IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ビーブイダブリュ ホールディング エージーの特許一覧

<>
  • 特表-マイクロ構造化された軟組織移植片 図1
  • 特表-マイクロ構造化された軟組織移植片 図2
  • 特表-マイクロ構造化された軟組織移植片 図3
  • 特表-マイクロ構造化された軟組織移植片 図4
  • 特表-マイクロ構造化された軟組織移植片 図5A
  • 特表-マイクロ構造化された軟組織移植片 図5B
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-30
(54)【発明の名称】マイクロ構造化された軟組織移植片
(51)【国際特許分類】
   A61L 27/44 20060101AFI20230823BHJP
   B32B 3/24 20060101ALI20230823BHJP
   B32B 3/28 20060101ALI20230823BHJP
   B32B 27/32 20060101ALI20230823BHJP
   B32B 5/02 20060101ALI20230823BHJP
   A61L 27/58 20060101ALI20230823BHJP
   A61L 27/56 20060101ALI20230823BHJP
   A61L 27/16 20060101ALI20230823BHJP
【FI】
A61L27/44
B32B3/24 A
B32B3/28 C
B32B27/32 Z
B32B5/02 A
A61L27/58
A61L27/56
A61L27/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023507611
(86)(22)【出願日】2021-08-03
(85)【翻訳文提出日】2023-03-31
(86)【国際出願番号】 US2021044331
(87)【国際公開番号】W WO2022031696
(87)【国際公開日】2022-02-10
(31)【優先権主張番号】63/061,166
(32)【優先日】2020-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513326370
【氏名又は名称】ビーブイダブリュ ホールディング エージー
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブルーシェール,ルーカス
(72)【発明者】
【氏名】ミルボッカー,マイケル
【テーマコード(参考)】
4C081
4F100
【Fターム(参考)】
4C081AB11
4C081CA02
4C081DA02
4C081DB03
4C081DC01
4F100AK07A
4F100AK41B
4F100BA03
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10B
4F100DC16A
4F100DD07B
4F100DD12B
4F100DG03C
4F100GB66
4F100JA07
4F100JC00B
(57)【要約】
本開示は、マイクロパターン化されたファブリック、メッシュ、テキスタイル、および埋め込み可能なデバイス(300)を含み、デバイスは、メッシュ(302)を含む1つの基材、マイクロ構造化された表面(304)を有する第2の基材、およびその間に配された繊維層(308)を有することを含んでもよい。繊維層は、複数の無作為に配向した繊維を含む。マイクロ構造化された表面を有するデバイスは、複数の第1レベルマイクロフィーチャーおよび複数の第2レベルマイクロフィーチャーを含んでもよく、複数の第2レベルマイクロフィーチャーは、第1レベルマイクロフィーチャーに階層的に配されている。そのようなマイクロパターン化されたファブリック、メッシュ、テキスタイル、および埋め込み可能なデバイスを製造する方法もまた開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軟組織を修復するための埋め込み可能なデバイスであって、
メッシュを含む第1の基材;
マイクロ構造化された表面を有する第2の基材;および
前記第1の基材と前記第2の基材との間に配された、複数の無作為に配向した繊維を含む繊維層、を含む、
埋め込み可能なデバイス。
【請求項2】
前記マイクロ構造化された表面が、複数の第1レベルマイクロフィーチャーおよび複数の第2レベルマイクロフィーチャーを含み、前記複数の第2レベルマイクロフィーチャーの少なくとも一部分が、前記第1レベルマイクロフィーチャーの少なくとも一部分上に階層的に配されている、請求項1に記載の埋め込み可能なデバイス。
【請求項3】
前記複数の第1レベルマイクロフィーチャーが、10~1000ミクロンの高さ、10~1000ミクロンの直径、および25~10,000ミクロンの隣接するマイクロフィーチャーの中心間ピッチを有する、請求項2に記載の埋め込み可能なデバイス。
【請求項4】
前記複数の第2レベルマイクロフィーチャーが、5~200ミクロンの高さ、5~200ミクロンの直径、および10~1000ミクロンの隣接するマイクロフィーチャーの中心間ピッチを有する、請求項2に記載の埋め込み可能なデバイス。
【請求項5】
前記複数の第1レベルマイクロフィーチャーが正弦波形を含む、請求項3に記載の埋め込み可能なデバイス。
【請求項6】
前記マイクロ構造化された表面が、複数の第3レベルマイクロフィーチャーをさらに含み、前記複数の第3レベルマイクロフィーチャーの少なくとも一部分が、前記第2レベルマイクロフィーチャーの少なくとも一部分上に階層的に配されている、請求項2に記載の埋め込み可能なデバイス。
【請求項7】
前記複数の第3レベルマイクロフィーチャーが、1~5ミクロンの高さ、5~200ミクロンの直径、および10~1000ミクロンの中心間ピッチを含む、請求項6に記載の埋め込み可能なデバイス。
【請求項8】
前記第2の基材が生体吸収性であり、および前記第1の基材が非吸収性である、請求項1に記載の埋め込み可能なデバイス。
【請求項9】
前記第1の基材の前記メッシュがポリプロピレンを含む、請求項8に記載の埋め込み可能なデバイス。
【請求項10】
第1の結合材料が前記繊維層と前記第1の基材との間に配されており、第2の結合材料が前記繊維層と前記第2の基材との間に配されており、前記第1および第2の結合材料が、前記繊維層を介して前記第1の基材および前記第2の基材が一緒になるように結合している、請求項1に記載の埋め込み可能なデバイス。
【請求項11】
軟組織を修復するための埋め込み可能なデバイスであって、
複数の繊維を含む繊維層を含み、前記繊維層が、第1の側部および対向する第2の側部を含み、前記第1の側部が、前記第1の側部上にコーティングされたポリマーを有し、前記第1のポリマーが10~60ミクロンで前記繊維層に透過しており、および前記第1のポリマーが、埋め込み可能なデバイスを標的表面に固定するためのWenzel-Cas
sie粘着力を生成する能力を有するマイクロ構造パターンをさらに含む、
埋め込み可能なデバイス。
【請求項12】
結合材料が、前記繊維層の前記対向する第2の側部の辺りに配されており、前記結合材料が、メッシュ基材と接触しており、および前記メッシュ基材を前記繊維層に接着している、請求項11に記載の埋め込み可能なデバイス。
【請求項13】
前記結合材料が10~60ミクロンで前記繊維層に透過している、請求項12に記載の埋め込み可能なデバイス。
【請求項14】
前記第1のポリマーおよび前記結合材料が前記繊維層内で互いに接触していない、請求項13に記載の埋め込み可能なデバイス。
【請求項15】
