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特表2023-536748バイオリアクタにおける流体展開のためのノズル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-29
(54)【発明の名称】バイオリアクタにおける流体展開のためのノズル
(51)【国際特許分類】
   C12M 3/00 20060101AFI20230822BHJP
   C12M 1/21 20060101ALI20230822BHJP
   C12M 1/34 20060101ALI20230822BHJP
   C12N 5/071 20100101ALI20230822BHJP
【FI】
C12M3/00 A
C12M1/21
C12M1/34 D
C12N5/071
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023507956
(86)(22)【出願日】2021-08-04
(85)【翻訳文提出日】2023-04-04
(86)【国際出願番号】 EP2021071742
(87)【国際公開番号】W WO2022029163
(87)【国際公開日】2022-02-10
(31)【優先権主張番号】20305908.4
(32)【優先日】2020-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】597035528
【氏名又は名称】メルク パテント ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベルティ・ペレス,ステファノ
(72)【発明者】
【氏名】ジョルダンヌ,ローラン
【テーマコード(参考)】
4B029
4B065
【Fターム(参考)】
4B029AA02
4B029AA07
4B029AA08
4B029BB11
4B029CC02
4B029DE03
4B029DE06
4B029DF01
4B029DF05
4B029DF09
4B029DG06
4B029FA09
4B029GA08
4B065AA90X
4B065AA95X
4B065BC19
(57)【要約】
バイオリアクタ内の生物学的流体を処理するための流体展開のためのノズルシステムであって、内部容積を有するバイオリアクタと、内部容積内に展開された調整可能なノズルと、薬剤を含有することができるリザーバと、リザーバ及び調整可能なノズルを接続する配管であって、調整可能なノズルは、複数の分配流中に処理剤を分配するように調整されることが可能である、配管と、を有する、ノズルシステム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオリアクタ内の生物学的流体を処理するための流体展開のためのノズルシステムであって、
内部容積を有するバイオリアクタと、
内部容積内に展開された調整可能なノズルと、
薬剤、希釈剤又は培地を含有することができるリザーバと、
リザーバ及び調整可能なノズルを接続する配管であって、調整可能なノズルは、複数の分配流中に処理剤を分配するように調整されることが可能である、配管と、
を備える、ノズルシステム。
【請求項2】
調整可能なノズルは、0度~180度の直線又は円錐の角度で集束流、中央流、及び拡散流を提供する流れを分配することができる、請求項1に記載のノズルシステム。
【請求項3】
調整可能なノズルは、自動的に調整されるか、又は手動で調整される、請求項1に記載のノズルシステム。
【請求項4】
スパージャを更に備える、請求項1に記載のノズルシステム。
【請求項5】
インペラを更に備える、請求項1に記載のノズルシステム。
【請求項6】
バッフルを更に備える、請求項1に記載のノズルシステム。
【請求項7】
処理剤は消泡剤である、請求項1に記載のノズルシステム。
【請求項8】
バイオリアクタのための監視及び調節システムを更に備え、システムは、
バイオリアクタを通過するレーザ光を照射可能な光源と、
レーザ光を2本以上のビームに分割することができるビームスプリッタであって、2本以上のビームの各々はバイオリアクタの異なる高さにある、ビームスプリッタと、
各ビームの光強度を測定することができる複数の光センサであって、各2つ以上の光センサは、1つのレーザビームに対応して、バイオリアクタ内のライブイメージング及び流体検知を捕捉することができる光チャネル又はカメラを形成する、複数の光センサと、
を備える、請求項1~7のいずれか一項に記載のノズルシステム。
【請求項9】
バイオリアクタは、窓を有するマルチユースバイオリアクタ又はポリマーフィルムを備えるシングルユースバイオリアクタである、請求項1~8のいずれか一項に記載のノズルシステム。
【請求項10】
バイオリアクタは混合システムを更に備える、請求項1~9のいずれか一項に記載のノズルシステム。
【請求項11】
ミキサーは、上流のバイオプロセシング用途及び下流のバイオプロセシング用途のうちの少なくとも1つに使用されることができる、請求項1~10のいずれか一項に記載のノズルシステム。
【請求項12】
システムは、容器内の内容物のレベルを測定することができる、請求項8~11のいずれか一項に記載のノズルシステム。
【請求項13】
アラームを更に備え、アラームは、内部容積内の内容物がバイオリアクタ内の臨界レベルに達することによって作動可能である、請求項8~12のいずれか一項に記載のノズルシステム。
【請求項14】
内容物は液体からなる、請求項12~13のいずれか一項に記載のノズルシステム。
【請求項15】
液体は、溶液又は生物学的流体からなる、請求項14に記載のノズルシステム。
【請求項16】
内容物は、液体表面上に泡を備える、請求項12~16のいずれか一項に記載のノズルシステム。
【請求項17】
コリメータを更に備える、請求項8~16のいずれか一項に記載のノズルシステム。
【請求項18】
光センサは、容器内の空気、泡、及び液体の各々を通過した後に検出された光強度を区別することができる、請求項8~17のいずれか一項に記載のノズルシステム。
【請求項19】
光センサはフォトダイオードである、請求項8~18のいずれか一項に記載のノズルシステム。
【請求項20】
監視及び調節システムは、容器の外部にある、請求項8~19のいずれか一項に記載のノズルシステム。
【請求項21】
生物学的流体を処理するための方法であって、
バイオリアクタ内の生物学的流体を処理するための流体展開のためのノズルシステムを提供する工程を備え、
