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特表2023-537040形状決定された暗渠アセンブリを有するバイオフィルタ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-30
(54)【発明の名称】形状決定された暗渠アセンブリを有するバイオフィルタ
(51)【国際特許分類】
   C02F 3/06 20230101AFI20230823BHJP
【FI】
C02F3/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023508094
(86)(22)【出願日】2021-08-05
(85)【翻訳文提出日】2023-03-03
(86)【国際出願番号】 US2021044839
(87)【国際公開番号】W WO2022032027
(87)【国際公開日】2022-02-10
(31)【優先権主張番号】63/061,771
(32)【優先日】2020-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520108556
【氏名又は名称】アクセプタンス グループ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】AQSEPTENCE GROUP,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】エクホルム、マイケル アール.
(72)【発明者】
【氏名】ヴュリエ、エルザ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィトー、クレマン
(72)【発明者】
【氏名】クラージョ、ファブリス
【テーマコード(参考)】
4D003
【Fターム(参考)】
4D003AA01
4D003DA01
4D003DA15
4D003EA22
4D003EA30
4D003FA05
(57)【要約】
改善されたバイオフィルタ設計及び生物学的な相互作用を促進するために、バイオフィルタ媒体だが、流体流を送り出すための形状決定されたドレンアセンブリの利用の関連する方法。形状決定されたドレンアセンブリは、ドレン断面を形成する、透過性上部表面と、下部表面と、ドレン内部と、を備える、複数の長尺状のドレン構造を備えることが可能である。形状決定された暗渠アセンブリとして構成されているとき、各長尺状のドレン構造は、前記下部表面が、前記床の下方で1つ以上の流れチャンネル及び前記バイオフィルタ媒体を支持する前記透過性上部表面と流体連通するように、バイオフィルタタンクの床に近接することが可能である。前記バイオフィルタは、前記形状決定された暗渠アセンブリの上方に位置付けられて、前記バイオフィルタ媒体の中又は上方に配置された形状決定されたドレンアセンブリを備えることが可能である。前記形状決定されたドレンアセンブリは、前記バイオフィルタ媒体の中への2種以上の流れのうちの1種の流れ及びそれらの混合を制御することが可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床表面を形成するタンクと、
媒体層と、
前記床表面の下方に形成された1つ以上の流れチャンネルと、
タンク床上に位置付けられた、複数の長尺状の暗渠構造を備える、形状決定された暗渠アセンブリであって、各長尺状の暗渠構造は、前記1つ以上の流れチャンネルと流体連通しており、各長尺状の暗渠構造は、暗渠断面を形成するように、透過性上部表面と、下部表面と、暗渠内部と、を備える、形状決定された暗渠アセンブリと、を備えるバイオフィルタシステムであって、前記透過性上部表面は、前記媒体層を支持する、バイオフィルタシステム。
【請求項2】
各長尺状の暗渠構造は、流体流を前記暗渠内部の中に提供するための、1つ以上の流体接続部を備える、請求項1に記載のバイオフィルタシステム。
【請求項3】
前記1つ以上の流体接続部は、暗渠端、前記下部表面、及び前記透過性上部表面のうちの1つ以上に配置されている、請求項2に記載のバイオフィルタシステム。
【請求項4】
前記1つ以上の流体接続部は、流れオリフィス及び流量制御弁のうちの1つ以上から選択された、流れ制御機構を備える、請求項3に記載のバイオフィルタシステム。
【請求項5】
前記1つ以上の流体接続部は、2種以上の流れを前記暗渠内部の中に提供する、請求項3に記載のバイオフィルタシステム。
【請求項6】
流れインターフェースが、前記暗渠内部の中に据え付けられており、前記流れインターフェースは、前記2種以上の流れが前記透過性上部表面を通して流れることを可能にする、請求項5に記載のバイオフィルタシステム。
