(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-29
(54)【発明の名称】測定方法
(51)【国際特許分類】
G01B 5/02 20060101AFI20230822BHJP
【FI】
G01B5/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023507987
(86)(22)【出願日】2021-07-19
(85)【翻訳文提出日】2023-03-24
(86)【国際出願番号】 GB2021051846
(87)【国際公開番号】W WO2022029405
(87)【国際公開日】2022-02-10
(32)【優先日】2020-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391002306
【氏名又は名称】レニショウ パブリック リミテッド カンパニー
【氏名又は名称原語表記】RENISHAW PUBLIC LIMITED COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ライス デイビッド ターナー
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー ジェフリー バター
【テーマコード(参考)】
2F062
【Fターム(参考)】
2F062AA01
2F062AA04
2F062AA21
2F062AA41
2F062DD22
2F062DD23
2F062EE01
2F062FF03
2F062FF05
2F062FF07
2F062FF15
2F062GG44
2F062HH01
2F062HH04
2F062HH08
2F062HH13
2F062JJ04
(57)【要約】
部品の少なくとも一つの特徴を検査する方法であって、前記少なくとも一つの特徴は、所定の公称形状を有し、座標位置決め装置のプローブマウントに接触プローブを装着する第1ステップであって、前記座標位置決め装置は、その上のプローブの交換を容易にするように構成され、かつ、直交する3つの自由度でプローブマウントおよび部品の相対移動を容易にするように構成され、前記接触プローブは、前記部品に係合するための基準部材を備え、前記接触プローブは、スタイラスをさらに備え、前記スタイラスは、前記基準部材に対して撓み可能であり、かつ、測定される表面に接触する先端を有し、前記先端および前記基準部材の相対位置は、変換される、第1ステップと、前記基準部材および前記接触プローブの前記スタイラスを、前記特徴の一側面で前記部品に接触させ、および、前記先端と前記基準部材の前記相対位置に関する測定データを収集しながら、前記スタイラスに前記特徴を横断させる第2ステップと、前記測定データから前記特徴についての寸法情報を抽出し、および、抽出された前記寸法情報を前記部品の前記特徴の前記公称形状についての公称寸法情報と比較する第3ステップと、を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品の少なくとも一つの特徴を検査する方法であって、前記少なくとも一つの特徴は、所定の公称形状を有し、
座標位置決め装置のプローブマウントに接触プローブを装着する第1ステップであって、前記座標位置決め装置は、その上のプローブの交換を容易にするように構成され、かつ、直交する3つの自由度でプローブマウントおよび部品の相対移動を容易にするように構成され、前記接触プローブは、前記部品に係合するための基準部材を備え、前記接触プローブは、スタイラスをさらに備え、前記スタイラスは、前記基準部材に対して撓み可能であり、かつ、測定される表面に接触する先端を有し、前記先端および前記基準部材の相対位置は、変換される、第1ステップと、
前記基準部材および前記接触プローブの前記スタイラスを、前記特徴の一側面で前記部品に接触させ、および、前記先端と前記基準部材の前記相対位置に関する測定データを収集しながら、前記スタイラスに前記特徴を横断させる第2ステップと、
前記測定データから前記特徴についての寸法情報を抽出し、および、抽出された前記寸法情報を前記部品の前記特徴の前記公称形状についての公称寸法情報と比較する第3ステップと、
を備える方法。
【請求項2】
前記接触プローブは、横滑りするプローブを備え、前記基準部材は、前記スタイラスと共に前記特徴を横断するスキッドを備える、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記特徴の高さは、少なくとも50μmであり、随意に、前記特徴の長さは、少なくとも50μmである、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2ステップは、前記座標位置決め装置が、前記プローブが交換可能に取り付けられた前記プローブマウントを移動することにより実行される、
請求項1乃至3のいずれか1項に方法。
【請求項5】
前記プローブマウントは、少なくとも1つの回転軸を備える多関節部材に設けられる、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記接触プローブおよび/または前記多関節部材は、前記基準部材および前記スタイラスが少なくとも3つの軸を中心に回転することが可能なように構成される、
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記接触プローブが取り付けられる前記多関節部材は、前記少なくとも3つの回転軸のうちの少なくとも2つを提供する、
請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記スタイラスに前記特徴を横断させるステップは、前記多関節部材の少なくとも1つの軸および/または前記座標位置決め装置の1つまたは複数の前記直線軸を作動させることを備える、
請求項5、6または7に記載の方法。
【請求項9】
前記スタイラスが、前記スタイラスの先端から遠位のポイントを中心に旋回するよう構成された細長いアームに取り付けられ、前記先端は、前記旋回ポイントを中心に基準/データム部材に対して旋回することが可能である、
請求項1乃至8のいずれ1項に記載の方法。
【請求項10】
前記スタイラスの前記旋回により生じるスキューを除去するために、前記接触プローブによって得られた前記測定データに非線形補正を適用するステップ、を備える、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記部品は、所定の設計仕様に従って形成された複数の特徴を備え、前記方法は、前記先端と前記基準/データム部材との前記相対位置に関する測定データを収集しながら、前記撓み可能な測定スタイラスに前記複数の特徴を横断させるステップ、前記測定データから前記複数の特徴のうちの1つまたは複数についての寸法情報を抽出するステップ、および、抽出された前記寸法情報を前記部品についての前記設計仕様と比較するステップ、を備える、
請求項1乃至10のいずれ1項に記載の方法。
