(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-30
(54)【発明の名称】自動車でのハンズフリー通信のための適応型ノイズキャンセリングシステム
(51)【国際特許分類】
G10K 11/178 20060101AFI20230823BHJP
H04R 3/00 20060101ALI20230823BHJP
H04R 1/02 20060101ALI20230823BHJP
B60R 11/02 20060101ALI20230823BHJP
H04R 1/40 20060101ALI20230823BHJP
【FI】
G10K11/178 120
H04R3/00 320
H04R1/02 102B
B60R11/02 M
H04R1/40 320A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023504789
(86)(22)【出願日】2021-07-27
(85)【翻訳文提出日】2023-03-22
(86)【国際出願番号】 US2021071004
(87)【国際公開番号】W WO2022027031
(87)【国際公開日】2022-02-03
(32)【優先日】2020-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】510192916
【氏名又は名称】テスラ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イェー,デビッド
(72)【発明者】
【氏名】シュー,ツー-シェン
【テーマコード(参考)】
3D020
5D017
5D018
5D061
5D220
【Fターム(参考)】
3D020BA11
3D020BC02
3D020BC04
3D020BC11
5D017AE11
5D018BB23
5D061FF02
5D220BA01
5D220BA06
5D220BB03
5D220BB04
5D220BC05
(57)【要約】
複数の多軸加速度計および複数のマイクロフォンを利用する適応型ノイズキャンセリングシステムであって、複数の多軸加速度計および複数のマイクロフォンを組み合わせて使用することにより、車両のシャーシ上の振動をピックアップできるシステムが提供される。加速度計は、車両のサスペンションナックルまたはサスペンションジョイント付近の箇所に配置されてもよく、マイクロフォンは、車両のヘッドレストおよびサンバイザ付近に配置されてもよい。本適応型ノイズキャンセリングシステムは適応型アルゴリズムを使用して、車両のシャーシ上の振動とマイクロフォンの配置位置における音圧との間の伝達関数をモデル化する、1つまたは複数のフィルタ重みを導出する。
【選択図】
図4A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に取り付けられた複数の多軸加速度計と、
前記車両のキャビン内に配置された複数のマイクロフォンと、
前記複数の多軸加速度計および前記複数のマイクロフォンから信号を受信するように構成されたテレフォニーノイズキャンセラであって、前記複数のマイクロフォンは、前記車両のユーザの音声信号を前記テレフォニーノイズキャンセラにさらに提供し、前記テレフォニーノイズキャンセラは、線形減算することによって相関するロードノイズを除去するように構成されている、テレフォニーノイズキャンセラと、を備える、車両用の適応型ノイズキャンセリングシステム。
【請求項2】
前記テレフォニーノイズキャンセラの出力を受信し、前記受信信号を等化して範囲制限し、得られた前記信号を接続された電話機に送信するように構成されたハンズフリープロファイルのインターフェースをさらに備える、請求項1に記載の適応型ノイズキャンセリングシステム。
【請求項3】
前記ハンズフリープロファイルのインターフェースが、ハンズフリープロファイルのBluetooth(登録商標)インターフェースである、請求項2に記載の適応型ノイズキャンセリングシステム。
【請求項4】
前記複数のマイクロフォンのうちの第1のマイクロフォンが、前記車両内のヘッドレストの右側に配置されている、請求項1に記載の適応型ノイズキャンセリングシステム。
【請求項5】
前記複数のマイクロフォンのうちの第2のマイクロフォンが、前記車両内のヘッドレストの左側に配置されている、請求項1に記載の適応型ノイズキャンセリングシステム。
【請求項6】
前記複数のマイクロフォンのうちの第3のマイクロフォンが、前記車両内のサンバイザ上に配置されている、請求項1に記載の適応型ノイズキャンセリングシステム。
【請求項7】
前記複数の多軸加速度計が12個のチャネルに対応している加速度計データを出力する、請求項1に記載の適応型ノイズキャンセリングシステム。
【請求項8】
前記複数の加速度計のうちの少なくとも1つの加速度計が、前記車両のサスペンションナックルに配置されている、請求項1に記載の適応型ノイズキャンセリングシステム。
【請求項9】
前記複数の加速度計のうちの少なくとも1つの加速度計が、前記車両のサスペンションジョイントに配置されている、請求項1に記載の適応型ノイズキャンセリングシステム。
【請求項10】
前記複数の加速度計の各々が、3つのチャネル内の加速度計データを出力する、請求項1に記載の適応型ノイズキャンセリングシステム。
【請求項11】
スピーカシステムをさらに備える、請求項1に記載の適応型ノイズキャンセリングシステム。
【請求項12】
前記スピーカシステムが2つのチャネルに対応している音声データを出力する、請求項11に記載の適応型ノイズキャンセリングシステム。
【請求項13】
適応型アルゴリズムを使用する、請求項1に記載の適応型ノイズキャンセリングシステム。
【請求項14】
前記適応型アルゴリズムが、前記車両のシャーシ上の振動と前記複数のマイクロフォンの配置位置における音圧との間の伝達関数をモデル化する、1つまたは複数のフィルタ重みを導出する、請求項13に記載の適応型ノイズキャンセリングシステム。
【請求項15】
前記適応型アルゴリズムが最小平均二乗フィルタである、請求項13に記載の適応型ノイズキャンセリングシステム。
【請求項16】
前記適応型アルゴリズムが再帰的最小二乗フィルタである、請求項13に記載の適応型ノイズキャンセリングシステム。
【請求項17】
前記適応型アルゴリズムがカルマンフィルタである、請求項13に記載の適応型ノイズキャンセリングシステム。
【請求項18】
前記複数の多軸加速度計が、前記複数のマイクロフォンによって使用されるのと同一のサンプルクロックを使用している、請求項1に記載の適応型ノイズキャンセリングシステム。
【請求項19】
前記複数の多軸加速度計が、前記複数のマイクロフォンによって使用されるオーディオバスと同一の自動車用オーディオバス(A2B)を使用している、請求項1に記載の適応型ノイズキャンセリングシステム。
【請求項20】
前記複数のマイクロフォンがマイクロフォンアレイである、請求項1に記載の適応型ノイズキャンセリングシステム。
【請求項21】