【請求項7】
前記流れインターフェースは、流れオリフィス又は流量弁のうちの1つ以上を備える、請求項6に記載のバイオフィルタシステム。
【請求項8】
前記1つ以上の流体接続部は、1つ以上の流体ストリームの流入及び流出を可能にし、前記1つ以上の流体ストリームは、プロセス流入液ストリーム、プロセス流出液ストリーム、曝気流入ストリーム、曝気流出ストリーム、及びプロセス付加流入ストリームのうちの1つ以上を含む、請求項2に記載のバイオフィルタシステム。
【請求項9】
上部の形状決定されたドレンアセンブリをさらに備え、前記上部の形状決定されたドレンアセンブリは、前記形状決定された暗渠アセンブリの上方に位置付けられた複数の長尺状の上部ドレン構造を備え、前記上部ドレン構造は、上部ドレン断面を形成する、透過性上部ドレン表面と、上部ドレン下部表面と、上部ドレン内部とを備える、請求項1に記載のバイオフィルタシステム。
【請求項10】
前記透過性上部ドレン表面は、各長尺状の暗渠構造の前記透過性上部表面に面するように位置付けられる、請求項9に記載のバイオフィルタシステム。
【請求項11】
前記透過性上部ドレン表面は、各長尺状の暗渠構造の前記透過性上部表面から離れる方に面するように位置付けられる、請求項9に記載のバイオフィルタシステム。
【請求項12】
前記上部の形状決定されたドレンアセンブリは、前記媒体層の中に位置付けられる、請求項9に記載のバイオフィルタシステム。
【請求項13】
前記上部の形状決定されたドレンアセンブリは、前記媒体層の上方に位置付けられる、請求項9に記載のバイオフィルタシステム。
【請求項14】
前記透過性上部表面は、スロットの付いたスクリーンを備える、請求項1に記載のバイオフィルタシステム。
【請求項15】
前記暗渠断面は、半円形の断面を含む、請求項1に記載のバイオフィルタシステム。
【請求項16】
前記暗渠断面は、長方形又は正方形の断面を含む、請求項1に記載のバイオフィルタシステム。
【請求項17】
前記暗渠断面は、三角形の断面を含む、請求項1に記載のバイオフィルタシステム。
【請求項18】
前記暗渠断面は、六角形の断面を含む、請求項1に記載のバイオフィルタシステム。
【請求項19】
前記透過性上部表面は、前記透過性上部表面上の生物学的な成長を阻害するように選択された表面コーティングを備える、請求項1に記載のバイオフィルタシステム。
【請求項20】
高い種の流れ及び低い種の流れは、前記透過性上部表面を通して共通の方向に送り出される、請求項1に記載のバイオフィルタシステム。
【請求項21】
高い種の流れ及び低い種の流れは、前記透過性上部表面を通して対向した方向に送り出される、請求項1に記載のバイオフィルタシステム。
【請求項22】
床表面を形成するタンクと、
媒体層と、
複数の長尺状のドレン構造を備える、1つ以上の形状決定されたドレンアセンブリであって、各長尺状のドレン構造は、ドレン断面を形成するように、透過性表面と、対向した表面と、ドレン内部と、を備える、1つ以上の形状決定されたドレンアセンブリと、を備えるバイオフィルタシステムであって、各長尺状のドレン構造は、前記ドレン内部の中に位置付けられた流れインターフェースを備え、前記流れインターフェースは、各長尺状のドレン構造を通して所望の流れ要求を提供するために、1つ以上の流れ制御フィーチャを備える、バイオフィルタシステム。
【請求項23】
前記床表面の下方に形成された1つ以上の流れチャンネルをさらに備え、前記1つ以上の形状決定されたドレンアセンブリは、前記媒体層が支持される暗渠アセンブリを備え、前記暗渠アセンブリは、前記1つ以上の流れチャンネルと流体連通している、請求項22に記載のバイオフィルタシステム。
【請求項24】
前記1つ以上の形状決定されたドレンアセンブリは、前記床表面の上方と、前記媒体層の中と、に配置される、請求項22に記載のバイオフィルタシステム。
【請求項25】
前記1つ以上の形状決定されたドレンアセンブリは前記床表面の上方と、前記媒体層の上方と、に配置される、請求項22に記載のバイオフィルタシステム。
【請求項26】
バイオフィルタにおける生物学的な処理を促進する方法であって、
形状決定された暗渠アセンブリをバイオフィルタタンクの床に位置付ける工程であって、前記床は、1つ以上の流れチャンネルを形成し、前記形状決定された暗渠アセンブリは、複数の長尺状の暗渠構造を備え、各長尺状の暗渠構造は、暗渠断面を形成するように、透過性上部表面と、下部表面と、暗渠内部と、を備え、各下部表面は、前記流れチャンネルのうちの1つ以上と流体連通する、工程と、
各長尺状の暗渠構造の前記透過性上部表面上の媒体層を支持する工程と、
