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特表2023-537124ディスプレイデバイス用の物品、ディスプレイシステム、及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-30
(54)【発明の名称】ディスプレイデバイス用の物品、ディスプレイシステム、及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/18 20060101AFI20230823BHJP
   G02B 5/00 20060101ALI20230823BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20230823BHJP
   G02F 1/1347 20060101ALI20230823BHJP
   B32B 7/023 20190101ALI20230823BHJP
【FI】
G02B5/18
G02B5/00 Z
G02F1/1335
G02F1/1347
B32B7/023
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023509647
(86)(22)【出願日】2021-08-11
(85)【翻訳文提出日】2023-02-10
(86)【国際出願番号】 IB2021057419
(87)【国際公開番号】W WO2022034526
(87)【国際公開日】2022-02-17
(31)【優先権主張番号】63/064,545
(32)【優先日】2020-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【弁理士】
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】ティン,チュン-イ
(72)【発明者】
【氏名】リン,チウ-シン
(72)【発明者】
【氏名】チョウ,ジオ-ハン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,チュン-ルン
(72)【発明者】
【氏名】豊岡 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ルー,ユー シン
【テーマコード(参考)】
2H042
2H189
2H249
2H291
4F100
【Fターム(参考)】
2H042AA05
2H042AA07
2H042AA26
2H189AA22
2H189AA27
2H189AA34
2H189AA35
2H189HA16
2H189LA07
2H189LA18
2H249AA03
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2H249AA50
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2H249AA68
2H291FA02Y
2H291FA48X
2H291FA48Z
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2H291FA82Z
2H291FA85Z
2H291FA95X
2H291FA95Z
2H291FB02
2H291LA28
4F100AT00A
4F100AT00E
4F100BA03
4F100BA05
4F100CB00B
4F100CB00D
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4F100GB41
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4F100JL14E
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4F100JN01D
4F100JN18B
4F100JN18D
4F100JN30C
4F100YY00C
(57)【要約】
ディスプレイデバイス用の物品(100)は、回折格子膜(102)と、第1の光学的に透明な接着剤層(120)と、第2の光学的に透明な接着剤層(130)と、を含む。回折格子膜は、ベース層(104)と、ベース層から突出する複数の微細構造(106)と、を含む。ベース層は、回折格子膜の非構造化表面を画定し、複数の微細構造は、非構造化表面の反対側の回折格子膜の構造化表面を画定する。第1の光学的に透明な接着剤層は、回折格子膜の構造化表面上に配置されている。第2の光学的に透明な接着剤層は、回折格子膜の非構造化表面上に配置されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイデバイス用の物品であって、
ベース層と、前記ベース層から突出する複数の微細構造と、を含む回折格子膜であって、前記ベース層が、前記回折格子膜の非構造化表面を画定し、前記複数の微細構造が、前記非構造化表面の反対側の前記回折格子膜の構造化表面を画定する、回折格子膜と、
前記回折格子膜の前記構造化表面上に配置された第1の光学的に透明な接着剤層と、
前記回折格子膜の前記非構造化表面上に配置された第2の光学的に透明な接着剤層と、
を備える、物品。
【請求項2】
