(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-30
(54)【発明の名称】ねじれスパイン駆動構成を有する外科用器具
(51)【国際特許分類】
A61B 17/072 20060101AFI20230823BHJP
【FI】
A61B17/072
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023505955
(86)(22)【出願日】2021-07-27
(85)【翻訳文提出日】2023-03-03
(86)【国際出願番号】 IB2021056783
(87)【国際公開番号】W WO2022023961
(87)【国際公開日】2022-02-03
(32)【優先日】2020-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506157570
【氏名又は名称】シラグ・ゲーエムベーハー・インターナショナル
【氏名又は名称原語表記】Cilag GMBH International
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】バコス・グレゴリー・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】パークス・ダリル・エイ
(72)【発明者】
【氏名】ウィッテ・スペンサー・ジェイ
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160CC09
4C160CC23
4C160MM32
4C160NN02
4C160NN07
(57)【要約】
関節運動可能な外科用エンドエフェクタと、回転駆動される可撓性駆動部材とを有する外科用器具。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用器具であって、
細長いシャフトと、
関節継手によって前記細長いシャフトに連結された外科用エンドエフェクタであって、前記関節継手は、前記細長いシャフトに対する前記外科用エンドエフェクタの選択的な関節運動を容易にするように構成されており、前記外科用エンドエフェクタは、
第1のジョーと、
開放位置と閉鎖位置との間で前記第1のジョーに対して移動するように構成されている第2のジョーと、
前記外科用エンドエフェクタ内において始動位置と終了位置との間で軸方向に進行するように支持された発射部材と、を備える、外科用エンドエフェクタと、を備え、前記外科用器具は、
前記発射部材の上部部分に取り付けられた上側可撓性スパインアセンブリと、
前記発射部材の下部部分に取り付けられた下側可撓性スパインアセンブリと、
回転駆動部材であって、前記回転駆動部材は、上側の場所において前記上側可撓性スパインアセンブリと動作可能に連係し、前記回転駆動部材は、下側の場所において前記下側可撓性スパインアセンブリと動作可能に連係し、前記上側の場所及び前記下側の場所は、前記関節継手に対して遠位にあり、前記回転駆動部材により、前記上側可撓性スパインアセンブリ及び前記下側可撓性スパインアセンブリが軸方向駆動運動を前記発射部材に加えて、前記発射部材を前記始動位置と前記終了位置との間で移動させる、回転駆動部材と、を更に備える、外科用器具。
【請求項2】
前記回転駆動部材は、前記上側可撓性スパインアセンブリと前記下側可撓性スパインアセンブリとの間の中央に配設されている、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項3】
前記上側可撓性スパインアセンブリは、一緒に緩く連結されている上側バーテブラ部材の上側シリーズを備え、前記下側可撓性スパインアセンブリは、一緒に緩く連結されている下側バーテブラ部材の下側シリーズを備える、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項4】
前記上側バーテブラ部材は、上側可撓性連結器部材によって互いに対して移動可能に支持され、前記上側可撓性連結器部材は、前記発射部材の前記上部部分に連結され、各前記上側バーテブラ部材を通って延在し、前記下側バーテブラ部材は、下側可撓性連結器部材によって互いに対して移動可能に支持され、前記下側可撓性連結器部材は、前記発射部材の前記下部部分に連結され、各前記下側バーテブラ部材を通って延在する、請求項3に記載の外科用器具。
【請求項5】
各前記上側バーテブラ部材は、
上側近位端部及び上側遠位端部を規定する、上側バーテブラ本体部分と、
前記上側バーテブラ本体部分内の上側中空通路であって、前記上側可撓性連結器部材が前記上側中空通路を通って延在することを可能にするように、前記上側近位端部と前記上側遠位端部との間で前記上側バーテブラ本体部分を通って延在する、上側中空通路と、
前記上側近位端部上の上側近位嵌合特徴部と、
前記上側遠位端部上の上側遠位嵌合特徴部であって、各前記上側バーテブラ部材上の前記上側近位嵌合特徴部は、隣接する前記上側バーテブラ部材上の前記上側遠位嵌合特徴部と移動可能に連係するように構成されている、上側遠位嵌合特徴部と、
前記回転駆動部材と動作可能に係合するように構成された上側バーテブラ駆動特徴部と、を備える、請求項4に記載の外科用器具。
【請求項6】
前記上側近位嵌合特徴部は、前記上側バーテブラ本体部分の前記上側近位端部内に上側凹状リセスを備え、前記上側遠位嵌合特徴部は、前記上側バーテブラ本体部分の前記上側遠位端部上に上側凸状突出部を備え、各前記上側バーテブラ部材上の前記上側凸状突出部は、前記隣接する前記上側バーテブラ部材内の前記上側凹状リセスと嵌合係合するようにサイズ決め及び成形されている、請求項5に記載の外科用器具。
【請求項7】
各前記下側バーテブラ部材は、
下側近位端部及び下側遠位端部を規定する下側バーテブラ本体部分と、
前記下側バーテブラ本体部分内の下側中空通路であって、前記下側可撓性連結器部材が前記下側中空通路を通って延在することを可能にするために、前記下側近位端部と前記下側遠位端部との間で前記下側バーテブラ本体部分を通って延在する、下側中空通路と、
前記下側近位端部上の下側近位嵌合特徴部と、
前記下側遠位端部上の下側遠位嵌合特徴部であって、各前記下側バーテブラ部材上の前記下側近位嵌合特徴部は、隣接する前記下側バーテブラ部材上の前記下側遠位嵌合特徴部と移動可能に連係するように構成されている、下側遠位嵌合特徴部と、
前記回転駆動部材と動作可能に係合するように構成された下側バーテブラ駆動特徴部と、を備える、請求項5に記載の外科用器具。
【請求項8】
前記下側近位嵌合特徴部は、前記下側バーテブラ本体部分の前記下側近位端部内に下側凹状リセスを備え、前記下側遠位嵌合特徴部は、前記下側バーテブラ本体部分の前記下側遠位端部上に下側凸状突出部を備え、各前記下側バーテブラ部材上の前記下側凸状突出部は、隣接する前記下側バーテブラ部材内の前記下側凹状リセスと嵌合係合するようにサイズ決め及び成形されている、請求項7に記載の外科用器具。
【請求項9】
前記上側バーテブラ駆動特徴部は、前記回転駆動部材と連係するように構成された上側歯を含み、前記下側バーテブラ駆動特徴部は、前記回転駆動部材と連係するように構成された下側歯を含む、請求項7に記載の外科用器具。
【請求項10】
前記回転駆動部材は、
回転本体部分と、
前記回転本体部分の外部表面上の螺旋状駆動部材であって、各前記上側歯上に形成された上側螺旋状表面及び各前記下側歯上の下側螺旋状表面と係合するように構成されている、螺旋状駆動部材と、を含む、請求項9に記載の外科用器具。
【請求項11】
連続的な上側圧縮力を前記上側バーテブラ部材の上側シリーズに加えて、前記上側バーテブラ部材の上側シリーズ内の前記上側バーテブラ部材を互いに移動可能に接触した状態に保持するように構成された上側バーテブラ付勢器と、
連続的な下側圧縮力を前記下側バーテブラ部材の下側シリーズに加えて、前記下側バーテブラ部材の下側シリーズ内の前記下側バーテブラ部材を互いに移動可能に接触した状態に保持するように構成された下側バーテブラ付勢器と、を更に含む、請求項4に記載の外科用器具。
【請求項12】
前記上側螺旋状表面が2つの異なるピッチを備える、請求項10に記載の外科用器具。
【請求項13】
前記上側可撓性連結器部材及び前記下側可撓性連結器部材は、前記上側可撓性連結器部材及び前記下側可撓性連結器部材の各々に近位方向に後退運動を加えることによって、前記始動位置に対して遠位である位置から前記発射部材を後退させるように構成されている、請求項4に記載の外科用器具。
【請求項14】
前記関節継手はある関節継手長さを備え、前記上側バーテブラ部材の上側シリーズは、前記関節継手長さに、前記発射部材の前記始動位置から前記終了位置までの距離を加えた長さ以上である上側シリーズ長さを備え、前記下側バーテブラ部材の下側シリーズは、前記関節継手長さに、前記発射部材の前記始動位置から前記終了位置までの前記距離を加えた長さ以上である下側シリーズ長さを備える、請求項3に記載の外科用器具。
【請求項15】
前記外科用エンドエフェクタの近位端部から延在し、前記関節継手にまたがる上側スリーブであって、前記外科用エンドエフェクタに対して軸方向に移動可能であり、前記関節継手にまたがる前記上側バーテブラ部材の上側シリーズの一部分を摺動可能に支持するように構成されている、上側スリーブと、
前記外科用エンドエフェクタの前記近位端部から延在し、前記関節継手にまたがる下側スリーブであって、前記外科用エンドエフェクタに対して軸方向に移動可能であり、前記関節継手にまたがる前記下側バーテブラ部材の下側シリーズの別の部分を摺動可能に支持するように構成されている、下側スリーブと、を更に備える、請求項14に記載の外科用器具。
【請求項16】
外科用器具であって、
細長いシャフトと、
関節継手によって前記細長いシャフトに連結された外科用エンドエフェクタであって、前記関節継手は、前記細長いシャフトに対する前記外科用エンドエフェクタの選択的な関節運動を容易にするように構成されており、前記外科用エンドエフェクタは、前記外科用エンドエフェクタ内において始動位置と終了位置との間で軸方向に進行するように支持された発射部材を備える、外科用エンドエフェクタと、
前記関節継手の遠位側で回転可能に支持される回転駆動部材と、
前記発射部材の上部部分に取り付けられた上側長手方向セグメント化ナットアセンブリであって、前記回転駆動部材の回転により、前記上側長手方向セグメント化ナットアセンブリが上側軸方向駆動運動を前記発射部材に加えるように、前記関節継手の遠位である上側位置で前記回転駆動部材にねじ係合し、前記上側長手方向セグメント化ナットアセンブリは、前記外科用エンドエフェクタの前記関節運動に適応するように可撓性である、上側長手方向セグメント化ナットアセンブリと、
前記発射部材の下部部分に取り付けられた下側長手方向セグメント化ナットアセンブリであって、前記回転駆動部材の回転により、前記下側長手方向セグメント化ナットアセンブリが下側軸方向駆動運動を前記発射部材に加えるように、前記関節継手の遠位である下側位置で前記回転駆動部材にねじ係合し、前記下側長手方向セグメント化ナットアセンブリは、前記外科用エンドエフェクタの前記関節運動に適応するように可撓性である、下側長手方向セグメント化ナットアセンブリと、を備える、外科用器具。
【請求項17】
前記上側長手方向セグメント化ナットアセンブリは上側バーテブラ部材の上側シリーズを含み、前記上側バーテブラ部材は、前記発射部材の前記上部部分に連結され、各前記上側バーテブラ部材を通って延在する上側可撓性連結器部材によって互いに対して移動可能に支持され、前記下側長手方向セグメント化ナットアセンブリは下側バーテブラ部材の下側シリーズを含み、前記下側バーテブラ部材は、前記発射部材の前記下部部分に連結され、各下側バーテブラ部材を通って延在する下側可撓性連結器部材によって互いに対して移動可能に支持されている、請求項16に記載の外科用器具。
【請求項18】
前記回転駆動部材は、少なくとも2つの異なるピッチを備える螺旋状ねじ山を含む、請求項17に記載の外科用器具。
【請求項19】
前記回転駆動部材との連続的なねじ係合を促進しながら、前記関節継手を横断する前記上側バーテブラ部材及び前記下側バーテブラ部材が軸方向整列から外れるように移動することを可能にするための手段を更に備える、請求項17に記載の外科用器具。
【請求項20】
外科用器具であって、
細長いシャフトと、
関節継手によって前記細長いシャフトに連結された外科用エンドエフェクタであって、前記関節継手は、前記細長いシャフトに対する前記外科用エンドエフェクタの選択的な関節運動を容易にするように構成されており、前記外科用エンドエフェクタは、前記外科用エンドエフェクタ内において始動位置と終了位置との間で軸方向に進行するように支持された発射部材を備える、外科用エンドエフェクタと、
前記関節継手の遠位側で回転可能に支持される回転駆動部材と、
前記細長いシャフトによって支持される可撓性駆動アセンブリであって、前記関節継手を軸方向に横断し、前記関節継手の周りの前記外科用エンドエフェクタの関節運動に適応するように構成され、また前記関節継手の遠位にある駆動位置において前記回転駆動部材にねじ係合し、それにより、前記回転駆動部材の回転により、前記可撓性駆動アセンブリが軸方向駆動運動を前記発射部材に加える、可撓性駆動アセンブリと、を備える、外科用器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本非仮出願は、2020年7月28日に出願され、「SURGICAL INSTRUMENTS WITH TORSION SPINE DRIVE ARRANGEMENTS」と題された米国特許仮出願第63/057,430号、2020年7月28日に出願され、「ARTICULATION JOINT ARRANGEMENTS FOR SURGICAL INSTRUMENTS」と題された米国特許仮出願第63/057,432号の利益を、米国特許法119条(e)項に基づいて主張するものであり、これらの仮出願の開示内容は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本発明は、外科用器具に関し、かつ様々な構成において組織をステープル留めし、切断するために設計された、外科用ステープル留め器具及び切断器具並びにそれらと共に使用するためのステープルカートリッジに関する。外科用器具は、観血的外科手術で使用するために構成され得るが、腹腔鏡、内視鏡、及びロボット支援手順などの他のタイプの手術における用途を有し、患者内の正確な位置決めを容易にするために器具のシャフト部分に対して関節運動可能なエンドエフェクタを含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0003】
様々な態様の新規特徴は、添付の「特許請求の範囲」に具体的に記載される。しかしながら、記載される形態は、構成及び操作の方法のいずれに関しても、以下の記載を添付の図面と共に参照することにより最良に理解され得る。
【
図1】本開示の少なくとも1つの態様による、外科用器具の外科用エンドエフェクタ部分の斜視図である。
【
図2】閉鎖配向にある
図1のエンドエフェクタ部分器具の側面図である。
【
図3】
図2の外科用エンドエフェクタの端面図である。
【
図4】
図2の外科用エンドエフェクタの上面図である。
【
図5】
図1の外科用器具の一部分の分解組立図である。
【
図6】
図1の外科用器具の細長いシャフトアセンブリの分解組立図である。
【
図7】
図6の細長いシャフトアセンブリの別の分解組立図である。
【
図8】本開示の少なくとも1つの態様による発射システム及び回転駆動システムの分解組立図である。
【
図9】
図8の回転駆動システムの回転駆動ねじと係合している、発射システムの発射部材並びに上側及び下側可撓性スパインアセンブリの側面図である。
【
図10】
図9の発射部材並びに上側及び下側可撓性スパインアセンブリの断面図である。
【
図11】
図9の回転駆動ねじと係合している発射部材並びに上側及び下側可撓性スパインアセンブリの側面図である。
【
図12】
図4の線12-12に沿ってとられた
図4の外科用エンドエフェクタの断面端面図である。
【
図13】
図10の上側可撓性スパインアセンブリの2つの隣接する上側バーテブラ部材の分解斜視図である。
【
図14】
図10の下側可撓性スパインアセンブリの2つの隣接する下側バーテブラ部材の分解斜視図である。
【
図15】
図9の回転駆動ねじと係合している発射部材並びに上側及び下側可撓性スパインアセンブリの上面図である。
【
図16】関節運動配向にある
図8の回転駆動システムのCV駆動シャフトアセンブリの斜視図である。
【
図17】本開示の少なくとも1つの態様による、
図16のCV駆動シャフトアセンブリに駆動係合している、
図8の発射システムの斜視図である。
【
図18】
図16のCV駆動シャフトアセンブリの斜視図である。
【
図19】
図4の線19-19に沿ってとられた
図4の外科用器具の一部分の断面図である。
【
図20】外科用エンドエフェクタの近位端部分、並びに
図1の外科用器具の発射システム及び回転駆動システムの各部分の部分斜視図である。
【
図21】本開示の少なくとも1つの態様による、発射システムに駆動係合している、
図1の外科用器具の回転駆動システムの斜視図である。
【
図22】
図21の発射システムの回転駆動ねじ及びスラスト軸受構成の分解斜視図である。
【
図24】回転駆動ねじの一部分に駆動係合している、
図21の下側可撓性スパインアセンブリの一部分及び発射部材の一部分の部分断面側面図である。
【
図25】
図1の外科用器具の外科用エンドエフェクタ内の定位置又は始動位置にある発射部材の斜視図である。
【
図26】発射部材が定位置又は始動位置から遠位に駆動された後の、回転駆動ねじに駆動係合している、
図21の上側可撓性スパインアセンブリ及び下側可撓性スパインアセンブリを示す側面図である。
【
図27】本開示の少なくとも1つの態様による、
図1の外科用器具の外科用エンドエフェクタ、発射システム、及び回転駆動システムの一部分の部分断面斜視図であり、明瞭にするために関節継手の外側エラストマー継手アセンブリが省略されている。
【
図28】
図27の外科用エンドエフェクタ、発射システム、及び回転駆動システムの一部分の別の部分斜視図であり、明瞭にするために関節継手の外側エラストマー継手アセンブリ及び細長いシャフトアセンブリの各部分が省略されている。
【
図29】本開示の少なくとも1つの態様による、細長いシャフトアセンブリの一部分に対して第1の方向に関節運動された
図27の外科用エンドエフェクタの上面図である。
【
図30】本開示の少なくとも1つの態様による、細長いシャフトアセンブリの一部分に対して別の方向に関節運動された
図29の外科用エンドエフェクタの側面図である。
【
図31】本開示の少なくとも1つの態様による、細長いシャフトアセンブリの一部分に対して複数の平面において関節運動された
図29の外科用エンドエフェクタの斜視図である。
【
図32】本開示の少なくとも1つの態様による、別の外側エラストマー継手アセンブリを採用した別の外科用器具の一部分の側面図である。
【
図34】
図32の外側エラストマー継手アセンブリの一部分の斜視図である。
【
図35】
図19の線35-35に沿ってとられた
図19の外科用器具の一部分の断面端面図である。
【
図36】
図19の線36-36に沿ってとられた
図19の外科用器具の一部分の断面端面図である。
【
図37】本開示の少なくとも1つの態様による、
図19の外科用器具のアンビルキャップ及び上側バーテブラ部材の一部分の部分断面図である。
【
図38】
図19の外科用器具の外科用エンドエフェクタの一部分の側面図であり、明瞭にするために、本開示の少なくとも1つの態様に従ってアンビルが開放位置にあり、外科用エンドエフェクタの部分が省略されている。
【
図39】本開示の少なくとも1つの態様による、アンビルが開放位置にあり、発射部材が定位置又は始動位置にある、
図38の外科用エンドエフェクタの部分断面側面図である。
【
図40】アンビルが部分閉鎖位置にある、
図39の外科用エンドエフェクタの別の部分断面側面図である。
【
図41】アンビルが完全閉鎖位置にあり、発射部材が外科用エンドエフェクタを通じて遠位に前進した、
図39の外科用エンドエフェクタの別の部分断面側面図である。
【
図42】アンビル開放ばねがアンビルに開放運動を加えることが示されるように各部分が明瞭にするために省略され、発射部材が定位置又は始動位置にある、
図19の外科用エンドエフェクタの部分側面図である。
【
図43】発射部材が把持を目的としてアンビルに迅速な閉鎖運動を加えるために短い距離だけ近位に移動された後の、
図42の外科用エンドエフェクタの別の部分側面図である。
【
図44】そのジョーが閉鎖位置にあり、その発射部材が最近位位置にある、
図19の外科用エンドエフェクタの断面図である。
【
図45】発射部材が外科用エンドエフェクタ内の終了位置へと遠位に前進された後の、
図44の外科用エンドエフェクタの別の断面図である。
【
図47】そのジョーが開放位置にある、
図46の外科用器具の外科用エンドエフェクタの側面図である。
【
図48】そのジョーが閉鎖位置にある、
図48の外科用エンドエフェクタの別の側面図である。
【
図50】
図46の外科用器具の発射システムの発射部材並びに上側可撓性スパインアセンブリ及び下側可撓性スパインアセンブリの一部分の斜視図である。
【
図51】
図50に示された発射システムの各部分の断面側面図である。
【
図52】
図51に示された上側可撓性スパインアセンブリ及び下側可撓性スパインアセンブリの部分分解組立図である。
【
図53】
図50に示された発射部材の上側部分の部分断面端面図である。
