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▶ ハバシット アクチエンゲゼルシャフトの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-31
(54)【発明の名称】TPOプライマー
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/62 20060101AFI20230824BHJP
   C09J 5/00 20060101ALI20230824BHJP
   C09J 123/26 20060101ALI20230824BHJP
   C09J 153/02 20060101ALI20230824BHJP
【FI】
C08G18/62
C09J5/00
C09J123/26
C09J153/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023501043
(86)(22)【出願日】2021-07-06
(85)【翻訳文提出日】2023-03-03
(86)【国際出願番号】 EP2021068596
(87)【国際公開番号】W WO2022008483
(87)【国際公開日】2022-01-13
(31)【優先権主張番号】20184869.4
(32)【優先日】2020-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】591270796
【氏名又は名称】ハバシット アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 晴彦
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【弁理士】
【氏名又は名称】式見 真行
(72)【発明者】
【氏名】ライネリ,イザベル
(72)【発明者】
【氏名】ブロートマン,クルト
【テーマコード(参考)】
4J034
4J040
【Fターム(参考)】
4J034DA05
4J034DB03
4J034DB07
4J034DC02
4J034DP02
4J034DP03
4J034DP04
4J034DP06
4J034DP12
4J034DP13
4J034DP19
4J034DQ18
4J034HA01
4J034HA02
4J034HA06
4J034HA07
4J034HC12
4J034HC34
4J034HC42
4J034HC61
4J034HC67
4J034HC69
4J034RA08
4J040DA151
4J040DM011
4J040EF282
4J040KA16
4J040KA23
4J040NA12
4J040NA16
4J040PA00
(57)【要約】
無水変性ポリオレフィン、無水変性スチレンブロック共重合体、およびイソシアネート含有架橋剤を含む、溶液または分散液の形態の組成物であって、無水変性ポリオレフィンと無水変性スチレンブロック共重合体は、組成物に対して、合計量で7wt%から18wt%の範囲で存在し、無水変性ポリオレフィンに対する無水変性スチレンブロック共重合体の重量比は2:1から6:1の範囲であり;イソシアネート含有架橋剤に対する、無水変性ポリオレフィンと無水変性スチレンブロック共重合体の合計の重量比は0.2:1から0.5:1の範囲であり;および溶媒は第1溶媒としてケトン、およびアルキルベンゼンまたはアルカン溶媒を含む。組成物はTPOと、TPU、ポリエステル、またはPUとの接着に利用できる。組成物は、加熱および任意の加圧により、TPOの第1部材またはコーティングと、TPU、ポリエステル、またはPUの第2部材との接着工程に利用でき、この接着性により剥離強度が向上する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶媒中の溶液または分散液の形態の組成物であって、
無水変性ポリオレフィン、
無水変性スチレンブロック共重合体、および
イソシアネート含有架橋剤
を含み、前記無水変性ポリオレフィンと前記無水変性スチレンブロック共重合体は、合計量で、前記組成物の全体に対して、7重量%から18重量%の範囲で存在し、
前記無水変性ポリオレフィンと前記無水変性スチレンブロック共重合体の重量比は2:1から6:1の範囲であり、
前記イソシアネート含有架橋剤と、前記無水変性ポリオレフィンと前記無水変性スチレンブロック共重合体の合計の重量比は、0.2:1から0.5:1の範囲であり、
前記溶媒は第1成分として、以下の式:
【化1】
[式中、RおよびRは、各々独立して、メチル、エチル、及び分枝鎖又は直鎖のC-Cアルキルからなる群から選択され、ただし、RとRの合計炭素数は4から7の範囲であり;あるいは、RおよびRは結合して、(CH-(式中、mは4から7の整数である。)で表される架橋アルキレンを形成する。]
で表される、1つまたはそれ以上の脂肪族C-Cケトンであるケトン溶媒を含み、第2成分として、それぞれ110℃から170℃の範囲の沸点を有する、1つまたはそれ以上の一置換から三置換の(C-C-アルキル)-ベンゼンであるアルキルベンゼン溶媒、またはC-Cアルカン溶媒のいずれかを含む、組成物。
【請求項2】
無水変性ポリオレフィンが、
(1)ポリエチレン、エチレン-α-オレフィン共重合体(ここで、前記α-オレフィンは、プロペン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、および1-オクテンからなる群から選択される。)、およびポリプロピレンとからなる群から選択されるポリオレフィンを、
-無水マレイン酸
-無水マレイン酸と、ブタ-1,3-ジエン、シクロペンタジエン、またはシクロヘキサ-1,3-ジエンのディールズアルダー反応生成物、および
-無水マレイン酸と、プロペン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、および1-オクテンからなる群から選択されるα-オレフィンの反応生成物
からなる群から選択されるオレフィン無水物とグラフト化することにより、あるいは
(2)前記と同意義であるオレフィン無水物と、エチレンおよび/または上記と同意義であるα-オレフィンとを共重合することにより得られる、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
無水変性スチレンブロック共重合体中のスチレンブロック共重合体が、SBS(スチレン-ブタジエン-スチレン)、SIS(スチレン-イソプレン-スチレン)、およびSEBS(スチレン-(エチレン-コ-ブチレン)-スチレン)からなる群から選択される、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
イソシアネート含有架橋剤が、
(1)最初に塩酸触媒の存在下でアニリンとホルムアルデヒドを反応させ、続いて得られた均質なアニリン-ホルムアルデヒド付加物の混合物をホスゲンと反応させて得られる反応生成物;
(2)2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、m-キシレンジイソシアネート、p-キシレンジイソシアネート、ジイソホロンジイソシアネート、およびジフェニルエーテル-2,4,4-トリイソシアネートからなる群から選択される、または
(3)2,4-トリレンジイソシアネートおよび/または2,6-トリレンジイソシアネートの、ウレチジンジオン-および/または2,4,6-トリオキソトリアジン含有オリゴマー
である、請求項1~3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
溶媒の第1成分がシクロヘキサノンであり、溶媒の第2成分がメチルシクロヘキサン、またはキシレンとエチルベンゼンの混合物である、請求項1~4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
a)溶媒は、メチルシクロヘキサンとシクロヘキサノンの混合物であり、前記メチルシクロヘキサンと前記シクロヘキサノンの重量比は、15:1から30:1の範囲である;
または
b)無水変性ポリオレフィンと無水変性スチレンブロック共重合体は、合計量で、組成物に対して、7重量%から11重量%の範囲で、かつ、無水変性ポリオレフィンと無水変性スチレンブロック共重合体は、重量比2:1から6:1の範囲で存在し;
イソシアネート含有架橋剤は、最初に塩酸触媒の存在下でアニリンとホルムアルデヒドを反応させ、続いて得られた均質なアニリン-ホルムアルデヒド付加物の混合物をホスゲンと反応させて、芳香族アミン基をイソシアネート基に変換することにより得られる反応生成物であり、前記イソシアネート含有架橋剤は、無水変性ポリオレフィンと無水変性スチレンブロック共重合体の合計に対して、0.2:1から0.5:1の重量比の範囲で存在し、および
溶媒は、アルキルベンゼン溶媒とケトン溶媒の混合物であり、前記アルキルベンゼン溶媒と前記ケトン溶媒は、6:1から3:1の重量比である、
のいずれかである、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
b)において、アルキルベンゼン溶媒が、重量比が3:1から2:1のキシレンとエチルベンゼンの混合物であり、および/またはケトン溶媒がシクロヘキサノンである、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記溶媒は、少なくとも95体積%の第1成分としてケトン溶媒および第2成分としてC-Cアルカン溶媒またはアルキルベンゼン溶媒で構成される、請求項1~7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
TPOと、TPU、ポリエステル、またはPUの接着を促進するための、請求項1~8のいずれか1項に記載の組成物の使用。
【請求項10】
無水変性ポリオレフィンが請求項2と同意義であり;無水変性スチレンブロック共重合体が請求項3と同意義であり;またはイソシアネート含有架橋剤が請求項4と同意義である、請求項9に記載の使用。
【請求項11】
加熱および、任意の加圧を使用して、TPOの第1部分の第1表面と、ポリエステルまたはTPUの第2部分の第2表面とを接着させる方法であって、下記工程;
-請求項1~8のいずれか1項に記載の組成物を、第1、および/または第2表面に塗布すること;および、
加熱および任意の加圧を使用して、組成物でコートされた第1表面と第2表面、または第1表面と組成物でコートされた第2表面、または組成物でコートされた第1表面と組成物でコートされた第2表面同士を接着させること
を含む、方法。
【請求項12】
第1表面と第2表面の接着中に、第1および第2表面を、第1部分のTPOの融点よりも20℃から50℃、好ましくは30℃から40℃高い温度に加熱する、ここに、融点は、ISO規格11357-3に従って示差走査熱量測定(DSC)により測定される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
押し出しおよびメルトコーティングによりTPOの第1コーティングと、ポリエステルまたはTPUの第2部分の第2表面とを接着する方法であって、請求項1~8のいずれか1項に記載の組成物を第2表面に塗布し、組み合わせまたは組成物でコートされた第2表面上にTPOを押し出し、およびメルトコーティングする工程を含む、方法。
【請求項14】
TPUの第2コーティングと、TPOの第1部分の第1表面とを、押し出しおよびメルトコーティングにより接着する方法であって、請求項1~8のいずれか1項に記載の組成物を第1表面に塗布し、組成物でコートされた第1表面上にTPUを押し出し、およびメルトコーティングする工程を含む、方法。
【請求項15】
架橋PUの第2コーティングと、TPOの第1部分の第1表面とを、加熱および任意の加圧により接着する方法であって、下記工程:
-請求項1~8のいずれか1項に記載の組成物の、第1表面上への架橋性TPUの塗布;および
-加熱および任意の加圧により、架橋性TPUと、組成物でコートされた第1表面とを接着し、それにより、同時に、架橋性PUは、架橋PUに架橋すること