前記ベース層が、その長さに沿って長手方向軸を画定し、前記複数の微細構造が、前記ベース層に沿って延びて主軸を画定し、前記主軸及び前記長手方向軸が、それらの間にバイアス角度を画定し、前記バイアス角度が、約0度~約90度の範囲にある、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記バイアス角度が、約20度~約70度の範囲にある、請求項2に記載の物品。
【請求項4】
前記複数の微細構造が、約2.4ミクロン~約10ミクロンの範囲の山から谷までの高さを有する、請求項1に記載の物品。
【請求項5】
前記複数の微細構造が、約2ミクロン~約50ミクロンの範囲のピッチを有する、請求項1に記載の物品。
【請求項6】
各微細構造が、実質的にプリズム状である、請求項1に記載の物品。
【請求項7】
前記第1の光学的に透明な接着剤層及び前記第2の光学的に透明な接着剤層のうちの少なくとも1つが、約1.47~約1.49の屈折率を有する、請求項1に記載の物品。
【請求項8】
前記第1の光学的に透明な接着剤層の厚さが、前記複数の微細構造の山から谷までの高さよりも大きい、請求項1に記載の物品。
【請求項9】
前記第1の光学的に透明な接着剤層に直接隣接している第1の剥離ライナーと、
前記第2の光学的に透明な接着剤層に直接隣接している第2の剥離ライナーと、
を更に備える、請求項1に記載の物品。
【請求項10】
ディスプレイシステムであって、
照明源の放射表面にわたって光を放射するように構成され、かつ少なくとも1つの光源を含む、前記照明源と、
前記照明源の前記放射表面から受光した光を選択的に透過及び反射するように構成された第1の液晶アセンブリと、
前記第1の液晶アセンブリから光を受光し、かつ観察者が観るための画像を放射するように構成された第2の液晶アセンブリであって、前記第1の液晶アセンブリ上に配置された、第2の液晶アセンブリと、
前記第1の液晶アセンブリと前記第2の液晶アセンブリとの間に配置された物品であって、
ベース層と、前記ベース層から突出する複数の微細構造と、を含む回折格子膜であって、前記ベース層が、前記回折格子膜の非構造化表面を画定し、前記複数の微細構造が、前記非構造化表面の反対側の前記回折格子膜の構造化表面を画定する、回折格子膜と、
前記回折格子膜の前記構造化表面上に配置された第1の光学的に透明な接着剤層と、
前記回折格子膜の前記非構造化表面上に配置された第2の光学的に透明な接着剤層と、を含む、物品と、
を備える、ディスプレイシステム。
【請求項11】
前記ベース層が、その長さに沿って長手方向軸を画定し、前記複数の微細構造が、前記ベース層に沿って延びて主軸を画定し、前記主軸及び前記長手方向軸が、それらの間にバイアス角度を画定し、前記バイアス角度が、約0度~約90度の範囲にある、請求項10に記載のディスプレイシステム。
【請求項12】
前記複数の微細構造が、約2.4ミクロン~約10ミクロンの範囲の山から谷までの高さを有する、請求項10に記載のディスプレイシステム。
【請求項13】
前記複数の微細構造が、約2ミクロン~約50ミクロンの範囲のピッチを有する、請求項10に記載のディスプレイシステム。
【請求項14】
前記第1の光学的に透明な接着剤層及び前記第2の光学的に透明な接着剤層のうちの少なくとも1つが、約1.47~約1.49の屈折率を有する、請求項10に記載のディスプレイシステム。
【請求項15】
前記第1の光学的に透明な接着剤層の厚さが、前記複数の微細構造の山から谷までの高さよりも大きい、請求項10に記載のディスプレイシステム。
【請求項16】
ディスプレイデバイスと共に使用するための物品を製造する方法であって、
ベース層と、前記ベース層から突出する複数の微細構造と、を含む回折格子膜を提供することであって、前記ベース層が、前記回折格子膜の非構造化表面を画定し、前記複数の微細構造が、前記非構造化表面の反対側の前記回折格子膜の構造化表面を画定する、ことと、
前記回折格子膜の前記構造化表面上に第1の光学的に透明な接着剤層を提供することと、
前記回折格子膜の前記非構造化表面上に第2の光学的に透明な接着剤層を提供することと、
を含む、方法。
【請求項17】
前記回折格子膜をバイアス角度まで回転させることを更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記回折格子膜をバイアス角度にダイカットすることを更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記バイアス角度が、約20度~約70度の範囲にある、請求項17又は18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ディスプレイデバイス用の物品、そのような物品を含むディスプレイシステム、及びそのような物品を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ(LCD)は、液晶の光変調特性を使用する。従来のLCDパネルディスプレイは、軸上コントラストが低い場合がある。デュアルLCDシステムは、コントラスト比及び効率の点で典型的な有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイと競合するために、従来のLCDパネルディスプレイよりも高いコントラスト及び改善された黒状態を提供することができる。しかしながら、デュアルLCDシステムにおいて上部LCD及び下部LCDを積層することにより、光学干渉を引き起こし、更にモアレ効果を引き起こす場合がある。モアレ効果は、2つの同様の格子が重なり合うときの干渉現象として観察され得る。モアレ効果は、異なる固有の周波数を有する2つ以上の規則的な構造間の光学干渉に起因し得る。上部LCD及び下部LCDは、複数の個別にアドレス指定可能な画素を含むため、上部LCDによって形成される画像と下部LCDによって形成される画像との間にモアレ効果が生じる可能性があり得る。光学干渉及びモアレ効果を低減するための1つの解決策は、偏光子上にマットコーティングを塗布することを含むが、マットコーティングは、デュアルLCDシステムの輝度を低下させる場合がある。
