(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-29
(54)【発明の名称】補綴具の配置、手術ガイドの配置、及び下顎整形再組み立てのためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 34/20 20160101AFI20230822BHJP
A61B 34/35 20160101ALI20230822BHJP
A61C 13/007 20060101ALI20230822BHJP
A61C 3/00 20060101ALI20230822BHJP
【FI】
A61B34/20
A61B34/35
A61C13/007
A61C3/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023507954
(86)(22)【出願日】2021-08-04
(85)【翻訳文提出日】2023-04-03
(86)【国際出願番号】 IB2021057161
(87)【国際公開番号】W WO2022029653
(87)【国際公開日】2022-02-10
(32)【優先日】2020-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518432274
【氏名又は名称】ネオシス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】モーゼス,アロン
【テーマコード(参考)】
4C052
4C130
【Fターム(参考)】
4C052LL02
4C130AA04
4C130AA32
4C130AB02
4C130AD02
4C130AD05
(57)【要約】
ロボットシステム及び方法は、顎顔面解剖学的構造と係合する基準マーカと、関節式アーム部材の遠位端にあるエンドエフェクタとを含む。エンドエフェクタは、所定の空間的関係で、補綴具、手術ガイド、又は下顎矯正要素を備える歯科要素を受容する。制御装置は、基準マーカ、関節式アーム部材、及びエンドエフェクタと直接通信して、顎顔面解剖学的構造に対して位置合わせされた関係で歯科要素を配置するため仮想処置計画に従ってエンドエフェクタ移動中に基準マーカに対するエンドエフェクタの配置を決定し、顎顔面解剖学的構造に固定するために歯科要素を配置するために、基準マーカに対するエンドエフェクタの配置に対して直接かつ仮想処置計画に従ってエンドエフェクタの許容可能な移動を物理的に制御するように関節式アーム部材に指示する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯科用ロボットシステムであって、
顎顔面解剖学的構造と係合されるように適合された基準マーカと、
関節式アーム部材であって、その遠位端に係合されたエンドエフェクタを有し、エンドエフェクタは、補綴具、手術ガイド、又は下顎矯正要素がエンドエフェクタと所定の空間的関係で受容されるように配置される、関節式アーム部材と、
コンピュータプログラム製品を格納するメモリとプロセッサを有する制御装置であって、コンピュータプログラム製品は、以下のステップ、
基準マーカ、関節式アーム部材、及びエンドエフェクタと通信して、補綴具、手術ガイド、又は下顎矯正要素を顎顔面解剖学的構造に対して位置合わせされた関係で配置するため仮想処置計画に従って、エンドエフェクタの移動中に基準マーカに対するエンドエフェクタの配置を決定するステップと、
顎顔面解剖学的構造に固定するため、補綴具、手術ガイド、又は下顎矯正要素を位置合わせされた関係に配置するために、仮想処置計画に従って、顎顔面解剖学的構造に係合された基準マーカに対するエンドエフェクタの配置に対して直接、エンドエフェクタの許容可能な移動を物理的に制御するように関節式アーム部材に指示するステップと、
を実行するプロセッサによって実行可能な、
制御装置と、
を備える、歯科用ロボットシステム。
【請求項2】
制御装置のプロセッサによるコンピュータプログラム製品の実行により、補綴具、手術ガイド、又は下顎矯正要素が顎顔面解剖学的構造に対して位置合わせされた関係で配置されているときに、エンドエフェクタの移動が仮想処置計画から逸脱する場合、触覚フィードバックを提供するようにエンドエフェクタに指示するステップを制御装置に実行させる、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
顎顔面解剖学的構造と物理的かつ確実に相互作用され、基準マーカと動作可能に係合されるスプリント器具を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
エンドエフェクタの移動が仮想処置計画から逸脱する場合、制御装置又はエンドエフェクタが、音声フィードバック又は視覚フィードバックを提供するように配置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
補綴具、手術ガイド、又は下顎矯正要素は、所定の空間的関係でエンドエフェクタによって直接受容されるように配置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
所定の空間的関係でエンドエフェクタによって受容されたインターフェイスを備え、インターフェイスは、所定の空間的関係で補綴具、手術ガイド、又は下顎矯正要素を受容するように配置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
インターフェイスは、補綴具を所定の空間的関係で受容するように配置された咬合形態の器具である、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
エンドエフェクタの許容可能な移動を物理的に制御するように関節式アーム部材に指示する制御装置のステップは、補綴具を固定するために補綴具を顎顔面解剖学的構造に埋め込まれた1つ以上のインプラントアンカーと位置合わせされた関係に配置するため、仮想処置計画に従って、顎顔面解剖学的構造と係合された基準マーカに対するエンドエフェクタの配置に対して、直接、エンドエフェクタの許容可能な移動を物理的に制御するように関節式アーム部材に指示することを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
エンドエフェクタの許容可能な移動を物理的に制御するように関節式アーム部材を指示する制御装置のステップは、手術用ガイドを顎顔面解剖学的構造と位置合わせされた関係に配置するために、仮想処置計画に従って、顎顔面解剖学的構造と係合された基準マーカに対するエンドエフェクタの配置に対して、直接、エンドエフェクタの許容可能な移動を物理的に制御するように関節式アーム部材に指示し、手術ガイドは、1つ以上のガイド孔を画定するか、又はガイド孔と係合される1つ以上のガイドインサートを有し、1つ以上のガイドインサートはそれぞれ、固定孔がガイド孔を通して顎顔面解剖学的構造に穿孔されることを可能にするか、又は手術ガイドを顎顔面解剖学的構造に固定するために、ファスナが固定孔との係合のためガイド孔を通して受容されることを可能にするように、ガイド孔を画定することを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
補綴具は、1つ以上のガイド孔を画定するか、又はガイド孔と係合される1つ以上のガイドインサートを有し、1つ以上のガイドインサートはそれぞれ、補綴具が手術ガイドであるようにガイド孔を画定する、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
下顎矯正要素が、顎顔面解剖学的構造の残りの部分とは分離された顎顔面解剖学的構造の一部分であり、エンドエフェクタの許容可能な移動を物理的に制御するように関節式アーム部材を指示するステップは、固定孔が顎顔面解剖学的構造の一部分又は残りの部分内に穿孔されることを可能にするか、又はブラケットを顎顔面解剖学的構造の一部分と残りの部分との間に固定するために、ファスナが固定孔と係合されることを可能にするように、顎顔面解剖学的構造の残りの部分と位置合わせされた関係に顎顔面解剖学的構造の一部分を配置するため、仮想処置計画に従って、顎顔面解剖学的構造と係合された基準マーカに対するエンドエフェクタの配置に対して、直接、エンドエフェクタの許容可能な移動を物理的に制御するように関節式アーム部材に指示することを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
追跡アームの遠位端と係合される検出器を備え、追跡アーム及び検出器は制御装置と通信し、検出器は、基準マーカを検出するために基準マーカと離間された関係で配置され、基準マーカとの空間的関係を決定するために制御装置と協働する、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
検出器は、電気検出器、電気機械検出器、電磁検出器、光検出器、赤外線検出器、又はそれらの組み合わせである、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
基準マーカと物理的に係合される遠位端を有する追跡アームを備え、追跡アームは制御装置と通信し、基準マーカとの空間的関係を決定するために制御装置と協働するように配置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
基準マーカは、電気通信システム、機械通信システム、電気機械通信システム、電磁通信システム、光通信システム、赤外線通信システム、又はそれらの組み合わせを介して、制御装置と通信するように配置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