を含む、方法。
【請求項16】
架橋性PUを、溶媒中の溶液として塗布し、加熱および任意の加圧により接着する前に溶媒を蒸発させる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
組成物を、第1表面および/または第2表面に、第1表面および/または第2表面の全領域の1平方メートルあたり10gから40gの乾燥質量で塗布する、請求項11~16のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、TPO/ポリエステル、TPO/TPU、およびTPO/PUである異なるプラスチックの対同士を接着させるためのプライマーに関する。
【背景技術】
【0002】
TPOは様々な産業分野で使用されている。例として、耐水性を付与するための建造物の屋根のカバー層として、回復フィルム、または膜の形態で使用されている。また、TPOは、自動車産業において、今日ではバンパーなどの多くの部材が、重量を減らすためにTPOから作られており、使用が増えてきている。TPOそれ自体は、表面エネルギーが低いために、他の材料から作られた基材にうまく接着しないという公知の欠点を有する。
【0003】
TPOシートを他の材料の基材に接着する慣習的な方法は、リベット、ねじ、または釘といった、単純な機械的接合によるものであった。この接合方法は、TPO層と基材の間で、接触面全体にわたって密接な接触を形成しない。
【0004】
コンベアベルトの領域では、繊維トラクションレイヤーに接着されたTPOカバー層を有するコンベアベルトが知られている。その一例として、本出願時に出願人により販売されていたクリーンライン(登録商標)シリーズコンベアベルトがある。繊維トラクションレイヤー層は、モノフィラメンの横糸とスパンボンド繊維の縦糸からなる織布である。粗くけば立った表面とスパンボンド縦糸繊維の繊維両端が、TPOと織布との密接な物理的もつれ合いを可能にし、TPOと織布間の不十分な接着を補う。しかしながら、スパンボンド繊維は、靭性が非常に低い。従って、上記のようなコンベアベルトは通常、緩和状態における1%伸び時の引張強さ(k1%緩和)はわずか3~5N/mmと低く、これは上記コンベアベルトが運ぶことができる積載物の重量が制限されることを意味する。この制限は、運搬積載物の重みによりベルトの下方への曲がりがより顕著になるため、コンベアベルトの長さが増大するに伴ってより問題となる。よってそのようなベルトは重量が軽い食品アプリケーションに適している。より重い積載物、および/または、より長さが長い用途に関しては、かくして、典型的には8~12N/mmの範囲のk1%緩和値を有するベルトが要求される場合には、スパンボンド生地のトラクションレイヤーとしての使用はより難しくなる。
【0005】
上記建物の屋根の分野においては、損傷を受けた、または経年劣化したTPOベースの屋根は、TPOに付着してエラストマーに架橋する、水性または溶剤ベースのアクリルラテックスコーティング溶液を修復目的のために上塗りできることで知られている。上記に対応するインターネット上の広告(アルケマコーティングレジンなど)によると、アクリルラテックスの接着は、新しいTPOよりも経年劣化したTPOでの方が著しく良いようであり、このことは、TPOが、そのようなアクリルラテックスが問題なく塗布する前には、大気酸化および/またはUV劣化による表面変性を受けられねばならないことを示唆する。
【0006】
上記の自動車産業の分野においては、TPO製の部材をオーバーペイントすることも知られている。その塗料は、塩素化ポリプロピレンを主要活性成分として含む接着促進剤を介してTPO部材に塗布されていた(例えば、非特許文献1参照)。
【0007】
無水マレイン酸変性(「マレイン化」)ポリオレフィンが市販されており、例として、Amplify(商標)およびFusabond(登録商標)(ダウ)、およびOrevac(登録商標)(アルケマ)タイプなどがある。同様に、無水マレイン酸変性(「マレイン化」)スチレンブロック共重合体が市販されており、例として、Kraton(商標)(Kraton or Shell)SEBSベースタイプなどがある。
【0008】
イソシアネート、及び無水カルボン酸またはカルボン酸は互いに反応し、特に適した触媒の存在下では、それぞれ、ポリアミドまたはポリアミド-イミドを生じることが知られている(例えば、特許文献1参照)。そのようにして得られた生成物は、とりわけ、コーティング組成物として適している。それらは、含侵樹脂として使用されたり、織布や他のポリマー材料などの様々な基材に塗布されたりすることができる。
【0009】
特許文献2は、機能化スチレンブロック共重合体、機能化エチレン/α-オレフィンインターポリマー、およびイソシアネート成分を含み、かつ炭化水素溶媒およびケトンであってもよい極性溶媒を含む組成物を開示している。この組成物は、とりわけPET層、および任意でポリオレフィン層を含む物品のプライマーとして使用できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第4156065号明細書
【特許文献2】国際公開第2017-003600号
【特許文献3】国際公開第94/15981号
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Mirabella et al., Polymer Engineering and Science, Vol. 40(9), pp. 2000-2006 (2004)
【非特許文献2】Ghaemy, M., Roohina, S,, Iranian Polymer Journal 12(1), pp. 21ff. (2003)
【非特許文献3】Siggia, S., and Gordon Hanna, J, Anal. Chem. 23(11), p. 1717ff. (1951)
【非特許文献4】in Dann, J.R., J. Colloid Interf. Sci. 32(2) pp. 302 ff. (1970)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ゆえに、TPO部材またはTPO層を、TPU、ポリエステル(特にPET)、またはPUなどのTPO以外のプラスチック製の部材またはコーティングに一般的に接着できる接着プライマーが、依然として求められている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、以下を提供する:
1.無水変性ポリオレフィン、
無水変性スチレンブロック共重合体、および
イソシアネート含有架橋剤
を含む組成物。
2.無水変性ポリオレフィンが、
1)ポリエチレン、エチレン-α-オレフィン共重合体(ここで、上記α-オレフィンは、プロペン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、および1-オクテンからなる群から選択される)、およびポリプロピレンからなる群から選択されるポリオレフィンを、
-無水マレイン酸、
-マレイン酸無水物と、ブタ-1,3-ジエン、シクロペンタジエン、またはシクロヘキサ-1,3-ジエンとのディールズアルダー反応生成物、および
-マレイン酸無水物と、プロペン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、および1-オクテンからなる群から選択されるα-オレフィンとの反応生成物;
からなる群から選択されるオレフィン無水物とでグラフト化することにより、または、
2)上記と同意義であるオレフィン無水物と、エチレンおよび/または上記と同意義であるα-オレフィンとを共重合することにより得られる、上記[1]に記載の組成物。
3.無水変性スチレンブロック共重合体中のスチレンブロック共重合体が、SBS(スチレン-ブタジエン-スチレン)、SIS(スチレン-イソプレン-スチレン)、およびSEBS(スチレン-(エチレン-コ-ブチレン)-スチレン)からなる群から選択される、上記[1]または[2]の組成物。
4.無水変性ポリオレフィンおよび無水変性スチレンブロック共重合体は、組成物の全体に対して、合計量で7重量%から18重量%の範囲であり、無水変性ポリオレフィンと無水変性スチレンブロック共重合体の重量比は2:1から6:1の範囲である、上記[1]~[3]のいずれか1つに記載の組成物。
5.イソシアネート含有架橋剤が、
i)最初に塩酸触媒の存在下でアニリンとホルムアルデヒドを反応させ、続いて選られた均質なアニリン-ホルムアルデヒド付加物の混合物とホスゲンとを反応させて得られる反応生成物;
ii)2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、m-キシレンジイソシアネート、p-キシレンジイソシアネート、ジイソホロンジイソシアネート、およびジフェニルエーテル-2,4,4-トリイソシアネートからなる群から選択される;または、
iii)2,4-トリレンジイソシアネートおよび/または2,6-トリレンジイソシアネートの、ウレチジンジオン-および/または2,4,6-トリオキソトリアジン含有オリゴマー。
である、上記[1]~[4]のいずれか1つに記載の組成物。
6.イソシアネート含有架橋剤と、無水変性ポリオレフィンと無水変性スチレンブロック共重合体の合計との重量比が0.2:1~0.5:1の範囲である、上記[1]~[5]のいずれか1つに記載の組成物。
7.溶媒中の溶液または分散液の形態である、上記[1]から[6]のいずれか1つに記載の組成物。
8.溶媒は、以下の式:
【化1】
[式中、RおよびRは、各々独立して、メチル、エチル、および分枝鎖または直鎖のC-Cアルキルからなる群から選択され;ただし、RおよびRの合計炭素数は4から7の範囲であり;または、RおよびRは結合して、-(CH-(式中、mは4~7の整数である)で表される架橋アルキレンを形成する。]
で表される、1つまたはそれ以上の脂肪族C-Cケトンであるケトン溶媒を第1成分として含み、第2成分として、それぞれ110℃から170℃の範囲の沸点を有する、1つまたはそれ以上のモノ~トリ(C-C-アルキル)ベンゼンであるアルキルベンゼン溶媒、またはC-Cアルカン溶媒のいずれかを含む、上記[7]に記載の組成物。
9.溶媒の第1成分がシクロヘキサノン、かつ溶媒の第2成分がメチルシクロヘキサン、またはキシレンとエチルベンゼンの混合物である、上記[8]に記載の組成物。
10.
a)無水変性ポリオレフィンと無水変性スチレンブロック共重合体は、合計量で、組成物の全体に対して、7重量%から18重量%の範囲で存在し、かつ、無水変性ポリオレフィンと無水変性スチレンブロック共重合体は、重量比2:1から6:1の範囲であり;
イソシアネート含有架橋剤は、無水変性ポリオレフィンと無水変性スチレンブロック共重合体の合計に対して0.2:1~0.5:1の範囲の重量比で存在し;
溶媒はアルキル溶媒(特にメチルシクロヘキサン)とケトン溶媒(特にシクロヘキサノン)の混合物で、アルキル溶媒とケトン溶媒の重量比は15:1から30:1の範囲である;
または、
b)無水変性ポリオレフィンと無水変性スチレンブロック共重合体は、合計量で、組成物の全体に対して7重量%から11重量%の範囲で存在し、かつ無水変性ポリオレフィンと無水変性スチレンブロック共重合の重量比は2:1から6:1の範囲であり;
イソシアネート含有架橋剤は、最初に塩酸触媒存在下でアニリンとホルムアルデヒドを反応させ、続いて選られた均質なアニリン-ホルムアルデヒド付加物の混合物をホスゲンと反応させて、芳香族アミン基をイソシアネート基に変換することにより得られる反応生成物であり、上記イソシアネート含有架橋剤は、無水変性ポリオレフィンと無水変性スチレンブロック共重合体の合計に対して、0.2:1~0.5:1の重量比で存在し;かつ
溶媒は、アルキルベンゼン溶媒とケトン溶媒の混合物であり、アルキルベンゼン溶媒(特にキシレンとエチルベンゼンの重量比3:1から2:1の混合物)とケトン溶媒(特にシクロヘキサノン)は、6:1から3:1の重量比の範囲である。
のいずれかである、上記[9]に記載の組成物。
11.