【
図54】そのジョーが閉鎖位置にある、
図46の外科用器具の外科用エンドエフェクタの断面端面図である。
【
図55】
図46の外科用器具の可動外骨格アセンブリの環状リブ部材の近位面の図である。
【
図59】その外科用エンドエフェクタが関節運動位置にあるときの、
図46の外科用器具の関節継手の側面図である。
【
図60】外科用エンドエフェクタが関節運動位置にあるときの、
図59の関節継手の別の側面図である。
【
図61】明確にするために外科用エンドエフェクタが省略された、
図46の外科用器具の一部分の部分斜視図である。
【
図62】
図46の外科用器具の一部分の別の部分斜視図である。
【
図63】
図46の外科用器具の一部分の別の部分斜視図である。
【
図64】
図46の外科用器具のCV駆動シャフトアセンブリ及び細長いシャフトアセンブリの一部分の斜視図である。
【
図65】駆動部カバーの実施形態がCV駆動シャフトアセンブリの周囲に設置された、
図64のCV駆動シャフトアセンブリ及び細長いシャフトアセンブリの別の斜視図である。
【
図66】別の駆動部カバーの実施形態がCV駆動シャフトアセンブリの周囲に設置された、
図64のCV駆動シャフトアセンブリ及び細長いシャフトアセンブリの別の斜視図である。
【
図67】別の駆動部カバーの実施形態がCV駆動シャフトアセンブリの周囲に設置された、
図64のCV駆動シャフトアセンブリ及び細長いシャフトアセンブリの別の斜視図である。
【
図68】
図67の駆動部カバーがCV駆動シャフトアセンブリの周囲に設置された、
図46の外科用器具の発射システムの一部分の側面図である。
【
図69】
図68の発射システム及び駆動部カバーの一部分の別の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0004】
本願の出願人は、本願と同日に出願された以下の米国特許出願を所有しており、これらは各々、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
-米国特許出願、発明の名称「SURGICAL INSTRUMENTS WITH FIRING MEMBER CLOSURE FEATURES」、代理人整理番号END9248USNP2/200084-2、
-米国特許出願、発明の名称「SURGICAL INSTRUMENTS WITH SEGMENTED FLEXIBLE DRIVE ARRANGEMENTS」、代理人整理番号END9248USNP3/200084-3、
-米国特許出願、発明の名称「SURGICAL INSTRUMENTS WITH FLEXIBLE BALL CHAIN DRIVE ARRANGEMENTS」、代理人整理番号END9248USNP4/200084-4、
-米国特許出願、発明の名称「SURGICAL INSTRUMENTS WITH DOUBLE SPHERICAL ARTICULATION JOINTS WITH PIVOTABLE LINKS」、代理人整理番号END9248USNP5/200084-5、
-米国特許出願、発明の名称「SURGICAL INSTRUMENTS WITH DOUBLE PIVOT ARTICULATION JOINT ARRANGEMENTS」、代理人整理番号END9248USNP6/200084-6、
-米国特許出願、発明の名称「SURGICAL INSTRUMENTS WITH COMBINATION FUNCTION ARTICULATION JOINT ARRANGEMENTS」、代理人整理番号END9248USNP7/200084-7、
-米国特許出願、発明の名称「METHOD OF OPERATING A SURGICAL INSTRUMENT」、代理人整理番号END9248USNP8/200084-8M
-米国特許出願、発明の名称「SURGICAL INSTRUMENTS WITH DUAL SPHERICAL ARTICULATION JOINT ARRANGEMENTS」、代理人整理番号END9248USNP9/200084-9、
-米国特許出願、発明の名称「SURGICAL INSTRUMENTS WITH FLEXIBLE FIRING MEMBER ACTUATOR CONSTRAINT ARRANGEMENTS」、代理人整理番号END9248USNP10/200084-10、
-米国特許出願、発明の名称「ARTICULATABLE SURGICAL INSTRUMENTS WITH ARTICULATION JOINTS COMPRISING FLEXIBLE EXOSKELETON ARRANGEMENTS」、代理人整理番号END9248USNP11/200084-11、
-米国特許出願、発明の名称「SURGICAL INSTRUMENTS WITH DIFFERENTIAL ARTICULATION JOINT ARRANGEMENTS FOR ACCOMMODATING FLEXIBLE ACTUATORS」、代理人整理番号END9248USNP12/200084-12。
【0005】
本明細書に記載され、添付の図面に図示されるように、実施形態の全体的な構造、機能、製造、及び使用の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が説明される。周知の動作、構成要素、及び要素は、本明細書に記載される実施形態を不明瞭にしないようにするため、詳細に記載されていない。読者は、本明細書に説明及び図示された実施形態が、非限定的な例であり、したがって本明細書に開示された特定の構造的及び機能的詳細が、代表的及び例示的であり得ることを、理解するであろう。「特許請求の範囲」の範囲から逸脱することなく、それに対する変形及び変更を行うことができる。
【0006】
「備える、含む(comprise)」(並びに、「comprises」及び「comprising」などのcompriseの任意の語形)、「有する(have)」(並びに、「has」及び「having」などのhaveの任意の語形)、「含む(include)」(並びに、「includes」及び「including」などのincludeの任意の語形)、及び「含有する(contain)」(並びに、「contains」及び「containing」などのcontainの任意の語形)の用語は、オープンエンドの連結動詞である。結果として、1つ又は2つ以上の要素を「備える、含む(comprises)」、「有する(has)」、「含む(includes)」、若しくは「含有する(contains)」外科用システム、デバイス、又は器械は、それらの1つ又は2つ以上の要素を有するが、それらの1つ又は2つ以上の要素のみを有することに限定されない。同様に、1つ又は2つ以上の特徴を「備える、含む(comprises)」、「有する(has)」、「含む(includes)」、若しくは「含有する(contains)」システム、デバイス、又は器械の要素は、それらの1つ又は2つ以上の特徴を有するが、それらの1つ又は2つ以上の特徴のみを有することに限定されない。
【0007】
「近位」及び「遠位」という用語は、本明細書では、外科用器具のハンドル部分を操作する臨床医を基準として使用される。「近位」という用語は、臨床医に最も近い部分を指し、「遠位」という用語は、臨床医から離れた位置にある部分を指す。便宜上及び明確性のために、「垂直」、「水平」、「上」、及び「下」などの空間的用語が、本明細書において図面に対して使用され得ることが更に理解されよう。しかしながら、外科用器具は、多くの向き及び位置で使用されるものであり、これらの用語は限定的及び/又は絶対的であることを意図したものではない。
【0008】
単数形の項目への言及は、明示的に別段の定めがない限り、あるいは本文から明らかでない限り、複数形の項目を含むと理解されるべきであり、逆もまた同様である。文法上の接続詞は、別段の記載がない限り、あるいは文脈から明らかでない限り、結合された節、文、単語などの任意及び全ての選言的及び接続的組合せを表すことを意図している。したがって、「又は」という用語は、一般に、「及び/又は」などを意味すると理解されるべきである。
【0009】
本発明における値の範囲の記述は、本明細書において別途記載のない限り、その範囲内に含まれる任意及び全ての値を、限定するのではなく、個別に参照することを意図したものであり、そのような範囲内の各々の別個の値は、本明細書に個別に列挙されるかのように、明細書内に組み込まれる。「約(about)」、「およそ(approximately)」などの語は、数値を伴う場合、意図された目的のために満足に動作するように、当業者によって理解されるような偏差を示すものとして解釈されるべきである。同様に、「およそ」又は「実質的に」などの近似の語は、物理的特性に関して使用される場合、対応する使用、機能、目的などのために満足に動作するように、当業者によって認識される偏差の範囲を想到するように解釈されるべきである。
【0010】
本明細書に提供される任意の及び全ての例、つまり例示的文言(例えば、「など」又はその他)の使用は、単に各実施形態をより良好に解明することを意図したものであり、実施形態の範囲に制限を課すものではない。明細書中のいかなる文言も、請求されない要素が実施形態の実践に不可欠であることを示すものとして解釈されるべきではない。
【0011】
腹腔鏡下及び低侵襲性の外科処置を行うための、様々な例示的な装置及び方法が提供される。しかしながら、本明細書に開示される様々な方法及びデバイスが、例えば切開外科処置と関連するものを含む、多くの外科処置及び用途で使用され得ることが、読者には容易に理解されよう。本明細書の「発明を実施するための形態」を読み進めることで、読者は、本明細書に開示される様々な器具が、例えば、もとからある開口部を通じて、組織に形成された切開部又は穿刺孔を通じてなど、任意の方法で体内に挿入され得ることを更に理解するであろう。これらの器具の作用部分すなわちエンドエフェクタ部分は、患者の体内に直接挿入することもでき、外科用器具のエンドエフェクタ及び細長いシャフトを進めることが可能な作用通路を有するアクセスデバイスを通じて挿入することもできる。
【0012】
様々な腹腔鏡手術中においては、患者の腹壁に設置されたトロカールを通して外科用器具の外科用エンドエフェクタ部分を挿入して、患者の腹部内に位置する手術部位にアクセスすることは一般的な手法である。その最も単純な形態では、トロカールは、カニューレ又はスリーブとして知られる中空管内で典型的に使用される一方に鋭い三角形の先端を有するペン形状の器具であり、本体部に開口部を作り、そこを通して外科用エンドエフェクタが導入され得る。そのような構成は、体腔内に、外科用エンドエフェクタが挿入され得るアクセスポートを形成する。トロカールのカニューレの内径は、トロカールを通して挿入され得る外科用器具のエンドエフェクタ及び駆動支持シャフトのサイズを必然的に制限する。
【0013】
実施される外科的処置の特定のタイプに関係なく、外科用エンドエフェクタがトロカールカニューレを通して患者に挿入されると、治療される組織又は器官に対して外科用エンドエフェクタを適切に位置決めするために、トロカールカニューレ内に位置付けられたシャフトアセンブリに対して外科用エンドエフェクタを移動させる必要があることが多い。このトロカールカニューレ内に留まるシャフトの部分に対する外科用エンドエフェクタの移動又は位置決めは、多くの場合、外科用エンドエフェクタの「関節運動」と呼ばれる。外科用エンドエフェクタのそのような関節運動を容易にするために、外科用エンドエフェクタを関連付けられたシャフトに取り付けるための様々な関節継手が開発されている。多くの外科的処置において予想されるように、可能な限り大きな関節運動範囲を有する外科用エンドエフェクタを使用することが望ましい。
【0014】
トロカールカニューレのサイズによって課されるサイズの制約により、関節継手の構成要素は、トロカールカニューレを通して自由に挿入可能であるようにサイズ決定されなければならない。これらのサイズの制約はまた、手持ち式であるか、又はより大きな自動システムの一部分を備え得る、ハウジング内に支持されるモータ及び/又は他の制御システムと動作可能に連動する様々な駆動部材及び構成要素のサイズ及び構成も制限する。多くの場合、これらの駆動部材は、外科用エンドエフェクタに動作可能に連結されているか、又は動作可能に連動されるように、関節継手を動作可能に通過しなければならない。例えば、1つのそのような駆動部材は、外科用エンドエフェクタに関節制御運動を加えるために一般的に用いられる。使用中、関節運動駆動部材は、外科用エンドエフェクタのトロカールを通した挿入を容易にするため、外科用エンドエフェクタを非関節運動位置に位置付けるように非作動であり、その後、外科用エンドエフェクタが患者に入ったときに外科用エンドエフェクタを所望の位置に関節運動させるように作動させることができる。
【0015】
したがって、前述のサイズ制約は、所望の関節運動の範囲を達成し、更に、外科用エンドエフェクタの様々な特徴部を動作させるのに必要な様々な異なる駆動システムを収容することができる、関節運動システムの開発の多くの課題である。更に、外科用エンドエフェクタが所望の関節運動位置に位置付けられると、関節運動システム及び関節継手は、エンドエフェクタの作動及び外科的処置の遂行中に、外科用エンドエフェクタをその位置に保持できなければならない。そのような関節継手の構成はまた、使用中にエンドエフェクタが受ける外力に耐えることが可能でなければならない。
【0016】
組織を切断及びステープル留めするように構成された様々な外科用エンドエフェクタが存在する。そのような外科用エンドエフェクタは、一般に、外科用ステープルカートリッジを支持する第1のジョー特徴部と、アンビルを備える第2のジョーと、を含む。ジョーは、開放位置と閉鎖位置との間で移動してそれらの間に標的組織を位置決め及びクランプし得るように、互いに対して支持される。これらの外科用エンドエフェクタの多くは、軸方向に移動する発射部材を採用している。いくつかのエンドエフェクタ設計では、発射部材は、発射部材が最初に遠位に前進させられると、発射部材がジョーを閉鎖位置に移動させるように、第1及び第2のジョーと係合するように構成されている。他のエンドエフェクタ設計は、発射部材を動作させるシステムから独立した別個の閉鎖システムを採用する。
【0017】
ステープルカートリッジは、カートリッジ本体を備える。カートリッジ本体は、近位端部と、遠位端部と、近位端部と遠位端部との間に延在するデッキと、を含む。使用中、ステープルカートリッジは、ステープル留めされる組織の第1の側に位置付けられ、アンビルは、組織の第2の側に位置付けられる。アンビルは、ステープルカートリッジに向かって移動させられて、デッキに対して組織を押し付けてクランプする。続いて、カートリッジ本体内に着脱可能に格納されているステープルを、組織内に配備することができる。カートリッジ本体は、内部に規定されたステープルキャビティを含み、ステープルは、ステープルキャビティ内に着脱可能に格納される。ステープルキャビティは、6つの長手方向列に配置されている。3列のステープルキャビティが長手方向スロットの第1の側に位置付けられ、3列のステープルキャビティが長手方向スロットの第2の側に位置付けられている。ステープルキャビティ及びステープルの他の構成も可能であり得る。
【0018】
ステープルは、カートリッジ本体内のステープルドライバによって支持されている。ドライバは、ステープルキャビティからステープルを射出するために、第1の、すなわち未発射位置と、第2の、すなわち発射済位置との間で移動可能である。ドライバは、カートリッジ本体の下部周辺に延在するリテーナによってカートリッジ本体内に保持され、また、カートリッジ本体を把持し、リテーナをカートリッジ本体に対して保持するように構成されている、弾性部材を含む。ドライバは、スレッドによってそれらの未発射位置とそれらの発射済位置との間で移動可能である。スレッドは、近位端部に隣接した近位位置と、遠位端部に隣接した遠位位置との間で移動可能である。スレッドは、ドライバの下を摺動し、ドライバを持ち上げるように構成されている複数の傾斜面を含み、ステープルがその上に支持され、アンビルに向かう。
【0019】
上記に加えて、これらの外科用エンドエフェクタにおいて、スレッドは発射部材によって遠位に移動される。発射部材は、スレッドに接触し、スレッドを遠位端部に向かって押すように構成されている。カートリッジ本体内に規定された長手方向スロットは、発射部材を受容するように構成されている。アンビルは、発射部材を受容するように構成されているスロットも含む。発射部材は、第1のジョーに係合する第1のカムと、第2のジョーに係合する第2のカムと、を更に備える。発射部材を遠位に前進させる際、第1のカム及び第2のカムは、ステープルカートリッジのデッキとアンビルとの間の距離、すなわち組織間隙を制御することができる。発射部材はまた、ステープルカートリッジとアンビルとの中間に捕捉された組織を切除するように構成されているナイフも備える。ステープルがナイフよりも前方に射出されるように、ナイフが傾斜面に対して少なくとも部分的に近位に位置付けられることが望ましい。
【0020】
多くの外科用エンドエフェクタは、軸方向に移動可能な発射ビームを使用し、発射ビームは、発射部材に取り付けられ、軸方向の発射運動及び後退運動を発射部材に加えるために使用される。このような発射ビームの多くは、発射ビームに関節継手の周りにおけるある程度の撓みを与える積層構造を備える。発射ビームが関節継手を横断するとき、発射ビームは関節継手に関節運動解除力を加えることができ、またビームを座屈させることができる。発射ビームが圧力下で座屈するのを防止するために、関節継手は、一般に、ビームのうちの関節継手を横断する部分を支持するための側方支持体又は「ブローアウト」プレート特徴部を備える。例えば、60度を超える角度にわたって発射ビームを前進させるためには、多くの軸方向の力が必要とされる。この軸方向の力は、発射部材が遠位方向に移動するときに発射部材がジョーと結合することを回避するために、バランスのとれた方法で発射部材に加えられなければならない。ジョーとの発射部材の任意の結合は、構成要素の損傷及び摩耗をもたらし得るだけでなく、クランプされた組織を通して発射部材を駆動するために増加した量の軸方向駆動力を必要とし得る。
【0021】
他のエンドエフェクタ設計では、回転動力式の発射部材が採用される。そのような設計の多くにおいて、回転駆動シャフトは、関節継手を通って延在し、ジョーのうちの1つの中に回転可能に支持される回転可能な発射部材駆動シャフトと連係する。発射部材は、回転可能な発射部材駆動シャフトに螺合可能に係合し、また、回転可能な発射部材駆動シャフトが回転されると、発射部材は、エンドエフェクタを通して駆動される。このような構成では、発射部材駆動シャフトを収容するために支持ジョーをより大きくする必要がある。そのようなデバイスでは、発射部材の下側端部は、一般に、駆動シャフトと動作可能に連係し、これはまた、遠位に駆動されるときに発射部材を不均衡にする傾向がある力が加えられることをもたらし得る。
【0022】
図1~
図4は、組織を切断及び締結するように構成された関節運動可能なエンドエフェクタを有する外科用器具が直面する課題の多くに対処し得る外科用器具10の一形態を示す。様々な実施形態において、外科用器具10はハンドヘルドデバイスを備えてもよい。他の実施形態では、外科用器具10は、例えば、ロボット制御システムと呼ばれることもある自動システムを備えてもよい。様々な形態において、外科用器具10は、細長いシャフトアセンブリ2000に動作可能に連結された外科用エンドエフェクタ1000を備える。細長いシャフトアセンブリ2000は、ハウジング2002に動作可能に取り付けられ得る。一実施形態では、ハウジング2002は、臨床医によって把持、操作、及び作動されるように構成されたハンドルを備え得る。他の実施形態では、ハウジング2002は、本明細書に開示される外科用エンドエフェクタ及びこれらのそれぞれの等価物を作動させるために使用され得る、少なくとも1つの制御運動を生成して加えるように構成された、少なくとも1つの駆動システムを収納するか、あるいは別の方法で動作可能に支持する、ロボットシステムの一部分を備え得る。加えて、様々な構成要素は、ハウジング内に「収納」されるか又は含まれてもよく、あるいは様々な構成要素は、ハウジングと「関連付け」られていてもよい。このような例では、構成要素は、ハウジングと共に含まれていなくてもよく、又はハウジングによって直接支持されていなくてもよい。例えば、本明細書で開示される外科用器具は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第9,072,535号、発明の名称「SURGICAL STAPLING INSTRUMENTS WITH ROTATABLE STAPLE DEPLOYMENT ARRANGEMENTS」に開示される様々なロボットシステム、器具、構成要素及び方法と共に採用され得る。
【0023】
一形態において、外科用エンドエフェクタ1000は、第1のジョー1100と、第2のジョー1200と、を備える。図示された構成では、第1のジョー1100は、近位端部1112と遠位端部1114とを備え、外科用ステープルカートリッジ1300を中に動作可能に支持するように構成されている、細長いチャネル1110を備える。外科用ステープルカートリッジ1300は、内部に細長いスロット1304を有するカートリッジ本体1302を備える。複数の外科用ステープル又はファスナ(図示せず)が、細長いスロット1304の各側に列をなして配置されたドライバ(図示せず)上にその中に格納される。ドライバはそれぞれ、カートリッジデッキ表面1306を通して開口する対応するステープルキャビティ1308と関連付けられる。外科用ステープルカートリッジ1300は、ステープル/ファスナがそこから放出された後に交換されてもよい。外科用ステープルカートリッジ1300が使用された後に、細長いチャネル1110及び/又は外科用エンドエフェクタ1000全体が廃棄され得る他の実施形態も企図される。そのようなエンドエフェクタ構成は、例えば、「使い捨て装填ユニット」と称され得る。
