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特表2023-537180電圧を供給するための方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-31
(54)【発明の名称】電圧を供給するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   H03K 3/38 20060101AFI20230824BHJP
   G02F 1/01 20060101ALI20230824BHJP
   G02F 2/00 20060101ALI20230824BHJP
   H04B 10/80 20130101ALI20230824BHJP
   H10N 60/10 20230101ALI20230824BHJP
   H03K 17/92 20060101ALI20230824BHJP
   G02B 6/42 20060101ALN20230824BHJP
【FI】
H03K3/38 Z
G02F1/01 C
G02F2/00
H04B10/80
H10N60/10 K
H03K17/92
G02B6/42
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022574481
(86)(22)【出願日】2021-06-16
(85)【翻訳文提出日】2023-01-31
(86)【国際出願番号】 FI2021050455
(87)【国際公開番号】W WO2021255343
(87)【国際公開日】2021-12-23
(31)【優先権主張番号】20205636
(32)【優先日】2020-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512068592
【氏名又は名称】テクノロギアン トゥトキムスケスクス ヴェーテーテー オイ
【氏名又は名称原語表記】TEKNOLOGIAN TUTKIMUSKESKUS VTT OY
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(72)【発明者】
【氏名】ニッシラ ヤーニ
(72)【発明者】
【氏名】ケンッピネン アンッティ
【テーマコード(参考)】
2H137
2K102
4M113
5J050
5K102
【Fターム(参考)】
2H137AA05
2H137AA17
2H137AB12
2H137BA44
2H137BA48
2H137BA49
2H137BA53
2H137BB01
2H137BB12
2H137BC32
2H137BC33
2K102AA21
2K102AA40
2K102BA02
2K102BA40
2K102BB01
2K102BB04
2K102BC04
2K102BD03
2K102DA04
2K102DB04
2K102DC08
2K102DD03
2K102EA18
2K102EA23
2K102EB06
2K102EB16
2K102EB20
2K102EB22
2K102EB24
2K102EB29
2K102EB30
4M113AA00
4M113AC44
4M113AD18
5J050DD17
5K102PB11
(57)【要約】
電圧波形(VS1(t)、VF1(t))を生成するための方法は、-1つ以上の光パルスシーケンス(OPAT1、OPAT2)を含む光信号(CLB1)を提供することと、-光導波路(CWG1、CWG2)を介して光パルス(OPAT1)を複数の光電変換ユニット(OEU1、OEU2)に分配することと、-光パルス(OPAT1、OPAT2)を電気駆動電流パルス(EPAT1)に変換するために光電変換ユニット(OEU1、OEU2)を用いることと、-電気駆動電流パルス(EPAT1)によりジョセフソン接合(JJ1)を駆動することによって、電圧パルス(V(t)、V(t))を生成することと、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電圧波形(VS1(t)、VF1(t))を生成する方法であって、
-1つ以上の光パルスシーケンス(OPAT1、OPAT2)を含む光信号(CLB1)を提供することと、
-光導波路(CWG1、CWG2)を介して光パルス(OPAT1)を複数の光電変換ユニット(OEU1、OEU2)に分配することと、
-光パルス(OPAT1、OPAT2)を電気駆動電流パルス(EPAT1)に変換するために光電変換ユニット(OEU1、OEU2)を使用することと、
-駆動電流パルス(EPAT1)によりジョセフソン接合(JJ1)を駆動することによって電圧パルス(V(t)、V(t))を生成することと、
を含む、方法。
【請求項2】
複数のジョセフソン接合(JJ1)の電圧パルス(V(t)、V(t))を合成することによって合成電圧信号(VS1(t))を形成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
1つ以上の第1のジョセフソン接合(JJ1)によって生成された電圧パルス(V(t))から第1の出力信号(VF1)を形成することと、1つ以上の第2のジョセフソン接合(JJ1)によって生成された電圧パルス(V(t))から第2の異なる出力信号(VF2)を形成することと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ジョセフソン接合(JJ1)の複数のチェーン(CHAIN1)が、合成電圧信号(VS1(t))を形成するために直列接続されており、各チェーン(CHAIN1)は、直列接続された少なくとも4つのジョセフソン接合(JJ1)を含み、各寄与するチェーン(CHAIN1)のすべてのジョセフソン接合(JJ1)は、前記チェーン(CHAIN1)に接続された光電変換ユニット(OEU1)から得られる電気駆動電流パルス(EPAT1)によって駆動され、各寄与するチェーン(CHAIN1)の最大長さは100μmより短く、寄与するチェーンは、合成電圧信号(VS1(t))に対して寄与するチェーンである、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
各光電変換ユニット(OEU1、OEU2)からジョセフソン接合(JJ1)に電気駆動電流パルス(EPAT1)を転送するための最大距離(LLIN1)が3mmより小さくなるように、光電変換ユニット(OEU1、OEU2)の空間位置が選択されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
電気駆動電流パルス(EPAT1)は、光電変換ユニット(OEU1、OEU2)から電気伝送ライン(LIN1)を介してジョセフソン接合(JJ1)に伝送され、各電気伝送ライン(LIN1)の長さの公称長(L)からの偏差が3mmより小さくなるように、電気伝送ライン(LIN1)の長さ(LLIN1)は実質的に等しい、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
合成電圧信号(VS1(t))をローパスフィルタ(FIL1)でフィルタリングすることによって、フィルタリングされた電圧波形(VF1(t))を形成することを含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
各光電変換ユニット(OEU1、OEU2)は1つ以上の光電変換器(OEC1、OEC2)を含み、光導波路(CWG1、CWG2)および光電変換器(OEC1、OEC2)は同じ基板(SUB1)上に実装されている、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
各光電変換ユニット(OEU1、OEU2)は1つ以上の光電変換器(OEC1、OEC2)を含み、各光電変換器(OEC1、OEC2)は光導波路(CWG1、CWG2)上に実装されている、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
光導波路(CWG1、CWG2)はシリコン導波路である、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
各光電変換ユニット(OEU1、OEU2)は1つ以上の光電変換器(OEC1、OEC2)を含み、ジョセフソン接合(JJ1)および光電変換器(OEC1、OEC2)は第1の基板上に実装され、光導波路(CWG1、CWG2)は第2の異なる基板上に実装されている、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
各光電変換ユニット(OEU1、OEU2)は1つ以上の光電変換器(OEC1、OEC2)を含み、光電変換器(OEC1、OEC2)はプラズモニック光検出器である、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
各光電変換ユニット(OEU1、OEU2)は1つ以上の光電変換器(OEC1、OEC2)を含み、光電変換器(OEC1、OEC2)はユニトラベリングキャリアフォトダイオード(UTC-PD)である、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
各光電変換ユニット(OEU1、OEU2)は1つ以上の光電変換器(OEC1、OEC2)を含み、光電変換器(OEC1、OEC2)は、単一および/または複数の光子を検出するようにアレンジされた超伝導ナノワイヤ検出器である、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
ジョセフソン接合(JJ1)は2つ以上のグループに分割され、第1のグループは直列に接続された第1のジョセフソン接合(JJ1)を含み、第2のグループは直列に接続された第2のジョセフソン接合(JJ1)を含み、第1のグループのジョセフソン接合(JJ1)の数は、第2のグループのジョセフソン接合(JJ1)の数と異なり、前記方法は、第2のグループのジョセフソン接合(JJ1)の動作が有効な状況において、第1のグループのジョセフソン接合(JJ1)の動作を有効にすることおよび無効にすることを含む、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
光信号(CLB1)は、第1の波長(λ)の第1の光パルスシーケンス(OPAT1)と、第2の異なる波長(λ)の第2の光パルスシーケンス(OPAT2)とを含み、前記方法は、光信号(CLB1)から第1の光パルスシーケンス(OPAT1)をスペクトル的に分離することと、分離された第1の光パルスシーケンス(OPAT1)を1つ以上の第1の光電変換ユニット(OEU1)に導くこととを含み、前記方法は、第2の光パルスシーケンス(OPAT2)を1つ以上の第2の光電変換ユニット(OEU2)に導くことを含む、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
