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特表2023-537183精密な薬剤溶出機能を備えたバルーンカテーテル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-31
(54)【発明の名称】精密な薬剤溶出機能を備えたバルーンカテーテル
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/10 20130101AFI20230824BHJP
【FI】
A61M25/10 510
A61M25/10 550
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022574728
(86)(22)【出願日】2020-06-22
(85)【翻訳文提出日】2022-12-05
(86)【国際出願番号】 US2020038911
(87)【国際公開番号】W WO2021262134
(87)【国際公開日】2021-12-30
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591018693
【氏名又は名称】シー・アール・バード・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】C R BARD INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】1 Becton Drive Franklin Lakes NEW JERSEY 07417 UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100092967
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 修
(74)【代理人】
【識別番号】100220065
【弁理士】
【氏名又は名称】高梨 幸輝
(72)【発明者】
【氏名】シモンズ,ブランドン
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA07
4C267BB02
4C267BB08
4C267BB11
4C267BB28
4C267CC08
4C267DD01
4C267EE08
4C267EE11
(57)【要約】
身体の血管へと導入するためのカテーテルは、1本または複数本の管腔を含むシャフトと、シャフトの遠位端部に位置決めされたバルーンと、1本または複数本の管腔に関連付けられた、バルーンの外表面の少なくとも1本の管とを含む。少なくとも1本の管は、血管病変を治療するために薬剤などの治療薬を溶出させるための1つまたは複数の送達ポートを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療装置であって、
近位端部分および遠位端部分を有するシャフトであって、前記シャフトが複数本の管腔を含む、シャフトと、
前記シャフトの前記遠位端部分に装着された膨張可能バルーンと、
前記複数本の管腔のそれぞれに関連付けられた管であって、前記管が、前記膨張可能バルーンの傍らに延在し、1つまたは複数の送達ポートを有する、管と
を備える、医療装置。
【請求項2】
請求項1に記載の医療装置であって、
前記複数本の管腔が前記シャフトの中心管腔を囲繞する、医療装置。
【請求項3】
請求項2に記載の医療装置であって、
それぞれの管の直径が前記中心管腔の直径よりも小さい、医療装置。
【請求項4】
請求項1に記載の医療装置であって、
前記複数本の管腔が8本の管腔を備える、医療装置。
【請求項5】
請求項1に記載の医療装置であって、
それぞれの管が、前記複数本の管腔のうちの関連付けられた1本を介して前記管へと送達される流体を放出するための1つまたは複数の送達ポートを含む、医療装置。
【請求項6】
請求項5に記載の医療装置であって、
前記送達ポートが、前記膨張可能バルーンの円筒形バレル部分に対応する、医療装置。
【請求項7】
請求項1に記載の医療装置であって、
それぞれの管が、前記シャフトの遠位端部に隣接する閉じた端部を含む、医療装置。
【請求項8】
請求項1に記載の医療装置であって、
それぞれの管が、前記膨張可能バルーンの外表面に接合されている、医療装置。
【請求項9】
請求項1に記載の医療装置であって、
隣接する管が、前記膨張可能バルーンの外表面に沿って周方向に間隔を開けて配置されている、医療装置。
【請求項10】
請求項9に記載の医療装置であって、
前記複数本の管が、前記膨張可能バルーンの膨張状態においてよりも、前記膨張可能バルーンの収縮状態において互いにより近くなる、医療装置。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の医療装置であって、
前記シャフトの前記近位端部分が、前記シャフトの前記遠位端部分に位置付けられた前記複数本の管腔と通じた単一の管腔を含む、医療装置。
【請求項12】
医療装置であって、
近位端部分および遠位端部分を有するシャフトであって、前記シャフトが少なくとも1本の管腔を含む、シャフトと、
前記シャフトの前記遠位端部分に装着された膨張可能バルーンと、
前記膨張可能バルーンの外表面に沿って延在し、前記膨張可能バルーンの前記外表面に取り付けられた少なくとも1本の管であって、前記少なくとも1本の管が、前記少なくとも1本の管腔と流体連通し、閉じた遠位端部を有する、少なくとも1本の管と
を備える、医療装置。
【請求項13】
請求項12に記載の医療装置であって、
前記シャフトが、複数本の管腔と、前記バルーンに沿って延在する複数本の管とを備え、前記複数本の管のそれぞれが、前記複数本の管腔のうちの1本と流体連通し、閉じた遠位端部を有する、医療装置。
【請求項14】
請求項13に記載の医療装置であって、
前記複数本の管腔が前記シャフトの中心管腔を囲繞する、医療装置。
【請求項15】
請求項14に記載の医療装置であって、
前記少なくとも1本の管の直径が前記中心管腔の直径よりも小さい、医療装置。
【請求項16】
請求項12に記載の医療装置であって、
