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特表2023-537006流量の向上のためにテーパ状の内径を備えたカテーテルシャフト
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  • 特表-流量の向上のためにテーパ状の内径を備えたカテーテルシャフト 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-30
(54)【発明の名称】流量の向上のためにテーパ状の内径を備えたカテーテルシャフト
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/00 20060101AFI20230823BHJP
【FI】
A61M25/00 632
A61M25/00 620
A61M25/00 624
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023507986
(86)(22)【出願日】2021-08-06
(85)【翻訳文提出日】2023-04-04
(86)【国際出願番号】 US2021045052
(87)【国際公開番号】W WO2022032162
(87)【国際公開日】2022-02-10
(31)【優先権主張番号】63/062,208
(32)【優先日】2020-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596130705
【氏名又は名称】キヤノン ユーエスエイ,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CANON U.S.A.,INC
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】シーア ベネディクト
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA05
4C267BB02
4C267BB03
4C267BB04
4C267BB07
4C267BB08
4C267BB11
4C267BB12
4C267BB15
4C267BB38
4C267BB40
4C267CC07
4C267HH17
(57)【要約】
本主題の装置及び方法は、テーパ状本体を有する湾曲可能カテーテルを含み、カテーテルを通る流体の流れを維持しながら、カテーテルを解剖学的構造内により深く前進させることを可能にする。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外径を有する湾曲可能セクションと、
外径を有し、前記湾曲可能セクションに取り付けられる近位セクションと、
を備えるマルチセクションカテーテルであって、
前記湾曲可能セクションから前記近位セクションへの移行部はテーパ状である、
カテーテル。
【請求項2】
前記湾曲可能セクションの前記外径は、前記近位セクションの前記外径よりも小さい、
請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記近位セクションの内径は、少なくとも2つのツールを収容するように構成される、
請求項1に記載のカテーテル。
【請求項4】
前記少なくとも2つのツールは、カメラと、針と、プローブと、他の医療機器とから成る群から選択される、
請求項4に記載のカテーテル。
【請求項5】
前記カテーテルは、内視鏡タイプの手技を実施することができるが、より遠位の解剖学的構造まで進み、より小さな湾曲セクションプロファイルによってより小さな湾曲半径を達成することができるようになる、
請求項1に記載のカテーテル。
【請求項6】
前記近位セクションのテーパ状の内径により、前記カテーテル内の流体流量が増大する、
請求項1に記載のカテーテル。
【請求項7】
前記湾曲セクションに当接する編組チューブを更に備える、
請求項1に記載のカテーテル。
【請求項8】
前記編組チューブはプログレッシブである、請求項7に記載のカテーテル。
【請求項9】
前記近位セクションは前記湾曲セクションよりも硬く、前記湾曲セクションに曲げを集中させ、前記カテーテルの押しやすさを向上させる、
請求項1に記載のカテーテル。
【請求項10】
マルチセクションカテーテルの使用方法であって、
湾曲可能セクションと、前記湾曲可能セクションに取り付けられる近位セクションとを有するマルチセクションカテーテルを提供するステップであって、前記湾曲可能セクションから前記近位セクションへの移行部はテーパ状である、提供するステップと、
