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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-29
(54)【発明の名称】内腔に挿入可能なカプセル
(51)【国際特許分類】
   A61M 31/00 20060101AFI20230822BHJP
【FI】
A61M31/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023508612
(86)(22)【出願日】2021-08-05
(85)【翻訳文提出日】2023-04-06
(86)【国際出願番号】 EP2021071857
(87)【国際公開番号】W WO2022033949
(87)【国際公開日】2022-02-17
(31)【優先権主張番号】20190168.3
(32)【優先日】2020-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596113096
【氏名又は名称】ノボ・ノルデイスク・エー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】モウリトスン, ブリーアン
(72)【発明者】
【氏名】イエプセン, ヤコブ ビョン フヮ
(72)【発明者】
【氏名】ヤコブセン, ニコライ エウセビウス
(72)【発明者】
【氏名】スティッカー, ドラゴ
(72)【発明者】
【氏名】ガザル, アギアド
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA02
4C066AA05
4C066BB05
4C066BB08
4C066CC01
4C066DD02
4C066EE03
4C066EE06
(57)【要約】
消化管内腔への挿入に好適なカプセル(100)。カプセル(100)は、カプセル筐体(110、120)と、原薬を収容する貯蔵部(A)と、薬剤出口(190)と、作動チャンバ(118)と、作動チャンバ(118)と貯蔵部(A)との間の移動可能な分離器(160)と、気体膨張ユニット(150)およびトリガ(145、140、170)を備える駆動システムと、を備える。気体膨張ユニット(150)は、気体ゲート(151)を備え、トリガ(145、140、170)は、トリガ部材(170)と、スポンジ材料を含む膨潤性部分(140)と、を備え、スポンジ材料の湿潤が、スポンジ材料の膨潤を引き起こし、それによって気体膨張ユニット(150)とトリガ部材(170)との間の相対的移動を引き起こして、気体ゲート(151)を開放する。加圧気体は、気体膨張ユニット(150)から作動チャンバ(118)に流動し、それによって、原薬を放出するために分離器(160)に負荷をかける。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象の消化管内腔などの内腔への挿入に好適なカプセル(100;200;300、300’)であって、前記カプセルが、
-カプセル筐体(110、120;210、220;310、320)と、
-原薬を収容するように構成された貯蔵部(A)であって、薬剤出口(190;290;390)につながる、貯蔵部(A)と、
-作動チャンバ(118;218、226;318)と、
-前記作動チャンバ(118;218、226;318)と前記貯蔵部(A)との間に配設された移動可能な分離器(160;260;360)であって、前記移動可能な分離器(160;260;360)の移動が、前記貯蔵部(A)から前記薬剤出口(190;290;390)を通って原薬を放出する、移動可能な分離器(160;260;360)と、
-気体膨張ユニット(150;250;350)およびトリガ(145、140、170;245、240、270;345、340、370、370’)を備える駆動システムであって、前記トリガが、前記気体膨張ユニットのトリガを引き起こすために、前記気体膨張ユニット(150;250;350)を係合動作させるように構成されたトリガ部材(170;270;370、370’)を備える、駆動システムと、を備え、
前記気体膨張ユニット(150;250;350)が、気体ゲート(151;251;351;352’、353’)を備え、前記気体ゲートが、前記気体膨張ユニット(150;250;350)と前記トリガ部材(170;270;370、370’)との間の相対的移動によって閉鎖状態から開放状態に動作可能であり、加圧が前記気体膨張ユニット(150;250;350)から前記作動チャンバ(118;218、226;318)に流動することを可能にし、それによって前記原薬を放出するために、前記移動可能な分離器(160;260;360)に負荷をかけ、
前記トリガ(145、140、170;245、240、270;345、340、370、370’)が、スポンジ材料を含む膨潤性部分(140;240;340)を備え、前記スポンジ材料の湿潤が、前記膨潤性部分を膨潤させ、それによって前記気体膨張ユニット(150;250;350)と前記トリガ部材(170;270、370、370’)との間の相対的移動を引き起こして、前記気体ゲート(151;251;351;352’、353’)を開放する、カプセル。
【請求項2】
前記カプセル筐体(110、120;210、220;310、320)が、流体入口部分(115;215;315)を備え、半透過性膜(145;245;345)が、前記流体入口部分内に配設されており、前記膨潤性部分(140;240;340)の第1の表面が、前記半透過性膜(145;245;345)と接触して、かつ/またはそれに隣接して配設されて、前記流体入口部分(115;215;315)を通って入る体液による前記膨潤性部分(140;240;340)の湿潤を可能にする、請求項1に記載のカプセル。
【請求項3】
前記流体入口部分(115;215;315)が最初に、前記内腔内の体液に供されたときに溶解するよう適合された腸溶コーティングを含み、前記内腔内の体液は、前記腸溶コーティングの溶解時に前記流体入口部分(115;215;315)を通って流動することが可能である、請求項2に記載のカプセル。
【請求項4】
前記気体膨張ユニット(150;250;350)と前記トリガ部材(170;270;370、370’)との間の前記相対的移動が、軸に沿って起こり、前記膨潤性部分(140;240;340)は、膨潤前に、前記膨潤性部分が前記軸に対して横方向にその最大寸法を有するように配向されている、請求項1~3のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項5】
前記移動可能な分離器が、前記軸に沿って前記貯蔵部(A)内で摺動するように構成されたピストン(160、360)として提供される、請求項4に記載のカプセル
【請求項6】
前記カプセル筐体(110、120;210、220;310、320)が、前記軸に沿って配設されたその最大寸法を有する細長い物体として形成されている、請求項4または5に記載のカプセル。
【請求項7】
前記膨潤性部分(140;240;340)が、第1の表面および前記第1の表面の反対側に配設された第2の表面を備え、前記第1の表面が、前記膨潤性部分(140;240;340)の膨潤中に、前記カプセル筐体(110、120;210、220;310、320)に固定して関連付けられた構造に対して支持されている、請求項1~6のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項8】
前記トリガ部材(170;270;370;370’)が、前記カプセル筐体(110、120;210、220;310、320)に対する移動のために構成されており、前記第2の表面が、前記トリガ部材(170;270;370)と協働して、前記膨潤性部分(140;240;340)の膨潤時に、前記気体膨張ユニット(150;250;350)に対する前記トリガ部材(170;270;370)の移動を引き起こすように配設されている、請求項7に記載のカプセル。