内部容積を有するバイオリアクタと、
内部容積内に展開された調整可能なノズルと、
薬剤を含有することができるリザーバと、
リザーバ及び調整可能なノズルを接続する配管であって、調整可能なノズルは、複数の分配流のうちの少なくとも1つに処理剤を分配するように調整されることが可能である、配管と、を更に備える、
方法。
【請求項22】
消泡剤は、泡によって覆われた領域のみに集束されたバイオリアクタの内容物に添加される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
請求項8に記載の監視及び調節システムを更に備える、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
監視及び調節システムは、内部容積内に含まれる生物学的流体の表面上の泡の位置を検出する、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
マイクロプロセッサは、調整可能なノズルに信号を送信して、消泡剤の流れを泡に噴霧する、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
バイオリアクタのための監視及び調節システムであって、
システムは、
バイオリアクタを介してレーザ光を照射可能な光源と、
レーザ光を2本以上のビームに分割することができるビームスプリッタであって、2本以上のビームの各々がバイオリアクタの異なる高さにある、ビームスプリッタと、
各ビームの光強度を測定することができる複数の光センサであって、各2本以上の光センサが1本のレーザビームに対応して、光チャネルを形成する、複数の光センサと、
を備える、システム。
【請求項27】
バイオリアクタは、窓を有するマルチユースバイオリアクタ又はポリマーフィルム備えるシングルユースバイオリアクタである、請求項26に記載の監視及び調節システム。
【請求項28】
バイオリアクタは混合システムを更に備える、請求項26~27のいずれか一項に記載の監視及び調節システム。
【請求項29】
ミキサーは、上流のバイオプロセシング用途及び下流のバイオプロセシング用途のうちの少なくとも1つで使用されることができる、請求項26~28のいずれか一項に記載の監視及び調節システム。
【請求項30】
システムは、バイオリアクタ内の液体レベル又は泡レベルを測定することができる、請求項26~29のいずれか一項に記載の監視及び調節システム。
【請求項31】
アラームを更に備え、アラームは、バイオリアクタの内部容積内のバイオリアクタ内の臨界レベルに達する液体レベル又は泡レベルによって作動可能である、請求項26~30のいずれか一項に記載の監視及び調節システム。
【請求項32】
泡は液体表面上に配置される、請求項26~31のいずれか一項に記載の監視及び調節システム。
【請求項33】
コリメータを更に備える、請求項26~31のいずれか一項に記載の監視及び調節システム。
【請求項34】
FLIRカメラを更に備える、請求項26~31のいずれか一項に記載の監視及び調節システム。
【請求項35】
光センサは、バイオリアクタ内の空気、泡、及び液体の各々を通過した後に検出された光強度を区別することができる、請求項26~31のいずれか一項に記載の監視及び調節システム。
【請求項36】
光センサはフォトダイオードである、請求項26~31のいずれか一項に記載の監視及び調節システム。
【請求項37】
バイオリアクタ用の監視及び調節カメラシステムであって、システムは、
サーモグラフィカメラと、
透明なバイオリアクタ又は透明な窓を有するバイオリアクタと、
を備える、監視及び調節カメラシステム。
【請求項38】
サーモグラフィカメラは、FLIR又はハンドヘルドFLIRである、請求項37に記載の監視及び調節システム。
【請求項39】
サーモグラフィカメラは、マイクロプロセッサに信号を送信することができる、請求項37~38のいずれかに記載の監視及び調節システム。
【請求項40】
マイクロプロセッサは、バイオリアクタと通信する装置に動作信号を送信することができる、請求項39に記載の監視及び調節システム。
【請求項41】
システムは、バイオリアクタ内の液体レベル又は泡レベルの温度を測定することができる、請求項37~40のいずれか一項に記載の監視及び調節システム。
【請求項42】
アラームを更に備え、アラームは、バイオリアクタの内部容積内の臨界レベルに達する液体レベル又は泡レベルによって作動可能である、請求項37~41のいずれか一項に記載の監視及び調節システム。
【請求項43】
装置はノズルである、請求項40に記載の監視及び調節システム。
【請求項44】
装置は調整可能なノズルである、請求項40に記載の監視及び調節システム。
【請求項45】
信号を生成し、信号をマイクロプロセッサに送信し、バイオリアクタと通信するデバイスのための信号を送信する、請求項37に記載の監視及び調節システムを使用して流体、泡、又は気体の温度を検出するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、生物学的流体を処理するためのバイオリアクタに関する。より具体的には、本明細書に開示される或る実施形態は、バイオリアクタの内部容積内の液体及び/又は溶液を送達するためのノズルを有するバイオリアクタを含む。
【背景技術】
【0002】
バイオプロセシングは、生物学的流体の製造、例えば、細胞培養、ウイルス及びウイルスベクターの産生等である。バイオプロセシングは、3リットル~5000リットル反応器の範囲の容器及び反応器内で行われる。これらのバイオリアクタは、様々な形状及びアスペクト比の内部容積を有し、成分の混合を複雑にする。多くの成分、例えば処理剤は、バイオプロセシング中に添加されてもよい。例えば、アジュバント、細胞培養培地、pH調整剤、及び消泡剤の溶液は、バイオプロセシング中に添加されてもよい。典型的には、これらの材料は、容器/バッグの上部及び底部の複数のポートのいずれかを介して添加され、混合要素がそれらを分配する。しかしながら、これは、ポートが典型的には容器の内面に沿って配置され、それらが必要とされる場所への材料の分配がしばしば不十分であるという点で、分配のための非効率的な方法である。
【0003】