【0003】
標準的な光学的に透明な接着剤(OCA)は、光学干渉及びモアレ効果を低減することができない。したがって、デュアルLCDシステムの輝度及び透明度に影響を及ぼすことなく、光学干渉及びモアレ効果を低減するのに役立つ光学的に透明な接着剤を有することが望ましい場合がある。
【発明の概要】
【0004】
概して、本開示は、ディスプレイデバイス用の物品に関する。本開示はまた、そのような物品を含むディスプレイシステム、及びそのような物品を製造する方法に関する。
【0005】
本開示のいくつかの実施形態は、回折格子膜と、第1の光学的に透明な接着剤層と、第2の光学的に透明な接着剤層と、を含む、ディスプレイデバイス用の物品に関する。回折格子膜は、ベース層と、ベース層から突出する複数の微細構造と、を含む。ベース層は、回折格子膜の非構造化表面を画定し、複数の微細構造は、非構造化表面の反対側の回折格子膜の構造化表面を画定する。第1の光学的に透明な接着剤層は、回折格子膜の構造化表面上に配置されている。第2の光学的に透明な接着剤層は、回折格子膜の非構造化表面上に配置されている。
【0006】
いくつかの実施形態では、ベース層は、その長さに沿って長手方向軸を画定し、複数の微細構造は、ベース層に沿って延びて主軸を画定する。主軸及び長手方向軸は、それらの間にバイアス角度を画定する。バイアス角度は、約0度~約90度の範囲にある。
【0007】
いくつかの実施形態では、バイアス角度は、約20度~約70度の範囲にある。
【0008】
いくつかの実施形態では、複数の微細構造は、約2.4ミクロン~約10ミクロンの範囲の山から谷までの高さを有する。
【0009】
いくつかの実施形態では、複数の微細構造は、約2ミクロン~約50ミクロンの範囲のピッチを有する。
【0010】
いくつかの実施形態では、各微細構造は、実質的にプリズム状である。
【0011】
いくつかの実施形態では、第1の光学的に透明な接着剤層は、約1.47~約1.49の屈折率を有する。
【0012】
いくつかの実施形態では、第2の光学的に透明な接着剤層は、約1.47~約1.49の屈折率を有する。
【0013】
いくつかの実施形態では、第1の光学的に透明な接着剤層の厚さは、複数の微細構造の山から谷までの高さよりも大きい。
【0014】
いくつかの実施形態では、物品は、第1の光学的に透明な接着剤層に直接隣接している第1の剥離ライナーと、第2の光学的に透明な接着剤層に直接隣接している第2の剥離ライナーと、を更に含む。
【0015】
本開示のいくつかの実施形態は、照明源と、第1の液晶アセンブリと、第2の液晶アセンブリと、物品と、を含む、ディスプレイシステムに関する。照明源は、照明源の放射表面にわたって光を放射するように構成され、少なくとも1つの光源を含む。第1の液晶アセンブリは、照明源の放射表面から受光した光を選択的に透過及び反射するように構成されている。第2の液晶アセンブリは、第1の液晶アセンブリから光を受光し、観察者が観るための画像を放射するように構成されている。第2の液晶アセンブリは、第1の液晶アセンブリ上に配置されている。物品は、第1の液晶アセンブリと第2の液晶アセンブリとの間に配置されている。物品は、回折格子膜と、第1の光学的に透明な接着剤層と、第2の光学的に透明な接着剤層と、を含む。回折格子膜は、ベース層と、ベース層から突出する複数の微細構造と、を含む。ベース層は、回折格子膜の非構造化表面を画定し、複数の微細構造は、非構造化表面の反対側の回折格子膜の構造化表面を画定する。第1の光学的に透明な接着剤層は、回折格子膜の構造化表面上に配置されている。第2の光学的に透明な接着剤層は、回折格子膜の非構造化表面上に配置されている。
【0016】
本開示のいくつかの実施形態は、ディスプレイデバイスと共に使用するための物品を製造する方法に関する。方法は、ベース層と、ベース層から突出する複数の微細構造と、を含む回折格子膜を提供することを含む。ベース層は、回折格子膜の非構造化表面を画定し、複数の微細構造は、非構造化表面の反対側の回折格子膜の構造化表面を画定する。方法は、回折格子膜の構造化表面上に第1の光学的に透明な接着剤層を提供することを更に含む。