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特表2023-537156ブランキング電位調整方法、行駆動回路及びLED表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-30
(54)【発明の名称】ブランキング電位調整方法、行駆動回路及びLED表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/32 20160101AFI20230823BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20230823BHJP
   H01L 33/00 20100101ALI20230823BHJP
【FI】
G09G3/32 A
G09G3/20 612T
G09G3/20 622G
G09G3/20 612A
G09G3/20 670A
G09G3/20 621J
G09G3/20 611D
G09G3/20 642A
H01L33/00 J
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023510491
(86)(22)【出願日】2020-12-17
(85)【翻訳文提出日】2023-04-12
(86)【国際出願番号】 CN2020137357
(87)【国際公開番号】W WO2022032953
(87)【国際公開日】2022-02-17
(31)【優先権主張番号】202010809984.3
(32)【優先日】2020-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517380215
【氏名又は名称】北京集創北方科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Chipone Technology (Beijing) Co.,Ltd
【住所又は居所原語表記】Building 56,No.2 North Jing Yuan Street, Beijing Economic Technological Development Area,Daxing District,Beijing 100176,China
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ビ、チェン
【テーマコード(参考)】
5C080
5C380
5F241
【Fターム(参考)】
5C080AA07
5C080BB05
5C080DD05
5C080DD10
5C080JJ02
5C080JJ03
5C080JJ07
5C380AA03
5C380AB05
5C380BB02
5C380BB08
5C380CE01
5C380CF52
5C380DA32
5C380DA49
5C380FA22
5C380FA30
5C380GA02
5C380GA12
5F241AA25
5F241BB18
5F241BC44
5F241BC47
5F241BD03
5F241BD34
5F241BD35
(57)【要約】
本発明は、ブランキング電位調整方法、行駆動回路及びLED表示装置を提供し、前記方法は行駆動モジュールにより実現され、前記方法は、行駆動チップは、LED表示パネルの行駆動側から開路検出信号と短絡検出信号を受信するステップと、前記開路検出信号と前記短絡検出信号とに基づいて、行駆動チップは制御信号を生成して前記マルチプレクサに伝送することにより、前記マルチプレクサが前記第1電圧又は第2電圧のみをブランキング電位として選択するか、又は第1電圧、第2電圧をブランキング電位として順次選択するか、又は第2電圧、第1電圧をブランキング電位として順次選択するように制御するステップと、を含み、LEDランプビーズの開路/短絡に起因する一列の長い点灯問題、すなわち開路/短絡毛虫現象を効率的に解決することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブランキング電位調整方法であって、前記方法は行駆動回路により実現され、前記行駆動回路は少なくとも1つの行駆動チップを含み、前記行駆動チップはブランキング電位発生回路を含み、前記ブランキング電位発生回路は第1電圧と第2電圧を発生させるように構成され、前記ブランキング電位発生回路はマルチプレクサを含み、前記方法は、
行駆動チップは、LED表示パネルの行駆動側から開路検出信号と短絡検出信号を受信するステップと、