更に、これらの溶液は、バイオリアクタ内の生物学的流体と十分に混合される必要がある。インペラ及びバッフルを含む、よく設計された混合システムは、3つの基本的な機能を提供する。まず、均質分布における一定条件(例えば、栄養素、pH、温度等)を作り出すこと、第2に、気体、例えば酸素の分散、第3に、熱伝達の最適化である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スパージャは、気体、例えば酸素を生物学的プロセスに送達するために使用される。しかしながら、高剪断混合は、バイオプロセシング中に生物学的流体の表面上に好ましくない泡を生成する可能性がある。更に、培養培地への気体の導入に起因してバイオプロセシングで泡が発生し、貴重な生成物を損傷する可能性がある泡の破裂、泡がバイオリアクタから漏れた場合の無菌性の喪失、又は泡が出口フィルタを塞いだ場合の過剰圧力に起因する生産性の低下をもたらす。「泡消剤」、「消泡剤」又は「泡止剤」とも呼ばれる化学消泡剤は、バイオプロセシング中に生物学的流体の表面に形成される泡の量を減らすために、バイオリアクタで日常的に使用されている。消泡剤は、バイオリアクタ内で起こる生物学的プロセス、すなわち細胞、ウイルス、ウイルスベクター等の作製及び増殖に悪影響を及ぼすことも知られている。例えば、泡が生成されると、細胞は表面に上昇し、泡に取り込まれ、栄養素及び酸素を奪われて細胞死につながる可能性がある。発泡に対抗するために、消泡剤が添加され、その添加は製品開発の後続の段階で、問題、すなわち、品質、時間、及び費用の問題を引き起こす。このような消泡剤の分布は、発泡に対抗するのに必要な流体の量に影響を及ぼすことが確認されている。消泡剤は、典型的には2つの方法で添加されることができる。1つの方法は、バイオリアクタの上部からの滴下法によるものであり、これは蠕動ポンプと、操作者が泡を見つけた際の手動追加と、を含む。第2の方法は、バイオリアクタ内に供給管を組み込むことによるものであり、それによって、消泡剤はまた、発泡の識別時に手動で添加される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
現在のシステム及びバイオリアクタは、効率的な泡の修復を達成するための自動又は半自動のその場での解決策を提供していない。泡レベル検出及び送達システムは、安価であるが侵襲的であり、消泡剤を導入しすぎる可能性がある。したがって、消泡剤及び他の処理剤をバイオリアクタに効率的に導入することによって発泡状態を非侵襲的に検出及び改善するシステムは、当技術分野における進歩を表す。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本明細書に記載の或る実施形態によるバイオリアクタ及びノズルシステムを示す図である。
図2】本明細書に記載の或る実施形態による、図1のノズルの拡大図である。
図3】本明細書に記載の或る実施形態による、消泡剤分配のための代替的なノズル展開の拡大図である。
図4】本明細書に記載の或る実施形態による、消泡剤分配のための第2の代替的なノズル展開の拡大図である。
図5】本開示の或る実施形態によるバイオリアクタ、ノズルシステム、並びに監視及び調節システムを示す図である。
図6】本開示の実施形態による、バイオリアクタの窓、及び画像を取得するための赤外線デバイスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
添付の図面は、本明細書における本開示の或る実施形態を示しており、したがって、本発明が他の等しく有効な実施形態を認め得るため、範囲を限定すると見なされるべきではない。任意の実施形態の要素及び特徴は、更なる列挙なしに他の実施形態に見出されてもよく、可能な場合には、図に共通する同等の要素を示すために同一の参照番号が使用されていることを理解されたい。
【0008】
本明細書の開示は、バイオコンテナ等の容器内の液体レベル及び泡の監視及び調節のためのシステムの複数の実施形態を説明する。例えば、上流バイオプロセシング用途内のミキサーを有するバイオコンテナである。或る態様では、システムは、バイオコンテナ、バッグ、又は監視用の窓を有するバイオバイオリアクタを備える。次いで、非侵襲的な器具を使用して、バイオコンテナ、バッグ、又はバイオリアクタの内部容積内の内容物を監視することができる。そのような非侵襲型システムは、カメラ及びセンサ等の赤外線デバイスを備える。状態(例えば、発泡、過加圧、濁り、低温又は高温、内部容積の様々な領域における温度変化、例えば、ホットスポット及びコールドスポット、漏れ、容積レベル等、条件)を検出するこれらのデバイスからの信号及び/又は画像は、マイクロプロセッサに送信され、その後、検出された状態に応答するためにデバイスにフィードバック信号が提供されることができる。本明細書に開示される泡検出方法の或る実施形態は、赤外(IR)分光法を備える。赤外線放射は、化合物、例えば液体、泡等の分子を励起するために使用され、液体又は泡の温度に応じて色の形のスペクトルを生成する。光の周波数又は波長の関数として分子によって吸収されるエネルギーが、このスペクトルを決定する。泡の場合、泡はより少ない熱を吸収するので、分子によって吸収されるエネルギーははるかに低く、表示されるスペクトルはより低い勾配になる。このスペクトルは、システムがどれだけの泡を有するかを判定する。
【0009】
本開示の或る実施形態は、バイオリアクタ内の生物学的流体を処理するための流体展開のためのノズルシステムと、内部容積を有するバイオリアクタと、内部容積内に展開された調整可能なノズルと、消泡剤、希釈剤又は培地、細胞培養培地、及びバイオプロセシングに使用される他の薬剤等の薬剤を含有することができるリザーバと、リザーバ及び調整可能なノズルを接続する配管と、を備え、調整可能なノズルは、複数の分配流に処理剤を分配するように調整されることができる。
【0010】
本開示の実施形態はまた、発泡条件をより迅速に改善するために消泡剤を均一に分配するためのノズルシステム及び方法、ならびに/又は消泡剤の使用が少ない/使用しないこと、ならびに/又は3L~5000Lのバイオリアクタの拡張性、ならびに/又は低流体量、ならびに/又は消泡方法の自動制御を提供する。
【0011】
これら及び他の規定は、以下の説明、特許請求の範囲、及び図面から明らかになるであろう。本開示の様々な利点、態様、新規及び発明的特徴、並びにその例示的な実施形態の詳細は、以下の説明及び図面からより完全に理解されるであろう。したがって、本明細書に開示された特徴を詳細に理解することができる方法、上記で簡単に要約された本開示の実施形態のより具体的な説明は、添付の図面を参照することによって有されてもよい。しかしながら、添付の図面は、本開示の典型的な実施形態のみを示しており、したがって、記載された実施形態が他の等しく有効なバッグ、バイオリアクタ、フィルム及び/又は材料を許容し得るため、その範囲を限定すると見なされるべきではないことに留意されたい。一実施形態の要素及び特徴は、更なる列挙なしに他の実施形態に見出されてもよく、可能な場合には、図に共通する同等の要素を示すために同一の参照番号が使用されていることも理解されたい。
