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特表2023-536779保護カバーならびに製造方法および使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-30
(54)【発明の名称】保護カバーならびに製造方法および使用方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 5/24 20060101AFI20230823BHJP
   B32B 3/04 20060101ALI20230823BHJP
【FI】
B32B5/24
B32B3/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022571357
(86)(22)【出願日】2021-05-21
(85)【翻訳文提出日】2023-01-17
(86)【国際出願番号】 US2021033527
(87)【国際公開番号】W WO2021237006
(87)【国際公開日】2021-11-25
(31)【優先権主張番号】16/881,515
(32)【優先日】2020-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/325,436
(32)【優先日】2021-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520020328
【氏名又は名称】トランシールド,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オゾル,セッキン
(72)【発明者】
【氏名】トット,グレゴリー
(72)【発明者】
【氏名】チー,ナー
【テーマコード(参考)】
4F100
【Fターム(参考)】
4F100AK04A
4F100AK04D
4F100AK07A
4F100AK07D
4F100AK09A
4F100AK09D
4F100AK12A
4F100AK12D
4F100AK42B
4F100AL02A
4F100AT00A
4F100BA03
4F100BA033
4F100BA05
4F100BA07
4F100CA17A
4F100CB00A
4F100CB00D
4F100DB16C
4F100DC11B
4F100DC11C
4F100DG01B
4F100DG15C
4F100EJ42
4F100JA03A
4F100JB05B
4F100JB05C
(57)【要約】
カバーは、フィルムと、複合層と、エッジラップとを含む。複合層は、フィルムに接続された第1の繊維質層と、スクリムと、第2の繊維質層と、を有する。第1の繊維質層は親水性を有し、スクリムは第1の繊維質層の親水性よりも低い親水性を有し、第2の繊維質層はスクリムの親水性よりも低い親水性を有する。エッジラップは、フィルムの一部と複合層の一部とを囲んでいる。エッジラップは、第1の繊維質層の親水性よりも高い親水性を有する不織層と、カバーリングと、エッジシールとを有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムと、
複合層と、
前記フィルムの一部と前記複合層の一部とを囲むエッジラップと、
を含み、
前記複合層は、前記フィルムに接続された、親水性を有する繊維質層を含み、
前記エッジラップは、前記繊維質層の前記親水性よりも高い親水性を有する不織層を有する、カバー。
【請求項2】
前記フィルムは熱収縮性フィルムである、請求項1に記載のカバー。
【請求項3】
前記フィルムは、少なくとも部分的にスチレン系ブロックコポリマーで構成されている、請求項1に記載のカバー。
【請求項4】
前記フィルムは、前記繊維質層に接続された内層と、少なくとも1つの中間層と、外層と、を有する、請求項1に記載のカバー。
【請求項5】
前記内層は、第1の量のブロッキング防止剤を含み、前記外層は、これより少ない第2の量のブロッキング防止剤を含む、請求項4に記載のカバー。
【請求項6】
前記繊維質層と前記フィルムとの間に接着剤層をさらに含む、請求項3に記載のカバー。
【請求項7】
前記接着剤層は、スチレン系ブロックコポリマーを含む、請求項6に記載のカバー。
【請求項8】
前記フィルムに取り込まれた接着剤をさらに含む、請求項1に記載のカバー。
【請求項9】
前記複合層には穴があいている、請求項1に記載のカバー。
【請求項10】
前記エッジラップは少なくとも1つの開口を有する、請求項1に記載のカバー。
【請求項11】
少なくとも部分的にスチレン系ブロックコポリマーで構成された熱収縮性フィルムを準備する工程と、
複合層を準備する工程と、
前記フィルムと前記複合層との間に接着剤層を準備する工程と、
前記フィルムを前記複合層に積層する工程と、を含み、
前記接着剤層は、前記フィルムの前記スチレン系ブロックコポリマーと同じ系列から選択されたスチレン系ブロックコポリマーを含む、カバーの製造方法。
【請求項12】
前記フィルムに接着剤を取り込む工程をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記複合層を前記フィルムに積層する前に、前記複合層に穴をあける工程をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記フィルムが縁を有し、前記複合層が縁を有し、前記方法は、エッジラップを準備する工程と、前記複合層を前記フィルムに積層した後に、前記エッジラップで前記フィルムの前記縁と前記複合層の前記縁を少なくとも部分的に囲む工程と、をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
物体を保護する方法であって、
熱収縮性フィルムと、前記フィルムに接続された複合層と、1つ以上の縁と、を有するカバーを準備する工程と、
保護対象となる前記物体の上に前記カバーを配置する工程と、
前記カバーが移動しないように前記カバーの前記縁を固定する工程と、
前記カバーが移動しないように前記カバーの前記縁を固定した後に、保護対象となる前記物体の形状に前記カバーが少なくとも部分的に適合するように、前記フィルムに熱を加えて前記フィルムを収縮させる工程と、を含む、方法。
【請求項16】