【請求項9】
前記トリガ部材(170;270;370;370’)が、前記膨潤性部分(140;240;340)に対して支持的に載置されている、請求項8に記載のカプセル。
【請求項10】
前記膨潤性部分(140;240;340)の膨潤中に、前記トリガ部材(170、270;370;370’)が、前記カプセル筐体(110、120;210、220;310、320)に対して固定して配設されており、前記気体膨張ユニット(150;250;350)が、前記カプセル筐体(110、120;210、220;310、320)に対する移動のために構成されており、前記第2の表面が、前記気体膨張ユニット(150;250;350)と協働して、前記膨潤性部分(140;240;340)の膨潤時に、前記トリガ部材(170;270;370、370’)に対する前記気体膨張ユニットの移動を引き起こすように配設されている、請求項7に記載のカプセル。
【請求項11】
前記気体ゲートが、破裂可能なシール(151;251;351)を備え、前記気体ゲートが前記閉鎖状態をとるとき、前記破裂可能なシールが、前記作動チャンバ(118;218、226;318)に対して前記気体膨張ユニット(150;250;350)を密封し、前記トリガが、前記破裂可能なシールを破裂させて、それによって前記気体ゲートを開放状態にするように構成されている、請求項1~10のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項12】
前記気体ゲートが、弁制御部材(353’)を備える気体弁(352’、353’)を備え、前記弁制御部材が、前記トリガ部材(370’)によって動作可能である、請求項11に記載のカプセル。
【請求項13】
前記気体膨張ユニット(150;250;350)が、加圧気体キャニスタ(150、250、350)、または少なくとも1つの気体発生材料を含む気体発生装置を備える、請求項1~12のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項14】
前記スポンジ材料(140;240;340)が、生分解性材料を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項15】
前記カプセル(100;200;300、300’)が、内腔壁を有する内腔への挿入に好適であり、前記薬剤出口が、無針ジェット送達のために構成されたノズル配設(192;292;392)を備え、前記カプセルは、前記原薬が前記内腔壁の組織に浸透することを可能にする浸透速度で、前記ノズル配設を通して前記原薬を放出するように構成されている、請求項1~14のいずれか一項に記載のカプセル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象ユーザに原薬を送達するための摂取可能なカプセルなどの内腔に挿入可能な装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の開示では、主にインスリンの送達による糖尿病治療が参照されるが、これは本発明の例示的な使用に過ぎない。
【0003】
多くの人々が、糖尿病などの疾患に罹り、日常的に、および多くの場合、毎日のように薬剤の注射を受けることを必要としている。疾患を治療するために、これらの人々は、複雑であるとみなされ得る、かつ不快な経験となり得る、異なるタスクを実施する必要がある。さらに、その人々は、外出時に注射装置、針、薬剤を持参することが必要となる。したがって、治療が錠剤またはカプセルの経口摂取に基づき得る場合、そのような疾患の治療の有意な改善とみなされることになる。
【0004】
しかしながら、タンパク質ベースの薬剤は、摂取時に吸収されるのではなく、分解および消化されることになるため、そのような溶液は、実現が非常に困難である。
【0005】
経口摂取を通してインスリンを血流中に送達するための作用溶液を提供するために、薬剤は、まず消化管の内腔に送達され、さらに消化管の壁(内腔壁)内に送達されなければならない。これは、以下の数個の課題を提示する:(1)薬剤は、胃内の酸による分解または消化から保護されなければならない。(2)薬剤は、胃内、または下部消化管、すなわち、胃の後に放出されなければならず、これは、薬剤放出の絶好の機会を制限する。(3)薬剤は、胃および下部消化管内の流体の分解環境に曝露される時間を制限するために、内腔壁に送達されなければならない。壁で放出されない場合、薬剤は、放出点から壁への移動中に分解され得るか、または分解流体から保護されない限り、吸収されずに下部消化管を通過し得る。
【0006】
内腔または内腔壁に原薬を送達するためのカプセル装置が提案されている。対象の消化器系にカプセルを嚥下することなどによるカプセルの挿入後、薬剤送達は実施されるはずであるが、事前に定義された条件が満たされた場合にのみ開始される。放出機構のトリガのためのトリガシステムは、典型的には、駆動システムの作動のためのトリガ移動を提供するために、機械的エネルギーに依存する。
【0007】
【特許文献1】は、様々な異なる摂取可能な装置の開示を含み、これらのうちのいくつかは、加圧アクチュエータからの駆動圧力を制御するための浸透圧放出機構を含む。オスモゲンは、小さい容器内に含有され、容器内のオスモゲンに蓄積された圧力が放出機構を動作させる。
【0008】
上記を考慮して、本発明の目的は、単純なトリガ機構が、あまり複雑ではなく、かつ安価な方法で組み込まれることを可能にし、かつ製造の簡素化を可能にする内腔に挿入可能なカプセルを提供することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第2018/049133号
【発明の概要】
【0010】
本発明の開示では、上記の目的のうちの1つ以上に対処する、または下記の開示だけでなく例示的な実施形態の説明からも明らかな目的に対処する、実施形態および態様が説明される。
【0011】
したがって、本発明の一態様では、ヒトまたは動物対象の消化管内腔などの内腔への挿入に好適なカプセルが提供される。カプセル装置は、
-カプセル筐体と、
-原薬を収容するように構成された貯蔵部であって、薬剤出口につながる、貯蔵部と、
-作動チャンバと、
-作動チャンバと貯蔵部との間に配設された移動可能な分離器であって、移動可能な分離器の移動が、貯蔵部から薬剤出口を通って原薬を放出する、移動可能な分離器と、
-気体膨張ユニットおよびトリガを備える駆動システムであって、トリガが、気体膨張ユニットのトリガを引き起こすために、気体膨張ユニットを係合動作させるように構成されたトリガ部材を備える、駆動システムと、を備え、
気体膨張ユニットは、気体ゲートを備え、気体ゲートが、気体膨張ユニットとトリガ部材との間の相対的移動によって閉鎖状態から開放状態に動作可能であり、加圧が気体膨張ユニットから作動チャンバに流動することを可能にし、それによって原薬を放出するために、移動可能な分離器に負荷をかけ、
トリガは、スポンジ材料を含む膨潤性部分を備え、スポンジ材料の湿潤は、膨潤性部分を膨潤させ、それによって気体膨張ユニットとトリガ部材との間の相対的移動を引き起こして、気体ゲートを開放する。
【0012】
スポンジ材料の構造特性を利用することにより、取り扱いおよび組み立て作業などの製造プロセスが簡略化されることが可能になる。さらに、スポンジの構造特性により、スポンジ部分は、構造部材の形態でカプセル内への組み込みを可能にし、追加の構成要素がスポンジによって直接、例えば、スポンジに固定して取り付けられることなどによって、載置および保持されることを可能にする。さらに、スポンジの構造特性は、トリガ前の気体膨張ユニットおよびトリガ部材の相対的位置決めの改善された制御を提供する。スポンジ材料を使用することのさらなる利点は、膨潤が、主にまたは排他的に所定の方向に沿って、例えば、気体膨張ユニットとトリガ部材との間の相対的移動の方向に沿って起こることを可能にすることを含む。
