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特表2023-536825(-)-アンブロックスを精製するための方法
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  • 特表-(-)-アンブロックスを精製するための方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-30
(54)【発明の名称】(-)-アンブロックスを精製するための方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 307/79 20060101AFI20230823BHJP
   C12P 41/00 20060101ALI20230823BHJP
   C12P 17/02 20060101ALI20230823BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20230823BHJP
   A61Q 13/00 20060101ALI20230823BHJP
【FI】
C07D307/79
C12P41/00 E
C12P17/02
A61K8/49
A61Q13/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023505874
(86)(22)【出願日】2021-07-29
(85)【翻訳文提出日】2023-03-14
(86)【国際出願番号】 EP2021071246
(87)【国際公開番号】W WO2022023464
(87)【国際公開日】2022-02-03
(31)【優先権主張番号】2011823.8
(32)【優先日】2020-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501105842
【氏名又は名称】ジボダン エス エー
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【弁理士】
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】バラス,ジャン-ピエール
(72)【発明者】
【氏名】モレル,シルヴィー
(72)【発明者】
【氏名】アイクホルン,エリック
【テーマコード(参考)】
4B064
4C083
【Fターム(参考)】
4B064AC21
4B064AE44
4B064CA21
4C083AC841
4C083AC842
4C083FF01
(57)【要約】
数多の洗浄ステップを含む、粗製のフレーバーもしくは香料もしくは化粧品の成分または中間体、例えば粗製の(-)-アンブロックスを精製するための方法、該方法の産物、および該産物の使用。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粗製のフレーバーもしくは香料もしくは化粧品の成分または中間体を精製するための方法であって、方法が、以下:
水性酸で洗浄すること;
水性界面活性剤で洗浄すること;および
任意に、水性アルカリで洗浄すること
を含む、前記方法。
【請求項2】
粗製のフレーバーもしくは香料もしくは化粧品の成分または中間体が、固体の形態である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
粗製のフレーバーもしくは香料もしくは化粧品の成分または中間体が、生物変換プロセスによって、例えばSHC/HAC酵素を使用して、作製された、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
方法が、粗製の(-)-アンブロックス、粗製の(-)-アンブラ-オキシド、粗製の3a-エチル-6,6,9a-トリメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フラン、または粗製の(+)-アンベルケタールを精製するための方法である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
方法が、以下:
(a) 粗製のフレーバーもしくは香料もしくは化粧品の成分または中間体を、水性酸で洗浄すること;
(b) ステップ(a)の産物を、水性アルカリで洗浄すること;
(c) ステップ(b)の産物を水性界面活性剤で洗浄すること
を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
酸が、弱酸および/または有機酸および/またはクエン酸である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
水性酸の温度が、約17℃から約50℃まで、例えば約17℃から約23℃まで及ぶ、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
アルカリが、強アルカリおよび/または水酸化物および/または水酸化ナトリウムである、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
水性アルカリの温度が、約5℃から約75℃まで、例えば約35℃から約45℃まで及ぶ、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
界面活性剤が、アニオン性界面活性剤、例えばドデシル硫酸ナトリウム(SDS)である、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
水性界面活性剤の温度が、約5℃から約75℃まで、例えば約60℃から約70℃まで及ぶ、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
水で洗浄する1以上のステップを、水性酸で洗浄すること、水性アルカリで洗浄すること、および/または水性界面活性剤で洗浄することに先立ちあるいはその後に、さらに含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
すべての洗浄ステップが、単一の機器、例えばヌッチェ型攪拌・乾燥フィルターにおいて起こる、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の方法によって得られるか、またはそれによって得ることができる、フレーバーもしくは香料もしくは化粧品の成分または中間体、例えば(-)-アンブロックス。
【請求項15】
請求項14に記載のフレーバーまたは香料または化粧品の成分、例えば(-)-アンブロックスの、フレーバーまたは香料または化粧品の成分としての使用。
【請求項16】
請求項14に記載の香料成分、例えば(-)-アンブロックス、または請求項14に記載のフレーバー成分、または請求項14に記載の化粧品成分を夫々含む、香水またはフレーバーまたは化粧品の組成物。
【請求項17】
請求項16に記載の香水組成物を含む、家庭用ケア、パーソナルケア、ランドリーケア、もしくはエアケアの組成物、または
請求項16に記載のフレーバー組成物を含む、食品もしくは飲料製品、または
請求項16に記載の化粧品組成物を含む、化粧用製品。
【請求項18】
粗製のフレーバーもしくは香料の成分または中間体、例えば粗製の(-)-アンブロックスを、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法によって精製するように構成されているヌッチェ型攪拌・乾燥フィルターであって、
ここで粗製のフレーバーもしくは香料の成分または中間体、例えば粗製の(-)-アンブロックスが、粗製のフレーバーもしくは香料の成分または中間体、例えば粗製の(-)-アンブロックスの湿重量に基づき、約20wt%から約30wt%までの水を含む、前記ヌッチェ型攪拌・乾燥フィルター。
【請求項19】
粗製のフレーバーもしくは香料の成分または中間体を精製するためのプロセスであって、プロセスが、粗製のフレーバーもしくは香料の成分または中間体を、ヌッチェ型攪拌・乾燥フィルターにおいて洗浄することを含む、前記プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は一般に、粗製のフレーバーもしくは香料もしくは化粧品の成分または中間体を精製するための方法、とりわけ粗製の(-)-アンブロックスを精製するための方法に関する。本発明はまた、この方法の産物、および該産物の様々な使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
背景
下の式(I)、
【化1】

で表される(-)-アンブロックスは、商業上重要な香料成分である。
【0003】
(-)-アンブロックスは商業上、アンブロックス(Ambrox)(Firmenich)、アンブロキサン(Ambroxan)(Henkel)、アンブロフィクス(Ambrofix)(Givaudan)、アンベルリン(Amberlyn)(Quest)、セタロックス・レーヴォ(Cetalox Laevo)(Firmenich)、アンバーモール(Ambermor)(Aromor)、および/またはノルアンブレノリド・エーテル(Norambrenolide Ether)(Pacific)として知られている。
【0004】
(+)-アンブロックス鏡像異性体より、むしろ(-)-アンブロックス鏡像異性体の方が、望ましい特別な感覚的利益を提供する。(-)-アンブロックス鏡像異性体の匂いは、ムスク様の、ウッディな、ウォーム(warm)の、またはアンバーの(ambery)、として記載されるのに対し、(+)-アンブロックス鏡像異性体は相対的に弱い匂いノート(note)を有する。
【0005】
WO 2017/182542(その内容は参照により本明細書に組み込まれる)は、(-)-アンブロックスを、7E,3E/Z-ホモファルネソール混合物の生物変換によって調製するための方法を開示する。WO 2017/182542の例4は、(-)-アンブロックスを精製するための下流プロセスを開示しており、前記プロセスは、加熱ステップ(ここで生物変換ブロス(broth)は、約15分の間、約80~85℃の温度まで加熱されて、生体触媒が不活性化される)を含み、その後に液体(-)-アンブロックスは約20℃の温度まで冷却されるが、ここでそれは再度結晶化する。(-)-アンブロックスの結晶は、生物変換ブロスから濾過によって分離され、フィルター上で水で洗浄されて、生物変換ブロスの残りが除去される。そうして得られた粗製の(-)-アンブロックスを、所望される化学的かつ嗅覚上の品質までアップグレードするには、数多の連続的ステップを要し、前記プロセスは、結晶をエタノールに溶解し清澄させること、次いでそうして得られた溶液を漂白した後、最終的に(-)-アンブロックスを再結晶化することを包含する。これは、複数の機器類(multiple items of equipment)を使用する、複雑かつ労働集約的なプロセスである。このプロセスはまた、安全かつ正確に操作しなければならない引火性のエタノールも使用しており、プロセスの終了時には廃棄するかまたは再利用のためにアップグレードするかのいずれかが要される。
【0006】
したがって、(-)-アンブロックスを精製するための新しいかつ改善された方法を提供することが望まれている。例えば、より少数の機器を使用し、再結晶を回避し、および再加工しなければならない母液の濃縮物を含有する(-)-アンブロックスの産生を回避することによって、(-)-アンブロックスの精製を簡素化するための方法を提供することが、とりわけ望まれている。
【0007】
同じ検討事項が、他の香料の成分および中間体、粗製のフレーバーの成分および中間体、ならびに粗製の化粧品の成分および中間体、とりわけ、生物変換反応によって(例えば、SHC/HAC酵素または他の生体触媒を使用して)作製される結晶形態の香料の成分および中間体ならびに粗製のフレーバーの成分および中間体の調製についてもまた、適用可能である。
【発明の概要】
【0008】
概要
本発明の第1の側面に従うと、粗製のフレーバーもしくは香料もしくは化粧品の成分または中間体を精製するための方法が提供され、その方法は、以下:
水性酸(aqueous acid)で洗浄すること;
水性界面活性剤(aqueous surfactant)で洗浄すること;および
任意に、水性アルカリ(aqueous alkali)で洗浄すること
を含む。
【0009】
本発明の第1の側面の具体的な態様に従うと、粗製の(-)-アンブロックスを精製するための方法が提供され、その方法は、以下:
水性酸で洗浄すること;
水性界面活性剤で洗浄すること;および
任意に、水性アルカリで洗浄すること
を含む。
【0010】
本発明の第1の側面の洗浄ステップは、粗製のフレーバーもしくは香料もしくは化粧品の成分または中間体、例えば粗製の(-)-アンブロックスを精製するのに好適ないずれかの順序で起こってもよい。
【0011】
本発明の第1の側面の具体的な態様に従うと、粗製のフレーバーもしくは香料もしくは化粧品の成分または中間体を精製するための方法が提供され、その方法は、以下:
(a) 粗製のフレーバーもしくは香料もしくは化粧品の成分または中間体を、水性酸で洗浄すること;
(b) ステップ(a)の産物を、水性アルカリで洗浄すること;
(c) ステップ(b)の産物を、水性界面活性剤で洗浄すること
を含む。
【0012】
本発明の第1の側面の具体的な態様に従うと、粗製の(-)-アンブロックスを精製するための方法が提供され、その方法は、以下:
(a) 粗製の(-)-アンブロックスを、水性酸で洗浄すること;
(b) ステップ(a)の産物を、水性アルカリで洗浄すること;
(c) ステップ(b)の産物を、水性界面活性剤で洗浄すること
を含む。
【0013】
本発明の第2の側面に従うと、本発明の第1の側面の方法(そのいずれの態様も包含する)によって得られるか、またはそれによって得ることができる、フレーバーもしくは香料もしくは化粧品の成分または中間体が提供される。
【0014】
本発明の第2の側面の具体的な態様に従うと、本発明の第1の側面の方法(そのいずれの態様も包含する)によって得られるか、またはそれによって得ることができる(-)-アンブロックスが提供される。
【0015】
本発明の第3の側面に従うと、本発明の第2の側面(そのいずれの態様も包含する)のフレーバーまたは香料または化粧品の成分、例えば(-)-アンブロックスの、フレーバーまたは香料または化粧品の成分としての使用が提供される。
【0016】
本発明の第4の側面に従うと、本発明の第2の側面の香料成分(そのいずれの態様も包含する)を、例えば(-)-アンブロックスを含む香水組成物が提供される。
【0017】
本発明の第5の側面に従うと、本発明の第2の側面(そのいずれの態様も包含する)のフレーバー成分を含むフレーバー組成物が提供される。
【0018】
本発明の第6の側面に従うと、本発明の第2の側面(そのいずれの態様も包含する)の化粧品成分を含む化粧品組成物が提供される。
【0019】
本発明の第7の側面に従うと、本発明の第4の側面(そのいずれの態様も包含する)の香水組成物を含む、家庭用ケア(household care)、パーソナルケア(personal care)、ランドリーケア(laundry care)、またはエアケア(air care)の組成物が提供される。
【0020】
本発明の第8の側面に従うと、本発明の第5の側面(そのいずれの態様も包含する)のフレーバー組成物を含む食品または飲料製品が提供される。
【0021】
本発明の第9の側面に従うと、本発明の第6の側面(そのいずれの態様も包含する)の化粧品組成物を含む化粧用製品が提供される。
【0022】
本発明の第10の側面に従うと、粗製のフレーバーもしくは香料もしくは化粧品の成分または中間体を、本発明の第1の側面の方法によって精製するように構成されているヌッチェ型攪拌・乾燥フィルター(Nutsche-type agitating and drying filter)が提供されるが、ここで粗製のフレーバーもしくは香料もしくは化粧品の成分または中間体は、粗製のフレーバーもしくは香料もしくは化粧品の成分または中間体の湿重量に基づき、約20wt%から約30wt%までの水を含む。
【0023】
本発明の第11の側面に従うと、粗製のフレーバーもしくは香料もしくは化粧品の成分または中間体を精製するためのプロセスが提供され、そのプロセスは、粗製のフレーバーもしくは香料もしくは化粧品の成分または中間体をヌッチェ型攪拌・乾燥フィルターにおいて洗浄することを含む。プロセスは、例えば、本発明の第1の側面の方法(そのいずれの態様も包含する)に従ってもよい。
【0024】
本発明のある態様は、例えばWO 2017/182542に記載のプロセスと比較して、以下の利点の1以上を提供してもよい:
●粗製のフレーバーもしくはフレグランスもしくは化粧品の成分または中間体、例えば粗製の(-)-アンブロックスを精製するための、より単純なプロセス;
●粗製のフレーバーもしくはフレグランスもしくは化粧品の成分または中間体、例えば粗製の(-)-アンブロックスを精製するための、より安価なプロセス;
●粗製のフレーバーもしくはフレグランスもしくは化粧品の成分または中間体、例えば粗製の(-)-アンブロックスを精製するための、より労働集約度が低いプロセス;
●より地球に優しく(greener)、かつより低環境負荷型であるプロセス;
【0025】
以下の利点は、より単純、より安価、かつより労働集約度が低いプロセスであっても達成され得る:
●粗製のフレーバーもしくはフレグランスもしくは化粧品の成分または中間体、例えば粗製の(-)-アンブロックスを精製するのに要される機器の量の低減;
●再結晶の必要性を回避する;
●エタノールの使用を回避または強く低減させる;
●材料損失の低減
●再加工しなければならない母液の濃縮物を含有する、フレーバーもしくはフレグランスもしくは化粧品の成分または中間体、例えば粗製の(-)-アンブロックスの生成を回避する;
●より少ないステップを使用し、かつ(-)-アンブロックスを精製するのに要される時間が短い、高生産プロセス(例として、粗製の出発材料に基づき>95mol%);
●嗅覚的用途に好適な(-)-アンブロックスの産生;
【0026】
本明細書に記載される、より単純、より安価、かつより労働集約度が低いプロセスは:
●不溶性および/もしくは微粒子の材料を除去または低減できる;
●着色不純物を除去または低減できる;
●生物変換反応の連産品(co-products)を除去または低減できる;
●悪臭不純物を除去または低減できる
【0027】
本発明の規定された側面の具体的ないずれか1以上に関して提供される詳細、例、および選好は、本明細書にさらに記載されて、本発明のすべての側面へ等しく適用されるであろう。本明細書に記載の態様、例、および選好の、それらすべての実行可能なバリエーションにおけるいずれの組み合わせも、本明細書において別様に指し示されないか、または文脈と明確に矛盾していない限り、本発明によって網羅される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図の簡単な記載
図1図1は、横座標の尺度が度2シータ(degrees 2-theta)であって、縦座標がカウント強度(intensity in counts)であるXRDパターンを示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
