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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-30
(54)【発明の名称】液体ブレードポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04C 18/22 20060101AFI20230823BHJP
   F04C 25/02 20060101ALI20230823BHJP
【FI】
F04C18/22 A
F04C25/02 P
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023509417
(86)(22)【出願日】2021-08-05
(85)【翻訳文提出日】2023-02-08
(86)【国際出願番号】 GB2021052025
(87)【国際公開番号】W WO2022034292
(87)【国際公開日】2022-02-17
(31)【優先権主張番号】2012475.6
(32)【優先日】2020-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507261364
【氏名又は名称】エドワーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100170634
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 航介
(72)【発明者】
【氏名】スミス ポール デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】マクブライエン ピーター アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】トムキンス マーク エドワード
【テーマコード(参考)】
3H129
【Fターム(参考)】
3H129AA07
3H129AA12
3H129AB06
3H129BB16
3H129BB42
3H129CC03
3H129CC05
3H129CC06
3H129CC19
3H129CC23
(57)【要約】
ガスをポンプ送給するためのポンプであって、ポンプはロータとステータとを備え、ロータは、液体供給源と流体連通するように構成された少なくとも1つの液体開口部を有する。液体開口部は、駆動力に応答して、液体の流れが開口部から流出するように構成されている。液体の流れは、ロータとステータとの間に液体ブレードを形成し、ステータ、ロータ、及び液体ブレードによって閉じ込められたガスは、ロータとステータの相対回転運動に応じて、ポンプを通ってガス入口からガス出口に向かってポンピング経路に沿って運ばれる。ポンピング経路の断面積は、ガス入口からガス出口に向かって増加するように構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータ及びステータを備えるガスをポンプ送給するポンプであって、
前記ロータ又は前記ステータの少なくとも一方は、液体供給源と流体連通するように構成された少なくとも1つの液体開口部を備え、
前記液体開口部は、駆動力に応答して、液体の流れが前記開口部から流出するように構成され、前記液体の流れは、前記ロータと前記ステータとの間に液体ブレードを形成し、前記ステータ、前記ロータ、及び前記液体ブレードによって閉じ込められたガスは、前記ロータと前記ステータの相対回転運動に応じて、前記ポンプを通ってガス入口からガス出口に向かってポンピング経路に沿って運ばれ、
前記ポンピング経路の断面積は、前記ガス入口から前記ガス出口に向かって増加するように構成されている、ポンプ。
【請求項2】
前記ロータと前記ステータとの間の距離は、前記ガス入口から前記ガス出口に向かって増加する、請求項1に記載のポンプ。
【請求項3】
前記ポンプは、作動時、前記液体開口部を通って流出する液体の量が、前記ガス入口から前記ガス出口に向かって増加するように構成されている、請求項1又は2に記載のポンプ。
【請求項4】
前記液体開口部の断面積は、前記ガス入口に向かうよりも前記ガス出口に向かって増加する、請求項3に記載のポンプ。
【請求項5】
前記液体開口部は、スリットを形成する、請求項1から4のいずれかに記載のポンプ。
【請求項6】
前記スリットは、前記ロータの回転軸と平行に長手方向に延びる、請求項5に記載のポンプ。
【請求項7】
前記スリットは、前記ロータの回転軸の周りに延びる螺旋の形態で配置される、請求項5に記載のポンプ。
【請求項8】