前記マイクロフォンアレイがビームフォーマによって処理されることで、前記車両のロードノイズを有する仮想マイクロフォン信号を生成する、請求項18に記載の適応型ノイズキャンセリングシステム。
【請求項22】
前記仮想マイクロフォン信号が、前記テレフォニーノイズキャンセラおよび前記複数の多軸加速度計によって使用され、線形減算することによって相関するロードノイズを除去する、請求項19に記載の適応型ノイズキャンセリングシステム。
【請求項23】
前記テレフォニーノイズキャンセラの出力を受信し、前記受信信号からエコーを除去するように構成された適応型エコーキャンセラをさらに備える、請求項1に記載の適応型ノイズキャンセリングシステム。
【請求項24】
前記受信信号のノイズスペクトルを推定してロードノイズを抑制するように構成されたノイズサプレッサをさらに備える、請求項23に記載の適応型ノイズキャンセリングシステム。
【請求項25】
前記ノイズサプレッサの出力を受信し、前記受信信号を等化して範囲制限し、得られた前記信号を接続された電話機に送信するように構成されたハンズフリープロファイルのインターフェースをさらに備える、請求項24に記載の適応型ノイズキャンセリングシステム。
【請求項26】
前記ハンズフリープロファイルのインターフェースが、ハンズフリープロファイルのBluetooth(登録商標)インターフェースである、請求項25に記載の適応型ノイズキャンセリングシステム。
【請求項27】
複数の多軸加速度計と、
複数のマイクロフォンであって、
前記複数の多軸加速度計および前記複数のマイクロフォンは共同で、バックグラウンドノイズを相殺するために車両のシャーシ上の振動をピックアップし、
前記複数のマイクロフォンは、ビームフォーマによって処理されることで、前記車両のロードノイズを有する仮想マイクロフォン信号を生成するマイクロフォンアレイである、複数のマイクロフォンと、
前記仮想マイクロフォン信号および前記複数の多軸加速度計からの信号を受信し、線形減算することによって相関するロードノイズを除去するテレフォニーノイズキャンセラと、を備える、適応型ノイズキャンセリングシステム。
【請求項28】
前記テレフォニーノイズキャンセラの出力を受信し、前記受信信号を等化して範囲制限するように構成されたハンズフリープロファイルのインターフェースをさらに備える、請求項27に記載の適応型ノイズキャンセリングシステム。
【請求項29】
前記ハンズフリープロファイルのインターフェースが、ハンズフリープロファイルのBluetooth(登録商標)インターフェースである、請求項28に記載の適応型ノイズキャンセリングシステム。
【請求項30】
車両に取り付けられた複数の多軸加速度計から加速度計データを読み取ることと、
前記車両のキャビン内に配置された複数のマイクロフォンから音声データを取得することと、
前記加速度計データおよび音声データをテレフォニーノイズキャンセラに入力して、線形減算することによって相関するロードノイズを除去することと、を含む、車両内のノイズを除去する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示されている主題は、概して、自動車でのハンズフリー通信のための適応型ノイズキャンセリングシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のハンズフリープロトコル(HFP:hands free protocol)のテレフォニーシステムは、自動車車両を運転しながら車内で通話を行うために、世界中の多くの管轄区域で必要とされている。一部の自動車車両は、電話中にハンズフリー通話を行えるようにするスピーカフォンシステムを提供することができ、この場合、音声はマイクロフォンを使用して録音され得る。しかしながら、マイクロフォンは、高レベルの車両ノイズをピックアップする可能性がある。高速道路速度でロードノイズを抑制する場合、ノイズを抑制するための信号処理方法もまた音声を歪めるので、大きな課題となっている。したがって、HFPテレフォニーシステムによるマイクロフォンの音声信号から、音声を歪めることなくロードノイズを取り去ることができるシステムが必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
要約する目的で、特定の態様、利点、および新規な特徴が本明細書に記載されている。そのような利点のすべてが、いずれか1つの特定の実施の形態に従って実現されるわけではないことを理解されたい。したがって、開示されている主題は、本明細書で教示または示唆され得るすべての利点を必ずしも実現することなく、1つの利点または利点の群を実現または最適化する態様で具現化または実施されてもよい。
【0004】
本明細書に記載の主題のうちの1つまたは複数の変形例の詳細については、添付の図面および以下の説明に記載されている。本明細書に記載の主題の他の特徴および利点は、説明および図面、ならびに特許請求の範囲から明らかになるであろう。しかしながら、開示されている主題は、開示されている任意の特定の実施の形態に限定されるものではない。
【0005】
一実施形態は、車両用の適応型ノイズキャンセリングシステムに関するものである。本実施形態は、車両に取り付けられた複数の多軸加速度計と、車両のキャビン内に配置された複数のマイクロフォンと、複数の多軸加速度計および複数のマイクロフォンから信号を受信するように構成されたテレフォニーノイズキャンセラであって、複数のマイクロフォンは、車両のユーザの音声信号をテレフォニーノイズキャンセラにさらに提供し、テレフォニーノイズキャンセラは、線形減算することによって相関するロードノイズを除去するように構成されている、テレフォニーノイズキャンセラと、を備えてもよい。
【0006】
別の実施形態は、複数の多軸加速度計と、複数のマイクロフォンであって、複数の多軸加速度計および複数のマイクロフォンは共同で、バックグラウンドノイズを相殺するために車両のシャーシ上の振動をピックアップし、複数のマイクロフォンは、ビームフォーマによって処理されることで、車両のロードノイズを有する仮想マイクロフォン信号を生成するマイクロフォンアレイである、複数のマイクロフォンと、仮想マイクロフォン信号および複数の多軸加速度計からの信号を受信し、線形減算することによって相関するロードノイズを除去するテレフォニーノイズキャンセラと、を備える、適応型ノイズキャンセリングシステムに関するものである。
【0007】
さらに別の実施形態は、車両内のノイズを除去する方法に関するものである。本方法は、車両に取り付けられた複数の多軸加速度計から加速度計データを読み取ることと、車両のキャビン内に配置された複数のマイクロフォンから音声データを取得することと、加速度計データおよび音声データをテレフォニーノイズキャンセラに入力して、線形減算することによって相関するロードノイズを除去することと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、本明細書に開示されている主題の特定の態様を示すものであり、説明と共に、以下に示される開示された実装の態様に関連する原理の一部を説明する助けとなっている。