カメラを用いて、対象内に所望の標的まで前記カテーテルを挿入するステップと、
前記カテーテルを通して前記標的まで流体を流すステップと、
を含む方法。
【請求項11】
前記湾曲可能セクションの外径は、前記近位セクションの外径よりも小さい、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記カテーテルを通して前記標的まで流体を流す前に、前記カメラは前記近位セクションまで引き戻される、
請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記近位セクションの内径は、少なくとも2つのツールを収容するように構成される、
請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも2つのツールは、カメラと、針と、プローブと、他の医療機器とから成る群から選択される、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記カテーテルは、内視鏡タイプの手技を実施することができるが、より遠位の解剖学的構造まで進み、より小さな湾曲セクションプロファイルによってより小さな湾曲半径を達成することができるようになる、
請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記近位セクションのテーパ状の内径により、前記カテーテル内の流体流量が増大する、
請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記カテーテルは、前記湾曲セクションに当接する編組チューブを更に備える、
請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記編組チューブはプログレッシブである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記近位セクションは前記湾曲セクションよりも硬く、前記湾曲セクションに曲げを集中させ、前記カテーテルの押しやすさを向上させる、
請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連特許出願への相互参照
本願は、2020年8月6日に米国特許商標庁に提出された米国仮特許出願第63/062208号から優先権を主張し、その開示は参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0002】
本開示は、概して、医療機器の装置及び方法に関する。より詳細には、本開示は、最適な流体流量を維持しながら外径を小さくすることが可能な、医療用途で用いられるヘビ型カテーテルの装置及び方法を対象とする。
【背景技術】
【0003】
現在、内視鏡手術は、内視鏡のワーキングチャネルを通して灌注と吸引を行いながら実施される。カメラは、内視鏡の遠位先端に常設されているので、内視鏡のワーキングチャネルの外部にあり、ワーキングチャネルの全径が吸引/灌注に割り当てられる。
【0004】
US2019/0105468A1:“Medical continuum robot with multiple bending sections”(複数の湾曲可能セクションを有する医療連続体ロボット)。これは、空洞を有する多関節医療機器を対象とし、当該機器は、患者内で操縦することが可能であり、また、内視鏡、カメラ、カテーテル等の医用ツールが医療手技のために空洞を通して誘導されることを可能にする。
【0005】
USRE46007E1:“Automated control of irrigation and aspiration in a single use endoscope”(使い捨て内視鏡における灌注及び吸引の自動制御)。これは、内視鏡イメージングシステムに使用される、統合された自動灌注・吸引システムに関する。
【0006】
US5549547A:内視鏡灌注器具と併用されるテーパ状直径部分を有する軟性チューブは、内視鏡灌注器具に関し、流体室と、流体室の遠位端に結合されたカニューレと、その近位端で流体源に結合するとともに、その遠位端で流体室の灌注ポートに結合するテーパ状灌注チューブと、灌注源から流体室への、ひいてはカニューレを通って手術部位までの流体の流れを制御するピンチ弁と、を含む。
【0007】
US8517999B2:流体の流れが改善された灌流カテーテルは、流体供給ルーメンの直径を変化させることにより、長手方向に間隔を置いて配置された溶出孔の冷却及び/又は流体の分布が均一化された、灌流カテーテルに関する。
【0008】