前記媒体層における生物学的な相互作用を促進するために、流体流を前記透過性上部表面を通して送り出す、送出工程と、を備える、方法。
【請求項27】
前記送出工程は、
第1種の流れを、前記透過性上部表面を通して送り出す工程と、
第2種の流れを、前記透過性上部表面を通して送り出す工程と、を備える、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記第1種の流れ及び前記第2種の流れは、前記透過性上部表面を通して共通の方向に流れる、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記第1種の流れ及び前記第2種の流れは、前記透過性上部表面を通して対向する方向に流れる、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記送出工程は、
前記暗渠内部の中で第1種の流れと第2種の流れとを混合した後、混合された流れストリームを前記透過性上部表面を通して前記媒体層の中に送り出す工程を備える、請求項26に記載の方法。
【請求項31】
上部の形状決定されたドレンアセンブリを前記バイオフィルタタンクに位置付ける工程であって、前記上部の形状決定されたドレンアセンブリは、前記形状決定された暗渠アセンブリの上方に配置され、前記上部の形状決定されたドレンアセンブリは、複数の長尺状の上部ドレン構造を備え、各長尺状の上部ドレン構造は、上部ドレン断面を形成する、上部ドレン透過性表面と、上部ドレン下部表面と、上部ドレン内部と、を備える、位置付け工程を備える、請求項26に記載の方法。
【請求項32】
前記上部ドレン透過性表面は、各長尺状の暗渠構造の前記透過性上部表面に面するように位置付けられる、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記上部ドレン透過性表面は、各長尺状の暗渠構造の前記透過性上部表面から離れる方に面するように位置付けられる、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記位置付け工程は、
前記上部の形状決定されたドレンアセンブリを前記媒体層の上方に位置付ける工程をさらに備える、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
前記位置付け工程は、
前記上部の形状決定されたドレンアセンブリを前記媒体層の中に位置付ける工程をさらに備える、請求項31に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般的に、液体ストリームの生物濾過用のバイオフィルタシステムに関する。より詳細には、本開示は、流れ分配を改善して、製造を単純化して、メンテナンスを低減するために、形状決定された暗渠アセンブリを利用する、改善したバイオフィルタシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
サイズに基づいて液体源から汚染物質を除去する液体濾過システムと対照的に、従来のバイオフィルタシステムは、有機汚染物質を分解するために、媒体表面上の生物学的な成長を促進する高表面積処理媒体を利用する。典型的に、バイオフィルタシステムは、処理媒体の表面上のバクテリアの成長を促進するべく、酸素及び窒素を提供するために、曝気を利用する。液体源の中の有機汚染物質によっては、バイオフィルタの中での十分な滞留時間が達成されることを保証するのに、処理媒体を均一に分配して最大限に活用することが必要であるので、バイオフィルタシステムの中の流れ性能は非常に重要である。
【0003】
バイオフィルタでは、一般的に、処理媒体を支持するために、保持タンクの底において、暗渠支持システムが利用される。従来の支持システムは、典型的に、保持タンクの床におけるチャンネルの中に据え付けられている、パイプと、ノズルと、バルブとから成るネットワークを備える。これらの支持システムは、空気流ストリームと液体流ストリームとの両方の分配及び収集のための構造を含むことがある。従来の支持システムは、高価で、設置に時間がかかり、サービス及びメンテナンスが困難であり得る。従って、現行のバイオフィルタ設計を、改善された暗渠支持システムの使用を通じて改善することは、有利であろう。
【発明の概要】
【0004】
本開示の代表的な実施形態では、処理媒体を支持するため、及び処理媒体を通して空気流及び液体流を促進するために、形状決定されたドレンアセンブリを利用する改善されたバイオフィルタ設計が提供される。
【0005】
