(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-29
(54)【発明の名称】加圧気体駆動液体移送装置およびシステム
(51)【国際特許分類】
A61M 5/155 20060101AFI20230822BHJP
A61J 1/20 20060101ALI20230822BHJP
A61M 5/152 20060101ALI20230822BHJP
A61M 5/178 20060101ALI20230822BHJP
【FI】
A61M5/155
A61J1/20 314B
A61M5/152
A61M5/178 500
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023507297
(86)(22)【出願日】2021-08-04
(85)【翻訳文提出日】2023-03-31
(86)【国際出願番号】 US2021044451
(87)【国際公開番号】W WO2022031784
(87)【国際公開日】2022-02-10
(32)【優先日】2020-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515298235
【氏名又は名称】イネイブル インジェクションズ、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100124648
【氏名又は名称】赤岡 和夫
(74)【代理人】
【識別番号】100060368
【氏名又は名称】赤岡 迪夫
(74)【代理人】
【識別番号】100154450
【氏名又は名称】吉岡 亜紀子
(72)【発明者】
【氏名】ドラッハ,グレッグ
(72)【発明者】
【氏名】ロウエ,ジェイムス
(72)【発明者】
【氏名】ノッブ,ケイトリン
(72)【発明者】
【氏名】ガイガー,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】シュテファンチック,デイヴィッド
【テーマコード(参考)】
4C047
4C066
【Fターム(参考)】
4C047HH01
4C047HH07
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD03
4C066DD13
4C066FF01
4C066FF04
4C066QQ48
4C066QQ58
(57)【要約】
薬剤流体をバイアルから薬剤流体注射装置に移送するための移送装置はバイアルホルダーを含み、バイアルホルダー内に配置されたバイアルスパイクは、バイアルがバイアルホルダーに挿入されると、薬剤流体を含むバイアルに入るように構成される。内部空洞を有する膨張室は、バイアルスパイクと流体連通している。加圧気体カートリッジは、膨張室の内部空洞内に配置され、穿刺先端は、使用者によって作動されたときに加圧気体カートリッジを穿刺するように構成される。バイアルスパイクはまた、移送装置に取り付けられた注射装置と流体連通するように構成されている。
【選択図】
図14A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤流体をバイアルから薬剤流体注射装置に移送するための移送装置であって、
a)薬剤流体を収容するバイアルを受容するように構成されるバイアルエレベータと、
b)前記バイアルエレベータが内部で延伸位置と格納位置との間で動くバイアルエレベータシャフトと、
c)前記バイアルエレベータシャフトの内部に配置されるバイアルスパイクであって、前記バイアルエレベータが前記格納位置にあるとき前記バイアルの内部に位置する前記バイアルスパイクと、
d)気体通路を介して前記バイアルスパイクと流体連通している膨張室と、
e)液体通路を介して前記バイアルスパイクと流体連通している注射装置ポートと、
f)前記膨張室とともに配置される加圧気体カートリッジと、
g)穿刺先端と、
h)ハンマーを有するトリガーバネであって、前記バイアルエレベータが前記延伸位置から前記格納位置に動くと撓んで解放されるように構成されているトリガーバネと、
i)前記加圧気体カートリッジまたは前記穿刺先端に隣接して配置され、前記トリガーバネが撓んだ後に解放されるときに前記トリガーバネの前記ハンマーに係合するように構成されている可撓性壁部分であって、前記膨張室を加圧するために前記加圧気体カートリッジを前記穿刺先端に穿刺させるように構成されている前記可撓性壁部分
とを備える、移送装置。
【請求項2】
通路プレートをさらに備え、気体通路と液体通路が前記通路プレート内に形成されている、請求項1に記載の移送装置。
【請求項3】
前記気体通路と前記液体通路は前記通路プレートに切り込まれている、請求項2に記載の移送装置。
【請求項4】
前記気体通路と前記液体通路は前記通路プレート内に成型されている、請求項2に記載の移送装置。
【請求項5】
前記液体通路内とともに回路内に配置される通気フィルタをさらに備える、請求項1に記載の移送装置。
【請求項6】
前記バイアルエレベータシャフトは、シャフトカム斜面を含み、
前記バイアルエレベータは、前記バイアルエレベータが前記格納位置に向かって動かされるときに前記シャフトカム斜面によって半径方向に内側に動く複数のロックアームを含み、
前記ロックアームのそれぞれは、前記バイアルエレベータが前記格納位置にあるときに前記バイアルエレベータ内に挿入されるバイアルに係合するように構成されるロック肩部を含む、請求項1に記載の移送装置。
【請求項7】
前記バイアルエレベータは、半径方向に延びる複数のロックタブを含み、
前記ロックタブのそれぞれは、ロックポストを含み、
前記ロックアームのそれぞれは、ロック爪を含み、
前記ロック爪は、前記ロックポストが前記バイアルエレベータ内に配置されているバイアルと係合していないとき、前記バイアルエレベータの前記格納位置に向かう動きを制限するように前記ロックタブと係合し、
前記ロックタブは、前記ロックポストが前記バイアルエレベータ内に配置されているバイアルと係合しているとき、前記バイアルエレベータが前記引き込み位置に向かって動くように前記ロック爪と係合しない位置に移動される、請求項6に記載の移送装置。
【請求項8】
前記バイアルエレベータは、前記バイアルエレベータが前記格納位置にあるとき前記バイアルスパイクを受容するバイアルスパイク開口部を含み、
前記バイアルスパイクは、前記バイアルエレベータの前記ロック爪が前記ロックタブに係合しているとき、前記バイアルスパイクが前記バイアルスパイク開口部を通過しないように構成されている、請求項7に記載の移送装置。
【請求項9】
前記バイアルエレベータはカムフックを含み、
さらに、前記バイアルエレベータの周囲で回転可能に配置されるカムリングを備え、