【請求項12】
前記複数の特徴は、前記部品のねじ切り部材のねじの種々の断面を備える、
請求項12に記載の方法。
【請求項13】
前記特徴は、凹んだ特徴、例えば溝、を備える、
請求項1乃至12のいずれ1項に記載の方法。
【請求項14】
前記第1ステップは、前記接触プローブが、前記座標位置決め装置の測定容積内に位置するラックから前記座標位置決め装置の前記マウント上に自動的に装着されるステップを備える、
請求項1乃至13のいずれ1項に記載の方法。
【請求項15】
前記公称寸法情報は、前記特徴の高さ、長さおよび位置のうちの少なくとも1つを備える、
請求項1乃至14のいずれ1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、座標位置決め装置に取り付けられた接触プローブを使用して、部品の1つまたは複数の特徴(例えば、凹んだ特徴)を測定する方法に関する。特に、本発明は、特徴の、1つまたは複数の態様の長さ、深さおよび/または位置を測定するための技術に関する(例えば、凹んだ特徴の位置、および/または凹んだ特徴の1つまたは複数の端の位置)。
【背景技術】
【0002】
座標測定機「CMM」または工作機械などの座標位置決め装置上で接触プローブを使用して、アーチファクトについての寸法情報を取得することは周知である。接触プローブは、一般に、測定されるアーチファクトに接触するためのスタイラス先端を有したスタイラスを有する。多くの場合、スタイラス先端は、ルビーボールなどの球状の要素である。
【0003】
典型的なCMMは、3つの垂直な直線の軸(「3軸」機械)においてアーチファクトおよびプローブの相対運動を容易にし、それによりスタイラス先端は、コンピュータの制御下でアーチファクトと接触することが可能になる。アーチファクトと接触プローブとの相対回転を容易にするように、1つまたは複数の回転軸を有するCMMを提供することもまた知られている。共通のセットアップは、プローブが取り付けられることが可能である2軸多関節ヘッドの用意であり、それは、2つの垂直な回転軸についてのプローブの回転を容易にする。3軸CMM上に2軸多関節ヘッドが提供される場合、CMMを「5軸」CMMとして参照することはありふれている。
【0004】
測定動作の間、プローブのスタイラス先端は、アーチファクト内へ移動する。スタイラス先端とアーチファクトの接触が検出され、スタイラス先端の位置は、接触のポイントを決定するために使用されることが可能である。接触プローブは、典型的には、タッチトリガープローブまたはアナログ(または「走査」)のいずれかとして分類される。タッチトリガープローブは、スタイラスと部品との接触が検出されるときに「トリガー」信号を出力する。CMMの動きは、トリガー信号の受信で停止し、トリガー信号が受信されたポイントでの機械の軸の位置が決定され、それにより、三次元空間におけるスタイラス先端の位置が決定されることが可能である。その後のタッチトリガー測定は、このプロセスを繰り返すことにより得ることが可能である。対照的に、アナログプローブは、スタイラスの撓みの程度/度合いに依存して変化する出力を提供する。アナログプローブの出力は、三次元測定空間/容積におけるスタイラス先端の位置を決定するように、機械軸位置と組み合わされることが可能である。アナログプローブでは、アーチファクトの表面との連続的な接触により、プローブを走査しながら一連の表面測定をすることが可能である(従って、「走査」プローブという名前)。
【0005】
航空宇宙および自動車を含む製造の様々な分野における効率、質、および小型化の要求の更なる増加に伴い、特定の設計仕様に対する非常に小さな特徴の正確な形成は、ますます重要になっている。それゆえ、設計仕様に従って形成されていることを確かにするために、そのような小さな特徴についての正確なプロフィール情報を検証することができるための要求の高まりがある。しかしながら、非常に小さな特徴の寸法測定は、多くの困難を示している。ボスまたはボアの周囲に延びるねじ切り特徴(すなわち、1つまたは複数の螺旋状の溝)は、製造業者が形成および測定したいが、特にコスト効率および時間効率の良い方法でそれを行うことが困難であることを見つける、一般的な特徴である。例えば、本発明者らは、公称長さおよび/または深さが約200μmであり、これは人の頭髪の幅とほぼ同じサイズである、部品上の特定の特徴の寸法を決定することの困難に直面した。直面した、正確に小さな特徴を測定するという問題のために、そのような特徴は通常Mitutoyo CV-4500などの専用のプロフィロメータ上で測定されるであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2018/150178号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2018/150169号パンフレット
【発明の概要】
【0007】
本発明は、接触プローブを使用して、座標位置決め装置(CMMまたは工作機械としてなど)上の小さな特徴を測定する方法に関する。本発明の第1の態様によると、部品の少なくとも一つの特徴を検査する方法であって、特徴は、所定の公称形状(例えば、特定の形状を有するように所定の設計仕様に従って形成され、したがって、例えば、所定の公称長さ、および/または深さ、だけでなく、随意に、所定の位置などの特定の所定の公称幾何学的寸法を有する)を有し、i)座標位置決め装置のプローブマウントに接触プローブを装着するステップであって、座標位置決め装置は、その上のプローブの交換を容易にするように構成され、かつ、直交する3つの自由度でプローブマウントおよび部品の相対移動を容易にするように構成され(随意に、測定動作の間、言い換えると、部品の表面上の測定ポイントの収集の間)、接触プローブは、部品およびスタイラスに係合するための基準/データム部材を備え、スタイラスは、基準部材に対して撓み可能であり、かつ、測定される表面に接触する先端を有し、先端および基準/データム部材の相対位置は、変換される、ステップと、ii)基準/データム部材および接触プローブのスタイラスを、特徴の一側面で部品に接触させ、および、先端と基準/データム部材の相対位置に関する測定データを収集しながら、撓み可能な測定スタイラスに特徴を横断させるステップ、を備える方法が提供される。随意に、方法は、追加のステップiii)測定データから特徴についての(幾何学的)寸法情報を抽出するステップを備える。随意に、これはまた、抽出された(幾何学的)寸法情報を部品の特徴についての公称寸法情報(例えば、これは、特徴/部品についての設計仕様から得ることが可能である)と比較するステップを備えることが可能である。
【0008】