以下の方法、すなわち、
-複数の二次パルス(LB0)を形成するために一次パルス(LB00)を分配することと、
-光パルス発生器(OPG1)の異なる光ブランチ(A、A)に沿って伝播するように二次パルス(LB0)を導くことと、
-異なる光ブランチ(A、A)に沿って伝播する二次パルス(LB0)を変調することによって、変調光信号(LB1)を形成することと、
-異なる遅延時間(ΔtD1、ΔtD2)だけ、変調光信号(LB1)を遅延させることまたは二次パルス(LB0)を遅延させることと、
-異なる光ブランチ(A、A)からの遅延変調信号(LB1)を合成することによって、光信号(LB2)を形成することと、
を含む、方法によって光信号(CLB1)を形成することを含む、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
1つ以上の光分配器(CSPL1)およびシリコンフォトニック光伝送ライン(CWG1、CWG2)を用いることによって、光パルスシーケンス(OPAT1、OPAT2)を複数の光電変換器(OEU1、OEU2)に分配することを含む、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
光電変換ユニット(OEU1、OEU2)は、導波路(CWG1、CWG2)上に直接統合されている、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
光パルスシーケンス(OPAT1、OPAT2)は、極低温室(VES1)内の1つ以上のスペクトル選択的光分配器(CDIC1)によって複数の光伝送ライン(CWG1、CWG2)に分配される、請求項1~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
光信号(CLB1)は、異なる波長(λ、λ)の複数の光パルスシーケンス(OPAT1、OPAT2)を含み、異なる光パルスシーケンス(OPAT1、OPAT2)は、1つ以上のスペクトル選択的光分配器(CDIC1)によって、光信号(CLB1)から複数の異なる光伝送ライン(CWG1、CWG2)にデマルチプレクスされる、請求項1~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
光信号(CLB1)の光パルスのパルス繰り返しレートは、50GHZより高い、請求項1~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
以下の方法、すなわち、
-10GHz以下の繰り返しレートで一次パルス(LB00)を供給することと、
-複数の二次パルス(LB0)を形成するために各一次パルス(LB00)を分配することと、
-光パルス発生器(OPG1)の異なる光ブランチ(A、A)に沿って伝播するように二次パルス(LB0)を導くことと、
-異なる光ブランチ(A、A)に沿って伝播する二次パルス(LB0)を変調することによって、変調光信号(LB1)を形成することと、
-異なる遅延時間(ΔtD1、ΔtD2)だけ、変調光信号(LB1)を遅延させることまたは二次パルス(LB0)を遅延させることと、
-異なる光ブランチ(A、A)からの遅延変調信号(LB1)を合成することによって、光信号(LB2)を形成することと、
を含む、方法によって光信号(CLB1)を形成することを含む、請求項1~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
ジョセフソン接合(JJ1)の電圧パルス(V(t)、V(t))から電圧波形(VS1(t))を生成すること、および電圧波形(VF1(t))を電圧基準として使用すること、を含む、請求項1~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
電圧波形(VS1(t)、VF1(t))を生成するための装置(1000)であって、
-光パルスシーケンス(OPAT1)を含む光信号(CLB1)を供給する光パルス発生器(OPG1)と、
-光パルス(OPAT1)を電気駆動電流パルス(EPAT1)に変換する複数の光電変換ユニット(OEU1、OEU2)と、
-光パルス(OPAT1)を異なる光電変換ユニット(OEU1、OEU2)に分配するための1つ以上の光分配器(CSPL1)および複数の光導波路(CWG1、CWG2)と、
-電気駆動電流パルス(EPAT1)から電圧パルス(V(t)、V(t))を生成する複数のジョセフソン接合(JJ1)であって、ジョセフソン接合(JJ1)は直列に接続されて、ジョセフソン接合(JJ1)の電圧パルス(V(t)、V(t))から合成電圧信号(VS1(t))を形成する、複数のジョセフソン接合(JJ1)と、
を備える、装置(1000)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電圧波形を供給(provide)することに関する。
【背景技術】
【0002】
量子化された任意電圧波形は、従来のジョセフソン任意波形シンセサイザー(JAWS)を用いて生成することができうる。従来のジョセフソン任意波形シンセサイザーは、電気パターン発生器から得られる電気パルスパターンで駆動される。発生する電圧レベルは、電気パルスの既知の繰り返しレートに基づいて正確に決定しうる。電気パルスの繰り返しレートは、原子時計の周波数にトレース可能でありうる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
目的は、電圧波形を生成するための方法を提供することである。目的は、電圧波形を生成するための装置を提供することである。目的は、電圧源装置を提供することである。目的は、基準電圧を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様によれば、電圧波形(VS1(t)、VF1(t))を生成する方法であって、-1つ以上の光パルスシーケンス(OPAT1、OPAT2)を含む光信号(CLB1)を提供することと、-光導波路(CWG1、CWG2)を介して光パルス(OPAT1)を複数の光電変換ユニット(OEU1、OEU2)に分配することと、-光パルス(OPAT1、OPAT2)を電気駆動電流パルス(EPAT1)に変換するために光電変換ユニット(OEU1、OEU2)を使用することと、-駆動電流パルス(EPAT1)によりジョセフソン接合(JJ1)を駆動することによって電圧パルス(V(t)、V(t))を生成することと、を含む、方法が提供される。
【0005】
さらなる態様は、特許請求の範囲に定義される。
【0006】
本発明の様々な実施形態に求められる保護範囲は、独立請求項によって規定される。独立請求項の範囲に該当しない本明細書に記載された実施形態がある場合、それは本発明の様々な実施形態を理解するために有用な例として解釈されるものである。
【0007】
電圧源装置は、光パルスを供給する光パルス発生器と、光パルスを極低温室に導く光フィードスルーと、光導波路を介して光パルスを複数の光電変換器に分配する1つ以上の光分配器と、を備えうる。光電変換器は、光パルスを駆動電流パルスに変換しうる。駆動電流パルスは、短い電気伝送ライン(electrical transmission line)を経由して複数のジョセフソン接合に伝送されうる。ジョセフソン接合は、個々の電圧パルスの積分が量子化され、前記積分は時間的に決定されるように、駆動電流パルスを電圧パルスに変換しうる。複数のジョセフソン接合は、合成された電圧パルスの大きさを増加させるために、直列に接続されうる。
【0008】
本方法は、複数のジョセフソン接合の電圧パルスを合成することによって合成電圧信号(combined voltage signal)を形成することを含みうる。複数のジョセフソン接合の電圧パルスを組み合わせることで、例えば、電圧レベルの向上をもたらしてよく、および/または、合成電圧信号のパルスのパルス繰り返しレートの向上をもたらしてもよい。
【0009】
高精度でリップルのない電圧レベルを提供するために,合成された電圧パルスは任意にローパスフィルタリングを行いうる。一実施形態では、フィルタリングされた出力電圧は一定に保たれうる。生成された電圧パルスは、正確な基準電圧レベルを提供するために、ローパスフィルタリングされうる。
【0010】
電圧源装置は、選択可能なおよび/または任意の電圧波形を提供しうる。本装置は、光学的に駆動される超高速極低温任意波形源として動作しうる。
【0011】
本装置は、選択可能な電圧波形を提供するようにアレンジ(arrange)されうる。本装置は、ユーザが選択可能な電圧波形を提供するようにアレンジされうる。本装置は、任意の電圧波形を提供するようにアレンジされうる。
【0012】
光パルスを複数の光電変換器に分配することにより、伝送ラインの長さが減少または最小化されるように、光電変換器の位置を選択することを可能にしうる。光パルスの駆動パルスへの変換を空間的に分散して行うことにより、多数のジョセフソン接合を駆動することを可能にしえて、および/または、電気伝送ラインの帯域幅の制限を実質的に回避しうる。
【0013】
本装置は、超伝導素子、光学素子、光電子素子の組み合わせを含みうる。ジョセフソン接合への超高速パルスの光学的に統合された分散配信は、基本的に理想的な電気信号発生器を有効にしえて、ほぼ理想的な性能を提供しうる。出力電圧レベルは、高精度でありうる。
【0014】
出力電圧レベルは、国際単位系(SI)で定義される電圧規格の実現に基づいて正確に決定されうる。出力電圧レベルは、光パルスのパルス繰り返しレートから正確に決定されうる。一実施形態において、光パルスのパルス繰り返しレートは、原子時計の周波数にトレース可能でありうる。
【0015】
0Hzから数十ギガヘルツまでの広い帯域で、任意の波形を提供しうる。極低温での光信号伝送(delivery)は、ヴィーデマン・フランツ(Wiedemann-Franz)の法則で記述される基本的な問題である高周波電気ケーブルの熱伝導を避けることができるため、優れたエネルギー効率をもたらしうる。一実施形態では、シングルチップとシングル光ファイバーを用いた最も単純なセットアップで、すでに最大500の独立した電圧出力を実現しうる。これは、極低温室に電気信号を伝送(delivery)するために多数の電気同軸ケーブルを必要としうる、最先端の極低温信号伝送とは強い対照をなしている。
【0016】
