(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-31
(54)【発明の名称】低温温熱療法に用いられる薬物製剤及びその調製方法と用途
(51)【国際特許分類】
A61K 33/26 20060101AFI20230824BHJP
A61K 31/00 20060101ALI20230824BHJP
A61K 41/00 20200101ALI20230824BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230824BHJP
A61K 9/10 20060101ALI20230824BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20230824BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20230824BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20230824BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20230824BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20230824BHJP
【FI】
A61K33/26
A61K31/00
A61K41/00
A61P35/00
A61K9/10
A61K47/26
A61K47/10
A61K47/32
A61K47/12
A61K47/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022572693
(86)(22)【出願日】2022-07-05
(85)【翻訳文提出日】2022-11-25
(86)【国際出願番号】 CN2022103774
(87)【国際公開番号】W WO2023284582
(87)【国際公開日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】202110791901.7
(32)【優先日】2021-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519407161
【氏名又は名称】四川瀛瑞医薬科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】Sichuan Enray Pharmaceutical Technology Co.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Floor 1-5,Building 1,No.1480, North Section of Tianfu Avenue, Chengdu High-tech Zone, China(Sichuan) Pilot Free Trade Zone
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】唐 小海
(72)【発明者】
【氏名】唐 可欣
(72)【発明者】
【氏名】黄 源芳
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA22
4C076BB11
4C076CC27
4C076DD09F
4C076DD22Z
4C076DD23
4C076DD25Z
4C076DD26Z
4C076DD41Z
4C076DD43Z
4C076EE16F
4C076EE23F
4C076FF16
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4C076GG06
4C076GG41
4C084AA11
4C084MA23
4C084MA66
4C084NA14
4C084ZB261
4C084ZB262
4C086AA01
4C086AA02
4C086HA11
4C086HA28
4C086MA02
4C086MA06
4C086MA23
4C086MA66
4C086NA14
4C086ZB26
4C206AA01
4C206AA02
4C206BA01
4C206MA02
4C206MA06
4C206NA14
(57)【要約】