いくつかの実施形態では、形状決定されたドレンアセンブリは、バイオフィルタタンクの床上又はバイオフィルタタンクの床に近接して配置される、暗渠アセンブリとして配置されて、暗渠アセンブリがバイオフィルタ媒体層を支持する。いくつかの実施形態では、形状決定されたドレンアセンブリは、バイオタンクフィルタの床の上方、及びバイオフィルタ媒体層の中又はバイオフィルタ媒体層の上方に配置されることが可能である。いくつかの実施形態では、形状決定されたドレンアセンブリは、複数のドレンアセンブリ(例えば、バイオタンクフィルタの床上の形状決定された暗渠アセンブリ、及び暗渠アセンブリの上方、及びバイオフィルタ媒体層の中又はバイオフィルタ媒体層の上方に位置付けられた別の形状決定されたドレンアセンブリ)を備えることが可能である。バイオフィルタタンクにおける向きとは関係なく、形状決定されたドレンアセンブリは、ドレン断面を形成する透過性上部表面と、下部表面と、ドレン内部と、を備える、複数の長尺状のドレン構造を備えることが可能である。各長尺状のドレン構造は、1つ以上の流体ストリームが透過性上部表面を通して送り出されることが可能で、そしていくつかの実施形態では、ドレン内部の中の複数の流体ストリームの混合を誘発することが可能なドレン内部の中への1つ以上の流体ストリーム(液体、又は気体)の流れを制御するために、流れ制御部(流れオリフィス及び流量弁等)を含む1つ以上の流体接続部を備えることが可能である。いくつかの実施形態では、各長尺状のドレン構造は、2種以上の流体の流れを透過性上部表面を通して制御するために、ドレン内部の中に流れインターフェースを備える。
【0006】
一態様では、本発明は、形状決定された暗渠支持システムを利用する、バイオフィルタシステムに向けられる。バイオフィルタシステムの一実施形態は、バイオフィルタタンクと、バイオフィルタ媒体と、形状決定された暗渠アセンブリと、を備えることが可能である。バイオフィルタタンクは、床表面の下方に形成された1つ以上の流れチャンネルを有するタンク床を備えることが可能である。形成された暗渠アセンブリは、複数の長尺状の暗渠構造を備える。そして、各長尺状の暗渠構造は、暗渠断面を形成する、透過性上部表面と、下部表面と、暗渠内部と、を備える。各長尺状の暗渠構造は、下部表面が1つ以上の流れチャンネルと流体連通するように、流れチャンネルのうちの1つ以上の間にまたがって位置付けられることが可能である。長尺状の暗渠構造は、暗渠断面が所望の特性(例えば、透過性上部表面を通した流体流れ特性と、透過性上部表面上のバイオフィルタ媒体層を支持するための機械的強度と、を含む)を有するように、製造されることが可能である。代表的な暗渠断面は、例えば、半球状(hemispherical,semi-spherical)と、三角形と、六角形と、正方形及び長方形等の四辺形と、等から選択された断面形状を含むことが可能である。透過性上部表面は、スロットの付いたスクリーン(例えば、支持ロッド上に、離間し、平行配置で取り付けられた、形状決定されたワイヤーによって形成されたVee-wire(登録商標)スクリーン)を備えることが可能である。各長尺状の支持構造は、暗渠内部の中への1つ以上の流体流(気体流又は液体流)を可能にするための、1つ以上の流体接続部を含むことが可能である。いくつかの実施形態では、流れインターフェースが、透過性上部表面を通して2種以上の流れのうちの1種の流れを制御するために、非ドレン内部の中に据え付けられることが可能である。いくつかの実施形態では、バイオフィルタシステムは、形状決定された上部ドレンアセンブリが、バイオフィルタ媒体層の中又は上方に配置されるように、形状決定された暗渠アセンブリの上方に位置付けられた形状決定された上部ドレンアセンブリを備えることが可能である。バイオフィルタタンクの中の据え付け場所を除いて、形状決定された上部ドレンアセンブリは、流体流がバイオフィルタ媒体層を通して上向き方向と、下向き方向と、の両方において管理されることが可能なように、形状決定された暗渠アセンブリと同様の構造を備えて、バイオフィルタ媒体層との生物学的な相互作用を容易にすることが可能である。
【0007】