前記開路検出信号と前記短絡検出信号とに基づいて、行駆動チップは制御信号を生成して前記マルチプレクサに伝送することにより、前記マルチプレクサが前記第1電圧のみをブランキング電位として選択するか、前記第2電圧のみをブランキング電位として選択するか、前記第1電圧と前記第2電圧を前記ブランキング電位として順次選択するか、又は前記第2電圧と前記第1電圧を前記ブランキング電位として順次選択するように制御して、前記行駆動チップの少なくとも1つの出力チャネルに前記ブランキング電位を前記LED表示パネルの前記行駆動側に出力させるステップと、を含む、ことを特徴とするブランキング電位調整方法。
【請求項2】
前記ブランキング電位発生回路は電圧発生ユニットをさらに含み、前記電圧発生ユニットは、前記マルチプレクサの2つの信号入力端子に結合され、前記第1電圧と前記第2電圧を発生させて前記2つの信号入力端子にそれぞれ伝送するように構成される、ことを特徴とする請求項1に記載のブランキング電位調整方法。
【請求項3】
前記行駆動チップの少なくとも1つの出力チャネルは、前記ブランキング電位を前記行駆動側の少なくとも1つの走査されていない行に伝送することにより、少なくとも1つの走査されていない行の電位をブランキング電位に調整して、前記LED表示パネルの少なくとも1つのLEDアセンブリの短絡に起因する短絡毛虫現象を除去し、ここで、VDN>VDD-Vfであり、VDNはブランキング電位、VDDは走査電圧、Vfは前記LEDアセンブリの順方向導通電圧である、ことを特徴とする請求項1に記載のブランキング電位調整方法。
【請求項4】
前記行駆動チップの少なくとも1つの出力チャネルは、前記ブランキング電位を前記行駆動側の少なくとも1つの走査されていない行に伝送することにより、少なくとも1つの走査されていない行の電位を前記ブランキング電位に調整して、前記LED表示パネルの少なくとも1つのLEDアセンブリの開路に起因する開路毛虫現象を除去し、ここで、VDN<Vout+Vfであり、VDNはブランキング電位、Voutは前記出力チャネルの出力電圧、Vfは前記LEDアセンブリの順方向導通電圧である、ことを特徴とする請求項1に記載のブランキング電位調整方法。
【請求項5】
前記開路検出信号と前記短絡検出信号が、前記LED表示パネルに短絡毛虫現象のみが存在することを示す場合に、前記制御信号は、前記マルチプレクサが前記第1電圧のみを前記ブランキング電位として選択するように制御する、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のブランキング電位調整方法。
【請求項6】
前記開路検出信号と前記短絡検出信号が、前記LED表示パネルに開路毛虫現象のみが存在することを示す場合に、前記制御信号は、前記マルチプレクサが前記第2電圧のみを前記ブランキング電位として選択するように制御する、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のブランキング電位調整方法。
【請求項7】
前記開路検出信号と前記短絡検出信号が、前記LED表示パネルに短絡毛虫現象と開路毛虫現象が同時に存在することを示す場合に、前記制御信号は、前記マルチプレクサが予め設定された優先度に基づいて前記第1電圧と前記第2電圧を前記ブランキング電位として順次選択するように制御する、ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載のブランキング電位調整方法。
【請求項8】
前記第1電圧の優先度が前記第2電圧の優先度よりも高いと、前記開路検出信号と前記短絡検出信号が、前記LED表示パネルに前記短絡毛虫現象と前記開路毛虫現象が同時に存在することを示す場合に、前記制御信号は、前記マルチプレクサが前記第1電圧と前記第2電圧を前記ブランキング電位として順次選択するように制御する、ことを特徴とする請求項7に記載のブランキング電位調整方法。
【請求項9】
前記第2電圧の優先度が前記第1電圧の優先度よりも高いと、前記開路検出信号と前記短絡検出信号が、前記LED表示パネルに前記短絡毛虫現象と前記開路毛虫現象が同時に存在することを示す場合に、前記制御信号は、前記マルチプレクサが前記第2電圧と前記第1電圧を前記ブランキング電位として順次選択するように制御する、ことを特徴とする請求項7に記載のブランキング電位調整方法。
【請求項10】
走査電圧と元のブランキング電位との差がLEDアセンブリの順方向導通電圧よりも大きいと、前記短絡検出信号を生成する、ことを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載のブランキング電位調整方法。