前記フィルムの前記スチレン系ブロックコポリマーと前記接着剤層の前記スチレン系ブロックコポリマーは、同じ系列のスチレン系ブロックコポリマーである、請求項7に記載のカバー。
【請求項17】
前記複合層は、前記繊維質層の前記親水性よりも低い親水性を有するスクリムを含む、請求項1に記載のカバー。
【請求項18】
前記複合層は、前記スクリムの前記親水性よりも低い親水性を有する第2の繊維質層を含む、請求項17に記載のカバー。
【請求項19】
前記スクリムは、前記繊維質層と、前記第2の繊維質層との間に位置する、請求項18に記載のカバー。
【請求項20】
前記スチレン系ブロックコポリマーは、スチレン-エチレン/ブチレン-スチレンである、請求項3に記載のカバー。
【請求項21】
前記スチレン系ブロックコポリマーは、スチレン-エチレン/プロピレン-スチレンである、請求項3に記載のカバー。
【請求項22】
前記エッジラップはカバーリングを含む、請求項1に記載のカバー。
【請求項23】
前記エッジラップはエッジシールを含む、請求項22に記載のカバー。
【請求項24】
前記カバーリングが少なくとも1つの開口を有し、前記エッジシールが前記カバーの前記開口と位置合わせされた少なくとも1つの開口を有する、請求項23に記載のカバー。
【請求項25】
前記カバーリングの前記開口および前記エッジシールの前記開口を通って延びるファンネルをさらに含む、請求項24に記載のカバー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年5月22日に出願された米国出願第16/881,515号および2021年5月20日に出願された米国出願第17/325,436号の優先権の利益を主張するものである。
【0002】
本発明は、保護カバーに関し、特に、親水性/疎水性の特性が異なる構成要素を有する保護カバーに関する。また、本発明は、そのようなカバーの製造方法および使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
保護カバーは、先行技術において知られている。例えば、米国特許第6,696,120号には、不織布と、隙間のあるスクリム織物とを有する保護カバーが開示されている。不織布の繊維がスクリムの隙間に押し込まれ、スクリムが不織布を補強する。不織布には、伸縮可能なフィルムがところどころに接着されている。このフィルムは、保護対象となる物体にカバーをかけた後に収縮させてもよい。
【0004】
米国特許第6,444,595号には、液体透過性の層を有する内面と液体不透過性の層を有する外面とを有するカバーが開示されている。液体透過性の層と液体不透過性の層との間に吸湿層が配置されている。レーダー影響層および/または蒸気腐食防止剤が、カバーに含まれてもよい。欧州特許出願公開第3243939号A1には、好ましくは接着剤で接合されたフィルムと布とを含む多層製品が開示されている。この製品を使用して、例えば、布が物体のほうを向いた状態で製品を物体の上に置くことで物体を保護することができる。フィルムには、熱が加わると物体のまわりで収縮する熱収縮性フィルムを用いることが可能である。このフィルムは、多層フィルムであってもよい。接着剤には、スチレン系ブロックコポリマーを含むことができる。布は、好ましくは不織材料であり、1つ以上の層を有することができる。物体に最も近い不織材料の層は親水性が最も低く、遠い側の不織層のほうが、親水性が高い。これによって、物体の近くからフィルムに向かって水蒸気の移動が促される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態では、カバーは、フィルムと、複合層と、エッジラップと、を含む。複合層は、フィルムに接続された第1の繊維質層と、スクリムと、第2の繊維質層と、を有する。第1の繊維質層は親水性を有し、スクリムは第1の繊維質層の親水性よりも低い親水性を有し、第2の繊維質層はスクリムの親水性よりも低い親水性を有する。エッジラップは、フィルムの一部と複合層の一部を囲んでいる。エッジラップは、不織層と、カバーリングと、エッジシールとを有する。エッジラップの不織層は、第1の繊維質層の親水性よりも高い親水性を有する。
【0006】
一実施形態では、フィルムは熱収縮性フィルムである。
【0007】
別の実施形態では、フィルムは、少なくとも部分的にスチレン系ブロックコポリマーで構成されている。ある実施形態では、スチレン系ブロックコポリマーは、スチレン-エチレン/ブチレン-スチレンである。他の実施形態では、スチレン系ブロックコポリマーは、スチレン-エチレン/プロピレン-スチレンである。
【0008】
別の実施形態では、フィルムは、第1の繊維質層に接続された内層と、少なくとも1つの中間層と、外層と、を有する。ある実施形態では、内層は、第1の量のブロッキング防止剤を含み、外層は、これより少ない第2の量のブロッキング防止剤を含む。
【0009】
他の実施形態は、第1の繊維質層とフィルムとの間に接着剤層を含む。フィルムと接着剤層は、それぞれ、スチレン系ブロックコポリマーを含んでいてもよい。ある実施形態では、フィルムのスチレン系ブロックコポリマーと接着剤のスチレン系ブロックコポリマーは、同じ系列のスチレン系ブロックコポリマーである。他の実施形態は、フィルムに取り込まれた接着剤を含む。
【0010】
ある実施形態では、スクリムは、第1の繊維質層と第2の繊維質層との間に位置する。他の実施形態では、複合層には穴があいている。
【0011】
本発明の他の実施形態では、エッジラップのカバーリングは少なくとも1つの開口を有し、エッジシールはカバーリングの開口と位置合わせされた少なくとも1つの開口を有する。ある実施形態は、カバーリングの開口とエッジシールの開口を通ってのびるファンネルを含む。
【0012】
本発明の一実施形態では、カバーは、フィルムと、複合層と、エッジラップとを含む。複合層は、フィルムに接続された繊維質層を有する。繊維質層は、親水性を有する。エッジラップは、フィルムの一部と複合層の一部とを囲んでいる。エッジラップは、繊維質層の親水性よりも高い親水性を有する不織層を有する。
【0013】
一実施形態では、フィルムは熱収縮性フィルムである。
【0014】
別の実施形態では、フィルムは、少なくとも部分的にスチレン系ブロックコポリマーで構成されている。
【0015】