方法は、回折格子膜の非構造化表面上に第2の光学的に透明な接着剤層を提供することを更に含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、方法は、回折格子膜上に第1の光学的に透明な接着剤層及び第2の光学的に透明な接着剤層を提供した後に、回折格子膜をバイアス角度まで回転させることを更に含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、方法は、回折格子膜上に第1の光学的に透明な接着剤層及び第2の光学的に透明な接着剤層を提供する前に、回折格子膜をバイアス角度まで回転させることを更に含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、方法は、回折格子膜上に第1の光学的に透明な接着剤層及び第2の光学的に透明な接着剤層を提供した後に、回折格子膜をバイアス角度にダイカットすることを更に含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、方法は、回折格子膜上に第1の光学的に透明な接着剤層及び第2の光学的に透明な接着剤層を提供する前に、回折格子膜をバイアス角度にダイカットすることを更に含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、バイアス角度は、約20度~約70度の範囲にある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
以下の図と共に以下の「発明を実施するための形態」を検討することで、本明細書に開示する例示的実施形態は、より完全に理解することができる。図は、必ずしも原寸に比例して描かれているとは限らない。図面で使用されている同様の数字は同様の構成要素を示す。複数の同様の要素が存在する場合、特定の要素を指す小文字の指定によって、単一の参照番号が複数の同様の要素ごとに割り当てられ得る。要素をまとめて参照する場合、又は非特定の1つ以上の要素を参照する場合は、小文字の指定を省略できる。しかしながら、所与の図内で構成要素を示すための番号の使用は、同じ番号で示されている別の図内の構成要素を限定することを意図していないことが理解されよう。
図1】本開示の一実施形態による物品の断面図である。
図2】本開示の別の実施形態による、例示的なバイアス角度を有する複数の微細構造の部分概略図である。
図3】本開示の一実施形態によるディスプレイシステムの断面図である。
図4】本開示の一実施形態による、ディスプレイデバイスと共に使用するための物品を製造する方法のフローチャートである。
図5A】本開示の一実施形態による物品の調製を示す図である。
図5B】本開示の一実施形態による物品の調製を示す図である。
図5C】本開示の一実施形態による物品の調製を示す図である。
図6A】本開示の別の実施形態による物品の調製を示す図である。
図6B】本開示の別の実施形態による物品の調製を示す図である。
図6C】本開示の別の実施形態による物品の調製を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下の説明では、説明の一部を形成する添付図面を参照し、それらの図面には様々な実施形態が実例として示されている。本開示の範囲又は趣旨から逸脱することなく、他の実施形態が想定され、実施され得ることを理解されたい。したがって、以下の発明を実施するための形態は、限定的な意味では解釈されないものとする。
【0024】
本明細書で記載される全ての数は、用語「約」によって修飾されるものと見なすこととする。本明細書で用いる場合、「a」、「an」、「the」、「少なくとも1つの(at least one)」、及び「1つ以上の(one or more)」は、互換的に用いられる。
【0025】
特性又は属性に対する修飾語として本明細書で使用されるとき、用語「概して」は、特に定めのない限り、その特性又は属性が、当業者によって容易に認識されるものであるが、絶対的な精度又は完全な一致を必要とするものではないこと(例えば、定量化可能な特性に関しては、±20%の範囲内)を意味する。
【0026】
用語「実質的に」は、特に定めのない限り、高い近似度(例えば、定量化可能な特性に関しては、±10%の範囲内)を意味するが、この場合もまた、絶対的な精度又は完全な一致を必要とするものではない。同一の、等しい、均一な、一定の、厳密に、などの用語は、絶対的な精度又は完全な一致を必要とするものではなく、特定の状況に適用可能な、通常の許容誤差又は測定誤差の範囲内にあるものと理解される。
【0027】
本明細書で用いる場合、層、構成要素、又は要素を相互に隣接していると説明することがある。層、構成要素又は要素は、直接接触して、1つ以上の他の構成要素によって接続されて、又は互いに隣接するよう保持され若しくは貼り付けられて、相互に隣接することができる。直接接触している層、構成要素、又は要素は、直接隣接していると記述することができる。
【0028】
本開示は物品に関する。物品は、ディスプレイシステムにおいて使用され得る。いくつかの実施形態では、物品は、デュアル液晶ディスプレイ(LCD)システムにおいて使用され得る。本開示はまた、ディスプレイデバイスと共に使用するための物品を製造する方法に関する。物品は、回折格子膜と、第1の光学的に透明な接着剤層と、第2の光学的に透明な接着剤層と、を含む。
【0029】
モアレ効果及び光学干渉は、2つの同様の格子がオーバーラップされるときに観察され得る。モアレ効果は、異なる固有の周波数を有する2つ以上の規則的な構造間の光学干渉に起因し得る。本開示のディスプレイシステムは、照明源と、第1の液晶アセンブリと、第2の液晶アセンブリと、を含む。第1の液晶アセンブリ及び第2の液晶アセンブリの各々が複数の個別にアドレス指定可能な画素を含むため、第1の液晶アセンブリによって形成される画像と第2の液晶アセンブリによって形成される画像との間にモアレ効果が生じる可能性があり得る。
