(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-29
(54)【発明の名称】階層マッピングに基づくCephストレージシステムの自動均等化ストレージ方法
(51)【国際特許分類】
G06F 16/13 20190101AFI20230822BHJP
G06F 13/10 20060101ALI20230822BHJP
G06F 3/06 20060101ALI20230822BHJP
G06F 9/50 20060101ALI20230822BHJP
H04L 67/1097 20220101ALI20230822BHJP
G06F 16/182 20190101ALI20230822BHJP
【FI】
G06F16/13 100
G06F13/10 340A
G06F3/06 301X
G06F3/06 304N
G06F9/50 150D
H04L67/1097
G06F16/13
G06F16/182
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023503089
(86)(22)【出願日】2021-05-17
(85)【翻訳文提出日】2023-02-15
(86)【国際出願番号】 CN2021094042
(87)【国際公開番号】W WO2022028033
(87)【国際公開日】2022-02-10
(31)【優先権主張番号】202010763358.5
(32)【優先日】2020-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520208111
【氏名又は名称】▲広▼西大学
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】陳寧江
(72)【発明者】
【氏名】盧▲イュ▼
(57)【要約】
本発明は階層マッピングに基づくCephストレージシステムの自動均等化ストレージ方法を開示する。本発明の階層マッピングに基づくCephストレージシステムの自動均等化ストレージ方法は、ストレージクラスタの全てのOSD(Object Storage Device、オブジェクトストレージデバイス)に1つのレベル属性を追加し、レベルに応じて複数のレベルのサブストレージプールに分割するとともに、OSDレベルを基礎としてPG (Placement Group、プレイスメントグループ)に1つのレベル属性を追加し、PGは同一レベルのOSDサブストレージプールでOSD組み合わせを探してストレージし、また、ランダム因子及び影響因子を加えてPGによるOSDの選択の過程を指導し、総ストレージプールにおいてシングルノードOSDに使用率の高すぎが発生した場合、PGがあるストレージプールと他のストレージプールの使用率情報に基づいてPG移行の方向を確定し、また、PGレベル、ランダム因子及び影響因子組み合わせに基づいて、移行均等化調整を行うことを含む。本発明は、Cephストレージシステムにおける使用率が高すぎるOSDが内部のPGを合理的に移行でき、それによりシステムストレージの均等化を保証し、システムの安定性を向上させることを実現できる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
階層マッピングに基づくCephストレージシステムの自動均等化ストレージ方法であって、実施ステップは、
PGとOSDに新たな階層属性を与え、同一レベルのOSD集合論理でストレージプール全体を複数のサブストレージプールに分割し、PG階層とOSD階層を一対一に対応させ、PGを同一レベルのOSDストレージプールではなければ選択を行うことができないようにし、階層の変化に応じてPGに自由に移行できる能力を与えるとともに、Cephストレージシステムの既存のCRUSHアルゴリズムの新たなパラメータとしてランダム因子を加え、新たなOSD組み合わせの選択結果を指導し、PGに移行のより多くの選択を与えるステップ(1)と、
データを挿入する時に、単一のOSDの使用率とシステムの平均使用率との差を取得し、事前に設定された閾値と、閾値を超えるか否かについて比較し、閾値を超える場合、ステップ(3)に移行して均等化ストレージポリシーをトリガし、閾値を超えない場合、データを正常に挿入するステップ(2)と、