基準マーカは、無線通信システム又は有線通信システムを介して制御装置と通信するように配置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
制御装置は、補綴具、手術ガイド、又は下顎矯正要素を位置合わせされた関係で受容する顎顔面解剖学的構造のための仮想処置計画を形成するために、顎顔面解剖学的構造の画像のグラフィック操作を容易にするように配置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
歯科用ロボットシステム方法であって、方法は、
基準マーカを顎顔面解剖学的構造と係合させることと、
補綴具、手術ガイド、又は下顎矯正要素を、関節式アーム部材の遠位端と係合されたエンドエフェクタと所定の空間的関係で受容することと、
制御装置のプロセッサを用いてコンピュータプログラム製品を実行して、
基準マーカ、関節式アーム部材、及びエンドエフェクタと通信して、補綴具、手術ガイド、又は下顎矯正要素を顎顔面解剖学的構造に対して位置合わせされた関係で配置するため仮想処置計画に従って、エンドエフェクタの移動中に基準マーカに対するエンドエフェクタの配置を決定するステップと、
顎顔面解剖学的構造に固定するため、補綴具、手術ガイド、又は下顎矯正要素を位置合わせされた関係に配置するために、仮想処置計画に従って、顎顔面解剖学的構造に係合された基準マーカに対するエンドエフェクタの配置に対して直接、エンドエフェクタの許容可能な移動を物理的に制御するように関節式アーム部材に指示するステップと、
を実行することと、
を備える、方法。
【請求項19】
制御装置のプロセッサによるコンピュータプログラム製品の実行により、補綴具、手術ガイド、又は下顎矯正要素が顎顔面解剖学的構造に対して位置合わせされた関係で配置されているときに、エンドエフェクタの移動が仮想処置計画から逸脱する場合、触覚フィードバックを提供するようにエンドエフェクタに指示するステップを制御装置に実行させる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
基準マーカを顎顔面解剖学的構造と係合させることは、スプリント器具を顎顔面解剖学的構造と物理的かつ確実に相互作用させることを備え、スプリント器具は基準マーカと動作可能に係合される、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
エンドエフェクタの移動が仮想処置計画から逸脱する場合、制御装置又はエンドエフェクタを、音声フィードバック又は視覚フィードバックを提供するように配置することを備える、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
補綴具、手術ガイド、又は下顎矯正要素が所定の空間的関係で受容されるように、補綴具、手術ガイド、又は下顎矯正要素を、エンドエフェクタによって直接受容することを備える、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
所定の空間的関係でエンドエフェクタによってインターフェイスを受容することを備え、インターフェイスは、所定の空間的関係で補綴具、手術ガイド、又は下顎矯正要素を受容するように配置される、請求項18に記載の方法。
【請求項24】
インターフェイスは咬合形態の器具であり、方法は、補綴具を所定の空間的関係で咬合形態の器具によって受容することを備える、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
エンドエフェクタの許容可能な移動を物理的に制御するように関節式アーム部材に指示することが、補綴具を固定するために、補綴具を顎顔面解剖学的構造に埋め込まれた1つ以上のインプラントアンカーと位置合わせされた関係に配置するため、仮想処置計画に従って、顎顔面解剖学的構造と係合された基準マーカに対するエンドエフェクタの配置に対して、直接、エンドエフェクタの許容可能な移動を物理的に制御するように関節式アーム部材に指示することを備える、請求項18に記載の方法。
【請求項26】
エンドエフェクタの許容可能な移動を物理的に制御するように関節式アーム部材を指示することは、手術用ガイドを顎顔面解剖学的構造と位置合わせされた関係に配置するために、仮想処置計画に従って、顎顔面解剖学的構造と係合された基準マーカに対するエンドエフェクタの配置に対して、直接、エンドエフェクタの許容可能な移動を物理的に制御するように関節式アーム部材に指示し、手術ガイドは、1つ以上のガイド孔を画定するか、又はガイド孔と係合される1つ以上のガイドインサートを有し、1つ以上のガイドインサートはそれぞれ、固定孔がガイド孔を通して顎顔面解剖学的構造に穿孔されることを可能にするか、又は手術ガイドを顎顔面解剖学的構造に固定するために、ファスナが固定孔との係合のためガイド孔を通して受容されることを可能にするように、ガイド孔を画定することを備える、請求項18に記載の方法。
【請求項27】
補綴具内に、1つ以上のガイド孔を形成すること、又は1つ以上のガイドインサートを補綴具と係合させること、を備え、1つ以上のガイドインサートはそれぞれ、補綴具が手術ガイドになるようにガイド孔を画定する、請求項18に記載の方法。
【請求項28】
下顎矯正要素は、顎顔面解剖学的構造の残りの部分とは分離された顎顔面解剖学的構造の一部分であり、エンドエフェクタの許容可能な移動を物理的に制御するように関節式アーム部材を指示することは、固定孔が顎顔面解剖学的構造の一部分又は残りの部分内に穿孔されることを可能にするか、又はブラケットを顎顔面解剖学的構造の一部分と残りの部分との間に固定するために、ファスナが固定孔と係合されることを可能にするように、顎顔面解剖学的構造の残りの部分と位置合わせされた関係に顎顔面解剖学的構造の一部分を配置するため、仮想処置計画に従って、顎顔面解剖学的構造と係合された基準マーカに対するエンドエフェクタの配置に対して、直接、エンドエフェクタの許容可能な移動を物理的に制御するように関節式アーム部材に指示することを備える、請求項18に記載の方法。
【請求項29】
基準マーカと通信することは、追跡アームの遠位端と係合される検出器を介して基準マーカと通信することを備え、追跡アーム及び検出器は制御装置と通信し、検出器は、基準マーカを検出するために基準マーカと離間された関係で配置され、基準マーカとの空間的関係を決定するために制御装置と協働する、請求項18に記載の方法。
【請求項30】
基準マーカと通信することは、追跡アームの遠位端と係合される、電気検出器、電気機械検出器、電磁検出器、光検出器、赤外線検出器、又はそれらの組み合わせを介して基準マーカと通信することを備える、請求項18に記載の方法。
【請求項31】
基準マーカと通信することは、追跡アームの遠位端を介して基準マーカと通信することを備え、遠位端は基準マーカに物理的に係合され、追跡アームは制御装置と通信し、基準マーカとの空間的関係を決定するために制御装置と協働するように配置される、請求項18に記載の方法。
【請求項32】
電気通信システム、機械通信システム、電気機械通信システム、電磁通信システム、光通信システム、赤外線通信システム、又はそれらの組み合わせを介して、基準マーカと制御装置との間で通信することを備える、請求項18に記載の方法。
【請求項33】
無線通信システム又は有線通信システムを介して基準マーカと制御装置との間で通信することを備える、請求項18に記載の方法。
【請求項34】
補綴具、手術ガイド、又は下顎矯正要素を位置合わせされた関係で受容する顎顔面解剖学的構造のための仮想処置計画を形成するように、制御装置により、顎顔面解剖学的構造の画像をグラフィック操作することを備える、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、歯科用ロボットシステムに関し、より詳細には、補綴具の配置、手術ガイドの配置、及び下顎整形再組み立てのための歯科用ロボットを実装するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
いくつかの歯科用ロボットシステムは、歯科インプラントを受容するために患者の骨切部を穿孔するためのドリルの触覚誘導を実装する。そのような歯科用ロボットシステムはまた、(例えば、ドリルビットの代わりに)異なる取付具を有する同じドリルを使用してインプラントアンカーを配置するため触覚誘導を実装することができる。しかしながら、患者の歯列を修復する次のステップは、インプラントアンカー(複数可)と係合する補綴具(複数可)を配置することである。歯科用ロボットシステムは、骨切術において穴(複数可)を穿孔し、次いでインプラントアンカー(複数可)を配置する際に正確に支援することができるが、補綴具(複数可)をインプラントアンカー(複数可)と係合するように配置する際にミスをするリスクが依然として存在する。
【0003】