【0012】
本明細書の開示は、バイオコンテナ等の容器内のレベル監視及び調節のためのシステムの或る実施形態を説明する。例えば、上流バイオプロセシング用途内のミキサーを有するバイオコンテナ。或る実施形態では、バイオコンテナはバッグ又はバイオリアクタである。
【0013】
図1は、本明細書に記載の或る実施形態によるバイオリアクタ及びノズルシステム100を示す。バイオリアクタ及びノズルシステム100は、任意選択的にベース102上に配置されたバイオリアクタ104を備える。バイオリアクタ104はまた、当業者に知られているような二次元又は三次元バッグ等のシングルユースバイオリアクタであってもよいことを理解されたい。また、バイオリアクタ104は、当業者に知られているように、マルチユース反応器、例えばガラス、ポリマー、又はステンレス鋼反応器であってもよい。バイオリアクタ104は、例えば、3リットル(L)のバイオリアクタ又は3000Lのバイオリアクタ(その間の全ての容積を含む)である内部容積124を備えてもよいことを更に理解されたい。或る実施形態では、内部容積124は3000Lより大きくてもよい。3Lのバイオリアクタは、ガラス又は透明プラスチック製であってもよい。より大きなバイオリアクタは、ステンレス鋼製であり、観察窓を備えてもよい。あるいは、より大きなバイオリアクタは、プラスチックフィルムからなるシングルユースバイオリアクタの形態であってもよい。
【0014】
バイオリアクタ及びノズルシステム100は、ノズル106及び分配管108を更に備える。図示のように、ノズル106は、バイオリアクタ104の上面122に配置される。しかしながら、ノズル106はまた、バイオリアクタ104がシングルユースバイオリアクタであるかマルチユースバイオリアクタであるかにかかわらず、側壁118等のバイオリアクタ104の他の領域に配置されてもよい。図示のように、バイオリアクタ104は、生物学的流体112と、生物学的流体112の液体表面120上に配置された泡114と、を収容する。ノズル106は、消泡剤110を泡114に噴射している。図示のように、ノズル106は、液体表面120の一部の上に泡114を噴霧している。生物学的流体112を混合するためのインペラ116が、バイオリアクタ104の底面に配置されていることが示されている。当業者に知られているように、気体スパージャ(図示せず)及びバッフル(図示せず)も、バイオリアクタ104の内部容積124内に任意選択的に含まれてもよい。
【0015】
図2は、本明細書に記載の或る実施形態による、図1のノズル106の拡大図200aを示す。図示のように、泡114は、生物学的流体112の液体表面120全体を覆う。ノズル106は、泡114の全体に消泡剤110を噴射している。
【0016】
1.図3は、本明細書に記載の或る実施形態による、消泡剤110の分配のための代替的なノズル展開における、図1のノズル106の拡大図200bを示す。図示のように、泡114は、液体表面120の中間領域でのみ変位され、すなわち、液体表面120の周縁部は、泡114をほとんど又は全く有していない。ノズル106は、消泡剤110を泡114の近傍のみに噴射し、液体表面120には噴射しない。ノズル106は、調整可能なノズル及び/又は最適化された噴霧のための拡散噴霧能力がより低いノズルであってもよい。更に、ノズル106は、手動の機械的調整機構又は電気信号によって作動する調整機構を有してもよい。本明細書に記載の任意の調整可能なノズル106は、自動的に調整されても、あるいは手動で調整されてもよいことを理解されたい。
【0017】
図4は、本明細書に記載の或る実施形態による、消泡剤110の分配のための第2の代替的なノズル展開における図1のノズル106の拡大図200cを示す。図示のように、泡114は、液体表面120の集中領域上でのみ変位し、すなわち、液体表面120の内側領域の大部分及び液体表面120の周縁部は、泡114をほとんど又は全く有しない。ノズル106は、泡114のみに消泡剤110の集束流を噴霧し、液体表面120には噴霧しない。上記のように、ノズル106は、調整可能なノズル及び/又は最適化された噴霧のための拡散噴霧能力がより低いノズルであってもよい。また、上記のように、ノズル106は、手動の機械的調整機構又は電気信号によって作動する調整機構を有してもよい。消泡剤を含有するリザーバ(図示せず)と連通するポンプ(図示せず)を使用すると、消泡剤又は別の液体溶液は配管108を通ってノズル106に移動する。これにより、消泡剤は、バイオリアクタ内の必要な場所に均一に分配される。これはまた、タイマー/レシピを有するバイオリアクタ内の統合制御を使用して達成されることができる。アジュバント、細胞培養培地、pH調整、及び他の処理成分の溶液もまた、拡散分布を使用して添加されて、混合がより迅速に強化されることができる。或る実施形態では、ノズル106は、0度から180度の直線又は円錐の角度の集束流、中央流、及び拡散流を有する分配を提供する。
【0018】
レーザベースのセンサシステムは、バイオリアクタ104内の泡のレベルを監視及び調節し得る。或る実施形態では、開示されるセンサシステムはモジュール式であり、すなわち、センサシステムは、それと通信する制御デバイスを用いて、様々なソフトウェアプラットフォームに基づいて、首尾よく実施されることができる。或る実施形態では、モジュールという用語は、当技術分野で知られている異なる種類のバイオリアクタと互換性があるものとして、本明細書に記載のシステムの特性を表す。例えば、システムは、マルチユース又はシングルユースバイオリアクタと互換性があってもよい。あるいは、システムは、レーザがバイオリアクタの内部容積を通過することを可能にすることができる、少なくとも2つの窓を備えるステンレス鋼バイオリアクタと互換性があってもよい。また、或る実施形態では、本明細書に記載のレーザベースのセンサシステムの背後にあるデータ処理は、当業者に知られているように、ユーザサービスプラットフォーム(USP)ソフトウェア及び需要側プラットフォーム(DSP)ソフトウェア等の現在使用されているソフトウェアプラットフォームで簡単かつ完全に実施可能であり得る。