【請求項11】
出力チャネルの出力電圧がLEDアセンブリの順方向導通電圧よりも小さいと、前記開路検出信号を生成する、ことを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載のブランキング電位調整方法。
【請求項12】
行駆動回路であって、少なくとも1つの行駆動チップを含み、前記行駆動チップはブランキング電位発生回路を含み、前記行駆動回路は、請求項1~11のいずれか1項に記載のブランキング電位調整方法を実行するように構成される、ことを特徴とする行駆動回路。
【請求項13】
前記ブランキング電位発生回路は電圧発生ユニットをさらに含み、前記電圧発生ユニットは、前記マルチプレクサの2つの信号入力端子に結合され、前記第1電圧と前記第2電圧を発生させて前記2つの信号入力端子にそれぞれ伝送するように構成される、ことを特徴とする請求項12に記載の行駆動回路。
【請求項14】
前記ブランキング電位発生回路はレジスタをさらに含み、前記レジスタは前記第1電圧と前記第2電圧を記憶するように構成される、ことを特徴とする請求項12に記載の行駆動回路。
【請求項15】
LED表示装置であって、LED表示パネルと、列駆動回路と、行駆動回路と、表示コントローラとを含み、前記行駆動回路は少なくとも1つの行駆動チップを含み、前記行駆動チップはブランキング電位発生回路を含み、前記行駆動回路は、請求項1~8のいずれか1項に記載のブランキング電位調整方法を実行するように構成される、ことを特徴とするLED表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2020年8月12日に中国特許庁に提出された、出願番号が2020108099843、名称が「ブランキング電位調整方法、行駆動回路及びLED表示装置」の中国特許出願の優先権を主張し、その全内容は援用により本願に組み込まれている。
【0002】
本願は、LED表示駆動回路の技術分野に関し、特にブランキング電位調整方法、行駆動回路及びLED表示装置に関する。
【背景技術】
【0003】
従来技術では、平面ディスプレイは非自発光型平面ディスプレイ及び自発光型平面ディスプレイを含み、液晶ディスプレイは長い間使用されている非自発光型平面ディスプレイであるが、有機発光ダイオード(Organic light-emitting diode、OLED)ディスプレイ及び発光ダイオード(Light-emitting diode、LED)ディスプレイは、現在広く応用されている自発光型平面ディスプレイである。液晶ディスプレイと比較して、LEDディスプレイは、高リフレッシュレート、高コントラスト比、広視野角、低消費電力などの多くの利点を有する。
【0004】
しかしながら、従来技術のLED表示パネルには、「毛虫」現象が発生しやすいことが多い。「毛虫」とは、LED表示パネルの1つ又は複数のLEDアセンブリが破損してランプビーズが短絡又は開路されたときに、このランプビーズがある行又は列の他のランプビーズに影響を与えて誤って暗く点灯させる現象である。このような「毛虫」現象は、視覚的効果に影響を与えるため、ユーザ体験に影響を与える。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願の実施例は、ブランキング電位調整方法を提供し、該LED表示パネルに開路毛虫現象又は短絡毛虫現象が発生することを効果的に回避できる。
【0006】
本願はブランキング電位調整方法を提供し、前記方法は行駆動回路により実現され、前記行駆動回路は少なくとも1つの行駆動チップを含み、前記行駆動チップはブランキング電位発生回路を含み、前記ブランキング電位発生回路は第1電圧と第2電圧を発生させるように構成され、前記ブランキング電位発生回路はマルチプレクサを含み、前記方法は、
行駆動チップは、LED表示パネルの行駆動側から開路検出信号と短絡検出信号を受信するステップと、
前記開路検出信号と前記短絡検出信号とに基づいて、行駆動チップは制御信号を生成して前記マルチプレクサに伝送することにより、前記マルチプレクサが前記第1電圧のみをブランキング電位として選択するか、前記第2電圧のみをブランキング電位として選択するか、前記第1電圧と前記第2電圧を前記ブランキング電位として順次選択するか、又は前記第2電圧と前記第1電圧を前記ブランキング電位として順次選択するように制御して、前記行駆動チップの少なくとも1つの出力チャネルに前記ブランキング電位を前記LED表示パネルの前記行駆動側に出力させるステップと、を含む。
