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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-30
(54)【発明の名称】電池及び電力消費装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/262 20210101AFI20230823BHJP
   H01M 50/207 20210101ALI20230823BHJP
   H01M 50/271 20210101ALI20230823BHJP
【FI】
H01M50/262 P
H01M50/207
H01M50/271 S
H01M50/262 S
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022559606
(86)(22)【出願日】2021-07-15
(85)【翻訳文提出日】2022-09-29
(86)【国際出願番号】 CN2021106458
(87)【国際公開番号】W WO2023283873
(87)【国際公開日】2023-01-19
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】唐▲ゆう▼
(72)【発明者】
【氏名】王鵬
(72)【発明者】
【氏名】呉夏逸
(72)【発明者】
【氏名】王湘
(72)【発明者】
【氏名】李振華
(72)【発明者】
【氏名】李星
【テーマコード(参考)】
5H040
【Fターム(参考)】
5H040AA07
5H040AA36
5H040AS07
5H040AT02
5H040AT06
5H040AY05
5H040AY10
5H040CC05
(57)【要約】
本出願の実施例は、電池及び電力消費装置を提供する。ここで、電池(200)は、筐体(11)と筐体(11)に固定される固定ビーム(12)とを含む筐体コンポーネント(1)と、筐体(11)内に設けられ、且つ複数の電池単体(21)を含む電池モジュール(2)と、電池モジュール(2)を覆うためのものであり、且つ固定ビーム(12)に固定される第1の拘束部材(3)と、第1の拘束部材(3)の電池モジュール(2)から離れる側に位置し、且つ固定ビーム(12)に固定される第2の拘束部材(4)であって、第2の拘束部材(4)上に脆弱領域(413)が設けられ、第2の拘束部材(4)は、第1の拘束部材(3)に対して拘束力を印加し、脆弱領域(413)で電池単体(21)の膨張を許容するように配置される第2の拘束部材(4)とを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池(200)であって、
筐体(11)と前記筐体(11)に固定される固定ビーム(12)とを含む筐体コンポーネント(1)と、
前記筐体(11)内に設けられ、且つ複数の電池単体(21)を含む電池モジュール(2)と、
前記電池モジュール(2)を覆うためのものであり、且つ前記固定ビーム(12)に固定される第1の拘束部材(3)と、
前記第1の拘束部材(3)の前記電池モジュール(2)から離れる側に位置し、且つ前記固定ビーム(12)に固定される第2の拘束部材(4)であって、前記第2の拘束部材(4)上に脆弱領域(413)が設けられ、前記第2の拘束部材(4)は、前記第1の拘束部材(3)に対して拘束力を印加し、前記脆弱領域(413)で前記電池単体(21)の膨張を許容するように配置される第2の拘束部材(4)とを含む、電池(200)。
【請求項2】
前記第2の拘束部材(4)と前記第1の拘束部材(3)とは、積層されて設けられる、請求項1に記載の電池(200)。
【請求項3】
前記電池単体(21)は、電極コンポーネント(212)を含み、前記脆弱領域(413)は、前記電極コンポーネント(212)の位置する領域に対応して設けられる、請求項1又は2に記載の電池(200)。
【請求項4】
前記脆弱領域(413)は、前記第2の拘束部材(4)の厚さ方向に貫通するように設けられる、請求項1~3のいずれか1項に記載の電池(200)。
【請求項5】
前記電池単体(21)は、前記第1の拘束部材(3)に向かう側面(S)を有し、前記側面(S)は、4つの側辺を有し、
前記第2の拘束部材(4)は、前記側面(S)の少なくとも一部の側辺において前記第1の拘束部材(3)に拘束力を印加する、請求項1~4のいずれか1項に記載の電池(200)。
【請求項6】
前記第1の拘束部材(3)は、前記電池モジュール(2)を覆うための第1のリミット部(31)を含み、前記第2の拘束部材(4)は、前記第1のリミット部(31)の外側に積層されて設けられる第2のリミット部(41)を含み、前記電池モジュール(2)は、第1の方向(X)に沿って配列される複数の前記電池単体(21)を含み、且つ前記4つの側辺は、第2の方向(Y)に沿って延在する第2の側辺(B2)を含み、前記第2の方向(Y)は、前記側面(S)内において前記第1の方向(X)に垂直であり、
ここで、前記第2のリミット部(41)は、横方向拘束ストリップ(412)を含み、前記横方向拘束ストリップ(412)は、前記第2の側辺(B2)で拘束力を印加するように配置される、請求項5に記載の電池(200)。
【請求項7】
前記第1の方向(X)において、隣接する電池単体(21)の隣接する前記第2の側辺(B2)は、同一の前記横方向拘束ストリップ(412)によって印加される力で拘束される、請求項6に記載の電池(200)。
【請求項8】
前記4つの側辺は、第1の方向(X)に沿って延在する第1の側辺(B1)をさらに含み、前記第2のリミット部(41)は、前記第2の方向(Y)に沿って間隔をあけて設けられ、且ついずれも第1の方向(X)に沿って延在し、前記第1の側辺(B1)で拘束力を印加するように配置される2つの縦方向拘束ストリップ(411)をさらに含み、