より具体的には、補綴具は、一般に、補綴具のインプラントアンカー(複数可)への固定を容易にし、組み立てを完了するために、患者に埋め込まれたインプラントアンカー(複数可)を収容し、受容するための穴(複数可)を含む。場合によっては、補綴具の穴(複数可)は、インプラントアンカー(複数可)の位置(複数可)のずれを考慮して十分な大きさ(例えば、過大)にされることが多い。しかしながら、補綴具の過大な穴により、補綴具がインプラントアンカー(複数可)の周り又はそれに沿って移動又は位置を変える可能性がある。これに関して、適切な咬合を再現するために、上列と下列との間の相対的な位置合わせをすることがしばしば重要である。したがって、補綴具/義歯がインプラントアンカー(複数可)に計画通りに確実に正確に固定されることが重要である。同様の要求は、例えば、手術ガイドが患者に取り付けられる場合、又は切除された上顎又は上顎の一部が患者の頭蓋骨に再取り付けされなければならない下顎整形においても存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、従来技術の処置と比較して、補綴具、手術ガイド、又は補綴具、手術ガイド、又は上顎がより正確に配置され、患者の支持構造(例えば、インプラントアンカー(複数可)又は頭蓋骨構造)に固定されることができる、補綴具の配置、手術ガイドの配置、及び/又は下顎整形再組み立てを実行するためのシステム及び方法が必要とされている。そのようなシステム及び方法は、好ましくは、歯科専門家にとって容易に実装され、人間工学的に使いやすくなければならず、望ましくは、歯科専門家が記載された処置に関する技量を発展させるための便利で効果的な訓練ツールを提供すべきである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記及び他の必要性は、1つの特定の態様では歯科用ロボットシステムを提供する本開示の態様によって満たされる。そのようなシステムは、顎顔面解剖学的構造と係合されるように適合された基準マーカと、その遠位端に係合されたエンドエフェクタを有する関節式アーム部材とを含む。エンドエフェクタは、エンドエフェクタと所定の空間的関係で、補綴具、手術ガイド、又は下顎矯正要素を受容するように構成される。制御装置は、プロセッサと、コンピュータプログラム製品を格納するメモリとを有し、コンピュータプログラム製品は、基準マーカ、関節式アーム部材、及びエンドエフェクタと通信するステップを実行し、補綴具、手術ガイド、又は下顎矯正要素を顎顔面解剖学的構造に対して位置合わせされた関係に配置するため仮想処置計画に従って、エンドエフェクタの移動中に基準マーカに対するエンドエフェクタの配置を決定するようにプロセッサによって実行可能である。関節式アーム部材はまた、顎顔面解剖学的構造に固定するために補綴具、手術ガイド、又は下顎矯正要素を位置合わせされた関係に配置するために、仮想処置計画に従って、顎顔面解剖学的構造と係合された基準マーカに対するエンドエフェクタの配置に対して直接、エンドエフェクタの許容可能な移動を物理的に制御するように向けられる。
【0006】
本開示の別の態様は、歯科用ロボットシステムを実装する歯科処置を実行する方法を提供する。そのような方法は、基準マーカを顎顔面解剖学的構造と係合させることと、関節式アーム部材の遠位端と係合されたエンドエフェクタと所定の空間的関係で、補綴具、手術ガイド、又は下顎矯正要素を受容することとを含む。コンピュータプログラム製品は、基準マーカ、関節式アーム部材、及びエンドエフェクタと通信するステップを実行し、補綴具、手術ガイド、又は下顎矯正要素を顎顔面解剖学的構造に対して位置合わせされた関係に配置するため仮想処置計画に従って、エンドエフェクタの移動中に基準マーカに対するエンドエフェクタの配置を決定するため制御装置のプロセッサによって実行される。関節式アーム部材はまた、顎顔面解剖学的構造に固定するために補綴具、手術ガイド、又は下顎矯正要素を位置合わせされた関係に配置するために、仮想処置計画に従って、顎顔面解剖学的構造と係合された基準マーカに対するエンドエフェクタの配置に対して直接、エンドエフェクタの許容可能な移動を物理的に制御するように向けられる。
【0007】
したがって、本開示は、限定するものではないが、以下の例示的な実施形態を含む。
【0008】
例示的な実施形態1.顎顔面解剖学的構造と係合されるように適合された基準マーカと、関節式アーム部材であって、その遠位端に係合されたエンドエフェクタを有し、エンドエフェクタは、補綴具、手術ガイド、又は下顎矯正要素がエンドエフェクタと所定の空間的関係で受容されるようにように配置される、関節式アーム部材と、コンピュータプログラム製品を格納するメモリとプロセッサを有する制御装置であって、コンピュータプログラム製品は、以下のステップ、すなわち基準マーカ、関節式アーム部材、及びエンドエフェクタと通信して、補綴具、手術ガイド、又は下顎矯正要素を顎顔面解剖学的構造に対して位置合わせされた関係で配置するため仮想処置計画に従って、エンドエフェクタの移動中に基準マーカに対するエンドエフェクタの配置を決定するステップと、顎顔面解剖学的構造に固定するため、補綴具、手術ガイド、又は下顎矯正要素を位置合わせされた関係に配置するために、仮想処置計画に従って、顎顔面解剖学的構造に係合された基準マーカに対するエンドエフェクタの配置に対して直接、エンドエフェクタの許容可能な移動を物理的に制御するように関節式アーム部材に指示するステップと、を実行するプロセッサによって実行可能な、制御装置と、を備える、歯科用ロボットシステム。
【0009】
例示的な実施形態2.制御装置のプロセッサによるコンピュータプログラム製品の実行により、補綴具、手術ガイド、又は下顎矯正要素が顎顔面解剖学的構造に対して位置合わせされた関係で配置されているときに、エンドエフェクタの移動が仮想処置計画から逸脱する場合、触覚フィードバックを提供するようにエンドエフェクタに指示するステップを制御装置に実行させる、例示的な実施形態1に記載のシステム。
【0010】
例示的な実施形態3.顎顔面解剖学的構造と物理的かつ確実に相互作用され、基準マーカと動作可能に係合される子スプリント器具を備える、例示的な実施形態1~2のいずれか1つ、又はそれらの組み合わせに記載のシステム。
【0011】
例示的な実施形態4.エンドエフェクタの移動が仮想処置計画から逸脱する場合、制御装置又はエンドエフェクタは、音声フィードバック又は視覚フィードバックを提供するように配置される、例示的な実施形態1~3のいずれか1つ、又はそれらの組み合わせに記載のシステム。
【0012】
例示的な実施形態5.補綴具、手術ガイド、又は下顎矯正要素は、所定の空間的関係でエンドエフェクタによって直接受容されるように配置される、例示的な実施形態1~4のいずれか1つ、又はそれらの組み合わせに記載のシステム。
【0013】
例示的な実施形態6.所定の空間的関係でエンドエフェクタによって受容されたインターフェイスを備え、インターフェイスは、所定の空間的関係で補綴具、手術ガイド、又は下顎矯正要素を受容するように配置される、例示的な実施形態1~5のいずれか1つ、又はそれらの組み合わせに記載のシステム。
【0014】
例示的な実施形態7.インターフェイスは、補綴具を所定の空間的関係で受容するように配置された咬合形態の器具である、例示的な実施形態1~6のいずれか1つ、又はそれらの組み合わせに記載のシステム。
【0015】
例示的な実施形態8.エンドエフェクタの許容可能な移動を物理的に制御するように関節式アーム部材に指示するステップは、補綴具を固定するために、補綴具を顎顔面解剖学的構造に埋め込まれた1つ以上のインプラントアンカーと位置合わせされた関係に配置して、仮想処置計画に従って、顎顔面解剖学的構造と係合された基準マーカに対するエンドエフェクタの配置に対して、直接、エンドエフェクタの許容可能な移動を物理的に制御するように関節式アーム部材に指示することを備える、例示的な実施形態1~7のいずれか1つ、又はそれらの組み合わせに記載のシステム。
【0016】
例示的な実施形態9.エンドエフェクタの許容可能な移動を物理的に制御するように関節式アーム部材を指示するステップは、手術用ガイドを顎顔面解剖学的構造と位置合わせされた関係に配置するために、仮想処置計画に従って、顎顔面解剖学的構造と係合された基準マーカに対するエンドエフェクタの配置に対して、直接、エンドエフェクタの許容可能な移動を物理的に制御するように関節式アーム部材に指示し、手術ガイドは、1つ以上のガイド孔を画定するか、又はガイド孔と係合される1つ以上のガイドインサートを有し、1つ以上のガイドインサートはそれぞれ、固定孔がガイド孔を通して顎顔面解剖学的構造に穿孔されることを可能にするか、又は手術ガイドを顎顔面解剖学的構造に固定するために、ファスナが固定孔との係合のためガイド孔を通して受容されることを可能にするように、ガイド孔を画定することを備える、例示的な実施形態1~8のいずれか1つ、又はそれらの組み合わせに記載のシステム。
【0017】
例示的な実施形態10.補綴具は、1つ以上のガイド孔を画定するか、又はガイド孔と係合される1つ以上のガイドインサートを有し、1つ以上のガイドインサートはそれぞれ、補綴具が手術ガイドであるようにガイド孔を画定する、例示的な実施形態1~9のいずれか1つ、又はそれらの組み合わせに記載のシステム。
【0018】
例示的な実施形態11.下顎矯正要素は、顎顔面解剖学的構造の残りの部分とは分離された顎顔面解剖学的構造の一部分であり、エンドエフェクタの許容可能な移動を物理的に制御するように関節式アーム部材を指示するステップは、固定孔が顎顔面解剖学的構造の一部分又は残りの部分内に穿孔されることを可能にするか、又はブラケットを顎顔面解剖学的構造の一部分と残りの部分との間に固定するために、ファスナが固定孔と係合されることを可能にするように、顎顔面解剖学的構造の残りの部分と位置合わせされた関係に顎顔面解剖学的構造の一部分を配置するため、仮想処置計画に従って、顎顔面解剖学的構造と係合された基準マーカに対するエンドエフェクタの配置に対して直接、エンドエフェクタの許容可能な移動を物理的に制御するように関節式アーム部材に指示することを備える、例示的な実施形態1~10のいずれか1つ、又はそれらの組み合わせに記載のシステム。
【0019】
例示的な実施形態12.追跡アームの遠位端と係合される検出器を備え、追跡アーム及び検出器は制御装置と通信し、検出器は、基準マーカを検出するために基準マーカと離間された関係で配置され、基準マーカとの空間的関係を決定するために制御装置と協働する、例示的な実施形態1~11のいずれか1つ、又はそれらの組み合わせに記載のシステム。
【0020】
例示的な実施形態13.検出器は、電気検出器、電気機械検出器、電磁検出器、光検出器、赤外線検出器、又はそれらの組み合わせである、例示的な実施形態1~12のいずれか1つ、又はそれらの組み合わせに記載のシステム。
