(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-29
(54)【発明の名称】母乳試料の収集
(51)【国際特許分類】
G01N 1/10 20060101AFI20230822BHJP
G01N 1/00 20060101ALI20230822BHJP
【FI】
G01N1/10 V
G01N1/00 101K
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023507258
(86)(22)【出願日】2021-07-30
(85)【翻訳文提出日】2023-01-30
(86)【国際出願番号】 EP2021071503
(87)【国際公開番号】W WO2022023575
(87)【国際公開日】2022-02-03
(32)【優先日】2020-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523032940
【氏名又は名称】アヌエ アーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】グロンスレット,ジャネッテ テレーズ
(72)【発明者】
【氏名】ボルカモ,ゴーラン イェンセン
(72)【発明者】
【氏名】オイスヴォルド,アン リーゼ
【テーマコード(参考)】
2G052
【Fターム(参考)】
2G052AA29
2G052AB16
2G052AB22
2G052AD26
2G052CA18
2G052CA32
2G052DA14
2G052DA27
2G052JA23
(57)【要約】
液体の試料を収集するためのシステム(100)であって、開口部を備える液体貯蔵容器(101)と、貯蔵容器(101)の開口部を密封するように構成されたキャッピング要素(104)とを備える、システム。キャッピング要素(104)は、液体貯蔵容器(101)とは別に液体の試料を貯蔵するように構成されたチャンバを備える。キャッピング要素(104)は、貯蔵容器(101)から採取された液体の試料を貯蔵するように構成されたチャンバを画定するピペット要素(102)を備える。
【選択図】
図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体の試料を収集するためのシステム(100)であって、
開口部(105)を備える液体貯蔵容器(101)と、
キャッピング要素(104、104’、104’’)と、を備え、
前記キャッピング要素(104、104’、104’’)が、前記貯蔵容器(101)の前記開口部(105)を密封するように構成され、
前記キャッピング要素(104、104’、104’’)が、前記液体貯蔵容器(101)とは別に前記液体の試料を貯蔵するように構成されたチャンバ(102a、113、403、505)を備える、システム。
【請求項2】
前記キャッピング要素(104)が、前記貯蔵容器(101)から採取された前記液体の試料を貯蔵するように構成された前記チャンバ(102a)を画定するピペット要素(102、102’、102’’)を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ピペット要素(102、102’、102’’)が、前記ピペット要素(102、102’、102’’)を直立位で支持するように構成された平坦な基部(102d)を備える、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記キャッピング要素(104)が、2つのピペットチャンバ(113)を画定する二重ピペット要素(112)を備え、
各ピペットチャンバ(113)が、前記貯蔵容器(101)から採取された前記液体の試料の一部を貯蔵するように構成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記2つのピペットチャンバ(113)が、相互から分離可能である、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記キャッピング要素(104、104’、104’’)が、前記液体貯蔵容器(101)の前記開口部(105)を密封するように構成されたキャッピング部(109、503)を備え、前記チャンバ(102a、113、403、505)が、前記キャッピング部(109、503)から分離可能である、請求項1~5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記キャッピング部(109)が、前記チャンバ(102a、113、403)が前記キャッピング部(109)から分離されているときに覆われていない第1の液体搬送コネクタ(109b)を備える、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記チャンバ(102a、113、403)が、前記第1の液体搬送コネクタ(109b)と嵌合するように構成された第2の液体搬送コネクタ(102b、102b’、102c、113b、407)を備える、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記第1の液体搬送コネクタ(109b)及び/又は前記第2の液体搬送コネクタ(102b、102b’、102c、113b、407)が、ENFitコネクタを含む、請求項7又は8に記載のシステム。
【請求項10】
プラグ(301、311、321)を更に備え、
前記プラグ(301、311、321)が、2つの端部:前記キャッピング要素(104、104’)の前記チャンバ(102a、113、403)を密封するように構成された第1の端部(305、315、325)と、前記チャンバ(102a、113、403)が前記キャッピング部(109)から分離された後に、前記キャッピング部(109)を密封するように構成された第2の端部(303、313、323)と、を備える、請求項6~9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記液体貯蔵容器(101)の前記開口部(105)は、ねじ式接合部(107)を備える、請求項1~10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記キャッピング要素(104、104’、104’’)が、前記液体貯蔵容器(101)の前記開口部(105)を密封するように構成されたキャッピング部(109、503)を備え、前記チャンバ(102a、113、403、505)が、キャッピング部(109、503)から分離可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記キャッピング部(109)が、前記チャンバ(102a、113、403)が前記キャッピング部(109)から分離されているときに覆われていない第1の液体搬送コネクタ(109b)を備える、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記チャンバ(102a、113、403)が、前記第1の液体搬送コネクタ(109b)と嵌合するように構成された第2の液体搬送コネクタ(102b、102b’、102c、113b、407)を備える、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記第1の液体搬送コネクタ(109b)及び/又は前記第2の液体搬送コネクタ(102b、102b’、102c’、113b、407)が、ENFitコネクタを含む、請求項13又は14に記載のシステム。
【請求項16】
プラグ(301、311、321)を更に備え、
前記プラグ(301、311、321)が、2つの端部:前記キャッピング要素(104、104’)の前記チャンバ(102a、113、403)を封止するように構成された第1の端部(305、315、325)と、前記チャンバ(102a、113、403)が前記キャッピング部(109)から分離された後に、前記キャッピング部(109)を密封するように構成された第2の端部(303、313、323)と、を備える、請求項12~15のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項17】
前記液体貯蔵容器(101)の前記開口部(105)が、ねじ式接合部(107)を備える、請求項1又は請求項12~16のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項18】
前記キャッピング要素(104’)が、シリンジ(401)を備え、
前記シリンジ(401)が、バレル(403)を備え、
前記シリンジ(401)の前記バレル(403)が、前記貯蔵容器(101)とは別に前記液体の前記試料を貯蔵するように構成された前記チャンバを画定する、請求項1又は請求項12~17のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項19】
前記キャッピング要素(104’’)の前記チャンバ(505)が、開口(507)を備え、
前記チャンバ(505)が、前記開口(507)が前記貯蔵容器(101)の前記開口部(105)と流体連通する開位置と、前記開口(507)と前記貯蔵容器(101)の前記開口部(105)との間に流体連通がない閉位置との間で、前記開口部(105)の中心軸の周りを回転可能である、請求項1又は請求項12~17のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項20】
貯蔵容器(101)から液体の試料を収集する方法であって、
前記貯蔵容器(101)を液体で少なくとも部分的に充填することと、
チャンバ(102a、113、403、505)を備えるキャッピング要素(104、104’、104’’)で前記貯蔵容器(101)を密封することと、