ここで、前記横方向拘束ストリップ(412)は、前記2つの縦方向拘束ストリップ(411)の間に位置し、且つ前記横方向拘束ストリップ(412)の両端は、それぞれ前記2つの縦方向拘束ストリップ(411)に接続される、請求項6又は7に記載の電池(200)。
【請求項9】
前記第2のリミット部(41)は、複数の前記横方向拘束ストリップ(412)を含み、隣接する前記横方向拘束ストリップ(412)と前記2つの縦方向拘束ストリップ(411)との間に囲まれた領域は、前記脆弱領域(413)を形成する、請求項8に記載の電池(200)。
【請求項10】
前記電池モジュール(2)の第2の方向(Y)に沿う両側にいずれも前記固定ビーム(12)が設けられ、
前記第1の拘束部材(3)は、第1のリミット部(31)と2つの第1の取り付け部(32)とを含み、前記第1のリミット部(31)は、前記電池モジュール(2)を覆うためのものであり、前記2つの第1の取り付け部(32)は、それぞれ、前記第1リミット部(31)の前記第2の方向(Y)に沿う両側に接続され、
前記第2の拘束部材(4)は、第2のリミット部(41)と2つの第2の取り付け部(42)とを含み、前記第2のリミット部(41)は、前記第1のリミット部(31)の外側に積層されて設けられ、前記2つの第2の取り付け部(42)は、それぞれ、前記第2のリミット部(41)の前記第2の方向(Y)に沿う両側に接続され、
ここで、同一側に位置する前記第1のリミット部(31)と前記第2のリミット部(41)は、同一の前記固定ビーム(12)に固定される、請求項1~9のいずれか1項に記載の電池(200)。
【請求項11】
前記第1のリミット部(31)全体は、前記第1の取り付け部(32)に対して、前記電池モジュール(2)から離れる側へ突出し、前記第2のリミット部(41)全体は、前記第2の取り付け部(42)に対して、前記電池モジュール(2)から離れる側へ突出する、請求項10に記載の電池(200)。
【請求項12】
前記第2の拘束部材(4)の前記第1の拘束部材(3)から離れる側に設けられ、且つ前記筐体(11)の開口端を閉鎖する外蓋(5)をさらに含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の電池(200)。
【請求項13】
電力消費装置であって、前記電力消費装置に電気エネルギーを提供するための、請求項1~12のいずれか1項に記載の電池(200)を含む、電力消費装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、電池技術分野に関し、特に電池及び電力消費装置に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオンなどの電池は、エネルギー密度が高く、パワー密度が高く、繰り返し利用回数が多く、貯蔵期間が長いなどの利点を有することに伴い、電気自動車において既に広く用いられている。
【0003】
しかしながら、電気自動車の電池の使用の信頼性と耐用年数を延長することは、従来から、業界の難題の一つである。
【発明の概要】
【0004】
本出願の目的は、電池の作動の信頼性と安全性を向上させることにある。
【0005】
本出願の第1の方面によれば、電池を提供する。前記電池は、筐体と筐体に固定される固定ビームとを含む筐体コンポーネントと、筐体内に設けられ、且つ複数の電池単体を含む電池モジュールと、電池モジュールを覆うためのものであり、且つ固定ビームに固定される第1の拘束部材と、第1の拘束部材の電池モジュールから離れる側に位置し、且つ固定ビームに固定される第2の拘束部材であって、第2の拘束部材上に脆弱領域が設けられ、第2の拘束部材は、第1の拘束部材に対して拘束力を印加し、脆弱領域で電池単体の膨張を許容するように配置される第2の拘束部材とを含む。
【0006】
いくつかの実施例において、第2の拘束部材と第1の拘束部材とは、積層されて設けられる。
【0007】
いくつかの実施例において、電池単体は、電極コンポーネントを含み、脆弱領域は、電極コンポーネントの位置する領域に対応して設けられる。
【0008】
いくつかの実施例において、脆弱領域は、第2の拘束部材の厚さ方向に貫通するように設けられる。
【0009】
いくつかの実施例において、電池単体は、第1の拘束部材に向かう側面を有し、側面は、4つの側辺を有し、
第2の拘束部材は、側面の少なくとも一部の側辺において第1の拘束部材に拘束力を印加する。
【0010】
いくつかの実施例において、第1の拘束部材は、電池モジュールを覆うための第1のリミット部を含み、第2の拘束部材は、第1のリミット部の外側に積層されて設けられる第2のリミット部を含み、電池モジュールは、第1の方向に沿って配列される複数の電池単体を含み、且つ4つの側辺は、第2の方向に沿って延在する第2の側辺を含み、第2の方向は、側面内において第1の方向に垂直であり、
ここで、第2のリミット部は、横方向拘束ストリップを含み、横方向拘束ストリップは、第2の側辺で拘束力を印加するように配置される。
【0011】
いくつかの実施例において、第1の方向において、隣接する電池単体の隣接する第2の側辺は、同一の横方向拘束ストリップによって印加される力で拘束される。
【0012】
いくつかの実施例において、4つの側辺は、第1の方向に沿って延在する第1の側辺をさらに含み、第2のリミット部は、第2の方向に沿って間隔をあけて設けられ、且ついずれも第1の方向に沿って延在し、第1の側辺で拘束力を印加するように配置される2つの縦方向拘束ストリップをさらに含み、