さらに別の態様では、本発明は、バイオフィルタにおける生物学的な処理を促進する方法に向けられる。該方法は、形状決定された暗渠アセンブリをバイオフィルタタンクの床上に位置付ける工程を備える。形状決定された暗渠アセンブリは、複数の長尺状の暗渠構造を備えることが可能である。そして、各長尺状の暗渠構造は、暗渠断面を形成する、透過性上部表面と、下部表面と、暗渠内部と、を備えることが可能である。各長尺状の暗渠構造は、バイオフィルタタンクの床の下方に配置された1つ以上の流れチャンネルと流体連通するように位置付けられる。該方法は、透過性上部表面上のバイオフィルタ媒体層を支持する工程と、バイオフィルタ媒体層における生物学的な相互作用を促進するために、流体流を透過性上部表面を通して1つ以上の方向に送り出す、送出工程と、をさらに備える。いくつかの実施形態では、送出工程は、少なくとも第1種及び第2種の流体流を透過性上部表面を通して、同じか対向した方向に送り出す工程を備えることが可能である。いくつかの実施形態では、送出工程は、流体流をバイオフィルタ媒体層の中に導入する工程の前に、暗渠内部において2種以上の流体流をのがす工程を備えることが可能である。該方法は、形状決定された暗渠アセンブリと構造が同様の形状決定されたドレンアセンブリを、形状決定された暗渠アセンブリの上方の場所(例えば、バイオフィルタ媒体層の中又は上方)に位置付ける工程をさらに備えることが可能である。
【0008】
上記の要約は、各例示された実施形態又は本明細書の主題のあらゆる実施を説明することを意図するものではない。続く図及び詳細な説明は、様々な実施形態をより詳しく例示するものである。
【0009】
本明細書の主題は、添付の図と共に、以下の様々な実施形態の詳細な説明を考慮して、より完全に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】本発明の実施形態に従ったバイオフィルタシステムの部分的に隠された、斜視図。
図1B図1Aのバイオフィルタシステムの部分断面図。
図1C図1Bの細部Aで取り出した拡大断面図。
図2図1のバイオフィルタシステムの断面図。
図3】本発明の実施形態に従った形状決定された暗渠の斜視端面図。
図3A図3の形状決定された暗渠の端面図。
図4図3の形状決定された暗渠の斜視断面図。
図5】本発明の実施形態に従ったフリュームプレートの斜視図。
図6】本発明の実施形態に従ったスロットの付いたスクリーンの側面図。
図7A】本発明の実施形態に従った形状決定された暗渠の断面図。
図7B】本発明の実施形態に従った形状決定された暗渠の断面図。
図7C】本発明の実施形態に従った形状決定された暗渠の断面図。
図7D】本発明の実施形態に従った形状決定された暗渠の断面図。
図7E】本発明の実施形態に従った形状決定された暗渠の断面図。
図7F】本発明の実施形態に従った形状決定された暗渠の断面図。
図8A】本発明の実施形態に従った形状決定された暗渠の概略側面図。
図8B】本発明の実施形態に従った形状決定された暗渠の概略側面図。
図9A】本発明の実施形態に従った形状決定された暗渠の概略端面図。
図9B】本発明の実施形態に従った形状決定された暗渠の概略端面図。
図9C】本発明の実施形態に従った形状決定された暗渠の概略端面図。
図10】本発明の実施形態に従ったバイオフィルタシステムの概略図。
図11A】本発明の実施形態に従った形状決定された暗渠の概略端面図。
図11B】本発明の実施形態に従った形状決定された暗渠の概略端面図。
図11C】本発明の実施形態に従った形状決定された暗渠の概略端面図。
図12】本発明の実施形態に従ったバイオフィルタシステムの概略図。
図13A】本発明の実施形態に従った形状決定された暗渠及び上部の形状決定された暗渠アセンブリの概略端面図。
図13B】本発明の実施形態に従った形状決定された暗渠、上部の形状決定された暗渠アセンブリの概略端面図。
図14A】本発明の実施形態に従ったバイオフィルタシステムの概略図。
図14B】本発明の実施形態に従ったバイオフィルタシステムの概略図。
図15A】本発明の実施形態に従った複数種の流れを混合するための暗渠アセンブリの概略図。
図15B】本発明の実施形態に従った複数種の流れを混合するための暗渠アセンブリの概略図。
図15C】本発明の実施形態に従った複数種の流れを混合するための暗渠アセンブリの概略図。
図15D】本発明の実施形態に従った複数種の流れを混合するための暗渠アセンブリの概略図。
図15E】本発明の実施形態に従った複数種の流れを混合するための暗渠アセンブリの概略図。
図15F】本発明の実施形態に従った複数種の流れを混合するための暗渠アセンブリの概略図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
様々な実施形態が様々な改変形態及び代替形態に対応可能であると同時に、それらの詳細は図面において例として示されるに至ったり、詳細に説明され得たりする。その意図は、しかしながら、請求項に係る発明を説明された特定の実施形態に制限することではないことを理解されるべきである。それどころか、その意図は、特許請求の範囲によって決定されたような主題の精神及び範囲の範囲内にある、全ての改変形態と、均等物と、代替形態とをカバーするものである。
【0012】