一実施形態では、信号生成は、室温の装置で便利に制御することができ、すなわち、極低温で演算ロジックを使用する必要はない。
【0017】
一実施形態では、装置は、多数の信号出力が、例えば量子コンピュータを制御するために使用されうるようにアレンジされうる。
【0018】
量子力学的エネルギーレベルの間隔(spacing)がマイクロ波光子のエネルギーに相当するような典型的な量子エレクトロニクス応用では、10GHz以上の帯域幅が必要となりうる。
【0019】
例えば室温計測用途では、大きな最大出力電圧も使用されうる。
【0020】
一実施形態において、導波路と光電変換器とは、同じ基板上に実装されうる。電圧源装置は、光学的に統合された量子化された任意電圧波形源として動作しうる。
【0021】
生成電圧レベルは、巨視的な量子現象に基づいており、生成された光パルスの繰り返しレートから生成電圧を決定することを可能にしうる。光パルスの繰り返しレートは、例えば原子時計にトレース可能でありうる。生成された電圧レベルは、国際標準にトレース可能でありうる。一実施形態では、装置によって生成された電圧レベルは、電圧の標準として使用されうる。
【0022】
本装置は、1つ以上の光パルスパターンを複数の光電変換器に分配するための複数の光導波路を含みうる。本装置の光電変換器は、光パルスを電気駆動電流パルスに変換しうる。本装置は、ジョセフソン接合を電気駆動電流パルスで駆動したときに量子化電圧パルスを提供するために、複数のジョセフソン接合を含みうる。すなわち、ジョセフソン接合は、電気駆動電流パルスを量子化された電圧パルスに変換しうる。ジョセフソン接合から得られる量子化電圧パルスは、極低温での電気波形を提供するために、合成され、任意にフィルタリングされうる。1つまたは複数の光パルスパターンを選択することで、所望の任意の電気波形を提供しうる。
【0023】
光パルスシーケンスを1つまたは複数の光導波路を経由して導くことにより、合成電圧信号(combined voltage signal)の高いパルス繰り返しレートに到達することを可能にしえて、および/または、電気伝送ラインを介して電気信号を高周波で伝送することによって生じる損失および分散を低減しうる。
【0024】
一実施形態では、1つまたは複数の第1のジョセフソン接合から得られる第1の電圧パルスと、1つまたは複数の第2のジョセフソン接合から得られる第2の電圧パルスとを組み合わせて、正および負のパルスの両方を形成しうる。例えば、実質的に正弦波状の波形を提供するために正パルスおよび負パルスをフィルタリングしうる。例えば、第1の光電変換ユニットは、1つ以上の第1のジョセフソン接合を駆動するための、第1の極性を有する駆動電流パルスを提供するようにアレンジ(arrange)されうる。第1の光電変換ユニットは、1つまたは複数の第2のジョセフソン接合を駆動するための、第2の逆極性を有する駆動電流パルスを供給するようにアレンジされうる。
【0025】
特に、シリコンフォトニクス(SiPh)素子および光電変換器を用いることで、帯域制限のある電気伝送ラインの役割を最小限に抑えることによって、より高い周波数および/またはより大きな電圧に到達することを可能にしうる。
【0026】
本装置は、ジョセフソン接合の短いチェーン(short chain)を駆動するための光電変換器を含みうる。ジョセフソン接合の短いチェーンは、より高い電圧を供給するため、および/または、ダイナミックレンジを向上させるために、直列に接続されうる。小型の光電変換器は、電気伝送ラインの長さを最小にするために使用されうる。
【0027】
ジョセフソン接合では、大きな電気的損失が発生しうる。複数のジョセフソン接合は、ジョセフソン接合のチェーンを形成するために直列に接続されてよく、ジョセフソン接合のチェーンは、光電変換器から得られる電流パルスで駆動されてよい。ジョセフソン接合における損失を低減するために、前記チェーンの長さは短くしうる。変換器に接続されたジョセフソン接合のチェーンの全長は、損失を低減するために、例えば、100μmより短くてもよい。チェーンの長さを短くすることで、集中要素(lumped element)を用いてチェーンの電気的挙動をモデル化することも可能にしうる。
【0028】
変換器からジョセフソン接合までの伝送ラインでも電気的な損失が発生しうる。変換器からチェーンの最初(または最後)のジョセフソン接合までの伝送ラインの長さは、伝送ラインにおける損失を低減するために、例えば3mmより短くてもよい。特に、変換器からチェーンの最初(または最後)のジョセフソン接合までの伝送ラインの長さは、例えば100μmより短くてもよい。
【0029】
光導波路を経由して光信号を複数の変換器に分配することにより、複数の変換器から高周波で得られる同期した電流パルスで多数のジョセフソン接合を同時に駆動しうるように、変換器の位置を選択することを可能にしうる。ジョセフソン接合の数は、例えば、100以上、1000以上、または10000以上、あるいは100000以上でありうる。変換器の数は、例えば、10以上、100以上、1000以上、10000以上、または100000以上でありうる。一実施形態において、変換器および導波路は、同じ基板上に実装されうる。
【0030】
光導波路を経由して光信号を複数の変換器に分配することは、各電流ループの全周長が例えば100μm(出力信号に寄与する各変換器について)より短くなりうるように、変換器の位置およびジョセフソン接合の位置を選択することを可能にしうる。駆動電流パルスのための前記電流ループは、変換器と、変換器からジョセフソン接合のチェーンまでの第1の導電性伝送ラインと、チェーンと、チェーンから変換器までの第2の導電性伝送ラインと、を含みうる。電流ループの周方向の長さが短いと、損失を最小限に抑えることができ、高い繰り返しレートで駆動電流パルスを提供することができ、および/または、邪魔な反射を回避するのに役立ちうる。
【0031】
光電変換器は、例えば、プラズモニック光検出器(plasmonic photodetector)、ユニトラベリングキャリアフォトダイオード(UTC-photodiodes)、または超伝導ナノワイヤ単一光子検出器(SNSPD)でありうる。
【0032】
1つ以上の光パルスシーケンスを含む光信号は、光フィードスルーを介して極低温室に導かれうる。光パルスシーケンスは、例えば、1つ以上の光分配器およびシリコンフォトニック(SiPh)光伝送ラインを用いることによって、複数の光電変換器に分配されうる。光フィードスルーから受信された光パルスシーケンスは、例えば波長分割デマルチプレクス(WDM)によって、複数の光伝送ラインに分配されうる。光パルスシーケンスは、極低温室内の1つ以上のスペクトル選択的な(spectrally selective)光分配器によって、複数の光伝送ラインに分配されうる。
【0033】
光信号は、異なる波長の複数の光パルスシーケンスを含みえて、異なるパルスシーケンスは、1つまたは複数のスペクトル選択的な光分配器によって、光信号から複数の異なる光伝送ラインに分波(demultiplex)されうる。
【0034】
一実施形態では,光導波路と光電変換器とを同一基板上に実装しうる。光電変換器は、例えば、電気伝送ラインの長さを最小にするため、および/または、電気伝送損失および/または分散を最小にするために、ジョセフソン接合の近くに配置されうる。光電変換器は、導波路上に直接集されてよく、ジョセフソン接合に近い位置に配置されうる。これにより、高い集積密度と性能を実現しうる。
【0035】
SiPhコンポーネントおよび光電変換器の帯域幅は、例えば200GHzより高くてもよい。その結果、光電変換器は、少なくとも200GHzである繰り返しレートで電気パルスを供給するようにアレンジ(arrange)されうる。1つ以上の光電変換器は、少なくとも200GHzのパルス周波数でジョセフソン接合を駆動するようにアレンジされうる。1つまたは複数の光電変換器は、少なくとも200GHzのパルス周波数でジョセフソン接合のチェーンを駆動するようにアレンジされうる。
【0036】
1つまたは複数の光電変換器は、200GHz以上の周波数でジョセフソン接合のチェーンを駆動するようにアレンジされうる。
【0037】
一実施形態では、光電変換器の電気波形は、実質的にノイズのない出力電圧波形を提供するためにローパスフィルタでフィルタリングしうる。さらに、出力電圧波形の瞬時電圧レベルは、光電変換器に導かれる光パルスの繰り返しレートから正確に決定されうる。光パルスの繰り返しレートは、正確に知りうる。光パルスの繰り返しレートは、原子時計にトレース可能でありうる。
【0038】
このように、シグマ-デルタ変調と十分なローパスフィルタリングを用いることによって、数十ギガヘルツまでのノイズのない演算可能な電圧信号を実現しうる。
【0039】
生成された電気波形は、例えば、極低温にある量子コンピュータを制御するために使用しうる。生成された電気波形は、例えば、極低温にある量子コンピュータの量子ビットを制御するために使用しうる。
【0040】
生成された電気波形は、例えば、測定器の校正のための電圧基準として使用しうる。生成された電気波形は、例えば、測定器の動作を確認するための電圧標準として使用しうる。生成された電気波形は、室温での電圧計測用途に使用しうる。生成された電気波形は、極低温での電圧計測用途に使用しうる。
【0041】
本装置は、ジョセフソン接合に基づく一般的な電圧基準と比較して、より高い電圧レベルおよび/またはより高い周波数を提供するようにアレンジされうる。
【0042】
一実施形態において、ジョセフソン接合から得られた電圧波形は、極低温室の外に結合されてもよく、極低温室の外の用途に使用されてもよい。極低温で生成された電圧波形は、極低温室の外に結合して、通常の室温で使用してもよい。
【0043】
従来のジョセフソン任意波形シンセサイザー(JAWS)は、電気的に生成されたパルスパターンで駆動される。原子時計にトレース可能な周波数で、電流パルスの欠落(0)または存在(1)が生じる。
【0044】
ジョセフソン接合は、電気駆動パルスシーケンスで駆動されうる。このシーケンスは、複数の欠落(0)および存在(1)電流パルスから構成されうる。記号「0」は論理レベル0を示し、記号「1」は論理レベル1を示す場合がある。ジョセフソン接合を電気パルスで駆動する場合、各駆動パルス0はゼロ電圧をもたらし、各駆動パルス1は、ジョセフソン接合に量子化された時間積分を有する電圧パルスを発生させうる。量子化された電圧パルスは、それを通るパルス電流の方向によって、正または負の極性を有しうる。量子化された時間積分は、磁束量子に整数を乗じたものに等しくてよい。量子化された時間積分は、典型的には、単一の磁束量子に等しい。しかし、量子化された時間積分は、複数の磁束量子に等しくてもよい。