【0007】
一実施例では、前記ブランキング電位発生回路は電圧発生ユニットをさらに含み、前記電圧発生ユニットは、前記マルチプレクサの2つの信号入力端子に結合され、前記第1電圧と前記第2電圧を発生させて前記2つの信号入力端子にそれぞれ伝送するように構成される。
【0008】
一実施例では、前記行駆動チップの少なくとも1つの出力チャネルは、前記ブランキング電位を前記行駆動側の少なくとも1つの走査されていない行に伝送することにより、少なくとも1つの走査されていない行の電位をVDN>VDD-Vfに調整して、前記LED表示パネルの少なくとも1つのLEDアセンブリの短絡に起因する短絡毛虫現象を除去し、ここで、VDDは走査電圧、Vfは前記LEDアセンブリの順方向導通電圧である。
【0009】
一実施例では、前記行駆動チップの少なくとも1つの出力チャネルは、前記ブランキング電位を前記行駆動側の少なくとも1つの走査されていない行に伝送することにより、少なくとも1つの走査されていない行の電位をVDN<Vout+Vfに調整して、前記LED表示パネルの少なくとも1つのLEDアセンブリの開路に起因する開路毛虫現象を除去し、ここで、Voutは前記出力チャネルの出力電圧である。
【0010】
一実施例では、前記開路検出信号と前記短絡検出信号が、前記LED表示パネルに前記短絡毛虫現象のみが存在することを示す場合に、前記制御信号は、前記マルチプレクサが前記第1電圧のみを前記ブランキング電位として選択するように制御する。
【0011】
一実施例では、前記開路検出信号と前記短絡検出信号が、前記LED表示パネルに前記開路毛虫現象のみが存在することを示す場合に、前記制御信号は、前記マルチプレクサが前記第2電圧のみを前記ブランキング電位として選択するように制御する。
【0012】
前記開路検出信号と前記短絡検出信号が、前記LED表示パネルに前記短絡毛虫現象と前記開路毛虫現象が同時に存在することを示す場合に、前記制御信号は、前記マルチプレクサが予め設定された優先度に基づいて前記第1電圧と前記第2電圧を前記ブランキング電位として順次選択するように制御する。
【0013】
一実施例では、前記第1電圧の優先度が前記第2電圧の優先度よりも高いと、前記開路検出信号と前記短絡検出信号が、前記LED表示パネルに前記短絡毛虫現象と前記開路毛虫現象が同時に存在することを示す場合に、前記制御信号は、前記マルチプレクサが前記第1電圧と前記第2電圧を前記ブランキング電位として順次選択するように制御する。
【0014】
一実施例では、前記第2電圧の優先度が前記第1電圧の優先度よりも高いと、前記開路検出信号と前記短絡検出信号が、前記LED表示パネルに前記短絡毛虫現象と前記開路毛虫現象が同時に存在することを示す場合に、前記制御信号は、前記マルチプレクサが前記第2電圧と前記第1電圧を前記ブランキング電位として順次選択するように制御する。
【0015】
1つの選択可能な実施形態では、走査電圧と元のブランキング電位との差がLEDアセンブリの順方向導通電圧よりも大きいと、前記短絡検出信号を生成する。
【0016】
1つの選択可能な実施形態では、出力チャネルの出力電圧がLEDアセンブリの順方向導通電圧よりも小さいと、前記開路検出信号を生成する。
【0017】
本願は行駆動回路をさらに提供し、前記行駆動回路は少なくとも1つの行駆動チップを含み、前記行駆動チップはブランキング電位発生回路を含み、前記行駆動回路は本願の実施例に係るブランキング電位調整方法を実行するように構成される。
【0018】
1つの選択可能な実施形態では、前記ブランキング電位発生回路は電圧発生ユニットをさらに含み、前記電圧発生ユニットは、前記マルチプレクサの2つの信号入力端子に結合され、前記第1電圧と前記第2電圧を発生させて前記2つの信号入力端子にそれぞれ伝送するように構成される。
【0019】
1つの選択可能な実施形態では、前記ブランキング電位発生回路はレジスタをさらに含み、前記レジスタは前記第1電圧と前記第2電圧を記憶するように構成される。
【0020】
本願はLED表示装置をさらに提供し、前記装置はLED表示パネルと、列駆動回路と、行駆動回路と、表示コントローラとを含み、前記行駆動回路は少なくとも1つの行駆動チップを含み、前記行駆動チップはブランキング電位発生回路を含み、前記行駆動回路は本願の実施例に係るブランキング電位調整方法を実行するように構成される。
【0021】