【0024】
図示の構成では、第2のジョー1200は、近位端部1214と遠位端部1216とを備えた細長いアンビル本体1212を備えるアンビル1210を備えている。一構成では、アンビル本体1212に付加的な剛さ及び剛性を提供するために、一対の補強ロッド又は部材1213がアンビル本体1212内に支持されてもよい。アンビル本体1212は、第1のジョー1100に面するステープル形成下面1218を備え、外科用ステープルカートリッジ1300内のステープル又はファスナの各々に対応するステープル形成ポケットのシリーズ(図示せず)を含み得る。アンビル本体1212は、アンビル本体1212の近位端部1214に隣接して形成された、一対の下向きに延在する組織停止特徴部1220を更に含んでもよい。1つの組織停止特徴部1220は、各組織停止部の遠位端部1222が外科用ステープルカートリッジ1300内の最近位のステープル/ファスナに対応するように、アンビル本体1212の各側部から延在する。アンビル1210が、アンビル1210のステープル形成下面1218と外科用ステープルカートリッジ1300のカートリッジデッキ表面1306との間に位置付けられた組織上の閉鎖位置に移動されたとき、組織は、組織停止特徴部1220の遠位端部1222に接触して、組織が最近位のステープル/ファスナを越えて近位に移動することを防止し、それによって、切断される組織もステープル留めされることを確実にする。外科用ステープルカートリッジが、以下で更に詳細に議論されるように「発射」されたとき、各ステープルキャビティ内に支持されたステープル/ファスナは、クランプされた組織を通ってステープルキャビティ1308から出て、アンビル1210のステープル形成下面1218と形成接触するように駆動される。
【0025】
図5及び
図6から分かるように、アンビル本体1212の近位端部1214は、細長いチャネル1110の近位端部1112に形成された対応する装着クレードル又は枢動クレードル1120に受容されるように構成された一対の横方向に延在する装着ピン1232を含むアンビル装着部分1230を備える。装着ピン1232は、細長いチャネル1110上の保持構造1113に係合するように構成された機械的スナップ機構1261によって細長いチャネル1110の近位端部1112に取り付けられ得るアンビルキャップ1260によって、装着クレードル1120内に枢動可能に保持される。
図5を参照されたい。他の構成では、アンビルキャップ1260は、溶接、接着剤などによって細長いチャネル1110に取り付けられてもよい。そのような構成は、開放位置(
図1)と閉鎖位置(
図2~
図5)との間で枢動軸PAを中心として、細長いチャネル1110内に装着された外科用ステープルカートリッジ1300に対してアンビル1210が枢動移動することを容易にする。そのような枢動軸PAは、本明細書では、アンビル1200が開放位置から閉鎖位置に枢動されるときに枢動軸が並進しないかあるいは別様に移動しないという点で、「固定されている」と称され得る。
【0026】
図示された構成では、細長いシャフトアセンブリ2000は、シャフト軸SAを規定し、外科用器具10の制御部分(例えば、ハンドヘルドユニット、ロボットツールドライバなど)のハウジングと動作可能に連係し得る近位シャフト部分2100を備える。細長いシャフトアセンブリ2000は、近位シャフト部分2100及び外科用エンドエフェクタ1000に取り付けられた関節継手2200を更に備える。様々な例において、近位シャフト部分2100は、ハウジング2002に動作可能に連結され得る中空の外側チューブ2110を備える。
図2を参照されたい。
図6から分かるように、近位シャフト部分2100は剛性近位支持シャフト2120を更に備えてもよく、剛性近位支持シャフト2120は、中空外側チューブ2110内に支持され、ハウジングから関節継手2200まで延在する。近位支持シャフト2120は、例えば、溶接、接着剤などによって一緒に連結され得る第1の半体2120A及び第2の半体2120Bを備えてもよい。近位支持部材2120は、近位端部2122及び遠位端部2124を備え、内部を通って近位端部2122から遠位端部2124まで延在する軸方向通路2126を含む。
【0027】
上述したように、多くの外科用エンドエフェクタは、軸方向に移動可能な発射ビームによって外科用ステープルカートリッジを通して遠位に押される発射部材を使用する。発射ビームは、一般に、発射部材本体の中心領域において発射部材に取り付けられる。この取り付け位置は、発射部材がエンドエフェクタを通って前進させられるときに発射部材に不均衡をもたらす可能性がある。そのような不均衡は、発射部材とエンドエフェクタジョーとの間の望ましくない摩擦につながる可能性がある。この付加的な摩擦が生じることは、そのような摩擦を克服するために、より高い発射力を加えることを必要とし得るだけでなく、ジョー及び/又は発射部材の各部分に望ましくない摩耗を引き起こし得る。発射ビームにより高い発射力を加えることは、発射ビームが関節継手を横断する際に、発射ビームにおける望ましくない屈曲をもたらし得る。そのような付加的な撓みは、特に、外科用エンドエフェクタが比較的高い関節運動角度で関節運動されるときに、関節継手の関節運動を解除させ得る。外科用器具10は、これらの問題の全てには対処し得なくとも、これらの問題の多くに対処し得る発射システム2300を使用する。
【0028】
図5~
図11から分かるように、少なくとも1つの実施形態において、発射システム2300は、垂直に延在する発射部材本体2312を含む発射部材2310を備え、発射部材本体2312は、上部発射部材特徴部2320及び下部発射部材特徴部2350を備える。組織切断ブレード2314が、垂直に延在する発射部材本体2312に取り付けられているか、又は中に形成されている。
図9及び
図11を参照されたい。少なくとも1つの構成において、発射部材2310が、低い摩擦、高い強度、及び高い剛さを伴ってアンビル本体1212を通過することが望ましい。図示された構成では、上部発射部材特徴部2320は、内部を通って延在する上部軸方向通路2324を有する上部管状本体2322を備える。
図10を参照されたい。下部発射部材特徴部2350は下部管状本体2352を含み、下部管状本体2352は、それを通って延在する下部軸方向通路2354を有する。少なくとも1つの構成では、上部発射部材特徴部2320及び下部発射部材特徴部2350は、垂直に延在する発射部材本体2312と一体的に形成されている。
図12から分かるように、アンビル本体1212は、「鍵穴」に似た断面形状を有する軸方向に延在するアンビルスロット1240を備える。同様に、細長いチャネル1110は、同様に鍵穴の断面形状を有する軸方向に延在するチャネルスロット1140を備える。
【0029】
従来の発射部材構成では、発射部材の上部部分及び下部部分から延在する長い可撓性カンチレバーウィングが採用される。これらのカンチレバーウィングは、より高摩擦の表面を生成する傾向がある長方形のTカッターで一般に切断されるアンビル及びチャネル内のスロットを摺動可能に通過する。このような長いカンチレバーウィングは、アンビル及びチャネルと接触する表面積が最小であり、これらの構成要素の摩損をもたらす可能性がある。鍵穴形状のチャネルスロット1140及び鍵穴形状のアンビルスロット1240は、丸形Tカッターで切断されてもよく、またリーマ/穿孔機で仕上げられてもよく、これによって、より低摩擦の表面が作られることになる。加えて、上部管状本体2322及び下部管状本体2352は、従来のカンチレバーウィング構成よりも固くなり、またアンビル及びチャネルと接触する表面積を増加させる傾向があり、これらはそれぞれ、摩損を低減させ、より強い摺動接続をもたらすことになり得る。別の言い方をすれば、アンビルスロット1240及びチャネルスロット1140は鍵穴の形状をなし、従来の矩形スロットよりも少ない材料が除去されるので、その幾何学的形状及び増加した材料は、従来の構成と比較してより固いアンビル及びチャネルをもたらし得る。
【0030】
図9~
図11を参照すると、一構成では、発射システム2300は、上部発射部材特徴部2320に動作可能に連結された上側可撓性スパインアセンブリ2400と、下部発射部材特徴部2350に動作可能に連結された下側可撓性スパインアセンブリ2500と、を更に備える。少なくとも1つの実施形態において、上側可撓性スパインアセンブリ2400は、上部発射部材特徴部2320に取り付けられた上側可撓性連結器部材2402によって一緒に緩く連結されている上側バーテブラ部材2420の上側シリーズ2410を備える。上側可撓性連結器部材2402は、上部発射部材特徴部2320内の上部軸方向通路2324を通って延在する上部ケーブル2404を備えてもよく、上部ケーブル2404の遠位端部2406は、上部軸方向通路2324に固定されたリテーナフェルール2408に取り付けられている。
【0031】
図13から分かるように、各上側バーテブラ部材2420は、近位端部2424及び遠位端部2428を有する上側バーテブラ本体部分2422を備える。上側中空通路2429は、上側可撓性連結器部材2402の通路を収容するために、上側バーテブラ本体部分2422を通って延在する。各上側バーテブラ部材2420は、上側バーテブラ本体部分2422から突出する、下向きに延在する上側駆動特徴部又は上側バーテブラ部材歯2450を更に備える。各上側バーテブラ部材歯2450は、螺旋形状の近位上面部分2452及び螺旋形状の遠位上面部分2454を有する。上側バーテブラ本体部分2422の各近位端部2424は、その中に上側近位嵌合特徴部2426を有し、各遠位端部2428は、その中に形成された上側遠位嵌合特徴部2430を有する。少なくとも1つの実施形態では、上側近位嵌合特徴部2426は凹状リセス陥凹部2427を備え、各上側遠位嵌合特徴部2430は凸状マウンド2431を備える。上側シリーズ2410に配置されたとき、1つの上側バーテブラ部材2420上の凸状マウンド2431は、上側シリーズ2410内の隣接する上側バーテブラ部材2420上の凹状リセス2427と接触及び嵌合して上側バーテブラ部材2420をほぼ整列した状態に維持し、それにより、対応する各上側歯2450上の螺旋形状の近位上面部分2452及び螺旋形状の遠位上面部分2454は、以下で更に詳細に説明されるように、回転駆動ねじ2700によって駆動係合され得る。
【0032】
同様に、少なくとも1つの実施形態において、下側可撓性スパインアセンブリ2500は、下部発射部材特徴部2350に取り付けられた下側可撓性連結器部材2502によって一緒に緩く連結されている下側バーテブラ部材2520の下側シリーズ2510を備える。下側可撓性連結器部材2502は、下部発射部材特徴部2350内の下部軸方向通路2354を通って延在する下側ケーブル2504を備えてもよく、下部ケーブル2504の遠位端部2506は、下部軸方向通路2354に固定されたリテーナフェルール2508に取り付けられている。
【0033】
図14から分かるように、各下側バーテブラ部材2520は、近位端部2524及び遠位端部2528を有する下側バーテブラ本体部分2522を備える。下側中空通路2529は、下側可撓性連結器部材2502の通路を収容するために、下側バーテブラ本体部分2522を通って延在する。各下側バーテブラ部材2520は、下側バーテブラ本体部分2522から突出する、上向きに延在する下側駆動特徴部又は下側バーテブラ部材歯2550を更に備える。各下側バーテブラ部材歯2550は、螺旋形状の近位下面部分2552及び螺旋形状の遠位下面部分2554を有する。下側バーテブラ本体部分2522の各近位端部2524は、その中に下側近位嵌合特徴部2526を有し、各遠位端部2528は、その中に形成された下側遠位嵌合特徴部2530を有する。少なくとも1つの実施形態では、下側近位嵌合特徴部2526は凹状リセス2527を備え、各下側遠位嵌合特徴部2530は凸状マウンド2531を備える。下側シリーズ2510に配置されたとき、1つの下側バーテブラ部材2520上の凸状マウンド2531は、下側シリーズ2510内の隣接する下側バーテブラ部材2520上の凹状リセス2527と接触及び嵌合して下側バーテブラ部材2520をほぼ整列した状態に維持し、それにより、対応する各下側歯2550上の螺旋形状の近位下面部分2552及び螺旋形状の遠位下面部分2554は、以下で更に詳細に説明されるように、回転駆動ねじ2700によって駆動係合され得る。
【0034】
ここで
図5、
図7、及び
図8を参照すると、少なくとも1つの構成において、発射駆動システム2300は、上側バーテブラ部材2420の上側シリーズ2410及び下側バーテブラ部材2520の下側シリーズ2510と駆動可能に連係するように構成された回転駆動ねじ2700を更に備える。図示の構成では、回転駆動ねじ2700は、近位支持シャフト2120内の軸方向通路2126内に回転可能に支持された近位回転駆動シャフト2610を含む回転駆動システム2600によって駆動される。
図7を参照されたい。近位回転駆動シャフト2610は、近位端部2612及び遠位端部2614を備える。近位端部2612は、モータ2006又は外科用器具のハウジング内に収納された他の回転運動源によって駆動されるギアボックス2004又は他の構成と連係してもよい。
図2を参照されたい。そのような回転運動源は、近位回転駆動シャフトを、近位支持シャフト2120内の軸方向通路2126内でシャフト軸SAを中心に回転させる。
【0035】
近位回転駆動シャフト2610は、関節継手2200に対して近位である場所において、細長いシャフトアセンブリ2000内に動作可能に支持され、また、関節継手2200を通って軸方向に「広がる」又は延在する定速(constant velocity、CV)駆動シャフトアセンブリ2620と動作可能に連係する。
図8、
図16、及び
図17に見られるように、少なくとも1つの構成では、CV駆動シャフトアセンブリ2620は、近位CV駆動アセンブリ2630及び遠位CV駆動シャフト2670を備える。近位CV駆動アセンブリ2630は、近位回転駆動シャフト2610の遠位端部2614内の同様の形状の連結器キャビティ2616内に回転不能に受容されるように構成された取り付けシャフト2634から成る近位シャフトセグメント2632を備える。近位シャフトセグメント2632は、移動可能に連結された駆動継手2650のシリーズ2640と動作可能に連係する。
【0036】
図18から分かるように、少なくとも1つの構成では、各駆動継手2650は、第1又は遠位球形部分2660と、第2又は近位球形部分2652と、を備える。遠位球形部分2660は、近位球形部分2652よりも大きい。遠位球形部分2660は、その中に隣接する駆動継手2650の近位球形部分2652を回転可能に受容するように構成されたソケットキャビティ2662を備える。各近位球形部分2652は、
図16から分かるように、隣接する駆動継手2650の遠位球形部分2660内の対応するピンスロット2664内に移動可能に受容されるように構成された一対の直径方向に対向する継手ピン2654を備える。最近位の駆動継手2650Pの近位球形部分2652Pは、
図16に示されるように、近位シャフトセグメント2632の遠位ソケット部分2636内に回転可能に受容される。継手ピン2654Pは、遠位ソケット部分2636内の対応するピンスロット2637内に受容される。
図16から更に分かるように、移動可能に連結された駆動継手2650のシリーズ2640における最遠位の駆動継手2650Dは、遠位CV駆動シャフト2670に移動可能に連結されている。
【0037】
少なくとも1つの構成では、遠位CV駆動シャフト2670は、最遠位の駆動継手2650D内のソケットキャビティ2662D内に移動可能に受容されるように寸法決めされた近位球形部分2672を備える。近位球形部分2672は、最遠位の駆動継手2650D内のピンスロット2664D内に移動可能に受容される継手ピン2674を含む。遠位CV駆動シャフト2670は、関節継手2200の遠位に位置付けられる回転駆動ねじ2700に回転不能に連結されるように構成された遠位方向に延在するシャフトステム2676を更に備える。遠位CV駆動シャフト2670は、フランジ2677と、その上にスラスト軸受ハウジング2680を受容するための装着バレル部分2678と、を含む。
【0038】
図示の構成では、移動可能に連結された駆動継手2650の列2640が関節運動するとき、継手ピン2674は、隣接する駆動継手2650の対応するピンスロット2664内に残存する。
図18に示される例では、各駆動継手は、ピッチ方向及びヨー方向におよそ18度の関節運動が可能となり得る。
図16は、シリーズ内の各駆動継手2650がピッチ及びヨーにおいて完全に90度関節運動されたときの駆動継手2650のシリーズ2640の角度を示しており、これはおよそ100.9度の角度αをもたらす。このような構成では、各遠位球形部分2660の外側表面は、隣接又は近接する近位球形部分2652の外側表面とのクリアランスを有して、18度の限界に達するまで無制限の運動を可能にする。剛性の設計及び制限された小さい角度は、移動可能に連結された駆動継手2650のシリーズ2640が、全体的に大きい角度で高い負荷をねじり方向に担持することを可能にする。
【0039】
図示の構成では、関節継手2200は、外側エラストマー継手アセンブリ2210内に支持された関節継手ばね2230を備える。外側エラストマー継手アセンブリ2210は、細長いチャネル1110の近位端部1112に取り付けられた遠位端部2212を含む。例えば、
図6から分かるように、外側エラストマー継手アセンブリ2210の遠位端部2212は、細長いチャネル1110の近位端部1112に螺合可能に受容されるように遠位装着ブッシング2720を通って延在する一対のキャップねじ2722によって、細長いチャネル1110の近位端部1112に取り付けられている。エラストマー継手アセンブリ2210の近位端部2214は、近位支持シャフト2120の遠位端部2124に取り付けられている。エラストマー継手アセンブリ2210の近位端部2214は、近位支持シャフト2120の遠位端部2124内に装着されたねじ山付きインサート2125に螺合可能に受容されるように近位装着ブッシング2750を通って延在する一対のキャップねじ2732によって、近位支持部材2120の遠位端部2124に取り付けられている。
【0040】
駆動継手2650が関節運動中に座屈するのを防止するために、移動可能に連結された駆動継手2650のシリーズ2640は、外側エラストマー継手アセンブリ2210内に支持される少なくとも1つの低摩擦関節継手ばね2730を通って延在する。
図19を参照されたい。関節継手ばね2730は、関節継手ばね2730と駆動継手2650との間にわずかな半径方向隙間が提供されるように、駆動継手2650に対して寸法決めされる。関節継手ばね2730は、ねじりの発射負荷よりも相当に低くなり得る関節運動負荷を担持するように設計される。継手ばね(複数可)は、駆動継手2650のシリーズ2640よりも長いが、そのため、駆動継手は軸方向に遊動する。駆動継手2650のシリーズ2640の「ハードスタック」が、関節継手ばね2730のハードスタックよりも長い場合、駆動継手2650は、発射負荷及び関節運動負荷を駆動継手2650のシリーズ2640を通して軸方向に解消させる関節運動圧縮リミッタとして機能し得る。発射負荷が駆動継手2650のシリーズ2640を通して軸方向に解消するとき、負荷は、関節継手2200を直線状にしようとし得るか、あるいは言い換えれば、関節運動解除を引き起こそうとし得る。関節継手ばね(複数可)2730のハードスタックが、駆動継手2650のシリーズ2640のハードスタックよりも長い場合、発射負荷は、エンドエフェクタ内に収められ、発射負荷は、駆動継手2650を通して、あるいはばね(複数可)2730を通して解消しない。
【0041】
駆動継手2650が常に互いに係合されることを更に確実にするために、近位駆動ばね2740を用いて、軸方向付勢力を駆動継手2650のシリーズ2640に加える。例えば、
図8、
図19、及び
図20から分かるように、近位駆動ばね2740は、近位装着ブッシング2734と、近位シャフトセグメント2632の遠位ソケット部分2636と近位バレル部分2638との間に形成された支持フランジと、の間に配置される。一構成では、近位駆動ばね2740は、近位シャフトセグメント2632の近位バレル部分2638上に受容されるエラストマーOリング/ブッシングを備えてもよい。近位駆動ばね2740は、駆動継手2650を一緒に軽く付勢して、関節運動中に生じ得る任意の間隙を減少させる。これは、駆動継手2650が負荷をねじり伝達することを確実にする。しかしながら、少なくとも1つの構成において、近位駆動ばね2740は、関節継手2200を通して並進するための発射負荷を生じさせるのに十分に高い軸方向負荷を加えないことが理解されよう。
【0042】
図9及び