【0045】
一実施形態において、本装置の光パルスパターン発生器はまた、多レベル光パルスを提供するようにアレンジされてもよく、すなわち、パルスパターンの光パルスの振幅はまた、ゼロ振幅とは異なり、全振幅とは異なってもよい。光パルスの振幅を選択することにより、複数の磁束量子の電圧パルスを生成するためのシャピロステップインデックス(Shapiro step index)を選択することを可能にしうる。
【0046】
光パルスパターンを提供すること、光電変換器を用いて光パルスパターンを電気駆動パルスに変換すること、その駆動パルスでジョセフソン接合を駆動して量子化された電圧パルスを生成することによって、量子化された任意の電圧波形を生成しうる。量子化された任意の電圧波形をローパスフィルタでフィルタリングすることによって、フィルタリング出力波形を形成しうる。
【0047】
フィルタリングされた出力波形の最大変化レートおよび最大電圧は、駆動パルスの繰り返しレートによって制限されうる。
【0048】
光パルスは、光電変換器によって電気駆動パルスに変換されうる。光電変換器は、例えば、ユニトラベリングキャリアフォトダイオード(UTC-PD)でありうる。ユニトラベリングキャリアフォトダイオード(uni-traveling-carrier photodiode)は、活性キャリアとして電子のみを利用しうる。光電変換器はまた、例えば、プラズモニック光検出器または超伝導ナノワイヤ単一光子検出器(SNSPD)でありうる。光電変換器は、例えば、超伝導ナノワイヤ検出器(superconducting nanowire detector)であってよく、この検出器は、単一光子および/または複数光子を検出するようにアレンジされうる。超伝導ナノワイヤ検出器は、超伝導ナノワイヤ単一光子検出器(superconducting nanowire single-photon detector)、または構造的に修正された超伝導ナノワイヤ単一光子検出器でありうる。構造的に修正された超伝導ナノワイヤ単一光子検出器は、複数の光子を検出するための適切な検出効率を有しうる。
【0049】
超伝導ナノワイヤ検出器(SNPD)は、一般に知られている超伝導ナノワイヤ単一光子検出器(SNSPD)の変形であってよく、SNPDは単一光子の信頼できる検出器である必要はないという相違がある。例えば、単一光子を検出する確率は、例えば1%~100%の間でありうる。SNPDは、例えば、1、10、100、または1000個の光子の光パルスを検出するために使用することができる。単一光子の検出確率の基準を緩和することにより、デバイスの歩留まりを向上させてよく、デバイスの帯域幅を広げることを助けうる。UTCフォトダイオードおよびプラズモニック光検出器は、1THz以上の広帯域を可能にしうる。SNPDは、例えば1000個以下の光子の光パルスを検出する場合、良好なエネルギー効率を可能にしうる。光電変換器は、高周波信号を非金属光導波路により伝送しうるので、極低温への熱流を低減することを可能にしうる。
【0050】
比較例として、単一のUTCフォトダイオードがジョセフソン任意波形シンセサイザチップの全ジョセフソン接合を駆動するようにアレンジされうる。電気駆動パルスは、電気伝送ラインを介してジョセフソン接合の長いアレイに伝送されうる。この比較例では、電気伝送ラインにおける損失および/または分散は、周波数の増加および接合数の増加に伴って増加しうる。電気伝送ラインにおける損失および/または分散の増加は、パルス駆動周波数および伝送ラインによって駆動される接合数の両方を制限しうる。伝送ラインは、任意の電圧波形を生成する帯域幅を制限しうる。
【0051】
最大出力電圧は、駆動周波数と接合数に比例しうる。電力分割(例えばウィルキンソン電力分割器)を用いて接合アレイをいくつかの別々の伝送ラインに分割することができるとしても、伝送ライン損失によって、単一の電気駆動信号で多数の接合を駆動することは困難になりうる。したがって、伝送ラインの損失により、特に室温での用途に対して十分に高い電圧信号を達成することは困難になりうる。複数の磁束量子の電圧パルス(シャピロ(Shapiro)ステップインデックス2、3、...)を生成することによっても出力電圧は倍増しうるが、シャピロステップインデックスが高いほど、より正確な電流パルスが必要となり、したがって、伝送ラインの減衰を受け入れることができなくなる。駆動周波数、アレイ内のジョセフソン接合数、およびシャピロステップインデックスの間には、トレードオフがありうる。トレードオフとは、あるパラメータを増加させれば、他のパラメータを減少させることを意味する。トレードオフは、単一の電気駆動信号を多数のジョセフソン接合に分配する場合、一般に出力電圧を増加させることが困難であることを引き起こす。
【0052】
分散型光電変換と最適化された電気伝送ラインとを一緒に使用することにより、出力電圧の増加を可能にしてよく、および/または出力電圧波形の帯域幅を増加させうる。
【0053】
一実施形態では、シリコンフォトニクス(SiPh)により実装された導波路により、高周波でも低損失で超高速光パルス信号をチップ上で伝送および分周することを可能にしうる。光電変換器は、電気駆動電流パルスを生成するために、光伝送ラインに直接統合されうる。シリコンフォトニクスおよび光電変換器の実装面積を小さくすることにより、光電変換を分散配置し、コンポーネントの高密度化を図り、ジョセフソン接合の総数を多くして、伝送ラインの最大長さを短くしうることを可能にしうる。
【0054】
最終的には、ジョセフソン接合のアレイは、集中要素と見なせるほど短くしうる。第1のブランチのジョセフソン接合の第1のグループは、第2のブランチのジョセフソン接合の第2のグループと直列に接続されうる。異なるブランチのジョセフソン接合は、例えば誘導エレメントで直列に接続されうる。
【0055】
異なるブランチのジョセフソン接合を誘導エレメントで直列接続することにより、駆動パルスの高周波でのクロストークを実質的に防止しつつ、任意の出力電圧波形の帯域でブランチの出力電圧の和をとることを可能にしうる。
【0056】
一実施形態では、分散型光電変換を使用することにより、高い駆動周波数、単一チップ上の多数の接合、および高いシャピロステップインデックスを同時に可能にしうる。
【0057】
光電変換器は、例えば、プラズモニック光検出器でありうる。プラズモニック光検出器は、光導波路に容易に組み入れうる。特に、プラズモニック光検出器は、シリコンフォトニック(SiPh)伝送ラインと容易に一体化されうる。
【0058】
光電変換器はまた、例えば、ユニトラベリングキャリアフォトダイオード(UTC)でありうる。
【0059】
光電変換器は、超伝導ナノワイヤ光子検出器(SNPD)でありうる。一般に、光パルスに対するSNPDの応答は、速い立ち上がり時間(例えば、数十ps)と遅い立ち下がりエッジ(例えば、1ns)で構成される。このような2つのSNPDを逆極性の電気パルスを供給するように逆電流でバイアスすることによって、そして相対的な光パルスエネルギーおよびそれらに供給される光パルストレインの相対的な遅延を適切に調整することによって、実質的にテールが減少したパルスを効果的に生成することが可能でありうる。これにより、前記SNPDペアを用いることで、SNPDを単独で用いる場合と比較して、より大きなパルスレートでジョセフソン接合を駆動することを可能にしうる。
【0060】
光導波路、光電変換器、電気伝送ラインおよびジョセフソン接合は、同一基板上に実装されうる。これらのコンポーネントは、単一のチップ上に実装されうる。単一チップ化は、例えば、電気伝送ラインの長さを最小化することを可能にしうる。
【0061】
あるいは、光導波路、光電変換器、電気伝送ラインおよびジョセフソン接合は、2つ以上の異なる基板上に実装されうる。これらのコンポーネントは、2つ以上の異なるチップ上に実装されうる。例えば、光導波路および光電変換器は、第1の基板上に実装されてよく、ジョセフソン接合は、第2の基板上に実装されてもよい。第1のチップの光電変換器からの電気駆動信号は、第2のチップのジョセフソン接合を駆動するために接続されうる。光電変換器の電気伝送ラインとジョセフソン接合の電気伝送ラインとの間の電気的接続は、例えばフリップチップ接続法によって形成されうる。
【0062】
光ファイバーから届く高周波の光パルス信号は、シリコンチップに集積されたシリコンフォトニック伝送ラインに結合されうる。光パルスパターン信号を複数のブランチに分配するために、光パワー分割が使用されうる。各ブランチは、光電変換器を含みうる。各光電変換器は、到達した光パルスを、ジョセフソン接合を駆動するために使用される電気駆動電流パルスに変換しうる。
【0063】
ジョセフソン接合を電気パルスで駆動すると、量子化された時間積分を有する電圧パルスが出力されうる。デルタ-シグマ変換およびローパスフィルタリングを使用することにより、ジョセフソン接合の出力電圧パルスから任意の量子化された電圧波形を生成しうる。
【0064】
SiPh導波路および統合された光電変換器により、高集積密度、パルス周波数の増加、および/または高いシャピロステップインデックスを可能にしうる。パルス周波数の増加および高いシャピロステップインデックスは、出力電圧を増加させうる。出力電圧の増加は、例えば、室温での計量較正または検証動作の実施に有用でありうる。
【0065】
パルス周波数を上げることにより、ローパスフィルタのカットオフ周波数を上げることを可能にしうる。
【0066】
光パルスを複数の光電変換器に分配し、短い伝送ラインのみを介してジョセフソン接合を駆動することにより、究極の精度と極めて低いノイズで高周波の任意波形を極低温で生成することを可能にしうる。ジョセフソン接合の量子化効果により、ジョセフソン接合の出力パルスの電気的ノイズも低減しうる。
【0067】
高周波動作、高精度および低ノイズは、多くの用途で有用な特性でありうる。特に、出力波形を量子コンピュータの駆動に用いる場合、高周波動作、高精度および低ノイズの容量は、有用でありうる。
【0068】
本装置は、エネルギー効率が高くてよく、量子技術の応用に有用でありうる。
【0069】
本装置は、室温での用途にも有用でありうる電圧レベルの上昇を提供しうる。
【0070】
一実施形態において、波長の多重化(multiplexing)および逆多重化(demultiplexing)が、異なる光パルスシーケンスでジョセフソン接合アレイの異なるブランチを駆動するために使用されうる。異なる光パルスシーケンスで異なるブランチを駆動することは、光電変換器およびジョセフソン接合の帯域幅を超えてもデルタ-シグマ変換の有効周波数を増加させるために使用されうる。特に、同じブランチ内の連続したパルスが重ならない限り、駆動電流パルスとその結果得られる量子化された電圧パルスとは、時間的に重なることが可能である。