本発明は、接触プローブが、測定される部品上に配置される基準/データム部材を有する点で、部品の幾何学的寸法測定値を得るための技術と異なる。このような基準/データム部材は、表面粗さ測定値(例えば、Ra値-「算術平均粗さ値」等)を得るためにRenishaw plcから利用可能なSFP2(例えば、国際特許出願第PCT/GB2018/050398号-公開第WO2018/150178号参照)等の表面仕上げ/粗さプローブについて知られているが、本発明の出現の前は、アーチファクトの特定の所定の幾何学的特徴についての幾何学的寸法情報を得るために、このような構成を使用することは知られていない。実際、このようなプローブは、相対的な表面粗さ情報を得るためにのみ使用されることが企図されているため、通常、このようなプローブは、アーチファクトの特定の所定の幾何学的特徴についての幾何学的寸法測定情報を得るために使用されることはないだろう。例えば、前述のRenishaw plcから利用可能なSFP2では、表面に係合し、表面に沿って移動するときにスタイラスに追従するスキッドが設けられ、表面についてのプロフィール情報を機械的にフィルタアウトするよう設計され、それにより、表面粗さ情報のみが得られる。実際、SFP2製品(すなわち、スキッド、スタイラスおよびスタイラストランスデューサ)の測定部品は、CMMに取り付けられることを介してマウントに対して撓み可能であり(CMMが直線に走査する場合に、プローブを起伏した表面に適合させるために)、そのような撓みは変換されず、したがって、CMMの三次元測定空間におけるスタイラス先端の実際の絶対位置の不確実性が増加する。
【0009】
それにも関わらず、測定される部品上に配置される基準/データム部材を有する接触プローブを使用することは有利であることが分かっている。何故ならば、基準/データム部材は部品に対してプローブを固定することが可能であり、それにより計測ループのサイズを減らすからである。したがって、基準/データム部材の用意は、プローブが取り付けられる座標位置決め装置の振動のために、そうでなければ測定データ上に現れるノイズを減らし、それゆえ、そうでなければ可能であるものよりも、はるかに小さな特徴の正確な測定が可能になる。
【0010】
そのような特徴は、専用のプロフィロメータで測定されることができるが、i)専用のプロフィロメータの購入コストを軽減する、ii)専用のプロフィロメータへの移動や部品のセットアップの負担を避ける、および/または、iii)1つの機械で部品の全ての特徴を測定することができる(例えば、プローブマウントに取り付けられる異なるプローブを使用する部品の他の態様だけでなく、本発明を使用する小さな特徴も)、のために、CMMまたは工作機械のような位置決め装置でそのような特徴を測定する要求がある。時間を節約することが可能であるだけでなく、望めば、そのような特徴の測定に、CMMまたは工作機械上で実行される他の測定と統合させることが可能である。したがって、方法は、座標位置決め装置に取り付けられた異なる種類の測定プローブにより得られた測定値を組み合わせること(すなわち、基準/データム部材を備える接触プローブにより得られた測定値と、部品を係合するための基準/データム部材を有しない別のプローブにより得られた測定値を組み合わせること)を、備えることが可能である。随意に、方法は、異なる時点で座標位置決め装置に取り付けられた別のプローブ(すなわち、部品に係合するための基準/データム部材を有していない)により得られる測定情報だけでなく、基準/データム部材を備える接触プローブにより得られる測定情報をも備える測定レポートを、エンドユーザに提供することを備えることが可能である。したがって、方法は、座標位置決め装置に取り付けられた異なるプローブ(部品に係合するための基準/データム部材を有さない)を使用して部品の他の測定値を得ることを備えることが可能である。
【0011】
このような小さな特徴は、理論上は非接触光学プローブにより座標位置決め装置で測定されることができたが、実際は、このような光学プローブは非常に高価かつ重く、反射/散乱問題を引き起こす表面の光学特性のため、全ての種類の特徴を測定することに適していない。
【0012】
座標位置決め装置は、コンピュータ制御位置決め装置、例えば、コンピュータ数値制御(CNC)位置決め装置を備えることが可能である。適切な位置決め装置は、座標位置決め装置(CMM)および工作機械を含む。位置決め装置は、直交位置決め装置(ブリッジ、ポータル、およびガントリーを含むCMMの例)または非直交位置決め装置(アーム、およびヘクサポッドなどのパラレルキネマティック装置を含む例)を備えることが可能である。直交位置決め装置は、典型的には、直列に配置した、直交して配置された3つの直線上の移動可能な軸を備える。非直交位置決め装置は、直線状の移動可能な軸を備えることが可能であるが、それは直交に配置される必要はなく、直列に配置される必要もなく、しかしそれにも関わらず、3つの直交する自由度でプローブマウントおよび部品の相対直線運動を提供するように、共に動作される。いずれにせよ、座標位置決め装置は、3つの直交する自由度で、プローブマウント(および従ってそれに取り付けられるプローブ)および検査される部品の相対運動を容易にするように構成される。特に、座標位置決め装置は、3つの直交する直線状の自由度(例えば、x、y、z)でプローブマウント(および従ってそれに取り付けられるプローブ)および検査される部品の位置の変化をもたらす、および、監視(言い換えると「追跡」)するように構成される。したがって、座標位置決め装置は、そのような位置の変化をもたらすためのアクチュエータ(例えばモータ)および3つの直交する直線状の自由度でプローブマウント(および従ってそれに取り付けられるプローブ)および検査される部品の相対位置を測定するためのトランスデューサ(例えば、位置測定エンコーダ)を備えることが可能である。したがって、座標位置決め装置は、測定動作の間(すなわち、部品の表面上の測定ポイントの収集の間)、3つの直交する直線状の自由度で、プローブマウント(および従ってそれに取り付けられるプローブ)および部品の相対位置を制御および監視するように構成される。随意に、これは、望めば、接触プローブにより得られた測定データは、三次元空間(すなわち、座標位置決め装置の三次元測定容積内の)における測定された表面ポイントの位置を決定するために、機械位置データと組み合わされることが可能であることを意味する。
【0013】
理解されるように、位置決め装置は、接触プローブが取り付けられる(例えば、移動)構造以外のデバイス/部品を備えることが可能である。例えば、位置決め装置は、1つまたは複数のプロセッサデバイス、例えば、接触プローブが取り付けられる構造と連通する、コントローラおよび/またはコンピュータを備えることが可能である。このようなデバイスは、接触プローブが取り付けられた構造と物理的に分離されることが可能である。このようなデバイスは、1つまたは複数の入力デバイスおよび/または出力デバイス、例えば、ヒューマンコンピュータインターフェースを備えることが可能である。
【0014】