システムの或る実施形態は、バイオリアクタの内部容積内に配置される必要がなく、バイオコンテナの内容物に接触しない非侵襲センサを備える。センサは、USP及び/又はDSPソフトウェアと通信することができる。例えば、センサは、泡の存在及び/又は泡の広がり若しくは高さを感知することができる。次いで、センサUSP又はDSPは、消泡剤を噴霧するために調整可能なノズルに信号を送ることができる。泡の標的化された噴霧又は分配は、過剰量の消泡剤を噴霧することなく発泡状態を改善することができる。或る実施形態では、システムはコリメータを更に備える。或る実施形態では、光センサは、容器内の空気、泡、及び液体の各々を通過した後に検出された光強度を区別することができる。或る実施形態では、光センサはフォトダイオードである。或る実施形態では、システムは、バイオリアクタ内の流体のライブ撮像及び検知を捕捉することが可能なカメラを更に備える。或る実施形態では、システムは、バイオリアクタ内の流体のライブ撮像及び検知を捕捉することが可能なコリメータ及びカメラを更に備える。
【0019】
或る実施形態では、システムはバイオリアクタ104の外部にある。或る実施形態では、バイオリアクタ104は透明又は半透明であるか、あるいは少なくとも2つの窓を更に備え、カメラ又は光センサを配置してバイオリアクタ内の流体を検出することができる。
【0020】
本明細書に記載の或る実施形態は、バイオプロセシング中にバイオリアクタ104内の生物学的流体の表面上の生物学的流体及び泡のレベルを検知する方法を提供し、この方法は、レーザ光を少なくとも2本のビームに分割する工程であって、少なくとも2本のビームは、第1のビーム及び第2のビームからなる、工程と、バイオリアクタ104の内容物の最大充填レベルを表す容器のレベルを通って第1のビームを導く工程であって、最大充填レベルは、バイオプロセシングの開始又は継続前の内容物のレベルよりも高い、工程と、バイオリアクタ104の内容物のレベルを表すバイオリアクタ104のレベルを通って第2のビームを導く工程と、少なくとも2つの光センサを用いて検出することによって少なくとも2つのビームの光強度を監視する工程であって、少なくとも2つの光センサは、第1の光センサ及び第2の光センサからなり、第1の光センサは第1のビームの光強度を測定し、第2の光センサは第2のビームの光強度を測定する、工程と、バイオリアクタ104内の生物学的流体及び/又は泡のレベルの増加の前に、第1の光センサによって検出された光強度と比較して、第1の光センサによって光強度の減少が検出されたときにアラームを起動する工程と、アラームに応答してバイオリアクタ104内の生物学的流体及び/又は泡のレベルを示す工程と、視覚信号若しくは聴覚信号を生成し、及び/又はマイクロプロセッサに信号を送信して、例えばポンプを作動させ、及び/又はポンプと連通しているノズル106を調整する等の動作を行う工程と、を備える。
【0021】
図5は、本開示の実施形態によるバイオリアクタ530、ノズルシステム106、及び監視及び調節システム502を示す。或る実施形態では、光源20は、バイオリアクタ530を通過する、規定の波長を有するレーザ光10を放射する。或る実施形態では、レーザ光10は、ビームスプリッタ40及び任意選択的にコリメータ25を使用して、異なる高さ(例えば、最も高い液体高さから最も低い液体高さまでの3本のビーム50、60、及び70)に位置する複数のビームに分割される。或る実施形態では、ビーム50は、当業者に知られているように、任意の所与のプロセスに適切なバイオリアクタ530の内容物の最大レベルに等しい高さに配置される。図示のように、泡114が液体レベル120の上に配置される。或る実施形態では、ビーム60は、バイオプロセシングの開始又は継続の前に、バイオリアクタ530の内容物の泡又は液体レベル120又はその付近の高さに配置される。或る実施形態では、ビーム70は、ビーム70がバイオリアクタ530の液体内容物を通過する高さに配置される。
【0022】
或る実施形態では、レーザ光10は、少なくとも2本のビームに分割される。或る実施形態では、レーザ光10は、少なくとも3本のビームに分割される。例えば、レーザ光10は、3本、4本、5本、6本、7本、8本又は9本に分割される。或る実施形態では、レーザ光10は、所望されるだけ分割される。或る実施形態では、複数のビーム(図示せず)を生成するために複数の光源が使用される。
【0023】
或る実施形態では、レーザ光10の波長は、780nm~900ナノメートル(nm)の範囲内であり、それらの間の波長である。或る実施形態では、レーザ光10の波長は、濁度標準波長(800nm)に近い780nmである。或る実施形態では、ビーム(ビーム50、60、70のいずれか)は、約1mmの楕円形断面を有する。或る実施形態では、ビームの楕円形状部分(50、60、及び70)は1mm未満である。例えば、ビームの楕円形状部分(50、60、70)は、約0.1、約0.2、約0.3、約0.4、約0.5、約0.6、約0.7、約0.8、又は約0.9mmである。
【0024】
或る実施形態では、システムは、複数のビームスプリッタ40を備える。例えば、システムは、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、又は7つのビームスプリッタ40を備える。或る実施形態では、システムは、3つのビームスプリッタ40を備える。ビームスプリッタ40は、約、例えば、3ミリメートル(mm)~約150mmの範囲内のビーム径を備えてもよい。或る実施形態では、ビームスプリッタ40は、約5mmのビーム径を有する。例えば、ビーム径は、3mm、4mm、5mm、6mm、7mm、及び8mmからなる群から選択される。或る実施形態では、ビームスプリッタ40は、10/90、30/70、50/50、70/30、及び90/10の間、並びにそれらの間の全ての範囲で調整可能な反射率/透過率(R/T)比を有する。
【0025】
或る実施形態では、各ビームは光センサ80と対になって光チャネルを形成する。或る実施形態では、2つ以上の光チャネルが連続的に及び/又は同時に測定する。或る実施形態では、光チャネルは、それぞれの高さ位置特定を除いて互いに同一である。例えば、レーザ波長は光チャネルごとに同じである。或る実施形態では、各光チャネルは、同じタイプの光センサ80を含む。或る実施形態では、各チャネルの高さ位置特定は、任意のセンサ製造の前に自由であり、システムの用途の詳細によって駆動されることができる。