【0009】
【
図1】本開示のいくつかの実施形態による、適応型ノイズキャンセリングシステムを示した図である。
【0010】
【
図2A】本開示のいくつかの実施形態による、マイクロフォンの例示的な配置位置を表示する構成を示した図である。
【
図2Ab】本開示のいくつかの実施形態による、マイクロフォンの例示的な配置位置を表示する構成を示した図である。
【0011】
【
図2Ba】本開示のいくつかの実施形態による、車両内の加速度計の例示的な配置位置を表示する構成をさらに示した図である。
【
図2Bb】本開示のいくつかの実施形態による、車両内の加速度計の例示的な配置位置を表示する構成をさらに示した図である。
【
図2Bc】本開示のいくつかの実施形態による、車両内の加速度計の例示的な配置位置を表示する構成をさらに示した図である。
【
図2Bd】本開示のいくつかの実施形態による、車両内の加速度計の例示的な配置位置を表示する構成をさらに示した図である。
【0012】
【
図3】本開示のいくつかの実施形態による、自動車でのハンズフリー通信のための適応型ノイズキャンセリングプロセスを示したブロック図である。
【0013】
【
図4A】本開示のいくつかの実施形態による、テレフォニー音声処理システム内で適応型ノイズキャンセリングを行うための加速度計入力の使用状況を示したブロック図である。
【0014】
【
図4B】
図4Aに示す適応型ノイズキャンセリングシステムの構成要素の一実施形態を示したブロック図である。
【0015】
【
図5A】適応型ノイズキャンセリングシステムを設けない場合の、ロードノイズのサンプルデータを示したチャートである。
【0016】
【
図5B】本出願の適応型ノイズキャンセリングシステムを適所に配した場合の、ロードノイズのサンプルデータを示したチャートである。
【0017】
【
図6】適応型ノイズキャンセリングシステムの一実施形態における、加速度計配置のサンプルデータを示したグラフである。
【0018】
【
図7A】適応型ノイズキャンセリングシステムを設けた場合と設けていない場合とのスペクトルの比較を示した折れ線グラフである。
【0019】
【
図7B】
図7Aの例から生じ得る、適応型ノイズキャンセリングシステムによる除去量を示した折れ線グラフである。
【0020】
これらの図面は、絶対的または相対的に縮尺通りでなくてもよく、例示的であることが意図されている。特徴および要素の相対的配置は、明確に例示するために変更されている場合がある。実際には、同一または類似の参照番号が、1つまたは複数の実施形態による、同一の、または類似の、または同等の構造、特徴、態様、もしくは要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
種々の実施形態について十分な説明を提供するために、多数の具体的な詳細事項が以下に記載される。特定の実施形態は、これらの具体的な詳細事項なしで、またはいくつかの変形例を細部にわたって用いて実践されてもよい。場合によっては、他の態様を不明瞭にしないように、特定の特徴についてそれほど詳細に記載していない。要素または特徴のそれぞれに関連する詳細レベルが、1つの特徴の新規性または重要性を他の特徴の新規性または重要性よりも弱めるものと解釈されるべきではない。
概要
【0022】
ハンズフリープロトコル(HFP)のテレフォニーシステムは、運転しながら通話を行うために、世界中の多くの管轄区域で必要とされている。自動車車両は、電話中にハンズフリー通話を行えるようにするスピーカフォンシステムを提供することができる。音声は、車両のキャビン内に配置されたマイクロフォンを使用して、ハンズフリーシステム内に入力され得る。しかしながら、マイクロフォンは、高レベルの車両ノイズをピックアップする可能性がある。ノイズの主な発生源は、具体的には車両が高速で走行する際の風や道路から生じるものである。高速道路速度でロードノイズを抑制する場合、ノイズを抑制するための信号処理方法もまた音声を歪める傾向があるので、大きな課題となっている。
【0023】
本発明の実施の形態は、車両上の配置位置に取り付けられた1つまたは複数の加速度計を搭載したシステムに関する。加速度計は、車両の異なる部分で発生する振動を測定し、それらの測定振動を、音声信号からロードノイズを取り去るためのノイズキャンセリングシステムへの入力として使用することにより、コヒーレントノイズ参照として機能することができる。キャビンノイズを入力として使用するのとは異なり、加速度計または他の車両ベースのセンサをノイズキャンセリングシステムへの入力として使用すると、歪んだ音声を出力として生じないことが分かった。開示されているノイズを除去する技法の一部の用途としては、1.テレフォニー(例えば、ハンズフリー通話やビームフォーミングおよびノイズ抑制を対象とした統計の改善)、2.音声チャットおよび/またはテレビ会議、3.ゲーム中の音声チャット、4.車内通信(前部座席から後部座席にかけて)、5.カラオケ、および6.音声コマンドおよび/または音声アシスタントを挙げることができる。
【0024】
開示されている技法の代替実施の形態は、加速度計に加えてタイヤ位置の近傍(例えば、サスペンションナックル)にマイクロフォンを追加して、測定された後に除去されるノイズの周波数範囲を拡大することを含んでもよい。更なる代替実施の形態は、車両のサスペンションおよび/またはタイヤシステム周辺の区分けされていない車両上の位置に、加速度計を配置することを含んでもよい。例えば、車両の車台、ボディ、ドア、ウィンドウ、シル、バンパー、または他の部位に加速度計を配置してロードノイズを測定し、次いでノイズキャンセリングシステムに入力を付与してもよい。また、更なる代替実施の形態は、加速度計を、車両のフロアパネルまたはその近傍に分散するマイクロフォンのセットと置き換えることを含む。
例示的なシステム
【0025】
本開示の
図1~
図2Bは、自動車でのハンズフリー通信のための適応型ノイズキャンセリングシステム100の実施の形態を示したものである。
図1は、適応型ノイズキャンセリングシステム100を示した図である。適応型ノイズキャンセリングシステムは、オーディオレート加速度計データ120を出力する加速度計とマイクロフォンとの組合せを介して、車両105のシャーシ110上の振動をピックアップするように構成されている。加速度計は、車両のシャーシ上において構造伝播ノイズに対し高いコヒーレンスを有する箇所に配置され、ここでノイズは、テレフォニー用マイクロフォンの配置位置でも検出され得る。
【0026】
図1に示すように、マイクロフォンデータ130は、車両内のドライバーのヘッドレストの左側および右側に配置されているか、かつ/またはそれらの近傍にあるマイクロフォン132および134から送受信される。追加のマイクロフォン136がそれぞれ、ドライバーのサンバイザに配置されているか、かつ/またはその近傍にある。
【0027】