当該OSD内のPGの大きさに基づいてソートするキューを取得し、そのうち大きさが中央値にあるPGを選択して分析し、このPGが位置するOSDサブストレージプールと隣接するレベルのサブストレージプールの使用率で大きさをソートし、使用率レベルの最も低いサブストレージプールのレベルをPGの新たなレベルとするとともに、この新たなレベルの配置に基づいて、レベルをシードとして複数の乱数を生成して複数のランダム因子を生成し、ランダム因子をCRUSHアルゴリズムのパラメータとし、OSD組み合わせの選択結果を干渉し、複数の異なるOSD組み合わせを生成してデータをストレージさせるために用いられ、ランダム因子によって生成されたOSD組み合わせによるシステムの均等性への影響に基づいて対応する影響因子を生成し、最後に影響因子のソートに基づいて、影響因子が最も小さく、すなわちシステムの均等性への影響が最も小さいレベルを選択して影響因子と組み合わせ、PGに新たなグループ化属性を付与するステップ(3)と、を含む、ことを特徴とする階層マッピングに基づくCephストレージシステムの自動均等化ストレージ方法。
【請求項2】
ステップ(1)において、OSDの階層属性を初期化する場合、手動で初期化を行う、ことを特徴とする請求項1に記載の階層マッピングに基づくCephストレージシステムの自動均等化ストレージ方法。
【請求項3】
ステップ(1)において、PGの階層属性を初期化する場合、コンシステントハッシュアルゴリズムに基づいてPGを各ストレージプールに均一に分布し、PGの大きさが予測できないため、初期に数量に基づいて比較的平均的な分布を行うことにより、システムを使い始めたばかりに大量の均等化移行が伴うことを回避する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の階層マッピングに基づくCephストレージシステムの自動均等化ストレージ方法。
【請求項4】
ステップ(1)においてランダム因子はCRUSHアルゴリズムの出力結果を指導するために用いられ、それは元のCRUSHアルゴリズムの選択過程を、
に変更する機能をし、
上式において、R
i<OSD>は選択されたi番目のOSD組み合わせであり、CRUSHアルゴリズムを呼び出す入力パラメータはPGIDとr
iであり、PGIDはPGの唯一の識別子であり、r
iはランダム因子である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の階層マッピングに基づくCephストレージシステムの自動均等化ストレージ方法。
【請求項5】
ステップ(2)において均等化ポリシーのトリガを生成する過程はデータを挿入する時、すなわちCRUSHアルゴリズムを行う過程において判断とトリガを行い、実現のためにグローバルの監視を導入することを必要とする、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の階層マッピングに基づくCephストレージシステムの自動均等化ストレージ方法。
【請求項6】
ステップ(3)において、影響因子はPG移行前の目標サブストレージプールの均等化ストレージ状況、及びPGがこの新たなレベル及び新たな影響因子に従って移行した後の目標サブストレージプールの均等化ストレージ状況を評価する機能をし、具体的には、
1つのサブストレージプールの均等化ストレージ状況に対して、その量子化の式は、
であり、
ここで、Mは当該サブストレージプールの平均使用率であり、x
jは当該サブストレージプールにおける各OSDの使用率であり、nはサブストレージプールにおけるOSDの数であり、
あるPGのある回の移行前のβ
r値と移行後のβ
j値を用い、このPGによる今回の移行におけるシステムのストレージ均等化値に対する影響因子を得ることができ、
ここで、あるグループの使用率はPG移行後にそのうち1つが1を超えると、このグループの影響因子は-1であり、それにより今回のPGの移行が新たなOSDの過負荷又は完全な利用不能を引き起こさないことを保証する、ことを特徴とする請求項2に記載の階層マッピングに基づくCephストレージシステムの自動均等化ストレージ方法。
【請求項7】
ステップ(1)はストレージシステムにおけるハードウェアの計画及びサブストレージプールの配置をさらに含み、具体的には、
従来のストレージデバイスを分類し、整理し、新たに分割されたサブストレージプールの大きさが合理的であることを確保し、PGのレベル割り当てのランダム性、PGのデータ書き込みのランダム性及び各ストレージプールの間の比較に使用率が参考として使用され、各サブストレージプールの大きさが近接し、
各サブストレージプールに対して配置を行い、各サブストレージプールは自体の閾値、ランダム因子の数を有することができる、ことを特徴とする請求項1に記載の階層マッピングに基づくCephストレージシステムの自動均等化ストレージ方法。
【請求項8】