【0026】
或る実施形態では、光チャネルは、バイオリアクタ530の同じ理論直径上に配置された1本のビーム(例えば、50、60、又は70)及び1つの光センサ80によって形成され、入射光は、屈折を回避するためにバイオリアクタ530の円形を横切る軸線に対して完全に垂直になる(垂直入射)。したがって、透過光は、フォトダイオード等の光センサ80によって測定される。或る実施形態では、光センサ80は、シリコンベースのフォトダイオード又は他の材料、例えば、ゲルマニウム、ヒ化インジウムガリウム、硫化鉛(II)、及び当業者に知られているテルル化カドミウム水銀である。
【0027】
或る実施形態では、1つの動作モードは、本明細書に記載の2光チャネルレーザベースのセンサシステムのUSP装置への統合である。或る実施形態では、ビーム60を含む一方の光チャネルは、液体表面レベル(泡チャネル)120に配置される。或る実施形態では、ビーム50を含む第2の光チャネルは、バッグ又はバイオリアクタ530の上部(上部チャネル)から妥当な距離に配置される、すなわち二重光チャネルである。或る実施形態では、システムの二重光チャネル配置は、臨界レベルセンサとして機能する。或る実施形態では、バイオリアクタ530内の泡114のレベルの増加は、光センサ80によって検出されたビーム50の光強度の減少によって示される。ビーム50の光強度が閾値未満に低下した場合、泡114はバイオリアクタ530内の特定の高さに到達している。次いで、レベル情報は、バイオリアクタ530の動作状態を監視するための調節ループ510に供給される。
【0028】
或る実施形態では、調節ループ510は、任意選択的に光源(複数可)に電力を供給する電源(図示せず)に接続されたマイクロプロセッサ又はコンピュータ等の制御デバイス540によって管理される。或る実施形態では、制御デバイス540が、バイオリアクタ530内の内容物のレベルが臨界レベル、例えば過剰な泡の高さに達したという情報を受信すると、制御デバイス540は、シングルユース又はステンレス鋼のバイオコンテナ又はバイオリアクタ530の内部空洞124と流体連通する導管108から消泡剤110の放出を動作させる。バイオリアクタ530、ノズルシステム106、及び監視及び調節システム502は、ノズル106を介して制御された方法で、液体表面120上の泡114に消泡剤110を送達するように連携して機能する。言い換えれば、監視及び調節システム502によって検出された泡114の量に基づいて、ノズル106はそれに応じて調整される。本明細書に記載の任意の調整可能なノズル106は、自動的に調整されても手動で調整されてもよいことを理解されたい。ノズル106は、消泡剤110の流れが、上述のように、集束流又はより拡散流で送達されるように調整されてもよい。或る実施形態では、ノズルは、0度~180度の直線又は円錐の角度の集束流、中央流、及び拡散流を有する分配を提供する。更に、泡114の量は、光源(複数可)20及び光センサ(複数可)80の互い違いのアレイによって検出されてもよい。言い換えれば、或る実施形態では、制御デバイス540によってノズル106に送信される信号によって制御されるノズル106の調整可能性は、複数の光源20及び光センサ80が異なる「z」位置にあるときに検出される泡114の量に依存し、ビーム50、60、70は、(バイオリアクタ530の内部容積124の中心又はほぼ中心のみを横切るのとは対照的に)液体表面120の周囲の外縁を横切る。
【0029】
或る実施形態では、少なくとも2つの光チャネルを有するシステムで4つの測定状況が発生する。1)0mAを超える光強度が両方の光チャネルにおいて測定され、これは、バイオリアクタ内の生物学的流体のレベルが低いか、又は泡が検出されないことを意味する。2)泡チャネルでは0mAの光強度が測定され、上部チャネルでは0mAを超える光強度が測定される。これらの結果は、泡又は不透明な溶液が存在するが、生物学的流体のオーバーフローは生じていないことを意味する。或る実施形態では、バイオリアクタ内の生物学的流体のレベルを調節するために消泡剤が添加される。3)0mAを超える光強度が泡チャネルで測定され、0mAの光強度が上部チャネルで測定される。透明な溶液の場合、泡レベルは高すぎ、アラームが作動されてもよく、又は信号が送信されてもよい。4)両方の光チャネルで0mAの光強度が測定される場合、バイオリアクタ内の泡又は液体レベルが高すぎる。或る実施形態では、アラームが起動される。或る実施形態では、消泡剤がバイオリアクタの内部容積に添加される。或る実施形態では、カメラは前方視赤外線(FLIR)カメラである。FLIRカメラは、ハンドヘルドカメラであってもよく、又はバイオリアクタ、バッグ、若しくはバイオコンテナに取り付けられてもよい。或る実施形態では、FLIRカメラは、マイクロプロセッサ、iPhone(R)、Android(R)電話、コンピュータ等に無線信号を送信するためのアダプタと電気的及び/又は電子的に対になって、バイオコンテナ、バッグ、又はバイオリアクタに消泡剤等の薬剤を導入又は送達するための装置にフィードバック信号を送信してもよい。本明細書に記載の任意のカメラ、レーザ、フォトダイオード又はセンサは、一定かつ連続的な監視のためにインラインで使用されることができる。あるいは、本明細書に記載のカメラ、レーザ、フォトダイオード又はセンサは、プロセスを断続的に監視することができる。
【0030】
図6は、本開示の実施形態による、バイオリアクタ608の窓610と、画像640を取得するための赤外線デバイス602とを備えるシステム600を示す。システム600は、窓610を有するバイオリアクタ608(切断図で示す)を備える。バイオリアクタ608は、窓610を有するステンレス鋼バイオリアクタ、又はポリマーフィルム若しくは複合材で作られたシングルユースバイオリアクタであってもよく、窓610がその中に配置されることを理解されたい。あるいは、バイオリアクタ608は、透明なプラスチック又はガラスで作られたマルチユースバイオリアクタであってもよい。図示のように、窓610は、上部領域620及び下部領域618を有する。一般に、窓610はバイオリアクタ608の上半分に配置される。内部に生物学的液体等の流体612を有するバイオリアクタ608が示される。流体612の上は泡614である。気体又は気体の混合物、例えば空気である空間616が、泡614の上方に示されている。前方視赤外線カメラ等の赤外線カメラ等のサーモグラフィカメラ602は、レンズ604を介して画像を撮影するように示されている。カメラ602はハンドヘルドカメラであってもよく、又はバイオリアクタ若しくは機器(図示せず)に取り付けられることができる。或る実施形態では、カメラ602は、任意選択的にピストルグリップ606を有するハンドヘルドカメラである。また、カメラ602は、マイクロプロセッサに信号を送信するためのデバイス622を有してもよい。例えば、デバイス622は、無線信号送信機であってもよい。或る実施形態では、デバイス622は、上述したように、サーモグラフィカメラ602とマイクロプロセッサ及び/又はノズルとの間の無線接続のためのUSB Wi-fiアダプタである。