前記螺旋の角度は、前記ガス入口から前記ガス出口に向かって変化し、前記螺旋のピッチは、前記ガス出口に向かって増加する、請求項7に記載のポンプ。
【請求項9】
前記ロータ及びステータの一方は、他方の要素に向かって延び、前記ポンピング経路の螺旋経路を規定する螺旋状突出部を備え、前記他方の要素は、前記液体開口部を備える、請求項1から8のいずれかに記載のポンプ。
【請求項10】
前記螺旋状突出部のピッチは、前記ガス入口から前記ガス出口に向かって増加する、請求項9に記載のポンプ。
【請求項11】
前記ステータ及び前記ロータは、前記ポンピング経路が前記ロータ又は前記ステータの内側の1つの円周の周りに延在するように構成され、作動時、前記ガス入口は、前記ガス出口よりも垂直方向に高いように配置される、請求項1から5のいずれかに記載のポンプ。
【請求項12】
前記側壁と、前記液体開口部を備える前記ロータ又は前記ステータとの間にシール手段をさらに備える、請求項11に記載のポンプ。
【請求項13】
前記ガス出口における前記ポンピング経路の下面は、前記ガス入口における前記ポンピング経路の下面よりも低く、前記ガス出口における前記ポンピング経路の上面は、前記ガス入口における前記ポンピング経路の下面よりも高い、請求項11又は12に記載のポンプ。
【請求項14】
前記ポンピング経路の断面積は、前記ロータと前記ステータとの間の距離である半径方向長さと、前記半径方向長さに垂直な前記ポンピング経路の寸法である軸方向幅とによって規定され、前記軸方向幅は、前記ガス入口から前記ガス出口に向かって増加する、請求項1から13のいずれかに記載のポンプ。
【請求項15】
前記ロータは、前記液体開口部を備え、前記ステータ内で回転するように取り付けられている、請求項1から14のいずれかに記載のポンプ。
【請求項16】
前記ポンピング経路の断面積は、前記ロータと前記ステータとの間の距離である半径方向長さと、前記半径方向長さに垂直な前記ポンピング経路の寸法である軸方向幅とによって規定され、前記ポンプは、前記液体開口部からの半径方向の距離が増加すると、前記ポンピング経路の前記軸方向幅が減少するように構成されている、請求項1から請求項15のいずれかに記載のポンプ。
【請求項17】
前記ポンプは、前記ガス入口から前記ガス出口までの前記断面積の増加が、通常動作時に前記液体ブレードを形成するために前記ポンプに供給される液体の量に基づいて選択されるように構成され、ガスが利用できる前記ポンピング経路の断面積は、前記ガス入口から前記ガス出口まで減少し、ポンプ送給される前記ガスが圧縮されるようになっている、請求項1から16のいずれかに記載のポンプ。
【請求項18】
前記ポンプは、真空ポンプを備える、請求項1から17のいずれかに記載のポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスをポンプ送給するための様々なタイプのポンプが知られている。これらには、ガスが除去される前にポンプ内部の表面に取り込まれる溜め込み式ポンプ、ターボ分子ポンプのようなガスの分子が入口側から出口又は排気側に向かって加速される運動又は運動量輸送式ポンプ、及びガスが捕捉されてポンプの入口から出口に向かって移動する容積式ポンプが含まれる。
【0003】
容積式ポンプは、一般的に1又は2以上のロータとステータとの間に形成される移動ポンプチャンバを備え、ロータの移動によって有効ポンプチャンバが移動するようになる。入口で受け取ったガスは、ポンプチャンバに入り、捕捉され、出口に移動する。場合によっては、効率を向上させるために移動中にガスポケットの容積が減少する。このようなポンプとしては、ルーツポンプ、回転ベーンポンプが挙げられる。ガスをチャンバに引き込むために、チャンバは一般的に膨張し、チャンバからガスを排出するために、チャンバ容積は一般的に収縮する。この容積変化は、例えば回転ベーンポンプでは、それ自体が摩擦の影響を受ける、バネなどのデバイスを使用してポンプチャンバに出たり入ったりするブレードによって、又はルーツポンプ又はスクリューポンプにおいて、互いに及びステータと協働してガスポケットを移動させて入口と出口との間の容積変化を生じさせる2つの同期ロータを使用して実現される。追加のロータは、追加のシャフト、軸受、ロータの動きを同期させるためのギアなどのタイミング手段を必要とする。
【0004】
さらに、ガスの漏れを最小限に抑えるか又は少なくとも低減して、ガスが閉じ込められている間にガスを効率的に移動させるために、可動部品は、互いに対して及び閉じ込められたガス容積を形成する静的部品と閉鎖シールを形成する必要がある。一部のポンプは、オイルのような液体を使用して、閉じ込められた容積の表面間をシールするが、他のポンプは、緊密な非接触クリアランスに依存し、これは製造コストの増加につながる可能性があり、また、部品が接触した場合又はポンプ送給される流体中に粒状物質は不純物が含まれる場合、ロック又は焼付きを生じやすいポンプをもたらす可能性がある。
