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特表2023-536910胆道および/または膵道に沿った狭窄を処置するためのデバイス
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  • 特表-胆道および/または膵道に沿った狭窄を処置するためのデバイス 図1
  • 特表-胆道および/または膵道に沿った狭窄を処置するためのデバイス 図2
  • 特表-胆道および/または膵道に沿った狭窄を処置するためのデバイス 図3
  • 特表-胆道および/または膵道に沿った狭窄を処置するためのデバイス 図4
  • 特表-胆道および/または膵道に沿った狭窄を処置するためのデバイス 図5
  • 特表-胆道および/または膵道に沿った狭窄を処置するためのデバイス 図6
  • 特表-胆道および/または膵道に沿った狭窄を処置するためのデバイス 図7
  • 特表-胆道および/または膵道に沿った狭窄を処置するためのデバイス 図8
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-30
(54)【発明の名称】胆道および/または膵道に沿った狭窄を処置するためのデバイス
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/09 20060101AFI20230823BHJP
   A61M 25/092 20060101ALI20230823BHJP
【FI】
A61M25/09 516
A61M25/09 514
A61M25/092 510
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023507577
(86)(22)【出願日】2021-08-04
(85)【翻訳文提出日】2023-03-27
(86)【国際出願番号】 US2021044513
(87)【国際公開番号】W WO2022031827
(87)【国際公開日】2022-02-10
(31)【優先権主張番号】63/061,522
(32)【優先日】2020-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ゲスラー、ザ サード レイモンド ディ.
(72)【発明者】
【氏名】デイトン、ピーター エル.
(72)【発明者】
【氏名】ジョダ、デイビッド ビー.
(72)【発明者】
【氏名】レムケ、カイル エル.
(72)【発明者】
【氏名】マッテソン、ジェイソン
(72)【発明者】
【氏名】オルソン、マーク ピー.
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA29
4C267AA32
4C267BB02
4C267BB04
4C267BB10
4C267BB11
4C267BB12
4C267BB38
4C267CC09
4C267GG04
4C267GG24
4C267HH03
4C267HH08
(57)【要約】
胆道および/または膵道に沿った使用のためのガイドワイヤ(10)が開示される。ガイドワイヤは、近位端部領域および遠位端部領域を有する細長いコア部材(12)を含む。コイル部材(14)は、遠位端部領域に沿って配設される。作動部材(20)は、コイル部材に対して結合される。作動部材は、コイル部材を第1の構成と圧縮構成との間でシフトさせるように構成される。コイル部材は、圧縮構成にある場合、胆道狭窄および/または膵臓狭窄にわたって前進させられるように構成される。スリーブ(18)は、コイル部材上に配設される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
胆道および/または膵道に沿った使用のためのガイドワイヤであって、
近位端部領域および遠位端部領域を有する細長いコア部材と、
前記細長いコア部材の前記遠位端部領域に沿って配設されるコイル部材と、
前記コイル部材に対して結合され、前記コイル部材を第1の構成と圧縮構成との間でシフトさせるように構成された作動部材であって、
前記コイル部材は、前記圧縮構成にある場合、胆道狭窄および/または膵臓狭窄にわたって前進させられるように構成される、作動部材と、
前記コイル部材上に配設されるスリーブと
を備える、ガイドワイヤ。
【請求項2】
前記作動部材は、ワイヤを含む、請求項1に記載のガイドワイヤ。
【請求項3】
前記作動部材は、撚線ケーブルを含む、請求項1または2に記載のガイドワイヤ。
【請求項4】
前記作動部材は、前記コイル部材の遠位端部に対して固定される、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のガイドワイヤ。