前記マイクロ構造パターンが、複数の第1レベルマイクロフィーチャーおよび複数の第2レベルマイクロフィーチャーを含み、前記複数の第2レベルマイクロフィーチャーの少なくとも一部分が、前記第1レベルマイクロフィーチャーの少なくとも一部分上に階層的に配されている、請求項11に記載の埋め込み可能なデバイス。
【請求項16】
前記複数の第1レベルマイクロフィーチャーが、10~1000ミクロンの高さ、10~1000ミクロンの直径、および25~10,000ミクロンの隣接するマイクロフィーチャーの中心間ピッチを有する、請求項15に記載の埋め込み可能なデバイス。
【請求項17】
前記複数の第2レベルマイクロフィーチャーが、5~200ミクロンの高さ、5~200ミクロンの直径、および10~1000ミクロンの隣接するマイクロフィーチャーの中心間ピッチを有する、請求項15に記載の埋め込み可能なデバイス。
【請求項18】
前記繊維層が、エレクトロスピニングにより堆積された複数の無作為に配向したより短い繊維を含む、請求項11に記載の埋め込み可能なデバイス。
【請求項19】
前記繊維層が、複数の無作為に配向したより短い繊維および複数のより長い繊維を含み、前記より長い繊維が、前記複数のより短い繊維の少なくとも2.0倍の長さであり、ならびに前記より長い繊維が、前記繊維層の全体的な密度の少なくとも50%以上を構成する、請求項11に記載の埋め込み可能なデバイス。
【請求項20】
前記ポリマーが生体吸収性であり、および前記メッシュ基材が非吸収性である、請求項12に記載の埋め込み可能なデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概しては、マイクロパターン化されたファブリック、メッシュ、およびテキスタイルなどに関する。より特には、本開示は、マイクロパターンが配された基材のデバイスであって、基材が標的表面に対する粘着力を生成する能力を有する、デバイス、および該デバイスを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
軟組織欠陥を修復するための埋め込み可能なデバイスは一般に移動の問題を抱えている。結果的に、そのようなデバイス、例えばプロテーゼは、一般に、標的位置からのデバイスの運動を制限するために欠陥周囲の組織に縫合または仮縫いされる。縫合糸またはステープルの機械的手段は標的位置からのデバイスの運動の制限において効率的であるが、健常組織へのプロテーゼの取り付けは、組織への外傷を結果としてもたらす。この外傷からの効果のカスケードは術後癒着に繋がることがあり、これは患者にさらなる合併症および疼痛を引き起こし得る。プロテーゼを配置および取り付けるために要求される時間は、手技を完了するために要求される時間を大幅に増加させる。そのようなプロテーゼは一般に粘着特性を有さず、結果的にプロテーゼは、プロテーゼの初期配置と組織へのプロテーゼの固定との間の時間間隔中に動く可能性がある。いっそうさらなるマイナス面として、これらのプロテーゼの粘着特性の欠如は、最小の侵襲性の手技、例えば腹腔鏡下の手技を通じたそれらの埋め込みを特に困難として、それらをそのような手技のためにほぼ使用不可能なものとする。
【0003】
必要とされるのは、そのため、粘着特性を有し、外傷を引き起こす縫合糸または他の機械的手段に対する必要性なしに固定可能であり、および手術後の合併症、例えば癒着または他の外傷関連の問題の予防を提供する軟組織修復デバイスである。
【発明の概要】
【0004】
本明細書に開示されるある特定の実施形態において、粘着成分が軟組織修復ファブリックに加えられてもよい。一部の実施形態において、軟組織修復ファブリックは外科用メッシュであってもよい。粘着成分は、メッシュの面から突出する繊維を有するメッシュに適用された織り合わせられた吸収性マトリックスを含んでもよい。該加えられた繊維は、埋め込み可能なファブリックの質量および剛性を大幅に増加させてもよい。一部の実施形態において、埋め込み可能な外科用メッシュは、一般に、メッシュ強度を提供するために繊維に依存してもよい。ある特定の実施形態において、繊維はまた、複合構造と比較して別個の臨床的な利点を提供する粘着性マイクロ構造で装飾されていてもよい。複合軟組織修復ファブリックは、第1の補強成分および第2のすべり防止成分を含む。例えば、複合軟組織修復ファブリックの1つは、標準的なポリプロピレンメッシュに結合した粘着性マイクロ構造のシートであってもよい。シート成分は多くの場合にかなり剛性であり、織られたメッシュの柔軟な態様を無効にして、組織修復ファブリックをより堅いおよびより低い柔軟性のものとする。
【0005】
結果的に、適合した、強い、および最小量の材料重量を含む軟組織修復ファブリックに対する必要性が存在する。
【0006】
標的組織表面に自己接着し、および埋め込み可能なファブリックと標的組織表面との間の間隙の生成を回避するために十分に柔軟である軟組織修復ファブリックに対する必要性も存在する。本開示の自己接着性の態様は、毛細管現象を通じて記載され得るか、または埋め込み可能なファブリックと標的組織表面との間のWenzel-Cassie境界面
の確立を通じて為され得る。
【0007】
インプラントを固定化する即時のWenzel-Cassie接着を生成する能力を有するマイクロ表面テクスチャーを有するインプラントに対する必要性が存在する。一部の実施形態において、この同じマイクロ表面テクスチャーは、周囲組織とのインプラントの健常な一体化をさらに促進してもよい。Wenzel-Cassie接着は、インプラント表面と組織表面との間の境界面における相領域の形成により起こってもよい。このタイプの接着は、組織とインプラントとの間に境界面層を形成してもよい。予想外なことに、本出願人は、接着のWenzel-Cassieゾーンの形成は摩擦境界面よりも強いことを発見した。
【0008】
一部の実施形態において、本明細書に開示されている階層構造は、マルチスケール形態ならびに大きいおよび接近可能な表面区画を有するアセンブリーを含んでもよい。ナノマテリアル科学における最近の進歩により、特有の特性を有する階層的なマイクロ構造化された表面の設計がますます可能になった。この研究のほとんどは、水性分散体からの単純な、急速な、再現性のある、および安価な濾過処理により実現される階層的な単層カーボンナノチューブフィルムに集中してきた。カーボンナノチューブランダムネットワークの厚さを変更することにより、多孔性フィルム中の毛細管現象に起因してそれらの濡れ性を適合させることが可能である。
【0009】
一部の実施形態において、階層的なマイクロ構造化された表面は、より低い表面エネルギーの領域と並置された高い表面エネルギーの領域を含む表面マイクロ構造であってもよい。これらの高いおよび低い表面エネルギーの領域は、積み重ねられている必要はなく、むしろ互いに並置されている必要がある。典型的には、マイクロ構造が3次元空間にわたり、積み重ねられている場合に、より強いWenzel-Cassie局在化力が達成される。
【0010】
高い表面エネルギーのマイクロ構造は濡れ性であると考えられ、水濡れ性の場合、高い表面エネルギーのマイクロ構造は親水性であるといわれる。低いエネルギーのマイクロ構造は非濡れ性であると考えられ、水濡れ性の場合、低い表面エネルギーのマイクロ構造は疎水性であるといわれる。並置された濡れ性ゾーンと非濡れ性ゾーンとの組み合わせは、Wenzel-Cassie境界面として知られるものを生成する。
【0011】
Wenzel-Cassie境界面は、局在化力を生成するために外向きの半径方向力を要求しないことが理解されるであろう。標的表面(traget surface)に対して相対的に埋め込み可能な表面を並進させるために、エネルギーを加えてWenzel-Cassie境界面の低いエネルギー状態を妨害することが要求される。一部の実施形態において、階層的なマイクロ構造化された表面は、標的表面との小さい接触面積を有し、一部の実施形態において、接触を全く有しない。
【0012】