ここで、図1Aと、図1Bと、図1Cと、図2と、を参照すると、本発明の代表的なバイオフィルタシステム100は、タンク102と、媒体層104と、形状決定された暗渠アセンブリ106と、を備えることが可能である。タンク102は、移動式のシステムに適切なより小さいサイズと、都市の又は大きなプロセスの用途用のより大きなサイズと、を含む幅広い様々なサイズであることが可能である。一般的に、タンク102は、複数の壁108と、1つの床110と、を備える。床110は、一般的に、1つ以上のチャンネル112を形成する。媒体層104は、一般的に、生物学的な成長を促進するように選択された、処理媒体114を備える。処理媒体114は、一般的に、バクテリアが流入液ストリームの中で有機要素と相互作用するように助長するべく、大きな表面積を有するように選択される。代表的な処理媒体114は、粒状媒体、浮遊媒体、及び/又は構造充填物を含むことが可能である。粒状媒体の代表例は、活性炭と、バイオライト(Biolite)と、フィルトラライト(Filtralite)と、砂と、を含む。浮遊媒体の代表例は、ポリスチレン及び/又はポリエチレンビーズを含む。典型的に、タンク102のサイズ及び媒体層104の深さは、必要な生物学的相互作用が起こるための所望の滞留時間を提供するように選択される。
【0013】
ここで、図3と、図3Aと、図4と、図5と、を参照すると、形状決定された暗渠アセンブリ106は、長尺状の構造121を形成する、複数の個々の形状決定された暗渠120を備える。長尺状の構造121は各々、形状決定された暗渠120がタンク102を通じて延びるように、床110の中又は床110の下方で、対応するチャンネル112に対してそれぞれ流体接続されている。一般的に、各形状決定された暗渠120は、床110の上方に位置する上部ドレン部分122を備えることが可能である。いくつかの実施形態では、下部ドレン部分又はフリュームプレート123は、チャンネル112の中に物理的に存在することが可能である。上部ドレン部分122は、一般的に、媒体層104に接触して媒体層104を支持する流体透過性の上部支持表面124と、下部支持床又は表面125とを備える。ドレン内部127が、透過性上部支持表面124と、下部支持床125との間に形成される。現時点で好ましい一実施形態では、図6に示されるように、透過性上部支持表面124は、スロットの付いたスクリーン126を備えることが可能である。スロットの付いたスクリーン126は、隣接した形状決定されたワイヤー要素が平行の配置で存在し、それらの間にスロット132を形成するように、支持部材130に形状決定されたワイヤー要素128を据え付けることによって形成されている。形状決定されたワイヤー要素128の代表例は、V字形状の又は三角形の断面を有する、くさび又はVee-wire(登録商標)要素130を含むことが可能である。支持床125は、一般的に、フリュームプレート123に対して流体接続することが可能な、複数の離間した床アパーチャ132を備える。形状決定された暗渠120は、米国特許出願公開第2019/0218764号明細書(その全体を参照によって本明細書に援用する)において記載されるものと同様に、組み立てられるとともに製造されることが可能である。プロセス特性に依存して、形状決定された暗渠120及び形状決定された暗渠120を構成する様々な構成要素は、例えば、ステンレス鋼及び銅合金等の金属製の材料、例えば、ポリ塩化ビニル等の高分子材料、及び、それらの金属製材料と、高分子材料と、の組み合わせであることが可能である。加えて、頻繁なメンテナンス及び/又は増加した逆洗周期を必要とし得るスロットの付いたスクリーン126のファウリングを低減するように、上部支持表面上の表面コーティング又は表面処理(例えば、上部支持表面124上の生物学的な成長を妨げようと努めるか、低減しようと努める、銅コーティング)を利用することは、有利になり得る。
【0014】
ここで、図7Aと、図7Bと、図7Cと、図7Dと、図7Eと、図7Fと、を参照すると、上部ドレン部分122は、一般的に、特定の設備のプロセス特性に基づいて選択されるとともに最適化されることが可能な、断面形状140を形成することが可能である。例えば、断面形状140は、流量と、滞留時間と、流入プロセス水における有機負荷及び有機タイプと、流れの方向と、別個の流れストリームの数と、所望の流れの混合と、等を含む不確定要素に基づいて選択されることが可能である。代表的な断面形状140は、半円形又は半球状の断面140aと、四辺形(例えば、長方形又は正方形)の断面140bと、円形の断面140cと、三角形の断面140dと、台形の断面140eと、六角形形状140fと、それらの組み合わせと、を含むことが可能である。図7A図7Fに見られるように、示された断面形状140の各々は、複数種の流れが上部ドレン部分122を通して流れることを可能にする、流れインターフェース142を備えることが可能である。流れインターフェース142は、上部ドレン部分122の中の別個の流れチャンネルを形成することが可能であり、さらに、流れオリフィス及び同様の流れ制御フィーチャを備えることが可能であり、異種の流れを上部ドレン部分122の中で、プロセス要求によって所望されるように、混合することが可能になる。