前記カムリングは、前記バイアルエレベータが前記延伸位置から前記格納位置に移動するときに前記カムフックによって横断されるように構成されるカム表面を含み、
それによって前記カムリングは回転し、前記カムリングが回転するとき前記カムリングは前記トリガーバネを撓ませ、解放するように構成されている、請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載の移送装置。
【請求項10】
前記カムリングはリンクフックを含み、
さらに、前記リンクフックと前記トリガーバネに取り付けられるリンクを備え、
前記リンクは、前記カムリングが回転するとき前記トリガーバネを撓ませて解放するように構成されている、請求項9に記載の移送装置。
【請求項11】
前記バイアルエレベータは、前記カムフックが上に配置されるスプラインを含み、
前記エレベータシャフトは、前記バイアルエレベータが前記延伸位置から前記格納位置に移動するときに中でスプラインが移動するスロットを含む、請求項9または請求項10に記載の移送装置。
【請求項12】
通気孔とピストンアセンブリをさらに備え、
前記ピストンアセンブリは、ピストンバネとシールを含み、
前記ピストンバネは前記シールを、前記膨張室内の圧力が予め定められた第1のレベルよりも低下したとき前記通気孔を通って空気が流される位置に向かって付勢するように構成されている、請求項9から請求項11までのいずれか1項に記載の移送装置。
【請求項13】
注射装置を前記移送装置に固定するように構成される保持ストラップとピボットプレートをさらに備え、
前記ピボットプレートは、前記ピボットプレートが前記保持ストラップに係合するラッチ位置と、前記保持ストラップが解放される解放位置の間で旋回するように、前記移送装置に旋回可能に取り付けられており、
前記ピボットプレートは、前記膨張室内の圧力が予め定められた第2のレベルよりも低下したときに前記ピボットプレートが前記解放位置に旋回するように前記ピストンアセンブリに作動的に連結されている、請求項12に記載の移送装置。
【請求項14】
前記ピストンバネは圧縮コイルバネであり、
さらに、前記ピボットプレートを前記解放位置に向かって付勢するように構成されたねじりバネを備える、請求項13に記載の移送装置。
【請求項15】
前記バイアルスパイクは、前記液体通路と流体連通しているカニューレと、前記カニューレ内に配置されている気体管とを含み、前記気体管は、前記気体通路と流体連通している、請求項1に記載の移送装置。
【請求項16】
液体薬剤をバイアルから注射装置に移送する方法であって、
a)撓まされ、その後、解放されるトリガーバネを用いて圧力キャニスタと穿刺先端との間に相対的な動きを与えることによって穿刺先端を用いて圧力キャニスタを穿刺することと、
b)前記穿刺された圧力キャニスタからの空気を膨張室内で減圧することと、
c)液体薬剤を前記バイアルから押し出すために前記膨張室から前記バイアルに空気を導くことと、
d)液体薬剤を前記バイアルから前記注射装置に導くこととを含む、方法。
【請求項17】
前記液体薬剤が前記注射装置に移動するときに前記液体薬剤をろ過することをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記工程a)から前記d)は移送装置によって実行され、さらに、
a)保持ストラップを用いて前記注射装置の前記移送装置からの取り外しを制限することと、
b)前記膨張室内の圧力が予め定められたレベルよりも低下したとき前記保持ストラップを解放することとを含む、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【優先権の主張】
【0001】
本出願は、2020年8月4日に出願された米国仮特許出願第63/060,924号に対する優先権および利益を主張し、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本主題は、一般的に、流体をバイアルから医療機器に移送するための装置に関し、特定的には、液体薬剤を供給源バイアルから注射装置および/または薬剤を混合、希釈または再構成し、得られた液体薬剤を注射装置に移すための装置に移送するための加圧気体駆動装置およびシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
患者が一時的にまたは長期間装着する注射装置は、医療分野でよく知られている。本出願の主題は、参照として全体がここに組み込まれる2014年12月24日に公開された、共通に譲渡されたPCT出願公開第WO2014/204894号に記載されている注射装置を排他的ではなく、特に使用するための移送装置に関する。その注射装置は、装置が患者によって着用されている間に、患者への皮下注射、典型的にはボーラス注射のために、薬物、抗生物質、生物学的製剤または他の注射剤であるかどうかにかかわらず、任意の適切な注射可能な薬剤で満たされ得る内部の弾性袋を含む。
【0004】
この注射装置は、患者に注射する前に、所望の注射剤で(全体的または部分的に)満たされなければならない。上記のPCT出願公開はまた、1つまたは複数のバイアルなどの供給源から注射剤を注射装置に移送するための様々な移送装置を開示している。場合によっては、注射剤を希釈または再構成する必要があり、それを達成するためのさまざまな装置が上記出願に開示されている。本出願は、移送、希釈および/または再構成のためのそのような移送装置について、より低い製造コストおよびより少ない廃棄物を可能にする追加の新規な設計および改良を開示する。本明細書に記載された移送装置は、移送モジュール、アクセサリ、アドオン、または他の適切な用語によってさまざまに呼ばれる場合があるが、本明細書に記載されていない装置の構造または機能を限定することを意図するものではない。
【発明の概要】
【0005】
以下に説明し特許請求する装置およびシステムにおいて別々にまたは一緒に具現化することができる本主題のいくつかの態様が存在する。これらの態様は、単独で、または本明細書に記載された主題の他の態様と組み合わせて使用することができ、これらの態様を一緒に説明することは、本明細書に添付された特許請求の範囲においてこれらの態様を別々に使用すること、またはそのような態様を別々にまたはセットとして異なる組み合わせで請求することを排除することを意図するものではない。
【0006】