好ましくは、接触プローブは、横滑りする(skidded)プローブを備える。言い換えると、基準/データム部材は、スキッド部材を備えることが可能である。理解されるように、スキッド部材は、検査される部品の表面に対してバイアスされ、部品に対して接触プローブが移動する際に部品の表面を滑るように構成された接触プローブの部分である。このスキッドは、それゆえスタイラスと共にスタイラスが移動する測定線に対して平行に移動し、スタイラスは、測定線の方向に対して実質的に垂直な方向に、スキッドに対して撓むことができる。以下により詳細に説明されるように、スタイラスは、スキッドに対してポイントを中心として旋回するよう構成されることができ、この場合、スタイラスは、弧状運動でスキッドに対して撓むように構成される。理解されるように、スキッドは、スタイラスの、前方、後方、側方、または周囲に位置されることが可能である。
【0015】
スキッドの部品係合面は、実質的に平らであることが可能である。随意に、部品係合面は、少なくとも1つの寸法でわずかな曲率半径を有することが可能である。理解されるように、曲率半径は、スキッドの長さ(例えば、測定データを得るためにスタイラスが移動する方向に平行な寸法)や、例えば、プローブが測定に使用されるであろう特徴の種類などの、多くのものに依存することが可能である。例として、特徴が凹部(溝、チャンネル、穴、くぼみ)である場合、スキッドの長さが、特徴の所定の/公称長さより大きいことが好ましい(スキッドが実質的に凹部に落ちないような)。例えば、スキッドの公称長さと凹んだ特徴の長さの比は、少なくとも2:1、より好ましくは少なくとも3:1、特に好ましくは少なくとも4:1、例えば5:1を下回らないことを好ましいとすることが可能である。 典型的には、スキッドの長さとその曲率半径の有用な比は、約1:10(例えば、4mmの長さを有するスキッドは、約40mmの曲率半径を有するような)である。したがって、好ましくは、スキッドの長さとその曲率半径の比は、これより著しく大きくなく、例えば、好ましくは少なくとも1:5、より好ましくは少なくとも1:7、例えば少なくとも1:10である。 さらに、典型的には、測定される凹んだ特徴の長さに対するスキッド半径の有用な比は、少なくとも25:1、より好ましくは少なくとも40:1、例えば少なくとも50:1である。
【0016】
測定される特徴(例えば凹部)の高さ(または深さ)は、少なくとも50μm、例えば少なくとも100μm、特に少なくとも125μmであることが可能である。随意に、特徴(例えば凹部)の高さ(または深さ)は、1500μm以下、例として1000μm以下、例えば500μm以下、随意に200μm以下である。本発明は、125μmから200μmの領域の高さ(例えば深さ)を有する特徴に特に有益であり得る。測定される特徴(例えば凹部)の長さは、少なくとも50μm、例えば少なくとも100μmであり、特に少なくとも125μmであり得る。随意に、測定される特徴(例えば凹部)の長さは、1500μm以下、例として1000μm以下、例えば500μm以下、随意に200μm以下である。本発明は、125μmから200μmの領域の長さを有する特徴に特に有益であり得る。
【0017】
接触プローブは、例えば延長部材/バーを介して、座標位置決め装置のマウント/インターフェースから遠位に保持されるトランスデューサ部材(または「部分」)を備えることが可能である。トランスデューサ部材は、スタイラス、および、スタイラスの撓みを監視するための少なくとも1つのセンサを備える接触プローブの一部であることが可能である。トランスデューサ部材は、ジョイント、例えば関節動作可能なジョイント(これは「ナックルジョイント」と呼ばれ得る)によって、延長部材/バーに取り付けられることが可能である。このジョイント(「ナックルジョイント」)は、手動で操作可能なジョイントであり得る。ナックルジョイントは、例えば、トランスデューサ部材および延長部材/バーの角度構成の変更を容易にすることが可能である。
【0018】
座標位置決め装置のプローブマウントに取り付けられた接触プローブは、先端と基準部材の相対位置に関する測定データを収集しながら、スタイラスに特徴を横断させるための独自のアクチュエータ(例えば、モータ)(例えば、線状アクチュエータ)を有することが可能である。しかしながら、好ましくは、先端と基準部材の相対位置に関する測定データを収集しながらスタイラスに特徴を横断させるステップは、座標位置決め装置が、プローブが(交換可能に)取り付けられているプローブマウントを移動することによって行われる。この場合、接触プローブは、このような運動をさせるための独自のアクチュエータを持つ必要がなくなるため、アクチュエータなしで接触プローブを構成することが可能である。
【0019】
プローブマウントは、少なくとも1つの回転軸を備える多関節部材に設けられることが可能である。多関節部材は、少なくとも2つの回転軸、例えば、2つの直交する自由度を備えることが可能である。好ましくは、接触プローブおよび/または多関節部材は、基準/データム部材およびスタイラスが少なくとも3軸を中心に回転可能なように構成される。この場合、接触プローブが取り付けられた多関節部材は、少なくとも3つの回転軸のうちの少なくとも2つを提供することが可能である。例えば、特に好ましいセットアップは、接触プローブが取り付けられた多関節部材が、直交する2つの回転軸を提供し、接触プローブ自体が第3の回転軸を提供する。したがって、接触プローブは、第3の回転軸を中心に回転させるためのモータを含み得る。このような第3の回転軸は、接触プローブが表面を一方向に感知する場合に、特に有用である。このモータ駆動の第3の回転軸に加えて、上述した「ナックルジョイント」を設けることも可能である。
【0020】
したがって、スタイラスに特徴を横断させるステップは、座標位置決め装置の運動軸の少なくとも1つを作動させることを備えることが可能である。言い換えれば、スタイラスに特徴を横断させるステップは、多関節部材の回転軸(存在する場合)および/または座標位置決め装置の1つまたは複数の直線軸、のうちの少なくとも1つを作動させることを備えることが可能である。したがって、座標位置決め装置の1つまたは複数の直線軸が作動される場合、プローブマウント全体(および、設けられている場合には、多関節機構全体)は、座標位置決め装置の直線軸に沿った運動によって移動/横断される。理解されるように、座標位置決め装置の1つ以上の直線軸は、例えば、非線形運動をもたらすように、一度に作動させることが可能である。
【0021】
接触プローブのスタイラスは、スタイラスの先端から遠位のポイントを中心に旋回するように構成された細長いアームに取り付けられることが可能であり、それにより、先端は前述の旋回ポイントを中心に基準/データム部材に対して旋回することが可能である。この場合、好ましくは、方法は、スタイラスの旋回により生じるスキューを除去するために、接触プローブによって得られた測定データに非線形補正を適用することを備える。
【0022】
部品は、測定動作中にスタイラスが移動される線に沿って測定される複数の特徴を備えることが可能である。したがって、方法は、先端と基準/データム部材の相対位置に関する測定データを収集しながら、撓み可能な測定スタイラスに複数の特徴を横断させることを備えることが可能である。方法は、測定データから複数の特徴のうちの1つまたは複数についての寸法情報を抽出することをさらに備えることが可能である。方法は、抽出された寸法情報を部品の設計仕様と比較することをさらに備えることが可能である。