ここで、横方向拘束ストリップは、2つの縦方向拘束ストリップの間に位置し、且つ横方向拘束ストリップの両端は、それぞれ2つの縦方向拘束ストリップに接続される。
【0013】
いくつかの実施例において、第2のリミット部は、複数の横方向拘束ストリップを含み、隣接する横方向拘束ストリップと2つの縦方向拘束ストリップとの間に囲まれた領域は、脆弱領域を形成する。
【0014】
いくつかの実施例において、電池モジュールの第2の方向に沿う両側にいずれも固定ビームが設けられ、第1の拘束部材は、第1のリミット部と2つの第1の取り付け部とを含み、第1のリミット部は、電池モジュールを覆うためのものであり、2つの第1の取り付け部は、それぞれ、第1リミット部の第2の方向に沿う両側に接続され、第2の拘束部材は、第2のリミット部と2つの第2の取り付け部とを含み、第2のリミット部は、第1のリミット部の外側に積層されて設けられ、2つの第2の取り付け部は、それぞれ、第2のリミット部の第2の方向に沿う両側に接続され、ここで、同一側に位置する第1のリミット部と第2のリミット部は、同一の固定ビームに固定される。
【0015】
いくつかの実施例において、第1のリミット部全体は、第1の取り付け部に対して、電池モジュールから離れる側へ突出し、第2のリミット部全体は、第2の取り付け部に対して、電池モジュールから離れる側へ突出する。
【0016】
いくつかの実施例において、電池は、第2の拘束部材の第1の拘束部材から離れる側に設けられ、且つ筐体の開口端を閉鎖する外蓋をさらに含む。
【0017】
本出願の第2の方面によれば、電力消費装置を提供する。前記電極消費装置は、電力消費装置に電気エネルギーを提供するための、上記実施例の電池を含む。
【0018】
本出願の実施例の電池は、第1の拘束部材外に第2の拘束部材を設けることで、第2の拘束部材によって、第1の拘束部材に対して拘束力を印加することができ、第1の拘束部材と第2の拘束部材の両者によって、電池モジュールに拘束力を提供し、且つ第2の拘束部材上に脆弱領域を設けることで、脆弱領域で電池単体の膨張を許容する上で、電池単体の膨張面に対する拘束力を向上させることができ、それにより電池単体の膨張率を改善し、電池単体が膨張して電池構造部品を押圧することによって電池の故障を引き起こす確率を低減させ、それにより電池の作動の信頼性と耐用年数を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本出願の実施例の技術的解決手段をより明確に説明するために、以下では、本出願の実施例で使用する必要がある図面を簡単に説明するが、明らかなことに、以下に説明する図面は、本出願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとっては、創造的な労力を支払うことなく、図面に基づいて他の図面を入手することができる。
図1】本出願による電池を車両に取り付けるいくつかの実施例の構造概略図である。
図2】本出願の電池のいくつかの実施例の構造概略図である。
図3】本出願の電池における電池単体のいくつかの実施例の分解図である。
図4】本出願の電池のいくつかの実施例の内部構造分解図である。
図5】本出願の電池のいくつかの実施例の内部構造概略図である。
図6】本出願の電池のいくつかの実施例における第1の拘束部材、第2の拘束部材と電池モジュールの取り付け関係の概略図である。
図7】本出願の電池における第1の拘束部材と第2の拘束部材との組み合わせのいくつかの実施例の斜視図である。
図8】本出願の電池における第1の拘束部材と第2の拘束部材との組み合わせのいくつかの実施例の上面図である。
図9】本出願の電池における第1の拘束部材と第2の拘束部材との組み合わせのいくつかの実施例の側面図である。 図面において、図は、実際の縮尺に応じて描かれるものではない。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面と実施例を結び付けて、本出願の実施形態をさらに詳しく説明する。以下の実施例の詳細な記述と図面は、本出願の原理を例示的に説明するためのものであるが、本出願の範囲を限定するために使用されることはできず、即ち、本出願は、説明される実施例に限定されない。
【0021】
本明細書の記述において、なお、特に説明されていない限り、「複数」は2つ以上を意味し、「上」、「下」、「左」、「右」、「内」、「外」などの用語によって指示される方位又は位置関係は、単に本出願の説明を容易にし、説明を簡略化するためのものであり、言及される装置又は要素が特定の方位を有し、特定の方位で構成して動作しなければならないことを指示又は示唆するものではないため、本出願を限定するものとして解釈されるべきではない。さらに、「第1」、「第2」、「第3」などの用語は、単に説明のためのものであり、相対的な重要性を指示又は示唆するものとして理解されるべきではない。「垂直」とは、厳密な意味での垂直ではなく、誤差許容範囲内である。「平行」とは、厳密な意味での平行ではなく、誤差許容範囲内である。
【0022】
下記の記述に現れる方位用語は、いずれも図面に示す方向であり、本出願の具体的な構造を限定するものではない。本出願の記述において、なお、特に明記し、限定する場合を除き、「取り付け」、「繋がり」、「接続」という用語は、広義に理解されるべきであり、例えば、固定接続であってもよく、着脱可能な接続、又は一体的な接続であってもよく、直接的な接続であってもよく、中間媒体を介した間接的な接続であってもよい。当業者にとって、本出願における上記の用語の具体的な意味は、具体的な状況に応じて理解されてもよい。
【0023】