前記貯蔵容器(101)及び/又は前記キャッピング要素(104、104’、104’’)を、前記液体の試料が前記貯蔵容器(101)から前記キャッピング要素(104、104’、104’’)の前記チャンバ(102a、113、403、505)に流入するように操作することと、
前記液体の試料を前記キャッピング要素(104、104’、104’’)の前記チャンバ(102a、113、403、505)に貯蔵することと、を含む、方法。
【請求項21】
前記液体が、母乳であり、前記方法が、任意選択的に、
搾乳ポンプを前記貯蔵容器(101)に接続し、前記搾乳ポンプを動作させて母乳を前記貯蔵容器(101)に導入することを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記液体の試料を含む、
前記液体の試料を含む前記貯蔵容器(101)及び前記キャッピング要素(104、104’、104’’)を凍結させる工程と、
凍結された前記試料を含む前記チャンバ(102a、113、403、505)を取り外す工程と、を更に含む、請求項20又は21に記載の方法。
【請求項23】
前記液体の試料を含む前記チャンバ(102a、113、403、505)を取り外すことを更に含む、請求項20又は21に記載の方法。
【請求項24】
前記チャンバ(102a、113、403、505)を取り外すことが、前記キャッピング要素(104、104’、104’’)を前記貯蔵容器(101)から取り外し、任意選択的に、前記貯蔵容器(101)を再密封することを含む、請求項22又は23に記載の方法。
【請求項25】
前記キャッピング要素(104、104’、104’’)が、前記貯蔵容器(101)と前記チャンバ(102a、113、403、505)との間に配設されたキャッピング部(109、503)を備え、前記キャッピング部(109、503)が、前記チャンバ(102a、113、403、505)から分離可能であり、前記チャンバ(102a、113、403、505)を取り外すことが、前記チャンバ(102a、113、403、505)を前記キャッピング部(109、503)から分離することを含む、請求項22~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記キャッピング部(109、503)及び/又は前記チャンバ(102a、113、403、505)を密封することを更に含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
液体の試料を収集するためのシステム(600)であって、
チャネル(611、811)によって接続された、第1のコンパートメント(603、803)及び第2のコンパートメント(602、809)を含む、液体貯蔵容器(601、801)を備え、前記チャネル(611、811)が、前記第1のコンパートメント(603、803)とは別に前記第2のコンパートメント(602、809)に前記液体の試料を貯蔵するために、前記液体が前記第1のコンパートメント(603、803)から前記第2のコンパートメント(602、809)まで流動するように配設され、
前記第1のコンパートメント(603、803)及び第2のコンパートメント(602、809)が、異なるサイズである、システム。
【請求項28】
前記第2のコンパートメント(611)が、ピペット要素(602)を備える、請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
前記第1のコンパートメント(603、803)及び前記第2のコンパートメント(602、809)が、第1の材料から作製され、前記チャネル(611、811)が、第2の材料から作製される、請求項27又は28に記載のシステム。
【請求項30】
前記第1のコンパートメント(603、803)が、ねじ式接合部(607)を備える開口部(605)を更に備える、請求項27~29のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項31】
チャネル(611、811)によって接続された第1のコンパートメント(603、803)及び第2のコンパートメント(602、809)を備える貯蔵容器(601、801)から液体の試料を収集する方法であって、前記チャネル(611、811)は、液体が前記第1のコンパートメント(603、803)から前記第2のコンパートメント(602、809)まで流動するように配設され、前記方法が、
前記第1のコンパートメント(603、803)を液体で少なくとも部分的に充填することと、
前記貯蔵容器(601、801)を、前記液体の試料が、前記チャネル(611、811)を介して前記第1のコンパートメント(603、803)から前記第2のコンパートメント(603、803)まで流動するように操作することと、
前記チャネル(611、811)を、前記第1のコンパートメント(603、803)と前記第2のコンパートメント(602、809)との間で接続解除することと、を含む、方法。
【請求項32】
前記チャネル(611、811)を接続解除する前に、前記液体の試料が前記第2のコンパートメント(602、809)に貯蔵された状態で、前記貯蔵容器(601、801)を凍結させることを更に含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記第2のコンパートメント(602、809)を前記貯蔵容器(601、801)から取り外すことを更に含む、請求項31又は32に記載の方法。
【請求項34】
前記第1のコンパートメント(603、803)、前記第2のコンパートメント(602、809)及び前記チャネル(611、811)が、熱可塑性物質から作製され、前記チャネル(611、811)を接続解除することが、熱溶接を前記チャネル(611、811)に適用することを含む、請求項31~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記液体が、母乳であり、前記方法が、任意選択的に、
搾乳ポンプを前記貯蔵容器(601、801)に接続し、前記搾乳ポンプを動作させて母乳を前記第1のコンパートメント(603、803)に導入することを含む、請求項31~34のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、医療若しくは研究環境における検査又は他の用途(例えば、点眼剤として)のためのドナー母乳試料の収集及び輸送に関する。しかしながら、本発明が、他の食品液体の試料、又は接着剤、塗料、若しくは他の化学物質の試料などのある範囲の分野にわたる様々な液体の試料の収集及び輸送に適用されることも可能である。
【背景技術】
【0002】
母乳の貯蔵及び輸送のための現在の方法は、プラスチックパウチ、ボトル、又はジップロック(登録商標)バッグなどの単純なコンテナの使用を伴う。典型的な最先端の製品は、長期貯蔵、輸送及び検査に関して多数の不利点を有する。これらの不利点は、例えば、早産児のために提供されるドナー母乳の分野で特に明白である。ドナー母乳は、典型的には、ドナーの自宅で収集され、そこで、長期貯蔵のために(すなわち、腐敗を防止するために)、又は(例えば、ドナー母乳バンク若しくは病院への)後の輸送のために凍結される。典型的には、検査のために試料を採取することができる前に、母乳を病院で解凍しなければならない。しかしながら、収集及び検査中に、母乳は汚染の影響を受けやすい。母乳が輸送されているとき、温度変動がその栄養素含有量を低減し得る。
【0003】
結果として、現在の方法は、輸送中にわずかに解凍する場合があり、後に、病院又は母乳バンクで再凍結させることができる、凍結母乳の収集及び輸送に関しては不足がある。母乳が最終的に検査されるとき、代表的である試料が採取されるために、全てではないが大量の収集された母乳が検査のために解凍されなければならない。コンテナ内の母乳の残りは、解凍された後に迅速に使用されなければならないが、新生児に与えるために使用される分量は非常に少ない。これは、かなりの量の廃棄につながり得る。本出願人は、母乳寄付の貯蔵、輸送及び検査のための改善されたプロセスが、母乳の廃棄の著しい低減をもたらし得ることを認識している。同じ考慮事項の多くは、検査目的のために他の液体の試料を採取するとき、例えば、試料を採取するためにコンテナを開くことによって液体の寿命が影響を受ける場合に適用され得る。
【0004】
本開示は、母乳又は他の液体の試料を収集するための改善されたシステム及び方法を提供しようと努める。
【発明の概要】
【0005】
第1の態様から、本発明は、液体の試料を収集するためのシステムを提供し、本システムは、
開口部を備える液体貯蔵容器と、
キャッピング要素と、を備え、
キャッピング要素は、貯蔵容器の開口部を密封するように構成され、
キャッピング要素は、液体貯蔵容器とは別に液体の試料を貯蔵するように構成されたチャンバを備える。
【0006】
本発明の第1の態様によるシステムでは、液体の試料を、外部源からの汚染の低い確率で貯蔵容器から収集することができる。容器のためのキャッピング要素のチャンバ内のより大きい貯蔵容器から試料を収集及び貯蔵することは、付加的容器の中に移すこと、又は別個の収集機器の使用の必要なく、試料が分離されることを可能にし、試料の汚染の可能性を低減する。
【0007】