前記少なくとも1本の管が、前記複数本の管腔のうちの関連付けられた1本を介して前記管に送達される流体を放出するための1つまたは複数の送達ポートを含む、医療装置。
【請求項17】
請求項16に記載の医療装置であって、
前記送達ポートが、前記膨張可能バルーンの円筒形バレル部分に沿って位置付けられている、医療装置。
【請求項18】
請求項12に記載の医療装置であって、
前記少なくとも1本の管が、前記膨張可能バルーンの外表面に接合されている、医療装置。
【請求項19】
請求項12に記載の医療装置であって、
前記膨張可能バルーンの外表面に沿って周方向に間隔を開けて配置された複数本の管をさらに含む、医療装置。
【請求項20】
請求項19に記載の医療装置であって、
それぞれの管の開いた近位端部が、前記シャフトの前記遠位端部分内に位置付けられ、前記シャフトの前記近位端部分の前記少なくとも1本の管腔と通じている、医療装置。
【請求項21】
医療装置であって、
先細りになった近位端部分、先細りになった遠位端部分、およびそれらの間の中央バレル部分を含む膨張可能バルーンと、
少なくとも前記膨張可能バルーンの前記先細りになった近位端部分および前記膨張可能バルーンの前記中央バレル部分に沿って、前記膨張可能バルーンの外表面に沿って延在する複数本の管であって、それぞれの管のうち、前記膨張可能バルーンの前記中央バレル部分に沿って延在する部分が、1つまたは複数の送達ポートを含む、複数本の管と
を備える、医療装置。
【請求項22】
請求項21に記載の医療装置であって、
前記複数本の管が、前記膨張可能バルーンの外表面に沿って周方向に間隔を開けて配置されている、医療装置。
【請求項23】
請求項21に記載の医療装置であって、
前記複数本の管のうちの隣接する管が、前記膨張可能バルーンの膨張状態においてよりも、前記膨張可能バルーンの収縮状態において互いにより近くなる、医療装置。
【請求項24】
請求項21に記載の医療装置であって、
前記複数本の管が、前記膨張可能バルーンの外表面に接合されている、医療装置。
【請求項25】
請求項21に記載の医療装置であって、
前記複数本の管と流体連通した単一の管腔を有するシャフトをさらに含む、医療装置。
【請求項26】
請求項21に記載の医療装置であって、
複数本の管腔を有するシャフトをさらに含み、前記複数本の管腔のそれぞれが、前記複数本の管のうちの1本と流体連通している、医療装置。
【請求項27】
請求項1から26のいずれか一項に記載の医療装置であって、
前記膨張可能バルーンが、コンプライアンス性、半コンプライアンス性、または非コンプライアンス性である、医療装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
参照による組み込み
本明細書で言及されるすべての公報および特許出願は、それぞれの個々の公報または特許出願が参照によって組み込まれることを具体的にかつ個々に示されていた場合と同じ程度で、参照によって本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
バルーン拡張カテーテルは、血管内の病変を治療するために使用される医療装置である。こうした治療の過程では、予後を改善するために、治療を受けている病変に薬剤などの物質を送達することが望ましい場合がある。いわゆる「薬剤溶出」バルーンカテーテルについて、過去の提案がなされてきたが、すべてかなりの複雑性に苦慮しており、それにより、こうしたバルーンカテーテルは製造にコストがかかり、使用するのが難しくなっている。これは、所望の治療予後を得ることを確実とするために精密な方式で特定の位置に薬剤を標的送達することができないことを含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本開示の一目的は、バルーンの外表面の傍らに延在する、治療薬を送達するための1つまたは複数の送達ポートを含む1本または複数本の管によって提供される溶出機能を備えたバルーンカテーテルであり、管は、関連付けられた複数管腔シャフト内の管腔と通じる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様では、本開示は、近位端部分および遠位端部分を有するシャフトを含むバルーンカテーテルに関する。シャフトは、複数本の管腔と、シャフトの遠位端部分に装着された膨張可能バルーンとを含む。管は、複数本の管腔のそれぞれに関連付けられ、膨張可能バルーンの傍らに延在する。管は、隣接する血管病変に治療薬を送達するための1つまたは複数の送達ポートを含む。
【0005】
一実施形態では、複数本の管腔は、シャフトの中心管腔を囲繞する。それぞれの管の直径は、中心管腔の直径よりも小さくてもよい。複数本の管腔は、8本の管腔を備えてもよい。
【0006】
それぞれの管は、複数本の管腔のうちの関連付けられた1本を介して管に送達される流体を放出するための1つまたは複数の送達ポートを含むことができる。送達ポートは、膨張可能バルーンの円筒形バレル部分に対応することができる。
【0007】
それぞれの管は、シャフトの遠位端部に隣接する閉じた端部を含むことができる。また、それぞれの管は、膨張可能バルーンの外表面に接合され得る。隣接する管は、膨張可能バルーンの外表面に沿って周方向に間隔を開けて配置される。また、隣接する管は、膨張可能バルーンの膨張状態においてよりも膨張可能バルーンの収縮状態において互いにより近くなり得る。シャフトは、複数本の管腔のそれぞれの開いた近位端部と流体連通した単一の近位管腔も含むことができる。
【0008】
本開示の別の態様によれば、バルーンカテーテルが提供される。バルーンカテーテルは、近位端部分および遠位端部分を有するシャフトを含む。シャフトは、少なくとも1本の管腔を含む。膨張可能バルーンが、シャフトの遠位端部分に装着される。少なくとも1本の管が、膨張可能バルーンの外表面に沿って延在し、そこに取り付けられる。少なくとも1本の管は、少なくとも1本の管腔と流体連通し、閉じた遠位端部を有する。
【0009】