【要約】本発明は、低温温熱治療時、投与量の低減、副作用の発生低減に繋がる近赤外光と併用される腫瘍熱治療薬の調製におけるナノカーボン鉄複合製剤の用途への保護を申請する。また、本発明に基づく複合製剤を用いた温熱療法の実施温度は低く、周囲の正常組織を損傷しにくく、ナノカーボン温熱治療時の副作用を軽減する。さらに、ナノカーボン鉄複合製剤が近赤外照射と協同効果があることを証明した。低温温熱治療の手段及び技術効果を踏まえ、本発明は広範な臨床意義を持っている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
近赤外光と併用される腫瘍熱治療薬の調製におけるナノカーボン鉄複合製剤の用途。
【請求項2】
前記近赤外光との併用とは近赤外光で組織を加熱することを指すことを特徴とする請求項1に記載の用途。
【請求項3】
前記近赤外光の波長が780~2600nmであることを特徴とする請求項1に記載の用途。
【請求項4】
前記ナノカーボン鉄複合製剤は、ナノカーボン懸濁注射液及び注射用硫酸第一鉄を含み、かつ両者の質量比が20~100: 3~300で、好ましい一実施形態によれば両者の質量比が50:7.5~180であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の用途。
【請求項5】
前記ナノカーボン鉄複合製剤は、使用時にナノカーボン懸濁注射液と注射用硫酸第一鉄を均一に混合し、そのpH値は2~7で、好ましい一実施形態によればそのpHは3~5.5であることを特徴とする請求項4に記載の用途。
【請求項6】
前記ナノカーボン懸濁注射液はナノカーボン、懸濁助剤、生理食塩水、pH調整剤、塩化ナトリウム及び注射用水を含有し、さらに、ナノカーボン懸濁注射液1000mLあたり、ナノカーボン20~100g、懸濁助剤17~30g、pH調整剤2~4g、塩化ナトリウム8~10gを含有し、その他は注射用水であることを特徴とする請求項4に記載の用途。
【請求項7】
前記ナノカーボンは、ナノカーボン粒子、カーボンナノチューブ、カーボン量子ドット、グラフェン、フラーレン、ナノカーボン棒、ナノカーボン繊維のいずれか1種もしくは複数種であることを特徴とする請求項6に記載の用途。
【請求項8】
前記懸濁助剤は、ポロキサマー、PVP C30(ポリビニルピロリドンC30)、ポリソルベート80のいずれか1種もしくは複数種であることを特徴とする請求項6に記載の用途。
【請求項9】
前記pH調整剤がクエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、重炭酸ナトリウムのいずれかであることを特徴とする請求項6に記載の用途。
【請求項10】
前記注射用硫酸第一鉄は注射用硫酸第一鉄凍結乾燥粉末であり、好ましい一実施形態によれば、前記注射用硫酸第一鉄凍結乾燥粉末は、硫酸第一鉄七水和物、硫酸及び注射用水から成り、そのうち硫酸第一鉄七水和物:硫酸:注射用水の質量比は0.1~0.2g:0.4~0.85μg:2gであることを特徴とする請求項4に記載の用途。
【請求項11】
前記鉄塩は、硫酸第一鉄、硫酸鉄、塩化第一鉄、三塩化鉄、グルコン酸第一鉄、ショ糖鉄、クエン酸鉄アンモニウム、コハク酸第一鉄、ソルビット鉄、フマル酸第一鉄のいずれか1種もしくは複数種であることを特徴とする請求項10に記載の用途。
【請求項12】
ナノカーボン懸濁注射液の調製方法が、
上記の配合量90%v/vの注射用水に、配合量の塩化ナトリウムを加えて完全に溶解するまで撹拌し、塩溶液を得る工程1)と、
工程1)で得られた塩溶液に配合量のpH調整剤と懸濁助剤を加え、完全に溶解するまで撹拌して副原料液を得る工程2)と、
工程2)で得られた副原料液に配合量の前処理済ナノカーボンを加え、均一に撹拌した後、残りの注射用水を加えて定容し、定容液を得る工程3)と、
工程3)で得られた定容液を回転数15000~20000rpmで3~10minホモジネートし、15000~30000psiの圧力で1~5回均質化した後、充填・閉蓋後、115~130℃で10~30min蒸気滅菌する工程4)と、を含むことを特徴とする請求項6~9のいずれかに記載の用途。
【請求項13】
酢酸エチルによるナノカーボン脱脂後、ナノカーボン質量:HNO3水溶液体積が1g:3~5/mlである8~15%v/vのHNO3水溶液で洗浄し、水でナノカーボンを中性に近くなるまで洗浄し、0.08~0.15mol/LのNaOH水溶液で洗浄し、ここで、ナノカーボン質量:NaOH水溶液体積がlg:3~5/mlであり、その後、水でナノカーボンを中性に近くなるまで洗浄するという工程3)でいう前処理を特徴とする請求項12に記載の用途。
【請求項14】
前記注射用硫酸第一鉄凍結乾燥粉末の調製方法が、
S1)配合量90%の注射用水に、調製過程中に液面にて窒素ガス流速4.0~5.0 m3/hでN2を持続的に充填する工程と、