【0013】
いくつかの形態では、膨潤性部分は、単一片のスポンジ材料として提供される。他の形態では、膨潤性部分は、複数片のスポンジ材料として、および/または他の膨潤性構成要素を含んで提供される。
【0014】
カプセルのいくつかの形態では、トリガは、トリガ部材が膨潤性部分の膨潤時に気体ゲートに機械的圧力をかけ、それによって気体ゲートを閉鎖状態から開放状態へと動作させるように構成されている。
【0015】
いくつかの実施形態では、カプセル筐体は、流体入口部分を備え、半透過性膜が、流体入口部分内に配設されており、膨潤性部分の第1の表面が、半透過性膜と接触して、かつ/またはそれに隣接して配設されて、流体入口部分を通って入る体液による膨潤性部分の湿潤を可能にする。ある特定の実施形態では、体液は、胃液である。
【0016】
いくつかの実施形態では、半透過性膜および膨潤性部分は、浸透圧駆動として構成されている。いくつかの実施形態では、オスモゲンまたは溶質(例えば、乾燥塩の体積)は、半透過性膜と膨潤性部分との間など、半透過性膜および膨潤性部分と接触して配置されている。
【0017】
カプセルは、胃液などの体液が浸透作用を通してトリガを駆動するためにカプセルに入ることを可能にする1つ以上の開口部、すなわち、1つ以上の流体入口を含み得る。
【0018】
いくつかの形態では、カプセルは、内腔内の体液に供されたときに溶解するよう適合された腸溶コーティングを最初に含む流体入口部分を画定し、内腔内の体液は、腸溶コーティングの溶解時に流体入口部分を通って流動することが可能である。他の形態では、カプセル流体入口部分は、コーティングを含まないが、流体入口部分にわたる流体連通が、カプセルが挿入または摂取されるとすぐに可能になるようなものである。
【0019】
カプセルのいくつかの形態では、気体膨張ユニットとトリガ部材との間の相対的移動は、軸に沿って起こるように構成されており、膨潤性部分は、膨潤前に、膨潤性部分が軸に対して垂直など横方向にその最大寸法を有するように配向されている。いくつかの実施形態では、スポンジ部分は、主にまたは排他的に軸に沿って、例えば、カプセル筐体の長手方向軸またはピストン摺動軸に沿って、膨潤時に膨張して、気体ゲートを開放するためにトリガ部材に力をかけるように構成され得る。強力なトリガ力を提供するために、様々な実施形態では、スポンジの最大寸法が2~8mm、例えば3~7mmなど、例えば4~7mmになるように、スポンジ部分が提供され得る。
【0020】
カプセルのさらなる実施形態では、スポンジ材料は、膨潤前に、スポンジが長手方向軸および/またはピストン軸などの軸に対して横方向にその最大寸法を有するように配向され得る。そのような実施形態では、カプセルの主要な構成要素が、組み立て中に単一方向に沿って積み重ねられ得るため、製造は特に単純である。
【0021】
いくつかの形態では、移動可能な分離器は、貯蔵部によって形成された空洞内に配設されており、移動可能な分離器は、空洞内の軸に沿った、かつ出口に向かった移動のために配設された摺動可能なピストンとして提供される。ピストンは、作動チャンバと貯蔵部との間のピストンにわたる密封のための周辺シール部材を含み得る。他の形態では、移動可能な分離器は、作動チャンバ内の高圧気体および貯蔵部内に収容された原薬を分離している、可撓性膜を含み得る。可撓性膜は、空洞を2つの別個の部分に分割してもよく、作動チャンバ内の気体圧力を増加させることによる2つの別個の部分の第1の膨張は、原薬を収容する他の別個の部分の体積を低減する。いくつかの形態では、可撓性膜は、薬剤出口を通した流体連通のために薬剤出口に単一の開口部を有する、バッグまたは類似のエンクロージャとして提供され得る。
【0022】
いくつかの形態では、移動可能な分離器は、軸に沿って貯蔵部内で摺動するように構成されたピストンとして提供される。ピストンは、気体膨張ユニットを部分的または完全に収容する内部中空を画定するように形成され得る。
【0023】
カプセルのいくつかの形態では、カプセル筐体は、当該軸に沿って配設されたその最大寸法を有する細長い物体として形成されている。他の形態では、球状、ゴンボック形状、または他の形状など、カプセル筐体の他の形状が提供されてもよい。
【0024】
トリガのいくつかの構成では、膨潤性部分は、第1の表面および第1の表面の反対側に配設された第2の表面を備え、第1の表面は、膨潤性部分の膨潤中に、カプセル筐体に固定して関連付けられた構造に対して支持されている。
【0025】
トリガ部材は、カプセル筐体に対する移動のために構成され得る。そのような構成では、第2の表面は、トリガ部材と協働して、膨潤性部分の膨潤時に、気体膨張ユニットに対するトリガ部材の移動を引き起こすように配設されている。
【0026】
いくつかの形態では、トリガ部材は、直接的に、または中間構成要素を介して間接的になど、膨潤性部分に対して取り付けられるなど、支持的に載置されている。
【0027】
他の構成では、少なくとも膨潤性部分の膨潤中に、トリガ部材は、カプセル筐体に対して固定して配設されており、気体膨張ユニットは、カプセル筐体に対する移動のために構成されており、第2の表面は、気体膨張ユニットと協働して、膨潤性部分の膨潤時に、トリガ部材に対する気体膨張ユニットの移動を引き起こすように配設されている。
【0028】
いくつかの形態では、気体ゲートは、破裂可能なシールを備え、気体ゲートが閉鎖状態をとるとき、破裂可能なシールは、作動チャンバに対して気体膨張ユニットを密封し、トリガは、破裂可能なシールを破裂させて、それによって気体ゲートを開放状態にするように構成されている。
【0029】
いくつかの形態では、気体ゲートは、穿刺可能な膜を備え、穿刺可能な膜は、トリガによって穿刺可能である。
【0030】
さらに他の形態では、気体ゲートは、弁制御部材を備える気体弁を備え、弁制御部材は、トリガによって動作可能である。
【0031】
いくつかの実施形態では、気体膨張ユニットは、加圧気体キャニスタ、または少なくとも1つの気体発生材料を含む気体発生装置を備える。
【0032】
スポンジ材料に好適な材料は、以下:ウール、シルク、セルロース、ナイロン、ダクロン、綿、もしくはウールフェルト、天然もしくは合成繊維紙、または天然もしくは合成繊維布の織物もしくは編物を含む、天然または合成繊維から調製された繊維性多孔性材料のうちの1つ以上を含み得る。また、好適な材料は、再生セルローススポンジ、またはポリ(ウレタン)発泡体など、多孔性または微孔性、連続気泡、有機または無機の固体である。
【0033】
カプセルのいくつかの形態では、スポンジ材料は、液体に供されたときに分解するが、膨潤性部分が膨張して、トリガがエネルギー源からエネルギーを放出することを可能にした後にのみ、実質的な分解を提供するように適合された、セルロースなどの生分解性材料を含む。
【0034】
対象の内腔が内腔壁を含む用途において、薬剤出口は、無針ジェット送達のために構成されたノズル配設を備えてもよく、カプセルは、原薬が内腔壁の組織に浸透することを可能にする浸透速度で、ノズル配設を通して原薬を放出するように構成されている。
【0035】
他の構成では、薬剤出口は、注射針を備える。さらに他の実施形態では、薬剤出口および駆動システムは、原薬の内腔内で噴霧するように構成され得る。
【0036】
例示的な実施形態では、カプセルは、患者による嚥下、および胃、小腸、または大腸などの患者の消化管の内腔内への移動のために構成されている。装置のカプセルは、ヒトなどの対象によって嚥下されることを可能にするように形状決めおよびサイズ設定され得る。