一実施形態では、シャフトは複数本の管腔を備え、複数本の管がバルーンの傍らに延在する。複数本の管のそれぞれは、複数本の管腔のうちの1本と流体連通し、閉じた遠位端部を有する。複数本の管腔は、シャフトの中心管腔を囲繞することができる。少なくとも1本の管の直径は、中心管腔の直径よりも小さくてもよく、複数本の管腔は、8本の管腔を備えてもよい。シャフトは、複数本の管腔のそれぞれの開いた近位端部と流体連通した単一の近位管腔も含むことができる。
【0010】
それぞれの管は、複数本の管腔のうちの関連付けられた1本を介して管に送達される流体を放出するための1つまたは複数の送達ポートを含むことができる。送達ポートは、膨張可能バルーンの円筒形バレル部分に対応することができる。管は、膨張可能バルーンの外表面に接合され得る。複数本の管は、膨張可能バルーンの外表面に沿って周方向に間隔を開けて配置され得る。
【0011】
本開示は、先細りになった(すなわち、テーパ状の)近位端部分、先細りになった遠位端部分、およびそれらの間の中間バレル部分を備えた膨張可能バルーンを含むバルーンカテーテルにも関する。複数本の管が、少なくとも膨張可能バルーンの先細りになった近位端部分および膨張可能バルーンの中央バレル部分に沿って、膨張可能バルーンの外表面に沿って延在する。それぞれの管の一部は、1つまたは複数の送達ポートを含む膨張可能バルーンの中間バレル部分に沿って延在する。
【0012】
複数本の管は、膨張可能バルーンの外表面に沿って周方向に間隔を開けて配置され得る。複数本の管のうちの隣接する管は、膨張可能バルーンの膨張状態においてよりも膨張可能バルーンの収縮状態において互いにより近くなり得る。複数本の管は、膨張可能バルーンの外表面に接合され得る。シャフトは、複数本の管腔のそれぞれの開いた近位端部と流体連通した単一の近位管腔も含むことができる。
【0013】
本開示の上記の利点およびさらなる利点は、添付図面を併用して以下の説明を参照することによってより良好に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、バルーンカテーテルと関連付けて使用するための膨張可能バルーンの側面図である。図1Aは、図1の膨張可能バルーンの拡大切断図である。図1Bは、図1Aの線1B-1Bに沿って切り取られた、図1の膨張可能バルーンの部分断面図である。
図2図2は、バルーンカテーテルの側面図である。図2Aは、図2の線2A-2Aに沿って切り取られた断面図である。図2Bは、図2の線2B-2Bに沿って切り取られた断面図である。図2Cは、図2の線2C-2Cに沿って切り取られた断面図である。図2Dは、図2の線2D-2Dに沿って切り取られた断面図である。図2Eは、膨張していない、畳まれた状態の図2Dのバルーンの断面図である。
図3図2のカテーテルの、部分的に切り取られた部分断面図である。
図4】開示されたバルーンカテーテルを使用する一方式を示す概略図である。
図5図5は、代替実施形態を示す図である。図5Aは、代替実施形態を示す図である。図5Bは、代替実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
いくつかの要素の寸法が、明確にするために他の要素より誇張される場合もあり、またはいくつかの物理的構成要素が、1つの機能ブロックまたは要素に含まれる場合もある。さらに、対応する要素または類似の要素を示すために、場合によっては、参照符号が図面の中で繰り返されてもよい。さらに、図面に示される項目のうちのいくつかが、単一の機能になるように組み合わせられてもよい。
【0016】
以下の詳細な説明では、本発明の完璧な理解を提供するために、数多くの特有の詳細が記載される。開示されている実施形態は、これらの特有の詳細を有さずに実践されてもよい。他の場合、よく知られた方法、手順、構成要素または構造は、本発明をあいまいにしないために詳細には説明されない場合がある。
【0017】
本開示は、血管を治療するためのシステムおよび方法を対象とする。本開示のシステムおよび方法の原理および動作は、図面および添付の説明を参照してより良好に理解され得る。
【0018】
本発明は、その適用において、以下の説明に記載されるかまたは図面に示されている構造の詳細および構成要素の構成に限定されない。本発明は他の実施形態が可能であり、または種々のやり方で実践もしくは実行することができる。また、本明細書で利用される表現法および用語は説明のためのものであり、限定的なものであるとみなされるべきではないことを理解されたい。
【0019】
説明を明瞭にするために別個の実施形態の文脈において説明される本発明のいくつかの特徴が、単一の実施形態において組み合わせて提供されてもよい。その反対に、説明を簡潔にするために単一の実施形態の文脈で説明された本発明の種々の特徴が、別々に、または任意の適した副次的な組合せで提供されてもよい。
【0020】
図1図1A図2図2A図2B図2C、および図3を参照すると、遠位端部分11を備えたシャフト14を有するカテーテル10が示してあり、遠位端部分11は、そこに装着された膨張可能バルーン12を有する。バルーン12は、中間部分16または「バレル」と、端部分18、20とを有する。一実施形態では、端部分18、20の直径は、中間部分16をカテーテルシャフト14に接合させるように縮小する(したがって、部分18、20は一般に「円錐」または「円錐部分」と呼ばれる)。バルーン12はバルーン端部(近位端部15aおよび遠位端部15b)で封止されて、カテーテルシャフト14内を延在しバルーン12の内部と通じている1つまたは複数の膨張管腔17を介してバルーン12が膨張することを可能にする。
【0021】