S2)その後硫酸を加えてpHを2.4 ~2.8に調節する工程と、
S3)配合量の硫酸第一鉄七水和物をよく撹拌して溶解させる工程と、
S4)残りの硫酸を加えてpHを2.8 ~3.0に調節し、残りの精製水で全量に定容し、均一に撹拌して硫酸第一鉄薬液を得る工程と、
S5)得られた薬液をミクロポアフィルターで濾過した後、充填・凍結乾燥後、真空条件下でプラグを嵌入し、閉蓋する工程を含むことを特徴とする請求項10~11のいずれかに記載の用途。
【請求項15】
前記注射用硫酸第一鉄凍結乾燥粉末の調製方法のS5において、凍結乾燥の工程が、
S51予備凍結:-10~-5℃まで急速に降温し、1~3h保温した後-50~-40℃まで急速に降温し、1~3h保温する工程と、
S52乾燥:S521:2~4h経過後、-50~-40℃から-20~-10℃に勾配昇温し、-20~-10℃、80~120mtorr 下で2~4h保温する工程と、
S522:1~3h経過後、-20~-10℃から-10~0℃に勾配昇温し、80~120mtorr、-10~0℃下で1~3h保温する工程と、
S523:3~6h経過後、0℃~20℃に勾配昇温し、80~120mtorr、20℃下で3~6h保温する工程を含むことを特徴とする請求項14に記載の用途。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医薬技術分野に属し、具体的に低温温熱療法に用いられる薬物製剤及びその調製方法と用途に関わるものである。
【背景技術】
【0002】
光熱治療法は最近初登場した新型腫瘍治療方法であり、低侵襲、高治療効果、更なる低い副作用の為、極めて広い応用見通しがある。温熱療試薬の開発過程において、カーボンナノチューブ、グラフェン、炭素量子ドット、フラーレンは現在研究の焦点である。これらの材料中の炭素原子はSP2混成で共有結合を形成し、周囲に広がり、ハニカム状六員環構造を形成し、環上にn電子が濃化し、非局在化の大きなn結合を形成するため、SP2混成はNIR光の吸収を含み、これらの炭素材料に多くの特殊な性質を与える。これらの炭素材料はNIRを吸収した後、速やかに光エネルギーを熱に変換し、腫瘍細胞を殺すことができるため、理想的な温熱療法の候補材料である。
【0003】
長期にわたった研究データの蓄積に伴い、温熱療法試薬の開発は大きな進歩を遂げ、そのうち表面修飾の標的性向上や、毒性研究においていずれも一定の進展を得ている一方、研究に多くの問題も存在し、臨床応用が制限されている。主に下記欠陥が存在する。(1)調製プロセスの制御難度は大きい。カーボンナノチューブ、グラフェン、フラーレンの粗生成物に不純物が多く、体内で毒副反応を起こす可能性があり、親水性が悪く、水中への分散に不利であるため、精製と表面修飾が必要である。精製工程は主に不純物除去、純度向上、不純物による毒副作用のリスク低下である。表面修飾は主に炭素の表面基修飾であり、水中への分散を有利にさせるとともに、温熱療法におけるNIRの変換効率を高める。しかし、試薬開発の過程で、これらの炭素材料は一定の粒径範囲の混合物であり、精製と表面修飾の過程でロット間の整合性制御が困難であり、製品ロット間の性質差異を招き、総合評価に影響を与え、後続試験の展開を阻害していることがわかった。(2)粒子形状やサイズの制御が困難である。上記材料のうち、カーボンナノチューブは管状構造で、調製過程で両端に不動態化処理が必要であるが、通常、処理不完全が現れがちで、針先のような先端が残留し、投与後、これらの鋭利な先端が血管壁を突き破って細胞核に入りやすく、潜在的な遺伝毒性がある。(3)標的性が悪く、精度が足りない。局所投与後、カーボンナノチューブ、グラフェン、炭素量子ドット、フラーレンは標的性が悪く、腫瘍の周囲に富化すると同時に、一部は正常組織の周囲に分散する。温熱治療中、正常組織の周囲に散在している炭素でも発熱し、正常組織の火傷を引き起こす。(4)高コスト。調製工程が複雑であるため、調製、精製、化学修飾などの工程に関連し、コストが高く、その大規模生産と臨床応用が制限されている。上記の応用背景の下で、温熱療法製剤の応用はずっと前段階の探索段階だけにとどまり、安全で効果的に患者に使用できる安全かつ安定的で制御可能な臨床応用段階に入る試薬は一つも現れていない。
【0004】
