、および
各グループについて、前記それぞれのグループの前記第1の光源と前記それぞれのグループの前記第2の光源との間の前記クリアランスが、前記それぞれのグループの前記第2の光源と前記それぞれのグループに隣接するグループの前記第2の光源との間のクリアランスよりも小さい、
のうちの少なくとも1つが満たされる、
内視鏡先端部またはカプセル型内視鏡。
【請求項2】
各グループにおいて、前記それぞれのグループの前記第1の光源と前記それぞれのグループの前記第2の光源との間の前記クリアランスが同じである、請求項1に記載の内視鏡先端部またはカプセル型内視鏡。
【請求項3】
各グループにおいて、前記それぞれのグループの前記第1の光源の点と前記それぞれのグループの前記第2の光源の点との間の前記最短直線線分が、前記最短直線線分に垂直な前記それぞれのグループの前記第1の光源の寸法と前記最短直線線分に垂直な前記それぞれのグループの前記第2の光源の寸法とのうちの寸法の2倍よりも小さい、請求項1から2のいずれか一項に記載の内視鏡先端部またはカプセル型内視鏡。
【請求項4】
各グループについて、前記それぞれのグループの前記第1の光源のエッジおよび前記それぞれのグループの前記第2の光源のエッジが、前記最短直線線分に平行な線上にある、請求項1から3のいずれか一項に記載の内視鏡先端部またはカプセル型内視鏡。
【請求項5】
各グループについて、以下の条件、すなわち、
・前記それぞれのグループの前記第1の光源と前記それぞれのグループの前記第2の光源との間の前記クリアランスが、前記それぞれのグループの前記第1の光源と前記それぞれのグループに隣接するグループの前記第1の光源との間のクリアランスよりも少なくとも20%小さい、および
・前記それぞれのグループの前記第1の光源と前記それぞれのグループの前記第2の光源との間の前記クリアランスが、前記それぞれのグループの前記第2の光源と前記それぞれのグループに隣接するグループの前記第2の光源との間のクリアランスよりも少なくとも20%小さい、
のうちの少なくとも1つが満たされる、請求項1から4のいずれか一項に記載の内視鏡先端部またはカプセル型内視鏡。
【請求項6】
前記シーンを撮像するように構成された光学撮像装置をさらに備え、以下の条件、すなわち、
前記第1の光源が、前記光学撮像装置の周囲の第1の中心を有する第1の円線分上に配置されている、および
前記第2の光源が、前記光学撮像装置の周囲の第2の中心を有する第2の円線分上に配置されている、
のうちの少なくとも1つが満たされる、請求項1から5のいずれか1項に記載の内視鏡先端部またはカプセル型内視鏡。
【請求項7】
以下の条件、すなわち、
前記第1の光源が前記第1の円線分上に配置されている場合、各グループについて、前記それぞれのグループの前記第1の光源と前記それぞれのグループに隣接するグループの前記第1の光源との間の前記第1の円線分上の角度が、理想的な角度から20%以下だけ逸脱する、および
前記第2の光源が前記第2の円線分上に配置されている場合、各グループについて、前記それぞれのグループの前記第2の光源と前記それぞれのグループに隣接するグループの前記第2の光源との間の前記第2の円線分上の角度が、前記理想的な角度から20%以下だけ逸脱する、
のうちの少なくとも1つが満たされ、
前記理想的な角度が360°をグループの数によって割ったものである、
請求項6に記載の内視鏡先端部またはカプセル型内視鏡。
【請求項8】
以下の条件、すなわち、
前記第1の光源が前記第1の円線分上に配置されている場合、前記それぞれのグループの前記第1の光源からの発光の重心と前記それぞれのグループの前記第2の光源からの発光の重心とを結ぶ直線と、前記それぞれのグループの前記第1の中心から前記第1の光源までの半径との間の角度が、前記各グループにおいて同じである、および
前記第2の光源が前記第2の円線分上に配置されている場合、前記それぞれのグループの前記第1の光源からの発光の重心と前記それぞれのグループの前記第2の光源からの発光の重心とを結ぶ直線と、前記それぞれのグループの前記第2の中心から前記第2の光源までの半径との間の角度が、前記各グループにおいて同じである、