一態様では、薬剤流体をバイアルから薬剤流体の注射装置に移送するための移送装置は、薬剤流体を含むバイアルを受け入れるように構成されたバイアルエレベータと、バイアルエレベータが内部を延伸位置と格納位置との間で移動するバイアルエレベータシャフトとを含む。バイアルスパイクは、バイアルエレベータが格納位置にあるときにバイアルスパイクがバイアル内に配置されるように、バイアルエレベータシャフト内に配置される。膨張室は気体通路を介してバイアルスパイクと流体連通する。注射装置ポートは、液体通路を介してバイアルスパイクと流体連通している。加圧気体カートリッジは、膨張室に配置される。移送装置は、穿刺先端も含む。トリガーバネはハンマーを有する。トリガーバネは、バイアルエレベータが延伸位置から格納位置に移動するときに撓み、解放されるように構成されている。可撓性壁部分は、加圧気体カートリッジまたは穿刺先端に隣接して配置され、トリガーバネの撓みの後の解放時にトリガーバネのハンマーによって係合されるように構成され、可撓性壁部分が穿刺先端に加圧気体カートリッジを穿刺させ、膨張室を加圧する。
【0007】
別の態様では、液体薬剤をバイアルから注射装置に移送する方法は、撓んでから解放されるトリガーバネを使用して圧力キャニスタと穿刺先端との間の相対運動を提供することにより、穿刺先端を使用して圧力キャニスタを穿刺する工程と、膨張室内の穿刺された圧力キャニスタからの空気を減圧する工程と、液体薬剤をバイアルから押し出し、バイアルから注射装置に液体薬剤を導くように膨張室からバイアルに空気を導く工程とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】単一バイアル加圧気体駆動移送システムおよび注射装置の概略図である。
【0009】
【
図2】二連バイアル加圧気体駆動移送システムおよび注射装置の概略図である。
【0010】
【
図3】注射装置が取り付けられた、本開示の加圧気体駆動移送装置の実施形態の斜視図である。
【0011】
【
図4】注射装置が取り外された、
図3の加圧気体駆動移送装置の斜視図である。
【0012】
【
図5A】ハウジングカバーが取り外された、
図3および
図4の移送装置のバイアルホルダーの拡大斜視図である。
【0013】
【
図5B】
図5Aのバイアルホルダーからカムリングとエレベータシャフトを取り外した状態を示す図である。
【0014】
【0015】
【0016】
【
図7】
図5Aのエレベータシャフトの拡大斜視図である。
【0017】
【0018】
【
図9】本開示の移送装置の実施形態および液体薬剤を収容するバイアルの斜視図である。
【0019】
【0020】
【
図10B】ベースプレートが取り外された状態の
図10Aの移送装置を示す図である。
【0021】
【
図11】
図3および
図4の移送装置のバイアルスパイクの拡大部分透視斜視図である。
【0022】
【0023】
【
図13】
図4の移送装置の部分的に透明な断面図である。
【0024】
【
図14A】ハウジングカバーが取り外された、
図3および
図4の移送装置の斜視図である。
【0025】
【
図14B】膨張室ハウジングが取り外された状態の
図14Aの移送装置を示す図である。
【0026】
【0027】
【0028】
【
図17】
図3、
図4および
図15の移送装置の圧力解放ピストンアセンブリ、ピボットプレート、および保持ストラップの一部の拡大斜視図である。
【0029】
【
図18】ハウジングカバーが取り外された、
図3の移送装置の拡大斜視図である。
【0030】
【
図19】
図18の移送装置の通気ハウジングおよび通気孔の拡大斜視図であり、ピボットプレートおよび圧力解放ピストンアセンブリが取り外されている。
【0031】
【
図20】
図19の通気ハウジングおよび通気孔の底面斜視図である。
【0032】
【0033】
【
図22】
図3、
図4および
図15の移送装置の圧力解放ピストンアセンブリのシールリングの拡大斜視図である。
【0034】
【0035】
【0036】
【
図25】
図23および
図24の圧力解放ピストンアセンブリおよびピボットプレートの上面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
2019年4月25日に公開された、その全体が参照により本明細書に組み込まれる共通に譲渡された先に公開されたPCT国際出願公開第WO2016/154413号に記載されているように、
図1は、予め充填された加圧気体シリンダまたはカートリッジの形態の圧力容器100、流量制限器および/または圧力調整器101、液体薬剤バイアル102、および注射装置103を含む単一のバイアル移送システムの概略図である。気体シリンダは、市販されている任意の適切なシリンダであってもよいし、特注のシリンダであってもよい。たとえば、1から1000ccの容量の高圧気体充填使い捨てシリンダを備えたさまざまな潜在的なシリンダが利用可能である。シリンダは、2000~3000psigまたはそれ以上までの適切な圧力まで充填することができる。比較的小容量の使い捨てシリンダが本主題に適していることを理解されたい。例えば、シリンダは、900psigから2000~3000psig以上までなど、500psig以上に加圧された、10mL以下、より好ましくは1~2mLなどの5mL未満の容積を有してもよい。
【0038】
気体は、不活性気体などであるがこれに限定されない任意の適切な気体であってもよい。薬剤と接触するため、気体は病原体を含まない、つまり活性病原体を含まないことが好ましい。窒素またはアルゴンが適切な気体であり得る。穿刺ピンによる穿刺などによってシリンダから放出されると、気体は、シリンダから流量制限器および/または圧力調整器101を通ってバイアル102への適切な流路を通って導かれる。あるいは、シリンダを出る気体は、気体をろ過するために、0.2μm以下の孔径を有するフィルタを通して導くことができる。
【0039】
流量制限器および/または圧力調整器101は、任意の適切な構成であってもよい。単なる一例として、以下に説明する本開示の実施形態では、流量制限器および圧力調整器は、カートリッジが配置され、バイアル102および注射装置103が取り付けられる装置内に形成された室の形態をとることができる。流量制限器/圧力調整器から、流路104は気体をバイアル102に導く。流量制限器/圧力調整器は、上記のフィルタの形態をとることができる。
【0040】
バイアル102は、通常はガラス製の剛性容器部分105を備えた標準的な薬剤バイアルであり、一端が開いており、ラテックス、シリコーン、または他の材料の貫通可能なダイヤフラムまたはセプタム106によって密閉されている。本工程は、好ましくは、気体がバイアルの閉鎖端に流れ、加圧気体の力で本質的にすべての薬剤をバイアルから押し出すように、バイアルを倒立させた位置で実施される。
【0041】
バイアルから、流路107は、気体の圧力下で薬剤を注射装置103などの適切な容器に導き、その例は、前述の共通に譲渡された先に公開されたPCT国際出願公開第WO2014/204894号に記載されている。注射装置は、薬剤を受容するための拡張可能な貯留部、例えば、薬剤からの圧力下で膨張する貯留部などの液体貯留部を有することができる。貯留部は、流路107から取り外されると、使用者が注射装置を作動させると、薬剤を排出するように付勢されてもよい。一例として、注射器の容量は1~50mLである。