図10から分かるように、発射部材2310上の上部発射部材特徴部2320は、各上側バーテブラ部材2420上の上側歯2450の半分に相当する遠位上側発射部材歯セグメント2330を備える。加えて、各上側バーテブラ部材2420上の上側歯2450と同一である近位上側発射部材歯2336は、遠位上側発射部材歯セグメント2330から離隔されている。遠位上側発射部材歯セグメント2330及び近位上側発射部材歯2336は、発射部材2310の上部発射部材特徴部2320と一体的に形成されてもよい。同様に、発射部材2310の下部発射部材特徴部2350は、下部発射部材特徴部2350上に一体的に形成された、遠位下側発射部材歯2360及び近位下側発射部材歯2366を備える。例えば、少なくとも1つの構成では、堅固に取り付けられた歯2330、2336、2360、及び2366を有する発射部材2310は、従来の金属射出成形技術を使用して1つの一体構成要素として一度に製作されてもよい。
【0043】
上述したように、上側バーテブラ部材2520の各々は、頂部ケーブル2404の形態をなす上側可撓性連結器部材2402上に移動可能に受容される。上述したように、上部ケーブル2404の遠位端部2406は、発射部材2310の上部発射部材特徴部2320に固定されている。同様に、下側バーテブラ部材2520の各々は、下側ケーブル2504の形態をなす下側可撓性連結器部材2502上に移動可能に受容される。下側ケーブル2504の遠位端部2506は、発射部材2310の下部発射部材機構2350に固定されている。少なくとも1つの構成では、上部ケーブル2404及び下部ケーブル2504は、近位シャフト部分2100を通って延在し、また、以下で更に詳細に説明されるように、発射部材駆動システムが故障した場合に発射部材2310をその定位置又は始動位置に後退させるために、ハウジング内に支持されたベイルアウト構成と連係し得る。
【0044】
再び
図8を参照すると、上側バーテブラ部材2420の上側シリーズ2410の軸方向長さAL
uと下側バーテブラ部材2520の下側シリーズ2510の軸方向長さAL
lは等しく、また、上側バーテブラ部材2420の上側シリーズ2410における最近位の上側バーテブラ部材2420及び下側バーテブラ部材2520の下側シリーズ2510における最近位の下側バーテブラ部材2520が回転駆動ねじ2700に駆動係合したままである間に、ステープルカートリッジ内での定位置又は始動位置から最遠位の終了位置への発射部材2310の完全な遠位前進を容易にするのに十分な長さでなければならない。
図8から分かるように、上側圧縮制限ばね2421は、上側バーテブラ部材2420の上側シリーズ2410における最近位の上側バーテブラ部材2420Pと連係するように構成されている。上側圧縮制限ばね2421は、上部ケーブル2404上に軸支され、上部ケーブル2404上に圧着される上側フェルール2425によって定位置に保持される上側ばねホルダ2423によって、最近位の上側バーテブラ部材2420Pに付勢係合して保持される。上部ケーブル2404は、近位支持シャフト内に支持される上側ハイポチューブ2433を通って延在する。同様に、下側圧縮制限ばね2521は、下側バーテブラ部材2520の下側シリーズ2510における最近位の下側バーテブラ部材2520Pと連係するように構成されている。下側圧縮ばね2521は、下側ケーブル2504上に軸支され、下側ケーブル2504上に圧着される下側フェルール2525によって定位置に保持される下側ばねホルダ2523によって、最近位の下側バーテブラ部材2520Pに付勢係合して保持される。下側ケーブル2504は、近位支持シャフト内に支持される下側ハイポチューブ2533を通って延在する。
【0045】
(エンドエフェクタが関節運動位置に配置された後に)上側バーテブラ部材2420及び下側バーテブラ部材2520が関節継手を介して角度をなすとき、それぞれのバーテブラ部材2420、2520間の間隙は、各シリーズ2410、2510において増大し、これにより、ばね2421、2521はよりきつくなる。圧縮制限ばね2421、2521はそれぞれ、ケーブル2404、2504に十分な緩みを提供して、バーテブラ部材2420、2520が最も極端な関節運動角度にわたって角度をなすことを可能にする。ケーブル2404、2504が過度にきつく引っ張られた場合、ばねホルダ2423、2523は、それらのそれぞれの最近位のバーテブラ部材2420P、2520Pに接触することになる。そのような圧縮制限構成は、それぞれのシリーズ2410、2510におけるバーテブラ部材2420、2520が常に一緒に十分に接近したままであることを確実にし、その結果、回転駆動ねじ2700は、以下で更に詳細に議論される様式でそれらを常に駆動係合することになる。バーテブラ部材2420、2520が再び直線状に整列されると、圧縮制限ばね2421、2521は、バーテブラ部材間のいくらかの圧縮を依然として維持しながら、部分的に弛緩し得る。
【0046】
上述のように、上側バーテブラ部材2420が上側シリーズ2410に配置され、下側バーテブラ部材2520が下側シリーズ2510に配置されているとき、各バーテブラ部材の凸状マウンド及び凹状溝部並びに圧縮リミッタばねは、上側及び下側バーテブラ部材を、回転駆動ねじ2700による駆動係合のために比較的直線的な位置合わせに維持するように機能する。
図9及び
図10から分かるように、上側バーテブラ部材2420が直線状に整列しているとき、上側歯2450は、回転駆動ねじ上の螺旋状駆動ねじ山2170との駆動係合を容易にする、全体として2460で指定される開口空間によって互いから離隔されている。同様に、下側バーテブラ部材2520が直線状に整列しているとき、下側バーテブラ部材歯2550は、回転駆動ねじ2700の螺旋状駆動ねじ山2170との駆動係合を容易にする、全体として2560で指定される開口空間によって互いから離隔されている。
【0047】
図8及び22を参照すると、回転駆動ねじ2700は、遠位CV駆動シャフト2670の遠位方向に延在するシャフトステム2676を受容するためのソケット2704をその中に有するねじ本体2702を備える。複数の玉軸受2716をその中に支持するための内部半径方向溝2714(
図10)が、スクリュー本体2702に形成される。1つの構成では、例えば、12個のボールベアリング2716が採用される。半径方向溝2714は、ねじ本体2702とスラスト軸受ハウジング2680の遠位端部との間で玉軸受2716を支持する。玉軸受2716は、回転駆動ねじ2700の軸方向負荷を分散させ、玉の転がり運動によって摩擦を大幅に低減するように機能する。
【0048】
図23から分かるように、螺旋状駆動ねじ山2710は、ねじ本体2702の周囲に提供され、近位ねじ山スクープ特徴部2712を形成するように機能する。近位ねじスクープ特徴部2712は、第1のピッチ2713を伴って形成され、螺旋状駆動ねじ山2710の残りの部分は、第1のピッチ2713とは異なる第2のピッチ2715を伴って形成されている。
図22及び
図23において、領域2718は、第1のピッチ2713及び第2のピッチ2715が収束する場所を示す。少なくとも1つの実施形態では、回転駆動ねじ2700が全ての上側バーテブラ部材2420及び全ての下側バーテブラ部材2520を捕捉し、「すくい上げる」かあるいは駆動係合することを確実にするために、第1のピッチ2713は第2のピッチ2715よりも大きい。
図24から分かるように、第1のピッチ2713を有する螺旋状駆動ねじ山2710の近位端部2717は、2つの隣接する下側バーテブラ部材の歯2550Aと歯2550Bとの間の開口空間2560内にすくい込まれており、一方、第2のピッチ2715を有する螺旋状駆動ねじ山2710の中央部分2719は、下側バーテブラ部材歯2550B上の螺旋形状の遠位下面部分2554及び近位下側発射部材歯2366上の螺旋形状の近位下面部分2552に駆動係合している。また理解され得るように、スクープ特徴部2712は、発射部材2310を遠位に駆動するときに下側バーテブラ部材歯2550Bをすくい上げる際、下側バーテブラ部材歯2550Aの螺旋形状の遠位下面部分2554Aに接触しなくてもよい。螺旋状駆動ねじ山2710は、同様の様式で上側バーテブラ部材2420の歯2450と連係する。
【0049】
パワースクリューは、周囲に完全に360度のナットを有するねじ山付きロッドである。パワースクリューの回転は、ナットを長手方向に前進又は移動させる。しかしながら、本構成では、空間的な制約のために、完全な360度のナットはエンドエフェクタの内側に嵌合することができない。一般的な意味において、上側可撓性スパインアセンブリ2400及び下側可撓性スパインアセンブリ2500は、回転駆動ねじ2700によって回転可能に駆動される半径方向/長手方向にセグメント化された「パワースクリューナット」を備える。回転駆動ねじが第1の回転方向に回転させられるとき、回転駆動ねじ2700は、バーテブラ部材の上側シリーズ及び下側シリーズの各々における1つ又は2つ以上のバーテブラ部材を長手方向に駆動する一方で、バーテブラ部材2420、2520は半径方向に同じ場所に留まる。上側シリーズ2410及び下側シリーズ2510は、回転駆動ねじ2700の周りで回転することを制約され、長手方向にのみ移動することができる。一構成では、上側シリーズ2410の上側バーテブラ部材2420及び下側シリーズ2510の下側バーテブラ部材2520は、それぞれ10度未満でのみ回転駆動ねじ2700を取り囲む。
【0050】
図25は、定位置又は始動位置にある発射部材2310を示す。
図25から分かるように、回転駆動ねじ2700上の螺旋状駆動ねじ山2710の一部分は、遠位上側発射部材歯セグメント2330と近位上側発射部材歯2336との間に係合され、螺旋状駆動ねじ山2710の別の部分は、発射部材2310上の遠位下側発射部材歯2360と近位下側発射部材歯2366との間に係合される。そのような構成は、回転駆動ねじ2700が発射部材2310の遠位及び近位の動きを正確に制御することを可能にし、これは、以下で更に詳細に論じられるように、アンビル1210の正確な動きをもたらし得る。発射部材2310が発射ストローク中に十分に遠位に前進させられると、螺旋状駆動ねじ山2710は、上側及び下側バーテブラ上の歯に動作可能に係合する。
図26を参照されたい。
【0051】
外科用器具10はまた、関節運動を外科用エンドエフェクタ1000に加えて、外科用エンドエフェクタを細長いシャフトアセンブリ2000に対して関節運動させるように構成された関節運動システム2240を備える。少なくとも1つの構成では、例えば、関節運動システムは、細長いシャフトアセンブリ2000を通って延在する4つの関節運動ケーブル2242、2246、2250、及び2254を備える。
図27を参照されたい。図示の構成では、関節運動ケーブル2242、2246は、近位装着ブッシング2750、エラストマー継手アセンブリ2210の近位端部2214、並びにエラストマー継手アセンブリ2210の遠位端部2212又は外科用器具の他の部分に固定される中央リブセグメント2216を通過している。同様に、関節運動ケーブル2250及び2254は、近位装着ブッシング2750、エラストマー継手アセンブリ2210の近位端部2214、並びにエラストマー継手アセンブリ2210の遠位端部2212又は外科用エンドエフェクタの他の部分に固定される中央リブセグメント2218を通過している。ケーブル2242、2246、2250、及び2254は、外科用器具10のハウジング内に支持される関節運動制御システムと動作可能に連係する。例えば、各ケーブル2242、2246、2250、及び2254の近位部分は、所望の様式で各ケーブル2242、2246、2250、及び2254を繰り出し、また後退させるように構成された外科用器具10のハウジング部分内にある対応する回転スプール又はケーブル管理システム2007(
図2)上に巻き取られてもよい。スプール/ケーブル管理システムは、モータ駆動式であっても、手動式(ラチェット構成など)であってもよい。
図29は、細長いシャフトアセンブリ2000に対する、第1の関節運動平面を通じた外科用エンドエフェクタ1000の関節運動を示している。
図30は、細長いシャフトアセンブリ2000に対する、第2の関節運動平面を通じた外科用エンドエフェクタ1000の関節運動を示している。
図31は、細長いシャフトアセンブリ2000に対する、複数の関節運動平面を通じた外科用エンドエフェクタ1000の関節運動を示している。
【0052】
図32~
図34は、エラストマー継手アセンブリ2210’の形態をなす代替的な関節継手2200’を示す。
図33に見られるように、各関節運動ケーブルは、エラストマー継手アセンブリ2210’のリブ2216’に装着された対応するばね2215’を通過する。例えば、ケーブル2242は、ばね2244を通って延在する。ケーブル2246は、ばね2248を通って延在する。ケーブル2250は、ばね2252を通って延在し、ケーブル2254は、ばね2256を通って延在する。上述したように、エンドエフェクタは、適切なケーブル2242、2246、2250及び2254を引っ張ったり緩めたりすることによって関節動作される。より高度な関節安定性を伴ってより大きな関節運動角度を達成するために、ばね2244、2248、2252、及び2256の各々は、エンドエフェクタを押し、それを通して延在するケーブルを引っ張るために、エラストマー継手のリブを通して摺動することができる。ばね2244、2248、2252、2256はまた、ケーブル2242、2246、2250、2254がきつく引っ張られるとリブ内に後退する。ばね2244、2248、2252及び2256の各々は、それらを通過する特定のケーブル上に緩く着座する。各ケーブル及び対応するばねは、細長いシャフトアセンブリ2000内に支持され、その近位端部から押し引きされ得る対応する中実ロッドで終端し得るか、あるいは別様にそれに連結され得る。ケーブルが引っ張られると、対応するばねは、負荷をほとんどあるいは全く担持しない。ばねが押されると、ケーブルはほとんど負荷を担持しないが、エンドエフェクタの動きを制限するのに役立つ。ケーブルとばねとの間のこの連係は、例えば、90度に接近し得る、より高い関節運動角度を促進し得る。
【0053】
本明細書に開示される半径方向/長手方向にセグメント化されたパワースクリューナット構成は、360度のナットと同じ制約を有していないので、上側シリーズ2410の上側バーテブラ部材2420及び下側シリーズ2510の下側バーテブラ部材2520は、それらの負荷が長手方向において発射部材に伝達されることを確実にするように制約される。上側バーテブラ部材2420の各々を所望の向きに維持するために、また上側バーテブラ部材2420が関節継手2200を通って移動するときに引っ掛かったり、誤配向されたりするのを防止するために、上側バーテブラ部材2420は、関節継手2200の外側エラストマー継手アセンブリ2210の上側部分を通って延在する上側スリーブ2470を通るように整列される。
図27、
図28、及び
図35を参照されたい。上側スリーブ2470の遠位端部2472は、細長いチャネル1110の近位端部1112内に支持され、上側スリーブ2470の近位端部2474は、近位支持シャフト2120の遠位端部内に支持される。上側スリーブ2470が外側エラストマー継手アセンブリ2210と共に曲がることを可能にするために、上側スリーブ2470は、低い摩擦係数を有しかつ可撓性であるポリマー又はプラスチック材料から製造される。上側スリーブ2470は、上側バーテブラ部材2420が、上側スリーブ2470の材料の摩擦係数よりも高い摩擦係数を有し得るエラストマー材料から製作された外側エラストマー継手アセンブリ2210に接触することを防止する。別の言い方をすれば、上側スリーブ2470は、上側バーテブラ部材2420が関節継手2200を横断するときに、低摩擦性であり、可撓性であり、連続的であり、途切れがなく、かつ完全に封入された、上側バーテブラ部材2420のための経路を形成する。
【0054】
同様に、下側バーテブラ部材2520が関節継手2200を通過する際に下側バーテブラ部材210を支持するために、下側スリーブ2570が採用される。下側スリーブ2570の遠位端部2572は、細長いチャネルの近位端部内に支持され、下側スリーブ2570の近位端部は、近位支持シャフト2120の遠位端部内に支持される。上側スリーブ2470と同様に、下側スリーブ2570が外側エラストマー継手アセンブリ2210と共に曲がることを可能にするために、下側スリーブ2570は、低い摩擦係数を有しかつ可撓性であるポリマー又はプラスチック材料から製造される。下側スリーブ2570は、下側バーテブラ部材2520が関節継手2200を通過する際に外側エラストマー継手アセンブリ2210と接触することを防止する。別の言い方をすれば、下側スリーブ2570は、下側バーテブラ部材2520が関節継手2200を横断するときに、低摩擦性であり、可撓性であり、連続的であり、途切れがなく、かつ完全に封入された、下側バーテブラ部材2520のための経路を形成する。様々な実施形態において、上側スリーブ2470及び下側スリーブ2570は、キンクを生じることなく自由に曲がるように構成される。スリーブにおけるねじれの形成を防止するために、少なくとも1つの構成では、スリーブ2470、2570は、スリーブが軸方向に移動し得るように、外側エラストマー継手アセンブリ2210内に支持される。例えば、関節継手が上向きに角度をなすとき、下側スリーブ2570は、遠位に摺動し、大きな曲げ半径を有し得る。同じ例における上側スリーブ2470は、近位に摺動し、よりきつい曲げ半径を有し得る。軸方向に移動することによって、そうでなければきつい曲げ半径の下でキンクを受けやすくなり得る継手アセンブリ2210の外側に露出される材料の量が低減される。少なくとも1つの構成では、上側スリーブ2470の遠位端部2472は、上側バーテブラ部材2420をアンビルキャップ1260内に送り込むように構成された上側スクープ2476を伴って形成される。同様に、下側スリーブ2570の遠位端部は、下側バーテブラ部材2520を細長いチャネル1110内のチャネルスロット1140内に送り込むように構成された下側スクープを伴って形成され得る。
【0055】
上述したように、アンビル装着部分1230は、細長いチャネル1110の近位端部1112に形成された対応する装着クレードル又は枢動クレードル1120に受容されるように構成された一対の横方向に延在する装着ピン1232を備え得。装着ピン1232は、上述の様式で細長いチャネル1110の近位端部1112に取り付けられたアンビルキャップ1260によって装着クレードル1120内に枢動可能に保持される。アンビルキャップ1260は、近位端部1262及び遠位端部1264を備え、中を通って上部発射部材特徴部2320及び上側バーテブラ部材2420の通路を収容するように、内部を通って延在する鍵穴形状のバーテブラ通路1266を有する。
図36は、アンビルキャップ1260内のバーテブラ通路1266を示す。回転駆動ねじ2700が上側バーテブラ部材2420に負荷を加えると、バーテブラ部材2420は、
図37の領域Aの周りで傾く傾向があり、したがって、上側バーテブラ部材歯2450は、もはや回転駆動ねじ2700と直角ではなくなり、代わりに、より高圧の線接触を受けることになり得る。
図37の領域Bは、上側バーテブラ部材2420が傾斜を停止する場所を示す。負荷の大部分が長手方向に留まり、有用な仕事を行うことを確実にするために、上側バーテブラ部材歯2450は、上側バーテブラ部材2420が傾斜するのと同じ量だけ角度を付けられなければならない。したがって、上側バーテブラ部材2420が傾斜するとき、上側バーテブラ部材歯2450は、回転駆動ねじ2700上の螺旋状駆動部材2710との表面接触を依然として維持し、全ての負荷は、長手方向に向けられ、垂直には向けられない。わずかに傾斜した上側バーテブラ部材の歯2450は、バーテブラ部材2420が傾けられたときに正方形のねじ山のように挙動することができ、負荷をより良好に分散させて圧力接触を低下させる。負荷の大部分を長手方向に向けることによって、長手方向負荷に対抗する摩擦の確立をもたらし得る垂直負荷が回避される。上側バーテブラ部材2420は、鍵穴形状のアンビルスロット1240を通過する際に同様に反応する。同様に、下側バーテブラ部材2520は、細長いチャネル1110内の鍵穴形状の軸方向に延在するチャネルスロット1140を通過するときに同様に反応する。
【0056】
図示の構成では、アンビル1210は、細長いチャネルの近位端部内に支持された一対のアンビルばね1270によって開放位置に移動される。
図38、
図42、及び
図43を参照されたい。ばね1270は、アンビル装着部分1230と一体的に形成され、そこから下向きに延在し得る、対応するアンビル制御アーム1234に枢動付勢力を加えるように位置付けられる。
図38を参照されたい。
【0057】
図39~
図41は、アンビル1210が開放されているとき(
図39)、アンビル1210が部分的に閉鎖されているとき(
図40)、及び発射部材が定位置又は始動位置から遠位方向に前進された後(
図41)の、アンビル1210、発射部材2310、及びアンビルキャップ1260の各部分を示す。