他の実施形態では、フィルムは、繊維質層に接続された内層と、少なくとも1つの中間層と、外層と、を有する。ある実施形態では、内層は、第1の量のブロッキング防止剤を含み、外層は、これより少ない第2の量のブロッキング防止剤を含む。
【0016】
一実施形態において、カバーは、繊維質層とフィルムとの間に接着剤層をさらに含む。ある実施形態では、フィルムと接着剤層は、それぞれ、スチレン系ブロックコポリマーを含む。ある実施形態では、接着剤層のスチレン系ブロックコポリマーは、フィルムのスチレン系ブロックコポリマーと同じ系列のスチレン系ブロックコポリマーである。
【0017】
ある実施形態は、フィルムに取り込まれた接着剤を含む。
【0018】
一実施形態では、複合層には穴があいている。
【0019】
他の実施形態では、エッジラップは少なくとも1つの開口を有する。
【0020】
本発明の一実施形態において、カバーの製造方法は、少なくとも部分的にスチレン系ブロックコポリマーで構成された熱収縮性フィルムを準備する工程と、複合層を準備する工程と、フィルムと複合層との間に接着剤層を準備する工程と、フィルムを複合層に積層する工程と、を含み、接着剤層は、フィルムのスチレン系ブロックコポリマーと同じ系列から選択されたスチレン系ブロックコポリマーを含む。
【0021】
一実施形態において、本方法は、接着剤をフィルムに取り込む工程を含む。
【0022】
別の実施形態では、本方法は、複合層をフィルムに積層する前に、複合層に穴をあける工程を含む。
【0023】
本発明のある実施形態では、フィルムが縁を有し、複合層が縁を有し、本方法は、エッジラップを準備する工程と、複合層をフィルムに積層した後に、エッジラップでフィルムの縁と複合層の縁を少なくとも部分的に囲む工程と、を含む。
【0024】
本発明の一実施形態において、カバーを使用して物体を保護する方法は、熱収縮性フィルムと、フィルムに接続された複合層と、1つ以上の縁と、を有するカバーを準備する工程と、保護対象となる物体の上にカバーを配置する工程と、カバーが移動しないようにカバーの縁を固定する工程と、保護対象となる物体の形状にカバーが少なくとも部分的に適合するように、フィルムに熱を加えてフィルムを収縮させる工程と、を含む。
【0025】
本発明のこれらの特徴および他の特徴は、本発明の実施形態についての以下の説明および添付の図面から当業者には明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、本発明の一実施形態による保護カバーの断面を示す斜視図である。
図2図2は、図1に示す保護カバーの構成要素であるフィルムおよび複合層の分解斜視図である。
図3図3は、図1に示す保護カバーの構成要素であるエッジラップの斜視図である。
図4図4は、図1に示す保護カバーの構成要素であるファンネルの斜視図である。
図5図5は、保護対象となる物体の上に配置された、図1に示す保護カバーの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、本発明の一実施形態による保護カバー10の断面を示す斜視図である。図示の実施形態では、カバー10は主に、フィルム20と、接着剤30と、複合層40と、エッジラップ50と、を含む。図示の実施形態では、複合層40は、第1の繊維質層60と、スクリム70と、第2の繊維質層80と、を含み、エッジラップ50は、不織層90と、カバーリング100と、エッジシールまたはテープ110と、を含む。
【0028】
本発明のある実施形態では、フィルム20は多層共押出しフィルムである。いくつかの実施形態では、フィルム20はシュリンクフィルムであり、具体的には、熱収縮性フィルムである。図示の実施形態では、フィルム20は、多層共押出シュリンクフィルムである。フィルム20は、カバー10がかけられる用途に応じて、いくつでも層を有することができる。本発明の一実施形態では、フィルム20は、第1の繊維質層60に面する内層20Aと、1つ以上の中間層20Bと、外層20Cと、を有する。図示の実施形態では、フィルム20は、中間層20B1、20B2および20B3として示される3つの中間層20Bを含む。内層20A、中間層20B、外層20Cは、同一の厚さであってもよいし、異なる厚さであってもよい。図示の実施形態において、(a)内層20Aの厚さを、フィルム20の厚さの約10%~約20%の範囲にすることができ、(b)中間層20B1の厚さを、フィルム20の厚さの約10%~約30%の範囲にすることができ、(c)中間層20B2の厚さを、フィルム20の厚さの約30%~約60%の範囲にすることができ、(d)中間層20B3の厚さを、フィルム20の厚さの約10%~約30%の範囲にすることができ、(e)外層20Cの厚さを、フィルム20の厚さの約10%~約20%の範囲にすることができる。
【0029】
一実施形態では、内層20Aは、スチレン-エチレン/ブチレン-スチレン(SEBS)およびスチレン-エチレン/プロピレン-スチレン(SEPS)などの飽和熱可塑性樹脂の群から選択されるスチレン系ブロックコポリマーを約30~約100%含む。好適なスチレン系ブロックコポリマーの一例として、テキサス州ヒューストンのKraton Polymers U.S., LLCから入手可能なKraton G-1657があげられる。他の好適なSEBSおよびSEPS製品として、(a)Kraton Polymers U.S.から入手可能なKG-1924、KG-1900およびKG-1901、(b)中華民国台湾高雄市のTSRC Corporationから入手可能なTaipol(登録商標)6150およびTaipol(登録商標)6014、(c)スペイン、マドリードのDynasol Elstomeros,S.Aから入手可能なCalprene(登録商標)501およびCalprene(登録商標)6110Pがあげられるが、これらに限定されるものではない。本発明の一実施形態において、フィルム20の内層20Aは、2種類以上のスチレン系ブロックコポリマーを含む。ある実施形態では、フィルム20の内層20Aは、Kraton G-1657およびKG-1901の両方を含む。融点の異なる2種類のスチレン系ブロックコポリマーを使用することにより、後述するようにフィルム20を複合層40に積層する際に、複合層40との一層強固な結合を形成することができる。これは、融点の異なるコポリマーが、積層時にフィルム20と接着剤30を介してより容易に分散するためである。
