(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-30
(54)【発明の名称】褥瘡防止デバイス及び褥瘡防止システム
(51)【国際特許分類】
A61G 7/057 20060101AFI20230823BHJP
A47C 17/04 20060101ALI20230823BHJP
【FI】
A61G7/057
A47C17/04 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023509655
(86)(22)【出願日】2021-08-04
(85)【翻訳文提出日】2023-03-31
(86)【国際出願番号】 IB2021057144
(87)【国際公開番号】W WO2022034440
(87)【国際公開日】2022-02-17
(31)【優先権主張番号】102020000020065
(32)【優先日】2020-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】523045836
【氏名又は名称】カルッチ,アレッサンドロ
(71)【出願人】
【識別番号】523045847
【氏名又は名称】レンツィ,ジャンルカ
(71)【出願人】
【識別番号】523045858
【氏名又は名称】シクラリ,マルコ
(71)【出願人】
【識別番号】523045869
【氏名又は名称】タニ,パトリツィア
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】カルッチ,アレッサンドロ
(72)【発明者】
【氏名】レンツィ,ジャンルカ
(72)【発明者】
【氏名】シクラリ,マルコ
(72)【発明者】
【氏名】タニ,パトリツィア
(72)【発明者】
【氏名】ビフェラーリ,レナート
(72)【発明者】
【氏名】レンナ,フランチェスコ
【テーマコード(参考)】
4C040
【Fターム(参考)】
4C040AA01
4C040AA04
4C040BB02
4C040BB06
4C040DD06
4C040EE05
4C040GG02
4C040GG03
4C040HH01
(57)【要約】
本発明は、ベッド(L)に横たわる患者(P)用の褥瘡防止デバイス(1)であって、ベッド(L)は、主伸張方向(D)を有し、主伸張方向(D)に対して、実質的に平行な側縁部(L1、L2)と実質的に横断方向の前縁部(LA)及び後縁部(LB)とを有し、当該デバイス(1)は、 - 使用中に、前記ベッド(L)と前記患者(P)との間に置かれる可撓性要素(2)と、 - 少なくとも1つの各側縁部(L1、L2)の近傍に配置されており、前記方向(D)に平行な方向に沿って、前記側縁部(L1、L2)の長さよりも短い長さ範囲を有する、少なくとも1つのハンドリングユニット(7)と、を含む、褥瘡防止デバイス(1)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベッド(L)に横たわる患者(P)用の褥瘡防止デバイス(1)であって、前記ベッド(L)は、主伸張方向(D)を有し、前記主伸張方向(D)に対して、実質的に平行な側縁部(L1、L2)と実質的に横断方向の前縁部(LA)及び後縁部(LB)とを有し、
前記デバイス(1)は、
- 使用中に、前記ベッド(L)と前記患者(P)との間に置かれる可撓性要素(2)であって、前記可撓性要素(2)は、各側縁部(L1、L2)に配置された、反対側にある極縁部(3、4)を含む、可撓性要素(2)と、
- 前記第1の極縁部(3)又は前記第2の極縁部(4)のうちの少なくとも1つと関連付けられた少なくとも1つのハンドリングユニット(7)であって、前記可撓性要素(2)を上昇/下降及び/又は回転させるように構成されており、少なくとも1つの各側縁部(L1、L2)の近傍に配置されており、前記方向(D)に平行な方向に沿って、前記側縁部(L1、L2)の長さよりも短い長さ範囲を有する、少なくとも1つのハンドリングユニット(7)と、
を含み、
全体的な構成は、前記可撓性要素(2)が前記ハンドリングユニット(7)によって上昇/下降し、巻かれ/巻き出され、前記可撓性要素の持ち上げ/下降及び巻き/巻き出しによって、前記患者が初期位置から次の位置に導かれるというようなものである、
褥瘡防止デバイス(1)。
【請求項2】