また、ナノカーボンの昇温原理は、ナノカーボンが近赤外線を効率よく吸収できることである(NIR)は、熱に変換されるが、生体組織はNIRの吸収が弱く(透過率が高く)、熱への変換が少ない。したがって、上記差異を利用し、温熱療法媒体としてナノカーボンを活用し、癌病巣に注射後、外から入射したNIRが表層の正常組織を透過して癌病巣に到着し、ナノカーボンを加熱することで腫瘍組織の温度を上昇させ、温熱療法作用が生じる。しかし、腫瘍細胞を壊死、凝固させる為、ナノカーボン温熱療法に必要な温度は高く(50℃以上)、近隣の正常組織細胞への損傷にも繋がりがちである。著者らが開発した薬物のナノカーボン鉄はナノカーボンを担体とし、2価鉄イオンを有効成分とするナノ懸濁製剤であり、ナノカーボン鉄(CNSI-Fe)を局所注射して癌組織に入れた後、ガン細胞膜に過剰に発現した鉄チャンネルを通ってガン細胞内に入るという作用機序を持つ抗がん革新薬である。大量の鉄イオンが過酸化水素(H2O2)を豊富に含有するガン細胞に入ると、H2O2とフェントン反応を起こし、大量のヒドロキシルラジカル(OH)が発生する。・OHは極めて強い酸化性能を持ち、細胞内で不飽和多脂肪酸(UPFAs)と作用して極めて破壊的な脂質過酸化水素(L-OOH)を大量に発生し、つまり脂質活性酸素(Lipid-ROS)を産生する。Lipid-ROSは細胞器を破壊して細胞破壊を招き、鉄死(Ferroptosis)を引き起こす。
【0005】
CNSI-Fe2++H2O2-ROS (・OH) -L-ROS-Ferroptosis フェントン反応の影響因子は、pH値、H2O2投与量、Fe2+投与量、反応時間と反応温度である。その他の条件を変えずに、反応温度を上げると、反応速度が速くなり、反応が強くなる。ナノカーボン鉄を局所的に癌組織に注射した後、近赤外線を照射して温度を上昇させると、鉄イオンのフェントン反応を増強することができる。しかし、現在、従来のナノカーボン製剤をそのまま使用した温熱療法の実施温度は通常50℃を超え、50℃より高い温度では、周囲の皮膚が火傷されがちである為、この分野では温熱療法製剤としてナノカーボンを十分に発揮させ、かつ皮膚を火傷させずに患者に使いやすい製剤が早急に求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の技術的欠点を克服するために、本発明はナノカーボン鉄懸濁注射液の新しい用途を提供し、具体的には下記の技術案を採用する。
【0007】
本発明に基づく第一の側面では、近赤外光と併用される腫瘍熱治療薬の調製におけるナノカーボン鉄複合製剤の用途を提供する。
【0008】
さらに、前記近赤外光との併用とは、近赤外光で組織を加熱し、さらに、前記近赤外光波長は780~2600nmであり、さらに、好ましい一実施形態によれば、前記近赤外光の波長は780~1400nmである。
【0009】
さらに、前記ナノカーボン鉄複合製剤は、ナノカーボン懸濁注射液及び注射用硫酸第一鉄を含み、かつ両者の質量比が20~100:3~300であり、好ましい一実施形態によれば、両者の質量比は50:7.5~180で、さらに、好ましい一実施形態によれば、両者の質量比は50:15~45である。
【0010】
さらに、前記ナノカーボン鉄複合製剤は、使用時にナノカーボン懸濁注射液と注射用硫酸第一鉄を上記質量比で均一に混合し、そのpH値は2~7であり、好ましい一実施形態によれば、そのpHは3~5.5である。完了する。
【0011】
さらに、前記ナノカーボン鉄懸濁注射液はナノカーボン、懸濁助剤、生理食塩水、pH調整剤、塩化ナトリウム及び注射用水を含有し、さらに、ナノカーボン懸濁注射液1000mLあたり、ナノカーボン20~100g、懸濁助剤17~30g、pH調整剤2~4g、塩化ナトリウム8~10gを含有し、その他は注射用水である。さらに、一実施形態によれば、ナノカーボン懸濁注射液1000mLあたり、ナノカーボン50g、懸濁助剤20g、pH調整剤3g、塩化ナトリウム9gを含有し、その他は注射用水である。
【0012】
さらに、前記ナノカーボンは、ナノカーボン粒子、カーボンナノチューブ、カーボン量子ドット、グラフェン、フラーレン、ナノカーボン棒、ナノカーボン繊維のいずれか1種もしくは複数種である。好ましい一実施形態によれば、前記ナノカーボンはナノカーボン粒子もしくはグラフェンである。さらに、一実施形態によれば、前記ナノカーボンはカーボンブラックである。
【0013】
さらに、前記鉄塩は、硫酸第一鉄、硫酸鉄、塩化第一鉄、三塩化鉄、グルコン酸第一鉄、ショ糖鉄、クエン酸鉄アンモニウム、コハク酸第一鉄、ソルビット鉄、フマル酸第一鉄のいずれか1種もしくは複数種である。好ましい一実施形態によれば、前記鉄塩は、硫酸第一鉄、硫酸鉄、塩化第一鉄もしくは三塩化鉄である。さらに、一実施形態によれば、前記鉄塩は硫酸第一鉄である。
【0014】
さらに、前記懸濁助剤は、ポロキサマー、ポリビニルピロリドンC30(PVP C30)、ポリソルベート80のいずれかもしくはいくつかである。好ましい一実施形態によれば、前記懸濁助剤はポロキサマーである。