本開示のある特定の実施形態は、周期性を有するマイクロ構造化された表面を含んでもよい。この周期性は、第2次Wenzel-Cassie境界面を生成してもよく、該境界面はここでWenzel-Cassie境界面として考えられる。第2次Wenzel-Cassie境界面は、標的表面および/またはマイクロ構造化された表面の何らかのタイプの機械的な変形であって、マイクロ構造化された表面と標的表面との間のインターロック状態を生成し、変形がほぼ非摩擦力により引き起こされるものとして特徴付けられる。
【0013】
例えば、一部の実施形態において、標的表面は、機械的な損傷が標的表面に対して起こることなく標的表面のしわを引き起こす変形の固有しわモード(eigenwrinkl
e mode(s))を有してもよい。これらのしわは、マイクロ構造化された表面の1つ以上の周期性に対してマッチさせることができ、その結果、標的表面およびマイクロ構造表面が最小の機械的な接触と共にインターロックするようにしてもよい。代替的に、マイクロ構造化された表面はまた、同じ第2次Wenzel-Cassie効果を達成できる固有しわモードを有してもよい。本質的に、せん断力は、インプラントの変位なしに埋め込み可能な表面または組織表面のいずれかのしわに変換されてもよい。
【0014】
一部の実施形態において、関連するが異なる第2次Wenzel-Cassie効果は、Schallamach波と関連付けられてもよい。これらの波は、マイクロ構造表面または標的表面のいずれかにおいて生成され、その一部が固有モード(eigenmodes)でなくてもよい複数のしわ成分を含む。マイクロ構造化された表面の周期性は、Schallamach波の一部の成分を「捕獲」(catch)してもよく、他の成分は「通過」(pass by)させる。このタイプの第2次Wenzel-Cassie境界面は、本明細書において「スリップ-グリップ」(slip-grip)境界面として参照される。
【0015】
他の第2次および第3次Wenzel-Cassie境界面もまた用いることができ、この場合、Wenzel-Cassie境界面およびマイクロ構造化された表面の周期性は、協同的に働いて、動的に変化する標的表面上に置かれるインプラントを局在化させる。マイクロ構造の空間的周期性は、マイクロ構造表面の他の機械的特性、例えば、マイクロ構造化された表面を含む材料のヤング率と協同的に連結されてもよい。追加的に、マイクロ構造化された表面の幾何形状およびそれがインプラントに取り付けられる方法は、これらの第2次Wenzel-Cassie効果を増強または減少させることができる。
【0016】
本発明の軟組織修復デバイスは、先行技術において現行で開示されている任意のインプラント/プロテーゼとは異なる機械的特性により特徴付けられてもよい。疎水性および親水性領域を用いるマイクロ構造化された表面は、標的接触表面/内腔が濡れた場合、油が適用された場合、界面活性剤が適用された場合、または滑沢剤が適用された場合に増加する変位力を呈するデバイスをもたらし得る。一般にグリップを減少させる条件下での増強されたグリップのこの物理的特徴は、一般に機械的摩擦表面テクスチャーが存在する先行技術において見出されるインプラント/プロテーゼとは反対の結果である。先行技術のインプラント/プロテーゼに伴う問題は、一般にインビボ環境は、デバイスの表面を潤滑させ、移動に対する摩擦抵抗を予防する傾向があるということである。
【0017】
先行技術の摩擦処理、例えば逆とげ(barbs)、上がった支柱(raised struts)、表面シリンダー、および錐体などを含めることが有効であるために、大きい半径方向力を供給して、組織と表面摩擦幾何形状との間の相互貫入を有効なものとしなければならない。反対に、本開示の実施形態において、濡れた場合にマイクロ構造により生成されるWenzel-Cassieゾーンは、広くファンデルワールス力と呼ばれる様々な非接触効果を通じて移動を予防し得る。これらの局在化力は、概しては、機械的および古典的なものよりもむしろ電子機械的および量子力学的なものとして特徴付けられ得る。
【0018】
一部の実施形態において、Wenzel-Cassie効果は、標的表面とインプラントデバイスとの間の「吸い込み」(suck down)効果を生成してもよい。そのため、外向きの半径方向力が組織に適用されるのではなく、内向き(吸い込み)の半径方向力が適用されてもよい。
【0019】
これらの新規の効果は本開示の様々な実施形態の一部の態様を詳述するが、特に同じデバイスの別々の部分において一方が他方よりも好ましい応用において、Wenzel-C
assie効果と機械的摩擦効果との組み合わせを除外するべきではない。
【0020】
一部の追加の実施形態において、粘着性および潤滑性マイクロ表面テクスチャーが組み合わせにおいて使用されてもよい。流体菲薄化および流体濃密化は、マイクロ構造化された表面の空間的に分布した表面エネルギーパターンが界面流体中の電気双極子に対して有する効果により引き起こされる、水分子のそれぞれ無秩序化または秩序化に起因する一般的な効果である。特に、高い表面エネルギーの領域は、低い表面エネルギーの領域と並置されてもよく、それにより、組織ダイナミクスがインプラントデバイスを、それを変位させることなく通過することを引き起こし得る。これらの、および他の効果は以下において詳細に記載される。
【0021】
組織とプロテーゼの接触を破損することなく周術期に再配置され得る軟組織修復ファブリックに対する必要性も存在する。
【0022】
移動に対する改善された抵抗性を有する軟組織修復ファブリックに対する必要性も存在する。特に、術後のデバイス移動を予防するためにファブリックと標的表面との間の縫合、仮縫い、または他の機械的な機構を要求しない軟組織修復ファブリックに対する必要性も存在する。
【0023】
最小の面密度(単位面積当たりの質量)および最大の引張強度を有する軟組織修復ファブリックに対する必要性も存在する。
【0024】
追加的に、ファブリックにおいてパターン化された効果をテクスチャー化または生成する様々な方法は一般に公知である。テクスチャー化方法は、化学的方法、例えば、化学エッチング、局在化された収縮技術、および物理的方法、例えば、機械的切断、圧縮、またはファブリックの面積のコンパクト化を包含する。
【0025】
一部の実施形態において、軟組織修復ファブリックは、メッシュ、界面ウェブ構造、およびエンボス加工されたマイクロ構造を含んでもよい。マイクロ構造は、界面ウェブ上のプレポリマー層上でエンボス加工され得るか、または加熱により界面ウェブ上で直接的にエンボス加工され得る。
【0026】
第3の実施形態において、標準的なポリマーメッシュは、変形可能な状態まで内部加熱されてもよく、マイクロ構造は次にエンボス加工される。ポリマーメッシュ材料は均一におよび非破壊的に加熱され、その結果、マイクロ構造が、メッシュを構成する繊維上でエンボス加工された後に、メッシュの元々の引張強度は保持される。
【0027】
本開示の手段により、高度に粘着性のおよび階層的なパターン化された効果が、相対的に低い処理コストにおいて医療用プロテーゼにおいて得られる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、本開示の一実施形態を生成する方法の実例である。
図2図2は、本開示の一実施形態を生成する方法のフローチャートである。
図3図3は、マイクロ構造化された軟組織デバイスの1つの実施形態の実例である。
図4図4は、軟組織デバイス上にマイクロ構造を加熱およびエンボス加工する加熱方法の実例である。
図5A図5Aは、マイクロ構造化された軟組織デバイスの1つの実施形態の実例である。