前記ハンドリングユニット(7)は、前記方向(D)に平行な方向に沿って、40cm~180cm、好ましくは、100cm~150cmの長さ範囲を有する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記ハンドリングユニット(7)は、
- 前記極縁部(3、4)の1つと関連付けられた巻取ローラ(5)であって、前記ローラ(5)は前記側縁部(L1、L2)の近傍に配置されており、前記可撓性要素(2)を巻き付ける/巻き出すように構成されている、巻取ローラ(5)と、
- 固定構造体と伸縮式ロッド(9)とから構成される持上構造体(8)であって、前記伸縮式ロッド(9)は、前記ローラ(5)と関連付けられ、前記側縁部(L1、L2)の近傍に配置され、最小高さを有する下降位置と最大高さを有する上昇位置との間で可変である、持上構造体(8)と、
- 前記ローラ(5)と前記伸縮式ロッド(9)とに関連付けられた移動手段であって、前記ローラ(5)を回転させ、前記伸縮式ロッド(9)を前記下降位置から前記上昇位置に及び前記上昇位置から前記下降位置に移動させるように構成されている、移動手段と、
を含む、請求項1又は2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記ローラ(5)は、前記方向(D)に実質的に平行に伸張する、請求項1~3のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記持上構造体(8)は、前記ローラ(5)に取り付けられた少なくとも1つの伸縮式ロッド(9)を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のデバイス(1)。
【請求項6】
前記移動用手段は、前記可撓性要素(2)を持ち上げる/下降させるために前記持上構造体(8)に動作的に接続された少なくとも1つのリニアアクチュエータと、前記ローラ(5)に動作的に接続された、前記可撓性要素(2)を巻き付ける/巻き出すために前記ローラを回転させるための少なくとも1つのモータ要素(6)とを含み、構成は、前記リニアアクチュエータと前記モータ要素(6)とを互いに独立して動作させることができるようなものである、請求項5に記載のデバイス(1)。
【請求項7】
前記持上構造体(8)は、前記ローラ(5)の先端部に取り付けられた2つの前記ロッド(9)を含む、請求項5又は6に記載のデバイス(1)。
【請求項8】
前記ハンドリングユニット(7)はベース部(11)を含み、前記ベース部(11)の上に前記持上構造体(8)が取り付けられており、前記ベース部(11)は、前記方向(D)に対する少なくとも1つの横断方向要素(12)を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のデバイス(1)。
【請求項9】
前記横断方向要素(12)は可変長の取付手段(13)を含む、請求項8に記載のデバイス(1)。
【請求項10】
前記ベッド(L)に対して対称に配置されたデューハンドリングユニット(7)を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のデバイス(1)。
【請求項11】
前記2つのハンドリングユニット(7)の前記横断方向要素(12)は前記取付手段(13)によって接続されている、請求項10に記載のデバイス(1)。
【請求項12】
前記ハンドリングユニット(7)を動作させるように構成された少なくとも1つの制御ユニット(14)を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載のデバイス(1)。
【請求項13】
前記制御ユニット(14)に動作的に接続され、前記制御ユニット(14)に入力データを送信する/前記制御ユニット(14)から入力データを受信するように構成された遠隔制御ユニット(15)を含む、請求項12に記載のデバイス(1)。
【請求項14】
可撓性構成要素(30)と請求項1~13のいずれか一項に記載の第1及び第2のデバイス(1)とを含むシステム(100)であって、前記第1のデバイス(1)及び前記第2のデバイス(1)はそれぞれ、各々の可撓性要素(2)及び各々のハンドリングユニット(7)を含み、各可撓性要素(2)は、前記移動手段(7)に拘束されない前記各可撓性要素(2)の極縁部(3、4)に第1の接続手段を有し、