【0023】
複数の特徴は、部品の単一の形成物の種々の断面を構成することができる。例えば、複数の特徴は、部品のねじ切り部材の(連続した)ねじの種々の断面を構成することが可能である。
【0024】
本発明の方法は、特徴が溝、チャンネル、あな、くぼみなどの凹んだ特徴を備える場合、特に有用であることが分かっている。
【0025】
ステップi)は、座標位置決め装置のマウント上に接触プローブを自動的に(すなわち、コンピュータ/コントローラ/プロセッサ装置の制御下で)装着すること、例えば、座標位置決め装置の測定容積内に位置するラックから装着することを備えることが可能である。接触プローブおよび/またはプローブマウントは、プローブマウント上に接触プローブを保持するための1つまたは複数の磁石を備えることが可能である。したがって、接触プローブは、プローブマウント上に磁気的に保持されることが可能である。接触プローブとプローブマウントは、キネマティックカップリングジョイントの対応する特徴を備えることが可能である。
【0026】
本願はまた、所定の公称形状を有する部品の少なくとも1つの特徴を検査するための座標位置決め装置(例えば、CMMまたは工作機械)を備える装置について説明する。座標位置決め装置は、異なるプローブを交換可能に取り付けることが可能なプローブマウントを備えることが可能である。座標位置決め装置は、プローブマウントおよび部品が、直交する3つの自由度で相対的に移動することが可能なように構成されることが可能である。接触プローブは、プローブマウントに取り付けられることが可能であり、接触プローブは、部品に係合するための基準部材を備え、接触プローブは、基準部材に対して撓み可能であり、測定される表面に接触するための先端を有するスタイラスをさらに備えることが可能である。接触プローブは、先端と基準部材の相対位置を変換するためのトランスデューサをさらに備えることが可能である。座標位置決め装置は、基準部材と接触プローブのスタイラスを検査される特徴の一側面で部品に接触させるように構成されたコントローラをさらに備えることが可能である。座標位置決め装置は、先端と基準部材の相対位置に関する測定データを収集しながら、スタイラスに特徴を横断させるように構成されることが可能である。装置は、測定データから特徴に関する寸法情報を抽出し、抽出された寸法情報を、部品の特徴の公称形状についての公称寸法情報と比較するように構成された1つまたは複数のプロセッサデバイスをさらに備えることが可能である。本発明の方法に関連して上述した態様は、本装置にも同様に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
ここで、本発明の実施形態は、例示のみを目的として、添付の図面を参照して説明される。
【0028】
【
図1】
図1は、接触プローブが取り付けられる座標測定機(CMM)の概略等角図である。
【
図2】
図2は、
図1のCMMの多関節プローブヘッド上の接触プローブの詳細図である。
【
図3】
図3は、
図2の軸AおよびBを通る断面を示す図である。
【
図5】
図5は、
図4の接触プローブを通る断面を示す図である。
【
図6】
図6は、本発明による例示的なプロセスを示す図である。
【
図7】
図7(a)から(d)は、
図4の接触プローブを使用した
図6のプロセスの異なるステップを示す図である。
【
図8】
図8は、
図7に示されるアーチファクトの測定中の接触プローブのスキッドの動きを示す図である。
【
図9】
図9は、
図7に示されるアーチファクトの測定中、接触プローブのスタイラスがどのように旋回ポイントを中心にスウィングするかを示す図である。
【
図10】
図10(a)は、
図7のアーチファクトの補正前と補正後の測定データを示す図であり、
図10(b)及び(c)は、
図1から
図5の接触プローブを使用して得られた他の種類の凹んだ特徴の測定データにおけるスキューの影響を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1を参照すると、座標測定機(「CMM」)102の形での移動構造を備える位置決め装置100が示されている。CMM102は、検査される部品が配置されることが可能なベース110、支持フレーム112、および中空軸114を備える。モータ(図示せず)が設けられ、中空軸114は、互いに直交するX軸、Y軸、およびZ軸に沿って移動する。中空軸114は、多関節部材または「ヘッド」7を保持し、接触プローブ4を順に支持する。多関節ヘッド7は、中空軸114に対して互いに直交する2つの回転軸A軸、B軸を中心とする接触プローブ4の回転を容易にする。
【0030】
位置決め装置100はまた、CMM102および多関節ヘッド7の動作を(手動で、例えばジョイスティック106などの入力デバイスを介して、または自動で、例えば、検査プログラムの制御下で)制御するためのコントローラ126を備える。ディスプレイデバイス118は、コントローラ126とのユーザインタラクションを助けるために設けられることが可能である。コントローラ126は、例えば、専用の電子制御システムであることが可能であり、および/またはパーソナルコンピュータを含み得る。
【0031】
本実施形態では、多関節ヘッド7は、Renishaw plcから利用可能なREVO多関節ヘッドなどの、連続走査多関節ヘッドである。理解されるように、連続走査ヘッドは、少なくとも1つの軸(その可動範囲内)について実質的に任意の角度で、それに取り付けられたデバイスの配向を可能にし、ほぼ無限の角度の配向(その可動範囲内)を提供するとしてしばしば説明される。また、連続走査ヘッドの軸についての測定デバイスの向きは、測定中変更することが可能である(例えば、接触プローブの場合、接触プローブが、検査されるオブジェクトに接触し、スタイラスの撓み信号などの測定情報を獲得している間)。これに対して、インデックスヘッドは、それに取り付けられた測定デバイスをそこで固定する、定義された(「インデックスされた」)位置を個別に有する。インデックスヘッドでは、測定デバイスの向きを変更することが可能であるが、測定データの獲得中に(向きを)変更することはできない。
【0032】
図2は、多関節プローブヘッド7の詳細図であり、
図3は、多関節ヘッド7および接触プローブ4を通る断面を示す図である。接触プローブ4は、以下で詳細に説明するトランスデューサ部材15を含む。
【0033】
多関節プローブヘッド7は、第1および第2のハウジング部材1および2をそれぞれ備える。第1のハウジング部材1は、位置決め装置、例えば、CMMの中空軸114に取り付けるために適合される。
図3に示されるように、ハウジング部材1は、第1の軸Aを中心として第1のシャフト60の角度の変位をもたらすためのモータM1を収容する。第2のハウジング部材2は、第1のシャフト60に取り付けられ、第2の軸Bを中心として第2のシャフト62の角度の変位をもたらすためのモータM2を収容する。接触プローブ4は、これと共に回転するために第2のシャフト62に取り付けられる。