詳細な記載
粗製のフレーバーもしくは香料もしくは化粧品の成分または中間体、例えば粗製の(-)-アンブロックスを精製するための方法が本明細書に提供され、その方法は、以下:
水性酸で洗浄すること;
水性界面活性剤で洗浄すること;および
任意に、水性アルカリで洗浄すること
を含む。
【0030】
本発明の第1の側面の洗浄ステップは、粗製のフレーバーもしくは香料もしくは化粧品の成分または中間体、例えば粗製の(-)-アンブロックスを精製するのに好適ないずれかの順序で起こってもよい。洗浄ステップは各々、粗製のフレーバーもしくは香料もしくは化粧品の成分または中間体、例えば粗製の(-)-アンブロックス、あるいは先の洗浄ステップの産物の洗浄を指すが、その産物はまた、粗製のフレーバーもしくは香料もしくは化粧品の成分または中間体、例えば粗製の(-)-アンブロックスとも称されることがある。
【0031】
例えば、粗製のフレーバーもしくは香料もしくは化粧品の成分または中間体を精製するための方法が本明細書に提供され、その方法は、以下:
(a) 粗製のフレーバーもしくは香料もしくは化粧品の成分または中間体を、水性酸で洗浄すること;
(b) 任意に、ステップ(a)の産物を、水性アルカリで洗浄すること;および
(c) ステップ(a)の産物、またはステップ(b)の産物(存在する場合)を、水性界面活性剤で洗浄すること
を含む。
【0032】
例えば、粗製の(-)-アンブロックスを精製するための方法が本明細書に提供され、その方法は、以下:
(a) 粗製の(-)-アンブロックスを、水性酸で洗浄すること;
(b) 任意に、ステップ(a)の産物を、水性アルカリで洗浄すること;および
(c) ステップ(a)の産物、またはステップ(b)の産物(存在する場合)を、水性界面活性剤で洗浄すること
を含む。
【0033】
例えば、粗製のフレーバーもしくは香料もしくは化粧品の成分または中間体を精製するための方法が本明細書に提供され、その方法は、以下:
(a) 粗製のフレーバーもしくは香料もしくは化粧品の成分または中間体を、水性酸で洗浄すること;
(b) ステップ(a)の産物を、水性アルカリで洗浄すること;および
(c) ステップ(b)の産物を、水性界面活性剤で洗浄すること
を含む。
【0034】
例えば、粗製の(-)-アンブロックスを精製するための方法が本明細書に提供され、その方法は、以下:
(a) 粗製の(-)-アンブロックスを、水性酸で洗浄すること;
(b) ステップ(a)の産物を、水性アルカリで洗浄すること;および
(c) ステップ(b)の産物を、水性界面活性剤で洗浄すること
を含む。
【0035】
例えば、粗製のフレーバーもしくは香料もしくは化粧品の成分または中間体を精製するための方法が本明細書に提供され、その方法は、以下:
(a) 粗製のフレーバーもしくは香料もしくは化粧品の成分または中間体を、水性界面活性剤で洗浄すること;
(b) ステップ(a)の産物を、水性酸で洗浄すること;および
(c) 任意に、ステップ(b)の産物を、水性アルカリで洗浄すること
を含む。
【0036】
例えば、粗製の(-)-アンブロックスを精製するための方法が本明細書に提供され、その方法は、以下:
(a) 粗製の(-)-アンブロックスを、水性界面活性剤で洗浄すること;
(b) ステップ(a)の産物を、水性酸で洗浄すること;および
(c) 任意に、ステップ(b)の産物を、水性アルカリで洗浄すること
を含む。
【0037】
例えば、粗製のフレーバーもしくは香料もしくは化粧品の成分または中間体を精製するための方法が本明細書に提供され、その方法は、以下:
(a) 粗製のフレーバーもしくは香料もしくは化粧品の成分または中間体を、水性酸および水性界面活性剤を含む組成物で洗浄すること;ならびに
(b) 任意に、ステップ(a)の産物を、水性アルカリで洗浄すること
を含む。
【0038】
例えば、粗製の(-)-アンブロックスを精製するための方法が本明細書に提供され、その方法は、以下:
(a) 粗製の(-)-アンブロックスを、水性酸および水性界面活性剤を含む組成物で洗浄すること;ならびに
(b) 任意に、ステップ(a)の産物を、水性アルカリで洗浄すること
を含む。
【0039】
本明細書に記載のステップ(a)、(b)、および/または(c)各々の前あるいは後に、1以上のさらなる方法ステップ、例えば、1以上のさらなる洗浄ステップがあってもよい。例えば、方法は、ステップ(a)、(b)、および/または(c)の各々の前あるいは後に、水で1回以上洗浄することを含んでいてもよい。ステップ(a)、(b)、および/または(c)の各々の前あるいは後に、1以上のさらなる方法ステップがある場合、「ステップ(a)の産物」は、ステップ(a)と、ステップ(b)の実施に先立ち実行されるいずれのさらなる方法ステップとの産物を指し、「ステップ(c)の産物」は、ステップ(b)と、ステップ(c)の実施に先立ち実行されるいずれのさらなる方法ステップとの産物を指す。
【0040】
粗製のフレーバーもしくは香料もしくは化粧品の成分または中間体の出発材料
「粗製のフレーバーもしくは香料もしくは化粧品の成分または中間体」とは、香料成分もしくは香料成分の中間体、またはフレーバー成分もしくはフレーバー成分の中間体、または化粧品成分もしくは化粧品成分の中間体、および不純物を含む材料を意味する。
【0041】
本明細書に使用されるとき、用語「香料(の)成分」は、所望のにおいを提供するために、組成物において使用され得る化合物を指す。
【0042】
本明細書に使用されるとき、用語「フレーバー(の)成分」は、所望の味覚を提供するために、組成物において使用され得る化合物を指す。
【0043】
本明細書に使用されるとき、用語「化粧品(の)成分」は、対象(例として、ヒト対象)へ、具体的には対象の皮膚へ適用されたとき、所望の外観を提供するために、化粧品組成物において活性成分として使用され得る化合物を指す。これは、例えば結晶性であってもよい天然産物を包含していてもよい。
【0044】
本明細書に使用されるとき、用語「香料(の)中間体」は、香料成分を調製するのに使用され得る化合物を指す。
【0045】
本明細書に使用されるとき、用語「フレーバー(の)中間体」は、フレーバー成分を調製するのに使用され得る化合物を指す。
【0046】
本明細書に使用されるとき、用語「化粧品(の)中間体」は、化粧品成分を調製するのに使用され得る化合物を指す。
【0047】
本明細書に使用されるとき、用語「不純物」は、フレーバーもしくは香料もしくは化粧品の成分自体または中間体自体ではない、固体または液体のいずれの材料も指す。これは、例えば、フレーバーもしくは香料もしくは化粧品の成分または中間体の産生のための未反応の出発材料、フレーバーもしくは香料もしくは化粧品の成分または中間体を産生する反応の副産物、溶媒(水、水混和性溶媒、および有機溶媒など)に不溶性の微粒子材料、細胞、細胞のデブリ、および様々な不純物、例えばエタノールに不溶性の不純物(沈殿した無機塩およびタンパク質など)を包含する。
【0048】
したがって、「フレーバーもしくは香料もしくは化粧品の成分または中間体を精製する」とは、粗製のフレーバーもしくは香料もしくは化粧品の成分中または中間体中の不純物を除去およびその量を低減する方法を意味する。
【0049】
粗製のフレーバーもしくは香料もしくは化粧品の成分または中間体は、例えば、固体の形態であってもよい。
【0050】
粗製のフレーバーもしくは香料もしくは化粧品の成分または中間体は、例えば、結晶の形態であってもよい。
【0051】
粗製のフレーバーもしくは香料もしくは化粧品の成分または中間体は、生物変換プロセスによって、例えば、スクアレンホペンシクラーゼ/ホモファルネソールアンブロックスシクラーゼ(SHC/HAC)酵素を使用して調製されたものであってもよい。したがって、本明細書に記載の精製方法は、本明細書に記載の精製ステップに先立ち、生物変換プロセスによって粗製のフレーバーもしくは香料もしくは化粧品の成分または中間体を調製するステップをさらに含んでいてもよい。生物変換プロセス(例えば、本明細書に記載のとおりの)からもたらされる生物変換ブロスは一般に、フレーバーもしくは香料もしくは化粧品の成分または中間体を含有する固体相と、水および/または油性相を含有する液体相(単数もしくは複数)とを含んでいてもよく、これらは、例えば、残余の未反応出発材料および他の油状のもしくは油可溶性の不純物または副産物を含有していてもよい。
【0052】
用語「粗製のフレーバーもしくは香料もしくは化粧品の成分または中間体」は、本明細書に記載の精製方法に先立ち、予備精製ステップにおいて(例として、濾過によって)生物変換ブロスから分離される材料を指してもよい。
【0053】
目下記載の精製方法は、不純物が産物表面上に沈着した固体の形態にある産物に殊更十分に作用することがある。このことは、それらが、本明細書に記載の洗浄ステップによって容易に除去され得ることを意味してもよい。
【0054】
粗製のフレーバーもしくは香料もしくは化粧品の成分または中間体を作製するための反応条件、およびいずれの予備精製ステップは、例えば、粗製の(-)-アンブロックスの出発材料に関して本明細書に記載の方法および予備精製ステップに従ってもよい(しかし、正しい出発材料を使用する)。
【0055】
粗製のフレーバーもしくは香料もしくは化粧品の成分または中間体は、例えば、(-)-アンブロックス、(-)-アンブラ-オキシド、3a-エチル-6,6,9a-トリメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フラン、および(+)-アンベルケタールから選択されてもよい。とりわけ、粗製のフレーバーもしくは香料の成分または中間体は、(-)-アンブロックスであってもよい。
【0056】
粗製の(-)-アンブロックスの出発材料
「粗製の(-)-アンブロックス」とは、(-)-アンブロックスおよび不純物を含む材料をする。本明細書に使用されるとき、用語「不純物」は、(-)-アンブロックスではない、固体または液体のいずれの材料も指す。これは、例えば、(-)-アンブロックス(例として、ホモファルネソール)の産生のための未反応の出発材料、(-)-アンブロックス(例として、本明細書の表2に記載のとおりの式(II)、(III)、および/または(IV)で表される化合物)を産生する反応の副産物、溶媒(水、水混和性溶媒、および有機溶媒など)に不溶性の微粒子材料、細胞、細胞のデブリ、および様々な不純物、例えばエタノールに不溶性の不純物(沈殿した無機塩およびタンパク質など)を包含する。
【0057】
したがって、「(-)-アンブロックスを精製する」とは、粗製の(-)-アンブロックスにおいて不純物を除去およびその量を低減する方法を意味する。
【0058】
粗製の(-)-アンブロックスは、ホモファルネソールを(-)-アンブロックスへ変換するスクアレンホペンシクラーゼ/ホモファルネソールアンブロックスシクラーゼ(SHC/HAC)酵素を使用する生物変換プロセスによって調製されたものであってもよい(下のさらなる詳細を見よ)。生物変換プロセス(例えば、本明細書に記載のとおりの)からもたらされる生物変換ブロスは一般に、(-)-アンブロックスを含有する固体相と、水および/または油性相を含有する液体相(単数もしくは複数)とを含んでいてもよく、これらは、残余の未反応ホモファルネソールおよび他の油状のもしくは油可溶性の不純物または副産物を含有していてもよい。例えば、式(II)、(III)、および(IV)で表されるいくつかの化合物は、かかる油性相に存在していてもよい。
【0059】
用語「粗製の(-)-アンブロックス」は、本明細書に記載の精製方法に先立ち、予備精製ステップにおいて(例として、濾過によって)生物変換ブロスから分離される材料を指してもよい。
【0060】
生物変換プロセスから得られる固体相((-)-アンブロックスを包含する)は、生物変換ブロスの液体相から、濾過(遠心濾過など)またはデカンテーション/沈降によって分離されてもよい。メッシュサイズが適切なフィルターを選択することによって、固体の形態の(-)-アンブロックスを、生物変換ブロス中に存在する微粒子材料(例えば、細胞または細胞のデブリ)から分離することもまた、実行可能である。デカンテーション/沈降も、濾過と同様、それらの分離を可能にさせる微粒子状物質と固体の形態の(-)-アンブロックスとの間の粒子サイズおよび/または粒子メッシュの差異を活用するものであって、前者は上清中に懸濁したままであり、捨てられ得るのに対し、後者は堆積物として単離、回収されて精製ステップへ供され得る。細胞のデブリを包含する生物変換ブロスから(-)-アンブロックスを単離するのに好適な方法は、WO 2017/182542およびWO 2016/170106に記載されており、これらの内容は参照により本明細書に組み込まれる。例えば、生体触媒は最初に、加熱によって、または生物変換ブロスのpHを約10~11まで上げること(アルカリ化)によって、不活性化されてもよい。次いで細胞、細胞のデブリ、不溶性材料、および/または他の微粒子材料は、(-)-アンブロックスから濾過などの物理的な手段によって除去され得る。(-)-アンブロックスへ付着した細胞および/または細胞のデブリおよび/または不溶性材料および/または他の微粒子材料は、それらが粗製の(-)-アンブロックス産物中に残存していると、不快なオフノートの原因となり得ることから、それは脱臭効果を有し得る。
【0061】
生体触媒は、例えば、生物変換ブロスの温度を上げることによって不活性化されてもよい。温度は、細菌を不活性化するには十分高いが、(-)-アンブロックスの融点を下回る(すなわち、約75~80℃を下回る)温度まで上げてもよい。したがって、(-)-アンブロックスは、液体へは変わらない。むしろ、この温度(例として、約50℃から約60℃まで、約55℃など)にて、(-)-アンブロックスはわずかに溶解して、平均結晶サイズが低減される。次いで、結晶は、冷却相の最中に再度成長する。このことは、それらが生物変換ブロスの液体相から濾過によって分離されるのに役立つ。
【0062】
例えば、生物変換ブロスの温度は、約50℃から約60℃までの範囲にある温度まで上げられてもよい。例えば、生物変換ブロスの温度は、約52℃から約58℃まで、または約54℃から約56℃までの範囲にある温度まで上げられてもよい。例えば、生物変換ブロスの温度は、約55℃の温度まで上げられてもよい。
【0063】
代替的に、生体触媒は、生物変換ブロスのpHを、例えば水酸化ナトリウムを使用し、約10~11まで上げることによって不活性化されてもよい。このことは、例えば、生体触媒を加熱によって不活性化することと比較するとエネルギーの消費および時間の損失を低減し、綿状沈殿(濾過を妨げることがある)を低減し、悪臭の問題を低減し、および/またはエタノールに不溶性である主に無機不純物(濾過によって排除されてもよい)を残すことがある。
【0064】
したがって、本明細書に記載の精製方法を経る粗製の(-)-アンブロックスは、生体触媒不活化を受け、無傷細胞が実質的にないかまたは完全にないものもある。
【0065】
(-)-アンブロックスが、生物変換ブロスの微粒子材料から(例として、濾過によって)分離された後、粗製の(-)-アンブロックスに存在するいずれの水性材料も、細胞が本来培養されていたブロスからの残渣であり得る。粗製の(-)-アンブロックスは、例えば、本明細書に記載の精製方法に先立ち、水を使用するさらなる予備精製洗浄ステップを経てもよい。水での追加の予備精製洗浄ステップ後、粗製の(-)-アンブロックスに存在するいずれかの水性材料は、水であってもよい。
【0066】
粗製の(-)-アンブロックスは、例えば、粗製の(-)-アンブロックスの乾燥含量に基づき、約99wt%と等しいかまたはこれ未満の(-)-アンブロックスを含んでいてもよい。例えば、粗製の(-)-アンブロックスは、粗製の(-)-アンブロックスの乾燥含量に基づき、約98wt%と等しいかもしくはこれ未満、または約97wt%と等しいかもしくはこれ未満、または約96wt%と等しいかもしくはこれ未満、または約95wt%と等しいかもしくはこれ未満の(-)-アンブロックスを含んでいてもよい。
【0067】
粗製の(-)-アンブロックスは、例えば、粗製の(-)-アンブロックスの乾燥含量に基づき、約80wt%と等しいかまたはこれより多い(-)-アンブロックスを含んでいてもよい。例えば、粗製の(-)-アンブロックスは、粗製の(-)-アンブロックスの乾燥含量に基づき、約81wt%と等しいかもしくはこれより多い、または約82wt%と等しいかもしくはこれより多い、または約83wt%と等しいかもしくはこれより多い、または約84wt%と等しいかもしくはこれより多い、または約85wt%と等しいかもしくはこれより多い、または約86wt%と等しいかもしくはこれより多い、または約87wt%と等しいかもしくはこれより多い、または約88wt%と等しいかもしくはこれより多い、または約89wt%と等しいかもしくはこれより多い、または約90wt%と等しいかもしくはこれより多い、または約91wt%と等しいかもしくはこれより多い、または約92wt%と等しいかもしくはこれより多い、または約93wt%と等しいかもしくはこれより多い、または約94wt%と等しいかもしくはこれより多い、または約95wt%と等しいかもしくはこれより多い(-)-アンブロックスを含んでいてもよい。
【0068】
例えば、粗製の(-)-アンブロックスは、粗製の(-)-アンブロックスの乾燥含量に基づき、約80wt%から約99wt%まで、または約85wt%から約97wt%まで、または約90wt%から約95wt%まで、または約93wt%から約97wt%までの(-)-アンブロックスを含んでいてもよい。
【0069】
粗製の(-)-アンブロックスは、例えば、粗製の(-)-アンブロックスの乾燥含量に基づき、約1wt%と等しいかまたはこれより多い総不純物を含んでいてもよい。例えば、粗製の(-)-アンブロックスは、粗製の(-)-アンブロックスの乾燥含量に基づき、約2wt%と等しいかもしくはこれより多いか、または約3wt%と等しいかもしくはこれより多いか、または約4wt%と等しいかもしくはこれより多いか、または約5wt%と等しいかもしくはこれより多い、総不純物を含んでいてもよい。
【0070】
粗製の(-)-アンブロックスは、例えば、粗製の(-)-アンブロックスの乾燥含量に基づき、約20wt%と等しいかまたはこれ未満の総不純物を含んでいてもよい。例えば、粗製の(-)-アンブロックスは、粗製の(-)-アンブロックスの乾燥含量に基づき、約19wt%と等しいかもしくはこれ未満、または約18wt%と等しいかもしくはこれ未満、または約17wt%と等しいかもしくはこれ未満、または約16wt%と等しいかもしくはこれ未満、または約15wt%と等しいかもしくはこれ未満、または約14wt%と等しいかもしくはこれ未満、または約13wt%と等しいかもしくはこれ未満、または約12wt%と等しいかもしくはこれ未満、または約11wt%と等しいかもしくはこれ未満、または約10wt%と等しいかもしくはこれ未満、または約9wt%と等しいかもしくはこれ未満、または約8wt%と等しいかもしくはこれ未満、または約7wt%と等しいかもしくはこれ未満、または約6wt%と等しいかもしくはこれ未満の総不純物を含んでいてもよい。