【0037】
上記の配設によって、経口投与された原薬は、生存哺乳動物対象の胃壁または腸壁内に安全に、かつ確実に送達され得る。
【0038】
本発明は、以下の節によってさらに例示される。
【0039】
節1.対象の消化管内腔などの内腔への挿入に好適なカプセル(100;200;300)であって、カプセルが、
-カプセル筐体(110、120;210、220;310、320)と、
-原薬を収容するように構成された貯蔵部(A)であって、薬剤出口(190;290;390)につながる、貯蔵部(A)と、
-作動チャンバ(118;218、226;318)と、
-作動チャンバ(118;218、226;318)と貯蔵部(A)との間に配設された移動可能な分離器(160;260;360)であって、移動可能な分離器(160;260;360)の移動が、貯蔵部(A)から薬剤出口(190;290;390)を通って原薬を放出する、移動可能な分離器(160;260;360)と、
-エネルギー源(150;250;350)、およびエネルギー源(150;250;260)からエネルギーを放出して、原薬を放出するために移動可能な分離器(160;260;360)に負荷をかけるように動作可能なトリガ(145、140、170;245、240、270;345、340、370)を備える駆動システムと、を備え、
トリガ(145、140、170;245、240、270;345、340、370)が、スポンジ材料を含む膨潤性部分(140;240;340)を含み、スポンジ材料の湿潤が、膨潤性部分を膨潤させ、それによってトリガ(145、140、170;245、240、270;345、340、370)を動作させて、エネルギー源(150)からエネルギーを放出する、カプセル。
節2.カプセル筐体(110、120;210、220;310、320)が、流体入口部分(115;215;315)、流体入口部分内に配設された半透過性膜(145;245;345)を備え、膨潤性部分(140;240;340)の第1の表面が、半透過性膜(145;245;345)と接触して、かつ/またはそれに隣接して配設されて、流体入口部分(115;215;315)を通って入る体液による膨潤性部分(140;240;340)の湿潤を可能にする、節1に記載のカプセル。
節3.流体入口部分(115;215;315)が最初に、内腔内の体液に供されたときに溶解するよう適合された腸溶コーティングを含み、内腔内の体液は、腸溶コーティングの溶解時に流体入口部分(115;215;315)を通って流動することが可能である、節2に記載のカプセル。
節4.エネルギー源が、作動チャンバ(118;218、226;318)およびトリガ(145、140、170;245、240、270;345、340、370)に動作可能に連結された気体膨張ユニット(150;250;350)を備え、トリガの動作が、気体膨張ユニット(150;250;350)からの加圧気体が作動チャンバ内の気体圧力を増加させることを可能にし、気体膨張ユニット(150;250;350)およびトリガ(145、140、170;245、240、270;345、340、370)が、互いに移動可能に配設されて、気体膨張ユニット(150;250;350)をトリガし、それによって原薬を放出するために移動可能な分離器に負荷をかける、節1~3のいずれか1つに記載のカプセル。
節5.トリガ(145、140、170;245、240、270;345、340、370)が、気体膨張ユニットのトリガを引き起こすために、気体膨張ユニット(150、250、350)を係合動作させるように構成されたトリガ部材(170;270;370)を備える、節4に記載のカプセル。
節6.膨潤性部分(140;240;340)が、第1の表面および第1の表面の反対側に配設された第2の表面を備え、第1の表面が、膨潤性部分(140;240;340)の膨潤中に、カプセル筐体に固定して関連付けられた構造に対して支持されている、節5に記載のカプセル。
節7.トリガ部材(170;270;370)が、カプセル筐体(110、120;210、220;310、320)に対する移動のために構成されており、第2の表面が、トリガ部材(170;270;370)と協働して、膨潤性部分の膨潤時に、気体膨張ユニット(150;250;350)に対するトリガ部材(170;270;370)の移動を引き起こすように配設されている、節6に記載のカプセル。
節8.トリガ部材(170;270;370)が、膨潤性部分に対して支持的に載置されている、節7に記載のカプセル。
節9.膨潤性部分の膨潤中に、トリガ部材(170、270;370)が、カプセル筐体(110、120;210、220;310、320)に対して固定して配設されており、気体膨張ユニット(150;250;350)が、カプセル筐体(110、120;210、220;310、320)に対する移動のために構成されており、第2の表面が、気体膨張ユニット(150、250;350)と協働して、膨潤性部分の膨潤時に、トリガ部材(170;270;370)に対する気体膨張ユニットの移動を引き起こすように配設されている、節6に記載のカプセル。
節10.気体膨張ユニット(150;250;350)が、気体ゲートを備え、気体ゲートが、トリガと協働して、加圧気体が気体膨張ユニット(150;250;350)から作動チャンバに流動することを可能にすることによって、閉鎖状態から開放状態に動作可能である、節2~9のいずれか1つに記載のカプセル。
節11.気体ゲートが、破裂可能なシール(151;251;351)を備え、気体ゲートが閉鎖状態をとるとき、破裂可能なシールが、作動チャンバ(118;218、226;318)に対して気体膨張ユニット(150;250;350)を密封し、トリガが、破裂可能なシールを破裂させて、それによって気体ゲートを開放状態にするように構成されている、節10に記載のカプセル。
節12.気体ゲートが、弁制御部材を備える気体弁を備え、弁制御部材が、トリガによって動作可能である、節10に記載のカプセル。
節13.気体膨張ユニット(150;250;350)が、加圧気体キャニスタ、または少なくとも1つの気体発生材料を含む気体発生装置を備える、節2~13のいずれか1つに記載のカプセル。
節14.スポンジ材料(140;240;340)が、生分解性材料を含む、節1~13のいずれか1つに記載のカプセル。
節15.内腔が、内腔壁を含み、薬剤出口が、無針ジェット送達のために構成されたノズル配設(192;292;392)を備え、カプセルは、原薬が内腔壁の組織に浸透することを可能にする浸透速度で、ノズル配設を通して原薬を放出するように構成されている、節1~14のいずれか1つに記載のカプセル。
節16.エネルギー源が、駆動ばねとして構成された少なくとも1つのばねであるか、またはそれを含み、ばねが、圧縮ばね、ねじりばね、板ばね、および定荷重ばねのうちの1つとして選択される、節1~15のいずれか1つに記載のカプセル。
【0040】
本明細書で使用される場合、「薬剤」、「原薬」、「製剤」、または「ペイロード」という用語は、指定された標的部位内またはその上に送達されることができる任意の薬剤製剤を包含することを意味する。薬剤は、単一の薬剤化合物、予混合されたもしくは共製剤化された複数の薬剤化合物、または2つ以上の別個の薬剤成分によって混合される製剤でさえあってもよく、混合は、放出の前または最中のいずれかに実施される。代表的な薬剤としては、固体、粉末または液体の両方の形態における、ペプチド(例えば、インスリン、インスリン含有薬剤、GLP-1含有薬剤ならびにその誘導体)、タンパク質、およびホルモンなどの医薬品、生物由来または活性物質、ホルモンおよび遺伝子に基づく物質、栄養製剤、ならびに他の物質が挙げられる。具体的には、薬剤は、インスリンまたはGLP-1含有薬剤であってもよく、これは、その類似体、および1つ以上の他の薬剤との組み合わせを含む。
