(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-29
(54)【発明の名称】異なる形状の部品を処理する機械および方法
(51)【国際特許分類】
C23C 14/02 20060101AFI20230822BHJP
C23C 14/22 20060101ALI20230822BHJP
C23C 14/58 20060101ALI20230822BHJP
C23C 16/56 20060101ALI20230822BHJP
C23C 16/50 20060101ALI20230822BHJP
C23C 16/02 20060101ALI20230822BHJP
B23K 26/36 20140101ALI20230822BHJP
B23K 26/352 20140101ALI20230822BHJP
B01J 19/12 20060101ALI20230822BHJP
B01J 19/08 20060101ALI20230822BHJP
C23C 14/24 20060101ALI20230822BHJP
【FI】
C23C14/02 Z
C23C14/22 F
C23C14/58 C
C23C16/56
C23C16/50
C23C16/02
B23K26/36
B23K26/352
B01J19/12 G
B01J19/08 H
C23C14/24 V
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023506298
(86)(22)【出願日】2021-06-03
(85)【翻訳文提出日】2023-03-28
(86)【国際出願番号】 FR2021051010
(87)【国際公開番号】W WO2022023629
(87)【国際公開日】2022-02-03
(32)【優先日】2020-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506126266
【氏名又は名称】イドロメカニーク・エ・フロットマン
(71)【出願人】
【識別番号】521372183
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ・ジャン・モネ・サン・テティエンヌ
(71)【出願人】
【識別番号】506316557
【氏名又は名称】サントル ナショナル ドゥ ラ ルシェルシュ シアンティフィック
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ・エオー
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・モーラン-ペリエ
(72)【発明者】
【氏名】フローレンス・ガレリー
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-フィリップ・コロンビエ
(72)【発明者】
【氏名】フローラン・ピジョン
【テーマコード(参考)】
4E168
4G075
4K029
4K030
【Fターム(参考)】
4E168AD00
4E168CB04
4E168CB07
4E168DA13
4E168DA14
4E168DA45
4E168DA46
4E168DA47
4E168DA60
4E168EA06
4E168EA24
4E168FB06
4E168JA01
4E168JA15
4E168JA17
4E168JA21
4G075AA24
4G075AA30
4G075BA05
4G075BA08
4G075BA10
4G075BC01
4G075BC04
4G075CA36
4G075CA47
4G075CA65
4G075DA02
4G075EB01
4G075EB41
4G075EC13
4G075ED01
4K029AA25
4K029CA01
4K029FA01
4K029FA04
4K029FA05
4K029FA06
4K029FA09
4K029GA00
4K029JA03
4K029KA01
4K030CA12
4K030DA02
4K030DA03
4K030DA06
4K030DA08
4K030FA01
4K030GA06
4K030GA12
(57)【要約】
異なる形状の部品(2)を処理する機械(1)であって、チャンバ(10)と、真空システム(20)と、プラズマ発生システム(30)および/または真空蒸着システム(40)を含む、処理システム(30、60;40、60;30、40、60)と、チャンバ(10)内に1つ以上の部品(2)を、これらの部品(2)の形状に関係なく変位させることができる輸送システム(50)と、を備える、機械(1)において、処理システム(30、60;40、60;30、40、60)が、チャンバ(10)内に配置された1つ以上の部品(2)を処理するように設計されたレーザシステム(60)を含むことを特徴とする、機械(1)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる形状の部品(2)を処理する機械(1)であって、
- チャンバ(10)と、
- 真空システム(20)と、
- プラズマ発生システム(30)および/または真空蒸着システム(40)を含む、処理システム(30、60;40、60;30、40、60)と、
- 前記チャンバ(10)内に1つ以上の前記部品(2)を、これらの部品(2)がどのような形状であっても変位させることができる輸送システム(50)と、
を備える、機械(1)において、
前記処理システム(30、60;40、60;30、40、60)が、前記チャンバ(10)内に配置された1つ以上の前記部品(2)を処理するように設計されたレーザシステム(60)を含むことを特徴とする、機械(1)。
【請求項2】