前記可撓性構成要素(30)を前記第1のデバイス(1)の前記可撓性要素(2)と前記第2のデバイス(1)の前記可撓性要素(2)とに接続することができるように、及び前記第1のデバイス(1)と前記第2のデバイス(1)との間に前記可撓性構成要素(30)を置くことができるように、前記可撓性構成要素(30)は、前記可撓性構成要素(30)の末端部(31、32)の両方に、前記第1の接続手段と係合するように構成された第2の接続手段を有し、
前記システム(100)の全体的な構成は、前記第1のデバイス(1)から前記第2のデバイス(1)への患者の移動を可能にするために、前記可撓性要素(2)が前記各々のハンドリングユニット(7)によって上昇/下降し、巻かれ/巻き出されるようなものである、
システム(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
明細書
本発明の技術分野
本発明は、寝たきりの患者のための褥瘡防止デバイス及び褥瘡防止システムに関する。
【背景技術】
【0002】
背景
褥創の形成は、ベッドに横たわることを余儀なくされている長期患者にとって最大の課題である。長時間同じ姿勢のままでいるとベッドの表面上に載っている身体部位が十分に換気されず、時間とともに実際の出血性の潰瘍が皮膚に形成され、感染して、患者に痛み及び他の問題を生じさせる可能性がある。
【0003】
したがって、長期患者には、身体を異なる位置に移動させること並びにリスクのある身体部位を洗浄及び消毒することを含む継続的なケアが必要である。
【0004】
ベッドに適用することができ、電気モータによって動作させることができる適切な可動構造体によって患者を自動的に移動させることができる装置又はデバイスが知られている。このような構造体は、ベッドの周囲、すなわちベッドの側面と足の両方に配置される構造要素を有する。この構造体は、患者とベッドとの間に配置されるシートと関連付けられる。この構造体は、患者をある位置から別の位置に移動させるために、シートを巻く/巻き出すように構成されている。
【0005】
既知の装置又はデバイスは欠点を有する。
【0006】
第1の欠点は、ベッドの周囲全体に配置されることを意図した部品を有する構造に起因する。この構造は特定の寸法要件を有するベッドのみに適用することができ、あらゆる種類のベッドに適応させることはできない。このことは、既知のデバイスはあまり適応性がなく、不適合の寸法を持つベッドに適用することが必要な場合には、大幅な構造の修正が必要なことを示唆している。
【0007】
患者を簡単で迅速な効果的な手法で異なる位置に移動できることが必要であることも知られている。
【0008】
更に、患者を押して移動させることができる特定の空気圧式マットレスの使用を伴う、他の代替的なシステムが知られている。このようなシステムは、適合する構造を備えたベッドのみに組み込むことができ、患者をベッド表面から持ち上げることはできず、回転させ、押すことのみを可能にする。
【0009】
現在のところ、下着の交換、シーツの交換、及びベッドの清掃の作業、並びに患者の体位変換に関する全ての作業は、自動化システムの支援なしで、具体的には、2名のオペレータが患者とマットレスとの間に配置された布を使用することで行われている。その動作のいくつかは、過度のエネルギーを伴って行われた場合に有害であり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の概要
したがって、本発明によって提起され解決される技術的課題は、公知技術を参照して上述した欠点を克服することを可能にする、構造適応型の動力学的デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この課題は、請求項1に記載の褥瘡防止デバイスによって解決される。
【0012】
本発明は更に、請求項14に記載の褥瘡防止システムを提供する。
【0013】
本発明の好ましい特徴は従属請求項の対象である。
【0014】
本発明は、いくつかの関連する利点を提供する。主な利点は、考案されたデバイスを、ベッドの長さとは無関係に、任意の種類のベッドに容易に適応させることができることである。
【0015】
請求項1に記載のハンドリングユニットは、実際に、ベッドの側面の長さを超えて配置されることになる部品は有しない。したがって、デバイス1は、あらゆる種類のベッドに適している。
【0016】
更に、ハンドリングユニット、駆動手段、及び制御ユニットは、低電圧で動作し、デバイスの動作中における患者の最高の安全性を確保する。
【0017】