内視鏡手術では、医師は、内視鏡のワーキングチャネルを通して灌注と吸引を行う。例えば、図1(従来技術)に示されるように、Olympus BF-H190内視鏡では、ワーキングチャネルの外径(“OD”)は5.5mmであり、内径(“ID”)は2.0mmである。
【0009】
現在のヘビ型ロボットカテーテル10(図2に示す)は、カテーテルシャフト16とその作業長の大部分を構成する主要部品として、2.5mmIDのマルチルーメン押出成型部14とともにインプレッシブな3.7mmのOD12を包含する。遠位端18では、2.2mmIDのシングルルーメン押出成型部(インナーカバー)20が、マルチルーメン押出成型部14のIDに接着され、長さは約100mmである。ヘビ型ロボットカテーテル10は、そのODが小さいので、典型的な内視鏡よりも小さく遠位にある解剖学的構造に到達することができる。
【0010】
しかしながら、ヘビ型ロボットカテーテル10に手技中の可視化を提供するカメラ22は、直径1.6mmであり、中央ルーメン24を占用してしまう。カメラ22のODとカテーテル10のIDの間の隙間は、内視鏡のワーキングチャネルよりも断面積が小さい。したがって、ヘビ型ロボットカテーテル10の流体の流れは、内視鏡ワーキングチャネルを通るよりも少なくなってしまう。本開示は、この問題に対する解決策を提供する。
【発明の概要】
【0011】
よって、業界におけるそのような例示のニーズに対処するために、本開示の機器は、外径を有する湾曲可能セクションと、外径を有し、湾曲可能セクションに取り付けられる近位セクションと、を備えるマルチセクションカテーテルを教示する。湾曲可能セクションから近位セクションへの外径がテーパ状に大きくなるように、湾曲可能セクションから近位セクションへの移行部はテーパ状である。
【0012】
他の実施形態では、カテーテルの湾曲可能セクションの外径は、近位セクションの外径よりも小さい。
【0013】
更なる実施形態では、近位セクションの内径は、少なくとも2つのツールを収容するように構成される。更に、少なくとも2つのツールは、カメラ、針、プローブ、及び他の医療機器を含み得る。
【0014】
追加の実施形態では、カテーテルは、内視鏡タイプの手技を実施することができるが、より遠位の解剖学的構造まで進み、より小さな湾曲セクションプロファイルによってより小さな湾曲半径を達成することができるようになる。
【0015】
更なる実施形態は、カテーテルが、カテーテル内の流体流量を増大させる近位セクションのテーパ状の内径を有することを実証する。
【0016】
更に、カテーテルが、湾曲セクションに当接する編組チューブを備えることが想定される。更に、編組チューブは、プログレッシブ編組であってよい。
【0017】
追加の実施形態では、カテーテルの近位セクションは湾曲セクションよりも硬く、湾曲セクションに曲げを集中させ、カテーテルの押しやすさを向上させる。
【0018】
本革新は、マルチセクションカテーテルの使用方法を更に教示し、本方法は以下を含む:湾曲可能セクションと、湾曲可能セクションに取り付けられる近位セクションとを有するマルチセクションカテーテルを提供するステップであって、湾曲可能セクションから近位セクションへの移行部はテーパ状であり、カメラを用いて対象内に所望の標的までカテーテルを挿入するステップが次に続く、提供するステップ;及び、カテーテルを通して標的まで流体を流すステップ。
【0019】
更に、追加の実施形態では、湾曲可能セクションから近位セクションへの外径がテーパ状に大きくなるように、湾曲可能セクションから近位セクションへの移行部がテーパ状であることが想定される。
【0020】
他の実施形態では、カテーテルの湾曲可能セクションの外径は、近位セクションの外径よりも小さい。
【0021】
更なる実施形態では、近位セクションの内径は、少なくとも2つのツールを収容するように構成される。更に、少なくとも2つのツールは、カメラ、針、プローブ、及び他の医療機器を含み得る。
【0022】
追加の実施形態では、カテーテルは、内視鏡タイプの手技を実施することができるが、より遠位の解剖学的構造まで進み、より小さな湾曲セクションプロファイルによってより小さな湾曲半径を達成することができるようになる。
【0023】
更なる実施形態は、カテーテルが、カテーテル内の流体流量を増大させる近位セクションのテーパ状の内径を有することを実証する。
【0024】
更に、カテーテルが、湾曲セクションに当接する編組チューブを備えることが想定される。更に、編組チューブは、プログレッシブ編組であってよい。
【0025】
追加の実施形態では、カテーテルの近位セクションは湾曲セクションよりも硬く、湾曲セクションに曲げを集中させ、カテーテルの押しやすさを向上させる。
【0026】