【0041】
以下では、本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1図1は、本発明の第1の実施形態による摂取可能なカプセル100の外部斜視図である。
図2図2は、本発明の第1の実施形態による摂取可能なカプセル100の断面側面図である。
図3図3は、本発明の第2の実施形態による摂取可能なカプセル200の断面側面図である。
図4図4は、本発明の第3の実施形態による摂取可能なカプセル300の断面側面図である。
図5図5は、本発明の第4の実施形態による摂取可能なカプセル300’の断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図において、同様の構造は、主として同様の参照番号で識別される。
【0044】
以下で「上」および「下」、「右」および「左」、「水平」および「垂直」などの用語、または同様の相対表現が使用されるとき、これらは、添付の図に言及するだけであり、必ずしも実際の使用状況ではない。示された図は、概略表現であり、そのため、異なる構造の構成、およびそれらの相対寸法は、例示的な目的のみを果たすことが意図される。部材または要素という用語が所与の構成要素に対して使用されるとき、これは一般的に、説明される実施形態においてこの構成要素が単一の構成要素であることを示すが、代替的に、説明される構成要素のうちの2つ以上が単一の構成要素として、例えば、単一の射出成形部品として製造される可能性があるように、同一の部材または要素がいくつかの下位構成要素を備えてもよい。「組立品」および「サブ組立品」という用語は、説明された構成要素が所与の組立手順の間に単一の、または機能組立品またはサブ組立品を提供するために組み立てられる必要があることを暗示しておらず、機能的により密接に関連するものとしてともに分類される構成要素を説明するために使用されるに過ぎない。
【0045】
図1を参照すると、本発明による薬剤送達装置の第1の実施形態が説明され、実施形態は、患者が摂取するようにサイズ設定および形状決定され、その後、患者の標的内腔内にあるときに展開して、ある用量の液体薬剤がカプセル装置100の外部部分に提供された薬剤出口を通して放出されるように構成された、摂取可能なカプセル装置100を提供するように設計されている。以下で単に「カプセル」と称される開示された摂取可能なカプセル装置100は、例示に過ぎず、本発明に従って、異なるカプセル外形を有する他の形態で提供され得ることに留意されたい。また、示される出口は、出口を通して物質を直接放出するための出口ノズル開口部を提供するが、出口は、注射針に関連付けられた出口開口部を有するなど、代替の形態で提供されてもよい。開示された実施形態は、カプセルが小腸などの消化管の内腔に入り、最終的に、内腔の内側または内腔を包囲する内腔壁の組織内のいずれかの標的位置で、原薬などのペイロードの液体用量を放出することを可能にするために、患者によって摂取されるのに好適なカプセル100に関する。他の実施形態では、カプセルは、胃などの消化器系の他の位置、または対象の他の内腔部分においてさえ、物質を放出するように構成され得る。
【0046】
示される実施形態のカプセル100では、物質は、単一製剤から調製されるか、または単一製剤として提供されることが意図される。あるいは、物質は、少なくとも2つの製剤から調製され得る。物質が2つの製剤によって調製されるとき、第1の生成物が、第1の貯蔵部内に貯蔵され得る一方で、第2の生成物は、第2の貯蔵部内に貯蔵され得、放出前に混合され得るか、または出口を通した放出中であっても混合され得る。いくつかの実施形態では、第1の薬剤構成要素が、粉末などの凍結乾燥原薬として最初に提供される一方で、第2の薬剤構成要素は、希釈剤などの再構成液体である。他の実施形態では、2つ以上の製剤は各々、薬剤放出の前または最中に互いと混合される液体として最初に提供される。
【0047】
図1および図2を参照すると、カプセル100は、以下で「長手方向軸」とも称される軸に沿って延在する細長い形状を有する複数部品筐体を含む。細長い筐体は、円筒形セクションを含み、円形端部分、すなわち、近位端部分および遠位端部分をさらに含む。示される実施形態では、出口190は、円筒形セクションの側壁部分、カプセル100の遠位端に配設されている。したがって、出口は、内腔壁の組織に近接するように配設された表面から放射状に外側を向く。示される実施形態では、カプセルは、00細長いカプセルにほぼ対応する形状およびサイズで形状決定されている。
【0048】
示される複数部品筐体は、第1の筐体部分、近位端に配設された近位筐体部分110、略円形の端部表面を有する遠位端で終わる略円筒形のスリーブ形状の遠位筐体部分120を含む。示される実施形態では、近位筐体部分および遠位筐体部分は、ねじ込み係合によって互いに対して固定して載置されている。近位筐体部分110の近位端壁119は、多数の開口部またはチャネル115を含み、消化管内に存在する胃液の、カプセル100の内部への侵入を可能にする流体入口としての役割を果たす。
【0049】
図2は、カプセルが患者によって摂取される準備ができている初期状態のカプセル100を示す。カプセル100の内側では、その遠位端において、中空の第1の円筒形セクション124が、長手方向軸に沿って延在し、第1の直径を有して配設されている。第1の円筒形セクション124は、遠位に配設された端面123によって遠位端で終端する。第1の円筒形セクション124は、第1の円筒形セクション124と同軸に配設されており、第1の円筒形セクション124の直径よりも大きい直径を有する、中空の第2の円筒形セクション126に向かって近位に延在する。中空の第3の円筒形セクション118は、第1および第2の円筒形セクション124および126と同軸に、第2の円筒形セクションからカプセル100の最近位端に延在し、第3の円筒形セクション118は、近位端壁119によって終端する。示される実施形態では、近位端壁119は、中央平面部分を有する。
【0050】
ピストン160は、第1の円筒形セクション124および第2の円筒形セクション126によって提供される中空空間内の軸方向の摺動可能な移動のために配設されている。ピストン160は、第1の円筒形セクション124の半径方向内向き表面に対して密封する円周方向シール164を有する小さい直径のセクションを含む。ピストン160は、第2の円筒形セクション124の半径方向内向き表面に対して密封する円周方向シール166を有する大きい直径のセクションをさらに含む。ピストンは、第1の円筒形セクション124の直径よりもわずかに小さく作られた直径を有する遠位向き円形端部表面を含む。ピストン160の近位端では、ピストンは、第2の円筒形セクション126の直径よりもわずかに小さい直径を有する近位向き円形端部表面を含む。
【0051】
カプセルが初期状態をとるとき、すなわち、投与前に、ピストン160は、遠位に配設された端面123から離れた開始位置に配置されている。この初期状態では、ピストンの円形遠位端面、第1の円筒形セクション124の半径方向内向き表面、および遠位に配設された端面123は組み合わせて、薬剤貯蔵部Aを画定する。液体原薬は、貯蔵部A内に収容される。貯蔵部Aの遠位端に配設された出口190は、貯蔵部からカプセル100の外部への流体出口通路を画定する。示される実施形態では、出口190は、薬剤が出口を通って押し出されるときに、薬剤の液体ジェット流を生成するように寸法決定および形状決定されたジェットノズル192を含む。示される実施形態では、貯蔵部は、液体薬剤の高圧で破れるように設計されたシールで出口において密封されている。
【0052】