【0071】
例えば、粗製の(-)-アンブロックスは、粗製の(-)-アンブロックスの乾燥含量に基づき、約1wt%から約20wt%まで、または約2wt%から約15wt%まで、または約3wt%から約10wt%までの総不純物を含んでいてもよい。
【0072】
粗製の(-)-アンブロックスの乾燥含量は、含水量が差し引かれた後に残存する材料である。例えば、カール・フィッシャー(Karl-Fischer)滴定によって測定された25%の含水量は、75%の乾燥含量と同等と見なす。乾燥含量は固体であるが、少量の油状残渣が存在していてもよい。油状残渣は、例えば、本明細書の表2に記載のとおりの式(II)、(III)、および/または(IV)で表される1以上の化合物、あるいは未反応のいずれのホモファルネソールであってもよい。
【0073】
粗製の(-)-アンブロックスは、例えば、水を含んでいてもよい。代替的に、粗製の(-)-アンブロックスは、乾燥していてもよい(すなわち、すこしの水も含まない)。水を粗製の(-)-アンブロックスから除去することは、粗製の材料における細菌の成長およびオフノートの産生を回避するのに有利なこともある。
【0074】
粗製の(-)-アンブロックスは、例えば、粗製の総(-)-アンブロックスの湿重量に基づき、約2wt%と等しいかまたはこれより多い水を含んでいてもよい。例えば、粗製の(-)-アンブロックスは、粗製の総(-)-アンブロックスの湿重量に基づき、約5wt%と等しいかもしくはこれより多いか、または約10wt%と等しいかもしくはこれより多いか、または約15wt%と等しいかもしくはこれより多いか、または約20wt%と等しいかもしくはこれより多い水を含んでいてもよい。
【0075】
粗製の(-)-アンブロックスは、例えば、粗製の総(-)-アンブロックスの湿重量に基づき、約50wt%と等しいかまたはこれ未満の水を含んでいてもよい。例えば、粗製の(-)-アンブロックスは、粗製の総(-)-アンブロックスの湿重量に基づき、約45wt%と等しいかもしくはこれ未満、または約40wt%と等しいかもしくはこれ未満、または約35wt%と等しいかもしくはこれ未満、または約30wt%と等しいかもしくはこれ未満、または約25wt%と等しいかもしくはこれ未満、または約20wt%と等しいかもしくはこれ未満の水を含んでいてもよい。
【0076】
例えば、粗製の(-)-アンブロックスは、粗製の総(-)-アンブロックスの湿重量に基づき、約2wt%から約50wt%まで、または約10wt%から約25wt%まで、または約20wt%から約25wt%までの水を含んでいてもよい。
【0077】
粗製の(-)-アンブロックスは、例えば、粗製の総(-)-アンブロックスの湿重量に基づき、約50wt%と等しいかまたはこれより多い総乾燥含量を含んでいてもよい。例えば、粗製の(-)-アンブロックスは、粗製の総(-)-アンブロックスの湿重量に基づき、約55wt%と等しいかもしくはこれより多いか、または約60wt%と等しいかもしくはこれより多いか、または約65wt%と等しいかもしくはこれより多いか、または約70wt%と等しいかもしくはこれより多い総乾燥含量を含んでいてもよい。
【0078】
粗製の(-)-アンブロックスは、例えば、粗製の総(-)-アンブロックスの湿重量に基づき、約100wt%と等しいかもしくはこれ未満、または約99wt%と等しいかもしくはこれ未満、または約98wt%と等しいかもしくはこれ未満、または約95wt%と等しいかもしくはこれ未満、または約90wt%と等しいかもしくはこれ未満、または約85wt%と等しいかもしくはこれ未満、または約80wt%と等しいかもしくはこれ未満、または約75wt%と等しいかもしくはこれ未満の総乾燥含量を含んでいてもよい。
【0079】
例えば、粗製の(-)-アンブロックスは、粗製の総(-)-アンブロックスの湿重量に基づき、約50wt%から約100wt%まで、または約60wt%から約98wt%まで、または約70wt%から約95wt%まで、または約75wt%から約90wt%までの総乾燥含量を含んでいてもよい。
【0080】
例えば、粗製の(-)-アンブロックスは、約70wt%から約75wt%までの乾燥材料、および約20wt%から約25wt%までの水を含んでいてもよい。粗製の(-)-アンブロックスにおける乾燥残量は、約5wt%から約10wt%までの不純物を含んでいてもよい。
【0081】
本明細書に記載の方法は、E,E-ホモファルネソールを(-)-アンブロックスへ変換するスクアレンホペンシクラーゼ/ホモファルネソールアンブロックスシクラーゼ(SHC/HAC)酵素を使用する生物変換プロセスによって作製された粗製の(-)-アンブロックスを精製するのに殊更好適である。用語「SHC/HAC酵素」は、野生型SHC/HAC酵素と野生型SHC/HAC酵素のバリアントとの両方を包含する。(-)-アンブロックスを、SHC酵素を使用する生体触媒によるプロセスによって調製するのに好適な方法は、例えば、WO 2016/170106、WO 2016/170099、WO 2017/182542、WO 2018/157021、およびEichhorn et al.(2018),Adv.Synth.Catal.,360:2339-2351に記載されており、これらの内容は参照により本明細書に組み込まれる。いずれの好適な生物変換方法も、粗製の(-)-アンブロックスを作製するのに使用されてもよい。好適なSHC/HAC酵素は、これらに限定されないが、WO 2016/170099の表13および14に開示されたもの、例えば、SHC/HAC酵素215G2 SHCを包含する。
【0082】
粗製の(-)-アンブロックスは、宿主細胞を培養してSHC/HAC酵素を産生させること、ならびに3E,7E-ホモファルネソールの(-)-アンブロックスへの変換を促進するのに好適な条件下で、宿主細胞および/または宿主細胞によって産生されたSHC/HAC酵素を、3E,7E-ホモファルネソールと接触させることを含む方法によって作製されてもよい。
【0083】
宿主細胞は生物変換ステップを開始する前、培養されることで充分な生体触媒を創出し、集菌されて洗浄され(および任意に、保管され(例として、冷蔵され、凍結され、または凍結乾燥され))てもよい。
【0084】
ある態様において、(-)-アンブロックスは、WO 2016/170106、WO 2016/170099、および/またはWO 2017/182542に記載のとおり、固体の形態であるが、これらの内容は参照により本明細書に組み込まれる。
その水への極めて低い可溶性に起因して、(-)-アンブロックスは、生物変換プロセスの最中ブロス中で結晶化する。これは、E,E-ホモファルネソール変換率が約50%を超えたらすぐに生じる。
【0085】
ある態様において、生物変換反応に続き(すなわち、生物変換プロセス最中の最初の結晶化後)、粗製の(-)-アンブロックスを精製するために再結晶化ステップ(すなわち、(-)-アンブロックス結晶を可溶化させ、次いで(-)-アンブロックスを再結晶化することを含むステップ)は要されない。
【0086】
ホモファルネソールは、下に示されるとおりの異性(isomerism)を有していてもよい。
表1.ホモファルネソール異性体
【表1】
【0087】
ホモファルネソールは、4つの異性体、(3Z,7Z)、(3E,7Z)、(3Z,7E)、および(3E,7E)異性体の混合物として存在することもあるが、WO 2016/170099の図12は、EEHが(野生型SHC/HACおよび/またはSHC/HACバリアントでの生物変換のために)出発材料として使用されたときに産生された反応産物((-)-アンブロックスおよび化合物(IV))、ならびにEE:EZが出発材料として使用されたときに産生された反応産物((-)-アンブロックスおよび化合物(II)、(III)、および(IV)(表2を見よ))を示す。容易に参照できるように、化合物(I)~(IV)は、下の表2に同定されている。Eichhorn et al.(2018),Adv.Synth.Catal.,360:2339-2351のスキーム2もまた、(E,Z)異性体(3Z,7Eホモファルネソール異性体に対応する)が化合物(II)および(III)のみを産生するが、(-)-アンブロックスは産生しないことを実証する。
【0088】
本明細書に使用されるとき、(3E,7E)-ホモファルネソールへの言及は、E,E-ホモファルネソールへの言及であって、これはまたEEHとも指定される。
【0089】
(-)-アンブロックスを調製するための本明細書に記載のプロセス用の出発材料は、例えば、(3E,7E)-ホモファルネソール、または(3E,7E)-ホモファルネソールを含む混合物、例えば、(3E,7E)-ホモファルネソールを含むホモファルネソール異性体の混合物であってもよい。
【0090】
好ましくは、ホモファルネソール出発材料は、本明細書中EE:EZ異性体混合物と称される、(3E,7E)と(3Z,7E)との混合物を含む。ホモファルネソールのEE:EZ異性体混合物は35826-67-6のCAS番号を有する。
【化2】
【0091】
例えば、EEH:EZHの重量比は、約100:00;99:01 ;98:02;97:03;96:04;95:05;94:06;93:07;92:08;91:09;90:10;89:11;88:12;87:13;86:14;85:15;84:16;83:17;82:18;81:19;80:20;79:21;78:22;77:23;76:24;75:25;74:26;73:27;72:28;71:29;70:30;69:31: 68:32;67:33;66:34;65:35;64:36;63:37;62:38: 61:39;60:40;59:41;58:42;57:43;56:44;55:45: 54:46;53:47: 52:48;51:49;または約50:50である。例えば、ホモファルネソール出発材料は、86:14のEE:EZ重量比を含む。例えば、ホモファルネソール出発材料は、80:20のEE:EZ重量比を含む。
【0092】
存在するホモファルネソール異性体の数は、反応スピードに影響を及ぼすことがある。SHC/HAC酵素は、E,E-ホモファルネソールを、ホモファルネソール異性体(例として、EE:EZ:ZE:ZZ)の複合混合物から、(-)-アンブロックスへ変換することが可能なこともある。しかしながら、より低い変換率が観察されることもあり、このことは、EEH以外のホモファルネソール異性体が、SHC/HAC酵素活性部位への接近についてEEHと競合し得、ひいてはEEHの(-)-アンブロックスへの変換のための競合インヒビターとして作用し得るか、および/または代替の基質としてもまた作用し得るという見解と一致する(例えば、Eichhorn et al(2018) Adv.Synth.Catal.360:2339-2351を見よ、この内容は参照によりここに組み込まれる)。結果的に、ホモファルネソール基質は、2~4異性体、好ましくは2異性体の異性体混合物を含んでいてもよい。
【0093】
ホモファルネソール(例として、EEH)出発材料はすべてが、(-)-アンブロックスまたは反応の副産物へ変換されなくてもよい。いずれの未反応のホモファルネソールも、例えば、粗製の(-)-アンブロックスの精製に先立ち、濾過によって除去されてもよい。しかしながら、粗製の(-)-アンブロックスは、少量のホモファルネソール(例として、EEH)を含んでいてもよい。
【0094】
例えば、粗製の(-)-アンブロックスは、約0.05wt%と等しいかもしくはこれより多いホモファルネソールを含んでいてもよい。例えば、粗製の(-)-アンブロックスは、粗製の(-)-アンブロックスの乾燥含量に基づき、約0.1wt%と等しいかもしくはこれより多い、または約0.5wt%と等しいかもしくはこれより多い、または約1wt%と等しいかもしくはこれより多い、または約2wt%と等しいかもしくはこれより多いホモファルネソールを含んでいてもよい。
【0095】
例えば、粗製の(-)-アンブロックスは、粗製の(-)-アンブロックスの乾燥含量に基づき、約5wt%と等しいかもしくはこれ未満のホモファルネソールを含んでいてもよい。例えば、粗製の(-)-アンブロックスは、粗製の(-)-アンブロックスの乾燥含量に基づき、約4wt%と等しいかもしくはこれ未満、または約3wt%と等しいかもしくはこれ未満のホモファルネソールを含んでいてもよい。
【0096】
例えば、粗製の(-)-アンブロックスは、粗製の(-)-アンブロックスの乾燥含量に基づき、約0.05wt%から約5wt%まで、または約0.1wt%から約4wt%まで、または約0.5wt%から約2wt%までのホモファルネソールを含んでいてもよい。
【0097】
本明細書に記載の生物変換方法は、式(I)で表される(-)-アンブロックスを、下に示される式(II)、(III)、および(IV)で表される化合物などの1以上の副産物と一緒に産生することもある、
表2.式(I)、(II)、(III)、および(IV)で表される化合物に係る命名法
【表2】
【0098】
したがって、粗製の(-)-アンブロックスは、式(II)、(III)、および/または(IV)で表される1以上の化合物を含んでいてもよい。
【0099】
例えば、粗製の(-)-アンブロックスは、粗製の(-)-アンブロックスの乾燥含量に基づき、約1wt%と等しいかもしくはこれより多い式(II)、(III)、および/または(IV)で表される総化合物を含んでいてもよい。例えば、粗製の(-)-アンブロックスは、粗製の(-)-アンブロックスの乾燥含量に基づき、約2wt%と等しいかもしくはこれより多い、または約3wt%と等しいかもしくはこれより多い、または約4wt%と等しいかもしくはこれより多い、または約5wt%と等しいかもしくはこれより多い、または約6wt%と等しいかもしくはこれより多い、または約7wt%と等しいかもしくはこれより多い、または約8wt%と等しいかもしくはこれより多い式(II)、(III)、および/または(IV)で表される総化合物を含んでいてもよい。
【0100】
例えば、粗製の(-)-アンブロックスは、粗製の(-)-アンブロックスの乾燥含量に基づき、約15wt%と等しいかもしくはこれ未満の式(II)、(III)、および/または(IV)で表される総化合物を含んでいてもよい。例えば、粗製の(-)-アンブロックスは、粗製の(-)-アンブロックスの乾燥含量に基づき、約14wt%と等しいかもしくはこれ未満、または約13wt%と等しいかもしくはこれ未満、または約12wt%と等しいかもしくはこれ未満、または約11wt%と等しいかもしくはこれ未満、または約10wt%と等しいかもしくはこれ未満の式(II)、(III)、および/または(IV)で表される総化合物を含んでいてもよい。
【0101】
例えば、粗製の(-)-アンブロックスは、粗製の(-)-アンブロックスの乾燥含量に基づき、約1wt%から約15wt%まで、または約3wt%から約12wt%まで、または約5wt%から約10wt%までの式(II)、(III)、および/または(IV)で表される総化合物を含んでいてもよい。
【0102】
平均すると、粗製の(-)-アンブロックスは、例えば、約73.5wt%(-)-アンブロックス、2.5wt%(連産品・副産物 - 化合物(II)、(III)、および(IV)とホモファルネソール出発材料との和)、3wt%外部からのアルコール不溶性材料(GC分析によって検出されない)、および21wt%水を含んでいてもよい。
【0103】
粗製の(-)-アンブロックスは典型的には、1.5~2.0wt%の連産品・副産物(III)(9エピ-アンブロックス)、ならびに0.25~0.5%の各連産品・副産物(II)および(IV)を含有する。
【0104】
粗製の(-)-アンブラ-オキシドの出発材料
本明細書に使用されるとき、用語「(-)-アンブラ-オキシド」は、下の式(X)で表される化合物を指す。(-)-アンブラ-オキシドは、例えば、下の式(XI)、(XII)、または(XIII)で表される1以上の副産物と組み合わせて、作製されてもよい。
【表3】
【0105】
(-)-アンブラ-オキシドは、Bolster et al.,Tetrahedron,2002,58(26),pages 5275-5285に記載のとおり、(+)-ラリキソール(Larixol)から産生され得る。
【0106】
(-)-アンブラ-オキシドはまた、SHC/HAC酵素(これは、野生型SHC/HAC酵素または野生型SHC/HAC酵素のバリアントであってもよい)を使用し、E,E-ビスホモファルネソール(ビスEEH)またはビスEEHを含むビスホモファルネソールの異性体の混合物を、(-)-アンブラ-オキシドまたは(-)-アンブラ-オキシドを含む混合物へ酵素的に変換することによっても産生され得る。
【0107】
「粗製の(-)-アンブラ-オキシド」とは、(-)-アンブラ-オキシドおよび不純物を含む材料を意味する。本明細書に使用されるとき、用語「不純物」は、(-)-アンブラ-オキシドではない、固体または液体のいずれの材料も指す。これは、例えば、(-)-アンブラ-オキシド(例として、ビスホモファルネソール)の産生のための未反応の出発材料、(-)-アンブラ-オキシド(例として、式(XI)、(XII)、および/または(XIII)で表される化合物)を産生する反応の副産物、溶媒(水、水混和性溶媒、および有機溶媒など)に不溶性の微粒子材料、細胞、細胞のデブリ、および様々な不純物、例えばエタノールに不溶性の不純物(沈殿した無機塩およびタンパク質など)を包含する。
【0108】
したがって、「(-)-アンブラ-オキシドを精製する」とは、粗製の(-)-アンブラ-オキシド中の不純物を除去およびその量を低減する方法を意味する。
【0109】
粗製の(-)-アンブラ-オキシドは、E,E-ビスホモファルネソールを(-)-アンブラ-オキシドへ変換するスクアレンホペンシクラーゼ/ホモファルネソールアンブロックスシクラーゼ(SHC/HAC)酵素(これは野生型酵素および野生型酵素のバリアントを包含する)を使用する生物変換プロセスによって調製されたものであってもよい。生物変換プロセス(例えば、本明細書に記載のとおりの)からもたらされる生物変換ブロスは一般に、(-)-アンブラ-オキシドを含有する固体相と、水および/または油性相を含有する液体相(単数もしくは複数)とを含んでいてもよく、これらは、残余の未反応出発材料および他の油状のもしくは油可溶性の不純物または副産物を含有していてもよい。粗製の(-)-アンブラ-オキシドの調製のための生物変換プロセスは、例えば、(-)-アンブロックスに関して上に記載されたのと同じ方法を使用して実施されてもよい。
【0110】
用語「粗製の(-)-アンブラ-オキシド」は、本明細書に記載の精製方法に先立ち、予備精製ステップにおいて(例として、濾過によって)生物変換ブロスから分離される材料を指してもよい。分離は、例えば、(-)-アンブロックスに関して記載されたのと同じ方法を使用して実施されてもよい。
【0111】
粗製の3a-エチル-6,6,9a-トリメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランの出発材料
3a-エチル-6,6,9a-トリメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フラン(アンブロックスの融点よりおよそ10℃低いおよそ61℃の融点を有するアンブロックスのエチル類似体)は、下の式(XX)、