本開示のこれら及び他の目的、特徴及び利点は、本開示の例示の実施形態の以下の詳細な説明を添付の図面誘導機器10及び提供された段落と併せて読むと、明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本発明の更なる目的、特徴及び利点は、本発明の例示の実施形態を示す添付の図と併せて解釈すると、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0028】
図1図1は、既存の従来技術における既存の制約を示す、従来技術の医療機器(内視鏡)の仕様図である。
図2図2は、既存の従来技術における例示の医療機器の側面斜視図を示す。
図3図3は、本革新の1つ以上の実施形態に係る、例示の医療機器の側面斜視図を提供する。
図4図4は、同様に、本革新の1つ以上の実施形態に係る、例示の医療機器の側面斜視図を示す。
図5図5は、本革新の1つ以上の実施形態に係る、例示の医療機器の側面斜視図を示す。
図6図6は、本革新での様々な流量と、代替の実施形態及びサンプルでの比較流量を示すチャートである。
図7図7は、本革新の1つ以上の実施形態に係る、例示の医療機器の拡大側面斜視図を示す。
図8図8は、本革新の1つ以上の実施形態に係る、例示の医療機器の拡大側面斜視図を示す。
図9図9は、本革新の1つ以上の実施形態に係る、例示の医療機器の側面斜視図を提供する。
図10図10は、本革新の1つ以上の実施形態に係る、例示の医療機器の側面斜視図を示す。
【0029】
図全体を通して、別段の記載がない限り、同じ参照番号及び文字は、例示される実施形態の同様の特徴、要素、コンポーネント又は部分を示すために用いられる。加えて、「’」という指定を含む参照数字(例えば12’や24’)は、同じ性質及び/又は種類の2次要素及び/又は参照を意味する。更に、これから図を参照して本開示を詳細に説明するが、それは、例示の実施形態に関連してなされる。添付の段落によって定義される本開示の真の範囲及び主旨から逸脱することなく、説明される実施形態に対して変更及び修正を行うことができることが意図される。
【発明を実施するための形態】
【0030】
説明に言及する際、開示する例を完全に理解できるようするために、具体的な詳細が記載される。他の例では、本開示を不必要に長くしないように、周知の方法、手順、コンポーネント及び材料は、詳細には説明されない。
【0031】
当然のことながら、要素又は部品が他の要素又は部品に関して「~上に」、「~に対して」、「~に接続される」、或いは「~に結合される」と言及される場合、それは、当該他の要素又は部品に対して直接的に上にあってよく、対してよく、接続されてよく、或いは結合されてよく、又は、介在する要素又は部品が存在してもよい。対照的に、ある要素が別の要素又は部品に関して「直上にある」、「直接接続される」又は「直接結合される」と言及されるとき、介在する要素又は部品は存在しない。使用される場合、「及び/又は」という語句は、そのように提供される場合、関連する列挙された項目のうちの1つ以上のありとあらゆる組合わせを含む。
【0032】
様々な図に示されるようなある要素又は特徴と別の要素又は特徴との関係を説明するための記述及び/又は説明を簡易にするために、本明細書では、「下」、「真下」、「下方」、「低い」、「上方」、「上」、「近位」、「遠位」等の空間的な相対語が使用される場合がある。ただし、当然のことながら、空間的な相対語は、図に示されている向きに加えて、使用中又は動作中の機器の様々な向きを包含することが意図される。例えば、他の要素又は特徴の「下方」又は「真下」にあると記述されている要素は、図中の機器が裏返されると、当該他の要素又は特徴の「上方」に向けられることになる。よって、「下方」等の相対的な空間用語は、上と下の両方の向きを包含することができる。機器は、他の方法で方向付けられてもよく(90度回転又は他の方向に)、本明細書で使用される空間的な相対的記述子は、それに応じて解釈されるべきである。
【0033】
本明細書では、様々な要素、コンポーネント、領域、部品及び/又は部分を説明するために、第1、第2、第3等の用語が使用される場合がある。当然のことながら、これらの要素、コンポーネント、領域、部品及び/又は部分はこれらの用語によって限定されるべきではない。これらの用語は、ある要素、コンポーネント、領域、部品又は部分を別の領域、部品又は部分から区別するためにのみ使用されている。よって、後述する第1の要素、コンポーネント、領域、部品又はセクションは、本明細書に開示される誘導機器10の教示から逸脱することなく、第2の要素、コンポーネント、領域、部品又はセクションと呼ぶことができる。
【0034】