のうちの少なくとも1つが満たされる、請求項6または7のいずれか一項に記載の内視鏡先端部またはカプセル型内視鏡。
【請求項9】
前記第1の中心が前記第2の中心と等しい、請求項6から8のいずれか一項に記載の内視鏡先端部またはカプセル型内視鏡。
【請求項10】
以下の条件、すなわち、
前記光学撮像装置の平面視の中心が、前記第1の中心と等しい、および
前記光学撮像装置の平面視の中心が、前記第2の中心と等しい、
のうちの少なくとも1つが満たされる、請求項6から9のいずれか一項に記載の内視鏡先端部またはカプセル型内視鏡。
【請求項11】
以下の条件、すなわち、
・前記第1の光源のそれぞれが、発光ダイオードもしくはレーザダイオード、またはライトガイドの出射端である、および
・前記第2の光源のそれぞれが、発光ダイオードもしくはレーザダイオード、またはライトガイドの出射端である、
のうちの少なくとも1つが満たされる、請求項1から10のいずれか一項に記載の内視鏡先端部またはカプセル型内視鏡。
【請求項12】
以下の条件、すなわち、
各グループについて、前記それぞれのグループの前記第1の光源と前記それぞれのグループの前記第2の光源との間の前記クリアランスが、前記それぞれのグループの前記第1の光源と前記それぞれのグループに隣接するグループの前記第2の光源との間の前記クリアランス以下である、および
各グループについて、前記それぞれのグループの前記第1の光源と前記それぞれのグループの前記第2の光源との間の前記クリアランスが、前記それぞれのグループの前記第2の光源と前記それぞれのグループに隣接するグループの前記第1の光源との間の前記クリアランス以下である、
のうちの少なくとも1つが満たされる、請求項1から11のいずれか一項に記載の内視鏡先端部またはカプセル型内視鏡。
【請求項13】
各グループについて、前記それぞれのグループの前記第1の光源上の点と前記それぞれのグループの前記第2の光源上の点との間の前記最短直線線分が、前記それぞれのグループの前記第1の光源からの発光の重心と前記それぞれのグループの前記第2の光源からの発光の重心とを結ぶ直線線分に平行に延びる、
請求項1から12のいずれか一項に記載の内視鏡先端部またはカプセル型内視鏡。
【請求項14】
各グループについて、且つ前記それぞれのグループの前記第1の光源、前記それぞれのグループの前記第2の光源、前記それぞれのグループに隣接するグループの前記第1の光源、および前記それぞれのグループに隣接するグループの前記第2の光源から選択された2つの光源CおよびDのそれぞれについて、前記光源CおよびDの間の距離が、前記光源Cからの発光の重心と前記光源Dからの発光の重心とを結ぶ直線線分の長さを示し、以下の条件、すなわち、
各グループについて、前記それぞれのグループの前記第1の光源と前記それぞれのグループの前記第2の光源との間の距離が、前記それぞれのグループの前記第1の光源と前記それぞれのグループに隣接するグループの前記第1の光源との間の距離以下である、および
各グループについて、前記それぞれのグループの前記第1の光源と前記それぞれのグループの前記第2の光源との間の距離が、前記それぞれのグループの前記第2の光源と前記それぞれのグループに隣接するグループの前記第2の光源との間の距離以下である、
のうちの少なくとも1つが満たされる、
請求項1から13のいずれか一項に記載の内視鏡先端部またはカプセル型内視鏡。
【請求項15】
以下の条件、すなわち、
各グループについて、前記それぞれのグループの前記第1の光源と前記それぞれのグループの前記第2の光源との間の距離が、前記それぞれのグループの前記第1の光源と前記それぞれのグループに隣接するグループの前記第2の光源との間の距離以下である、および
各グループについて、前記それぞれのグループの前記第1の光源と前記それぞれのグループの前記第2の光源との間の距離が、前記それぞれのグループの前記第2の光源と前記それぞれのグループに隣接するグループの前記第1の光源との間の距離以下である、
のうちの少なくとも1つが満たされる、請求項1から14のいずれか一項に記載の内視鏡先端部またはカプセル型内視鏡。
【請求項16】