試料が液体貯蔵容器とは別に貯蔵されるとは、チャンバが貯蔵容器内の残りの液体から物理的に離して試料を保持することを意味する。液体試料がキャッピング要素のチャンバ内に収集されると、それはもはや貯蔵容器内の液体と流体接触しなくなり、貯蔵容器内に逆流しないように保持される。これは、チャンバを取り外すことによって、試料が検査のために独立して採取され得ることを意味する。以下に説明されるように、これは、システムを凍結させる前又は後に起こり得る。試料は、典型的には液体貯蔵容器の容積よりもはるかに小さい所定の体積又は体積範囲を有し得ることが更に理解されるであろう。チャンバは、キャッピング要素に貯蔵される試料の体積又は体積範囲を画定するように構成され得る。少なくともいくつかの実施形態では、チャンバは、最大20mLの内部容積を有し得るが、好ましい実施形態では、チャンバは、2~5mLの内部容積を有する。例えば、チャンバは、母乳の細菌検査又は栄養検査に典型的に使用される試料サイズであるため、母乳試料を収集するための約2mL又は3mLの内部容積を有し得る。
【0008】
一式の実施形態では、キャッピング要素は、液体貯蔵容器の開口部を密封するように構成されたキャッピング部を備え、チャンバは、キャッピング部から分離可能である。チャンバは、ねじること、引くこと、又は他の機械的操作によってキャッピング部から分離され得る。いくつかの実施例では、チャンバは、キャッピング部への易壊性接続を有し得る。いくつかの実施例では、チャンバは、ねじ継手、バイオネット継手、スナップフィットなどを含む、キャッピング部への分離可能な接続を有し得る。キャッピング部から分離可能なチャンバを含むことは、液体試料を含むチャンバが取り外されるときに、貯蔵容器内に貯蔵された液体が(キャッピング部によって)外部環境から密封されたままであることを可能にする。
【0009】
キャッピング部とチャンバとの間の接続は、好ましくは、チャンバがキャッピング部から容易に脱離され得るように配設される。これは、液体貯蔵容器が凍結温度(例えば、-30℃まで下がる)にさらされる用途では有益であり得る。そのような用途では、液体貯蔵容器は、キャッピング部が液体貯蔵容器を密封し、チャンバがキャッピング部を密封した状態で凍結され得、故に、キャッピング部及び液体貯蔵容器の両方が凍結されるときでさえも、チャンバが容易に取り外され得る場合に有利である。
【0010】
いくつかの実施形態では、キャッピング部は、チャンバがキャッピング部から分離されているときに覆われていない第1の液体搬送コネクタを備える。キャッピング部にコネクタを含むことにより、試料が収集され、チャンバが取り外された後に、キャッピング部を介して貯蔵容器を他の機器に接続することが可能になる。例えば、貯蔵容器は、臨床的使用のために流体移送ライン又はシリンジに接続され得る。
【0011】
いくつかの実施形態では、チャンバは、第1の液体搬送コネクタと嵌合するように構成された第2の液体搬送コネクタを備える。これは、チャンバが容易に接続され、キャッピング部から接続解除されることを可能にし得る。例えば、これは、チャンバが複数の試料を連続して収集するために使用されることを可能にし得る。
【0012】
いくつかの実施形態では、第1のコネクタ(及び任意選択的に第2のコネクタ)は、医療用コネクタ部品である。更なる一式の実施形態では、第1のコネクタ及び/又は第2のコネクタは、小口径コネクタ規格のISO 80369シリーズのうちの1つの要件に準拠する。この一連の規格の目的は、異なる臨床用途のための流体移送ライン間、例えば、経腸栄養供給チューブとIVラインとの間の誤接続を防止することである。ISO 80369-1:2010は、液体搬送コネクタが使用されることが意図される、健康分野を規定する。これらのヘルスケア使用分野には、限定されないが、呼吸システム及び駆動ガス、腸及び胃、尿道及び泌尿器、四肢カフ膨張、脊髄軸デバイス、血管内又は皮下のための用途を含む。いくつかの実施形態では、第1の液体搬送コネクタ及び/又は第2の液体搬送コネクタは、ENFitコネクタ、又はISO 80369-3に準拠する任意の他の経腸コネクタを含む。好ましくは、第1のコネクタは、雌型ENFitコネクタを含み、第2のコネクタは、雄型ENFitコネクタを含む。本出願人は、ISO 80369-3(ENFit)に準拠するコネクタを提供することが、他のデバイスへの誤接続を防止するだけでなく、コネクタの誤接続を防止するために役立ち得ることを認識している。例えば、それは、経腸栄養供給シリンジのみがキャッピング部に接続され得るように、ルアーフィットシリンジがENFitコネクタ部品に接続されることを防止し得る。これは、チャンバ及び/又はキャッピング部が経腸栄養供給のために他の機器に正確に接続されることを可能にするため、母乳の収集のために特に有益であり得る。
【0013】
第1の液体搬送コネクタ及び第2の液体搬送コネクタが、ENFitコネクタを含む、いくつかの実施例では、第1の液体搬送コネクタ及び第2の液体搬送コネクタは、チャンバとキャッピング部との間の接続を効果的に固定するために、部分的なねじ山又は完全なねじ山の形態のねじ切りを含んでもよい。いくつかの実施例では、第1の液体搬送コネクタ及び/又は第2の液体搬送コネクタは、Nutrisafe若しくはNutrisafe 2互換コネクタ又は任意の他の医療規格経腸栄養供給コネクタを含んでもよい。
【0014】
いくつかの実施形態では、本システムは、プラグを更に備え、プラグは、2つの端部:キャッピング要素のチャンバを密封するように構成された第1の端部と、チャンバがキャッピング部から分離された後にキャッピング部を密封するように構成された第2の端部とを備える。それぞれ、チャンバ及びキャッピング要素を密封するように構成された2つの端部を有するプラグは、有利には、チャンバ又はキャッピング要素を密封するために使用され得る単一のタイプのプラグが製造されることを可能にし得る。これは、単一の金型が、チャンバ及びキャッピング部の両方と共に使用するためのプラグに使用されることを可能にすることによって、製造のコストを削減し得る。好ましくは、本システムは、試料が取り出された後の貯蔵容器内の液体の寿命を延ばすように、チャンバが分離された後にキャッピング部を密封するための少なくとも1つのプラグを含む。いくつかの実施形態では、本システムは、少なくとも2つのプラグ、すなわち、(第2の端部を使用して)キャッピング部を密封するための第1のプラグと、(第1の端部を使用して)チャンバを密封するための第2のプラグとを含んでもよい。したがって、チャンバが更に輸送されているか、又は試料の検査を待っている間に、チャンバを密封状態に保つために、プラグを使用することができる。しかしながら、システムが、液体(例えば、新鮮な母乳)を収集した後に迅速に凍結され得、関連する開口部が、汚染のリスクが低いとみなされるほど十分に小さくあり得るため、プラグは、キャッピング部又はチャンバのいずれかを密封するために必ずしも必要ではない場合があることを理解されたい。
【0015】
潜在的に重複する一式の実施形態では、液体貯蔵容器の開口部は、ねじ式接合部を備える。そのようなねじ式接合部は、貯蔵容器を他の構成要素に直接接続するために有用であり得る。例えば、ねじ式接合部は、(任意選択的に使い捨て乳房シールドを介して)搾乳ポンプに接続され、搾乳ポンプの収集ボトルなどの付加的コンテナの使用を必要とすることなく、母乳が貯蔵容器内に直接収集されることを可能にし、母乳の汚染のリスクを低減し得る。ねじ式接合部は、途切れているか、若しくは不連続であり得るか、又は単一の連続ねじ山であり得る。
【0016】
液体貯蔵容器は、液体を貯蔵するためのコンテナとして任意の好適な形態をとることができる。様々な実施形態では、液体貯蔵容器は、パウチ(例えば、ポリエチレンなどの可撓性材料から作製される)又はボトル(例えば、ポリプロピレンなどの剛性若しくは半剛性材料から作製される)を含む。液体貯蔵容器は、その中に貯蔵されている液体に基づいて、任意の好適な容積を画定することができる。様々な実施形態では、加えて、又は代替的に、液体貯蔵容器は、少なくとも30mL、40mL、50mL、60mL、70mL、80mL、90mL、100mLl、110mL、120mL、130mL、140mL、又は150mLの内部容積を有する。様々な実施形態では、加えて、又は代替的に、液体貯蔵容器は、最大200mL、210mL、220mL、230mL、240mL、250mL、260mL、270mL、280mL、290mL、又は300mLの内部容積を有する。30mL~300mLの液体貯蔵容積は、母乳が搾り出されて液体貯蔵容器内に収集されるときに特に適切であり得る。
【0017】
第1の一式の実施形態では、キャッピング要素は、貯蔵容器から採取された液体の試料を貯蔵するように構成されたチャンバを画定するピペット要素を備える。ピペット要素は、ピペット要素内の部分真空の生成を通して、試料が液体貯蔵容器から収集されることを可能にし得、試料は、有利には、液体の表面張力によってピペット要素内に保持され得る。ピペット要素内に貯蔵されている試料は、例えば、母乳バンク検査のために、又は代替品としても、別の試料を収集する前に、ユーザが乳児用点眼剤として数滴の母乳を容易に搾り出すことを可能にし得る。
【0018】
ピペット要素は、液体試料を引き込むことによってピペットのように機能することが理解されるであろう。試料を引き込むために、ピペット要素は、ユーザがピペット要素を圧搾して、液体を貯蔵容器からチャンバ内に引き込む部分真空を生成することができるように、少なくとも部分的に可撓性であり得る。ピペット要素は、従来のように、チャンバを画定する液体チューブに接続された可撓性バルブを備えてもよい。しかしながら、従来のピペットは、異なる試料サイズを引き込んで測定するように設計されている一方で、本発明の実施形態におけるピペット要素は、動作時に固定試料体積を引き込むことが望ましいことが理解されている。したがって、液体チューブ(従来のピペットでは目盛りで印付けられるであろう)は、必要ではない。少なくともいくつかの実施形態では、ピペット要素は、チャンバを画定する可撓性バルブを備える。これは、試料が可撓性バルブ内に直接引き込まれてチャンバに貯蔵されることを意味する。上述のように、チャンバ、すなわち、可撓性バルブは、試料の体積(又は体積範囲)を画定するように構成され得る。少なくともいくつかの実施形態では、可撓性バルブは、ユーザがチャンバに引き込まれている液体を観察することを可能にするように、少なくとも部分的に透明である。少なくともいくつかの実施形態では、可撓性バルブは、可撓性エラストマー材料、例えば、シリコーンなどの熱可塑性エラストマーから作製される。好ましくは、ピペット要素のために選択される材料は、例えば、-30℃までの凍結温度に耐えることができる。