TPOと、TPU、ポリエステル、またはPUとの接着を促進するための、
無水変性ポリオレフィン、
無水変性スチレンブロック共重合体、および
イソシアネート含有架橋剤の複合体、または、上記[1]から[10]のうちいずれか1つに記載の組成物の使用。
12.無水変性ポリオレフィンが上記[2]と同意義であり;無水変性スチレンブロック共重合体が上記[3]と同意義であり;イソシアネート含有架橋剤が上記[5]と同意義であり;無水変性ポリオレフィンと無水変性スチレンブロック共重合体の組成物に対する合計量、および無水変性ポリオレフィンと無水変性スチレンブロック共重合体の重量比が上記[4]と同意義であり;イソシアネート含有架橋剤と、無水変性ポリオレフィンと無水変性スチレンブロック共重合体の合計の重量比が上記[6]と同意義であり;または組成物が上記[7]から[10]のいずれか1項と同意義である、上記[11]に記載の使用。
13.加熱および任意の加圧によって、TPOの第1部分の第1表面を、ポリエステルまたはTPUの第2部分の第2表面に接着するための方法であって、下記工程:
無水変性ポリオレフィン、
無水変性スチレンブロック共重合体、および
イソシアネート含有架橋剤
の組み合わせ、または上記[1]から[10]のいずれか1つに記載の組成物を、第1表面、および/または第2表面に塗布すること;および、
組み合わせまたは組成物でコートされた第1表面と第2表面同士を、または、第1表面と組み合わせまたは上記組成物でコートされた第2表面同士を、または、組み合わせまたは組成物でコートされた第1表面と、組み合わせまたは組成物でコートされた第2表面同士を、加熱および任意の加圧によって接着させること
を含む、方法。
14.第1表面と第2表面の接着中に、第1表面および第2表面を、第1部分のTPOの融点よりも20℃から50℃、好ましくは30℃から40℃高い温度に加熱する、ここに、融点は、ISO規格11357-3に従って示差走査熱量測定(DSC)により測定される、上記[13]に記載の方法。
15.TPOの第1コーティングと、ポリエステルまたはTPUの第2部分の第2表面とを、押出しおよびメルトコーティングにより接着する方法であって、下記工程:
無水変性ポリオレフィン;
無水変性スチレンブロック共重合体;および
イソシアネート含有架橋剤;
の組み合わせ、または上記[1]から[10]のいずれか1つに記載の組成物の第2表面への塗布;および、
上記組み合わせまたは上記組成物でコートされた第2表面へのTPOの押出しおよびメルトコーティング
を含む、方法。
16.TPUの第2コーティングと、TPOの第1部分の第1表面とを、押出しおよびメルトコーティングにより接着する方法であって、下記工程:
無水変性ポリオレフィン;
無水変性スチレンブロック共重合;および
イソシアネート含有架橋剤;
の組み合わせ、または上記[1]から[10]のいずれか1つに記載の組成物の第1表面への塗布;および、
上記組み合わせまたは上記組成物でコートされた第1表面へのTPOの押出しおよびメルトコーティング
を含む、方法。
17.架橋性PUの第2コーティングと、TPOの第1部分の第1表面とを、加熱および任意の加圧により接着する方法であって、下記ステップ:
無水変性ポリオレフィン;
無水変性スチレンブロック共重合;および
イソシアネート含有架橋剤;
の組み合わせ、または上記[1]~[10]のいずれか1つに記載の組成物でコートされた第1表面への、架橋性TPUの塗布;
および、架橋性TPUを、加熱および任意の加圧によって、上記複合体または上記組成物でコートされた第1表面に接着させ、同時に架橋性PUは架橋PUに架橋するステップ
を含む方法。
18.架橋性PUを、溶媒中の溶液として塗布し、加熱および任意の加圧により接着する前に溶媒を蒸発させる、上記[17]に記載の方法。
19.上記組み合わせまたは上記組成物を、第1表面および/または第2表面に、第1表面および/または第2表面の全領域の、1平方メートルあたり10から40gの乾燥質量で塗布する、上記[13]~[18]のいずれか1つに記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の組成物と組み合わせは、第1に、無水変性ポリオレフィンを含む。「水変性ポリオレフィン」とは、無水部を欠いている状態のポリオレフィンに、無水物含有側鎖または無水物含有部をグラフトしたものと理解される。ここで変性されるポリオレフィンは、ポリエチレン、エチレン-α-オレフィン共重合体(ここで、上記α-オレフィンは、プロペン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、および1-オクテンからなる群から選択される)、またはポリプロピレンであることが好ましく、ポリエチレンまたはポリプロピレンであることがより好ましい。グラフト反応は、好ましくは、フリーラジカルメカニズムであり得る。これは、典型的には、出発ポリオレフィンの融解状態、好ましくは出発ポリオレフィンの融点から260℃までの範囲の温度で(出発ポリマーがシャープな融点を有する場合)、または出発ポリオレフィンの融解範囲の上限温度境界値から260℃までの範囲の温度(出発ポリオレフィンが融解範囲を有する場合)で行われる。グラフト化は、融解出発ポリオレフィンと、フリーラジカル開始剤およびオレフィン無水物とを、バンバリーミキサーまたは押出機中で、典型的には20秒から2分の範囲の時間、混合することにより行うことができる。開始剤は、通常、熱開始剤、例えばジアシルペルオキシド、α-オキシ-およびα-ペルオキシヒドロペルオキシド、またはヒドロペルオキシドであり、好ましくは、ジベンゾイルペルオキシドである。オレフィン無水物は、無水マレイン酸;無水マレイン酸と、ブタ-1,3-ジエン、シクロペンタジエン、またはシクロヘキサ-1,3-ジエンとのディールズアルダー反応生成物;および無水マレイン酸と、上記で例示したα-オレフィンの1つとの反応生成物(後者の反応生成物は、当該技術領域では「アルケニルコハク酸無水物」と呼ばれる)からなる群から選択されることが好ましい。開始剤の量は、好ましくは、出発ポリオレフィンに対して0.1~0.5重量%の範囲である。オレフィン無水物の量は、通常、出発ポリオレフィンに対して0.1~10重量%であり、好ましくは0.2~5重量%である。このフリーラジカルグラフト化は、特に無水マレイン酸自体で行う場合、特許文献3に記載されているように、コモノマーとして、(上記で例示した)α-オレフィンおよびスチレンの存在下で行うこともできる。
【0015】
「無水変性ポリオレフィン」は、別として、本発明の文脈において、上記で例示したオレフィン無水物がコモノマーとして、エチレンおよび/または上記で例示したα-オレフィンに、当該技術領域で慣習的に用いられているフリーラジカル機構により直接的に共重合したものと、理解される。
【0016】
「無水変性ポリオレフィン」の上記2つの意味のいずれにおいても、無水部(-C(O)-O-(O)-C-)の量は、無水変性ポリオレフィンに対して、好ましくは0.1~5重量%であり、より好ましくは、0.5~2重量%である。ここで、上記無水部の量は、メタノール中のカリウムメトキシド溶液の定量滴定により測定することができる。
【0017】
本明細書の導入部で述べたように、商業的に利用可能なマレイン化ポリオレフィンも、本発明の目的において適している。
【0018】
無水変性ポリオレフィンは、本発明の目的に関して、好ましくは、熱可塑性であり得、つまり、化学架橋していないか、または本発明の組成物の調製用に想定される溶媒に対する有用な濃度での溶解性を維持できるような弱い程度に化学架橋しているのみである。無水変性ポリオレフィンのメルトフローレート(MFR)については、2.16kg荷重において、好ましくは0.5~40g/10分、より好ましくは1~20g/10分の範囲である。ここで、MFRは、150℃未満の融点を有するか、または全領域にわたって150℃未満の融解範囲を有する無水変性ポリオレフィンについては、190℃の融解温度で測定され;および150℃以上の融点を有するか、または下限温度境界値が150℃以上である融解範囲を有する無水変性ポリオレフィンについては、230℃の融解温度で測定される。
【0019】
本発明の組成物と組み合わせは、第2に、無水変性スチレンブロック共重合体を含む。スチレンブロック共重合体自体は、慣用的に知られており、スチレンと、1,3-ジオレフィン、および任意でエチレンとのイオン共重合によって得られる。スチレンブロック共重合体は、好ましくは、SBS(スチレン-ブタジエン-スチレン)、SIS(スチレン-イソプレン-スチレン)、およびSEBS(スチレン-(エチレン-co-ブチレン)-スチレン)からなる群から選択され、最も好ましくはSEBSである。
【0020】
「無水変性スチレンブロック共重合体」は、無水部を欠いている状態のスチレンブロック共重合体に、無水物含有側鎖または無水物含有部をグラフトしたものと理解される。ここで、変性される出発スチレンブロック共重合体は、出発スチレンブロック共重合体の全重量に対して、ポリスチレンブロックシークエンスを、好ましくは20~70重量%、より好ましくは25~50重量%含む。グラフト化反応は、上記無水変性ポリオレフィンに関して記載したものと類似の方法で行うことができる。
【0021】
無水変性スチレンブロック共重合体中の無水部の含有量に関しての好ましい実施形態およびその測定方法は、上記無水変性ポリオレフィンに関して記載したとおりである。
【0022】
本発明の目的に関して、無水変性スチレンブロック共重合体は、熱可塑性または熱可塑性エラストマーであり、つまり、架橋していないか、または、本発明の組成物の調製用に想定される溶媒に対する有用な濃度での溶解性を維持できるような弱い程度に化学架橋しているのみである。無水変性スチレンブロック共重合体のメルトフローレート(MFR)は、荷重5kg、および融解温度230℃で、好ましくは5~50g/10分の範囲、より好ましくは、10~40g/10分の範囲である。
【0023】