以下の実施例において、各方位を明確に記述するために、以下、各方向を定義する。図4の座標系を例として、第1の方向Xは、電池200の高さ方向に垂直な平面内に位置し、例えば、第1の方向Xは、電池200の長手方向を表し、第2の方向Yも電池200の高さ方向に垂直な平面内に位置し、且つ第1の方向Xに垂直であり、例えば、第2の方向Yは、電池200の幅方向を表し、第3の方向Zは、第1の方向Xと第2の方向Yで形成される平面に垂直であり、例えば、第3の方向Zは、電池200の高さ方向を表す。
【0024】
図4以外の実施例にいて、第1の方向Xは、電池200の幅方向を表してもよく、第2の方向は、電池200の長手方向を表し、又は、第1の方向Xは、電池200の高さ方向に垂直な平面内に位置する任意の方向を表す。
【0025】
このような方位の定義によれば、「上」、「下」、「頂部」、「底部」、「前」、「後」、「内」及び「外」などで指示される方位又は位置関係記述を用い、これは、単に本出願の説明を容易にするためのものであり、言及される装置が特定の方位を有し、特定の方位で構成して動作しなければならないことを指示又は示唆するものではないため、本出願の保護範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0026】
本出願の発明創造過程の一部として、発明者らは、無数の実験と検証を経て、電池の信頼性と耐用年数の低下の原因が以下のとおりである可能性があることを発見した。
【0027】
複数の電池単体を筐体内に平置きする電池について、筐体の底板と天板によって、電池単体の膨張面に対して拘束を行う。電池単体を縦置きする電池に比べて、電池単体の膨張面の受ける拘束力が小さく、膨張が発生しやすく、電池単体内部の電池コアが一定の程度(例えば、16%)まで膨張すると、大きすぎる応力による電池の構造部品の変形又は故障を引き起こす可能性がある。そして、天板と電池単体の膨張面の変形度が一致せず、電池単体と天板との接着面の脱膠着がひどく、電池単体に対する天板の拘束作用が弱くなり、電池単体が筐体内で揺れ、又は、電池の構造部品が大きすぎる応力を受けて変形又は故障するおそれがある。そして、一部の電池単体の膨張度が比較的大きければ、天板全体が反り上がって変形するとともに、他の電池単体の拘束効果にも影響を及ぼし、天板が電池単体の変形に追従する能力が比較的悪い。
【0028】
天板の厚さを厚くすれば、電池単体に対する天板の拘束力を高めることができるが、それと同時に電池のエネルギー密度も低下するため、より効果的な方法で電池単体の拘束効果を高める必要がある。
【0029】
電力消費装置において、電池を用いてもよく、電池は、電力消費装置に対して電気エネルギーを提供するように配置される。この電力消費装置は、携帯電話、ポータブル式機器、ノートパソコン、電気バイク、電気自動車、船舶、宇宙船、電気玩具及び電気工具などであってもよく、例えば、宇宙船は、飛行機、ロケット、スペースシャトル及び宇宙飛行船などを含み、電気玩具は、据置式又は移動式の電気玩具、例えば、ゲーム機、電気自動車玩具、電気船舶玩具及び電気飛行機玩具などを含み、電気工具は、金属切削電気工具、研削電気工具、組立用電気工具及び鉄道用電気工具、例えば、電気ドリル、電気グラインダ、電気レンチ、電気ドライバ、電気ハンマ、電気インパクトドリル、コンクリートバイブレータ、電気フライスなどを含む。
【0030】
図1に示すように、電力消費装置は、車両100、例えば、新エネルギー自動車であってもよく、新エネルギー自動車は、純電気自動車、ハイブリッド自動車又はレンジエクステンダー型自動車などであってもよく、又は、電池を用いる装置は、ドローン又は船舶などであってもよい。車両100は、電池200を含み、電池200は、車両の作動に電気エネルギーを提供するためのものである。
【0031】
車両100は、アクスル101と、アクスル101に接続される車輪102と、モータ103と、コントローラ104とをさらに含み、モータ103は、アクスル101の回転を駆動するためのものであり、コントローラ104は、モータ103の作動を制御するためのものであり、電池200は、モータ103及び車両における他の部材の作動に対して電気エネルギーを提供するためのものである。
【0032】
図2に示すように、電池200は、筐体コンポーネント1と、電池モジュール2と、外蓋5とを含んでもよく、筐体コンポーネント1の内部は、中空構造であり、電池モジュール2は、筐体コンポーネント1内に収容される。筐体コンポーネント1は、電池モジュール2に対して収容空間を提供するためのものである。いくつかの実施例において、外蓋5と筐体コンポーネント1とが互いに蓋合わせされることで、電池モジュール2を収容するための収容空間を形成する。無論、筐体コンポーネント1と外蓋5との接続部は、シール材(図示されない)によって封止を実現してもよく、シール材は、シールリング、シーラントなどであってもよい。
【0033】
電池モジュール2において、一つ又は複数の電池単体21を設けてもよい。電池単体21が複数であれば、複数の電池単体21の間は、直列接続又は並列接続又は直並列接続であってもよく、直並列接続は、複数の電池単体21に直列接続も並列接続も含まれることを意味する。電池単体21は、円柱形、角形又は他の形状の二次電池であってもよい。
【0034】
図3に示すように、電池単体21は、ハウジング211と、電極コンポーネント212と、エンドキャップ215とを含んでもよい。ハウジング211は、開口を有し、電極コンポーネント212は、ハウジング211内に収容され、エンドキャップ215は、ハウジング211の開口を閉鎖するためのものである。エンドキャップ215は、エンドキャップ本体215Aと、エンドキャップ本体215A上に設けられる正極端子215B、負極端子215C及び防爆弁215Dとを含む。電極コンポーネント212は、一つ又は複数積層されて設けられてもよく、各電極コンポーネント212上にいずれも2つの接続部213が形成され、2つの接続部213は、いずれもアダプタ214を介して正極端子215Bと負極端子215Cに接続される。