【0019】
ピペット要素の利点は、液体試料が真空効果によってチャンバ内に保持されることである。液体試料が未凍結状態で液体貯蔵容器からピペット要素が分離されたとしても、(ピペット要素が圧搾されない限り)試料は落下しないであろう。これは、ピペット要素が独自の一方向弁又はキャップ/プラグを必要としないことを意味する。しかしながら、上記のプラグは、任意選択的に、例えば、内側に貯蔵された試料の汚染を回避するように、ピペット要素を密封するために使用され得る。
【0020】
いくつかの実施形態では、加えて、又は代替的に、ピペット要素は、直立位でピペット要素を支持するように構成された平坦な基部を備える。可撓性バルブを備える、これらの実施形態では、可撓性バルブは、そのような平坦な基部を有するように成形され得る。通常のピペットとは異なり、平坦な基部は、ピペット要素が上下逆さまにされ、直立位で自立することを可能にする。これは、液体試料を検査するために試験ストリップ又はプローブをチャンバに挿入することをより容易にすることができる。
【0021】
ピペット要素は、平坦な基部を備えてもよいが、基部は、ピペット要素が自己支持式であるように、ピペットが上下逆さまにされ、直立位で自立することを可能にする、任意の形態をとり得ることが認識されるべきである。したがって、ピペット要素は、いくつかの実施例では、ピペット要素が上下逆さまにされ、直立位で自立することを可能にする、代替形状の基部を備えてもよい。ピペット要素の基部は、それが直立位で自立することを可能にする、1つ以上の支持突出部を備えてもよい。例えば、基部は、ピペット要素の基部の下に三脚を形成し、ピペット要素が自己支持式であることを可能にする、その表面からの2つ以上の突出部、例えば、3つの突出部を備えてもよい。したがって、いくつかの実施例では、ピペット要素は、ピペット要素が自己支持式であるように構成された基部を備えてもよい。
【0022】
いくつかの実施例では、ピペット要素の相対寸法は、液体試料の凍結、及びピペット要素内のその後続の貯蔵を促進するために選択される。したがって、いくつかの実施例では、液体チューブによって画定されるピペット要素の開口部は、ピペット要素の可撓性バルブ及び/又はピペット要素の基部の幅に対して狭くあり得る。ピペット要素の開口部の幅は、ピペット要素に貯蔵された液体の特性に依存し得る。ピペット要素の開口部の幅は、液体試料が液体の表面張力によってピペット要素内に保持されることを可能にするために、ピペット要素内に保持される液体の表面張力に依存し得る。例えば、ピペット要素が高い表面張力を有する液体を貯蔵するために使用される場合、ピペット要素の開口部の幅は、ピペット要素がより低い表面張力を有する液体を貯蔵するために使用される場合よりも大きくあり得る。いくつかの実施例では、ピペット要素の開口部の幅は、8mm以下又は6mm以下であり得る。いくつかの実施例では、ピペット要素の開口部の幅は、4~7mm、好ましくは、5mm~6mmであり得る。
【0023】
ピペット要素の可撓性バルブの幅は、ピペット要素に貯蔵される液体試料の所望の体積に依存し得る。いくつかの実施例では、可撓性バルブの幅は、少なくとも15mm、少なくとも20mm、又は少なくとも25mmであり得る。可撓性バルブの幅は、60mm以下、50mm以下、又は40mm以下であり得るが、好ましくは、30mm以下である。しかしながら、いくつかの実施例では、可撓性バルブの幅はこれよりもかなり大きくあり得ることが理解されるであろう。
【0024】
ピペット要素の基部の幅は、ピペット要素が上下逆さまにされ、直立位で自立することを可能にしながら、ピペット要素に貯蔵される液体試料の所望の体積に依存し得る。いくつかの実施例では、ピペット要素の基部の幅は、少なくとも5mm、少なくとも10mm、又は少なくとも15mmであり得る。ピペット要素の基部の幅は、50mm以下、40mm以下、30mm以下、又は20mm以下であり得る。しかしながら、いくつかの実施例では、ピペット要素の基部の幅は、これよりもかなり大きくあり得ることが理解されるであろう。いくつかの実施例では、ピペット要素の可撓性バルブは、非円形であり得、これらの場合、上記の寸法は、最大幅を指す。
【0025】
母乳試料を収集するための1つの好ましい実施例では、ピペット要素の開口部の幅は、5.5mmであり、ピペット要素の基部の最大幅は、13.9mmであり、ピペット要素の可撓性バルブの最大幅は、24.3mmである。
【0026】
チャンバが第2の液体搬送コネクタを備える実施形態では、ピペット要素は、開放端に液体搬送コネクタを有し、反対端に平坦な基部を有するように配設され得る。これは、ピペット要素が、液体搬送コネクタを上向きにして平坦な基部上に直立して静置し得ることを意味する。これは、作業面上に置くことができるピペット要素を取り扱うこと、及び液体搬送コネクタを通して試料にアクセスすることをより容易にする。
【0027】
いくつかの実施形態では、キャッピング要素は、2つのピペットチャンバを画定する二重ピペット要素を備え、各ピペットチャンバは、貯蔵容器から採取された液体試料の一部を貯蔵するように構成される。二重ピペット要素の使用は、液体の2つの別個の試料が収集されることを可能にし、これは、収集後に2つの異なる目的のために使用され得る。例えば、母乳の収集において、第1の試料は、細菌学的検査のために使用され得、第2の試料は、母乳の栄養素含有量を検査するために使用され得るか、又は試料のうちの1つは、乳児用点眼剤として使用され得る。
【0028】
いくつかの実施形態では、2つのピペットチャンバは、相互から分離可能である。これは、2つのピペットチャンバ内に収集された試料の別個の使用を促進し、例えば、2つの試料が独立して検査されることを可能にするか、又は第2の試料が検査されている間に第1の試料が貯蔵されることを可能にするか、若しくは1つの試料が乳児用点眼剤として使用されることを可能にし得る。
【0029】
第2の一式の実施形態では、キャッピング要素は、シリンジを備え、シリンジは、バレルを備え、シリンジのバレルは、貯蔵容器とは別に液体の試料を貯蔵するように構成されたチャンバを画定する。シリンジを備えるキャッピング要素は、特定の体積の液体試料がより正確に収集されることを可能にし得る。シリンジに貯蔵されている試料はまた、検査のために試料を取り扱うこと、又は別様に、例えば、乳児用点眼剤として試料を投与することをより容易にし得る。
【0030】
第3の一式の実施形態では、キャッピング要素のチャンバは、開口を備え、チャンバは、開口が貯蔵容器の開口部と流体連通する開位置と、開口と貯蔵容器の開口部との間に流体連通がない閉位置との間で、開口部の中心軸の周りを回転可能である。
【0031】
第2の態様によれば、本発明は、貯蔵容器から液体の試料を収集する方法を提供し、本方法は、
貯蔵容器を液体で少なくとも部分的に充填することと、
チャンバを備えるキャッピング要素で貯蔵容器を密封することと、
液体の試料が貯蔵容器からキャッピング要素のチャンバに流入するように、貯蔵容器及び/又はキャッピング要素を操作することと、
液体の試料をキャッピング要素のチャンバに貯蔵することと、を含む。
【0032】
これは、キャッピング要素のチャンバに別個に貯蔵され、したがって、貯蔵容器から独立して採取され得る液体の試料も採取しながら、貯蔵容器内に液体を収集する便宜的な方法であることが理解されるであろう。チャンバは、容器が充填されるとすぐに、又は以降の時間に取り外され得る。したがって、いくつかの実施例では。本方法は、液体の試料を含むチャンバを取り外すことを更に含んでもよい。
【0033】
いくつかの実施形態では、液体は、母乳である。本方法は、任意選択的に、搾乳ポンプを貯蔵容器に接続し、搾乳ポンプを動作させて母乳を貯蔵容器に導入することを更に含んでもよい。
【0034】
いくつかの潜在的に重複する実施形態では、本方法は、液体の試料を含む貯蔵容器及びキャッピング要素を凍結させる工程と、凍結された試料を含むチャンバを取り外す工程とを更に含む。このようにして、貯蔵容器及びキャッピング要素の組み合わせは、共に凍結され得、その後、液体の試料を含むチャンバは、解凍され得る。これは、有利には、貯蔵容器に含まれる貯蔵された液体の体積全体が解凍されることを必要とすることなく、検査のために少量の液体が解凍されることを可能にする。次いで、より大きな体積の液体の不必要な温度変動を回避しながら、液体の代表的な試料が、検査又は分析され得る。貯蔵容器が、凍結状態から半解凍状態を介して解凍状態に戻って(例えば、母乳バンクへの輸送中に)、断続的に解凍される場合、キャッピング要素内のわずかな別個の試料は、貯蔵容器内のより大きな体積の前に、大体完全に解凍する可能性が高いであろう。そのような解凍及び再凍結は、細菌増殖の源であり得、したがって、キャッピング要素からの分析された試料が細菌増殖で汚染されていない場合、貯蔵容器内の主要体積は、分析された試料と同じ品質であるか、又は分析された試料よりも汚染が少ないかのいずれかであると仮定され得る。換言すると、分析のために採取された試料は、実際には、貯蔵容器内の液体の可能な限り低い品質を表すと仮定され得る。
【0035】