図39に見られるように、発射部材2310が定位置又は始動位置にあるとき、上部発射部材特徴部2320は、アンビルキャップ1260内のバーテブラ通路1266内に完全に受容される。発射ストローク中、上部発射部材特徴部2320及び上側シリーズ2410内の上側バーテブラ部材2420は、アンビルキャップ1260内のバーテブラ通路1266から鍵穴形状のアンビルスロット1240に移行しなければならない。したがって、アンビル装着部分1230とアンビルキャップ1260の遠位端部1264との間の任意の間隙「G」を最小化することが望ましい。アンビル1210の無妨害の枢動移動を容易にしながら、この間隙Gを最小化するために、アンビルキャップ1260の遠位端部1264は、アンビル装着部分1230上の湾曲した嵌合表面1231に適合する湾曲したキャップ表面1265を備えて形成される。両方の表面1265、1231は、湾曲しており、旋回軸PA又は何らかの他の点を中心として同心である。このような構成は、アンビル1210が半径方向に移動し、アンビルキャップ1260と干渉しない一方で、それらの間に最小の間隙Gを維持することを可能にする。アンビル装着部分1230とアンビルキャップ1260の遠位端部1264との間の間隙Gは、上側バーテブラ部材2420の長さよりも著しく短く、これは、アンビルキャップ1260内のバーテブラ通路1266から鍵穴形状のアンビルスロット1240への各上側バーテブラ部材2420の容易な移行を促進する。加えて、鍵穴形状のアンビルスロット1240の中への上部発射部材特徴部2320の移行を更に支援するために、傾斜面1241が、アンビル装着部分1230上の湾曲した嵌合表面1231に隣接して形成される。発射部材2310が最初に定位置又は始動位置から遠位方向に前進されると、上部発射部材特徴部2320の遠位端部が傾斜表面1241に接触し、
図40に見られるようにアンビル1210に閉鎖運動を加え始める。発射ストローク又は発射シーケンス中の発射部材2310の更なる遠位前進は、上部発射部材特徴部を鍵穴形状のアンビルスロット1240に進入させ、アンビル1210を完全に閉鎖し、発射シーケンス中にアンビル1210を閉鎖位置に保持することになる。
図41を参照されたい。
【0058】
一般に、エンドカッターにおいて確立される最も高い発射力は、組織の切断及びステープル留めと関連付けられる。これらの同じ力がアンビルを閉鎖するために使用され得る場合、組織のプレクランプ及び把持の間に発生する力も同様に高くなり得る。少なくとも1つの構成において、発射部材本体2312は、発射部材本体2312の各側面から横方向に延在する発射部材ウィング又はタブ2355を更に備える。
図15及び
図36を参照されたい。発射部材ウィング2355は、発射部材2310がホーム位置又は始動位置から近位方向PDに駆動されて把持目的のためにアンビル1210を迅速に閉鎖するときに、対応するアンビル制御アーム1234に接触するように位置付けられる。少なくとも1つの構成では、発射部材2310が定位置又は始動位置にあるとき、発射部材ウィング2355は、
図42に示されるように、アンビル制御アーム1234の遠位側に位置する。発射部材3210が近位に移動されるとき、発射部材ウィング2355は、アンビルばね1270の付勢に抗してアンビル制御アーム1234を押す(枢動方向C)。
図42を参照されたい。一構成では、発射部材2310は、アンビル1210を閉鎖位置に枢動させるために、短い距離Dだけ移動すればよい。一実施形態では、距離Dは、例えば、およそ0.070インチの長さであってもよい。この短い移動は、迅速な応答を可能にする。アンビル枢動点又は枢動軸PAは、実質的なモーメントアームを作る発射部材ウィング2355から比較的離れているので、発射部材2310(及び発射部材ウィング2355)の近位移動は、アンビル1210に高い予圧トルクが加えられることをもたらし、アンビル1210を閉鎖位置に移動させる。したがって、発射部材ウィング2355は、本明細書では「予圧特徴部」と称され得る。
図43を参照されたい。したがって、臨床医は、発射部材2310を短い距離Dだけ近位に前進させてアンビル1210を閉鎖位置に迅速に枢動させることによって、組織を切断してステープルを形成することなく、外科用エンドエフェクタ1000を使用してアンビル1210と外科用ステープルカートリッジ1300との間で組織を把持及び操作することができる。
【0059】
発射部材2310は、回転駆動ねじ2700を第2の回転方向に回転させることによって、近位方向PDに移動され得る。したがって、発射部材2310が「定」位置又は始動位置にあるとき、アンビル1210は、アンビルばね1270によって完全開放位置に付勢され得る。第1の回転方向において回転駆動ねじ2700に回転運動を加えるために回転駆動システム2600を作動させることは、発射部材2310を定位置又は始動位置から遠位に前進させて、アンビル閉鎖運動をアンビル1210に加えて、アンビルを閉鎖させて移動させて、標的組織をアンビル1210と外科用ステープルカートリッジ1300との間にクランプすることになる。回転駆動ねじを第1の回転方向に回転させ続けると、発射部材2310を、外科用エンドエフェクタ1000を通って遠位方向に前進させ続けることになる。発射部材2310が遠位方向に移動すると、発射部材2310は、外科用ステープルカートリッジ1300内に支持されたスレッド1312(
図19)に接触し、ステープルカートリッジ本体1302を通してスレッド1312を遠位方向に駆動する。発射部材2310が定位置又は始動位置にあるとき、外科医は、外科用エンドエフェクタを使用して組織を把持及び操作することを望む場合がある。そうするために、回転駆動システムは、第1の回転方向とは反対の第2の回転方向において、回転駆動ねじ2700に第2の回転駆動運動を加えるように作動される。第2の回転方向における回転駆動ねじ2700のそのような回転運動は、発射部材2310を始動位置から近位に駆動し、アンビル1210を閉鎖位置に迅速に枢動させることになる。したがって、少なくとも1つの実施形態によれば、発射部材2310の「定位置又は始動位置」は、その最近位の位置ではない。
【0060】
発射プロセス中に回転駆動システム2600が回転を停止した場合、発射部材2310は、外科用エンドエフェクタ内で動かなくなる場合がある。そのような例では、上部発射部材特徴部2320は、アンビル1210と係合したままであってもよく、下部発射部材特徴部2350は、細長いチャネル1110と係合したままであってもよく、それによって、外科医がアンビル1210を開放位置に移動させて、アンビル1210と外科用ステープルカートリッジ1300との間にクランプされた組織を解放することを防止する。これは、例えば、回転駆動シャフト2610に回転駆動運動を供給するモータ又は他の制御構成が故障するか、あるいは別様に動作不能になる場合に起こり得る。そのような場合、発射部材2310は、上部ケーブル2404及び下側ケーブル2504を近位方向に引っ張ることによって、外科用エンドエフェクタ1000内の定位置又は始動位置に後退されてもよい。例えば、上部ケーブル2404の近位部分及び下側ケーブル2505の近位部分は、外科用器具10のハウジング部分内の回転スプール又はケーブル管理システム2009(
図2)に巻き取られてもよく、この回転スプール又はケーブル管理システムは、発射ストローク中に上部ケーブル2404及び下側ケーブル2504を繰り出し、また、発射部材2310を後退させる必要がある場合にケーブル2404、2504を近位方向に後退させるように構成されている。ケーブル管理システム2009は、ケーブル2404、2504に後退運動を加えるために、モータ駆動式又は手動式(ラチェット構成など)であってもよい。ケーブル2404、2504が後退されると、上側バーテブラ部材2420及び下側バーテブラ部材2520は、回転駆動ねじ2700を逆方向に回転させる。
【0061】
以下の式は、回転駆動ねじ2700が逆方向に回転するか否かを、リード(L)、ピッチ直径(dp)、歯角(α)、及び摩擦(μ)によって判定するために使用され得る。
【0062】
【0063】
回転駆動ねじ2700は、上記の式が真である場合に自己ロックすることができる。ほとんどの場合、多くの例において、ピッチ円直径はエンドカッターに対してほとんど固定されているが、リード角及び歯角は可変である。上側バーテブラ部材歯2450及び下側バーテブラ部材歯2550はほとんど正方形であるので、回転駆動ねじ2700は、逆駆動可能である可能性が高い(cos(90)=1)。上側バーテブラ部材歯2450及び下側バーテブラ部材歯2550のリードはまた、バーテブラ部材2420、2520と回転駆動ねじ2700との間の転がり摩擦が、回転駆動ねじ2700が逆駆動されることを可能にする可能性がより高いという点で有利であり得る。したがって、緊急の場合、外科医は、上側ケーブル2404及び下側ケーブル2504を近位方向に引っ張り、発射部材2310を完全に後退させて、迅速な「脱出」を行うことができる。
【0064】
上述したように、回転駆動システム2600、並びに発射システム2300及び関節運動制御システム2240に関連して用いられる様々なケーブル管理システムのための相対的な制御運動は、手持ち式であっても、あるいはより大きな自動外科用システムの一部分を備えてもよいハウジング2002内で支持されてもよい。発射システム2300、関節運動制御システム2240、及び回転駆動システム2600は、例えば、モータ制御され、1つ又は2つ以上の制御回路によって動作されてもよい。
【0065】
外科用器具10を使用する1つの方法は、腹腔鏡技術を使用して患者体内の標的組織を切断及びステープル留めするための外科用器具10の使用を含み得る。例えば、患者体内の標的組織へのアクセスを提供するために、1つ又は2つ以上のトロカールが患者の腹壁を通して配置されていてもよい。外科用エンドエフェクタ1000は、1つのトロカールを通して挿入されてもよく、1つ又は2つ以上のカメラ又は他の外科用器具は、他のトロカール(複数可)を通して挿入されてもよい。外科用エンドエフェクタ1000がトロカールカニューレを通過することを可能にするために、外科用エンドエフェクタ1000は、非関節運動配向で位置付けられ、ジョー1100及び1200は、閉鎖されなければならない。例えば、挿入を目的としてジョー1100及び1200を閉鎖位置に保持するために、回転駆動システム2600を作動させて、第2の回転運動を回転駆動ねじ2700に加えて、発射部材2310を始動位置から近位に移動させて、アンビル1210(ジョー1200)を閉鎖位置に移動させることができる。
図44を参照されたい。回転駆動システム2600は、発射部材2310をその位置に保持するために作動停止される。外科用エンドエフェクタがトロカールを通って腹部内に入ると、回転駆動システム2600を作動させて、回転駆動ねじ2700が発射部材2310を遠位方向に駆動して始動位置に戻すことができ、ここでアンビルばね1270はアンビル1210を開放位置に枢動させる。
図38を参照されたい。
【0066】
いったん腹部の内側に入ると、標的組織に係合する前に、外科医は、外科用エンドエフェクタ1000を有利な位置に関節運動させる必要があり得る。次いで、関節運動制御システム2240は、トロカールのカニューレ内に受容された細長いシャフトアセンブリ2000の一部分に対して1つ又は2つ以上の平面内で外科用エンドエフェクタを関節運動させるように作動される。外科医が外科用エンドエフェクタ1000を所望の位置に配向すると、関節運動制御システム2240は作動停止されて、外科用エンドエフェクタ1000を関節運動した配向に保持する。次に、外科医は、外科用エンドエフェクタを使用して、回転駆動システムを作動させて回転駆動ねじを第2の回転方向に回転させて発射部材を近位側に移動させ、アンビル1210を迅速に閉鎖させてアンビル1210と外科用ステープルカートリッジ1300との間に組織を把持することによって、標的組織又は隣接組織を把持することができる。アンビル1210は、回転駆動ねじ2700の回転を逆にすることによって開放され得る。このプロセスは、標的組織がアンビル1210と外科用ステープルカートリッジ1300との間に適切に位置付けられるまで、必要に応じて繰り返され得る。
【0067】
標的組織がアンビル1210と外科用ステープルカートリッジとの間に位置付けられると、外科医は、回転駆動システム2600を作動させて、発射部材2310を始動位置から遠位に駆動することによって、閉鎖及び発射プロセスを開始し得る。発射部材2310が始動位置から遠位方向に移動するとき、発射部材2310は、アンビル1210に閉鎖運動を加え、上述した様式でアンビル1210を開放位置から閉鎖位置に移動させる。発射部材2310が遠位方向に移動するとき、発射部材2310は、アンビル1210を閉鎖位置に保持し、それによって、アンビル1210と外科用ステープルカートリッジ1300との間に標的組織をクランプする。発射部材2310が遠位方向に移動するとき、発射部材2310は、外科用ステープルカートリッジ1300内に支持されたスレッド1312に接触し、また、ステープルカートリッジ本体1302を通してスレッド1312を遠位方向に駆動する。スレッド1312は、ステープルカートリッジ内に支持されたドライバの列を、クランプされた標的組織に向かって連続的に駆動する。各ドライバは、その上に支持された1つ又は2つ以上の外科用ステープル又はファスナを有し、これらは次いで、標的組織を通ってアンビル1210の下側と成形接触するように駆動される。発射部材2310が遠位に移動するとき、その上の組織切断縁部2314は、ステープル留めされた組織を切断する。
【0068】
発射部材2310が外科用エンドエフェクタ1000(
図45)内の終了位置まで遠位に駆動された後、回転駆動システム2600が逆転され、これにより、発射部材2310が近位に後退して定位置又は始動位置に戻る。発射部材2310が始動位置に戻ると、アンビルばね1270は、アンビル1210を開放位置に枢動させて、外科医がステープル留めされた組織を外科用エンドエフェクタ1000から解放することを可能にする。ステープル留めされた組織が解放されると、外科用エンドエフェクタは、トロカールカニューレを通して患者から引き出され得る。そうするために、外科医は、最初に、関節運動制御システム2240を作動させて、外科用エンドエフェクタ1000を非関節運動位置に戻し、また回転駆動システムを作動させて、発射部材2310をホーム位置又は始動位置から近位に駆動して、ジョーを閉鎖しなければならない。その後、外科用エンドエフェクタ1000はトロカールカニューレから引き抜かれ得る。発射プロセス中又は後退プロセス中に、発射システムが動作不能になった場合、外科医は、本明細書に説明される様々な様式で近位方向にケーブル2404、2505に引張運動を加えることによって、発射部材2310を始動位置に後退させてもよい。
【0069】
図46~
図68は、以下で考察される様々な相違点を除いて、多くの態様において上述の外科用器具10と同一であるか、あるいは非常に類似している、別の外科用器具22010を示す。外科用器具10と同様に、外科用器具22010は、組織を切断及び締結するように構成された関節運動可能なエンドエフェクタを有する外科用器具が直面する課題の多くに対処し得る。様々な実施形態において、外科用器具22010はハンドヘルドデバイスを備えてもよい。他の実施形態では、外科用器具22010は、例えば、ロボット制御システムと呼ばれることもある自動システムを備えてもよい。様々な形態において、外科用器具22010は、細長いシャフトアセンブリ24000に動作可能に連結された外科用エンドエフェクタ23000を備える。細長いシャフトアセンブリ24000は、手持ち式のハウジングに動作可能に取り付けられてもよく、さもなければ、上述されたようなロボットシステムの一部を含んでもよい。
【0070】
図49に見られるように、一形態において、外科用エンドエフェクタ23000は、第1のジョー23100及び第2のジョー23200を備える。図示された構成では、第1のジョー23100は、近位端部23112と遠位端部23114とを備え、外科用ステープルカートリッジ1300を中に動作可能に支持するように構成されている、細長いチャネル23110を備える。細長いチャネル23110は、組み立てを、容易性を促進するために開放した下部を有し、また、開口部を覆い、細長いチャネル23110に剛性を加えるために、それに取り付けられる(溶接など)ように構成されたチャネルカバー23113を有する。図示の構成では、第2のジョー23200は、近位端部23214と遠位端部23216とを備えた細長いアンビル本体23212を備えるアンビル23210を備えている。一構成では、アンビルカバー23213が設けられて、デバイスの組み立てが容易となり、アンビル23210がアンビル本体23212に取り付けられる(溶接されるなど)ときにアンビル210に剛性が加えられる。アンビル本体23212は、第1のジョー23100に面するステープル形成下面23218を備え、外科用ステープルカートリッジ1300内のステープル又はファスナの各々に対応するステープル形成ポケットのシリーズ(図示せず)を含み得る。アンビル本体23212の近位端部23214は、細長いチャネル23110の近位端部23112に形成された対応する装着クレードル又は枢動クレードル23120に受容されるように構成された、一対の横方向に延在する装着ピン23232を含むアンビル装着部分23230を備える。装着ピン23232は、ねじ23261によって細長いチャネル23110の近位端部23112に取り付けられ得るアンビルキャップ23260によって装着クレードル23120内に枢動可能に保持される。他の構成では、アンビルキャップ23260は、溶接、接着剤などによって細長いチャネル23110に取り付けられてもよい。そのような構成は、開放位置(
図47)と閉鎖位置(
図48)との間で枢動軸PAを中心として、細長いチャネル23110内に装着された外科用ステープルカートリッジ1300に対してアンビル23210が枢動移動することを容易にする。そのような枢動軸PAは、本明細書では、アンビル23210が開放位置から閉鎖位置に枢動されるときに枢動軸が並進しないかあるいは別様に移動しないという点で、「固定されている」と称され得る。
【0071】
図示の構成では、アンビル23210は、細長いチャネル23110の近位端部23112内に支持された一対のアンビルばね23270によって開放位置に移動される。
図49及び
図62を参照されたい。ばね23270は、アンビル23210の対応する部分に枢動付勢力を加えて開放力を加えるように配置される。
図47を参照されたい。
【0072】
図示された構成では、細長いシャフトアセンブリ24000は、シャフト軸SAを規定し、外科用器具22010の制御部分(例えば、ハンドヘルドユニット、ロボットツールドライバなど)のハウジングと動作可能に連係し得る近位シャフト部分24100を備える。細長いシャフトアセンブリ24000は、近位シャフト部分24100及び外科用エンドエフェクタ23000に取り付けられた関節継手24200を更に備える。様々な例において、近位シャフト部分24100は、上述の様々な様式でハウジングに動作可能に連結され得る中空の外側チューブ24110を備える。
図49から分かるように、近位シャフト部分24100は剛性近位支持シャフト24120を更に備えてもよく、剛性近位支持シャフト2120は、中空外側チューブ24110内に支持され、ハウジングから関節継手24200まで延在する。剛性近位支持シャフト24120は、例えば、溶接、接着剤などによって一緒に連結され得る第1の半体24120A及び第2の半体24120Bを備えてもよい。剛性近位支持シャフト24120は、近位端部24122及び遠位端部24124を備え、内部を通って近位端部24122から遠位端部24124まで延在する軸方向通路24126を含む。
【0073】
上述したように、多くの外科用エンドエフェクタは、軸方向に移動可能な発射ビームによって外科用ステープルカートリッジを通して遠位に押される発射部材を使用する。発射ビームは、一般に、発射部材本体の中心領域において発射部材に取り付けられる。この取り付け位置は、発射部材がエンドエフェクタを通って前進させられるときに発射部材に不均衡をもたらす可能性がある。そのような不均衡は、発射部材とエンドエフェクタジョーとの間の望ましくない摩擦につながる可能性がある。この付加的な摩擦が生じることは、そのような摩擦を克服するために、より高い発射力を加えることを必要とし得るだけでなく、ジョー及び/又は発射部材の各部分に望ましくない摩耗を引き起こし得る。発射ビームにより高い発射力を加えることは、発射ビームが関節継手を横断する際に、発射ビームにおける望ましくない屈曲をもたらし得る。そのような付加的な撓みは、特に、外科用エンドエフェクタが比較的高い関節運動角度で関節運動されるときに、関節継手の関節運動を解除させ得る。外科用器具22010は、上述の発射システム2300と多くの態様において同一であるか、又は非常に類似している発射システム24300を採用している。したがって、外科用器具22010の動作を理解するために必要とされる発射システム24300のそれらの態様のみが以下で論じられる。
【0074】
図50~
図54から分かるように、少なくとも1つの実施形態において、発射システム24300は、垂直に延在する発射部材本体24312を含む発射部材24310を備え、発射部材本体24312は、上部発射部材特徴部24320及び下部発射部材特徴部24350を備える。組織切断ブレード24314が、垂直に延在する発射部材本体24312に取り付けられているか、又は中に形成されている。
図50及び
図51を参照されたい。少なくとも1つの構成において、発射部材24310が、低い摩擦、高い強度、及び高い剛さを伴ってアンビル本体23212を通過することが望ましい。図示の構成では、上部発射部材特徴部24320は、T字形状の本体24322であって、そこから突出する2つの横方向に延在するタブ24323と、そこを通って延在する上部軸方向通路24324とを有する、T字形の本体24322を備える。
図53を参照されたい。下部発射部材特徴部24350は、そこから突出する2つの横方向に延在するタブ24353と、そこを通って延在する下部軸方向通路24354と、を有するT字形状の本体24352を備える。