【0005】
英国特許第2565579号は、ポンプブレードを形成するために液体を使用するポンプを開示し、それによって上記の問題のいくつかに対処している。
液体ブレードは、その性質上、変形可能であり、変形する場合があり、液体ブレードの変形は、ブレードの変形部分と、それがシールすることになるロータ又はステータの固体表面との間の漏れにつながる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】英国特許第2565579号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
耐摩耗性に優れ、低消費電力で比較的小さなポンプ機構であり、製造及び運転が比較的安価であり、入口と出口の間でガスをポンプ送給するための効果的な手段をもたらすポンプを提供することが望ましいことになる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様は、ガスをポンプ送給するためのポンプを提供し、このポンプは、ロータ及びステータを備え;少なくともロータ又はステータの一方は、液体供給源と流体連通するように構成された少なくとも1つの液体開口部を備え;液体開口部は、駆動力に応答して、液体の流れが開口部から流出するように構成され、液体の流れは、ロータとステータとの間に液体ブレードを形成し、ステータ、ロータ、及び液体ブレードによって閉じ込められたガスは、ロータとステータの相対回転運動に応じて、ポンプを通ってガス入口からガス出口に向かってポンピング経路に沿って運ばれ;ポンピング経路の断面積は、ガス入口からガス出口に向かって増加するように構成されている。
【0009】
本発明の発明者らは、ポンプの要素に液体開口部を設け、開口部を通って流出する液体がポンプの要素間に面又はブレードを形成するように構成し、要素の一方を他方に対して回転させると、液体ブレードがポンプを通してガスを運ぶために使用できることを認識した。このような液体ブレードは、その性質上、変形可能で、低コストであり、一般に、緊密な製造公差を必要とすることなく、閉じ込め容積の表面の間の良好なシールを提供する。さらに、このようなブレードは、それ自体が摩耗することはなく、接触する表面の摩耗を非常に少なくすることができる。
【0010】
しかしながら、ブレードは流動液体で形成されているので、ブレードを形成する液体は連続的に補充されることになる。液体ブレードを使用するポンプの1つの課題は、液体ブレードを形成する液体が作動時にポンピング経路内に蓄積するので、ポンピング経路の中を移動するガスのための十分な自由容積を維持することである。一般に、ポンピング経路の断面積は、ポンプ送給時にガスの圧縮を行うために入口と出口との間で減少するように構成さており、これは、より効率的なポンプにつながる。実施形態は、入口と出口との間の断面積の増加をもたらす。この増加は、ポンピング経路内の連続的に補充される液体ブレードからの液体の蓄積に起因して、ポンプ送給時のガスが利用できる容積の減少を補うために使用される。液体の蓄積は、液体が流路に沿って流出する際に入口から出口に向かって増加するので、入口から出口までの断面積の増加を利用して、これに対処すること、及び所望のポンプ送給速度及び許容可能な効率を可能にする入口から出口までの容積の許容可能な変化をもたらすことができる。
【0011】
いくつかの実施形態では、ロータとステータとの間の距離は、ガス入口からガス出口に向かって増加する。
【0012】
断面積を増加させる1つの方法は、ロータとステータとの間の距離を増加させることである。これは、一方又は他方、又は両方にテーパーを付けることによって行うことができる。これに関する1つの潜在的な問題は、ロータとステータとの間の距離が長くなると液体ブレードの長さも増加し、これによって堅牢性が低下する可能性があることである。この堅牢性の低下は、許容可能なブレードを維持するために、液体流量の増加など、いくつかの追加的な対策を必要とする場合がある。
【0013】
いくつかの実施形態では、ポンプは、作動時、液体開口部を通って流出する液体の量が、ガス入口からガス出口に向かって増加するように構成されている。
【0014】