チャンバを取り外すことは、チャンバを取り外し、貯蔵容器に取り付けられたキャッピング要素の一部、例えば、上記のキャッピング部を残すことを含み得るか、又はキャッピング要素全体を取り外し、(任意選択的に)その後、貯蔵容器の開口部を密封することを含み得ることが理解されるであろう。いくつかの代替実施形態では、液体試料を貯蔵するチャンバは、貯蔵容器を凍結させる前に取り外され得る。上述のように、キャッピング要素は、チャンバを画定するピペット要素を備えてもよく、したがって、貯蔵容器から採取された試料は、真空効果によってその液体状態でチャンバの内側に保持される。
【0036】
したがって、いくつかの実施例では、チャンバを取り外すことは、貯蔵容器からキャッピング要素を取り外し、任意選択的に、貯蔵容器を再密封することを含んでもよい。
【0037】
いくつかの実施例では、キャッピング要素は、貯蔵容器とチャンバとの間に配設されたキャッピング部を備え、キャッピング部は、チャンバから分離可能である。そのような実施形態では、チャンバを取り外すことは、チャンバをキャッピング部から分離することを含んでもよい。いくつかのそのような実施例では、それらの内容物の汚染を防止するために、キャッピング部及び/又はチャンバを密封することが有益であり得る。したがって、いくつかのそのような実施例では、本方法は、キャッピング部及び/又はチャンバを密封することを更に含んでもよい。例えば、キャッピング部及び/又はチャンバは、上記のプラグを使用して密封され得る。
【0038】
第3の態様によれば、本発明は、液体の試料を収集するためのシステムを提供し、本システムは、
チャネルによって接続された第1のコンパートメント及び第2のコンパートメントを備える、液体貯蔵容器を備え、チャネルは、第1のコンパートメントとは別に第2のコンパートメントに液体の試料を貯蔵するために、液体が第1のコンパートメントから第2のコンパートメントまで流動するように配設され、
第1のコンパートメント及び第2のコンパートメントは、異なるサイズである。
【0039】
本発明の第3の態様によるシステムでは、液体の試料を、第1のコンパートメントとは別に液体貯蔵容器の第2のコンパートメントに収集することができる。2つのコンパートメントが同じ容器内に形成されるため、液体が付加的容器の中に移される必要なく、かつ別個の収集機器が必要とされることなく、試料の汚染の可能性を低減して、わずかな試料が単離され得る。
【0040】
いくつかの実施形態では、第2のコンパートメントは、ピペット要素を備える。ピペット要素は、ピペット要素内に部分真空を確立することによって、試料が第2のコンパートメントに容易に引き込まれることを可能にし、そこで試料は、ピペット要素とチャネルとの間の液体の表面張力によって保持され得る。
【0041】
いくつかの実施形態では、第1のコンパートメント及び第2のコンパートメントは、第1の材料から作製され、チャネルは、第2の材料から作製される。例えば、液体貯蔵容器の第1のコンパートメント及び第2のコンパートメントが、ポリエチレンから作製され得る一方で、チャネルは、ポリ塩化ビニル(PVC)又はポリウレタンから作製され得る。
【0042】
いくつかの実施形態では、第1のコンパートメントは、ねじ式接合部を備える開口部を更に備える。開口部は、第1のコンパートメントが液体で少なくとも部分的に充填されることを可能にし得る一方で、ねじ式接合部は、例えば、対応するねじ山を伴うキャップを使用して、開口部が密封されることを可能にし得る。ねじ式接合部は、液体貯蔵容器を搾乳ポンプに直接取り付けるために便宜的に使用され得る。
【0043】
更に別の態様によれば、本発明は、液体が第1のコンパートメントから第2のコンパートメントまで流動するように配設されたチャネルによって接続された第1のコンパートメント及び第2のコンパートメントを備える、貯蔵容器から液体の試料を収集する方法を提供し、本方法は、
第1のコンパートメントを液体で少なくとも部分的に充填することと、
液体の試料がチャネルを介して第1のコンパートメントから第2のコンパートメントまで流動するように、貯蔵容器を操作することと、
第1のコンパートメントと第2のコンパートメントとの間のチャネルを接続解除することと、を含む。
【0044】
これは、第2のコンパートメントに別個に貯蔵される液体の試料も採取しながら、貯蔵容器内に液体を収集する便宜的な方法であることが理解されるであろう。第1のコンパートメントと第2のコンパートメントとの間のチャネルは、任意の好適な様式で、例えば、閉鎖されたチャネルを密封することによって、又は切断若しくは断裂して第1及び/又は第2のコンパートメントをチャネルから分離することによって、接続解除され得る。
【0045】
いくつかの実施形態では、液体は、母乳である。本方法は、任意選択的に、搾乳ポンプを貯蔵容器に接続し、搾乳ポンプを動作させて母乳を第1のコンパートメントに導入することを更に含んでもよい。
【0046】
いくつかの実施形態では、本方法は、チャネルを接続解除する前に、液体の試料が第2のコンパートメントに貯蔵された状態で貯蔵容器を凍結させることを更に含む。これは、チャネルの接続解除を促進し、接続解除プロセス中に液体が貯蔵容器から失われる可能性を低減し得る。
【0047】
いくつかの実施形態では、本方法は、貯蔵容器から第2のコンパートメントを取り外すことを更に含む。第2のコンパートメントを取り外すことは、温度制御された環境内で保たれることが必要とされ得る、貯蔵容器の第1のコンパートメント内の残りの液体に影響を及ぼすことなく、例えば、検査のために、第2のコンパートメント内の液体の試料が輸送されることを可能にし得る。
【0048】
いくつかの実施形態では、第1のコンパートメント、第2のコンパートメント、及びチャネルは、熱可塑性物質から作製され、チャネルを接続解除することは、熱溶接をチャネルに適用することを含む。例えば、ホットバー溶接又はインパルス溶接プロセスを使用することによって、熱溶接を適用することは、熱可塑性材料への熱の印加によって、チャネルの対向側が共に融合されることを可能にする。このようにして、第2のコンパートメントに貯蔵された試料は、第1のコンパートメント内の液体から効果的かつ恒久的に接続解除され得る。
【図面の簡単な説明】
【0049】
ここで、添付の図面を参照して、本開示の特定の実施例を記載する。
【
図1A】本発明のいくつかの実施形態による、液体試料収集システムを概略的に図示する。
【
図1B】本発明のいくつかの実施形態による、液体試料収集システムを概略的に図示する。
【
図1C】本発明のいくつかの実施形態による、液体試料収集システムを概略的に図示する。
【
図2】本発明のいくつかの実施形態による、キャッピング部及びピペット要素を概略的に図示する。
【
図3A】本発明のいくつかの実施形態による、ピペット要素の可能なコネクタを概略的に図示する。
【
図3B】本発明のいくつかの実施形態による、ピペット要素の可能なコネクタを概略的に図示する。
【
図3C】本発明のいくつかの実施形態による、ピペット要素の可能なコネクタを概略的に図示する。
【
図3D】本発明のいくつかの実施形態による、ピペット要素の可能なコネクタを概略的に図示する。
【
図4】本発明のいくつかの実施形態による、二重ピペット要素を概略的に図示する。
【
図5A】本発明のいくつかの実施形態による、二重ピペット要素の可能なコネクタを概略的に図示する。
【
図5B】本発明のいくつかの実施形態による、二重ピペット要素の可能なコネクタを概略的に図示する。
【
図6】本発明のいくつかの実施形態による、液体貯蔵容器を伴う搾乳ポンプ及び乳房シールドの使用を概略的に図示する。
【
図7】本発明のいくつかの実施形態による、液体試料収集システムを使用して母乳の試料を収集する例示的なプロセスの工程を記載するフローチャートである。
【
図8A】本発明のいくつかの実施形態による、液体試料収集システムの要素を密封するために使用されるプラグを概略的に図示する。
【
図8B】本発明のいくつかの実施形態による、液体試料収集システムの要素を密封するために使用されるプラグを概略的に図示する。
【
図9A】本発明のいくつかの更なる実施形態による、液体試料収集システムのピペット要素を密封するために使用されるいくつかの代替プラグを概略的に図示する。
【
図9B】本発明のいくつかの更なる実施形態による、液体試料収集システムのピペット要素を密封するために使用されるいくつかの代替プラグを概略的に図示する。
【
図10】本発明のいくつかの他の実施形態による、液体試料収集システムの概略図である。
【
図11A】本発明のいくつかの他の実施形態による、液体試料収集システムの概略図である。
【
図11B】本発明のいくつかの他の実施形態による、液体試料収集システムの概略図である。
【
図12】
図11A及び
図11Bによる液体試料収集システムを使用して母乳の試料を収集する例示的なプロセスの工程を記載するフローチャートである。
【
図13】本発明のいくつかの実施形態による、液体試料収集システムの概略図である。
【
図14】
図13による液体試料収集システムを使用して母乳の試料を収集する例示的なプロセスの工程を記載するフローチャートである。
【
図15A】本発明のいくつかの他の実施形態による、液体試料収集システムを概略的に図示する。
【
図15B】本発明のいくつかの他の実施形態による、液体試料収集システムを概略的に図示する。
【
図16】本発明のいくつかの更なる実施形態による、液体試料収集システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
図1A及び
図1Bは、本発明の第1の実施形態による、液体試料収集システム100を概略的に図示する。液体試料収集システム100は、試験又は分析の目的のために必要とされ得る、液体貯蔵容器内のより大きい体積から液体のわずかな試料を単離するために使用され得る。液体試料収集システム100は、外部源からの汚染の低い確率で液体の試料を収集するために使用され得る。例えば、液体試料収集システム100は、脂肪含有量及び/又は汚染物質の存在が検査されることを可能にするように、母乳のわずかな試料を収集するために使用され得る。