【0042】
「注射可能な流体」、「注射可能な」、「薬物」、「医薬品」などの用語は、本明細書では交換可能に使用されることに留意されたい。
【0043】
注射装置103の下面は、充填ポート108および分配ポート112を含み得る。
図1に示されるように、充填ポート108は、移送装置充填通路107が液体を注射装置103に移送することを可能にするインターフェースである。充填ポート108は、好ましくは、注射装置が移送装置から取り外され、充填ポート108が充填通路107から取り外されたときに、加圧された注射剤が注射装置103から漏れるのを防止するための逆止弁を含む。
【0044】
薬剤は、分配ポート112を通過する注射カニューレを介して注射装置103から排出される。
【0045】
限定ではなく例示の目的で、
図2は、事前に充填された加圧気体シリンダまたはカートリッジ120の形態の圧力容器、流量制限器および/または圧力調整器121、液体希釈剤バイアル122D、薬剤バイアル122M、および
図1の注射装置103を含む、加圧気体駆動二連バイアル再構成および移送システムの概略図である。(各バイアル122Dおよび122Mはまた、液体薬剤を含むことができる。)
図1のように、気体シリンダ120は、市販されている任意の適切なシリンダであってもよいし、特注のシリンダであってもよい。
【0046】
また、単一バイアルシステムと同様に、気体は、限定的ではないが、好ましくは病原体を含まない、すなわち活性病原体を含まない不活性気体などの任意の適切な気体であってもよい。穿刺ピンによる穿刺などによって放出されると、気体は、適切な流路を通ってシリンダから流量制限器および/または圧力調整器121を通って希釈剤バイアル122Dに導かれる。あるいは、シリンダを出る気体は、気体をろ過するために、0.2μm以下の孔径を有するフィルタを通して導されることができる。
【0047】
図1のシステムと同様に、流量制限器および/または圧力調整器121は、カートリッジが配置され、バイアル122Dおよび122Mおよび注射装置103が取り付けられている装置の中に形成された室を含む、任意の適切な構成であり得る。流量制限器/圧力調整器から、流路124は気体をバイアル122Dに導く。流量制限器/圧力調整器は、上記のフィルタの形態をとることができる。
【0048】
希釈剤(または第1の液体薬剤)バイアル122Dおよび薬剤(または第2の液体薬剤)バイアル122Mはそれぞれ、通常はガラスである剛性容器部分を有する標準的な薬剤バイアル構成であり得、一方の端が開いており、ラテックス、シリコーンまたはその他の素材の貫通可能なダイヤフラムまたはセプタム126Dおよび126Mによって封止される。本工程は、好ましくは、気体がバイアルの閉鎖端に流れ、気体が薬剤バイアルから出る前に加圧気体の力でバイアルから本質的にすべての希釈剤および/または薬剤を押し出すように、バイアルを倒立させた位置で実施される。
【0049】
希釈剤(または第1の液体薬剤)バイアル122Dから、流路127Dは、気体の圧力下で希釈剤(または液体薬剤)を薬剤バイアル122Mに導き、そこで乾燥状態であれば薬剤を再懸濁することができ、または液体濃縮形態の場合は薬剤を希釈することができる(または液体の非濃縮形態の場合は薬剤と単純に組み合わせ、または混合する)。薬剤バイアル122Mから、混合された薬剤および希釈剤または希釈されたまたは混合された液体薬剤は、気体の圧力下で流路127Mを通って、前述のPCT出願に開示されている注射装置103などの任意の適切な容器に流れる。
【0050】
本開示の加圧気体駆動移送装置の実施形態は、全体的に
図3および
図4に符号140で示されている。移送装置は、ハウジングカバー136およびベースプレート138を含む(
図5A、
図5Bおよび
図10A)。移送装置は、2つの主要部分、すなわち、(1)全体的に符号142で示されるバイアルホルダー部分、および(2)全体的に符号144で示される気体膨張部分を含む。
図3に示され、以下により詳細に説明されるように、注射装置103は、液体薬剤を受け取るために気体膨張部分144にドッキングされ得る。
【0051】
以下に開示される実施形態は単一のバイアルを使用するが、代替実施形態は、
図2に示される方法で2つ以上のバイアルを収容することができる移送ステーションを含む。
【0052】
さらに、以下で説明する移送装置の実施形態は単回使用の使い捨て装置であるが、代替実施形態は再利用可能な移送装置を含む。
【0053】
バイアルホルダー142は、全体的に符号148で示されるバイアルエレベータを中に収容する、
図3および
図4において符号146で示されるバイアルエレベータシャフトを含む。共通に譲渡されたその内容が参照により本明細書に組み込まれるPCT国際出願公開第WO2019/079335号に記載および図示されているように、バイアルエレベータ148は、バイアルエレベータシャフト146内で、上昇または延伸位置(ここでバイアルエレベータ148は、
図3~
図5Bおよび
図9に示される位置にある)と、下降または格納位置(ここでバイアルエレベータ148はバイアルエレベータシャフト146内で下降した位置にある)の間で入れ子式に鉛直方向にスライドする。
【0054】
ハウジングカバーが取り外された
図5Aおよび
図5Bを参照すると、バイアルエレベータシャフト146は、移送装置の通路プレート190に固定されている。より具体的には、バイアルエレベータシャフト146の底部は、通路プレート190の矩形ループ構造147a~147c(
図5B)にスナップ嵌め接続で係合するフック(そのうちの1つが
図7に符号139で示されている)を含む。
【0055】
図5A、
図5Bおよび
図6A、
図6Bに図示されているように、バイアルエレベータ148は円形縁部152を含み、そこからロックアーム154a~154dが下方に延びる。各ロックアーム154a~154dの遠位端は、それぞれがノッチ157a~157dを画定する爪155a~155dを備えるように分岐している。さらに、各ロックアーム154a~154dの上部は、バイアルロック肩部178a~178dを含む。
【0056】
さらに、
図3~
図6にさらに示すように、
図5A、
図5Bおよび
図6A、
図6Bに図示されるように、スプライン156a~156dが縁部152から下方に延び、それぞれが外向きのカムフック158a~158dを含む。停止タブ162a~162dは、エレベータの中央底部から半径方向に延び、それぞれ停止ピン164a~164dを備える。停止タブ162a~162dの遠位端は、爪155a~155dの遠位先端と係合し、爪の内側への移動が阻止される。
【0057】
開口部166(
図6Aおよび