【請求項5】
前記作動部材に対して結合されるハンドルをさらに備える、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のガイドワイヤ。
【請求項6】
前記コイル部材の遠位端部に隣接して配設される先端部部材をさらに備える、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のガイドワイヤ。
【請求項7】
前記スリーブは、一定の外径を有する、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のガイドワイヤ。
【請求項8】
胆道および/または膵道に沿った順行性狭窄交差のための方法であって、
前記胆道および/または膵道に沿った狭窄に隣接する位置へ可変剛性ガイドワイヤを前進させる工程であって、
前記可変剛性ガイドワイヤは、
近位端部領域および遠位端部領域を有する細長いコア部材、
前記遠位端部領域に沿って配設されるコイル部材、
前記コイル部材に対して結合される作動部材であって、前記コイル部材を第1の構成と圧縮構成との間でシフトさせるように構成される、作動部材、および
前記コイル部材上に配設されるスリーブ
を備える、前進させる工程と、
前記作動部材を作動させて、前記コイル部材を前記圧縮構成へシフトさせる工程と、
前記可変剛性ガイドワイヤを前記狭窄にわたって前進させる工程と
を備える方法。
【請求項9】
前記胆道および/または膵道に沿った狭窄に隣接する位置へ前記可変剛性ガイドワイヤを前進させる工程は、内視鏡を通って前記可変剛性ガイドワイヤを前進させる工程を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記胆道および/または膵道に沿った狭窄に隣接する位置へ前記可変剛性ガイドワイヤを前進させる工程は、十二指腸の壁を通って前記可変剛性ガイドワイヤを前進させる工程を含む、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
前記作動部材は、ワイヤを含む、請求項8乃至10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記作動部材は、撚線ケーブルを含む、請求項8乃至11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記作動部材は、前記コイル部材の遠位端部に対して固定される、請求項8乃至12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記作動部材に対して結合されるハンドルをさらに備え、前記作動部材を作動させる工程は、前記ハンドルを作動させる工程を含む、請求項8乃至13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記スリーブは、一定の外径を有する、請求項8乃至14のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医療デバイスと、医療デバイスを製造するための方法とに関する。より詳細には、本開示は、胆道および/または膵道に沿った狭窄を処置するための医療デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
多種多様な医療デバイスが、医療用途のために開発されてきた。これらのデバイスのいくつかは、ガイドワイヤ、カテーテル等を含む。これらのデバイスは、多様な異なる製造方法のうちのいずれか1つによって製造され、多様な方法のうちのいずれか1つに従って使用され得る。知られている医療デバイスおよび方法の各々が、一定の利点および欠点を有する。代替的な医療デバイスと、医療デバイスを製造し、使用するための代替的な方法とを提供する継続的な必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示は、医療デバイスに対する設計、材料、製造方法、および用途代替案を提供する。胆道および/または膵道に沿った使用のためのガイドワイヤが開示される。ガイドワイヤは、近位端部領域および遠位端部領域を有する細長いコア部材と、遠位端部領域に沿って配設されるコイル部材と、コイル部材に対して結合される作動部材であって、作動部材は、コイル部材を第1の構成と圧縮構成との間でシフトさせるように構成され、コイル部材は、圧縮構成にある場合、胆道狭窄および/または膵臓狭窄にわたって前進させられるように構成される、作動部材と、コイル部材上に配設されるスリーブとを備える。
【0004】
上記実施形態のうちのいずれかに対して代替的にまたは付加的に、作動部材は、ワイヤを含む。
上記実施形態のうちのいずれかに対して代替的にまたは付加的に、作動部材は、撚線ケーブルを含む。