【0071】
一実施形態では、ジョセフソン接合のアレイは、複数のグループに分割されてよく、これらのグループは、異なる数のジョセフソン接合を有しうる。例えば、第1のグループは2k-1のジョセフソン接合を有してよく、第2のグループは2のジョセフソン接合を有してよく、整数のインデックスkによって識別されるグループは2k-1のジョセフソン接合を有しうる。本装置は、出力電圧の大きさを選択する自由度を高めるために、各グループの接合を異なるパルスシーケンスで駆動するようにアレンジされうる。
【0072】
一実施形態において、各光電変換器の動作は、例えば、前記光電変換器のバイアス電圧を制御することによって、独立して有効化(enable)および無効化(disable)されうる。
【0073】
量子技術の用途で使用する場合、例えば、出力電圧のダイナミックレンジを改善するために、精度を最大化するために、および/または出力電圧波形の最大帯域幅を提供するために、1つまたは複数の光電変換器は、選択的に有効化または無効化されうる。
【0074】
一実施形態では、接合の独立したグループを、互いに時間的にずらした類似の任意波形を提供するパルスシーケンスで駆動してよく、それは、接合のグループを出力用に直列接続した場合の出力波形の振幅分解能を向上させることを可能にしうる。
【0075】
室温で使用する場合、分散型光電変換により、増加したジョセフソン接合の総数を同期して駆動することを可能にしうる。光電変換器とジョセフソン接合との間の電気伝送ラインの長さは、最大パルス周波数とジョセフソン接合の数との積に対して最適化されうる。光電変換器とジョセフソン接合との間の電気伝送ラインは、実質的に等しい長さでありうる。一実施形態において、1つ以上の光電変換器は、動作パラメータの最適化を可能にするために選択的に有効化または無効化されうる。
【0076】
本装置は、例えば、極低温量子データプロセッサに1つ以上の電圧波形を提供するために使用しうる。本装置は、例えば、量子コンピュータのスケールアップに使用しうる。
【0077】
以下の実施例では、添付図面を参照して、いくつかの変形例をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0078】
図1図1は、一例として、電圧源装置を示す。
図2図2は、一例として、電圧源装置を示す。
図3図3は、一例として、電圧源装置を示す。
図4a図4aは、一例として、光パターン発生デバイス(optical pattern generator device)を示す。
図4b図4bは、一例として、光パターン発生デバイスを示す。
図5a図5aは、一例として、光パターン発生デバイスのアームに沿って伝播する光パルスを形成する様子を示す。
図5b図5bは、一例として、光パターン発生デバイスのアームに沿って伝播する光パルスのパワーを変調する様子を示す。
図5c図5cは、一例として、光パターン発生デバイスのアームからの変調パルスを合成することにより光パルスパターンを形成する様子を示す。
図6図6は、一例として、2つの異なる波長の光パルスを供給する光パターン発生デバイスを示す。
図7a図7aは、一例として、バイアスユニットおよびプラズモニック光検出器を含む光電変換ユニットを示す。
図7b図7bは、一例として、導波路上に実装されたプラズモニック光検出器を示す。
図8図8は、一例として、同一基板上に実装された複数の変換器ユニットを示す。
図9図9は、一例として、複数の独立制御出力を含む光パターン発生デバイスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0079】
図1を参照すると、電圧源装置1000は、複数のブランチB、B、B、Bを含みうる。各ブランチ(B)は、1つまたは複数の導波路(CWG1)、1つまたは複数の光電変換ユニット(OEU1)、1つまたは複数のジョセフソン接合(JJ1)を含みうる。
【0080】
ブランチの数は、例えば2以上でありうる。ブランチの数は、例えば4以上でありうる。ブランチの数は、例えば2~10の範囲内でありうる。
【0081】
装置1000は、1つ以上の光パルスシーケンスOPAT1を含む光信号CLB1を提供するための光パターン生成器OPG1を含みうる。光信号CLB1は、1つ以上の光パルスシーケンスOPAT1を含みうる。光信号CLB1の1つ以上の光パルスシーケンスOPAT1は、例えば、一次パターン(例えば、図5cのPAT0)にしたがって形成されうる。光パルスシーケンスOPAT1は、光パルスパターンOPAT1とも呼ばれうる。光信号CLB1は、1つ以上のパルスパターンOPAT1、OPAT2を含みうる。光信号CLB1の光パルスのパルス繰り返しレートは、例えば、50GHz以上でありうる。
【0082】
変換器としてプラズモニック光検出器またはUTCフォトダイオードを用いる場合、光パルスシーケンスの光パルスの繰り返しレートは、例えば、50GHz以上でありえて、光パルスの繰り返しレートは、例えば、50GHz~500GHzの範囲でありうる。
【0083】
光パルスシーケンスOPAT1は、導波路CWG1を介して光電変換ユニットOEU1に導かれうる。光電変換ユニットOEU1は、光パルスシーケンスOPAT1を電気駆動電流パルスシーケンスEPAT1に変換しうる。電気駆動電流パルスEPAT1は、伝送ラインLIN1を介して1つ以上のジョセフソン接合JJ1に伝送されうる。ジョセフソン接合JJ1は、電気駆動電流パルスで駆動されうる。ジョセフソン接合JJ1は、電気駆動電流パルスEPAT1で駆動されると、電圧パルスV(t)を生成しうる。
【0084】
装置1000は、光信号CLB1の光パルス(OPAT1)を複数の光電変換ユニットOEU1、OEU2に分配する1つ以上の光分配器CSPL1を含みうる。1つ以上の分配器CSPL1は、光パルス(OPAT1)を複数の導波路CWG1、CWG2に分配しうる。分配された光パルス(OPAT1)は、導波路CWG1、CWG2を介して複数の光電変換ユニットOEU1、OEU2に導かれうる。装置1000は、光パルス(OPAT1)を異なるブランチB、B、B、Bに分配する1つ以上の光分配器CSPL1を含みうる。1つ以上の光分配器CSPL1は、光信号CLB1が単一の光フィードスルーを通じて極低温室VES1に導かれうるように極低温室VES1内に配置されうる。光パルス(OPAT1)は、極低温室VES1の内部の異なるブランチB、B、B、Bに分配されうる。光フィードスルーOFEED1を介した熱の伝導および/または放射も低減するために、1つまたは複数の光分配器CSPL1が、極低温室VES1の内部に配置されうる。光分配器CSPL1は、極低温動作温度(T)で動作するようにアレンジ(arrange)されうる。
【0085】
装置100は、例えば、1000個以上のジョセフソン接合JJ1、10000個以上のジョセフソン接合JJ1、または100000個以上のジョセフソン接合JJ1を含みうる。光パルスを複数の光電変換ユニットOEU1、OEU2に分配することは、高いパルス繰り返し周波数で多数のジョセフソン接合JJ1を駆動することを容易にしうる。
【0086】
光電変換ユニット(OEC1、OEC2)の空間的位置は、例えば、各光電変換ユニット(OEC1、OEC2)からジョセフソン接合(JJ1)まで電気駆動電流パルス(EPAT1)を転送する最大距離(LLIN1)が3mmより小さくなるように選択されうる。短い電気伝送ライン(LIN1)は、パルス繰り返しレートを増加させえて、および/または、損失および/または分散を低減しうる。
【0087】
電気駆動電流パルス(EPAT1)は、光電変換ユニット(OEC1、OEC2)からジョセフソン接合(JJ1)へ、電気伝送ライン(LIN1)を介して伝送されてよく、電気伝送ライン(LIN1)の長さ(LLIN1)は実質的に等しくてよい。例えば、各電気伝送ライン(LIN1)の長さの公称長(L)からの偏差は、例えば3mmより小さくてよい。電気伝送ライン(LIN1)の長さが実質的に等しいことにより、異なる光電変換ユニット(OEC1、OEC2)に接続されたジョセフソン接合(JJ1)の動作の同期が容易になりうる。3mmの長さの違いは、光速で伝播する信号の1nsの時間遅れにほぼ対応しうる。
【0088】
変換器によって提供される駆動電流パルスは、電流ループを介して変換器からジョセフソン接合に伝播しえて、変換器に戻りうる。一実施形態において、光電変換ユニット(OEC1、OEC2)の空間的位置は、ジョセフソン接合を介して変換器に戻る変換器の電流ループの周方向長さが例えば100μmよりも短くなるように選択されうる。
【0089】
光信号CLB1は、光導波路WG0を介して光電変換器OEC1へ導かれうる。光信号は、複数の導波路CWG1、CWG2によって、複数の光電変換器OEC1、OEC2に分配されうる。一実施形態では、複数の光導波路CWG1、CWG2および複数の光電変換器OEC1、OEC2が同じ基板SUB1(図7b)上に実装されうる。
【0090】
装置1000は、異なる光電変換ユニットOEU1、OEU2に到達する光パルスの到達時間を同期させおよび/または修正するための1つまたは複数のディレイラインCD1、CD2、CD3、CD4を任意に含みうる。
【0091】
各ブランチの1つ以上のジョセフソン接合JJ1は、量子化された電圧パルスを生成しうる。いくつかのジョセフソン接合JJ1は、増加した電圧を提供するために直列に接続されうる。
【0092】
第1のブランチBの1つ以上のジョセフソン接合JJ1は、第1のブランチBの光電変換ユニットOEU1から得られる駆動電流パルスEPAT1で駆動されるとき、電圧パルスV(t)を生成しうる。
【0093】
第2のブランチBの1つ以上のジョセフソン接合JJ1は、第2のブランチBの光電変換ユニットOEU2から得られる駆動電流パルスEPAT1で駆動されるとき、電圧パルスV(t)を生成しうる。
【0094】
第3のブランチBの1つ以上のジョセフソン接合JJ1は、第3のブランチBの光電変換ユニットOEU3から得られる駆動電流パルスEPAT1で駆動されるとき、電圧パルスV(t)を生成しうる。
【0095】
第4のブランチBの1つ以上のジョセフソン接合JJ1は、第4のブランチBの光電変換ユニットOEU4から得られる駆動電流パルスEPAT1で駆動されるとき、電圧パルスV(t)を生成しうる。
【0096】