図6B)は、バイアルエレベータ148の底部の中央に形成され、通路プレート190(
図5Aおよび
図5B)に取り付けられた上向きのバイアルスパイクを受け入れる。以下で詳しく説明する。
【0058】
図7に示されるように、バイアルエレベータシャフトが個々に示され、全体的に146で示されるように、バイアルエレベータシャフトは、バイアルエレベータがバイアルエレベータシャフトの中で半径方向に位置合わせされるように、また、バイアルエレベータが動くときに円滑な移動を提供するために、バイアルエレベータ148のスプライン156aと156bをスライド方式で受容する、内側に面するチャネル174a~174dを含む側壁168を有する。
【0059】
図7にも示されているように、側壁168の内面は、内側に延びるカム斜面170a~170dを含む。
【0060】
図5Aおよび
図8に示される実施形態において全体として符号182で示されるカムリングは、ノッチおよび中央開口部188を有する側壁184を含む。各ノッチは、カム面186a~186dが画定されるようにエッジを含む。
【0061】
図5Aに示されるように、カムリング182の中央開口部は、カムリングが通路プレート190上に回転可能に配置されるように、バイアルエレベータシャフト146を受け入れるようにサイズ決めされる。
図5Aに示されるように、バイアルエレベータが上昇または延伸位置にあるとき、スプライン156aのフック158aは、カムリング182のカム面186aの上部に配置される。スプライン156b~156dのフック158b~158dは、カム面186b~186dに対して同じ位置にある。
【0062】
動作中、
図9のバイアル153について示されているように、逆向きのバイアルは、バイアルエレベータが上昇位置または延伸位置(
図3~
図5B)にあるとき、バイアルエレベータ148内に配置され、バイアルのセプタムまたは縁部によって形成される下向きの表面は、停止タブ162a~162dの停止ピン164a~164d(
図5A~
図6B)と係合する。使用者はバイアルを静かに押し下げる。これが起こると、バイアルエレベータ148の停止タブ162a~162dの遠位端は、停止ピン164a~164dを下向きに押すバイアルの下向きの端面(セプタムおよび/またはバイアル縁部)により、下向きに押される。その結果、ロックアーム154a~154dの爪155a~155dは内側に自由に動く。
【0063】
使用者がバイアルを下に押し続けると、バイアルエレベータ148が(
図5Aの矢印169の方向に)下方に移動し、静止バイアルエレベータシャフト146に入り、格納位置に向かう。
【0064】
バイアルエレベータ146が格納位置に向かって下方に移動すると、ロックアーム154a~154dの遠位端の爪(
図6Aおよび
図6Bの155a~155b)は、エレベータシャフトカム斜面(
図7の170a~170d)の付勢により内側に移動する。バイアルエレベータ148が完全に格納された位置に達すると、ロックアーム154a~154dのバイアルロック肩部(
図5A~6Bの178a~178d)は、バイアルのネックと係合する位置に移動する。さらに、カムフック158a~158d(
図5A~6B)のそれぞれは、カムフック158aおよび158bに対して図示されたエレベータロックループ182aおよび182bなどの対応する長方形のエレベータロックループに係合している。その結果、バイアルエレベータ148は、下降または格納位置にロックされ、バイアルはバイアルホルダー142内にロックされる。
【0065】
単なる例として、各バイアルは、13~20mmのネック仕上げで1~50mLの容量を有することができる。
【0066】
前述のように、使用者が、バイアルエレベータ内にバイアルがない状態で、バイアルエレベータシャフト146内にバイアルエレベータ148を押し下げようとすると、ロックアーム154a~154dの遠位端上の爪155a~155dの内側への移動が、バイアルエレベータ148が格納位置に移動するのを防止するように、停止タブ162a~162dの遠位端との係合により防止される。バイアルエレベータ148の底部から通路プレート(
図5Aおよび
図5Bの符号190)の底部までの間隔は、ロックアームの爪が停止タブと係合しているときに、バイアルホルダーベースの底に位置するバイアルスパイクの先端は、バイアルエレベータの底の下方にある(すなわち、上向きのバイアルスパイクは、エレベータ底の開口部166をまだ通過していない)ようにされている。その結果、使用者はバイアルのスパイクに指を突き刺すことから保護される。
【0067】
図10Aに示されるように、ベースプレート138は、移送装置140のハウジング136の底部を覆う。
図10Bに示すように、ベースプレートを取り外すと、全体的に符号190で示される通路プレートと、気体膨張室194が現れ、後者は、後述するように、バイアルを加圧するための加圧気体源として機能する。
【0068】
図10Bに示すように、気体膨張室194には、圧縮窒素などの圧縮気体を含む気体カートリッジ204(
図10Bでは透明に示されている)を保持および支持するように構成されたブラケット202が設けられている。もちろん、他のタイプの圧縮または加圧気体を含むカートリッジを使用することもできる。以下でより詳細に説明するように、気体カートリッジは、バイアル(
図9の153)から移送装置140に接続された注射装置(
図3の103)まで液体を駆動するための加圧空気を提供するために穿孔される。
【0069】
通路プレート190には、フィルタ208を保持するためのフィルタ凹部206が設けられており、以下でより詳細に説明するように、流体はそれを通ってバイアルスパイクハブから移送装置に取り付けられた注射装置に移動する。
【0070】
通路プレート190には、液体流路214と同様に気体流路212が形成されている。単なる一例として、通路板は、そこに通路が切断、成形、または他の方法で形成されたプラスチックから形成されてもよい。気体通路212の入口は、気体膨張室194と流体連通しているが、液体通路214の出口は、フィルタ凹部206と流体連通している。
【0071】
気体通路212および液体通路214を通路プレートに一体化することは、少なくとも製造効率およびより短い通路長さの利点を提供する。後者は、通路を通過する流体の圧力降下を減少させ、したがって、より低い圧力の気体キャニスタを使用できるようにする。この構造はまた、移送装置のスケーラビリティを容易にする。単なる一例として、移送装置のベースプレート、ハウジングカバー、通路プレート、および他の構成要素は、プラスチックから構成され、レーザー結合、超音波溶接、または接着剤で一緒に固定されてもよい。
【0072】
図11および
図12に示されるように、液体通路214の入口は、ダクト218を介して、全体的に符号216で示されるバイアルスパイクの下端と流体連通している。ダクト218は、