いくつかの実施形態では、追加のマイクロフォンはまた、車両内の同乗者席のいずれかにおけるヘッドレストの左側および右側に配置されているか、かつ/またはそれらの近傍にあってもよく、あるいは車両の同乗者席用サンバイザに配置されているか、かつ/またはその近傍にあってもよい。いくつかの実施形態では、適応型ノイズキャンセリングシステム全体を通過するマイクロフォンデータ(例えば、音声データである)は、3つのチャネルに対応している(例えば、マイクロフォンごとに1つのチャネルに対応しており、これらのマイクロフォンは、バイザ用マイクロフォン、左側ヘッドレスト用マイクロフォン、および右側ヘッドレスト用マイクロフォンを含む)。さらに、車両のサスペンションナックル122および124ならびに/またはサスペンションジョイントに配置されているか、かつ/またはそれらの近傍にある多軸加速度計から加速度計データ120が送受信されてもよい。いくつかの実施形態では、適応型ノイズキャンセリングシステム全体を通過する加速度計データ120は、12個のチャネルに対応している(例えば、それぞれが車両の各ホイールの4つのサスペンションナックルに配置されているか、かつ/またはそれらの近傍にあり、1つの軸が1つのチャネルに対応している4つの3軸加速度計である)。本システムは、加速度計およびマイクロフォンを介して、オーディオレート加速度計データに基づいてロードノイズを除去して出力するスピーカ142をさらに備えてもよい。いくつかの実施の形態では、適応型ノイズキャンセリングシステムのスピーカ出力(例えば、音声出力データである)は、2つのチャネルに対応している(例えば、左チャネルおよび右チャネルである)。
【0028】
特定の実施の形態では、加速度計データ120は、車両のシャーシ上の振動とマイクロフォンの配置位置における音圧との間の伝達関数(P)170をモデル化するアルゴリズムによって導出されたフィルタ重み(W)160を利用する、アクティブノイズ制御(ANC:active noise control)コントローラ150によって操作されている。フィルタ重みWを使用して、音響および電気経路(C)165に対して比較されるロードノイズ信号(d)を予測することができる。その結果誤差信号(e)が生じ、ANCコントローラ150にフィードバックされる。
【0029】
図2Aaおよび
図2Abは、例えば車両内のマイクロフォンの配置位置の構成200を示したものである。
図2Aaでは、マイクロフォン132はドライバーヘッドレスト210の左側に配置されており、マイクロフォン134はドライバーヘッドレストの右側に配置されている。
図2Abでは、マイクロフォン136は、ドライバー220用サンバイザの端部に配置されている。
図2Ba~
図2Bdは、車両内の種々の位置に加速度計が配置され得る構成250をさらに示したものである。
図2Baでは、多軸加速度計260が車両のサスペンションに配置されている。
図2Bbでは、多軸加速度計270が第1のサスペンションナックルに配置されている。
図2Bcでは、多軸加速度計280が車両内の別のサスペンションリンクに配置されている。
図2Bdでは、多軸加速度計290が車両のサスペンションリンクに配置されている。したがって、4つの加速度計が使用されており、各サスペンションナックルに1つの加速度計が配置されることで、車両の4つのサスペンションナックルに対して合計4つの多軸加速度計が配置されることになる。特定の実施の形態では、3軸加速度計が使用されているが、他の実施の形態では他の加速度計が使用され得る。
例示的なシステムフローチャート
【0030】
本開示の
図3~
図4はいくつかの実施形態による、自動車でのハンズフリー通信のための適応型ノイズキャンセリングシステムのブロック図を示したものである。
【0031】
図3は、自動車でのハンズフリー通信のための適応型ノイズキャンセリングシステム100の一部であり得る、テレフォニーノイズキャンセラ(TNC:telephony noise canceller)の構成要素300を示したブロック図である。本システムでは、最小平均二乗フィルタ(LMS:least mean squares filter)などの適応型アルゴリズムが、車両(x)120のシャーシ上の振動とマイクロフォンの配置位置(y)における音圧との間の伝達関数(P)370をモデル化するフィルタ重み(W_テレフォニー)360を導出する。Wを使用してロードノイズ信号(d)を予測し、ユーザ310によって出力された音声に基づいて、マイクロフォン信号330から当該信号を取り去っている。結果として生じる誤差信号(e
テレフォニー)365は、フィルタ重み(W_テレフォニー)360を調整することができるテレフォニーコントローラ350に供給される。収束を促し加速させる漏洩正規化LMSを使用して時間領域で、またはマルチディレイフィルタなどの適応周波数領域フィルタを使用して周波数領域で適応が行われ得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、他の適応型アルゴリズムを使用して、伝達関数を推定することができる。いくつかの実施形態では、再帰的最小二乗フィルタ(RLS:recursive least squares filter)またはカルマンフィルタがさらに使用されてもよい。いくつかの実施形態では、開示されている技法を同時に実行することができ、または本技法を
図1に示すようなアクティブノイズキャンセリングシステムに組み込むか、もしくは当該システムと共に使用することができる。
【0033】
図4Aは、いくつかの実施形態による、テレフォニー音声処理システム400内への適応型テレフォニーノイズキャンセリングの組込みを示したフロー図である。オーディオサンプルレート加速度計420(例えば、例示的なシステムにおいて詳述されている加速度計である)は、テレフォニー用マイクロフォン(例えば、例示的なシステムにおいて詳述されているマイクロフォンである)と同一のサンプルクロックで本オーディオシステムに接続されている。いくつかの実施形態では、こうした接続が、デジタルマイクロフォンと同一の自動車用オーディオバス(A2B)に接続されたオーディオレート加速度計を使用して達成されてもよい。
【0034】
マイクロフォンアレイ430(例えば、例示的なシステムにおいて詳述されているマイクロフォンである)は、ビームフォーマ(BF)410によって処理されることで、ロードノイズを有する仮想マイクロフォン信号を生成することができる。
【0035】