【0021】
例示的な実施形態14.基準マーカと物理的に係合される遠位端を有する追跡アームを備え、追跡アームは制御装置と通信し、基準マーカとの空間的関係を決定するために制御装置と協働するように配置される、例示的な実施形態1~13のいずれか1つ、又はそれらの組み合わせに記載のシステム。
【0022】
例示的な実施形態15.基準マーカは、電気通信システム、機械通信システム、電気機械通信システム、電磁通信システム、光通信システム、赤外線通信システム、又はそれらの組み合わせを介して制御装置と通信するように配置される、例示的な実施形態1~14のいずれか1つ、又はそれらの組み合わせに記載のシステム。
【0023】
例示的な実施形態16.基準マーカは、無線通信システム又は有線通信システムを介して制御装置と通信するように配置される、例示的な実施形態1~15のいずれか1つ、又はそれらの組み合わせに記載のシステム。
【0024】
例示的な実施形態17.制御装置は、解剖学的構造補綴具、手術ガイド、又は下顎矯正要素を位置合わせされた関係で受容する顎顔面解剖学的構造のための仮想処置計画を形成するために、顎顔面解剖学的構造の画像のグラフィック操作を容易にするように配置される、例示的な実施形態1~16のいずれか1つ、又はそれらの組み合わせに記載のシステム。
【0025】
例示的な実施形態18.歯科用ロボットシステムを実装する歯科処置を実行する方法であって、基準マーカを顎顔面解剖学的構造と係合させることと、補綴具、手術ガイド、又は下顎矯正要素を関節式アーム部材の遠位端と係合されたエンドエフェクタと所定の空間的関係で受容することと、制御装置のプロセッサを用いてコンピュータプログラム製品を実行して、基準マーカ、関節式アーム部材、及びエンドエフェクタと通信して、補綴具、手術ガイド、又は下顎矯正要素を顎顔面解剖学的構造に対して位置合わせされた関係で配置するため仮想処置計画に従って、エンドエフェクタの移動中に基準マーカに対するエンドエフェクタの配置を決定するステップと、顎顔面解剖学的構造に固定するため、補綴具、手術ガイド、又は下顎矯正要素を位置合わせされた関係に配置するために、仮想処置計画に従って、顎顔面解剖学的構造に係合された基準マーカに対するエンドエフェクタの配置に対して直接、エンドエフェクタの許容可能な移動を物理的に制御するように関節式アーム部材に指示するステップと、を実行することと、を備える、方法。
【0026】
例示的な実施形態19.制御装置のプロセッサによるコンピュータプログラム製品の実行により、補綴具、手術ガイド、又は下顎矯正要素が顎顔面解剖学的構造に対して位置合わせされた関係で配置されているときに、エンドエフェクタの移動が仮想処置計画から逸脱する場合、触覚フィードバックを提供するようにエンドエフェクタに指示するステップを制御装置に実行させる、例示的な実施形態1~18のいずれか1つ、又はそれらの組み合わせに記載の方法。
【0027】
例示的な実施形態20.基準マーカを顎顔面解剖学的構造と係合させることは、スプリント器具を顎顔面解剖学的構造と物理的かつ確実に相互作用させることを備え、スプリント器具は基準マーカと動作可能に係合される、例示的な実施形態1~19のいずれか1つ、又はそれらの組み合わせに記載の方法。
【0028】
例示的な実施形態21.エンドエフェクタの移動が仮想処置計画から逸脱する場合、制御装置又はエンドエフェクタを、音声フィードバック又は視覚フィードバックを提供するように配置することを備える、例示的な実施形態1~20のいずれか1つ、又はそれらの組み合わせに記載の方法。
【0029】
例示的な実施形態22.補綴具、手術ガイド、又は下顎矯正要素が所定の空間的関係で受容されるように、補綴具、手術ガイド、又は下顎矯正要素を、エンドエフェクタによって直接受容することを備える、例示的な実施形態1~21のいずれか1つ、又はそれらの組み合わせに記載の方法。
【0030】
例示的な実施形態23.所定の空間的関係にあるエンドエフェクタによってインターフェイスを受容することを備え、インターフェイスは、補綴具、手術ガイド、又は下顎矯正要素を所定の空間的関係で受容するように配置される、例示的な実施形態1~22のいずれか1つ、又はそれらの組み合わせに記載の方法。
【0031】
例示的な実施形態24.インターフェイスは、咬合形態の器具であり、方法は、補綴具を所定の空間的関係で咬合形態の器具によって受容することを備える、例示的な実施形態1~23のいずれか1つ、又はそれらの組み合わせに記載の方法。
【0032】
例示的な実施形態25.エンドエフェクタの許容可能な移動を物理的に制御するように関節式アーム部材に指示することは、補綴具を固定するために、補綴具を顎顔面解剖学的構造に埋め込まれた1つ以上のインプラントアンカーと位置合わせされた関係に配置するため、仮想処置計画に従って、顎顔面解剖学的構造と係合された基準マーカに対するエンドエフェクタの配置に対して直接、エンドエフェクタの許容可能な移動を物理的に制御するように関節式アーム部材に指示することを含む、例示的な実施形態1~24のいずれか1つ、又はそれらの組み合わせに記載の方法。
【0033】
例示的な実施形態26.エンドエフェクタの許容可能な移動を物理的に制御するように関節式アーム部材を指示することは、手術用ガイドを顎顔面解剖学的構造と位置合わせされた関係に配置するために、仮想処置計画に従って、顎顔面解剖学的構造と係合された基準マーカに対するエンドエフェクタの配置に対して、直接、エンドエフェクタの許容可能な移動を物理的に制御するように関節式アーム部材に指示し、手術ガイドは、1つ以上のガイド孔を画定するか、又はガイド孔と係合される1つ以上のガイドインサートを有し、1つ以上のガイドインサートはそれぞれ、固定孔がガイド孔を通して顎顔面解剖学的構造に穿孔されることを可能にするか、又は手術ガイドを顎顔面解剖学的構造に固定するために、ファスナが固定孔との係合のためガイド孔を通して受容されることを可能にするように、ガイド孔を画定することを備える、例示的な実施形態1~25のいずれか1つ、又はそれらの組み合わせに記載の方法。
【0034】
例示的な実施形態27.補綴具内に、1つ以上のガイド孔を形成すること、又は1つ以上のガイドインサートを補綴具と係合させること、を備え、1つ以上のガイドインサートはそれぞれ、補綴具が手術ガイドになるようにガイド孔を画定する、例示的な実施形態1~26のいずれか1つ、又はそれらの組み合わせに記載の方法。
【0035】
例示的な実施形態28.下顎矯正要素は、顎顔面解剖学的構造の残りの部分とは分離された顎顔面解剖学的構造の一部分であり、エンドエフェクタの許容可能な移動を物理的に制御するように関節式アーム部材を指示することは、固定孔が顎顔面解剖学的構造の一部分又は残りの部分内に穿孔されることを可能にするか、又はブラケットを顎顔面解剖学的構造の一部分と残りの部分との間に固定するために、ファスナが固定孔と係合されることを可能にするように、顎顔面解剖学的構造の残りの部分と位置合わせされた関係に顎顔面解剖学的構造の一部分を配置するため、仮想処置計画に従って、顎顔面解剖学的構造と係合された基準マーカに対するエンドエフェクタの配置に対して、直接、エンドエフェクタの許容可能な移動を物理的に制御するように関節式アーム部材に指示することを備える、例示的な実施形態1~27のいずれか1つ、又はそれらの組み合わせに記載の方法。
【0036】
例示的な実施形態29.基準マーカと通信することは、追跡アームの遠位端と係合される検出器を介して基準マーカと通信することを備え、追跡アーム及び検出器は制御装置と通信し、検出器は、基準マーカを検出するために基準マーカと離間された関係で配置され、基準マーカとの空間的関係を決定するために制御装置と協働する、例示的な実施形態1~28のいずれか1つ、又はそれらの組み合わせに記載の方法。
【0037】
例示的な実施形態30.基準マーカと通信することは、追跡アームの遠位端と係合される、電気検出器、電気機械検出器、電磁検出器、光検出器、赤外線検出器、又はそれらの組み合わせを介して基準マーカと通信することを備える、例示的な実施形態1~29のいずれか1つ、又はそれらの組み合わせに記載の方法。
【0038】
例示的な実施形態31.基準マーカと通信することは、追跡アームの遠位端を介して基準マーカと通信することを含み、遠位端は基準マーカに物理的に係合され、追跡アームは制御装置と通信し、基準マーカとの空間的関係を決定するために制御装置と協働するように配置される、例示的な実施形態1~30のいずれか1つ、又はそれらの組み合わせに記載の方法。
【0039】
例示的な実施形態32.電気通信システム、機械通信システム、電気機械通信システム、電磁通信システム、光通信システム、赤外線通信システム、又はそれらの組み合わせを介して基準マーカと制御装置との間で通信することを備える、例示的な実施形態1~31のいずれか1つ、又はそれらの組み合わせに記載の方法。
【0040】
例示的な実施形態33.無線通信システム又は有線通信システムを介して基準マーカと制御装置との間で通信することを備える、例示的な実施形態1~32のいずれか1つ、又はそれらの組み合わせに記載の方法。
【0041】
例示的な実施形態34.解剖学的構造補綴具、手術ガイド、又は下顎矯正要素を位置合わせされた関係で受容する顎顔面解剖学的構造のための仮想処置計画を形成するように、制御装置により、顎顔面解剖学的構造の画像をグラフィック操作することを備える、例示的な実施形態1~33のいずれか1つ、又はそれらの組み合わせに記載の方法。
【0042】
本開示のこれら及び他の特徴、態様、及び利点は、以下で簡単に説明される添付の図面と共に以下の詳細な説明を読むことから明らかになるであろう。本開示は、本開示に記載の2つ、3つ、4つ、又はそれ以上の特徴若しくは要素の任意の組み合わせを、そのような特徴又は要素が本明細書の特定の実施形態の説明において明示的に組み合わされているか、そうでなければ列挙されているかにかかわらず、含む。本開示は、本開示の文脈が明らかにそうでないことを指示しない限り、その態様及び実施形態のいずれかにおいて、本開示の任意の分離可能な特徴又は要素が意図されたように、すなわち組み合わせ可能であるように見られるように全体的に読まれることが意図される。
