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特表2023-536996アデノシン受容体アンタゴニストの併用療法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-30
(54)【発明の名称】アデノシン受容体アンタゴニストの併用療法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/519 20060101AFI20230823BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230823BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230823BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20230823BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20230823BHJP
   A61K 47/54 20170101ALI20230823BHJP
【FI】
A61K31/519
A61P35/00
A61P43/00 121
A61K45/00
A61K39/395 N
A61K47/54
A61P43/00 111
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023507952
(86)(22)【出願日】2021-08-06
(85)【翻訳文提出日】2023-03-08
(86)【国際出願番号】 US2021044935
(87)【国際公開番号】W WO2022032091
(87)【国際公開日】2022-02-10
(31)【優先権主張番号】63/062,857
(32)【優先日】2020-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520342714
【氏名又は名称】テオン セラピューティクス,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ファン, ペイドン
(72)【発明者】
【氏名】ヤオ, リナ
(72)【発明者】
【氏名】リュウ, ジウェン
(72)【発明者】
【氏名】エルゼイン, エルファティフ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
4C086
【Fターム(参考)】
4C076CC27
4C076CC42
4C076EE59
4C076FF32
4C084AA19
4C084NA05
4C084ZB072
4C084ZB261
4C084ZC751
4C085AA14
4C085BB11
4C085EE03
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB07
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA05
4C086NA14
4C086NA15
4C086ZB26
4C086ZC42
4C086ZC75
(57)【要約】
本明細書において開示されるのは、がんを有する哺乳動物において、免疫チェックポイント阻害剤と併用してA2Bアデノシン受容体を調節するための化合物、組成物、製剤、及び方法である。一態様において、本明細書に記載されるのは、哺乳動物のがんを治療するための方法、A2Bアデノシン受容体アンタゴニスト及び少なくとも1つの免疫チェックポイント阻害剤を哺乳動物へと投与することを含む方法である。別の態様において、本明細書に記載されるのは、哺乳動物のがんを治療するための方法であって、化合物1、もしくはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物、または化合物1のプロドラッグ、もしくはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物と、少なくとも1つの免疫チェックポイント阻害剤とを哺乳動物へ投与することを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物のがんを治療するための方法であって、化合物1、もしくはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物、または化合物1のプロドラッグ、もしくはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物と、少なくとも1つの免疫チェックポイント阻害剤とを前記哺乳動物へ投与することを含み、化合物1は、以下の構造:
【化1】
を有する、前記方法。
【請求項2】
前記がんが、固形腫瘍である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記がんが、膀胱癌、結腸癌、脳癌、乳癌、子宮内膜癌、心臓癌、腎臓癌、肺癌、肝臓癌、子宮癌、血液癌及びリンパ腺癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、甲状腺癌、胃癌、直腸癌、尿路上皮癌、精巣癌、子宮頸癌、頭頸部癌、または皮膚癌である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記がんが、前立腺癌、乳癌、結腸癌、または肺癌である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記がんが、去勢抵抗性前立腺癌である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記がんが、乳癌である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記がんが、肉腫、癌腫、またはリンパ腫である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記免疫チェックポイント阻害剤が、抗PD-1剤または抗PD-L1剤である、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記抗PD-1剤または抗PD-L1剤が、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、セミプリマブ、ラブロリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブまたはアテゾリズマブである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記哺乳動物が、ヒトである、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記化合物1のプロドラッグが、以下の構造:
【化2】
またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を有し、式中、
は、置換または非置換のアルキルであり、
は、水素または置換もしくは非置換のアルキルであり、
あるいは、R及びRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、カルボニル(C=O)を形成するか、
あるいは、R及びRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、置換もしくは非置換のC-C10シクロアルキル、または置換もしくは非置換のC-C10ヘテロシクロアルキルである環を形成し、ここで、前記環が置換される場合、前記環は、1つ以上のR15で置換され、
15は、水素、置換または非置換のアルキル、置換または非置換のヘテロアルキル、置換または非置換のフェニル、置換または非置換のヘテロアリール、-アルキル-(置換または非置換のフェニル)、-アルキル-(置換または非置換のヘテロアリール)、-C(=O)R16、-C(=O)-OR16、-C(=O)N(R16であり、
各R16は、水素及び置換または非置換のアルキルから独立して選択され、
は、水素、R、-C(=O)R、-C(=O)-OR、-C(=O)N(R)(R)、-C(=O)-SR、または-P(=O)(ORであり、
あるいは、RとRは、それらが結合している原子と一緒になって、置換または非置換のC-C10ヘテロシクロアルキルを形成し、
は、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のヘテロアルキル、置換もしくは非置換のC-C10シクロアルキル、置換もしくは非置換のC-C10ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換のフェニル、置換もしくは非置換のヘテロアリール、-アルキル-(置換もしくは非置換のフェニル)、-アルキル-(置換もしくは非置換のヘテロアリール)、-アルキル-(置換もしくは非置換のシクロアルキル)、-アルキル-(置換もしくは非置換のヘテロシクロアルキル)、-(C(R10O)-R11、-(CHCHO)-R11、または-(C(R10-OR11であり、
は、水素またはアルキルであり、
あるいは、RとRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、置換または非置換のC-C10ヘテロシクロアルキルを形成し、
各Rは、水素及びアルキルから独立して選択され、
各R10は、水素及びアルキルから独立して選択され、
11は、水素、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のヘテロアルキル、置換もしくは非置換のC-C10ヘテロシクロアルキル、-C(=O)R12、-C(=O)-OR12、-C(=O)N(R12)(R)、-C(=O)-SR12、または-P(=O)(ORであり、
12は、水素、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のヘテロアルキル、置換もしくは非置換のC-C10シクロアルキル、置換もしくは非置換のC-C10ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換のフェニル、置換もしくは非置換のヘテロアリール、-アルキル-(置換もしくは非置換のフェニル)、または-アルキル-(置換もしくは非置換のヘテロアリール)であり、
mは、1、2、3、4、5、または6であり、
nは、1、2、3、4、5、または6であり、
pは、1、2、3、4、5、または6であり、
ここで、置換とは、言及されている基が、ハロゲン、-CN、-NH、-NH(アルキル)、-N(アルキル)、-OH、-COH、-COアルキル、-C(=O)NH、-C(=O)NH(アルキル)、-C(=O)N(アルキル)、-S(=O)NH、-S(=O)NH(アルキル)、-S(=O)N(アルキル)、アルキル、シクロアルキル、フルオロアルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、フルオロアルコキシ、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、アルキルスルホキシド、アリールスルホキシド、アルキルスルホン、及びアリールスルホンから個々にかつ独立して選択される1つ以上の追加の基で置換されることを意味する、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
が、メチル、エチル、またはn-プロピルであり、
が、水素、メチル、エチル、及びn-プロピルから選択され、
あるいは、R及びRが、それらが結合している炭素原子と一緒になって、カルボニル(C=O)を形成する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記化合物1のプロドラッグが、以下の構造:
【化3】
またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を有し、式中、
Xは、O、S、NHR’、NR’R’’、CH、CHR’、またはCR’R’’であり、
R’は、C-Cアルキルであり、
R’’は、C-Cアルキルであり、
は、水素、R、-C(=O)R、-C(=O)-OR、-C(=O)N(R)(R)、-C(=O)-SR、または-P(=O)(ORであり、
は、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のヘテロアルキル、置換もしくは非置換のC-C10シクロアルキル、置換もしくは非置換のC-C10ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換のフェニル、置換もしくは非置換のヘテロアリール、-アルキル-(置換もしくは非置換のフェニル)、-アルキル-(置換もしくは非置換のヘテロアリール)、-アルキル-(置換もしくは非置換のシクロアルキル)、-アルキル-(置換もしくは非置換のヘテロシクロアルキル)、-(C(R10O)-R11、-(CHCHO)-R11、または-(C(R10-OR11であり、
は、水素またはアルキルであり、
あるいは、RとRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、置換または非置換のC-C10ヘテロシクロアルキルを形成し、
各Rは、水素及びアルキルから独立して選択され、
各R10は、水素及びアルキルから独立して選択され、
11は、水素、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のヘテロアルキル、置換もしくは非置換のC-C10ヘテロシクロアルキル、-C(=O)R12、-C(=O)-OR12、-C(=O)N(R12)(R)、-C(=O)-SR12、または-P(=O)(ORであり、
12は、水素、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のヘテロアルキル、置換もしくは非置換のC-C10シクロアルキル、置換もしくは非置換のC-C10ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換のフェニル、置換もしくは非置換のヘテロアリール、-アルキル-(置換もしくは非置換のフェニル)、または-アルキル-(置換もしくは非置換のヘテロアリール)であり、
mは、1、2、3、4、5、または6であり、
nは、1、2、3、4、5、または6であり、
pは、1、2、3、4、5、または6であり、
ここで、置換とは、言及されている基が、ハロゲン、-CN、-NH、-NH(アルキル)、-N(アルキル)、-OH、-COH、-COアルキル、-C(=O)NH、-C(=O)NH(アルキル)、-C(=O)N(アルキル)、-S(=O)NH、-S(=O)NH(アルキル)、-S(=O)N(アルキル)、アルキル、シクロアルキル、フルオロアルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、フルオロアルコキシ、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、アルキルスルホキシド、アリールスルホキシド、アルキルスルホン、及びアリールスルホンから個々にかつ独立して選択される1つ以上の追加の基で置換されることを意味する、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
が、Rであり、
が、C-Cアルキル、置換もしくは非置換のC-Cヘテロアルキル、置換もしくは非置換の単環式C-Cシクロアルキル、置換もしくは非置換の二環式C-C10シクロアルキル、置換もしくは非置換の単環式C-Cヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換の二環式C-C10ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換のフェニル、置換もしくは非置換の単環式ヘテロアリール、-CH-(置換もしくは非置換のフェニル)、-CH-(置換もしくは非置換のヘテロアリール)、-CH-(置換もしくは非置換のC-Cヘテロシクロアルキル)、-CH(R10)O-R11、-(CHCHO)-R11、または-(C(R10-OR11であり、
各R10が、水素及びメチルから独立して選択され、
11が、水素、C-Cアルキル、置換もしくは非置換のC-Cヘテロアルキル、置換もしくは非置換のC-C10ヘテロシクロアルキル、-C(=O)R12、-C(=O)-OR12、-C(=O)N(R12)(R)、-C(=O)-SR12、または-P(=O)(ORである、請求項11~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
が、C-Cアルキル、置換もしくは非置換のC-Cヘテロアルキル、-CH-(置換もしくは非置換のフェニル)、-CH-(置換もしくは非置換のヘテロアリール)、-CH-(置換もしくは非置換のC-Cヘテロシクロアルキル)、-CH(R10)O-R11、または-(CHCHO)-R11であり、
10が、水素及びメチルであり、
11が、水素、C-Cアルキル、置換もしくは非置換のC-Cヘテロアルキル、置換もしくは非置換のC-C10ヘテロシクロアルキル、-C(=O)R12、-C(=O)-OR12、-C(=O)N(R12)(R)、-C(=O)-SR12、または-P(=O)(OH)である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記化合物1のプロドラッグが、以下の構造のうちの1つ:
【化4】
またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を有する、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記化合物1のプロドラッグが、以下の構造:
【化5】
またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を有する、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
が、メチルまたはエチルであり、
が、R、-C(=O)R、-C(=O)-OR、-C(=O)N(R)(R)、-C(=O)-SR、または-P(=O)(OH)であり、
が、C-Cアルキル、置換もしくは非置換のC-Cヘテロアルキル、置換もしくは非置換のシクロヘキシル、置換もしくは非置換のシクロペンチル、置換もしくは非置換のビシクロ[1.1.1]ペンタニル、置換もしくは非置換のビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、置換もしくは非置換のビシクロ[2.2.2]オクタニル、置換もしくは非置換のビシクロ[3.2.1]オクタニル、置換もしくは非置換のビシクロ[3.3.0]オクタニル、置換もしくは非置換のビシクロ[4.3.0]ノナニル、または置換もしくは非置換のデカリニル、置換もしくは非置換のオキセタニル、置換もしくは非置換のテトラヒドロピラニル、置換もしくは非置換のアゼチジニル、置換もしくは非置換のピロリジニル、置換もしくは非置換のピペリジニル、置換もしくは非置換のモルホリニル、置換もしくは非置換のチオモルホリニル、置換もしくは非置換のフェニル、置換もしくは非置換の単環式ヘテロアリール、-CH-(置換もしくは非置換のフェニル)、-CH-(置換もしくは非置換のヘテロアリール)、-CH-(置換もしくは非置換のC-Cヘテロシクロアルキル)、-CH(R10)O-R11、-(CHCHO)-R11、または-(C(R10-OR11であり、
各R10が、水素及びメチルから独立して選択され、
11が、水素、C-Cアルキル、置換もしくは非置換のC-Cヘテロアルキル、置換もしくは非置換のC-C10ヘテロシクロアルキル、-C(=O)R12、-C(=O)-OR12、-C(=O)N(R12)(R)、-C(=O)-SR12、または-P(=O)(ORである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記化合物1のプロドラッグが、以下の構造のうちの1つ:
【化6-1】
【化6-2】
またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を有する、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
哺乳動物のがんを治療するための方法であって、化合物1のプロドラッグ、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を前記哺乳動物へ投与することを含み、化合物1は、以下の構造:
【化7】
を有し、
前記がんが、膀胱癌、結腸癌、脳癌、乳癌、子宮内膜癌、心臓癌、腎臓癌、肺癌、肝臓癌、子宮癌、血液癌及びリンパ腺癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、甲状腺癌、胃癌、直腸癌、尿路上皮癌、精巣癌、子宮頸癌、膣癌、外陰癌、頭頸部癌、ならびに皮膚癌から選択される、前記方法。
【請求項21】
前記がんが、前立腺癌、乳癌、結腸癌、または肺癌である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記前立腺癌が、去勢抵抗性前立腺癌である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記乳癌が、トリプルネガティブ乳癌である、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記化合物1のプロドラッグ、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物が、請求項11~19のいずれか1項に記載の構造を有する、請求項20~23のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法第119条(e)に基づき、2020年8月7日に出願された米国特許仮出願第63/062,857号の優先権の利益を主張するものであり、当該出願は、その全体が参照することによって本明細書に援用される。
【0002】
本明細書に記載されるのは、A2Bアデノシン受容体アンタゴニスト、かかる化合物を作製する方法、かかる化合物を含む医薬組成物及び医薬品、ならびに哺乳動物のがん治療においてかかる化合物を単独でまたは免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて使用する方法である。
【背景技術】
【0003】
内因性ヌクレオシドであるアデノシンは、生細胞の内部及び外部に遍在し、細胞、組織、及び臓器のホメオスタシスを維持するために、複数の生理学的役割を果たしている。アデノシンは、A、A2A、A2B、及びAアデノシン受容体として知られるアデノシン受容体のファミリーと相互に作用することにより、その生物学的作用を発揮することができる。Aアデノシン受容体は、組織保護、特に、心筋保護の機構を媒介する。A2Aアデノシン受容体は、冠血管拡張及びがん免疫を調節する。A2Bアデノシン受容体は、シグナル伝達経路に関与する。
【0004】
一部のA2Bアデノシン受容体アンタゴニストは、水性媒体に比較的不溶であり、及び/または従来の医薬賦形剤を使用して製剤化するのが困難であるため、哺乳動物、特にヒトにおいて再現性のある化合物の血漿レベルをもたらすように製剤化することが困難である場合がある。A2Bアデノシン受容体アンタゴニストのバイオアベイラビリティを改善することが必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様において、本明細書に記載されるのは、哺乳動物のがんを治療するための方法、A2Bアデノシン受容体アンタゴニスト及び少なくとも1つの免疫チェックポイント阻害剤を哺乳動物へと投与することを含む方法である。