図50を参照されたい。少なくとも1つの構成では、上部発射部材特徴部24320及び下部発射部材特徴部24350は、垂直に延在する発射部材本体24312と一体的に形成されている。
図54に見られるように、アンビル本体23212は、その上に横方向に延在するタブ24323を摺動可能に受容するための2つの対向するレッジ23241を規定する、軸方向に延在するアンビルスロット23240を備える。同様に、細長いチャネル23110は、その上に横方向に延在するタブ24353を摺動可能に受容するように構成された、軸方向に延在するチャネルレッジ23141を規定する、軸方向に延在するチャネルスロット23140を備える。
【0075】
図示された構成において、発射システム24300は、発射部材24310の上部発射部材特徴部24320に動作可能に連結されている上側可撓性スパインアセンブリ24400を備える。少なくとも1つの実施形態において、上側可撓性スパインアセンブリ24400は、上側バーテブラ部材24420の各々を通って延在し、上部発射部材特徴部24320に取り付けられている上側可撓性連結器部材24440によって一緒に緩く連結されている上側バーテブラ部材24420の上側シリーズ24410を備える。
【0076】
図52に見られるように、各上側バーテブラ部材24420は、その端部から見たときに実質的にT字形状である。一態様では、各上側バーテブラ部材24420は、近位端部24424及び遠位端部24428を有する上側バーテブラ本体部分24422を備える。各上側バーテブラ部材24420は、上側バーテブラ本体部分24422から突出する、下向きに延在する上側駆動特徴部又は上側バーテブラ部材歯24450を更に備える。各上側バーテブラ部材歯24450は、螺旋形状の近位上面部分24452及び螺旋形状の遠位上面部分24454を有する。上側バーテブラ本体部分24422の各近位端部24424は、弓形又はわずかに凹状の湾曲形状を有し、各遠位端部24428は、弓形又はわずかに凸状の湾曲形状を有する。上側シリーズ24410に配置されたとき、1つの上側バーテブラ部材24420上の凸状遠位端部24428は、上側シリーズ24410内の隣接する上側バーテブラ部材24420上の凹状近位端部24424と接触及び嵌合して上側バーテブラ部材24420をほぼ整列した状態に維持し、そのため、各それぞれの上側バーテブラ部材歯24450上の螺旋形状の近位上面部分24452及び螺旋形状の遠位上面部分24454は、本明細書に開示される様々な様式で回転駆動ねじ2700によって駆動係合され得る。上側バーテブラ部材24420上のこれらの湾曲した嵌合表面は、上側バーテブラ部材24420が傾斜している場合であっても、それらの間で負荷をより良好に伝達することを可能にする。
【0077】
少なくとも1つの実施形態において、上側整列部材24480が、上側シリーズ24410における上側バーテブラ部材24420の整列を補助するために使用される。一構成では、位置合わせ部材24480は、ニチノールワイヤ、ばね鋼などから製作され得るばね部材又は金属ケーブルを含み、遠位上側ループ端部24482と、各上側バーテブラ本体部分24422内の対応する上側通路24425を通って延在する2つの上側レッグ部分24484と、を備えて形成され得る。上側可撓性連結器部材24440は、発射部材24310に取り付けられるように、上側バーテブラ部材24420の各々の上側通路24429を通って延在する。特に、遠位端部分24442は、上部発射部材特徴部24320内の上部軸方向通路24324を通って延在し、上側保持ラグ24444によってその中に固定される。上側可撓性連結器部材24440の近位部分は、外科用エンドエフェクタ23000の動作及び関節運動中に上側可撓性連結器部材24440を繰り出し、また巻き取り、その中の所望の量の張力を維持するように機能する、本明細書に開示される様々なタイプ及び設計の対応する回転スプール又はケーブル管理システムと連係してもよい。ケーブル管理システムは、上側可撓性連結器部材24440における所望の量の張力を維持するために、モータ動力式であっても、手動式(ラチェット構成など)であってもよい。各可撓性連結器部材における張力の量は、細長いシャフトアセンブリ24000に対する外科用エンドエフェクタ23000の相対的な位置付けに応じて変化し得る。
【0078】
発射システム24300は、下部発射部材機構24350に動作可能に連結された下側可撓性スパインアセンブリ24500を更に備える。下側可撓性スパインアセンブリ24500は、下側バーテブラ部材24520の各々を通って延在し、下部発射部材特徴部24350に取り付けられている下側可撓性連結器部材24540によって一緒に緩く連結されている下側バーテブラ部材24520の下側シリーズ24510を備える。
図52から分かるように、各下側バーテブラ部材24520は、その端部から見たときに実質的にT字形状である。一態様では、各下側バーテブラ部材24520は、近位端部24524及び遠位端部24528を有する下側バーテブラ本体部分24522を備える。各下側バーテブラ部材24520は、下側バーテブラ本体部分24522から突出する、上向きに延在する下側駆動特徴部又は下側バーテブラ部材歯24550を更に備える。各下側バーテブラ部材歯24550は、螺旋形状の近位下面部分24552及び螺旋形状の遠位下面部分24554を有する。下側バーテブラ本体部分24522の近位端部24524は、弓形又はわずかに凹状の湾曲形状を有し、各遠位端部24528は、弓形又はわずかに凸状の湾曲形状を有する。下側シリーズ24510に配置されたとき、1つの下側バーテブラ部材24520上の凸状遠位端部24528は、下側シリーズ24510内の隣接する下側バーテブラ部材24520上の凹状近位端部24524と接触及び嵌合して下側バーテブラ部材24520をほぼ整列した状態に維持し、そのため、各それぞれの下側バーテブラ部材歯24550上の螺旋形状の近位下面部分24552及び螺旋形状の遠位下面部分24554は、本明細書に開示される様々な様式で回転駆動ねじ2700によって駆動係合され得る。下側バーテブラ部材24520上のこれらの湾曲した嵌合表面は、下側バーテブラ部材24520が傾斜している場合であっても、それらの間で負荷をより良好に伝達することを可能にする。
【0079】
少なくとも1つの実施形態において、下側整列部材24580が、下側シリーズ24510における下側バーテブラ部材24520の整列を補助するために使用される。一構成では、下側位置合わせ部材24580は、ニチノールワイヤ、ばね鋼などから製作され得るばね部材又は金属ケーブルを含み、遠位下側ループ端部24582と、各下側バーテブラ本体部分24522内の対応する下側通路24525を通って延在する2つの下側レッグ部分24584と、を備えて形成され得る。下側可撓性連結器部材24540は、発射部材24310に取り付けられるように、下側バーテブラ部材24520の各々の下側通路24529を通って延在する。特に、下側可撓性連結器部材24540の遠位端部分24542は、下部発射部材特徴部24350内の下側軸方向通路24354を通って延在し、下側保持ラグ24544によってその中に固定される。下側可撓性連結器部材24540の近位部分は、外科用エンドエフェクタ23000の動作及び関節運動中に下側可撓性連結器部材24540を繰り出し、また巻き取り、その中の所望の量の張力を維持するように機能する、本明細書に開示される様々なタイプ及び設計の対応する回転スプール又はケーブル管理システムと連係してもよい。ケーブル管理システムは、下側可撓性連結器部材24540における所望の量の張力を維持するために、モータ動力式であっても、手動式(ラチェット構成など)であってもよい。各可撓性連結器部材における張力の量は、細長いシャフトアセンブリ24000に対する外科用エンドエフェクタ23000の相対的な位置付けに応じて変化し得る。
【0080】
少なくとも1つの態様によれば、大きな表面積は、バーテブラ部材が互いに対してねじれ得ないように、バーテブラ部材が押すときにバーテブラ部材間に力を分配するのに有利である。アンビル及びチャネル内の利用可能な面積は限られており、アンビル及びチャネルは剛性のままでなければならない。T字形状の上側バーテブラ部材24420及びT字形状の下側バーテブラ部材24520は、アンビル23210及び細長いチャネル23110内で利用可能な限られた空間内に嵌合する一方で、発射負荷を分散させるための大きな面積が存在することを確実にするように設計されている。各上側バーテブラ部材24420及び各下側バーテブラ部材24520上の湾曲した表面は、これらのバーテブラの各々が、それらが傾斜している場合であっても、それら自体の間で負荷をより良好に伝達することを可能にする。上側位置合わせ部材24480及び下側位置合わせ部材24580はまた、上側バーテブラ部材24420及び下側バーテブラ部材24520が互いに対してねじれるのを防止するように機能してもよい。大きな表面積はまた、バーテブラ部材並びに/又はアンビル及びチャネルの摩損を防止するのに役立ち得る。上側可撓性スパインアセンブリ24400及び下側可撓性スパインアセンブリ24500は、そうでなければ、本明細書に開示されるような回転駆動ねじ2700構成と動作可能に連係する。上側可撓性連結器部材24440及び下側可撓性連結器部材24540はまた、発射ストローク中に発射駆動システム24300が故障した場合に、発射部材24310をその始動位置に後退させるために、上述の様式で使用されてもよい。
【0081】
図51から分かるように、発射部材24310上の上部発射部材特徴部24320は、各上側バーテブラ部材24420上の上側バーテブラ部材歯24450の半分に相当する遠位上側発射部材歯セグメント24330を備える。加えて、各上側バーテブラ部材24420上の上側バーテブラ部材歯24450と同一である2つの近位上側発射部材歯24336は、遠位上側発射部材歯セグメント24330から離隔されている。遠位上側発射部材歯セグメント24330及び近位上側発射部材歯24336はそれぞれ、発射部材24310の上部発射部材特徴部24320と一体的に形成されてもよい。同様に、発射部材24310の下部発射部材特徴部24350は、下部発射部材特徴部24350上に一体的に形成された、遠位下側発射部材歯24360及び2つの近位下側発射部材歯24366を備える。例えば、少なくとも1つの構成では、堅固に取り付けられた歯24330、24336、24360、及び24366を有する発射部材24310は、従来の金属射出成形技術を使用して1つの一体構成要素として一度に製作されてもよい。当業者は、発射部材24310が、本明細書に詳細に記載された発射部材2310と本質的に同じ様式で動作することを認識するであろう。
【0082】
ここで
図55~
図58を参照すると、少なくとも1つの態様によれば、関節継手24200は、可動外骨格アセンブリ24800を備える。一形態では、可動外骨格アセンブリ24800は、移動可能に連係する環状リブ部材24810のシリーズ24802を備える。
図55~
図57に見られるように、各環状リブ部材24810は、凸状又はドーム状部分24822を備える第1の面又は近位面24820を備える。各環状リブ部材24810は、凹状又は皿状である第2の面又は遠位面24830を更に備える。各環状リブ部材24810は、上側可撓性スパインアセンブリ24400がそれを通過することに適応するように構成された上側スパイン通路24840と、下側可撓性スパインアセンブリ24500がそれを通過することに適応するように構成された下側スパイン通路24842と、を更に備える。加えて、各環状リブ部材24810は、関節運動ケーブル24242、22446、24250、及び24254の形態をなす関節運動アクチュエータがそれを通過することに適応するための、4つの関節運動通路24850、24852、24854、及び24856を更に備える。
図49を参照されたい。各環状リブ部材24810は、そこを通る定速(CV)駆動シャフトアセンブリ2620がそれを通過することに適応するように構成された中央駆動通路24860を更に備える。
【0083】
図58に見られるように、可動外骨格アセンブリ24800は、キャップねじ24880又は他の好適なファスナ構成によって、可動外骨格アセンブリ24800を近位支持シャフト24120の遠位端部24124に取り付けるように構成された近位取付リブ24870を備える。近位取付けリブ24870は、最近位の環状リブ部材24810Pの近位面24820の凸状又はドーム状部分24822を受容するか、あるいはそれと移動可能に連係するように凹状又は皿状である第1の面又は遠位面24872を備える。同様に、可動外骨格アセンブリ24800は、キャップねじ24882又は他の適切なファスナによって可動外骨格アセンブリ24800を細長いチャネル23110の近位端部23112に取り付けるように構成された遠位取付けリブ24890を備える。遠位取付けリブ24890は、最遠位の環状リブ部材24810Dの凹状又は皿状の遠位面24832内に受容されるか、又はそれと移動可能に連係するように構成された、凸状又はドーム状部分24894を備える、第1の面又は近位面24892を備える。様々な実施形態において、環状リブ部材24810、24810P、及び24810Dは、任意の好適な金属(例えば、ステンレス鋼、チタンなど)又は他の好適な材料から製作され得る。環状リブ部材24810、24810P、及び24810Dは、適切な絞り加工又は成形作業によって、機械加工又は鋳造によって形成され得る。近位面24820及び遠位面24830は、摩擦を低減し、環状リブ部材24810、24810P、及び24810D間の移動を容易にするために、研磨されるか、あるいは別様に所望の滑らかな仕上げに仕上げられてもよい。一態様によれば、各環状リブ部材24810、24810P、24810D上の全ての縁部は、環状リブ部材間の相対移動を容易にするために丸められる。近位取付けリブ24870と遠位取付けリブ24890は、同様の属性で形成されてもよい。
【0084】
外科用器具22010はまた、関節運動を外科用エンドエフェクタ23000に加えて、外科用エンドエフェクタ23000を細長いシャフトアセンブリ24000に対して関節運動させるように構成された関節運動システム24240を備える。少なくとも1つの構成では、例えば、上述のように、関節運動システム24240は、細長いシャフトアセンブリ2400を通って延在する4つの関節運動ケーブル24242、24246、24250、及び24254を備える。
図49を参照されたい。図示の構成では、関節運動ケーブル24242、24246は、近位取付けリブ24870を通り、環状リブ部材24810P、24810、及び24810Dの各々を通って、遠位取付けリブ24890に固定される。例えば、1つの構成では、関節運動ケーブル24242、24246の各々は、対応する取付けラグ24243によって遠位取付けリブ24890に固定される。
図61及び
図63を参照されたい。同様に、関節運動ケーブル24250及び24254は、近位取り付けリブ24870を通り、環状リブ部材24810P、24810、及び24810Dの各々を通って延在し、対応する取付けラグ24243によって遠位取付けリブ24890に固定される。
【0085】
一構成では、関節運動ケーブル24242、24246、24250、及び24254の各々は、剛性近位支持シャフト24120の遠位端部24124内のキャビティ24125内に支持される対応するコイルばね24896を通って延在する。加えて、各コイルばね24896は、張力ラグ24897と関連付けられており、この張力ラグはまた、各それぞれの関節運動ケーブル24242、24246、24250、及び24524上に軸支され、そこに固定されて、環状リブ部材24810P、24810、及び24810Dを互いに、また近位取付けリブ24870及び遠位取付けリブ24890と移動可能に係合した状態に保持する働きをする各ばね24896における所望の圧縮量を達成する。ケーブル24242、24246、24250、及び24254は、外科用器具22010のハウジング内に支持される関節運動制御システムと動作可能に連係する。例えば、上述のように、各ケーブル24242、24246、24250、及び24254の近位部分は、所望の様式で各ケーブル24242、24246、24250、及び24254を繰り出し、また後退させるように構成された外科用器具22010のハウジング部分内にある対応する回転スプール又はケーブル管理システム2007(
図2)上に巻き取られてもよい。スプール/ケーブル管理システムは、モータ駆動式であっても、手動式(ラチェット構成など)であってもよい。
図59は、非関節運動位置にある関節継手24200を図示し、
図60は、1つの関節運動構成にある関節継手を図示する。このような構成により、外科用エンドエフェクタ23000は、細長いシャフトアセンブリ24000に対して複数の関節運動平面を通して関節運動することが可能になる。
【0086】
図49、
図58、及び
図64に見られるように、外科用器具22010は、関節継手24200を通って軸方向に広がるかあるいは延在する定速(CV)駆動シャフトアセンブリ2620を採用している。CV駆動シャフトアセンブリ2620の動作及び構成は、上で詳細に説明されており、外科用器具22010の動作を理解するのに必要な範囲を越えてここでは繰り返されない。簡単に説明すると、上述のように、CV駆動シャフトアセンブリ2620は、近位CV駆動アセンブリ2630と、遠位CV駆動シャフト2670とを備える。近位CV駆動アセンブリ2630は、近位回転駆動シャフト2610の遠位端部2614内の同様の形状の連結器キャビティ2616内に回転不能に受容されるように構成された取り付けシャフト2634から成る近位シャフトセグメント2632を備える。近位シャフトセグメント2632は、移動可能に連結された駆動継手2650のシリーズ2640と動作可能にインターフェース接続する。
図58に見られるように、また前述されたように、駆動継手2650が互いに係合されることを確実にするために、近位駆動ばね2740を用いて、軸方向付勢力を駆動継手2650のシリーズ2640に加える。例えば、
図58から分かるように、近位駆動ばね2740は、近位装着ブッシング2734と、近位シャフトセグメント2632の遠位ソケット部分2636と近位バレル部分2638との間に形成された支持フランジと、の間に配置される。一構成では、近位駆動ばね2740は、近位シャフトセグメント2632の近位バレル部分2638上に受容されるエラストマーOリングを備えてもよい。近位駆動ばね2740は、駆動継手2650を一緒に軽く付勢して、関節運動中に生じる任意の間隙を減少させる。これは、駆動ジョイント2650が負荷をねじり伝達することを確実にする。しかしながら、少なくとも1つの構成において、近位駆動ばね2740は、関節継手2200を通して並進するための発射負荷を生じさせるのに十分に高い軸方向負荷を加えないことが理解されよう。
【0087】
駆動継手2650が関節運動中に座屈するのを更に防止するために、移動可能に連結された駆動継手2650のシリーズ2640は、環状リブ部材24810の各々の中央駆動通路24860を通って延在する少なくとも1つの低摩擦駆動部カバー24730を通って延在する。
図63及び
図65に示す構成では、駆動部カバー24730は、外側及び内側切断ハイポチューブ24732を備える。そのようなハイポチューブ24732は、金属(例えば、ステンレス鋼など)から作られてもよく、レーザカッタ構成を使用して作製され得る複数のシリーズの切断部又はスリットをその中に有してもよい。図示された構成では、ハイポチューブ24732は、外科用エンドエフェクタ23000が関節運動位置にある間、上側可撓性スパインアセンブリ24400が動作中にその上を通過するためのクリアランスを提供する上側リリーフ通路24734を伴って製作されてもよい。加えて、ハイポチューブ24732は、下側可撓性スパインアセンブリ24500のための同様のクリアランスを提供するための下側リリーフ通路24736を有してもよい。また、
図65に見られるように、ハイポチューブ24732は、関節運動中に側方安定性を提供するために、直径方向に対向する側方タブ部分24738を伴って成形されてもよい。
図66は、内側カットハイポチューブ24732’を備える代替の駆動部カバー24730’を示す。
図58、
図67、
図68、及び
図69は、定速(CV)駆動シャフトアセンブリ2620に被せて適用される可撓性熱収縮チューブ24732’’を備える代替的な駆動部カバー24730’’を図示する。更に他の構成では、駆動部カバーは、コイルばね又はコイル部材も備えてもよい。
【0088】
本開示の様々な実施形態は、関節運動が可能な以前の外科用エンドカッター構成に勝る利点を提供する。例えば、関節運動するエンドエフェクタにおいて発射部材を前方に押すことは、一般的に、多くの力を必要とし、その力はバランスされなければならない。例えば、60度より大きい角度で発射部材を発射するとき、関節継手を通してビームを押すことが非常に困難になる。継手はまた、関節継手の関節運動を解除し得る著しい負荷を受ける。関節継手を通してそれぞれ可撓性であるが、関節継手に対して遠位にあるときに剛性になる、上側可撓性駆動構成及び下側可撓性駆動構成を採用することによって、関節継手ではなく、発射部材に拘束される平衡負荷を発射部材に加えながら、大きな関節運動度(例えば、70度を上回る関節運動角度)が可能となり得る。別の言い方をすれば、エンドエフェクタの関節運動解除をもたらし得る長手方向負荷の代わりに、ねじり負荷が関節継手の近位に加えられる。ねじり負荷は、関節継手に対して遠位である位置で長手方向負荷に変換される。したがって、回転駆動ねじは、ねじり運動又は負荷を、関節継手の遠位にある場所で発射部材に加えられる長手方向負荷に実際に変換するように機能する。