【0043】
本明細書の概要は、本開示の基本的な理解を提供するために、いくつかの例示的な態様を要約する目的でのみ提供されていることが理解されよう。したがって、上述の例示的な態様は単なる例であり、決して本開示の範囲又は精神を狭めると解釈されるべきではないことが理解されよう。本開示の範囲は、本明細書に要約されたものに加えて、そのいくつかが、以下でさらに説明される多くの潜在的な態様を包含することが理解されよう。さらに、本明細書に開示された、そのような態様の他の態様及び利点は、記載された態様の原理を例として示す添付の図面と併せて以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0044】
このように、本開示を一般的な用語で説明してきたが、ここで、必ずしも一定の縮尺で描かれていない添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図1】本開示の一態様による歯科用ロボットシステムを概略的に示す。
【
図2】本開示の一態様による歯科用ロボットシステムを概略的に示す。
【
図3】本開示の一態様による歯科用ロボットシステムを概略的に示す。
【
図4】本開示の別の態様による歯科用ロボットシステムを概略的に示す。
【
図5】補綴具の配置に適用されている、本開示の一態様による歯科用ロボットシステムを概略的に示す。
【
図6A】補綴具の配置に適用されている、本開示の別の態様による歯科用ロボットシステムを概略的に示す。
【
図6B】補綴具の配置に適用されている、本開示の別の態様による歯科用ロボットシステムを概略的に示す。
【
図7A】手術ガイドの配置に適用されている、本開示の一態様による歯科用ロボットシステムを概略的に示す。
【
図7B】手術ガイドの配置に適用されている、本開示の一態様による歯科用ロボットシステムを概略的に示す。
【
図8A】下顎矯正要素の配置に適用されている、本開示の一態様による歯科用ロボットシステムを概略的に示す。
【
図8B】下顎矯正要素の配置に適用されている、本開示の一態様による歯科用ロボットシステムを概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本開示は、本開示のすべてではないが一部の態様が示されている添付の図面を参照して、以下でより完全に説明される。実際、本開示は、多くの異なる形態で具体化されてもよく、本明細書に記載の態様に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの態様は、本開示が適用される法的要件を満たすように提供される。同様の番号は、全体を通して同様の要素を指す。
【0047】
図1~
図4は、全体的に符号100で示される歯科用ロボットシステムの様々な態様を示す。そのようなシステム100は、顎顔面解剖学的構造300と係合されるように適合された基準マーカ250を含む。或る態様では、システム100は、関節式アーム部材400をさらに含み、関節式アーム部材は、その遠位端450と係合されたエンドエフェクタ500を有する。エンドエフェクタ500は、エンドエフェクタ500との所定の空間的関係(例えば、エンドエフェクタ500と、エンドエフェクタ500によって受容される補綴具600、手術ガイド700、又は下顎矯正要素800のいずれかとの間の空間的関係は既知である)で、補綴具600、手術用ガイド700、又は下顎矯正要素800を受容するように配置される。制御装置450は、プロセッサと、プロセッサによって実行可能なコンピュータプログラム製品を格納するメモリとを有する。制御装置450は、基準マーカ250と通信するように配置される。
【0048】
本開示の態様は、顎顔面解剖学的構造及びその下顎矯正要素(複数可)に関して記載されているが、当業者であれば、顎顔面解剖学的構造及び下顎矯正要素(複数可)が、いくつかの態様では、非ヒトモデル又はそのような解剖学的構造の他の非ヒト表現若しくは複製を対象とし、指すことを理解するであろう。本明細書に開示されるシステム及び方法は、本明細書に記載される処置に関して歯科専門家が自身の技能を発展させるための便利で効果的な訓練ツール又は訓練規定を提供するために実装される。さらに、本明細書に開示され特許請求される方法は、本明細書に記載され特許請求されるシステムの制御及び動作を特に対象とし、そのような方法は、ヒトに対する手術の方法を特に対象としない。
【0049】
或る態様では、プロセッサによるコンピュータプログラム製品/ソフトウェアの実行の際に、補綴具600、手術ガイド700、又は下顎矯正要素800を顎顔面解剖学的構造300に対して/顎顔面解剖学的構造300と位置合わせされた関係に配置するため仮想処置計画に従って、特にエンドエフェクタ500の移動中に基準マーカ250に対するエンドエフェクタ500の配置(又は空間的関係)を決定するため、制御装置450は、基準マーカ250、関節式アーム部材400、及びエンドエフェクタ500と通信するように構成/配置される。こうした態様では、制御装置450は、顎顔面解剖学的構造300が、補綴具600、手術ガイド700、又は下顎矯正要素800を位置合わせされた関係で受容するように配置されるかどうかにかかわらず、顎顔面解剖学的構造300のための仮想処置計画を形成するため、顎顔面解剖学的構造300の画像のグラフィック操作を容易にするように配置される。
【0050】
基準マーカ250に対するエンドエフェクタ500の配置/空間的関係が決定されると、プロセッサによるコンピュータプログラム製品/ソフトウェアの実行により、制御装置450は、補綴具600、手術ガイド700、又は下顎矯正要素800を顎顔面解剖学的構造300に固定するための位置合わせされた関係に配置するために、仮想処置計画に従って、顎顔面解剖学的構造300と係合された基準マーカ250に対するエンドエフェクタ500の配置(又は空間的関係)に対して、直接、エンドエフェクタ500の許容可能な移動を物理的に制御するように関節式アーム部材400に指示する。
【0051】
或る態様では、制御装置450のプロセッサによるコンピュータプログラム製品の実行により、補綴具600、手術ガイド700、又は下顎矯正要素800が顎顔面解剖学的構造300に対して/顎顔面解剖学的構造300と位置合わせされた関係で配置されているときに、エンドエフェクタ500の移動が仮想処置計画から逸脱する場合、触覚フィードバックを提供するようにエンドエフェクタ500に指示するステップを制御装置450に実行させる。触覚フィードバックを提供するエンドエフェクタ500の代わりに、又はそれに加えて、エンドエフェクタ500の移動が仮想処置計画から逸脱する場合、制御装置450又はエンドエフェクタ500は、音声フィードバック(例えば、音を発する装置を介して)又は視覚フィードバック(例えば、ディスプレイを介して)を提供するように配置されることもできる。
【0052】
基準マーカ250は、或る態様では、顎顔面解剖学的構造300(例えば、顎顔面解剖学的構造300と物理的かつ確実に相互作用するスプリント器具として)と係合するように適合される。他の態様では、スプリント器具と顎顔面解剖学的構造300との間の係合は、基準マーカ250を形成するか、又は基準マーカ250は、既知の空間的関係でスプリント器具と動作可能に係合される。制御装置450は、異なる方法で基準マーカ250と通信するようにさらに配置される。例えば、一態様では、例えば
図4に示されるように、検出器1000は、追跡アーム1100の遠位端1110と係合し、追跡アーム1100及び検出器1000は、制御装置450と通信する。そのような場合、検出器1000は、基準マーカ250と離間された関係(例えば、それらの間に画定された空間で物理的に分離されている)に配置される。検出器1000は、基準マーカ250を検出し、制御装置450と協働して、基準マーカ250との空間的関係(例えば、基準マーカ250に対する追跡アーム1100及び検出器1000の物理的座標は、コントローラ900によって知られている)を決定するように配置される。様々な態様では、検出器1000は、電気検出器、電気機械検出器、電磁検出器、光検出器、赤外線検出器、又は任意の他の適切な検出器若しくはそれらの組み合わせである。
【0053】
他の態様(例えば、
図1~
図3を参照されたい)では、追跡アーム1100の遠位端1110は、基準マーカ250と物理的に係合する。次に、追跡アーム1100は、制御装置450と通信して、制御装置450と協働して、基準マーカ250との空間的関係(例えば、追跡アーム1100及び基準マーカ250の物理的座標は、制御装置450によって知られている)を決定するように配置される。これら及び他の態様では、基準マーカ250は、例えば、電気通信システム、機械通信システム、電気機械通信システム、電磁通信システム、光通信システム、赤外線通信システム、又はそれらの組み合わせを介して、制御装置450と通信するように配置される。したがって、基準マーカ250は、無線通信システム又は有線通信システムを介して制御装置450と通信するように配置される。
【0054】
特定の態様では、補綴具600、手術ガイド700、又は下顎矯正要素800は、所定の空間的関係でエンドエフェクタ500によって直接受容されるように配置される。すなわち、エンドエフェクタ500と関節式アーム部材400との間の空間的関係は制御装置450によって知られているため、エンドエフェクタ500とそれによって直接受容される補綴具600、手術ガイド700、又は下顎矯正要素800との間の空間的関係もまた、制御装置450によって知られているか、又は容易に決定される。したがって、関節式アーム部材400、エンドエフェクタ500、及び補綴具600、手術ガイド700、又は下顎矯正要素800の空間的関係は、制御装置450に知られており、同様に、追跡アーム1100と基準マーカ250との空間的関係は制御装置450にも知られており、基準マーカ250に基づいてコントローラ装置450によって共通の座標系が決定及び確立されることができる。