【化3】

に示される構造の相対立体配置を有する。
【0112】
式(XX)で表される化合物は数多のキラル炭素原子を含有しており、ひいては式(XX)で表される化合物の1以上の立体異性体(鏡像異性体およびジアステレオマーを包含する)もまた存在することがある。式(XX)で表される化合物は、例えば、式(XX)で表される化合物の立体異性体の1以上と組み合わせて作製されてもよい。
【0113】
3a-エチル-6,6,9a-トリメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランは、SHC/HAC酵素(これは野生型SHC/HAC酵素または野生型SHC/HAC酵素のバリアントであってもよい)を使用して、下の式(XXII)、
【化4】

で表されるエチルホモファルネソールまたはエチルホモファルネソールの異性体の混合物を、3a-エチル-6,6,9a-トリメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランまたは3a-エチル-6,6,9a-トリメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランを含む混合物へ酵素的に変換することによって産生され得る。
【0114】
「粗製の3a-エチル-6,6,9a-トリメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フラン」とは、3a-エチル-6,6,9a-トリメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランおよび不純物を含む材料を意味する。本明細書に使用されるとき、用語「不純物」は、3a-エチル-6,6,9a-トリメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランではない、固体または液体のいずれの材料も指す。これは、例えば、3a-エチル-6,6,9a-トリメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フラン(例として、エチルホモファルネソール)の産生のための未反応の出発材料、3a-エチル-6,6,9a-トリメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フラン(例として、式(XXI)で表される化合物)を産生する反応の副産物、溶媒(水、水混和性溶媒、および有機溶媒など)に不溶性の微粒子材料、細胞、細胞のデブリ、および様々な不純物、例えばエタノールに不溶性の不純物(沈殿した無機塩およびタンパク質など)を包含する。
【0115】
したがって、「3a-エチル-6,6,9a-トリメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランを精製する」とは、粗製の3a-エチル-6,6,9a-トリメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フラン中の不純物を除去およびその量を低減する方法を意味する。
【0116】
粗製の3a-エチル-6,6,9a-トリメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランは、エチルホモファルネソールを3a-エチル-6,6,9a-トリメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランへ変換するスクアレンホペンシクラーゼ/ホモファルネソールアンブロックスシクラーゼ(SHC/HAC)酵素(これは野生型酵素および野生型酵素のバリアントを包含する)を使用する生物変換プロセスによって調製されたものであってもよい。生物変換プロセス(例えば、本明細書に記載のとおりの)からもたらされる生物変換ブロスは一般に、3a-エチル-6,6,9a-トリメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランを含有する固体相と、水および/または油性相を含有する液体相(単数もしくは複数)とを含んでいてもよく、これらは、残余の未反応出発材料および他の油状のもしくは油可溶性の不純物または副産物を含有していてもよい。粗製の3a-エチル-6,6,9a-トリメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フランの調製のための生物変換プロセスは、例えば、(-)-アンブロックスに関して上に記載されたのと同じ方法を使用して実施されてもよい。
【0117】
用語「粗製の3a-エチル-6,6,9a-トリメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フラン」は、本明細書に記載の精製方法に先立ち、予備精製ステップにおいて(例として、濾過によって)生物変換ブロスから分離される材料を指してもよい。分離は、例えば、(-)-アンブロックスに関して記載されたのと同じ方法を使用して実施されてもよい。
【0118】
粗製の(+)-アンベルケタールの出発材料
(+)-アンベルケタールは、下の式(XXX)
【化5】

に示される構造の相対立体配置を有し、式中Rは、メチルである。
【0119】
式(XXX)で表される化合物は数多のキラル炭素原子を含有しており、ひいては式(XXX)で表される化合物の1以上の立体異性体(鏡像異性体およびジアステレオマーを包含する)もまた存在することがある。式(XXX)で表される化合物は、例えば、式(XXX)で表される化合物の立体異性体の1以上と組み合わせて作製されてもよい。
【0120】
(+)-アンベルケタールは、SHC/HAC酵素(これは、野生型SHC/HAC酵素または野生型SHC/HAC酵素のバリアントであってもよい)を使用して、下の式(XXXI)、
【化6】

で表されるヒドロキシファルネシルアセトンまたはヒドロキシファルネシルアセトンの異性体の混合物を、(+)-アンベルケタールまたは(+)-アンベルケタールを含む混合物へ酵素的に変換することによって産生され得る。
【0121】
式XXXで表される化合物はまた、式(XXXIa)、
【化7】

(式中Rは、H、メチル、またはエチルである)
で表される化合物を、スクアレン-ホペンシクラーゼ(SHC)酵素または酵素バリアントと接触させることを含む方法によっても産生されてもよい。
【0122】
「粗製の(+)-アンベルケタール」とは、(+)-アンベルケタールおよび不純物を含む材料を意味する。本明細書に使用されるとき、用語「不純物」は、(+)-アンベルケタールではない、固体または液体のいずれの材料も指す。これは、例えば、(+)-アンベルケタール(例として、ヒドロキシファルネシルアセトン)の産生のための未反応の出発材料、(+)-アンベルケタールを産生する反応の副産物、溶媒(水、水混和性溶媒、および有機溶媒など)に不溶性の微粒子材料、細胞、細胞のデブリ、および様々な不純物、例えばエタノールに不溶性の不純物(沈殿した無機塩およびタンパク質など)を包含する。
【0123】
したがって、「(+)-アンベルケタールを精製する」とは、粗製の(+)-アンベルケタール中の不純物を除去およびその量を低減する方法を意味する。
【0124】
粗製の(+)-アンベルケタールは、ヒドロキシファルネシルアセトンを(+)-アンベルケタールへ変換するスクアレンホペンシクラーゼ/ホモファルネソールアンブロックスシクラーゼ(SHC/HAC)酵素(これは野生型酵素および野生型酵素のバリアントを包含する)を使用する生物変換プロセスによって調製されたものであってもよい。生物変換プロセス(例えば、本明細書に記載のとおりの)からもたらされる生物変換ブロスは一般に、(+)-アンベルケタールを含有する固体相と、水および/または油性相を含有する液体相(単数もしくは複数)とを含んでいてもよく、これらは、残余の未反応出発材料および他の油状のもしくは油可溶性の不純物または副産物を含有していてもよい。粗製の(+)-アンベルケタールの調製のための生物変換プロセスは、例えば、(-)-アンブロックスに関して上に記載されたのと同じ方法を使用して実施されてもよい。
【0125】
用語「粗製の(+)-アンベルケタール」は、本明細書に記載の精製方法に先立ち、予備精製ステップにおいて(例として、濾過によって)生物変換ブロスから分離される材料を指してもよい。分離は、例えば、(-)-アンブロックスに関して記載されたのと同じ方法を使用して実施されてもよい。
【0126】
洗浄すること
本明細書に提供される方法は、複数の洗浄ステップを含む。
「洗浄すること」とは、フレーバーもしくは香料もしくは化粧品の成分または中間体を含む固体材料、例えば(-)-アンブロックスを含む固体材料が、液体と接触することで1以上の不純物が除去されることを意味する。例えば、ステップ(a)において、液体は、水性酸であってもよい。例えば、ステップ(b)において、液体は、水性アルカリであってもよい。例えば、ステップ(c)において、液体は、水性界面活性剤であってもよい。
【0127】
固体材料を液体と接触させることは、1以上の不純物を液体に溶解し得ることで、これらがフレーバーもしくは香料もしくは化粧品の成分または中間体を含む固体材料、例えば(-)-アンブロックスを含む固体材料から分離され得る。とりわけ、固体材料を水性酸と接触させることは、1以上の不純物を水性酸に溶解し得ることで、これらが(-)-アンブロックスを含む固体材料から分離され得る。
【0128】
固体材料を水性界面活性剤と接触させることは、1以上の不純物を液体に懸濁させるようにし得ることで、これらがフレーバーもしくは香料もしくは化粧品の成分または中間体を含む固体材料、例えば(-)-アンブロックスを含む固体材料から分離され得る。
固体材料を水性アルカリと接触させることは、例えば、水性酸の洗浄ステップから存在するいずれかの残余酸を中性化してもよい。
【0129】
洗浄することは、液体を、フレーバーもしくは香料もしくは化粧品の成分または中間体を含む固体材料、例えば(-)-アンブロックスを含む固体材料の表面にわたり分配すること(dispensing)によって起こってもよい。次いで液体は、フレーバーもしくは香料もしくは化粧品の成分または中間体を含む固体材料、例えば(-)-アンブロックスを含む固体材料を通過させて、例えば、自然にまたは圧力もしくは真空を使用し、除去されてもよい。
【0130】
洗浄することは、例えば、液体を、フレーバーもしくは香料もしくは化粧品の成分または中間体を含む固体材料、例えば(-)-アンブロックスを含む固体材料と混合することを含んでいてもよい。このことは、フレーバーもしくは香料もしくは化粧品の成分または中間体を含む固体材料、例えば(-)-アンブロックスを含む固体材料と、および液体との間の接触を最大化するのを助け得る。次いで液体は、フレーバーもしくは香料もしくは化粧品の成分または中間体を含む固体、例えば(-)-アンブロックスを含む固体材料から濾過によって分離されてもよい。
【0131】
とりわけ、各洗浄ステップからもたらされるいずれの濾過ケークも、これに続く洗浄ステップにおいて再懸濁されることで、これに続く洗浄ステップの効率が改善されてもよい。
すべての洗浄ステップは、例えば、単一の(single piece of)機器において起こってもよい。
【0132】
本明細書に記載の方法は、例えば、精製されたフレーバーもしくは香料もしくは化粧品の成分または中間体を乾燥することを、洗浄ステップ後にさらに含んでいてもよく、例えば、精製された(-)-アンブロックスを乾燥することを洗浄ステップ後にさらに含んでいてもよい。乾燥ステップは、例えば、洗浄ステップと同じ機器において起こってもよい。
【0133】
洗浄することおよび/または乾燥することは、例えば、ヌッチェ型攪拌・乾燥フィルターにおいて起こってもよい。これは、濾過機能と乾燥機能との両方を実施し得、かつ槽内部の材料を撹拌するよう作用する回転翼(例として、刃)を含む1つの機器である。回転翼は、シャフトに対して軸が平行および/または垂直にある運動を通して数多の操作を実施し得る。例えば、回転翼は、スラリー内容物をほとんどの母液が濾過されるまで流体化し続け得、ケークを亀裂なく一様に維持するのに役立ち得、濾過ケークを再スラリー化するのに役立ち得、および/または濾過ケークを吐出口へ移動させるのに役立ち得る。典型的なユニットは、有孔プレートをもつ凹面槽からなる。槽全体が、吸着型被覆(limpet jacket)と、被覆された底皿と、撹拌器(刃およびシャフト)とを使用し(これを通して伝熱媒体が流れ得る)、所望の温度にて保たれ得る。槽は、真空または圧力の供給に対して完全に漏れない(leak-proof)ようになされ得る。ヌッチェ型攪拌・乾燥フィルターの乾燥機能は、真空にすることによって起こってもよい。これによって廃液が抜かれ、ケークが、これに続くいずれの洗浄ステップも迎えられるようになる。
【0134】
ヌッチェ型攪拌・乾燥フィルターの使用は、ベルトフィルター(belt filters)などの他のフィルターと比較して利点を提供することがある。とりわけ、ヌッチェ型攪拌・乾燥フィルターの使用は、固体材料の洗浄および再懸濁を改善することがある。例えば、ヌッチェ型攪拌・乾燥フィルターの使用は、他のタイプのフィルター(例として、ベルトフィルター)と比較して、洗浄後の産物中の残余水および/または他の液体材料(ならびに残余水および/または他の液体材料に存在する不純物)の量を低減することがある。
【0135】
各洗浄ステップ(例として、水性酸での洗浄、任意の水性アルカリでの洗浄、水性界面活性剤での洗浄、および/またはいずれの任意の水の洗浄ステップ)は、少なくとも約1:1という、洗浄用液体(例として、水性酸、水性アルカリ、水性界面活性剤、水):乾燥した粗製の材料(例として、乾燥した粗製の(-)-アンブロックス)の重量比を使用してもよい。例えば、各洗浄ステップは、少なくとも約2:1または少なくとも約3:1という、洗浄用液体:乾燥した粗製の材料(例として、乾燥した粗製の(-)-アンブロックス)の重量比を使用してもよい。乾燥した粗製の材料(例として、乾燥した粗製の(-)-アンブロックス)は、既に実施された先のいずれの洗浄ステップの産物であってもよい。
【0136】
各洗浄ステップ(例として、水性酸での洗浄、任意の水性アルカリでの洗浄、水性界面活性剤での洗浄、および/またはいずれの任意の水の洗浄ステップ)は、約10:1と等しいかもしくはこれ未満の、洗浄用液体(例として、水性酸、水性アルカリ、水性界面活性剤、水):乾燥した粗製の材料(例として、乾燥した粗製の(-)-アンブロックス)の重量比を使用してもよい。例えば、各洗浄ステップは、約8:1と等しいかもしくはこれ未満、または少なくとも約6:1、または約5:1と等しいかもしくはこれ未満の、洗浄用液体:乾燥した粗製の材料(例として、乾燥した粗製の(-)-アンブロックス)の重量比を使用してもよい。乾燥した粗製の材料(例として、乾燥した粗製の(-)-アンブロックス)は、既に実施された先のいずれの洗浄ステップの産物であってもよい。
【0137】
例えば、各洗浄ステップ(例として、水性酸での洗浄、任意の水性アルカリでの洗浄、水性界面活性剤での洗浄、および/またはいずれの任意の水の洗浄ステップ)は、約1:1から約10:1まで、または約2:1から約6:1まで、または約3:1から約5:1まで及ぶ、洗浄用液体(例として、水性酸、水性アルカリ、水性界面活性剤、水):乾燥した粗製の材料(例として、乾燥した粗製の(-)-アンブロックス)の重量比を使用してもよい。乾燥した粗製の材料(例として、乾燥した粗製の(-)-アンブロックス)は、既に実施された先のいずれの洗浄ステップの産物であってもよい。
【0138】
各洗浄ステップに使用される洗浄用液体の温度は、例えば、約5℃と等しいかもしくはこれより高くてもよい。各洗浄ステップに使用される洗浄用液体の温度は、例えば、室温を上回る(すなわち、約22℃を上回る)こともある。例えば、水性界面活性剤の温度は、室温を上回ることもある。このことは、例えば、洗浄ステップの効率を改善するのを助けることがある。例えば、各洗浄ステップに使用される洗浄用液体の温度は、約30℃と等しいかもしくはこれより高いか、または約35℃と等しいかもしくはこれより高いか、または約40℃と等しいかもしくはこれより高いこともある。各洗浄ステップの洗浄用液体の温度は、例えば、フレーバーもしくは香料もしくは化粧品の成分または中間体、例えば(-)-アンブロックス(ほぼ72℃~75℃)の融点未満であってもよい。例えば、各洗浄ステップの洗浄用液体の温度は、約75℃と等しいかもしくはこれ未満、または約70℃と等しいかもしくはこれ未満、または約65℃と等しいかもしくはこれ未満、または約60℃と等しいかもしくはこれ未満であってもよい。
【0139】
水性酸の洗浄
酸は、例えば、いずれの好適な酸であってもよい。とりわけ、酸は、1以上の不純物を溶解し、ひいては不純物を固体のフレーバーもしくは香料もしくは化粧品の成分または中間体(例えば、固体の(-)-アンブロックス)から分離できるのに好適ないずれの酸であってもよい。例えば、酸は、弱酸または強酸であってもよい。強酸の例は、これらに限定されないが、0.5~1.0wt%での硫酸または硝酸を包含する。
【0140】
酸は、例えば、鉱酸、スルホン酸、カルボン酸、またはハロゲン化カルボン酸であってもよい。酸は、例えば、酸性フェノール基を含有する化合物であってもよい。
とりわけ、酸は、例えば、弱酸であってもよい。水性溶液中完全に解離する強酸とは反対に、弱酸は水性溶液中部分的にしか解離しない酸である。
【0141】
強酸および弱酸は、pKa値を決定することによって同定されてもよい。水性溶液中解離してイオン(A-およびH+)になる酸(HA)のpKa値は、以下の方程式を使用して決定されてもよい。
pKa = - log10Ka
Ka = [A-] [H+] / [HA]
水性溶液中0未満のpKa値を有する酸は、強酸であると見なされる。水性溶液中0以上のpKa値を有する酸は、弱酸と見なされる。
【0142】
弱酸の例は、例えば、シュウ酸(HO2C2O2H)、亜硫酸(H2SO3)、リン酸(H3PO4)、亜硝酸(HNO2)、ホウ酸(H3BO3)、安息香酸(C6H5COOH)、酢酸(CH3COOH)、プロピオン酸(CH3CH3COOH)、モノクロロ酢酸(ClCH2COOH)、ジクロロ酢酸(Cl2CHCOOH)、トリクロロ酢酸(CCl3CO2H)、モノブロモ酢酸(BrCH2COOH)、ジブロモ酢酸(Br2CHCOOH)、ジフルオロ酢酸(F2CHCOOH)、トリフルオロ酢酸(F3CCOOH)、ギ酸(HCOOH)、乳酸(CH3CH(OH)COOH)、コハク酸((CH2)2(CO2H)2)、尿酸(C5H4N4O3)、リンゴ酸(C4H6O5)、マレイン酸(HO2CCHCHCO2H)、酒石酸(HOOC-CHOH-CHOH-COOH)、グルコン酸(HOCH2-(CHOH)4-COOH)、およびクエン酸(C6H8O7)を包含する。
【0143】
酸は、例えば、有機酸であってもよい。酸は、例えば、カルボン酸であってもよい。