【0031】
サーモグラフィカメラ602によって撮影された画像640は、30℃~39℃のサーモグラフィ尺度628を有するものとして示されている。サーモグラフィ尺度は、30~39℃スペクトルの低温ではより明るいグレーを示し、高温ではより暗い黒を示すことを意味する。サーモグラフィカメラ602は、生物学的プロセスを監視するために画像を撮影することができる。生物学的プロセスでは、バイオリアクタ内に比較的高温及びスポットが存在することが多い。例えば、スポット620aは、約31℃のコールドスポットとして見られることができる。スポット620cは、例えば35℃等の中程度の温度であり得る。スポット620bは、例えば38℃等、より高温のスポットであり得る。スポット620a、620b、及び620cは、いずれも液体の内容物内にあることに留意されたい。混合が不十分であるため、このような温度の差が存在し得ることとなる。サーモグラフィカメラ602がこのような状態を検出した場合、カメラ602からの信号は、インペラ等によって混合動作を増加させるためにマイクロプロセッサ(図示せず)に送信されることができる。混合の剪断効果は、生物学的プロセスで処理される生成物、例えばウイルスベクター、細胞、mAb等を損傷する可能性があるので、混合を最小限に保つことが有用である。また、カメラ602は、泡614による温度変動を検出することができる。泡614は、その上に配置される液体612と同じ温度を有さない。典型的には、泡614はより低温である。図示のように、泡は約32℃である。発泡条件は、細胞の酸素及び栄養素を奪い、細胞死をもたらす。したがって、泡は避けるのが最良である。温度差のためにカメラ602が泡を検出すると、カメラ602からマイクロプロセッサ又はデバイスに信号が送信されて、消泡剤をバイオリアクタに送達することができる。或る実施形態では、その消泡剤は、上述のようにノズルを通して送達される。更に、カメラ602は、画像を撮影する場合、温度差を検出せず、すなわち、これはバイオリアクタが漏れていることを示し、したがって、液体又は泡が存在しないため空気に関連する温度のみを見ることができる。そのような例では、信号を送信が送信され得、音声又は視覚アラームを引き起こして、適切なアクションがとられ得る。
【0032】
FLIRシステムは、バイオリアクタと連通するノズル又は調整可能なノズルを更に備えてもよい。FLIRシステムを使用して流体、泡、又は気体の温度を検出する方法は、信号を生成する工程と、信号をマイクロプロセッサに送信する工程と、バイオリアクタと通信するデバイスに信号を送信する工程と、を備える。
【0033】
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
【0034】
本明細書で使用されるバイオリアクタという用語は、生物学的に活性な環境を支持する任意の製造又は操作された装置又はシステムを指す。場合によっては、バイオリアクタは、生物又はそのような生物に由来する生化学的に活性な物質を含む細胞培養プロセスが実行される容器である。一般的に使用されるバイオリアクタは、典型的には円筒形であり、ステンレス鋼製であるか、又はポリマーフィルムからなる可撓性バッグであり、フィルムは半透明又は透明である。
【0035】
本明細書
で使用される場合、バイオプロセシングという用語は、標的産物を得るための生細胞又はそれらの成分、例えば細菌、酵素、又は葉緑体、ウイルス、及び細胞の生物学的系の任意の適用を指す。バイオプロセシングは、上流及び下流のバイオプロセシングを包含し得る。上流バイオプロセシングには、細胞培養方法及び産物が含まれる。
【0036】
本明細書で使用されるレーザ又は光源という用語は、コヒーレントな光ビームを生成することができる装置を指す。
【0037】
本明細書で使用される光センサという用語は、光を検出し、ビームの光強度を測定することができるデバイスを指す。光センサという用語は、例えば、可視光、赤外線透過(IR)、及び/又は紫外線(UV)エネルギーの存在を検出する電子部品を含む。
【実施例
【0038】
実施例
実施例1.物質の識別
表1に記載の条件でフォトダイオードにより透過光強度を測定した。
【0039】
【表1】
【0040】
表1の結果は、フォトダイオードが泡の量にわずかに敏感であり、フォトダイオードが、異なる条件を区別するために媒体の光学指数に十分に敏感であったことを示している。したがって、システムは、バイオリアクタ内の空気、泡、及び溶液を区別することが観察された。
【0041】
均等物
本明細書に列挙される製剤の全ての範囲は、それらの間の範囲を含み、終点を含むか又は除外することができる。任意選択的に含まれる範囲は、それらの間の整数値(又は1つの元の終点を含む)からのものであり、列挙された程度又は次に小さい程度の大きさである。例えば、下限値が0.2である場合、任意の含まれる終点は、0.3、0.4、...1.1、1.2等、並びに1、2、3等とすることができ、より高い範囲が8である場合、任意選択の含まれる終点は、7、6等、並びに7.9、7.8等とすることができる。3以上等の片側境界も同様に、列挙された程度又は1つ下の整数値から始まる一貫した境界(又は範囲)を含む。例えば、3以上は4又は3.1以上を含む。
【0042】
本明細書全体を通して、「一実施形態」、「特定の実施形態」、「1つ又は複数の実施形態」、「或る実施形態」、又は「実施形態」への言及は、記載された特徴、構造、材料、又は特性が本開示の複数の実施形態に含まれることを示す。したがって、本明細書全体を通して、「1つ又は複数の実施形態では」、「特定の実施形態では」、「一実施形態では」、「或る実施形態では」、又は「実施形態では」等の語句の出現は、必ずしも同じ実施形態を指しているわけではない。本明細書で使用される場合、単数形の「a」、「an」及び「the」は、文脈が特に指示しない限り、複数形を含む。