液体開口部を通って入る液体の量は、ガス入口からガス出口に向かって増加させることができる。これは、いくつか理由で好都合な場合がある。まず、ガス入口の近くに入る液体は、ポンピング経路に沿って移動して排水される必要があるので、入口のより近くに入る液体の量を制限することが好都合であり、その理由は、液体はポンピング経路の大部分に沿って進む必要があり、ポンピング経路内の液体は、ポンプ送給時のガスの有効容積を低減するからである。さらに、ステータとロータとの間の距離が入口から出口に向かって増加する実施形態では、液体ブレードがより大きな面積に対応する場合により堅牢であることを可能にするために、追加の液体が供給されることが好都合である。この関連で、供給される水の量を対応して増加させることによって、ブレードの長さの増加を補うこと及び同様に堅牢なブレードを維持することができる。
【0015】
いくつかの実施形態では、液体開口部の断面は、ガス入口に向かうよりもガス出口に向かって増加する。
【0016】
液体開口部から導入される液体の量の増加は、液体開口部の断面をガス出口に向かって増加させることによって達成することができる。もしくは、スリットでの液体の出口速度を増加させることによって達成することができる。スリットの幅を増加させることは、水の出口速度の増加よりもエネルギー効率が高い。しかしながら、水ブレードを形成する水の増加に関連する電力消費のペナルティが依然としてある。
【0017】
いくつかの実施形態では、液体開口部は、スリットを備える。
【0018】
スリット形態の狭い開口部は、効果的な水ブレードをもたらすことができる。いくつかの実施形態では、単一の狭い開口部ではなく、複数の液体開口部をラインに沿って配置することができ、各開口部からの液体は、隣接する開口部からの液体と合体して、ブレードをそのラインに沿って形成することができる。
【0019】
いくつかの実施形態では、スリットは、長手方向軸に対して角度付けすることができるが、スリットは、ロータの回転軸と平行に長手方向に延びる。
【0020】
いくつかの実施形態では、ロータ又はステータの一方をテーパー付けすることで、ロータとステータとの間の距離がガス入口から出口に向かって増加し、次に、液体開口部がスリットである場合、スリットは、ロータとステータとの間の距離が増加する場合に増加した幅をガス出口に向かって有することができ、厚さが増加し、対応して堅牢性が高いブレードがもたらされる。
【0021】
他の実施形態では、スリットは、ロータの回転軸の周りに延びる螺旋形態で配置される。
【0022】
螺旋状ポンピング経路は、螺旋状液体ブレードを形成する螺旋状スリットによって画定することができる。
【0023】
いくつかの実施形態では、螺旋の角度は、ガス入口からガス出口に向かって変化し、螺旋のピッチは、ガス出口に向かって増加する。
【0024】
ポンピング経路の断面積の増加は、入口から出口に向かう液体開口部の螺旋ピッチを増加させることによって達成することができる。このような方法では、液体ブレードの堅牢性を維持するためのロータとステータとの間の距離の増加及びさらなる液体の要求に関する問題は生じない。
【0025】
スリットは、ライン又は螺旋経路に沿って延びる単一の開口とすること、又は、ライン又は螺旋経路に沿って配置された複数の開口によって形成することができる。
【0026】
いくつかの実施形態では、ロータ及びステータのうちの一方は、他方の要素に向かって延び、ポンピング経路の螺旋経路を規定する螺旋状突出部を備え、他方の要素は、液体開口部を備える。
【0027】
液体ブレードを用いるポンプの1つの形態は、ロータとステータとの間に延びる螺旋状突出部によって形成された螺旋経路を有するねじポンプとすることができる。
【0028】
いくつかの実施形態では、螺旋状突出部のピッチは、ガス入口からガス出口に向かって増加する。
【0029】
ポンピング経路の断面積を増加させる別の方法は、螺旋状突起のピッチを増加させることである。これは、ロータとステータとの間の距離を一定のままとすることができるので、液体開口部の同じ断面積を通って延びる液体ブレードに必要な液体の量を一定のままとすることができるので好都合であろう。
【0030】
いくつかの実施形態では、ポンピング経路の断面積は、ロータとステータとの間の距離である半径方向長さと、半径方向長さに垂直なポンピング経路の寸法である軸方向幅とによって規定され、軸方向幅は、ガス入口からガス出口に向かって増加する。
【0031】
上述したように、ポンピング経路の半径方向長さが増加する場合、堅牢なブレードを維持するために、供給される液体の量を増加させることを必要とする場合がある。流路の軸方向幅が増加すると、流路の幅を覆う液体開口部のサイズも対応して自動的に増加することになり、何らかのさらなる調整を行う必要はない。従って、軸方向幅は、ガス入口からガス出口まで増加することが望ましいであろう。この点において、軸方向幅は、回転軸に平行である。
【0032】
いくつかの実施形態では、ロータ及びステータの一方は他方の中に取り付けられる。
【0033】