カテーテル10は、シャフト24によって形成されるガイドワイヤ管腔23も含み、これはシャフト14の内部に、より詳細には膨張管腔17の内部に存在することができる。この管腔23はカテーテル10にガイドワイヤ26を案内し、バルーン12の遠位端部15bに対して遠位な先端21を通る部分を含めて、カテーテル10の遠位端部分に沿ってバルーン12が位置付けられ得る。図2に示されているように、このガイドワイヤ26は、シャフト14の近位端部分13のコネクタまたはハブ27の第1のポート25を介してカテーテル10の近位端部分を通り、管腔23へと延在して、「オーバーザワイヤ」(OTW)構成を実現してもよいが、「ラピッドエクスチェンジ」(RX)構成で提供されてもよく(この構成では、ガイドワイヤ26は、遠位端部により近いがバルーン12に対して近位な、任意選択の側方開口(図2の想像線表示14aを参照)においてシャフト14から出て行く)、あるいは、バルーン12に対して遠位な通路において先端に通される(「ショート」RX;図示せず)。膨張管腔17を介してバルーン12の内部コンパートメントに流体(たとえば生理食塩水、造影剤、またはその両方)を導入するために、第2のポート29もコネクタ27などを介してカテーテル10に関連付けることができる。
【0022】
膨張可能バルーン12は、膨張流体を受けるための内部を形成する単一層または複数層のバルーン壁28(図1Bおよび図2Dを参照)を含むことができる。バルーン12は、バルーンが膨張したときに1つまたは複数の方向においてそのサイズおよび形状を維持するバルーン壁を有する、コンプライアンス性のないバルーンでもよい。こうした場合のバルーン12は、膨張中および膨張後に一定であり続ける所定の表面積も有し、それぞれ、または共に膨張中および膨張後に一定であり続ける所定の長さおよび所定の直径も有する。しかし、そうではなく、バルーン12は、特定の使用法に応じて半コンプライアンス性でもよく、コンプライアンス性でもよい。バルーン12は、1.25~40mmまたは2.0~8.0mmの範囲の任意の種々の直径を有することができる。本明細書に記載される実施形態のいずれにおいても、膨張可能バルーン12は、10~300mmまたは20~300mmなどの任意の種々の長さを有することができる。より長いバルーンは、罹患部分が長いことが多い末梢病変を治療するのに特に有用な場合がある。
【0023】
本開示の第1の態様によれば、また図1図1A、および図2A図2D、ならびに図3を参照すると、シャフト14は複数本の管腔30を含むことができ、そのそれぞれは、膨張可能バルーン12の傍らに延在する管32と流体連通している。8本のこうした管32と、対応する数の管腔30とが図示の実施形態に示されているが、この数は、(ことによると1本のみを含めて)より少なくてもよく、より多くてもよい。図3に示されているように、シャフト14の管腔30は中心の膨張管腔を囲繞することができ、任意選択の、花弁状の断面をシャフトに提供するように構成され得る。それぞれの管腔30の近位端部は、ハブ27に隣接したポート34と流体連通しており、このポート34は、それぞれの管腔に関連付けられた環状部34aと通じることができ、それぞれの管腔の遠位端部は、先端21またはそこより近位な場所など、バルーン12の遠位端部15bに隣接した所で閉じられる。図3からさらに理解されるように、図示の実施形態では、それぞれの管腔30の直径および断面積は膨張管腔17よりも小さい。
【0024】
管腔30がバルーン12の近位端部15aに到達する領域において、管32がそこに連結される。管32は、最初はバルーン12の近位端部分18に沿って延在し、バルーンの中間部分16に沿って延在し、任意選択で、バルーンの遠位端部分20に沿って延在することによって連続する。管32は個別の中空シリンダを備えることができ、これは、バルーン壁28の外部表面または外表面に接合され得る(図1Bの参照符号Bを参照)。接合は、接着剤、ならびに/または(ダイもしくはプレスを使用して得ることができるような)熱および圧力を使用して実現することができる。
【0025】
図2Dおよび図2Eから理解され得るように、管32は、隣接する管の間の間隙Gの間隔を開けて配置される。理解され得るように、管32は、バルーン12が膨張状態になるとさらに間隔が広くなり、バルーン12が膨張していないかまたは畳まれた状態(図2Eの参照番号12’を参照)になると、互いにより近づき、ことによると周辺で接触しさえする場合がある。管32の直径および断面積は、一般に、シャフト14の、関連付けられた管腔30の直径および断面積に対応することができる。
【0026】
おそらく図1Aおよび図1Bから最もよく理解されるように、それぞれの管32のうち、バルーン12の中間「バレル」部分16に沿った部分には、1つまたは複数の送達ポート32aを提供することができる。送達ポート32aは、(等間隔を開けるように)長手方向に間隔を開けて配置することができ、図1Bに示されているように、管32の半径方向に最も外側の部分に形成されて、身体の血管内でバルーン12が膨張している間に隣接する病変にごく近接することを確実とする。言い換えれば、送達ポート32aは、概して、管30の半径方向に最も内側の部分とバルーン壁28の外表面との間に形成される接合部Bの位置に対向して位置付けられ、中心線が管32の長手方向軸と概ね垂直になるように構成される。
【0027】
図4を見ると、使用時、医師は、膨張可能バルーン12が血管V内の病変Lの部位の近くの所望の位置に到達するまで、ガイドワイヤ26に沿ってカテーテル10を移動させることができる。通常、バルーン12の膨張により、管32が病変Lにごく近接して位置付けられる。十分に剛性の材料が使用されているならば、管32を使用して、病変Lをしっかりと押すかまたは亀裂を入れることさえできる。高度に、または「超」コンプライアンス性のバルーンの場合、バルーン12の、管32の間の間隙G(図2D)の部分は、実際には管の半径方向の広がりを越えて広がるかまたは隆起し、次いで、安定性のために、実際には病変Lに接触するように動く場合がある(隣接する隆起部は周方向に境界を形成することもでき、選択された治療薬を病変の特定の部分に制御しながら送達するための、管を含むチャネルを作り出す)。
【0028】
どちらも完全に任意選択である、スコアリング機能または超コンプライアンス性のバルーンが提供されるかどうかに関わらず、バルーン12が膨張すると、薬剤または同様の治療薬Aを、ポート34を介して、供給源から送達することができる。カテーテル10へと送達されると、薬は、管腔30を介して管32へと進み、1つまたは複数の半径方向に、また(選択された構成に応じた)1つまたは複数の位置において送達ポート32aから溶出して、隣接する病変Lに所望の治療効果を提供することができる。