ステップ(3)が完了した後、適切な移行オブジェクトがなければ、ソートしたキューから当該PGを取り除き、ステップ(2)にジャンプする、ことを特徴とする請求項1に記載の階層マッピングに基づくCephストレージシステムの自動均等化ストレージ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は分散ストレージ技術分野に属し、より具体的には、階層マッピングに基づくCephストレージシステムの自動均等化ストレージ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
Cephストレージシステムはオブジェクトストレージシステム(Object-Based Storage System、OBSS)であるが、従来のOBSSとは異なり、CephストレージシステムはストライピングオブジェクトストレージのOSD(Object Storage Device、オブジェクトストレージデバイス)位置を記録するための独立したメタデータサーバを有せず、CRUSH(Controlled Replication Under Scalable Hashing、スケーラブルハッシング下でのコントロールドレプリケーション)アルゴリズムを用いてオブジェクトとオブジェクトのコピーバックアップのストレージ位置を確定する。データを再び検索し又はデータを修正する必要がある場合、データの読み書きアドレス指定過程は各OSDで独立して完了することができ、シングルノードのボトルネックが存在しない。このようなスケジューリング方式は、手作業ではなくソフトウェアに依存し、装置を交換又は追加するときに、ソフトウェアはオブジェクトのストレージ位置を自発的に計算することができ、データ回復及び容量拡張時の均等化を実現し、この過程は手作業による介入を必要としない。Cephの既存のCRUSHアルゴリズムは入力されたPG(Placement Group、プレイスメントグループ)により対応するハッシュHash演算を行い、1つのストレージマスターノードと複数のコピーノードを選択する機能をし、そのため、PGが変化しない場合、選択されるOSD組み合わせも変化せず、読み書きの初期アドレス指定機能を完成し、また、そのうちのOSDが変化すれば、他のノードからデータの回復を自発的に行うことができる。ストレージサービスリクエストは同じ大きさの小さいオブジェクトに分割され、小さいオブジェクトが集合して生成された論理グループPGは予め設定されたOSD重みに基づいてそれぞれのOSDに均等に割り当てることができ、それによりシステム及びメンテナンス作業者はOSDの状況を考慮する必要がない。しかし、OSD自体の相違性は完全に重みによって正確に反映することができず、重みは確率的選択問題だけであり、特定の割合ではなく、また、PGが全体的で均等に各OSD上に割り当てられる場合、各OSD上のPGデータが一致するとするが、PGの相違性が考慮されず、PGはオブジェクトの論理集合である(データエンティティではない)が、データの移行及びストレージの選択単位はPGを最小単位とし、オブジェクトのPGへのマッピングはHash演算により余りを求める結果であり、そのため、各PG上にマッピングされたオブジェクトが一致するわけではなく、PGの大きさも一致しない。また、ストレージ割り当てが不均等であると、シングルノードの使用過負荷を引き起こし、ストレージシステム全体を利用不能状態にさせることとなる。
【0003】
Cephのストレージ選択及びマッピング過程は従来使用されているMDS(MetaData Server、メタデータサーバ)のストレージシステムと同じではないため、従来の重みに基づく調整手段は移行の数及び移行の方向を正確に制御することができないとともに、今回の調整がデータのアバランチ(1つの過負荷になったOSDのデータ移行を調整すると、より多くのOSDの過負荷を引き起こすこととなる)を引き起こすか否かを予測することもできない。したがって、新たなCeph自動均等化ストレージ方法が必要となり、PGを使用する実際の状況に応じてリアルタイムのデータ移行を行うことができ、移行しながら、今回の移行がシステムのシングルノード使用率の均等化に対して良好な作用を有することを保証することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術の上記問題に対して、階層マッピングに基づくCephストレージシステムの自動均等化ストレージ方法が提供され、本発明はCephストレージシステムに基づく分散作業タスクの環境におけるストレージの自動均等化を実現することができ、高負荷のシングルノードの自律的均等化調整を可能にし、データの移行方向及び移行の数を正確に制御し、それによりシステムの安定性を保証する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記技術的課題を解決するために、本発明が採用する技術的解決手段は、