本明細書において用いられる用語は、特定の実施形態を説明する目的のものにすぎず、限定することを意図するものではない。本明細書において用いられる場合、単数形は、文脈上明確に別段の指示がない限り、複数形も含むことを意図している。更に、当然のことながら、「含む」という用語は、本明細書において用いられる場合、記載の特徴、整数、ステップ、動作、要素及び/又はコンポーネントの存在を指定するが、明示的に記載されていない1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、コンポーネント及び/又はそれらのグループの存在又は追加を排除するものではない。「位置」又は「位置決め」という用語は、空間的な位置と角度的な向きの両方を含むものとして理解されるべきである。
【0035】
図3に詳細に示すように、本開示は、遠位湾曲セクション26を備えた操縦可能機器を有するヘビ型ロボットカテーテル(「カテーテル」)10を詳述する。湾曲セクション26は、より深い場所のより小さな解剖学的構造にアクセスするために、狭い半径に曲がるように設計されるとともに、外径12がおよそ3.3mmになるような寸法をもつ。ヘビ型ロボットカテーテル10の近位セクション28は、湾曲セクション26と同じ半径にまで曲がる必要がなく、解剖学的構造の深くに到達するように意図されていないので、近位セクション28の外径は大きめであってよい(例えば内視鏡と同じOD)。マルチルーメン押出成型部14は、そのOD及びIDがテーパ状に大きくなる(30)ように、押出成型されてよい(押出しの業界ではバンプ押出しとして知られている)。遠位湾曲セクション26は、より小さな解剖学的構造内を通過できるように、およそ3.3mmのODのままであるが、近位セクション28は、より大きなOD(現在の内視鏡と同等)及びIDまで大きくすることができる。このように近位セクション28のIDを大きくすることにより、カメラ22が湾曲セクション26の遠位端18に残っている状態で、カテーテルを通る流量が増大する。
【0036】
より大きな流れを所望する場合、湾曲セクション26の遠位端18から大きめのIDの部分にまでカメラ22を後退させることができ、この結果として、更に良好な流れが得られる。このような後退位置は図4で見ることができ、流体流量を増やすために必要な空間が追加されていることが示されている。
【0037】
図5は、テーパ部30の拡大を更に詳細に示している。これは、追加の器具32(ここでは生検針)をテーパ部30の始まりまでカテーテル10内に挿入できるように、近位セクション28でのIDを十分に拡大できる可能性がある。これにより、カメラ30と器具32のどちらも使用時にカテーテル10から完全に除去する必要がないので、カメラ30と器具32をより迅速に交換することができる。
【0038】
フロー試験の結果を図6に示す。図6は、本主題のテーパ状カテーテル10を用いた最適な流量を示す。結果から分かるように、達成された流量の増大は、従来技術のものをはるかに超え、カテーテル10を解剖学的構造内により深く、より精確に挿入することを可能にしながら、技術を進歩させる。
【0039】
図7及び図8は、本カテーテル10の追加の実施形態を提供し、テーパ部30側から湾曲セクション26への移行が更に詳しく示されている。図7は、およそ45度での移行を示す緩やかなエッジ34が提供され、図8は、段差のあるエッジ36の移行点を示す。移行は、流体の流れを向上させ、カメラ22又は他の器具32との干渉の可能性を低減するために組み込まれる。
【0040】
図9は、カテーテル10のインナーカバー20を補強するための編組構造38の使用を紹介している。編組構造38は、インナーカバーに組み込まれてもよいし、インナーカバー20とマルチルーメン押出成型部14の間に位置決めされてもよい。編組の構造により、壁の強度を高めながら、追加の応力を加えることなく曲げを実現することができる。当然のことながら、カテーテル10の最適な強度及び/又は剛性を達成するために、きつめの編組や緩めの編組を組み込むことができる。
【0041】
図10に見られるように、カテーテル10を更に改良するために、プログレッシブ編組構造40を組み込むことができる。更に別の実施形態では、カテーテル10を通したカメラ22又は器具32の移行及び動作を容易にするために、編組構造のいずれかの端部、或いは両方の端部は、丸みを帯びてよい。
【0042】
したがって、例示の特徴としては、マルチセクション、操縦可能な遠位セクション、硬い近位セクション、中央ルーメン内のカメラ、遠位先端とテーパ部に配置されたカメラ、近位端で選択的に固定されたカメラ、灌注及び/又は吸引が可能であること、テーパ状のID、テーパ状のOD、テーパ位置、テーパ状のIDが複数の器具を収容すること、が挙げられる。