【0005】
上記実施形態のうちのいずれかに対して代替的にまたは付加的に、作動部材は、コイル部材の遠位端部に対して固定される。
上記実施形態のうちのいずれかに対して代替的にまたは付加的に、作動部材に対して結合されるハンドルをさらに備える。
【0006】
上記実施形態のうちのいずれかに対して代替的にまたは付加的に、コイル部材の遠位端部に隣接して配設される先端部部材をさらに備える。
上記実施形態のうちのいずれかに対して代替的にまたは付加的に、スリーブは、一定の外径を有する。
【0007】
胆道および/または膵道に沿った順行性狭窄交差のための方法であって、胆道および/または膵道に沿った狭窄に隣接する位置へ可変剛性ガイドワイヤを前進させる工程であって、可変剛性ガイドワイヤは、近位端部領域および遠位端部領域を有する細長いコア部材、遠位端部領域に沿って配設されるコイル部材、コイル部材に対して結合される作動部材であって、コイル部材を第1の構成と圧縮構成との間でシフトさせるように構成される、作動部材、およびコイル部材上に配設されるスリーブを備える、前進させる工程と、作動部材を作動させて、コイル部材を圧縮構成へシフトさせる工程と、可変剛性ガイドワイヤを狭窄にわたって前進させる工程とを備える方法。
【0008】
上記実施形態のうちのいずれかに対して代替的にまたは付加的に、胆道および/または膵道に沿った狭窄に隣接する位置へ可変剛性ガイドワイヤを前進させる工程は、内視鏡を通って可変剛性ガイドワイヤを前進させる工程を含む。
【0009】
上記実施形態のうちのいずれかに対して代替的にまたは付加的に、胆道および/または膵道に沿った狭窄に隣接する位置へ可変剛性ガイドワイヤを前進させる工程は、十二指腸の壁を通って可変剛性ガイドワイヤを前進させる工程を含む。
【0010】
上記実施形態のうちのいずれかに対して代替的にまたは付加的に、作動部材は、ワイヤを含む。
上記実施形態のうちのいずれかに対して代替的にまたは付加的に、作動部材は、撚線ケーブルを含む。
【0011】
上記実施形態のうちのいずれかに対して代替的にまたは付加的に、作動部材は、コイル部材の遠位端部に対して固定される。
上記実施形態のうちのいずれかに対して代替的にまたは付加的に、作動部材に対して結合されるハンドルをさらに備え、作動部材を作動させる工程は、ハンドルを作動させる工程を含む。
【0012】
上記実施形態のうちのいずれかに対して代替的にまたは付加的に、コイル部材の遠位端部に隣接して配設される先端部部材をさらに備える。
上記実施形態のうちのいずれかに対して代替的にまたは付加的に、スリーブは、一定の外径を有する。
【0013】
可変剛性ガイドワイヤが開示される。可変剛性ガイドワイヤは、近位端部領域および遠位端部領域を有する細長いシャフトと、遠位端部領域に対して結合されるコイル部材であって、遠位端部を有する、コイル部材と、コイル部材の遠位端部に対して結合され、細長いシャフトの近位端部領域の方へ延在し、コイル部材を第1の構成と圧縮構成との間でシフトさせるように構成された作動部材であって、コイル部材は、圧縮構成にある場合、胆道狭窄および/または膵臓狭窄にわたって前進させられるように構成される、作動部材と、コイル部材上に配設されるスリーブとを備える。
【0014】
上記実施形態のうちのいずれかに対して代替的にまたは付加的に、作動部材に対して、および細長いシャフトの近位端部領域に対して結合されるハンドルをさらに備える。
上記実施形態のうちのいずれかに対して代替的にまたは付加的に、コイル部材の遠位端部に隣接して配設される先端部部材をさらに備える。
【0015】
上記実施形態のうちのいずれかに対して代替的にまたは付加的に、スリーブは、一定の外径を有する。
いくつかの実施形態の上記概要は、本開示の開示されている各実施形態またはあらゆる実装を説明するようには意図されていない。以下に続く図面および詳細な説明は、これらの実施形態をより詳細に例示する。
【0016】
本開示は、添付の図面に関連して、以下の詳細な説明を考慮すれば、より完全に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本開示による医療デバイス・システムの一部の部分断面側面図。
図2】本開示による医療デバイス・システムの一部の部分断面側面図。
図3】本開示による医療デバイス・システムの一部の部分断面側面図。
図4】本開示による医療デバイス・システムの一部の部分断面側面図。
図5】本開示による医療デバイス・システムの一部の部分断面側面図。
図6】本開示による医療デバイス・システムを使用するための方法を示す図。
図7】本開示による医療デバイス・システムを使用するための方法を示す図。