【0030】
本発明のある実施形態において、内層20Aの残りには、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)および/またはメルトフローレートが1g/10min未満のLDPE(fmLDPE)などの他の熱可塑性材料を含むことができる。内層20Aには、ブロッキング防止剤も含むことができる。ある実施形態では、内層20Aは、着色剤、UV安定剤、酸化防止剤および/または他の添加剤を含むことができる添加剤マスターバッチを含む。本発明の一実施形態では、内層20Aは、約32%~約98%の1種類以上のスチレン系ブロックコポリマーと、約0%~約55%のHDPEと、約0%~約20%のfmLDPEと、約0%~約10%の添加剤マスターバッチと、約2%~約3%のブロッキング防止剤と、を含む。
【0031】
フィルム20の中間層20Bで使用するのに適した樹脂は、引張強度および引裂抵抗が良好であり、弾性率が低く(後述するように、これによって保護対象となる物体にカバー10をかけやすくなる)、熱溶接が容易であるように選択される。好適な樹脂の例としては、(a)テキサス州アーヴィングのExxonMobilから入手可能なLD-051およびLD-071などの高分子量fmLDPE、(b)ミシガン州ミッドランドのThe Dow Chemical Companyから入手可能なAgility(登録商標)2001およびAgility(登録商標)6047があげられるが、これらに限定されるものではない。本発明のある実施形態では、LDPEは、メタロセン直鎖状低密度ポリエチレン(mLLDPE)とブレンドされる。好適なmLLDPEの例としては、(a)ExxonMobilから入手可能なExceed(商標)1012、1015および1018ファミリーのmLLDPE、(b)Dow Chemical Companyから入手可能なElite(登録商標)5500GおよびElite(登録商標)AT6101があげられるが、これらに限定されるものではない。本発明の一実施形態では、フィルム20の中間層20Bは、LD-051とExceed(商標)1012のmLLDPEとのブレンドである。
【0032】
本発明のある実施形態において、中間層20Bの残りには、飽和熱可塑性樹脂の群から選択されるスチレン系ブロックコポリマーを含むことができる。ある実施形態では、スチレン系ブロックコポリマーは、フィルム20のスチレン系ブロックコポリマーと同じ系列のスチレン系ブロックコポリマー(すなわち、ホットメルト接着剤および押出フィルムでの使用に適したSEBSおよび/またはSEPSスチレン系ブロックコポリマー)である。ある実施形態では、中間層20Bは、着色剤、UV安定剤、酸化防止剤および/または他の添加剤を含むことができる添加剤マスターバッチを含む。本発明の一実施形態では、中間層20Bは、約10%~約70%のfmLDPEと、約20%~約80%のmLLDPEと、約10%~約15%の添加剤マスターバッチと、を含む。本発明のある実施形態では、フィルム20の中間層20B1、20B2および20B3は、組成が異なる。
【0033】
図示の実施形態では、フィルム20の外層20Cは、約50%~約85%の低弾性率LLDPEおよび約10%~約20%のfmLDPEを含む熱収縮性樹脂を含む。好適なLLDPEの例としては、ExxonMobilから入手可能なExceed(商標)1012、1015および1018ファミリーのmLLDPEがあげられるが、これらに限定されるものではない。本発明の一実施形態において、フィルム20の外層20Cに利用されるLLDPEには、広い温度範囲にわたる高温タック溶接が可能である。一実施形態では、LLDPEを、材料の最適な高温タック溶接温度よりも華氏で約10°高い温度から華氏で約3°低い温度の範囲にわたって高温タック溶接することができる。好適なfmLDPEの例としては、ExxonMobilから入手可能なLD 051.LQのfmLDPEがあげられるが、これに限定されるものではない。フィルム20の中間層20Bで使用するのに適しているとして上述した樹脂は、フィルム20の外層20Cに使用するのにも適している。
【0034】
本発明のある実施形態において、外層20Cの残りには、LDPEおよび/またはmLLDPEなどの他の熱可塑性材料を含むことができる。また、外層20Cには、ブロッキング防止剤も含むことができる。ある実施形態では、外層20Cは、着色剤、UV安定剤、酸化防止剤および/または他の添加剤を含むことができる添加剤マスターバッチを含む。本発明の一実施形態において、外層20Cは、約60%~約80%のmLLDPEと、約10%~約20%のfmLDPEと、約5%~約10%の添加剤マスターバッチと、約0%~約2%のブロッキング防止剤と、を含む。ある実施形態では、外層20Cは、約1.0%~約2.0%のブロッキング防止剤を含む。他の実施形態では、外層20Cは、約0.75%のブロッキング防止剤を含む。
【0035】
また、本発明のある実施形態では、フィルム20はUV安定剤も含み、UV安定剤は、フィルム20の1つ以上の層に取り込むことができる。本発明の一実施形態では、UV安定剤は、添加剤マスターバッチの一部として、フィルム20の各層に取り込まれる。詳細については後述するように、フィルム20は、製造プロセスで複合層40に積層される。さらに、本発明のある実施形態では、カバー10の製造プロセスは、1つ以上の溶接工程を含む。したがって、フィルム20に取り込まれるUV安定剤、添加剤マスターバッチ、他の添加剤(カバー10の他の構成要素に取り込まれる添加剤も同様)については、製造プロセスの積層工程と溶接工程に干渉しないように選択する必要がある。本発明の一実施形態では、UV安定剤は、製造プロセスの間にフィルム20内での移動が生じないように、分子量が十分に高い化学物質を有するように選択される。本発明の一実施形態では、UV安定剤は、フィルム20の重量の約0.080%以下の量で取り込まれる。好適なUV安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定剤、UV吸収剤、一次酸化防止剤および二次酸化防止剤を含む多成分UV安定剤があげられるが、これらに限定されるものではない。例えば、本発明の実施形態との併用に適した1つのUV安定剤は、IRGANOX(登録商標)-B900の一次および二次酸化防止剤、TINUVIN(登録商標)-111のヒンダードアミン系光安定剤、CHIMASSORB(登録商標)81のUV吸収剤を含み、これらはいずれもドイツのルートヴィヒスハーフェンのBASF SEから入手可能である。フィルム20の様々な層に同一のUV安定剤を含むことが可能であり、あるいは、フィルム20の異なる層に異なるUV安定剤を含むことも可能である。