前記処理システム(30、60;40、60;30、40、60)が、他の前記システムとは別個に、または他の前記システムのうちの1つ以上と同時に、1つ以上の前記部品(2)の処理のために選択的に使用され得ることを特徴とする、請求項1に記載の機械。
【請求項3】
前記処理システム(30、60;40、60;30、40、60)の使用のシーケンスが、可変の使用順および/または可変の使用回数により設定され得ることを特徴とする、請求項1または2に記載の機械(1)。
【請求項4】
前記レーザシステム(60)のための保護システム(70)を備えることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の機械(1)。
【請求項5】
前記保護システム(70)が、前記レーザシステム(60)の前で動かされ得るカバー(71)を備えることを特徴とする、請求項4に記載の機械(1)。
【請求項6】
前記保護システム(70)が、前記レーザシステム(60)の前を動く透明フィルム(73)を備えることを特徴とする、請求項4または5に記載の機械(1)。
【請求項7】
前記保護システム(70)が、前記チャンバ(10)の残部から、前記レーザシステム(60)由来のレーザビーム(62)の経路を光学的に隔離し、前記処理システム(30、60;40、60;30、40、60)由来の流れから保護する内壁を備えることを特徴とする、請求項4から6のいずれか一項に記載の機械(1)。
【請求項8】
前記保護システム(70)が、前記チャンバ(10)の壁に固定されかつ前記レーザシステム(60)の窓(63)と処理されるべき前記部品との間に形成されたチャンバ(75)を備え、前記チャンバには、前記窓(63)と前記チャンバ(10)との間に45度未満のアパーチャ角を画定するために前記部品の方に向くアパーチャ(76)が設けられることを特徴とする、請求項4から7のいずれか一項に記載の機械。
【請求項9】
前記レーザシステム(60)が、パルスレーザ源(61)を備えることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の機械(1)。
【請求項10】
前記レーザビーム(62)が、1つ以上の前記部品(2)に対して斜めのまたは直交した入射に向き付けられ得ることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の機械(1)。
【請求項11】
前記輸送システム(50)が、2つの連続した処理ゾーン(64)が隣接するような手法で1つ以上の前記部品を変位させることができることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の機械(1)。
【請求項12】
前記レーザシステム(60)が、前記レーザビーム(62)の経路および/または形状および/または集束を修正するためのデバイスを備えることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の機械(1)。
【請求項13】
前記輸送システム(50)が、位置符号化デバイスを備えることを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の機械(1)。
【請求項14】
前記輸送システム(50)が、1つ以上の部品(2)を支持することを意図されたターンテーブル(51)を備えることを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の機械(1)。
【請求項15】
前記輸送システム(50)が、前記ターンテーブル(51)上に取り付けられかつ1つ以上の部品を受け入れることを意図されたタレット(52)を備えることを特徴とする、請求項14に記載の機械(1)。
【請求項16】
前記タレット(52)が、前記ターンテーブル(51)に対して回転して動くことができることを特徴とする、請求項15に記載の機械(1)。
【請求項17】
前記輸送システム(50)が、前記タレット(52)上に回転可能に取り付けられかつ前記部品(2)を支持することを意図されたプラテン(53)を備えることを特徴とする、請求項14から16のいずれか一項に記載の機械(1)。
【請求項18】
前記レーザシステム(60)が、横向きに配置されることを特徴とする、請求項14から17のいずれか一項に記載の機械(1)。
【請求項19】
前記輸送システム(50)が、1つ以上の部品(2)を支持することを意図された長手方向輸送デバイス(54、55)を備えることを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の機械(1)。
【請求項20】
前記輸送システム(50)が、視覚マークと、前記マークと協働することができる光センサと、を備えることを特徴とする、請求項1から19のいずれか一項に記載の機械(1)。
【請求項21】
異なる形状の部品(2)を処理する方法であって、
a)1つ以上の前記部品(2)が配置されたチャンバ(10)を真空にするステップと、次いで、
以下のステップ、すなわち、
b)1つ以上の前記部品(2)をレーザ処理するステップ、
c)1つ以上の前記部品(2)を低圧プラズマ処理するステップ、および/または
d)前記部品(2)のうちの1つ以上に対して真空蒸着を実行するステップ、
の組合せと、
を含む、方法において、
様々な前記ステップが、異なる形状の部品(2)を処理するように適合された同じ機械(1)で実行されることを特徴とする、方法。
【請求項22】