階層マッピングに基づくCephストレージシステムの自動均等化ストレージ方法であって、実施ステップは、
PGとOSDに新たな階層属性を与え、同一レベルのOSD集合論理でストレージプール全体を複数のサブストレージプールに分割し、PG階層とOSD階層を一対一に対応させ、PGを同一レベルのOSDストレージプールではなければ選択を行うことができないようにし、階層の変化に応じてPGに自由に移行できる能力を与えるとともに、Cephストレージシステムの既存のCRUSHアルゴリズムの新たなパラメータとしてランダム因子を加え、新たなOSD組み合わせの選択結果を指導し、PGに移行のより多くの選択を与えるステップ(1)と、
データを挿入する時に、単一のOSDの使用率とシステムの平均使用率との差を取得し、事前に設定された閾値と、閾値を超えるか否かについて比較し、閾値を超える場合、ステップ(3)に移行して均等化ストレージポリシーをトリガし、閾値を超えない場合、データを正常に挿入するステップ(2)と、
当該OSD内のPGの大きさに基づいてソートするキューを取得し、そのうち大きさが中央値にあるPGを選択して分析し、このPGが位置するOSDサブストレージプールと隣接するレベルのサブストレージプールの使用率で大きさをソートし、使用率レベルの最も低いサブストレージプールのレベルをPGの新たなレベルとするとともに、この新たなレベルの配置に基づいて、レベルをシードとして複数の乱数を生成して複数のランダム因子を生成し、ランダム因子をCRUSHアルゴリズムのパラメータとし、OSD組み合わせの選択結果を干渉し、複数の異なるOSD組み合わせを生成してデータをストレージさせるために用いられ、ランダム因子によって生成されたOSD組み合わせによるシステムの均等性への影響に基づいて対応する影響因子を生成し、最後に影響因子のソートに基づいて、影響因子が最も小さく、すなわちシステムの均等性への影響が最も小さいレベルを選択して影響因子と組み合わせ、PGに新たなグループ化属性を付与するステップ(3)と、を含む階層マッピングに基づくCephストレージシステムの自動均等化ストレージ方法である。
【0006】
ステップ(1)の初期化過程において、主な初期化ステップは、OSDの階層属性を初期化する場合、手動で初期化を行い、PGの階層属性を初期化する場合、コンシステントハッシュアルゴリズムに基づいてPGを各ストレージプールに均一に分布することを含み、PGの大きさが予測できないため、初期に数量に基づいて比較的平均的な分布を行うことにより、システムを使い始めたばかりに大量の均等化移行が伴うことを回避する。任意選択的に、コンシステントhashアルゴリズムを使用してPGレベルを初期化してもよい。
【0007】
ステップ(1)においてランダム因子はCRUSHアルゴリズムの出力結果を指導するために用いられ、それは元のCRUSHアルゴリズムの選択過程を、
に変更する機能をし、
上式において、R
i<OSD>は選択されたi番目のOSD組み合わせであり、CRUSHアルゴリズムを呼び出す入力パラメータはPGIDとr
iであり、PGIDはPGの唯一の識別子であり、r
iはランダム因子である。このアルゴリズムに基づいて、ステップ(3)において複数グループのOSD組み合わせを生成することができ、そのうちから最適で、システムの均等性に対する影響が最も小さいOSD組み合わせを選択する。
【0008】
ステップ(2)において均等化ポリシーのトリガを生成する過程はデータを挿入する時、すなわちCRUSHアルゴリズムを行う過程において判断とトリガを行い、実現のためにグローバルの監視を導入することを必要とする。
【0009】
ステップ(3)において、影響因子はPG移行前の目標サブストレージプールの均等化ストレージ状況、及びPGがこの新たなレベル及び新たな影響因子に従って移行した後の目標サブストレージプールの均等化ストレージ状況を評価する機能をし、1つのサブストレージプールの均等化ストレージ状況に対して、その量子化の式は、
であり、
上式において、Mは当該サブストレージプールの平均使用率であり、x
jは当該サブストレージプールにおける各OSDの使用率であり、nはサブストレージプールにおけるOSDの数である。
【0010】
あるPGのある回の移行前のβ
r値と移行後のβ
j値を用い、このPGによる今回の移行におけるシステムのストレージ均等化値に対する影響因子を得ることができる。