【0035】
ここで、電極コンポーネント212は、正極板と、負極板(図示されない)と、セパレータ(図示されない)とを含んでもよい。電極コンポーネント212は、正極板、セパレータ及び負極板を巻き取ることで形成される巻き取り式構造であってもよく、正極板、セパレータ及び負極板を積層して配置することで形成される積層式構造であってもよい。電極コンポーネント212は、正極タブと、負極タブとをさらに含み、正極板における、正極活性物質層がコーディングされていない正極集電体を正極タブとしてもよく、負極板における、負極活性物質層がコーディングされていない負極集電体を負極タブとしてもよい。
【0036】
いくつかの実施例において、図4に示すように、本出願は、電池200を提供する。この電池200は、筐体コンポーネント1と、電池モジュール2と、第1の拘束部材3と、第2の拘束部材4とを含む。ここで、筐体コンポーネント1は、筐体11と、筐体11中に固定される固定ビーム12とを含み、電池モジュール2は、筐体11内に設けられ、電池モジュール2は、複数の電池単体21を含み、第1の拘束部材3は、電池モジュール2を覆うためのものであり、且つ固定ビーム12に固定され、第2の拘束部材4は、第1の拘束部材3の電池モジュール2から離れる側に位置し、且つ固定ビーム12に固定され、第2の拘束部材4上に脆弱領域413が設けられ、第2の拘束部材4は、第1の拘束部材3に対して拘束力を印加し、脆弱領域413で電池単体21の膨張を許容するように配置される。
【0037】
例えば、固定ビーム12は、第1の方向Xに沿って設けられてもよく、第1の方向Xは、電池200の長手方向又は幅方向などであってもよい。固定ビーム12は、第2の方向Yに沿って間隔をあけて複数設けられてもよく、第1の拘束部材3は、隣接する2つの固定ビーム12によって固定される。固定ビーム12として、中実固定ビーム又は中空固定ビームを用いてもよく、その断面は、矩形、台形又はC字状などであってもよく、その上表面は、平面として設けられてもよく、それにより第1の拘束部材3と第2の拘束部材4を固定ビーム12の上表面に固定し、又は、第1の拘束部材3と第2の拘束部材4は、固定ビーム12の側面に固定されてもよい。
【0038】
例えば、複数の電池単体21は、一層又は多層設けられてもよく、各層の電池単体21は、いずれも、一列又は第2の方向Yに沿って並列に設けられる複数列の電池単体21を含み、各列の電池単体21に、いずれも、第1の方向Xに沿って並列に設けられる複数の電池単体21が含まれる。ここで、電池単体21における正極板と負極板は、第3の方向Zに沿って積層されて設けられ、電池単体21は、第3の方向Zに沿って膨張しやすい。
【0039】
例えば、拘束効果を高めるために、第1の拘束部材3と電池モジュール2との間に接着層が設けられ、例えば、接着剤又は粘着性を有する他の材料によって接着される。
【0040】
本出願のこの実施例は、第1の拘束部材3外に第2の拘束部材4を設けることで、第2の拘束部材4によって、第1の拘束部材3に対して拘束力を印加することができ、第1の拘束部材3と第2の拘束部材4の両者によって、電池モジュール2に拘束力を提供し、且つ第2の拘束部材4上に脆弱領域413を設けることで、脆弱領域413で電池単体21の膨張を許容する上で、電池単体21の膨張面に対する拘束力を向上させることができ、それにより電池単体21の膨張率を改善し、電池単体21が膨張し過ぎることによる第1の拘束部材3などの構造部品の深刻な変形又は破断によって引き起される電池200の故障を防止し、それにより電池200の作動の信頼性と耐用年数を向上させる。
【0041】
次に、第2の拘束部材4を追加することで、電池単体21に対する拘束力を向上させ、電池単体21のハウジング211の厚さの低減を許容することによって、電池単体21のエネルギー密度を向上させる。
【0042】
さらに、第1の拘束部材3と電池モジュール2との間に接着層が設けられる場合、電池単体21の膨張度を改善することで、第1の拘束部材3と電池モジュール2との間の接着層の脱離程度をさらに減少させて、電池単体21に対する第1の拘束部材3の拘束力を確保し、電池200の構造強度を向上させ、電池200の故障を防止することによって、電池200の作動の信頼性と耐用年数を向上させることもできる。
【0043】
いくつかの実施例において、図5に示すように、第2の拘束部材4と第1の拘束部材3は、第3の方向Zに沿って積層されて設けられる。第2の拘束部材4は、第1の拘束部材3と接触して設けられてもよい。
【0044】
この実施例によれば、第2の拘束部材4が第1の拘束部材3に対して拘束力をより安定かつ効果的に提供することができ、且つ第2の拘束部材4の、電池単体21の膨張領域に対応する位置に脆弱領域413を設けやすく、脆弱領域413で電池単体21の膨張を許容する上で、電池単体21の膨張面に対する拘束力を向上させることができる。
【0045】
いくつかの実施例において、電池単体21は、電極コンポーネント212を含み、脆弱領域413は、電極コンポーネント212の位置する領域に対応して設けられる。電池単体21が主に電極コンポーネント212の位置する位置で膨張するため、脆弱領域413を、電極コンポーネント212に対応する位置に設けることで、第2の拘束部材4によって電池単体21の膨張面に対する拘束力を増加させる上で、第2の拘束部材4が拘束力を提供すると同時に電極コンポーネント212の膨張空間を占有することを可能な限り減少させることができ、電極コンポーネント212の膨張隙間に影響を及ぼさない。