【0006】
別の態様において、本明細書に記載されるのは、哺乳動物のがんを治療するための方法であって、化合物1、もしくはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物、または化合物1のプロドラッグ、もしくはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物と、少なくとも1つの免疫チェックポイント阻害剤とを哺乳動物へ投与することを含み、ここで化合物1は、以下の構造:
【化1】
を有する、方法である。
【0007】
いくつかの実施形態において、がんは、固形腫瘍である。
【0008】
いくつかの実施形態において、がんは、膀胱癌、結腸癌、脳癌、乳癌、子宮内膜癌、心臓癌、腎臓癌、肺癌、肝臓癌、子宮癌、血液癌及びリンパ腺癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、甲状腺癌、胃癌、直腸癌、尿路上皮癌、精巣癌、子宮頸癌、膣癌、外陰癌、頭頸部癌、または皮膚癌である。いくつかの実施形態において、がんは、前立腺癌、乳癌、結腸癌、または肺癌である。いくつかの実施形態において、がんは、去勢抵抗性前立腺癌である。いくつかの実施形態において、がんは、乳癌である。いくつかの実施形態において、がんは、肉腫、癌腫、またはリンパ腫である。
【0009】
いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント阻害剤は、抗PD-1剤または抗PD-L1剤である。いくつかの実施形態において、抗PD-1剤または抗PD-L1剤は、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、セミプリマブ、ラブロリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブまたはアテゾリズマブである。
【0010】
いくつかの実施形態において、哺乳動物は、ヒトである。
【0011】
一態様において、本明細書に記載されるのは、哺乳動物においてA2Bアデノシン受容体を調節する方法であって、本明細書において記載される化合物、またはその任意の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を哺乳動物へ投与することを含む、方法である。
【0012】
前述の態様のうちの任意のものにおいて、本明細書において記載される併用療法の有効量の各治療剤が、(a)哺乳動物へ全身的に投与される;及び/または(b)哺乳動物へ経口投与される;及び/または(c)哺乳動物へ静脈内投与される;及び/または(d)哺乳動物へ注射によって投与される、さらなる実施形態がある。
【0013】
前述の態様のうちの任意のものにおいて、有効量の各治療剤の単回投与を含むさらなる実施形態であって、各治療剤が1日1回哺乳動物へ投与されるか、または各治療剤が1日の間に複数回哺乳動物へ投与される、さらなる実施形態が包含される。いくつかの実施形態において、各治療剤は、連続的な投薬スケジュールで投与される。いくつかの実施形態において、各治療剤は、連続的な毎日の投薬スケジュールで投与される。
【0014】
いくつかの実施形態において、哺乳動物のがんを治療するための方法であって、化合物1、もしくはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物、または化合物1のプロドラッグ(例えば、本明細書において記載される式(I)、(II)、(IIa)、(III)、(A)、及び/または(B)のプロドラッグ)、もしくはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を哺乳動物へ投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施形態において、がんは、固形腫瘍である。いくつかの実施形態において、がんは、膀胱癌、結腸癌、脳癌、乳癌、子宮内膜癌、心臓癌、腎臓癌、肺癌(例えば、非小細胞肺癌、小細胞肺癌)、肝臓癌、子宮癌、血液癌及びリンパ腺癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、甲状腺癌、胃癌(例えば、胃の癌)、直腸癌、尿路上皮癌、精巣/精巣癌、子宮頸癌、膣癌、外陰癌、頭頸部癌、または皮膚癌である。いくつかの実施形態において、がんは、前立腺癌、乳癌、結腸癌、または肺癌である。いくつかの実施形態において、がんは、去勢抵抗性前立腺癌である。いくつかの実施形態において、がんは、乳癌である。いくつかの実施形態において、がんは、肉腫、癌腫、またはリンパ腫である。
【0015】
本明細書において記載される化合物、方法、及び組成物の他の目的、特徴、及び利点は、以下の発明を実施するための形態から明らかになるだろう。しかしながら、本開示の趣旨及び範囲内での様々な変更及び修正が、発明を実施するための形態から当業者に明らかになるので、この発明を実施するための形態及び特定の実施例は、特定の実施形態を示しつつも、例示として与えられるものに過ぎないことは、理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】CT26(ホット)モデルにおける化合物1、抗PD-1抗体RMP1-14、及び2つの薬剤の併用の効果を示す。
図2】B16F10黒色腫(コールド)モデルにおける化合物1、抗PD-1抗体RMP1-14、及び2つの薬剤の併用の効果を示す。
図3図3のパネルa.、b.、c.、d.、及びe.は、MC38モデルにおける化合物1、抗PD-1抗体RMP1-14、及び2つの薬剤の併用の腫瘍浸潤免疫細胞に対する効果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
2Bアデノシン受容体アンタゴニストに関する化合物、組成物、製剤、及び方法が本明細書において開示される。例えば、本明細書において開示される化合物、組成物、及び/または製剤は、病態を治療することを、それを必要とする対象において行う方法で使用することができる。病態は、心臓血管疾患、慢性及び急性肝臓疾患、肺疾患、腎臓疾患、糖尿病、肥満症、及び/またはがんであり得る。
【0018】
8-(1-(3-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1H-ピラゾール-4-イル)-3-エチル-1-プロピル-1H-プリン-2,6(3H,7H)-ジオン(化合物1)は、A2Bアデノシン受容体アンタゴニストであり、7位が非置換のキサンチンである。これは、水性媒体に比較的不溶であり、従来の医薬賦形剤を使用して製剤化するのが困難であり得るため、哺乳動物、特にヒトにおいて評価される化合物では、再現性のある血漿レベルをもたらすように製剤化することが困難である場合がある。したがって、A2Bアデノシン受容体アンタゴニストの新しいプロドラッグを開発することで、A2Bアデノシン受容体アンタゴニストの製剤化、薬物動態学プロファイル、及び/またはバイオアベイラビリティを改善することができる。
【化2】
【0019】
場合によっては、プロドラッグは、水溶液中でエステラーゼによって加水分解され(例えば、胃腸管内及び/または血液中)、化合物1に変換され得る。場合によっては、酸に不安定なプロドラッグは、酸性環境(例えば、胃の中)で化合物1に変換され得る。場合によっては、酸性環境で安定である及び/またはエステラーゼによる加水分解に対して安定であるプロドラッグは、化合物1の良好なプロドラッグ候補とならないことがある。
【0020】
一態様において、本明細書において開示される化合物、組成物、及び/または製剤は、がんを治療するために使用することができる。内皮細胞では、例えば、アデノシンは、A2Bアデノシン受容体に結合し、それにより、血管新生を刺激することができる。T細胞では、A2Bアデノシン受容体の刺激によりI型プロテインキナーゼA(PKA)アイソフォームの活性化が生じることで、T細胞抗原受容体(TCR)の近位キナーゼであるLck及びFynの抑制を介してT細胞の活性化が阻害され得る。また、転移促進性Fra-1転写因子は、がん細胞上でA2Bアデノシン受容体発現を誘導することができることから、A2Bアデノシン受容体アンタゴニストは、Fra-1発現細胞の転移を阻害することができる。A2Bアデノシン受容体によるシグナル伝達活性化は、抗原提示を阻害することがあり、シグナル伝達兼転写活性化因子1(STAT1)の活性化も阻害し得る。A2Bは、樹状細胞(DC)、骨髄由来抑制細胞(MDSC)及び制御性T細胞(Treg)によって媒介される免疫に影響する。A2B/cAMP/PKAは、DC機能を阻害し、骨髄由来抑制細胞(MDSC)及びTregなどの免疫抑制細胞を刺激することを介して、免疫応答を強力に減弱させる。A2Bの活性化により、骨髄細胞及びDCにおける腫瘍抗原提示が阻害され、炎症促進性サイトカイン(TNF-α及びIL-12)の産生が減少し、免疫抑制性IL-10が増加するため、CD86及びMHCクラスIIの発現が低下し、効率的なCD4+T細胞刺激及び抗がん応答が減少することになる。A2Bの活性化により、MDSCの拡大が促進され、抗腫瘍T細胞応答が強く抑制され、血管新生が促進される。また、A2Bの活性化は、Tregの分化を刺激してT細胞の機能を抑制する。その上、A2Bの活性化は、内皮細胞における血管内皮細胞増殖因子(VEGF)の産生を増加させることによって、血管新生促進作用に関与し得る。まとめると、A2Bは、腫瘍細胞の増殖、血管新生、転移及び免疫抑制において重要な役割を担っている。A2Bアデノシン受容体のシグナル伝達及び生物学的活性の多様性により、当該受容体は、抗腫瘍免疫の促進及び腫瘍細胞転移の抑制に対する魅力的ながん標的となり得る。
【0021】
別の態様において、本明細書において開示される化合物、組成物、及び/または製剤は、線維症を治療するために使用することができる。一般に摂取されているアデノシン受容体アンタゴニストであるカフェインは、肝線維化の発生を阻止することができ、これは、コーヒーを飲むことで肝臓疾患による死亡の可能性が用量依存的に減少し得るという疫学的知見を説明し得る効果である。A2Bアデノシン受容体はまた、間質性線維症の病原の一因でもあり得る。A2Bアデノシン受容体に作用するアデノシンは、2つの異なるマイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)依存性経路である細胞外シグナル調節キナーゼ1/2(ERK1/2)及びp38MAPKをそれぞれ介してコラーゲンI及びIIIの産生を増加させることによって、肝臓の肝星細胞媒介性線維症を刺激し得る。A2Bアデノシン受容体の過剰活性化は、肝臓、肺及び心臓の線維症に関与し得る。したがって、A2Bアデノシン受容体は、肝臓、肺、心臓、腎臓、及び/または皮膚の線維症の良好な治療標的となり得る。出願人は、化合物1がMC38腫瘍モデルにおいて線維化を減少させることを見出し、これは、化合物1が、T細胞の機能及び浸潤ならびに治療用抗体(抗PD-1抗体など)の浸透に関して腫瘍微小環境を改善することができることを示唆している。
【0022】
別の態様において、本明細書において開示される化合物、組成物、及び/または製剤は、糖尿病及び/または肥満症を治療するために使用することができる。インスリンに対する感受性が低いと、糖尿病及び/または肥満症を悪化させる場合がある。インスリン感受性は、アデノシンとA2Bアデノシン受容体の相互作用によって低下し得る。したがって、糖尿病及び/または肥満症の個体のA2Bアデノシン受容体を遮断することで、これらの障害を持つ患者に利益をもたらすことができる。
【0023】
別の態様において、本明細書において開示される化合物、組成物、及び/または製剤は、認知症及びアルツハイマー病などの神経障害を治療するために使用することができる。A2Bアデノシン受容体に作用するアデノシンは、認知症及びアルツハイマー病に関連するサイトカインである脳インターロイキン6(IL-6)を過剰刺激し得る。したがって、アデノシンのA2Bアデノシン受容体への結合を阻害することで、IL-6によって引き起こされるこれらの神経障害を緩和することができる。
【0024】
別の態様において、本明細書において開示される化合物、組成物、及び/または製剤は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、枯草熱、及びアトピー性湿疹などのI型過敏症障害を治療するために使用することができる。これらのI型過敏症障害は、マスト細胞のA2Bアデノシン受容体への結合によって刺激され得る。したがって、A2Bアデノシン受容体を遮断することで、そのような障害に対して治療上の利益をもたらすことができる。
【0025】
別の態様において、本明細書において開示される化合物、組成物、及び/または製剤は、過敏性腸疾患(IBD)及び/または大腸炎を治療するために使用することができる。ある種の過敏症は、マスト細胞のA2Bアデノシン受容体への結合によって刺激され得る。したがって、A2Bアデノシン受容体を遮断することで、IBD及び/または大腸炎に対して治療上の利益をもたらすことができる。
【0026】
定義
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術科学用語は、本開示の属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと類似または同等の任意の方法及び材料を、本明細書の製剤または単位用量の実施または試験の際に使用することができるが、いくつかの方法及び材料をここで説明する。特に言及しない限り、本明細書で採用または企図される技術は、標準的な方法である。材料、方法及び実施例は、例示的なものに過ぎず、限定するものではない。
【0027】
本明細書において使用されるセクションの見出しは、単に構成上のものであり、記載される主題を限定するものと解釈されるべきではない。
【0028】
1つ以上の本発明の実施形態の詳細が添付の図面、特許請求の範囲、及び本明細書に記載される。本明細書で開示され企図される本発明の実施形態の他の特徴、目的、及び利点は、明示的に除外されない限り、任意の他の実施形態と組み合わせることができる。
【0029】
オープンな用語、例えば、「含有する(contain)」、「含有している(containing)」、「含む(include)」、「含んでいる(including)」などは、含む(comprising)ことを意味し、限定するものではない。
【0030】
文脈による明確な別段の定めがない限り、本明細書では、単数形「a」、「an」、及び「the」には複数の指示対象が含むように用いられる。
【0031】
特に指定のない限り、本明細書のいくつかの実施形態は、数値範囲が企図される。数値範囲が提供される場合、その範囲は、特に指定のない限り、範囲の端点を含み得る。特に指定のない限り、数値範囲には、あたかも明示的に書き出されているかのように、その範囲内の全ての値及び部分範囲が含まれ得る。
【0032】
参照の数値に関する「約」という用語は、その値からプラスまたはマイナス10%の値の範囲を含み得る。例えば、「約10」という量は、9~11の量を含み、9、10、及び11の参照数を含む。参照の数値に関する「約」という用語は、その値からプラスまたはマイナス10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、または1%の範囲の値も含み得る。
【0033】
「プロドラッグ」という用語は、対象へ投与されたとき、例えば、プロドラッグの代謝プロセスにより、薬物(例えば、化合物I)の活性形態になる任意の化合物を指す。
【0034】
プロドラッグは、いくつかの状況においては、親薬物よりも投与するのが簡単であるため、有用であることが多い。プロドラッグは、例えば経口投与によって生体利用可能であるが、親薬物はそうではない。さらにまたは代替的に、プロドラッグは、親薬物を上回る医薬組成物中での可溶性の改善も有する。いくつかの実施形態において、プロドラッグの設計は、水溶性の有効性を増加させる。ある特定の実施形態において、プロドラッグは、in vivo投与すると、生物学的、薬学的または治療的に活性な化合物形態に化学的に変換される。ある特定の実施形態において、プロドラッグは、1つ以上のステップまたはプロセスによって、生物学的、薬学的または治療的に活性な化合物形態に酵素的に代謝される。
【0035】
本明細書において記載される化合物1のプロドラッグとしては、アルキルカルバマート、(アシルオキシ)アルキルカルバマート、アシルオキシアルキルエステル、アルコキシカルボニルオキシアルキルエステル、アルキルエステル、アリールエステル、リン酸エステル、糖エステル、エーテル、N-アシルオキシアルコキシカルボニル、N-アシルオキシアルキル、ジヒドロピリジンピリジニウム塩系(酸化還元系)、(ホスホリルオキシ)メチルカルバマート、(アシルオキシ)アルキルカルバマートなどに窒素原子が組み込まれた化合物が挙げられるがこれらに限定されない。
【0036】
いくつかの実施形態において、化合物1のプロドラッグは、N-アシルオキシアルキル化、N-ヒドロキシアルキル化、N-(ホスホリルオキシ)アルキル化、N-アシルオキシアルキル化、N-ヒドロキシアルキル化、N-(ホスホリルオキシ)アルキル化、N-アシル化(アミド及びカルバマート)、N-(オキソジオキソレニル)メチル化などによって形成される。
【0037】
「薬学的に許容される」構成成分という用語は、妥当なベネフィットリスク比に見合った、過度に有害な副作用(毒性、炎症、及びアレルギー反応など)を伴わずにヒト及び/または動物への使用に好適なものである。
【0038】
「有効量」または「治療有効量」という用語は、本明細書において使用される場合、治療されている疾患または病態の症状のうちの1つ以上をある程度まで軽減する、投与される薬剤または化合物の十分な量を指す。その結果には、疾患の徴候、症状、もしくは原因の減少及び/または緩和及び/または改善、疾患進行の遅延、または生物系の任意の他の所望の変化が含まれる。例えば、治療用途のための「有効量」は、疾患症状の臨床的に有意な減少をもたらすために必要とされる、本明細書に開示される化合物の量である。任意の個々の場合における適切な「有効」量は、用量漸増試験などの技術を使用して任意選択で決定される。
【0039】
「治療すること」または「治療」という用語は、本明細書において開示される少なくとも1つの化合物、またはその薬学的に許容される塩を投与することを、そのような投与を必要とする哺乳動物対象、特にヒト対象に行うことを包含し、(i)がんなどの疾患の臨床症状の発生を抑止すること、(ii)がんなどの疾患の臨床症状の退行をもたらすこと、及び/または(iii)がんなどの疾患のさらなる症状の発症を防ぐための予防的治療を含む。
【0040】
「対象」という用語は、治療、観察または実験の対象であるか、または対象となる哺乳動物を指す。
【0041】
「哺乳動物」という用語は、その標準的な意味を持つことが意図され、例えば、ヒト、イヌ、ネコ、ヒツジ、及び雌ウシを包含する。本明細書において記載される方法は、ヒトの治療及び獣医学的適用の両方に有用であり得る。いくつかの実施形態において、哺乳動物は、ヒトである。
【0042】
「誘導体」という用語は、「アナログ」という用語と区別なく使用され得る。化合物1の1、2、3、4、または5つの原子が別の原子または官能基(例えば、アミノ、ハロ、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のアリールアルキル、または置換もしくは非置換のシクロアルキル)によって置き換えられて本開示の化合物を形成する場合、化合物1は、誘導体またはアナログであり得る。
【0043】
「溶媒和物」という用語は、化合物の活性及び/または特性のうちの1つ以上を保持しており、かつ望ましくないものではない溶媒和物が挙げられるがこれらに限定されない。溶媒和物の例としては、水、イソプロパノール、エタノール、メタノール、DMSO、酢酸エチル、酢酸、エタノールアミン、またはこれらの組み合わせと組み合わせた化合物が挙げられるがこれらに限定されない。
【0044】
「薬学的に許容される塩」という用語は、好適なアニオンと組み合わせた治療上活性な薬剤のカチオン形態、または代替的な実施形態では、好適なカチオンと組み合わせた治療上活性な薬剤のアニオン形態からなる、治療上活性な薬剤の形態を指す。Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection and Use. International Union of Pure and Applied Chemistry,Wiley-VCH 2002. S.M.Berge,L.D.Bighley,D.C.Monkhouse,J.Pharm.Sci.1977,66,1-19. P.H.Stahl and C.G.Wermuth,editors,Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection and Use,Weinheim/Zurich:Wiley-VCH/VHCA,2002。薬学的な塩は、典型的に、非イオン種よりも溶解性が高く、胃液及び腸液中で速やかに溶解するので、固体剤形に有用である。さらに、溶解度は多くの場合pHの関数であるため、消化管の一部または別の部分における選択的な溶解が可能であり、この能力は、遅延放出及び持続放出の挙動の一態様として操作することができる。また、塩形成分子は、中性形態と平衡状態にあり得るため、生体膜の通過を調節することができる。
【0045】
「塩」という用語は、遊離の酸及び塩基の活性及び特性のうちの1つ以上を保持しており、かつ望ましくないものではない塩を含み得るがこれらに限定されない。塩の例示的な例としては、硫酸塩、二硫酸塩、硫酸水素塩、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、リン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、プロピオン酸塩、デカン酸塩、カプリル酸塩、アクリル酸塩、ギ酸塩、イソ酪酸塩、カプロン酸塩、ヘプタン酸塩、プロピオル酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、ブチン-1,4-ジオアート、ヘキシン-1,6-ジオアート、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、フタル酸塩、スルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、フェニルプロピオン酸塩、フェニル酪酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、γ-ヒドロキシ酪酸塩、グリコール酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、プロパンスルホン酸塩、ナフタレン-1-スルホン酸塩、ナフタレン-2-スルホン酸塩、及びマンデル酸塩が挙げられるがこれらに限定されない。
【0046】
薬学的に許容される塩への言及は、溶媒付加形態を含むことを理解されたい。いくつかの実施形態において、溶媒和物は、化学量論量または非化学量論量のいずれかで溶媒を含有し、水、エタノール及び同等のものなどの薬学的に許容される溶媒による化合物の単離または精製のプロセス中に形成される。溶媒が水である場合には水和物が形成され、または溶媒がアルコールである場合にはアルコラートが形成される。本明細書において記載される化合物の溶媒和物は、本明細書において記載されるプロセスの間に好都合に調製または形成される。加えて、本明細書において提供される化合物は、非溶媒和形態そして溶媒和形態で任意選択で存在する。
【0047】
特に指定のない限り、本明細書において開示または例示される構造に立体中心がある場合は常に、その立体中心は、それぞれの場合においてRまたはSであり得る。
【0048】