有機酸およびカルボン酸の例は、シュウ酸(HO2C2O2H)、安息香酸(C6H5COOH)、酢酸(CH3COOH)、プロピオン酸(CH3CH3COOH)、ハロ酢酸(例として、モノクロロ酢酸(ClCH2COOH)、ジクロロ酢酸(Cl2CHCOOH)、トリクロロ酢酸(CCl3CO2H)、モノブロモ酢酸(BrCH2COOH)、ジブロモ酢酸(Br2CHCOOH)、ジフルオロ酢酸(C2H2F2O2)、トリフルオロ酢酸(C2HF3O2))、ギ酸(HCOOH)、乳酸(CH3CH(OH)COOH)、コハク酸((CH2)2(CO2H)2)、尿酸(C5H4N4O3)、リンゴ酸(C4H6O5)、マレイン酸(HO2CCHCHCO2H)、酒石酸(HOOC-CHOH-CHOH-COOH)、グルコン酸(HOCH2-(CHOH)4-COOH)、およびクエン酸(C6H8O7)を包含する。
【0144】
酸は、例えば、弱い有機酸であってもよい。酸は、例えば、弱いカルボン酸であってもよい。酸は、例えば、有機カルボン酸であってもよい。酸は、例えば、弱い有機カルボン酸であってもよい。
ある態様において、酸は、クエン酸である。
【0145】
水性酸は、例えば、約0.01wt%と等しいかまたはこれより大きい濃度を有していてもよい。例えば、水性酸は、約0.1wt%と等しいかもしくはこれより大きい、または約0.5wt%と等しいかもしくはこれより大きい、または約1.0wt%と等しいかもしくはこれより大きい、または約1.5wt%と等しいかもしくはこれより大きい、または約2.0wt%と等しいかもしくはこれより大きい、または約2.5wt%と等しいかもしくはこれより大きい濃度を有していてもよい。
【0146】
水性酸は、例えば、約15.0wt%と等しいかまたはこれ未満の濃度を有していてもよい。例えば、水性酸は、約12.5wt%と等しいかもしくはこれ未満、または約10.0wt%と等しいかもしくはこれ未満、または約7.5wt%と等しいかもしくはこれ未満、または約5.0wt%と等しいかもしくはこれ未満、または約4.0wt%と等しいかもしくはこれ未満、または約3.0wt%と等しいかもしくはこれ未満の濃度を有していてもよい。
【0147】
例えば、水性酸は、約0.01wt%から約15.0wt%まで、または約0.5wt%から約10.0wt%まで、または約1.0wt%から約7.5wt%まで、または約2.0wt%から約3.0wt%まで及ぶ濃度を有していてもよい。
【0148】
水性酸は、例えば、約0.01wt%と等しいかまたはこれより大きい濃度を有していてもよい。例えば、水性酸は、約0.1wt%と等しいかもしくはこれより大きい、または約0.5wt%と等しいかもしくはこれより大きい、または約1.0wt%と等しいかもしくはこれより大きい、または約1.5wt%と等しいかもしくはこれより大きい、または約2.0wt%と等しいかもしくはこれより大きい、または約2.5wt%と等しいかもしくはこれより大きい濃度を有していてもよい。水性酸は、例えば、約5.0wt%と等しいかもしくはこれ未満の濃度を有していてもよい。例えば、水性酸は、約4.5wt%と等しいかもしくはこれ未満、または約4.0wt%と等しいかもしくはこれ未満、または約3.5wt%と等しいかもしくはこれ未満、または約3.0wt%と等しいかもしくはこれ未満の濃度を有していてもよい。例えば、水性酸は、約0.01wt%から約5.0wt%まで、または約0.5wt%から約4.0wt%まで、または約1.0wt%から約3.0wt%まで、または約2.0wt%から約3.0wt%まで及ぶ濃度を有していてもよい。
【0149】
水性酸の温度は、例えば、約5℃と等しいかまたはこれより高くてもよい。例えば、水性酸の温度は、約10℃と等しいかもしくはこれより高いか、または約15℃と等しいかもしくはこれより高いか、または約17℃と等しいかもしくはこれより高くてもよい。
【0150】
水性酸の温度は、例えば、約50℃と等しいかまたはこれ未満であってもよい。例えば、水性酸の温度は、約45℃と等しいかもしくはこれ未満、または約40℃と等しいかもしくはこれ未満、または約35℃と等しいかもしくはこれ未満、または約30℃と等しいかもしくはこれ未満、または約25℃と等しいかもしくはこれ未満、または約23℃と等しいかもしくはこれ未満、または約22℃と等しいかもしくはこれ未満、または約21℃と等しいかもしくはこれ未満であってもよい。
【0151】
例えば、水性酸の温度は、約17℃から約50℃まで、または約17℃から約40℃まで、または約17℃から約30℃まで、または約17℃から約25℃まで、または約18℃から約22℃まで、または約20℃から約22℃まで及んでいてもよい。
【0152】
水性酸の温度は、例えば、約17℃と等しいかまたはこれより高くてもよい。例えば、水性酸の温度は、約18℃と等しいかもしくはこれより高いか、または約19℃と等しいかもしくはこれより高いか、または約20℃と等しいかもしくはこれより高くてもよい。水性酸の温度は、例えば、約23℃と等しいかまたはこれ未満であってもよい。例えば、水性酸の温度は、約22℃と等しいかもしくはこれ未満、または約21℃と等しいかもしくはこれ未満であってもよい。例えば、水性酸の温度は、約17℃から約23℃まで、または約18℃から約22℃まで、または約20℃から約22℃まで及んでいてもよい。
【0153】
水性酸で洗浄することは、例えば、次のステップ(例として、水性アルカリで洗浄すること)に先立ち、1回以上反復されてもよい。換言すれば、水性アルカリで洗浄することは、次のステップ(例として、水性アルカリで洗浄すること)の実行に先立ち、2回以上実行されてもよい。
水性酸で洗浄すること反復される場合、水性酸での2回以上の洗浄の間に他の中間ステップがないこともある。
【0154】
水性酸で洗浄することが反復される場合、水性酸での先行する(例として、最初の)洗浄から、少なくとも約90wt%、例えば、少なくとも約95wt%、または少なくとも約98wt%、または少なくとも約99wt%、または100wt%の水性酸が、水性酸での次の(例として、第2の)洗浄を開始するのに先立ち、フレーバーもしくは香料もしくは化粧品の成分または中間体を含む固体材料(例えば、(-)-アンブロックスを含む固体材料)から(例として、濾過によって)分離されてもよい。
【0155】
水性アルカリの洗浄
アルカリは、例えば、いずれの好適なアルカリであってもよい。とりわけ、アルカリは、酸洗浄ステップからのいずれの残余酸を中性化するのに好適ないずれのアルカリであってもよい。例えば、アルカリは、弱アルカリまたは強アルカリであってもよい。
とりわけ、アルカリは、例えば、強アルカリであってもよい。水性溶液中部分的にしか解離しない弱アルカリとは反対に、強アルカリは水性溶液中完全に解離するアルカリである。
【0156】
強アルカリおよび弱アルカリは、pKb値を決定することによって同定されてもよい。水性溶液中解離してイオン(例として、OH-およびB+)になるアルカリ(例として、BOH)のpKb値は、以下の方程式を使用して決定されてもよい。
pKb = - log10Kb
Kb = [B+] [OH-] / [BOH]
水性溶液中0未満のpKb値を有するアルカリは、強アルカリであると見なされる。水性溶液中0以上のpKb値を有するアルカリは、弱アルカリであると見なされる。
【0157】
アルカリは、例えば、水酸化物(すなわち、それが水性溶液中解離したとき水酸化物イオンを放出する)または炭酸塩または炭酸水素塩(重炭酸塩)であってもよい。
アルカリの例は、例えば、水酸化リチウム(LiOH)、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)、炭酸リチウム(Li2CO3)、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、炭酸カリウム(K2CO3)、炭酸カルシウム(CaCO3)、重炭酸リチウム(LiHCO3)、重炭酸ナトリウム(NaHCO3)、重炭酸カリウム(KHCO3)、および重炭酸カルシウム(Ca(HCO3)2)を包含する。
ある態様において、アルカリは、水酸化ナトリウムである。
【0158】
水性アルカリは、例えば、約0.01wt%と等しいかまたはこれより大きい濃度を有していてもよい。例えば、水性アルカリは、約0.1wt%と等しいかもしくはこれより大きいか、または約0.5wt%と等しいかもしくはこれより大きいか、または約1.0wt%と等しいかもしくはこれより大きいか、または約1.5wt%と等しいかもしくはこれより大きいか、または約2.0wt%と等しいかもしくはこれより大きいか、またはと約2.5wt%等しいかもしくはこれより大きい濃度を有していてもよい。
【0159】
水性アルカリは、例えば、約15.0wt%と等しいかまたはこれ未満の濃度を有していてもよい。例えば、水性アルカリは、約12.5wt%と等しいかもしくはこれ未満、または約10.0wt%と等しいかもしくはこれ未満、または約7.5wt%と等しいかもしくはこれ未満、または約5.0wt%と等しいかもしくはこれ未満、または約4.0wt%と等しいかもしくはこれ未満、または約3.0wt%と等しいかもしくはこれ未満の濃度を有していてもよい。
【0160】
例えば、水性アルカリは、約0.01wt%から約15.0wt%まで、または約0.5wt%から約10.0wt%まで、または約1.0wt%から約7.5wt%まで、または約2.0wt%から約3.0wt%まで及ぶ濃度を有していてもよい。
【0161】
水性アルカリは、例えば、約0.01wt%と等しいかまたはこれより大きい濃度を有していてもよい。例えば、水性アルカリは、約0.1wt%またはと等しいかもしくはこれより大きいか、約0.5wt%と等しいかもしくはこれより大きいか、または約1.0wt%と等しいかもしくはこれより大きいか、または約1.5wt%と等しいかもしくはこれより大きいか、または約2.0wt%と等しいかもしくはこれより大きいか、または約2.5wt%と等しいかもしくはこれより大きい濃度を有していてもよい。水性アルカリは、例えば、約5.0wt%と等しいかまたはこれ未満の濃度を有していてもよい。例えば、水性アルカリは、約4.5wt%と等しいかもしくはこれ未満、または約4.0wt%と等しいかもしくはこれ未満、または約3.5wt%と等しいかもしくはこれ未満、または約3.0wt%と等しいかもしくはこれ未満の濃度を有していてもよい。例えば、水性アルカリは、約0.01wt%から約5.0wt%まで、または約0.5wt%から約4.0wt%まで、または約1.0wt%から約3.0wt%まで、または約2.0wt%から約3.0wt%まで及ぶ濃度を有していてもよい。
【0162】
水性アルカリの温度は、例えば、約5℃と等しいかまたはこれより高くてもよい。例えば、水性アルカリの温度は、約10℃と等しいかもしくはこれより高いか、または約15℃と等しいかもしくはこれより高いか、または約20℃と等しいかもしくはこれより高いか、または約25℃と等しいかもしくはこれより高いか、または約30℃と等しいかもしくはこれより高いか、または約35℃と等しいかもしくはこれより高いか、または約36℃と等しいかもしくはこれより高いか、または約37℃と等しいかもしくはこれより高いか、または約38℃と等しいかもしくはこれより高いか、または約40℃と等しいかもしくはこれより高くてもよい。
【0163】
水性アルカリの温度は、例えば、約75℃と等しいかまたはこれ未満であってもよい。例えば、水性アルカリの温度は、約70℃と等しいかもしくはこれ未満、または約65℃と等しいかもしくはこれ未満、または約60℃と等しいかもしくはこれ未満、または約55℃と等しいかもしくはこれ未満、または約50℃と等しいかもしくはこれ未満、または約45℃と等しいかもしくはこれ未満、または約44℃と等しいかもしくはこれ未満、または約43℃と等しいかもしくはこれ未満、または約42℃と等しいかもしくはこれ未満、または約41℃と等しいかもしくはこれ未満であってもよい。
【0164】
例えば、水性アルカリの温度は、約5℃から約75℃まで、または約15℃から約70℃まで、または約20℃から約60℃まで、または約25℃から約50℃まで、または約35℃から約45℃まで、または約38℃から約42℃まで及んでいてもよい。
【0165】
水性アルカリの温度は、例えば、約35℃と等しいかまたはこれより高くてもよい。例えば、水性アルカリの温度は、約36℃と等しいかもしくはこれより高いか、または約37℃と等しいかもしくはこれより高いか、または約38℃と等しいかもしくはこれより高いか、または約39℃と等しいかもしくはこれより高いか、または約40℃と等しいかもしくはこれより高くてもよい。水性アルカリの温度は、例えば、約45℃と等しいかまたはこれ未満であってもよい。例えば、水性アルカリの温度は、約44℃と等しいかもしくはこれ未満、または約43℃と等しいかもしくはこれ未満、または約42℃と等しいかもしくはこれ未満、または約41℃と等しいかもしくはこれ未満であってもよい。例えば、水性アルカリの温度は、約35℃から約45℃まで、または約38℃から約42℃まで及んでいてもよい。
【0166】
水性アルカリで洗浄することは、例えば、次のステップ(例として、水性界面活性剤で洗浄すること)に先立ち、1回以上反復されてもよい。換言すれば、水性アルカリで洗浄することは、次のステップ(例として、水性界面活性剤で洗浄すること)を実行するのに先立ち、2回以上実行されてもよい。
水性アルカリで洗浄することが反復される場合、水性アルカリでの2回以上の洗浄の間に他の中間ステップがないこともある。
【0167】
水性アルカリで洗浄することが反復される場合、水性アルカリでの先行する(例として、最初の)洗浄から、少なくとも約90wt%、例えば、少なくとも約95wt%、または少なくとも約98wt%、または少なくとも約99wt%、または100wt%の水性アルカリが、水性アルカリでの次の(例として、第2の)洗浄を開始するのに先立ち、フレーバーもしくは香料もしくは化粧品の成分または中間体を含む固体材料(例えば、(-)-アンブロックスを含む固体材料)から(例として、濾過によって)分離されてもよい。
【0168】
水性界面活性剤の洗浄
界面活性剤は、例えば、いずれの好適な界面活性剤であってもよい。例えば、界面活性剤は、フレーバーもしくは香料もしくは化粧品の成分または中間体から、例えば(-)-アンブロックスから1以上の不純物を分離するのに好適ないずれの界面活性剤であってもよい。例えば、界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両イオン性界面活性剤、または非イオン性界面活性剤であってもよい。
【0169】
とりわけ、界面活性剤は、例えば、アニオン性界面活性剤であってもよい。アニオン性界面活性剤は、その頭部にてアニオン性官能基を含有する界面活性剤である。アニオン性界面活性剤は、例えば、スルホン酸塩、リン酸塩、硫酸塩、およびカルボン酸塩を包含する。
【0170】
アニオン性界面活性剤の例は、例えば、アルキル硫酸塩(例として、ラウリル硫酸アンモニウム、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS))、アルキルエーテル硫酸塩(例として、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(SLES)、ミリスチル硫酸ナトリウム)、アルキルカルボン酸塩(例として、ステアリン酸ナトリウムなどのステアリン酸塩)、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルエーテルスルホン酸、フッ素化脂肪酸の塩、シリコーン、脂肪アルコール硫酸塩、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテル硫酸塩、アルファ-オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレン脂肪アルコールリン酸エーテル、アルキルアルコールアミド、アルキルスルホン酸アセトアミド、アルキルコハク酸スルホン酸塩、アミノアルコールアルキルベンゼンスルホン酸塩、ナフテン酸塩、アルキルフェノールスルホン酸塩、ジオクチルナトリウムスルホコハク酸塩、ペルフルオロオクタンスルホン酸塩、ペルフルオロブタンスルホン酸塩、アルキル-アリールエーテルリン酸塩、およびアルキルエーテルリン酸塩を包含する。
【0171】
ある態様において、界面活性剤は、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)である。
非イオン性界面活性剤の例は、例えば、ソホロ脂質、脂肪アルコールエトキシル酸塩、アルキルフェノールエトキシル酸塩、脂肪酸エトキシル酸塩、エトキシル酸アミンおよび/または脂肪酸アミド、ポロキサマー、ポリヒドロキシ化合物の脂肪酸エステル、グリセロールの脂肪酸エステル、ソルビトールの脂肪酸エステル、スクロースの脂肪酸エステル、アルキルポリグルコシド、およびアミンオキシドを包含する。
【0172】
水性界面活性剤は、例えば、約0.01wt%と等しいかまたはこれより大きい濃度を有していてもよい。例えば、水性界面活性剤は、約0.05wt%と等しいかもしくはこれより大きいか、または約0.1wt%と等しいかもしくはこれより大きいか、または約0.2wt%と等しいかもしくはこれより大きいか、または約0.3wt%と等しいかもしくはこれより大きいか、または約0.4wt%と等しいかもしくはこれより大きいか、または約0.5wt%と等しいかもしくはこれより大きい濃度を有していてもよい。
【0173】
水性界面活性剤は、例えば、約10.0wt%と等しいかもしくはこれ未満の濃度を有していてもよい。例えば、水性界面活性剤は、約9.0wt%と等しいかもしくはこれ未満、または約8.0wt%と等しいかもしくはこれ未満、または約7.0wt%と等しいかもしくはこれ未満、または約6.0wt%と等しいかもしくはこれ未満、または約5.0wt%と等しいかもしくはこれ未満、または約4.0wt%と等しいかもしくはこれ未満、または約3.0wt%と等しいかもしくはこれ未満、または約2.0wt%と等しいかもしくはこれ未満の濃度を有していてもよい。
【0174】
例えば、水性界面活性剤は、約0.01wt%から約10.0wt%まで、または約0.05wt%から約8.0wt%まで、または約0.1wt%から約6.0wt%まで、または約0.5wt%から約5.0wt%まで、または約0.5wt%から約1.0wt%まで及ぶ濃度を有していてもよい。水性界面活性剤は、例えば、約0.05wt%と等しいかまたはこれより大きい濃度を有していてもよい。例えば、水性界面活性剤は、約0.1wt%と等しいかもしくはこれより大きいか、または約0.2wt%と等しいかもしくはこれより大きいか、または約0.3wt%と等しいかもしくはこれより大きいか、または約0.4wt%と等しいかもしくはこれより大きいか、または約0.5wt%と等しいかもしくはこれより大きい濃度を有していてもよい。水性界面活性剤は、例えば、約5.0wt%と等しいかまたはこれ未満の濃度を有していてもよい。例えば、水性界面活性剤は、約4.0wt%と等しいかもしくはこれ未満、または約3.0wt%と等しいかもしくはこれ未満、または約2.0wt%と等しいかもしくはこれ未満、または約1.0wt%と等しいかもしくはこれ未満の濃度を有していてもよい。例えば、水性界面活性剤は、約0.05wt%から約5.0wt%まで、または約0.2wt%から約4.0wt%まで、または約0.3wt%から約3.0wt%まで、または約0.4wt%から約2.0wt%まで、または約0.5wt%から約1.0wt%まで及ぶ濃度を有していてもよい。