【0043】
本発明は、例示の実施形態を参照して説明されたが、当然のことながら、本発明は、開示された例示の実施形態に限定されない。以下の特許請求の範囲は、そのような変更並びに均等の構造及び機能を全て包含するように、最も広い解釈が与えられるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2023-04-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外径を有する湾曲可能セクションと、
外径を有し、前記湾曲可能セクションに取り付けられる近位セクションと、
を備えるマルチセクションカテーテルであって、
前記湾曲可能セクションから前記近位セクションへの移行部はテーパ状である、
カテーテル。
【請求項2】
前記湾曲可能セクションの前記外径は、前記近位セクションの前記外径よりも小さい、
請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記近位セクションの内径は、少なくとも2つのツールを収容するように構成される、
請求項1に記載のカテーテル。
【請求項4】
前記少なくとも2つのツールは、カメラと、針と、プローブと、他の医療機器とから成る群から選択される、
請求項に記載のカテーテル。
【請求項5】
前記カテーテルは、内視鏡タイプの手技を実施することができるが、より遠位の解剖学的構造まで進み、より小さな湾曲可能セクションプロファイルによってより小さな湾曲半径を達成することができるようになる、
請求項1に記載のカテーテル。
【請求項6】
前記近位セクションのテーパ状の内径により、前記カテーテル内の流体流量が増大する、
請求項1に記載のカテーテル。
【請求項7】
前記湾曲可能セクションに当接する編組チューブを更に備える、
請求項1に記載のカテーテル。
【請求項8】
前記編組チューブはプログレッシブである、請求項7に記載のカテーテル。
【請求項9】
前記近位セクションは前記湾曲可能セクションよりも硬く、前記湾曲可能セクションに曲げを集中させ、前記カテーテルの押しやすさを向上させる、
請求項1に記載のカテーテル。
【請求項10】
マルチセクションカテーテルの使用方法であって、
湾曲可能セクションと、前記湾曲可能セクションに取り付けられる近位セクションとを有するマルチセクションカテーテルを提供するステップであって、前記湾曲可能セクションから前記近位セクションへの移行部はテーパ状である、提供するステップと、
カメラを用いて、対象内に所望の標的まで前記カテーテルを挿入するステップと、
前記カテーテルを通して前記標的まで流体を流すステップと、
を含む方法。
【請求項11】
前記湾曲可能セクションの外径は、前記近位セクションの外径よりも小さい、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記カテーテルを通して前記標的まで流体を流す前に、前記カメラは前記近位セクションまで引き戻される、
請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記近位セクションの内径は、少なくとも2つのツールを収容するように構成される、
請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも2つのツールは、カメラと、針と、プローブと、他の医療機器とから成る群から選択される、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記カテーテルは、内視鏡タイプの手技を実施することができるが、より遠位の解剖学的構造まで進み、より小さな湾曲可能セクションプロファイルによってより小さな湾曲半径を達成することができるようになる、
請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記近位セクションのテーパ状の内径により、前記カテーテル内の流体流量が増大する、
請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記カテーテルは、前記湾曲可能セクションに当接する編組チューブを更に備える、
請求項10に記載の方法。
【請求項18】
前記編組チューブはプログレッシブである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記近位セクションは前記湾曲可能セクションよりも硬く、前記湾曲可能セクションに曲げを集中させ、前記カテーテルの押しやすさを向上させる、
請求項10に記載の方法。
【国際調査報告】