【0043】
本明細書で引用された特許出願及び特許及び他の非特許文献の刊行物は、あたかも各個々の刊行物又は参考文献が、完全に記載されているように参照により本明細書に組み込まれることが具体的かつ個別に示されているかのように、引用された部分全体にその全体が参照により本明細書に組み込まれる。本出願が優先権を主張する任意の特許出願も、刊行物及び参考文献について上述した方法で参照により本明細書に組み込まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2023-04-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオリアクタ内の生物学的流体を処理するための流体展開のためのノズルシステムであって、
内部容積を有するバイオリアクタと、
内部容積内に展開された調整可能なノズルと、
薬剤、希釈剤又は培地を含有することができるリザーバと、
リザーバ及び調整可能なノズルを接続する配管であって、調整可能なノズルは、複数の分配流中に処理剤を分配するように調整されることが可能である、配管と、
を備える、ノズルシステム。
【請求項2】
調整可能なノズルは、0度~180度の直線又は円錐の角度で集束流、中央流、及び拡散流を提供する流れを分配することができる、請求項1に記載のノズルシステム。
【請求項3】
調整可能なノズルは、自動的に調整されるか、又は手動で調整される、請求項1に記載のノズルシステム。
【請求項4】
スパージャと、
インペラと、
バッフルと、を更に備える、請求項1に記載のノズルシステム。
【請求項5】
処理剤は消泡剤である、請求項1に記載のノズルシステム。
【請求項6】
バイオリアクタのための監視及び調節システムを更に備え、監視及び調節システムは、
バイオリアクタを通過するレーザ光を照射可能な光源と、
レーザ光を2本以上のビームに分割することができるビームスプリッタであって、2本以上のビームの各々はバイオリアクタの異なる高さにある、ビームスプリッタと、
各ビームの光強度を測定することができる複数の光センサであって、各2つ以上の光センサは、1つのレーザビームに対応して、バイオリアクタ内のライブイメージング及び流体検知を捕捉することができる光チャネル又はカメラを形成する、複数の光センサと、
を備える、請求項1~5のいずれか一項に記載のノズルシステム。
【請求項7】
監視及び調節システムは、容器内の内容物のレベルを測定することができ、かつ、
アラームを更に備え、アラームは、内部容積内の内容物がバイオリアクタ内の臨界レベルに達することによって作動可能である、請求項6に記載のノズルシステム。
【請求項8】
内容物は、溶液、生物学的流体、及び/又は、液体表面上に泡を備える、請求項7に記載のノズルシステム。
【請求項9】
複数の光センサのそれぞれは、容器内の空気、泡、及び液体の各々を通過した後に検出された光強度を区別することができる、請求項6~8のいずれか一項に記載のノズルシステム。
【請求項10】
生物学的流体を処理するための方法であって、
請求項1に記載の、バイオリアクタ内の生物学的流体を処理するための流体展開のためのノズルシステムを提供する工程を備える方法。
【請求項11】
消泡剤は、泡によって覆われた領域のみに集束されたバイオリアクタの内容物に添加される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
ノズルシステムは、請求項6に記載の監視及び調節システムを更に備え、
監視及び調節システムは、内部容積内に含まれる生物学的流体の表面上の泡の位置を検出するように構成される、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
マイクロプロセッサは、調整可能なノズルに信号を送信して、消泡剤の流れを泡に噴霧する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
バイオリアクタのための監視及び調節システムであって、
システムは、
バイオリアクタを介してレーザ光を照射可能な光源と、
レーザ光を2本以上のビームに分割することができるビームスプリッタであって、2本以上のビームの各々がバイオリアクタの異なる高さにある、ビームスプリッタと、
各ビームの光強度を測定することができる複数の光センサであって、各2本以上の光センサが1本のレーザビームに対応して、光チャネルを形成する、複数の光センサと、
を備える、システム。
【請求項15】
システムは、バイオリアクタ内の液体レベル又は泡レベルを測定することができ、かつ、
アラームを更に備え、アラームは、バイオリアクタの内部容積内のバイオリアクタ内の臨界レベルに達する液体レベル又は泡レベルによって作動可能である、請求項14に記載の監視及び調節システム。
【請求項16】
泡は液体表面上に配置される、請求項14~15のいずれかに記載の監視及び調節システム。
【請求項17】
FLIRカメラを更に備える、請求項14~15のいずれかに記載の監視及び調節システム。
【請求項18】
複数の光センサのそれぞれは、バイオリアクタ内の空気、泡、及び液体の各々を通過した後に検出された光強度を区別することができる、請求項14~15のいずれかに記載の監視及び調節システム。
【請求項19】
バイオリアクタ用の監視及び調節カメラシステムであって、システムは、
サーモグラフィカメラと、
透明なバイオリアクタ又は透明な窓を有するバイオリアクタと、
を備える、監視及び調節カメラシステム。
【請求項20】
サーモグラフィカメラは、FLIR又はハンドヘルドFLIRであり、かつ、マイクロプロセッサに信号を送信することができ、
マイクロプロセッサは、バイオリアクタと通信する装置に動作信号を送信することができる、請求項19に記載の監視及び調節カメラシステム。
【請求項21】
システムは、バイオリアクタ内の液体レベル又は泡レベルの温度を測定することができ、
アラームを更に備え、アラームは、バイオリアクタの内部容積内の臨界レベルに達する液体レベル又は泡レベルによって作動可能である、請求項19~20のいずれかに記載の監視及び調節システム。
【請求項22】
装置はノズルである、請求項20に記載の監視及び調節システム。
【請求項23】
信号を生成し、信号をマイクロプロセッサに送信し、バイオリアクタと通信するデバイスのための信号を送信する、請求項19に記載の監視及び調節システムを使用して流体、泡、又は気体の温度を検出するための方法。
【国際調査報告】