【0046】
さらに、脆弱領域413が電極コンポーネント212を完全に覆うことで、第2の拘束部材4の、脆弱領域413以外の部分が電極コンポーネント212の位置する領域を完全に回避し、第2の拘束部材4によって、電池単体21の膨張面に対する拘束力を増加することができるだけでなく、第2の拘束部材4が拘束力を提供する時、電極コンポーネント212の膨張空間を占有することを避けることもできる。
【0047】
いくつかの実施例において、図4に示すように、脆弱領域413は、第2の拘束部材4の厚さ方向に貫通するように設けられる。
【0048】
この実施例は、第2の拘束部材4を貫通する脆弱領域413を設けることで、電池単体21に対する拘束力を確保すると同時に、第2の拘束部材4の設置による電池単体21の膨張への影響を減少することに有利であり、電池単体21に対して膨張空間を提供することによって、電池200の作動の信頼性と耐用年数を向上させる。任意選択的に、脆弱領域413は、さらに、薄肉部であってもよく、又は、脆弱領域413の材料強度は、第2の拘束部材4の、脆弱領域413以外の他の領域の材料強度よりも小さい。
【0049】
いくつかの実施例において、図4図6に示すように、電池単体21は、第1の拘束部材3に向かう側面Sを有し、側面Sは、第3の方向Zに垂直であり、側面Sは、4つの側辺を有し、第2の拘束部材4は、側面Sの少なくとも一部の側辺において第1の拘束部材3に拘束力を印加する。
【0050】
この実施例は、第2の拘束部材4によって、電池単体21の側辺位置で拘束力を付加することで、電池単体21の膨張空間に影響を及ぼさない上で、電池単体21に対する拘束力を向上させ、電池単体21が膨張し過ぎることによる第1の拘束部材3などの構造部品の深刻な変形又は破断によって引き起される電池200の故障を防止することができ、それにより電池200の作動の信頼性と耐用年数を向上させる。
【0051】
いくつかの実施例において、図4図6に示すように、第1の拘束部材3は、電池モジュール2を覆うための第1のリミット部31を含み、第2の拘束部材4は、第1のリミット部31の外側に積層されて設けられる第2のリミット部41を含み、電池モジュール2は、第1の方向Xに沿って配列される複数の電池単体21を含み、且つ4つの側辺は、第2の方向Yに沿って延在する第2の側辺B2を含み、第2の方向Yは、側面S内において第1の方向Xに垂直であり、第2の側辺B2は、エンドキャップ215に垂直である。ここで、第2のリミット部41は、横方向拘束ストリップ412を含み、横方向拘束ストリップ412は、第2の側辺B2で拘束力を印加するように配置される。
【0052】
この実施例は、横方向拘束ストリップ412によって、電池単体21の第2の側辺B2に対して安定した拘束力を印加することができ、電池単体21の膨張空間を占有することがなく、電池単体21のエネルギー密度に影響を及ぼすこともなく、給電量を確保することができ、且つ隣接する電池単体21の膨張の相互干渉を防止することができる。そして、第1の拘束部材3と電池モジュール2との間に接着層が設けられる場合、隣接する電池単体21の間にある領域は、接着層が最も剥がれやすい位置であり、横方向拘束ストリップ412によって拘束力を印加することで、第1の拘束部材3と電池モジュール2との間の接着層が剥がれる現象を軽減することができ、さらに、電池単体21に印加される拘束力を確保し、電池200の構造強度を向上させ、電池200の故障を防止することによって、電池200の作動の信頼性と耐用年数を向上させる。
【0053】
いくつかの実施例において、図6に示すように、第1の方向Xにおいて、隣接する電池単体21の隣接する第2の側辺B2は、同一の横方向拘束ストリップ412によって印加される力で拘束される。
【0054】
この実施例は、第2の拘束部材4の構造を簡略化することができるだけでなく、同一の横方向拘束ストリップ412によって、隣接する電池単体21に対してより安定した拘束力を提供することもできる。
【0055】
いくつかの実施例において、4つの側辺は、第1の方向Xに沿って延在する第1の側辺B1をさらに含み、第2のリミット部41は、第2の方向Yに沿って間隔をあけて設けられ、且ついずれも第1の方向Xに沿って延在し、第1の側辺B1で拘束力を印加するように配置される2つの縦方向拘束ストリップ411をさらに含み、ここで、横方向拘束ストリップ412は、2つの縦方向拘束ストリップ411の間に位置し、且つ横方向拘束ストリップ412の両端は、それぞれ2つの縦方向拘束ストリップ411に接続される。
【0056】
この実施例は、2つの縦方向拘束ストリップ411を設けることで、電池単体21の第1の側辺B1に対して安定した拘束力を形成することができるだけでなく、電池単体21の膨張空間を占有することがなく、電池単体21のエネルギー密度に影響を及ぼすこともなく、給電量を確保することができる。そして、2つの縦方向拘束ストリップ411と横方向拘束ストリップ412との間にフレームワーク構造を形成してもよく、これは、第2拘束部材4全体の剛度を向上させ、第1の拘束部材3に対してより効果的に圧力を印加し、電池単体21に確実な拘束を提供する上で、電池単体21の膨張空間に影響を及ぼさないことによって、電池200の作動の信頼性と耐用年数を向上させる。
【0057】
電池単体21のエンドキャップ215が第2の方向Yに沿って外向きに設けられる場合、第1の側辺B1は、エンドキャップ215の側辺であり、縦方向拘束ストリップ411によって電池単体21の頭部位置を拘束することで、高圧接続構造の信頼性を増加させることができる。又は、電池単体21のエンドキャップ215が第2の方向Yに沿って内向きに設けられる場合、第1の側辺B1は、ハウジング211における、エンドキャップ215に対向する表面の側辺である。