【0051】
いくつかの実施形態では、液体試料収集システム100は、中空貯蔵容器101と、貯蔵容器101を密封するキャッピング要素104とを備える。キャッピング要素は、ピペット要素102と、キャッピング部109とを備える。ピペット要素102は、シリコーンなどの柔軟な材料から作製され、コネクタ102bと、バルブチャンバ102aとを備える。液体の試料は、以下に記載されるように、貯蔵容器101内の液体から分離され、バルブのチャンバ102a内に貯蔵され得る。ピペット要素102のバルブチャンバ102aは、最大20mLの内部容積を有し得るが、好ましい実施形態では、2~5mL、例えば、約2mLの容積を有する。ピペット要素102は、内部に収集された液体の試料が可視的であるために、透明又は半透明である。
【0052】
貯蔵容器101は、その外面上にねじ山接合部107を備える、開口部105を有するパウチ103を備える。パウチ103は、好ましくは、可撓性材料から作製される。パウチ103は、ポリエチレンなどの可撓性プラスチックから作製され得る。パウチ103は、BPAフリープラスチックから作製され得る。代替的に、パウチ103は、金属箔、防水紙材料、又は任意の好適な複合材料若しくは積層材料から作製され得る。パウチ103が不透明である実施形態では、パウチ103は、パウチの内容物がパウチの外部から可視的であるように、
図1Bに示されるような透明窓103aを備えてもよい。しかしながら、貯蔵容器101は、示されるようなパウチ103である必要はなく、代わりに、ボトル、例えば、開口部105がボトルネック開口部である、搾乳ポンプ製造業者から広く入手可能な母乳収集ボトルであり得る。
【0053】
キャッピング要素104のキャッピング部109は、貯蔵容器101の開口部105とピペット要素102との間の接続を促進する任意の部分であり得る。
図1A及び
図1Bに示される実施形態では、キャッピング部109は、キャッピング部109を開口部105においてパウチ103に取り付けることができるように、開口部105のねじ山接合部107と嵌合するように構成される、
図1Cに図示されるねじ切り109cを備える。キャッピング部109のねじ切り109cは、開口部105のねじ山接合部107の対応するねじ切りと嵌合する機能が維持される限り、連続又は不連続であり得る。好ましくは、キャッピング部109のねじ切り109cは、製造のコストを削減するために、
図1Cに示されるように不連続である。取り付けられると、開口部105は、効果的に密封される。キャッピング部109はまた、ピペット要素102の適合コネクタ102bと嵌合するように構成された液体搬送コネクタ109bを備える。このようにして、ピペット要素102をキャッピング部109に取り付けて、貯蔵容器101を密封することができる。キャッピング要素104は、単一部品として、すなわち、ピペット要素102がキャッピング部109に既に接続された状態で、開口部105に取り付けられ得る。
【0054】
図1に示される実施形態の開口部105は、ねじ山接合部107を備えるが、いくつかの実施形態では、開口部105は、ねじ切りを備えず、代わりに、その外面上にクリップを備える。他の実施形態では、開口部105は、パウチ103自体と一体であり得る。いくつかの実施形態では、キャッピング部が存在せず、パウチ103自体の開口部105は、液体搬送コネクタ109bを備えるか、又は単純に、嵌合コネクタを必要とすることなくキャッピング要素によって覆われ得る開口部を提供する。
【0055】
この実施形態では、コネクタ109b、102bは、ISO 80369-3(ENFit)に準拠し、コネクタ109bは、雌型ENFitコネクタハブを備え、コネクタ102bは、雄型ENFitコネクタを備える。本出願人は、ISO 80369-3(ENFit)に準拠するコネクタを提供することが、ピペット要素102の誤接続を防止するだけでなく、他のデバイスへの誤接続を防止することに役立ち得ることを認識している。例えば、これは、経腸栄養供給シリンジのみがキャッピング部109に接続され得るように、ルアーフィットシリンジがENFitコネクタ109bに接続されることを防止し得る。しかしながら、この実施形態及び以下に記載される他の実施形態におけるコネクタ109b、102bは、ISO 80369-3の代わりに、任意の他の医療規格経腸栄養供給コネクタに準拠し得ることが理解されるであろう。本明細書に記載される液体試料収集システムに適用され得るいくつかの既知の経腸コネクタタイプは、ENFit、Nutrisafe、及びNutrisafe 2である。
【0056】
図2は、コネクタ102b、109bがENFitコネクタである実施形態において、ピペット要素102が取り付けられ、キャッピング部109から取り外される様子を示す。ピペット要素102を取り付けるために、最初に、雄型コネクタ102bが、接続部109の雌型コネクタ109bに挿入され、次いで、ピペット要素102がねじられ、ENFitコネクタ102bをキャッピング部109のENFitコネクタ109bと係止してシールを形成する。ピペット要素102を取り外すために、このプロセスは、逆に実行される。
【0057】
図1及び
図2に示される実施形態のピペット要素102は、雄型ENFitコネクタ102bを備えるが、代替実施形態では、ピペット要素102は、雌型ENFitコネクタハブを備えてもよい。
図3Aが、雄型ENFitコネクタ102bを備えるピペット要素102をより詳細に示す一方で、
図3Bは、雌型ENFitコネクタハブ102cを備えるピペット要素102’を示す。いくつかの実施形態では、ピペット要素102のENFitコネクタは、延長されたねじ切りを備えてもよい。このねじ切りは、ENFit規格と互換性があり、キャッピング部109との接続がより効果的に固定されることを可能にし得る。そのような延長されたねじ切りの例は、延長されたねじ切りを有する雄型ENFitコネクタ102b’を備えるピペット要素102’’を示す、
図3C及び
図3Dに図示される。延長されたねじ切りを備えるコネクタ102b’を有するピペット要素102’’が使用される実施形態では、キャッピング部109は、延長されたねじ切りを含むENFitコネクタ102b’を受容するように構成される。しかしながら、様々な他のコネクタタイプが使用され得ることが理解されるであろう。例えば、ピペット要素102は、スナップオンコネクタ又は摩擦コネクタを使用してキャッピング部109に接続され得る。いくつかの実施形態では、ピペット要素102及びキャッピング部109は、例えば、ピペット要素102が取り外されるときに破壊される、易壊性接続を有する単一部品に成形され得る。
【0058】
図1~
図3に見られる実施形態では、ピペット要素102は、直立位でピペット要素102を支持するように構成された平坦な基部102dを含む。これは、(液体又は凍結状態で)液体試料を含むピペット要素102が、例えば、試料を検査するときに、表面上に便宜的に立ち得ることを意味する。これは、
図8B及び
図9Bに関連して更に記載される。
【0059】
図4は、本発明のいくつかの実施形態では、ピペット要素102の代わりに貯蔵容器101と共に使用され得る、二重ピペット要素112を示す。二重ピペット要素112は、以前に記載されたキャッピング部109に取り付けることができる2つのピペットチャンバ113を備える。二重ピペット要素112は、液体の2つの個々の試料が異なる目的のために収集される必要があるときに使用され得る。例えば、二重ピペット要素112は、貯蔵容器101から母乳の2つの試料:細菌学的検査のための第1の試料、及び母乳の栄養素含有量を検査するための第2の試料を収集するために使用され得る。
【0060】
図5は、二重ピペット要素112とキャッピング部109との間の2つの可能なタイプの接続を示す。
図5Aは、摩擦によってアダプタ114内に共に保持された二重ピペット要素112の2つのピペットチャンバ113を示す。アダプタ114は、キャッピング部109のコネクタ109bと嵌合するように構成された任意の好適なアダプタであり得る。ピペットチャンバ113は、ペアとしてアダプタ114の内側の貯蔵容器101から取り外され得、後に、アダプタから個々に分離されて取り外され得る。代替的に、ピペットチャンバ113は、アダプタ114がその場にある間に個々に取り外され得る。
図5Bは、ピペットチャンバ113の各々が、以降でハーフコネクタ113bと称される、ENFitコネクタの半分と同等なコネクタで終端する、代替実施形態を示す。接続は、キャッピング部109上の雌型ENFitコネクタハブ109bと、ピペットチャンバ113が相互の隣に配置されるときにピペットチャンバ113の各々の上の2つのハーフコネクタ113bの組み合わせによって形成される雄型ENFitコネクタとの間に形成され得る。いくつかの実施形態では、ピペットチャンバ113は、それらの使用を促進するために、相互にスナップロックされ得る。
【0061】
貯蔵容器101は、開口部105のねじ山接合部107において、又はキャッピング部109のコネクタ109bにおいて、付加的構成要素に接続され得る。
図6は、
図1の貯蔵容器101と共に使用される搾乳ポンプセット200を示す。搾乳ポンプセット200は、ねじ山107を介してパウチ103に接続された乳房シールド201を含む。乳房シールド201は、搾乳ポンプの収集ボトルなどの付加的コンテナの使用を必要とすることなく、母乳をパウチ103の中に直接搾り出すことができ、母乳の汚染のリスクを低減するように、搾乳ポンプ203(電動又は手動)に接続される。ポンピングが完了し、ポンプセット200が取り外されると、他の構成要素、例えば、上記で既に記載されたキャッピング要素104が、開口部105のねじ山107において接続され得る。試料がピペット要素102内に収集され、ピペット要素102が取り外されると、母乳をパウチ103から早産児に直接移送するために、経腸栄養供給シリンジが、残りのキャッピング部109のコネクタ109bに接続され得る。したがって、汚染の可能性が最小限に抑えられる。これらの工程は全て、例えば、病院で搾り出される場合、母乳が新鮮である間に行われ得るか、又は以下に更に記載されるように、母乳は後で使用するために凍結され得る。