最終的に、デバイスは、容易に分解し、再度組み立てることができる部品(ハンドリングユニット及び可撓性要素)から作製されており、したがって、容易に持ち運びできる。したがって、デバイスは、以下に記載されるような1つ以上のハンドリングユニットと1つ以上の可撓性要素とを含むキットの形態で提供することができる。
【0018】
本発明は、本発明の特徴及び使用方法とともに、非限定的な例によって提示される以下のその好ましい実施形態の詳細な説明から明らかになる、公知技術に対する様々な明らかな利点を含む。
【0019】
本発明の他の利点、特徴、及び使用方法は、非限定的な例によって提示される以下のいくつかの実施形態の詳細な説明から明らかになる。
【0020】
図の簡単な説明
添付図面の図を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図3】本発明による
図1のデバイスの動作モードを示す。
【
図4】本発明による
図1のデバイスの動作モードを示す。
【
図5】本発明による
図1のデバイスの動作モードを示す。
【
図6】本発明による
図1のデバイスの動作モードを示す。
【
図7】本発明による2つのデバイスを含むシステムの動作モードを示す。
【
図8】本発明による2つのデバイスを含むシステムの動作モードを示す。
【
図9】本発明による2つのデバイスを含むシステムの動作モードを示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
紹介した上記の図に示される厚さ及び曲率は、例示にすぎず、全般的に拡大されており、必ずしも比例的に示されるわけではないことに留意されたい。
【0023】
好ましい実施形態の詳細な説明
以下、上に紹介した図を参照しながら、本発明の様々な実施形態及び変形形態を説明する。
【0024】
様々な図において、同様の構成要素は同じ参照番号で示される。
【0025】
以下の詳細な説明において、同じ明細書内で既に説明した実施形態及び変形形態に対する更なる実施形態及び変形形態については、既に開示されていることとの相違に限定して示される。
【0026】
更に、以下に記載する異なる実施形態及び変形形態は、適宜、組み合わせて使用され得る。
【0027】
最初に
図1を参照すると、本発明の一実施形態によれば、ベッドLに横たわる患者P用の褥瘡防止デバイスが参照番号1によって全体的に示されている。
図1に示されるように、ベッドLは主伸張方向Dを有し、主伸張方向Dに対して、実質的に平行な側縁部L1、L2と実質的に横断方向の前縁部LA及び後縁部LBとを有する。
【0028】
デバイス1は、使用中に、ベッドL、特にベッドの表面と患者Pとの間に置かれる可撓性要素2を含む。可撓性要素2は、各側縁部L1、L2に配置された、反対側にある極縁部3、4を含む。
【0029】
有用には、可撓性要素2は、方向Dに平行な方向に沿って最大125cmの長さ範囲を有し、3つの部分を組み合わせたシートのタイプのものであり得、3つの部分のうちの2つは、可撓性の洗浄可能な耐引裂性材料のシートで作られており、両面直線Velcroによって回転式ローラの一端と他端とに接続されており、一部分は、患者Pの皮膚の適切な通気性及び換気を確保するために、洗浄可能で通気性があり低アレルギー性の綿製床ずれ防止シートの二重層で構成されている。可撓性要素2の構成は、オペレータが回転式ローラに対するいかなる介入も行う必要なく可撓性要素2の中央部を交換するのに役立つ。
【0030】
デバイス1は、少なくとも第1の極縁部3又は第2の極縁部4と関連付けられた少なくとも1つのハンドリングユニット7を更に含む。ハンドリングユニット7は、可撓性要素2を上昇/下降及び/又は回転させるように構成されている。したがって、ハンドリングユニットは、少なくとも1つの各側縁部L1、L2の近傍に配置されており、方向Dに平行な方向に沿って、側縁部L1、L2の長さよりも短い長さ範囲を有する。それにより、デバイス1は市場の全ての種類のベッドに対応するとともに、既存のベッドにも適合させることができる。したがって、デバイス1は使いやすさが向上している。
【0031】
有利には、ハンドリングユニット7は、方向Dに平行な方向に沿って40cm~180cmの長さ範囲を有する。好ましくは、前述の長さ範囲は100cm~150cmである。有用には、前述の長さ範囲は130cmにほぼ等しい。このような長さ値により、デバイス1が、市場で入手可能なほとんどのベッドに特に適したものになる。
【0032】
全体的な構成は、可撓性要素2がハンドリングユニット7によって上昇/下降し、巻かれ/巻き出され、可撓性要素2の持ち上げ/下降及び巻き/巻き出し(