【0055】
顎顔面解剖学的構造300は、処置中に移動することができ、場合によっては移動するため、結果として生じる基準マーカ250の移動は、制御装置450によって決定されることができ、したがって、エンドエフェクタ500と補綴具600、手術ガイド700、又は下顎矯正要素800との空間的関係は、共通の座標系に基づいて基準マーカ250の移動に対して調整されることができる。したがって、基準マーカ250は、補綴具600、手術ガイド700、又は下顎矯正要素800が係合されるように意図されている、顎顔面解剖学的構造300に取り付けられるため、顎顔面解剖学的構造300と、補綴具600、手術ガイド700、又は下顎矯正要素800との間に精密かつ正確な位置合わせが提供される。
【0056】
或る態様では、所定の空間的関係でエンドエフェクタ500がインターフェイス1200を受容するように配置され(例えば、
図5を参照されたい)、インターフェイス1200は、所定の空間的関係で補綴具600、手術ガイド700、又は下顎矯正要素を800受容するように配置される。すなわち、エンドエフェクタ500と関節式アーム部材400との間の空間的関係は制御装置450によって知られているため、エンドエフェクタ500、それによって受容されるインターフェイス1200、補綴具600、手術ガイド700、又はインターフェイス1200によって受容される下顎矯正要素800との間の空間的関係もまた、制御装置450によって知られているか、又は容易に決定される。例示的な一態様では、インターフェイス1200は、補綴具600を所定の空間的関係で受容するように配置されたバイトフォーク器具(例えば、
図5を参照されたい)である。
【0057】
本開示の一態様では、制御装置450は、顎顔面解剖学的構造300に係合された基準マーカ250に対するエンドエフェクタ500の配置に対して、直接、及び補綴具600を顎顔面解剖学的構造300に埋め込まれた1つ以上のインプラントアンカー650と位置合わせされた関係に配置して補綴具600をそれに固定するために(例えば、
図6A及び
図6Bを参照されたい)、仮想処置計画に従って、エンドエフェクタ500の許容可能な移動を物理的に制御するように関節式アーム部材400に指示するように配置される。エンドエフェクタ500は、それに取り付けられたドリルを有することができ、ドリルは、ドリルと補綴具600との間に延びるバイトフォークのような器具を使用して補綴具600(例えば、義歯)に取り付けるように修正される。このようにして、ドリル及び/又はバイトフォークは、インターフェイス1200と考えられることができる。別の例では、補綴具600は、その間にドリル及び/又はバイトフォークを介さずにエンドエフェクタ500に直接取り付けられる。
【0058】
インプラントアンカー650は、手動で埋め込まれるか、又は本明細書に開示されるように歯科インプラントシステム100を用いて精密かつ正確な方法で埋め込まれるかどうか、(例えば、仮想処置計画の準備における画像解析を介して、又はインプラントアンカー650の実際の移植プロセスから)基準マーカ250に対して制御装置450によって容易に決定されるか、又は容易に決定されることができる。したがって、補綴具600によって画定されるインプラントアンカー650を受容するためのレセプタクルは、所定の位置での調整を可能にするためにレセプタクルが過大である代わりに、インプラントアンカー650と境界を接するサイズ及びパターンの両方で精密かつ正確に形成されることができる。
【0059】
本開示の別の態様では、制御装置450は、顎顔面解剖学的構造300に係合された基準マーカ250に対するエンドエフェクタ500の配置に対して、直接、及び手術ガイド700を顎顔面解剖学的構造300と位置合わせされた関係に配置するために、仮想処置計画に従って、エンドエフェクタ500の許容可能な移動を物理的に制御するように関節式アーム部材400に指示するように配置される。手術ガイド700(例えば、
図7A及び
図7Bを参照されたい)は、1つ以上のガイド孔720を画定するか、又はそれと係合する1つ以上のガイドインサート740を有し、1つ以上のガイドインサート740はそれぞれガイド孔720を画定する。したがって、手術ガイド700は、固定孔350がガイド孔720を通じて顎顔面解剖学的構造300に穿孔されることを可能にし、又は手術ガイド700を顎顔面解剖学的構造300に固定するために固定孔350と係合するためにファスナ760がガイド孔720を通じて受けられることを可能にする。
【0060】
或る態様では、当業者によって理解されるように、補綴具600は、1つ以上のガイド孔720を画定するか、又はそれと係合する1つ以上のガイドインサート740を有し、1つ以上のガイドインサート740はそれぞれガイド孔720を画定し、それにより、補綴具600は、手術ガイド700になるか、その他の方法で手術ガイド700である。すなわち、場合によっては、補綴具600は、関節式アーム部材400/エンドエフェクタ500によって顎顔面解剖学的構造300に対して適切な位置に保持されることができる手術ガイドとしても機能することができる。補綴具600も固定孔350に対して固定されるので、誘導補綴具600を顎顔面解剖学的構造300に対して正確に配置することが重要である。そのような構成は、例えば、従来技術の手術ガイドを配置するため既存の骨及び/又はアンカーピン(例えば、
図7Bを参照されたい)への依存を置き換えることができる。
【0061】
下顎矯正要素800は、顎顔面解剖学的構造300の残りの部分(例えば、
図8A及び
図8Bを参照されたい)から分離された顎顔面解剖学的構造の一部分である。さらに他の態様では、制御装置450は、顎顔面解剖学的構造300に係合された基準マーカ250に対するエンドエフェクタ500の配置に対して直接、及び顎顔面解剖学的構造の一部分(下顎矯正要素800)を顎顔面解剖学的構造300の残りの部分と位置合わせされた関係に配置するために、仮想処置計画に従って、エンドエフェクタ500の許容可能な移動を物理的に制御するように関節式アーム部材400に指示するように配置される。したがって、このようにして顎顔面解剖学的構造300の残りの部分と位置合わせされた下顎矯正要素800を有することにより、顎顔面解剖学的構造の一部分(下顎矯正要素800)若しくは顎顔面解剖学的構造300の残りの部分に固定孔が穿孔される、及び/又は下顎矯正要素800が、顎顔面解剖学的構造300の残りの部分(例えば、
図8Bを参照されたい)と計画された位置合わせで固定されるように、顎顔面解剖学的構造の一部分(下顎矯正要素800)と顎顔面解剖学的構造300の残りの部分との間にブラケット840を固定するためにファスナ820が固定孔と係合されるようにする。
【0062】
上顎に焦点を合わせた下顎整形の1つの例示的な種類では、歯を含む上顎の一部分が頭蓋骨の残りの部分から分離される。次いで、プレート及びねじを使用して所望の位置合わせに再取り付けされる。再取り付けは、意図された解剖学的構造的形状及び反対側の列による咬合を再現するために正確でなければならない。開示された方法で関節式アーム部材400/エンドエフェクタ500を実装して、頭蓋骨から分離されている解剖学的構造的部分を確実に保持することにより、システム100の追跡部分は、分離されていない頭蓋骨の一部との通信によって顎顔面解剖学的構造位置が監視(例えば、基準マーカ250を介して)されることを可能にする。したがって、制御装置450は、再取り付けのために分離された部分を頭蓋骨に対して配置する際に関節式アーム部材400/エンドエフェクタ500を案内する。分離された部分を固定するためのプレート及びねじは、関節式アーム部材400/エンドエフェクタ500が分離された解剖学的構造を頭蓋骨に対して正しい位置に保持する間、適切な/所望の位置でその場で穿孔されることができる。
【0063】
システム100によって確立され知られている顎顔面解剖学的構造300に関する空間的関係、及び制御装置450を通して発展された仮想処置計画により、補綴具600、手術ガイド700、又は下顎矯正要素800の位置合わせ処置は、次いで、施術者がエンドエフェクタ500を顎顔面解剖学的構造300に向かって移動させることによって開始されることができる。そのような場合、施術者の行為は、制御装置450によって決定され、仮想処置計画によって指図されるように、顎顔面解剖学的構造300に対して、位置合わせ処置のための適切な開始位置にエンドエフェクタ500を単に移動させるように、制御装置450は、関節式アーム部材400を介してエンドエフェクタ500の移動を制御するように構成される。係合された補綴具600、手術ガイド700、又は下顎矯正要素800を有するエンドエフェクタ500がコントローラ装置450によって指図された位置にあると、実際の処置の能動的位置合わせ部分が開始されることができ、制御装置450は、例えば、やはり仮想処置計画に従って、補綴具600、手術ガイド700、又は下顎矯正要素800の位置及び向きなどのエンドエフェクタ500の他のパラメータをさらに指図してもよい。
【0064】