【0030】
ディスプレイシステム内に物品を含むことにより、ディスプレイシステムの輝度及び透明度に影響を及ぼすことなく、光学干渉及びモアレ効果を実質的に低減することができる。
【0031】
本明細書で使用する場合、用語「光学的に透明な接着剤」は、約25マイクロメートル(μm)~約250μmの厚さを有する試料上で測定したときに、少なくとも約80%の光透過率を呈する接着剤を指す。いくつかの実施形態では、光透過率は、少なくとも約85%、90%、95%、又はそれ以上であり得る。
【0032】
本明細書で使用する場合、用語「微細構造」は、概して、微細構造を通して引かれた平均中心線から輪郭が逸脱する物品の表面内の突出部、突起、及び/又はくぼみである。
【0033】
図1は、本開示によるディスプレイデバイス用の物品100の断面図を示す。物品100は、回折格子膜102と、第1の光学的に透明な接着剤層120と、第2の光学的に透明な接着剤層130と、を含む。物品100は、互いに直交するX軸、Y軸、及びZ軸を画定する。X軸及びY軸は、物品100の面内軸である一方、Z軸は、物品100の厚さに沿って配置された横軸である。言い換えれば、X軸及びY軸は、物品100の平面に沿って配置されている一方で、Z軸は、物品100の平面と垂直である。物品100の回折格子膜102、第1の光学的に透明な接着剤層120、及び第2の光学的に透明な接着剤層130は、Z軸に沿って互いに隣接して配置されている。
【0034】
回折格子膜102は、ベース層104と、ベース層104から突出する複数の微細構造106と、を含む。
【0035】
ベース層104は、回折格子膜102の非構造化表面110を更に画定する。非構造化表面110は、実質的に平坦な表面である。複数の微細構造106は、非構造化表面110の反対側の回折格子膜102の構造化表面105を更に画定する。
【0036】
いくつかの実施形態では、構造化表面105は、任意の周期的に繰り返す形状、例えば、正弦波形状、矩形波形状、キューブコーナー形状、三角形形状などを有し得る。いくつかの他の実施形態では、構造化表面105は、任意の他の周期的に繰り返す規則的又は不規則な形状を有し得る。
【0037】
いくつかの実施形態では、ベース層104は、重合性樹脂又は任意の他の適切な材料を含む。いくつかの実施形態では、重合性樹脂は、(メタ)アクリレートモノマー、(メタ)アクリレートオリゴマー及びそれらの混合物から選択される、第1の重合性成分及び第2の重合性成分の組み合わせを含み得る。本明細書で使用するとき、「モノマー」又は「オリゴマー」は、ポリマーに変換できる任意の物質である。用語「(メタ)アクリレート」は、アクリレート化合物及びメタクリレート化合物の両方を指す。いくつかの場合では、重合性組成物は、(メタ)アクリル化ウレタンオリゴマー、(メタ)アクリル化エポキシオリゴマー、(メタ)アクリル化ポリエステルオリゴマー、(メタ)アクリル化フェノール系オリゴマー、(メタ)アクリル化アクリル系オリゴマー、及びこれらの混合物を含んでもよい。
【0038】
いくつかの実施形態では、複数の微細構造106の各々は、約2.4ミクロン~約10ミクロンの範囲の山から谷までの高さhを有する。いくつかの他の実施形態では、各微細構造106の山から谷までの高さhは、約5ミクロン~約20ミクロンの範囲にある。各微細構造106の山から谷までの高さhは、用途要件に基づいて変動し得る。
【0039】
いくつかの実施形態では、複数の微細構造106は、約2ミクロン~約50ミクロンの範囲のピッチPを有する。いくつかの他の実施形態では、複数の微細構造106のピッチPは、約10ミクロン~約80ミクロンの範囲にある。複数の微細構造106のピッチPは、用途要件に基づいて変動し得る。
【0040】
図1に示された実施形態では、各微細構造106は、実質的にプリズム状である。いくつかの他の実施形態では、各微細構造106は、実質的に半球形状、実質的に円錐形状、実質的に立方体形状などを有し得る。複数の微細構造106は、用途要件に応じて任意の好適な形状を有し得る。
【0041】
いくつかの実施形態では、微細構造106は、複数の列に配置されている。微細構造106の列は、互いに均一又は不均一に離れて配置され得る。隣接している列間の距離は、用途要件に従って選択され得る。いくつかの実施形態では、微細構造106のピッチPは、1つ以上の列において周期的又は非周期的に変動し得る。いくつかの実施形態では、微細構造106の山から谷までの高さhは、1つ以上の列において周期的又は非周期的に変動し得る。
【0042】
第1の光学的に透明な接着剤層120は、回折格子膜102の構造化表面105上に配置されている。いくつかの実施形態では、第1の光学的に透明な接着剤層120は、約1.47~約1.49の屈折率を有する。いくつかの他の実施形態では、第1の光学的に透明な接着剤層120の屈折率は、約1.49~約1.51である。第1の光学的に透明な接着剤層120は、液体接着剤、アクリレート、感圧接着剤、延伸剥離接着剤、接着剤フォームなどの任意の種類の接着剤を含み得る。本開示は、接着剤の種類によって何ら限定されない。第1の光学的に透明な接着剤層120の厚さT1は、用途要件に応じて変動し得る。第1の光学的に透明な接着剤層120の厚さT1は、複数の微細構造106の山から谷までの高さhよりも大きい(すなわち、T1>h)。