個々の立体異性体は、所望により、立体選択的な合成及び/またはキラルクロマトグラフィーカラムによる立体異性体の分離などの方法によって得られる。ある特定の実施形態において、本明細書において記載される化合物は、化合物のラセミ混合物を光学的に活性な分割剤と反応させて一対のジアステレオマー化合物/塩を形成させ、そのジアステレオマーを分離し、光学的に純粋なエナンチオマーを回収することによって、個々の立体異性体として調製される。いくつかの実施形態において、エナンチオマーの分割は、本明細書において記載される化合物の共有結合ジアステレオマー誘導体を用いて実施される。別の実施形態において、ジアステレオマーは、溶解度の違いに基づく分離/分割技術によって分離される。他の実施形態において、立体異性体の分離は、クロマトグラフィーによって、またはジアステレオマー塩の形成及び再結晶、もしくはクロマトグラフィー、もしくはこれらの任意の組み合わせによる分離によって実施される。Jean Jacques,Andre Collet,Samuel H.Wilen,“Enantiomers,Racemates and Resolutions”,John Wiley And Sons,Inc.,1981。いくつかの実施形態において、立体異性体は、立体選択的な合成によって得られる。
【0049】
別の実施形態において、本明細書において記載される化合物は、同位体(例えば、放射性同位体)または別の他の手段によって標識される。
【0050】
本明細書において記載される化合物は、同位体標識化合物を含み、これは、1つ以上の原子が天然で通常見られる原子質量または質量数とは異なる原子質量または質量数を有する原子によって置き換えられているということを除き、本明細書において提示される様々な式及び構造に列挙されるものと同一である。本発明の化合物に組み込むことができる同位体の例としては、水素、炭素、窒素、酸素、フッ素及び塩素の同位体、例えば、H、H、13C、14C、15N、18O、17O、35S、18F、36Clが挙げられる。一態様において、本明細書において記載される同位体標識化合物、例えば、H及び14Cなどの放射性同位体が組み込まれた化合物は、薬物及び/または基質の組織分布アッセイに有用である。一態様において、重水素などの同位体での置換は、より大きな代謝安定性、例えば、in vivo半減期の増加または必要とされる投薬量の減少などから得られる特定の治療上の利点をもたらす。いくつかの実施形態において、本明細書において記載される化合物の1つ以上の水素原子が重水素で置き換えられる。
【0051】
「アミノ」という用語は、孤立電子対を有する塩基性窒素原子を含む官能基を指す。例えば、アミノは、遊離基
【化3】
を含み得、式中、各R’は、独立して、H、ハロ、アルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、またはアシルである。
【0052】
本明細書において使用される場合、C-Cは、C-C、C-C...C-Cを含む。単なる例として、「C-C」として指定される基は、当該部分に1~4の炭素原子があること、すなわち、1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子または4個の炭素原子を含有する基を示す。したがって、単なる例として、「C-Cアルキル」は、アルキル基に1~4の炭素原子があることを示し、すなわち、当該アルキル基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、及びt-ブチルのなかから選択される。
【0053】
「アルキル」基は、脂肪族炭化水素基を指す。アルキル基は、分岐鎖または直鎖である。いくつかの実施形態において、「アルキル」基は、1~10の炭素原子、すなわち、C-C10アルキルを有する。「1~10」などの数値範囲は、本明細書において出現する場合は常に、所与の範囲の各整数を指し、例えば、「1~10の炭素原子」は、アルキル基が1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子、4個の炭素原子、5個の炭素原子、6個の炭素原子などからなり、最大10個の炭素原子を含むことを意味するが、数値範囲が指定されていない「アルキル」という用語の場合も本定義に包含される。いくつかの実施形態において、アルキルは、C-Cアルキルである。一態様において、アルキルは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、またはt-ブチルである。あるいは、アルキルとしては、メチル、エチル、プロパン-1-イル、プロパン-2-イル、ブタン-1-イル、ブタン-2-イル、2-メチル-プロパン-1-イル、2-メチル-プロパン-2-イルなどが挙げられるがこれらに限定されない。典型的なアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、三級ブチル、ペンチル、ネオペンチル、またはヘキシルが挙げられるがこれらに限定されない。
【0054】
「低級アルキル」という用語は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、t-ブチル、n-ヘキシルなどの1、2、3、4、5、または6個の炭素原子を有するモノラジカル分岐または非分岐飽和炭化水素鎖を指し得る。
【0055】
「アルキルスルホン」は、基R-S(O)-を指し、式中、Rは、アルキルは、本明細書において定義される通りである。
【0056】
「アルキルスルホキシド」は、基R-S(O)-を指し、式中、Rは、本明細書において定義される通りのアルキルである。
【0057】
「アルキルチオ」は、基R-S-を指し、式中、Rは、本明細書において定義される通りのアルキルである。
【0058】
いくつかの実施形態において、アルキルが不飽和である場合、アルキルは、アルケニルまたはアルキニルである。
【0059】
「アルケニル」という用語は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合が存在するアルキル基の一種を指す。一実施形態において、アルケニル基は、式-C(R)=CRを有し、式中、Rは、アルケニル基の残りの部分を指し、同じであっても、異なっていてもよい。いくつかの実施形態において、Rは、Hまたはアルキルである。いくつかの実施形態において、アルケニルは、エテニル(すなわち、ビニル)、プロペニル(すなわち、アリル)、ブテニル、ペンテニル、ペンタジエニルなどから選択される。アルケニル基の非限定的な例としては、-CH=CH、-C(CH)=CH、-CH=CHCH、-C(CH)=CHCH、及び-CHCH=CHが挙げられる。あるいは、アルケニルとしては、エテニル、プロパ-1-エン-1-イル、プロパ-1-エン-2-イル、プロパ-2-エン-1-イル(アリル)、ブタ-1-エン-1-イル、ブタ-1-エン-2-イル、2-メチル-プロパ-1-エン-1-イル、ブタ-2-エン-1-イル、ブタ-2-エン-2-イル、ブタ-1,3-ジエン-1-イル、ブタ-1,3-ジエン-2-イルなどが挙げられるがこれらに限定されない。
【0060】
「アルキニル」という用語は、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合が存在するアルキル基の一種を指す。一実施形態において、アルキニル基は、式-C≡C-Rを有し、式中、Rは、アルキニル基の残りの部分を指す。いくつかの実施形態において、Rは、Hまたはアルキルである。いくつかの実施形態において、アルキニルは、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニルなどから選択される。アルキニル基の非限定的な例としては、-C≡CH、-C≡CCH-C≡CCHCH、-CHC≡CHが挙げられる。あるいは、アルキニルとしては、エチニル、プロパ-1-イン-1-イル、プロパ-2-イン-1-イル、ブタ-1-イン-1-イル、ブタ-1-イン-3-イル、ブタ-3-イン-1-イルなどが挙げられるがこれらに限定されない。
【0061】
「アルコキシ」基は、(アルキル)O-基を指し、式中、アルキルは、本明細書において定義される通りである。
【0062】
「フルオロアルキル」という用語は、1つ以上の水素原子がフッ素原子によって置き換えられているアルキルを指す。一態様において、フルオロアルキルは、C-Cフルオロアルキルである。いくつかの実施形態において、フルオロアルキルは、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、1-フルオロメチル-2-フルオロエチルなどから選択される。
【0063】
「フルオロアルコキシ」基は、(フルオロアルキル)O-基を指し、式中、フルオロアルキルは、本明細書において定義される通りである。
【0064】
「ハロ」または「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を指す。
【0065】
「ヘテロアルキル」という用語は、アルキルの1つ以上の骨格原子が、炭素以外の原子、例えば、酸素、窒素(例えば、-NH-、-N(アルキル)-)、硫黄(-S-、-S(O)-、-S(O)-)、リン(-PH-、-P(O)-)、またはこれらの組み合わせ(例えば、-O-P(O)-)から選択されるアルキル基を指す。ヘテロアルキルは、ヘテロアルキルの炭素原子で分子の残りに結合している。一態様において、ヘテロアルキルは、C-Cヘテロアルキルである。いくつかの実施形態において、
【0066】
本明細書において使用される場合、「アリール」という用語は、環を形成する原子の各々が炭素原子である、芳香族環を指す。典型的なアリール基としては、フェニル、ナフチル、フルオレニル、インダニル、インデニルなどが挙げられるがこれらに限定されない。あるいくつかの実施形態において、アリールは、フェニルまたはナフチルである。いくつかの実施形態において、アリールは、フェニルである。いくつかの実施形態において、アリールは、C-C10アリールである。
【0067】
「アリールオキシ」は、基Ar-O-を指し、式中、Arは、本明細書において定義される通りのアリールである。
【0068】
「アリールスルホン」は、基Ar-S(O)-を指し、式中、Arは、本明細書において定義される通りのアリールである。
【0069】
「アリールスルホキシド」は、基R-S(O)-を指し、式中、Arは、本明細書において定義される通りのアリールである。
【0070】
「アリールチオ」は、基Ar-S-を指し、式中、Arは、本明細書において定義される通りのアリールである。
【0071】
「ヘテロアリール」という用語は、窒素、酸素及び硫黄から選択される1つ以上の環ヘテロ原子を含むアリール基を指す。ヘテロアリール基の例示的な例としては、単環式ヘテロアリール及び二環式ヘテロアリールが挙げられる。単環式ヘテロアリールとしては、ピリジニル、イミダゾリル、ピリミジニル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピラジニル、テトラゾリル、フリル、チエニル、イソキサゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、ピロリル、ピリダジニル、トリアジニル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、及びフラザニルが挙げられる。二環式ヘテロアリールとしては、インドリジン、インドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インダゾール、ベンゾイミダゾール、プリン、キノリジン、キノリン、イソキノリン、シンノリン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン、1,8-ナフチリジン、及びプテリジンが挙げられる。いくつかの実施形態において、ヘテロアリールは、環中に0~4のN原子を含有する。いくつかの実施形態において、ヘテロアリールは、環中に1~4のN原子を含有する。いくつかの実施形態において、ヘテロアリールは、環中に0~4のN原子、0~1のO原子及び0~1のS原子を含有する。いくつかの実施形態において、ヘテロアリールは、環中に1~4のN原子、0~1のO原子及び0~1のS原子を含有する。いくつかの実施形態において、ヘテロアリールは、C-Cヘテロアリールである。いくつかの実施形態において、単環式ヘテロアリールは、C-Cヘテロアリールである。いくつかの実施形態において、単環式ヘテロアリールは、5員または6員のヘテロアリールである。いくつかの実施形態において、二環式ヘテロアリールは、C-Cヘテロアリールである。
【0072】
「アリールアルキル」という用語は、アリール基で置換されたアルキルを指す。典型的なアリールアルキル基としては、ベンジル、2-フェニルエタン-1-イル、ナフチルメチル、2-ナフチルエタン-1-イルなどが挙げられるがこれらに限定されない。
【0073】
「ヘテロアリールアルキル」という用語は、ヘテロアリール基で置換されたアルキルを指す。
【0074】
「シクロアルキル」という用語は、環を形成する原子(すなわち骨格原子)の各々が炭素原子である、単環式または多環式の脂肪族非芳香族基を指す。いくつかの実施形態において、シクロアルキルは、単環式、二環式(スピロ環式、縮合または架橋)、または多環式である。シクロアルキル基は、3~10の環原子を有する基を含む(すなわち、(C-C10)シクロアルキル)。いくつかの実施形態において、シクロアルキルは、(C-C)シクロアルキルである。いくつかの実施形態において、シクロアルキル基は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプチル、シクロオクチル、スピロ[2.2]ペンチル、ノルボルニル及びビシクロ[1.1.1]ペンチルのなかから選択される。いくつかの実施形態において、シクロアルキルは、C-Cシクロアルキルである。いくつかの実施形態において、シクロアルキルは、単環式シクロアルキルである。単環式シクロアルキルとしては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、及びシクロオクチルが挙げられるがこれらに限定されない。多環式シクロアルキルとしては、例えば、アダマンチル、ノルボルニル(すなわち、ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル)、ノルボルネニル、デカリニル、7,7-ジメチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタニルなどが挙げられる。
【0075】
いくつかの実施形態において、シクロアルキルは、部分不飽和である(シクロブタ-1-エン-1-イル、シクロブタ-1-エン-3-イル、シクロブタ-1,3-ジエン-1-イルなどが挙げられるがこれらに限定されない「シクロアルケニル」)。
【0076】
「ヘテロシクロアルキル」または「ヘテロ脂環式」または「ヘテロシクリル」基は、窒素、酸素及び硫黄から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含むシクロアルキル基を指す。いくつかの実施形態において、ヘテロシクロアルキルは、アリールまたはヘテロアリールと縮合している。いくつかの実施形態において、ヘテロシクロアルキルは、オキサゾリジノニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペラジニル、ピペリジン-2-オニル、ピロリジン-2,5-ジチオニル、ピロリジン-2,5-ジオニル、ピロリジノニル、イミダゾリジニル、イミダゾリジン-2-オニル、またはチアゾリジン-2-オニルである。ヘテロ脂環式という用語は、全ての炭水化物(単糖、二糖、及びオリゴ糖が挙げられるがこれらに限定されない)の環形態も包含する。一態様において、ヘテロシクロアルキルは、C-C10ヘテロシクロアルキルである。別の態様において、ヘテロシクロアルキルは、C-C10ヘテロシクロアルキルである。いくつかの実施形態において、ヘテロシクロアルキルは、環中に0~2のN原子を含有する。いくつかの実施形態において、ヘテロシクロアルキルは、環中に0~2のN原子、0~2のO原子及び0~1のS原子を含有する。
【0077】
「アシル」という用語は、-C(O)R’を指し得、式中、R’は、水素、アルキル、置換アルキル、アリールアルキル、置換アリールアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アリール、または置換アリールである。
【0078】
「置換された」という用語は、1つ以上の水素原子がそれぞれ独立して同じまたは異なる置換基(複数可)で置き換えられた基を指し得る。典型的な置換基は、含むが、ある。
【0079】
「置換された」または「任意選択で置換された」という用語は、言及されている基が、D、ハロゲン、-CN、-NH、-NH(アルキル)、-N(アルキル)、-OH、-COH、-COアルキル、-C(=O)NH、-C(=O)NH(アルキル)、-C(=O)N(アルキル)、-S(=O)NH、-S(=O)NH(アルキル)、-S(=O)N(アルキル)、アルキル、シクロアルキル、フルオロアルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、フルオロアルコキシ、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、アルキルスルホキシド、アリールスルホキシド、アルキルスルホン、及びアリールスルホンから個々にかつ独立して選択される1つ以上の追加の基で任意選択で置換されることを意味する。いくつかの実施形態において、任意の置換基は、ハロ、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、またはアシルから独立して選択される。いくつかの他の実施形態において、任意の置換基は、D、ハロゲン、-CN、-NH、-NH(CH)、-N(CH、-OH、-COH、-CO(C-Cアルキル)、-C(=O)NH、-C(=O)NH(C-Cアルキル)、-C(=O)N(C-Cアルキル)、-S(=O)NH、-S(=O)NH(C-Cアルキル)、-S(=O)N(C-Cアルキル)、C-Cアルキル、C-Cシクロアルキル、C-Cフルオロアルキル、C-Cヘテロアルキル、C-Cアルコキシ、C-Cフルオロアルコキシ、-SC-Cアルキル、-S(=O)C-Cアルキル、及び-S(=O)-Cアルキルから独立して選択される。いくつかの実施形態において、任意の置換基は、D、ハロゲン、-CN、-NH、-OH、-NH(CH)、-N(CH、-CH、-CHCH、-CF、-OCH、及び-OCFから独立して選択される。いくつかの実施形態において、置換される基は、前述の基のうちの1つまたは2つにより置換される。いくつかの実施形態において、脂肪族炭素原子(非環式または環式)上の任意の置換基は、オキソ(=O)を含む。
【0080】
プロドラッグ
一態様において、式(A)によって表される化合物(例えば、化合物1のプロドラッグ):
【化4】
またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物が本明細書において記載され、式中、
及びRは、水素、及び置換または非置換のアルキルからそれぞれ独立して選択され、
は、置換または非置換のフェニル、及び置換または非置換のヘテロアリールから選択され、ここで、Rが置換される場合、Rは、ハロゲン、-CN、-OH、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cアルコキシ、C-Cフルオロアルキル、C-Cフルオロアルコキシ、及び置換または非置換のC-Cヘテロアルキルから選択される1つ以上の基で置換され、
は、置換または非置換のアルキルであり、
は、水素または置換もしくは非置換のアルキルであり、
あるいは、R及びRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、カルボニル(C=O)を形成するか、
あるいは、R及びRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、置換もしくは非置換のC-C10シクロアルキル、または置換もしくは非置換のC-C10ヘテロシクロアルキルである環を形成し、ここで、環が置換される場合、環は、1つ以上のR15で置換され、
15は、水素、置換または非置換のアルキル、置換または非置換のヘテロアルキル、置換または非置換のフェニル、置換または非置換のヘテロアリール、-アルキル-(置換または非置換のフェニル)、-アルキル-(置換または非置換のヘテロアリール)、-C(=O)R16、-C(=O)-OR16、-C(=O)N(R16であり、
各R16は、水素及び置換または非置換のアルキルから独立して選択され、
は、水素、R、-C(=O)R、-C(=O)-OR、-C(=O)N(R)(R)、-C(=O)-SR、または-P(=O)(ORであり、
あるいは、RとRは、それらが結合している原子と一緒になって、置換または非置換のC-C10ヘテロシクロアルキルを形成し、
は、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のヘテロアルキル、置換もしくは非置換のC-C10シクロアルキル、置換もしくは非置換のC-C10ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換のフェニル、置換もしくは非置換のヘテロアリール、-アルキル-(置換もしくは非置換のフェニル)、-アルキル-(置換もしくは非置換のヘテロアリール)、-アルキル-(置換もしくは非置換のシクロアルキル)、-アルキル-(置換もしくは非置換のヘテロシクロアルキル)、-(C(R10O)-R11、-(CHCHO)-R11、または-(C(R10-OR11であり、
は、水素またはアルキルであり、
あるいは、RとRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、置換または非置換のC-C10ヘテロシクロアルキルを形成し、
各Rは、水素及びアルキルから独立して選択され、
各R10は、水素及びアルキルから独立して選択され、
11は、水素、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のヘテロアルキル、置換もしくは非置換のC-C10ヘテロシクロアルキル、-C(=O)R12、-C(=O)-OR12、-C(=O)N(R12)(R)、-C(=O)-SR12、または-P(=O)(ORであり、
12は、水素、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のヘテロアルキル、置換もしくは非置換のC-C10シクロアルキル、置換もしくは非置換のC-C10ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換のフェニル、置換もしくは非置換のヘテロアリール、-アルキル-(置換もしくは非置換のフェニル)、または-アルキル-(置換もしくは非置換のヘテロアリール)であり、
mは、1、2、3、4、5、または6であり、
nは、1、2、3、4、5、または6であり、
pは、1、2、3、4、5、または6であり、
ここで、置換とは、言及されている基が、ハロゲン、-CN、-NH、-NH(アルキル)、-N(アルキル)、-OH、-COH、-COアルキル、-C(=O)NH、-C(=O)NH(アルキル)、-C(=O)N(アルキル)、-S(=O)NH、-S(=O)NH(アルキル)、-S(=O)N(アルキル)、アルキル、シクロアルキル、フルオロアルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、フルオロアルコキシ、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、アルキルスルホキシド、アリールスルホキシド、アルキルスルホン、及びアリールスルホンから個々にかつ独立して選択される1つ以上の追加の基で置換されることを意味する。