本明細書の導入部で述べたように、商業的に利用可能なマレイン化スチレンブロック共重合体も、本発明の目的において適している。
【0024】
本発明の組成物および組み合わせ中の、無水変性ポリオレフィンと無水変性スチレンブロック共重合体の重量比は、好ましくは2:1~6:1の範囲、より好ましくは3:1~5:1の範囲、最も好ましくは3.5:1~4.5:1の範囲である。
【0025】
本発明の組成物は、第3に、イソシアネート含有架橋剤を含む。用語「架橋剤」は、2つのポリマー鎖間に共有結合性の連結を生成することができる化合物という、一般的な意味を有し、ゆえに2つのポリマー鎖と反応できる官能基を2つ以上必要とする。従って、本発明の目的に関し、架橋剤は、2つ以上のNCO官能基、好ましくは3つ以上のNCO官能基を有する化合物である。特に、脂肪族、および/または芳香族ポリイソシアネートが適している。上記のタイプのポリイソシアネートは、とりわけ、ビウレット化され、任意でヘキサンジイソシアネートおよび/またはイソホロンジイソシアネーなどの脂肪族または環状脂肪族ジイソシアネートのウレチジンジオン含有ポリイソシアネート、ヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、2,4-/2,6-トルイレンジイソシアネートのシアヌレート、または、任意で、ポリイソシアネートまたは混合ポリマー化ポリイソシアネートの混合物を含有する。また、ジエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、ジプロピレングリコール、およびその他ジオールなどのジアルコールと混合した、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリトリトール、または他のポリオールと、モル過剰量のトルオイレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、またはこれらの異性体混合物との反応生成物、および、ジ-およびトリ-エチレングリコール、ジ-、およびトリ-プロピレングリコールと、モル過剰量のトルイレンジイソシアネート、またはジフェニルメタンジイソシアネートとの反応生成物の、単独または混合物も適している。
【0026】
好ましくは、イソシアネート含有架橋剤は、下記(i)から(iii)のうちの1つである:
i)最初に、塩酸触媒存在下でアニリンとホルムアルデヒドを反応させ、次に、得られた均質なアニリン-ホルムアルデヒド付加物の混合物をホスゲンと反応させて、芳香族アミン基をイソシアネート基に変換することにより得られる反応生成物。この反応生成物は、従来のものであり、それぞれ本質的に、下記構造式:
【化2】
[式中、nは、好ましくは0~20の範囲、より好ましくは1~10の範囲の整数であり、メチレン鎖は、NCO基に対してオルト、メタ、またはパラ位に存在し得る。]
で表される化合物の混合物であると考えられる。
ii)2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、m-キシレンジイソシアネート、p-キシレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート、meta-テトラメチルキシリレンジイソシアネート、トランス-シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、またはジフェニルエーテル-2,4,4-トリイソシアネート。
iii)2,4-トリレンジイソシアネートおよび/または2,6-トリレンジイソシアネートの、ウレチジンジオン-、および/または2,4,6-トリオキソトリアジン含有オリゴマー。このオリゴマーは、下記構造(I)を有し得る:
【化3】


[式中、Xは、ウレチジンジオンを形成する直接結合であるか;または下記構造(II):
【化4】


で表される、2,4,6-トリオキソトリアジンを形成する2価の基である、ここで、上記構造(I)と(II)において:
-それぞれのフェニル環上で、その2つのNCO含有置換基は、互いにメタ位にあり;および、そのメチル置換基は、その両方のNCO含有置換基のオルト位にあるか、または、そのNCO含有置換基のうちの一方のオルト位にあり、かつ、他方のNCO含有置換基のパラ位にある;および、
-Yは直接結合、または他のウレチジンジオンを形成する上記構造(II)の更なる2価の基、または下記構造(III):
【化5】


[式中、全ての記号は、上記の構造(I)と(II)の記載と同意義である。]
で表される、他の2,4,6-トリオキソトリアジンを形成する2価の基である。
ただし、構造(I)のオリゴマーは、本発明で必要とされる濃度で、組成物の溶媒に溶解性を維持する。これは、構造(1)のオリゴマーが、好ましくは、m×174.2g/mol(式中、mは7、好ましくは5である。)以下の分子量を有することを意味する。]
【0027】
最も好ましくは、上記構造(I)において、X、および全てのYは、直接結合であり、つまり、構造(I)で表される化合物は、2,4-トリレンジイソシアネート、および/または2,6-トリレンジイソシアネートの2量体である;または、Xは、上記構造(II)で表される2価の基であり、全てのYは、直接結合であり、つまり、構造(I)で表される化合物は2,4-トリレンジイソシアネート、および/または2,6-トリレンジイソシアネーの3量体である。
【0028】
これらのオリゴマーは、例えば、2,4-トリレンジイソシアネート、および/または2,6-トリレンジイソシアネートを、トルエンおよび/またはオルト-ジクロロベンゼンなどの適切な溶媒中、触媒量のピリジンの存在下で、室温で反応させ、続いて任意で40℃~100℃の範囲の温度に加温して、オリゴマーの分子量を制御することにより、慣習的に得ることができる。かかるmが3、5、または7であるオリゴマーは、公知であり、EC登録番号938-708-5で登録されている。
【0029】
出発物質としての単離イソシアネート含有架橋剤中のNCO含有量は、イソシアネート含有架橋剤に対して、好ましくは5~40重量%、より好ましくは10~35重量%である。この測定は、本発明の目的に関しては、DIN規格11909(2007)に従って室温で行うことができる。
【0030】
出発物質としての、単離無水変性ポリオレフィンまたは単離無水変性スチレンブロック共重合体中の無水部(-C(O)-O-(O)-C-)の含有量は、本発明の目的に関して、非特許文献2に記載の方法に従って測定できる。無水変性ポリオレフィン、または無水変性スチレンブロック共重合体の1.00gのアリコートを、水飽和キシレン中の溶液として加熱し、還流する。高温状態の溶液に、指示薬としてDMF中の1%チモールブルーを3~4滴、および指示薬のブルーエンドポイントを得るなどのため、既知の0.05Nのエタノール性KOHを過剰量加える。KOHの過剰残存分は、指示薬のイエローエンドポイントまで、0.05Nのイソプロパノール性HCLで逆滴定する。分析アリコートの重量に対する無水部の重量%は、
以下の式:
【数1】


[ここで、
KOHは、チモールブルーのブルーエンドポイントに到達するまでに要した、エタノール性KOHの過剰体積(ml)である;
HClは、チモールブルーのイエローエンドポイントまで逆滴定するために要した、イソプロパノール性HCLの体積(ml)である;
Nは、エタノール性KOH、およびイソプロパノール性HClの規定度である(ゆえにいずれの場合も0.05Nである);
MWanhydrideは、無水部(-C(O)-O-(O)-C-)の分子量で、ゆえに72.02g/molである;および
aliquotは、無水物含有アリコートの質量であり、ゆえに1.00gである。]
から得られる。
【0031】
本発明の組成物全体の乾燥質量中の無水部の含有量の測定には、含まれるイソシアネート基を、無水部の測定を妨げない他の基へあらかじめ変換しておくことが必要である。これは、まず乾燥キシレン溶液中、還流下で、組成物と、乾燥質量でイソシアネートの推定含有量1モルあたり2~10モルの過剰量で、安息香酸を反応させることで簡便に行うことができる。1イソシアネート基あたり1つのCO分子の損失を伴って、不可逆的にイソシアネートはベンズアミドに変換される。乾燥物質中に存在する無水物は、ベンゾイル部を含む混合無水物と反応、または変性しないため、無水部(-C(O)-O-(O)-C-)の全体量は変化しない。反応後、混合物を蒸発させて乾燥し、乾燥質量を再び得ることができる。
【0032】
乾燥質量中の無水部の測定は、遊離カルボン酸(安息香酸、または安息香酸との上記無水変性によって放出される他の遊離カルボン酸)の存在下で行う必要がある。これは非特許文献3に記載と同様の方法により行うことができる。乾燥質量の無水物含有の1.00gのアリコートを、乾燥キシレン中の溶液として、アリコート中の無水部の推定含有量1モルあたり2~20モルの過剰量を正確に定量したアニリンと共に加熱し、還流する。アニリンは、無水部と反応するが、遊離カルボン酸基とは顕著には反応しない。溶液を室温まで冷却し、残存している過剰の遊離アニリンを、DMF中のチモールブルーを指示薬として、0.05Nイソプロパノール性HClを使用して、指示薬のレッドエンドポイントまで逆滴定する。上記で使用したものと同量のアニリンを、上記と同一の条件下でHClで直接的に滴定する。分析アリコートの重量に対する無水部の重量%は、以下の式:
【数2】


[ここで、
は、無水含有アリコートと反応したアニリン量に関して、チモールブルーのレッドエンドポイントに到達するまでに要した、イソプロパノール性HClの体積(ml)である;
は、HClで同様に滴定した上記のアニリンに関して、チモールブルーのレッドエンドポイントに到達するまでに要した、イソプロパノール性HClの体積(ml)である;
HClは、イソプロパノール性HClの規定度である(ゆえに0.05Nである);
MWanhydrideは、無水部(-C(O)-O-(O)-C-)の分子量であり、ゆえに72.02g/molである;および