【0034】
示されていないが、測定エンコーダが、ベース110、フレーム112、中空軸114の相対位置、および、多関節ヘッド7の第1および第2のハウジング部材の相対位置をも測定するために設けられ、それにより、ベース110に位置されたワークピースに対しての接触プローブ4の位置が決定されることが可能である。
【0035】
接触プローブ4は、トランスデューサ部材15を保持する細長い延長部材8を含む。延長部材8は、通常、軸Bを横断しかつ交差する軸Cに沿って伸びている。これは、接触プローブ4のハウジング9を介して、自動的に交換可能に多関節ヘッド7に取り付けおよび取り外しされる。多関節ヘッド7は(例えば、第2のハウジング部材2)および接触プローブ4(例えば、ハウジング9)は、接触プローブ4への取り付け、取り外しを容易に(例えば、自動で)するために、公知の種類のキネマティックカップリングジョイントの対応する部品を備えることが可能である。理解されるように、キネマティックマウントは、接触プローブ4が多関節ヘッド7に対して繰り返し位置されることを確かにする。ハウジング9は、随意に、再びコントローラ126内のプログラムにより制御され、軸Cを中心として延長部材8を回転させるモータM3を含みことができ、これにより、トランスデューサ部材15は、異なる向きのワークピース表面に対処することが可能である。
【0036】
説明した実施形態では、接触プローブ4は、多関節ヘッド7に取り外し可能に(例えば、前述のように、キネマティックマウントを使用して)取り付けされる。説明した実施形態では、接触プローブ4は、接触プローブ4のハウジング9上または中、および多関節ヘッド7上に設けられる対応する磁石(図示せず)を使用することにより、多関節ヘッド7に保持されることが可能である。接触プローブ4は、例えば、CMMの移動容積内に位置したプローブ保管ラック5から/へ、自動的に取り付け可能/取り外し可能であることが可能である。
【0037】
トランスデューサ部材15は、
図4および
図5により詳細に示され、ハウジング10を備え、その1つの端部からフィンガー12が延びている。基準部材14(本実施形態では、「スキッド」14)は、測定されるアーチファクトの表面に接触するためにフィンガー12の端部に設けられる。アーム16は、フィンガー12に沿って延びており、例えば、スプリング22を中心として旋回可能に、ハウジング10の内側に撓み可能に取り付けられる。旋回可能なアーム16の端部は、スタイラス18である。スタイラス18は、スプリング22により撓み可能に、および、スキッド14をわずかに越えて突き出るようにバイアスされている。これは、プローブが矢印Dの向きでアーチファクトの表面に接触するよう移動された場合、スタイラス18の先端が、スキッド14よりわずかに前で表面に接触することを意味する。スタイラス18および旋回可能なアーム16は、これを可能にするためスプリング22を中心として撓む。スタイラスは、通常は、それらの第1の端部がアーム16に接続される細長い/直線の/円筒状の部分を備え、また、それらの第2の端部で、円錐先端部分を備える。円錐先端部分の円錐角度は、約30度である。本実施形態では、スタイラス18およびスキッド14は、接触プローブの長さに沿って同位置に位置している。しかしながら、これは必ずしもそうである必要はない。例えば、スタイラス118は、スキッド14から、長手方向に離間させることが可能である(例えば、スタイラスアーム16を
図5に示されるものよりも実質的に短くすることによって)。
【0038】
ハウジング10は、ジョイント11でサポート19にスプリング取り付けされる。これは、測定される表面に装着されるときにスキッド14が撓むことを可能にする。このようなジョイントは、CMMが直線に走査した時に、プローブを起伏した表面に適合させるため、有利である。これはスキッドを部品に接触したままにするが、過度の撓みの出来事においても過度のストレスを与えない。空間の制約のために、ジョイントは、変換されない。
【0039】
他方の端部では、サポート19は、例えば、手動で位置決めすることが可能であるナックルジョイント20を介して、接触プローブ4の延長部材8に取り付け可能であり、これにより、異なる位置および異なる向きでワークピース表面にアクセスするためにプローブの向きを調整する。測定動作の前に、特許文献2に記載の方法に従って、CMM102に対するトランスデューサ部材15の位置および向きを決定するように、接触プローブ4は、接触プローブ4(例えば、延長部材8およびトランスデューサ部材15)を測定する別のプローブ(図示しないが、例えば、ラック5上に取り付けられたプローブによって)を使用することによって較正されることが可能である。
【0040】
トランスデューサ部材15は、CMMのコントローラ126内のプログラムの制御下、CMM102および/または多関節ヘッド7によって移動されることが可能である。コントローラ126はそれ故、トランスデューサ部材15を測定されるワークピースに接触させ、そして、スキッド14およびスタイラス18の先端を表面に沿ってドラッグするように、CMM102(例えば、その直線軸の1つまたは複数および/または多関節ヘッド7の回転軸の1つまたは複数)を動作することが可能である。スキッド14に対するスタイラス18の撓みの結果は、ハウジング10内のトランスデューサによって測定される。トランスデューサは、以下に詳細に説明するように、ワークピースについての寸法情報を決定する信号Sを使用するコントローラ126へ引き渡される信号Sを生成する。
【0041】
本実施形態では、トランスデューサは、スタイラス18から遠位のアーム16の端部に取り付けられるスケール25およびリードヘッド26を備える、小さなエンコーダを備える。リードヘッド26内側の光源は、リードヘッド26へ向けて光を回折し反射するスケール25へ向けて光を発射し、リードヘッド26内側のセンサによって検出される干渉パターンを生成する。アーム16の動きは、干渉パターンを移動させ、これはリードヘッドで感知され、互いに90度位相のずれたサインおよびコサイン直交信号に変換される。直交信号は、スケールおよびリードヘッドの相対位置のカウントを生成することに使用され、これは、信号Sを介してコントローラ126へ報告される。
【0042】
次に、本発明の方法に従ってアーチファクトを検査するための例示的なプロセス200を、
図6から
図9を参照して説明する。プロセスは、コントローラ126が検査されるアーチファクト(例えば、アーチファクト30、
図7参照)の公称モデルを受け入れるステップ202で始まる。例えば、これは、アーチファクトのコンピュータ支援設計(CAD)モデルが可能である。モデルは、例えば、ローカルデバイスまたはリモートデバイスから読み出されることが可能である。
図7に示されるように、アーチファクト30は、一連の凹部32の形で、一連の所定の幾何学的特徴を備える。
【0043】