前記ステップb)、前記ステップc)、および前記ステップd)が、他の前記ステップとは別個に、または他の前記ステップのうちの1つもしくは複数と同時に、1つ以上の前記部品を処理するために選択的に実行されることを特徴とする、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記ステップb)、前記ステップc)、前記ステップd)、またはこれらの組合せが、可変の使用順および/または可変の使用回数により設定され得る、使用のシーケンスに従って実行されることを特徴とする、請求項21または22に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異なる形状の部品を処理する機械に関する。本発明は、処理方法にも関する。本発明の分野は、表面処理の分野である。
【背景技術】
【0002】
部品の表面を処理する様々な機械が知られている。しかし、既存の機械は、単一のタイプの処理(例えば、真空蒸着)用に設計されていることが多い。他の機械は、いくつかの処理を組み合わせて行うが、単一の形状の部品(例えば、フィルムまたはディスク)用に設計されている。
【0003】
特許文献1には、チャンバと、真空システムと、プラズマ発生システムと、真空蒸着システムと、部品を輸送するシステムと、を備える処理機械の一例が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2009/053614号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、提案の処理に関して機械の多用性を向上させることである。
【0006】
このため、本発明の目的は、チャンバと、真空システムと、プラズマ発生システムおよび/または真空蒸着システムを含む、処理システムと、チャンバ内に1つ以上の部品を、これらの部品の形状に関係なく変位させることができる輸送システムとを備える、異なる形状の部品を処理する機械を提供することである。機械は、処理システムが、チャンバ内に配置された1つ以上の部品を処理するように設計されたレーザシステムを含むことを特徴とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
したがって、本発明は、機械の多用性を向上させること、および提案の処理を変化させることが可能である。部品は、オペレータそれぞれが処理シーケンスを作成し選択することができるような手法で、処理システムの1つまたは他のものによって連続して、場合により組み合わせて、加工される。オペレータは、ある処置を繰り返すなどの1つのオーダーまたは他においてシステムを使用することを選ぶことができる。
【0008】
機械は、(1から10cmのオーダーの)小さな部品または(0.1から1m、もしくはそれを上回るオーダーの)大きな部品を処理するために様々な手法で構成され得る。
【0009】
さらに、処理される部品は、様々な材料、すなわち、金属、セラミック、複合材料、プラスチックなどから作られていてよい。
【0010】
本発明の他の有利な特徴によれば、以下が個別に、または組み合わせて採用される。
- 処理システムが、他のシステムとは別個に、または他のシステムのうちの1つ以上と同時に、1つ以上の部品を処理することに選択的に使用され得る。
- 処理システムの使用のシーケンスが、可変の使用順および/または可変の使用回数により設定され得る。
- 処理システムが、1つ以上の部品を直接的に処理するように使用され得る。
- レーザシステムが、プラズマ発生システムとは別個である。
- 機械が、レーザシステムを保護する、より正確にはレーザビームがチャンバに入ることを可能にする窓を保護するシステムを備える。
- 保護システムが、レーザシステムの前に可動カバーを備える。
- 保護システムが、レーザシステムの前を動く透明フィルムを備える。
- 保護システムが、チャンバの残部から、レーザシステム由来のレーザビームの経路を光学的に隔離し、処理システム由来の流れ(flux)から保護する内壁を備える。
- 保護システムが、チャンバの壁に固定されレーザシステムの窓と処理されるべき部品との間に形成されたチャンバを備え、このチャンバには、窓とチャンバとの間に45度未満のアパーチャ角(aperture angle)を画定するために部品の方に向くアパーチャが設けられる。
- レーザシステムが、単一のレーザ源を備える。
- レーザシステムが、複数のレーザ源を備える。
- レーザシステムが、例えばフェムト秒、ピコ秒またはナノ秒のオーダーのパルス持続時間を有する、1つ以上のパルスレーザ源を備える。
- レーザ源が、単スペクトルである。
- レーザ源が、マルチスペクトル(材料に応じた波長の選択)である。
- レーザ源が、同一(同じ波長、同じパルス持続時間、同じ偏光、同じビーム形状)である。
- レーザ源が、互いに異なる(異なる波長および/またはパルス持続時間および/または偏光および/またはビーム形状)である。
- レーザビームが、複数ベクトル偏光状態(multiple vector polarisation states)(例えば、方位角、ラジアル、螺旋(vortex)偏光など)を有することができる。
- レーザビームが、1つ以上の部品に対して斜めのまたは直交した入射に向き付けられ得る。
- 輸送システムが、2つの連続した処理ゾーンが隣接するような手法で1つ以上の部品を変位させることができる。
- レーザシステムが、経路および/もしくは形状を修正するためならびに/またはレーザビームの集束のためのデバイスを備える。
- 輸送システムが、1つ以上の部品を支持することを意図されたターンテーブルを備える。
- 輸送システムが、ターンテーブル上に取り付けられ1つ以上の部品を受け入れることを意図されたタレットを備える。
- タレットが、ターンテーブルに対して回転して動くことができる。
- 輸送システムが、タレット上に回転可能に取り付けられ部品を支持することを意図されたターンテーブルを備える。
- レーザシステムが、横向きに配置される。
- 輸送システムが、1つ以上の部品を支持することを意図された長手方向輸送デバイスを備える。デバイスが、キャリッジ、ローラコンベア、コンベアベルト、または任意の他の適当な手段とすることができる。