【0036】
先行技術で知られているように、あるフィルム製造方法では、フィルムがまだいくらか熱い間、一般には室温よりかなり高い温度の間に、フィルムを圧延することを含む。フィルムの圧延時、内面などのフィルムの一方の表面が、外面などのフィルムの反対側の表面と接触する。これにより、ロール上でフィルム同士が貼り付いてしまう場合がある。先行技術のフィルムでは、フィルム同士が貼り付くのを防止するために、ブロッキング防止剤を用いることが多い。ある先行技術フィルムでは、共押出しフィルムの内層と外層の両方において、あるいは単層フィルムの構造全体において、フィルムに対して最低1重量%~2重量%のブロッキング防止剤を利用している。しかしながら、後述するように、本発明によるカバーのある実施形態は、熱溶接可能であることを意図している。ブロッキング防止剤は、熱溶接プロセスの妨げになる。この問題に対処するために、本発明のある実施形態のフィルム20では、フィルム20の外層20Cのブロッキング防止剤の量を減らしている。他の実施形態では、フィルム20の外層20Cのブロッキング防止剤の量を減らし、フィルム20の内層20Aのブロッキング防止剤の量を増やしている。本発明の一実施形態では、フィルム20の外層20Cのブロッキング防止剤の量は、外層20Cの約0重量%~約2重量%の範囲である。別の実施形態では、フィルム20の外層20Cのブロッキング防止剤の量は、外層20Cの約1重量%~約2重量%の範囲である。別の実施形態では、フィルム20の外層20Cのブロッキング防止剤の量は、外層20Cの約0.75重量%である。一実施形態では、フィルム20の内層20Aのブロッキング防止剤の量は、内層20Aの約0.5重量%~約3.0重量%の範囲である。一実施形態では、フィルム20の内層20Aのブロッキング防止剤の量は、内層20Aの約2.0重量%~約3.0重量%の範囲である。一実施形態では、フィルム20の外層20Cのブロッキング防止剤の量は、外層20Cの約0重量%から約2重量%の範囲であり、フィルム20の内層20Aのブロッキング防止剤の量は、内層20Aの約2.0重量%~約3.0重量%の範囲である。しかしながら、フィルム20の内層20Aにブロッキング防止剤を追加すると、後述するように、フィルム20を複合層40に積層するのが一層困難になり得ることが分かった。これを補償するために、上述したKraton Polymersから入手可能なものなどのSEBSおよび/またはSEPSが、フィルム20の内層20Aの約30重量%~約100重量%の量で、フィルム20の内層20Aに含まれる。ある実施形態では、SEBSおよび/またはSEPSは、フィルム20の内層20Aの32重量%~98重量%の量でフィルム20の内層20に含まれる。また、フィルム20の内層20Aに含まれるブロッキング防止剤の濃度が高くなることでラミネートプロセスに生じ得る悪影響を補償するために、積層プロセス中に、利用する温度および/または圧力を高めることが必要な場合もある。
【0037】
フィルム20の一実施形態に対する組成を以下の表に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
接着剤30は、図示の実施形態では、飽和熱可塑性樹脂の群から選択されるスチレン系ブロックコポリマーを含有するホットメルト感圧接着剤である。本発明の一実施形態では、接着剤30は、フィルム20の内層20Aに使用されるスチレン系ブロックコポリマーと同じ系列のスチレン系ブロックコポリマーから選択されたSEBSおよび/またはSEPSを含む。本発明で使用するための接着剤30の一例には、ミネソタ州アーデンヒルズのAdherent Laboratories, Inc.から入手可能なAL1262がある。本発明の実施形態で接着剤30として使用するのに適した別の接着剤には、ミネソタ州ヴァッドネのH.B. Fuller社から入手可能な1133接着剤がある。本発明のある実施形態において、接着剤30は、蒸気腐食防止剤(「VCI」)30Aを含む。ある実施形態において、接着剤30は、5%~15%のVCIを含む。許容可能なVCIの一例には、トルコのイスタンブールのDesi Kimya ve Maden Sanayi Tic.A.S.から入手可能なDESI TS1340+bがある。接着剤30は、樹脂、粘着付与剤および/またはUV安定剤などの追加の成分を含んでもよい。本発明の一実施形態では、接着剤30は、約20%~約50%のSEBS、約50%~約80%の樹脂および粘着付与剤、約0%~約10%のVCIおよび約0%~約1%のUV安定剤を含む。ある実施形態では、接着剤30は、約0.5%~約1.0%のUV安定剤を含む。他の実施形態では、接着剤30は、酸化防止剤と組み合わせた約0.5%~約1.0%のUV安定剤を含む。フィルム20で使用するのに適しているものとして上述したUV安定剤は、接着剤30での使用にも適している。
【0040】
接着剤30は、(a)フィルム20の内層20Aの外面に別の層として塗布されてもよい、および/または、(b)フィルム20の内層20Aに取り込まれていてもよい。図1および図2は、フィルム20の内層20Aに別の層として塗布された接着剤30を示す。図5は、フィルム20内に取り込まれた接着剤30を示している。
【0041】