【0175】
水性界面活性剤の温度は、例えば、約5℃と等しいかまたはこれより高くてもよい。例えば、水性界面活性剤の温度は、約10℃と等しいかもしくはこれより高いか、または約15℃と等しいかもしくはこれより高いか、または約20℃と等しいかもしくはこれより高いか、または約25℃と等しいかもしくはこれより高いか、または約30℃と等しいかもしくはこれより高いか、または約35℃と等しいかもしくはこれより高いか、または約40℃と等しいかもしくはこれより高いか、または約45℃と等しいかもしくはこれより高いか、または約50℃と等しいかもしくはこれより高いか、または約55℃と等しいかもしくはこれより高いか、または約60℃と等しいかもしくはこれより高いか、または約62℃と等しいかもしくはこれより高いか、または約64℃と等しいかもしくはこれより高いか、または約65℃と等しいかもしくはこれより高いか、または約66℃と等しいかもしくはこれより高いか、または約68℃と等しいかもしくはこれより高いか、または約70℃と等しいかもしくはこれより高くてもよい。
【0176】
水性界面活性剤の温度は、例えば、約75℃と等しいかまたはこれ未満であってもよい。例えば、水性界面活性剤の温度は、約74℃と等しいかもしくはこれ未満、または約73℃と等しいかもしくはこれ未満、または約72℃と等しいかもしくはこれ未満であってもよい。
例えば、水性界面活性剤の温度は、約5℃から約75℃まで、または約35℃から約75℃まで、または約50℃から約72℃まで、または約60℃から約75℃まで及んでいてもよい。
【0177】
水性界面活性剤の温度は、例えば、約60℃と等しいかまたはこれより高くてもよい。例えば、水性界面活性剤の温度は、約62℃と等しいかもしくはこれより高いか、または約64℃と等しいかもしくはこれより高いか、または約65℃と等しいかもしくはこれより高いか、または約66℃と等しいかもしくはこれより高いか、または約68℃と等しいかもしくはこれより高いか、または約70℃と等しいかもしくはこれより高くてもよい。水性界面活性剤の温度は、例えば、約75℃と等しいかまたはこれ未満であってもよい。例えば、水性界面活性剤の温度は、約74℃と等しいかもしくはこれ未満、または約73℃と等しいかもしくはこれ未満、または約72℃と等しいかもしくはこれ未満であってもよい。例えば、水性界面活性剤の温度は、約60℃から約80℃まで、または約65℃から約75℃まで、または約68℃から約72℃まで及んでいてもよい。
【0178】
水性界面活性剤で洗浄することは、例えば、1回以上反復されてもよい。換言すれば、水性界面活性剤で洗浄することは、2回以上実行されてもよい。
水性界面活性剤で洗浄することが反復される場合、水性界面活性剤での2回以上の洗浄の間に他の中間ステップがなくてもよい。
【0179】
水性界面活性剤で洗浄することが反復される場合、水性界面活性剤での先行する(例として、最初の)洗浄から、少なくとも約90wt%、例えば、少なくとも約95wt%、または少なくとも約98wt%、または少なくとも約99wt%、または100wt%の水性界面活性剤が、水性界面活性剤での次の(例として、第2の)洗浄を開始するのに先立ち、フレーバーもしくは香料もしくは化粧品の成分または中間体を含む固体材料(例えば、(-)-アンブロックスを含む固体材料)から(例として、濾過によって)分離されてもよい。
【0180】
追加の(任意の)ステップ
本明細書に記載の方法は、水性酸で洗浄すること、任意の水性アルカリで洗浄すること、および水性界面活性剤で洗浄することの前および/または後に、1以上のさらなるステップをさらに含んでいてもよい。例えば、本明細書に記載の方法は、任意の水性アルカリで洗浄すること、および水性界面活性剤で洗浄することの前および/または後に、1以上の洗浄ステップをさらに含んでいてもよい。
【0181】
例えば、本明細書に記載の方法は、水性酸で洗浄すること、任意の水性アルカリで洗浄すること、および水性界面活性剤で洗浄することの1以上の間に、水で洗浄することをさらに含んでいてもよい。例えば、本明細書に記載の方法は、水性酸で洗浄すること、任意の水性アルカリで洗浄すること、および/または水性界面活性剤で洗浄することに先立ち、水で洗浄することをさらに含んでいてもよい。例えば、本明細書に記載の方法は、いずれの任意の水性アルカリで洗浄することの後に、水で洗浄することをさらに含んでいてもよい。例えば、本明細書に記載の方法は、水性酸で洗浄することの後に、水で洗浄することをさらに含んでいてもよい。例えば、本明細書に記載の方法は、水性界面活性剤で洗浄することの後に、水で洗浄することをさらに含んでいてもよい。
【0182】
例えば、本明細書に記載の方法は、本明細書に記載の精製方法に先立ち、粗製のフレーバーもしくは香料もしくは化粧品の成分または中間体を水で洗浄することを、最初のステップとして含んでいてもよい。
例えば、本明細書に記載の方法は、本明細書に記載の精製方法に先立ち、粗製の(-)-アンブロックスを水で洗浄することを、最初のステップとして含んでいてもよい。
【0183】
水での追加の各洗浄ステップのための水の温度は、例えば、約5℃と等しいかまたはこれより高くてもよい。例えば、水での追加の各洗浄ステップのための水の温度は、例えば、約10℃と等しいかもしくはこれより高いか、または約15℃と等しいかもしくはこれより高いか、または約20℃と等しいかもしくはこれより高いか、または約25℃と等しいかもしくはこれより高いか、または約30℃と等しいかもしくはこれより高いか、または約35℃と等しいかもしくはこれより高いか、または約40℃と等しいかもしくはこれより高いか、または約45℃と等しいかもしくはこれより高いか、または約50℃と等しいかもしくはこれより高いか、または約55℃と等しいかもしくはこれより高いか、または約60℃と等しいかもしくはこれより高くてもよい。
【0184】
水での追加の各洗浄ステップのための水の温度は、例えば、約75℃と等しいかもしくはこれ未満であってもよく、例えば、水での追加の各洗浄ステップのための水の温度は、例えば、be 約74℃と等しいかもしくはこれ未満、または約73℃と等しいかもしくはこれ未満、または約72℃と等しいかもしくはこれ未満、または約71℃と等しいかもしくはこれ未満、または約70℃と等しいかもしくはこれ未満であってもよい。
【0185】
例えば、水での追加の各洗浄ステップのための水の温度は、約5℃から約75℃まで、または約20℃から約72℃まで、または約25℃から約70℃まで、または約40℃から約70℃まで、または約60℃から約70℃まで及んでいてもよい。
【0186】
例えば、本明細書に記載の方法は、水性アルカリでの洗浄と水性界面活性剤での洗浄との間に、水での洗浄をさらに含んでいてもよい。換言すれば、水性アルカリでの洗浄の産物は、これを水性界面活性剤での洗浄に先立ち、水で1回以上洗浄されてもよい。例えば、水性アルカリでの洗浄の産物は、これを水性界面活性剤での洗浄に先立ち、水で2度洗浄されてもよい。
【0187】
水性界面活性剤での洗浄に先立つ、水性アルカリでの洗浄の産物を洗浄するのに使用される水の温度は、例えば、約17℃と等しいかもしくはこれより高くてもよい。例えば、水の温度は、約18℃と等しいかもしくはこれより高いか、または約19℃と等しいかもしくはこれより高いか、または約20℃と等しいかもしくはこれより高くてもよい。
【0188】
水性界面活性剤での洗浄に先立つ、水性アルカリでの洗浄の産物を洗浄するのに使用される水の温度は、例えば、約23℃と等しいかまたはこれ未満であってもよい。例えば、水の温度は、約22℃と等しいかもしくはこれ未満、または約21℃と等しいかもしくはこれ未満であってもよい。
例えば、水性界面活性剤での洗浄に先立つ、水性アルカリでの洗浄の産物を洗浄するのに使用される水の温度は、約17℃から約23℃まで、または約18℃から約22℃まで、または約20℃から約22℃まで及んでいてもよい。
【0189】
例えば、本明細書に記載の方法は、水性界面活性剤での洗浄後に、水での洗浄をさらに含んでいてもよい。換言すれば、水性界面活性剤での洗浄の産物は、水で1回以上洗浄されてもよい。例えば、水性界面活性剤での洗浄の産物は、水で2回以上、または3回以上、または4回以上洗浄されてもよい。例えば、水性界面活性剤での洗浄の産物は、濾過物が透明になるまで水で洗浄されてもよい。
【0190】
例えば、水性界面活性剤での洗浄の産物は、水で1回以上、例えば2回、約50℃と等しいかもしくはこれより高いかおよび/またはと約70℃等しいかもしくはこれ未満の温度を有する水を使用して洗浄されてもよく、これに続き水で1回以上、例えば2回、約17℃と等しいかもしくはこれより高いかおよび/または約23℃と等しいかもしくはこれ未満の温度を有する水を使用して洗浄されてもよい。約50℃と等しいかもしくはこれより高いかおよび/または約70℃と等しいかもしくはこれ未満の温度を有する水は、例えば、約52℃と等しいかもしくはこれより高いか、または約54℃と等しいかもしくはこれより高いか、または約55℃と等しいかもしくはこれより高いか、または約56℃と等しいかもしくはこれより高いか、または約58℃と等しいかもしくはこれより高いか、または約60℃と等しいかもしくはこれより高い温度を有していてもよい。約50℃と等しいかもしくはこれより高いかおよび/または約70℃と等しいかもしくはこれ未満の温度を有する水は、例えば、約68℃と等しいかもしくはこれ未満、または約66℃と等しいかもしくはこれ未満、または約65℃と等しいかもしくはこれ未満、または約64℃と等しいかもしくはこれ未満、または約62℃と等しいかもしくはこれ未満の温度を有していてもよい。例えば、約50℃と等しいかもしくはこれより高いかおよび/または約70℃と等しいかもしくはこれ未満の温度を有する水は、約50℃から約70℃まで、または約55℃から約65℃まで、または約58℃から約62℃まで及んでいてもよい。約17℃と等しいかもしくはこれより高いかおよび/または約23℃と等しいかもしくはこれ未満の温度を有する水は、例えば、約18℃と等しいかもしくはこれより高いか、または約19℃と等しいかもしくはこれより高いか、または約20℃と等しいかもしくはこれより高い温度を有していてもよい。約17℃と等しいかもしくはこれより高いかおよび/または約23℃と等しいかもしくはこれ未満の温度を有する水は、例えば、約22℃と等しいかもしくはこれ未満、または約21℃と等しいかもしくはこれ未満の温度を有していてもよい。約17℃と等しいかもしくはこれより高いかおよび/または約23℃と等しいかもしくはこれ未満の温度を有する水は、例えば、約17℃から約23℃まで、またはfrom 約18℃から約22℃まで、または約20℃から約22℃まで及ぶ温度を有していてもよい。
【0191】
任意の洗浄ステップに使用される水は、例えば、蒸留水であってもよい。
最終洗浄ステップ(例えば、いずれかの乾燥ステップに先立ち即時の)は、例えば、アルコールと水との混合物、例えばエタノールと水との混合物、例えばエタノールと水との50:50w/w混合物を使用してもよい。
【0192】
洗浄ステップ後、産物は乾燥されることで、精製されたフレーバーもしくは香料もしくは化粧品の成分または中間体が形成されてもよい。例えば、水性界面活性剤での洗浄(およびいずれのさらなる任意のステップ)の産物は、例えば、乾燥されることで、精製されたフレーバーもしくは香料もしくは化粧品の成分または中間体が形成されてもよい。例えば、産物は、すべての洗浄ステップが完了したときに乾燥されてもよい。
【0193】
洗浄ステップ後、産物は乾燥されることで、精製された(-)-アンブロックスが形成されてもよい。例えば、水性界面活性剤での洗浄(およびいずれのさらなる任意のステップ)の産物は、例えば、乾燥されることで、精製された(-)-アンブロックスが形成されてもよい。例えば、産物は、すべての洗浄ステップが完了したときに乾燥されてもよい。
【0194】
精製されたフレーバーもしくは香料もしくは化粧品の成分または中間体の産物
本明細書に記載の方法の産物は、精製されたフレーバーもしくは香料もしくは化粧品の成分または中間体と称されてもよい。本明細書に記載の方法(それらすべての態様を包含する)によって得られるかまたは得ることができる、精製されたフレーバーもしくは香料もしくは化粧品の成分または中間体が本明細書に提供される。
【0195】
精製された(-)-アンブロックス産物
本明細書に記載の方法の産物は、精製された(-)-アンブロックスと称されることもある。本明細書に記載の方法(それらすべての態様を包含する)によって得られるかまたは得ることができる、精製された(-)-アンブロックスが本明細書に提供される。
ある態様において、精製された(-)-アンブロックスは、WO 2017/182542(この内容は参照により本明細書に組み込まれる)に記載のとおり、固体の形態である。
【0196】
精製された(-)-アンブロックスは、例えば、乾燥材料に基づき、約98.0wt%と等しいかまたはこれより大きい(-)-アンブロックスを含んでいてもよい。例えば、精製された(-)-アンブロックスは、乾燥材料に基づき、約98.5wt%と等しいかもしくはこれより大きいか、または約99.0wt%と等しいかもしくはこれより大きい(-)-アンブロックスを含んでいてもよい。精製された(-)-アンブロックスは、例えば、乾燥固体材料に基づき、約99.5wt%と等しいかまたはこれ未満の(-)-アンブロックスを含んでいてもよい。例えば、精製された(-)-アンブロックスは、乾燥固体材料に基づき、約98.0wt%から約99.5wt%まで、または約98.5wt%から約99.5wt%まで、または約99.0wt%から約99.5wt%までの(-)-アンブロックスを含んでいてもよい。
【0197】
式(II)、(III)、および(IV)で表される化合物ならびに未反応のホモファルネソールは、精製された(-)-アンブロックス中に、嗅覚上許容し得る量で存在していてもよい in 。このことは、式(II)、(III)、および(IV)で表される化合物が、それらのにおい検出閾値を下回る量で、または(-)-アンブロックスの嗅覚特徴に影響を及ぼすような形ではその嗅覚特徴に寄与しない量で存在することを意味する。嗅覚上許容し得る量のいずれかのかかる化合物を含有する、精製された(-)-アンブロックスは、スクラレオールからの(ex-sclareol)合成手順によって得られる商用グレードの(-)-アンブロックス(アンブロフィクス(AMBROFIX)(商標)など)のにおい特質を保有するものとして、手慣れた調香師にとっては同定可能であり、かつGivaudanから入手可能である。
【0198】
精製された(-)-アンブロックスは、例えば、乾燥材料に基づき、約0.1wt%と等しいかもしくはこれより大きいか、または約0.2wt%と等しいかもしくはこれより大きい式(II)で表される化合物を含んでいてもよい。精製された(-)-アンブロックスは、例えば、乾燥材料に基づき、約0.4wt%と等しいかもしくはこれ未満、または約0.3wt%と等しいかもしくはこれ未満の式(II)で表される化合物を含んでいてもよい。
【0199】
精製された(-)-アンブロックスは、例えば、乾燥材料に基づき、約0.1wt%と等しいかもしくはこれより大きいか、または約0.2wt%と等しいかもしくはこれより大きい式(III)で表される化合物を含んでいてもよい。精製された(-)-アンブロックスは、例えば、乾燥材料に基づき、約0.4wt%と等しいかもしくはこれ未満、または約0.3wt%と等しいかもしくはこれ未満の式(III)で表される化合物を含んでいてもよい。
【0200】
精製された(-)-アンブロックスは、例えば、乾燥材料に基づき、約0.1wt%と等しいかもしくはこれより大きいか、または約0.2wt%と等しいかもしくはこれより大きい式(IV)で表される化合物を含んでいてもよい。精製された(-)-アンブロックスは、例えば、乾燥固体材料に基づき、約0.8wt%と等しいかもしくはこれ未満、または約0.6wt%と等しいかもしくはこれ未満、または約0.4wt%と等しいかもしくはこれ未満の式(IV)で表される化合物を含んでいてもよい。
【0201】
精製された(-)-アンブロックスは、例えば、乾燥材料に基づき、約0.3wt%と等しいかもしくはこれより大きいか、または約0.4wt%と等しいかもしくはこれより大きいか、または約0.5wt%と等しいかもしくはこれより大きい、式(II)、(III)、および(IV)で表される全化合物を含んでいてもよい。精製された(-)-アンブロックスは、例えば、乾燥材料に基づき、約1.2wt%と等しいかもしくはこれ未満、または約1.0wt%と等しいかもしくはこれ未満、または約0.8wt%と等しいかもしくはこれ未満の、式(II)、(III)、および(IV)で表される全化合物を含んでいてもよい。
【0202】
精製された(-)-アンブロックスは、例えば、乾燥材料に基づき、約0.1wt%と等しいかもしくはこれより大きいか、または約0.2wt%と等しいかもしくはこれより大きいか、または約0.3wt%と等しいかもしくはこれより大きいか、または約0.4wt%と等しいかもしくはこれより大きい未反応ホモファルネソールを含んでいてもよい。精製された(-)-アンブロックスは、例えば、乾燥材料に基づき、約0.8wt%と等しいかもしくはこれ未満、または約0.7wt%と等しいかもしくはこれ未満、または約0.6wt%と等しいかもしくはこれ未満の未反応ホモファルネソール化合物を含んでいてもよい。
精製された(-)-アンブロックスにおける各化合物のwt%は、ガスクロマトグラフィーによって決定されてもよい。
【0203】
本明細書に記載の方法は、粗製の出発材料に基づき、約95mol%と等しいかまたはこれより大きい収率で、(-)-アンブロックスを提供してもよい。例えば、本明細書に記載の方法は、粗製の出発材料に基づき、約96mol%と等しいかもしくはこれより大きいか、または約97mol%と等しいかもしくはこれより大きいか、または約98mol%と等しいかもしくはこれより大きい収率で、(-)-アンブロックスを提供してもよい。例えば、本明細書に記載の方法は、粗製の出発材料に基づき、約100mol%と等しいかもしくはこれ未満、または約99mol%と等しいかもしくはこれ未満の収率で、(-)-アンブロックスを提供してもよい。
【0204】
精製された(-)-アンブロックスは、例えば、X線回折(XRD)によって分析されてもよい。
粉末XRDデータは、当該技術分野において周知である回折計機器を使用する簡単なやり方で収集され得る。
【0205】
粉末XRDパターンは、STOE STADI P X線回折計を使用して取得されてもよい。系の記載:回折計は、位置敏感検出器を使用することによって、透過モード(平坦試料ホルダー、湾曲ゲルマニウム(111)単色光分光器、およびCuKal放射線1.54060オングストローム)で使用した。発電機の電圧は40kVであり、電流は40mAであった。検出器:Mythen IK。実験パラメータ:2シータ=約4?~26?の間でパターン測定をした。決定された回折角の正確性は、およそ+/-2? 2シータである。
【0206】
精製された(-)-アンブロックスは、例えば、回折角2シータにて以下のピーク、約15.6、16.2、16.7、17.0、17.4、18.3+/-0.2?の少なくとも1つを有する粉末X線回折パターンを呈することがある。