【0089】
更に、ねじ山付き駆動構成を長手方向に分解することによって、ねじ山付き駆動構成は、関節継手を通過する一方で、外科用エンドエフェクタの長さも効果的に減少させる。例えば、各単一のバーテブラ歯は、堅固に接続された複数のピッチよりも著しく短い。バーテブラは、関節継手を通過する際に角度をなし得る。この可撓性相互接続により、回転駆動ねじは、ピッチの全てが堅固に接続された場合に関節継手から著しく離隔されるのと比較して、関節継手に近接して位置付けられることが可能になる。
【0090】
実施例1-細長いシャフトを備える外科用器具。外科用エンドエフェクタが、細長いシャフトに対する外科用エンドエフェクタの選択的な関節運動を容易にするように構成された関節継手によって細長いシャフトに連結されている。外科用エンドエフェクタは、第1のジョーと、第1のジョーに対して開放位置と閉鎖位置との間で移動するように構成された第2のジョーと、を備える。発射部材が、外科用エンドエフェクタ内において始動位置と終了位置との間で軸方向に進行するように支持されている。外科用器具は、発射部材の上部部分に取り付けられた上側可撓性スパインアセンブリを更に備える。下側可撓性スパインアセンブリは、発射部材の下部部分に取り付けられている。回転駆動部材は、上側の場所において上側可撓性スパインアセンブリと動作可能に連係する。回転駆動部材はまた、下側の場所において下側可撓性スパインアセンブリと動作可能に連係する。上側位置及び下側位置は、関節継手の遠位側にある。回転駆動部材は、上側可撓性スパインアセンブリ及び下側可撓性スパインアセンブリが、発射部材に軸方向駆動運動を加えて発射部材を始動位置と終了位置との間で移動させることを引き起こすように構成されている。
実施例2-回転駆動部材は、上側可撓性スパインアセンブリと下側可撓性スパインアセンブリとの間の中央に配設されている、実施例1に記載の外科用器具。
実施例3-上側可撓性スパインアセンブリは、一緒に緩く連結されている上側バーテブラ部材の上側シリーズを備え、下側可撓性スパインアセンブリは、一緒に緩く連結されている下側バーテブラ部材の下側シリーズを備える、実施例1又は2に記載の外科用器具。
実施例4-上側バーテブラ部材は、上側可撓性連結器部材によって互いに対して移動可能に支持され、上側可撓性連結器部材は、発射部材の上部部分に連結され、各上側バーテブラ部材を通って延在する、実施例3に記載の外科用器具。下側バーテブラ部材は、下側可撓性連結器部材によって互いに対して移動可能に支持され、下側可撓性連結器部材な、発射部材の下部部分に連結され、各下側バーテブラ部材を通って延在する。
実施例5-各上側バーテブラ部材は、上側近位端部及び上側遠位端部を規定する、上側バーテブラ本体部分を備える、実施例4に記載の外科用器具。上側中空通路は、上側可撓性連結器部材が上側中空通路を通って延在することを可能にするように、上側近位端部と上側遠位端部との間で上側バーテブラ本体部分を通って延在する。上側近位嵌合特徴部が上側近位端部に設けられ、上側遠位嵌合特徴部が上側遠位端部に設けられる。各上側バーテブラ部材上の上側近位嵌合特徴部は、隣接する上側バーテブラ部材上の上側遠位嵌合特徴部と移動可能に連係するように構成される。上側バーテブラ駆動特徴部は、回転駆動部材と動作可能に係合するように構成される。
実施例6-上側近位嵌合特徴部は、上側バーテブラ本体部分の上側近位端部内に上側凹状リセスを備える、実施例5に記載の外科用器具。上側遠位嵌合特徴部は、上側バーテブラ本体部分の上側遠位端部上に上側凸状突出部を備える。各上側バーテブラ部材上の上側凸状突出部は、隣接する上側バーテブラ部材内の上側凹状リセスと嵌合係合するようにサイズ決め及び成形されている。
実施例7-各下側バーテブラ部材は、下側近位端部及び下側遠位端部を規定する下側バーテブラ本体部分を備える、実施例5又は6に記載の外科用器具。下側中空通路は、下側可撓性連結器部材が下側中空通路を通って延在することを可能にするように、下側近位端部と下側遠位端部との間で下側バーテブラ本体部分を通って延在する。下側近位嵌合特徴部が下側近位端部に設けられ、下側遠位嵌合特徴部が下側遠位端部に設けられる。各下側バーテブラ部材上の下側近位嵌合特徴部は、隣接する下側バーテブラ部材上の下側遠位嵌合特徴部と移動可能に連係するように構成される。下側バーテブラ駆動特徴部は、回転駆動部材と動作可能に係合するように構成される。
実施例8-下側近位嵌合特徴部は、下側バーテブラ本体部分の下側近位端部内に下側凹状リセスを備え、下側遠位嵌合特徴部は、下側バーテブラ本体部分の下側遠位端部上に下側凸状突出部を備える、実施例7に記載の外科用器具。各下側バーテブラ部材上の下側凸状突出部は、隣接する下側バーテブラ部材内の下側凹状リセスと嵌合係合するようにサイズ決め及び成形される。
実施例9-上側バーテブラ駆動特徴部は、回転駆動部材と連係するように構成された上側歯を備え、下側バーテブラ駆動特徴部は、回転駆動部材と連係するように構成された下側歯を備える、実施例7又は8に記載の外科用器具。
実施例10-回転駆動部材は、その外部表面上に螺旋状駆動部材を有する回転本体部分を備える、実施例9に記載の外科用器具。螺旋状駆動部材は、各上側歯上に形成された上側螺旋状表面及び各下側歯上の下側螺旋状表面と係合するように構成されている。
実施例11-連続的な上側圧縮力を上側バーテブラ部材の上側シリーズに加えて、上側バーテブラ部材の上側シリーズ内の上側バーテブラ部材を互いに移動可能に接触した状態に保持するように構成された上側バーテブラ付勢器を更に備える、実施例3、4、5、6、7、8、9、又は10に記載の外科用器具。外科用器具は、連続的な下側圧縮力を下側バーテブラ部材の下側シリーズに加えて、下側バーテブラ部材の下側シリーズ内の下側バーテブラ部材を互いに移動可能に接触した状態に保持するように構成された下側バーテブラ付勢器を更に含む。
実施例12-上側螺旋状表面が2つの異なるピッチを備える、実施例10に記載の外科用器具。
実施例13-上側可撓性連結器部材及び下側可撓性連結器部材は、上側可撓性連結器部材及び下側可撓性連結器部材の各々に近位方向に後退運動を加えることによって、始動位置に対して遠位である位置から発射部材を後退させるように構成されている、実施例4、5、6、7、8、9、10、11、又は12に記載の外科用器具。
実施例14-関節継手はある関節継手長さを備え、上側バーテブラ部材の上側シリーズは、関節継手長さに、発射部材の始動位置から終了位置までの距離を加えた長さ以上である上側シリーズ長さを備える、実施例3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、又は13に記載の外科用器具。下側バーテブラ部材の下側シリーズは、関節継手長さに、発射部材の始動位置から終了位置までの距離を加えた長さ以上である下側シリーズ長さを備える。
実施例15-外科用エンドエフェクタの近位端部から延在し、関節継手にまたがる上側スリーブを更に備える、実施例3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、又は14に記載の外科用器具。上側スリーブは、外科用エンドエフェクタに対して軸方向に移動可能であり、関節継手にまたがる上側バーテブラ部材の上側シリーズの一部分を摺動可能に支持するように構成されている。下側スリーブは、外科用エンドエフェクタの近位端部から延在し、関節継手にまたがる。下側スリーブは、外科用エンドエフェクタに対して軸方向に移動可能であり、関節継手にまたがる下側バーテブラ部材の下側シリーズの別の部分を摺動可能に支持するように構成されている。
実施例16-細長いシャフトに対する外科用エンドエフェクタの選択的な関節運動を容易にするように構成された関節継手によって細長いシャフトに連結された外科用エンドエフェクタを有する細長いシャフトを備える外科用器具。外科用エンドエフェクタは、外科用エンドエフェクタ内において始動位置と終了位置との間で軸方向に進行するように支持された発射部材を備える。回転駆動部材は、関節継手に対して遠位である場所で回転可能に支持されている。上側長手方向セグメント化ナットアセンブリは、発射部材の上部部分に取り付けられ、回転駆動部材の回転により、上側長手方向セグメント化ナットアセンブリが上側軸方向駆動運動を発射部材に加えるように、関節継手の遠位である上側位置で回転駆動部材にねじ係合する。上側長手方向セグメント化ナットアセンブリは、外科用エンドエフェクタの関節運動に適応するように可撓性である。下側長手方向セグメント化ナットアセンブリは、発射部材の下部部分に取り付けられ、回転駆動部材の回転により、下側長手方向セグメント化ナットアセンブリが下側軸方向駆動運動を発射部材に加えるように、関節継手の遠位である下側位置で回転駆動部材にねじ係合する。下側長手方向セグメント化ナットアセンブリは、外科用エンドエフェクタの関節運動に適応するように可撓性である。
実施例17-上側長手方向セグメント化ナットアセンブリは、上側可撓性連結器部材によって互いに対して移動可能に支持される上側バーテブラ部材の上側シリーズを備え、上側可撓性連結器部材は、発射部材の上部部分に連結され、各上側バーテブラ部材を通って延在する、実施例16に記載の外科用器具。下側長手方向セグメント化ナットアセンブリは、下側可撓性連結器部材によって互いに対して移動可能に支持される下側バーテブラ部材の下側シリーズを備え、下側可撓性連結器部材は、発射部材の下部部分に連結され、各下側バーテブラ部材を通って延在する。
実施例18-回転駆動部材は、少なくとも2つの異なるピッチを備える螺旋状ねじ山を含む、実施例16又は17に記載の外科用器具。
実施例19-回転駆動部材との連続的なねじ係合を促進しながら、関節継手を横断する上側バーテブラ部材及び下側バーテブラ部材が軸方向整列から外れるように移動することを可能にするための手段を更に備える、実施例17又は18に記載の外科用器具。
実施例20-細長いシャフトに対する外科用エンドエフェクタの選択的な関節運動を容易にするように構成された関節継手によって細長いシャフトに連結された外科用エンドエフェクタを有する細長いシャフトを備える外科用器具。外科用エンドエフェクタは、外科用エンドエフェクタ内において、始動位置と終了位置との間で軸方向に移動するように支持された発射部材を備える。回転駆動部材は、関節継手に対して遠位である場所で回転可能に支持されている。可撓性駆動アセンブリは、関節継手を軸方向に横断するように、細長いシャフトによって支持されており、関節継手の周りの外科用エンドエフェクタの関節運動に適応するように構成されている。可撓性駆動アセンブリは、関節継手の遠位にある駆動位置において回転駆動部材にねじ係合し、それにより、回転駆動部材の回転により、可撓性駆動アセンブリが軸方向駆動運動を発射部材に加える。
【0091】
本明細書の任意の態様で使用されるとき、「制御回路」という用語は、例えば、ハードワイヤード回路、プログラマブル回路(例えば、1つ又は2つ以上の個々の命令処理コアを含むコンピュータプロセッサ、処理ユニット、プロセッサ、マイクロコントローラ、マイクロコントローラユニット、コントローラ、デジタル信号プロセッサ(digital signal processor、DSP)、プログラマブル論理装置(programmable logic device、PLD)、プログラマブル論理アレイ(programmable logic array、PLA)、又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(field programmable gate array、FPGA))、状態機械回路、プログラマブル回路によって実行される命令を記憶するファームウェア、及びこれらの任意の組み合わせを指すことができる。制御回路は、集合的に又は個別に、例えば、集積回路(integrated circuit、IC)、特定用途向け集積回路(application-specific integrated circuit、ASIC)、システムオンチップ(system on-chip、SoC)、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、サーバ、スマートフォンなどの、より大きなシステムの一部を形成する回路として具現化され得る。したがって、本明細書で使用されるとき、「制御回路」は、少なくとも1つの個別の電気回路を有する電気回路、少なくとも1つの集積回路を有する電気回路、少なくとも1つの特定用途向け集積回路を有する電気回路、コンピュータプログラムによって構成された汎用コンピューティング装置(例えば、本明細書で説明したプロセス及び/若しくは装置を少なくとも部分的に実行するコンピュータプログラムによって構成された汎用コンピュータ、又は本明細書で説明したプロセス及び/若しくは装置を少なくとも部分的に実行するコンピュータプログラムによって構成されたマイクロプロセッサ)を形成する電気回路、メモリ装置(例えば、ランダムアクセスメモリの形態)を形成する電気回路及び/又は通信装置(例えばモデム、通信スイッチ、又は光-電気設備)を形成する電気回路を含むが、これらに限定されない。当業者は、本明細書で述べた主題が、アナログ形式若しくはデジタル形式、又はこれらのいくつかの組み合わせで実装されてもよいことを認識するであろう。
【0092】
いくつかの形態が示され説明されてきたが、添付の特許請求の範囲をそのような詳細に制限又は限定することは、本出願人が意図するところではない。多くの修正、変形、変更、置換、組み合わせ及びこれらの形態の等価物を実装することができ、本開示の範囲から逸脱することなく当業者により想到されるであろう。更に、記述する形態と関連した各要素の構造は、その要素によって実施される機能を提供するための手段として代替的に説明することができる。また、材料が特定の構成要素に関して開示されているが、他の材料が使用されてもよい。したがって、上記の説明文及び添付の特許請求の範囲は、全てのそのような修正、組み合わせ、及び変形を、開示される形態の範囲に含まれるものとして網羅することを意図としたものである点を理解されたい。添付の特許請求の範囲は、全てのそのような修正、変形、変更、置換、修正、及び等価物を網羅することを意図する。
【0093】
1つ又は2つ以上の構成要素が、本明細書中で、「ように構成される(configured to)」、「ように構成可能である(configurable to)」、「動作可能である/ように動作する(operable/operative to)」、「適合される/適合可能である(adapted/adaptable)」、「ことが可能である(able to)」、「準拠可能である/準拠する(conformable/conformed to)」などと言及され得る。当業者は、「ように構成される」は、一般に、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除き、アクティブ状態の構成要素及び/又は非アクティブ状態の構成要素及び/又はスタンバイ状態の構成要素を包含し得ることを理解するであろう。
【0094】
当業者は、一般に、本明細書で使用され、かつ特に添付の特許請求の範囲(例えば、添付の特許請求の範囲の本文)で使用される用語は、概して「オープンな」用語として意図されるものである(例えば、「含む(including)」という用語は、「~を含むが、それらに限定されない(including but not limited to)」と解釈されるべきであり、「有する(having)」という用語は「~を少なくとも有する(having at least)」と解釈されるべきであり、「含む(includes)」という用語は「~を含むが、それらに限定されない(includes but is not limited to)」と解釈されるべきであるなど)ことを理解するであろう。更に、導入された請求項記載(introduced claim recitation)において特定の数が意図される場合、かかる意図は当該請求項中に明確に記載され、またかかる記載がない場合は、かかる意図は存在しないことが、当業者には理解されるであろう。例えば、理解を助けるものとして、後続の添付の特許請求の範囲は、「少なくとも1つの(at least one)」及び「1つ又は2つ以上の(one or more)」という導入句を、請求項記載を導入するために含むことがある。しかしながら、かかる句の使用は、「a」又は「an」という不定冠詞によって請求項記載を導入した場合に、たとえ同一の請求項内に「1つ又は2つ以上の」又は「少なくとも1つの」といった導入句及び「a」又は「an」という不定冠詞が含まれる場合であっても、かかる導入された請求項記載を含むいかなる特定の請求項も、かかる記載事項を1つのみ含む請求項に限定されると示唆されるものと解釈されるべきではない(例えば、「a」及び/又は「an」は通常、「少なくとも1つの」又は「1つ又は2つ以上の」を意味するものと解釈されるべきである)。定冠詞を使用して請求項記載を導入する場合にも、同様のことが当てはまる。
【0095】
加えて、導入された請求項記載において特定の数が明示されている場合であっても、かかる記載は、典型的には、少なくとも記載された数を意味するものと解釈されるべきであることが、当業者には認識されるであろう(例えば、他に修飾語のない、単なる「2つの記載事項」という記載がある場合、一般的に、少なくとも2つの記載事項、又は2つ又は3つ以上の記載事項を意味する)。更に、「A、B及びCなどのうちの少なくとも1つ」に類する表記が使用される場合、一般に、かかる構文は、当業者がその表記を理解するであろう意味で意図されている(例えば、「A、B及びCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、限定するものではないが、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBの両方、AとCの両方、BとCの両方及び/又はAとBとCの全てなどを有するシステムを含む)。「A、B又はCなどのうちの少なくとも1つ」に類する表記が用いられる場合、一般に、かかる構文は、当業者がその表記を理解するであろう意味で意図されている(例えば、「A、B、又はCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、限定するものではないが、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBの両方、AとCの両方、BとCの両方及び/又はAとBとCの全てなどを有するシステムを含む)。更に、典型的には、2つ以上の選択的な用語を表すあらゆる選言的な語及び/又は句は、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除いて、明細書内であろうと、請求の範囲内であろうと、あるいは図面内であろうと、それら用語のうちの1つ、それらの用語のうちのいずれか、又はそれらの用語の両方を含む可能性を意図すると理解されるべきであることが、当業者には理解されよう。例えば、「A又はB」という句は、典型的には、「A」又は「B」又は「A及びB」の可能性を含むものと理解されよう。
【0096】
添付の特許請求の範囲に関して、当業者は、本明細書における引用した動作は一般に、任意の順序で実施され得ることを理解するであろう。また、様々な動作のフロー図がシーケンスで示されているが、様々な動作は、示されたもの以外の順序で実施されてもよく、又は同時に実施されてもよいことが理解されるべきである。かかる代替の順序付けの例は、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除いて、重複、交互配置、割り込み、再順序付け、増加的、予備的、追加的、同時、逆又は他の異なる順序付けを含んでもよい。更に、「~に応答する」、「~に関連する」といった用語、又は他の過去時制の形容詞は、一般に、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除き、かかる変化形を除外することが意図されるものではない。
【0097】
「一態様」、「態様」、「例示」、「一例示」などへの任意の参照は、その態様に関連して記載される特定の機構、構造又は特性が少なくとも1つの態様に含まれると意味することは特記に値する。したがって、本明細書の全体を通じて様々な場所に見られる語句「一態様では」、「態様では」、「例示では」及び「一例示では」は、必ずしも全てが同じ態様を指すものではない。更に、特定の特徴、構造、又は特性は、1つ又は2つ以上の態様において任意の好適な様態で組み合わせることができる。
【0098】
本明細書で参照され、かつ/又は任意の出願データシートに列挙される任意の特許出願、特許、非特許刊行物、又は他の開示資料は、組み込まれる資料が本明細書と矛盾しない範囲で、参照により本明細書に組み込まれる。それ自体、また必要な範囲で、本明細書に明瞭に記載される開示内容は、参照により本明細書に組み込まれるあらゆる矛盾する記載に優先するものとする。参照により本明細書に組み込まれると言及されているが、現行の定義、見解、又は本明細書に記載される他の開示内容と矛盾する任意の内容、又はそれらの部分は、組み込まれた内容と現行の開示内容との間に矛盾が生じない範囲においてのみ、組み込まれるものとする。
【0099】