- 輸送システムが、位置符号化デバイスを備える。
- 輸送システムが、視覚マークと、マークと協働することができる光センサと、を備える。
【0011】
本発明はさらに、異なる形状の部品を処理する方法であって、
a)1つ以上の部品が配置されたチャンバを真空にするステップと、次いで、
以下のステップ、すなわち、
b)1つ以上の部品をレーザ処理するステップ、
c)1つ以上の部品を低圧プラズマ処理するステップ、および/または
d)部品のうちの1つ以上に対して真空蒸着を実行するステップ
の組合せと、
を含む方法を提供する。
【0012】
方法は、様々なステップa)、ステップb)、ステップc)および/またはステップd)が、異なる形状の部品を処理するように適合された同じ機械で実行されることを特徴とする。
【0013】
ステップb)、ステップc)およびステップd)は、他のステップとは別個に、または他のステップのうちの1つも以上と同時に、1つ以上の部品を処理するために選択的に実行され得る。
【0014】
有利には、ステップb)、ステップc)、ステップd)またはこれらの組合せは、可変の使用順および/または可変の使用回数により設定され得る、使用のシーケンスに従って実行され得る。
【0015】
本発明は、単なる非限定的な例として与えられ、以下に線図を示す、添付の図面を参照してなされる以下の説明から、より良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】回転輸送システムを装備する、本発明による機械の平面図である。
【
図2】タレットを装備する輸送システムおよび横向きに配置されたレーザシステムを示す、
図1の機械の側面図である。
【
図3】輸送システムの一変形形態を示す、
図1と類似の図である。
【
図4】輸送システムの他の変形形態およびレーザシステムの一変形形態を示す、
図2と類似の図である。
【
図5】長手方向輸送システムを装備する、本発明による他の機械を示す側面図である。
【
図6】レーザシステム保護システムの第1の解決策を示す、正面(機械に応じて側面または上面)図である。
【
図7】別の位置における、この第1の保護システム解決策を示す、
図6と類似の図である。
【
図8】レーザシステム保護システムの第2の解決策を示す、
図6と類似の図である。
【
図9】動作中のこの第2の保護システム解決策を示す、
図8と類似の図である。
【
図10】第1の構成による、レーザシステム保護システムの第3の解決策を示す、より小さなスケールの、
図6と類似の図である。
【
図11】第2の構成による、この第3の保護システム解決策を示す、
図10と類似の図である。
【
図12】第3の構成による、この第3の保護システム解決策を示す、
図10と類似の図である。
【
図13】使用中の、第1の構成による保護システムを示す、
図10と類似の図である。
【
図14】使用中の、第2の構成による保護システムを示す、
図11と類似の図である。
【
図15】使用中の、第3の構成による保護システムを示す、
図12と類似の図である。
【
図16】レーザシステム保護システムの第4の解決策を示す、レーザシステムの正面(側面または上面)図である。
【
図17】部品上のレーザビームスポットの焦点ぼけ(defocussing)および変形を示す、円筒形部品および入射レーザビームの図である。
【
図18】斜め入射の場合、および部品上のレーザビームのスポットの変形を示す、円筒形部品および入射レーザビームの斜視図である。
【
図19】先行して処理されたゾーンと隣接する、処理されるべきゾーンを示す、
図18と類似の図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1および
図2は、異なる形状の部品(2)の処理用に設計された、本発明による機械(1)を示す。
【0018】
本発明の文脈において、「異なる形状の」という表現は、異なる幾何形状および/または寸法の部品を含む。この表現は、例えば異なる幅の平坦フィルムである、寸法は異なるが同じ幾何形状を有する部品に限定されない。機械(1)は、平坦な形状、すなわち他の寸法と比較すると厚さが非常に小さい(5%未満)部品だけでなく、嵩張る部品、すなわち同じ大きさの程度または類似の大きさの程度を有する三次元の部品も処理するように適合される。部品は、回転体(例えば、円柱)、またはさらには平行六面体であることもある。最後に、部品は、不規則な形状、すなわち、必ずしも互いに直交していない表面、または異なる寸法の辺を有する表面からなる立体であることもある。
【0019】
本発明による機械(1)は、部品(2)の表面処理を行うように設計される。表面処理は、出願人の専門分野の一部をなしており、表面処理としては、これらに限定されないが、以下にある処理である、薄膜の化学堆積、活性化、剥離またはクリーニング、テクスチャ加工(すなわち、部品の表面上に、浮彫細工の、1ナノメートルのオーダーから10分の1メートルまでの寸法を有するモチーフを製作)、および熱処理(すなわち、所定の温度サイクルによる金属の結晶構造の改質)が挙げられ得る。
【0020】
これらの処理が作用するゾーンが、せいぜい部品の表面の下10分の数ミリメートルに限定される限り、これらの処理は表面処理または外面処理と呼ばれ、これらは、材料全体がその処理を受けるような部品のコア、すなわち部品の奥深くまでの処理を目的としない。
【0021】
機械(1)は、チャンバ(10)と、真空システム(20)と、プラズマ発生システム(30)と、真空蒸着システム(40)と、輸送システム(50)と、レーザシステム(60)と、保護システム(70)と、を備える。
【0022】
あるいは、機械(1)は、プラズマ発生システム(30)を備えるが、真空蒸着システム(40)を備えない場合もあり、または真空蒸着システム(40)を備えるが、プラズマ発生システム(30)を備えない場合もある。