これらの例では、本明細書に開示されるシステム100の1つの違いは、係合された補綴具600、手術ガイド700、又は下顎矯正要素800を有するエンドエフェクタ500が施術者によって案内されるのではなく、仮想処置計画を介して決定され、制御装置450及び関節式アーム部材400を介して実装される処置経路に沿って施術者によって単に促されることである。すなわち、システム100は、仮想処置計画を介して決定され、制御装置450及び関節式アーム部材400を介して実装されるように、顎顔面解剖学的構造に対して位置合わせ処置を実行するように施術者を制限するように構成されてもよく、それにより、制御装置450は、顎顔面解剖学的構造の画像(複数可)から作成された仮想処置計画に従って、関節式アーム部材400(したがって、エンドエフェクタ500)の許容可能な移動を制御する。例えば、システム100は、触覚フィードバックを介して施術者に伝達されるように、関節式アーム部材400/エンドエフェクタ500の制限された移動のために構成されてもよく、例えば、関節式アーム部材400/エンドエフェクタ500は、仮想処置計画に従って移動することがより容易であり、仮想処置計画から逸脱する場合は移動することがより困難となり得る。
【0065】
しかしながら、当業者は、仮想処置計画(すなわち、振動、構成要素の撓み、及び/又は施術者によって加えられる過度の力に起因する)に従って完全に制御された移動を提供するための関節式アーム部材400/エンドエフェクタ500の物理が、したがって、システム100が、例えば逸脱警告表示又は任意の他の適切な音声及び/又は視覚機構を介してなど、施術者に他の方法のフィードバックを提供するようにさらに構成され得ることも理解するであろう。したがって、システム100は、仮想処置計画を実際に実装するための対策を含み、したがって、処置パラメータが不正確であり得る場合に施術者に単に警告するのではなく、より正確な位置合わせ処置を容易にする。しかしながら、場合によっては、システム100は、施術者の操作なしに、制御装置450を介した関節式アーム部材400/エンドエフェクタ500の自動操作によって、仮想処置計画を自律的に達成するようにさらに構成され得ることも当業者には理解されよう。
【0066】
前述の説明及び関連する図面に提示された教示の利益を有するこれらの開示された実施形態が関連する当業者には、本明細書に記載された本発明の多くの修正及び他の実施形態が思い浮かぶであろう。したがって、本発明の実施形態は、開示された特定の実施形態に限定されるものではなく、修正及び他の実施形態が本発明の範囲内に含まれることが意図されていることを理解されたい。さらに、前述の説明及び関連する図面は、要素及び/又は機能の特定の例示的な組み合わせの文脈で例示的な実施形態を説明しているが、本開示の範囲から逸脱することなく、代替の実施形態によって要素及び/又は機能の異なる組み合わせが提供されてもよいことを理解されたい。これに関して、例えば、上記で明示的に説明したものとは異なる要素及び/又は機能の組み合わせも本開示の範囲内で考えられる。本明細書では特定の用語が使用されているが、それらは一般的かつ説明的な意味でのみ使用され、限定の目的では使用されない。
【0067】
本明細書では、第1、第2などの用語を使用して様々なステップ又は計算を説明することができるが、これらのステップ又は計算はこれらの用語によって限定されるべきではないことを理解されたい。これらの用語は、ある操作又は計算を別の操作又は計算と区別するためにのみ使用される。例えば、本開示の範囲から逸脱することなく、第1の計算を第2の計算と呼ぶことができ、同様に、第2のステップを第1のステップと呼ぶことができる。本明細書で使用される場合、「及び/又は」という用語及び「/」記号は、関連する列挙された項目のうちの1つ以上のありとあらゆる組み合わせを含む。
【0068】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、複数形も含むことが意図される。「備える(comprises)」、「備えている(comprising)」、「含む(includes)」、及び/又は「含んでいる(including)」という用語は、本明細書で使用される場合、記載された特徴、整数、ステップ、動作、要素、及び/又は構成要素の存在を指定するが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、及び/又はそれらのグループの存在又は追加を排除するものではないことがさらに理解されよう。したがって、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、限定することを意図するものではない。
【手続補正書】
【提出日】2023-04-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯科用ロボットシステムであって、
顎顔面解剖学的構造と係合されるように適合された基準マーカと、
補綴具、手術ガイド、または顎矯正具と、
関節式アーム部材であって、その遠位端に係合されたエンドエフェクタを有し、エンドエフェクタは、補綴具、手術ガイド、又は下顎矯正要素がエンドエフェクタと所定の空間的関係で受容されるように配置される、関節式アーム部材と、
コンピュータプログラム製品を格納するメモリとプロセッサを有する制御装置であって、コンピュータプログラム製品は、以下のステップ、
基準マーカ、関節式アーム部材、及びエンドエフェクタと通信して、補綴具、手術ガイド、又は下顎矯正要素を顎顔面解剖学的構造に対して位置合わせされた関係で配置するため仮想処置計画に従って、エンドエフェクタの移動中に基準マーカに対するエンドエフェクタの配置を決定するステップと、
顎顔面解剖学的構造に固定するため、補綴具、手術ガイド、又は下顎矯正要素を位置合わせされた関係に配置するために、仮想処置計画に従って、顎顔面解剖学的構造に係合された基準マーカに対するエンドエフェクタの配置に対して直接、エンドエフェクタの許容可能な移動を物理的に制御するように関節式アーム部材に指示するステップと、
を実行するプロセッサによって実行可能な、
制御装置と、
を備える、歯科用ロボットシステム。
【請求項2】
制御装置のプロセッサによるコンピュータプログラム製品の実行により、補綴具、手術ガイド、又は下顎矯正要素が顎顔面解剖学的構造に対して位置合わせされた関係で配置されているときに、エンドエフェクタの移動が仮想処置計画から逸脱する場合、触覚フィードバックを提供するようにエンドエフェクタに指示するステップを制御装置に実行させる、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
顎顔面解剖学的構造と物理的かつ確実に相互作用され、基準マーカと動作可能に係合されるスプリント器具を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
エンドエフェクタの移動が仮想処置計画から逸脱する場合、制御装置又はエンドエフェクタが、音声フィードバック又は視覚フィードバックを提供するように配置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
補綴具、手術ガイド、又は下顎矯正要素は、所定の空間的関係でエンドエフェクタによって直接受容されるように配置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
所定の空間的関係でエンドエフェクタによって受容されたインターフェイスを備え、インターフェイスは、所定の空間的関係で補綴具、手術ガイド、又は下顎矯正要素を受容するように配置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
インターフェイスは、補綴具を所定の空間的関係で受容するように配置された咬合形態の器具である、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
エンドエフェクタの許容可能な移動を物理的に制御するように関節式アーム部材に指示する制御装置のステップは、補綴具を固定するために補綴具を顎顔面解剖学的構造に埋め込まれた1つ以上のインプラントアンカーと位置合わせされた関係に配置するため、仮想処置計画に従って、顎顔面解剖学的構造と係合された基準マーカに対するエンドエフェクタの配置に対して、直接、エンドエフェクタの許容可能な移動を物理的に制御するように関節式アーム部材に指示することを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
エンドエフェクタの許容可能な移動を物理的に制御するように関節式アーム部材を指示する制御装置のステップは、手術用ガイドを顎顔面解剖学的構造と位置合わせされた関係に配置するために、仮想処置計画に従って、顎顔面解剖学的構造と係合された基準マーカに対するエンドエフェクタの配置に対して、直接、エンドエフェクタの許容可能な移動を物理的に制御するように関節式アーム部材に指示し、手術ガイドは、1つ又は複数のガイド孔を画定するか、又はガイド孔と係合される1つ又は複数のガイドインサートを有し、1つ又は複数のガイドインサートはそれぞれ、固定孔がガイド孔を通して顎顔面解剖学的構造に穿孔されることを可能にするか、又は手術ガイドを顎顔面解剖学的構造に固定するために、ファスナが固定孔との係合のためガイド孔を通して受容されることを可能にするように、ガイド孔を画定することを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
補綴具は、1つ以上のガイド孔を画定するか、又はガイド孔と係合される1つ以上のガイドインサートを有し、1つ以上のガイドインサートはそれぞれ、補綴具が手術ガイドであるようにガイド孔を画定する、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