ジェット薬剤送達のための既存のジェット注射器システムは、当該技術分野で既知である。当業者であれば、例えば、国際公開第2020/106,750号(PROGENITY INC)から、治療物質を内腔壁24内に送達するための正しいジェット力を提供する適切なジェット注射器を選択する方法を理解するであろう。
【0053】
具体的に、当業者であれば、ジェット注射を使用した患者の消化管内への薬剤送達中、ジェット注射器によって生成されたジェット流が、消化管の内腔および内腔に面する消化管の表面を結合することを理解するであろう。最終的に、原薬は、噴霧へと最小限に分解する安定した流体のジェット流として、消化管の粘膜層(例えば、上皮層、および上皮層上に存在し得る任意の粘液)に影響を及ぼす物質によって、粘膜下組織および/または粘膜組織に堆積する。
【0054】
原薬の流体の体積は、ジェット注射器をピークジェット速度で出るジェット流を生成するピーク流体圧力を経験する。ジェット流は、ピークジェット電力、ピークジェット圧力、およびピークジェット力で、消化管の内腔および内腔に面する消化管の表面の界面に影響を及ぼす。当業者であれば、これら3つのパラメータが相互接続されていることを認識するであろう。
【0055】
当業者であれば、記載されるタイプのジェット注射での使用の適合性について、様々なジェット注射器の特徴を評価および測定する方法を理解するであろう。例えば、ジェット電力を評価する1つの方法は、ジェットの力を測定する力センサ上にジェットを放出することである。力を読み取り、ノズルの面積およびジェット液体の密度を知ることに基づいて、ジェット速度は、方程式1を使用して決定され得る。計算された速度に基づいて、電力(ワット)は、方程式2を使用して計算され得る。ジェット圧力(すなわち、ジェット流が放出される圧力)を評価するために、方程式3が使用され得る。
【数1】
【数2】
【数3】
F=力(N)
ρ=密度(kg/m3)
A=ノズルの面積(m2)
V=速度(m/s)
P=電力(W)
バール=圧力(バール)
C=ノズル損失係数(通常0.95)
【0056】
カプセル100の内側では、その近位端で、駆動システムは、駆動システムのトリガ時、すなわち、所定の状態によるトリガ時に、出口190に向かってピストン160を駆動するように構成され配設されている。駆動システムは、ピストン160を前方に駆動することができるエネルギー源を備える。駆動システムは、中空の第3の円筒形セクション118内に配設されている。
【0057】
示される実施形態では、カプセル100の駆動システムは、加圧気体キャニスタ150として提供される気体膨張ユニットの形態でエネルギー源を含む。気体キャニスタ150は、高圧で貯蔵された気体を収容する円筒形空間を有するエンクロージャを形成する。円筒形空間は、この実施形態では、薄いホイル材料、例えば、アルミホイルから作製された膜として提供される破裂可能なシール151によって閉鎖され、破裂可能なシール151は、カプセル100の遠位端に面する。
【0058】
この第1の実施形態では、気体キャニスタ150は、第3の円筒形セクション118内で軸方向に摺動可能に配設されている。分割壁130は、第3の円筒形セクション118および第2の円筒形セクション126を分離し、分割壁は、加圧気体が第3の円筒形セクション118から第2の円筒形セクション126に流動することを可能にする、複数の貫通開口135を含む。トリガ部材170は、その中央位置で分割壁130上に固定して配置され、すなわち、長手方向軸と同軸に配設されている。トリガ部材170は、近位方向を向いている、したがって気体キャニスタ150の破裂可能なシール151の方を向いている尖った端部を有する、尖ったスパイクとして形成されている。
【0059】
上述のように、近位筐体部分110、およびより具体的には、近位端壁119の中央平面部分は、第3の円筒形セクション118への胃液の侵入を可能にする、近位端面に配設された多数の開口部またはチャネル115を含む。半透過性膜145は、その近位向き表面が近位端壁119の中央平面部分の遠位向き表面と緊密に接触して配設されている。したがって、カプセル100に入る胃液は、開口部115および半透過性膜145を通過する必要がある。近位端壁119の中央平面部分は、半透過性膜145の裏打ちとしての役割を果たすのに十分な剛性を提供する。
【0060】
一片のスポンジ材料140は、半透過性膜145に近接して配設されている。スポンジ材料140は、液体との接触に供されたときに急速に膨潤する顕著な能力を示すように選択された、繊維性、多孔性、または微孔性、連続気泡の材料から作製された吸収性材料によって形成され得る。示される実施形態では、スポンジ部分140は、圧縮形態で提供される乾燥セルローススポンジであり、セルロースは、生分解性スポンジとして提供される。
【0061】
スポンジ部分140は、半透過性膜145と気体キャニスタ150との間に軸方向に配置された第3の円筒形セクション118内に配設されている。半透過性膜が開口部115を通して胃液に急速に浸漬すること、すなわち、半透過性膜と組み合わせて浸透圧駆動としての役割を果たすことを可能にするために、塩142または類似の材料が、半透過性膜145およびスポンジ部分140の両方と接触して位置付けられている。示される実施形態では、半透過性膜145、スポンジ部分140、および気体キャニスタ150は、スポンジ部分140内に形成された空洞内に配設された塩142を用いてサンドイッチ構成で互いに接着している。いくつかの実施形態について、スポンジ部分140は、流体がスポンジを膨潤させると、スポンジが主にまたは排他的に軸方向寸法で膨張するように、その円周の周囲に拘束され得る。
【0062】
示される実施形態では、半透過性膜145、塩142、スポンジ部分140、およびトリガ部材170は組み合わせて、トリガ組立品を形成する。また、示される実施形態では、図1および図2では見えないが、開口部115は、最初に開口部115を通した流体の侵入を遮断するpH感受性腸溶コーティングによって被覆されている。当該技術分野で既知のように、腸溶性コーティングは、胃から小腸に移動するときにカプセル100が経験するpHレベルの顕著なシフトを利用するように構成され得る。
【0063】
次に、カプセル100の動作について説明する。患者またはユーザがカプセル100を嚥下した後、小腸に入ると、カプセル100の腸溶性コーティングは、溶解し始め、胃液は直後に、浸透圧駆動のために開口部115を通して利用可能になって、半透過性膜145にわたる流体輸送を提供される。
【0064】
流体がスポンジ部分140と接触すると、スポンジは、急速に膨張し始める。示される実施形態では、スポンジ部分140は、流体がスポンジを膨潤させると、スポンジが主にまたは排他的に軸方向寸法で膨張するように、その円周の周囲に拘束され得る。スポンジ部分140の軸方向の膨潤により、気体キャニスタ150は、半透過性膜145を通る流体の侵入の過程で強制的に遠位に変位させられる。気体キャニスタ150が遠位に移動すると、トリガ部材170は、破裂可能なシール151と接触し始める。気体キャニスタ150がさらに遠位移動すると、トリガ部材170はある時点で、破裂可能なシール151を貫通し、その後、気体キャニスタ内の加圧気体は、第3の円筒形セクション118に漏れ、分割壁130の貫通開口135により、加圧気体は、第3の円筒形セクション118から第2の円筒形セクション126に流動し、2つの円筒形セクション118および126は、組み合わせて作動チャンバとしての役割を果たす。破裂可能なシール151の穿刺は、作動チャンバの気体圧力を急速に増加させ、これは、ピストン160の近位向き端部表面に負荷をかける。ピストン160の近位向き円形端部表面の断面積および遠位向き円形端部表面の断面積の差により、作動チャンバ内の圧力は、貯蔵部A内の油圧に拡大され、貯蔵部A内の原薬は、ジェットノズル192を通して押し出される。
【0065】