図5Bおよび
図11に符号219で示されるボス内に配置される。これは、通路プレート190の上面に形成され、バイアルエレベータ(
図5Aおよび
図5Bの符号148)の中央部分の下方に配置される。バイアルスパイク216は、接着剤を介してボス219の孔内に固定され、気体通路212に関する流体の「短絡」を防止する。バイアルスパイク216は、液体開口部220を形成する尖った先端を有する、好ましくはステンレス鋼から構築されるカニューレの形態をとり得る。
【0073】
気体管222は、気体出口開口部224を備え、バイアルスパイク216を通って延びる。気体管222の下端は、通路プレート190内に固定され、気体通路212の出口と流体連通している。単なる一例として、気体管はポリアミドから構成することができる。
【0074】
気体管222から入ってくる気体が、上述の方法で装置内にロックされたバイアルのヘッドスペースに到達するためには、バイアルスパイクの液体開口部220を通り過ぎてバイアル内の薬液の上面に到達できなければならない。その結果、
図11に示されるように、気体管開口部224は、バイアルスパイク216の液体開口部220よりも概して高く配置される。
【0075】
別の実施形態では、バイアルスパイクおよび気体管として、独立した管腔を有する2つの別個のスパイクを使用することができる。
【0076】
バイアルスパイク216の尖った先端は、
図5Aおよび
図5Bのバイアルエレベータ148が下降または格納位置内に動くとき、バイアルダイアフラムまたはセプタムを通過する(バイアルスパイクは、バイアルエレベータの中央開口部166を通過する)。バイアルスパイク216と気体管222は2つの流体通路を提供する。1つは流体をバイアルから押し出すために圧縮気体が流入することを許し、1つは液体を注射装置に排出するためである。
【0077】
バイアルスパイクおよび気体管がバイアル内に完全に配置された後、穿刺された圧縮気体カートリッジ204、気体膨張室194(
図10B)、そして気体通路212からの加圧空気が、気体管222および気体管開口部224を通ってバイアルのヘッドスペース内に解放される。気体出口開口部224を備える気体管222の先端は、全体的にバイアルスパイク216の流体出口開口部220よりも高く、したがって、空気が液体薬剤を通って泡立ち、バイアルのヘッドスペースまたは閉鎖端に入ることができる。
【0078】
バイアル内の液体薬剤は、加圧気体によって、バイアルスパイク開口部220、ダクト218を通って出て、液体通路214を通って通気凹部206の下部または入口側に出るように強制される。
【0079】
図13を参照すると、移送装置140のハウジング136は、注射装置支持面227を含む。移送カニューレ229などの注射装置ポートは、注射装置支持面227を通過する。移送カニューレ229の上端部分は、(
図3の注射装置103によって示されるように)注射装置支持面上に配置された注射装置の充填ポートに入る。移送カニューレ229の底端部分は、フィルタ凹部206の上側または出口側と流体連通している。単なる一例として、移送カニューレは、注射装置の充填セプタムを損傷する危険性を低減するフィレットエッジを有する19ゲージ管であってもよい。
【0080】
引き続き
図13を参照すると、通気フィルタ208は、薬物の移送中にシステムから前端および後端の空気を排出するために使用され、空気が注射装置に入らないようにする。より具体的には、上で説明したように、加圧されたキャニスタに穴が開けられ、バイアルから液体と空気を押し出すための駆駆動として使用される。バイアルスパイク216とフィルタ凹部(したがってフィルタ208)との間の空の液体通路214は、液体が注射装置に押し込まれる前にシステムから排出されるべき前端空気で満たされる。
【0081】
図10Aを参照すると、フィルタ凹部には、フィルタ凹部カバー233に形成された空気出口ポート231が設けられている。PCT国際出願公開第WO2016/154413号(上記参照により組み込まれる)で説明されるように、フィルタ208(
図13)は、親水性膜と疎水性膜とを含み、その間に流体室が配置される。フィルタ凹部206は、液体通路214から流体を受け取る。その結果、流体通路内に捕捉された前端空気は、フィルタ208の疎水性膜を通過し、空気出口ポート231から出て大気中に入る。濾過された液体は、フィルタ208の親水性膜を通過し、移送カニューレ229を通って注射装置に入る。
【0082】
前端の空気は、注射装置を満たすのに必要な圧力と相まって、親水性膜の固有の流れ制限により排出される。これらの要因により、前端の空気は、フィルタ208を通って送られるときに抵抗が最小の通路を見つけるように強制される。これは、制限的な親水性膜を通って注射装置に送られるのではなく、疎水性膜を通って空気出口ポート231(
図10A)を通る。通気フィルタの親水性膜は、液体がそれを通過して注射装置に入るのを可能にする。親水性膜が液体で濡れると、空気は通過せず、液体のみが通過するため、空気が注射装置に入るのを防ぐ。親水性フィルタはまた、空気をろ過するだけでなく、薬物製品からの凝集物または粒子が注射装置に移動するのを防ぐ能力も有する。
【0083】
液体のすべてが注射装置に移送されると、気体膨張室194内を含む移送装置内に残留空気圧が依然として存在する。この空気はフィルタ208に入り、親水性膜によって遮断され、疎水性膜を通ってフィルタ凹部206から大気中に出る。この工程は、気体膨張室内で特定の圧力に達するまで続き、以下に説明する圧力解放アセンブリがシステム内の残りの圧力を排出する。
【0084】
先に示したように、気体膨張室194は、その中に配置された気体カートリッジ204(
図10B)が穿刺されると加圧される。そのためのカートリッジ穿刺機構について説明する。
【0085】
図14Aを参照すると、気体膨張室ハウジング234は、可撓性壁部分236を含む。単なる例として、可撓性壁部分236は、柔軟性のために約0.030インチの厚さを有するプラスチックで構成され得る。
【0086】
全体的に符号238で示されるトリガーバネは、遠位端にハンマー部分242およびラッチ部分243を含み、近位端に多重湾曲保持部分244を含む。通路プレート190上に形成されたブラケット246および保持ポスト248が協働して、トリガーバネの近位端の保持部分を所定の位置に固定する。ハンマー部分242は、
図14Aに示されるように、トリガーバネの弾性力によって、気体膨張室ハウジング234の可撓性壁部分236と係合するように付勢される。単なる例として、トリガーバネ238は、金属または鋼でできていてもよい。
【0087】
引き続き