本発明の実施形態に関連して利用することができるVCIには、少なくとも、(1)不動態防食剤、(2)陰極防食剤、(3)オーム防食剤、(4)有機防食剤、(5)析出誘導防食剤、(6)気相防食剤の6種類が存在する。これらのVCIは、アミン、亜硝酸塩、トリアゾールおよび他の揮発性化合物であってもよい。ある特定の金属の腐食を抑制する上では、ある特定の化学物質が一層効果的である。例えば、ベンゾトリアゾールは、銅に対して一層効果的なVCIであり、一方、シクロヘキシルアミンカーボネートは、鋼との併用に一層効果的である。本発明の実施形態に関連して有用な蒸気腐食防止剤の非限定的な例としては、第一級、第二級および第三級脂肪族アミン、脂肪族ジアミン、シクロ脂肪族および芳香族アミン、ポリメチルイミン、長鎖エタノールアミン、イミダゾリン、アミン塩(例えば、炭酸、カルバミン酸、酢酸、安息香酸、オレイン酸、亜硝酸およびクロム酸のアミン塩)、アセチレンアルコーリックアルコール(acetylenic alcoauric alcohol)、アルキルクロメート、亜硝酸の有機エステル、フタル酸の有機エステル、炭酸の有機エステル、ニトロナフタレン、ニトロベンゼン、アミド、亜硝酸塩と尿素、ウロトロピンまたはエタノールアミンとの混合物、ナフトール、チオ尿素誘導体ならびに、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、メルカプトベンゾチアゾールなどの複素環化合物およびそれらの塩、ニトロ化石油誘導体またはスルホン化石油誘導体および有機酸誘導体などがあげられる。
【0042】
本発明のある実施形態では、複合層40の第1の繊維質層60は、熱可塑性繊維から構成される。本発明の一実施形態では、第1の繊維質層60は、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維で構成されている。しかしながら、ナイロン、ナイロン66、セルロース、レーヨン、ビスコースおよびポリエチレンブチレンテレフタレート(PEBT)などの他の熱可塑性繊維も、第1の繊維質層60を構成するために使用することができる。第1の繊維質層60用に選ばれる材料は、第2の繊維質層80よりも親水性になるように選択され、第1の繊維質層60が構成される。本発明のある実施形態では、第1の繊維質層60は、(a)PET繊維および/またはPEBT繊維と、(b)レーヨン、ビスコース、セルロースおよび/または他の吸湿性繊維との組み合わせを含む。一実施形態では、第1の繊維質層60の約20重量%~約90重量%がPET繊維および/またはPEBT繊維である。一実施形態では、第1の繊維質層60は、30%がPETで70%がビスコースである。
【0043】
スクリム70は、図示の実施形態では、熱可塑性材料で構成されている。一実施形態では、スクリム70は、ポリエステルを含む織物の構造体である。本発明のある実施形態では、スクリム70はポリエステル100%である。ある実施形態では、スクリム70は、第1の繊維質層60の繊維と第2の繊維質層80の繊維を水流交絡させてスクリム70にすることができるように、織られた繊維の間に十分な空間を有している。スクリム70のほうが第1の繊維質層60よりも親水性が低くなるようにスクリム70用の材料が選択され、スクリム70が構成されている。接着剤30にVCI30Aが含まれている場合、このVCI30Aが複合層40の一方の側から他方の側まで通り抜けるように、複合層40に穴があいていてもよい。ある実施形態では、穴は円形であり、直径約0.4mm~約1.6mmである。ある実施形態では、穴は円形であり、直径0.397mm~1.588mmである。本発明の一実施形態では、穴がスクリム70の表面積の約1%~約10%を覆う。本発明の一実施形態では、穴は、スクリム70の表面積の5%を覆う。
【0044】
第2の繊維質層80は、図示の実施形態では、熱可塑性繊維で構成されている。本発明の一実施形態では、第2の繊維質層80は、ナイロン66を含む。本発明の別の実施形態では、第2の繊維質層80は、PETを含む。他の実施形態では、第2の繊維質層80は、ポリエステル100%である。第2の繊維質層80用に選ばれる材料は、第1の繊維質層60よりも疎水性になる(すなわち、親水性が低い)ように、選択され第2繊維質層80が構成されている。
【0045】
本発明のある実施形態では、第1の繊維質層60の繊維は、第2の繊維質層80の繊維と比較して2倍の吸湿性がある。
【0046】
第1の繊維質層60および第2の繊維質層80を構成するのに使用される繊維を加工して、所望の特性を有する繊維を製造してもよい。例えば、繊維を界面活性剤でコーティングして、吸湿性を高めたり抑えたりすることができる。
【0047】
エッジラップ50は、図示の実施形態では、不織層90と、カバーリング100と、エッジシールまたはテープ110とを含む。図1および図5に示すように、エッジラップ50は、一部がフィルム20の外層20Cおよび第2の繊維質層80の上に延びるように、フィルム20と複合層40の少なくとも1つの縁を囲む。本発明のある実施形態では、エッジラップ50は、フィルム20の外層20Cの表面および第2の繊維質層80の表面に沿って、縁から上に約7.7cm~約121.0cm延びている。一実施形態では、エッジラップ50は、フィルム20の外層20Cの表面および第2の繊維質層80の表面に沿って、縁から上に7.62cm~121.92cm延びている。
【0048】
図示の実施形態では、不織層90は、1つ以上の吸収性材料で構成されている。不織層90に適した材料の例として、ポリエステル、PET、PEBT、ポリプロピレン、レーヨン、ビスコース、ナイロンおよびナイロン66の繊維があげられるが、これらに限定されるものではない。本発明の一実施形態では、不織層90は、約70重量%がビスコースで約30重量%がPETである。本発明のある実施形態では、不織層90は、第1の繊維質層60よりも親水性である。一実施形態では、不織層90は、第1の繊維質層80と比較して2倍の吸収性を有する。不織層90をエンボス加工して、隆起した部分を形成し、不織層90の吸収性を高めることができる。
【0049】
本発明のある実施形態では、カバーリング100は、水蒸気透過率が比較的低いフィルムである。カバーリング100は、例えば、HDPE、LDPEおよび/またはLLDPEで製造されていてもよい。一実施形態では、カバーリング100は、約0%~約100%のHDPE、約0%~約100%のLDPE、約0%~約100%のLLDPEで構成されている。本発明の一実施形態では、カバーリング100の水蒸気透過率は、約10g/日・m未満である。いくつかの実施形態では、カバーリング100の水蒸気透過率は、約5g/day・m未満である。他の実施形態では、カバーリング100の水蒸気透過率は、3g/day・m未満、好ましくは2g/day・m未満である。カバーリング100として使用するための許容可能なフィルムの例として、米国特許第8,883,284号および米国特許第8,828,487号に開示されているものがあげられるが、これらに限定されるものではない。両特許の開示内容を、本明細書に援用する。