aliquotは、過剰アニリンと反応した無水含有アリコートの質量であり、ゆえに1.00gである。]
から得られる。
【0033】
組成物全体(ゆえに任意の溶媒や他の任意の成分を含む)1gあたりの無水部の重量%含有量は、組成物全体の1アリコートを正確に計量し、アリコートを高温および/または真空化で蒸発させて乾燥し、乾燥アリコートを再び計量し、組成物の乾燥質量含有量を得て、安息香酸を用いてイソシアネートをアミドにする上記の変換を行い、乾燥質量における無水物含有量を分析し、組成物全体の乾燥物質含有量によって得られた乾燥質量の無水部の重量%含有量を補正することで得られる。
【0034】
上記の数式1により決定される、組成物全体(溶媒を含む)の無水部(-C(O)-O-(O)部として)の含有量は、組成物全体1gあたり、好ましくは5×10-4モル~5×10-3モルの範囲、より好ましくは6×10-4モル~3×10-3モルの範囲である。上記の数式2により決定される、組成物(溶媒を除く)の乾燥質量に対する無水部(-C(O)-O-(O)-C-)の含有量は、組成物の乾燥質量1gあたり、好ましくは5×10-3モル~5×10-2モルの範囲、より好ましくは5×10-3から2×10-2モルの範囲である。
【0035】
イソシアネート含有架橋剤と、無水変性ポリオレフィンと無水変性スチレンブロック共重合の合計との重量比は、本発明の組成物および組み合わせのどちらにおいても、好ましくは0.2:1~0.8:1の範囲である。
【0036】
本発明の組成物は、好ましくは溶液または分散液の形態であり、より好ましくは溶媒中の溶液の形態である。
【0037】
一方、上記溶媒は、好ましくは、以下の式:
【化6】
[式中、RおよびRは、それぞれ独立して、メチル、エチル、および分枝鎖または直鎖C-Cアルキルからなる群から選択され、ただし、RとRの合計炭素数は4~7の範囲である;または、RおよびRは互いに結合して、架橋アルキレン-(CH-(式中、mは4~7の範囲の整数である)を形成する。]
で表される、1つまたはそれ以上の脂肪族C-Cケトンを第1成分として含む。より好ましくは、上記式のRとRは、互いに結合して、架橋アルキレン-(CH-(式中、mは5~6の範囲の整数である)を形成する。最も好ましくは、ケトン溶媒は、本質的に(ケトン溶媒に対して、体積比で95%以上を意味する)シクロヘキサノンである。
【0038】
溶媒は、好ましくは、ケトン溶媒に加え、もう一方でC-C-アルカン溶媒を第2成分として含む。C-C-アルカン溶媒は、好ましくは、1つまたはそれ以上のメチル置換シクロアルカンであり、より好ましくは、それぞれ80℃~130℃の範囲の沸点を有し、さらに好ましくは90℃~120℃の範囲の沸点を有する。C-C-アルカン溶媒が、複数種のC-C-アルカンの混合物である場合、混合物は、好ましくは90℃~140℃の温度範囲に完全に収まる沸点範囲を有し、より好ましくは100℃から130℃の温度範囲に完全に収まる沸点範囲を有する。C-C-アルカンのより好ましい例は、メチルシクロヘキサン、1,2-ジメチルシクロヘキサン、1,3-ジメチルシクロヘキサン、および1,4-ジメチルシクロヘキサンからなる群から選択される。最も好ましくは、C-C-アルカン溶媒は、本質的に(C-C-アルカン溶媒に対して、体積比で95%以上を意味する)メチルシクロヘキサンである。
【0039】
別として、溶媒は、ケトン溶媒の他に、第2成分としてアルキルベンゼン溶媒を含む。アルキルベンゼン溶媒は、1つまたはそれ以上のアルキルベンゼンであり、好ましくはそれぞれ110℃~170℃の範囲の沸点を有し、より好ましくは130℃~150℃の範囲の沸点を有する。アルキルベンゼン溶媒が複数種のアルキルベンゼンの混合物である場合、混合物は、好ましくは110℃~170℃の温度範囲に完全に収まる沸点範囲を有し、より好ましくは130℃~150℃の温度範囲に完全に収まる沸点範囲を有する。アルキルベンゼンのより好ましい例は、モノ~トリ(C-C-アルキル)ベンゼンであり、さらに好ましくは、モノ~ジ(C-C-アルキル)ベンゼン(ただし、上記の必要な沸点または沸点範囲を満たす)で、さらに好ましくは、o-、m-、およびp-キシレン、およびエチルベンゼンからなる群から選択される。最も好ましいアルキルベンゼン溶媒は、キシレンとエチルベンゼンの混合物であり、特にキシレンとエチレンの重量比は3:1から2:1の範囲である。
【0040】
溶媒は、好ましくは、本質的に、つまり95体積%以上のケトン溶媒を第1成分として含み、かつC-C-アルカン溶媒(またはアルキルベンゼン溶媒)を第2成分として含む。これらの好ましい溶媒については、下記のさらなる特徴を有することがより好ましい:
a)1つまたはそれ以上のケトンのそれぞれの沸点は、1つまたはそれ以上のC-C-アルカンの沸点よりも40℃~70℃、好ましくは50℃~60℃高い。
b)1つまたはそれ以上のケトンのそれぞれの沸点は、アルキルベンゼンの混合物の沸騰範囲の上限境界温度値よりも10℃~30℃、好ましくは15℃から25℃高い。
c)アルキルベンゼンとケトンの重量比は、10:1~3:1の範囲である。
d)C-C-アルカン溶媒(またはアルキルベンゼン溶媒)は、いずれのケトンとも、共沸混合物を形成しない。
【0041】
最も好ましくは、第1に、溶液形態である本発明の組成物である;組成物は、無水変性ポリオレフィンおよび無水変性スチレンブロック共重合体を、組成物全体に対して、合計量で7~18重量%の範囲で含み、かつ無水変性ポリオレフィンと無水変性スチレンブロック共重合体の重量比は、2:1~6:1の範囲であり;組成物は、イソシアネート含有架橋剤を、無水変性ポリオレフィンと無水変性スチレンブロック共重合体の合計に対して、重量比0.1:1~0.4:1の範囲で含み;かつ溶媒は、アルキル溶媒(特にメチルシクロヘキサン)とケトン溶媒(特にシクロヘキサノン)の混合物(ここで、アルキル溶媒とケトン溶媒の重量比は15:1から30:1の範囲である)である。
【0042】
最も好ましくは、第2に、溶液形態である本発明の組成物である;組成物は、無水変性ポリオレフィンおよび無水変性スチレンブロック共重合を、組成物全体に対して、の合計量で7~11重量%含み、かつ無水変性ポリオレフィンと無水変性スチレンブロック共重合の重量比は、2:1~6:1の範囲であり;組成物は、最初に塩酸触媒の存在下でアニリンとホルムアルデヒドを反応させ、次に、得られた均質なアニリン-ホルムアルデヒド付加物の混合物をホスゲンと反応させて、芳香族アミン基をイソシアネート基に変換することにより得られた反応生成物であるイソシアネート含有架橋剤を含み、かつ上記イソシアネート含有架橋剤を、無水変性ポリオレフィンと無水変性スチレンブロック共重合体の合計に対して、重量比0.1:1~0.4:1の範囲で含み、かつ組成物は、アルキルベンゼン溶媒とケトン溶媒の混合物(ここで、アルキルベンゼン溶媒(特にキシレンとエチルベンゼンの重量比3:1~2:1の混合物)とケトン溶媒(特にシクロヘキサノン)の重量比は6:1~3:1の範囲である)に溶解している。
【0043】
本発明の組成物は、著しく低い粘度を有する。これにより本発明の組成物を、ドクターブレード、キスコーター、またはナイフオンエアーのアプリケーターなどの液体用の通常のアプリケーターを用いて、液体状態で塗布することが可能になる。
【0044】
さらに本発明の組成物は、チキソトロピー挙動を示す。用語「チキソトロピー」は、以下に示す2つの特性として理解される:
【0045】
a)初期粘度(剪断処理前)と最終粘度(剪断速度を50s-1から300s-1に増加させ、再び50s-1に戻す剪断処理後)の高比率;および
b)剪断速度を50s-1から300s-1に増加させた際の、剪断速度依存の剪断応力(Pa)曲線下の面積と、剪断速度を再び50s-1に戻した際の、剪断速度依存の剪断応力曲線下の面積との間の、数学的な差異。この面積の差異は、当該技術領域においては通常、通常「粘度ヒステリシス」として指定されている。
【0046】
本発明の目的において、上記粘度ヒステリシスは以下の式(3)を用いる合計としておおよそ計算できる:
【数3】

[式中、
およびS(i+1)は、それぞれ、実験的に測定された粘度における、i番目および(i+1)番目の剪断速度である;
incv(S)およびincv(S(i+1))は、それぞれ、20℃で、かつ剪断速度をSからS(i+1)に増加させた際の、剪断速度SおよびS(i+1)での粘度を実験的に測定した粘度(Pa・s)である;
decv(S(i+1))およびdecv(S)は、それぞれ、20℃で、かつ剪断速度をS(i+1)からSに減少させた際の剪断速度S(i+1)およびSでの粘度を実験的に測定したものである;および
ΔSは、SとS(i+1)の間のi番目の微分変化(differential change)であり、これらの微分変化は、それぞれ、点(S,v(S))と点(S(i+1),v(S(i+1))の間の直線が、実験誤差内で、SからS(i+1)の範囲の曲線v(S)を表すように選ばれる。ただし、ΔSは最大で3.0s-1である。]
【0047】
上記チキソトロピー挙動は、第1または第2表面への組成物の塗布に際に望ましい。組成物を、保存容器の中などにしばらく静置する場合、それは高粘度になるか、ゲル状の粘度になり得る。容器中の組成物を高剪断下で攪拌すると、組成物は低粘度の液体に変化する。本発明の組成物は、上記の通りチキソトロピー性を有するため、いったん容器中の攪拌を止めても、すぐには再ゲル化せず、一定の静置時間の間は液状のままである。組成物を第1、および/または第2表面に塗布し、許容した後、本発明の組成物は、第1、および/または第2表面上で再増粘できるような静置時間で再び静置してもよい。これにより、第1、および/または第2ピースを、ドリッピングによる組成物の損失のリスクなく、さらに処理することができる。塗布後の組成物の高い粘度は、特に、塗布後の組成物の粘度が低すぎる場合に、生地のメッシュへの、組成物の望ましくない浸透または流出が生じ得る第2部分が生地の形態である場合に望ましい。