【0058】
いくつかの実施例において、図7図8に示すように、第2のリミット部41は、複数の横方向拘束ストリップ412を含み、隣接する横方向拘束ストリップ412と2つの縦方向拘束ストリップ411との間に囲まれて形成された領域は、脆弱領域413を形成し、脆弱領域413は、矩形通路溝であり、第2の拘束部材4の受ける応力を低下させるために、脆弱領域413の4つの隅部に丸み又は面取りを設けてもよい。このような構造は、面積が比較的大きい脆弱領域413を形成して、電池単体21の膨張発生領域を回避することができ、且つ構造が簡単であり、加工しやすい。
【0059】
いくつかの実施例において、図4図5に示すように、電池モジュール2の第2の方向Yに沿う両側にいずれも固定ビーム12が設けられ、第1の拘束部材3は、第1のリミット部31と2つの第1の取り付け部32とを含み、第1のリミット部31は、電池モジュール2を覆うためのものであり、2つの第1の取り付け部32は、それぞれ、第1リミット部31の第2の方向Yに沿う両側に接続され、第2の拘束部材4は、第2のリミット部41と2つの第2の取り付け部42とを含み、第2のリミット部41は、第1のリミット部31の外側に積層されて設けられ、2つの第2の取り付け部42は、それぞれ、第2のリミット部41の第2の方向Yに沿う両側に接続される。ここで、同一側に位置する第1のリミット部31と第2のリミット部41は、同一の固定ビーム12に固定される。
【0060】
例えば、第1の拘束部材3と第2の拘束部材4は、板金プレス成形プロセスで成形されてもよい。
【0061】
図4図7及び図8に示すように、2つの第1の取り付け部32に、いずれも、固定ビーム12の延在方向に沿って複数の第1の取り付け孔321が間隔をあけて設けられ、2つの第2の取り付け部42に、いずれも、固定ビーム12の延在方向に沿って複数の第2の取り付け孔421が間隔をあけて設けられ、固定ビーム12に、自分の延在方向に沿って複数の第3の取り付け孔が間隔をあけて設けられる。複数のファスナ6は、それぞれ、対応する第1の取り付け孔321、第2の取り付け孔421及び第3の取り付け孔を貫通して、第1の拘束部材3と第2の拘束部材4を固定ビーム12に取り付ける。例えば、ファスナ6は、ネジ、ボルト又はリベットであってもよい。第1の拘束部材3と第2の拘束部材4の位置決め精度を向上させるために、第1の取り付け部32に、第1の位置決め孔322が設けられてもよく、第2の取り付け部42に第2の位置決め孔422が設けられてもよく、それによりファスナ6によって固定する前に、ピンによって位置決めする。
【0062】
この実施例の電池200は、第1の拘束部材3と第2の拘束部材4を、同一組のファスナ6を介して固定ビーム12に固定することで、組み立てやすく、且つ電池モジュール2が膨張する時、各電池モジュール2に対して安定かつ効果的な押圧力を提供し、電池モジュール2の膨張変形度を低下させることができる。
【0063】
いくつかの実施例において、図9に示すように、第1のリミット部31全体は、第1の取り付け部32に対して、電池モジュール2から離れる側へ突出し、第2のリミット部41全体は、第2の取り付け部42に対して、電池モジュール2から離れる側へ突出する。
【0064】
この実施例は、固定ビーム12の設置高さを低下させ、固定ビーム12の強度を確保することができるだけでなく、ファスナ6を用いて第1の取り付け部32と第2の取り付け部42を固定ビーム12に固定する時、ファスナ6が第2のリミット部41の天井面から突出することを避けることができ、電池200の高さを減少させることができる。そして、第1の拘束部材3と第2の拘束部材4全体の剛度を向上させることができる。
【0065】
図2に示すように、電池200は、第2の拘束部材4の第1の拘束部材3から離れる側に設けられ、且つ筐体11の開口端を閉鎖する外蓋5をさらに含む。
【0066】
この実施例は、第1の拘束部材3と第2の拘束部材4の両者によって電池モジュール2に対して拘束を行うことで、外蓋5の変形を低減させ、電池の封止性を向上させることができる。そして、第1の拘束部材3と第2の拘束部材4を設けることで、外蓋5の変形を低減させ、電池200が車両に用いられる時、長期間使用した後に、依然として、元の取り付け位置で順調に着脱を行うこともでき、電池200のメンテナンスの難しさを低下させることができ、且つ電池200の変形によって車両における取り付け構造部品に外力を印加することを防止することもできる。
【0067】
いくつかの実施例において、図9に示すように、第2の拘束部材4の、脆弱領域413以外の部分の厚さは、第1の拘束部材3の厚さよりも大きい。厚さが比較的大きい第2の拘束部材4を設けることで、第1の拘束部材3によって、電池単体21に対してより安定かつ確実な拘束力を印加することができ、厚さが小さい第1の拘束部材3を設けることで、電池単体21が脆弱領域413の位置する位置で第1の拘束部材3の押圧力を克服して膨張しやすくなり、それにより電池200の作動の信頼性と耐用年数を向上させる。
【0068】
以下、図4から図9を結び付けて、本出願の電池200の一具体的な実施例を提供する。
【0069】
筐体1内に、第2の方向Yに沿って複数本の固定ビーム12が設けられ、電池モジュール2は、隣接する固定ビーム12の間に設けられ、第1の拘束部材3は、電池モジュール2を覆うためのものであり、かつ両側の固定ビーム12に固定され、第2の拘束部材4は、第1の拘束部材3の電池モジュール2から離れる側に位置し、且つ固定ビーム12に固定され、第1の拘束部材3と第2の拘束部材4は、同一組のファスナ6によって固定されてもよい。