【0023】
一般に、そのような機械(1)はさらに、任意の他の処理の前に、部品(2)およびチャンバ(10)内部を脱ガス処理する加熱システムを備える。機械(1)はさらに、処理に必要なガスを制御された手法でチャンバ(10)に導入するために、純粋なガスまたはガス混合物を注入するシステムを備える。簡素化するために、図面には加熱システムもガス注入システムも示さない。
【0024】
有利には、システム(10~70)は、他のシステム(10~70)のうちの1つ以上と別個にまたは同時に使用され得る。
- 一例として、オペレータは、真空システム(20)を使用することによってチャンバ(10)が真空下にある間にレーザシステム(60)を使用することを選ぶことができる。
- 他の例によれば、オペレータは、レーザシステム(60)による第2の部品(2)の処理と同時に、プラズマシステム(30)による第1の部品(2)の処理を行うことを選ぶことができる。
【0025】
加えて、異なるシステム(10~70)の使用順および使用回数は、異なるシーケンスに従ってパラメータ化することができ、
- 一例として、オペレータは、レーザシステム(60)による処理を行ってから、部品をプラズマ処理システム(30)へと変位させることを選ぶことができる。
- 他の例によれば、オペレータは、真空蒸着システム(40)を使用して第1の堆積物を生成し、次いで、レーザシステム(60)によるレーザ処理を行い、次いで、真空蒸着システム(40)による第2の堆積物を生成することを選んでもよい。
【0026】
チャンバ(10)は、チャンバ(10)の頂部と底部とを構築する2つの対になった平行な水平壁、ならびにチャンバ(10)の側部を構築する4つの平行な垂直壁、を含む、平行六面体形状を有する。明確には、壁は、本発明の範囲から逸脱することなく異なる形状を有してもよい。一例として、単一の円筒垂直壁を備える円筒形チャンバ(10)を想定することができる。このチャンバ(10)は、
図1および
図2に示されるような単一コンパートメント(11)、または
図5に示されるような複数のコンパートメント(11)を備えることができる。
【0027】
真空システム(20)は、チャンバ(10)内の雰囲気を排気することを意図される。システム(20)は、チャンバ(1)内において、そこに広がる圧力が例えば10-2から10-9Paまでとなり得るように、空気を排気、すなわちチャンバ(10)内に存在する空気を抜くことができる。
【0028】
プラズマ処理システム(30)は、後に続く処理を視野に入れて部品(2)をクリーニングするために、部品(2)を剥離させることに使用され得る。加えて、システム(30)は、プラスチックまたはセラミックのためのグロー放電クリーニングなどのさらなる処理に対処できるような手法で表面を活性化することに使用され得る。プラズマ処理システム(30)は、ガス注入システムと組み合わせて、PACVD(プラズマ支援化学気相堆積)タイプの堆積物を生成することに使用され得る。
【0029】
真空蒸着システム(40)は、部品(2)の表面上に堆積物を生成することを意図される。一例として、システム(40)は、PACVDまたはPVD(物理気相堆積)による堆積物用に設計され得る。真空蒸着システム(40)は、任意選択で、例えばアーク堆積源の場合のように、十分なイオン化種をもたらす場合、部品(2)を剥離することに使用してもよい。
【0030】
輸送システム(50)は、部品(2)を受け入れ、それらをチャンバ(10)内において変位させるように設計される。この輸送システム(50)は、様々な手法で構築することができる。
図1および
図2の例では、システム(50)は、1つ以上の部品(2)を支持するカルーセルを形成する垂直中心軸周りに回転するターンテーブル(51)と、中心軸に対して平行な垂直軸周りにおいてターンテーブル(51)上に回転可能に取り付けられるタレット(52)と、を備える。タレット(52)は、特に小さな部品(2)を処理するとき、チャンバ(10)の高さを可能な限り活用することを可能にする。ターンテーブル(51)およびタレット(52)は、同じ方向または反対方向に回転することができる。タレット(52)は、独立的にモータ駆動され、それによって、ターンテーブル(51)およびタレット(52)が別個にまたは同時に回転できるようになる。一変形形態では、タレット(52)は、ターンテーブル(51)上に固定的に取り付けられ得る。他の変形形態では、ターンテーブル(51)にタレット(52)がない場合もある。
【0031】
本発明によれば、機械(1)はさらに、レーザビーム(62)を発するレーザ源(61)を備えるレーザシステム(60)を装備する。レーザ源(61)は、パルス化され、フェムト秒、ピコ秒またはナノ秒のオーダーの持続時間を有するパルスを発することができる。レーザ源(61)は、マルチスペクトル(材料に応じて選択される波長)とすることができる。
【0032】
図2に示されるように、レーザシステム(60)は、複数の部品(2)を同時にまたは大きな部品(2)の複数のゾーンを処理することができるように、複数のレーザ源(61)を備えることができる。レーザ源(61)は、同一の(同じ波長、同じパルス持続時間、同じ偏光、同じビーム形状)、または異なる(異なる波長および/もしくはパルス持続時間および/もしくは偏光および/もしくはビーム形状)ものとすることができる。以下において、いくつか存在し得る場合があっても、「その(the)」レーザ源(61)についてのみ説明する。
【0033】
レーザシステム(60)は、ビーム(62)に対して光透過性でありレーザシステム(60)とチャンバ(10)との間の遷移を観察する(mark)窓(63)を備える。
【0034】