ビームフォーミングは、単一のマイクロフォンで利用されてもよい。マイクロフォンアレイ430または複数のマイクロフォンが使用される場合、いくつかの確立されたマイクロフォンビームフォーミング方法のうちのいずれか1つを使用して、適応型ノイズキャンセリングを実行するための線形信号が導出され得る。ビームフォーマ410が非線形または適応型である場合、ビームフォーミングの前に、個々のマイクロフォン信号に適応型ノイズキャンセリングを施すと有利となり得る。アレイ設計に応じて、十分に確立されたマイクロフォンビームフォーミング方法のうちのいずれか1つ、すなわちブロードサイドビームフォーミング、差動ビームフォーミング、線形拘束付最小分散法(LCMV:Linearly Constrained Minimum Variance)、最小分散無歪応答法(MVDR:Minimum Variance Distortionless Response)、一般化サイドローブキャンセラ(GSC:General Sidelobe Canceller)もしくはパラメトリック・マルチチャネル・ウィーナー・フィルタ(PMWF:Parametric Multichannel Wiener Filter)、またはそれらの派生物のうちのいずれか1つが使用され得る。ビームフォーマ410は、線形時不変である場合、処理する必要があるチャネルの数を低減するために、適応型ノイズキャンセリングブロックの前に配置される可能性がある。
【0036】
次いで、テレフォニーノイズキャンセラ(TNC)300は、ビームフォーマ410および加速度計420からの仮想マイクロフォン信号を使用して、線形減算することによって相関するロードノイズを除去する。信号はその後、適応型エコーキャンセラ440によって処理される。残留ノイズおよびエコーは、ノイズサプレッサおよび/または残留エコーサプレッサ450によって推定され、次いで除去される。その後、処理された音声信号は等化され、範囲制限され、次いでBluetooth(登録商標)規格によって規定されているハンズフリープロファイルを使用して、Bluetooth(登録商標)インターフェース460を介して接続された電話機に送信される。特定の実施の形態では、異なるプロファイルを含み得る別のインターフェースが使用されてもよい。
【0037】
ノイズサプレッサ450は任意選択的に、加速度計420からの入力を含んでもよい。加速度計420を用いてテレフォニー用マイクロフォンのノイズを、適応型フィルタを使用しながら除去することに加えて、またはその代わりに、加速度計からの情報を使用して、ノイズ抑制(noise suppression(NS))ブロック450のパフォーマンスを改善することもできる。
【0038】
ノイズサプレッサは、ハンズフリーテレフォニー処理システムにおける一般的な構成要素であり、通常、ノイズスペクトルを推定し、マイクロフォン信号から当該スペクトルを除去することによってスペクトル領域で機能する。ノイズの除去は、文献に見られるいくつかの周知の方法、すなわちスペクトル減算法(1994年、Martin)、またはウィーナーフィルタリング法の変形例(1984年、EphraimとMalah)によって行われ得る。単一のチャネルNSは、統計的に定常なノイズを抑制することでよく知られているが、ドアが閉まるときのバタンという音や、道路の衝撃音のような過渡的なノイズを抑制するのに困難を伴う。ノイズ加速度計を使用して、ロードノイズに起因するノイズスペクトルをより正確に推定することができ、その結果、ノイズサプレッサのパフォーマンスを改善することができる。
【0039】
このことは、以下を含むいくつかの方法で行われ得る。
1)ビームフォーマに対してポストフィルタリング法(2004年、Cohen)が行われるのと同様に、適応型フィルタのノイズ推定出力をノイズサプレッサにおけるロードノイズ参照として使用することができる。これにより、定常的なロードノイズおよび過渡的なロードノイズの両方が抑制され得る。
2)matlabのtfestimateなどのスペクトル手法を使用して、加速度計とマイクロフォンとの間の伝達関数を推定し、この推定を使用してロードノイズ推定値を生成する。これによっても、定常的なロードノイズおよび過渡的なロードノイズの両方が抑制され得る。
3)例えば、音声およびノイズのパワースペクトル密度推定器を再利用してロードノイズの過渡現象を検出し(1994年、Martin)、それらの過渡現象のスペクトルを使用して音声存在確率を修正する(ノイズ帯域の音声存在確率を低下させて、これらを除去すべきノイズとして特徴付ける)ことによって、スペクトル領域で種々の発見的問題解決法を行うことも可能である。次いで、音声存在確率を通常の方法で使用して、過渡現象を含んだ状態でノイズ推定値を生成することができる(2002年、Cohen)。同様に、音声アクティビティ検出器を、音声存在確率の単純化された形式として使用することができる。
【0040】
図4Bは、
図4Aに示す適応型ノイズキャンセリングシステム400のノイズサプレッサ450の一実施の形態を示した図である。上記の技法のうちの1つに続いて、加速度計420からのデータがフィルタバンク470によって受信される。フィルタバンク470でフィルタリングが実行された後、当該結果は過渡現象検出475のために送信される。次いで当該結果は、マイクロフォン430からの入力も受信するノイズ推定器480に提供される。ノイズが推定された後、当該結果は、マイクロフォン430からの入力も受信するノイズ抑制器485に提供される。ノイズの抑制が実行された後、ノイズ抑制器485の出力は、最終処理のために逆フィルタバンク490へと送信される。
例示的なシステムデータ
【0041】
本開示の
図5A~
図7は、いくつかの実施の形態による、適応型ノイズキャンセリングシステムの例示的なシステムデータを種々のチャートおよびグラフによって示したものである。
【0042】
図5Aは、適応型ノイズキャンセリングシステムによって処理されていないロードノイズのサンプルデータを示したチャートである。
図5Bは、適応型ノイズキャンセリングシステムによって処理された後のロードノイズのサンプルデータを示したグラフである。
図5Aに示すように、ロードノイズの量は、本ノイズキャンセリングシステムによる処理後に抑制されている。
【0043】
図6は、適応型ノイズキャンセリングシステムの加速度計配置のサンプルデータを示した二部グラフである。加速度計の配置は、
図6に見られるように、マイクロフォン信号に対する各加速度計チャネルの寄与(下側グラフのY軸に見られる)を分析することによって決定されてもよい。加速度計チャネルとマイクロフォンチャネルとの間の最適な伝達関数は、周波数領域で推定される。この伝達関数は、その寄与を得るために、対象とする加速度計信号と乗算される。いくつかの実施の形態では、マイクロフォンの配置位置でのノイズとの最良の相関を得るために、多軸加速度計がサスペンションナックル上かつ/またはサスペンションジョイント付近の車両ボディ上に配置されている。いくつかの実施の形態では、複数の加速度計を使用して、マイクロフォンの配置位置で聴き取り可能なすべての構造伝播ノイズの音源を検出することができる。
【0044】
図7A~
図7Bは、適応型ノイズキャンセリングシステムを用いたノイズ抑制のサンプルデータを示したグラフである。
図7Aのグラフは、65mphで高速道路を走行している間に、音声セグメントの間に起こり得る例示的なノイズの抑制を示したものである。全体的なノイズは、200Hz~500Hzの音声帯域で最大約13dB抑制されている。
図7Bは、200Hz~500Hzの同一の周波数範囲におけるdB単位のノイズキャンセリングのプロットである。ロードノイズによって生じるスペクトルピークは、約6dB~12dBの間で抑制されている。300Hzの音声成分は、実質的に影響を受けていない。