【0081】
いくつかの実施形態において、mは、1、2、3、4、5、または6である。いくつかの実施形態において、mは、1、2、3、4、または5である。いくつかの実施形態において、mは、1、2、3、または4である。いくつかの実施形態において、mは、1、2、または3である。いくつかの実施形態において、mは、1または2である。いくつかの実施形態において、mは、1である。いくつかの実施形態において、mは、2、3、4、5、または6である。
【0082】
いくつかの実施形態において、nは、1、2、3、4、5、または6である。いくつかの実施形態において、nは、1、2、3、4、または5である。いくつかの実施形態において、nは、1、2、3、または4である。いくつかの実施形態において、nは、1、2、または3である。いくつかの実施形態において、nは、1または2である。いくつかの実施形態において、nは、2または3である。いくつかの実施形態において、nは、1である。いくつかの実施形態において、nは、2である。いくつかの実施形態において、nは、3である。いくつかの実施形態において、nは、2、3、4、5、または6である。
【0083】
いくつかの実施形態において、pは、1、2、3、4、5、または6である。いくつかの実施形態において、pは、1、2、3、4、または5である。いくつかの実施形態において、pは、1、2、3、または4である。いくつかの実施形態において、pは、1、2、または3である。いくつかの実施形態において、pは、1または2である。いくつかの実施形態において、pは、1である。いくつかの実施形態において、pは、2、3、4、5、または6である。
【0084】
いくつかの実施形態において、R及びRは、置換または非置換のC-Cアルキルからそれぞれ独立して選択される。いくつかの実施形態において、R及びRは、非置換のC-Cアルキルからそれぞれ独立して選択される。いくつかの実施形態において、Rは、エチルである。いくつかの実施形態において、Rは、n-プロピルである。いくつかの実施形態において、Rはエチルであり、Rはn-プロピルである。
【0085】
いくつかの実施形態において、Rは、置換または非置換のフェニルから選択される。いくつかの実施形態において、Rは、置換されたフェニルである。いくつかの実施形態において、Rは、ハロゲン、C-Cアルキル、またはC-Cフルオロアルキルから独立して選択される1つ以上の基によって置換されたフェニルである。いくつかの実施形態において、Rは、C-Cフルオロアルキルから独立して選択される1つ以上の基によって置換されたフェニルである。いくつかの実施形態において、Rは、1つ、2つ、または3つの-CF置換基で置換されたフェニルから選択される。いくつかの実施形態において、Rは、1つの-CF置換基で置換されたフェニルから選択される。いくつかの実施形態において、Rは、
【化5】
である。
【0086】
いくつかの実施形態において、R及びRは、置換または非置換のC-Cアルキルからそれぞれ独立して選択され、Rは、置換または非置換のフェニルから選択される。
【0087】
いくつかの実施形態において、R及びRは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、tert-ペンチル、ネオペンチル、イソペンチル、sec-ペンチル、3-ペンチル、n-ヘキシル、イソヘキシル、3-メチルペンチル、2,3-ジメチルブチル、及びネオヘキシルからそれぞれ独立して選択される。
【0088】
いくつかの実施形態において、Rはエチルであり、Rはn-プロピルであり、Rは3-(トリフルオロメチル)フェニルである。
【0089】
いくつかの実施形態において、RはC-Cアルキルであり、Rは水素及びC-Cアルキルから選択される。いくつかの実施形態において、R及びRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、カルボニル(C=O)を形成する。
【0090】
いくつかの実施形態において、Rはメチル、エチル、またはn-プロピルであり、Rは水素、メチル、エチル、及びn-プロピルから選択される。いくつかの実施形態において、Rは、メチルまたはエチルである。いくつかの実施形態において、Rは、水素である。いくつかの実施形態において、Rはメチルまたはエチルであり、Rは水素である。
【0091】
いくつかの実施形態において、Rは、Rである。いくつかの実施形態において、Rは、-(C=O)Rである。いくつかの実施形態において、Rは、-(C=O)-ORである。
【0092】
いくつかの実施形態において、Rは、Rであり、Rは、C-Cアルキル、置換もしくは非置換のC-Cヘテロアルキル、置換もしくは非置換の単環式C-Cシクロアルキル、置換もしくは非置換の二環式C-C10シクロアルキル、置換もしくは非置換の単環式C-Cヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換の二環式C-C10ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換のフェニル、置換もしくは非置換の単環式ヘテロアリール、-CH-(置換もしくは非置換のフェニル)、-CH-(置換もしくは非置換のヘテロアリール)、-CH-(置換もしくは非置換のC-Cヘテロシクロアルキル)、-CH(R10)O-R11、-(CHCHO)-R11、または-(C(R10-OR11であり、各R10は、水素及びメチルから独立して選択され、R11は、水素、C-Cアルキル、置換もしくは非置換のC-Cヘテロアルキル、置換もしくは非置換のC-C10ヘテロシクロアルキル、-C(=O)R12、-C(=O)-OR12、-C(=O)N(R12)(R)、-C(=O)-SR12、または-P(=O)(ORである。
【0093】
いくつかの実施形態において、Rは、C-Cアルキル、置換もしくは非置換のC-Cヘテロアルキル、-CH-(置換もしくは非置換のフェニル)、-CH-(置換もしくは非置換のヘテロアリール)、-CH-(置換もしくは非置換のC-Cヘテロシクロアルキル)、-CH(R10)O-R11、または-(CHCHO)-R11であり、R10は、水素及びメチルであり、R11は、水素、C-Cアルキル、置換もしくは非置換のC-Cヘテロアルキル、置換もしくは非置換のC-C10ヘテロシクロアルキル、-C(=O)R12
-C(=O)-OR12、-C(=O)N(R12)(R)、-C(=O)-SR12、または-P(=O)(OH)である。
【0094】
いくつかの実施形態において、Rは、C-Cアルキルである。いくつかの実施形態において、Rは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、またはn-ペンチルである。
【0095】
いくつかの実施形態において、Rは、-CH(R10)O-R11であり、ここで、R11は、-C(=O)R12であり、R12は、非置換のアルキル、非置換のC-C10シクロアルキルである。いくつかの実施形態において、R12は、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、またはn-ペンチルである。いくつかの実施形態において、R12は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、またはシクロヘキシルである。
【0096】
いくつかの実施形態において、Rは、-CH(R10)O-R11であり、ここで、R11は、-P(=O)(ORである。いくつかの実施形態において、Rは、水素である。
【0097】
いくつかの実施形態において、Rは、-(CHCHO)-R11であり、ここで、R11は、非置換のアルキルである。いくつかの実施形態において、R11は、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、またはn-ペンチルである。
【0098】
いくつかの実施形態において、Rは、-CH-(置換または非置換のC-Cヘテロシクロアルキル)である。いくつかの実施形態において、Rは、-CH-(置換C-Cヘテロシクロアルキル)である。いくつかの実施形態において、Rは、
【化6】
である。
【0099】
いくつかの実施形態において、Rは、置換または非置換のC-C10シクロアルキルである。いくつかの実施形態において、Rは、非置換のC-C10シクロアルキルである。いくつかの実施形態において、Rは、単環式C-C10シクロアルキルである。いくつかの実施形態において、Rは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、またはシクロヘキシルである。いくつかの実施形態において、Rは、シクロヘキシルである。いくつかの実施形態において、Rは、スピロ環式C-C10シクロアルキルである。いくつかの実施形態において、Rは、アダマンチルである。
【0100】
いくつかの実施形態において、Rは、メチルまたはエチルであり、Rは、水素、R、-C(=O)R、-C(=O)-OR、-C(=O)N(R)(R)、-C(=O)-SR、または-P(=O)(ORであり、Rは、C-Cアルキル、置換もしくは非置換のC-Cヘテロアルキル、置換もしくは非置換の単環式C-Cシクロアルキル、置換もしくは非置換の二環式C-C10シクロアルキル、置換もしくは非置換の単環式C-Cヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換の二環式C-C10ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換のフェニル、置換もしくは非置換の単環式ヘテロアリール、-CH-(置換もしくは非置換のフェニル)、-CH-(置換もしくは非置換のヘテロアリール)、-CH-(置換もしくは非置換のC-Cヘテロシクロアルキル)、-CH(R10)O-R11、-(CHCHO)-R11、または-(C(R10-OR11であり、各R10は、水素及びメチルから独立して選択され、R11は、水素、C-Cアルキル、置換もしくは非置換のC-Cヘテロアルキル、置換もしくは非置換のC-C10ヘテロシクロアルキル、-C(=O)R12、-C(=O)-OR12、-C(=O)N(R12)(R)、-C(=O)-SR12、または-P(=O)(ORである。
【0101】
いくつかの実施形態において、Rは、R、-C(=O)R、-C(=O)-OR、-C(=O)N(R)(R)、-C(=O)-SR、または-P(=O)(OH)であり、Rは、C-Cアルキル、置換もしくは非置換のC-Cヘテロアルキル、置換もしくは非置換のシクロヘキシル、置換もしくは非置換のシクロペンチル、置換もしくは非置換のビシクロ[1.1.1]ペンタニル、置換もしくは非置換のビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、置換もしくは非置換のビシクロ[2.2.2]オクタニル、置換もしくは非置換のビシクロ[3.2.1]オクタニル、置換もしくは非置換のビシクロ[3.3.0]オクタニル、置換もしくは非置換のビシクロ[4.3.0]ノナニル、または置換もしくは非置換のデカリニル、置換もしくは非置換のオキセタニル、置換もしくは非置換のテトラヒドロピラニル、置換もしくは非置換のアゼチジニル、置換もしくは非置換のピロリジニル、置換もしくは非置換のピペリジニル、置換もしくは非置換のモルホリニル、置換もしくは非置換のチオモルホリニル、置換もしくは非置換のフェニル、置換もしくは非置換の単環式ヘテロアリール、-CH-(置換もしくは非置換のフェニル)、-CH-(置換もしくは非置換のヘテロアリール)、-CH-(置換もしくは非置換のC-Cヘテロシクロアルキル)、-CH(R10)O-R11、-(CHCHO)-R11、または-(C(R10-OR11であり、各R10は、水素及びメチルから独立して選択され、R11は、水素、C-Cアルキル、置換もしくは非置換のC-Cヘテロアルキル、置換もしくは非置換のC-C10ヘテロシクロアルキル、-C(=O)R12、-C(=O)-OR12、-C(=O)N(R12)(R)、-C(=O)-SR12、または-P(=O)(ORである。
【0102】
いくつかの実施形態において、Rは、Rであり、ここで、Rは、C-Cアルキルである。いくつかの実施形態において、Rは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、またはn-ペンチルである。
【0103】
いくつかの実施形態において、Rは、-C(=O)Rであり、ここで、Rは、C-Cアルキルまたは非置換のC-C10シクロアルキルである。いくつかの実施形態において、Rは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、またはn-ペンチルである。いくつかの実施形態において、Rは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ビシクロ[1.1.1]ペンタニル、sビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、ビシクロ[2.2.2]オクタニル、ビシクロ[3.2.1]オクタニル、ビシクロ[3.3.0]オクタニル、またはビシクロ[4.3.0]ノナニルである。
【0104】
いくつかの実施形態において、Rは、-C(=O)-ORであり、ここで、Rは、C-Cアルキルまたは非置換のC-C10シクロアルキルである。いくつかの実施形態において、Rは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、またはn-ペンチルである。いくつかの実施形態において、Rは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ビシクロ[1.1.1]ペンタニル、sビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、ビシクロ[2.2.2]オクタニル、ビシクロ[3.2.1]オクタニル、ビシクロ[3.3.0]オクタニル、またはビシクロ[4.3.0]ノナニルである。
【0105】
いくつかの実施形態において、化合物(例えば、化合物1のプロドラッグ)は、式(III)の以下の構造:
【化7】
またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を有する。
【0106】
いくつかの実施形態において、R及びRは、置換または非置換のC-Cアルキルからそれぞれ独立して選択され、Rは、置換または非置換のフェニルから選択される。
【0107】
いくつかの実施形態において、R及びRは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、tert-ペンチル、ネオペンチル、イソペンチル、sec-ペンチル、3-ペンチル、n-ヘキシル、イソヘキシル、3-メチルペンチル、2,3-ジメチルブチル、及びネオヘキシルからそれぞれ独立して選択される。
【0108】
いくつかの実施形態において、Rはエチルであり、Rはn-プロピルであり、Rは3-(トリフルオロメチル)フェニルである。
【0109】
いくつかの実施形態において、化合物1のプロドラッグは、式(III)によって表される化合物:
【化8】
またはその薬学的に許容される塩であり、
式中、
及びRは、水素及び置換または非置換のC-Cアルキルからそれぞれ独立して選択され、
は、置換及び非置換のフェニルから選択され、ここで、Rが置換される場合、Rは、ハロゲン、-CN、及びC-Cフルオロアルキルから選択される1つ以上の基で置換され、
は、水素またはRであり、
は、置換もしくは非置換のC-Cアルキル、アルキル-(置換もしくは非置換のヘテロシクロアルキル)、-(CHCHO)-R11、または-(C(R10-OR11であり、
各Rは、水素及びC-Cアルキルから独立して選択され、
各R10は、水素及びC-Cアルキルから独立して選択され、
11は、水素、置換もしくは非置換のアルキル、-C(=O)R12、または-P(=O)(ORであり、
12は、水素、置換もしくは非置換のC-Cアルキル、または置換もしくは非置換のC-C10シクロアルキルであり、
nは、1、2、3、4、5、または6であり、
pは、1、2、3、4、5、または6であり、
ここで、置換とは、言及されている基が、C-Cアルキルから個々にかつ独立して選択される1つ以上の追加の基で置換されることを意味する。
【0110】
式(III)のいくつかの実施形態において、
及びRは、置換または非置換のC-Cアルキルからそれぞれ独立して選択され、
は、置換または非置換のフェニルから選択される。
【0111】
式(III)のいくつかの実施形態において、
及びRは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、tert-ペンチル、ネオペンチル、イソペンチル、sec-ペンチル、3-ペンチル、n-ヘキシル、イソヘキシル、3-メチルペンチル、2,3-ジメチルブチル、及びネオヘキシルからそれぞれ独立して選択される。
【0112】
式(III)のいくつかの実施形態において、化合物は、以下の構造:
【化9】
またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を有する。そのような実施形態のいくつかにおいて、
は、Rであり、
は、C-Cアルキル、-(CHCHO)-R11、または-(C(R10-OR11であり、
各R10は、水素及びメチルから独立して選択され、
11は、水素、C-Cアルキル、-C(=O)R12、または-P(=O)(ORであり、
12は、置換もしくは非置換のC-Cアルキル、または置換もしくは非置換のC-C10シクロアルキルであり、
nは、1、2、3、4、5、または6であり、
pは、1、2、3、4、5、または6であり、
ここで、置換とは、言及されている基が、C-Cアルキルから個々にかつ独立して選択される1つ以上の追加の基で置換されることを意味する。
【0113】
式(III)のいくつかの実施形態において、Rは、C-Cアルキルである。
【0114】
式(III)のいくつかの実施形態において、化合物は、以下の構造のうちの1つ:
【化10】
またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を有する。
【0115】
いくつかの実施形態において、化合物1のプロドラッグは、式(III)によって表される化合物であり、化合物は、以下の構造のうちの1つ:
【化11】
またはその薬学的に許容される塩を有する。
【0116】
いくつかの実施形態において、化合物1のプロドラッグは、以下の構造の化合物:
【化12】
またはその薬学的に許容される塩である。
【0117】
いくつかの実施形態において、化合物1のプロドラッグは、以下の構造の化合物:
【化13】
またはその薬学的に許容される塩である。
【0118】
いくつかの実施形態において、化合物1のプロドラッグは、以下の構造の化合物:
【化14】
またはその薬学的に許容される塩である。
【0119】
いくつかの実施形態において、化合物1のプロドラッグは、以下の構造の化合物:
【化15】
またはその薬学的に許容される塩である。
【0120】
いくつかの実施形態において、化合物1のプロドラッグは、以下の構造の化合物:
【化16】
またはその薬学的に許容される塩である。
【0121】
いくつかの実施形態において、化合物(例えば、化合物1のプロドラッグ)は、以下の構造:
【化17】
またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を有する。
【0122】
いくつかの実施形態において、Rは、Rであり、Rは、C-Cアルキル、置換もしくは非置換のC-Cヘテロアルキル、置換もしくは非置換の単環式C-Cシクロアルキル、置換もしくは非置換の二環式C-C10シクロアルキル、置換もしくは非置換の単環式C-Cヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換の二環式C-C10ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換のフェニル、置換もしくは非置換の単環式ヘテロアリール、-CH-(置換もしくは非置換のフェニル)、-CH-(置換もしくは非置換のヘテロアリール)、-CH-(置換もしくは非置換のC-Cヘテロシクロアルキル)、-CH(R10)O-R11、-(CHCHO)-R11、または-(C(R10-OR11であり、各R10は、水素及びメチルから独立して選択され、R11は、水素、C-Cアルキル、置換もしくは非置換のC-Cヘテロアルキル、置換もしくは非置換のC-C10ヘテロシクロアルキル、-C(=O)R12、-C(=O)-OR12、-C(=O)N(R12)(R)、-C(=O)-SR12、または-P(=O)(ORである。
【0123】
いくつかの実施形態において、Rは、C-Cアルキル、置換もしくは非置換のC-Cヘテロアルキル、-CH-(置換もしくは非置換のフェニル)、-CH-(置換もしくは非置換のヘテロアリール)、-CH-(置換もしくは非置換のC-Cヘテロシクロアルキル)、-CH(R10)O-R11、または-(CHCHO)-R11であり、R10は、水素及びメチルであり、R11は、水素、C-Cアルキル、置換もしくは非置換のC-Cヘテロアルキル、置換もしくは非置換のC-C10ヘテロシクロアルキル、-C(=O)R12、-C(=O)-OR12、-C(=O)N(R12)(R)、-C(=O)-SR12、または-P(=O)(OH)である。
【0124】
いくつかの実施形態において、化合物(例えば、化合物1のプロドラッグ)は、以下の構造のうちの1つ:
【化18】
またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を有する。
【0125】
いくつかの実施形態において、化合物(例えば、化合物1のプロドラッグ)は、以下の構造のうちの1つ:
【化19】
またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を有する。
【0126】
いくつかの実施形態において、化合物(例えば、化合物1のプロドラッグ)は、式(I)の以下の構造:
【化20】
またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を有する。
【0127】
いくつかの実施形態において、R及びRは、置換または非置換のC-Cアルキルからそれぞれ独立して選択され、Rは、置換または非置換のフェニルから選択される。
【0128】
いくつかの実施形態において、Rはエチルであり、Rはn-プロピルであり、Rは3-(トリフルオロメチル)フェニルである。
【0129】
いくつかの実施形態において、化合物(例えば、化合物1のプロドラッグ)は、以下の構造:
【化21】
またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を有する。
【0130】
いくつかの実施形態において、Rは、メチルまたはエチルであり、Rは、水素、R、-C(=O)R、-C(=O)-OR、-C(=O)N(R)(R)、-C(=O)-SR、または-P(=O)(ORであり、Rは、C-Cアルキル、置換もしくは非置換のC-Cヘテロアルキル、置換もしくは非置換の単環式C-Cシクロアルキル、置換もしくは非置換の二環式C-C10シクロアルキル、置換もしくは非置換の単環式C-Cヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換の二環式C-C10ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換のフェニル、置換もしくは非置換の単環式ヘテロアリール、-CH-(置換もしくは非置換のフェニル)、-CH-(置換もしくは非置換のヘテロアリール)、-CH-(置換もしくは非置換のC-Cヘテロシクロアルキル)、-CH(R10)O-R11、-(CHCHO)-R11、または-(C(R10-OR11であり、各R10は、水素及びメチルから独立して選択され、R11は、水素、C-Cアルキル、置換もしくは非置換のC-Cヘテロアルキル、置換もしくは非置換のC-C10ヘテロシクロアルキル、-C(=O)R12、-C(=O)-OR12、-C(=O)N(R12)(R)、-C(=O)-SR12、または-P(=O)(ORである。