いくつかの実施形態では、ロータは、液体開口部を備え、ステータ内で回転するように取り付けられている。
【0034】
いくつかの実施形態では、ステータ及びロータは、ポンピング経路がロータ又はステータの内側の1つの円周の周りに延在するように構成され、作動時、ガス入口は、ガス出口よりも垂直方向に高いように配置される。
【0035】
液体ブレードを形成する液体は、ポンピング経路の壁に衝突すると、それを流れ落ちて底部に集まるので、ポンピング経路が液体でいっぱいにならないようにするには、ポンピング経路から液体を排出する何らかの方法があるべきである。一部の例では、ポンピング経路は、ポンプの作動時に、液体がガス出口を通って排出されるように、ガス入口の下面がガス出口の下面よりも高くなるように構成されている。
【0036】
いくつかの実施形態では、ガス出口におけるポンピング経路の下面は、ガス入口におけるポンピング経路の下面よりも低く、ガス出口におけるポンピング経路の上面は、ガス入口におけるポンピング経路の下面よりも高い。
【0037】
液体ブレードは、ロータの回転方向に沿って実質的に円周方向にガスを押し出す。従って、ポンピング経路及びガス出口もこの経路に沿って配置されることが好都合である。従って、ガス出口は、液体の排出を可能にするためにガス入口の下にある必要があるが、ガスが液体ブレードの回転によって効果的に運ばれるように、ガス入口よりも僅かに下方にあることが好都合である。
【0038】
いくつかの実施形態では、ポンプは、側壁と、液体開口部を備えるロータ又はステータとの間にシール手段をさらに備える。
【0039】
ガス及び液体の漏れを低減するために、ポンピング経路の側壁と液体開口部を備えるロータ又はステータとの間にシール手段を適用することができる。この点に関して、ガス入口からガス出口までのポンピング経路の幅が減少する場合、ガス入口の近くでは、液体開口が狭いポンピング経路の幅を超えて広がることになり、結果的に、入口近くの狭い経路に開口しない液体開口部(複数可)の部分から流出する液体の量を減少させるためにシール手段を設けることが有利である。
【0040】
いくつかの実施形態では、ポンピング経路の断面積は、ロータとステータとの間の距離である半径方向長さと、半径方向長さに垂直なポンピング経路の寸法である軸方向幅とによって規定され、ポンプは、液体開口部からの半径方向の距離が増加すると、ポンピング経路の軸方向幅が減少するように構成されている。
【0041】
いくつかの実施形態では、ポンピング経路は、液体開口部から離れるにつれて狭くなるようにテーパー付けすることができる。液体ブレードは、液体開口部から離れるにつれてそれ自体がテーパー状になることができ、従って、対応して経路をテーパー付けして、それによって側壁とブレードとの間に形成される隙間を防ぐか又は少なくとも低減することは好都合であろう。
【0042】
いくつかの実施形態では、ポンプは、ガス入口からガス出口までの断面積の増加、及び、通常動作時にシールを形成するためにポンプに供給される液体の量が選択されるように構成され、ガスが利用できるポンピング経路の断面積がガス入口からガス出口まで減少し、ポンプ送給されるガスが圧縮されるようになっている。
【0043】
ポンプ送給されるガスが利用できる容積は、ポンピング経路の断面積及びポンピング経路内の液体の両方に依存する。ポンピング経路内の液体は、入口から出口に向かって増加し、通常動作時にポンプに供給される液体及びその排出速度から特定することができる。ポンプは、ポンピング経路のガス入口からガス出口までの断面積の増加が、通常動作時にポンピング経路内に蓄積される液体の推定量に応じて選択されるように構成することができる。このようにして、ガスに利用可能なポンピング経路の断面積を制御することができ、場合によっては、ポンプ送給時のガスが圧縮されるように、ガス入口からガス出口までわずかに減少するように制御することができる。
【0044】
要約すると、液体ブレードを形成するために液体開口部からポンプに送給される液体は、ガス入口からガス出口までポンプ内に蓄積し、ガス出口でガスとともに排出されることになる。これによって、ガス入口からガス出口までポンピング経路に沿って液体が増加し、それに伴って、ポンプ送給されるガスが利用可能な面積が減少することになる。これは、ガス入口からガス出口までのポンピング経路の断面積を増加させることによって補うことができる。場合によっては、ポンプは、これらの2つが連動するように構成され、設計は、ガス用の自由容積が、ポンプ送給されるガスの圧縮があるようにポンプ入口からポンプ出口まで減少するようになっており、減少量は、効果的な液体ブレードを有する効率的なポンプを可能にする圧縮量の制御を行うように制御される。