【0043】
第2の光学的に透明な接着剤層130は、回折格子膜102の非構造化表面110上に配置されている。いくつかの実施形態では、第2の光学的に透明な接着剤層130は、約1.47~約1.49の屈折率を有する。いくつかの他の実施形態では、第2の光学的に透明な接着剤層130の屈折率は、約1.49~約1.51である。第2の光学的に透明な接着剤層130は、液体接着剤、アクリレート、感圧接着剤、延伸剥離接着剤、接着剤フォームなどの任意の種類の接着剤を含み得る。本開示は、接着剤の種類によって何ら限定されない。第2の光学的に透明な接着剤層130の厚さT2は、用途要件に応じて変動し得る。
【0044】
物品100は、第1の光学的に透明な接着剤層120及び第2の光学的に透明な接着剤層130を含み、その結果、回折格子膜102を使用して、物品100を別の層又は表面、例えばディスプレイデバイスの表面に積層することができる。
【0045】
図1に示された実施形態では、物品100は、第1の剥離ライナー140及び第2の剥離ライナー150を更に含む。第1の剥離ライナー140は、第1の光学的に透明な接着剤層120に直接隣接している。いくつかの実施形態では、第1の剥離ライナー140は、帯電防止タイトライナー、イージーライナーなどを含み得る。本開示は、剥離ライナーの種類によって何ら限定されない。
【0046】
第2の剥離ライナー150は、第2の光学的に透明な接着剤層130に直接隣接している。いくつかの実施形態では、第2の剥離ライナー150は、帯電防止タイトライナー、イージーライナーなどを含み得る。本開示は、剥離ライナーの種類によって何ら限定されない。
【0047】
図2は、複数の微細構造106を含む回折格子膜102の部分概略図を示す。図示された実施形態では、複数の微細構造106の各々は、実質的にプリズム状である。図2は、例示的なバイアス角度を有する複数の微細構造106を更に示す。
【0048】
ここで図1及び図2を参照すると、ベース層104は、その長さに沿って長手方向軸LAを画定し、複数の微細構造106は、ベース層104に沿って延びて主軸Aを画定する。いくつかの実施形態では、ベース層104の長手方向軸LAは、物品100のX軸に平行であってもよい。主軸A及び長手方向軸LAは、それらの間にバイアス角度Bを画定する。いくつかの実施形態では、バイアス角度Bは、約0度~約90度の範囲にある。いくつかの実施形態では、バイアス角度Bは、約20度~約70度の範囲にある。
【0049】
図3は、本開示の一実施形態によるディスプレイシステム200の断面図である。ディスプレイシステム200は、照明源210と、第1の液晶アセンブリ220と、第2の液晶アセンブリ230と、物品240と、を含む。
【0050】
ディスプレイシステム200は、相互に直交するX’軸、Y’軸及びZ’軸を画定する。X’軸及びY’軸は、ディスプレイシステム200の面内軸である一方、Z’軸は、ディスプレイシステム200の厚さに沿って配置された横軸である。言い換えれば、X’軸及びY’軸は、ディスプレイシステム200の平面に沿って配置されている一方で、Z’軸は、ディスプレイシステム200の平面と垂直である。ディスプレイシステム200の照明源210、第1の液晶アセンブリ220、第2の液晶アセンブリ230、及び物品240は、Z’軸に沿って互いに隣接して配置されている。
【0051】
照明源210は、照明源210の放射表面211にわたって光L1を放射するように構成されている。照明源210は、少なくとも1つの光源215を含む。少なくとも1つの光源215は、ディスプレイシステム200を照明する光を生成する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの光源215は、光を放射する1つ以上の発光体を含む。発光体は、例えば、発光ダイオード(LED)、蛍光灯、又は任意の他の好適な発光デバイスであり得る。LEDは、単色であってもよく、あるいは、白色光出力を生成するために異なる波長で動作するいくつかの発光体を含んでもよい。図3で示された実施形態では、少なくとも1つの光源215は、照明源210の端部表面に配置されている。いくつかの他の実施形態では、少なくとも1つの光源215は、照明源210の長手方向表面に近接して配置され得る。
【0052】
第1の液晶アセンブリ220は、照明源210の放射表面211から受光した光L1を選択的に透過及び反射するように構成されている。いくつかの実施形態では、第1の液晶アセンブリ220及び照明源210は、例えば、光学的に透明な接着剤、エポキシ、ラミネーション、又は任意の他の好適な取り付け方法を用いて一緒に接合される。いくつかの実施形態では、第1の液晶アセンブリ220は、第1の液晶パネル222を含む。いくつかの実施形態では、第1の液晶パネル222は、複数の個別にアドレス指定可能な画素224を含む。いくつかの実施形態では、第1の液晶アセンブリ220は、モノクロディスプレイである。言い換えれば、第1の液晶アセンブリ220は、カラーフィルタを含まない。
【0053】