【0011】
ここで、あるグループの使用率はPG移行後にそのうち1つが1を超えると、このグループの影響因子は-1であり、それにより今回のPGの移行が新たなOSDの過負荷又は完全な利用不能を引き起こさないことを保証する。
【0012】
ステップ(1)はシステムにおけるハードウェアの計画及びサブストレージプールの配置をさらに含む。
【0013】
(一)従来のストレージデバイスを分類し、整理し、新たに分割されたサブストレージプールの大きさが合理的であることを確保し、原則としてPGのレベル割り当てのランダム性、PGのデータ書き込みのランダム性及び各ストレージプールの間の比較に使用率が参考として使用されることのため、各サブストレージプールの大きさが近接すれば最も好ましい。
【0014】
(二)各ストレージプールに対して配置を行い、各ストレージプールは自体の閾値、ランダム因子の数を有することができる。
【0015】
ステップ(3)が完了した後、適切な移行オブジェクトがなければ、ステップ(2)にジャンプする。
【発明の効果】
【0016】
従来技術に比べ、本発明は以下の利点を有する。均等化ストレージはリアルタイムをタイミングとし、過負荷行為が発生してはじめて行われる均等化操作ではなく、また、余分な計算資源及び人的資源を消費して監視する必要がなく、1つのストレージクラスタの全てのOSDに1つのレベル属性を追加し、それらを複数のレベルのサブストレージプールに分割するとともに、OSDレベルを基礎としてPGに1つのレベル属性を追加し、PGは同一レベルのサブストレージプールではなければ組み合わせを探してストレージすることができず、また、PGにランダム因子を加えてOSD選択過程を指導し、より多くの選択可能な組み合わせを生成させ、影響因子を加えて1つのPGの属性が変化した後に選択結果が変化することによるシステムの均等化ストレージに対する影響を量子化し、総ストレージプールにおいてシングルノードOSDに使用率の高すぎが発生した場合、そのうち大きさが中央値のPGを選択し、当該サブストレージプールと隣接するサブストレージプールの使用率情報に基づいてPG移行の方向を確定し、また、PGレベル、ランダム因子に基づいて対応する影響因子組み合わせを生成し、最適なレベルと影響因子組み合わせを選択して均等化調整を行う。本発明はリスク移転の思想を利用し、階層マッピングの原理を利用してストレージシステム全体を一つ一つのストレージ領域に分割し、局所のストレージデバイスの過負荷が発生する場合、ストレージデータを低リスク(低使用率)の領域に移転することができ、高負荷のストレージノードを緩和させ、ストレージリソースを合理的に利用するとともに、システムをより安定にする。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施例の方法の基本的なフローチャートである。
【
図2】本発明の実施例におけるランダム因子の生成過程の概略図である。
【
図3】本発明の実施例における影響因子の選択過程の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の目的、技術的解決手段及び利点をさらに明確にするために、図面及び実施例を参照しながら、本発明について一層詳細に説明する。本明細書に説明される具体的な実施例は本発明を説明するためのものに過ぎず、本発明を限定するものではないことを理解されたい。また、以下説明される本発明の各実施形態に係る技術的特徴は、互いに矛盾しない限り、互いに組み合わせてもよい。
【0019】
図1に示すように、本実施例の階層マッピングに基づくCephストレージシステムの自動均等化ストレージのフローは以下の(1)~(4)を含む。
【0020】
(1)PGとOSDに新たな階層属性を与え、同一レベルのOSD集合論理でストレージプール全体を複数のサブストレージプールに分割する。
【0021】
(2)また、PG階層とOSD階層を一対一に対応させ、PGを同一レベルのOSDストレージプールではなければ選択を行うことができないようにし、階層の変化に応じてPGに自由に移行できる能力を与える。
【0022】
(3)データを挿入する時に、OSDの使用率とシステムの平均使用率との間の比較結果が予め設定された閾値を超えるか否かに基づいて、閾値を超える場合、本発明におけるPGの移行方法をトリガして均等化の目的を達成し、閾値に達しない場合、データを正常に書き込む。
【0023】