【0048】
本発明の組成物は、好ましくは、ハロゲンおよびハロゲン含有化合物を欠く、つまり、組成物の乾燥含有量に対して0.1重量%未満、好ましくは0.05重量%未満しか含まない。上記含有量はCHNX元素分析によって測定可能である。
【0049】
本発明の組成物および組み合わせは、特に、TPO/ポリエステル、TPO/TPU、およびTPO/PUの材料の対の接着用プライマーとして適している。
【0050】
典型的な組み合わせは、
TPOの第1部分と、TPU、ポリエステル、またはPU製の第2部分;
TPOの第1コーティングと、TPU、ポリエステル、またはPU製の第2部分;および
TPOの第1部分と、TPU、ポリエステル、またはPUの第2コーティング
である。
【0051】
互いに接着させるより好ましい組み合わせは、TPOシート/ポリエステルシート、TPOシート/ベア(含侵されていない)ポリエステルの織布または不織布、TPOシート/TPU含侵ポリエステルの織布または不織布、TPOシート/TPUシート、TPOシート/PUシート、またはTPOシート/PUコーティング層である。特に好ましい材料の対は、TPOシート/ベア(含侵されていない)ポリエステル、およびTPO/TPU含侵ポリエステルの織布または不織布である。
【0052】
第1部分またはコーティングのTPOは、純粋な脂肪族、脂肪族/芳香族混合、または純粋な芳香族のいずれでもよい。好ましくは、TPOは純粋な脂肪族である。
【0053】
最も好ましくは、TPOは、純粋な脂肪族で、以下から選択される:
エチレンホモポリマー、即ち、-CH-CH-繰り返し単位全体に対して、-CH-CH-以外の繰り返し単位を0.5モル%未満、好ましくは0.1モル%未満有するポリマー。ただし、この含有量は、H-NMRによって定量される;
プロピレンホモポリマー、即ち、-CH(CH)CH-繰り返し単位全体に対して、-CH(CH)CH-以外の繰り返し単位を0.5モル%未満、好ましくは0.1モル%未満有するポリマー。ただし、この含有量は、H-NMRによって測定される;
エテン/プロペン共重合体;
エテン/α-オレフィン共重合体、ここに、α-オレフィンは、プロペン、1-ブテン、2-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、および1-オクテンからなる群から選択され得る;
ポリエチレン、および/またはポリプロピレンのハードセグメント、およびエテン/プロペンゴムまたは非架橋エテン/プロペン/ブタジエンゴムのソフトセグメントを含むブロック共重合体;および
ポリエチレンおよび/またはポリプロピレン、およびエテン/プロペンゴム、および/または非架橋エテン/プロペン/ブタジエンゴムのブレンド。
【0054】
第1TPO部分は、より好ましくは、平面状第1表面を有するシート状の材料である。この場合、25℃におけるシート状TPO材料の第1表面の臨界第1表面エネルギーは、好ましくは28~38ミリニュートン/メートル(mN/m)の範囲、より好ましくは30~38mN/mの範囲である。
【0055】
本発明の目的に関して、上記の平面状TPOの第1表面の臨界第1表面エネルギーは、Zismanプロットを使用して測定でき、ここでは、試験溶媒のセットの既知の第1表面張力γL(x軸)を、試験対象のTPO表面との、25℃でセサイルドロップ(静的)法により測定された、それぞれの観測接触角(y軸)のコサインに対してプロットし、選られた(x/y)測定点のセットを、線形回帰直線によって近似し、求められる試験対象のTPO表面の臨界表面エネルギーを、上記線形回帰直線と水平直線y=1.0(接触角のコサイン=1.0、つまり接触角=0)の交点のx値として得る。ホルムアルデヒド(FM)またはエチレングリコール(EG)と2-エトキシエタノール(EE)の混合物である、上記試験溶媒のセットは、下記の表1に示す:

【表1】
ただし、ジスマンプロットにおいては、試験対象のTPO表面との接触角が0より大きい(TPO表面上に試験溶媒が広がらない)表1の試験溶媒のみ使用できる。接触角を測定するための試験の設定と条件は、例えば非特許文献4に記載のものを使用できる。
【0056】
第1TPO部分は、典型的には、上記の好ましい範囲の臨界第1表面張力を有する平面状の第1表面を有する。これは本発明の方法および組成物に関して、プラズマ処理、または空気あるいは空気/オゾン中の自動酸化、および/または日光などの、第1表面のいかなる前処理も必要としない。ただし、かかる第1表面の前処理は、組成物と第2部分の接着力をより高めるために、任意で行ってもよい。
【0057】
第1TPOコーティングは、典型的には、押出しコーティングダイなどを使用して、第2部分上にメルトコーティングまたは押出しコーティングすることで作製される。上記のようなインサイツ(in situ)で形成されたTPOコーティングは、大気中の光または酸素と未だ接触していないであろう、溶融した未処理のTPOによってインサイツで界面が形成されるため、第2部分との界面に、臨界第1表面張力を、上記の好ましい範囲で自動的に有する。
【0058】
第2部分またはコーティング用のポリエステルは、一般的に、当該技術領域で知られているいずれの合成ポリエステルを使用できる。本発明の目的に関して、TPUの説明の範囲内のポリエステルソフトセグメントとして、以下に示すものと同様であってもよい:ジオールとジカルボン酸との反応、またはより簡便には、ジオールと、ジカルボン酸のジメチルエステルを反応(エステル交換反応)させ、低沸点のメタノールを沸騰させたもの。ポリエステル用のジオールは、脂肪族直鎖または分枝鎖C-Cジオールであり、任意で飽和C-C炭素環を含んでいてもよい。上記ジオールの例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、2-メチルプロパンジオール、3-メチルペンタン-1,5-ジオール、1,6-ヘキサンジオール、またはシクロヘキサンジメタノール、およびこれらジオールの混合物などが挙げられる。ポリエステルジオール用のジカルボン酸は、脂肪族直鎖または分枝鎖C-Cジカルボン酸である。上記ジカルボン酸の例としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、およびアジピン酸、またはこれらのジメチルエステル、セバシン酸、無水フタル酸、無水テトラクロロフタル酸、またはテレフタル酸ジメチル、またはこれらの混合物などが挙げられる。ポリエステルは、ジオール末端、または任意で、適切なエーテル化、エステル化、炭酸塩形成、またはウレタン形成末端基によりエンドキャップしてもよい。より好ましくは、ポリエステルは、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PTT(ポリトリメチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PC(ポリカーボネート)、PEC(ポリエステルカーボネート)、およびPAR(芳香族ポリエステル)である。
【0059】
第2部分またはコーティング用のTPUは、一般的に、ジイソシアネート含有ハードブロックセグメントとポリエステルジオールソフトブロックセグメントの反応から得ることができ、反応混合物中に存在するイソシアネート基とイソシアネート反応ヒドロキシ基のモル比「NNCO」/「NOH」は、0.9~1.1、より好ましくは0.95~1.05、最も好ましくは0.99~1.01である。上記比においてNNCOは、混合物中のイソシアネート基の数であり、アミンにより滴定し、続いて基準の酸を用いて過剰アミンを逆滴定することで得ることができ、混合物の乾燥(または純粋な、無溶媒)重量1gあたりのイソシアネート基のmmolで表され、NOHは、混合物の乾燥(または純粋な、無溶媒)重量1gあたりの水酸基のmmolで表される、化合物の混合物の水酸基価である。ジイソシアネート含有ハードブロックは、ジイソシアネートとジオール鎖延長剤の反応によって得ることができる。ジイソシアネートは、純粋な化合物であっても、ジイソシアネートの混合物であってもよい。一の好ましい実施形態においては、ジイソシアネートは、芳香族ジイソシアネートであり、より好ましくは2,2’-、2,4’-、または好ましくは4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートである。適切なジオール鎖延長剤は、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-プロパンジオール、2-メチルプロパンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,3-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、および3-メチルペンタン-1,5-ジオールなどの脂肪族C-C-ジオール、または、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、およびトリプロピレングリコールなどのグリコールエーテル、および、エタノールアミン、N-メチルジエタノールアミンなどのアミノアルコールなどを含む。使用するポリエステルジオールソフトセグメントは、好ましくは500~20000の分子量を有する。これらは、ジオールとジカルボン酸の反応、またはより簡便には、ジオールとジカルボン酸のジメチルエステルを反応させ(エステル交換反応)、低沸点のメタノールを蒸発させることにより調製され得る。ポリエステルジオール用のジオールは、脂肪族直鎖または分枝鎖C-Cジオールであり、炭素飽和C-C環を含んでもよい。これらの例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、2-メチルプロパンジオール、3-メチルペンタン-1,5-ジオール、1,6-ヘキサンジオール、またはシクロヘキサンジメタノール、およびこれらジオールの混合物が挙げられる。ポリエステルジオール用のジカルボン酸は、脂肪族直鎖または分枝鎖C-Cジカルボン酸である。これらの例としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、およびアジピン酸、またはこれらのジメチルエステル、セバシン酸、無水フタル酸、無水テトラクロロフタル酸、またはテレフタル酸ジメチル、またはこれらの混合物が挙げられる。