各特徴32は、特定の所定の幾何学的形状、位置、長さ(「l」)、および深さ(「d」)を有するように、アーチファクトの基板に形成(例えば、機械加工)されている。この特定の例では、凹部32の側面は、オーバーハングした形状であるように構成される。これらの所定の幾何学的特徴32は、アーチファクトの表面の表面仕上げ(例えば、表面粗さ)と対比されるべきであり、特定の所定の幾何学的形状、位置、長さまたは深さを有しない個々の特徴は、本発明と関係がない。
【0044】
ステップ204は、アーチファクトの1つまたは複数の所定の幾何学的特徴を組み込んだアーチファクトの表面に沿った所望の測定経路、および、測定経路に沿って測定するように接触プローブを自動的に制御するため、コントローラ126が使用することが可能である関連した制御経路を決定することを備える。次にステップ206は、基準部材を備える接触プローブ4をCMM102の多関節ヘッド7に装着することを備える。好ましくは、これは、コントローラ126の制御下で自動的に行われ、それにより、多関節ヘッド7は、CMM102の動作容積内に位置するラック5から自動的に接触プローブ4をピックアップするように駆動される。
【0045】
次にステップ208は、接触プローブのスタイラス18が、所望の測定経路の開始点の真上に位置するように接触プローブ4を位置決めする、CMM102を動作することを備える。これは
図7(a)に模式的に示されている。
【0046】
ステップ210は、コントローラ126が、接触プローブのスタイラス18および基準部材(この場合スキッド14)がアーチファクト30に係合するように接触プローブ4を動かすCMM102を動作することを備える。
図7(b)および
図7(c)に示されるように、最初は、スタイラス18が、スキッド14より前にアーチファクト30の表面に係合することになる。
図7(c)に示されるように、スタイラスが表面に係合した後、アーチファクトの表面に向かって接触プローブ4を動かすためのCMM102を動作させ続けるアクションは、それが表面に係合するまでスキッド14を表面に接近させる。結果として、スタイラス14は、その旋回ポイント22を中心として回転する。ステップ212にて、コントローラ126は、スタイラス18およびスキッド14にアーチファクト30内の凹部32を横断させるように、CMM102を制御する。
図7(d)に示させるように、スタイラスがアーチファクト30内の凹部32に落下し上昇すると、スタイラスおよびアーム18は、旋回ポイント22を中心として振動し、トランスデューサ26は、回転の程度を示す信号Sをコントローラ126へ出力する。
【0047】
ステップ214は、コントローラ126が、所定の幾何学的特徴についての寸法情報を抽出することを備える。これは、得られた測定データが、相対的なデータ(例えば、基準部材/スキッド14に対して測定されたもの)であるという事実により、また、測定中にスタイラスが旋回ポイントを中心としてスウィングするという事実のために、より複雑になる。例えば、上記説明したように、スキッド18は、そのジョイント11の周りでわずかに上下に自由に撓み、
図8に示されるように、凹部に繰り返し落下し再び上昇するとき、それは起伏した経路を辿る。本実施形態では、ジョイント11は変換されず、そのような撓みは、測定データ上のエラーである。撓み/うねりが比較的小さい場合は、それらは無視することが可能である。これは、凹部に深く落ちすぎないことができるスキッド14を使用することにより(例えば、十分に長いスキッドおよび/または十分に大きな曲率半径を有するスキッドを有することによって)、確かにすることが可能である。
【0048】
また、
図9に示されるように、スタイラス18は、その旋回ポイント22を中心としてスウィングする、これは、スタイラス18のまさに先端の横位置(「x」)がその縦位置(「z」)に応じて変化することを意味する。したがって、これは、測定データに大きな影響を与える可能性があり、特に、測定データに大きなスキューを与える可能性がある。
【0049】
したがって、ステップ214は、スタイラス18のスウィングにより生じるスキューを除去するために、プローブによって得られた測定データの非線形補正を適用することを備えることが可能である。
図10(a)は、実際の部品の真プロフィールだけでなく、旋回ポイント22を中心としたスタイラス18のスウィングによってスキューが生じた接触プローブにより得られた生測定データ、および非線形補正によりスキューの影響が除去された補正された測定データを示している。理解されるように、このようなスキュー補正は、接触プローブの機構、特に、スタイラス18と旋回ポイント22との間の距離、およびスタイラス18の長さなどのスタイラスの形状に基づくことになろう。示されるように、オーバーハングのために、補正されたプロフィールは、真プロフィールと同じではないが、凹部の高さおよび幅についての情報は、依然として決定することが可能である。
図10(b)および
図10(c)は、旋回ポイント22を中心とするスタイラス18のスウィングにより、接触プローブ4により得られた測定データ上のスキューの影響を示す。示されるように、オーバーハングがないこれらの種類の特徴に対して、補正された測定データが実際のプロフィールを代表するように、非線形補正を使用することができる。いずれの場合も、ステップ214は、所定の幾何学的特徴(例えば、凹部)に関する寸法情報を抽出することを備える。そのような寸法情報の例としては、1つまたは複数の特徴の凹部の長さおよび/または高さ、および/または連続する特徴間の距離が挙げられる。
【0050】
次にステップ216は、抽出された寸法情報を、部品の設計仕様についての公称寸法情報と比較することを備える。このような公称寸法情報は、例えば、部品のCADモデルから、および/または公差仕様書などの他の情報源から得ることが可能であろう。特に、個々の特徴の高さ、長さ、および位置は、測定され、交渉寸法情報だけでなく特徴の配列のピッチなどの集計値と比較されることが可能である。これは、アーチファクトを受け入れるか拒否するかを決定する評価プロセスの一部として使用されることが可能である。また、例えば、アーチファクトの追加の加工が必要とされるかどうか、必要な場合、どこで/どのくらい加工が必要とされるかを決定するため、および/または工具の摩耗を特定するため、製造フィードバックプロセスの一部として使用されることが可能である。
【0051】
説明した実施形態では、アーチファクト30は、一連の凹部32を有するものとして説明されている。理解されるように、これらは、一連の離散的な凹部(例えば、フラットな部品に形成された直線状の細長い溝)であり得る。代替的に、
図7に描かれたような一連の凹部32は、円筒形部品に沿って延びる単一の螺旋状溝の結果であり得、したがって、
図7に描かれた各凹部32は、螺旋に沿った種々の点の横断面である。
【手続補正書】
【提出日】2023-04-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品の少なくとも一つの特徴を検査する方法であって、前記少なくとも一つの特徴は、所定の公称形状を有し、