【0029】
理解され得るように、1本または複数本の管32および関連付けられた送達ポート32aを、戦略的に間隔を開けて配置するかまたは位置決めすることにより、特に(図4に示されているように)典型的な非対称または不定形の病変Lの場合に、薬剤または治療薬を送達するのを精密な方式で制御することが可能になり得る。たとえば、1本または複数本の管32を所望の数および位置で提供して、(たとえば2本の管の場合は約180度離れた、3本の管の場合は約120度離れた、4本の管の場合は約90度離れた、6本の管の場合は約60度離れた、8本の管の場合は約45度離れた、などのような)ある治療方向または治療ベクトルを提供することができる。さらに、送達ポート32aは長手方向に間隔を開けて配置されてもよく、こうした数で、また同じかまたは異なる直径またはサイズで提供されて、溶出物質の送達を調節および制御してもよい。その結果、カテーテル10を使用するインターベンショナル処置中にはるかに精密な治療を提供することができ、場合によってはより良い予後が得られる。
【0030】
カテーテル10を用いた病変の治療が完了した後、医師は膨張可能バルーン12を収縮させる。これにより、管32が弛緩して病変Lおよび血管Vの壁から離れ、本質的に図2Eに示したものと類似した状態になることが可能になる。カテーテル10は、次いで、必要に応じて、または所望のように別の治療を行うために、所望のように取り出されるかまたは再配置されてもよい。
【0031】
代替実施形態が図5図5A、および図5Bに示されている。この実施形態では、上述のものと同様のバルーン112を備えたカテーテル100が提供される。このバージョンでは、治療薬を送達するための管腔130を形成する管132がバルーン112に対して近位方向に延在し、外側の管状シャフト150によって少なくとも部分的に覆われており、外側の管状シャフト150は定位置に接合され、カテーテル100の近位端部へと延在することができる。管132はバルーン112の外側表面に接合することができ、バルーン112のバレル部分116に沿ったものを含め、送達ポート132を含むことができる。
【0032】
したがって、このシャフト150により、管腔130と通じた単一の環状の管腔150aが提供される。単一の環状の管腔150aは、近位端部において、治療薬を受け取るための、近位ハブ(図示せず)に関連付けられたポートと通じることができる。外側シャフト150と同軸の内側シャフト114が、膨張管腔117および/またはガイドワイヤ管腔123などの追加の管腔を含むことができる。
【0033】
適した薬剤または治療薬は、たとえば、数ある中でも、トリクロサン、クロルヘキシジン、ニトロフラゾン、塩化ベンザルコニウム、銀塩、ならびにリファンピン、ゲンタマイシンおよびミノサイクリンなどの抗生物質、ならびにそれらの組合せなどの抗菌剤を含むことができる。いくつかの実施形態では、抗菌剤は、トリクロサン、クロルヘキシジン、およびその塩または組合せを含むことができる。抗炎症剤は、ステロイド系および非ステロイド系の抗炎症剤を含む。非ステロイド系抗炎症薬の例は、アミノアリールカルボン酸誘導体、たとえばエンフェナム酸、エトフェナメート、フルフェナム酸、イソニキシン、メクロフェナム酸、メフェナム酸、ニフルミック酸、タルニフルマート、テロフェナマートおよびトルフェナム酸;アリール酢酸誘導体、たとえばアセメタシン、アルクロフェナック、アンフェナック、ブフェキサマック、シンメタシン、クロピラク、ジクロフェナックナトリウム、エトドラック、フェルビナック、フェンクロフェナック、フェンクロラック、フェンクロズ酸、フェンチアザク、グルカメタシン、イブフェナック、インドメタシン、イソフェゾラック、イソキセパク、ロナゾラク、メチアジン酸、オキサメタシン、プログルメタシン、スリンダック、チアラミド、トルメチンおよびゾメピラック;アリール酪酸誘導体、たとえばブマジゾン、ブチブフェン、フェンブフェンおよびキセンブシン;アリールカルボン酸類、たとえばクリダナック、ケトロラックおよびチノリジン;アリールプロピオン酸誘導体、たとえばアミノプロフェン、ベノキサプロフェン、ブクロクス酸、カルプロフェン、フェノプロフェン、フルノキサプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、イブプロキサム、インドプロフェン、ケトプロフェン、ロキソプロフェン、ミロプロフェン、ナプロキセン、オキサプロジン、ピケトプロフェン、ピルプロフェン、プラノプロフェン、プロチジン酸、スプロフェンおよびチアプロフェン酸;ピラゾール類、たとえばジフェナミゾールおよびエピリゾール;ピラゾロン類、たとえばアパゾン、ベンズピペリロン、フェプラゾン、モフェブタゾン、モラゾン、オキシフェンブタゾン、フェニルブタゾン、ピペブゾン、プロピフェナゾン、ラミフェナゾン、スキシブゾンおよびチアゾリノブタゾン;サリチル酸およびその誘導体、たとえばアセタミノサロール、アスピリン、ベノリラート、ブロモサリゲニン、アセチルサリチル酸カルシウム、ジフルニサール、エテルサラート、フェンドサール、ゲンチジン酸、サリチル酸グリコール、サリチル酸イミダゾール、アセチルサリチル酸リシン、メサラミン、サリチル酸モルホリン、サリチル酸1-ナフチル、オルサラジン、パルサルミド、アセチルサリチル酸フェニル、サリチル酸フェニル、サラセタミド、サリシルアミンa-酢酸、サリチル硫酸、サルサレートおよびスルファサラジン;チアジンカルボキシアミド類、たとえばドロキシカム、イソキシカム、ピロキシカムおよびテノキシカム;その他のもの、たとえばE-アセトアミドカプロン酸、s-アデノシルメチオニン、3-アミノ-4-ヒドロキシ酪酸、アミキセトリン、ベンダザック、ベンジダミン、ブコローム、ジフェンピラミド、ジタゾール、エモルファゾン、グアイアズレン、ナブメトン、ニメスリド、オルゴテイン、オキサセプロール、パラニリン、ペリソキサール、ピフォキシム、プロキアゾン、プロキサゾールおよびテニダップ;ならびに、それらの医薬的に許容可能な塩を含む。
【0034】