例示的な実装の態様
【0045】
上記の実施形態に対して多くの変更および修正を行うことができ、その要素が、他の許容可能な実施の形態の中に存在すると理解すべきである。そのような修正および変更はすべて、ここでは本開示の範囲内に含まれることが意図されている。上記の説明によって、特定の実施形態を詳述している。しかしながら、上記の内容がいかに詳細に記載されていても、本システムおよび方法が多くの方法で実践され得ることが理解されるであろう。また上記のように、本システムおよび方法の特定の特徴または態様を説明する際に特定の用語を使用することが、その用語が関連付けられている本システムおよび方法の特徴または態様における任意の特定の特性を含むべく限定されるように、当該用語が本明細書で再定義されていることを示唆すると解釈すべきではないことに留意されたい。
【0046】
本明細書に記載のシステム、方法、および装置はそれぞれいくつかの態様を有しているが、そのうちの1つが単独でその望ましい属性を担うというものでは決してない。本開示の範囲を限定することなく、いくつかの非限定的な特徴についてここで簡単に述べていく。以下の段落では、本明細書に記載の装置、システム、および方法の種々の例示的な実装の態様について説明する。稼働中、システムに動作を実行させるソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、またはそれらの組合せをシステムにインストールすることによって、特定の操作または動作を実行するように、1つまたは複数のコンピュータからなるシステムが構成され得る。データ処理装置によって実行されると、当該装置に動作を実行させる命令を含むことによって、特定の操作または動作を実行するように、1つまたは複数のコンピュータプログラムが構成され得る。
【0047】
実施の形態1:複数の多軸加速度計および複数のマイクロフォンを備える適応型ノイズキャンセリングシステムであって、複数の多軸加速度計および複数のマイクロフォンを組み合わせて使用することにより、車両のシャーシ上の振動をピックアップする、適応型ノイズキャンセリングシステム。
【0048】
実施の形態2:複数のマイクロフォンのうちの第1のマイクロフォンが、車両内のヘッドレストの右側に配置されている、実施の形態1に記載の適応型ノイズキャンセリングシステム。
【0049】
実施の形態3:複数のマイクロフォンのうちの第2のマイクロフォンが、車両内のヘッドレストの左側に配置されている、実施の形態1に記載の適応型ノイズキャンセリングシステム。
【0050】
実施の形態4:複数のマイクロフォンのうちの第3のマイクロフォンが、車両内のサンバイザ上に配置されている、実施の形態1に記載の適応型ノイズキャンセリングシステム。
【0051】
実施の形態5:複数の多軸加速度計が12個のチャネルに対応している加速度計データを出力する、実施の形態1に記載の適応型ノイズキャンセリングシステム。
【0052】
実施の形態6:複数の加速度計のうちの少なくとも1つの加速度計が、車両のサスペンションナックルに配置されている、実施の形態1に記載の適応型ノイズキャンセリングシステム。
【0053】
実施の形態7:複数の加速度計のうちの少なくとも1つの加速度計が、車両のサスペンションジョイントに配置されている、実施の形態1に記載の適応型ノイズキャンセリングシステム。
【0054】
実施の形態8:複数の加速度計が3つのチャネル内の加速度計データを出力する、実施の形態1に記載の適応型ノイズキャンセリングシステム。
【0055】
実施の形態9:スピーカシステムをさらに備える、実施の形態1に記載の適応型ノイズキャンセリングシステム。
【0056】
実施の形態10:スピーカシステムが2つのチャネルに対応している音声データを出力する、実施の形態9に記載の適応型ノイズキャンセリングシステム。
【0057】
実施の形態11:適応型アルゴリズムを使用する、実施の形態1に記載の適応型ノイズキャンセリングシステム。
【0058】
実施の形態12:適応型アルゴリズムが、車両のシャーシ上の振動と複数のマイクロフォンの配置位置における音圧との間の伝達関数をモデル化する、1つまたは複数のフィルタ重みを導出する、実施の形態11に記載の適応型ノイズキャンセリングシステム。
【0059】
実施の形態13:適応型アルゴリズムが最小平均二乗フィルタである、実施の形態11に記載の適応型ノイズキャンセリングシステム。
【0060】
実施の形態14:適応型アルゴリズムが再帰的最小二乗フィルタである、実施の形態11に記載の適応型ノイズキャンセリングシステム。
【0061】
実施の形態15:適応型アルゴリズムがカルマンフィルタである、実施の形態11に記載の適応型ノイズキャンセリングシステム。
【0062】
実施の形態16:複数の多軸加速度計が、複数のマイクロフォンと同一のサンプルクロックを使用している、実施の形態1に記載の適応型ノイズキャンセリングシステム。
【0063】
実施の形態17:複数の多軸加速度計が、複数のマイクロフォンと同一の自動車用オーディオバス(A2B)を使用している、実施の形態1に記載の適応型ノイズキャンセリングシステム。
【0064】
実施の形態18:複数のマイクロフォンがマイクロフォンアレイである、実施の形態1に記載の適応型ノイズキャンセリングシステム。
【0065】
実施の形態19:マイクロフォンアレイがビームフォーマによって処理されることで、車両のロードノイズを有する仮想マイクロフォン信号を生成する、実施の形態18に記載の適応型ノイズキャンセリングシステム。
【0066】
実施の形態20:仮想マイクロフォン信号が、テレフォニーノイズキャンセラおよび複数の多軸加速度計によって使用され、線形減算することによって相関するロードノイズを除去する、実施の形態19に記載の適応型ノイズキャンセリングシステム。
【0067】
実施の形態21:複数のマイクロフォンが、ビームフォーマによって処理されることで、車両のロードノイズを有する仮想マイクロフォン信号を生成する、実施の形態1に記載の適応型ノイズキャンセリングシステム。
【0068】
実施の形態22:仮想マイクロフォン信号および複数の多軸加速度計が、テレフォニーノイズキャンセラによって処理され、線形減算することによって相関するロードノイズを除去する、実施の形態19に記載の適応型ノイズキャンセリングシステム。
【0069】
実施の形態23:複数の多軸加速度計から信号を受信するテレフォニーノイズキャンセラであって、複数のマイクロフォンが、線形減算することによって相関するロードノイズを除去するために、車両のユーザの音声信号をテレフォニーノイズキャンセラに提供する、テレフォニーノイズキャンセラをさらに備える、実施の形態1に記載の適応型ノイズキャンセリングシステム。
【0070】
実施の形態24:テレフォニーノイズキャンセラの出力を受信し、受信信号からエコーを除去するように構成された適応型エコーキャンセラをさらに備える、実施の形態23に記載の適応型ノイズキャンセリングシステム。
【0071】