図4及び
図5)によって、患者が初期位置(
図3を参照)から次の位置(
図6を参照)に運ばれるというようなものである。
【0033】
ハンドリングユニット7はベッドLの上方に上がることができ、持ち上げ(
図4)及び回転(
図5)によって、可撓性要素2をベッドLの表面から最大約35cm上昇させることができる。それにより、患者PはベッドLの表面から離され、側縁部3、4の連携的な巻き/巻き出しによって初期位置とは異なる位置に運ばれる。
【0034】
好ましい実施形態によれば、例えば、
図1、
図3、
図4、
図5及び
図6に示されているように、ハンドリングユニット7は、極縁部3、4の1つと関連付けられた巻取ローラ5を含み得る。ローラ5は各側縁部L1、L2の近傍に配置されてもよく、可撓性要素2を巻く/巻き出すように構成されている。好ましくは、ローラ5は方向Dに実質的に平行に伸張し、この方向Dに実質的に平行な伸張を有するハンドリングユニット7が提供され、したがって、ベッドLに対するデバイス1の適応性が高くなる。
【0035】
更に、ハンドリングユニット7は、ローラ5と関連付けられた持上構造体8を含んでもよい。持上構造体8は、側縁部L1、L2の近辺に有用に配置され得る。好ましくは、構造体8は、例えば
図3に示されるような最小高さを有する下降位置と例えば
図4、
図5及び
図6に示されるような最大高さを有する上昇位置との間で可変であり得る。有利には、持上構造体8が上昇位置にあるときに、可撓性要素2はベッドLの表面から約30cm又は35cmだけ間隔を開けて配置され得るため、患者を上昇させることができ、これまでベッドLと接触していた身体部位の通気を可能とすることができる。
【0036】
有用には、持上構造体8は、ローラ5に取り付けられた少なくとも1つの伸縮式ロッド9を含んでもよい。ロッド9は延長/短縮し、その結果として、ローラ5を上昇させ、下降させることができる。
【0037】
有利には、持上構造体8は、ローラ5の先端部に取り付けられた2つのロッド9を含む。それにより、持ち上げ/下降推力がローラ5本体に沿って均一に分散され、結果として、その動作が向上する。
【0038】
好ましい実施形態では、ハンドリングユニット7は2つの持上構造体8を含み、2つの持上構造体8の内部で、ローラ5の先端部に取り付けられた伸縮式ロッド9の各対が摺動し、持ち上げ/下降推力がローラ5の本体に沿って均一に分散される。この好ましい実施形態では、二重の持上構造体8の存在により、可撓性要素2の巻き/巻き出しを向上させることが可能になり、ある位置から別の位置への患者の移動が容易になる。
【0039】
伸縮式ロッド9は延長/短縮し、その結果として、ローラ5を上昇させ、下降させることができる。持上構造体8は、側縁部L1、L2の近辺に有用に配置され得る。伸縮式ロッド9が上昇位置にあるときに、可撓性要素2はベッドLの表面から約35cmだけ間隔を開けて配置され得るため、患者を上昇させることができ、これまでベッドLと接触していた身体部位の通気を可能とすることができる。
【0040】
例えば、持上構造体8がより多数若しくは少数のロッド9を備える、又は持上構造体8が異なる持上要素、例えばクランキング要素若しくは持上レバーを備える異なる解決策、又は他の機械的に及び運動学的に同等の解決策は除外されない。
【0041】
更に、デバイス1は、ローラ5と持上構造体8とに関連付けられた移動手段であって、ローラ5を回転させ、持上構造体8を下降位置から上昇位置に及び上昇位置から下降位置に移動させるように構成された移動手段を備えてもよい。
【0042】
有用には、移動手段は、可撓性要素2の持ち上げ/下降のために持上構造体8に動作的に接続された少なくとも1つのリニアアクチュエータを含んでもよい。
【0043】
好ましい実施形態では、リニアアクチュエータはロッド9の内部に挿入されており、持上構造体8を下降位置から上昇位置に及び上昇位置から下降位置に至らせるために、同ロッドを延長/短縮させるように構成されている。リニアアクチュエータがロッドの外部に配置される代替的な解決策は除外されない。
【0044】
有利には、移動手段は3つのモータ要素6を含み得、3つのモータ要素6はローラ5に動作的に接続されており、可撓性要素2を巻く/巻き出すために同ローラ5を時計回り/反時計回りに交互に回転させるように構成されている。
【0045】
例えば図に示される好ましい実施形態を参照すると、モータ要素6はローラ5の一端に取り付けられている。