図5B図5Bは、マイクロ構造化された軟組織デバイスの1つの実施形態の実例であり;図5Bは、溝付きマイクロ構造の詳細な実例である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図2を参照すると、マイクロパターンが配された基材を製造する方法が開示される。一部の実施形態において、方法は、基材を提供することを含んでもよい。基材は、コーティングされるために好適な材料を含んでもよい。ある特定の実施形態において、基材は、ファブリック、プラスチック、およびポリマーなどのタイプの材料であってもよい。ある特定の実施形態において、材料は、生体適合性、生体吸収性、生体安定性、または非吸収性などであってもよく、これらの組み合わせであってもよい。一部の実施形態において、基材は、生体吸収性である少なくとも1つの部分および非吸収性である第2の部分を含んでもよい。他の実施形態において、基材は、生体適合性であってもよく、生体吸収性である1つの部分および非吸収性である第2の部分を含んでもよい。ある特定の実施形態において、基材は、組み合わせられた1つより多くの材料を含んでもよく、各々の成分は、ファブリック、プラスチック、またはポリマーなどであってもよく、生体適合性、生体吸収性、生体安定性、または非吸収性などであってもよく、これらの組み合わせであってもよい。
【0030】
一部の実施形態において、ポリマー粘着剤または結合剤のコーティングが基材に塗布されてもよい。コーティングされた基材は次にエンボス加工を受けてもよい。ある特定の実施形態において、型(mold)またはエンボス加工表面が、物理的エンボス加工構造、例えば円筒形ローラーまたはスタンピングプレスを介して、コーティングされた基材に適用されてもよい。一部の実施形態において、エンボス加工を有するコーティングされた基材は硬化されてもよい。
【0031】
一部の実施形態において、コーティングは、エンボス加工工程を受けるときに液体状態であってもよい。ある特定の実施形態において、コーティングは、エンボス加工工程を受けるときに半液体/半固体状態であってもよい。エンボス加工を受けるときにコーティングが液体状態であるある特定の実施形態において、コーティングは、エンボス加工用の回転式円筒形型を通じて移送されてもよい。ある特定の実施形態において、エンボス加工処理用の型は、その下にある基材の運動と同時に回転することができる円筒形スクリーンにおいて具現化されてもよい。
【0032】
図1を参照すると、マイクロパターンが配された基材を製造する方法は、基材材料のローラー102を含んでもよい。一部の実施形態において、ローラー102は、それが巻き戻される際に基材材料の連続的な供給源を提供してもよい。基材材料は第2の区画に移されてもよく、そこでコーティングが塗布されてもよい。一部の実施形態において、コーティングはポリマー粘着剤または結合剤であってもよい。ある特定の実施形態において、コーティングは、浸漬ステーション104を介して塗布されてもよい。他の実施形態において、コーティングは、噴霧塗布されるか、または静電気放電を介して塗布されてもよい。一部の実施形態において、コーティング後に、コーティングされた基材は円筒形エンボス加工ローラー106を通過してもよい。ある特定の実施形態において、円筒形エンボス加工ローラー106は、コーティングに転写され得るマイクロ構造化されたパターンを有する型を含んでもよい。一部の実施形態において、型は押し込み型(ポジティブモールド)であってもよい。一部の実施形態において、型はネガティブモールドであってもよい。一部の実施形態において、型は、ポジティブおよびネガティブの両方の型の部分を含んでもよい。ある特定の実施形態において、エンボス加工処理は、円筒形エンボス加工ローラー106と接触したコーティングされた基材に圧力を適用するための接触圧力シリンダー108を含んでもよい。一部の実施形態において、接触圧力シリンダー108ではなくガス圧力が適用されてもよい。
【0033】
ガス圧力を利用する実施形態において、ガスは、型の表面上に方向付けられて、型をコ
ーティングされた基材に対してプレスしてもよいか、またはガスは、コーティングされた基材に対して方向付けられて、コーティングされた基材を型に対してプレスしてもよい。
【0034】
コーティングが、マイクロ構造化されたパターンと共にエンボス加工された後に、マイクロ構造化された基材は硬化処理110を通過させられてもよい。硬化処理は、コーティングが固化または硬化される当技術分野において公知の従来のタイプの1つであってもよい。一部の実施形態において、マイクロ構造化された基材は次に、貯蔵またはさらなる処理のために収集されてもよい。一部の実施形態において、マイクロ構造化された基材は、材料のロール112に巻かれてもよい。
【0035】
本明細書に開示されているある特定の実施形態において、基材上に配されたコーティングは、一般に、水系および/または溶媒系コーティングとして分類されてもよい。一部の実施形態において、水系コーティングは、以下:結合剤、エマルションポリマー、および/もしくは粘度上昇剤、またはこれらの任意の組み合わせのうちの1つ以上からなるものであってもよい。ある特定の実施形態において、水系コーティングは、結合剤、エマルションポリマーおよび粘度上昇剤のすべてを含んでもよい。他の実施形態において、それらはまた、以下:可塑剤、熱硬化性樹脂、硬化触媒、安定化剤および/または他の添加剤のうちの1つ以上を含有してもよい。
【0036】
エマルションポリマーは、以下:アクリル、ビニル-アクリル、ビニル、ウレタンおよび/またはスチレンブタジエンラテックス、ならびにこれらの組み合わせから選択されてもよい。コーティングが硬化される実施形態において、エンボス加工の直後にコーティングの粘度を約30,000~100,000MPa-s(ミリパスカル-秒)まで増加させ、それにより、マイクロ構造がエンボス加工と硬化との間に所望される幾何形状を維持するようにすることが一般に必要であり得る。ある特定の実施形態において、粘度は、少なくとも部分的に、基材の性質により、および/またはマイクロ構造をコーティング層と接触させる方法により支配されてもよい。
【0037】
粘度を増加させるための好適な増稠剤は、水溶性ポリマー、例えば、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリオキシメチレン、および天然ゴムの他に、アルカリ膨潤性ポリマー、例えば、高度カルボキシル化アクリルエマルションポリマーおよびポロキサマープレポリマーを包含し得る。
【0038】
一部の実施形態において、完成された物品の感触を変更するためまたはコーティングの流動およびレベリング特徴を改善するために可塑剤が加えられてもよい。1つの目標がレベリング特徴を改善することである場合、一時的な可塑剤、例えばフタル酸エステルが用いられてもよい。1つの目標が、完成されたデバイスまたは完成されたデバイスの少なくとも一部分の触感を変更することである場合、より永久的な可塑剤、例えば低分子量ポリエステルが使用されてもよい。
【0039】
一部の実施形態において、完成されたデバイスの耐久性または耐摩耗性を改善するために、熱硬化性樹脂、例えばメチロール-メラミン、尿素ホルムアルデヒド縮合物、またはフェノール-ホルムアルデヒド縮合物が組み込まれてもよい。
【0040】
触媒を含むある特定の実施形態において、シュウ酸またはリン酸ジアンモニウムが使用されてもよい。一部の実施形態において、触媒の使用は、粘着剤の硬化の速度を増加させてもよい。より特殊化された添加剤が使用されてもよく、これは、裏打ち、例えばウレタンフォーム、が光分解に供される紫外線吸収剤および粘着剤層に色を付与するための色素または顔料を含んでもよい。通気性フィルムが所望される場合、コーティングは、化学的にまたは機械的に発泡させられてもよい。溶媒コーティングは、両方の完全に反応した可
溶性ポリマー、例えば、アクリルホモおよびコポリマー、ポリエステル、ポリアミド、またはポリウレタンを含んでもよい。
【0041】