各グループにおいて、前記それぞれの第1の光源が、前記それぞれの第2の光源と並列に、または前記それぞれの第2の光源と直列に電気的に接続される、請求項1から15のいずれか一項に記載の内視鏡先端部またはカプセル型内視鏡。
【請求項17】
各グループにおいて、前記それぞれの第2の光源とともに前記それぞれの第1の光源をオンまたはオフに切り替えるように構成された制御ユニットをさらに備える、
請求項1から16のいずれか一項に記載の内視鏡先端部またはカプセル型内視鏡。
【請求項18】
内視鏡先端部またはカプセル型内視鏡であって、
シーンを照明するように構成された照明装置を備え、
前記照明装置が、第1のスペクトル分布の光を放射するように構成された第1の光源と、第2のスペクトル分布の光を放射するように構成された第2の光源とを含み、
前記第1のスペクトル分布が、前記第2のスペクトル分布とは異なり、
前記第1の光源と前記第2の光源との間のクリアランスが、前記第1の光源の寸法と前記第2の光源の寸法とのうちの寸法の2倍よりも小さく、
前記第1の光源と前記第2の光源との前記クリアランスが、前記第1の光源上の点と前記第2の光源上の点とを結ぶ最短直線線分の長さを示す、内視鏡先端部またはカプセル型内視鏡。
【請求項19】
前記第1の光源の寸法と前記第2の光源の寸法とのうちの寸法が、前記第1の光源上の点と前記第2の光源上の点とを結ぶ前記最短直線線分に対して垂直である、請求項18に記載の内視鏡先端部またはカプセル型内視鏡。
【請求項20】
前記第1の光源が、前記第2の光源と並列に、または前記第2の光源と直列に電気的に接続される、請求項18から19のいずれか一項に記載の内視鏡先端部またはカプセル型内視鏡。
【請求項21】
前記第2の光源とともに前記第1の光源をオンまたはオフに切り替えるように構成された制御ユニットをさらに備える、
請求項18から20のいずれか一項に記載の内視鏡先端部またはカプセル型内視鏡。
【請求項22】
前記第1の光源と前記第2の光源との間の距離が、前記第1の光源の寸法と前記第2の光源の寸法とのうちの寸法の2倍未満であり、
前記第1の光源と前記第2の光源との間の距離が、前記第1の光源からの発光の重心と前記第2の光源からの発光の重心とを結ぶ直線線分の長さを示す、
請求項18から21のいずれか一項に記載の内視鏡先端部またはカプセル型内視鏡。
【請求項23】
内視鏡であって、
請求項1から22のいずれか一項に記載の内視鏡先端部と、
前記内視鏡先端部に直接的または間接的に接続された剛性または可撓性のシャフトと、
を備える、内視鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばスペクトル照明のための内視鏡に使用されることができる照明装置に関する。例えば、異なるタイプのLEDによってスペクトル照明が生成されることができる。
【背景技術】
【0002】
異なる波長のLED照明は、内視鏡画像内の特定の構造の検出可能性を改善する。例えば、380nmから450nmの間の波長範囲の紫外光または紫色光(UV光とさらに呼ばれる)および650nm付近の波長範囲の緑色光によって照明することによって、血管の構造がよりよく認識されることができる(増強血管イメージング)。
【0003】
この目的のために、内視鏡先端部は、UV光および緑色光を放射することができる照明装置と、照明されたシーンの画像を表面上に撮像することができる撮像装置(対物レンズ)とを含む。
【発明の概要】
【0004】
内視鏡先端部またはカプセル型内視鏡であって、
シーンを照明するように構成された照明装置を備え、
照明装置が、光源のいくつかのグループを含み、
グループのそれぞれが、第1のスペクトル分布を有する光を放射するように構成されたそれぞれの第1の光源と、第2のスペクトル分布を有する光を放射するように構成されたそれぞれの第2の光源とを含み、
第1のスペクトル分布が、第2のスペクトル分布とは異なり、
各グループについて、且つそれぞれのグループの第1の光源、それぞれのグループの第2の光源、それぞれのグループに隣接するグループの第1の光源、およびそれぞれのグループに隣接するグループの第2の光源から選択された2つの光源AおよびBについて、光源AおよびBの間のクリアランスが、光源A上の点と光源B上の点とを結ぶ最短直線線分の長さを示し、