【0131】
いくつかの実施形態において、Rは、R、-C(=O)R、-C(=O)-OR、-C(=O)N(R)(R)、-C(=O)-SR、または-P(=O)(OH)であり、Rは、C-Cアルキル、置換もしくは非置換のC-Cヘテロアルキル、置換もしくは非置換のシクロヘキシル、置換もしくは非置換のシクロペンチル、置換もしくは非置換のビシクロ[1.1.1]ペンタニル、置換もしくは非置換のビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、置換もしくは非置換のビシクロ[2.2.2]オクタニル、置換もしくは非置換のビシクロ[3.2.1]オクタニル、置換もしくは非置換のビシクロ[3.3.0]オクタニル、置換もしくは非置換のビシクロ[4.3.0]ノナニル、または置換もしくは非置換のデカリニル、置換もしくは非置換のオキセタニル、置換もしくは非置換のテトラヒドロピラニル、置換もしくは非置換のアゼチジニル、置換もしくは非置換のピロリジニル、置換もしくは非置換のピペリジニル、置換もしくは非置換のモルホリニル、置換もしくは非置換のチオモルホリニル、置換もしくは非置換のフェニル、置換もしくは非置換の単環式ヘテロアリール、-CH-(置換もしくは非置換のフェニル)、-CH-(置換もしくは非置換のヘテロアリール)、-CH-(置換もしくは非置換のC-Cヘテロシクロアルキル)、-CH(R10)O-R11、-(CHCHO)-R11、または-(C(R10-OR11であり、各R10は、水素及びメチルから独立して選択され、R11は、水素、C-Cアルキル、置換もしくは非置換のC-Cヘテロアルキル、置換もしくは非置換のC-C10ヘテロシクロアルキル、-C(=O)R12、-C(=O)-OR12、-C(=O)N(R12)(R)、-C(=O)-SR12、または-P(=O)(ORである。
【0132】
いくつかの実施形態において、化合物(例えば、化合物1のプロドラッグ)は、以下の構造のうちの1つ:
【化22-1】
【化22-2】
またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を有する。
【0133】
いくつかの実施形態において、化合物(例えば、化合物1のプロドラッグ)は、式(II)の以下の構造:
【化23】
(式中、
Yは、-CH-、O、S、-NR15-、及び-S(O)-から選択され、
Zは、OまたはSである)
またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を有する。
【0134】
いくつかの実施形態において、R及びRは、置換または非置換のC-Cアルキルからそれぞれ独立して選択され、Rは、置換または非置換のフェニルから選択される。
【0135】
いくつかの実施形態において、Rはエチルであり、Rはn-プロピルであり、Rは3-(トリフルオロメチル)フェニルである。
【0136】
いくつかの実施形態において、化合物(例えば、化合物1のプロドラッグ)は、以下の構造:
【化24】
またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を有する。
【0137】
いくつかの実施形態において、化合物(例えば、化合物1のプロドラッグ)は、以下の構造:
【化25】
またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を有する。
【0138】
いくつかの実施形態において、化合物(例えば、化合物1のプロドラッグ)は、式(IIa)の以下の構造:
【化26】
(式中、
Yは、-CH-、O、S、-NR15-、及び-S(O)-から選択される)
またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を有する。
【0139】
いくつかの実施形態において、R及びRは、置換または非置換のC-Cアルキルからそれぞれ独立して選択され、Rは、置換または非置換のフェニルから選択される。
【0140】
いくつかの実施形態において、置換とは、言及されている基が、ハロゲン、-CN、-NH、-NH(アルキル)、-N(アルキル)、-OH、-COH、-COアルキル、-C(=O)NH、-C(=O)NH(アルキル)、-C(=O)N(アルキル)、-S(=O)NH、-S(=O)NH(アルキル)、-S(=O)N(アルキル)、アルキル、シクロアルキル、フルオロアルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、フルオロアルコキシ、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、アルキルスルホキシド、アリールスルホキシド、アルキルスルホン、及びアリールスルホンから個々にかつ独立して選択される1つ以上の追加の基で置換されることを意味する。いくつかの他の実施形態において、置換とは、言及されている基が、ハロゲン、-CN、-NH、-NH(アルキル)、-N(アルキル)、-OH、-COH、-COアルキル、-C(=O)NH、-C(=O)NH(アルキル)、-C(=O)N(アルキル)、-S(=O)NH、-S(=O)NH(アルキル)、-S(=O)N(アルキル)、アルキル、シクロアルキル、フルオロアルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、フルオロアルコキシ、及びヘテロシクロアルキルから個々にかつ独立して選択される1つ以上の追加の基で置換されることを意味する。さらに他の実施形態において、置換とは、言及されている基が、ハロゲン、-CN、-NH、-NH(アルキル)、-N(アルキル)、-OH、-COH、-COアルキル、-C(=O)NH、-C(=O)NH(アルキル)、-C(=O)N(アルキル)、-S(=O)NH、-S(=O)NH(アルキル)、-S(=O)N(アルキル)、アルキル、フルオロアルキル、アルコキシ、及びフルオロアルコキシから個々にかつ独立して選択される1つ以上の追加の基で置換されることを意味する。
【0141】
いくつかの実施形態において、Rはエチルであり、Rはn-プロピルであり、Rは3-(トリフルオロメチル)フェニルである。
【0142】
いくつかの実施形態において、化合物(例えば、化合物1のプロドラッグ)は、以下の構造:
【化27】
またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を有する。
【0143】
いくつかの実施形態において、式(A)の化合物(例えば、化合物1のプロドラッグ)は、表1に記載されるものを含む。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【0144】
別の態様において、式(B)によって表される化合物(例えば、化合物1のプロドラッグ):
【化28】
またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物が本明細書において記載され、式中、
及びRは、水素、及び置換または非置換のアルキルからそれぞれ独立して選択され、
は、置換または非置換のフェニル、及び置換または非置換のヘテロアリールから選択され、ここで、Rが置換される場合、Rは、ハロゲン、-CN、-OH、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cアルコキシ、C-Cフルオロアルキル、C-Cフルオロアルコキシ、及び置換または非置換のC-Cヘテロアルキルから選択される1つ以上の基で置換され、
は、水素または置換もしくは非置換のアルキルであり、
は、水素または置換もしくは非置換のアルキルであり、
あるいは、R及びRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、カルボニル(C=O)を形成するか、
あるいは、R及びRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、置換もしくは非置換のC-C10シクロアルキル、または置換もしくは非置換のC-C10ヘテロシクロアルキルである環を形成し、ここで、環が置換される場合、環は、1つ以上のR15で置換され、
15は、水素、置換または非置換のアルキル、置換または非置換のヘテロアルキル、置換または非置換のフェニル、置換または非置換のヘテロアリール、-アルキル-(置換または非置換のフェニル)、-アルキル-(置換または非置換のヘテロアリール)、-C(=O)R16、-C(=O)-OR16、-C(=O)N(R16であり、
各R16は、水素及び置換または非置換のアルキルから独立して選択され、
は、置換もしくは非置換のC-C10シクロアルキル、置換もしくは非置換のC-C10ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換のフェニル、置換もしくは非置換のヘテロアリール、-アルキル-(置換もしくは非置換のフェニル)、-アルキル-(置換もしくは非置換のヘテロアリール)、-アルキル-(置換もしくは非置換のシクロアルキル)、-アルキル-(置換もしくは非置換のヘテロシクロアルキル)、-(C(R10O)-R11、-C(=O)-(C(R10O)-R11、-C(=O)-(CHCHO)-R11、-C(=O)-Rまたは-C(=O)-ORであり、
は、置換または非置換の二環式シクロアルキル、置換または非置換の二環式ヘテロシクロアルキル、置換または非置換の二環式ヘテロアリール、(環中に少なくとも1つのO原子を含有する置換または非置換のヘテロシクロアルキル)、置換または非置換のアゼチジニル、置換または非置換のピペリジニル、置換または非置換のアゼピニル、置換または非置換の5員ヘテロアリール、置換または非置換のピリジン-2-イル、置換または非置換のピリジン-4-イル、置換または非置換のピリミジニル、置換または非置換のピラジニル、置換または非置換のピリダジニル、置換または非置換のトリアジニルであり、
あるいは、RとRは、それらが結合している原子と一緒になって、置換または非置換のC-C10ヘテロシクロアルキルを形成し、
は、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のヘテロアルキル、置換もしくは非置換のC-C10シクロアルキル、置換もしくは非置換のC-C10ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換のフェニル、置換もしくは非置換のヘテロアリール、-アルキル-(置換もしくは非置換のフェニル)、-アルキル-(置換もしくは非置換のヘテロアリール)、-アルキル-(置換もしくは非置換のシクロアルキル)、-アルキル-(置換もしくは非置換のヘテロシクロアルキル)、-(C(R10O)-R11、-(CHCHO)-R11、または-(C(R10-OR11であり、
各Rは、水素及びアルキルから独立して選択され、
各R10は、水素及びアルキルから独立して選択され、
11は、水素、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のヘテロアルキル、置換もしくは非置換のC-C10ヘテロシクロアルキル、-C(=O)R12、-C(=O)-OR12、-C(=O)N(R12)(R)、-C(=O)-SR12、または-P(=O)(ORであり、
12は、水素、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のヘテロアルキル、置換もしくは非置換のC-C10シクロアルキル、置換もしくは非置換のC-C10ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換のフェニル、置換もしくは非置換のヘテロアリール、-アルキル-(置換もしくは非置換のフェニル)、または-アルキル-(置換もしくは非置換のヘテロアリール)であり、
mは、1、2、3、4、5、または6であり、
nは、1、2、3、4、5、または6であり、
pは、1、2、3、4、5、または6であり、
ここで、置換とは、言及されている基が、ハロゲン、-CN、-NH、-NH(アルキル)、-N(アルキル)、-OH、-COH、-COアルキル、-C(=O)NH、-C(=O)NH(アルキル)、-C(=O)N(アルキル)、-S(=O)NH、-S(=O)NH(アルキル)、-S(=O)N(アルキル)、アルキル、シクロアルキル、フルオロアルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、フルオロアルコキシ、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、アルキルスルホキシド、アリールスルホキシド、アルキルスルホン、及びアリールスルホンから個々にかつ独立して選択される1つ以上の追加の基で置換されることを意味する。
【0145】
いくつかの実施形態において、mは、1、2、3、4、5、または6である。いくつかの実施形態において、mは、1、2、3、4、または5である。いくつかの実施形態において、mは、1、2、3、または4である。いくつかの実施形態において、mは、1、2、または3である。いくつかの実施形態において、mは、1または2である。いくつかの実施形態において、mは、1である。いくつかの実施形態において、mは、2、3、4、5、または6である。
【0146】
いくつかの実施形態において、nは、1、2、3、4、5、または6である。いくつかの実施形態において、nは、1、2、3、4、または5である。いくつかの実施形態において、nは、1、2、3、または4である。いくつかの実施形態において、nは、1、2、または3である。いくつかの実施形態において、nは、1または2である。いくつかの実施形態において、nは、2または3である。いくつかの実施形態において、nは、1である。いくつかの実施形態において、nは、2である。いくつかの実施形態において、nは、3である。いくつかの実施形態において、nは、2、3、4、5、または6である。
【0147】
いくつかの実施形態において、pは、1、2、3、4、5、または6である。いくつかの実施形態において、pは、1、2、3、4、または5である。いくつかの実施形態において、pは、1、2、3、または4である。いくつかの実施形態において、pは、1、2、または3である。いくつかの実施形態において、pは、1または2である。いくつかの実施形態において、pは、1である。いくつかの実施形態において、pは、2、3、4、5、または6である。
【0148】
いくつかの実施形態において、化合物1のプロドラッグは、次の構造
【化29】
またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を有する。
【0149】
いくつかの実施形態において、Rは、水素であり、Rは、水素であり、Rは、置換もしくは非置換のC-C10シクロアルキル、置換もしくは非置換のC-C10ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換のフェニル、置換もしくは非置換のヘテロアリール、-アルキル-(置換もしくは非置換のフェニル)、-アルキル-(置換もしくは非置換のヘテロアリール)、-アルキル-(置換もしくは非置換のシクロアルキル)、-アルキル-(置換もしくは非置換のヘテロシクロアルキル)、-(C(R10O)-R11、-C(=O)-(C(R10O)-R11、-C(=O)-(CHCHO)-R11、-C(=O)-Rまたは-C(=O)-ORである。
【0150】
いくつかの実施形態において、R及びRは、置換または非置換のC-Cアルキルからそれぞれ独立して選択される。いくつかの実施形態において、R及びRは、非置換のC-Cアルキルからそれぞれ独立して選択される。いくつかの実施形態において、Rは、エチルである。いくつかの実施形態において、Rは、n-プロピルである。いくつかの実施形態において、Rはエチルであり、Rはn-プロピルである。
【0151】
いくつかの実施形態において、Rは、置換または非置換のフェニルから選択される。いくつかの実施形態において、Rは、置換されたフェニルである。いくつかの実施形態において、Rは、ハロゲン、C-Cアルキル、またはC-Cフルオロアルキルから独立して選択される1つ以上の基によって置換されたフェニルである。いくつかの実施形態において、Rは、C-Cフルオロアルキルから独立して選択される1つ以上の基によって置換されたフェニルである。いくつかの実施形態において、Rは、1つ、2つ、または3つの-CF置換基で置換されたフェニルから選択される。いくつかの実施形態において、Rは、1つの-CF置換基で置換されたフェニルから選択される。いくつかの実施形態において、Rは、
【化30】
である。
【0152】
いくつかの実施形態において、R及びRは、置換または非置換のC-Cアルキルからそれぞれ独立して選択され、Rは、置換または非置換のフェニルから選択される。
【0153】
いくつかの実施形態において、R及びRは、置換または非置換のC-Cアルキルからそれぞれ独立して選択され、Rは、置換または非置換のフェニルから選択される。
【0154】
いくつかの実施形態において、R及びRは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、tert-ペンチル、ネオペンチル、イソペンチル、sec-ペンチル、3-ペンチル、n-ヘキシル、イソヘキシル、3-メチルペンチル、2,3-ジメチルブチル、及びネオヘキシルからそれぞれ独立して選択される。
【0155】
いくつかの実施形態において、Rはエチルであり、Rはn-プロピルであり、Rは3-(トリフルオロメチル)フェニルである。いくつかの実施形態において、化合物(例えば、化合物1のプロドラッグ)は、以下の構造:
【化31】
またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を有する。
【0156】
いくつかの実施形態において、R11は、水素、置換もしくは非置換のアルキル、-C(=O)R12、-C(=O)-OR12、-C(=O)N(R12)(R)、または-P(=O)(ORである。いくつかの実施形態において、R11は、置換もしくは非置換のアルキル、-C(=O)R12、-C(=O)-OR12、または-P(=O)(ORである。いくつかの実施形態において、R11は、-C(=O)R12または-P(=O)(ORである。いくつかの実施形態において、R11は、-C(=O)R12または-P(=O)(OH)である。
【0157】
いくつかの実施形態において、化合物(例えば、化合物1のプロドラッグ)は、以下の構造のうちの1つ:
【化32】
またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を有する。
【0158】
いくつかの実施形態において、R12は、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のC-C10シクロアルキルである。いくつかの実施形態において、R12は、非置換のC-Cアルキルまたは非置換のC-C10シクロアルキルである。いくつかの実施形態において、R12は、非置換のC-Cアルキルである。いくつかの実施形態において、R12は、非置換のC-Cシクロアルキルである。
【0159】
いくつかの実施形態において、化合物(例えば、化合物1のプロドラッグ)は、以下の構造のうちの1つ:
【化33】
またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を有する。
【0160】
いくつかの実施形態において、Rは、-C(=O)-(C(R10O)-R11、-C(=O)-(CHCHO)-R11、-C(=O)-Rまたは-C(=O)-ORである。
【0161】
いくつかの実施形態において、化合物(例えば、化合物1のプロドラッグ)は、以下の構造:
【化34】
またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を有する。
【0162】
いくつかの実施形態において、Rは、縮合二環式シクロアルキル、架橋二環式シクロアルキル、またはスピロ二環式シクロアルキルである置換もしくは非置換の二環式シクロアルキルであるか、またはRは、縮合二環式ヘテロシクロアルキル、架橋二環式ヘテロシクロアルキル、もしくはスピロ二環式ヘテロシクロアルキルである置換もしくは非置換の二環式ヘテロシクロアルキルであるか、またはRは、置換もしくは非置換の二環式ヘテロアリールである。
【0163】
いくつかの実施形態において、Rは、置換もしくは非置換のビシクロ[1.1.1]ペンタニル、置換もしくは非置換のビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、置換もしくは非置換のビシクロ[2.2.2]オクタニル、置換もしくは非置換のビシクロ[3.2.1]オクタニル、置換もしくは非置換のビシクロ[3.3.0]オクタニル、置換もしくは非置換のビシクロ[4.3.0]ノナニル、または置換もしくは非置換のデカリニルである。
【0164】
いくつかの実施形態において、化合物(例えば、化合物1のプロドラッグ)は、以下の構造のうちの1つ:
【化35】
またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を有する。
【0165】
いくつかの実施形態において、Rは、環中に少なくとも1つのO原子を含有する置換または非置換のヘテロシクロアルキル、置換または非置換のアゼチジニル、置換または非置換のピペリジニル、置換または非置換のアゼピニル、置換または非置換の5員ヘテロアリール、置換または非置換のピリジン-2-イル、置換または非置換のピリジン-4-イル、置換または非置換のピリミジニル、置換または非置換のピラジニル、置換または非置換のピリダジニル、置換または非置換のトリアジニルである。いくつかの実施形態において、Rは、置換または非置換のテトラヒドロフラニル、置換または非置換のテトラヒドロピラニル、置換または非置換のテトラヒドロジオキサニル、置換または非置換のアゼチジニル、置換または非置換のピペリジニル、置換または非置換のアゼピニル、置換または非置換のピロリル、置換または非置換のイミダゾリル、置換または非置換のピラゾリル、置換または非置換のトリアゾリル、置換または非置換のテトラゾリル、置換または非置換のオキサゾリル、置換または非置換のイソオキサゾリル、置換または非置換のチアゾリル、置換または非置換のイソチアゾリル、置換または非置換のピリジン-2-イル、置換または非置換のピリジン-4-イル、置換または非置換のピリミジニル、置換または非置換のピラジニル、置換または非置換のピリダジニル、置換または非置換のトリアジニルである。いくつかの実施形態において、Rは、置換もしくは非置換のテトラヒドロジオキサニル、置換もしくは非置換のアゼチジニル、置換もしくは非置換のピペリジニル、置換もしくは非置換のイミダゾリル、置換もしくは非置換のピリジン-2-イル、置換もしくは非置換のピリジン-4-イル、または置換もしくは非置換のピリミジニルである。
【0166】
いくつかの実施形態において、Rは、置換もしくは非置換のテトラヒドロフラニル、置換もしくは非置換のジヒドロフラニル、置換もしくは非置換のオキサゾリジノニル、置換もしくは非置換のテトラヒドロピラニル、置換もしくは非置換のジヒドロピラニル、置換もしくは非置換のテトラヒドロチオピラニル、置換もしくは非置換のモルホリニル、置換もしくは非置換のオキセタニル、置換もしくは非置換のオキセパニル、置換もしくは非置換のオキサゼピニル、または置換もしくは非置換のジオキサニルである、環中に少なくとも1つのO原子を含有する置換または非置換のヘテロシクロアルキルである。
【0167】