溶媒コーティングはまた、両方の完全に反応した可溶性ポリマー、例えば、アクリルホモおよびコポリマー、ポリエステル、ポリアミド、またはポリウレタンならびに2部分系、例えば、ジイソシアネートまたはイソシアネートプレポリマーを伴うポリエステルポリオールおよびポリアミンを伴うエポキシを含んでもよい。
【0042】
ポリマーまたはプレポリマーは、好ましくは低煮沸性の、好適な溶媒に溶解させてもよく、次に、水系粘着剤のために使用されるものに類似した方式で適正な粘度まで増稠されてもよい。溶媒系コーティングの一部の実施形態において、触媒、架橋剤、安定化剤、顔料、または色素もまた組み込まれてもよい。
【0043】
本明細書に開示されるある特定の実施形態は、基材上、または基材のコーティング上にパターンをエンボス加工するための円筒形型を組み込んでもよい。以前に開示したように、一部の実施形態は、円筒形エンボス加工ローラーと接触したコーティングされた基材に圧力を適用するための接触圧力シリンダーを組み込んでもよく、一部の実施形態は、接触圧力シリンダーではなくガス圧力を組み込んでもよい。ガス圧力を使用する実施形態において、許容される成果を提供するガス圧力の範囲であってもよい。一部の実施形態において、ガス圧力は、約30プサイ~約100プサイの範囲内であってもよい。ある特定の実施形態において、ガス圧力は、約60プサイ~100プサイの範囲内であってもよい。
【0044】
円筒形型の一実施形態は、コンベアベルトまたは類似した輸送システム上に存在して運ばれている基材またはコーティングされた基材を含んでもよい。一部の実施形態において、コンベアベルトは、ベルト上の基材の配置を維持する他に、ベルトに対して実質的に平らな位置に基材を維持する目的のためにそこから上に向けて突出した配置保持器(positioning holders)を含んでもよい。典型的には、コンベアベルトは、平らになった形態において基材を維持するように適合された、テンターフレームまたは従来のタイプのコンベアベルトもしくは毛布、真空ベルトなどであってもよい。コンベアは基材よりも広くてもよく、その結果、基材のいずれかの側部において基材の外縁部とベルトの外縁部との間に境界領域が存在してもよい。一部の実施形態において、円筒形型は、コンベアシステムと同じ速度、またはおおよそ同じ速度で回転する回転式型であってもよい。一部の実施形態において、コンベアシステムおよび回転式型は、ベルトの境界領域上に存在するホイールを含んでもよい。ホイールは、任意のタイプの好適な材料、例えばプラスチック、金属、ゴムなどのものであってもよい。円筒形型は、ホイールを通って突出し、型の回転可能な支持のために適合された支持ブラケット上に位置する拡張部を含んでもよい。
【0045】
そのため、支持ブラケットのおかげで、円筒形型の重量の大部分は、ブラケットにより支持されてもよい。次いで、ホイールは軽く境界部分上に位置してもよく、その結果、コンベアの運動は円筒形型の回転を基材と同じ方向において引き起こすと共に、円筒形型の軸はコンベア運動の方向に対して実質的に垂直な位置において維持される。他の実施形態において、円筒形型は、円筒形型を回転させる一体的な、または外的な、回転デバイスを含む支持ブラケットを含んでもよい。円筒形型の回転は、コンベアベルトシステムの速度と合致してもよい。
【0046】
本明細書に開示されるある特定の実施形態は、軟組織欠陥を修復するための埋め込み可能なデバイスを含んでもよい。1つの実施形態において、デバイスは、マイクロ構造を含むラミネート層を有する外科用メッシュを含んでもよい。ある特定の実施形態において、ラミネート様構造は、2つの強い、耐摩耗性表面領域の間に配されていてもよい相対的に
低い繊維濃度の柔らかい、吸収性中心コアを有する領域を含んでもよい。
【0047】
ここで図3を参照すると、埋め込み可能なデバイス300は、メッシュ構造302およびマイクロ構造化された表面304を有する基材を含んでもよい。一部の実施形態において、マイクロ構造化された表面は、毛細管現象を生成する能力を有する領域306を含んでもよい。ある特定の実施形態において、毛細管現象領域306は、マイクロ構造化された表面304とメッシュ表面302との間に存在する繊維層308と連通していてもよい。ある特定の事例において、毛細管現象は、水分を引き出して繊維層308の繊維中に入れてもよい。中心コア領域310内の相対的に低い繊維濃度は、繊維層により吸収可能な水分の量を増加させるための空間を提供する。
【0048】
一部の実施形態において、中心コア領域310内に、結合材料または粘着剤の使用なしに2つの表面領域を一般に接続する繊維312のネットワークがある。一部の実施形態において、結合材料または粘着剤の使用が使用され得るが、中心コア領域310の全体を通じて配されていなくてもよい。ある特定の実施形態において、少なくとも1つの表面領域中の結合材料は、微細な、間隙を介したパターンにおいて配され、その表面領域中の結合した部分は、それらを軟化させるために微細にモデル化される。他の実施形態において、結合材料または粘着剤は、中心コア領域の全体を通じて使用されてもよい。一般に、結合材料または粘着剤は、埋め込み可能なデバイス内の2つの表面領域を接続するために使用されてもよい。
【0049】
本明細書に開示されているある特定の実施形態において、繊維層308の形成は、様々なやり方で達成されてもよい。一部の実施形態において、無作為に配向した短い繊維314、316の繊維層308を形成することが好ましいことがある。ある特定の実施形態において、繊維層308は、繊維層に透過してもよい第1の結合材料または粘着剤が塗布される第1の側部318を含んでもよい。一部の実施形態において、透過は、繊維層の厚さを通じて約10~約60ミクロン、または約10ミクロン~約50ミクロン、約10ミクロン~約40ミクロン、約10ミクロン~約30ミクロン、約10ミクロン~約20ミクロン、または約10ミクロン~約15ミクロンで起こってもよい。他の実施形態において、第1の結合材料の透過は、約20ミクロン~約50ミクロン、約30ミクロン~約40ミクロン、または約35ミクロンまでで起こってもよい。さらに他の実施形態において、透過は、約20ミクロン~約60ミクロン、約30ミクロン~約60ミクロン、約40ミクロン~約60ミクロン、または約50ミクロン~約60ミクロンで起こってもよい。
【0050】
一部の実施形態において、繊維層308は、繊維層の厚さを通じて約10~約60ミクロンまたは約10ミクロン~約50ミクロン、約10ミクロン~約40ミクロン、約10ミクロン~約30ミクロン、約10ミクロン~約20ミクロン、または約10ミクロン~約15ミクロンで透過する第2の結合材料が微細な、間隙を介したパターンにおいて塗布される第2の側部320を含んでもよい。他の実施形態において、第1の結合材料の透過は、約20ミクロン~約50ミクロン、約30ミクロン~約40ミクロン、または約35ミクロンまでで起こってもよい。さらに他の実施形態において、透過は、約20ミクロン~約60ミクロン、約30ミクロン~約60ミクロン、約40ミクロン~約60ミクロン、または約50ミクロン~約60ミクロンで起こってもよい。一部の実施形態において、第1の結合材料および第2の結合材料は、繊維層の厚さにおいて互いに接触していない。一部の実施形態において、第1の結合材料および第2の結合材料は、互いと実質的に接触または接続しておらず、実質的に接触または接続していないことは、10%もしくはそれ未満、15%もしくはそれ未満、20%もしくはそれ未満、25%もしくはそれ未満、30%もしくはそれ未満、35%もしくはそれ未満、40%もしくはそれ未満、45%もしくはそれ未満、または50%もしくはそれ未満の接触面積を含む。
【0051】