2つ以上のブランチの電圧パルス(V(t)、V(t))は、合成された電圧信号VS1(t)を形成するために合成されうる。本装置は、合成された信号(combined signal)を提供するために出力ノードNS1、NS2を含みうる。2つ以上のブランチの電圧パルス(V(t)、V(t))は、増加した電圧レベルを提供するために合成されうる。例えば、第1のブランチBのジョセフソン接合JJ1は、第2のブランチBのジョセフソン接合JJ1と直列に接続されうる。第1のブランチBの接合JJ1は、例えば1つ以上の誘導コンポーネントLを使用して、第2のブランチBの接合JJ1と直列に接続されうる。合成信号VS1(t)は、任意にローパスフィルタFIL1でフィルタリングし、フィルタリングされた出力信号VF1(t)を供給しうる。本装置は、フィルタリングされた信号を提供するための出力ノードNF1、NF2を含みうる。ローパスフィルタFIL1は、例えば、1つ以上の誘導エレメントLF1および1つ以上の容量エレメントCF1によって実装されうる。
【0097】
ジョセフソン接合JJ1の各電圧パルスV(t)の時間積分(time integral)は、よく知られた量子力学的ジョセフソン効果にしたがって量子化されうる。ジョセフソン接合JJ1の各電圧パルスV(t)の時間積分は、磁束量子h/(2e)(hはプランク定数、eは素電荷)の整数倍にちょうど等しくてよい。ジョセフソン接合を既知の繰り返し周波数fの電流パルスで駆動すると、接合にかかる平均電圧は、h/(2e)に繰り返し周波数を整数倍した値に等しくなる。
【0098】
その結果、ジョセフソン接合JJ1の電圧パルスの平均値(V(t))は、駆動電流パルスEPAT1の繰り返しレートから正確に求めることができる。なお、駆動電流パルスEPAT1の繰り返しレートは、光パルスOPAT1の繰り返しレートと等しくてよい。
【0099】
光パルスOPAT1の繰り返しレートは、使用クロックCLK1によって制御または測定されうる。光パルスOPAT1の繰り返しレートは、正確に知られていてよく、光パルスOPAT1の繰り返しレートは、周波数の国際標準にトレース可能であってよい。
【0100】
フィルタリングされた出力信号VF1(t)の電圧レベルは、電圧パルスの量子化された時間積分(V(t)、V(t)、V(t)、V(t))から正確に決定されうる。フィルタリングされた出力信号VF1(t)の電圧レベルは、本装置1000の異なるブランチに導かれる光パルスの繰り返しレートから正確に決定されうる。フィルタリングされた出力信号VF1(t)の電圧レベルは、原子時計の周波数にトレース可能であってよい。原子時計は、例えば、セシウム原子時計であってよい。
【0101】
一実施形態において、フィルタリングされた出力信号VF1(t)は、高精度の電圧標準として使用されうる。本方法は、光信号CLB1の光パルスの繰り返しレート(複数可)から、フィルタリングされた出力信号VF1(t)の電圧レベルを決定することを含みうる。
【0102】
光電変換ユニット(OEU1)およびジョセフソン接合(JJ1)は、極低温(T)で動作するようにアレンジ(arrange)されうる。光電変換ユニット(OEU1)およびジョセフソン接合(JJ1)の動作温度は、例えば20Kより低く、5Kより低く、または1Kよりさらに低くてもよい。
【0103】
光電変換ユニット(OEU1)およびジョセフソン接合(JJ1)は、極低温室VES1の内部で動作するようにアレンジされうる。本装置1000は、極低温室VES1を含みうる。本装置1000は、光電変換ユニット(OEU1)およびジョセフソン接合(JJ1)に極低温動作温度(T)を提供する冷却システムSYS1を含みうる。Tは、周囲温度を示すことがある。
【0104】
極低温温度Tは、例えば5Kより低くてもよい。例えば、液体ヘリウムの上限温度は4.2Kであり、液体ヘリウムを利用する冷却システムSYS1を使用することにより5Kより低い極低温温度Tを達成することも可能である。より要求の厳しい用途では、冷却システムSYS1は、極低温温度Tを例えば1Kより低く保つようにアレンジ(arrange)されうる。周囲温度Tと内部の極低温温度Tとの差は、例えば100Kより大きくてもよい。周囲温度Tは例えば通常の室温25℃(298K)とほぼ等しくてもよい。
【0105】
システム1000は、光信号CLB1を極低温室VES1に導くための1つ以上の光フィードスルーOFEED1を含みうる。
【0106】
例えば、光信号CLB1は、単一の光フィードスルーOFEED1を介して、および単一の光導波路WG0を介して、極低温室VES1内に導かれうる。
【0107】
光フィードスルーOFEED1を使用することにより、極低温容器VES1の極低温温度を維持することが容易になりうる。光信号を極低温室VES1に導くために光フィードスルーOFEED1を使用することは、同じレートのパルスを有する電気信号が電気フィードスルーを介して極低温容器に導かれる状況と比較すると、フィードスルーOFEED1を介して極低温容器VES1に伝えられる熱出力を大幅に低減しうる。
【0108】
図2を参照すると、複数のジョセフソン接合JJ1は、第1のグループの第1のジョセフソン接合JJ1の数が第2のグループの第2のジョセフソン接合JJ1の数と異なるように、2以上のグループに分割されうる。第1のグループの第1のジョセフソン接合JJ1は、第2のグループの第2のジョセフソン接合JJ1と直列に接続されうる。異なるグループのジョセフソン接合JJ1の動作は、1つまたは複数の制御信号によって独立して有効化および無効化されうる。異なるグループの独立した制御は、生成電圧のダイナミックレンジを向上させうる。異なるグループの独立した制御により、所望の電圧レベルを生成するため、および/または所望の電圧波形を生成するために、アクティブブランチの最適なサブセット(B、B、B、B)を選択することが可能でありうる。
【0109】
例えば、第1のブランチB1の第1の光電変換ユニットOEU1の動作を有効化および無効化するために、第1の光電変換ユニットOEU1に対して制御信号SC1を通信しうる。例えば、第1の制御信号SC1が、第1の光電変換ユニットOEC1のバイアスユニット(BIAS1)の動作を有効化および無効化するようにアレンジされうる。それぞれ、第1の光電変換ユニットOEU1の動作を有効にすることは、第1のブランチBのジョセフソン接合JJ1の動作を有効にしてもよく、第1の光電変換ユニットOEU1の動作を無効にすることは、第1のブランチBのジョセフソン接合JJ1の動作を無効にしてもよい。
【0110】
同様に、他のブランチB、B、Bのジョセフソン接合JJ1の動作は、制御信号SC2、SC3、SC4によって有効にしたり無効にしたりすることができる。
【0111】
1つ以上の制御信号SC1、SC2は、光パルスを電気駆動電流パルスに変換することが可能なアクティブな光電変換器を選択することを可能にしうる。1つ以上の制御信号は、それぞれ、無効化された光電変換器を選択することを可能にしうる。第1の制御信号は、第1のグループの光電変換器の動作を有効化および無効化するようにアレンジ(arrange)されてよく、第2の制御信号は、第2のグループの光電変換器の動作を有効化および無効化するようにアレンジ(arrange)されてもよい。
【0112】
第1の制御信号SC1は、第1のブランチB1の1つ以上の光電変換器OEC1の動作を制御することによって、装置1000の第1のブランチB1のジョセフソン接合JJ1の動作を有効化および無効化することを可能にしうる。第2の制御信号SC2は、第2のブランチB2の1つ以上の光電変換器OEC2の動作を制御することによって、装置1000の第2のブランチB2のジョセフソン接合JJ1の動作を有効化および無効化することを可能にしうる。装置1000の第1のブランチB1のジョセフソン接合JJ1は、例えば、信号ダイナミックレンジを改善するために、装置1000の第2のブランチB2のジョセフソン接合JJ1と直列に接続されうる。
【0113】
一実施形態において、複数のジョセフソン接合JJ1は、第1のグループの第1のジョセフソン接合JJ1の数が第2のグループの第2のジョセフソン接合JJ1の数と異なるように、2以上のグループに分割されうる。
【0114】
例えば、1つのグループは、1つのジョセフソン接合JJ1のみを含みうる。例えば、第1のグループは、2つのジョセフソン接合JJ1を含みうる。例えば、第2のグループは、4つのジョセフソン接合JJ1を含みうる。
【0115】
一実施形態において、ジョセフソン接合のアレイは、複数のグループに分割されてもよく、これらのグループは異なる数のジョセフソン接合を有してもよい。例えば、第1のグループは2のジョセフソン接合を有してもよく、第2のグループは2のジョセフソン接合を有してもよく、整数のインデックスkで示されるグループは2のジョセフソン接合を有してもよい。
【0116】
一実施形態では、出力電圧の大きさを選択する自由度を高めるためなどに、ジョセフソン接合の各グループの動作を独立して有効化および無効化してもよい。
【0117】
ジョセフソン接合JJ1は、2以上のグループに分割されてもよく、第1のグループは、直列接続された第1のジョセフソン接合JJ1を含み、第2のグループは、直列接続された第2のジョセフソン接合JJ1を含み、第1のジョセフソン接合JJ1は、第2のジョセフソン接合JJ1に直列接続されており、第1のグループのジョセフソン接合JJ1の数は、第2のグループのジョセフソン接合JJ1の数と異なり、本方法は、第2のグループのジョセフソン接合JJ1の動作が有効化されている状況において、第1のグループのジョセフソン接合JJ1の動作を有効化および無効化することを含む。
【0118】
一実施形態において、装置1000は、例えば出力電圧の大きさを選択する自由度を高めるために、異なるパルスシーケンスで各グループの接合を駆動するようにアレンジ(arrange)されうる。
【0119】
図3を参照すると、光信号CLB1は、異なる波長λ、λの2つ以上の光パルスシーケンスOPAT1、OPAT2を含みうる。光パルスOPAT1、OPAT2は、単一の導波路WG0を介して、1つ以上のスペクトル選択的分配器CDIC1に導かれうる。1つ以上のスペクトル選択的分配器CDIC1は、スペクトル選択的に光パルスを異なる光電変換ユニットOEU1、OEU2に分配しうる。
【0120】
光信号CLB1は、第1の波長λにおける第1の光パルスシーケンスOPAT1、および第2の異なる波長λにおける第2の光パルスシーケンスOPAT2を含みうる。本方法は、光信号CLB1から第1の光パルスシーケンスOPAT1をスペクトル的に分離することと、分離された第1の光パルスシーケンスOPAT1を1つ以上の第1の光電変換ユニットOEU1に導くことと、を含んでよく、本方法は、第2の光パルスシーケンスOPAT2を1つ以上の第2の光電変換ユニットOEU2に導くことを含んでもよい。