ステロイド系抗炎症剤(糖質コルチコイド)の例は、21-アセトキシプレフェノロン、アルクロメタソン、アルゲストン、アミシノニド、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、ブデソニド、クロロプレドニソン、クロベタゾール、クロベタゾン、クロコルトロン、クロプレドノール、コルチコステロン、コルチゾン、コルチバゾール、デフラザコート、デソニド、デソキシメタゾン、デキサメタゾン、ジフロラソン、ジフルコルトロン、ジフルプレドネート、エノキソロン、フルアザコルト、フルクロロニド、フルメタゾン、フルニソリド、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルオコルチンブチル、フルオコルトロン、フルオメトロン、酢酸フルペロロン、酢酸フルプレドニジン、フルプレドインソロン、フルランドレノリド、プロピオン酸フルチカゾン、フォルモコルタール、ハルシノニド、プロピオン酸ハロベタゾール、ハロメタゾン、酢酸ハロプレドン、ヒドロコルタメート、ヒドロコルチゾン、エタボン酸ロテプレドノール、マジプレドン、メドリソン、メプレドニソン、メチルプレドニソロン、フランカルボン酸モメタゾン、パラメタゾン、プレドニカルバート、プレドニソロン、プレドニソロン25-ジエチルアミノアセテート、プレドニソンリン酸ナトリウム、プレドニソン、プレドニバル、プレドニリデン、リメキソロン、チクソコルタール、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンベントニド、トリアムシノロンヘキサアセトニド、およびそれらの医薬的に許容可能な塩を含む。
【0035】
鎮痛剤は、麻薬性および非麻薬性の鎮痛剤を含む。麻薬性鎮痛剤は、アルフェンタニル、アリルプロジン、アルファプロジン、アニレリジン、ベンジルモルフィン、ベジトラミド、ブプレノルフィン、ブトルファノール、クロニタゼン、コデイン、臭化コデインメチル、リン酸コデイン、硫酸コデイン、デソモルフィン、デキストロモラミド、デゾシン、ジアンプロミド、ジヒドロコデイン、ジヒドロコデイノン酢酸エノール、ジヒドロモルフィン、ジメノキサドール、ジメフェプタノール、ジメチルチアブテン、ジオキサフェチルブチレート、ジピパノン、エプタゾシン、エトヘプタジン、エチルメチルチアブテン、エチルモルフィン、エトニタゼン、フェンタニル、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、ヒドロキシペチジン、イソメサドン、ケトベミドン、レボルファノール、ロフェンタニル、メペリジン、メプタジノール、メタゾシン、メタドン塩酸塩、メトポン、モルフィン、ミロフィン、ナルブフィン、ナルセイン、ニコモルフィン、ノルレボルファノール、ノルメタゾン、ノルモルフィン、ノルピパノン、アヘン、オキシコドン、オキシモルホン、パパベレタム、ペンタゾシン、フェナドキソン、フェナゾシン、フェオペリジン、ピミノジン、ピリトラミド、プロヘプタジン、プロメドール、プロペリジン、プロピラム、プロポキシフェン、ルミフェンタニル、スルフェンタニル、チリジン、およびそれらの医薬的に許容可能な塩を含む。非麻薬性鎮痛剤は、アセクロフェナック、アセトアミノフェン、アセトアミノサロール、アセトアニリド、アセチルサルチルサルチル酸、アルクロフェナック、アルミノプロフェン、アロキシプリン、ビス(アセチルサリチル酸)アルミニウム、アミノクロロテノキサジン、2-アミノ-4ピコリン、アミノプロピロン、アミノピリン、サリチル酸アンモニウム、アムトルメチングアシル、アンチピリン、サリチル酸アンチピリン、アントラフェニン、アパゾン、アスピリン、ベノリレート、ベノキサプロフェン、ベンズピペリロン、ベンジダミン、ベルモプロフェン、ブロフェナク、p-ブロモアセトアニリド、5-ブロモサリチル酸アセテート、ブセチン、ブフェキサマック、ブマジゾン、ブタセチン、アセチルサリチル酸カルシウム、カルバマゼピン、カルビフェン、カルサラム、クロラルアンチピリン、クロルテノキサジン、サリチル酸コリン、シンコフェン、シラマドール、クロメタシン、クロプロパミド、クロテタミド、デキソキサドロール、ジフェナミゾール、ジフルインサール、アセチルサリチル酸ジヒドロオキサアルミニウム、ジピロセチル、ジピロン、エモルファゾン、エンフェナム酸、エピリゾール、エテルサラート、エテンザミド、エトキサゼン、エトドラック、フェルビナック、フェノプロフェン、フロクタフェニン、フルフェナム酸、フルオレソン、フルピルチン、フルプロクアゾン、フルルビプロフェン、フォスフォサール、ゲンチジン酸、グラフェニン、イブフェナック、サリチル酸イミダゾール、インドメタシン、インドプロフェン、イソフェゾラック、イソラドール、イソニキシン、ケトプロフェン、ケトロラック、p-ラクトフェネチド、レフェタミン、ロキソプロフェン、アセチルサリチル酸リシン、アセチルサリチル酸マグネシウム、メトトリメプラジン、メトホリン、ミロプロフェン、モラゾン、サリチル酸モルホリン、ナプロキセン、ネフォパム、ニフェナゾン、5’-ニトロ-2’-プロポキシアセトアニリド、パルサルミド、ペリソキサール、フェナセチン、フェナゾピリジン塩酸塩、フェンコール、フェノピラゾン、アセチルサリチル酸フェニル、サリチル酸フェニル、フェニラミドール、ピペブゾン、ピペリロン、プロジリジン、プロパセタモール、プロピフェナゾン、プロキサゾール、サリチル酸キニン、ラミフェナゾン、メチル硫酸リマゾリウム、サラアセトアミド、サルシン、サリチルアミド、a-酢酸サリチルアミド、サリチル硫酸、サルサルテ、サルベリン、シメトリド、サリチル酸ナトリウム、スルファピリン、スプロフェン、タルニフルマート、テノキシカム、テロフェナマート、テトラドリン、チノリジン、トルフェナム酸、トルプロニン、トラマドール、ビミノール、キセンブシン、ゾメピラック、およびそれらの医薬的に許容可能な塩を含む。
【0036】