いくつかの実施形態において、Rは、置換もしくは非置換のフラニル、置換もしくは非置換のチエニル、置換もしくは非置換のピロリル、置換もしくは非置換のオキサゾリル、置換もしくは非置換のチアゾリル、置換もしくは非置換のイミダゾリル、置換もしくは非置換のピラゾリル、置換もしくは非置換のトリアゾリル、置換もしくは非置換のテトラゾリル、置換もしくは非置換のイソオキサゾリル、置換もしくは非置換のイソチアゾリル、置換もしくは非置換のオキサジアゾリル、または置換もしくは非置換のチアジアゾリルである、置換または非置換の5員ヘテロアリールである。
【0168】
いくつかの実施形態において、化合物(例えば、化合物1のプロドラッグ)は、以下の構造のうちの1つ:
【化36】
またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を有する。
【0169】
いくつかの実施形態において、Rは、エチルであり、Rは、n-プロピルであり、Rは、3-(トリフルオロメチル)フェニルであり、Rは、-C(=O)-(C(R10O)-R11、-C(=O)-(CHCHO)-R11、または-C(=O)-ORである。
【0170】
いくつかの実施形態において、化合物(例えば、化合物1のプロドラッグ)は、以下の構造のうちの1つ:
【化37】
またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を有する。
【0171】
いくつかの実施形態において、Rは、エチルであり、Rは、n-プロピルであり、Rは、3-(トリフルオロメチル)フェニルであり、Rは、置換または非置換のC-C10シクロアルキル、置換または非置換のC-C10ヘテロシクロアルキル、置換または非置換のフェニル、置換または非置換のヘテロアリール、-アルキル-(置換または非置換のフェニル)、-アルキル-(置換または非置換のヘテロアリール)、-アルキル-(置換または非置換のシクロアルキル)、-アルキル-(置換または非置換のヘテロシクロアルキル)である。いくつかの実施形態において、Rは、-CH-(置換または非置換のC-Cヘテロシクロアルキル)である。いくつかの実施形態において、Rは、-CH-(置換C-Cヘテロシクロアルキル)である。いくつかの実施形態において、Rは、
【化38】
である。
【0172】
いくつかの実施形態において、置換とは、言及されている基が、ハロゲン、-CN、-NH、-NH(アルキル)、-N(アルキル)、-OH、-COH、-COアルキル、-C(=O)NH、-C(=O)NH(アルキル)、-C(=O)N(アルキル)、-S(=O)NH、-S(=O)NH(アルキル)、-S(=O)N(アルキル)、アルキル、シクロアルキル、フルオロアルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、フルオロアルコキシ、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、アルキルスルホキシド、アリールスルホキシド、アルキルスルホン、及びアリールスルホンから個々にかつ独立して選択される1つ以上の追加の基で置換されることを意味する。いくつかの他の実施形態において、置換とは、言及されている基が、ハロゲン、-CN、-NH、-NH(アルキル)、-N(アルキル)、-OH、-COH、-COアルキル、-C(=O)NH、-C(=O)NH(アルキル)、-C(=O)N(アルキル)、-S(=O)NH、-S(=O)NH(アルキル)、-S(=O)N(アルキル)、アルキル、シクロアルキル、フルオロアルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、フルオロアルコキシ、及びヘテロシクロアルキルから個々にかつ独立して選択される1つ以上の追加の基で置換されることを意味する。さらに他の実施形態において、置換とは、言及されている基が、ハロゲン、-CN、-NH、-NH(アルキル)、-N(アルキル)、-OH、-COH、-COアルキル、-C(=O)NH、-C(=O)NH(アルキル)、-C(=O)N(アルキル)、-S(=O)NH、-S(=O)NH(アルキル)、-S(=O)N(アルキル)、アルキル、フルオロアルキル、アルコキシ、及びフルオロアルコキシから個々にかつ独立して選択される1つ以上の追加の基で置換されることを意味する。
【0173】
いくつかの実施形態において、化合物(例えば、化合物1のプロドラッグ)は、以下の構造:
【化39】
またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を有する。
【0174】
いくつかの実施形態において、式(B)の化合物(例えば、化合物1のプロドラッグ)は、表2に示されるものを含む。いくつかの実施形態において、本明細書において記載される化合物は、2019年9月12日に公開されたWO2019/173380に記載の手順に従って調製することができ、その手順は、その全体が参照することによって本明細書に援用される。
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【表2-4】
【0175】
一態様において、化合物1のプロドラッグは、以下の構造のうちのいずれか1つ:
【化40-1】
【化40-2】
【化40-3】
【化40-4】
【化40-5】
【化40-6】
またはその任意の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を有する。
【0176】
いくつかの実施形態において、化合物1のプロドラッグは、以下の構造
【化41】
またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を有し、式中、
Xは、O、S、NHR’、NR’R’’、CH、CHR’、またはCR’R’’であり、
R’は、C-Cアルキルであり、
R’’は、C-Cアルキルであり、
は、水素、R、-C(=O)R、-C(=O)-OR、-C(=O)N(R)(R)、-C(=O)-SR、または-P(=O)(ORであり、
は、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のヘテロアルキル、置換もしくは非置換のC-C10シクロアルキル、置換もしくは非置換のC-C10ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換のフェニル、置換もしくは非置換のヘテロアリール、-アルキル-(置換もしくは非置換のフェニル)、-アルキル-(置換もしくは非置換のヘテロアリール)、-アルキル-(置換もしくは非置換のシクロアルキル)、-アルキル-(置換もしくは非置換のヘテロシクロアルキル)、-(C(R10O)-R11、-(CHCHO)-R11、または-(C(R10-OR11であり、
は、水素またはアルキルであり、
あるいは、RとRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、置換または非置換のC-C10ヘテロシクロアルキルを形成し、
各Rは、水素及びアルキルから独立して選択され、
各R10は、水素及びアルキルから独立して選択され、
11は、水素、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のヘテロアルキル、置換もしくは非置換のC-C10ヘテロシクロアルキル、-C(=O)R12、-C(=O)-OR12、-C(=O)N(R12)(R)、-C(=O)-SR12、または-P(=O)(ORであり、
12は、水素、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のヘテロアルキル、置換もしくは非置換のC-C10シクロアルキル、置換もしくは非置換のC-C10ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換のフェニル、置換もしくは非置換のヘテロアリール、-アルキル-(置換もしくは非置換のフェニル)、または-アルキル-(置換もしくは非置換のヘテロアリール)であり、
mは、1、2、3、4、5、または6であり、
nは、1、2、3、4、5、または6であり、
pは、1、2、3、4、5、または6であり、
ここで、置換とは、言及されている基が、ハロゲン、-CN、-NH、-NH(アルキル)、-N(アルキル)、-OH、-COH、-COアルキル、-C(=O)NH、-C(=O)NH(アルキル)、-C(=O)N(アルキル)、-S(=O)NH、-S(=O)NH(アルキル)、-S(=O)N(アルキル)、アルキル、シクロアルキル、フルオロアルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、フルオロアルコキシ、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、アルキルスルホキシド、アリールスルホキシド、アルキルスルホン、及びアリールスルホンから個々にかつ独立して選択される1つ以上の追加の基で置換されることを意味する。
【0177】
これらのA2Bアデノシン受容体アンタゴニストのプロドラッグは、7位のキサンチンを置換することによって、化合物1のプロドラッグと同様に設計及び合成することができる。
【0178】
本明細書において記載される併用療法で使用するためのさらなる化合物としては、WO2019/135259に記載の化合物のいずれか1つが挙げられる。そのような化合物としては、5-プロピル-2-[1-[[3-(トリフルオロメチル)フェニル]メチル]ピラゾール-4-イル]-3H-イミダゾ[2,1-b]プリン-4-オン(A1)、2-(1-ベンジルピラゾール-4-イル)-5-プロピル-3H-イミダゾ[2,1-b]プリン-4-オン(A2)、5-メチル-2-[1-[[3-(トリフルオロメチル)フェニル]メチル]ピラゾール-4-イル]-3H-イミダゾ[2,1-b]プリン-4-オン(A3)、5-プロピル-2-[1-[2-[3-(トリフルオロメチル)フェニル]エチル]ピラゾール-4-イル]-3H-イミダゾ[2,1-b]プリン-4-オン(A4)、2-[1-[2-(3-フルオロフェニル)エチル]ピラゾール-4-イル]-5-プロピル-3H-イミダゾ[2,1-b]プリン-4-オン(A5)、2-(1-メチルピラゾール-4-イル)-5-プロピル-3H-イミダゾ[2,1-b]プリン-4-オン(A6)、2-[1-(1,1-ジメチルプロピル)ピラゾール-4-イル]-5-プロピル-3H-イミダゾ[2,1-b]プリン-4-オン(A7)、N-イソプロピル-3-[3-[4-(4-オキソ-5-プロピル-3H-イミダゾ[2,1-b]プリン-2-イル)ピラゾール-1-イル]プロパ-1-イニル]ベンズアミド(B1)、3-[3-[4-(4-オキソ-5-プロピル-3H-イミダゾ[2,1-b]プリン-2-イル)ピラゾール-1-イル]プロパ-1-イニル]安息香酸エチル(B2)、5-プロピル-2-[1-[3-[3-(トリフルオロメトキシ)フェニル]プロパ-2-イニル]ピラゾール-4-イル]-3H-イミダゾ[2,1-b]プリン-4-オン(B3)、4-メチル-3-[3-[4-(4-オキソ-5-プロピル-3H-イミダゾ[2,1-b]プリン-2-イル)ピラゾール-1-イル]プロパ-1-イニル]安息香酸エチル(B6)、3-[[4-(4-オキソ-5-プロピル-3H-イミダゾ[2,1-b]プリン-2-イル)ピラゾール-1-イル]メチル]ベンゾニトリル(B7)、2-(1-イソプロピルピラゾール-4-イル)-5-プロピル-3H-イミダゾ[2,1-b]プリン-4-オン(B8)、2-(1-ブチルピラゾール-4-イル)-5-プロピル-3H-イミダゾ[2,1-b]プリン-4-オン(B9)、2-(1-エチルピラゾール-4-イル)-5-プロピル-3H-イミダゾ[2,1-b]プリン-4-オン(B10)、2-[1-(2-メトキシエチル)ピラゾール-4-イル]-5-プロピル-3H-イミダゾ[2,1-b]プリン-4-オン(B11)、2-[1-(2-ジメチルアミノエチル)ピラゾール-4-イル]-5-プロピル-3H-イミダゾ[2,1-b]プリン-4-オン(B12)、5-プロピル-2-(1-プロピルピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[2,1-b]プリン-4-オン(B13)、N,N-ジメチル-2-[4-(4-オキソ-5-プロピル-3H-イミダゾ[2,1-b]プリン-2-イル)ピラゾール-1-イル]アセトアミド(B14)、2-[1-(2-モルホリノエチル)ピラゾール-4-イル]-5-プロピル-3H-イミダゾ[2,1-b]プリン-4-オン(B15)、2-[1-(シクロブチルメチル)ピラゾール-4-イル]-5-プロピル-3H-イミダゾ[2,1-b]プリン-4-オン(B16)、2-(1-イソブチルピラゾール-4-イル)-5-プロピル-3H-イミダゾ[2,1-b]プリン-4-オン(B17)、2-[1-(シクロプロピルメチル)ピラゾール-4-イル]-5-プロピル-3H-イミダゾ[2,1-b]プリン-4-オン(B18)、2-[1-(2,2-ジメチルプロピル)ピラゾール-4-イル]-5-プロピル-3H-イミダゾ[2,1-b]プリン-4-オン(B19)、5-プロピル-2-(1-sec-ブチルピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[2,1-b]プリン-4-オン(B20)、5-プロピル-2-[1-(テトラヒドロフラン-2-イルメチル)ピラゾール-4-イル]-3H-イミダゾ[2,1-b]プリン-4-オン(B21)、2-[1-[[5-オキソ-1-[2-(トリフルオロメチル)-4-ピリジル]ピロリジン-3-イル]メチル]ピラゾール-4-イル]-5-プロピル-3H-イミダゾ[2,1-b]プリン-4-オン(C1)、2-[1-[[5-オキソ-1-[5-(トリフルオロメチル)-3-ピリジル]ピロリジン-3-イル]メチル]ピラゾール-4-イル]-5-プロピル-3H-イミダゾ[2,1-b]プリン-4-オン(C2)、2-[1-[[5-オキソ-1-[3-(トリフルオロメチル)フェニル]ピロリジン-3-イル]メチル]ピラゾール-4-イル]-5-プロピル-3H-イミダゾ[2,1-b]プリン-4-オン(C3)、2-[1-[2-(1-ピペリジル)エチル]ピラゾール-4-イル]-5-プロピル-3H-イミダゾ[2,1-b]プリン-4-オン(D1)、2-[1-[[3-(ヒドロキシメチル)フェニル]メチル]ピラゾール-4-イル]-5-プロピル-3H-イミダゾ[2,1-b]プリン-4-オン(E1)、2-[1-[[3-(1-ヒドロキシ-1-メチル-エチル)フェニル]メチル]ピラゾール-4-イル]-5-プロピル-3H-イミダゾ[2,1-b]プリン-4-オン(F1)、3-[[4-(4-オキソ-5-プロピル-3H-イミダゾ[2,1-b]プリン-2-イル)ピラゾール-1-イル]メチル]安息香酸(G1)、2-[4-(4-オキソ-5-プロピル-3H-イミダゾ[2,1-b]プリン-2-イル)ピラゾール-1-イル]酢酸(H1)、2-[1-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピル)ピラゾール-4-イル]-5-プロピル-3H-イミダゾ[2,1-b]プリン-4-オン(I1)、2-[1-(2,3-ジヒドロキシプロピル)ピラゾール-4-イル]-5-プロピル-3H-イミダゾ[2,1-b]プリン-4-オン(J1)、2-(3,4-ジメトキシフェニル)-5-プロピル-3H-イミダゾ[2,1-b]プリン-4-オン(K1)、5-プロピル-2-[3-(トリフルオロメチル)フェニル]-3H-イミダゾ[2,1-b]プリン-4-オン(K2)、2-[1-[(3-フルオロフェニル)メチル]ピラゾール-4-イル]-5-プロピル-3H-イミダゾ[2,1-b]プリン-4-オン(K3)、2-[1-[(3-メトキシフェニル)メチル]ピラゾール-4-イル]-5-プロピル-3H-イミダゾ[2,1-b]プリン-4-オン(K4)、2-[4-[2-(1-ピペリジル)エトキシ]フェニル]-5-プロピル-3H-イミダゾ[2,1-b]プリン-4-オン(K5)、2-(5-メトキシ-2-ピリジル)-5-プロピル-3H-イミダゾ[2,1-b]プリン-4-オン(K6)、2-(4-エトキシフェニル)-5-プロピル-3H-イミダゾ[2,1-b]プリン-4-オン(K7)、N-イソプロピル-2-[4-(4-オキソ-5-プロピル-3H-イミダゾ[2,1-b]プリン-2-イル)ピラゾール-1-イル]アセトアミド(L1)、N-(オキセタン-3-イル)-2-[4-(4-オキソ-5-プロピル-3H-イミダゾ[2,1-b]プリン-2-イル)ピラゾール-1-イル]アセトアミド(L2)、4-プロピル-2-[1-[[3-(トリフルオロメチル)フェニル]メチル]ピラゾール-4-イル]-1H-イミダゾ[2,1-f]プリン-5-オン(II)、2-[1-(2-フリルメチル)ピラゾール-4-イル]-5-プロピル-3H-イミダゾ[2,1-b]プリン-4-オン(III)、5-プロピル-2-[1-(2-チエニルメチル)ピラゾール-4-イル]-3H-イミダゾ[2,1-b]プリン-4-オン(IV)、2-[1-(オキサゾール-2-イルメチル)ピラゾール-4-イル]-5-プロピル-3H-イミダゾ[2,1-b]プリン-4-オン(V)、2-[1-(イソオキサゾール-5-イルメチル)ピラゾール-4-イル]-5-プロピル-3H-イミダゾ[2,1-b]プリン-4-オン(VI)、2-[1-[(5-メチル-2-チエニル)メチル]ピラゾール-4-イル]-5-プロピル-3H-イミダゾ[2,1-b]プリン-4-オン(VII)、2-[1-[(3,5-ジフルオロフェニル)メチル]ピラゾール-4-イル]-5-プロピル-3H-イミダゾ[2,1-b]プリン-4-オン(VIII)、5-プロピル-2-[1-(4-ピリジルメチル)ピラゾール-4-イル]-3H-イミダゾ[2,1-b]プリン-4-オン(IX)、5-プロピル-2-[1-(3-ピリジルメチル)ピラゾール-4-イル]-3H-イミダゾ[2,1-b]プリン-4-オン(X)、5-プロピル-2-[1-(2-ピリジルメチル)ピラゾール-4-イル]-3H-イミダゾ[2,1-b]プリン-4-オン(XI)、5-プロピル-2-[1-(ピリミジン-5-イルメチル)ピラゾール-4-イル]-3H-イミダゾ[2,1-b]プリン-4-オン(XII)、5-プロピル-2-[1-(ピリダジン-4-イルメチル)ピラゾール-4-イル]-3H-イミダゾ[2,1-b]プリン-4-オン(XIII)、2-[1-[(1-オキソイソインドリン-5-イル)メチル]ピラゾール-4-イル]-5-プロピル-3H-イミダゾ[2,1-b]プリン-4-オン(XIV)、2-[1-[(2-メチル-1-オキソ-イソインドリン-5-イル)メチル]ピラゾール-4-イル]-5-プロピル-3H-イミダゾ[2,1-b]プリン-4-オン(XV)、2-[1-[(1-オキソ-3,4-ジヒドロ-2H-イソキノリン-6-イル)メチル]ピラゾール-4-イル]-5-プロピル-3H-イミダゾ[2,1-b]プリン-4-オン(XVI)、2-[1-[(2-オキソ-3,4-ジヒドロ-1H-キノリン-6-イル)メチル]ピラゾール-4-イル]-5-プロピル-3H-イミダゾ[2,1-b]プリン-4-オン(XVII)、5-プロピル-2-[1-(キノキサリン-6-イルメチル)ピラゾール-4-イル]-3H-イミダゾ[2,1-b]プリン-4-オン(XVIII)、2-[1-(2-ナフチルメチル)ピラゾール-4-イル]-5-プロピル-3H-イミダゾ[2,1-b]プリン-4-オン(XIX)、2-[1-[[3-(アゼチジン-3-イル)フェニル]メチル]ピラゾール-4-イル]-5-プロピル-3H-イミダゾ[2,1-b]プリン-4-オン(XX)、2-[1-[[3-(2-メトキシエトキシ)フェニル]メチル]ピラゾール-4-イル]-5-プロピル-3H-イミダゾ[2,1-b]プリン-4-オン(XXI)、2-[1-[[4-(2-メトキシエトキシ)フェニル]メチル]ピラゾール-4-イル]-5-プロピル-3H-イミダゾ[2,1-b]プリン-4-オン(XXII)、5-プロピル-2-[1-[3-[3-(トリフルオロメチル)フェニル]プロパ-2-イニル]ピラゾール-4-イル]-3H-イミダゾ[2,1-b]プリン-4-オン(XXIII)、2-[1-[3-(3-フルオロフェニル)プロパ-2-イニル]ピラゾール-4-イル]-5-プロピル-3H-イミダゾ[2,1-b]プリン-4-オン(XXIV)、2-[1-[3-(4-フルオロフェニル)プロパ-2-イニル]ピラゾール-4-イル]-5-プロピル-3H-イミダゾ[2,1-b]プリン-4-オン(XXV)、5-プロピル-2-[1-[3-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]プロパ-2-イニル]ピラゾール-4-イル]-3H-イミダゾ[2,1-b]プリン-4-オン(XXVI)、2-[1-[[1-(3-フルオロフェニル)-5-オキソ-ピロリジン-3-イル]メチル]ピラゾール-4-イル]-5-プロピル-3H-イミダゾ[2,1-b]プリン-4-オン(XXVII)、2-[1-[[1-(m-トリル)-5-オキソ-ピロリジン-3-イル]メチル]ピラゾール
-4-イル]-5-プロピル-3H-イミダゾ[2,1-b]プリン-4-オン(XXVIII)、2-[1-[(3-クロロ-5-フルオロ-フェニル)メチル]ピラゾール-4-イル]-5-プロピル-3H-イミダゾ[2,1-b]プリン-4-オン(XXIX)、2-[[4-(4-オキソ-5-プロピル-3H-イミダゾ[2,1-b]プリン-2-イル)ピラゾール-1-イル]メチル]ベンゾニトリル(XXX)、2-[1-[(2-フルオロフェニル)メチル]ピラゾール-4-イル]-5-プロピル-3H-イミダゾ[2,1-b]プリン-4-オン(XXXI)、4-[[4-(4-オキソ-5-プロピル-3H-イミダゾ[2,1-b]プリン-2-イル)ピラゾール-1-イル]メチル]ベンゾニトリル(XXXII)、2-[1-[[3-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル]メチル]ピラゾール-4-イル]-5-プロピル-3H-イミダゾ[2,1-b]プリン-4-オン(XXXIII)、2-[1-[1-(3-フルオロフェニル)エチル]ピラゾール-4-イル]-5-プロピル-3H-イミダゾ[2,1-b]プリン-4-オン(XXXIV)、2-[1-[(4-イソプロピルフェニル)メチル]ピラゾール-4-イル]-5-プロピル-3H-イミダゾ[2,1-b]プリン-4-オン(XXXV)、5-プロピル-2-[1-(2,2,2-トリフルオロエチル)ピラゾール-4-イル]-3H-イミダゾ[2,1-b]プリン-4-オン(XXXVI)、2-[1-(2-アミノエチル)ピラゾール-4-イル]-5-プロピル-3H-イミダゾ[2,1-b]プリン-4-オン(XXXVII)、5-プロピル-2-(1-テトラヒドロピラン-4-イルピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[2,1-b]プリン-4-オン(XXXVIII)、2-(1-シクロペンチルピラゾール-4-イル)-5-プロピル-3H-イミダゾ[2,1-b]プリン-4-オン(XXXIX)、7-メチル-5-プロピル-2-[1-[[3-(トリフルオロメチル)フェニル]メチル]ピラゾール-4-イル]-3H-イミダゾ[2,1-b]プリン-4-オン(XL)、8-メチル-5-プロピル-2-[1-[[3-(トリフルオロメチル)フェニル]メチル]ピラゾール-4-イル]-3H-イミダゾ[2,1-b]プリン-4-オン(XLI)、7-メチル-5-プロピル-2-(1-プロピルピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[2,1-b]プリン-4-オン(XLII)、2-(1-エチルピラゾール-4-イル)-7-メチル-5-プロピル-3H-イミダゾ[2,1-b]プリン-4-オン(XLIII)、7-メチル-2-(1-メチルピラゾール-4-イル)-5-プロピル-3H-イミダゾ[2,1-b]プリン-4-オン(XLIV)、5-プロピル-2-(1-プロピルピラゾール-4-イル)-7-(トリフルオロメチル)-3H-イミダゾ[2,1-b]プリン-4-オン(XLV)、5-プロピル-7-(トリフルオロメチル)-2-[1-[[3-(トリフルオロメチル)フェニル]メチル]ピラゾール-4-イル]-3H-イミダゾ[2,1-b]プリン-4-オン(XLVI)、2-[1-(m-トリルメチル)ピラゾール-4-イル]-4-プロピル-1H-イミダゾ[2,1-f]プリン-5-オン(XLVII)、2-[1-[(3-フルオロフェニル)メチル]ピラゾール-4-イル]-4-プロピル-1H-イミダゾ[2,1-f]プリン-5-オン(XLVIII)、3-[[4-(5-オキソ-4-プロピル-1H-イミダゾ[2,1-f]プリン-2-イル)ピラゾール-1-イル]メチル]ベンゾニトリル(XLIX)、3-[[4-(4-エチル-5-オキソ-1H-イミダゾ[2,1-f]プリン-2-イル)ピラゾール-1-イル]メチル]ベンゾニトリル(L)、3-[1-メチル-1-[4-(4-オキソ-5-プロピル-3H-イミダゾ[2,1-b]プリン-2-イル)ピラゾール-1-イル]エチル]ベンゾニトリル(LI)、5-プロピル-2-[3-[[3-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]イソオキサゾール-5-イル]-3H-イミダゾ[2,1-b]プリン-4-オン(LII)が挙げられる。