図8】本開示による医療デバイス・システムを使用するための方法を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本開示は、様々な変形例および代替的形態に適しているが、その詳細は、図面において例として図示されており、詳細に説明されることになる。しかしながら、意図は、本発明を説明される特定の実施形態に限定することではないことが理解されるべきである。それどころか、意図は、本開示の趣旨および範囲内に収まる、あらゆる変形例、均等物、および代替案を網羅することである。
【0019】
以下の定義された用語については、特許請求の範囲または本明細書内の他の箇所において異なる定義が与えられない限り、これらの定義が適用されるものとする。
あらゆる数値は、明示的に示されるか否かに関わらず、「約」という用語によって修正されることが本明細書において想定されている。「約」という用語は、一般に、記載された値と等価である(例えば、同じ機能または結果を有する)と当業者が考慮するであろう数字の範囲を指す。多くの場合において、「約」という用語は、最も近い有効数字に四捨五入される数字を含み得る。
【0020】
端点による数値範囲の記載は、その範囲内のあらゆる数字を含む(例えば、1から5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、および5を含む)。
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形の「a(ある)」、「an(1つ)」、および「the(その)」は、本内容が他の意味を明確に指示しない限り、複数の参照物を含む。本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、「または」という用語は、一般に、本内容が他の意味を明確に指示しない限り、「および/または」を含むその意味において採用される。
【0021】
本明細書における、「一実施形態」、「いくつかの実施形態」、「他の実施形態」等への参照は、説明される実施形態が、1つまたは複数の特定の特徴、構造、および/または特性を含み得ることを示すことが留意される。しかしながら、そのような記載は、必ずしも全ての実施形態がその特定の特徴、構造、および/または特性を含むことを意味するとは限らない。また、特定の特徴、構造、および/または特性が、1つの実施形態に関連して説明される場合、特に明確に断りがない限り、明示的に説明されるか否かに関わらず、そのような特徴、構造、および/または特性が他の実施形態にも関連して使用され得ることが理解されるべきである。
【0022】
以下の詳細な説明は、異なる図面における同様の要素に同じ番号が振られている図面を参照して読まれるべきである。必ずしも縮尺通りとは限らない図面は、例示的な実施形態を描いており、本発明の範囲を限定するようには意図されていない。
【0023】
内視鏡検査においては、関連付けられた黄疸を伴う、または伴わない腹痛を患者が呈する頻繁な病状が生じる。病因は、通常、胆道樹における何らかのタイプの障害物であり、この障害物が、近位の樹から十二指腸内へ胆汁が自然に流れることを妨げる。その遮断は、管の内腔にできた胆石、または管の壁内にある、もしくは隣接する組織から壁に衝突する腫瘍の結果であり得る。そのような狭窄が発生した場合、狭窄に対して近位の管は拡大し、狭窄に対して遠位の管は、低減された胆汁の流れを受け取る。患者の症状を和らげるために、消化器病専門医は、近位の拡大した管から十二指腸内への胆汁の流れを再開するための方法を見つけ出そうと努める。症状を和らげるために予期されるいくつかの介入は、狭窄にステントを設置して、近位の管をドレーンすること、石を除去すること、および/または同様のことを含み得る。
【0024】
狭窄にステントを設置する最も一般的な方法は、内視鏡的逆行性胆管膵管造影検査(ERCP)を行うことであり、ERCPにおいては、側視型内視鏡が、十二指腸内の胆道乳頭部のロケーションに設置され、ガイドワイヤが、乳頭部を通って胆管まで狭窄にわたって逆行的に設置される。そのような手術は、困難なことがある。例えば、狭窄のロケーション、形状、および機構に依存して、近位の管への深部挿管は、不可能ではなくても、困難であり得る。さらに、医師が胆管に対してアクセスしようと試みる場合、医師は膵管にカニューレを不注意に挿入する可能性がある。膵管への不注意な挿管は、膵炎などの合併症につながり得る。これらの問題および他の問題に、例えば、順行性の(例えば、非乳頭状)狭窄交差を利用することによって対処するデバイスおよび方法が、本明細書において開示される。
【0025】