固体の形態の精製された(-)-アンブロックスは、例えば、回折角2シータにて以下のピーク、約15.6、16.2、16.7、17.0、17.4、および18.3+/-0.2?を呈する粉末X線回折パターンによって特徴付けられることもある。
【0207】
固体の形態の精製された(-)-アンブロックスは、例えば、実質的には下の図1に描かれるとおりの粉末X線回折パターンによって特徴付けられてもよい。
結晶の形状は、当該技術分野において周知である方法に従う顕微鏡法によって決定され得る。
【0208】
結晶の平均直径測定は、レーザー粒度分布によって決定されてもよい。レーザー粒度分布は当該技術分野において周知の技法である。平均粒子サイズは、かかる目的のために知られているいずれの粒子サイズ分析器上でも、例えばCILAS 1180 No.516器械上で、決定され得る。測定は、フラウンホーファー方法を担体液体としての水とともに、および24の減衰率指標(Obscuration Index)を使用して、ISO規格13320-1(2009年改訂)に従いなされ得る。
【0209】
固体の形態の精製された(-)-アンブロックスは、例えば、10~400ミクロンの間、例えば40ミクロンと400ミクロンとの間、例えば100ミクロンと400ミクロンとの間の平均直径を有する細長い結晶(elongate crystals)を含んでいてもよい。
固体の形態の精製された(-)-アンブロックスは、例えば、20~600ミクロン、例えば40~500ミクロン、例えば100~400ミクロン、例えば100ミクロン超、例えば200ミクロン超、例えば300ミクロン超という、それら最長寸法に沿って測定された長さを有する細長い結晶を含んでいてもよい。
【0210】
精製された(-)-アンブロックスは、(-)-アンブロックスを主たる化合物として含むが、また他の化合物も含んでいてもよく、これら他の化合物は、心地良い嗅覚ノート(olfactive notes)を生物変換混合物へ付与してもまたは付与しなくてもよく、そのため積極的または消極的なやり方で、精製された(-)-アンブロックス最終産物の官能特徴へ寄与することもある。結果的に、精製された(-)-アンブロックスの官能分析は、その試験が、化学的に関係のある標的産物が参照産物と比べて嗅覚上関係のある最終産物でもあるかを決定することに役立ち得るように、熟練した専門家(例として、調香師)によって利用され十分に確立された官能試験を使用して実行されてもよい。
【0211】
精製された(-)-アンブロックス産物は、その嗅覚純度、品質、およびその官能プロファイルについて、(-)-アンブロックスの市販の参照に対して試験されてもよい。(-)-アンブロックス材料はまた応用研究において、材料がその感覚刺激性プロファイルに関する仕様を満たすかどうか決定するために専門家によって試験されてもよい。(-)-アンブロックスの様々な用途は、これらに限定されないが、以下:アンブロックス(Firmenich)、アンブロキサン(Henkel)、アンブロフィクス(Givaudan)、アンベルリン(Quest)、セタロックス・レーヴォ(Firmenich)、アンバーモール(Aromor)、およびノルアンブレノリド・エーテル(Pacific)という製品を包含する、現在利用可能なアンブロックス成分が商業的に使用されるところの本質的にすべての産物を包含する、布の仕上げ剤(fabric care)、洗面用具(toiletries)、美容用品(beauty care)、および洗浄製品などの、高級(fine)フレグランスまたは消費者向製品を包含するがこれらに限定されない。
【0212】
本明細書に記載の精製された(-)-アンブロックスのための参照産物は、例えば、WO 2017/182542に記載のとおりの方法(例えばWO 2017/182542の例4)に従って作製された固体の形態の(-)-アンブロックスであってもよい。
本明細書に記載の精製された(-)-アンブロックスのための参照産物は、例えば、WO 2018/154048に記載のとおりの方法に従って作製された、スクラレオリドからの(ex sclareolide)(-)-アンブロックスフレーク(flakes)であってもよい。
【0213】
「スクラレオリド」は、「(3aR、5aS、9aS、9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチル-1,4,5,5a,7,8,9,9b-オクタヒドロベンゾ[e]ベンゾフラン-2-オン」と同義語として使用される。右旋性のまたは(+)-スクラレオリドは、以下の構造式:
【化8】

を有する。
【0214】
スクラレオリドは、例えば、シクラーゼ触媒による(3E/7E)-ホモファルネシル酸の変換、次いでこれが化学的に(例えば、LiAlH4またはNaBH4を用いて)還元されてアンブロックス-1,4-ジオールを形成することによって得られる[Mookherjee et al.;Perfumer and Flavourist(1990),15:27]。次いでアンブロックス-1,4-ジオールは、種々のプロセスを用いて化学的に変換されて(-)-アンブロックスになってもよい(例えば、US 5,274,134を見よ)。
本明細書に記載の精製された(-)-アンブロックスのための参照産物は、例えば、当業者に知られているいずれかの方法によって作製された(-)-アンブロックスであってもよい。
【0215】
例えば、(-)-アンブロックスは、クラリーセージ(Salvia sclarea L.)成分の化学的転換後に初めて発見され(M.Hinder, M.Stoll, Hlv.Chim.Acta 1950,33,1308-1312を見よ)、後にアルコール性のアンバーグリスチンキ剤(ambergris tinctures)の肝要なにおい物質として同定された(B.D.Mookherjee, R.R.Patel, Proceedings 7th Int.Congr.Ess.Oils 1977,Kyoto,Japan,Paper No 136を見よ)。
【0216】
アンブロックスは、クラリーセージから単離されたジテルペンジオールの(-)-スクラレオール(9.1.1、下)から半合成によって、合計>100t/aの規模で種々の企業によって伝統的に製造されていた:
【化9】
【0217】
スクラレオリド(9.1.2)の主要製造業者であるAvocaは、(-)-スクラレオール(9.1.1)の(-)-スクラレオリド(9.1.2)への化学的酸化を、Cryptococcus albidusでの生体触媒によるプロセスによって置き換えた(M.I.Farbood, J.A.Morris, A.E.Downey, US Pat.Appl. To IFF, US 4970163, prior.28 Aug.1989を見よ)。
【0218】
スクラレオールのスクラレオジオール(9.1.4)(9.1.3にとってより進んだ中間体)への直接変換は、Hyphozyma roseonigraによって達成されるが、この微生物は、(-)-スクラレオール(9.1.1)の抗微生物活性に対して有する耐性が低い(X.Wang, X.Zhang, Q.Yao, D.Hua, J.Qing, Braz.J. Microbiol. 2018,49S,160-165を見よ)。
【化10】
【0219】
植物を供給源とした材料(plant-sourced materials)からは独立した9.1.3(アンブロフィクス/アンブロックス/アンブロキサン)の産生を目的として、Schalkらは、スクラレオールの生物発生(biogenetic)経路をE.coli中へ移した(M.Schalk, L.Pastore, M.A.Mirata, S.Khim, M.Schouwey, F.Deguerry, V.Pineda, L.Rocci, L.Daviet, J.Am.Chem.Soc.2012,134,18900-18903を見よ)。ゲラニルゲラニルジホスファート(GGPP)からの生合成は、2つのジテルペンシクラーゼを伴った(下のスキームを見よ)。対応する遺伝子を、GGPPの過剰産生のために遺伝子学的に修飾されたE.coli株中で機能的に発現させ、これは1.5g/Lでの(-)-スクラレオール(9.1.1)の産生を可能にした。これらの結果に基づき、酵母における工業発酵プロセスが開発され、これによってアンブロックススーパー(Ambrox Super)と名付けられた新しい品質のアンブロックスが誕生した(5(6)-デヒドロ-アンブロックスである「Superambrox」と混同しないように)(R.L.Snowden, Chem.Biodiv.2008,5,958-969を見よ)。
【化11】

GGPP = ゲラニルゲラニルジホスファート
SsLPS: Salvia sclareaラブダジエニル(Labdadienyl)ジホスファートシンターゼ
SsScS: Salvia sclareaスクラレオールシンターゼ
【0220】
精製された産物の使用
本明細書に記載の精製されたフレーバー成分の、フレーバー成分としての使用が、本明細書にさらに提供される。フレーバー成分は、消費者食品および飲料製品への用途において使用され得る。
よって、本明細書に記載の精製されたフレーバー成分を含むフレーバー組成物もまた、本明細書に提供される。「フレーバー(の)組成物」は、例えば、精製されたフレーバー成分を含むいずれの組成物であってもよい。フレーバー組成物は、例えば、他のフレーバー成分、担体材料、希釈剤、またはそれらの組み合わせをさらに含んでいてもよい。
【0221】
また、本明細書に記載のとおりのフレーバー組成物を含む食品または飲料製品も、本明細書に提供される。
本明細書に記載の精製された化粧品成分の、化粧品成分としての使用が、本明細書にさらに提供される。化粧品成分は、化粧用製品において使用され得る。
【0222】
よって、本明細書に記載の精製された化粧品成分を含む化粧品組成物もまた、本明細書に提供される。「化粧品(の)組成物」は、例えば、精製された化粧品成分を含むいずれの組成物であってもよい。化粧品組成物は、例えば、他の化粧品成分、担体材料、希釈剤、またはそれらの組み合わせをさらに含んでいてもよい。
【0223】
また、本明細書に記載のとおりのフレーバー成分またはフレーバー組成物を含む化粧用製品も、本明細書に提供される。化粧用製品は、例えば、スキンケア製品(例として、モイスチャライザー)、メークアップ製品(例として、ファンデーション、コンシーラー、リップスティック、アイシャドー、アイライナー)、ヘアケア製品(例として、シャンプー、コンディショナー、染料)、口腔衛生製品(例として、歯磨き粉、マウスウォッシュ)、またはデオドラントであってもよい。
【0224】
本明細書に記載の精製された(-)-アンブロックスのフレーバー成分としての使用が、本明細書にさらに提供される
本明細書に記載の精製された香料成分(例えば、本明細書に記載の精製された(-)-アンブロックス)の、香料成分としての使用が、本明細書にさらに提供される。香料成分は、消費者向製品用途とファインフレグランス用途との両方において使用され得る。
【0225】
よって、本明細書に記載の精製された香料成分(例えば、本明細書に記載の精製された(-)-アンブロックス)を含む香水組成物もまた、本明細書に提供される。「香水組成物」は、例えば、精製された香料成分(例えば、精製された(-)-アンブロックス)および基材を含むいずれの組成物であってもよい。
【0226】
本明細書に使用されるとき、「基材」は、精油、アルコール、アルデヒドおよびケトン、エーテルおよびアセタール、エステルおよびラクトン、大員環およびヘテロ環などの、および/または、フレグランス組成物中ににおい物質と併せて、従来使用されている1以上の成分もしくは賦形剤(例えば、当該技術分野において一般的に使用される担体材料、希釈剤、および他の助剤)と混和されて、現在利用可能である、広範な範囲の天然産物と合成分子とから選択される、知られているすべてのフレグランス成分を包含する。
【0227】
当該技術分野に知られているフレグランス成分は、主要なフレグランス製造業者から商業上、容易に利用可能である。かかる成分の非限定例は、以下:
- 精油ならびに抽出物、例として、海狸香、コスタスルート(costus root)油、オークモスアブソリュート、ゼラニウム油、ツリーモス(tree moss)アブソリュート、バジル油、果実油、たとえば、ベルガモット油およびマンダリン油、ミルテ油、パルマローザ油、パッチュリ油、プチグレン油、ジャスミン油、バラ油、白檀油、アブサン油、ラベンダー油、および/またはイランイラン油;
- アルコール、例として、桂皮アルコール((E)-3-フェニルプロパ-2-エン-1-オール);cis-3-ヘキセノール((Z)-ヘキサ-3-エン-1-オール);シトロネロール(3,7-ジメチルオクタ-6-エン-1-オール);ジヒドロミルセノール(2,6-ジメチルオクタ-7-エン-2-オール);エバノール(Ebanol)(商標)((E)-3-メチル-5-(2,2,3-トリメチルシクロペンタ-3-エン-1-イル)ペンタ-4-エン-2-オール);オイゲノール(4-アリル-2-メトキシフェノール);エチルリナロール((E)-3,7-ジメチルノナ-1,6-ジエン-3-オール);ファルネソール((2E,6Z)-3,7,11-トリメチルドデカ-2,6,10-トリエン-1-オール);ゲラニオール((E)-3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-オール);スーパーミュゲ(Super Muguet)(商標)((E)-6-エチル-3-メチルオクタ-6-エン-1-オール);リナロール(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエン-3-オール);メントール(2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサノール);ネロール(3,7-ジメチル-2,6-オクタジエン-1-オール);フェニルエチルアルコール(2-フェニルエタノール);ロジノール(Rhodinol)(商標)(3,7-ジメチルオクタ-6-エン-1-オール);サンダロア(Sandalore)(商標)(3-メチル-5-(2,2,3-トリメチルシクロペンタ-3-エン-1-イル)ペンタン-2-オール);テルピネオール(2-(4-メチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)プロパン-2-オール);またはティンベロール(Timberol)(商標)(1-(2,2,6-トリメチルシクロヘキシル)ヘキサン-3-オール);2,4,7-トリメチルオクタ-2,6-ジエン-1-オール、および/または[1-メチル-2(5-メチルヘキサ-4-エン-2-イル)シクロプロピル]-メタノール;
- アルデヒドならびにケトン、例として、アニスアルデヒド(4-メトキシベンズアルデヒド);アルファアミル桂皮アルデヒド(2-ベンジリデンヘプタナール);ゲオルギーウッド(Georgywood)(商標)(1-(1,2,8,8-テトラメチル-1,2,3,4,5,6,7,8-オクタヒドロナフタレン-2-イル)エタノン);ヒドロキシシトロネラール(7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナール);イソEスーパー(Iso E Super)(登録商標)(1-(2,3,8,8-テトラメチル-1,2,3,4,5,6,7,8-オクタヒドロナフタレン-2-イル)エタノン);イソラルデイン(Isoraldeine)(登録商標)((E)-3-メチル-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタ-3-エン-2-オン);3-(4-イソブチル-2-メチルフェニル)プロパナール;マルトール;メチルセドリルケトン;メチルイオノン;ベルベノン;および/またはバニリン;
- エーテルならびにアセタール、例として、アンブロックス(登録商標)(3a,6,6,9a-テトラメチル-2,4,5,5a,7,8,9,9b-オクタヒドロ-1H-ベンゾ[e][1]ベンゾフラン);ゲラニルメチルエーテル((2E)-1-メトキシ-3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン);ローズオキシド(4-メチル-2-(2-メチルプロパ-1-エン-1-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン);および/またはスピランブレン(Spirambrene)(登録商標)(2',2',3,7,7-ペンタメチルスピロ[ビシクロ[4.1.0]ヘプタン-2,5'-[1,3]ジオキサン]);
- 大員環、例として、アンブレットリド((Z)-オキサシクロへプタデカ-10-エン-2-オン);ブラシル酸エチレン(1,4-ジオキサシクロへプタデカン-5,17-ジオン);および/またはエグザルトリド(Exaltolide)(登録商標)(16-オキサシクロヘキサデカン-1-オン);ならびに
- ヘテロ環、例として、イソブチルキノリン(2-イソブチルキノリン)
を包含する。
【0228】
本明細書に使用されるとき、「担体材料」は、におい物質の観点から実際的にニュートラルの材料、すなわち、におい物質の官能特性を有意には改変しない材料を意味する。
【0229】
「希釈剤」とは、フタル酸ジエチル(DEP)、ジプロピレングリコール(DPG)、ミリスチン酸イソプロピル(IPM)、クエン酸トリエチル(TEC)、およびアルコール(例として、エタノール)などの、におい物質と併せて従来使用されているいずれの希釈剤を意味する。
【0230】
用語「助剤」は、香水組成物の嗅覚性能に特に関連しない理由から、該組成物に採用されてもよい成分を指す。例えば、抗酸化アジュバントなどの、助剤は、香水成分(単数もしくは複数)または該成分(単数もしくは複数)を含有する組成物を加工する補助剤として作用する成分であってもよく、あるいはフレグランス成分もしくは同成分を含有する組成物の操作または保管を改善させてもよい。該抗酸化剤は、例えば、チノガード(Tinogard)(登録商標)TT(BASF)、チノガード(登録商標)Q(BASF)、トコフェロール(Tocopherol)(その異性体、CAS 59-02-9;364-49-8;18920-62-2;121854-78-2を包含する)、2,6-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-メチルフェノール(BHT、CAS 128-37-0)、および関連するフェノール、ヒドロキノン(CAS 121-31-9)から選択されてもよい。
【0231】
それはまた、色または質感を付与するなどの追加の恩恵を提供する成分であってもよい。それはまた、耐光性または化学安定性を、香水組成物中に含有される1以上の成分へ付与する成分であってもよい。
【0232】
助剤を含有する香水組成物において一般的に使用される同助剤の性質およびタイプの詳細を徹底的に記載することはできないが、該成分が当業者に周知であることは言及しておかなければならない。
【0233】