要約すると、本明細書に記載した構想を用いる結果として得られる多くの利益が記載されてきた。1つ又は2つ以上の形態の上述の記載は、例示及び説明を目的として提示されているものである。包括的であることも、開示された厳密な形態に限定することも意図されていない。上記の教示を鑑みて、修正又は変形が可能である。1つ又は2つ以上の形態は、原理及び実際の応用について例示し、それによって、様々な形態を様々な修正例と共に、想到される特定の用途に適するものとして当業者が利用することを可能にするようにするために、選択及び記載されたものである。本明細書と共に提示される特許請求の範囲が全体的な範囲を定義することが意図される。
【0100】
本明細書に記載される外科用器具システムは、ステープルの配備及び変形に関連して説明されてきたが、しかしながら、本明細書に記載される実施形態は、これに限定されない。例えば、クランプ又はタックなど、ステープル以外の締結具を配備する様々な実施形態が想定される。更に、組織を封止するための任意の好適な手段を利用する、様々な実施形態も想到される。例えば、様々な実施形態によるエンドエフェクタは、組織を加熱して封止するように構成されている電極を備え得る。また例えば、特定の実施形態によるエンドエフェクタは、組織を封止するために振動エネルギーを加えることができる。
【0101】
本明細書で説明する外科用器具システムの多くは、電動モータによって駆動される。しかしながら、本明細書に記載された外科用器具システムは、任意の好適な様式で駆動されることができる。様々な事例において、本明細書で説明した外科用器具システムは、例えば、手動操作トリガにより駆動されることができる。特定の例では、本明細書に開示されるモータは、ロボット制御式システムの1つ又は複数の部分を備えることができる。更に、本明細書に開示されるエンドエフェクタ及び/又は工具アセンブリのいずれもロボット外科用器具システムと共に利用することができる。例えば、米国特許出願第13/118,241号、発明の名称「SURGICAL STAPLING INSTRUMENTS WITH ROTATABLE STAPLE DEPLOYMENT ARRANGEMENTS」(米国特許第9,072,535号)は、ロボット外科用器具システムのいくつかの例をより詳細に開示している。
【0102】
以下の開示の内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
1995年4月4日に発行された米国特許第5,403,312号、発明の名称「ELECTROSURGICAL HEMOSTATIC DEVICE」、
2006年2月21日に発行された米国特許第7,000,818号、発明の名称「SURGICAL STAPLING INSTRUMENT HAVING SEPARATE DISTINCT CLOSING AND FIRING SYSTEMS」、
2008年9月9日に発行された米国特許第7,422,139号、発明の名称「MOTOR-DRIVEN SURGICAL CUTTING AND FASTENING INSTRUMENT WITH TACTILE POSITION FEEDBACK」、
2008年12月16日に発行された米国特許第7,464,849号、発明の名称「ELECTRO-MECHANICAL SURGICAL INSTRUMENT WITH CLOSURE SYSTEM AND ANVIL ALIGNMENT COMPONENTS」、
2010年3月2日に発行された米国特許第7,670,334号、発明の名称「SURGICAL INSTRUMENT HAVING AN ARTICULATING END EFFECTOR」、
2010年7月13日に発行された米国特許第7,753,245号、発明の名称「SURGICAL STAPLING INSTRUMENTS」、
2013年3月12日に発行された米国特許第8,393,514号、発明の名称「SELECTIVELY ORIENTABLE IMPLANTABLE FASTENER CARTRIDGE」、
米国特許出願第11/343,803号、発明の名称「SURGICAL INSTRUMENT HAVING RECORDING CAPABILITIES」、現在は米国特許第7,845,537号、
2008年2月14日に出願された米国特許出願第12/031,573号、発明の名称「SURGICAL CUTTING AND FASTENING INSTRUMENT HAVING RF ELECTRODES」、
2008年2月15日に出願された米国特許出願第12/031,873号、発明の名称「END EFFECTORS FOR A SURGICAL CUTTING AND STAPLING INSTRUMENT」、現在は米国特許第7980443号、
米国特許出願第12/235,782号、発明の名称「MOTOR-DRIVEN SURGICAL CUTTING INSTRUMENT」、現在は米国特許第8,210,411号、
米国特許出願第12/235,972号、発明の名称「MOTORIZED SURGICAL INSTRUMENT」、現在は、米国特許第9,050,083号、
米国特許出願第12/249,117号、発明の名称「POWERED SURGICAL CUTTING AND STAPLING APPARATUS WITH MANUALLY RETRACTABLE FIRING SYSTEM」、現在は米国特許第8,608,045号、
2009年12月24日に出願された米国特許出願第12/647,100号、発明の名称「MOTOR-DRIVEN SURGICAL CUTTING INSTRUMENT WITH ELECTRIC ACTUATOR DIRECTIONAL CONTROL ASSEMBLY」、現在は米国特許第8220688号、
2012年9月29日に出願され、現在は米国特許第8,733,613号である、米国特許出願第12/893,461号、発明の名称「STAPLE CARTRIDGE」、
2011年2月28日に出願され、現在は米国特許第8561870号である、米国特許出願第13/036647号、発明の名称「SURGICAL STAPLING INSTRUMENT」、
米国特許出願第13/118,241号、発明の名称「SURGICAL STAPLING INSTRUMENTS WITH ROTATABLE STAPLE DEPLOYMENT ARRANGEMENTS」、現在は米国特許第9,072,535号、
2012年6月15日に出願された米国特許出願第13/524,049号、発明の名称「ARTICULATABLE SURGICAL INSTRUMENT COMPRISING A FIRING DRIVE」、現在は米国特許第9,101,358号、
2013年3月13日に出願された米国特許出願第13/800,025号、発明の名称「STAPLE CARTRIDGE TISSUE THICKNESS SENSOR SYSTEM」、現在は米国特許第9,345,481号、
2013年3月13日出願の米国特許出願第13/800,067号、発明の名称「STAPLE CARTRIDGE TISSUE THICKNESS SENSOR SYSTEM」(現在は、米国特許出願公開第2014/0263552号)、
2006年1月31日に出願された米国特許出願公開第2007/0175955号、発明の名称「SURGICAL CUTTING AND FASTENING INSTRUMENT WITH CLOSURE TRIGGER LOCKING MECHANISM」、及び、
2010年4月22日に出願された米国特許出願公開第2010/0264194号、発明の名称「SURGICAL STAPLING INSTRUMENT WITH AN ARTICULATABLE END EFFECTOR」、現在は米国特許第8,308,040号。
【0103】
特定の実施形態と共に本明細書で様々な装置について説明したが、それらの実施形態に対して修正及び変更が実施されてもよい。特定の特徴、構造又は特性を、1つ以上の実施形態で、任意の好適な様式で組み合わせてもよい。したがって、一実施形態に関して図示又は説明される特定の特徴、構造、又は特性は、無制限に1つ又は2つ以上の他の実施形態の特徴、構造、又は特性と全て、あるいは、部分的に組み合わせてもよい。また、材料が特定の構成要素に関して開示されているが、他の材料が使用されてもよい。更に、様々な実施形態に従って、所与の機能を実行するために、単一の構成要素を複数の構成要素に置き換えてもよく、また複数の構成要素を単一の構成要素に置き換えてもよい。以上の説明及び以下の特許請求の範囲は、そのような修正及び変形形態を全て包含することが意図される。
【0104】
本明細書に開示されるデバイスは、1回の使用後に廃棄されるように設計することができ、又は複数回使用されるように設計することができる。しかしながら、いずれの場合も、デバイスは少なくとも1回の使用後に再利用のために再調整され得る。再調整には、装置の分解工程、それに続く装置の特定の部品の洗浄工程又は交換工程、及びその後の装置の再組み立て工程の任意の組み合わせを含むことができるが、これらに限定されない。具体的には、再調整の施設及び/又は外科チームは、装置を分解することができ、装置の特定の部品を洗浄及び/又は交換した後、装置をその後の使用のために再組み立てすることができる。当業者であれば、デバイスの再調整が、分解、洗浄/交換、及び再組み立てのための様々な技術を利用できることを理解するであろう。かかる技術の使用、及び結果として得られる再調整されたデバイスは、全て本出願の範囲内にある。
【0105】
本明細書に開示の装置は、手術前に処理され得る。最初に、新品又は使用済みの器具が入手され、必要に応じて洗浄されてもよい。次いで器具を滅菌することができる。1つの滅菌技術では、器具は、プラスチックバッグ又はTYVEKバッグなど、閉鎖され密封された容器に入れられる。次いで、容器及び器具を、γ線、x線、及び/又は高エネルギー電子などの、容器を透過し得る放射線野に置くことができる。放射線は、器具上及び容器内の細菌を死滅させることができる。この後、滅菌済みの器具を滅菌容器内で保管することができる。密封容器は、医療施設で開封されるまで、器具を滅菌状態に保つことができる。装置はまた、β線、γ線、エチレンオキシド、過酸化水素プラズマ、及び/又は水蒸気が挙げられるが、これらに限定されない、当該技術分野で既知の任意の他の技術を用いて滅菌され得る。
【0106】
代表的な設計を有するものとして本発明について記載してきたが、本発明は、本開示の趣旨及び範囲内で更に修正されてもよい。したがって、本出願は、その一般的な原理を使用して本発明の任意の変形、使用、又は適合を網羅することを意図している。
【0107】
〔実施の態様〕
(1) 外科用器具であって、
細長いシャフトと、
関節継手によって前記細長いシャフトに連結された外科用エンドエフェクタであって、前記関節継手は、前記細長いシャフトに対する前記外科用エンドエフェクタの選択的な関節運動を容易にするように構成されており、前記外科用エンドエフェクタは、
第1のジョーと、
開放位置と閉鎖位置との間で前記第1のジョーに対して移動するように構成されている第2のジョーと、
前記外科用エンドエフェクタ内において始動位置と終了位置との間で軸方向に進行するように支持された発射部材と、を備える、外科用エンドエフェクタと、を備え、前記外科用器具は、
前記発射部材の上部部分に取り付けられた上側可撓性スパインアセンブリと、
前記発射部材の下部部分に取り付けられた下側可撓性スパインアセンブリと、
回転駆動部材であって、前記回転駆動部材は、上側の場所において前記上側可撓性スパインアセンブリと動作可能に連係し、前記回転駆動部材は、下側の場所において前記下側可撓性スパインアセンブリと動作可能に連係し、前記上側の場所及び前記下側の場所は、前記関節継手に対して遠位にあり、前記回転駆動部材により、前記上側可撓性スパインアセンブリ及び前記下側可撓性スパインアセンブリが軸方向駆動運動を前記発射部材に加えて、前記発射部材を前記始動位置と前記終了位置との間で移動させる、回転駆動部材と、を更に備える、外科用器具。
(2) 前記回転駆動部材は、前記上側可撓性スパインアセンブリと前記下側可撓性スパインアセンブリとの間の中央に配設されている、実施態様1に記載の外科用器具。
(3) 前記上側可撓性スパインアセンブリは、一緒に緩く連結されている上側バーテブラ部材の上側シリーズを備え、前記下側可撓性スパインアセンブリは、一緒に緩く連結されている下側バーテブラ部材の下側シリーズを備える、実施態様1に記載の外科用器具。
(4) 前記上側バーテブラ部材は、上側可撓性連結器部材によって互いに対して移動可能に支持され、前記上側可撓性連結器部材は、前記発射部材の前記上部部分に連結され、各前記上側バーテブラ部材を通って延在し、前記下側バーテブラ部材は、下側可撓性連結器部材によって互いに対して移動可能に支持され、前記下側可撓性連結器部材は、前記発射部材の前記下部部分に連結され、各前記下側バーテブラ部材を通って延在する、実施態様3に記載の外科用器具。
(5) 各前記上側バーテブラ部材は、
上側近位端部及び上側遠位端部を規定する、上側バーテブラ本体部分と、
前記上側バーテブラ本体部分内の上側中空通路であって、前記上側可撓性連結器部材が前記上側中空通路を通って延在することを可能にするように、前記上側近位端部と前記上側遠位端部との間で前記上側バーテブラ本体部分を通って延在する、上側中空通路と、
前記上側近位端部上の上側近位嵌合特徴部と、
前記上側遠位端部上の上側遠位嵌合特徴部であって、各前記上側バーテブラ部材上の前記上側近位嵌合特徴部は、隣接する前記上側バーテブラ部材上の前記上側遠位嵌合特徴部と移動可能に連係するように構成されている、上側遠位嵌合特徴部と、
前記回転駆動部材と動作可能に係合するように構成された上側バーテブラ駆動特徴部と、を備える、実施態様4に記載の外科用器具。
【0108】
(6) 前記上側近位嵌合特徴部は、前記上側バーテブラ本体部分の前記上側近位端部内に上側凹状リセスを備え、前記上側遠位嵌合特徴部は、前記上側バーテブラ本体部分の前記上側遠位端部上に上側凸状突出部を備え、各前記上側バーテブラ部材上の前記上側凸状突出部は、前記隣接する前記上側バーテブラ部材内の前記上側凹状リセスと嵌合係合するようにサイズ決め及び成形されている、実施態様5に記載の外科用器具。
(7) 各前記下側バーテブラ部材は、
下側近位端部及び下側遠位端部を規定する下側バーテブラ本体部分と、
前記下側バーテブラ本体部分内の下側中空通路であって、前記下側可撓性連結器部材が前記下側中空通路を通って延在することを可能にするために、前記下側近位端部と前記下側遠位端部との間で前記下側バーテブラ本体部分を通って延在する、下側中空通路と、
前記下側近位端部上の下側近位嵌合特徴部と、
前記下側遠位端部上の下側遠位嵌合特徴部であって、各前記下側バーテブラ部材上の前記下側近位嵌合特徴部は、隣接する前記下側バーテブラ部材上の前記下側遠位嵌合特徴部と移動可能に連係するように構成されている、下側遠位嵌合特徴部と、
前記回転駆動部材と動作可能に係合するように構成された下側バーテブラ駆動特徴部と、を備える、実施態様5に記載の外科用器具。
(8) 前記下側近位嵌合特徴部は、前記下側バーテブラ本体部分の前記下側近位端部内に下側凹状リセスを備え、前記下側遠位嵌合特徴部は、前記下側バーテブラ本体部分の前記下側遠位端部上に下側凸状突出部を備え、各前記下側バーテブラ部材上の前記下側凸状突出部は、隣接する前記下側バーテブラ部材内の前記下側凹状リセスと嵌合係合するようにサイズ決め及び成形されている、実施態様7に記載の外科用器具。
(9) 前記上側バーテブラ駆動特徴部は、前記回転駆動部材と連係するように構成された上側歯を含み、前記下側バーテブラ駆動特徴部は、前記回転駆動部材と連係するように構成された下側歯を含む、実施態様7に記載の外科用器具。
(10) 前記回転駆動部材は、
回転本体部分と、
前記回転本体部分の外部表面上の螺旋状駆動部材であって、各前記上側歯上に形成された上側螺旋状表面及び各前記下側歯上の下側螺旋状表面と係合するように構成されている、螺旋状駆動部材と、を含む、実施態様9に記載の外科用器具。
【0109】
(11) 連続的な上側圧縮力を前記上側バーテブラ部材の上側シリーズに加えて、前記上側バーテブラ部材の上側シリーズ内の前記上側バーテブラ部材を互いに移動可能に接触した状態に保持するように構成された上側バーテブラ付勢器(upper vertebra biaser)と、
連続的な下側圧縮力を前記下側バーテブラ部材の下側シリーズに加えて、前記下側バーテブラ部材の下側シリーズ内の前記下側バーテブラ部材を互いに移動可能に接触した状態に保持するように構成された下側バーテブラ付勢器と、を更に含む、実施態様4に記載の外科用器具。
(12) 前記上側螺旋状表面が2つの異なるピッチを備える、実施態様10に記載の外科用器具。
(13) 前記上側可撓性連結器部材及び前記下側可撓性連結器部材は、前記上側可撓性連結器部材及び前記下側可撓性連結器部材の各々に近位方向に後退運動を加えることによって、前記始動位置に対して遠位である位置から前記発射部材を後退させるように構成されている、実施態様4に記載の外科用器具。
(14) 前記関節継手はある関節継手長さを備え、前記上側バーテブラ部材の上側シリーズは、前記関節継手長さに、前記発射部材の前記始動位置から前記終了位置までの距離を加えた長さ以上である上側シリーズ長さを備え、前記下側バーテブラ部材の下側シリーズは、前記関節継手長さに、前記発射部材の前記始動位置から前記終了位置までの前記距離を加えた長さ以上である下側シリーズ長さを備える、実施態様3に記載の外科用器具。
(15) 前記外科用エンドエフェクタの近位端部から延在し、前記関節継手にまたがる上側スリーブであって、前記外科用エンドエフェクタに対して軸方向に移動可能であり、前記関節継手にまたがる前記上側バーテブラ部材の上側シリーズの一部分を摺動可能に支持するように構成されている、上側スリーブと、
前記外科用エンドエフェクタの前記近位端部から延在し、前記関節継手にまたがる下側スリーブであって、前記外科用エンドエフェクタに対して軸方向に移動可能であり、前記関節継手にまたがる前記下側バーテブラ部材の下側シリーズの別の部分を摺動可能に支持するように構成されている、下側スリーブと、を更に備える、実施態様14に記載の外科用器具。
【0110】
(16) 外科用器具であって、
細長いシャフトと、
関節継手によって前記細長いシャフトに連結された外科用エンドエフェクタであって、前記関節継手は、前記細長いシャフトに対する前記外科用エンドエフェクタの選択的な関節運動を容易にするように構成されており、前記外科用エンドエフェクタは、前記外科用エンドエフェクタ内において始動位置と終了位置との間で軸方向に進行するように支持された発射部材を備える、外科用エンドエフェクタと、
前記関節継手の遠位側で回転可能に支持される回転駆動部材と、
前記発射部材の上部部分に取り付けられた上側長手方向セグメント化ナットアセンブリであって、前記回転駆動部材の回転により、前記上側長手方向セグメント化ナットアセンブリが上側軸方向駆動運動を前記発射部材に加えるように、前記関節継手の遠位である上側位置で前記回転駆動部材にねじ係合し、前記上側長手方向セグメント化ナットアセンブリは、前記外科用エンドエフェクタの前記関節運動に適応するように可撓性である、上側長手方向セグメント化ナットアセンブリと、
前記発射部材の下部部分に取り付けられた下側長手方向セグメント化ナットアセンブリであって、前記回転駆動部材の回転により、前記下側長手方向セグメント化ナットアセンブリが下側軸方向駆動運動を前記発射部材に加えるように、前記関節継手の遠位である下側位置で前記回転駆動部材にねじ係合し、前記下側長手方向セグメント化ナットアセンブリは、前記外科用エンドエフェクタの前記関節運動に適応するように可撓性である、下側長手方向セグメント化ナットアセンブリと、を備える、外科用器具。
(17) 前記上側長手方向セグメント化ナットアセンブリは上側バーテブラ部材の上側シリーズを含み、前記上側バーテブラ部材は、前記発射部材の前記上部部分に連結され、各前記上側バーテブラ部材を通って延在する上側可撓性連結器部材によって互いに対して移動可能に支持され、前記下側長手方向セグメント化ナットアセンブリは下側バーテブラ部材の下側シリーズを含み、前記下側バーテブラ部材は、前記発射部材の前記下部部分に連結され、各下側バーテブラ部材を通って延在する下側可撓性連結器部材によって互いに対して移動可能に支持されている、実施態様16に記載の外科用器具。
(18) 前記回転駆動部材は、少なくとも2つの異なるピッチを備える螺旋状ねじ山を含む、実施態様17に記載の外科用器具。
(19) 前記回転駆動部材との連続的なねじ係合を促進しながら、前記関節継手を横断する前記上側バーテブラ部材及び前記下側バーテブラ部材が軸方向整列から外れるように移動することを可能にするための手段を更に備える、実施態様17に記載の外科用器具。
(20) 外科用器具であって、
細長いシャフトと、
関節継手によって前記細長いシャフトに連結された外科用エンドエフェクタであって、前記関節継手は、前記細長いシャフトに対する前記外科用エンドエフェクタの選択的な関節運動を容易にするように構成されており、前記外科用エンドエフェクタは、前記外科用エンドエフェクタ内において始動位置と終了位置との間で軸方向に進行するように支持された発射部材を備える、外科用エンドエフェクタと、
前記関節継手の遠位側で回転可能に支持される回転駆動部材と、
前記細長いシャフトによって支持される可撓性駆動アセンブリであって、前記関節継手を軸方向に横断し、前記関節継手の周りの前記外科用エンドエフェクタの関節運動に適応するように構成され、また前記関節継手の遠位にある駆動位置において前記回転駆動部材にねじ係合し、それにより、前記回転駆動部材の回転により、前記可撓性駆動アセンブリが軸方向駆動運動を前記発射部材に加える、可撓性駆動アセンブリと、を備える、外科用器具。
【国際調査報告】