【0062】
図7は、
図1~
図6に記載されるピペット要素102を含む液体試料収集システム100の実施形態を使用して、母乳の試料を収集するプロセスを示すフローチャートである。工程701では、貯蔵容器101のパウチ103は、母乳で少なくとも部分的に充填される。母乳は、
図6に関連して説明されるように、貯蔵容器101の中に直接搾り出され得るか、又は搾乳ポンプの収集ボトルなどの別のコンテナから貯蔵容器101の中に移され得る。工程703では、キャッピング要素104が、開口部105において貯蔵容器101に取り付けられる。工程705では、パウチ103内の母乳が、圧縮されているピペット要素102に向かって流動し、ピペット要素102のバルブ102aの内側に部分真空を形成するように、貯蔵容器101が回転される。工程707では、バルブ102a上の圧力が、解放され、貯蔵容器101からの母乳の試料が、部分真空によってピペット要素102のバルブ102aに引き込まれ、そこで、母乳の表面張力によって、貯蔵容器101内の液体から分離された試料として定位置に保持される。したがって、ピペット要素102内に含まれる母乳の試料は、もはやパウチ103内の液体と流体接触しなくなり、ピペット要素がパウチ103の上方にあるように貯蔵容器101が回転された場合に、パウチ103内に逆流しない。試料をピペット要素102に引き込む前に、貯蔵容器101は、均質で代表的な試料がピペット要素102内に収集されることを確実にするために振盪され得る。工程709では、母乳の試料を含むピペット要素102は、貯蔵容器101から取り出され、検査のために母乳のわずかな試料を移送するために使用することができる。貯蔵容器101及び取り付けられたキャッピング要素104(キャッピング部109及びピペット要素102を含む)は、ピペット要素102が取り外される前に凍結され得る。したがって、工程709は、例えば、病院の母乳バンクへの収集システム100の輸送後に行われ得る。
【0063】
ピペット要素102を貯蔵容器101から取り外した後、その中に貯蔵された残りの母乳は、プラグ301を使用して汚染から保護され得る。摩擦コネクタが使用される実施形態に好適なプラグ301の実施例が、
図8A及び
図8Bに示される。この実施形態では、プラグ301は、一方の端部に円筒形突出部303があり、反対端にテーパ状先端305がある、略円錐形状を有する。プラグ301は、パウチ103(キャッピング部109のコネクタ109bを密封することによって)及びピペット要素102の両方を一緒又は個別のいずれかで密封するように構成される。プラグ301の基部からの円筒形突出部303は、キャッピング部109のコネクタ109bと嵌合するように構成され、プラグ301の先端305は、ピペット要素102のコネクタ102bと嵌合するように構成される。
図8Bに見られるように、プラグ301は、ピペット要素102が平坦な基部102d上に静置している間に、ピペット要素102の開口部を密封するために使用され得る。このようにして、ピペット要素102に貯蔵された液体の試料の汚染の可能性は、それが更に輸送されている間に、又は液体試料の検査を待っている間に低減され得る。
【0064】
図8A及び
図8Bは、それぞれ、パウチ103(取り付けられたキャッピング部109のコネクタ109bを密封することによって)及びピペット要素102を密封するために使用されているプラグ301を示す。
図8A及び
図8Bは、摩擦コネクタを使用してパウチ103及びピペット要素102を密封するように構成されたプラグ301を示すが、プラグ301の円筒形突出部303及びテーパ状先端305は、ある範囲のコネクタタイプ、例えば、ENFitコネクタ又はスナップオンコネクタと嵌合するように構成され得ることが理解されるであろう。
【0065】
他の実施形態では、
図9A及び
図9Bに示されるように、略円筒形状を有するプラグ311が使用され得る。
図9Aは、略円筒形状を有し、(
図8Aに見られるように取り付けられたキャッピング部109のコネクタ109bを密封することによって)貯蔵容器及びピペット要素102を密封するように構成されたプラグ311を示す。プラグ311は、キャッピング部109のコネクタ109bと嵌合するように構成された狭いセクション313と、ピペット要素102のコネクタ102bと嵌合するように構成された広いセクション315とを備える。
図9Aに示される実施形態では、プラグ311は、ピペット要素102のコネクタ102bの周囲にシールを形成することができるように、ゴム又はシリコーンなどの圧縮可能な材料から作製される。
図9Aでは、プラグ311は、平滑表面を有するものとして示されているが、他の実施形態では、リブ付き表面を有するプラグが使用され得る。
図9Bは、本発明の別の実施形態によるプラグ321を示す。プラグ321は、リブ付き表面を有し、キャッピング部109のコネクタ109bと嵌合するように構成された狭いセクション323と、ピペット要素102のコネクタ102bと嵌合するように構成された広いセクション325とを備える。プラグ321のリブ付き表面は、有利には、キャッピング部109又はピペット要素102を密封/密封解除するために使用されるときに、プラグ321がユーザによってより容易に把持されることを可能にし得る。
【0066】
図9A及び
図9Bは、ENFitコネクタを使用して貯蔵容器及びピペット要素を密封するように構成されたプラグ311、321を示すが、プラグ311、321は、ある範囲のコネクタタイプ、例えば、摩擦コネクタ又はスナップオンコネクタと嵌合するように構成され得ることを理解されたい。
【0067】
本発明の第1の態様によるいくつかの実施形態では、キャッピング要素104は、ピペット要素102を備えない。代わりに、液体の試料を貯蔵することが可能なチャンバを備える、ある範囲の代替キャップが使用され得ることが理解されるであろう。
【0068】
図10は、ピペット要素102が、シリンジ要素401及びキャッピング部109を備えるキャッピング要素104’においてシリンジ要素401によって置き換えられる、本発明の第1の態様による液体試料収集システム100の実施形態を示す。
図10に見られるように、シリンジ要素401は、キャッピング部109を介して貯蔵容器101の貯蔵パウチ103に接続される。キャッピング部109及びパウチ103は、
図1~
図7に関連して記載されるものと同一であり、ここでは説明を繰り返さない。
【0069】
シリンジ要素401は、バレル403と、プランジャ405と、キャッピング部109のコネクタ109bと嵌合するように構成されたコネクタ407とを有する。コネクタ407は、キャッピング部109のコネクタ109bと嵌合するように構成された任意の適切なコネクタであり得る。いくつかの実施形態では、コネクタ407は、ENFitコネクタを含んでもよい。いくつかの実施形態では、コネクタ407は、スナップオンコネクタ又は摩擦コネクタを含んでもよい。いくつかの実施形態では、シリンジ要素401及びキャッピング部109は、シリンジ要素401が取り外されるときに破壊される、単一部品に成形され得る。
【0070】
シリンジ要素401は、
図7に関連して記載されるピペット要素102と同様の様式で使用される。シリンジ要素401を使用する試料の収集は、部分真空がピペット要素102のバルブ102a内ではなくシリンジ要素401のバレル403内に形成されるという点で、ピペット要素102のものとは異なる。シリンジ要素401のコネクタ407は、プランジャ405がバレル403内に完全に挿入された状態でキャッピング要素109のコネクタ109bに取り付けられる。次いで、貯蔵容器101は、その内容物がシリンジ要素401に向かって流動するように回転され、プランジャ405は、バレル403から部分的に引き抜かれる。これにより、シリンジ要素401のバレル403内に部分真空が形成され、液体を貯蔵容器101内からシリンジ要素401のバレル403に流入させ、液体は、貯蔵容器101内に残っている液体とは別に保持される。試料がシリンジ要素401のバレル403に引き込まれると、母乳の試料を含むシリンジ要素401は、貯蔵容器101から接続解除され、母乳のわずかな試料を、例えば、検査のための適切なコンテナに移送するために使用することができる。貯蔵容器101及び取り付けられたシリンジ要素401は、シリンジ要素401内の試料の品質を保ち、起こり得る汚染を防止するために、シリンジ要素401が取り外される前に凍結され得る。シリンジ要素401が取り外された後、貯蔵容器101及びシリンジ要素401は、ピペット要素102が同等のコネクタを有するシリンジ要素401によって置き換えられた状態で、
図8A、
図8B、
図9A及び
図9Bに関連して記載されるプラグで密封され得る。
【0071】
図11A及び
図11Bは、チャンバ505と、キャッピング部503とを備える、キャッピング要素104’’が使用される、本発明の第1の態様の更なる実施形態による液体試料収集システム100を示す。キャッピング要素104’’は、ねじ山接合部107によってパウチ103の開口部105に接続され、示される実施形態では、2つの部分:キャッピング部503及びチャンバ505を備える。キャッピング部503及びチャンバ505は、それぞれ、第1の開口507a及び第2の開口507bを備える。チャンバ505は、第2の開口507bが、それが第1の開口507aと流体連通する第1の位置(
図11Aに示される)と、第1の開口507aと第2の開口507bとの間に流体連通がない第2の位置(