【0015】
さらに、前記pH調整剤は、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、重炭酸ナトリウムのいずれかである。好ましい一実施形態によれば、前記pH調整剤はクエン酸ナトリウムであり、クエン酸ナトリウムは鉄塩中の第一鉄イオン及び/もしくは鉄イオンと錯体を形成する。
【0016】
さらに、上記ナノカーボン懸濁注射液の調製方法は下記の工程を含む。
1)上記配合量の90%v/vの注射用水に、配合量の塩化ナトリウムを加えて完全に溶解するまで撹拌し、塩溶液を得る。
2)工程1)で得られた塩溶液に配合量のpH調整剤と懸濁助剤を加え、完全に溶解するまで撹拌して副原料液を得る。
3)工程2)で得られた副原料液に配合量の前処理済ナノカーボンを加え、撹拌して均一に混ぜ、残りの注射用水を加えて定容し、定容液を得る。
4)その後、3)で得られた定容液を回転数15000~20000rpmで3~10minホモジネートし、15000~30000psiの圧力で1~5回均質化した後、充填・閉蓋後、115~130℃で10~30min蒸気滅菌すると完了する。
【0017】
さらに、工程3)では、前記前処理は、ナノカーボンを酢酸エチルで脱脂した後、8~15%v/vのHNO3水溶液で洗浄することを含み、ここで、ナノカーボンの質量: HNO3水溶液の体積はlg:3~5/mlである。その後、水でナノカーボンを中性に近くなるまで洗浄した後、0.08~0.15mol/LのNaOH水溶液で洗浄する。ここで、ナノカーボンの質量: NaOH水溶液の体積はlg:3~5/mlである、その後、水でナノカーボンを中性に近くなるまで洗浄する。さらに、上記ナノカーボン質量:HNO3水溶液の体積は1g:4/mlである。さらに、工程S1に記載のナノカーボン質量:NaOH水溶液の体積はlg:4/mlである。好ましい一実施形態によれば、前記HNO3は10%v/vのHNO3水溶液である。
【0018】
さらに、工程4)では、前記ホモジネート回転数は18000rpm、ホモジネート時間は5minである。
【0019】
さらに、工程4)では、前記均質圧力は20000psi、均質回数が3回である。
【0020】
さらに、工程4)では、前記滅菌温度は121℃、滅菌時間は15minである。
【0021】
さらに、前記注射用硫酸第一鉄は注射用硫酸第一鉄凍結乾燥粉末である。またさらに、前記注射用硫酸第一鉄凍結乾燥粉末は、硫酸第一鉄七水和物、硫酸及び注射用水からなる。そのうち硫酸第一鉄七水和物:硫酸:注射用水の質量比は0.1~0.2g:0.4~0.85μg:2gである。好ましい一実施形態によれば、前記硫酸は質量百分率含有量1%の硫酸である。
【0022】
さらに、前記注射用硫酸第一鉄凍結乾燥粉末の調製方法は下記工程を含む。
【0023】
S1)配合量90%の注射用水に、調製過程中に液面にて窒素ガス流速4.0~5.0 m3/hでN2を持続的に充填する。
【0024】
S2)その後硫酸を加えてpHを2.4 ~2.8に調節する。好ましい一実施形態によれば、pHを2.4に調整する。
【0025】
S3)配合量の硫酸第一鉄七水和物をよく撹拌して溶解させる。
【0026】
S4)残りの硫酸を加えてpHを2.8 ~3.0に調節し、残りの精製水で全量に定容し、均一に撹拌して硫酸第一鉄薬液を得る。好ましい一実施形態によれば、pHを2.8に調整する。
【0027】
S5)得られた薬液をミクロポアフィルターで濾過した後、充填・凍結乾燥後、真空条件下でプラグを嵌入し、閉蓋後、完了する。好ましい一実施形態によれば、前記ミクロポアフィルター孔径は0.45μmである。
【0028】
さらに、S5では、前記凍結乾燥工程の操作は具体的には下記の通りである。
【0029】
S51予備凍結:-10~-5℃まで急速に温度を下げ、1~3h保温し、さらに-50~-40℃まで急速に温度を下げ、1~3h保温する。好ましい一実施形態によれば、-5℃まで降温し、2h保温する。好ましい一実施形態によれば、-45℃まで急速に降温し、2h保温する。
【0030】
S52乾燥:S521:-50~-40℃から-20~-10℃に勾配昇温後、-20~-10℃、80~120mtorr 下で2~4h保温する。好ましい一実施形態によれば、-45℃から-15℃に勾配昇温後、-15℃、100mtorr下で3h保温する。
【0031】
S522:1~3h経過後、-20~-10℃~-10~0℃に勾配昇温し、80~120mtorr、-10~0℃下で1~3h保温する。好ましい一実施形態によれば、2h経過後、-15℃~-5℃に勾配昇温後、100 mtorr、-5℃下で2h保温する。