以下の条件、すなわち、
各グループについて、それぞれのグループの第1の光源とそれぞれのグループの第2の光源との間のクリアランスが、それぞれのグループの第1の光源とそれぞれのグループに隣接するグループの第1の光源との間のクリアランス以下である、および
各グループについて、それぞれのグループの第1の光源とそれぞれのグループの第2の光源との間のクリアランスが、それぞれのグループの第2の光源とそれぞれのグループに隣接するグループの第2の光源との間のクリアランスよりも小さい、
のうちの少なくとも1つが満たされる、
内視鏡先端部またはカプセル型内視鏡が提供される。
【0005】
内視鏡先端部またはカプセル型内視鏡であって、
シーンを照明するように構成された照明装置を備え、
照明装置が、第1のスペクトル分布の光を放射するように構成された第1の光源と、第2のスペクトル分布の光を放射するように構成された第2の光源とを含み、
第1のスペクトル分布が、第2のスペクトル分布とは異なり、
第1の光源と第2の光源との間のクリアランスが、第1の光源の寸法と第2の光源の寸法とのうちの寸法の2倍よりも小さく、
第1の光源と第2の光源との間のクリアランスが、第1の光源上の点と第2の光源上の点とを結ぶ最短直線線分の長さを示す、内視鏡先端部またはカプセル型内視鏡がさらに提供される。
【0006】
これらの内視鏡先端部またはカプセル型内視鏡は、最適な混色および混合光によるシーンの均一な照明を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明のいくつかの実施形態にかかる、同じサイズの2つのLEDが内視鏡先端部にどのように配置されるかを示している。
図2】本発明のいくつかの実施形態にかかる、異なるサイズの2つのLEDが内視鏡先端部にどのように配置されるかを示している。
図3】本発明のいくつかの実施形態にかかる、内視鏡先端部にLEDを配置することによって近距離での混色がどのように改善されるかを示している。
図4】本発明のいくつかの実施形態にかかる、内視鏡先端部に使用されることができる照明装置を示している。
図5】本発明のいくつかの実施形態にかかる、図4の照明装置を含む内視鏡先端部の平面図を示している。
図6図5の内視鏡先端部の平面図における照明装置に利用可能な空間を示している。
図7図5の内視鏡先端部の平面図における照明装置に利用可能な空間の寸法を示している。
図8】本発明のいくつかの実施形態にかかる、それぞれが2つの異なる光源を有する2つのグループの異なる配置可能性を示している。
図9】本発明のいくつかの実施形態にかかる、それぞれが2つの異なる光源を有する2つのグループの異なる配置可能性を示している。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明のいくつかの実施形態を、添付の図面を参照して説明する。しかしながら、これらの実施形態は限定的ではない。
【0009】
本発明は、内視鏡先端部に関する。内視鏡先端部は、単独で使用されてもよく(いわゆるカプセル型内視鏡)、または内視鏡の一部であってもよい。後者の場合、内視鏡はまた、剛性シャフト(パイプ)または可撓性シャフト(チューブ)を有する。内視鏡先端部の近位端は、シャフトの遠位端に接続される。いくつかの実施形態では、内視鏡先端部がシャフトに間接的にのみ接続されるように、シャフトの遠位端と内視鏡先端部の近位端との間に角度セグメントが配置される。他の実施形態では、内視鏡先端部は、シャフトに直接接続される。
【0010】
内視鏡先端部または内視鏡は、腔(例えば、人体の腔)への挿入に適することができる。内視鏡は、例えば、気管支鏡、喉頭鏡、または結腸鏡であってもよい。
【0011】
内視鏡先端部は、照明装置を有する。照明装置は、内視鏡先端部、特に内視鏡先端部の遠位端の前におよび/または隣接して位置するシーンを照明するのに役立つ。したがって、照明装置は、内視鏡先端部の遠位端またはその近くに配置される。照明は、内視鏡先端部に配置された撮像装置が、観察されることができる表面上にシーンを撮像することを可能にするように機能することができる。表面は、内視鏡先端部の内側であっても外側であってもよく、例えば、撮像素子が取り付けられていてもよい。しかしながら、照明はまた、例えば光免疫療法において治療的とすることができる。この場合、シーンは、同じ内視鏡先端部内の撮像装置または第2の内視鏡内の撮像装置のいずれかによって撮像および観察されることができる。