座標位置決め装置のプローブマウントに接触プローブを装着する第1ステップであって、前記座標位置決め装置は、その上のプローブの交換を容易にするように構成され、かつ、直交する3つの自由度でプローブマウントおよび部品の相対移動を容易にするように構成され、前記接触プローブは、前記部品に係合するための基準部材を備え、前記接触プローブは、スタイラスをさらに備え、前記スタイラスは、前記基準部材に対して撓み可能であり、かつ、測定される表面に接触する先端を有し、前記先端および前記基準部材の相対位置は、変換される、第1ステップと、
前記基準部材および前記接触プローブの前記スタイラスを、前記特徴の一側面で前記部品に接触させ、および、前記先端と前記基準部材の前記相対位置に関する測定データを収集しながら、前記スタイラスに前記特徴を横断させる第2ステップと、
前記測定データから前記特徴についての寸法情報を抽出し、および、抽出された前記寸法情報を前記部品の前記特徴の前記公称形状についての公称寸法情報と比較する第3ステップと、
を備える方法。
【請求項2】
前記接触プローブは、横滑りするプローブを備え、前記基準部材は、前記スタイラスと共に前記特徴を横断するスキッドを備える、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記特徴の高さは、少なくとも50μmであり
、前記特徴の長さは、少なくとも50μmである、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2ステップは、前記座標位置決め装置が、前記プローブが交換可能に取り付けられた前記プローブマウントを移動することにより実行される、
請求項1乃至3のいずれか1項に方法。
【請求項5】
前記プローブマウントは、少なくとも1つの回転軸を備える多関節部材に設けられる、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記接触プローブおよび/または前記多関節部材は、前記基準部材および前記スタイラスが少なくとも3つの軸を中心に回転することが可能なように構成される、
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記接触プローブが取り付けられる前記多関節部材は、前記少なくとも3つの回転軸のうちの少なくとも2つを提供する、
請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記スタイラスに前記特徴を横断させるステップは、前記多関節部材の少なくとも1つの軸および/または前記座標位置決め装置の1つまたは複数の前記直線軸を作動させることを備える、
請求項5、6または7に記載の方法。
【請求項9】
前記スタイラスが、前記スタイラスの先端から遠位のポイントを中心に旋回するよう構成された細長いアームに取り付けられ、前記先端は、前記旋回ポイントを中心に基準/データム部材に対して旋回することが可能である、
請求項1乃至8のいずれ1項に記載の方法。
【請求項10】
前記スタイラスの前記旋回により生じるスキューを除去するために、前記接触プローブによって得られた前記測定データに非線形補正を適用するステップ、を備える、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記部品は、所定の設計仕様に従って形成された複数の特徴を備え、前記方法は、前記先端と前記基準/データム部材との前記相対位置に関する測定データを収集しながら、前記撓み可能な測定スタイラスに前記複数の特徴を横断させるステップ、前記測定データから前記複数の特徴のうちの1つまたは複数についての寸法情報を抽出するステップ、および、抽出された前記寸法情報を前記部品についての前記設計仕様と比較するステップ、を備える、
請求項1乃至10のいずれ1項に記載の方法。
【請求項12】
前記複数の特徴は、前記部品のねじ切り部材のねじの種々の断面を備える、
請求項
11に記載の方法。
【請求項13】
前記特徴は、凹んだ特徴
を備える、
請求項1乃至12のいずれ1項に記載の方法。
【請求項14】
前記第1ステップは、前記接触プローブが、前記座標位置決め装置の測定容積内に位置するラックから前記座標位置決め装置の前記マウント上に自動的に装着されるステップを備える、
請求項1乃至13のいずれ1項に記載の方法。
【請求項15】
前記公称寸法情報は、前記特徴の高さ、長さおよび位置のうちの少なくとも1つを備える、
請求項1乃至14のいずれ1項に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0046
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0046】
ステップ210は、コントローラ126が、接触プローブのスタイラス18および基準部材(この場合スキッド14)がアーチファクト30に係合するように接触プローブ4を動かすCMM102を動作することを備える。
図7(b)および
図7(c)に示されるように、最初は、スタイラス18が、スキッド14より前にアーチファクト30の表面に係合することになる。
図7(c)に示されるように、スタイラスが表面に係合した後、アーチファクトの表面に向かって接触プローブ4を動かすためのCMM102を動作させ続けるアクションは、それが表面に係合するまでスキッド14を表面に接近させる。結果として、スタイラス
18は、その旋回ポイント22を中心として回転する。ステップ212にて、コントローラ126は、スタイラス18およびスキッド14にアーチファクト30内の凹部32を横断させるように、CMM102を制御する。
図7(d)に示させるように、スタイラスがアーチファクト30内の凹部32に落下し上昇すると、スタイラスおよびアーム
16は、旋回ポイント22を中心として振動し、
リードヘッド26は、回転の程度を示す信号Sをコントローラ126へ出力する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0047
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0047】
ステップ214は、コントローラ126が、所定の幾何学的特徴についての寸法情報を抽出することを備える。これは、得られた測定データが、相対的なデータ(例えば、基準部材/スキッド14に対して測定されたもの)であるという事実により、また、測定中にスタイラスが旋回ポイントを中心としてスウィングするという事実のために、より複雑になる。例えば、上記説明したように、スキッド
14は、そのジョイント11の周りでわずかに上下に自由に撓み、
図8に示されるように、凹部に繰り返し落下し再び上昇するとき、それは起伏した経路を辿る。本実施形態では、ジョイント11は変換されず、そのような撓みは、測定データ上のエラーである。撓み/うねりが比較的小さい場合は、それらは無視することが可能である。これは、凹部に深く落ちすぎないことができるスキッド14を使用することにより(例えば、十分に長いスキッドおよび/または十分に大きな曲率半径を有するスキッドを有することによって)、確かにすることが可能である。
【国際調査報告】