局所麻酔剤は、アムカイン、アモラノン、アミロカイン塩酸塩、ベノキシネート、ベンゾカイン、ベトキシカイン、ビフェナミン、ブピバカイン、ブタカイン、ブタベン、ブタニリカイン、ブテサミン、ブトキシカイン、カルチカイン、クロロプロカイン塩酸塩、コカエチレン、コカイン、シクロメチカイン、ジブカイン塩酸塩、ジメチソキン、ジメトカイン、ジペラドン塩酸塩、ダイクロニン、エクゴニジン、エクゴニン、塩化エチル、β-ユーカイン、ユープロシン、フェナルコミン、フォモカイン、ヘキシルカイン塩酸塩、ヒドロキシテトラカイン、p-アミノ安息香酸イソブチル、ロイシノカインメシレート、レボキサドロール、リドカイン、メピバカイン、メプリルカイン、メタブトキシカイン、塩化メチル、ミルテカイン、ナエパイン、オクタカイン、オルトカイン、オキセタザイン、パレトキシカイン、フェナカイン塩酸塩、フェノール、ピペロカイン、ピリドカイン、ポリドカノール、プラモキシン、プリロカイン、プロカイン、プロパノカイン、プロパラカイン、プロピオカイン、プロポキシカイン塩酸塩、偽コカイン、ピロカイン、ロピバカイン、サリチルアルコール、テトラカイン塩酸塩、トリカイン、トリメカイン、ゾラミン、およびそれらの医薬的に許容可能な塩を含む。
【0037】
鎮けい剤は、アリベンドール、アンブセタミド、アミノプロマジン、アポアトロピン、メチル硫酸ベボニウム、ビエタミベリン、ブタベリン、臭化ブトロピウム、臭化n-ブチルスコポルアンモニウム、カロベリン、臭化シメトロピウム、シンナメドリン、クレボプリド、臭化水素酸コニイン、コニイン塩酸塩、ヨウ化シクロニウム、ジフェメリン、ジイソプロミン、ジオキサフェチルブチレート、臭化ジポニウム、ドロフェニン、臭化エメプロニウム、エタベリン、フェクレミン、フェナラミド、フェノベリン、フェンピプラン、臭化フェンピベリニウム、臭化フェントニウム、フラボキサート、プロプロピオン、グルコン酸、グアイアクタミン、ヒドラミトラジン、ヒメクロモン、レイオピロール、メベベリン、モキサベリン、ナフィベリン、オクタミルアミン、オクタベリン、塩化オキシブチニン、ペンタピペリド、フェナマシド塩酸塩、フロログルシノール、臭化ピナベリウム、ピペリラート、ピポキソラン塩酸塩、プラミベリン、臭化プリフィニウム、プロペリジン、プロピバン、プロピロマジン、プロザピン、ラセフェミン、ロシベリン、スパスモライトール、ヨウ化スチロニウム、スルトロポニウム、ヨウ化チエモニウム、臭化チキジウム、チロプラミド、トレピブトン、トリクロミル、トリフォリウム、トリメブチン、n,n-1トリメチル-3,3-ジフェニル-プロピルアミン、トロペンジル、塩化トロスピウム、臭化キセニトロピウム、およびそれらの医薬的に許容可能な塩を含む。
【0038】
いくつかの実施形態では、疼痛または不快感を軽減するための治療薬は、ケトロラックおよびその医薬的に許容可能な塩類(たとえば、そのトロメタミン塩、商品名トラド(Torado)(登録商標)として販売されている)、4-ジエチルアミノ-2-ブチニルフェニルシクロヘキシルグリコレートおよびその医薬的に許容可能な塩類(たとえば、4-ジエチルアミノ-2-ブチニルフェニルシクロヘキシルグリコレート塩酸塩、塩化オキシブチニンとしても知られ、商品名ディトロパン(Ditropang)(登録商標)として販売されている)およびその組合せから選択されてよい。存在する治療薬の量は、たとえば、使用される治療薬の効力および放出速度などによって決まる。当業者は、所望の予後を実現するための適切な治療薬の装填量を容易に決定することができる。
【0039】
要約すると、本開示は以下の項目に関連すると考えることができる。
[項目1]
近位端部分および遠位端部分を有するシャフトであって、シャフトが複数本の管腔を含む、シャフトと、
シャフトの遠位端部分に装着された膨張可能バルーンと、
複数本の管腔のそれぞれに関連付けられた管(複数本の管であって、それぞれの管が、各管腔に関連付けられ/複数本の管のそれぞれが、複数本の管腔のうちの1本と流体連通することができる、管)であって、管が、膨張可能バルーンの傍らに延在し、1つまたは複数の送達ポートを有する、管と
を備える、医療装置。
[項目2]
項目1に記載の医療装置であって、複数本の管腔がシャフトの中心管腔を囲繞する、医療装置。
[項目3]
項目1または項目2に記載の医療装置であって、それぞれの管の直径が中心管腔の直径よりも小さい、医療装置。
[項目4]
項目1から3のいずれか一項に記載の医療装置であって、複数本の管腔が1本、2本、3本、4本、5本、6本、7本、または8本の管腔を備える、医療装置。
[項目5]
項目1から4のいずれか一項に記載の医療装置であって、それぞれの管が、複数本の管腔のうちの関連付けられた1本を介して管へと送達される流体を放出するための1つまたは複数の送達ポートを含む、医療装置。
[項目6]
項目5に記載の医療装置であって、送達ポートが、膨張可能バルーンの円筒形バレル部分に対応する/膨張可能バルーンの円筒形バレル部分にまたは膨張可能バルーンの円筒形バレル部分に沿って提供される、医療装置。
[項目7]
項目1から6のいずれか一項に記載の医療装置であって、それぞれの管が、シャフトの遠位端部に隣接する閉じた端部を含む、医療装置。
[項目8]
項目1から7のいずれか一項に記載の医療装置であって、それぞれの管が、膨張可能バルーンの外表面に接合されている、医療装置。
[項目9]
項目1から8のいずれか一項に記載の医療装置であって、隣接する管が、膨張可能バルーンの外表面に沿って周方向に間隔を開けて配置されている、医療装置。
[項目10]
項目9に記載の医療装置であって、装置は、複数本の管が、膨張可能バルーンの膨張状態においてよりも、膨張可能バルーンの収縮状態において互いにより近くなるように構築されている、医療装置。
[項目11]
項目1から10のいずれか一項に記載の医療装置であって、シャフトが、複数本の管腔に対して近位でありそれらと通じている単一の管腔を含む、医療装置。
[項目12]
近位端部分および遠位端部分を有するシャフトであって、シャフトが少なくとも1本の管腔を含む、シャフトと、
シャフトの遠位端部分に装着された膨張可能バルーンと、
膨張可能バルーンの外表面に沿って延在し、そこに取り付けられた少なくとも1本の管であって、少なくとも1本の管が、少なくとも1本の管腔と流体連通し、閉じた遠位端部を有する、少なくとも1本の管と
を備える、医療装置。
[項目13]
項目11に記載の医療装置であって、シャフトが、複数本の管腔と、バルーンに沿って延在する複数本の管とを備え、複数本の管のそれぞれが、複数本の管腔のうちの1本と流体連通し、閉じた遠位端部を有する、医療装置。