【0050】
図示の実施形態におけるエッジシール110は、カバー10の縁を補強するのに十分な耐久性を有する複数の材料のうちのいずれか1つで構成することができる。様々な感圧テープが、エッジシール110として使用するのに適している。例えば、エッジシール110は、ホットメルト接着剤を有するポリオレフィンフィルムであってもよい。また、エッジシール110は、UV安定剤などの他の添加剤を含むことができる。一実施形態では、エッジシール110は、約65%がポリオレフィンフィルムで約35%がホットメルト接着剤である。本発明の一実施形態では、エッジシール110は、インディアナ州エルクハートのTranshield, Inc.から入手可能なTRANSTAPE(登録商標)など、高耐久性で屋外仕様の防水感圧ポリエチレンテープである。カバーリング100および/またはエッジシール110には、以下でより詳細に説明するように、水分がカバー10から出ることができるようにするための穴または開口120を含むことができる。
【0051】
エッジラップ50は、例えば、接着剤を使用してまたは使用せずに、不織層90と、カバーリング100と、エッジシール110とを一緒に積層することによって、形成することができる。接着剤には、樹脂、粘着付与剤、VCIおよび/または他の成分とともに、SEBSおよび/またはSEPSを含むことができる。本発明の一実施形態では、エッジラップ50に使用される接着剤は、約20%~約50%のSEBS、約50%~約80%の樹脂および粘着付与剤、約0%~約10%のVCI、約0%~約1%のUV安定剤を含む。ある実施形態では、接着剤は、約0.5%~約1.0%のUV安定剤を含む。他の実施形態では、接着剤は、酸化防止剤と組み合わせた約0.5%~約1.0%のUV安定剤を含む。
【0052】
本発明のある実施形態では、第1の端すなわちより広い端131と、第2の端すなわちより狭い端132と、Oリング133と、を有する1つ以上のファンネル130を、カバー10に取り入れることができる。例えば、図1図3および図5に示す実施形態では、ファンネル130の第2の端132は、Oリング133が開口120を囲むカバーリング100の内面に接するまでカバーリング100およびエッジシール110の開口120を通して挿入され、その後、不織層90がカバーリング100の内面に接続される。
【0053】
本発明によるカバー10は、フィルム20を複合層40に積層することによって製造することができる。これは、フィルム20の内層20Aに面する第1の繊維質層60の表面に接着剤を塗布し、第1の繊維質層60およびフィルム20を加熱し、複合層40をフィルム20に積層することによって実現することができる。本発明のある実施形態では、第1の繊維質層60に塗布される接着剤は、飽和熱可塑性樹脂の群から選択されるスチレン系ブロックコポリマーを含む。ある実施形態では、第1の繊維質層60に塗布される接着剤のスチレン系ブロックコポリマーは、接着剤30のスチレン系ブロックコポリマーと同じ系列のものである。他の実施形態では、第1の繊維質層60に塗布される接着剤は、フィルム20のスチレン系ブロックコポリマーと同じ系列の熱可塑性スチレン系ブロックコポリマーを含む。しかしながら、第1の繊維質層60に塗布される接着剤は、接着剤30と全く同じ化学的性質を有する必要はない。第1の繊維質層60に塗布される接着剤を、塗布前に加熱してもよい。接着剤30および/またはフィルム20のスチレン系ブロックコポリマーと同一のコポリマーをベースにした接着剤を第1の繊維質層60上に用いることで、2種類の接着剤および/またはフィルムが共溶融して共固化し、融合するため、より良好な接着をもたらす。このようにスチレン系ブロックコポリマーを利用する本発明の実施形態は、湿潤条件下でフィルム20と複合層40との間の接着が大幅に改善されたことも示している。本発明のいくつかの実施形態では、第1の繊維質層60に塗布される接着剤は、約0%~約1%のUV安定剤を含む。ある実施形態では、接着剤は、約0.5%~約1.0%のUV安定剤を含む。他の実施形態では、接着剤は、酸化防止剤と組み合わせた約0.5%~約1.0%のUV安定剤を含む。フィルム20を複合構造40に積層した後、図1および図5に示すように、フィルム20/複合層40の積層物の1つ以上の縁のまわりに、熱接着、超音波溶接、接着剤、縫製または他の方法によってエッジラップ50を固定してもよい。
【0054】
本発明のカバー10を使用して、自然現象による諸々の作用から物体を保護してもよい。例えば、図5に示すように、カバー10を物体140の上に置き、フィルム20を収縮させてカバー10が物体140の外形に少なくとも部分的に適合するように加熱することができる。収縮プロセスの間、カバー10の下縁を適所に固定してもよい。さらに、収縮プロセスの間に所望の形状を作るのを助けるように、結ぶなどしてカバー10の他の部分を適所に保持することができる。カバー10をあらかじめ収縮させた上で使用のために別の場所に出荷してもよいし、使用場所で収縮させてもよい。
【0055】
また、他の方法でカバー10を所望の構成にすることも可能である。例えば、複数の独立したカバー10のフィルム20を互いに溶接して、所望の構成を形成することができる。
【0056】
図5に示すように、物体140上またはその周囲に水分(水蒸気を含む)が蓄積される場合がある。第2の繊維質層80、スクリム70、第1の繊維質層60は、カバーの内側からみて親水性が低い順に配置されているため、水分はフィルム20に向かって外側に移動することになる。水分の一部は、水蒸気の形でフィルム20を通してカバー10から出る。水分の一部は、エッジシール50に向かって下向きに移動する。これは、フィルム20、第1の繊維層60、スクリム70、第2の繊維層80よりも不織層90のほうが高い吸収性を持つことと重力の両方の結果として起こるものである。水分が不織層90に蓄積されると、不織層90が膨張し、これによってカバーリング100とエッジシール110の開口120を通して水分を絞り出す圧力が発生する。1つ以上のファンネル130を利用する本発明の実施形態では、不織層90に蓄積した水分は、ファンネル130に流入し、ファンネル130の内壁に沿って第2の端132から流出する。また、ファンネル130の内壁で水分を直接凝縮させ、第2端132を通ってカバー10の外に流出させることもできる。