【0070】
電池モジュール2は、第2の方向Yに沿って並列に設けられる少なくとも2列の電池単体21を含み、各列の電池単体21に、いずれも、少なくとも2層の電池単体21が含まれ、且つ各層の電池単体21は、いずれも、第1の方向Xに沿って並列に設けられる複数の電池単体21を含む。少なくとも2列の電池単体21のうちの電池単体21は、第1の方向Xに沿って整列される。各電池単体21は、筐体11内に平置きされ、電極コンポーネント212における正極板と負極板は、第3の方向Zに沿って積層されて設けられ、電極コンポーネント212は、主に、第3の方向Zに沿って膨張し、電池単体21の側面Sは、第3の方向Zに垂直であるように設けられ、側面Sも電池単体21の最大表面である。
【0071】
第1の拘束部材3全体は、電池モジュール2を覆い、且つ固定ビーム12に固定され、第2の拘束部材4は、第1の拘束部材3に積層されて設けられ、且つ第1の拘束部材3の電池モジュール2から離れる側に位置し、且つ固定ビーム12に固定され、第2のリミット部41と第1のリミット31とが接触し、押圧力を提供する。第1の拘束部材3と最上層電池単体21との間に接着層が設けられてもよく、第2の拘束部材4と第1の拘束部材3との間にも接着層が設けられてもよく、それにより第1の拘束部材3に対する第2の拘束部材4の押圧効果を向上させる。
【0072】
第2の拘束部材4の第2のリミット部41は、2つの縦方向拘束ストリップ411と、複数の横方向拘束ストリップ412とを含む。
【0073】
2つの縦方向拘束ストリップ411は、第2の方向Yに沿って間隔をあけて設けられ、且ついずれも第1の方向Xに沿って延在し、2つの縦方向拘束ストリップ411は、それぞれ、最外側の2列の電池単体21の側面Sの第1の側辺B1を拘束するためのものであり、第1の側辺B1は、電池単体21の外側に位置し、且つ縦方向拘束ストリップ411の延在長さは、全列の電池単体21の第1の側辺B1を覆う。
【0074】
複数の横方向拘束ストリップ412は、第1の方向Xに沿って間隔をあけて設けられ、且ついずれも第2の方向Yに沿って延在し、各横方向拘束ストリップ412の両端は、それぞれ、2つの縦方向拘束ストリップ411に接続される。最外側の2つの横方向拘束ストリップ412は、それぞれ、第1の方向Xに沿って最外側に位置する2つの電池単体21の第2の側辺B2を拘束するためのものであり、残りの横方向拘束ストリップ412は、それぞれ、第1の方向Xに沿って隣接する電池単体21の第2の側辺B2を拘束し、且つ横方向拘束ストリップ412の延在長さは、少なくとも2列の電池単体21の第2の方向Yに沿う総寸法を覆う。隣接する電池単体21の第2の側辺B2に横方向拘束ストリップ412を設けることで、電池単体21の膨張による隣接電池単体21への影響を防止することもできる。
【0075】
2つの縦方向拘束ストリップ411と複数の横方向拘束ストリップ412との間に脆弱領域413が形成され、脆弱領域413は、第3の方向Zに沿って第2の拘束部材4を貫通する溝であり、この溝の設置領域は、電極コンポーネント212に対応してもよく、縦方向拘束ストリップ411と横方向拘束ストリップ412に、いずれも電極コンポーネント212を回避させて、電極コンポーネント212の膨張のための空間を残す。縦方向拘束ストリップ411と横方向拘束ストリップ412の幅は、電極コンポーネント212の寸法に応じて設計されてもよく、例えば、その幅範囲は、2mm~20mmに設計されてもよく、厚さ範囲は、0.5mm~6mmに設計されてもよい。
【0076】
この実施例は、第1の拘束部材3に対向する電池単体21の側面Sの一つの第1の側辺B1と2つの第2の側辺B2に対して拘束力を提供し、比較的良好な拘束効果を得ることができる。任意選択的に、隣接する2列の電池単体21の間に一つの縦方向拘束ストリップ411を増設してもよく、それにより電池単体21の側面Sの4つの側辺に対していずれも拘束力を提供し、より良好な拘束効果を得る。
【0077】
好ましい実施例を参照しながら、本出願について説明したが、本出願の範囲を逸脱することなく、種々の改良を行うことができ、且つそのうちの部品を等価物で置換することができる。特に、各実施例で言及された各技術的特徴は、構造の矛盾が生じない限り、任意に組み合わせることができる。本出願は、本明細書に開示された特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に含まれる全ての技術案を含むものである。
【符号の説明】
【0078】
100 車両
101 アクスル
102 車輪
103 モータ
104 コントローラ
200 電池
211 ハウジング
212 電極コンポーネント
213 接続部
214 アダプタ
215 エンドキャップ
215A エンドキャップ本体
215B 正極端子
215C 負極端子
215D 防爆弁
1 筐体コンポーネント
11 筐体
12 固定ビーム
2 電池モジュール
21 電池単体
3 第1の拘束部材
31 第1のリミット部
32 第1の取り付け部
321 第1の取り付け孔
322 第1の位置決め孔
4 第2の拘束部材
41 第2のリミット部
411 縦方向拘束ストリップ
412 横方向拘束ストリップ
413 脆弱領域
42 第2の取り付け部
421 第2の取り付け孔
422 第2の位置決め孔
5 外蓋
6 ファスナ
S 側面
B1 第1の側辺
B2 第2の側辺
X 第1の方向
Y 第2の方向
Z 第3の方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】