【0121】
異なる波長λ、λの光パルスを異なるブランチB、Bにスペクトル的に分離することにより、異なるブランチB、Bを独立に制御することを可能にしうる。
【0122】
異なる波長λ、λの光パルスを異なるブランチB、Bにスペクトル的に分離することにより、ダイナミックレンジを改善しうる。
【0123】
異なる波長λ、λの光パルスを異なるブランチB、Bにスペクトル的に分離することにより、所望の電圧波形を生成するためのブランチB、Bの最適なサブセットを選択することを可能にしうる。
【0124】
一実施形態において、異なる光電変換ユニットOEU1、OEU2における光パルスの到達時間は、合成電圧信号VS1(t)のパルス繰り返しレートを高めるように、インターレースされうる。
【0125】
光パルスのインターレースされた到達時間により、合成電圧信号VS1(t)をローパスフィルタFIL1でフィルタリングする用途では、ローパスフィルタFIL1のカットオフ周波数を上げることを可能にしうる。
【0126】
図4aおよび図4bを参照すると、光パターン発生デバイスOPG1は、例えば、方法によって光パルスパターンOPAT1を生成してもよく、その方法は、以下を含む:
-一次パルス(LB00)を複数の二次パルス(LB0)に分配すること、
-二次パルス(LB0)を異なる光ブランチ(A、A、A、A)に沿って伝播させるように導くこと、
-異なる光ブランチ(A、A、A、A)に沿って伝播する二次パルス(LB0)を変調することにより、変調光信号(LB1)を形成すること、
-異なる遅延時間(ΔtD1、ΔtD2、ΔtD3、ΔtD4)だけ、変調光信号(LB1)を遅延させることまたは二次パルス(LB0)を遅延させること、および
-異なる光ブランチ(A、A、A、A)からの遅延した変調信号(LB1)を合成することにより、光信号(LB2)を形成すること。
【0127】
一次パルス(LB00)は、例えば、レーザー光源から得られるレーザーパルスでありうる。光パターン発生デバイスOPG1は、レーザーパルスを供給するための例えばレーザー光源を含みうる。
【0128】
光パターン発生デバイスOPG1は、複数の二次パルス(LB0)を形成するように一次パルス(LB00)を分配する1つ以上の分配器SPL1を含みうる。1つ以上の分配器SPL1は、一次パルス(LB00)の光を発生デバイスOPG1のブランチ(A、A、A、A)に分配することにより、二次パルス(LB0)を形成しうる。
【0129】
光パターン発生デバイスOPG1は、二次パルス(LB0)から変調光信号(LB1)を形成するための変調器MOD1、MOD2、MOD3、MOD4のアレイMAR1を含みうる。変調器は、例えば、マッハツェンダー変調器でありうる。
【0130】
光パターン発生デバイスOPG1は、発生デバイスOPG1の異なるブランチ(A、A、A、A)に対して異なる遅延時間(ΔtD1、ΔtD2、ΔtD3、ΔtD4)を提供するためのディレイラインD1、D2、D3、D4のアレイDAR1を含みうる。ディレイラインは、例えば、異なる長さの導波路によって実装されうる。
【0131】
光パターン発生デバイスOPG1は、異なる光ブランチ(A、A、A、A)からの遅延した変調信号(LB1)を合成する1つ以上のコンバイナCMB1を含みうる。
【0132】
各ブランチ(A、A、A、A)は、独立に制御可能な変調器(MOD1、MOD2、MOD3、MOD4)とディレイラインD1、D2、D3、D4とを含みうる。
【0133】
コンバイナCMB1の出力OUT1は、所望の任意の光パルスパターンPAT1を構成する光信号LB2を提供しうる。コンバイナ出力OUT1における光パルスパターンPAT1の最大パルス繰り返しレートは、M・fに等しくてもよく、ここで、fは一次パルス(LB00)の繰り返しレートを示し、Mは前記コンバイナCMB1に信号を供給するブランチ(A、A、A、A)の数を示す。ブランチの数Mは、例えば4~1024の範囲内でありうる。
【0134】
一実施形態において、光出力信号LB2は、入力信号CLB1として、極低温室VES1の光フィードスルーOFEED1に結合されうる。
【0135】
光パターン発生デバイスOPG1は、光パルスの光パワーを増幅するための1つ以上の光増幅器(AMP3)を任意に含みうる。一実施形態において、光増幅器(AMP3)の出力(OUT3)から得られる光信号は、入力信号CLB1として、極低温室VES1の光フィードスルーOFEED1に結合されうる。
【0136】
分配器SPL1と変調器(MOD1、MOD2、MOD3、MOD4)との間にディレイライン(D1、D2、D3、D4)を配置してもよい。
【0137】
一実施形態では、一次パルス(LB00)のタイミングは、例えば同期信号SSYNCを用いてクロックCLK1と同期させうる。
【0138】
一実施形態では、一次パルス(LB00)のタイミングは、原子時計(CLK1)の時間にさえトレース可能でありうる。
【0139】
各変調器の状態は、パス状態またはブロッキング状態に設定されうる。ブロッキング状態では、変調器は、光パルスの伝播を阻止しうる。パス状態では、変調器は、光パルスの伝播を可能にしうる。その結果、変調器は、パス状態では、既存の光パルスを提供しうる。変調器は、ブロッキング状態では、光パルスの欠落を提供しうる。
【0140】
光パターン発生デバイスOPG1は、変調器の状態を制御するための制御ユニットPG0を含みうる。光パターン発生デバイスOPG1は、一次パターンPAT0を格納するためのメモリMEM1を含みうる。制御ユニットPG0は、一次パターンPAT0にしたがって、かつタイミング信号SSYNCにしたがって、変調器の状態を変更するための制御信号b、b、b、bを提供する1つまたは複数のデータプロセッサPROC1を含みうる。光パターン発生デバイスOPG1は、必要に応じて、制御信号b、b、b、bを増幅する駆動ユニットDRV1を任意に含みうる。例えば、駆動ユニットDRV1は、必要に応じて、制御信号b、b、b、bに基づいて、変調器に対して高電圧駆動信号S1、S2、S3、S4を供給しうる。
【0141】
各変調器は、一次光パルスLB00の繰り返しレートより小さいか等しい周波数で変調されうる。
【0142】
各変調器(MOD1、MOD2、MOD3、MOD4)の最大変調周波数は、一次パルス(LB00)の繰り返しレートfと等しくてもよい。一次パルス(LB00)の繰り返しレートfは、例えば、10GHzより小さくてよく、1GHzよりさらに小さくてもよい。任意の波形を生成する場合でも、個々の変調器の状態をfよりも高速に変化させる必要はない。その結果、光パルスパターンPAT1の最大パルス繰り返しレートは、個々の変調器の最大変調レートより高くてもよい。
【0143】
図5aを参照すると、光パターン発生デバイスOPG1の光源LS1は、繰り返しレートf(=1/T00)で一次光パルスシーケンスLB00を提供しうる。分配器(SPL1)は、単一の一次光パルスLB00から複数の二次パルスLB0を形成してよく、分配器(SPL1)は、二次パルスLB0を光パターン発生デバイスOPG1の異なるブランチ(A、A、A、A)に沿って伝播するように誘導してもよい。個々のブランチの二次パルスの繰り返しレートは、一次光パルスLB00の繰り返しレート(f)と等しくてもよい。
【0144】
00は、連続する一次パルスLB00、LB00k+1の間の期間を示す場合がある。一次パルスLB00のパルス繰り返し周波数fは、1/T00に等しくてもよい。w00は、一次パルスLB00の時間幅を示す場合がある。Tは、連続する二次パルスLB0、LB0k+1の間の期間を示す場合がある。二次パルスLB0のパルス繰返し周波数fは、1/Tに等しくてもよい。二次パルスLB0のパルス繰り返し周波数は、一次パルスLB00のパルス繰り返し周波数fと等しくてもよい。wは、二次パルスLB0の時間幅を示す場合がある。記号Pは、パルスの光パワーを示す場合がある。d00は、伝播遅延を示す場合がある。一次パルスLB00は、二次パルスLB0を形成するように、光パターン発生デバイスOPG1のブランチに分配されうる。
【0145】
図5bおよび図5cを参照すると、各ブランチ(A)の変調器(MOD)は、パルスを通過させることによって、またはパルスをブロックすることによって、変調器(MOD)に到達した二次パルスLB0から、変調された光信号を形成しうる。各変調器の状態は、一次パターンPAT0にしたがって制御されうる。一次パターンPAT0は、例えば、メモリMEM1から読み出されうる。一次パターンPAT0は、例えば、光パターン発生デバイスOPG1の制御ユニットPG0のコンピュータ読み取り可能なメモリMEM1から読み出されうる。一次パターンPAT0は、例えば、値bk,1、bk,2、bk,3、bk,4、bk+1,1、bk+1,2、bk+1,3、bk+1,4のシーケンスによって定義されうる。制御信号S1、S2、S3、S4は、一次パターンPAT0の値bk,1、bk,2、bk,3、bk,4、bk+1,1、bk+1,2、bk+1,3、bk+1,4にしたがって形成されてよく、各変調器の状態は、制御信号S1、S2、S3、S4にしたがってパス状態またはブロッキング状態に設定しうる。dは、一次パターンPAT0の値を読み出してから変調器に光パルスが到達するまでの進み時間を示す場合がある。
【0146】
一実施形態において、一次パターンPAT0は、例えば、データ通信経路から得られてもよい。一実施形態において、一次パターンPAT0は、データ通信経路から得られたデータにしたがって決定されてもよい。
【0147】
図5cを参照すると、二次パルスLB0または光パターン発生デバイスOPG1の各ブランチに沿って伝播する変調信号は、異なる遅延時間ΔtD1、ΔtD2、ΔtD3、ΔtD4だけ遅延されうる。異なるブランチから得られる遅延した光信号は、光パルスパターンPAT1を形成するために合成されうる。パルスパターンPAT1のパルスの最大繰り返しレートは、M・fに等しくてもよく、ここで、Mは出力で合成されるブランチの数を示し、fは一次パルスLB00の繰り返しレートを示す。dは、伝播遅延を示す場合がある。wは、光パルスパターンの光パルス幅を示す場合がある。gは、光パルスパターンの連続パルス間の期間を示す場合がある。
【0148】
図6を参照すると、光パターン発生デバイスOPG1は、第1の光パルスパターンPAT1を第1の波長λで、および第2の光パルスパターンPAT2を第2の波長λで提供するようにアレンジ(arrange)されうる。第2の光パルスパターンPAT2は、第1の光パルスパターンPAT1と同期および/またはインターレースされうる。
【0149】