【0046】
モータ要素6が図示されているものと異なる配置を有する代替的な解決策は除外されない。
【0047】
有利には、移動手段は、互いに独立して動作するように構成されている。その中のいくつかが図示されている好ましい実施形態を参照すると、可撓性要素2の異なる動きを決定し、したがって、患者Pの異なる位置を可能にするために、リニアアクチュエータとモータ要素6は独立して動作させることができる。
【0048】
好ましくは、ハンドリングユニット7はベース部11を含み得、ベース部11の上に持上構造体8が取り付けられている。ベース部11は、有用には、方向Dに対する少なくとも1つの横断方向要素12を含み得る。ベース部11は、4つのネジ付きの足によって地面に敷設されたフレームのタイプのもの、又はデバイス1全体を適所に支持するためにいずれの場合においても地面に敷設された異なるタイプのベースであり得る。
【0049】
その中のいくつかが図示されている好ましい実施形態を参照すると、ロッド9はベース部11上に接続され、ベース部11に固定することができる。
【0050】
有用には、横断方向要素12は可変長の取付手段13を含み得る。それにより、横断方向要素12は長さを変化させることができ、市場のあらゆるベッドタイプに対する調節を容易にする。更に、例えば2つのハンドリングユニット7を結合し、デバイス1をより強固で安定したものにするために、取付手段13はいくつかの横断方向要素12を互いに接続するように構成されてもよい。取付手段13は、複数の積み重ね可能な穴及びボルトのタイプのもの、又は穴に挿入してロッキングクランプを構成することができる他の類似の接続用要素であってもよい。或いは、取付手段13は、3つの係合システム若しくはクリップ、又は横断方向要素12への取り付けを実現するように構成された他の同等の要素を含んでもよい。
【0051】
例えば図示されるような好ましい実施形態によれば、デバイス1は、ハンドリングユニット7を動作させるように構成された少なくとも1つの制御ユニット14を含み得る。この構成は、ハンドリングユニット7を動作及び制御し、可撓性要素2を持ち上げ/下降させ、巻く/巻き出すために、使用者が入力データを制御ユニット14に送信することができるようなものである。
図2A及び
図2Bは、制御ユニット14が電子制御ユニットのタイプのものである可能な実施形態を示すが、異なる形状を有する他の制御ユニット14は除外されない。
【0052】
制御ユニット14は、患者の生体データを受け取り、処理するように構成されたデータ管理及び処理ユニットを更に含み得る。データ管理及び処理ユニットは、専用センサによって患者から生体データを受け取り、生体データに関する出力データを、例えば、Bluetooth、Wi-Fi、GSM、又は他の高周波送信手段などの高周波送信手段によって送信するように構成され得る。このような場合においては、制御ユニットは、患者Pの生体データを検出、処理、及び送信するように構成されている3つの生体データ検出センサ、マイクロプロセッサ、及び高周波発信要素を含み得る。
【0053】
図1、
図3、
図4、
図5及び
図6に示される好ましい実施形態によれば、デバイス1は、ベッドLに対して対称に配置された2つのハンドリングユニット7を含んでもよい。特に、2つのハンドリングユニット7はそれぞれ、各側縁部L1、L2の近傍に配置されており、それぞれ、各極縁部3、4と関連付けられている。
【0054】
有利には、2つのハンドリングユニット7の横断方向要素12は取付手段13によって接続されていてもよい。それにより、各ハンドリングユニットのベース部11は強固に接続され、デバイス1により高い安定性及び剛性が与えられる。更に、可変長の取付手段13により、デバイス1を市場で入手可能な任意のベッドに適応させることが可能になる。
【0055】
2つのハンドリングユニット7は互いに独立して動作させることができ、患者Pのいくつかの取り扱い手法を可能にする。特に、各ハンドリングユニット7のローラ5と伸縮式ロッド9は独立して動作させることができ、したがって、患者Pをある位置から別の位置に移動させるのに有用な複数の動きを可能にする。
【0056】
有用には、制御ユニット14は、移動手段を独立して動作させる、したがって、ローラ5と持上構造体8、特に伸縮式ロッド9の駆動を独立して制御及び管理するように構成されている。
【0057】