一部の実施形態において、埋め込み可能なデバイスは、結合材料を微細な、間隙を介したパターンにおいて繊維層の1つの側部に塗布し、結合材料が繊維の第1の側部をマイクロ構造化された表面に接着すること、および次にそれらの工程を繊維層の第2の側部に対して繰り返して、第2の側部を外科用メッシュに結合させることを含んでもよい。
【0052】
外科用メッシュが使用される一部の実施形態において、埋め込み可能なデバイスは、繊維層を形成させることを含んでもよく、繊維層は、無作為に配向した短い繊維314、316を含んでもよい。ある特定の実施形態において、繊維層308は、繊維層に透過してもよい第1の結合材料または粘着剤が塗布される第1の側部318を含んでもよい。一部の実施形態において、透過は、繊維層の厚さを通じて約10~約60ミクロン、または約10ミクロン~約50ミクロン、約10ミクロン~約40ミクロン、約10ミクロン~約30ミクロン、約10ミクロン~約20ミクロン、または約10ミクロン~約15ミクロンで起こってもよい。他の実施形態において、第1の結合材料の透過は、約20ミクロン~約50ミクロン、約30ミクロン~約40ミクロン、または約35ミクロンまでで起こってもよい。さらに他の実施形態において、透過は、約20ミクロン~約60ミクロン、約30ミクロン~約60ミクロン、約40ミクロン~約60ミクロン、または約50ミクロン~約60ミクロンで起こってもよい。
【0053】
一部の実施形態において、繊維層308は、繊維層の厚さを通じて約10~約60ミクロンまたは約10ミクロン~約50ミクロン、約10ミクロン~約40ミクロン、約10ミクロン~約30ミクロン、約10ミクロン~約20ミクロン、または約10ミクロン~約15ミクロンで透過する第2の結合材料が微細な、間隙を介したパターンにおいて塗布される第2の側部320を含んでもよい。他の実施形態において、第1の結合材料の透過は、約20ミクロン~約50ミクロン、約30ミクロン~約40ミクロン、または約35ミクロンまでで起こってもよい。さらに他の実施形態において、透過は、約20ミクロン~約60ミクロン、約30ミクロン~約60ミクロン、約40ミクロン~約60ミクロン、または約50ミクロン~約60ミクロンで起こってもよい。一部の実施形態において、第1の結合材料および第2の結合材料は、繊維層の厚さにおいて互いに接触していない。一部の実施形態において、第1の結合材料および第2の結合材料は、互いと実質的に接触または接続しておらず、実質的に接触または接続していないことは、10%もしくはそれ未満、15%もしくはそれ未満、20%もしくはそれ未満、25%もしくはそれ未満、30%もしくはそれ未満、35%もしくはそれ未満、40%もしくはそれ未満、45%もしくはそれ未満、または50%もしくはそれ未満の接触を含む。一部の実施形態において、第2の側部320は次に、第2の結合材料を用いて外科用メッシュに接着されてもよい。一部の実施形態において、第1の側部318は、マイクロ構造化された表面に接着されてもよい。
【0054】
一部の実施形態において、基材は、複数の第1レベルマイクロフィーチャー(microfeatures)を含んでもよい。第1レベルマイクロフィーチャーは、10~1000ミクロンの高さ、10~1000ミクロンの直径、および25~10,000ミクロンの隣接するマイクロフィーチャーの中心間ピッチを有してもよい。一部の実施形態において、基材は、第1レベルマイクロフィーチャーの辺りに階層的に配された複数の第2レベルマイクロフィーチャーをさらに含んでもよい。一部の実施形態において、第2レベルマイクロフィーチャーは、5~200ミクロンの高さ、5~200ミクロンの直径、および10~1000ミクロンの隣接するマイクロフィーチャーの中心間ピッチを含んでもよい。一部の実施形態において、基材は、第2レベルマイクロフィーチャーの辺りに階層的に配された複数の第3レベルマイクロフィーチャーをさらに含んでもよい。一部の実施形態において、第3レベルマイクロフィーチャーは、1~5ミクロンの高さ、5~200ミクロンの直径、および10~1000ミクロンの中心間ピッチを含んでもよい。
【0055】
一部の実施形態において、基材は、複数の第1レベルマイクロフィーチャーを含んでもよい。第1レベルマイクロフィーチャーは、50~1000ミクロンの高さ、50~1000ミクロンの直径、および100~10,000ミクロンの隣接するマイクロフィーチャーの中心間ピッチを有してもよい。一部の実施形態において、基材は、第1レベルマイクロフィーチャーの辺りに階層的に配された複数の第2レベルマイクロフィーチャーをさらに含んでもよい。一部の実施形態において、第2レベルマイクロフィーチャーは、10~200ミクロンの高さ、10~200ミクロンの直径、および50~1000ミクロンの隣接するマイクロフィーチャーの中心間ピッチを含んでもよい。一部の実施形態において、基材は、第2レベルマイクロフィーチャーの辺りに階層的に配された複数の第3レベルマイクロフィーチャーをさらに含んでもよい。一部の実施形態において、第3レベルマイクロフィーチャーは、1~5ミクロンの高さ、10~200ミクロンの直径、および100~1000ミクロンの中心間ピッチを含んでもよい。
【0056】
一部の実施形態において、基材は、100~750ミクロンの高さ、50~500ミクロンの直径、および100~1000ミクロンの隣接するマイクロフィーチャーの中心間ピッチを有する複数の第1レベルマイクロフィーチャーを含んでもよい。一部の実施形態において、基材は、25~100ミクロンの高さ、25~100ミクロンの直径、および50~500ミクロンの隣接するマイクロフィーチャーの中心間ピッチを有する、第1レベルマイクロフィーチャーの辺りに階層的に配された複数の第2レベルマイクロフィーチャーをさらに含んでもよい。一部の実施形態において、基材は、第2レベルマイクロフィーチャーの辺りに階層的に配された複数の第3レベルマイクロフィーチャーをさらに含んでもよい。一部の実施形態において、第3レベルマイクロフィーチャーは、1~5ミクロンの高さ、10~100ミクロンの直径、および10~100ミクロンの中心間ピッチを含んでもよい。
【0057】
一部の実施形態において、基材は、100~500ミクロンの高さ、100~500ミクロンの直径、および100~750ミクロンの隣接するマイクロフィーチャーの中心間ピッチを有する複数の第1レベルマイクロフィーチャーを含んでもよい。一部の実施形態において、基材は、25~100ミクロンの高さ、25~100ミクロンの直径、および50~500ミクロンの隣接するマイクロフィーチャーの中心間ピッチを有する第1レベルマイクロフィーチャーの辺りに階層的に配された複数の第2レベルマイクロフィーチャーをさらに含んでもよい。一部の実施形態において、基材は、第2レベルマイクロフィーチャーの辺りに階層的に配された複数の第3レベルマイクロフィーチャーをさらに含んでもよい。一部の実施形態において、第3レベルマイクロフィーチャーは、1~5ミクロンの高さ、10~100ミクロンの直径、および10~100ミクロンの中心間ピッチを含んでもよい。
【0058】
本明細書に開示されるある特定の実施形態において、マイクロ構造化された表面は、繊維層の1つの側部上に存在する第1の結合材料中に刻印されたマイクロ構造パターンであってもよい。一部の実施形態において、埋め込み可能なデバイスは、結合材料を微細な、間隙を介したパターンにおいて繊維層の1つの側部に塗布することおよび外科用メッシュを接着することを含んでもよく、繊維の反対の側部上にマイクロ構造パターンがエンボス加工される。
【0059】
一部の実施形態において、各々の表面領域は結合材料を含んでもよい。ある特定の実施形態において、結合材料はエラストマーであってもよい。ある特定の実施形態において、エラストマー結合材料は、繊維を結合させて強いネットワークとし、および繊維層の両方の側部に耐摩耗性を付与するために、繊維層の全体、またはその少なくとも部分を通じて配されてもよい。一部の実施形態において、1つの側部は形成されるか、またはメッシュに結合されてもよく、他の側部は形成されるか、またはマイクロ構造化された表面に結合