【0179】
医薬組成物
いくつかの実施形態において、本明細書において記載される化合物は、医薬組成物へと製剤化される。医薬組成物は、薬学的に使用される調製物への活性化合物の加工を容易にする、1つまたは複数の薬学的に許容される非活性成分を使用して、従来方式で製剤化される。適切な製剤は、選択された投与経路に依存する。本明細書において記載される医薬組成物の要約は、例えばRemington:The Science and Practice of Pharmacy,Nineteenth Ed(Easton,Pa.:Mack Publishing Company,1995);Hoover,John E.,Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,Easton,Pennsylvania 1975;Liberman,H.A.and Lachman,L.,Eds.,Pharmaceutical Dosage Forms,Marcel Decker,New York,N.Y.,1980;及びPharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,Seventh Ed.(Lippincott Williams & Wilkins1999)中で見出され、かかる開示は参照することによって本明細書に援用される。
【0180】
いくつかの実施形態において、本明細書において記載される化合物は、医薬組成物中、単独でまたは薬学的に許容される担体、賦形剤もしくは希釈剤と併用して投与される。本明細書において記載される化合物及び組成物の投与は、作用部位への化合物の送達を可能にする任意の方法によって達成され得る。
【0181】
本明細書において記載される化合物を組み込んだ医薬組成物は、薬学的に許容される任意の物理的形態を取ることができる。経口投与用の医薬組成物が特に好ましい。例えば、そのような医薬組成物としては、錠剤、トローチ剤、ロゼンジ剤、水性もしくは油性の懸濁剤、分散性粉末もしくは顆粒剤、エマルジョン、硬カプセル剤もしくは軟カプセル剤、またはシロップ剤もしくはエリキシル剤が挙げられるがこれらに限定されない。
【0182】
薬学で使用される製剤化の既知の方法に従って、医薬組成物を調製することができる。錠剤、チュアブル剤、カプセル剤、及び液剤が挙げられるがこれらに限定されない通常のタイプの組成物の全てが企図される。
【0183】
カプセル剤は、本明細書において記載される化合物を好適な希釈剤と混合し、適切な量の混合物をカプセル剤に充填することによって、調製することができる。錠剤は、直接圧縮、湿式造粒、または乾式造粒によって調製することができる。これらの製剤は、通常、希釈剤、結合剤、滑沢剤、及び崩壊剤、ならびに本明細書において記載される化合物を活性な治療剤として組み込んでいる。錠剤製剤中の滑沢剤は、ダイにおける錠剤と杵とのスティッキングを防ぐのに役立ち得る。錠剤崩壊剤は、濡れると膨潤して錠剤を崩壊し、化合物を放出する物質である。腸溶性製剤は、多くの場合、胃の強酸性成分から有効成分を保護し、胃腸管における崩壊及び吸収を遅らせるために使用される。そのような製剤は、酸性環境において不溶性であり、塩基性環境において可溶性である高分子膜で固形剤形をコーティングすることによって作製される。錠剤は、多くの場合、風味及びシーラントとしての糖でコーティングされる。
【0184】
治療の方法、投薬、及び治療レジメン
本明細書において開示される化合物、またはその薬学的に許容される塩、もしくは溶媒和物は、がんの治療に有用である。
【0185】
「がん」という用語は、本明細書において使用される場合、制御されない方法で分裂増殖し、いくつかの事例において、転移する(広がる)傾向のある細胞の異常増殖を指す。がんのタイプとしては、転移有りまたは無しの疾患の任意のステージでの、固形腫瘍(膀胱、腸、脳、乳房、子宮内膜、心臓、腎臓、肺、肝臓、子宮、リンパ組織(リンパ腫)、卵巣、膵臓、または他の内分泌器官(甲状腺)のもの等)、前立腺腫瘍、皮膚腫瘍(黒色腫または基底細胞癌)、または血液腫瘍(白血病及びリンパ腫等)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0186】
いくつかの実施形態において、本明細書において記載される化合物により治療される哺乳動物は、がんもしくは腫瘍であるかまたはそれらに付随する、疾患または障害を有する。したがって、いくつかの実施形態において、哺乳動物は、腫瘍のある患者であるヒトである。かかる疾患及び障害及びがんとしては、癌腫、肉腫、良性腫瘍、原発性腫瘍、転移性腫瘍、固形腫瘍、非固形腫瘍、血液腫瘍、白血病及びリンパ腫、ならびに原発性で転移性の腫瘍が挙げられる。
【0187】
いくつかの実施形態において、本明細書において記載されるA2Bアデノシン受容体アンタゴニスト(例えば、化合物1または化合物1のプロドラッグ(例えば、式(I)、(II)、(IIa)、(III)、(A)、及び/または(B)のプロドラッグ)は、がん(例えば、本明細書において記載される癌腫、肉腫、良性腫瘍、原発性腫瘍、腫瘍転移、固形腫瘍、非固形腫瘍、血液腫瘍、白血病及びリンパ腫、過剰増殖障害、及び/または原発性及び/または転移性腫瘍)の治療における単剤療法として使用される。
【0188】
本明細書において提供されるのは、哺乳動物のがんを治療するための方法であって、化合物1のプロドラッグ、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を哺乳動物へ投与することを含み、化合物1は、以下の構造:
【化42】
を有し、
がんが、膀胱癌、結腸癌、脳癌、乳癌、子宮内膜癌、心臓癌、腎臓癌、肺癌、肝臓癌、子宮癌、血液癌及びリンパ腺癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、甲状腺癌、胃癌、直腸癌、尿路上皮癌、精巣癌、子宮頸癌、頭頸部癌、ならびに皮膚癌から選択される、方法である。いくつかの実施形態において、がんは、前立腺癌、乳癌、結腸癌、または肺癌である。いくつかの実施形態において、前立腺癌は、去勢抵抗性前立腺癌である。いくつかの実施形態において、乳癌は、トリプルネガティブ乳癌である。いくつかの実施形態において、化合物1のプロドラッグ、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物は、本明細書において記載される構造を有する。いくつかの実施形態において、がんは、固形腫瘍である。いくつかの実施形態において、がんは、リンパ腫、肉腫、前立腺癌、または乳癌である。
【0189】
いくつかの実施形態において、本明細書において記載されるA2Bアデノシン受容体アンタゴニストは、固形腫瘍の治療において、単独でまたは他の薬剤と併用される。固形腫瘍は、嚢胞または液状領域を含まない組織の異常な塊である。固形腫瘍は、良性(がんではない)または悪性(がん)であり得る。異なるタイプの固形腫瘍は、それらを形成する細胞のタイプについて命名される。固形腫瘍の例は、癌腫、肉腫、及びリンパ腫である。
【0190】
癌腫としては、食道癌、肝細胞癌、基底細胞癌、扁平上皮細胞癌、膀胱癌、気管支原性癌、結腸癌、結腸直腸癌、胃癌、肺癌(肺の小細胞癌及び非小細胞癌が挙げられる)、副腎皮質癌、甲状腺癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、腺癌、腎細胞癌、ウィルムス腫瘍、子宮頸癌、子宮癌、精巣癌、骨原性癌(osteogenic carcinoma)、上皮癌、及び鼻咽頭癌が挙げられるがこれらに限定されない。
【0191】
肉腫としては、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、脊索腫、骨原性肉腫、骨肉腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング肉腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、及び他の軟部組織肉腫が挙げられるがこれらに限定されない。
【0192】
白血病としては、a)慢性骨髄増殖性症候群(多能性造血幹細胞の新生物形成性障害);b)急性骨髄性白血病;c)慢性リンパ球性白血病(CLL)(B細胞CLL、T細胞CLL、前リンパ球白血病、及び有毛細胞性白血病が挙げられる);及びd)急性リンパ芽球性白血病(リンパ芽球の蓄積を特徴とする)が挙げられるがこれらに限定されない。リンパ腫としては、B細胞リンパ腫(例えばバーキットリンパ腫);ホジキンリンパ腫;及び同種のものが挙げられるがこれらに限定されない。
【0193】
良性腫瘍としては、例えば、血管腫、肝細胞腺腫、海綿状血管腫、限局性結節性過形成、聴神経腫、神経線維腫、胆管腺腫、胆管嚢胞腺腫、線維腫、脂肪腫、平滑筋腫、中皮腫、奇形腫、粘液腫、結節性再生性過形成、トラコーマ、及び化膿性肉芽腫が挙げられる。
【0194】
原発性で転移性の腫瘍としては、例えば、肺癌;乳癌;結腸直腸癌;肛門癌;膵臓癌;前立腺癌;卵巣癌;肝臓癌及び胆管癌;食道癌;膀胱癌;子宮癌;神経膠腫、膠芽腫、髄芽細胞腫、及び他の脳腫瘍;腎臓癌;頭頸部癌;胃癌;多発性骨髄腫;精巣癌;胚細胞腫瘍;神経内分泌腫瘍;子宮頸癌;消化管カルチノイド、乳腺カルチノイド、及び他の器官のカルチノイドが挙げられる。
【0195】
一態様において、本明細書において記載されるA2Bアデノシン受容体アンタゴニスト、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物は、がんに関連する免疫抑制及び細胞増殖を減少、改善または阻害する。
【0196】
本明細書において提供されるのは、A2Bアデノシン受容体の活性に関連するまたはその調節から利益を得るであろう1つ以上の疾患または障害の治療に有用であるA2Bアデノシン受容体アンタゴニストである。
【0197】
いくつかの実施形態において、本明細書において記載されるのは、疾患または障害を治療するための方法であり、当該疾患または障害は、がん、または過剰増殖障害である。
【0198】
一実施形態において、本明細書において記載される化合物、またはその薬学的に許容される塩は、A2Bアデノシン受容体の活性の阻害または低減から利益を得るであろう哺乳動物の疾患または病態の治療のための医薬品の調製において使用される。かかる治療を必要とする哺乳動物において、本明細書において記載される疾患または病態のいずれかを治療するための方法は、少なくとも1つの本明細書において記載される化合物またはその薬学的に許容される塩、活性代謝物、プロドラッグ、もしくは薬学的に許容される溶媒和物を含む医薬組成物を治療有効量で当該哺乳動物へ投与することを含む。
【0199】
ある特定の実施形態において、本明細書において記載される化合物(複数可)を含有する組成物は、予防的及び/または治療的な処置のために投与される。ある特定の治療適用において、組成物は、疾患または病態の症状のうちの少なくとも1つを治癒させるか少なくとも部分的に停止するのに十分な量で既に疾患または病態を患う哺乳動物へ投与される。この使用のために有効な量は、疾患または病態の重症度及び経過、以前の治療法、哺乳動物の健康状況、体重及び薬物への応答、ならびに医療従事者の判断に依存する。治療有効量は、用量漸増臨床試験及び/または用量範囲探索臨床試験が挙げられるがこれらに限定されない方法によって任意選択で決定される。
【0200】
予防適用において、本明細書において記載される化合物を含有する組成物は、特定の疾患、障害、もしくは病態へ感受性があるか、またはそうでなければそれらのリスクがある哺乳動物へ投与される。かかる量は、「予防有効量または予防有効用量」と定義される。この使用において、正確な量は、哺乳動物の健康状態、体重、及び同種のものにも依存する。哺乳動物において使用される場合に、この使用のための有効量は、疾患、障害、または病態の重症度及び経過、以前の治療法、哺乳動物の健康状況、及び薬物への応答、ならびに医療従事者の判断に依存するだろう。一態様において、予防処置は、疾患または病態の症状の再発を予防するために、哺乳動物(治療されている疾患の少なくとも1つの症状を以前に経験し、現在のところ小康状態である)へ、本明細書において記載される化合物、またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を投与することを包含する。
【0201】
哺乳動物の病態が改善しない特定の実施形態において、医療従事者の裁量により、化合物の投与は、哺乳動物の疾患もしくは病態の症状を軽快するか、またはそうでなければ制御もしくは限定するために、常習的に、すなわち延長された期間で(哺乳動物の生活の継続期間全体を通すことを包含する)投与される。
【0202】
哺乳動物の状態が改善する特定の実施形態において、投与されている薬物の用量は、一時的に低減されるか、またはある特定の時間の長さで一時的に停止される(すなわち「休薬期間」)。特定の実施形態において、休薬期間の長さは、2日~1年の間(単なる例としてではあるが、2日、3日、4日、5日、6日、7日、10日、12日、15日、20日、28日、または28日超が挙げられる)である。休薬期間の間の用量低減は、単なる例としてではあるが、10%~100%(単なる例としてではあるが、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、及び100%が挙げられる)までである。
【0203】
一旦患者の病態の改善が起こったならば、必要に応じて維持用量が投与される。その後、特定の実施形態において、投薬量もしくは投与頻度、またはその両方は、症状に応じて、改善された疾患、障害または状態が保持されるレベルまで減らしてもよい。しかしながらある特定の実施形態において、哺乳動物は、疾患症状の再発に際して長期間の間欠治療を要求する。
【0204】
かかる量に対応する所与の薬剤の量は、特定の化合物、疾患状態及びその重症度、治療を必要とする対象または宿主の特性(例えば体重、性別)等の因子に依存して変動するが、それにもかかわらず、その症例を取り巻く特定の状況(例えば投与されている具体的な薬剤、投与経路、治療されている病態、及び治療されている対象または宿主が挙げられる)に従って決定される。
【0205】
しかしながら一般に、成人ヒト治療のために用いられる用量は、典型的には、1日あたり0.01mg~5000mgの範囲中である。一実施形態において、成人ヒト治療のために用いられる用量は、1日あたり約1mg~約1000mgである。一実施形態において、成人ヒト治療のために用いられる用量は、1日あたり約1mg~約750mgである。一実施形態において、成人ヒト治療のために用いられる用量は、1日あたり約1mg~約500mgである。一実施形態において、成人ヒト治療のために用いられる用量は、1日あたり約1mg~約250mgである。一実施形態において、成人ヒト治療のために用いられる用量は、1日あたり約1mg~約200mgである。一実施形態において、成人ヒト治療のために用いられる用量は、1日あたり約1mg~約100mgである。一実施形態において、成人ヒト治療のために用いられる用量は、1日あたり約1mg~約50mgである。一実施形態において、成人ヒト治療のために用いられる用量は、1日あたり約1mg~約25mgである。一実施形態において、成人ヒト治療のために用いられる用量は、1日あたり約1mg~約10mgである。これらの実施形態のいくつかにおいて、用量は、化合物1のmgに関する。これらの実施形態のいくつかにおいて、用量は、本明細書において記載される化合物1のプロドラッグのmgに関する。一実施形態において、所望の用量は、単回用量で、または同時にもしくは適切な間隔で、例えば1日あたり2、3、4またはそれ以上のサブ用量として投与される分割用量で簡便に提供され得る。
【0206】
一実施形態において、本明細書において記載される化合物、またはその薬学的に許容される塩に適切な1日の投薬量は、約0.01~約100mg/kg体重である。一実施形態において、本明細書において記載される化合物、またはその薬学的に許容される塩に適切な1日の投薬量は、約0.01~約50mg/kg体重である。一実施形態において、本明細書において記載される化合物、またはその薬学的に許容される塩に適切な1日の投薬量は、約0.01~約25mg/kg体重である。一実施形態において、本明細書において記載される化合物、またはその薬学的に許容される塩に適切な1日の投薬量は、約0.01~約10mg/kg体重である。一実施形態において、本明細書において記載される化合物、またはその薬学的に許容される塩に適切な1日の投薬量は、約0.01~約5mg/kg体重である。これらの実施形態のいくつかにおいて、用量は、化合物1のmg/kg体重に関する。これらの実施形態のいくつかにおいて、用量は、本明細書において記載される化合物1のプロドラッグの投与後に得られる化合物1のmg/kgに関する。いくつかの実施形態において、1日の投薬量または剤形中の活性物質の量は、個々の治療レジームに関する多数の変数に基づいて、本明細書において表示される範囲よりも低いかまたは高い。種々の実施形態において、1日の投薬量及び単位用量は、使用される化合物の活性、治療される疾患または病態、投与様式、個々の対象の要件、治療される疾患または病態の重症度、及び医師の判断が挙げられるがこれらに限定されない多数の変数に応じて変更される。
【0207】
かかる治療法レジメンの毒性及び治療有効性は、細胞培養または実験動物における標準的な薬学的手順によって決定され、LD50及びED50の決定が挙げられるがこれらに限定されない。毒性と治療効果との間の用量比は治療指数であり、LD50とED50との間の比として表現される。ある特定の実施形態において、細胞培養アッセイ及び動物研究から得られたデータは、哺乳動物(ヒトを包含する)における使用のための治療有効性のある1日の投薬量範囲及び/または治療有効性のある単位投薬量を処方することに使用される。いくつかの実施形態において、本明細書において記載される化合物の1日の投薬量は、最少の毒性でED50を含む血中循環濃度の範囲内に収まる。ある特定の実施形態において、1日の投薬量範囲及び/または単位投薬量は、用いられる投薬形態及び利用される投与経路に依存してこの範囲内で変動する。
【0208】
前述の態様のうちの任意のものにおいて、有効量の本明細書において記載される化合物、またはその薬学的に許容される塩が、(a)哺乳動物へ全身的に投与される;及び/または(b)哺乳動物へ経口投与される;及び/または(c)哺乳動物へ静脈内投与される;及び/または(d)哺乳動物へ注射によって投与される;及び/または(e)哺乳動物へ局所的に投与される;及び/または(f)哺乳動物へ非全身的にもしくは局所的に投与される、さらなる実施形態がある。
【0209】
前述の態様のうちの任意のものにおいて、有効量の化合物の単回投与を含むさらなる実施形態であって、(i)化合物が、1日1回投与されること;または(ii)化合物が、1日のスパンにわたって複数回哺乳動物へ投与されることを含むさらなる実施形態がある。
【0210】
前述の態様のうちの任意のものにおいて、有効量の化合物の複数回投与を含むさらなる実施形態であって、(i)化合物が、単回用量で継続的または断続的に投与されること;(ii)複数の投与の間の時間が6時間ごとであること;(iii)化合物が、8時間ごとに哺乳動物へ投与されること;(iv)化合物が、12時間ごとに哺乳動物へ投与されること;(v)化合物が、24時間ごとに哺乳動物へ投与されることを含むさらなる実施形態がある。さらなる実施形態または代替の実施形態において、方法は休薬期間を含み、化合物の投与は一時的に停止されるか、または投与されている化合物の用量は一時的に低減され;休薬期間の終了で、化合物の投薬は再開される。一実施形態において、休薬期間の長さは2日~1年で変動する。
【0211】
ある特定の実例において、本明細書において記載される少なくとも1つの化合物、またはその薬学的に許容される塩を、1つまたは複数の他の治療剤と併用して投与することが適切である。ある特定の実施形態において、医薬組成物は、1つ以上の抗がん剤をさらに含む。
【0212】
一実施形態において、本明細書において記載される化合物のうちの1つの治療有効性はアジュバントの投与によって促進される(すなわち、アジュバントそれ自体は最少の治療利益を有するが、別の治療剤と併用することで、患者への全体的な治療利益は促進される)。またはいくつかの実施形態において、患者が経験する利益は、本明細書において記載される化合物のうちの1つを、治療利益を同様に有する別の薬剤(それは治療レジメンも包含する)と共に投与することによって増加される。
【0213】
特定の一実施形態において、本明細書において記載される化合物、またはその薬学的に許容される塩は、第2の治療剤と共投与され、本明細書において記載される化合物、またはその薬学的に許容される塩、及び第2の治療剤は、治療されている疾患、障害、または病態の異なる態様を調節し、それによって、いずれかの治療剤単独の投与よりも大きな全体的な利益を提供する。
【0214】
いずれの事例においても、治療されている疾患、障害、または病態にかかわらず、患者が経験する全体的な利益は単純に2つの治療剤の相加的なものであるか、または患者は相乗的な利益を経験する。
【0215】
ある特定の実施形態において、本明細書において開示される化合物が、1つまたは複数の追加の薬剤(追加の治療有効性のある薬物、アジュバント、または同種のもの等)と併用して投与される場合に、医薬組成物の製剤化で、及び/または治療レジメンで、本明細書において開示される化合物の異なる治療有効投薬量が利用されるだろう。併用治療レジメンにおける使用のための薬物及び他の薬剤の治療有効投薬量は、活性物質自体について上で説明されたものに類似する手段によって任意選択で決定される。さらに、本明細書において記載される予防/治療の方法は、メトロノミック投薬(すなわち、毒性副作用を最小限にするためにより頻繁でより低い用量を提供する)の使用を網羅する。いくつかの実施形態において、併用治療レジメンは、本明細書において記載される化合物、またはその薬学的に許容される塩の投与が、本明細書において記載される第2の薬剤による治療の前、その間、またはその後に開始され、第2の薬剤による治療の間の任意の時間、または第2の薬剤による治療の終結後まで継続する、治療レジメンを網羅する。それは、本明細書において記載される化合物、またはその薬学的に許容される塩、及び併用で使用される第2の薬剤が、同時に、または異なる時間に、及び/または治療期間の間の間隔を減少もしくは増加させて投与される、治療も包含する。併用治療は、患者の臨床管理を支援するために、様々な時間で開始及び中止する周期的治療をさらに包含する。
【0216】