更に、デバイス1は、制御ユニット14に動作的に接続されている、制御ユニット14に入力データを送信する/制御ユニット14から入力データを受信するように構成された遠隔制御ユニット15を含み得る。
【0058】
したがって、オペレータは、例えば部屋にいないときに遠隔制御ユニット15によって患者Pの移動を制御することができる。この解決策は、感染性の患者、集中治療の際、又は保護され、非汚染のままでなければならない環境内で寝たきりの場合に特に便利である。
【0059】
図2Cは、特に接続ケーブルを介して制御ユニットに接続され得るボタン式遠隔コントローラタイプの遠隔制御ユニット15の一例を示す。
【0060】
代替的に、遠隔制御ユニット15は、高周波遠隔コントローラ、又は制御ユニット14と通信するように特に構成されたタブレット若しくはスマートフォンであってもよい。
【0061】
本発明の更に有利な態様によれば、一連の
図7、
図8及び
図9に示されるように、第1の褥瘡防止デバイス1と関連付けられた第1のベッドから第2の褥瘡防止デバイス1と関連付けられた第2のベッドへの患者Pの移動を可能にするシステム100が提供される。褥瘡防止デバイス1は、既に記述したことに従って実現される。
【0062】
言及したように、第1のデバイス1及び第2のデバイス1はそれぞれ、各々の可撓性要素2及び各々のハンドリングユニット7を含む。各可撓性要素2は、自身の極縁部3、4に、例えば、フックアンドループクロージャ(Velcroタイプ)の要素、又はレース若しくはフック/ボタン穴などの他の種類の手段であり得る第1の接続手段を有する。各デバイス1において、接続手段は、他方のデバイス1の方に面した極縁部3、4上に配置されている、すなわち、2つのデバイス1の間に置かれている。更に、第1の接続手段を有するそのような極縁部3、4は移動手段7から解放される。
【0063】
システム100は、可撓性要素2を参照して既に示したことに従って実現される更なる可撓性構成要素30を含み、更なる可撓性構成要素30は、それらの各側縁部に配置された、互いに反対側にある2つの末端部31、32を有する。
【0064】
可撓性構成要素30は、その末端部31、32の両方に、2つのデバイス1の可撓性要素2の第1の接続手段と係合するように構成された第2の接続手段を有する。
【0065】
したがって、可撓性構成要素30を第1のデバイス1の可撓性要素2と第2のデバイス1の可撓性要素2との間に置くために、可撓性構成要素30は第1のデバイス1の可撓性要素2及び第2のデバイス1の可撓性要素2のそれぞれに接続され得る(
図7)。
【0066】
システム100の全体的な構成は、可撓性要素2が各々のハンドリングユニット7によって上昇/下降し、巻かれ/巻き出され、可撓性構成要素30の介在によって、患者が第1のデバイス1から第2のデバイス1に運ばれる(
図8及び
図9)ようなものである。明らかに、患者が第1のベッドから第2のベッドに移動することを可能にするために、可撓性構成要素30に接続された極縁部3、4に配置されたハンドリングユニット7の持上構造体8は最小限まで下降させることが必要である。
【0067】
特に、患者の移動は、第1に、両可撓性要素2が外側位置のローラにより巻かれ、患者を第1のベッドのマットレスに触れないような位置に運ぶ、制御ユニットのコマンドシーケンスによって達成され得る。ある高さになると、患者は、システムが第1のベッドのローラの巻きを解く一方で第2のベッドのローラを巻く、更なる制御ユニットコマンドによって第1のベッドから第2のベッドに移動される。この位置に到達すると、両ローラは、患者を降ろし、第2のベッド上に配置するために巻き出される。最終的に、可撓性構成要素30は2つの可撓性要素2から分離され、2つの可撓性要素2は、これまで可撓性構成要素に接続されていた極縁部にて、そのハンドリングユニット7のローラに再度結合される。有利には、システム100は、患者を1つのベッドから別のベッドに移動させることを可能にし、そこで手動で操作する必要はない。
【0068】
ここまで、本発明を、好ましい実施形態を参照して説明してきた。本明細書で単に例として説明した好ましい実施形態に実装される技術的特徴のそれぞれは、有利には、記述したものと異なる手法で他の特徴とも組み合わせて、同じ発明的な中核になお関連する更なる実施形態を実現することができることは理解されたい。したがって、以下に記載する特許請求の範囲の保護範囲によって定義される、同じ発明的な中核に関連する他の実施形態が存在し得ることは理解されたい。
【国際調査報告】