(4)単一のOSDとシステムの平均使用率との比較により、閾値を超える場合、本発明の均等化ストレージポリシーをトリガし、当該ポリシーはシステムのストレージ分布を均一化し、局所のOSDの突出した使用率を低下させ、当該ポリシーを使用した後にOSDの使用率がプリセット値(例えば100)となり、すなわち既に全負荷となる場合、書き込みを拒否する。100未満の場合、データを正常に書き込む。
【0024】
図2に示すように、本実施例におけるランダム因子の生成ステップは以下の(1)~(4)を含む。
【0025】
(1)目標サブストレージプールの配置を取得し、最大のランダム因子の数を取得し、サブストレージプールを分割した後に毎回の計算規模が小さくなるため、同じ組み合わせを生成しないため、ここで判断する必要があり、ランダム因子の最大個数が比較的低い場合はランダム因子の選択を迅速に完了することができ、均等化の高効率を保証し、また、比較的高い場合は十分に多くのランダムテストを行うことができることを保証して、システムの高可用性を保証する。
【0026】
(2)本実施例において、ランダム因子はパラメータとしてCRUSHアルゴリズムの選択過程を干渉する機能をし、そのため、ランダム因子の生成はPGのレベルをシードとしてC言語に付属する乱数の生成方法を使用すればよく、ランダム因子を使用して選択されたOSD組み合わせのアルゴリズムのプロセスは、
であり、
上式において、R
i<OSD>は選択されたi番目のOSD組み合わせであり、CRUSHアルゴリズムを呼び出す入力パラメータはPGIDとr
iであり、PGIDはPGの唯一の識別子であり、r
iはランダム因子である。
【0027】
(3)1つごとのOSD組み合わせの例を選択した後、まずこの組み合わせが既に選択されたか否かを判断し、当該組み合わせが既に選択結果内に存在すれば、今回の選択をスキップし、OSD選択を再び行い、当該組み合わせがなければ、保存する。
【0028】
(4)組み合わせの数が既にこのOSDサブストレージプールの要求に達すれば、OSD組み合わせの選択過程を終了し、そうでなければステップ(2)にジャンプして選択を継続する。
【0029】
図3に示すように、本実施例において、影響因子の計算及び選択はPG属性の変化を指導し、影響因子はPG移行前の目標サブストレージプールの均等化ストレージ状況を評価する機能をし、その指導ステップは以下(1)~(5)を含む。
【0030】
(1)PGの新たなレベルとランダム因子に対応するOSD組み合わせをロードする。
【0031】
(2)これらのOSD組み合わせを繰り返し、全ての計算が完了すると、このフローを終了し、まだ計算されない組み合わせがあると、次のステップにジャンプする。
【0032】
(3)現在のシステムの均等化パラメータを計算し、1つのサブストレージプールの均等化ストレージ状況に対して、その量子化の式は、
であり、
上式において、Mは当該サブストレージプールの平均使用率であり、x
jは当該サブストレージプールにおける各OSDの使用率であり、nはサブストレージプールにおけるOSDの数である。
【0033】
(4)上式に従って、当該PGがこの時のランダム因子で移行した後のシステム均等化パラメータβjを計算する。
【0034】
(5)あるPGのある回の移行前のβ値と移行後のβ値を用い、このPGによる今回の移行におけるシステムのストレージ均等化値に対する影響因子を得ることができる。
【0035】
ここで、あるグループの使用率はPG移行後にそのうち1つが1を超えると、このグループの影響因子は-1であり、それにより今回のPGの移行が新たなOSDの過負荷又は完全な利用不能を引き起こさないことを保証し、本実施例において、-1であれば、今回の結果を使用せず、今回の計算を直接放棄する。
【0036】
本実施例の階層マッピングに基づくCephストレージシステムの自動均等化ストレージ方法は、ストレージクラスタ全体における単一のOSDの過負荷によるシステム全体の利用不能の問題を解決することを目的とし、Cephストレージシステムの特性により、データが各OSDに均一に分布しているように見え、そのため、重み値が同じの場合にOSDの相違性は局所的過負荷の状況を模擬することができる。本実施例は様々なOSDと様々なストレージプールの分割方法を用いて初期化を行い、最大書き込み量を評価基準とし、最大書き込みでのシステム崩壊までの総データ量により本発明の有効性を判別する。その結果、本発明は単一OSDの過負荷によるシステム崩壊の状況を効果的に緩和できることが示される。
【0037】
当業者であれば容易に理解されるように、以上の記載は本発明の好適な実施例に過ぎず、本発明を限定するものではなく、本発明の精神及び原則内で行われる全ての修正、同等の置換及び改善などは、いずれも本発明の保護範囲内に含まれるべきである。
【国際調査報告】