されてもよい。
【0060】
一部の実施形態において、結合材料を有する繊維層の1つの側部は、微細な、間隙を介したパターンにおいて配されて、結合材料を有しないその表面の実質的な部分を残してもよい。一部の実施形態において、結合材料を有しない表面の実質的な部分は、少なくとも40パーセント以上、より好ましくは50パーセント以上であってもよい。結合材料を有しない実質的な部分を伴うそのような実施形態において、繊維層は、したがって、水分が繊維層の内側に容易に通過できる非常に吸収性の区画を提供する。一部の実施形態において、繊維層の両方の側部は、微細な、間隙を介したパターンにおいて配されて、結合材料を有しない繊維層の両方の側部の実質的な部分を残す結合材料を含んでもよい。一部の実施形態において、結合材料を有しない表面の実質的な部分は、少なくとも40パーセント以上、より好ましくは50パーセント以上であってもよい。結合材料を有しない実質的な部分を伴うそのような実施形態において、繊維層は、したがって、水分が繊維層の内側に容易に通過できる非常に吸収性の区画を提供する。
【0061】
本明細書に開示されている一部の実施形態において、中心コア領域310は、エレクトロスピニングされた結合により緩やかに一緒に保持されているか、またはエレクトロスピニングの間に堆積された繊維の柔らかい、相対的に低い密度のネットワークを含んでもよい。一部の実施形態において、追加の強度は、上記に開示される相対的により短い繊維の繊維混合物に加えられた、合成または天然の、相対的により長い繊維の絡み合いにより中心領域に付与されてもよい。より長い繊維は、繊維混合物の全体的な密度が、より短い繊維の50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、または99%以上であるように提供されてもよい。一部の実施形態において、相対的により長い繊維の包含は、中心領域に付与される唯一の強度であってもよい。明確にするため、相対的により長い繊維に言及する場合、より長い繊維は、短い繊維の少なくとも1.5倍の長さ、または短い繊維の少なくとも2.0倍の長さ、または短い繊維の少なくとも2.5倍の長さ、または短い繊維の少なくとも3.0倍の長さ、または短い繊維の少なくとも3.5倍の長さ、または短い繊維の少なくとも4.0倍の長さ、または短い繊維の少なくとも4.5倍の長さ、または短い繊維の少なくとも5.0倍の長さ、または短い繊維の少なくとも10.0倍の長さ、または短い繊維の少なくとも20.0倍の長さ、または短い繊維の少なくとも30.0倍の長さ、または短い繊維の少なくとも4.0倍の長さ、または短い繊維の少なくとも50.0倍の長さ、または短い繊維の少なくとも100.0倍の長さであることが意味される。
【0062】
一部の実施形態において、中心コア領域は、コア領域を通じて全体に沿って配置された空洞を含む別個の区画、または部分を含んでもよい。一部の実施形態において、空洞のこれらの別個の区画または部分は、コア領域に追加の特徴を提供してもよい。例えば、追加の特徴は、より大きい嵩、柔らかさ、および繊維層への吸収能を含んでもよい。一部の実施形態において、別個の区画を互いから分離することは、マイクロ構造化された表面およびメッシュを一緒に接続する繊維のネットワークを含んでもよい。この実施形態は、先行技術において使用されている好ましくない硬い粘着剤を使用せずに、埋め込み可能なデバイスを構築することを可能とし得る。
【0063】
一部の実施形態において、繊維層は、パターン化された塗布される結合材料の使用を通じた繊維層のパターン化に起因する波状の外見を有してもよい。繊維層の制御されたパターンは、その嵩および吸収能の他に、その柔らかさおよび圧縮性を増加させ得る。
【0064】
本開示の別の実施形態は、外科用メッシュを加熱することを含んでもよく、外科用メッシュの繊維にマイクロ構造パターンを刻印してもよい。熱いマンドレルを用いたメッシュ繊維の加熱は満足のいくものではなく、その理由は、マンドレルが熱すぎるまたは必要以
上に長時間にわたり適用された場合、メッシュ引張強度を劣化させる可能性があるからである。極端な場合において、熱すぎる鉄はメッシュを融解し得るか、または他にメッシュを損なって、それを埋め込みもしくは一般の使用のために使用できないものとし得る。
【0065】
したがって、本明細書において上記された欠陥および欠点を有しない材料上のパターンを連続的に刻印する改善された方法、およびそのための装置を提供することは本開示の1つの目的である。一部の実施形態において、材料の軟化において使用される熱およびそれが適用される期間が適切に制御され得る、および材料を損じることが予防される改善された方法および装置が開示される。
【0066】
本開示の一部の実施形態によれば、円筒形エンボス加工ローラーと圧力ローラーまたはガス圧力との間に基材を供給し得るコンベアシステム、または類似したシステムは、高周波数電気エネルギーの供給源に接続された電極の1つ以上のペアをさらに含んでもよい。誘電損失のために、基材、または基材の部分は、ポリマー層上にマイクロ構造を刻印するために要求される温度に表面的にのみ加熱されるのではなく均一に加熱されてもよい。わずかな圧力の適用は、型からファブリックへのマイクロ構造転写処理を完了させる。
【0067】
この方法および装置は、先行技術で公知の方法により得られる、すなわち、対流加熱、放射加熱、および/または接触加熱のいずれよりもはるかに優れた制御の程度をオペレーターが維持することを可能にする。
【0068】
ここで図4を参照すると、基材材料402が、回転式円形電極404、406のペアの間で、コンベアシステム、または類似した輸送/生産システムに沿って供給されている。一部の実施形態において、ペアまたは回転式円形電極404、406は、RF供給源408により動力供給されてもよい。電極は、バネ410により機械的にバイアスされてもよく、バネ410は、電極を互いに向けてバイアスさせ、それにより、基材がそれらの間を通過する際に圧力が基材に発揮される。
【0069】
電極は、基材がコンベアシステムに入る位置の近くに、または他に製造工程が開始される位置に対して好都合であり得る限り近くに位置してもよい。一部の実施形態において、電極の2つのペアが存在し、各々のペアは、輸送される基材シートの1つの側部を受け入れるように構成されている。
【0070】
図4において描写されている1つの実施形態において、ペアの電極404の1つは、減速ギア、ユニバーサルジョイントおよび/または絶縁継ぎ手を通じて接続されたモーター412により回転されてもよい。一部の実施形態において、ペアの第2の電極406もまた、絶縁継ぎ手、ユニバーサルジョイントを通じて、および/または変速機を通じてモーター412に接続された反転ギアを通じて接続されてもよい。
【0071】
2つの電極を伴う実施形態は、反対の方向において回転しなければならないことが理解されるであろう。一部の実施形態において、電極システムは、熱絶縁ベルト414、416をさらに含んでもよい。ベルト414、416は、処理されるべき材料を供給するための駆動手段として作用してもよい。しかしながら、ある特定の実施形態において、電極は、静止しているかまたは自由に回転してもよく、他のモーター駆動ユニットが、電場に関して基材を駆動してもよい。
【0072】
図4にさらに示されるように、電極の各々のペアは、ベルト414、416の関連付けられたペアを含んでもよい。一部の実施形態において、これらのベルトは、テフロン(登録商標)または他の熱絶縁材料で作られていてもよい。それらはアイドラーローラー上に保持されてもよい。ベルト414、416は、基材402の電極404、406の各々の