【0045】
この点に関して、断面積の増加は、ポンピング経路内の液体の蓄積と連動するように、ポンピング経路の長さに沿った緩やかな増加とすることができる。
【0046】
いくつかの実施形態では、ポンプは、真空ポンプを備える。
【0047】
さらなる特定の及び好ましい態様は、独立請求項及び従属請求項に記載されている。従属請求項の特徴は、適宜、独立請求項の特徴と及び請求項に明示的に規定されている以外の組み合わせで組み合わせることができる。
【0048】
装置の特徴が、ある機能を提供するために動作可能であると説明される場合、これは、その機能を提供する、又はその機能を提供するように適合又は構成される装置の特徴を含むことを理解されたい。
本発明の実施形態は、以下に、添付の図面を参照してさらに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1】一実施形態による螺旋状ポンピング経路を有するポンプを示す。
図2】螺旋状経路ポンプの別の実施形態を示す。
図3】一実施形態による液体回転ベーン型ポンプを示す。
図4図3のポンプを通る経路の概略を示す。
図5図3のポンプのさらなる図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
実施形態についてさらに詳細に説明する前に、まず、概要について説明する。
ポンプの実施形態は、回転する水シートを発生させて、ポンプ送給されるガスを個別の容積に分離し、これらの容積を入口から出口まで運ぶ。入口から出口への移動の間に、水及びガスの両方が排出口を出るまで、水がその量を増やしながら機構に導入される。技術的な課題の1つは、機構を通って移動するガスのための十分な自由容積を維持することである。これは、ガスがそこを通って移動するポンピング経路の断面積を増加させるとによって対処することができる。電力消費を抑えながらこの問題に対処する1つの方法は、断面積を入口からの距離の関数として増加させることであり、これは、いくつかの実施形態では回転角度に依存する。
【0051】
ポンプの実施形態は、中空円筒形のロータを備え、これは、液体溜まりから水を運び上げ、垂直方向のスリットから外に送って回転する水シートを発生させる。これらの水シートは、ポンプ送給されるガスを個別の容積に分離し、これらを入口から出口まで運ぶ。1つの実施形態では、これらの個別の容積はねじ山の中で生成され、ガスは、螺旋状経路を下方に運ばれる。別の実施形態では、これらの個別の容積は、単純に上側及び下側シール縁によって画定され、回転ベーンポンプに類似した機構で、入口から出口まで放射状に運ばれる。さらに別の実施形態では、液体開口部自体がねじ山を形成し、ガスを入口から出口にポンプ送給する螺旋状液体ブレードをもたらす。
【0052】
これらの実施形態の全てでは、水及びガスの両方が排出口を出るまで、入口から出口まで、液体、一般に水がその容積が増やしながら機構に導入される。従って、技術的な課題の1つは、機構を通って移動するガスのための十分な自由容積を維持することである。これは、ポンピング経路の高さを増加させる及び/又はロータとステータ壁との間の半径方向の距離を増加させることによって、ガスが移動するポンピング経路の断面積を増加させることで達成することができる。
【0053】
しかしながら、単純に断面積を均一に増加させることは、エネルギー消費に関して非効率的であり、シールされたガス容積の変化に対して限定的な制御をもたらす。いくつかの実施形態では、断面積の増加量は、加えられた液体量及び何らかの所望の圧縮に依存するように設定される。液体ブレードは、連続的に補充され、ブレードを形成する液体は、ポンピング経路に蓄積し、ポンプ送給されたガスのために利用可能な容積を減少させることになる。これは予測可能であり、設計は、蓄積する液体に起因する容積の変化、及び所望の圧縮及びそれに応じた断面積の増加を推定することができる。
【0054】
1つの実施形態では、エネルギー効率の良い手法は、入口から出口までのポンピング経路に沿った距離の関数として断面積を増加させることであり、1つの実施形態では、これは回転角度に等しい。これによって、必要なガスの容積圧縮を行いながら、電力消費を改善することができる。いくつかの例示的な実施形態は以下のセクションで示される。
【0055】
図1は、ポンピング経路の断面積の増加が、入口52から出口54までのステータ20とロータ10との間の半径方向距離の増加によってもたらされる螺旋状のねじステータ形態を有するポンプを示す。この実施形態のようにテーパー状のステータ形態を有すると、断面積の増加がもたらされるが、ロータとステータとの間の距離の増加があり、これを補償するために、本実施形態では水である液体の出口速度又は水シートの厚さを増加させる必要がある。本実施形態では、水シートの厚さは、水がポンプの出口54側に向かって通過するスリット12の幅を増やすことによって増加される。これは、水の出口速度の増加よりもエネルギー効率が良い。しかしながら、水ブレードを形成する水の増加に関連する電力消費ペナルティが依然としてある。