実施の形態25:適応型エコーキャンセラの出力を受信し、受信信号のノイズスペクトルを推定してロードノイズを抑制するように構成されたノイズサプレッサをさらに備える、実施の形態24に記載の適応型ノイズキャンセリングシステム。
【0072】
実施の形態26:ノイズサプレッサの出力を受信し、受信信号を等化して範囲制限し、得られた信号を接続された電話機に送信するように構成されたハンズフリープロファイルのインターフェースをさらに備える、実施の形態25に記載の適応型ノイズキャンセリングシステム。
【0073】
実施の形態27:ハンズフリープロファイルのインターフェースが、ハンズフリープロファイルのBluetooth(登録商標)インターフェースである、実施の形態26に記載の適応型ノイズキャンセリングシステム。
【0074】
実施の形態28:テレフォニーノイズキャンセラの出力を受信し、受信信号を等化して範囲制限し、得られた信号を接続された電話機に送信するように構成されたハンズフリープロファイルのインターフェースをさらに備える、実施の形態23に記載の適応型ノイズキャンセリングシステム。
【0075】
実施の形態29:ハンズフリープロファイルのインターフェースが、ハンズフリープロファイルのBluetooth(登録商標)インターフェースである、実施の形態28に記載の適応型ノイズキャンセリングシステム。
【0076】
先に述べたように、上記で示し述べた実施の形態の実装の態様は、ハードウェア、方法もしくはプロセス、および/またはコンピュータアクセス可能媒体上のコンピュータソフトウェアを含んでもよい。
更なる実装上の考慮事項
【0077】
ある特徴または要素が本明細書で別の特徴または要素の「上にある(on)」と言及される場合、それは他の特徴または要素の上に直接あってもよく、あるいは介在する特徴および/または要素がさらに存在してもよい。これに対して、ある特徴または要素が別の特徴または要素の「直接上にある(directly on)」と言及される場合、介在する特徴または要素は何ら存在しなくてもよい。ある特徴または要素が別の特徴または要素に「接続され(connected)」、「取り付けられ(attached)」、または「結合されている(coupled)」と言及される場合、それが他の特徴または要素に直接接続されていてもよいし、直接取り付けられていてもよいし、または直接結合されていてもよく、あるいは介在する特徴または要素が存在してもよいことが同様に理解されるであろう。これに対して、ある特徴または要素が別の特徴または要素に「直接接続され(directly connected)」、「直接取り付けられ(directly attached)」、または「直接結合されている(directly coupled)」と言及される場合、介在する特徴または要素は何ら存在しなくてもよい。
【0078】
一実施の形態に関して記載または図示されているが、そのように記載または図示された特徴および要素は、他の実施の形態にも適用されてもよい。別の特徴に「隣接して(adjacent)」配置された構造または特徴への言及が、隣接する特徴に重なるか、またはその下にある部分を有し得ることも当業者には理解されるであろう。
【0079】
本明細書で使用される用語は、特定の実施の形態および実装の態様を説明するためのみのものであって、本発明を限定することを意図するものではない。例えば、本明細書で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「この(the)」は、文脈で別途明確に指示しない限り、複数形も含むことが意図されてもよい。「備える(comprise)」および/または「備えている(comprising)」という用語は、本明細書で使用される場合、記載された特徴、ステップ、動作、プロセス、機能、要素、および/または構成要素の存在を明示するが、1つまたは複数の他の特徴、ステップ、動作、プロセス、機能、要素、構成要素、および/またはそれらのグループの存在または追加を排除するものではないことがさらに理解されるであろう。本明細書で使用される場合、「および/または(and/or)」という用語は、関連する列挙された項目のうちの1つまたは複数のありとあらゆる組合せを含み、「/」と省略されてもよい。
【0080】
上記の説明および特許請求の範囲において、「~のうちの少なくとも1つ(at least one of)」または「~のうちの1つまたは複数(one or more of)」などの語句が出現し、その後に要素または特徴の連言的なリストが続く場合がある。「および/または(and/or)」という用語はまた、2つ以上の要素または特徴のリストにも出現し得る。使用される文脈によって暗黙的または明示的に別段矛盾するものではない限り、そのような語句は、列挙された要素または特徴のいずれかを個別に、または列挙された要素または特徴のいずれかを他の列挙された要素または特徴のいずれかと組み合わせて意味することが意図されている。例えば、「AおよびBのうちの少なくとも1つ(at least one of A and B)」、「AおよびBのうちの1つまたは複数(one or more of A and B)」および「Aおよび/またはB(A and/or B)」という語句は、それぞれ「Aのみ、Bのみ、またはAとBとを一緒に(A alone,B alone,or A and B together)」を意味することが意図されている。3つ以上の項目を含むリストについても同様の解釈が意図されている。例えば、「A、B、およびCのうちの少なくとも1つ(at least one of A,B,and C)」、「A、B、およびCのうちの1つまたは複数(one or more of A,B,and C)」、および「A、B、および/またはC(A,1,and/or C)」という語句は、それぞれ「Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBとを一緒に、AとCとを一緒に、BとCとを一緒に、またはAとBとCとを一緒に(A alone,B alone,C alone,A and B together,A and C together,B and C together,or A and B and C together)」を意味することが意図されている。上記および特許請求の範囲における「~に基づいて(based on)」という用語の使用は、列挙されていない特徴または要素も許容されるように、「~に少なくとも部分的に基づいて(based at least in part on)」を意味することが意図されている。
【0081】