図14Aを参照すると、リンク252は、第1のノッチ254および第2のノッチ256を含む。第1のノッチ254は、トリガーバネ238の遠位端のラッチ部分243によって係合される。第2のノッチ256は、カムリング182上に形成または固定されたリンクフック258によって係合される。単なる一例として、リンクは鋼、金属、またはプラスチックで形成されていてもよい。
【0088】
図14Bに示されるように、気体カートリッジキャップ262は、符号264で仮想線で示され、鋭い先端を有する穿刺先端を保持する内面を備える。キャップ262は、穿刺先端が加圧気体カートリッジ204のシールに対向する位置に穿刺先端264を保持する。
【0089】
図14Aおよび
図14Bに示すように、キャップ262は、トリガーバネのハンマー部分242が可撓性壁部分と係合する位置に対応する場所で、可撓性壁部分236の内面に隣接して係合して配置される。その結果、可撓性壁部分236は、加圧気体キャニスタキャップ262とトリガーバネ238のハンマー部分242の間に挟まれる。
【0090】
前述のように、
図14Bに示されるように、バイアルエレベータが上昇または延伸位置にあるとき、スプライン156aのカムフック158aは、カムリング182のカム表面186aの上部に配置され、スプライン156dのカムフック158dは、カム面186dの上部に配置される。スプライン156bおよび156cのカムフック158bおよび158c(
図6Aおよび
図6B)は、カム面186bおよび186c(
図8)に対して同じ位置にある。
【0091】
バイアルがバイアルエレベータ(
図4~6の符号148)に挿入され、押し下げられると、バイアルエレベータ148が下降してバイアルエレベータシャフト146内に引っ込むと、バイアルエレベータのスプラインフック158a~158dが、カムリングの対応するカム面186a~186dを下って移動し、カムリングは
図14Aおよび
図14Bの矢印270の方向(すなわち、反時計回り)に回転する。
【0092】
カムリングが矢印270(
図14B)の方向に回転すると、リンク252は、カムリング182のフック258によって、
図14Aおよび
図14Bの矢印272の方向に引っ張られる。その結果、トリガーバネのハンマー部分242は、トリガーバネの付勢に抗して気体膨張室ハウジングの可撓性壁部分236から引き離される。これは、トリガーバネのラッチ部分243がリンク252の第1のノッチ254から滑り出て、撓んだハンマー部分242が可撓性壁部分236から離れて解放されるまで起こる。
【0093】
解放されたハンマー部分242は、撓んだトリガーバネに作用する弾性力により、ハンマー部分が元の位置に跳ね返ると、可撓性壁部分に衝突する。これにより、可撓性壁部分236の中央領域、したがって
図14Bの穿刺先端264が内側に移動し、加圧気体カートリッジ204のシールを穿刺する。供給源ることで、可撓壁部分は(気体膨張室ハウジング234の外側から見たときに)凹状に弾性的に変形する。その結果、上述のように、気体カートリッジからの加圧気体が気体膨張室を満たし、気体通路212を介して気体管222(
図11)に流れる。
【0094】
代替実施形態では、可撓性壁を使用して気体カートリッジを固定穿刺先端に向かって推進し、加圧気体カートリッジのシールを穿刺することができることに留意されたい。
【0095】
気体膨張室194(
図10B)の形状および容積は、気体通路212を介して気体管222(
図11)に、したがって、下降または格納されたバイアルエレベータ内に配置されたバイアルに供給された気体の圧力は、気体カートリッジ204内の気体の圧力よりも低くなる(
図14B)ようにされている。その結果、内部空洞194は圧力調整器として機能する。
【0096】
図14Aを参照すると、チューニングポスト276が通路プレート190上に任意で設けられ、リンク252が上述の方法でカムリング182のフック258によって引っ張られると、リンク252の側面と係合する。その結果、チューニングポストは、好ましくは弾性であるリンク252を撓ませ、リンクが移動し、ノッチ254によるトリガーバネのラッチ部分243の解放に影響を与える。したがって、チューニングポスト276の位置決めは、バイアルエレベータシャフト146内へのバイアルエレベータ148(したがって、その中に配置されたバイアル)の引き込みに関して、トリガーバネのハンマー部分242の解放点を微調整するように調整され得る。
【0097】
図3および
図15に示されるように、全体的に符号300で示される保持ストラップは、輸送中に注射装置103を移送装置140上に保持する。さらに、保持ストラップ300は、以下で説明するように、バイアルから注射装置103への薬物の移送中にラッチされたままになる。すべての薬物が注射装置に移されると、保持ストラップ300が自動的に解放され、注射装置を身体に配置する準備が整ったことを使用者に示す。
【0098】
さらに、薬物が注射装置103に完全に移送された後に残る気体膨張室194(
図10B)内の残留圧力を解放する、移送装置140からの最終通気が実行される。この機能により、使用者が注射装置を移送ベースから早期に取り外すことを防ぐ。ストラップがないと、使用者は、すべての薬剤がバイアルから移される前に注射装置を取り外そうとする場合がある。これらの機能を実行する機能について説明する。
【0099】
図16に示されるように、保持ストラップ300は、一対のヒンジピン303を有する第1の端部301と、ラッチフック305を特徴とする第2の端部302とを含む。
図15に示されるように、ヒンジピン303は、ヒンジピン受容部308内に収容され、ヒンジピン303がその中で自由に回転できるようになっている。単なる一例として、ヒンジピンは、ヒンジピン受容部内にスナップ式で固定され得る。
【0100】
図17に示すように、第2の端部302のラッチフックは、
図3および
図15に示すラッチ位置にピボットプレート308によって固定される。以下に説明するように、ピボットプレート308は、保持ストラップ300のラッチフック305(
図16)を解放するために移送装置からの空気圧の排出中に、
図17に示される位置から矢印312の方向(すなわち、反時計回り)にピボットされる。これにより、注射装置を移送装置から取り外して使用することができる。
【0101】
図10Bおよび
図18に示されるように、膨張室194は通気ハウジング320を備える。通気ハウジングは、
図10B、
図19および
図20において322で示される圧力解放孔または通気孔を含む。
【0102】
図14Aおよび
図17を参照すると、全体的に符号324で示される圧力解放ピストンアセンブリが、通気ハウジング320の圧力解放孔内に配置される。圧力解放ピストンアセンブリは、
図21に全体的に符号330で示され、ヘッド332(
図14A、
図18、
図23および
図25にも示される)およびフランジ334を有するコアを含む。