第2の液晶アセンブリ230は、第1の液晶アセンブリ220から光L2を受光し、かつ観察者Vが観るための画像IMを放射するように構成されている。第2の液晶アセンブリ230は、第2の液晶パネル232を含む。いくつかの実施形態では、第2の液晶パネル232は、複数の個別にアドレス指定可能な画素234を含む。いくつかの実施形態では、第2の液晶アセンブリ230は、カラーディスプレイである。言い換えれば、第2の液晶アセンブリ230は、カラーフィルタを含む。
【0054】
第2の液晶アセンブリ230は、第1の液晶アセンブリ220上に配置されている。第2の液晶アセンブリ230及び第1の液晶アセンブリ220は、物品240によって互いに接合されている。
【0055】
物品240は、図1の物品100と実質的に同様である。しかしながら、物品240は、図1に示されるような物品100の第1の剥離ライナー140及び第2の剥離ライナー150を含まない。
【0056】
モアレ効果及び光学干渉は、2つの同様の格子がオーバーラップされるときに観察され得る。モアレ効果は、異なる固有の周波数を有する2つ以上の規則的な構造間の光学干渉に起因し得る。第1の液晶パネル220及び第2の液晶パネル230の複数の個別にアドレス指定可能な画素224、234は、規則的なピッチ構造を有するため、第1の液晶アセンブリ222によって形成された画像と第2の液晶アセンブリ232によって形成された画像との間にモアレ効果が生じる可能性があり得る。
【0057】
ディスプレイシステム200内に物品240を含むことにより、ディスプレイシステム200の輝度及び透明度に影響を及ぼすことなく、光学干渉及びモアレ効果を実質的に低減することができる。
【0058】
図1図3を参照すると、構造化表面105又は構造化界面を含む回折格子膜102は、有用な光学効果を提供することができる。例えば、構造化表面105は、物品240を透過する光の回折を提供することができる。本開示によれば、回折格子膜(例えば、図1に示される回折格子膜102)は、2つの光学的に透明な接着剤層(例えば、図1に示される第1及び第2の光学的に透明な接着剤層120、130)の間に含まれる場合に、モアレを低減するように選択され得る。回折格子膜及び2つの光学的に透明な接着剤層を含む物品は、ディスプレイパネルの上に配置されるか、又はバックライトとディスプレイパネルとの間に配置されている。
【0059】
図4を参照すると、本開示は、ディスプレイデバイスと共に使用するための図1に示される物品100を製造する方法300を更に提供する。方法300はまた、図3に示されるディスプレイシステム200と共に使用するための物品240を製造するために使用され得る。
【0060】
図1図4を参照すると、ステップ302において、方法300は、ベース層104と、ベース層104から突出する複数の微細構造106と、を含む、回折格子膜102を提供することを含む。ベース層104は、回折格子膜102の非構造化表面110を画定し、複数の微細構造106は、非構造化表面110の反対側の回折格子膜102の構造化表面105を画定する。
【0061】
微細構造106は、押出成形、鋳造及び硬化、コーティング、又は何らかの他の方法などの様々な方法によって、ベース層104上に形成され得る。いくつかの場合では、微細構造106は、ベース層104上に微細複製され得る。典型的な微細複製プロセスは、マスターネガ微細構造化成形表面上に、マスターの空洞を充填するのにかろうじて十分な量で重合性組成物を堆積させることを含む。次いで、重合性組成物のビーズを予め形成されたベース又は基材層(例えば、ベース層104)とマスターとの間で移動させることによって、空洞を充填する。次いで、組成物を硬化させる。
【0062】
ステップ304において、方法300は、回折格子膜102の構造化表面105上に第1の光学的に透明な接着剤層120を提供することを含む。
【0063】
ステップ306において、方法300は、回折格子膜102の非構造化表面110上に第2の光学的に透明な接着剤層130を提供することを含む。
【0064】
いくつかの実施形態では、方法300は、回折格子膜102上に第1の光学的に透明な接着剤層120及び第2の光学的に透明な接着剤層130を提供した後に、回折格子膜102をバイアス角度Bまで回転させることを含み得る。いくつかの他の実施形態では、方法300は、回折格子膜102上に第1の光学的に透明な接着剤層120及び第2の光学的に透明な接着剤層130を提供する前に、回折格子膜102をバイアス角度Bまで回転させることを含み得る。
【0065】
いくつかの実施形態では、方法300は、回折格子膜102上に第1の光学的に透明な接着剤層120及び第2の光学的に透明な接着剤層130を提供した後に、回折格子膜102をバイアス角度Bにダイカットすることを含み得る。いくつかの他の実施形態では、方法300は、回折格子膜102上に第1の光学的に透明な接着剤層120及び第2の光学的に透明な接着剤層130を提供する前に、回折格子膜102をバイアス角度Bにダイカットすることを含み得る。いくつかの実施形態では、バイアス角度Bは、約20度~約70度の範囲にある。
【実施例
【0066】
本発明について、単なる例示を目的とする以下の実施例でより詳細に記述しており、それは、本発明の範囲内の多数の変更及び変形が、当業者には明らかであるからである。特に記載のない限り、以下の実施例で報告される全ての部、百分率、及び比率は、重量基準である。以下の実施例は、本開示の物品の例示的な調製を説明している。実施例は、図5A図5C及び図6A図6Cを参照して説明される。