本願の上記実施例に係る技術的解決手段では、行駆動チップは、LED表示パネルの行駆動側から開路検出信号と短絡検出信号を受信し、前記開路検出信号と前記短絡検出信号とに基づいて、行駆動チップは制御信号を生成して前記マルチプレクサに伝送することにより、前記マルチプレクサが前記第1電圧のみをブランキング電位として選択するか、前記第2電圧のみをブランキング電位として選択するか、前記第1電圧と前記第2電圧を前記ブランキング電位として順次選択するか、又は前記第2電圧と前記第1電圧を前記ブランキング電位として順次選択するように制御して、前記行駆動チップの少なくとも1つの出力チャネルに前記ブランキング電位を前記LED表示パネルの前記行駆動側に出力させ、それにより該LED表示パネルに開路毛虫現象又は短絡毛虫現象が発生することを効果的に回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本願の実施例の技術的解決手段をより明確に説明するために、以下、本願の実施例に使用される必要がある図面を簡単に説明する。
【0023】
図1図1は従来技術のLEDディスプレイの模式図である。
図2図2はLED表示パネルの短絡毛虫現象である。
図3図3はLED表示パネルの開路毛虫現象である。
図4図4は本願の一実施例に係るLED表示装置の構造模式図である。
図5図5は本願の一実施例に係るLED表示パネル、列駆動回路及び行駆動回路の構造模式図である。
図6図6は本願の一実施例に係るブランキング電位発生回路の構造模式図である。
図7図7は本願の一実施例に係るブランキング電位調整方法のフローチャートである。
図8図8は本願の一実施例に係るブランキング電位調整方法でLED表示パネルの短絡毛虫現象を除去する模式図である。
図9図9は本願の一実施例に係るブランキング電位調整方法でLED表示パネルの開路毛虫現象を除去する模式図である。
図10図10は本願の別の実施例に係るブランキング電位発生回路の構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本願の実施例の図面を参照しながら本願の実施例の技術的解決手段を説明する。
【0025】
類似する符号及びアルファベットは以下の図面において類似する項目を表すため、ある項目が1つの図面において定義されると、その後の図面においてそれをさらに定義して解釈する必要がない。また、本願の説明では、「第1」、「第2」などの用語は、区別して説明するためのものに過ぎず、相対的な重要性を指示又は暗示するものとして理解できない。
【0026】
図1は従来技術のLEDディスプレイの構造図である。図1に示すように、該LEDディスプレイ1aは、LED表示パネル11aと、列駆動モジュール12aと、行駆動モジュール13aと、表示コントローラ14a(タイミングコントローラ)とを含む。行駆動モジュール13aは通常複数の行駆動チップ131aを含み、複数の前記行駆動チップ131aの使用数は、該LED表示パネル11aの解像度及び前記行駆動チップ131aの出力チャネル数により決定される。
【0027】
図1に示すように、該LED表示パネル11aは、X×Y個のLEDアセンブリ111aと、X本の列駆動線112aと、Y本の行駆動線113aとを含む。なお、各前記列駆動線112aには列寄生容量Crが存在し、各前記行駆動線113aには行寄生容量Ccが存在する。通常の動作時には、前記列寄生容量Cr及び/又は前記行寄生容量Ccは、LEDディスプレイ1aの表示品質に対して影響をある程度で与える。通常、従来技術では、行駆動チップ131aの行駆動アセンブリ13Pa(すなわち、PMOSアセンブリ)をプルダウン回路に結合し、行切替操作を行うときに、該プルダウン回路は、プルダウン電位を発生させて寄生容量の電荷を迅速に放出させて、行ブランキング効果を達成する。
【0028】
図2はLED表示パネルの短絡毛虫現象である。LED表示パネル11aの1つ又は複数のLEDアセンブリ111aが破損してランプビーズが短絡されたときに、このランプビーズ(すなわち、LEDアセンブリ111a)がある行又は列の他のランプビーズに影響を与えて誤って暗く点灯させ、業界では、この現象が短絡毛虫と呼ばれる。図2に示すように、ランプビーズが短絡されたときに、同じ列のLEDアセンブリ111aは、該行を走査したときに図1に示されるチャネルを形成し、このとき、点VDDと点VDNとの間の電圧差がLEDアセンブリ111aの点灯電圧よりも大きいと、一列の長い点灯現象が形成される。従って、この問題の発生を回避するために、該行駆動チップ131aの少なくとも1つの出力チャネルが行ブランキング効果を実現するように、行駆動チップ131aの回路設計にはブランキング電位を提供する必要がある。
【0029】