【0056】
他の実施形態では、ロータは、ステータと同様にテーパー状とすることができ、出口に向かったロータ径の増加は、スリット12から出る水の出口速度の増加につながる。ロータのテーパー角は、ステータのテーパー角とすることができ、その間の距離の増加、及び対応する出口に向かって断面積の増加につながる。ロータ径を増加させることは、出口に向かう水の出口速度の所望の増加をもたらすエネルギー効率の良い方法である。
【0057】
図2は、場合によっては好ましい第2の実施形態を示し、ロータ10とステータ20との間の半径方向の距離は一定である。ポンピング経路の断面積の増加は、入口52から出口54へのピッチの変化によってもたらされる。これによって、スリット12は、一定の幅を有することができ、これに対応して一定の幅の水ブレードをもたらすことができる。これは、図1の実施形態よりもエネルギー効率が高い場合がある。
【0058】
図1及び図2の実施形態は、真っ直ぐな水ブレードを示すが、螺旋状のスリットを形成することができる螺旋状の水ブレードに適用することもできる。これは、ステータに対応するステータ上の螺旋状ねじと一緒に使用すること、又は、実際には、プロファイルを有しないステータと一緒に使用することができる。同様に、水ブレードを形成するスリットのピッチは、ポンピング経路の断面積の増加をもたらすために変えることができ、及び/又は、ロータ10とステータ20との間の距離は、この断面積の増加をもたらすために変えることができる。
【0059】
図3は、回転ベーンポンプに類似する別の実施形態を示す。本実施形態では、ロータ10は、ステータ20内に取り付けられ、液体ブレードを形成するために作動時に液体が出るスリット12を備える。ポンピング経路38は、ステータ20の壁によって形成され、ロータ10の回転に基づいて、ガスはブレードによって入口52から出口54まで運ばれる。入口52は、水ブレードが回転するとポンピング経路内に蓄積する液体ブレードからの液体に起因して発生する容積の低減に対応するために、出口54よりも小さい断面積を有する。入口のポンピング経路の床面は、作動時にポンピング経路内に蓄積する何らかの液体が排出されて出口54でガスと一緒に出るように、出口54のポンピング経路の床面よりも高い。図示のように、ポンピング経路の断面積38は、入口52から出口54まで増加する。
【0060】
図4は、入口から出口までのポンピング経路を通る経路の概要を示す。図示のように、経路は、ほぼ円形経路をたどり、回転運動が効率的にガスを運ぶようになっている。円形経路は、排水の必要性に起因して垂直方向に若干の角度(aspect)があるが、これは小さいので、ガスをポンプ送給する効率的な方法になる。螺旋状構成は、ガスに付与される大きな垂直方向成分を有し、これは、ブレードの回転方向ではないので、効率的なポンプ送給をもたらさないことになる。
【0061】
図5は、横から見た図3及び4のポンプを示す。ポンピング経路38は、ステータ20又はポンプの内部に形成される。ロータ10は、ステータ20内に回転可能に取り付けられ、ポンピング経路38に沿ってガスを押し出す液体ブレードを形成する1又は2以上のスリット12を備える。ポンピング経路30の断面積は、入口から出口に向かって増加し、ポンピング経路の下面又は床面は、入口と比較して出口でわずかに低い位置にある。さらに、シール部材32は、ステータとロータとの間をシールするために設けられる。これに関連して、スリット12の長さは、入口に近いステータの周面の少なくとも一部において、ポンピング経路の長さよりも長く、従って、スリット12によって排出された液体がポンプの外に漏れるのを抑制するために、シール32は、ポンピング経路の両側の縁部に設けられている。
【0062】
発明の例示的な実施形態は、添付の図面を参照して本明細書に詳細に開示されているが、本発明は正確な実施形態に限定されず、添付の請求項及びその等価物によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく当業者が様々な変更及び修正を行い得ることを理解されたい。
【符号の説明】
【0063】
10 ロータ
12 液体開口部
20 ステータ
32 シール手段
38 ポンピング経路
52 入口
54 出口
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】