図1は、本開示による、胆道および/または膵道に沿った狭窄と交差するための例示的な医療デバイス10を概略的に描く。医療デバイス10は、ガイドワイヤ10(例えば、可変剛性ガイドワイヤ10)の形態を取り得る。一般に、ガイドワイヤ10は、ガイドワイヤ10が順行性狭窄交差に対して使用されることを可能にする可変剛性を有し得る。これは、狭窄とより効率的に交差するために、案内期間中のガイドワイヤ10の剛性を変化させる(例えば、増加させる)ための能力を含み得る。
【0026】
ガイドワイヤ10の構造および形態は、変更してもよい。例えば、ガイドワイヤ10は、ポリマー先端部、ばね先端部、角度が付けられた先端部、および/または他の構造/構成を含んでもよい。いくつかの場合において、ガイドワイヤ10は、コア部材またはワイヤ12を含み得る。コイル部材14は、コア・ワイヤ12の少なくとも一部に沿って配設され得る。一般に、コイル部材14は、第1の構成または非圧縮構成と第2の構成または圧縮構成との間でシフトするように構成され得る。コイル部材14が第1の構成にある場合、ガイドワイヤ10は、比較的高いレベルの柔軟性を有し得る。コイル部材14が第2の構成へシフトされる場合、ガイドワイヤ10は、比較的高いレベルの剛性を有し得る。少なくともいくつかの場合において、コイル部材は、圧縮構成にある場合、胆道狭窄および/または膵臓狭窄にわたって前進させられるように構成される。先端部部材16は、コイル部材14の遠位端部において配設され得る。この例において、先端部部材16は、はんだボール先端部として描かれている。しかしながら、他の場合において、先端部部材16は、「フロッピー(floppy)」先端部、ばね先端部、ポリマー先端部、角度が付けられた先端部、テーパ先端部、および/または同様のものの形態を取ってもよい。
【0027】
いくつかの場合において、コイル部材14は、その内部に形成された複数のスロット(例えば、レーザ・カット・スロット)を有する管状部材と置換されてもよい。管状部材は、例えば、スロットの構成によって決定される、1つまたは複数の好適な屈曲方向を有し得る。いくつかの場合において、管状部材は、ガイドワイヤ10が操作されることを可能にする、1つまたは複数の操作ワイヤを含んでもよい。
【0028】
スリーブ18は、コイル部材14に沿って配設され得る。スリーブ18は、実質的に一定の外径を有し得る。少なくともいくつかの場合において、スリーブ18は、コイル部材14が第1の構成にあるか、または第2の構成(および/もしくは任意の他の構成)にあるかにかかわらず、実質的に同じ外径を維持するように構成され得る。スリーブ18は、ポリマー材料を含み得る。少なくともいくつかの場合において、スリーブ18は、滑らかな材料を含み得る(例えば、スリーブ18は、滑らかな材料から形成されてもよく、および/または、スリーブ18は、滑らかな層もしくはコーティングを含んでもよい)。いくつかの場合において、スリーブ18は、絶縁特性を有してもよく、絶縁特性は、ガイドワイヤ10が無線周波数デバイスまたは他の電気デバイスと共に使用されることを可能にし得る。スリーブ18は、臨床医がガイドワイヤ10に対して効率的にトルクを与えること、またはさもなければ、ガイドワイヤ10をターゲット(例えば、胆道および/もしくは膵道に沿った狭窄)の方へ操作することを可能にする、あるレベルのねじり支持/強度もコイル部材14に対して提供し得る(例えば、コイル部材14が第1の構成にある場合)。いくつかの場合において、ガイドワイヤ10には、スリーブ18がなくてもよい(例えば、スリーブ18のようなスリーブが、コイル部材14に沿って位置付けられない)。
【0029】
いくつかの場合において、コイル部材14は、ガイドワイヤ10の遠位部分に沿って配設される。これらの場合のうちの少なくともいくつかにおいて、シャフトまたは管状部材19は、コイル部材14の近位端部から近位へ延在し得る。管状部材19は、ハイポチューブの形態を取り得る。他の場合において、コイル部材14は、ガイドワイヤ10の近位部分の一部または全部に沿って延在し得る。例えば、いくつかの場合において、コイル部材14は、ガイドワイヤ10の近位端部へ延在し得る。
【0030】
作動部材20は、コイル部材14に対して結合され得る。作動部材20は、ガイドワイヤ10の近位端部の方へコイル部材14の内部または外部に沿って延在するワイヤ(例えば、丸ワイヤ、リボン・ワイヤ、撚線ワイヤ、補強されたロッド、および/または同様のもの)の形態を取り得る。少なくともいくつかの場合において、作動部材20は、コイル部材14の遠位端部に対して取り付けられ得る。作動部材20は、(例えば、図2に示されるような)第1の構成または非圧縮構成と、(例えば、図3に示されるような)第2の構成または圧縮構成との間で、コイル部材14をシフトさせるように構成され得る。例えば、作動部材20は、近位へ後退させられ(例えば、引っ張られ/伸ばされ)て、コイル部材14に対して圧縮力を与え得る。作動部材20がさらに伸ばされるにつれて、付加的な圧縮力がコイル部材14に対して与えられ、これはガイドワイヤ10の剛性を増加させることが認識され得る。コイル部材14の構成は、本質的に2値(例えば、第1の構成および第2の構成)として説明されているものと考慮され得るが、実際には、コイル部材14の状態は、ある範囲の構成にわたってシフトさせられ、ガイドワイヤ10の連続的な柔軟性/剛性特性をもたらすものとして理解され得る。