図3はLED表示パネルの開路毛虫現象である。LED表示パネル11aの1つ又は複数のLEDアセンブリ111aが破損してランプビーズが開路されたときに、このランプビーズ(すなわち、LEDアセンブリ111a)がある行又は列の他のランプビーズに影響を与えて誤って暗く点灯させ、業界では、この現象が開路毛虫と呼ばれる。図3に示すように、ランプビーズが開路されたときに、該ランプビーズ(LEDアセンブリ111a)を点灯して該行駆動チップ131aの対応する出力チャネルの出力電圧Voutを0.5V以下に引き下げ、このとき、走査されていない行の電位はVDN-Vout>Vfであるため、該ランプビーズと隣接する列で同じ行にある他のLEDアセンブリ111aが点灯され、開路毛虫が形成される。従って、この問題の発生を回避するために、該行駆動チップ131aの少なくとも1つの出力チャネルが行ブランキング効果を実現するように、行駆動チップ131aの回路設計には別のブランキング電位を提供する必要がある。
【0030】
上記説明から分かるように、本分野では新たなブランキング電位調整方法が急務である。これにより、本願の実施例は、ブランキング電位調整方法、行駆動回路及びLED表示装置を提供し、該LED表示パネルに開路毛虫現象又は短絡毛虫現象が発生することを効果的に回避できる。
【0031】
図4は本願の一実施例に係るLED表示装置の構造模式図である。図4に示すように、該LED表示装置1は、LED表示パネル11と、列駆動回路12と、行駆動回路13と、表示コントローラ14(又はタイミングコントローラ)とを含む。行駆動回路13は通常複数の行駆動チップ131を含み、複数の前記行駆動チップ131の使用数は、該LED表示パネル11の解像度及び前記行駆動チップ131の出力チャネル数により決定される。一方、該LED表示パネル11は、X×Y個のLEDアセンブリ111と、X本の列駆動線112と、Y本の行駆動線113とを含む。なお、各前記列駆動線112には列寄生容量Crが存在し、各前記行駆動線113には行寄生容量Ccが存在する。
【0032】
図5は本願の一実施例に係るLED表示パネル11、列駆動回路12及び行駆動回路13の構造模式図である。該行駆動チップ131の内部にブランキング電位発生回路1310が設けられ、本願の実施例に係るブランキング電位調整方法を実行するように構成される。
【0033】
図6は本願の一実施例に係るブランキング電位発生回路の構造模式図である。図6に示すように、ブランキング電位発生回路1310は、第1電圧VDNSと第2電圧VDNOを発生させるように構成される電圧発生ユニット1311を含む。ブランキング電位発生回路1310はマルチプレクサ1312をさらに含み、マルチプレクサ1312は2つの信号入力端子、1つの制御端子及び1つの信号出力端子を含む。マルチプレクサ1312の2つの信号入力端子はそれぞれ第1電圧VDNSの出力端子及び第2電圧VDNOの出力端子に結合され、制御端子は制御信号Selを受信するように構成される。
【0034】
図7は本願の一実施例に係るブランキング電位調整方法のフローチャートである。図6に示すように、該方法のプロセスは、先ず、行駆動チップは、LED表示パネルの行駆動側から開路検出信号と短絡検出信号を受信するステップS1を実行する。続いて、方法のプロセスは、前記開路検出信号と前記短絡検出信号とに基づいて、行駆動チップは制御信号を生成して前記マルチプレクサに伝送することにより、前記マルチプレクサが前記第1電圧のみをブランキング電位として選択するか、前記第2電圧のみをブランキング電位として選択するか、前記第1電圧と前記第2電圧を前記ブランキング電位として順次選択するか、又は前記第2電圧と前記第1電圧を前記ブランキング電位として順次選択するように制御して、前記行駆動チップの少なくとも1つの出力チャネルに前記ブランキング電位を前記LED表示パネルの前記行駆動側に出力させるステップS2を実行する。
【0035】
走査電圧VDDと元のブランキング電位との差がLEDアセンブリの順方向導通電圧Vfよりも大きいと、前記短絡検出信号を生成する。出力チャネルの出力電圧VoutがLEDアセンブリの順方向導通電圧Vfよりも小さいと、前記開路検出信号を生成する。
【0036】