【0032】
S523:3~6h経過後、0℃~20℃に勾配昇温し、80~120mtorr、20℃下で3~6h保温する。好ましい一実施形態によれば、4h経過後、0℃~20℃に勾配昇温し、100mtorr、20℃下で4h保温する。
【発明の効果】
【0033】
本発明で開示するナノカーボン鉄複合製剤は、腫瘍低温温熱治療に使用ができる。本発明に基づく医薬組成物は、低温温熱治療時、投与量の有意な低減、副作用の発生低減に繋がる。また、本発明に基づく複合製剤を用いた温熱療法の実施温度は低く、周囲の正常組織を損傷しにくく、ナノカーボン温熱治療時の副作用を軽減する。さらに、ナノカーボン鉄複合製剤が近赤外照射と協同効果があることを証明した。低温温熱治療の手段及び技術効果を踏まえ、本発明は広範な臨床意義を持っている。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】群別のSMMC-7721肝癌ヌードマウス異種移植片腫瘍に作用する腫瘍体積成長曲線。
【
図2】群別のHCT-116結腸癌ヌードマウス異種移植片腫瘍に作用する腫瘍体積成長曲線。
【
図3】群別のMDA-MB-231乳癌ヌードマウス異種移植片腫瘍に作用する腫瘍体積成長曲線。
【
図4】SMMC-7721肝癌腫瘍組織のヒドロキシルラジカル波形図。
【
図5】群別のH22肝癌細胞リンパ節転移に対する抑制作用。
【発明を実施するための形態】
【0035】
(一)実施形態
実施形態1:ナノカーボン懸濁注射液の調製
ナノカーボン懸濁注射液であり、ナノカーボン懸濁注射液1000mLあたり、ナノカーボン50g、懸濁助剤20g、pH調整剤3g、塩化ナトリウム9g、残りは注射用水であり、その調製方法は、
1)上記配合量90%v/vの注射用水に、配合量の塩化ナトリウムを加えて完全に溶解するまで撹拌し、塩溶液を得る工程と、2)工程1)で得られた塩溶液に配合量のpH調整剤と懸濁助剤を加え、完全に溶解するまで撹拌して副原料液を得る工程と、3)酢酸エチルによる脱脂後、ナノカーボン質量:HNO3水溶液体積がlg:4/mlの10%v/vのHNO3水溶液で洗浄した後、水でナノカーボンを中性に近くなるまで洗浄し、0.10mol/LのNaOH水溶液で洗浄し、ここで、ナノカーボン質量:NaOH水溶液体積がlg:4/mlであり、その後、水でナノカーボンを中性に近くなるまで洗浄するという前処理済み配合量のナノカーボンを工程2)で得られた副原料液に添加し、均一に撹拌後、残りの注射用水定容液を添加して定容液を得る工程と、4)その後、3)で得られた定容液を回転数18000rpmで5 minホモジネートし、さらに圧力20000psiで3回均質化した後、充填、閉蓋後、121℃で15 min蒸気滅菌する工程を含む。
【0036】
実施形態2:注射用硫酸第一鉄の調製
硫酸第一鉄七水和物、硫酸及び注射用水から成る注射用硫酸第一鉄凍結乾燥粉末であり、そのうち硫酸第一鉄七水和物:質量百分率1%の硫酸:注射用水質量比が0.149g:0.4~0.85μg:2gで、好ましい一実施形態によれば、前記硫酸は質量百分率含有量1%の硫酸である。その調製方法は下記の通りである。
【0037】
S1:配合量90%の注射用水に、調製中に液面下にてN2を充填し続け、窒素ガス流速を4.0~5.0m3/hに制御する。S2:硫酸を加えてpHを2.4に調節する。S3:配合量の硫酸第一鉄七水和物をよく撹拌して溶解させる。S4:残りの硫酸を加えてpHを2.8に調節し、残りの精製水で全量に定容し、均一に撹拌して硫酸第一鉄薬液を得る。S5:得た薬液を0.45μmミクロポアフィルターで濾過した後、充填、凍結乾燥、真空条件下でプラグを嵌入した後、閉蓋すると完了。ここで、前記凍結乾燥工程は具体的には下記の通りである。
【0038】
S51予備凍結:-5℃まで急速に降温し、2h保温した後-45℃まで急速に降温し、2h保温する。S52乾燥:S521:3h経過後、-45℃から-15℃に勾配昇温し、15℃、100mtorr下で 3h保温し、S522:2h経過後、-15℃~-5℃に勾配昇温し、100mtorr、-5℃下で2h保温し、S523:4h経過後、0℃~20℃に勾配昇温し、100mtorr、20℃下で4h保温する。
【0039】
実施形態3~22 配合比の異なるナノカーボン懸濁注射液と注射用硫酸第一鉄及び異なる近赤外光による腫瘍温熱療法
【0040】
(二)試験例
1、試料:
1)細胞株
SMMC7721肝癌細胞、HCT116結腸癌細胞、MDA-MB-231乳腺癌細胞、マウス由来肝癌H22細胞
2)細胞培地