【0012】
特に、本発明は、広角レンズを有する内視鏡に適用されることができる。例えば、広角レンズは、180°以上、好ましくは220°以上、さらに好ましくは230°以上の画角(視野)を有することができる。
【0013】
照明装置は、第1の光源および第2の光源を含む。第1の光源は、第1のスペクトル分布を有する光を放射するように構成される。第2の光源は、第2のスペクトル分布を有する光を放射するように構成される。第1のスペクトル分布は、第2のスペクトル分布とは異なる。第1および第2のスペクトル分布のピーク波長は特に限定されない。これらのそれぞれは、例えば、可視範囲(約400nmから800nm)、紫外範囲(<400nm)、または赤外範囲(>800nm)とすることができる。
【0014】
光源は、典型的にはLEDである。しかしながら、それらはレーザダイオードであってもよい。さらにまた、それらは、それらの入力端に対応する発光素子(例えば、レーザ)を有するライトガイドの発光端とすることができ、本出願における幾何学的考慮事項については、ライトガイドからの発光端が光源であると見なされる。後者の場合、発光素子は、内視鏡の近位端に配置されてもよく、または内視鏡先端部の近位端に配置されてもよい。しかしながら、それらはまた、内視鏡の外側に配置されてもよく、ライトガイドは、発光素子から内視鏡の近位端に、そしてそこから内視鏡の遠位端にまたは遠位端の近くに光を伝送して、シーンが照明される。
【0015】
いくつかの実施形態(例えば、増強血管イメージングのために)では、シーンが双方の光源によって大きな色差なしに均一に照明されることが特に望ましい。そのような実施形態では、例えば、第1および第2の光源は、それらが常に同時にオンまたはオフに切り替えられるように、電気的に並列または直列に接続されてもよい。しかしながら、内視鏡先端部または内視鏡はまた、第1の光源を第2の光源とともに、場合によっては第2の光源とは別個に制御することができる制御装置を備えてもよい。制御することは、少なくともオンおよびオフを切り替えることを意味するが、光の強度または光の色を制御することも含むことができる。
【0016】
従来、第1および第2の光源は、可能な限り容易に組み立てることができるように、互いに十分なクリアランスを有して配置されている。しかしながら、本発明のいくつかの実施形態によれば、第1および第2の光源は、好ましくは互いに近接して配置される。特に、それらは、互いのクリアランスが、それらのクリアランスに垂直な光源の寸法のうちの寸法の2倍よりも小さくなるように配置されることが好ましい。光源Aと光源Bとのクリアランスは、光源A上の点と光源B上の点との間に存在する最短直線線分の長さを示す。
【0017】
「光源の寸法」という用語は、所与の方向について、所与の方向に平行な光源の最長寸法を意味する。正方形光源の場合、光源の寸法の最短寸法は、正方形のエッジ長さであり、光源の寸法の最長寸法は、正方形の対角線である。長方形光源の場合、光源の寸法の最短寸法は、長方形の短い方のエッジ長さであり、光源の寸法の最長寸法は、長方形の対角線である。円形光源の場合、光源の寸法の最短寸法および最長寸法は、光源の直径である。楕円形状の光源の場合、光源の寸法の最短寸法は、楕円の短軸の長さであり、光源の寸法の最長寸法は、楕円の長軸である。
【0018】
その2倍が光源のクリアランス以上である寸法は、例えば、クリアランスを画定する直線線分に垂直な2つの光源の寸法のうちの最小の寸法、クリアランスを画定する直線線分に垂直な2つの光源の寸法のうちの最大の寸法、またはクリアランスを画定する直線線分に垂直な2つの寸法のうちの最小の寸法と最大の寸法との平均であってもよい。
【0019】