本願の上記実施例に係る技術的解決手段では、行駆動チップは、LED表示パネルの行駆動側から開路検出信号と短絡検出信号を受信し、前記開路検出信号と前記短絡検出信号とに基づいて、行駆動チップは制御信号を生成して前記マルチプレクサに伝送することにより、前記マルチプレクサが前記第1電圧のみをブランキング電位として選択するか、前記第2電圧のみをブランキング電位として選択するか、前記第1電圧と前記第2電圧を前記ブランキング電位として順次選択するか、又は前記第2電圧と前記第1電圧を前記ブランキング電位として順次選択するように制御して、前記行駆動チップの少なくとも1つの出力チャネルに前記ブランキング電位を前記LED表示パネルの前記行駆動側に出力させ、それにより該LED表示パネルに開路毛虫現象又は短絡毛虫現象が発生することを効果的に回避できる。
【0037】
図8は本願の一実施例に係るブランキング電位調整方法でLED表示パネルの短絡毛虫現象を除去する模式図である。LED表示パネル11の1つ又は複数のLEDアセンブリ111が破損してランプビーズが短絡されたときに、このランプビーズ(すなわちLEDアセンブリ111)がある行又は列の他のランプビーズに影響を与えて誤って暗く点灯させ、業界では、この現象が短絡毛虫と呼ばれる。図8に示すように、ランプビーズが短絡されたときに、同じ列のLEDアセンブリ111は、該行を走査したときに図8に示されるチャネルを形成し、このとき、点VDDと点VDN(元のブランキング電位、すなわち短絡を検出する前のブランキング電位値)との間の電圧差がLEDアセンブリ111の点灯電圧よりも大きいと、一列の長い点灯現象が形成される。従って、図7の対応する実施例のステップS2を実行したときに、開路検出信号と短絡検出信号はLED表示パネル11に短絡毛虫現象が存在することを示し、このとき、制御信号Selは、マルチプレクサ1312が第1電圧VDNSのみをブランキング電位VDNとして選択するように制御し、該行駆動チップ131の少なくとも1つの出力チャネルは、ブランキング電位を行駆動側の少なくとも1つの走査されていない行に伝送することにより、走査されていない行の電位をブランキング電位VDNに調整し、かつVDN>VDD-Vfとする。このように、該LED表示パネルの少なくとも1つのLEDアセンブリの短絡に起因する短絡毛虫現象は、走査されていない行の電位がブランキング電位VDNに調整され、かつVDN>VDD-Vfとするため抑制又は除去される。ここで、VDDは走査電圧、Vfは該LEDアセンブリの順方向導通電圧である。
【0038】
図9は本願の一実施例に係るブランキング電位調整方法でLED表示パネルの開路毛虫現象を除去する模式図である。LED表示パネル11の1つ又は複数のLEDアセンブリ111が破損してランプビーズが開路されたときに、このランプビーズ(すなわちLEDアセンブリ111)がある行又は列の他のランプビーズに影響を与えて誤って暗く点灯させ、業界では、この現象が開路毛虫と呼ばれる。開路毛虫現象が発生したときに、該行駆動チップ131の対応する出力チャネルの出力電圧Voutは0.5V以下(すなわちVfよりも小さい)に引き下げられる。従って、図7の対応する実施例のステップS2を実行したときに、開路検出信号と短絡検出信号はLED表示パネル11に開路毛虫現象が存在することを示し、このとき、制御信号Selは、マルチプレクサ1312が第2電圧VDNOをブランキング電位VDNとして選択するように制御し、該行駆動チップ131の少なくとも1つの出力チャネルは、ブランキング電位VDNを行駆動側の少なくとも1つの走査されていない行に伝送することにより、走査されていない行の電位をブランキング電位VDNに調整し、かつVDN<Vout+Vfとする。このように、該LED表示パネルの少なくとも1つのLEDアセンブリの開路に起因する開路毛虫現象は、走査されていない行の電位がブランキング電位VDNに調整され、かつVDN<Vout+Vfとするため抑制又は除去される。ここで、Voutは出力チャネルの出力電圧である。
【0039】
図10は本願の別の実施例に係るブランキング電位発生回路の構造模式図である。図10に示すように、ブランキング電位発生回路1310はレジスタ1313をさらに含んでもよく、レジスタ1313は電圧発生ユニット1311に設置され、第1電圧VDNSと第2電圧VDNOを記憶するように構成される。説明されるように、レジスタ1313には第1電圧VDNSと第2電圧VDNOの優先度が記憶され、これによりマルチプレクサ1312は予め設定された優先度に基づいて前記第1電圧と前記第2電圧を前記ブランキング電位として順次選択することができる。
【0040】
一実施例では、この設置により、行駆動チップ131は短絡毛虫現象を優先的に除去してもよい。LED表示パネル11に短絡毛虫現象が存在することが検出されたときに、マルチプレクサ1312は該レジスタ1313の中から第1電圧VDNSをブランキング電位VDNとして選択して、該行駆動チップ131の少なくとも1つの出力チャネルにブランキング電位を行駆動側の少なくとも1つの走査されていない行に伝送させることにより、走査されていない行の電位をブランキング電位VDNに調整し、かつVDN>VDD-Vfとする。