「前方(forward)」、「後方(rearward)」、「下(under)」、「下方(below)」、「下側(lower)」、「上方(over)」、「上側(upper)」などの空間的な相対関係を示す用語は、本明細書では図に示すように、1つの要素または特徴と別の1つまたは複数の要素または別の1つまたは複数の特徴との関係を述べる説明を容易にするために使用されてもよい。空間的な相対関係を示す用語が、図に示された方向に加えて、使用中または動作中の装置の種々の方向を包含することが意図されていると理解されるであろう。例えば、図中の装置が反転している場合、他の要素または特徴の「下(under)」または「真下(beneath)」にあると記述された要素は、反転状態にあるために他の要素または特徴の「上方(over)」を向くことになる。このため、「下(under)」という用語は、基準点または基準方向に応じて、上方および下方の両方の方向を包含し得る。本装置は、他の方向に向けられ(90度または別の角度方向に回転され)てもよく、本明細書で使用される空間的な相対関係を示す記述子は、それに応じて解釈される。同様に、「上方へ(upwardly)」、「下方へ(downwardly)」、「垂直方向に(vertical)」、「水平方向に(horizontal)」などの用語は、別途明記しない限り、本明細書では説明することのみを目的として使用され得る。
【0082】
「第1の(first)」および「第2の(second)」という用語は、本明細書では種々の特徴/要素(ステップまたはプロセスを含む)を説明するために使用され得るが、これらの特徴/要素は、文脈で別途指示しない限り、特徴/要素の順序、または一方が主要または他方よりも重要であるかどうかを指示するものとして、これらの用語によって限定されるべきではない。これらの用語は、ある特徴/要素を別の特徴/要素と区別するために使用されてもよい。したがって、記述されている第1の特徴/要素を、第2の特徴/要素と呼ぶことができ、同様に、以下に記述される第2の特徴/要素を、本明細書で提供される開示内容から逸脱することなく、第1の特徴/要素と呼ぶことができる。
【0083】
本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、実施の形態で使用される場合を含み、別途明示的に指定されない限り、当該用語が明示的に出現しない場合でも、すべての数字が「約(about)」または「およそ(approximately)」という語で始められているかのように読解されてもよい。「約(about)」または「およそ(approximately)」という語句は、大きさおよび/または位置を記述する場合に、記述された値および/または位置が合理的に予想される値および/または位置の範囲内にあることを示すために使用されてもよい。例えば、数値は、記述された値の±0.1%の値(または値の範囲)、記述された値の±1%の値(または値の範囲)、記述された値の±2%の値(または値の範囲)、記述された値の±5%の値(または値の範囲)、記述された値の±10%の値(または値の範囲)などの値を有してもよい。本明細書に示されるあらゆる数値はまた、文脈で別途指示しない限り、ほぼ(aboutまたはapproximately)その値を含むものと理解されるべきである。
【0084】
例えば、値「10」が開示されている場合、「約10(about10)」も開示されている。本明細書に列挙されたあらゆる数値範囲は、その中に包含されるすべての部分範囲を含むことが意図されている。当業者によって適切に理解されるように、ある値が開示されている場合、「その値以下(less than or equal to)」、「その値以上(greater than or equal to the value)」および値間の有効な範囲もまた開示されていることも理解される。例えば、値「X」が開示されている場合、「X以下(less than or equal to X)」および「X以上(greater than or equal to X)」(例えば、Xが数値である場合)も開示されている。また、本出願全体を通して、データはいくつかの異なるフォーマットで提供され、このデータは終点または始点、およびデータ点の任意の組合せの範囲を表し得ることも理解される。例えば、特定のデータ点「10」と特定のデータ点「15」とが開示され得る場合、10~15の間だけでなく、10よりも大きく、かつ15よりも大きく、10以上かつ15以上であり、10よりも小さく、かつ15よりも小さく、10以下かつ15以下であり、また10と等しくかつ15と等しいことが開示されていると見なされ得ることが理解される。2つの特定の単位間の各単位も開示され得ることが、同様に理解される。例えば、10と15とが開示され得る場合、11、12、13、および14も開示され得る。
【0085】
種々の例示的な実施の形態が開示されているが、本明細書の開示内容から逸脱することなく、種々の実施の形態に対していくつかの変更のうちのいずれかを行ってもよい。例えば、記載されている種々の方法ステップが実行される順序は、異なるまたは代替実施の形態では変更または再構成されてもよく、また他の実施の形態では、1つまたは複数の方法ステップが総じて省略されてもよい。種々の装置およびシステムの実施の形態の任意のまたは望ましい特徴が、いくつかの実施の形態に含まれてもよく、また他の実施の形態には含まれなくてもよい。したがって、上記の説明は、主として例示を目的として提供されており、特許請求の範囲および具体的な実施の形態または開示されている特定の詳細事項もしくは特徴の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0086】
本明細書に含まれる実施の形態および例示物は、限定ではなく例示として、開示されている主題を実践することができる具体的な実施の形態を示す。上記のように、本開示の範囲から逸脱することなく構造的かつ論理的な置換および変更を行うことができるように、他の実施の形態がこれらの実施の形態から利用かつ導出されてもよい。開示されている主題のそのような実施の形態は、2つ以上が実際に開示されている場合、単に便宜上、かつ本出願の範囲を任意の単一の発明または発明概念に自発的に限定することを意図せずに、「発明(invention)」という用語によって個々に、または集合的に本明細書で言及されてもよい。したがって、本明細書では具体的な実施の形態が例示かつ記載されているが、明示的に述べられているか暗示されているかにかかわらず、意図されている、実用的な、または開示されている目的を達成するために算出された任意の構成が、示されている具体的な実施の形態の代わりに使用されてもよい。本開示は、種々の実施の形態のありとあらゆる適応例または変形例を網羅することを意図している。上記の説明を検討すれば、上記の実施の形態の組合せ、および本明細書に具体的に記載されていない他の実施の形態が当業者には明らかになるであろう。
【0087】
開示されている主題は、1つまたは複数の特徴または実施の形態を参照して本明細書に示されている。本明細書に示されている例示的な実施の形態の詳細な性質にもかかわらず、概して意図される範囲を限定または逸脱することなく、当該実施の形態に変更および修正が施され得ることを、当業者であれば認識かつ理解するであろう。本明細書に示されている実施の形態のこれらおよび他の種々の適応例および組合せは、開示されている要素および特徴ならびにそれらの均等物一式によって定義される、開示されている主題の範囲内にある。
【国際調査報告】