以上、本発明を詳細に図示し、説明したが、これらは例としてのみ解釈されるべきであり、限定として解釈されるべきではない。本発明の範囲から逸脱することなく、説明した実施形態に多数の変更を加えることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2022-06-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムと、
複合層と、
前記フィルムの一部と前記複合層の一部とを囲むエッジラップと、
を含み、
前記複合層は、前記フィルムに接続された、親水性を有する繊維質層を含み、
前記エッジラップは、前記繊維質層の前記親水性よりも高い親水性を有する不織層を有する、カバー。
【請求項2】
前記フィルムは熱収縮性フィルムである、請求項1に記載のカバー。
【請求項3】
前記フィルムは、少なくとも部分的にスチレン系ブロックコポリマーで構成されている、請求項1に記載のカバー。
【請求項4】
前記フィルムは、前記繊維質層に接続された内層と、少なくとも1つの中間層と、外層と、を有する、請求項1に記載のカバー。
【請求項5】
前記内層は、第1の量のブロッキング防止剤を含み、前記外層は、これより少ない第2の量のブロッキング防止剤を含む、請求項4に記載のカバー。
【請求項6】
前記繊維質層と前記フィルムとの間に接着剤層をさらに含む、請求項3に記載のカバー。
【請求項7】
前記接着剤層は、スチレン系ブロックコポリマーを含む、請求項6に記載のカバー。
【請求項8】
前記フィルムに取り込まれた接着剤をさらに含む、請求項1に記載のカバー。
【請求項9】
前記複合層には穴があいている、請求項1に記載のカバー。
【請求項10】
前記エッジラップは少なくとも1つの開口を有する、請求項1に記載のカバー。
【請求項11】
少なくとも部分的にスチレン系ブロックコポリマーで構成された熱収縮性フィルムを準備する工程と、
複合層を準備する工程と、
前記フィルムと前記複合層との間に接着剤層を準備する工程と、
前記フィルムを前記複合層に積層する工程と、を含み、
前記接着剤層は、前記フィルムの前記スチレン系ブロックコポリマーと同じ系列から選択されたスチレン系ブロックコポリマーを含む、カバーの製造方法。
【請求項12】
前記フィルムに接着剤を取り込む工程をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記複合層を前記フィルムに積層する前に、前記複合層に穴をあける工程をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記フィルムが縁を有し、前記複合層が縁を有し、前記方法は、エッジラップを準備する工程と、前記複合層を前記フィルムに積層した後に、前記エッジラップで前記フィルムの前記縁と前記複合層の前記縁を少なくとも部分的に囲む工程と、をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
物体を保護する方法であって、
熱収縮性フィルムと、前記フィルムに接続された複合層と、1つ以上の縁と、を有するカバーを準備する工程と、
保護対象となる前記物体の上に前記カバーを配置する工程と、
前記カバーが移動しないように前記カバーの前記縁を固定する工程と、
前記カバーが移動しないように前記カバーの前記縁を固定した後に、保護対象となる前記物体の形状に前記カバーが少なくとも部分的に適合するように、前記フィルムに熱を加えて前記フィルムを収縮させる工程と、を含む、方法。
【請求項16】
前記フィルムの前記スチレン系ブロックコポリマーと前記接着剤層の前記スチレン系ブロックコポリマーは、同じ系列のスチレン系ブロックコポリマーである、請求項7に記載のカバー。
【請求項17】
前記複合層は、前記繊維質層の前記親水性よりも低い親水性を有するスクリムを含む、請求項1に記載のカバー。
【請求項18】
前記複合層は、前記スクリムの前記親水性よりも低い親水性を有する第2の繊維質層を含む、請求項17に記載のカバー。
【請求項19】
前記スクリムは、前記繊維質層と、前記第2の繊維質層との間に位置する、請求項18に記載のカバー。
【請求項20】
前記スチレン系ブロックコポリマーは、スチレン-エチレン/ブチレン-スチレンである、請求項3に記載のカバー。
【請求項21】
前記スチレン系ブロックコポリマーは、スチレン-エチレン/プロピレン-スチレンである、請求項3に記載のカバー。
【請求項22】
前記エッジラップはカバーリングを含む、請求項1に記載のカバー。
【請求項23】
前記エッジラップはエッジシールを含む、請求項22に記載のカバー。
【請求項24】
前記カバーリングが少なくとも1つの開口を有し、前記エッジシールが前記カバーの前記開口と位置合わせされた少なくとも1つの開口を有する、請求項23に記載のカバー。
【請求項25】
前記カバーリングの前記開口および前記エッジシールの前記開口を通って延びるファンネルをさらに含む、請求項24に記載のカバー。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0004
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0004】
米国特許第6,444,595号には、液体透過性の層を有する内面と液体不透過性の層を有する外面とを有するカバーが開示されている。液体透過性の層と液体不透過性の層との間に吸湿層が配置されている。レーダー影響層および/または蒸気腐食防止剤が、カバーに含まれてもよい。欧州特許出願公開第3243939号A1には、好ましくは接着剤で接合されたフィルムと布とを含む多層製品が開示されている。この製品を使用して、例えば、布が物体のほうを向いた状態で製品を物体の上に置くことで物体を保護することができる。フィルムには、熱が加わると物体のまわりで収縮する熱収縮性フィルムを用いることが可能である。このフィルムは、多層フィルムであってもよい。接着剤には、スチレン系ブロックコポリマーを含むことができる。布は、好ましくは不織材料であり、1つ以上の層を有することができる。物体に最も近い不織材料の層は親水性が最も低く、遠い側の不織層のほうが、親水性が高い。これによって、物体の近くからフィルムに向かって水蒸気の移動が促される。
【国際調査報告】