【0041】
一実施例では、レジスタ1313が使用される場合には、デフォルトで該行駆動チップは開路毛虫現象を優先的に除去してもよい。LED表示パネル11に開路毛虫現象が存在することが検出されたときに、マルチプレクサ1312は該レジスタ1313の中から第2電圧VDNOをブランキング電位VDNとして選択して、該行駆動チップ131の少なくとも1つの出力チャネルにブランキング電位を行駆動側の少なくとも1つの走査されていない行に伝送させることにより、走査されていない行の電位をブランキング電位VDNに調整し、かつVDN<Vout+Vfとする。ここでは、レジスタ1313はデータバッファとして機能し、マルチプレクサ1312はデータセレクタとして機能し、制御信号Selの制御下で、該データバッファの中から所要のデータを選択して出力する。
【0042】
一実施例では、レジスタ1313が使用される場合には、デフォルトで該行駆動チップ131は開路毛虫現象と短絡毛虫現象を順次除去してもよい。具体的には、第2電圧の優先度が第1電圧の優先度よりも高いと、制御信号Selを用いてマルチプレクサ1312を制御し、まず該レジスタ1313から第2電圧VDNOを選択して、行駆動チップ131の少なくとも1つの出力チャネルにブランキング電位を行駆動側の少なくとも1つの走査されていない行に伝送させることにより、走査されていない行の電位をブランキング電位VDNに調整し、かつVDN<Vout+Vfとして開路毛虫現象を除去することができる。その後、該制御信号Selを用いてマルチプレクサ1312を制御し、続いてレジスタ1313の中から第1電圧VDNSを選択して、該行駆動チップ131の少なくとも1つの出力チャネルにブランキング電位を行駆動側の少なくとも1つの走査されていない行に伝送させることにより、走査されていない行の電位をブランキング電位VDNに調整し、かつVDN>VDD-Vfとして短絡毛虫現象を除去する。
【0043】
一実施例では、レジスタ1313が使用される場合には、デフォルトで該行駆動チップ131は短絡毛虫現象と開路毛虫現象を順次除去してもよい。具体的には、第1電圧の優先度が第2電圧の優先度よりも高いと、該制御信号Selを用いてマルチプレクサ1312を制御し、まずレジスタ1313の中から第1電圧VDNSを選択して、該行駆動チップ131の少なくとも1つの出力チャネルにブランキング電位を行駆動側の少なくとも1つの走査されていない行に伝送させることにより、走査されていない行の電位をブランキング電位VDNに調整し、かつVDN>VDD-Vfとして短絡毛虫現象を除去することができる。その後、制御信号Selを用いてマルチプレクサ1312を制御し、続いて該レジスタ1313から第2電圧VDNOを選択して、行駆動チップ131の少なくとも1つの出力チャネルにブランキング電位を行駆動側の少なくとも1つの走査されていない行に伝送させることにより、走査されていない行の電位をブランキング電位VDNに調整し、かつVDN<Vout+Vfとして開路毛虫現象を除去する。
【0044】
本願の実施例は行駆動回路をさらに提供し、前記行駆動回路は少なくとも1つの行駆動チップを含み、前記行駆動チップはブランキング電位発生回路を含み、前記行駆動回路は本願の実施例に係るブランキング電位調整方法を実行するように構成される。
【0045】
以上は本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明を制限するためのものではなく、当業者であれば、本発明に対して様々な変更や変化を行うことができる。本発明の精神及び原則内で行われた任意の修正、等価置換、改良などは、いずれも本発明の保護範囲内に含まれるべきである。
【0046】
本願に係るブランキング電位調整方法、行駆動回路及びLED表示装置は、該LED表示パネルに開路毛虫現象又は短絡毛虫現象が発生することを効果的に回避できる。
【符号の説明】
【0047】
1-LED装置、11-LED表示パネル、111-LEDアセンブリ、112-列駆動線、113-行駆動線、12-列駆動回路、13-行駆動回路、131-行駆動チップ、1310-ブランキング電位発生回路、1311-電圧発生ユニット、1312-マルチプレクサ、1313-レジスタ、14-表示コントローラ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】