関連する寸法が2つの光源の寸法のうち最も小さい場合の正方形光源の例(図1)および長方形光源の例(図2)について、第1の光源および第2の光源の好ましい配置が図1および図2に示されている。図1において、エッジ長Aの2つの正方形のLED1(第1の光源)およびLED2(第2の光源)は、それらのクリアランスZが≦2*Aとなるように配置されている。図2は、本発明のいくつかの実施形態にかかる内視鏡先端部において、エッジ長さDおよびCを有する長方形LED2がエッジ長さAを有する正方形LED1に対して配置されることができる2つの方法を示しており、ここではD<A<Cが適用される。正方形LED1上の点と長方形LED2上の点との間の最短直線線分(すなわち、それらのクリアランス)がLED2の長手方向(図2の左)にあるとき、LED間のクリアランスZは、Dが最短直線線分に垂直なより小さい寸法であるため、Z≦2*Dである。正方形LED1上の点と長方形LED2上の点との間の最短直線線分(すなわち、それらのクリアランス)がLED2の短手方向(図2の右)にあるとき、LED間のクリアランスZは、Aが最短直線線分に垂直なより小さい寸法であるため、Z≦2*Aである。
【0020】
さらに、光源間の距離は、特に短く、例えば、光源の寸法の3倍または2倍未満であることが好ましいことがあり、寸法は、上記定義したとおりとすることができる。距離は、2つの光源の発光の重心を結ぶ直線線分の長さを示す。一般に、発光の重心は、発光面の幾何学的中心に対応する。発光の重心がパラメータ(例えば、電圧または温度)に応じて変化する場合、発光の重心は、それぞれの光源の最大発光において選択される。
【0021】
好ましくは、クリアランスを決定する直線線分は、距離を決定する直線線分と平行である。したがって、他の幾何学的制約がそれに異を示さない場合、第1および第2のLEDを含むグループの特にコンパクトな形態が達成されることができる。この特徴は、図2の例(左)では満たされるが、図2の例(右)では満たされない。その代わりに、図2(右)の例では、LED1および2の下エッジが一列に並んでいるため、この第1および第2のLEDのグループの下エッジ長(最短直線線分に平行なエッジ長)が最小化される。
【0022】
上記の不等式における係数2の代わりに、この係数は、好ましくは1.5または1のみとすることができる。
【0023】
クリアランスの下限は、(例えば、回路基板上にそれらをはんだ付けする)2つのLEDの実装可能性によって設定される。例えば、クリアランスZは、クリアランスを画定する直線線分に垂直な光源の寸法のうちの最短寸法の0.3倍よりも大きくてもよく、0.5倍よりも大きくてもよい。
【0024】
図3は、2つのLED間の距離またはクリアランスが小さいほど、LEDによって放射される2つの光のスペクトルオーバーラップが良好であることを示している。これは、近距離において特に関連する。照明されたシーンの距離が大きくなると、光源の互いの距離またはクリアランスの関連性が小さくなる。
【0025】
本発明のいくつかの実施形態では、照明装置は、光源の複数のグループを有する。各グループには、上述した第1および第2の光源に対応する少なくとも第1の光源および第2の光源がある。従来、これらの光源は、互いのクリアランスが略等しくなるように取り付けられている。これは、取り付け(例えば、回路基板上のはんだ付け)を容易にする。
【0026】
しかしながら、本発明のいくつかの実施形態によれば、各グループについて、グループの第1の光源と第2の光源との間のクリアランスは、それぞれのグループの第1の光源または第2の光源と隣接するグループの対応する光源との間のクリアランスよりも小さい。例えば、それは、それぞれのグループの第1または第2の光源と隣接するグループの対応する光源との間のクリアランスよりも少なくとも20%、より好ましくは少なくとも40%、さらにより好ましくは少なくとも60%小さい。各グループ内で、第1および第2の光源は、好ましくは、単一の第1の光源および単一の第2の光源の場合について上述した最大クリアランス以下のクリアランスを有する。
【0027】
隣接するグループの第1の光源間のクリアランスは、隣接するグループの第2の光源間のクリアランスと等しくても等しくなくてもよい。クリアランスが等しくない場合、グループ内の第1および第2の光源間のクリアランスは、グループの対応する光源間の2つのクリアランスのうちの大きい方よりも小さければ十分であるが、グループの対応する光源間の双方よりも小さいことが好ましい。