下顎矯正要素が、顎顔面解剖学的構造の残りの部分とは分離された顎顔面解剖学的構造の一部分であり、エンドエフェクタの許容可能な移動を物理的に制御するように関節式アーム部材を指示するステップは、固定孔が顎顔面解剖学的構造の一部分又は残りの部分内に穿孔されることを可能にするか、又はブラケットを顎顔面解剖学的構造の一部分と残りの部分との間に固定するために、ファスナが固定孔と係合されることを可能にするように、顎顔面解剖学的構造の残りの部分と位置合わせされた関係に顎顔面解剖学的構造の一部分を配置するため、仮想処置計画に従って、顎顔面解剖学的構造と係合された基準マーカに対するエンドエフェクタの配置に対して、直接、エンドエフェクタの許容可能な移動を物理的に制御するように関節式アーム部材に指示することを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
追跡アームの遠位端と係合される検出器を備え、追跡アーム及び検出器は制御装置と通信し、検出器は、基準マーカを検出するために基準マーカと離間された関係で配置され、基準マーカとの空間的関係を決定するために制御装置と協働する、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
検出器は、電気検出器、電気機械検出器、電磁検出器、光検出器、赤外線検出器、又はそれらの組み合わせである、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
基準マーカと物理的に係合される遠位端を有する追跡アームを備え、追跡アームは制御装置と通信し、基準マーカとの空間的関係を決定するために制御装置と協働するように配置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
基準マーカは、電気通信システム、機械通信システム、電気機械通信システム、電磁通信システム、光通信システム、赤外線通信システム、又はそれらの組み合わせを介して、制御装置と通信するように配置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
基準マーカは、無線通信システム又は有線通信システムを介して制御装置と通信するように配置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
制御装置は、補綴具、手術ガイド、又は下顎矯正要素を位置合わせされた関係で受容する顎顔面解剖学的構造のための仮想処置計画を形成するために、顎顔面解剖学的構造の画像のグラフィック操作を容易にするように配置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
歯科用ロボットシステム
手術方法であって、方法は、
基準マーカを顎顔面解剖学的構造
モデルと係合させることと、
補綴具、手術ガイド、又は下顎矯正要素を、関節式アーム部材の遠位端と係合されたエンドエフェクタと所定の空間的関係で受容することと、
制御装置のプロセッサを用いてコンピュータプログラム製品を実行して、
基準マーカ、関節式アーム部材、及びエンドエフェクタと通信して、補綴具、手術ガイド、又は下顎矯正要素を顎顔面解剖学的構造
モデルに対して位置合わせされた関係で配置するため仮想処置計画に従って、エンドエフェクタの移動中に基準マーカに対するエンドエフェクタの配置を決定するステップと、
顎顔面解剖学的構造
モデルに固定するため、補綴具、手術ガイド、又は下顎矯正要素を位置合わせされた関係に配置するために、仮想処置計画に従って、顎顔面解剖学的構造
モデルに係合された基準マーカに対するエンドエフェクタの配置に対して直接、エンドエフェクタの許容可能な移動を物理的に制御するように関節式アーム部材に指示するステップと、
を実行することと、
を備える、方法。
【請求項19】
制御装置のプロセッサによるコンピュータプログラム製品の実行により、補綴具、手術ガイド、又は下顎矯正要素が顎顔面解剖学的構造
モデルに対して位置合わせされた関係で配置されているときに、エンドエフェクタの移動が仮想処置計画から逸脱する場合、触覚フィードバックを提供するようにエンドエフェクタに指示するステップを制御装置に実行させる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
基準マーカを顎顔面解剖学的構造
モデルと係合させることは、スプリント器具を顎顔面解剖学的構造
モデルと物理的かつ確実に相互作用させることを備え、スプリント器具は基準マーカと動作可能に係合される、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
エンドエフェクタの移動が仮想処置計画から逸脱する場合、制御装置又はエンドエフェクタを、音声フィードバック又は視覚フィードバックを提供するように配置することを備える、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
補綴具、手術ガイド、又は下顎矯正要素が所定の空間的関係で受容されるように、補綴具、手術ガイド、又は下顎矯正要素を、エンドエフェクタによって直接受容することを備える、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
所定の空間的関係でエンドエフェクタによってインターフェイスを受容することを備え、インターフェイスは、所定の空間的関係で補綴具、手術ガイド、又は下顎矯正要素を受容するように配置される、請求項18に記載の方法。
【請求項24】
インターフェイスは咬合形態の器具であり、方法は、補綴具を所定の空間的関係で咬合形態の器具によって受容することを備える、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
エンドエフェクタの許容可能な移動を物理的に制御するように関節式アーム部材に指示することが、補綴具を固定するために、補綴具を顎顔面解剖学的構造
モデルに埋め込まれた1つ以上のインプラントアンカーと位置合わせされた関係に配置するため、仮想処置計画に従って、顎顔面解剖学的構造
モデルと係合された基準マーカに対するエンドエフェクタの配置に対して、直接、エンドエフェクタの許容可能な移動を物理的に制御するように関節式アーム部材に指示することを備える、請求項18に記載の方法。
【請求項26】
エンドエフェクタの許容可能な移動を物理的に制御するように関節式アーム部材を指示することは、手術用ガイドを顎顔面解剖学的構造
モデルと位置合わせされた関係に配置するために、仮想処置計画に従って、顎顔面解剖学的構造
モデルと係合された基準マーカに対するエンドエフェクタの配置に対して、直接、エンドエフェクタの許容可能な移動を物理的に制御するように関節式アーム部材に指示し、手術ガイドは、1つ又は複数のガイド孔を画定するか、又はガイド孔と係合される1つ又は複数のガイドインサートを有し、1つ又は複数のガイドインサートはそれぞれ、固定孔がガイド孔を通して顎顔面解剖学的構造
モデルに穿孔されることを可能にするか、又は手術ガイドを顎顔面解剖学的構造に固定するために、ファスナが固定孔との係合のためガイド孔を通して受容されることを可能にするように、ガイド孔を画定することを備える、請求項18に記載の方法。
【請求項27】
補綴具内に、1つ以上のガイド孔を形成すること、又は1つ以上のガイドインサートを補綴具と係合させること、を備え、1つ以上のガイドインサートはそれぞれ、補綴具が手術ガイドになるようにガイド孔を画定する、請求項18に記載の方法。
【請求項28】
下顎矯正要素は、顎顔面解剖学的構造
モデルの残りの部分とは分離された顎顔面解剖学的構造
モデルの一部分であり、エンドエフェクタの許容可能な移動を物理的に制御するように関節式アーム部材を指示することは、固定孔が顎顔面解剖学的構造
モデルの一部分又は残りの部分内に穿孔されることを可能にするか、又はブラケットを顎顔面解剖学的構造
モデルの一部分と残りの部分との間に固定するために、ファスナが固定孔と係合されることを可能にするように、顎顔面解剖学的構造
モデルの残りの部分と位置合わせされた関係に顎顔面解剖学的構造
モデルの一部分を配置するため、仮想処置計画に従って、顎顔面解剖学的構造
モデルと係合された基準マーカに対するエンドエフェクタの配置に対して、直接、エンドエフェクタの許容可能な移動を物理的に制御するように関節式アーム部材に指示することを備える、請求項18に記載の方法。
【請求項29】
基準マーカと通信することは、追跡アームの遠位端と係合される検出器を介して基準マーカと通信することを備え、追跡アーム及び検出器は制御装置と通信し、検出器は、基準マーカを検出するために基準マーカと離間された関係で配置され、基準マーカとの空間的関係を決定するために制御装置と協働する、請求項18に記載の方法。
【請求項30】
基準マーカと通信することは、追跡アームの遠位端と係合される、電気検出器、電気機械検出器、電磁検出器、光検出器、赤外線検出器、又はそれらの組み合わせを介して基準マーカと通信することを備える、請求項18に記載の方法。
【請求項31】
基準マーカと通信することは、追跡アームの遠位端を介して基準マーカと通信することを備え、遠位端は基準マーカに物理的に係合され、追跡アームは制御装置と通信し、基準マーカとの空間的関係を決定するために制御装置と協働するように配置される、請求項18に記載の方法。
【請求項32】
電気通信システム、機械通信システム、電気機械通信システム、電磁通信システム、光通信システム、赤外線通信システム、又はそれらの組み合わせを介して、基準マーカと制御装置との間で通信することを備える、請求項18に記載の方法。
【請求項33】
無線通信システム又は有線通信システムを介して基準マーカと制御装置との間で通信することを備える、請求項18に記載の方法。
【請求項34】
補綴具、手術ガイド、又は下顎矯正要素を位置合わせされた関係で受容する顎顔面解剖学的構造
モデルのための仮想処置計画を形成するように、制御装置により、顎顔面解剖学的構造
モデルの画像をグラフィック操作することを備える、請求項18に記載の方法。
【国際調査報告】