【0060】
第2コーティング用のPUは、少なくとも弱い架橋を含むポリウレタンである。これらのPUコーティングは、ジ-、トリ-、および/またはポリイソシアネートおよび高分子ジオールの混合物から製造され、既にある程度自己架橋していてもよい架橋性TPUから得ることができる。ここで、ジ-、トリ-、またはポリイソシアネートは、典型的には、上記で例示したイソシアネート含有架橋剤のうちの1つである。ここで高分子ジオールは、特にジヒドロキシでエンドキャップされたTPUであってもよい。これは、TPUそのものの製造において上記で例示したような適切なジオールを用いて、ヒドロキシ基で両末端を保護することによって、第2部分のTPUに関して記載したように、TPUから得ることができる。別法として、高分子ジオールは、ポリエステルジオール(1,2-ジヒドロキシエタン、1,2-または1,3-ジヒドロキシプロパン、1,2-、1,3-、または1,4-ジヒドロキシブタン、および/または1,6-ジヒドロキシヘキサンとアジピン酸の縮合重合などにより製造される)、ポリエーテルジオール(オキシラン、1,2-エポキシプロパン、1,2-エポキシブタンまたはテトラヒドロフランの開環重合などにより製造される)、ポリカプロラクトンジオール(ε-カプロラクトンの開環重合により製造される)、またはポリカーボネートジオール(上記のポリエステルジオールにおいて例示したような、ジオールと、ジメチルまたはジエチルカーボネートとの縮合重合などにより製造される)であってもよい。予備反応は、ヒドロキシ部に対してイソシアネート部がモル過剰存在するような(通常、予備反応完結後のプレポリマー中にも過剰に存在する)、ポリイソシアネートとポリオールの混合比において行われる。所望により、架橋性TPUの調製に、1,4-ブタンジオールなどの鎖延長剤を併用する。ジイソイアネートと高分子ジオールから製造される架橋性TPUは、好ましくは、エステル溶媒、特に酢酸エチルまたは酢酸ブチルに、任意でアセトンを混合したものなどの適切な溶媒中で、溶液の形態で使用される。それは、ヒドロキシ、エステル、カルボキシル、アミド、またはウレタンなどの、架橋性TPU中に存在する官能基と反応できる架橋剤と、使用前に混合される。かかる架橋剤の例としては、ジイソシアネート(上記イソシアネート含有架橋剤の別法ii)で例示したものなど)、カルボジイミド、またはアジリジンなどが挙げられる。架橋/硬化は、架橋性TPUと架橋剤の混合後に開始する。
【0061】
第1部分またはコーティングは、所定の第1面積の第1表面を有し、第2部分またはコーティングは、所定の第2面積の第2表面を有する。シート状の第1、および/または第2部分の場合では、第1、および/または第2面積は、通常、シート状の第1、および/または第2部分の上部または下部の幾何学的面積である。繊維などのように、幾何学的に正確に定義できない第1、および/または第2部分の場合、第1、および/または第2表面は、通常、「第1部分の重量」を、「第1部分の単位面積あたりの重量」で割った商(第1表面)として計算されるか、または「第2部分の重量」を、「第2部分の単位面積当たりの重量」で割った商(第2表面)として計算される第1、および/または第2面積を有する。
【0062】
本発明の組成物は、純粋な、無溶媒形態であってもよい。組成物の形態は、成分の融点とその塗布温度に応じて、無溶媒液体、粉体、または溶体であってもよい。本発明の組成物は、好ましくは、上記に記載の溶媒で、溶液、分散液または懸濁液の形態で塗布される。分散または懸濁液の形態である本発明の組成物は、例えば、最初に本発明の組成物を、成分が室温で本質的に不溶である溶媒中の溶液の形態で、加熱、および所望により超音波処理により加熱溶液を形成し、続いて溶液を、任意で攪拌または超音波処理をしながら室温まで冷却し、固体および/または液体成分を、細かく分散した固体粒子、および/または滴として溶媒から沈殿させることで得られる。無水変性ポリオレフィン、無水変性スチレンブロック共重合体、およびイソシアネート含有架橋剤は、全て室温で固体である場合、分散または懸濁液の形態の本発明の組成物は、無水変性ポリオレフィン、無水変性スチレンブロック共重合体、およびイソシアネート含有架橋剤を微粉化し、そのようにして得られた微粒子を溶媒中に懸濁させて調製することもできる。無水変性ポリオレフィン、無水変性スチレンブロック共重合体、およびイソシアネート含有架橋剤が、それらの溶媒への溶解性に応じて、部分的に溶解した、および部分的に分散した(粒子として、および/または滴として)組成物も、本発明の目的のために使用できると理解される。
【0063】
組成物が、溶媒中の、溶液、懸濁液、または分散液の形態である場合、溶液、懸濁液、または分散液の合計固体含有量は、好ましくは、組成物に対して、5~25重量%、より好ましくは8~25重量%である。
【0064】
無水変性ポリオレフィン、無水変性スチレンブロック共重合体、およびイソシアネート含有架橋剤は、非混合の形態で、別々に、順次に、または同時に使用できると理解される。ただし、3つ全てが、複合材として、かつそれぞれが本発明の目的のために適切な量で塗布される。無水変性ポリオレフィン、無水変性スチレンブロック共重合体、およびイソシアネート含有架橋剤を塗布する順番は重要ではない。これらはそれぞれ、融解、または粒子化(微粒子化)形態など、無溶媒の形態でそれ自体を塗布してもよく、または、本発明の組成物全体に関して上記で例示したような溶媒の溶液として塗布されてもよいが、必ずしも必要ではない。個々の成分はそれぞれ、その特定の成分に特に適した溶媒中の溶液として塗布することができる。そのような個々の溶媒の例としては、エーテル、エステル(例えば酢酸エチル)、ケトン、ハロゲン化炭化水素、脂肪族または芳香族炭化水素、アミド(例えばDMF)、グリコールエーテル、DMSO、またはアセトニトリル、またはそれら溶媒の混合物などが挙げられる。これら溶媒の条件は、溶液または分散液の形態中の本発明の組成物全体の乾燥と同様の乾燥条件で蒸発によって除去できることである。
【0065】
本発明の工程において、本発明の組成物または組み合わせは、好ましくは、第1表面、および/または第2表面の総面積1平方メートルあたり10~40gの乾燥質量で、第1表面、および/または第2表面に塗布される。即ち、この量は、第1表面(例えば第2コーティングが第1部分の第1表面に塗布される場合)、または第2表面(例えば第1コーティングが第2部分の第2表面に塗布される場合)に完全に塗布されてもよく、または、一部を第1表面に、残りを第2表面に(例えば第1部分の第1表面が第2部分の第2表面に付着している場合)塗布されてもよい。
【0066】
第1部分と第2部分の両方が、実際に接着される部分(いずれもコーティングされていない)である場合、本発明の組成物または組み合わせは、第1部分の第1表面、または第2部分の第2表面のいずれかに塗布されるか、または第1表面と第2表面の両方に塗布されてもよい。第2部分が織物または不織布である場合、本発明の組成物または組み合わせは、好ましくは、生地が、第2表面でまたは近くで、本発明の組成物または組み合わせのある程度の量を吸収できるよう、上記の第2部分に接着される。これにより、本発明の組成物または組み合わせを、第1部分に積層させる加工工程、および第1部分と第2部分を加熱および加圧を使用して接着させる加工抗体の間、保持することができる。
【0067】
第1部分が第2コーティングでコートされる場合は、本発明の組成物または組み合わせは、典型的には、第1部分の第1表面に塗布される。別法として、第2部分が第1コーティングでコートさる場合は、本発明の組成物または組み合わせは通常、第2部分の第2表面に塗布される。
【0068】
本発明の組成物および組み合わせの塗布は、液体、溶融、または粉状組成物の塗布において、当該技術領域において慣習的に使われている技術のいずれによっても実施できる。これらの例としては、キスコーティング、スプレーコーティング、ドクターブレード、パウダーダスティング、および静電粉体塗装によるコーティングなどが挙げられる。
【0069】
いったん第1および/または第2部分に塗布された組成物または組み合わせの乾燥は、通常、50℃~130℃の温度で、溶媒を除去するのに十分な時間で行うことができる。
【0070】
実際の第1または第2部分(いずれもコーティングされていない)が互いに接着される場合、接着中の加熱は、第1部分のTPOの融点よりも、好ましくは20℃~50℃高い、より好ましくは30℃~40℃高い最大温度までで行う。TPOの融点は、ISO規格11357-3に準じて示差走査熱力測定(DSC)により決定した。上記の最大温度は、好ましくは1分~5分の間保持される。ただし、その時間は、上記3つの成分の層が、第1および第2表面の間の接着促進をもたらすのに十分である。加熱は、好ましくは、蒸気を併用することなく行う。周囲条件下(大気など)または任意で窒素などの不活性ガス中で加熱することが好ましい。第1および第2表面の加熱は、第1および第2部分とまたはコーティングを、ホットプレスまたはオーブンに挿入して行うことができる。加熱中に加圧する場合は、その圧力は大気圧よりも5バール~30バール、好ましくは15バール~25バール高くすることができる。
【0071】
別法として、TPOの第1溶融コーティングを第2部分(ポリエステルまたはTPUなど)に塗布する場合、加熱は、溶融形態のTPOを第2部分上に塗布することによって行ってもよい。そのような塗布は、通常、押出機を使用して行われる(押出し後のメルトコーティング)。押出し温度は、押出されるTPOの融点よりも、好ましくは60℃から120℃、より好ましくは70℃から110℃高い。続いて、押出された第1TPUコーティングは、例えば、通常、50℃から80℃まで加熱したカレンダーロールなどを用いて、第2部分上にメルトコートされる。