図21を参照すると、ヘッド332は、一対の耳タブ336aおよび336b、ならびに肩部338aおよび338b、ならびに止め具342を含む。
図22および
図23を参照すると、シールリング344は、フランジ334の下方のコアの底部に取り付けられる。
図14Bおよび
図23に示されるように、圧縮コイルバネ346も、フランジ334の上方のコアの周りに配置される。
【0103】
圧力解放ピストンアセンブリ324は、ピストンアセンブリを頭から先にボア322の底部開口部(
図20に見える)に挿入し、耳タブ336aおよび336b(
図21)を
図19に示されている通気ハウジングの十字形の上部開口部348の対応する部分を通過させることによって通気ハウジング320に取り付けられる。その結果、
図23を参照すると、圧縮コイルバネ346、フランジ334、およびシールリングはすべて通気ハウジングの孔内に配置される。
【0104】
図14Aおよび
図18を参照すると、前述のピボットプレート308は、通気ハウジング320の隣に配置された取り付けポスト352にピボット式に取り付けられている。ねじりバネ354も取り付けポスト352上に配置され、ピボットプレート308を反時計方向(
図25の矢印374)に回転させるように付勢する。
図24に示されるように、ピボットプレートは、停止壁358を有する弓形の主スロット356、凹部362aおよび362bの対向する対、およびスロット364aおよび364bの対向する対を含む。
【0105】
図14Aおよび
図18に示されるように、弓形の主スロット356は、通気ハウジング320の上部を、
図23の圧縮コイルバネ346の付勢によって、
図25に示されているように、細長いスロット356内に配置されているピストンアセンブリのヘッド332と、当初、ピボットプレート308の凹部362aと362b内に配置されていたピストンアセンブリのアーム336aおよび336bで覆う。
図10Bに示されるように、シールリング344は、膨張室内の加圧気体カートリッジが穿刺される前の移送装置に対応する、圧力解放アセンブリがこの構成にあるとき、通気孔322内に配置され、通気孔322を閉じる。
【0106】
使用前の移送装置140、および注射装置103がその上に配置され、保持ストラップ300によってそこに固定された状態が、
図3および
図15に示されている。
図3および
図15に示される移送装置の初期状態に対応する圧力解放ピストンアセンブリ324およびピボットプレートの構成は、
図14A、
図18、
図23および
図25に図示されている。
【0107】
次に、使用者は、液体薬剤を含むバイアルを移送装置のバイアルエレベータに挿入して押し込み、移送装置を作動させてバイアルから注射装置への薬物の移送を開始するように、それを格納位置に向かって移動させる。
【0108】
上述のように、バイアルをシステム内に押し込む動作により、加圧気体カートリッジ(
図10Bおよび
図14Bの符号204)が穿刺され、加圧気体膨張室194(
図10B)が加圧気体で満たされる。気体膨張室内のこの圧力は、シールリング344(
図10Bおよび
図23)の底部を押し、ピストンアセンブリ圧縮バネ346の付勢に抗してピストンアセンブリを
図23の矢印372の方向に押し上げる。その結果、
図25を参照すると、ピストンアセンブリのアーム336aおよび336bは、ピボットプレート308の凹部362aおよび362b(
図24)から上昇する。次いで、ピボットプレート308は、ピストンアセンブリのストップ342がピボットプレート308の停止壁358に接触するまで、ねじりバネ354(
図14Aおよび
図18)の付勢により、
図25の矢印374の方向に回転する。この時点で、シールリング344は依然として通気孔322内に配置されており、バイアルから注射装置への液体薬剤の移送が行われる間、通気孔は閉鎖されたままである。さらに、
図17を参照すると、保持ストラップ300のラッチフックはピボットプレート308と係合したままであるため、保持ストラップは、液体薬剤の移送中に移送装置から注射装置が外れるのを防止する。
【0109】
注射装置への流体の移送が完了すると、通気フィルタ208(
図10Bおよび
図13)は、圧縮空気を移送装置の液体通路214(
図12)から大気に排出し始める。これにより、膨張室194(
図10Bおよび
図13)内の圧力が低下する。膨張室内の圧力が低下すると、圧縮バネ346(
図14Bおよび
図23)が膨張または伸長し始め、
図10Bを参照すると、圧力解放ピストンアセンブリのシールリング344が通気ハウジング320の通気孔322内で下方に移動する。
図10Bおよび
図20において符号382で示される通気ノッチは通気ハウジング320内に形成される。シールリング344がノッチの下に落ちると、膨張室194内からの圧縮空気は、シールリングを迂回し、通気孔322に入る。これにより、シールリング344がさらに下向きに膨張室内に移動し、膨張室内に残っている加圧空気が、通気穴322を通って急速に通気され、注射装置支持面227に形成された通気ポート384(
図4)を通って外に出る。最終通気段階で大気へ。
【0110】
最終排気段階の後、膨張室194(
図10B)内の圧力は大気圧であるため、圧力解放ピストンアセンブリのシールリング344の底部を押し上げる圧力はもはや存在しない。その結果、圧縮バネ346(
図14Bおよび
図23)は自由にさらに拡張でき、ピストンヘッドはピボットプレート308に対して下方に落ちる。これが起こると、止め具342(
図23および
図25)が滑り落ちてピボットプレートの停止面(
図23~
図25の符号358)から離れる。次いで、ピストンアーム336aおよび336bは、
図24および
図25の対向するスロット364aおよび364bを通って落下する。圧縮バネがさらに伸張するにつれてピボットプレート308から離れる。ピストンアーム336aおよび336bがピボットプレート308から離れると、ねじりバネ354の付勢により、ピボットプレートは、
図25の矢印374または
図17の矢印312の方向(反時計回り)にさらに回転する(
図14Aおよび
図18)。その結果、
図17を参照すると、ピボットプレート308は、ストラップが解放されるように、保持ストラップ300のラッチフック(
図16の符号305)から離れて旋回する。次いで、保持ストラップ300は、反対側の端部のピン303(
図16)を介して旋回し、患者が使用するために注射装置を移送装置から取り外すことができる。
【0111】
本主題は、特定の構造、方法、および例を参照して本明細書に記載されているが、これは例示のみを目的としており、本主題は、この主題を採用しながら、特定の構成と外観が異なる広範囲の装置およびシステムに適用可能であることが理解される。
【国際調査報告】