【0031】
図4は、ガイドワイヤ10に対して結合され得るハンドル22を示す。ハンドル22は、ハンドル22の領域26に沿って摺動することができる摺動可能部材24を含み得る。摺動可能部材24は、作動部材20に対して結合され得る。したがって、摺動可能部材24の近位移動は、作動部材20の近位後退(例えば、および、ガイドワイヤ10の剛性の増加)をもたらし得る。いくつかの場合において、ハンドル22は、領域26に対して摺動可能部材24の軸方向位置を固定するように構成されたロックを含んでもよい。
【0032】
図5は、胆管系または胆道樹の概観を示す。十二指腸74の一部が示されている。ファータ(Vater)76の乳頭部(例えば、ファータの膨大部または単に乳頭部としても知られている)は、十二指腸74の示された部分に位置する。乳頭部76は、一般に、開口を形成し、この開口において、膵管78および総胆管80は、十二指腸74へと流れ込むことができる。参照符号82によって表される肝管は、肝臓84に対して接続され、胆管80へと流れ込む。同様に、胆嚢88に対して接続されている胆嚢管86も、胆管80へと流れ込む。一般に、内視鏡手術または胆道手術は、医療デバイスを胆道樹に沿った適切なロケーションへ前進させ、次いで、適当な介入を行うことを含み得る。
【0033】
いくつかの場合において、ガイドワイヤ10を膵道および/または胆道に沿った狭窄94を過ぎて案内することが望ましいことがある。これは、(逆行性交差手術または乳頭交差手術とは対照的な)順行性交差手術を含み得る。例えば、図6は、十二指腸74内へ延在する内視鏡90を描く。いくつかの場合において、カテーテルまたはイントロデューサ・シース40は、内視鏡90を通って(例えば、内視鏡90内に形成されたチャネルを通って)前進させられ得る。イントロデューサ・シース40は、内視鏡90のエレベータ92により、十二指腸74の壁の方へ向けられ得る。いくつかの場合において、ニードル/シャープ91は、イントロデューサ・シース40内に配設され得る。ニードル/シャープ91は、十二指腸74の壁を通って、組織を通って、狭窄94に隣接する(例えば、近位の)膵道および/または胆道に沿った位置へと穿孔するのに役立ち得る。この例において、狭窄94は、胆管80に沿って配設されている。
【0034】
狭窄94に交差するために、ガイドワイヤ10は、図7に概略的に描かれるように、(イントロデューサ・シース40、ガイド・カテーテル、および/または同様のものを通って)狭窄94の方へ案内され得る。組織を通ってガイドワイヤ10を案内する場合、剛性を変更する(例えば、増加させる)ことが望ましいことがある。これらの場合のうちのいくつかにおいて、および他の場合において、ガイドワイヤ10を膵道および/または胆道に沿って狭窄94の方へ案内する間に、剛性は、さらに変更されてもよい(例えば、剛性を低下させてもよい)。これらの場合のうちのいくつかにおいて、および他の場合において、図8に描かれるように、ガイドワイヤ10を狭窄を越えて案内する間に、剛性は、さらに変更されてもよい(例えば、剛性を増加させてもよい)。
【0035】
本明細書において開示されているデバイスの様々な構成要素に対して使用され得る材料は、医療デバイスに一般に関連付けられる材料を含み得る。簡単にする目的のために、以下の考察は、ガイドワイヤ10を参照する。しかしながら、これは、本明細書において開示される他の同様の管状部材および/もしくは管状部材の構成要素またはデバイスに対して当該考察が適用され得るので、本明細書において説明されるデバイスおよび方法に限定するようには意図されていない。
【0036】
ガイドワイヤ10は、金属、金属合金、ポリマー(このいくつかの例は、以下に開示される)、金属ポリマー複合体、セラミックス、これらの組み合わせ、および同様のもの、または他の適切な材料から作成され、またはさもなければ上記を含み得る。