表面の間で差し挟まれていてもよい。ベルトは、電極を絶縁してもよく、その結果、基材が加熱される際に電極温度は過度に上昇しないようになっていてもよい。一部の実施形態において、ベルトが省略される場合、電極は、加熱された基材とそれらとの接触のため、徐々に過剰に加熱されるようになるであろう。
【0073】
電極の温度があまりに高く上昇した場合、基材は粘着性となることがあり、ベルトの非存在下で電極に固着することがある。ポリマー材料への損傷が起こり、その引張強度が減少する基材中の層を生成し得るのは熱のこの表面移動である。
【0074】
ベルトを通じて適用される動力がベルトを加熱しないように、ベルトは、好ましくは、非常に低い誘電損失を有する材料から作られていてもよい。バッファー層のために選択される材料は、誘電体、例えばPTFE、ポリプロピレン、シリコーン、および/またはポリアミドであってもよい。これらの材料はすべて低い誘電損失を有し、それらがRF場において加熱されることを予防する。これらの誘電体はまた、高い絶縁破壊電圧変動も有する傾向がある。
【0075】
均一に加熱される基材との接触を有するベルトは、そのような接触により加熱され得る。ベルトが相対的に長く作られており、および熱が限局されないように露出されている場合、ベルトはそのような熱を急速に放射し始め得る。空間的制限のためにより短いベルトが要求される場合、それらの放射は、空気流または他の冷却剤をベルト上に方向付けることにより増加されてもよい。
【0076】
ベルトは、加熱された標的材料上に刻印され得る任意の所望されるマイクロ構造パターンを含んでもよいことが理解されるべきである。均一な加熱のため、マイクロ構造パターンは、表面効果の非存在下で忠実に転写される。
【0077】
一部の実施形態において、電極は、発振器または高周波数電気エネルギーの他の供給源に接続されていてもよい。200~300メガヘルツの周波数が本出願のために実用的であることがわかっているが、操作はそれらの周波数に限定されない。しかしながら、そのような周波数が用いられる場合、電極に適用される電圧を好都合な限度内に保ち、その結果、電圧破壊の可能性を排除することが可能である。
【0078】
発振器からの高周波数電気エネルギーは、電極の間に電場を確立してもよい。電極の間を通過する基材は、材料の誘電損失のため、均一におよび急速に加熱される。
【0079】
以下は、本明細書において与えられる開示の実施において有用な材料およびパターンの実施例であるが、それらは限定的であることは意味されない。
【実施例
【0080】
実施例1.マイクロ構造化された表面
図5を参照すると、基材502を含んでもよいマイクロ構造化された表面500が開示されている。基材502は、第1の正弦波状(sinusoidal)マイクロ構造504、正弦波状マイクロ構造上に配された第2の柱状マイクロ構造506、および第2の柱状マイクロ構造上に配された第3の溝付きマイクロ構造508を含んでもよい。3つの異なるマイクロ構造の各々は、階層的に並べられている。マイクロ構造の各々についての直径、ピッチ、および高さは以下のように定義されてもよい。第1の正弦波状マイクロ構造の寸法は、第2の柱状マイクロ構造の寸法の1.1倍~10倍の寸法である。第2の柱状マイクロ構造の寸法は、第3の溝付きマイクロ構造の寸法の1.1倍~10倍の寸法であってもよい。第2の柱状マイクロ構造は、任意の楕円形または多角形の横断面を有することができる。
【0081】
実施例2.マイクロ構造プレポリマーをコーティングするメッシュ
ある特定の実施形態において、マイクロ構造は、固定された形状に架橋されるかまたは膨潤可能なポリマー中に形成され得る。膨潤性マイクロ構造は、マイクロ構造が膨潤する際に、標的表面、例えば組織、に活発に係合するという追加的な利益を有し得る。
【0082】
ポロキサマーおよびポリ乳酸系ハイドロゲル
Pluronic(登録商標) 31R1(分子量3250)(BASF、Mt.Olive、NJ)を真空下、85℃で12時間、球形フラスコ中で乾燥させた。得られた最終水含有量は300ppmより低かった。1当量のPluronic(登録商標) 31R1を1/5当量の(l)-ラクチドおよび0.18グラムの触媒(2-エチルヘキサン酸第一スズ)(0.43%)に加えた。反応を、密閉されたフラスコ中、乾燥窒素飽和雰囲気下で2.5時間、145℃で実行した。
【0083】
上記の合成物に2当量のトルエンジイソシアネートを加え、60℃で8時間反応させる。この結果物に1/2当量の二機能性分子、例えばボスウェリア抽出物を加え、75℃で8時間反応させる。
【0084】
所望される粘度のハイドロゲルが、適切な量の水を加えることにより形成される。例えば、高粘度ゲルのために、1gの水を加えてもよい。低粘度ゲルのために、100gの水を加えてもよい。
【0085】
上記のプレポリマーでコーティングされたメッシュを高湿度チャンバー中で硬化させるか、またはそれに水を軽くスプレーすることができる。
【0086】
実施例3.ポリエチレングリコールおよびポリ乳酸系ハイドロゲル
ポリエチレングリコール(「PEG」)(分子量3000)を真空中で終夜、85℃で乾燥させた。その後、PEGを室温に冷却させ、生成物を乾燥窒素でキャップ付加した。1当量のPEGを1/5当量の(1)-ラクチドおよび0.18グラムの触媒(2-エチルヘキサン酸第一スズ)に加えた。PEGとラクチドとの混合物を油浴中に、流れる窒素下140℃で置き、3時間混合した。
【0087】
上記の合成物に2当量のトルエンジイソシアネートを加え、60℃で8時間反応させる。この結果物に1/2当量の二機能性分子、例えばボスウェリア抽出物を加え、75℃で8時間反応させる。
【0088】
所望される粘度のハイドロゲルが、適切な量の水を加えることにより形成される。例えば、高粘度ゲルのために、1gの水を加えてもよい。低粘度ゲルのために、100gの水を加えてもよい。
【0089】
実施例4
ポロキサマーおよびポリ乳酸系硬化性ハイドロゲル
撹拌棒を備えた反応器中に、2モルのジイソシアネートを窒素下で提供する。反応器を60℃に加熱してもよく、1モルのポロキサマージオールを緩徐に加えた。ポロキサマーは、ボリューム温度が65℃より高く上昇しないように十分に遅い速度で加えるべきである。ポロキサマーが60℃で固体の場合、溶媒を使用することができる。すべてのポロキサマーが反応ボリュームに加えられたときに、イソシアネート含有量がポロキサマー分子当たり2つの利用可能なNCO基に対応するまで混合物を反応させるべきである。ポロキサマーを緩徐に加えることは、各々のポロキサマー分子が2つのジイソシアネート分子で末端キャップ付加されることを確実にし、その理由は、反応の大部分は、過剰なジイソシ
アネート中で行われ、ポロキサマーの鎖伸長が起こる可能性はより低いからである。鎖伸長の予防が重要な場合、大過剰のジイソシアネートを用いることができ、過剰なジイソシアネートは反応の終了時に蒸発させる。
【0090】
ポロキサマージイソシアネートが上記のように調製されたら、1モルを反応器中に窒素下で入れ、85℃に加熱し、2モル以上のジラクチド(A)またはより一般的にはエステルを緩徐に加えることができ、上記のように過度の発熱を予防する。
【0091】
この結果物に1/2当量の二機能性分子、例えばボスウェリア抽出物を加え、75℃で8時間反応させる。
【0092】
所望される粘度のハイドロゲルが、適切な量の水を加えることにより形成される。例えば、高粘度ゲルのために、1gの水を加える。低粘度ゲルのために、100gの水を加える。
【0093】
このように、新たなおよび有用なマイクロ構造化された軟組織移植片の本発明の特定の実施形態が記載されたが、以下の請求項において記載されるものを除いて、そのような言及が本発明の範囲に対する限定として解釈されることは意図されない。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
【国際調査報告】