【0028】
したがって、各グループの第1および第2の光源のクリアランスは、一方のグループの第1の光源と隣接するグループの第2の(すなわち、他方)光源とのクリアランスよりも小さいことが好ましい。好ましくは、1つのグループの第2の光源と隣接するグループの第1の(すなわち、他方)光源との間のクリアランスについても同様である。
【0029】
好ましい実施形態では、同じグループの光源と隣接するグループの光源との間のクリアランスについての上記の考慮事項は、同じグループの光源と隣接するグループの光源との間のクリアランスに準用される。
【0030】
グループは、線に沿って配置されてもよく、線は、直線または曲線(例えば、円線分)であってもよい。線は、円、楕円、または多角形(三角形、正方形、長方形、...)に閉じられることができる。例えば、閉じた形状が円である場合、各グループについて第1の光源(または第2の光源)のみが円上に配置されていれば十分であるが、いくつかの実施形態では、第1の光源および第2の光源の双方が円上に配置されてもよい。好ましくは、2つの円(または円線分)は、共通の中心を有する。好ましくは、円(または円線分)は、撮像装置の周りに配置される。2つの円はまた、一致していてもよい。好ましくは、隣接するグループの対応する光源間のクリアランスは、全てのグループについて同じであるが、様々な隣接するグループについて異なってもよい。
【0031】
好ましくは、第1の光源と第2の光源との間のクリアランスは、各グループにおいて同じである。さらに好ましくは、第1および第2の光源は、各グループに均等に配置される。例えば、第1の光源が円上に配置される場合、それぞれのグループの第1の光源とそれぞれのグループの第2の光源とを結ぶ最短直線線分と、円の中心からそれぞれのグループの第1の光源までの半径との間の角度は、各グループについて好ましくは同じであるべきである。さらにまた、好ましくは、この直線線分は、各グループについて同じ長さであるべきである。
【0032】
このような配置は、光源(例えば、LED)の取り付け(例えば、はんだ付け)をより困難にする。しかしながら、混色は改善される。
【0033】
図4に示す実施形態では、グループの第1の光源および第2の光源の双方は、撮像装置(対物レンズ)の周りの円(または円線分)上に配置される。円は、典型的には、撮像装置の光軸と同心である。この実施形態では、それぞれが青色(またはUV)LED(「B」;長方形)および緑色LED(「G」;正方形)を含む4つのグループが配置されている。さらに、8つの白色LED(「W」;正方形)も円上に設置され、シーンが白色光によって照明されることを可能にする。エッジ長は、典型的には、0.1mmから0.9mmの範囲とすることができる。
【0034】
好ましくは、青色LEDおよび緑色LEDのグループと白色LEDのグループとの双方は、互いに等しい角度距離で設置されるべきである(すなわち、隣接するグループまたはLEDの対応する位置は、円上に対応する角度距離を有するべきである)。そのような理想的な角度は、360°/(グループまたはLEDの数)、すなわち、4つのグループについては90°、8つの白色LEDについては45°として計算される。次いで、内視鏡先端部の遠位端のキャップ形状によってさらなる不均一性が生じない限り、シーンの対応する照明は特に均一である。
【0035】
しかしながら、この理想的な角度を維持することができるとは限らない。図5は、図4の照明装置を備える内視鏡先端部の平面図を示している。図5から分かるように、作業チャネルの出口開口部は、対物レンズのすぐ近くに位置し、したがって、この領域にはLEDが取り付けられることができない。照明装置に利用可能な空間が図6に示されている。この例の照明装置に利用可能な空間の実際の寸法が図7に示されている。
【0036】