[項目14]
項目12または項目13に記載の医療装置であって、複数本の管腔がシャフトの中心管腔を囲繞する、医療装置。
[項目15]
項目12から14のいずれか一項に記載の医療装置であって、少なくとも1本の管の直径が中心管腔の直径よりも小さい、医療装置。
[項目16]
項目12から15のいずれか一項に記載の医療装置であって、複数本の管腔が8本の管腔を備える、医療装置。
[項目17]
項目12から16のいずれか一項に記載の医療装置であって、少なくとも1本の管が、複数本の管腔のうちの関連付けられた1本を介して管に送達される流体を放出するための1つまたは複数の送達ポートを含む、医療装置。
[項目18]
項目17に記載の医療装置であって、送達ポートが膨張可能バルーンの円筒形バレル部分に対応する、医療装置。
[項目19]
項目12から18のいずれか一項に記載の医療装置であって、少なくとも1本の管が、膨張可能バルーンの外表面に接合されている、医療装置。
[項目20]
項目12から19のいずれか一項に記載の医療装置であって、膨張可能バルーンの外表面に沿って周方向に間隔を開けて配置された複数本の管をさらに含む、医療装置。
[項目21]
項目12から20のいずれか一項に記載の医療装置であって、それぞれの管の開いた近位端部が、少なくとも1本の管腔と通じたシャフト内に位置付けられている、医療装置。
【0040】
また、項目1から11に記載の特徴は、項目11から21のいずれかに記載の医療装置に存在してもよい。
[項目22]
先細りになった近位端部分、先細りになった遠位端部分、およびそれらの間の中央バレル部分を含む膨張可能バルーンと、
少なくとも膨張可能バルーンの先細りになった近位端部分および膨張可能バルーンの中央バレル部分に沿って、膨張可能バルーンの外表面に沿って延在する複数本の管であって、それぞれの管のうち、膨張可能バルーンの中央バレル部分に沿って延在する部分が、1つまたは複数の送達ポートを含む、複数本の管と
を備える、医療装置。
[項目23]
項目22に記載の医療装置であって、複数本の管が、膨張可能バルーンの外表面に沿って周方向に間隔を開けて配置されている、医療装置。
[項目24]
項目22または項目23に記載の医療装置であって、装置は、複数本の管のうちの隣接する管が、膨張可能バルーンの膨張状態においてよりも、膨張可能バルーンの収縮状態において互いにより近くなるように構築されている、医療装置。
[項目25]
項目22から24のいずれか一項に記載の医療装置であって、複数本の管が、膨張可能バルーンの外表面に接合されている、医療装置。
[項目26]
項目22から25のいずれか一項に記載の医療装置であって、複数本の管と流体連通した単一の管腔を有するシャフトをさらに含む、医療装置。
[項目27]
項目22から25のいずれか一項に記載の医療装置であって、複数本の管腔を有するシャフトをさらに含み、複数本の管腔のそれぞれが、複数本の管のうちの1本と流体連通している、医療装置。
【0041】
また、項目1から21に記載の特徴は、請求項22から27のいずれかに記載のバルーンカテーテルに存在してもよい。
[項目28]
項目1から27のいずれか一項に記載の医療装置であって、膨張可能バルーンが、コンプライアンス性、半コンプライアンス性、または非コンプライアンス性である、医療装置。
【0042】
本明細書において、以下の用語は以下の意味を有する。
本明細書において、「a」、「an」、および「the」は、文脈から明らかにそうでないことが示されていなければ、単数形の参照対象と複数形の参照対象の両方を指す。一例として、「a compartment」は、1つかまたは2つ以上のcompartmentを指す。
【0043】
本明細書において、パラメータ、量、時間的継続などのような測定可能な値を指す「およそ」、「実質的に」、または「約」は、こうしたばらつきが開示された本発明において実施するのに適当である限りにおいて、指定された値の、また指定された値から+/-20%かまたはそれより少ない、好ましくは+/-10%かまたはそれより少ない、より好ましくは+/-5%かまたはそれより少ない、より一層好ましくは+/-1%かまたはそれより少ない、またさらにより好ましくは+/-0.1%かまたはそれより少ないばらつきを包含することを意図されている。しかし、修飾語「およそ」が指す値自体も具体的に開示されていることを理解されたい。
【0044】
本明細書において、「備える(comprise)」、「備えている(comprising)」および「備える(comprises)」、ならびに「からなる(comprised of)」は、「含む(include)」、「含んでいる(including)」、「含む(includes)」、または「含有する(contain)」、「含有している(containing)」、「含有する(contains)」と同義であり、これらに続くもの、たとえば構成要素の存在を明示する、包含的なまたはオープンエンドな用語であり、当技術分野で知られているかまたはそこで開示されている記載されていない追加の構成要素、特徴、要素、部材、ステップの存在を排除または除外しない。
【0045】
特定の実施形態を併用して本発明について説明してきたが、多くの代替手段、変更形態、および変形形態が当業者には明らかであろう。したがって、本発明は添付の特許請求の範囲に記載の趣旨および範囲に含まれるすべてのこうした代替手段、変更形態、および変形形態を包含する。本明細書において言及されたすべての公報、特許および特許出願は、それぞれの個々の公報、特許または特許出願が参照によって本明細書に組み込まれることを具体的にかつ個々に示されていた場合と同じ程度で、参照により、本明細書に全体として組み込まれる。加えて、本出願における任意の参照の特定は、こうした参照が従来技術として本開示に利用可能であるという承認として解釈されるべきではない。
図1
図1A
図1B
図2
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3
図4
図5
図5A
図5B
【国際調査報告】