システム(60)は、様々な光学デバイス、具体的には、ビーム(62)の集束修正デバイス(65)から選択された距離にビーム(62)のエネルギーを集中させる集束修正デバイス(65)を備える。処理されるべき部品(2)が様々な寸法であるとき、および部品(2)の表面とレーザシステム(60)との間の距離が部品(2)ごとに異なるとき、集束を修正する必要がある。
【0035】
システム(60)はさらに、レーザビーム(62)を向き付け、処理されるべき部品(2)の表面をスキャンするための偏向デバイス(66)を備える。
【0036】
レーザシステム(60)は、様々な手法で、様々な目的において、使用され得る。
- 部品(2)の表面上にキャビティを作り出すために、部品(2)から材料を除去する、テクスチャ加工。キャビティは、不連続モチーフに従って配置されてもよく、すなわちキャビティは、互いに別個である。あるいは、キャビティは、連続モチーフに従って配置されてもよく、すなわち、キャビティは互いに連結している。他の代替実施形態によれば、キャビティは、不連続モチーフと連続モチーフとの組合せを備えてもよい。
- 材料を除去しないナノテクスチャ加工。この実施形態では、レーザビーム(62)のパルスによって材料が再分配され、ナノメートルのモチーフが部品表面に形成される。動作状態に応じて、ナノモチーフは、デボス加工、エンボス加工またはその両方であり得る。これは、例えば、部品(2)の特定の表面積を増加させるために使用され得る。
- 材料の結晶構造を改質する、材料を除去しない表面処理。
- 材料のトポグラフィを改質する、材料を除去しない表面処理。
- 例えばレーザ処理が純反応性ガスの存在下で実行されるときの材料の化学改質。
【0037】
他の処理も、本発明の範囲から逸脱することなく行うことができる。
【0038】
機械(1)はさらに、レーザシステムの窓(63)を保護することを意図された保護システム(70)を備えることができる。機械(1)が上述した様々な処理システム(20~60)を組み合わせることが有利な場合、結果的に前記システムが干渉し合うことになり得ることは事実である。具体的には、レーザシステム(60)の窓(63)は、レーザ処理の有効性を保証するために、可能な限り透明状態にする必要がある。この透明性の欠如は、部品(2)のレーザテクスチャ加工中に除去された材料、あるいは真空蒸着システム(40)、またはさらにプラズマ発生システム(30)に由来する、窓(63)上の堆積物に起因し得る。したがって、窓(63)の保護は、窓(63)をクリーニングするまたは取り替えることを目的とする保守作業の頻度が低い場合、実行されるべきレーザ処理の成果のためだけでなく、機械(1)の有用性の程度という点で、機械(1)の大きな利点となり得る。
【0039】
実際には、機械(1)は、
a)チャンバ(10)内を排気するステップと、次いで、
以下のステップ、すなわち、
b)部品(2)をレーザ処理するステップ、
c)部品(2)をプラズマ処理するステップ、および/または
d)部品(2)上において真空蒸着を行うステップ、
の組合せと、を含む、様々な方法を実施することができる。
【0040】
有利には、a)からd)の様々なステップは、幅広い用途の異なる形状の部品(2)を処理するように適合された同じ機械(1)において実行することができる。
【0041】
ステップa)およびステップb)は、この方法では常に行われ、ステップc)およびステップd)のどちらか、またはステップc)およびステップd)の両方によって補われる。ステップb)、ステップc)、またはステップd)の順序は、時系列(chronological)ではない。
【0042】
ステップa)は、他のステップb)、ステップc)、またはステップd)よりも前である。
【0043】
ステップb)、ステップc)、およびステップd)は、1つ以上の部品を処理するために、他のステップと別個に、または他のステップのうちの1つ以上と同時に、選択的に実行され得る。ステップb)、ステップc)、ステップd)、またはその組合せは、可変の使用順および/または可変の使用回数によりパラメータ化され得る、使用のシーケンスに従って実行され得る。一例として、ステップb)は、ステップc)および/またはステップd)を行う前に何回か行われてもよい。
【0044】
図3から
図17には、本発明による機械(1)の他の実施形態が示されている。機械(1)のいくつかの構成要素は、上述の第1の実施形態のものと類似点があり、したがって、簡素化のため、同じ参照番号を有する。
【0045】
図3は、タレット(52)がなく単にターンテーブル(51)を備える輸送システム(50)を示す。ターンテーブル(51)は、1つ以上の部品(2)が上に配置されるカルーセルを形成する。この構造は、大きな部品(2)を処理するときに有利である。
【0046】
図4は、単一源(61)と、複数の小さな部品(2)を同時に、または同じ大きな部品(2)のうちのいくつかのゾーンを処理するために、レーザビーム(62)を分配および/または向き付けるためのデバイス(67)と、を備えるレーザシステム(60)を示す。この分配および/または向き付けデバイス(67)は、例えば、
図4に示されるような半反射性ミラーを用いることによるビーム(62)の分割に基づく、または実際、例えば、プリズムのファセットがビーム(62)を1つのゾーン(または1つの部品)の方向、次いで他に向けて連続的に向き付けるように回転されるプリズムを用いることによるビーム(62)の偏向に基づき得る。本明細書の残り部分では、分配デバイス(67)を、それがビーム(62)を分割するデバイスか偏向するデバイスかどうか、を特定せずに言及する。
【0047】
輸送システム(50)がカルーセルを備えるとき、レーザシステム(60)は、横向きに配置されることが有利であり得る。レーザシステム(60)が頂部に配置される機械(1)とは異なり、この構造によって、例えばディスクまたはフィルムなどの単純に平坦な部品とは対照的に、「嵩張る」部品(2)として知られるものを処理することが可能になる。