発生デバイスOPG1は、一次光パルスLB00を第1の波長λで提供するための第1の光源LS1、および一次光パルスLB00を第2の波長λで提供するための第2の光源LS2を含みうる。第2の光源LS1の動作は、同期信号SSYNCを用いて、第1の光源LS1の動作と同期化されうる。
【0150】
第1の分配器SPL1は、第1の光源LS1の一次パルスLB00から二次光パルスLB0を形成してよく、二次光パルスLB0を第1のグループのブランチに沿って伝播するように誘導してもよい。第1のグループの各ブランチに沿って伝播する二次パルスは、第1の光パルスパターンPAT1を形成するために変調、遅延、および合成されうる。
【0151】
第2の分配器SPL2は、第2の光源LS2の一次パルスLB00から二次光パルスLB0を形成してよく、二次光パルスLB0を第2のグループのブランチに沿って伝播するように誘導してもよい。第2のグループの各ブランチに沿って伝播する二次パルスは、第2の光パルスパターンPAT2を形成するために変調、遅延、および合成されうる。光パルスパターンPAT1、PAT2は、光パルスパターンPAT1、PAT2を含む波長多重光信号CLB1を形成するために合成しうる。光パターン発生デバイスOPG1は、波長多重光信号CLB1を増幅するために1つ以上の光増幅器を任意に含みうる。
【0152】
第2の分配器SPL2は、第2の光源LS2の一次パルスLB00から二次光パルスLB0を形成しうる。第2のグループの各ブランチに沿って伝播する二次パルスは、変調器の第2のアレイMAR2によって変調されうる。ディレイラインの第2のアレイDAR2は、異なるブランチに対して異なる遅延時間を提供しうる。第2のコンバイナCMB2の出力OUT2は、異なるブランチからの光パルスを合成することによって、光信号を提供しうる。発生デバイスOPG1は、第1のパルスパターンPAT1に関して第2のパルスパターンPAT2を遅延させるためのディレイラインDC2を任意に含みうる。ディレイラインDC2は、遅延したパルスパターンを提供するための出力OUT2Dを有しうる。
【0153】
光パルスを光パターン発生装置OPG1の複数のブランチに分配し、光パターン発生デバイスOPG1の異なるブランチからの変調遅延信号を組み合わせることにより、高い繰り返しレートで高精度な安定光パルスを提供しうる。さらに、光パルスの繰り返しレートを高精度にしうる。
【0154】
一実施形態において、光パターン発生デバイスOPG1は、例えば、電気的任意波形発生器から電気信号を得ることによって、および、例えばレーザーの出力を変調することにより電気信号を光パルスシーケンスに変換することによっても実装されうる。例えば、レーザーダイオードの出力は、電気的任意波形発生器によって生成された電気信号にしたがって変調されうる。この場合、光パルスの特性は、電気的任意波形発生器からの電気信号の特性によって制限されうる。
【0155】
図7aを参照すると、各光電変換ユニットOEU1は、1つまたは複数の光電変換器OEC1を含みうる。光電変換器OEC1は、例えば、プラズモニック光検出器でありうる。
【0156】
光電変換ユニットOEU1は、光電変換器OEC1にバイアス電圧を供給するバイアスユニットBIAS1を含みうる。バイアスユニットBIAS1は、プラズモニック光検出器のためのバイアス電圧を供給しうる。バイアスユニットBIAS1は、光電変換器OEC1の接続ノードND1、ND2と直列に接続されうる。
【0157】
光パルスは、変換ユニットOEU1が駆動電流パルスi(t)を生成しうるように、ノードND1、ND2間の導電性を一時的に増加させうる。光電変換ユニットOEU1は、光パルスシーケンスOPAT1を駆動電流パルスシーケンスEPAT1に変換しうる。
【0158】
各光電変換器OEC1、OEC2は、光導波路CWG1、CWG2上に任意に実装されてよく、光導波路(CWG1、CWG2)は、例えば、シリコン導波路でありうる。
【0159】
図7bは、例として、光導波路CWG1上に実装されたプラズモニック光検出器OEC1を示す。プラズモニック光検出器OEC1は、プラズモンギャップSPC1を規定する金属構造体AU1、AU2を含みうる。プラズモンギャップSPC1は、少なくとも部分的に半導体材料GE1、例えばゲルマニウムで満たされうる。光信号CLB1の光は、半導体材料GE1と効果的に相互作用するように、エバネッセント結合によって導波路CWG1からプラズモンギャップSPC1に結合されうる。金属構造体AU1、AU2は、例えば、金を含んでもよいし、金から成ってもよい。金属構造体AU1、AU2は、プラズモニック光検出器OEC1の出力ノードND1、ND2として動作するようにアレンジ(arrange)されうる。導波路CWG1は、基板SUB1上に実装されうる。導波路CWG1は、基板SUB1上に実装された例えばシリコン導波路でありうる。
【0160】
プラズモニック光検出器(OEC1)は、電磁波を金属の表面における荷電キャリア振動に結合することによって光を閉じ込めるための1つまたは複数の金属構造体を含みうる。振動の波長は、真空中の対応する波長よりも小さくてよい。その結果、光と物質とがサブ波長領域で相互作用することにより、小型で高速の光検出器を提供することを可能にしうる。
【0161】
プラズモニック光検出器または超伝導ナノワイヤ単一光子検出器(SNSPD)は、例えば、バイアス電源の極性を変えることによって、出力電流パルスの極性を変えることを可能にしうる。
【0162】
図8を参照すると、複数の導波路CWG1、CWG2、...CWG30と複数の変換器ユニットOEU1、OEU2、...OEU30が、同じ基板SUB1上に実装されうる。本装置1000は、複数の光電変換器と、1つ以上の光パルスパターンを光電変換器に分配するための複数の導波路とを含む集積モジュールCHIP1を含みうる。光信号CLB1の1つ以上の光パルスパターンOPAT1は、1つ以上の光分配器CSPL1を介して、および複数の導波路CWG1を介して、変換器ユニットOEU1、OEU2に分配されうる。1つ以上の光パルスパターンOPAT1の光分布は、電気伝送ラインLIN1の長さが減少または最小化されうるように、変換器ユニットOEU1、OEU2の空間位置POS1を選択することを可能にしうる。その結果、複数の導波路を経由して光パルスパターンOPAT1を分配することにより、駆動電流パルスの高い繰り返しレートを可能にしてよく、および/または損失を低減しうる。
【0163】
各変換器ユニットの位置は、例えば、座標(x,y)で指定される場合がある。SX、SY、SZは、直交する方向を示す場合がある。例えば、変換器ユニットOEU1の位置POS1は、座標(x,y)によって指定されうる。例えば、変換器ユニットOEU30の位置POS30は、座標(x30,y30)によって指定されうる。
【0164】
複数のジョセフソン接合は、直列に接続されてチェーンCHAIN1を形成しうる。光電変換器は、ジョセフソン接合JJ1のチェーンCHAIN1に対して駆動電流パルスを供給するようにアレンジ(arrange)されうる。チェーンCHAIN1のジョセフソン接合JJ1の数は、例えば、4~128の範囲内でありうる。本装置の1つまたは複数の変換器は、4つ未満のジョセフソン接合JJ1を駆動するようにもアレンジされうる。
【0165】
ジョセフソン接合(JJ1)の複数のチェーン(CHAIN1)は、直列に接続されて、合成電圧信号(VS1(t))を形成しうる。各チェーン(CHAIN1)は、直列に接続された少なくとも4つのジョセフソン接合(JJ1)を含みうる。各寄与するチェーン(CHAIN1)の全てのジョセフソン接合(JJ1)は、当該チェーン(CHAIN1)に接続された光電変換ユニット(OEC1)から得られる電気駆動電流パルス(EPAT1)により駆動されうる。各寄与するチェーン(CHAIN1)の最大長さは、例えば、100μmより短くてもよい。チェーンの長さは、当該チェーンの最初のジョセフソン接合(JJ1)から最後のジョセフソン接合(JJ1)までの電気経路の長さを意味しうる。寄与するチェーンは、合成電圧信号(VS1(t))に寄与するチェーンでありうる。
【0166】
図9を参照すると、発生デバイスOPG1は、複数の光電変換ユニットOEU1、OEU2、OEU3、OEU4、ジョセフソン接合JJ1、および複数のフィルタFIL1を含んでよく、これらは、複数の独立して制御可能な出力信号VF1、VF2、VF3、VF4を提供するようにアレンジ(arrange)されうる。第1の出力電圧信号VF1は、第1の光パルスOPAT1を電気駆動電流パルスEPAT1に変換することによって形成されうる。第2の出力電圧信号VF2は、第2の光パルスOPAT1を電気駆動電流パルスEPAT2に変換することによって形成されうる。電気駆動電流パルス(EPAT1)でジョセフソン接合(JJ1)を駆動することによって、第1の電圧パルスV(t)が生成されうる。電気駆動電流パルス(EPAT2)でジョセフソン接合(JJ1)を駆動することによって、第2の電圧パルスV(t)が生成されうる。第1の電圧パルスV(t)を第1のフィルタ(FIL1)でフィルタリングすることによって、第1のフィルタリング信号VF1が形成されうる。第2の電圧パルスV(t)を第2のフィルタ(FIL1)でフィルタリングすることによって、第2のフィルタリング信号VF2が形成されうる。発生デバイスOPG1は、複数の異なる出力信号を提供するための複数の出力OUT1、OUT2、OUT3、OUT4を含みうる。発生デバイスOPG1は、第1の出力OUT1から第1の出力信号VF1を提供するようにアレンジ(arrange)されうる。発生デバイスOPG1は、第2の出力OUT2から第2の出力信号VF2を提供するようにアレンジされうる。
【0167】
本方法は、1つまたは複数の第1のジョセフソン接合(JJ1)によって生成された電圧パルス(V(t))から第1の出力信号(VF1)を形成することと、1つまたは複数の第2のジョセフソン接合(JJ1)によって生成された電圧パルス(V(t))から第2の異なる出力信号(VF2)を形成することとを含みうる。
【0168】
一実施形態において、ジョセフソン接合(JJ1)および光電変換器(OEC1、OEC2)は、第1の基板上に実装されており、光導波路(CWG1、CWG2)は、第2の異なる基板上に実装されている。
【0169】
当業者にとって、本発明によるデバイスおよび方法の修正および変形が知覚可能であることは明らかであろう。図は模式的なものである。添付の図面を参照して上述した特定の実施形態は、例示に過ぎず、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲を限定することを意図するものではない。

図1
図2
図3
図4a
図4b
図5a
図5b
図5c
図6
図7a
図7b
図8
図9
【国際調査報告】