細胞用DMEM培地、RMPI1640培地、ウシ胎子血清(FBS)、細胞消化液パンクレアチン、ペニシリン・ストレプトマイシン混合液、リン酸緩衝液(PBS,pH 7.4)
3)試験動物
BalB/c-nuマウス、メス、5-7週齢、体重20±2g。試験中は自由に水を飲んだり食べたりする。毎日12h光照射する。マウス5匹/ケージ、独立送風手段を装備した仕切板付きケージで飼育する。
SPF級Balb/cマウス、メス、4-6週齢、体重20±2g。試験中は自由に水を飲んだり食べたりする。毎日12h光照射する。マウス5匹/ケージ、独立送風手段を装備した仕切板付きケージで飼育する。
4)試験薬品及び主要機器設備
実施形態4のナノカーボン鉄懸濁注射液、実施形態8のナノカーボン鉄懸濁注射液、ナノカーボン懸濁注射液(濃度は実施形態4、8と同じ)、0.9%塩化ナトリウム注射液、送風乾燥機、恒温水浴槽、生物光学顕微鏡、恒温培養器、純水計、高圧滅菌釜、クリーンベンチ、電子天秤、808nm近赤外温熱治療器、1064nmレーザ温熱治療器、赤外温熱治療器、電子スピン共鳴分光器(ESR)
【0041】
2.試験方法:
1)細胞試験
対数増殖期の細胞を採取し、計数し、細胞密度を30000個/mlに調節し、lmlを25x25mmガラス皿に入れ、5%CO2、37℃で24hインキュベートする。細胞を陰性群、近赤外照射群、ナノカーボン鉄群、ナノカーボン近赤外照射群(37℃、42℃、45℃、48℃、50℃)、ナノカーボン鉄近赤外照射群(37℃、42℃、45℃、48℃、50℃)に分け、各群3部とする。陰性群と近赤外線照射群は新しい培養液に交換し、ナノカーボン鉄群、ナノカーボン近赤外線照射群とナノカーボン鉄近赤外線照射群はナノカーボンもしくはナノカーボン鉄を含有する培養液に交換する。ナノカーボン近赤外照射群とナノカーボン鉄近赤外照射群は808nmの近赤外温熱治療器でそれぞれ所望の温度に照射し、同温度で10minに維持する。近赤外照射群の照射時間は照射時間が最も長い試験群と一致させる。照射終了後、48h培養を続ける。細胞をパンクレアチンで消化して計数し、細胞抑制率を算出する。
【0042】
2)腫瘍成長抑制試験
対数増殖期の細胞を採取し、細胞懸濁液濃度を細胞3X107個/mLになるように調整し、ヌードマウス右上肢皮下に細胞を0.1mL/匹(約細胞数3x106個を含む)接種し、接種済マウスの腫瘍体積が平均100mm3になる時、担癌マウスをランダムに群分けし、それぞれ陰性対照群、近赤外照射群、ナノカーボン鉄群、ナノカーボン近赤外線照射群、ナノカーボン鉄近赤外線照射群(実施形態4ナノカーボン鉄混合注射液を採用)となる。投与方法は瘤内投与で、投与体積は50μL/回、2日間隔で2回目の投与を行い、計2回投与する。腫瘍内に薬物を注射してから10min後、ナノカーボン近赤外照射群、ナノカーボン鉄近赤外照射群はそれぞれ808nmの近赤外線を腫瘍に照射し、出力密度0.5W/cm2、照射時間30minで、その温度を45℃程度に維持する。近赤外照射群は同じ時間照射する。毎週マウスの腫瘍体積を測定する。体積の計算式:体積=(長さx幅2)/2。観察時間21日である。
【0043】
近赤外線照射24時間後、腫瘍組織を採取し、0.9%塩化ナトリウム注射液を加え、10%ホモジネートを調製し、捕獲剤を加え、ESRでヒドロキシルラジカルを検出する。
【0044】
3)リンパ節転移抑制試験
H22肝癌担癌マウスの乳白色腹水を抽出し、生理食塩水に加え、遠心で再懸濁し、細胞数を3x107個/mLに調整し、Balb/cマウスの左後肢足パッド皮下に接種し、1匹につき50μL接種し、癌リンパ節転移マウスモデルを得る。腫瘍直径が6~8mmになると、潰瘍も壊死もない時期に、マウスを治療する。マウスをランダムに陰性対照群、ナノカーボン鉄群、近赤外照射群、ナノカーボン近赤外照射群及びナノカーボン鉄近赤外照射群という5群に分け、各群7匹とする(実施形態8のナノカーボン鉄懸濁注射液を使用)。投与方法は瘤内投与で、投与体積は50μL/回、2日間隔で2回目の投与を行い、計2回投与する。腫瘍内に薬物を注射してから10min後、ナノカーボン近赤外照射群、ナノカーボン鉄近赤外照射群はそれぞれ1064nmの近赤外線をマウス左後肢膝窩リンパ節に照射し、出力密度0.5W/cm2、照射時間30minで、その温度を45℃程度に維持する。近赤外照射群は同じ時間照射する。照射後2週間でマウスを殺処分し、膝窩リンパ節を採取して重量を量る。
【0045】
3.試験結果:
1)細胞試験
近赤外照射群はSMMC7721肝癌細胞、HCT116結腸癌細胞、MDA-MB-231乳癌細胞に対して有意な殺傷作用がなく、抑制率はいずれも10%未満であった。SMMC7721肝癌細胞、HCT 116結腸癌細胞、MDA-MB-231乳癌細胞に対する単なるナノカーボン鉄による作用の抑制率はそれぞれ40.15±2.98%、34.97±1.67%、32.85±3.07%であった。