図11Bに示される)との間で、回転され得るように、開口部105の中心軸の周りで回転可能である。
【0072】
キャッピング要素104’’は、
図12に関連して記載されるように、パウチ103から母乳の試料を収集するために使用され得る。
図12は、
図11に示されるキャッピング要素104’’を含む液体試料収集システム100の実施形態を使用して、母乳の試料を収集するプロセスを示すフローチャートである。
【0073】
工程1101では、貯蔵容器101のパウチ103が、母乳で部分的に充填される。母乳は、
図6に関連して説明されるように、貯蔵容器101のパウチ103の中に直接搾り出され得るか、又は搾乳ポンプの収集ボトルなどの別のコンテナからパウチ103の中に移され得る。工程1103では、キャッピング要素104’’が、開口部105においてパウチ103に取り付けられる。工程1105では、チャンバ505は、第2の開口507bが第1のアパーチャ507aと流体連通し、母乳が貯蔵容器101とチャンバ505との間で流動することを可能にするように、キャッピング部503に対して回転される。工程1107では、貯蔵容器101は、母乳がチャンバ505に流入するように、容器内の母乳がキャッピング要素104’’に向かって流動するように、回転される。工程1109では、チャンバ505は、第2の開口507bがもはや第1の開口507aと流体連通しなくなり、チャンバ505内に液体の試料を密封するように、キャッピング要素503に対して回転される。工程1111では、チャンバ505内に母乳の試料を含むキャッピング要素104’’は、貯蔵容器101から取り外され、母乳のわずかな試料を検査のための適切なコンテナに移送するために使用することができる。貯蔵容器101及び取り付けられたキャッピング要素104’’は、第2のキャッピング要素104’’内の試料の品質を保ち、試料の起こり得る汚染を防止するために、キャッピング要素104’’が取り外される前に凍結され得る。
【0074】
いくつかの実施形態では、キャッピング要素104’’は、チャンバ505と、パウチ103の開口部105が完全に覆われ、キャッピング要素104’’内への液体の流動を防止する位置と、パウチ103の開口部105が少なくとも部分的に開いており、キャッピング要素104’’内への液体の流動を可能にする第2の位置との間で回転され得る、カバーとを備えてもよい。
【0075】
本発明の別の態様によれば、液体の試料は、液体の試料を貯蔵するように構成されたキャッピング要素を使用することなく、パウチ603から収集され得る。
図13は、パウチ603と、開口部605と、キャップ604と、パウチ603と一体的に形成されたピペット要素602とを備える、貯蔵容器601からなる液体試料収集システム600を示す。パウチ603及びピペット要素602は、熱可塑性材料から形成され得、好ましくは、それらの内容物を容易に観察することができるように透明である。ピペット要素602は、ピペット本体611によってパウチ603に接続される。ピペット要素602のチャンバは、最大20mLの内部容積を有し得るが、好ましい実施形態では、2~5mLの容積を有する。開口部605は、キャップ604が、その内面上の対応するねじ切りを用いて接続され得る、ねじ山607(図示せず)を備えてもよい。開口部605のねじ山607はまた、
図6に示される実施形態に関連して記載されるものと同等の様式で、搾乳ポンプに接続された単回使用の使い捨て乳房シールドなどの付加的構成要素を接続するために使用することもできる。このようにして、搾乳ポンプの収集ボトルなどの付加的コンテナの使用を必要とすることなく、母乳をパウチ603の中に直接搾り出し、母乳の汚染のリスクを低減することができる。
【0076】
図14は、統合ピペット要素602を備えるパウチ603を含む液体試料収集システム100の実施形態を使用して、母乳の試料を収集するプロセスを示すフローチャートである。工程1301では、パウチ603が、母乳で部分的に充填される。母乳は、パウチ603の中に直接搾り出され得るか、又は搾乳ポンプの収集ボトルなどの別のコンテナからパウチ603の中に移され得る。工程1303では、パウチ603の開口部605が、キャップ604を使用して密封される。工程1305では、液体がピペット要素に近い領域に流入するように、パウチ603が操作される。工程1307では、ピペット要素602が、圧縮され、ピペット要素602のバルブの内側に部分真空を形成する。工程1309では、ピペット要素602のバルブ上の圧力が、解放され、パウチ603からの母乳の試料が、部分真空によってピペット本体611を通してピペット要素602のバルブに引き込まれ、母乳の表面張力によってピペット要素602のバルブ内の定位置に保持される。代替的に、ピペット本体611は、パウチ及びピペット要素の反対側が熱可塑性材料への熱の印加によって共に融合される、ホットバー溶接又はインパルス溶接プロセスを使用することなどの熱溶着を使用して、密封することができる。
【0077】
試料をピペット要素602に引き込む前に、密封されたパウチ603は、均質で代表的な試料がピペット要素602内に収集されることを確実にするために振盪され得る。工程1311では、母乳の試料を含むピペット要素102が、パウチ603から取り外される。これは、上記の熱溶接を使用して達成され得る。ピペット要素602が取り外された後、母乳のわずかな試料を検査のための適切なコンテナに移送するために、それを使用することができる。ピペット要素602が熱溶接プロセスによって密封されるため、開口部が試料を取り出すためにピペット要素602に作製されなければならない。パウチ603及び取り付けられたピペット要素602は、ピペット要素602内の試料の品質を保ち、起こり得る汚染を防止するために、ピペット要素602が取り外される前に凍結され得る。
【0078】
図15A及び
図15Bは、液体の試料を貯蔵するように構成されたキャッピング要素を使用することなく、液体の試料がパウチ803から収集され得る、貯蔵容器801からなる液体試料収集システム600の更なる実施形態を示す。
【0079】
図15Aは、開口部805を有するパウチ803、及びチャネル811によってパウチに接続されたコンパートメント809を示す。コンパートメント809及びパウチ803は、同一の熱可塑性材料から作製され得、好ましくは、それらの内容物を容易に観察することができるように、両方とも透明である。チャネル811は、液体がパウチ803とコンパートメント809との間を流動することを可能にするように構成される。チャネル811は、同じ材料から作製され得るか、又はポリ塩化ビニル(PVC)若しくはポリウレタンなどの異なる材料から作製され得る。いくつかの実施形態では、チャネルは、チューブを備える。パウチ803の開口部805は、キャップ604がその内面上の対応するねじ切りを用いて接続され得る、ねじ山807を備えてもよい、キャップ804(図示せず)に接続され得る。開口部805のねじ山807はまた、
図6に示される実施形態に関連して記載されるものと同等の様式で、搾乳ポンプに接続された単回使用の使い捨て乳房シールドなどの付加的構成要素を接続するために使用することもできる。このようにして、搾乳ポンプの収集ボトルなどの付加的コンテナの使用を必要とすることなく、母乳をパウチ803の中に直接搾り出し、母乳の汚染のリスクを低減することができる。
【0080】
図15Aは、パウチ803及びコンパートメント809が分離され、チャネル811のみによって継合される実施形態を示す一方で、
図15Bは、コンパートメント809及びパウチ803が共に接続される実施形態を示す。
【0081】
図15A及び
図15Bに示される液体試料収集システム600は、パウチ803内に貯蔵されるより大きい体積とは別に第2のコンパートメント内に液体のわずかな試料を収集するために使用され得る。パウチ803は、最初に、液体の試料がチャネル811を通してコンパートメント809に流入するように操作され得る。次いで、パウチ803は、パウチ803に貯蔵された液体及びコンパートメント809に貯蔵された液体が分離される位置に戻るように、すなわち、チャネル811内に最小限の液体が存在するか、又は全く存在しないように、回転され得る。次いで、チャネル811は、熱溶接を使用して密封され得る。コンパートメント809(及び任意選択的にチャネル811)はまた、取り外されたコンパートメント809内に液体の試料を密封する、熱溶接を使用して、パウチ803から取り外され得る。以前に記載された実施形態と同様に、液体試料収集システム600は、コンパートメント809内の試料の品質を保ち、起こり得る汚染を防止するために、コンパートメント809が取り外される前に凍結され得る。
【0082】
いくつかの実施形態では、チャネル811は、パウチ803と一体であり得る。
図16は、パウチ803が、狭いチャネル811によって継合された第1のコンパートメント808及び第2のコンパートメント809を備える、実施形態を示す。同じ熱可塑性構造内に第1及び第2のコンパートメントを形成することは、液体試料収集システム600の製造のコストを著しく削減し得る。
図16に示される液体試料収集システム600はまた、チャネル811の接続解除、及び液体試料を含む第2のコンパートメント809の取り外しを促進するために、第1のコンパートメント808と第2のコンパートメント809との間にミシン目813を備える。
図16に示される実施形態では、熱溶接は、液体試料を含む第2のコンパートメント809を取り外すために狭いチャネル811に適用される必要のみある。
【0083】
本開示は、その1つ以上の具体的実施例を記載することによって例証されているが、これらの実施例に限定されず、多くの変形例及び修正が、添付の特許請求の範囲内で可能であることが、当業者によって理解されるであろう。
【国際調査報告】