【0067】
以下に提供される表1は、比較のための異なる物品の調製に使用されるいくつかの例示的な材料を列挙している。表1中のG’は、対応する材料の剪断貯蔵弾性率を指す。また、表1中のTgは、対応する材料のガラス転移温度を指す。
【0068】
【表1】
【0069】
試料調製
2つの試料物品を回折格子膜なしで調製した。具体的には、第1及び第2の対照OCAを、回折格子膜なしで調製した。第1の接着剤を使用して第1の対照OCAを調製し、第2の接着剤を使用して第2の対照OCAを調製した。第1の対照OCA及び第2の対照OCAは、両方とも250ミクロン厚であり、重合プロセスによって調製した。
【0070】
各々が回折格子膜を含む試料物品S1~S11を調製した。直接コーティングプロセスを使用して、試料物品S1~S9を調製した。積層プロセスを使用して、試料物品S10及びS11を調製した。
【0071】
直接コーティングプロセスを、図5A図5Cに示す。図5A図5Cはそれぞれ、直接コーティングプロセスの第1、第2、及び第3のステップを示す。
【0072】
第1のステップでは、液体接着剤420及びイージーライナー440を回折格子膜402の構造化表面405上にコーティングして、100ミクロンの厚さを得た。回折格子膜402、液体接着剤420、及びイージーライナー440が重合プロセスを経て、第1のOCA-格子膜試料480を得た。
【0073】
第2のステップでは、第1のOCA-格子膜試料480の回折格子膜402の非構造化表面410上に液体接着剤430及びタイトライナー450をコーティングし、重合プロセスを経て、第2のOCA-格子膜試料490を得た。
【0074】
第3のステップでは、第2のOCA-格子膜試料490をプロッタによってバイアス角度B’に切断して、物品400を得た。
【0075】
この積層プロセスを、図6A図6Cに示す。図6A図6Cはそれぞれ、積層プロセスの第1、第2、及び第3のステップを示す。
【0076】
第1のステップでは、回折格子膜502をプロッタによりバイアス角度B’’に切断して、バイアス回折格子膜580を得た。
【0077】
第2のステップでは、バイアス回折格子膜580の両面を第1の接着剤で積層して、積層回折格子膜590を得た。具体的には、バイアス回折格子膜580の構造化表面505に、第1の接着剤及び第1のライナー540を含む第1の光学的に透明な接着剤層520を積層した。バイアス回折格子膜580の非構造化表面510に、第1の接着剤及び第2のライナー550を含む第2の光学的に透明な接着剤層530を積層した。
【0078】
第3のステップでは、積層回折格子膜590にオートクレーブ処理を適用して、物品500を得た。
【0079】
拡散膜、具体的には高ヘイズ拡散膜を使用して、試料物品S12を調製した。拡散膜の両側に、第1の接着剤を積層した。
【0080】
試料の評価
調製した試料に対して、光学性能及びモアレを評価した。
【0081】
調製した試料物品の光学性能を評価するために、全透過率%、ヘイズ%、及び透明度%を測定した。調製した試料物品をガラスに積層し、追加のガラス(80mm×50mm×0.7mm)で挟んだ。オートクレーブ条件(50℃、3kg/cm、20分)を適用した。更に、調製した試料物品の全透過率、ヘイズ、及び透明度を、ヘイズメータ(BYK haze-gard I)によって測定した。
【0082】
モアレを評価するために、ディスプレイモジュール上に光対照膜を配置してモアレ効果を観察した。調製した試料物品を試験した。
【0083】
以下の表2及び表3は、調製した試料物品の光学性能評価及びモアレ評価試験のいくつかの例示的な結果を含んでいる。
【0084】
【表2】
【0085】
【表3】
【0086】
試料物品S3~S7及びS11は、モアレを示さなかった。試料物品S2及びS8は、低減されているが相当量のモアレ、並びに高い全透過率及び透明度を示した。試料物品S12もまた、モアレを示さなかったが、低い全透過率及び透明度を示した。モアレは、約20度~約70度の範囲のバイアス角度を有する回折格子膜を含む試料物品において、輝度及び透明度に影響を及ぼすことなく、大幅に低減されることが観察された。
【0087】
別段の指示がない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用される特徴サイズ、量及び物理的特性を表す全ての数は、用語「約」によって修飾されているものとして理解されるべきである。したがって、特に反対の指示がない限り、上記明細書及び添付の特許請求の範囲に記載されている数値パラメータは、本明細書で開示される教示を利用して当業者が得ようとする所望の特性に応じて変動し得る近似値である。
【0088】
具体的な実施形態を本明細書において例示し記述したが、様々な代替及び/又は同等の実施により、図示及び記載した具体的な実施形態を、本開示の範囲を逸脱することなく置き換え可能であることが、当業者には理解されるであろう。本出願は、本明細書において説明した具体的な実施形態のあらゆる適合例又は変形例を包含することを意図する。したがって、本開示は、特許請求の範囲及びその同等物によってのみ限定されるものとする。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
【国際調査報告】