最終的に、ピストン160は、遠位に配設された端面123に対して底部に達し、ジェットノズル192を通る薬剤のジェット流は終了する。原薬の送達後、カプセル100は、消化管を通過し、その後、排泄されることが可能である。
【0066】
他の実施形態については、化学反応または相変化を介した気体発生に依存する気体膨張ユニットなど、示される事前加圧気体キャニスタ以外の他のタイプのエネルギー源が使用され得ることに留意されたい。他の変化形では、通電ばね、例えば、トリガの前に圧縮モードで維持される圧縮ばねなど、さらに他のタイプの潜在的なエネルギー源がエネルギー源のために使用されてもよく、ラッチは、トリガの動作時にラッチを解除し、原薬の放出のためにピストンを前方に駆動する圧縮ばねの解除を引き起こすように、トリガ組立品によって動作可能である。
【0067】
ここで図3を参照すると、カプセル200の第2の実施形態についてここで説明する。カプセル200は、多くの態様ではカプセル100に対応するが、貯蔵部および放出機構は異なる。カプセル100が、作動チャンバと貯蔵部との間の移動可能な分離器に依存し、摺動可能なピストン160として提供する一方、カプセル200は、移動可能な分離器として作動チャンバおよび貯蔵部を分離する可撓性膜260を利用する。
【0068】
カプセル200は同様に、近位筐体部分210および遠位筐体部分220を含む。カプセル200では、半透過性膜245、スポンジ部分240、塩242、およびトリガ部材270によって形成されたトリガ組立品は、カプセル100と同様に形成されている。また、エネルギー源、例えば、破裂可能なシール251を有する気体キャニスタ250は、同様に形成され、すなわち、「投入円筒形セクション」とも称される円筒形セクション218内に摺動可能に配設されている。
【0069】
ジェットノズル292を含む出口290は、カプセル200の遠位端と近位端との間のほぼ中間に配設された、カプセル200の円筒形スリーブの側面部分に位置している。
【0070】
遠位筐体部分220の大部分は、「排出円筒形セクション」と称され得る中空円筒形セクション226を含み、これは、作動チャンバ、および貯蔵部Aを収容するための空間の両方としての役割を果たす。可撓性気密および液密膜260は、円筒形セクション226内に配設されている。膜は、貯蔵部Aを形成し、すなわち、バッグとして構成されており、出口290に単一の開口部が配設された原薬のためのエンクロージャを形成する。
【0071】
カプセルが患者によって摂取される準備ができている初期状態のカプセル200を示す図3中、膜260は、膜によって画定されたバッグが円筒形セクションの大部分を占める膨張構成をとる。
【0072】
患者またはユーザがカプセル200を嚥下した後、小腸に入ると、カプセル200の腸溶性コーティングは、溶解し始め、胃液は直後に、浸透圧駆動のために開口部215を通して利用可能になって、半透過性膜245にわたる流体輸送を提供される。
【0073】
流体がスポンジ部分240と接触すると、スポンジは、急速に膨張し始める。スポンジ部分240の軸方向の膨潤により、気体キャニスタ250は、半透過性膜245を通る流体の侵入の過程で強制的に遠位に変位させられる。
【0074】
気体キャニスタ250が遠位に移動すると、トリガ部材270は、破裂可能なシール251と接触し始める。気体キャニスタ250がさらに遠位移動すると、トリガ部材270はある時点で、破裂可能なシール251を貫通し、その後、気体キャニスタ内の加圧気体は、投入円筒形セクション218に漏れ、分割壁230の貫通開口235により、加圧気体は、投入円筒形セクション218から排出円筒形セクション226、すなわち、作動チャンバに流動する。破裂可能なシール251の穿刺は、作動チャンバ226の気体圧力を急速に増加させ、これは、膜260上に負荷をかけ、膜260、すなわち、貯蔵部Aの体積をより小さくさせる。膜260内の体積の低減により、貯蔵部A内の油圧および貯蔵部A内に収容された原薬は、ジェットノズル292を通して押し出される。
【0075】
最終的に、膜260は、加圧気体が貯蔵部A内に収容された原薬の実質的に全てを排出し、ジェットノズル292を通る薬剤のジェット流が終了するときに、崩壊構成をとる。原薬の送達後、カプセル200は、消化管を通過し、その後、排泄されることが可能である。
【0076】
本発明によるカプセル300の第3の実施形態が図4に示される。カプセル300は、多くの態様ではカプセル100に対応するが、エネルギー源は異なっており、トリガ組立品はわずかに修正されている。
【0077】
カプセル300は同様に、近位筐体部分310および遠位筐体部分320を含む。カプセル300では、半透過性膜345、スポンジ部分340、塩342によって形成されたトリガ組立品は、カプセル100と同様に形成されている。しかしながら、トリガ部材がカプセル100の固定位置に配設されている代わりに、第3の実施形態のトリガ部材370は、スポンジ240上、すなわち、スポンジの遠位向き端面上に載置され、スパイクは、遠位に突出するように配設されている。
【0078】
また、エネルギー源、例えば、破裂可能なシール351を有する気体キャニスタ350は、第1の実施形態のカプセル100と比較して異なって形成されている。カプセル300では、ピストン360は中空に形成され、事前加圧気体を含む気体キャニスタ350を組み込み、気体キャニスタをピストン360の統合された部分として有する。ピストン360の近位端部分は、トリガ部材370の尖ったスパイクに面している、破裂可能なシール351を含む。
【0079】
遠位筐体部分320の大部分は、「排出円筒形セクション」と称され得る中空円筒形セクション324を含み、これは、原薬を収容するための空間としての役割を果たす。近位筐体部分310は、「投入円筒形セクション」と称され得る中空円筒形セクション318を含み、これは、トリガ組立品を収容し、作動チャンバとしての役割を果たす。カプセルが初期状態をとるとき、すなわち、投与前に、ピストン360は、遠位に配設された端面323から離れた開始位置に配置されている。この初期状態では、ピストンの円形遠位端面、排出円筒形セクション324の半径方向内向き表面、および遠位に配設された端面323は組み合わせて、薬剤貯蔵部Aを画定する。液体原薬は、貯蔵部A内に収容される。貯蔵部Aの遠位端に配設された出口390は、貯蔵部からカプセル300の外部への流体出口通路を画定する。また、この示される実施形態では、出口390は、薬剤が出口を通って押し出されるときに、薬剤の液体ジェット流を生成するように寸法決定および形状決定されたジェットノズル392を含む。貯蔵部は、液体薬剤の高圧で破れるように設計されたシールで出口において密封されている。
【0080】
図4中、カプセル300は、カプセルが患者による摂取の準備ができている初期状態で示される。患者またはユーザがカプセル300を嚥下した後、小腸に入ると、カプセル200の腸溶性コーティングは、溶解し始め、胃液は直後に、浸透圧駆動のために開口部315を通して利用可能になって、半透過性膜345にわたる流体輸送を提供される。
【0081】
流体がスポンジ部分340と接触すると、スポンジは、急速に膨張し始める。スポンジ部分340の軸方向の膨潤により、トリガ部材370は、半透過性膜345を通って投入円筒形セクション318へと流体が進入する過程で遠位に押し出される。
【0082】
遠位に移動すると、トリガ部材370は、破裂可能なシール351と接触し始める。原薬の非圧縮性により、ピストン360は最初に、排出円筒形セクション324内のその軸方向位置を維持する。トリガ部材370がさらに遠位に移動すると、トリガ部材370はある時点で、気体キャニスタ350の破裂可能なシール351を貫通し、その後、気体キャニスタ内の加圧気体は、投入円筒形セクション318、すなわち、作動チャンバに漏れる。破裂可能なシール251の穿刺は、作動チャンバの気体圧力を急速に増加させ、これは、ピストン360に負荷をかけ、ピストンを遠位に移動させ、貯蔵部Aの体積を低減させる。貯蔵部Aの体積の低減により、貯蔵部内に収容された原薬は、ジェットノズル292を通して押し出される。