作業チャネルが占める空間のために、また、1つの青色LEDおよび1つの緑色LEDのグループのそれぞれだけでなく、白色LEDも可能な限り均一に対物レンズの周りに配置するために、1つの青色LEDおよび1つの緑色LEDならびに1つの白色LEDを有するグループは、理想的な位置から僅かにずれている。所与の例では、一方のグループの角度偏差は5.4°(90°の6%)であり、一方の白色LEDについては7.2°(45°の16%)である。一般に、シーンの均一な照明を達成するために、偏差は理想的な角度の20%を超えてはならず、好ましくは15%を超えてはならず、さらにより好ましくは10%を超えてはならない。
【0037】
上記のLED、内視鏡先端部、作業チャネルなどの寸法は例にすぎず、限定的に解釈されるべきではない。
【0038】
他の実施形態では、内視鏡は、2つ以上の作業チャネルを含んでもよく、LEDまたはLEDグループは、それに応じて理想的な位置からずれている。いくつかの実施形態では、1つ以上の作業チャネルはまた、LEDグループがそれらの理想的な位置にあるように配置されてもよい。
【0039】
図8および図9は、本発明のいくつかの実施形態にかかる、それぞれが2つの異なる光源(例えば、LED)1および2を有する2つの隣接するグループAおよびBのいくつかの配置可能性を示している。図8では、2つの光源は、同じ長方形形状およびサイズを有する。図9では、それらは異なるサイズを有する。これらの配置可能性は網羅的ではない。さらにまた、一般に、光源の形状は長方形に限定されず、長方形の場合、辺の長さの比は任意である(1の比(正方形)を含む)。さらにまた、図面は必ずしも縮尺どおりではない。90°の倍数とは異なる角度は、例としてのみ示されている。それらは所望に応じて変えられることができる。
【0040】
図8および図9に示す例の全てにおいて、各グループについて、一方のグループの第1の光源と一方のグループの第2の光源との間のクリアランスは、一方のグループの第1の(または第2の)光源と他方のグループの第1の(または第2の)光源との間のクリアランス以下である。図8a、b、d、e、f、g、h、j、kおよび図9a、cの構成では、したがって、この条件は、1つのグループの双方の光源についても満たされる。
【0041】
図8a、b、e、g、i、j、kおよび図9a、b、c、dの構成(詳細に応じて、図8c、d、f、hの構成においても同様である)では、一方のグループの第1の光源と一方のグループの第2の光源との間のクリアランスは、一方のグループの第1の光源(または第2の光源)と他方のグループの第2の光源(または第1の光源)との間のクリアランス以下である。図8a、e、g、i、j、kおよび図9dの構成(詳細に応じて、図8b、c、d、f、h;図9a、bの構成においても同様である)では、したがって、この条件は、1つのグループの双方の光源についても満たされる。
【0042】
図8a、b、c、d、f、g、h、i、jおよび図9a、b、dの構成(詳細に応じて、図8k;図9cの構成においても同様である)では、一方のグループの第1の光源と一方のグループの第2の光源との間の距離は、一方のグループの第1の光源(または第2の光源)と他方のグループの第1の光源(または第2の光源)との間の距離以下である。図8a、b、c、d、f、h、j、および図9aの構成(詳細に応じて、図8g、i、k、図9cの構成においても同様である)では、したがって、この条件は、1つのグループの双方の光源についても満たされる。
【0043】
図8a、b、d、e、g、i、j、kおよび図9b、c、dの構成(詳細に応じて、図8c、f、hおよび図9aの構成においても同様である)では、一方のグループの第1の光源と一方のグループの第2の光源との間の距離は、一方のグループの第1の光源(または第2の光源)と他方のグループの第2の光源(または第1の光源)との間の距離以下である。図8a、b、e、g、i、j、kおよび図9b、d(詳細に応じて、図8c、f、hおよび図9a、cの構成においても同様である)の構成では、したがって、この条件は、1つのグループの双方の光源についても満たされる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8-1】
図8-2】
図8-3】
図9a)】
図9b)】
図9c)】
図9d)】
【国際調査報告】