【0046】
細胞3種類に対するナノカーボン近赤外照射群とナノカーボン鉄近赤外照射群の抑制率を表1-3に示す。温度37℃と40℃時に細胞にほとんど影響を与えず、温度の上昇につれ抑制率は次第に増加する。温度≧42℃の場合、ナノカーボン鉄近赤外線照射による抑制率は大幅に増加し、単なるナノカーボン鉄及び同じ温度でのナノカーボン近赤外線照射群よりも優れている。ナノカーボン近赤外線照射群は温度が50℃に達すると3種類の細胞に対する抑制率が90%以上に達し、ナノカーボン鉄近赤外線照射群は温度が45℃になると抑制率が90%以上に達する。
【0047】
表1 ナノカーボン近赤外照射群とナノカーボン鉄近赤外照射群のSMMC7721肝癌細胞に対する抑制率
【0048】
表2 ナノカーボン近赤外照射群とナノカーボン鉄近赤外照射群のHCT116結腸癌細胞に対する抑制率
【0049】
表3 ナノカーボン近赤外照射群とナノカーボン鉄近赤外照射群のMDA-MB-231乳腺癌細胞に対する抑制率
【0050】
2)腫瘍成長抑制試験
SMMC7721肝癌細胞、HCT116結腸癌細胞、MDA-MB-231乳癌細胞ヌードマウス異種皮下移植腫瘍に対するナノカーボン鉄、ナノカーボン近赤外照射、ナノカーボン鉄近赤外照射及び近赤外照射による成長抑制作用を考察する(
図1-3)。その結果、観察終了時、細胞3種類の皮下移植腫瘍に対する単なる近赤外照射による有意な抑制作用が認められなかった。細胞3種類に対するナノカーボン鉄による皮下移植腫瘍に対する抑制率はそれぞれ48.57%、52.03%、45.79%であり、細胞3種類に対するナノカーボン近赤外線照射による皮下移植腫瘍に対する抑制率はそれぞれ53.81%、48.06%、49.35%であり、細胞3種類に対するナノカーボン鉄近赤外線照射による皮下移植腫瘍に対する抑制率はそれぞれ90.78%、90.14%、93.3%であった。ナノカーボン鉄近赤外照射は、単なるナノカーボン鉄もしくはナノカーボン近赤外照射と比較し、いずれも有意な統計学的な差がある。金氏計算式によると、ナノカーボン鉄近赤外線照射のq値がすべて1を超えた場合、ナノカーボン鉄近赤外線照射に協同作用があり、ナノカーボン鉄とナノカーボン温熱療法の抗がん効果増強に繋がることが示唆される。
【0051】
同時に各群の動物腫瘍内のヒドロキシルラジカル含有量を比較した(
図4)。その結果、
図4aはいかなる方法による処理もしない試料を示し、
図4b、
図dはナノカーボン近赤外照射及び近赤外照射で有意なヒドロキシルラジカル発生に繋がらないのに対し、ナノカーボン鉄群(
図4c)及びナノカーボン鉄近赤外照射群(
図4e)の腫瘍内ヒドロキシルラジカル含有量が最も高く、ナノカーボン鉄群の約2倍であることを示している。したがって、ナノカーボン鉄近赤外線照射後、腫瘍内の温度を効果的に上昇させ、フェントン反応の効率を高め、より多くのヒドロキシルラジカル発生に繋がることを示唆している。
【0052】
3)リンパ節転移抑制試験
H22肝癌細胞リンパ節移転に対するナノカーボン鉄、ナノカーボン近赤外照射、ナノカーボン鉄近赤外照射及び近赤外照射による抑制作用を考察する(
図5)。その結果、陰性群と比較し(「*」:p<0.05、「**」:p<0.01)、近赤外照射群のリンパ節重量に有意な変化が認められなかった。ナノカーボン鉄群、ナノカーボン近赤外照射群及びナノカーボン鉄及び赤外照射群のリンパ節重量はいずれも有意に低下した(p<0.01)。ナノカーボン鉄近赤外線照射はリンパ節転移に対する抑制作用が最も強く、転移リンパ節の重量が最も軽く、単なるナノカーボン鉄もしくはナノカーボン近赤外照射と比較し、いずれも有意な統計学的な差がある(p<0.05)。金氏計算式によると、ナノカーボン鉄近赤外線照射のq値は1を超えた場合、ナノカーボン鉄近赤外線照射に協同作用があり、ナノカーボン鉄とナノカーボン温熱療法のリンパ節転移抑制の効果増強に繋がることが示唆される。
【0053】
最後に、前述の実施形態は、本発明の技術的解決手段を説明するためのものであってのみ、これに限定されるものではなく、本発明を前記実施形態を以て詳細に説明したが、同技術分野の一般的な技術者にとって理解しやすいように、前述の実施形態で説明した技術的解決策を変更したり、技術的特徴を同質的に置き換えることができるが、同変更または置き換えにより、技術的な解決手段を本発明の各実施形態の技術的解決策の精神と範囲を離脱させることができない。
【国際調査報告】