【0015】
図8Aと、図8Bと、に示されるように、形状決定された暗渠120は、床110における、及び/又は上部支持表面124における、長尺状の構造121の1つ以上の端152a,152bにおいて、1つ以上の流体接続部150を備えることが可能である。流体接続部120は、例えば、プロセス流入液ストリーム、プロセス流出液ストリーム、曝気流入ストリーム、曝気流出ストリーム、プロセス付加流入ストリーム、及びそれらの組み合わせを含む、様々な液体流ストリーム及び気体流ストリームの流入及び流出と、様々な種の液体流及び気体流の流入及び流出と、を考慮に入れることが可能である。流体連通部120は、流れ制御機構154(例えば、流れオリフィス、流量制御弁等)を備えることが可能であり、形状決定された暗渠120の出入の流れ特性を制御して、形状決定された暗渠120及びタンク102の中の、所望のインターフェース状態を維持する。
【0016】
図9Aと、図9Bと、図9Cと、図10と、に見られるように、形状決定された暗渠120は、プロセス流ストリーム(例えば、プロセス流入液ストリーム、プロセス流出液ストリーム、曝気流入ストリーム、曝気流出ストリーム、プロセス付加流入ストリーム、及びタンク102における生物学的な処理を助長するのに適切な任意の他の流れストリームのうちの2つ以上)が、形状決定された暗渠120と単一の流れ方向において相互作用することが可能になるように、流れインターフェース142と共に構成されることが可能である。例えば、形状決定された暗渠120は、タンク102の中のプロセス状態を最適化するために、高い種の流れ162及び低い種の流れ164が、上部支持表面124を通して送り出されることが可能な、単一の流れ方向設計部160を備えることが可能である。加えて、追加の流れ(例えば、第3種の流れ166)は、形状決定された暗渠120を通して層状流を促進するために、内部の流れ制御部(例えば、オリフィス又は流量制御弁)の使用を通じて、透過性上部支持表面124を通して送り出されることが可能である。
【0017】
その代わりに、形状決定された暗渠120は、プロセス流ストリーム(例えば、プロセス流入液ストリーム、プロセス流出液ストリーム、曝気流入ストリーム、曝気流出ストリーム、プロセス付加流入ストリーム、及びタンク102における生物学的な処理を助長するのに適切な任意の他の流れストリームのうちの2つ以上)が、図11Aと、図11Bと、図11Cと、図12と、において示されるように、形状決定された暗渠120と双対の流れ方向に相互作用することが可能なように、流れインターフェース142と共に構成されることが可能である。例えば、形状決定された暗渠120は、タンク102の中のプロセス状態を最適化するために、高い種の流れ162と、低い種の流れ164とが上部支持表面124を通して反対の流れ方向に送り出されることが可能な、二重の流れ設計部170を備えることが可能である。加えて、追加の流れストリーム(例えば、第3種の流れ166)は、上部支持表面124を通して、高い種の流れ162及び低い種の流れ164と同じ又は異なる方向に送り出されることが可能である。
【0018】
図13Aと、図13Bと、図14Aと、図14Bと、において示される別の代替配置では、バイオフィルタシステム100は、タンク102において床110の上方に据え付けられることが可能な、上部の形状決定されたドレンアセンブリ180を備えることが可能である。いくつかの実施形態では、上部の形状決定されたドレンアセンブリ180は、あらかじめ説明された暗渠アセンブリ106の上方に存在することが可能である。いくつかの実施形態では、上部の形状決定されたドレンアセンブリ180は、処理媒体112のための有利な生物学的な状態を提供するために、媒体層104の上方又は中に据え付けられることが可能である。一般的に、上部の形状決定されたドレンアセンブリ180は、複数の上部の形状決定されたドレン182を備えることが可能である。上部の形状決定されたドレン182は、実質的に、床110に対するそれらの物理的な場所を除いて、形状決定された暗渠120の構造及び配置に類似することが可能である。