【0048】
図4はさらに、それら自体が回転して動くことができるプラテン(53)を装備するタレット(52)を示し、したがって、3つの回転である、ターンテーブル(51)、タレット(52)、および/またはプラテン(53)の回転が、要件に応じて同時または別個に制御され得る。
【0049】
図5は、長手方向輸送システム(50)と複数のコンパートメント(11)とを備える、他の機械構造(1)を示す。
【0050】
長手方向輸送システム(50)は、部品(2)を支持するキャリッジ(54)と、キャリッジ(54)を支持するローラ(55)と、を備える。あるいは、長手方向輸送システム(50)は、コンベアベルト、キャリッジのないローラコンベア(55)、無端ねじに関連するキャリッジ(54)、または任意の他の適当なデバイスを備えてもよい。
【0051】
チャンバ(10)のコンパートメント(11)は、隣り合うコンパートメント(11)を仕切るまたは連通できるようにする弁(12)を備える垂直内壁によって隔てられている。この構造は、他のシステムの1つを使用することにより引き起こされる汚染からシステム(20~60)の1つを保護するために有利である。プラズマシステム(30)は、第1のコンパートメント(11)の上壁に取り付けられ、真空蒸着システム(40)は、第2のコンパートメント(11)の上壁に取り付けられ、レーザシステム(60)は、第3のコンパートメント(11)の上壁に取り付けられる。他の構成も、本発明の範囲から逸脱することなく想定され得る。図の簡素化により、1つの真空システム(20)しか図示されていない。このような機械(1)は一般的に、処理の間、あるコンパートメント(11)が他のコンパートメント(11)から隔離され得るので、複数の真空システム(20)を備える。このコンパートメント(11)は、この場合、ポンピングのためにそれ自体のシステム(20)を有さなければならない。同じことが、加熱およびガス注入システムにも当てはまる。
【0052】
図6から
図16は、レーザシステム(60)のための保護システム(70)の異なる変形形態を示す。保護システム(70)への統合を意図する解決策は多数あり、それらのそれぞれを活用し、結果としての全体的な保護の有効性を向上させるために、組み合わせて使用され得る。
【0053】
図6および
図7において、システム(70)は、窓(63)の前にカバー(71)を備える。カバー(71)は、レーザシステム(60)の使用のときに窓(63)から遠ざかる「開」位置と、レーザシステム(60)が使用されておらず他のシステムが使用されているときに窓(63)の前に位置決めされる「閉」位置と、の間を動くことができる。したがって、他のシステムに由来する投射物(projections)に窓(63)が曝される持続時間が減少される。このカバー(71)は、シリンダ(72)によって並進で移動される窓(63)の形のプレートであってよい。例えばダイヤフラムなどの任意の他の関連の技術的解決策も考えられる。
【0054】
図8および
図9において、システム(70)は、窓(63)の前において2本のローラ(74)間を動くことができるフィルム(73)を備える。このフィルム(73)は、ビーム(62)に対して光透過性である必要があり、前記ビーム(62)を可能な限りわずかしか乱さないようでなければならない。このフィルム(73)は、他のシステム(20~50)に由来し得る、または除去によるテクスチャ加工が進行中のときは処理されるべき部品(2)に由来し得る、投射物の収集を意図される。有利には、オペレータは、固定位置にフィルム(73)を残し、フィルム(73)が過剰な投射物を受けたと予測されるときだけそれを横切らせる、または実際、常にフィルム(73)の最大透過性を保証するためにそれを連続的に進ませること選ぶことができる。ある時間期間後の自動的な前進も想定され得る。
【0055】
図10から
図15において、保護システム(70)は、アパーチャ(76)を備え、窓(63)の前に配置されたチャンバ(75)を備える。これは、窓(63)と、ビーム(62)がそこを通ってチャンバ(10)に入るアパーチャ(76)と、の間の距離の増加を目的とした、幾何学的な解決策である。チャンバ(75)は、チャンバ(75)の長さとアパーチャ(76)の幅との比を特徴とする、立体角を画定する。
図10および
図13に示されるように、この角度が開きすぎると、処理に由来する投射物が、このチャンバ(75)に貫入することが困難とならずに窓(63)上に堆積することになる。しかし、
図12および
図15に示されるようにこの角度が閉じていると、チャンバ(75)は、投射物がアクセスできないトンネルを構築し、それによって投射物が窓(63)上に堆積されなくなる。好ましくは、チャンバ(75)は、窓(63)とアパーチャ(76)との間において45度未満のアパーチャ角を画定する。より好ましくは、このアパーチャ角は、垂直のアパーチャ角とは対照的に、横方向のアパーチャ角である。
【0056】
図16では、保護システム(70)は、ビーム(62)と窓(63)との間に斜角をもたらし、レーザビーム(62)と処理されるべき部品(2)の表面との間に斜めの入射角をもたらすことによって作られる。このようにして、テクスチャ加工に由来する投射物は、窓(63)を通るレーザビーム(62)の通過のスリットの方向ではない方向に発せられる。窓(63)の方に向かう投射物は、こうして減少、またはなくなることさえある。
【0057】
保護システムのこのバージョンの一変形形態では、窓(63)を通るレーザビーム(62)の通過の直交角が維持され、部品(2)の表面に対する斜め入射と組み合わされる。これは、例えば、ターンテーブル(51)の中心に対してレーザビーム(62)をオフセットする、またはチャンバ(10)の壁に対して窓(63)を傾斜させることによって得られ得る。