軽減が求められる疾患(複数可)を治療、予防、または軽快する投薬レジメンは、多様な因子(例えば対象が罹患する疾患または障害;対象の年齢、体重、性別、食事、及び医学的条件)に従って変更されることが理解される。したがって、いくつかの実例において、実際に用いられる投薬量レジメンは変動し、いくつかの実施形態において、本明細書において記載される投薬量レジメンから逸脱する。
【0217】
本明細書において記載される併用療法のために、共投与される化合物の投薬量は、用いられる共薬物のタイプ、用いられる具体的な薬物、治療されている疾患または病態などに依存して変動する。追加の実施形態において、1つ以上の他の治療剤と共投与される場合、本明細書において提供される化合物は、1つ以上の他の治療剤と同時に、または順次に投与される。
【0218】
併用療法において、複数の治療剤(そのうちの1つは本明細書において記載される化合物のうちの1つである)は、任意の順序で、または場合によっては同時に投与される。投与が同時であるならば、複数の治療剤は、単なる例としてではあるが、単一の一体化形態または複数の形態で(例えば単一のピルまたは2つの分離したピルとして)提供される。
【0219】
本明細書において記載される化合物、または薬学的に許容されるその塩、そして併用療法は、疾患または病態の出現の前、その間、またはその後に投与され、化合物を含有する組成物を投与するタイミングは変動する。したがって、一実施形態において、本明細書において記載される化合物は予防薬として使用され、疾患または病態の出現を予防するために病態または疾患を発症する傾向のある対象へ継続的に投与される。別の実施形態において、化合物及び組成物は、症状の開始の間にまたはその後に可能な限り早く対象へ投与される。特定の実施形態において、本明細書において記載される化合物は、疾患または病態の発症が検出または疑われた後に実行可能な限り早く、及び疾患の治療のために必要な時間の長さで投与される。いくつかの実施形態において、治療のために要求される長さは変動し、治療の長さは各々の対象の具体的な必要性に適するように調整される。例えば特定の実施形態において、本明細書において記載される化合物、または当該化合物を含有する製剤は、少なくとも2週間、約1ヶ月~約5年間投与される。
【0220】
いくつかの実施形態において、本明細書において記載される化合物、またはその薬学的に許容される塩は、化学療法、放射線療法、モノクローナル抗体、またはそれらの組み合わせと併用して投与される。
【0221】
化学療法は、抗がん剤の使用を含む。
【0222】
免疫チェックポイント阻害剤
いくつかの実施形態において、本明細書において記載される化合物(すなわち、A2Bアデノシン受容体アンタゴニスト)、またはその薬学的に許容される塩は、免疫チェックポイント阻害剤と併用して投与される。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント阻害剤としては、抗PD-1、抗PD-L1、または抗プログラム細胞死タンパク質1リガンド2(PD-L2)薬剤/阻害剤が挙げられるがこれらに限定されない。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント阻害剤としては、抗PD-1、抗PD-L1、または抗プログラム細胞死タンパク質1リガンド2(PD-L2)抗体が挙げられるがこれらに限定されない。
【0223】
本明細書において使用される場合、「PD-1」または「PD1」は、プログラム死1(PD-1)受容体を指す。他の名称としては、プログラム細胞死タンパク質1及びCD279(分化抗原群279)が挙げられる。PD-1は、PD-L1及びPD-L2の2つのリガンドを有する。いくつかの実施形態において、PD-1を標的とすることで、腫瘍微小環境の免疫機能が回復する。
【0224】
本明細書において使用される場合、「PD-L1」または「PDL1」は、プログラム死リガンド1(PD-L1)を指す。
【0225】
本明細書において使用される場合、「PD-L2」または「PDL2」は、プログラム死リガンド2(PD-L2)を指す。
【0226】
いくつかの実施形態において、抗PD-1剤または抗PDL-1剤は、抗体、ペプチド、低分子または核酸である。
【0227】
いくつかの実施形態において、本明細書において記載される化合物(すなわち、A2Bアデノシン受容体アンタゴニスト)、またはその薬学的に許容される塩は、抗PD-1剤または抗PD-L1剤と併用して投与される。いくつかの実施形態において、抗PD-1剤は、抗PD-1抗体である。いくつかの実施形態において、抗PD-L1剤は、抗PD-L1抗体である。
【0228】
いくつかの実施形態において、本明細書において記載される化合物(すなわち、A2Bアデノシン受容体アンタゴニスト)、またはその薬学的に許容される塩と併用される抗PD-1剤は、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、ピジリズマブ、アベルマブ、TSR-042、PDR-001、チスレリズマブ(BGB-A317)、セミプリマブ(REGN2810)、LY-3300054、JNJ-63723283、MGA012、BI-754091、IBI-308、カムレリズマブ(HR-301210)、BCD-100、JS-001、CX-072、BGB-A333、AMP-514(MEDI-0680)、AGEN-2034、CSIOOI、Sym-021、SHR-1316、PF-06801591、LZM009、KN-035、AB122、ゲノリムズマブ(CBT-501)、FAZ-053、CK-301、AK104、またはGLS-010、BGB-108、SHR-1210、PDR-001、PF-06801591、STI-1110、mDX-400、スパルタリズマブ(PDR001)、カムレリズマブ(SHR1210)、シンチリマブ(IBI308)、チスレリズマブ(BGB-A317)、トリパリマブ(JS001)、ドスタルリマブ(TSR-042、WBP-285)、INCMGA00012(MGA012)、AMP-224、またはAMP-514(MEDI0680)である。
【0229】
いくつかの実施形態において、抗PD-1剤は、抗PD-1抗体である。
【0230】
「抗PD-1抗体」は、プログラム死タンパク質1(PD1)に対する抗体を指す。いくつかの実施形態において、抗PD-1抗体は、PD-1のエピトープに結合し、PD-1のその推定リガンドのうちのいずれか1つまたは複数への結合を遮断する。いくつかの実施形態において、抗PD1抗体は、PD-1タンパク質のエピトープに結合し、PD-1のPD-L1及び/またはPD-L2への結合を遮断する。
【0231】
例示的な抗PD-1抗体としては、ニボルマブ/MDX-1106/BMS-9300/ONO1152、完全ヒトIgG4抗PD-1モノクローナル抗体;ピジリズマブ(MDV9300/CT-011)、ヒト化IgG1モノクローナル抗体;ペンブロリズマブ(MK-3475/ペンブロリズマブ/ランブロリズマブ)、ヒト化モノクローナルIgG4抗体;デュルバルマブ(MEDI-4736)及びアテゾリズマブが挙げられるがこれらに限定されない。
【0232】
いくつかの実施形態において、抗PD-1抗体は、ニボルマブ(OPDIVO(登録商標)、Bristol-Myers Squibb)、ペンブロリズマブ(KEYTRUDA(登録商標)、Merck)、セミプリマブ(Libtayo)、ラブロリズマブ(Merck)、またはBGB-A317である。
【0233】
いくつかの実施形態において、抗PD1抗体は、米国特許第7,029,674号、同第7,488,802号、同第7,521,051号、同第8,008,449号、同第8,354,509号、同第8,617,546号、同第8,709,417号、またはWO2014/179664に記載の抗体である。
【0234】
本明細書において使用される「抗体」という用語は、本明細書において開示される医療用途に適切であり得る全てのタイプの免疫グロブリンを含み、IgG、IgM、IgA、IgD、及びIgE、またはその断片を含む。抗体は、モノクローナルまたはポリクローナルであり得、例えば、マウス、ラット、ウサギ、ウマ、またはヒトを含む任意の起源の種であり得る。本開示において使用される抗体が結合するタンパク質またはエピトープ、例えば、PD-L1またはPD-1への特異的結合を保持する抗体断片は、「抗体」という用語の範囲内に含まれる。抗体は、特に治療目的で使用される場合、キメラ抗体またはヒト化抗体であり得る。抗体及び抗体断片は、様々な方法を使用して取得または調製することができる。
【0235】
いくつかの実施形態において、本明細書において記載される化合物(すなわち、A2Bアデノシン受容体アンタゴニスト)、またはその薬学的に許容される塩と併用される抗PD-1剤は、アテゾリズマブ、アベルマブ、AMP-224、MEDI-0680、RG-7446、GX-P2、デュルバルマブ、KY-1003、KD-033、MSB-0010718C、TSR-042、ALN-PDL、STI-A1014、CX-072、BMS-936559、KN035、CK-301(Checkpoint Therapeutics)、AUNP12、CA-170(Aurigene/Curis)、MEDI4736、MSB0010718C、MDX1105-01、及びBMS-986189である。
【0236】
いくつかの実施形態において、抗PD-L1剤は、抗PD-L1抗体である。
【0237】
「抗PD-L1抗体」は、プログラム死リガンド1(PD-L1)に対する抗体を指す。
【0238】
本明細書において記載される化合物(すなわち、A2Bアデノシン受容体アンタゴニスト)、またはその薬学的に許容される塩と併用される抗PD-L1抗体としては、アベルマブ;BMS-936559、完全ヒトIgG4抗体;アテゾリズマブ(MPDL3280A/RG-7446)、ヒトモノクローナル抗体;MEDI4736;MSB0010718C、及びMDX1105-01が挙げられる。
【0239】
いくつかの実施形態において、抗PD-L1抗体は、アベルマブ(Bavencio(登録商標)、Merck KGA/Pfizer)、デュルバルマブ(AstraZeneca)及びアテゾリズマブ(TECENTRIQ(登録商標)、Roche)である。
【0240】
追加の例示的な抗体としては、米国特許第8,217,149号、同第8,383,796号、同第8,552,154号及び同第8,617,546号に記載の抗体が挙げられるがこれらに限定されない。
【0241】
ペプチド抗PD-1/PD-L1剤としては、AUNP12(Aurigene and Laboratoires Pierre Fabreによる29-merペプチド)、CA-170(Aurigene/Curis)、BMS-986189(BMSによる大環状ペプチド)が挙げられる。
【0242】
低分子抗PD-1/PD-L1剤としては、WO/2020/086556、WO/2020/014643、WO/2019/204609、WO/2019/160882、WO/2018/195321、WO2018026971、US20180044329、US20180044305、US20180044304、US20180044303、US20180044350、US20180057455、US20180057486、US20180045142、WO20180044963、WO2018044783、WO2018009505、WO20180044329、WO2017066227、WO2017087777、US20170145025、WO2017079669、W02017070089、US2017107216、WO2017222976、US20170262253、WO2017205464、US20170320875、WO2017192961、WO2017112730、US20170174679、WO2017106634、WO2017202744、WO2017202275、WO2017202273、WO2017202274、WO2017202276、WO2017180769、WO2017118762、W02016041511、WO2016039749、WO2016142835、WO2016142852、WO2016142886、WO2016142894、及びWO2016142833に記載のものが挙げられる。いくつかの実施形態において、低分子抗PD-1/PD-L1剤は、GS-4224である。いくつかの実施形態において、GS-4224は、約400mg~約1000mgで投与される。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント阻害剤としては、抗T細胞免疫グロブリン及び抗免疫受容体チロシン抑制性モチーフ(ITIM)ドメイン(抗TIGIT)剤、例えば、抗TIGITモノクローナル抗体であるBMS-986207が挙げられるがこれらに限定されない。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント阻害剤としては、抗リンパ球活性化遺伝子3(抗LAG3)剤、例えば、レラトリマブ(BMS)が挙げられるがこれらに限定されない。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント阻害剤としては、抗血管内皮細胞増殖因子(抗VEGF)剤、例えば、ラニビズマブ(Lucentis(登録商標))及びベバシズマブ(Avastin(登録商標))が挙げられるがこれらに限定されない。
【実施例
【0243】
以下の実施例は、例示の目的のためのみに提供され、本明細書で提供される特許請求の範囲を限定することを制限するものではない。
【0244】
実施例1-薬物動態特性
薬物動態試験をスプラーグドーリーラットで実施した。例示的な化合物を5mg/kgの単回経口用量で用いて、3匹のラット群に経管栄養によって経口投与した。各経口用量は、0.5%メチルセルロースの水中懸濁液として調製した。投与後0分、15分、30分、その後1時間、2時間、4時間、8時間、及び24時間に各ラットから血液サンプルを連続的に収集した。
【0245】
投与された化合物及び対応する代謝産物(化合物1)のラット血漿中濃度をHPLCタンデム質量分析(LC/MS/MS)法によって決定した。ISTDによるMeOH/アセトニトリル(1:1、v/v)中50μLの血漿PPT。200μLの5ng/mLテルフェナジン及びブスピロンをMeOH/アセトニトリル(1:1、v/v)に加え、よく混合した。5μLのMeOHを全てのサンプルに加え、1分間ボルテックスし、4000rpmで15分間遠心分離した。上清を水(0.1%FA含有)で3倍に希釈し、LC/MS/MS分析のために注入した。
【表3】
【0246】
化合物の定量は、多重反応モニタリング(MRM)モードを使用した質量分析法によって実施し、例示的な化合物のそれぞれに固有の遷移及び化合物1については447.34>405.20をモニターした。アッセイの定量下限値は、化合物1で10ng/mLであった。
【0247】
薬物動態分析
市販のプログラムであるWinNonLin Professionalバージョン8.0(Pharsight,Mountain View,Calif)を使用して、ノンコンパートメント薬物動態パラメーターを決定した。検出レベルを下回る血漿中濃度は、平均及び薬物動態パラメーターの算出において、ゼロと仮定した。
【0248】
経口投与について、t1/2(時)、tmax(時)、Cmax(ng/mL)、AUClast(hr*ng/mL)、AUCInf(hr*ng/mL)、AUC Extr(%)、MRTInf(hr)、Cmax比(親/プロ)、AUClast比(親/プロ)を決定した。
【0249】
表3は、式(A)の代表的な化合物の化合物1の例示的なAUClastデータを記載している。
【表4】
【0250】
表4は、式(B)の代表的な化合物の化合物1の例示的なAUClastデータを記載している。
【表5】
【0251】
表5は、化合物1の例示的なAUClastデータを記載している。
【表6】
【0252】
実施例2-CT26モデルにおける抗PD-1との併用
方法:8~9週齢のBalb/C近交系雌マウスをCharles Riverから購入した。接種日(0日目)に、CT26細胞を回収し、洗浄し、計数した。細胞を、最終ステップで5×10細胞/mLの濃度で、PBS中の単一細胞溶液として再懸濁した。直ちに、0.1mLのPBS中に再懸濁した500,000(5×10)のCT26細胞を、27G針を用いて、Balb/Cマウスの右脇腹に皮下注射した。触知可能である場合、腫瘍をノギスで測定し、腫瘍体積(mm)を縦×横×高さ×0.5236で算出した。腫瘍サイズがおよそ100mmのマウスを4つの群のうちの1つに無作為に割り付けた(n=10)。各群には、ビヒクル(BID)、A2Bアンタゴニスト化合物1 3mg/kg(BID)、マウス抗PD-1(RMP1-14)5mg/kg(Q2D)、または化合物1(3mg/kg)+RMP1-14(5mg/kg)を16日間腹腔内投与した。腫瘍サイズ及び体重を2~3日ごとに測定した。
【0253】
結果(図1参照):化合物1及びRMP1-14の単独治療では、最大CT26腫瘍増殖抑制率(TGI)がそれぞれ47.5%及び33.3%となった。一方、化合物1とRMP1-14の併用では、最大TGIが87.4%であり、相乗効果をもたらした。化合物1及び抗PD-1治療は、マウスの体重に有意な影響を与えなかった。
【0254】
実施例3-B16F10モデルにおける抗PD-1との併用
方法:8~9週齢のC57BL/6近交系雌マウスをCharles Riverから購入した。接種日(0日目)に、B16F10細胞を回収し、洗浄し、計数した。細胞を、最終ステップで5×10細胞/mLの濃度で、PBS中の単一細胞溶液として再懸濁した。直ちに、0.1mLのPBS中に再懸濁した500,000(5×10)のB16F10細胞を、27G針を用いて、C57BL/6マウスの右脇腹に皮下注射した。触知可能である場合、腫瘍をノギスで測定し、腫瘍体積(mm)を縦×横×高さ×0.5236で算出した。腫瘍サイズがおよそ100mmのマウスを4つの群のうちの1つに無作為に割り付けた(n=10)。各群には、ビヒクル(BID)、A2Bアンタゴニスト化合物1 1mg/kg(BID)、マウス抗PD-1(RMP1-14)10mg/kg(Q3D)、または化合物1(1mg/kg)+RMP1-14(10mg/kg)を7日間腹腔内投与した。腫瘍サイズ及び体重を2~3日ごとに測定した。
【0255】
結果(図2参照):化合物1の単独治療では、最大B16F10腫瘍増殖抑制率(TGI)が48.7%となった。対照的に、RMP1-14は、効果がなかった(最大TGI4.6%)。一方、化合物1とRMP1-14の併用では、最大TGIが90.1%であり、相乗効果をもたらした。化合物1及び抗PD-1治療は、マウスの体重に影響を与えなかった。
【0256】
実施例1に示されるように、化合物1のプロドラッグは、動物において、化合物1のより高い曝露をもたらすことができる。これらのプロドラッグは、腫瘍モデルにおいても抗PD-1療法との相乗効果をもたらすことが期待される。
【0257】
実施例4-MC38モデルにおける抗PD-1との併用の機序研究
方法:6~8週齢のC57BL/6近交系雌マウスをShanghai Lingchang Biotechnology Co., Ltdから購入した。接種日(0日目)に、MC38細胞を回収し、洗浄し、計数した。細胞を、最終ステップで1×10細胞/mLの濃度で、PBS中の単一細胞溶液として再懸濁した。直ちに、0.1mLのPBS中に再懸濁した500,000(1×10)のMC38細胞を、27G針を用いて、C57BL/6マウスの右脇腹に皮下注射した。触知可能である場合、腫瘍をノギスで測定し、腫瘍体積(mm)を縦×横×高さ×0.5236で算出した。腫瘍サイズがおよそ80~100mmのマウスを4つの群のうちの1つに無作為に割り付けた(n=8)。各群には、ビヒクル(BID)、A2Bアンタゴニスト化合物1 3mg/kg(BID)、マウス抗PD-1(RMP1-14)10mg/kg(Q3D)、または化合物1(3mg/kg)+RMP1-14(10mg/kg)を腹腔内投与した。薬物治療の6日後に腫瘍組織を採取し、FACS解析のために単一細胞懸濁液を作製し、腫瘍浸潤免疫細胞を検出した。
【0258】
結果(図3参照):化合物1は、CD4及びCD8T細胞ならびに樹状細胞(DC)の量をそれぞれ84%、58%及び34%有意に増加させた。加えて、免疫抑制細胞である制御性T細胞(Treg)及び骨髄由来抑制細胞(MDSC)の量をそれぞれ28%及び41%有意に減少させた。RMP1-14は、CD4及びCD8T細胞をそれぞれ100%及び63%有意に増加させた。対照的に、DCは34%減少し、免疫抑制細胞であるTreg及びMDSCが増加する傾向にあった。一方、化合物1とRMP1-14の併用では、CD8T細胞が123%増加し、DC、Treg及びMDSCに対するRMP1-14の負の効果が正常化した。このデータは、化合物1が抗腫瘍免疫を促進することができ、化合物1と抗PD-1の併用がヒトにおける腫瘍増殖抑制率に相乗効果をもたらし得ることを示唆している。上記の表3は、化合物1の代表的なプロドラッグ、例えば、式(A)の化合物の化合物1の例示的なAUClastデータを記載している。
【0259】
化合物1のプロドラッグを投与すると、ラット及びイヌにおいて、化合物1の全体的なバイオアベイラビリティが最大5倍の増加まで向上することがわかった。
【0260】
実施例5-化合物1のプロドラッグの臨床試験
この試験は、進行性固形腫瘍の患者における式(A)の化合物の第I/II相試験である。この試験では、進行性固形腫瘍の患者に提供される単剤療法として、化合物1のプロドラッグを評価する。この試験ではまた、進行性固形腫瘍の患者における、化合物1のプロドラッグと、プログラム細胞死タンパク質1(PD-1)/プログラム死リガンド1(PD-L1)を対象とする免疫療法の併用を評価する。
【0261】
化合物1のプロドラッグは、連続21日スケジュール(すなわち、サイクル間に休薬はない)で、変更を加えた空腹条件下、1日1回(QD)水のみで経口投与する。参加者は、投与2時間前及び投与後少なくとも1時間絶食する必要がある。化合物1のプロドラッグの開始用量は、20mgであり、患者は、最大18サイクル(すなわち、1年)継続することができる。
【0262】
患者集団:DNAミスマッチ修復/マイクロサテライト不安定性/(MMR/MSI)欠損腫瘍、トリプルネガティブ乳癌(TNBC)及び転移性去勢抵抗性前立腺癌(mCRPC)の患者およそ90名を、1日あたり20mgの用量から開始する単剤療法コホートに登録する。用量漸増試験を実施する。
【0263】
およそ90名の患者を併用療法コホートに登録する。PDL-1抗体療法は、化合物1のプロドラッグと併用して投与する。
【0264】
エンドポイント:ベイズ流連続再評価法(CRM)を使用して、20%の目標用量制限毒性(DLT)率、確率区間(15%、25%)で忍容性があると判断される用量の特定。最大耐量/最大投与用量(MTD/MAD)は、定義されたDLTの発生率に基づいて決定される。
【0265】
確認された完全奏効(CR)または部分奏効(PR)の全奏効率(ORR)。転移性去勢抵抗性前立腺癌(mCRPC)の患者では、前立腺癌ワーキンググループ3(PCWG3)基準(RECIST1.1及び前立腺特異的抗原(PSA)レベル変化を包含する)が使用される。RECIST1.1版に従って抗腫瘍応答を評価する。6ヶ月での無増悪生存期間(PFS)、及び12ヶ月での全生存期間(OS)を評価する。
【0266】
本開示の実施形態が本明細書において示され、記載されてきたが、かかる実施形態は単なる例として提供されているに過ぎないことは当業者にとって明白である。当業者であれば、本開示を逸脱することなく、多くの変形形態、変更、及び置換を思いつくであろう。本明細書において記載される本開示の実施形態の様々な代替が採用され得ることを理解されたい。以下の特許請求の範囲は、本開示の範囲を定義するものであり、その特許請求の範囲内の方法及び構造ならびにその等価物が包含されることが意図される。
図1
図2
図3
【国際調査報告】