示されたように、上部の形状決定されたドレン182は、プロセス流ストリーム(例えば、プロセス流入液ストリーム、プロセス流出液ストリーム、曝気流入ストリーム、曝気流出ストリーム、プロセス付加流入ストリーム、及びタンク102における生物学的な処理を助長するのに適切な任意の他の流れストリームのうちの2つ以上)が、上部の形状決定されたドレン182と単一の流れ方向において、相互作用することが可能なように構成されることが可能である。例えば、上部の形状決定された暗渠182は、タンク102の中のプロセス状態を最適化するために、高い種の流れ162及び低い種の流れ164が同じ流れ方向に送り出されることが可能な、単一の流れ設計部184を備えることが可能である。その代わりに、形状決定された暗渠120及び上部の形状決定された暗渠182は、タンク102の中のプロセス状態を最適化するために、形状決定された暗渠120と上部の形状決定された暗渠182と、の間で、高い種の流れ162及び低い種の流れ164が反対方向に流れる単一だが反対の流れ設計部186をそれぞれ含むことが可能である。最終的に、バイオフィルタシステム100のいくつかの実施形態は、図14Bに示されるように、暗渠アセンブリ106を上部の形状決定されたドレンアセンブリ180と取り換えることが可能である。
【0019】
最後に、暗渠アセンブリ106が、形状決定された暗渠120の中の2種以上の流れストリームの混合を誘発するために利用された後、前記種の流れストリームが、媒体層104に導入されることが可能である。図15Aと、図15Bと、図15Cと、図15Dと、図15Eと、図15Fと、を参照すると、第1種の流れ190と、第2種の流れ192と、第3種の流れ194と、追加の種の流れと、の混合が、上部ドレン部分122と、フリュームプレート123と、のうちの1つ又は両方の中で実現された後、混合された流れストリームを透過性上部支持表面124を通して、処理媒体112の中に送り出すことが可能である。媒体層104に対する導入の前に様々な種の流れを混合することによって、媒体層104の全深さが生物学的な相互作用に利用可能である。
【0020】
システム、デバイス、方法の様々な実施形態は、本明細書に記載されるに至った。これらの実施形態は、単に一例の目的で与えられ、請求項に係る発明の範囲が制限されることを意図しない。さらに、記載されるに至った実施形態の様々な特徴は、様々な手法で結合されて、数多くの追加の実施形態を生成してよいことが認識されるものである。さらに、様々な材料、寸法、形状、外形、及び、場所等が、開示された実施形態に使用するために記載されるに至ったが、開示されたそれらのもの以外の他のものは、請求項に係る発明の範囲を超えることなく、利用されてよい。
【0021】
当業者らであれば、この文章の主題が、上記に記載された任意の個々の実施形態において説明されるよりも、より少ない特徴を含んでよいことを、認識するであろう。本明細書に記載された実施形態は、この文書の主題の様々な特徴が結合され得る、手法の網羅的な提示であることを意味しない。従って、実施形態は、特徴の相互的な組み合わせではなく、むしろ、当業者らによって理解されるように、様々な実施形態は、異なる個々の実施形態から選択された、異なる個々の特徴の組み合わせを含むことが可能である。さらに、一実施形態に関して記載された構成要素は、指摘しない限り、そうした実施形態において記載されないときでさえ、他の実施形態において実行されることが可能である。
【0022】
従属クレームが、特許請求の範囲において、1つ以上の他のクレームとの特定の組み合わせに言及してよいにもかかわらず、他の実施形態は、各他の従属クレーム又は、1つ以上の特徴と他の従属又は非従属クレームとの組み合わせの主題を、さらに含むことが可能である。特定の組み合わせを意図しないと言明されない限り、そうした組み合わせは本明細書において提案される。
【0023】
上記の文書の参照によるいかなる援用も、本明細書において明示的な開示に反する主題が援用されないように、制限される。上記の文書の参照によるいかなる援用も、文書に含まれるクレームが本明細書において参照によって援用されないように、さらに制限される。上記の文書の参照によるいかなる援用も、文書において提供されるいかなる決定も、本明細書に明確に含まれない限り、本明細書に参照によって援用されないようにさらに制限される。
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図3A
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図8A
図8B
図9A
図9B
図9C
図10
図11A
図11B
図11C
図12
図13A
図13B
図14A
図14B
図15A
図15B
図15C
図15D
図15E
図15F
【国際調査報告】