【0083】
最終的に、ピストン360は、遠位に配設された端面323に対して底部に達し、ジェットノズル392を通る薬剤のジェット流は終了する。原薬の送達後、カプセル300は、消化管を通過し、その後、排泄されることが可能である。
【0084】
図2~4に示されるカプセルを参照すると、カプセルの組み立て中、スポンジ材料が容易に取り扱われることだけでなく、半透過性膜および/またはトリガ部材など、追加の構成要素のスポンジへの直接的な載置が実施されることを可能にする構造部材として、スポンジが提供されることを可能にする、スポンジ部分の構造特性により、特に単純な組み立て手順が提供され得る。
【0085】
カプセル100、200、および300は、破裂可能な膜の形態の気体ゲートを利用し、トリガ部材は、気体キャニスタの破裂可能なシールを穿刺するためのスパイクとして機能するが、気体ゲートを開放するための異なる原理に依存する他のトリガ部材を利用してもよい。例えば、スポンジ部分は、それ自体がトリガ部材として提供されてもよく、破れ可能な膜に直接力をかけるように配設されてもよく、破れ可能な膜は単純に、スポンジ材料が破れ可能な膜を押し通ると破れる。また、気体ゲートは、弁制御部材を開放するためにトリガ部材によって動作されている、弁制御部材を備える気体弁によって提供されてもよく、これは、加圧気体が作動チャンバ内の気体圧力を増加させることを可能にする。
【0086】
例示的な気体ゲートの実施形態を参照すると、図5は、ほとんどの態様では、上で考察された第3の実施形態のカプセル300と同様に形成された、本発明による第4の実施形態のカプセル300’を概略的に示す。しかしながら、カプセル300のスパイク370および破裂可能なシール351の構成の代わりに、第4の実施形態のカプセル300’は、トリガ部材370’と協働するように構成された弁システム352’/353’によって形成された気体ゲートを含む。示される例示的な弁システムは、気体キャニスタの近位向き開口部を、すなわち、ピストン360の近位端部分で閉鎖する薄い壁表面を本質的に形成する第1の弁部材352’を含む。弁制御部材353’は、第1の弁部材352’の弁シート部分と協働して、貯蔵中に気体キャニスタを密封することが示される。示される実施形態では、第1の弁部材352’および弁制御部材
【0087】
弁制御部材353’は、トリガ部材370’から遠位に向けられた力をかけられると、第1の弁部材352’のシート部分に対して遠位に移動し、加圧気体が気体キャニスタ350から投入円筒形セクション318、すなわち、作動チャンバに漏れることを可能にするように構成されている。
【0088】
第4の実施形態のトリガ部材370’は同様に、スポンジの遠位向き端部表面上に載置され、スパイク部材は、弁制御部材353’に、遠位に向けられた力をかけるように構成されたプッシュロッドを含むように形成されている。腸液によって湿潤したときにスポンジ部分340が膨張すると、トリガ部材370’は、第1の弁部材352’に対して遠位に弁制御部材353’を押し始め、これにより、弁制御部材は、第1の弁部材352’から押し離され、完全に分離されるか、または第1の弁部材352’に対して開放位置で保持機構(非参照)によって永久に保持される。開放位置では、加圧気体は、気体キャニスタから作動チャンバに妨害されることなく流動することが可能である。
【0089】
それでもなお、本発明に従って、示される弁システム352’/353’が例示に過ぎず、本発明による代替の実施形態が、他の弁構成を組み込み得ることに留意されたい。
【0090】
上述の実施形態に記載されたように、嚥下後、カプセル装置は最初に胃を通って移動し、その後小腸に入る。腸溶性コーティングは、小腸に入ると溶解するため、浸透圧駆動は、流体入口を通した流体の侵入が可能になるために腸溶性コーティングが十分に溶解したときにのみ開始される。
【0091】
腸溶性コーティングは、コーティングされた物体が腸内に放出されることを可能にする任意の好適なコーティングであり得る。場合によっては、腸溶性コーティングは、胃と比較して小腸で優先的に溶解し得る。他の実施形態では、腸溶性コーティングは、胃と比較して小腸で優先的に加水分解し得る。腸溶性コーティングとして使用される材料の非限定的な例としては、アクリル酸メチル-メタクリル酸共重合体、酢酸コハク酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(すなわち、酢酸コハク酸ヒプロメロース)、酢酸フタル酸ビニル(PVAP)、メタクリル酸メチル-メタクリル酸共重合体、およびアルギン酸ナトリウム、およびステアリン酸が挙げられる。追加の実施例は、例えば、参照により本明細書に組み込まれるUS 2018/0193621に開示されている。所与の物体(ここではカプセル)、または流体入口のみは、腸溶性コーティングでコーティングされ得る。腸溶性コーティングは、所与のpHで、または所与のpH範囲内で、例えば、5.5超のpHで、6.5超のpHで、約5.6~6の範囲内で、または約5.6~6.5もしくは7の範囲内で可溶性であるように構成され得る。腸内pHでの溶解時間は、腸溶性コーティングの組成によって制御または調整され得る。例えば、腸内pHでの溶解時間は、腸溶性コーティングの厚さによって制御または調整され得る。
【0092】
他の実施形態では、トリガが起こるときを制御するための条件は、他の原理によって提供され得る。例えば、溶解可能な層は、最初にカプセルの流体入口を遮断して配置されてもよく、溶解可能な層の溶解は、胃液への第1の曝露で開始され、溶解可能な層のタイミングは、カプセルが展開する位置にとって決定的である。また、胃で展開可能なカプセルなどについて、コーティングは存在しなくてもよく、これにより、十分な液体が半透過性膜を通して移されるとすぐにカプセルのトリガが起こる。さらに他のトリガ原理は、流体入口を通した、かつカプセルトリガ組立品内への、温度変化によって誘導された胃液の通過に依存し得る。
【0093】
例示的な実施形態の上記説明は、主に小腸における送達のための摂取可能なカプセルに関するものであるが、本発明は概して、カプセル装置が製剤の送達のために身体内腔内に位置付けられる、内腔挿入のためのカプセル装置に一般的な有用性を見出す。カプセル装置の非限定的な例としては、胃内への送達または胃壁の組織内への送達のためのカプセル装置が挙げられる。例えば、国際公開第2018/213600号に記載される様々な自己復元または自己配向構造および/または方法が、本開示によるカプセル装置によって用いられ得る。国際公開第2018/213600は号、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0094】
薬剤送達は、針などの送達部材を使用して、粘膜内層への液体ジェット浸透を提供するための液体のジェット流を介して、または内腔内の噴霧を介して実施され得る。さらに他の実施形態では、本開示に記載される本発明のトリガ原理を使用して、内腔壁に挿入される固体薬剤ペレットの送達をトリガしてもよい。
【0095】
例示的な実施形態の上記の説明では、異なる構成要素について説明された機能を提供する異なる構造および手段を、本発明の概念が当業者にとって明らかである程度まで、説明してきた。異なる構成要素に対する詳細な構築および仕様は、本明細書に記載されるラインに沿って当業者によって実施される通常の設計手順の対象とみなされる。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】