適切なポリマーのいくつかの例は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレン・テトラフロオルエチレン(ETFE)、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、ポリオキシメチレン(POM、例えば、DuPontから入手可能なDELRIN(登録商標))、ポリエーテル・ブロック・エステル、ポリウレタン(例えば、ポリウレタン85A)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエーテル-エステル(例えば、DSM Engineering Plasticsから入手可能なARNITEL(登録商標))、エーテルもしくはエステル系共重合体(例えば、ブチレン/ポリ(アルキレン・エーテル)フタレートおよび/もしくはDuPontから入手可能なHYTREL(登録商標)などの他のポリエステル・エラストマー)、ポリアミド(例えば、Bayerから入手可能なDURETHAN(登録商標)もしくはElf Atochemから入手可能なCRISTAMID(商標))、エラストマー・ポリアミド、ブロック・ポリアミド/エーテル、ポリエーテル・ブロック・アミド(PEBA、例えば、商品名PEBAX(登録商標)の下で入手可能)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、シリコーン、ポリエチレン(PE)、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線形低密度ポリエチレン(例えば、REXELL(商標))、ポリエステル、ポリブチレン・テレフタレート(PBT)、ポリエチレン・テレフタレート(PET)、ポリトリメチレン・テレフタレート、ポリエチレン・ナフタレート(PEN)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレン・スルフィド(PPS)、ポリフェニレン・オキシド(PPO)、ポリパラフェニレン・テレフタルアミド(例えば、KEVLAR(登録商標))、ポリスルホン、ナイロン、ナイロン-12(EMS American Grilonから入手可能なGRILAMID(登録商標)など)、パーフルオロ(プロピル・ビニル・エーテル)(PFA)、エチレン・ビニル・アルコール、ポリオレフィン、ポリスチレン、エポキシ、ポリ塩化ビニリデン(PVdC)、ポリ(スチレン-b-イソブチレン-b-スチレン)(例えば、SIBSおよび/もしくはSIBS 50A)、ポリカーボネート、アイオノマー、生体適合性ポリマー、他の適切な材料、または、これらの混合物、組み合わせ、共重合体、ポリマー/金属複合体、ならびに同様のものを含み得る。いくつかの実施形態において、シースには、液晶ポリマー(LCP)が配合されてもよい。例えば、混合物は、最大で約6パーセントのLCPを含有することができる。
【0037】
適切な金属および金属合金のいくつかの例は、304Vステンレス鋼、304Lステンレス鋼、および316LVステンレス鋼などのステンレス鋼、軟鋼、線形弾性および/もしくは超弾性ニチノールなどのニッケル-チタン合金、ニッケル-クロム-モリブデン合金(例えば、INCONEL(登録商標)625などのUNS:N06625、HASTELLOY(登録商標)C-22(登録商標)などのUNS:N06022、HASTELLOY(登録商標)C276(商標)などのUNS:N10276、他のHASTELLOY(登録商標)合金、および同様のもの)などの他のニッケル合金、ニッケル銅合金(例えば、MONEL(登録商標)400、NICKELVAC(商標)400、NICORROS(登録商標)400、および同様のものなどのUNS:N04400)、ニッケル-コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、MP35-N(商標)および同様のものなどのUNS:R30035)、ニッケル-モリブデン合金(例えば、HASTELLOY(登録商標)ALLOY B2(商標)などのUNS:N10665)、他のニッケル-クロム合金、他のニッケル-モリブデン合金、他のニッケル-コバルト合金、他のニッケル鉄合金、他のニッケル銅合金、他のニッケル-タングステンもしくはタングステン合金、および同様のもの、コバルト-クロム合金、コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、ELGILOY(登録商標)、PHYNOX(登録商標)、および同様のものなどのUNS:R30003)、プラチナ富化ステンレス鋼、チタン、これらの組み合わせ、ならびに同様のもの、または任意の他の適切な材料を含む。
【0038】
本開示は、多くの点において、例示に過ぎないことが理解されるべきである。詳細において、特に、形状、サイズ、工程の配置に関して、本開示の範囲を逸脱することなく、変更が行われ得る。これは、適当な範囲内で、1つの例示的な実施形態の特徴のうちのいずれかが他の実施形態において使用されることを含み得る。本発明の範囲は、当然ながら、添付の特許請求の範囲が表現されている文言において定義される。
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【国際調査報告】