本明細書に記載のとおりの香水組成物(そのいずれの態様も包含する)を含む消費者向製品もまた本明細書に提供される。消費者向製品は、例えば、家庭用ケア(例として、洗浄)、パーソナルケア(例として、化粧品)、ランドリーケア、またはエアケアの組成物であってもよい。
【0234】
以下の付番段落は、本発明の具体的な態様を定義する:
1.粗製のフレーバーもしくは香料もしくは化粧品の成分または中間体を精製するための方法であって、方法は、以下:
水性酸で洗浄すること;
水性界面活性剤で洗浄すること;および
任意に、水性アルカリで洗浄すること
を含む。
【0235】
2.粗製のフレーバーもしくは香料もしくは化粧品の成分または中間体は、固体の形態である、段落1の方法。
3.粗製のフレーバーもしくは香料もしくは化粧品の成分または中間体は、生物変換プロセスによって作製された、段落1または2の方法。
4.粗製のフレーバーもしくは香料もしくは化粧品の成分または中間体は、SHC/HAC酵素を使用する生物変換プロセスによって作製された、先行するいずれの段落の方法。
【0236】
5.方法は、粗製の(-)-アンブロックス、粗製の(-)-アンブラ-オキシド、粗製の3a-エチル-6,6,9a-トリメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フラン、または粗製の(+)-アンベルケタールを精製するための方法である、先行するいずれの段落の方法。
6.方法は、以下:
粗製のフレーバーもしくは香料もしくは化粧品の成分または中間体を、水性酸で洗浄すること;
ステップ(a)の産物を、水性アルカリで洗浄すること;
ステップ(b)の産物を、水性界面活性剤で洗浄すること
を含む、先行するいずれの段落の方法。
【0237】
7.酸は、弱酸である、先行するいずれの段落の方法。
8.酸は、有機酸である、先行するいずれの段落の方法。
9.酸は、クエン酸である、先行するいずれの段落の方法。
10.水性酸は、約0.01wt%と等しいかもしくはこれより大きい、および/または約15.0wt%と等しいかもしくはこれ未満の、例えば約0.1wt%から約5.0wt%までの濃度を有する、先行するいずれの段落の方法。
【0238】
11.水性酸の温度は、約17℃から約50℃まで、例えば約17℃から約23℃まで及ぶ、先行するいずれの段落の方法。
12.水性酸で洗浄することは、水性アルカリで洗浄することに先立ち、1回以上反復される、先行するいずれの段落の方法。
13.アルカリは、強アルカリである、先行するいずれの段落の方法。
14.アルカリは、水酸化物である、先行するいずれの段落の方法。
15.アルカリは、水酸化ナトリウムである、先行するいずれの段落の方法。
【0239】
16.水性アルカリは、約0.01wt%と等しいかもしくはこれより大きい、および/または約15.0wt%と等しいかもしくはこれ未満の、例えば約0.1wt%から約5.0wt%までの濃度を有する、先行するいずれの段落の方法。
17.水性アルカリの温度は、約5℃から約75℃まで、例えば約35℃から約45℃まで及ぶ、先行するいずれの段落の方法。
18.水性アルカリで洗浄することは、水性界面活性剤で洗浄することに先立ち、1回以上反復される、先行するいずれの段落の方法。
【0240】
19.界面活性剤は、アニオン性界面活性剤である、先行するいずれの段落の方法。
20.界面活性剤は、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)である、先行するいずれの段落の方法。
21.水性界面活性剤は、約0.01wt%と等しいかもしくはこれより大きい、および/または約10.0wt%と等しいかもしくはこれ未満の、例えば約0.1wt%から約5.0wt%までの濃度を有する、先行するいずれの段落の方法。
22.水性界面活性剤の温度は、約5℃から約75℃まで、例えば約60℃から約70℃まで及ぶ、先行するいずれの段落の方法。
【0241】
23.水性界面活性剤で洗浄することは、1回以上反復される、先行するいずれの段落の方法。
24.水性酸で洗浄すること、水性アルカリで洗浄すること、および/または水性界面活性剤で洗浄することに先立ちあるいはその後に、水で洗浄する1以上のステップをさらに含む、先行するいずれの段落の方法。
25.水性アルカリでの洗浄産物は、水性界面活性剤で洗浄することに先立ち、水で洗浄される、先行するいずれの段落の方法。
26.水の温度は、約5℃から約75℃まで、例えば約17℃から約23℃まで及ぶ、段落24または25の方法。
【0242】
27.水性アルカリでの洗浄産物は、水性界面活性剤で洗浄することに先立ち、水で2回以上洗浄される、段落25または26の方法。
28.水性界面活性剤での洗浄産物は、水で洗浄される、先行するいずれの段落の方法。
29.水性界面活性剤での洗浄産物は、約50℃から約70℃まで及ぶ温度を有する水で洗浄され、これに続き約17℃から約23℃まで及ぶ温度を有する水で洗浄される、段落28の方法。
【0243】
30.水性界面活性剤での洗浄産物は、約50℃から約70℃まで及ぶ温度を有する水で2回以上洗浄される、段落28または29の方法。
31.水性界面活性剤での洗浄産物は、約17℃から約23℃まで及ぶ温度を有する水で2回以上洗浄される、段落28~31のいずれかの方法。
32.粗製のフレーバーもしくは香料もしくは化粧品の成分または中間体、例えば粗製の(-)-アンブロックスは、精製の方法に先立ち、生物変換ブロスから分離される、先行するいずれの段落の方法。
【0244】
33.粗製のフレーバーもしくは香料もしくは化粧品の成分または中間体、例えば粗製の(-)-アンブロックスの分離は、物理的な手段によって、例えば濾過によって起こる、段落31の方法。
34.生物変換ブロスは、分離に先立ち、熱不活化ステップまたはアルカリ化ステップへ供される、段落33の方法。
35.アルカリ化は、生物変換ブロスのpHを、約10から約11までのpHまで上げることによって起こる、段落34の方法。
36.熱不活化は、生物変換ブロスの温度を55℃の最大温度まで上げることによって起こる、段落34の方法。
【0245】
37.すべての洗浄ステップは、単一の機器において起こる、先行するいずれの段落の方法。
38.すべての洗浄ステップは、ヌッチェ型攪拌・乾燥フィルターにおいて起こる、先行するいずれの段落の方法。
39.粗製のフレーバーもしくは香料もしくは化粧品の成分または中間体、例えば粗製の(-)-アンブロックスは、粗製の(-)-アンブロックスの湿重量に基づき、約20wt%から約30wt%までの水を含む、段落38の方法。
40.段落1~39のいずれかの方法によって得られるか、またはそれによって得ることができる、フレーバーもしくは香料もしくは化粧品の成分または中間体、例えば(-)-アンブロックス。
【0246】
41.段落40のフレーバーまたは香料または化粧品の成分、例えば(-)-アンブロックスの、フレーバーまたは香料または化粧品の成分としての使用。
42.段落40の香料成分を、例えば(-)-アンブロックスを含む、香水組成物。
43.段落40のフレーバー成分を含む、フレーバー組成物。
44.段落40の化粧品成分を含む、化粧品組成物。
45.段落42の香水組成物を含む、家庭用ケア、パーソナルケア、ランドリーケア、またはエアケアの組成物。
46.段落43のフレーバー組成物を含む、食品または飲料製品。
47.段落44の化粧品組成物を含む、化粧用製品。
【0247】
48.粗製のフレーバーもしくは香料の成分または中間体、例えば粗製の(-)-アンブロックスを、段落1~39のいずれか1つの方法によって精製するように構成されている、ヌッチェ型攪拌・乾燥フィルターであって、ここで粗製のフレーバーもしくは香料の成分または中間体、例えば粗製の(-)-アンブロックスは、粗製のフレーバーもしくは香料の成分または中間体、例えば粗製の(-)-アンブロックスの湿重量に基づき、約20wt%から約30wt%までの水を含む。
49.粗製のフレーバーもしくは香料の成分または中間体を精製するためのプロセスであって、プロセスは、粗製のフレーバーもしくは香料の成分または中間体を、ヌッチェ型攪拌・乾燥フィルターにおいて洗浄することを含む。
50.プロセスは、段落1~39のいずれかに従う、段落47のプロセス。
【0248】

例1
粗製の(-)-アンブロックスの調製
疑念を回避するため、WT SHCおよびSHCバリアントに対するすべての参照は、WT AacSHC(配列番号1)およびそのバリアントに対する参照とする。
【0249】
配列番号1: Alicyclobacillus acidocaldarius SHC(AacSHC)のアミノ酸配列
MAEQLVEAPAYARTLDRAVEYLLSCQKDEGYWWGPLLSNVTMEAEYVLLCHILDRVDRDRMEKIRRYLLHEQREDGTWALYPGGPPDLDTTIEAYVALKYIGMSRDEEPMQKALRFIQSQGGIESSRVFTRMWLALVGEYPWEKVPMVPPEIMFLGKRMPLNIYEFGSWARATVVALSIVMSRQPVFPLPERARVPELYETDVPPRRRGAKGGGGWIFDALDRALHGYQKLSVHPFRRAAEIRALDWLLERQAGDGSWGGIQPPWFYALIALKILDMTQHPAFIKGWEGLELYGVELDYGGWMFQASISPVWDTGLAVLALRAAGLPADHDRLVKAGEWLLDRQITVPGDWAVKRPNLKPGGFAFQFDNVYYPDVDDTAVVVWALNTLRLPDERRRRDAMTKGFRWIVGMQSSNGGWGAYDVDNTSDLPNHIPFCDFGEVTDPPSEDVTAHVLECFGSFGYDDAWKVIRRAVEYLKREQKPDGSWFGRWGVNYLYGTGAVVSALKAVGIDTREPYIQKALDWVEQHQNPDGGWGEDCRSYEDPAYAGKGASTPSQTAWALMALIAGGRAESEAARRGVQYLVETQRPDGGWDEPYYTGTGFPGDFYLGYTMYRHVFPTLALGRYKQAIERR
215G2 SHCバリアントは、WT AacSHCと比較して突然変異M132R、A224V、およびI432Tを包含する。
【0250】
生体触媒産生
方法1
SHCプラスミド調製
Alicyclobacillus acidocaldariusのスクアレンホペンシクラーゼ215G2 SHCをコードする遺伝子を、Escherichia coliのタンパク質産生用IPTG誘導性T7プロモーターの制御下にあるプラスミドpET-28a(+)中へ挿入した。pET-28a(+)(5369bp)のプラスミドマップは、WO 2016/170099の図5に示されている。pET-28a(+)プラスミドのクローニングおよび発現の領域は、WO 2016/170099の図21に示されている。プラスミドを、標準的な熱ショック形質転換プロトコルを使用してE.coli株BL21(DE3)に形質転換した。
【0251】
エルレンマイヤーフラスコ培養
タンパク質産生用に複合(LB)培地または最小培地のいずれかを使用した。M9は最小培地の一例であって、これを使用して成功した。
【0252】
培地調製
初期設定として選んだ最小培地を350ml培養につき以下のとおりに調製した:35mlクエン酸/リン酸塩ストック(pHを6.3へ調整した、133g/l KH2PO4、40g/l (NH4)2HPO4、17g/lクエン酸.H2O)へ307ml H2Oを加え、要求に応じpHを32%NaOHで6.8へ調整した。オートクレーブ後、0.850ml 50%MgSO4、0.035ml微量元素溶液(次のセクションにおける組成物)溶液、0.035mlチアミン溶液、および7ml 20%グルコースを加えた。
【0253】
SHC生体触媒産生(生体触媒産生)
小規模な生体触媒産生(野生型SHCまたはSHCバリアント)、350ml培養(50μg/mlカナマイシンで補充された培地)に、SHC産生プラスミドを含有するE.coli株BL21(DE3)の前培養から植菌した。細胞を一定に攪拌(agitation)(250rpm)して、およそ0.5(OD650nm)の光学密度まで37℃にて成長させた。
【0254】
次いでタンパク質産生を、IPTGを300μMの濃度まで加えることによって誘導し、これに続き、一定に振動させてさらに5~6時間インキュベーションした。その結果得られたバイオマスを最終的に遠心分離によって収集し、50mMトリス-HCl緩衝剤(pH7.5)で、洗浄した。細胞を、さらなる使用まで、ペレットとして4℃または-20℃にて保管した。使用された培地とは無関係に、一般に2.5~4グラムの細胞(湿重量)が1リットルの培養から得られた。
【0255】
発酵を750ml InforsHT反応器中で調製して行った。発酵槽へ脱イオン水を加えた。反応槽に、要求されるすべてのプローブ(pO2、pH、試料採取、抗泡)、C+N供給瓶および水酸化ナトリウム瓶を備え付け、オートクレーブした。
【0256】
オートクレーブ後に反応器へ以下を加える:
20ml 10×リン酸塩/クエン酸緩衝剤
14ml 50%グルコース
0.53ml MgSO4溶液
2ml (NH4)2SO4溶液
0.020ml 微量元素溶液
0.400ml チアミン溶液
0.200ml カナマイシンストック
【0257】
設定された稼働(running)パラメータは以下のとおりである:pH=6.95、pO2=40%、T=30℃、300rpmにて撹拌。カスケード: rpm定値 300にて、min 300、max 1000、流速l/min定値 0.1、min 0、max 0.6。消泡制御: 1:9。
【0258】
発酵槽に0.4~0.5のOD650nmまでの種培養から植菌した。この種培養をLB培地(+カナマイシン)中37℃、220rpmにて8h成長させた。発酵を最初にバッチモードで11.5h行った後、滅菌後に以下:17.5ml (NH4)2SO4溶液、1.8ml MgSO4溶液、0.018ml微量元素溶液、0.360mlチアミン溶液、0.180mlカナマイシンストックが加えられた供給溶液(滅菌グルコース溶液(143ml H2O+35gグルコース)でC+N供給を開始した。供給をおよそ4.2ml/hの一定流速にて行った。培養中のC-およびN-供給源の利用可能性を評価するためグルコースおよびNH4 +の測定を外部からした。大抵、グルコースレベルは極めて低いままである。
【0259】
培養物を合計およそ25時間成長させたが、これらは典型的には40~45のOD650nmに達していた。次いでSHC産生を、発酵槽中IPTGをおよそ1mMの濃度まで(IPTGを、注入シリンジを使用して、パルスにて、または3~4時間の期間にわたり)加えることによって開始し、温度を40℃へ、pO2を20%へ設定した。SHC産生の誘導を40℃にて16h続けた。誘導の終了時、細胞を遠心分離によって収集し、0.1Mクエン酸/クエン酸ナトリウム緩衝剤(pH5.4)で洗浄して、さらなる使用までペレットとして4℃または-20℃にて保管した。
【0260】
一般に、他のすべての条件を変えずに、最小培地を使用して複合培地と比較したとき、産生された生体触媒の特定の活性がより高かった。誘導を30℃または37℃にて成功裏に実行した。誘導が40~43℃にてなされたとき、特定の活性がより高い生体触媒が得られたことに留意した。発酵によって、典型的には20グラムと30グラムとの間の細胞(湿重量)が生産された。
【0261】
125g/l E,E-ホモファルネソール(EEH)での生物転換
典型的なEEH生物変換反応物は、0.1Mコハク酸/NaOH緩衝剤(pH5.4)中に125g/l EEH、250g/l湿重量の細胞(これは215G2 SHCを産生している)、1.3%SDSを含有していた。
【0262】
反応物を、一定の攪拌下35℃にてインキュベートする。生物変換を調製するために使用された細胞懸濁液の細胞湿重量濃度は、例として、EEH生物変換反応物中の細胞濃度を250g/lへ設定するのに要される細胞懸濁液の体積を算出するために、この細胞懸濁液のアリコートを10℃および17210gにて10min遠心分離することによって決定され得る。EEH変換は大抵、72時間の反応時間内に完了する。
【0263】
粗製の(-)-アンブロックスの精製
粗製の(-)-アンブロックスは、70~75wt%の乾燥材料および20~25wt%の水を含有していた。乾燥材料は、5~10wt%の化学的および不溶性の不純物を含有していた。
【0264】
粗製の(-)-アンブロックスを、以下の手順によって精製した:
1) 室温の2.5wt%水性クエン酸での2回洗浄;
2) 40℃の0.1wt%水性水酸化ナトリウムでの2回洗浄;
3) 室温の水での2回洗浄;
4) 70℃の0.5wt%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)での2回洗浄;
5) 60℃の水での2回洗浄;
6) 室温の水での2回または3回洗浄(濾過物が透明になるまで);
【0265】
高純度(GC分析によって>99%)嗅覚グレードの(-)-アンブロックスが、粗製の出発材料に基づき95mol%の平均収率で得られた(洗浄反応器からブフナーフィルターへ移す(逆もまた同様)最中の機械損失に起因するものと考えられる)。
【0266】
例2
粗製の(-)-アンブロックスを、例1について記載した同じプロセスによって得られた。
77.9wt%(-)-アンブロックス、18.2wt%水、および3.9wt%化学的および不溶性の不純物を含有する、10kgの粗製の(-)-アンブロックスを、2枚刃ボトムエントリー(bottom entry)回転翼および5ミクロン濾布が装着された50リットル容ステンレス鋼ヌッチェ型攪拌フィルターに入れた。粗製の(-)-アンブロックスを、以下の手順によって精製した:
1) 周囲温度の2.5wt%水性シュウ酸の各20kgでの2回洗浄、
2) 温かい(40℃)0.1wt%水性水酸化ナトリウムの各20kgでの2回洗浄、
3) 周囲温度の水の各20kgでの2回すすぎ、
4) 20kgの温かい(40℃)0.5wt%水性ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)での1回洗浄、
5) 温かい(40℃)水の各20kgでの2回すすぎ、
6) 周囲温度の水の各20kgでの3回すすぎ、
7) 周囲温度の50wt%水性エタノールの各20kgでの2回最終すすぎ。
【0267】
スラリーを、各洗浄の最中30分間、および各すすぎの最中15分間攪拌した。次いで回転翼を停止し、次の洗浄またはすすぎを行う前に水性の廃液(waste aqueous liquors)をフィルターから吸引によって完全に排水した。
【0268】
水アルコールの最終すすぎ後、断続的な撹拌をしながらケークをフィルター中で5mbarの圧力下40~45℃の温度にて12時間乾燥させた。フィルターから取り出し、7.4kgの99.2GC%純度の嗅覚グレード(-)-アンブロックスが、粗製の出発材料に基づき94mol%収率でもたらされた。
【0269】
上記は本発明のある態様を限定せずに広く記載する。当業者には容易に明らかであろうバリエーションおよび修飾は、添付のクレーム中におよび添付のクレームによって定義されるとおりの本発明の範囲内にあることを意図する。
図1
【配列表】
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【国際調査報告】