【0058】
図示されない一変形形態では、保護システム(70)は、レーザビーム(62)の経路を光学的に隔離し、それによって投射物から窓(63)を保護するために、窓(63)とチャンバ(10)との間に配置される壁を備えることもある。
【0059】
図17および
図18は、レーザシステム(60)に、軌道、集束または形状を修正するデバイスをもたらすことの利点を示す。具体的には、デバイスは、ビーム(62)に対して直交する表面を有しない部品(2)の処理に使用され得る。
図17は、ビーム(62)の方向に対して直交しない部品(2)の表面に投射されるビーム(62)を示す。理解しやすくするため、ビーム(62)は、平行で円形断面に図示されている。部品(2)に対するビーム(62)の投射から生じるスポット(68)は円形でなく楕円形であることが
図18において見ることができる。これは、特に、レーザ処理の目的が、円形キャビティを備えるテクスチャ加工を達成することにある場合、問題となる。この文脈において、修正デバイスは、この例におけるように表面によって引き起こされる変形を修正するために、レーザビーム(62)の形状を修正することに使用され得る。レーザシステム(60)は、例えば所定の非円形構造体を得るために、修正デバイスの上流に整形モジュールを含むこともある。
【0060】
図17はさらに、部品(2)上におけるビーム(62)の衝突点の位置が、スポット(68)とレーザ源(61)との間の到達されるべき距離上における衝突であることを示す。ビーム(62)が部品(2)の右に向けてオフセットされると、到達されるべき距離はより長くなる。実際、ビーム(62)は、厳密に平行ではなく、部品(2)の表面上に集束されるように互いに近づく。ビーム(62)が進行する経路が可変の長さを有する場合、集束はなくなる。したがって、集束を修正するデバイスをシステム(60)にもたらすことが適切である。
【0061】
図19は、一部がすでに処理されている円筒形の部品(2)、および処理の準備ができている新しいゾーン(64)を示す。機械(1)は、1つ以上の部品(2)の大きな表面の処理を意図し得るので、この表面は、使用において1つ以上のシステム(20~60)を通らなければならない。したがって、輸送システム(50)は、2つの連続した処理ゾーン(64)が隣接するような手法で部品(2)を変位させるように設計される。この点は、一例としてレーザ処理を取り上げてより詳細に例示されるが、輸送システム(50)のこの特徴は、他のシステム(30、40)の場合も実施され得る。
【0062】
レーザ処理の実施は、部品(2)の表面をレーザシステム(60)の窓(63)の方に向けて配置しなければならないことを含意する。レーザシステム(60)は、相当な機械的調整および安定性を必要とする複雑な光学デバイスを備える。レーザシステムケーシング(60)は、所定位置に固定されている。部品(2)に対するビーム(62)の相対的な変位は、レーザシステム(60)の光学デバイスを変位させることによって、および/または、処理されるべき部品(2)を変位させることによって行われる。その結果、部品(2)は一般的に、連続したゾーン(64)内を処理され、場合により複数のゾーン(64)が複数のレーザビーム(62)によって並行して処理されることもある。レーザシステム(60)は、それに対して露出された部品(2)の部分を処理する。部品(2)は、処理されるべき次のゾーンがレーザシステム(60)の方に向いて配置されるように変位される。好ましくは、この変位は、進行中の処理と同時に実行される。あるいは、この変位は、処理と交互に実行される場合もある。これは、
図19に示され、そこでは、円筒形部品(2)の一部分がすでに処理され、新しいゾーン(64)が処理の準備ができていることを見ることができる。
【0063】
部品(2)の位置決め精度は、例えば、ターンテーブル(51)または1つ以上のキャリッジ(54)を動かす連鎖内に配置された例えば符号器を備える位置符号化デバイスによって向上され得る。あるいは、または加えて、1つ以上の光センサと協働することができる視覚マークが設けられてもよい。これらの視覚マークは、例えば、カメラによって識別されるような手法で部品(2)上に作られるマークとすることができる。さらに、すでに処理されたゾーンが、例えば偏光された光または選択された波長の光を使用して、センサによってまたはカメラによって検出され得る、異なる色またはテクスチャを有する場合、視覚マークを、これらのゾーンであるものと想定することもできる。部品(2)は、上述した配置の解釈のこの変更なくして、レーザシステム(60)に対して連続的に移動することができ得る。この場合、処理ゾーン(64)は、より小さな表面積を有し、それははるかに頻繁にリフレッシュ(refreshed)される。
【0064】
さらに、機械(1)は、特許請求の範囲において定義される本発明の範囲から逸脱することなく、
図1から
図19まで、様々に構成され得る。さらに、上述した様々な実施形態および変形形態の技術的特徴は、それらの全部または一部だけを組み合わせることができる。こうして、機械(1)は、費用、機能および性能に関して適合され得る。
【符号の説明】
【0065】
1 機械
2 部品
10 チャンバ
11 コンパートメント
12 弁
20 真空システム
30 プラズマ発生システム
40 真空蒸着システム
50 輸送システム
51 ターンテーブル
52 タレット
53 プラテン
54 キャリッジ
55 ローラ、ローラコンベア
60 レーザシステム
61 レーザ源
62 レーザビーム
63 窓
64 ゾーン
65 集束修正デバイス
66 偏向デバイス
67 分配および/または向き付けデバイス
68 スポット
70 保護システム
71 カバー
72 シリンダ
73 フィルム
74 ローラ
75 チャンバ
76 アパーチャ
【国際調査報告】