【0072】
さらなる別法として、TPOの第1部分が架橋PUの第2コーティングに接着される場合、架橋性PUは、最初に、第1TPO部分に塗布され、任意で適切な溶媒の形態で溶媒を乾燥させ、続いて、第1と実際の第2部分の接着について上記で示したものと同じ手順に従うことができる。ただし、選択された最大加熱温度は、塗布された架橋性コーティングが架橋するのに十分であるだろう。
【0073】
所望により、本発明の組成物および組み合わせは、帯電防止または導電性の添加剤を含むことができる。このことは、本発明の組成物または組み合わせによって互いに接着する材料の対は、それ自体が非常に大きな電気抵抗を有するため、好ましい。帯電防止または導電性の添加剤は、慣用的であり、導入部に記載した自動車塗料の分野で使用されているようないずれの添加剤であってもよい。添加剤の例としては、カーボンブラック、すす、導電性(窒素ドープ)二酸化チタン、導電性(アルミニウムドープ)二酸化亜鉛、導電性(アンチモンドープ)酸化スズ、導電性(アンチモンドープ)酸化インジウムからなる群から選択することができる。
【0074】
本発明を、以下に示す非限定的な実施例によって説明する。
【0075】
実施例1:溶液形態の組成物のフォーミュレーション
【0076】
上記のフォーミュレーションは、下記に示す表2の通りである。ここで、別途記載が無い限り、全ての量は、組成物全体に対する重量%である。無水変性ポリオレフィンと無水変性スチレンブロック共重合体の重量比は、全てのフォーミュレーションにおいて4:1である。
【0077】
【表2】
【0078】
比較例2および実施例3-7:TPOシートおよびPET生地の対用の、本発明の溶液形態の組成物の接着試験
【0079】
PETスパンボンド生地のシートまたはPET織布のシートに接着されたTPOシートの接着試験を行った。TPOシート(TPO1)、2種類のPET生地(PET-spun、およびPET-multiPET-multi)の特性を以下の表3および4にそれぞれ示す。
【0080】
【表3】
【0081】
【表4】
【0082】
本発明の組成物を、存在する場合、Zehmtner GmbH 2000 Universal Applicator型のラボフィルムコーターを用いて(比較例2)、またはMathis AGのLTE-S型のドクターブレードコーターを用いて(実施例3-7)、PET生地上に塗布した。それぞれの組成物コート生地を、LTE-Sラボコーター中で、3時間100℃で乾燥した。それぞれの生地を、総厚さ0.45mmのTPO1の2つのホイルと積み重ね、いずれの場合も、|生地|(本発明の組成物または組み合わせ)|TPO1|TPO1|(本発明の組成物または組み合わせ)|生地|という構造の層状複合体を形成した。この2重積層は、ホットプレス後に、充分な厚さの中央TPO1単層を得るために行った。これら2重積層複合体をそれぞれ、各金属プレートと隣接する生地層の間の厚さ1.2mmの金属スペーサーを用いて、Schwabenthan Polystat 400型プレスの金属プレートの間に挿入した。また、粘着を防ぐために、テフロン生地を複合体と各金属プレートの間に塗布した。各2重積層複合体を、ラボプレス中で熱処理し、同時に20barで加圧した。組成物の塗布における残りの加工パラメータ、すなわち塗布組成物(つまり本発明の組み合わせ)の乾燥後の表面1平方メートルあたりの乾燥質量、加熱処理のパラメータ、および最終的な層状複合体の厚さと剥離強度の結果を、以下の表5に示す。
【0083】
剥離強度値は、「Zwick Roell 20 KN Allround table-top」試験機を使用して測定した。試験サンプルは幅20mm、長さ250mm以上であり、試験速度は100mm/minであった。熱可塑性ホイルから生地を剥離するのに必要な力、およびトラベルは装置上で記録した。記録上、開始領域、即ち最初の10mmは使用しない。最小面積は、検出領域にわたる平均値である。試験結果[N/cm]は、DIN 53530規格による、幅1cmの分離力である。
【0084】
【表5】
【0085】
上記の結果は、剥離強度について、本発明の実施例3~7の層状複合体が全て、比較例2の層状複合体よりも優れていることを示している。つまり、本発明の組成物または組み合わせを、ポリエステル織布の形態で第2部分上の接着促進剤として使用することで、TPOの第1部分への接着力を高めることができる。また、上記の結果は、ドクターブレードによる織布形態の第2部分のコーティング(実施例4~7)は、組成物による生地の浸漬を引き起こさないが、上記と同じ組成物のフィルムコーター(実施例3)によるコーティングは、生地の浸漬を引き起こすことを示す。浸漬は、TPOシートの第1表面とポリエステル織布の第2表面の界面に使用できる組成物の量が少なくなるため、望ましくない。さらにこの結果は、本発明の組成物を1回のドクターブレードランにより少量塗布し、TPO1(表3参照)のDSC融点よりも約35℃高い最高温度まで加熱することで、最も良い剥離強度を与えることを示す(実施例7の層状複合体)。2回以上のドクターブレードランによる組成物の更なる塗布により、それ以外は同一の条件において、剥離強度が少し下がる(実施例7の層状複合体vs実施例5の層状複合体)。TPO1のDSC融点よりも約10℃だけ高い最高温度までの加熱により、剥離強度は著しく下がる。この低下は、非常に多くの組成物を使用することによって部分的にのみ埋め合わせることができ、その結果、組成物を塗布するためにドクターブレードランの回数を増やす必要が生じる(実施例7の層状複合体vs実施例6および4の層状複合体)。
【0086】
比較例8および10、13、18~19および20~23、および実施例9、11~12、14~17および24~27:メルトコートTPOとPET生地の対用の、本発明の組成物を用いた接着試験
【0087】
使用したTPOは、全ての場合においてTPO2であり、生地はそれぞれ上記表3および4に記載のPET-spunまたはPET-multiであった。本発明の組成物は、存在する場合、コーティング機「Coatema Line Coater」上の空気システム上のナイフによりPET生地上に塗布し、続いて120℃~130℃で3分間、ラボコーター中で乾燥させた。次に、TPOを、押出しコーティングダイを用いてメルトコーティングにより塗布した。最終複合体の剥離強度の測定は、上記比較例2および実施例3~7で記載した通りであり、これにより、層状化合物の残りの部分からの上部生地の剥離は、上記比較例2および実施例3~7で記載した通りに測定した。組成物の種類(存在する場合)、メルトコートTPOおよび生地の種類、および測定した剥離強度を以下の表6に示す。
【0088】
【表6】
【0089】
上記の結果から、以下のことが示される:
a)本発明の組成物をPETとTPOを接着するためのプライマーとして使用する際、イソシアネート含有架橋剤をある量(例えば組成物全体に対して1重量%~8重量%、好ましくは2重量%~6重量%の範囲で)含むことが、スパンボンドPET繊維を用いたPETとTPOの間の単純な機械的接着により得られる剥離強度を高めるために必要である(実施例11および12に対する比較例8)。イソシアネート含有架橋剤が組成物中に存在しない場合、不十分な剥離強度しか得られない(比較例10)。
b)本発明の組成物は、PETとTPOを接着するためのプライマーとして、イソシアネート含有架橋剤および架橋性ポリウレタンの組み合わせを含む参照用プライマー組成物よりも明確に優れている(実施例11、12、14~17、24~27に対する、比較例20および21)。2つの比較例の組成物は、重要なプライマー有効性のいずれかが欠けている。
c)本発明の、以下に示す特徴を有する組成物:
・無水変性ポリオレフィンと無水変性スチレンブロック共重合体の合計の含有量は、組成物全体に対して、7重量%~11重量%の範囲であることが好ましい;
・無水変性ポリオレフィンに対する無水変性スチレンブロック共重合体の重量比は、2:1~6:1の範囲であることが好ましい;
・イソシアネート含有架橋剤の量は、組成物に対して、1重量%~8重量%の範囲であるか、またはイソシアネート含有架橋剤が、無水変性ポリオレフィンと無水変性スチレンブロック共重合体の合計に対して20:1~30:1の範囲の重量比で存在し;および、
・組成物は、アルキル溶媒とケトン溶媒の混合物中の溶液の形態であり、上記混合物のアルキル溶媒とケトン溶媒の体積比は、20:1~30:1の範囲が好ましい、
は、PETとTPOの接着において、第1に最も好ましい実施形態であると考えられる(実施例11および12)。
d)本発明の、以下に示す特徴を有する組成物:
・無水変性ポリオレフィンと無水変性スチレンブロック共重合体の合計の含有量は、組成物全体に対して、7重量%~11重量%の範囲であることが好ましい;
・芳香族アミノ基をイソシアネート基に変換させるために、まず塩酸触媒の存在かでアニリントホルムアルデヒドを反応させ、続いて選ら得た均質なアニリンーホルムアルデヒド付加物の混合物をホスゲンと反応させることで選られたイソシアネート含有架橋剤;
・上記のイソシアネート含有架橋剤の量が、組成物全体に対して1重量%から8重量%の範囲であるか、または好ましくは、無水変性ポリオレフィンと無水変性スチレンブロック共重合体の合計に対して0.2:1~0.4:1の範囲の重量比で存在し、および
・組成物は、アルキルベンゼン溶媒とケトン溶媒の混合物中の溶液の形態であり、上記混合物のアルキルベンゼン溶媒とケトン溶媒の体積比は、6:1~3:1の範囲が好ましい、
は、PETとTPOの接着において、第2に最も好ましい実施形態であると考えられる(実施例26)。
【0090】
本発明の、無水変性ポリオレフィン、無水変性スチレンブロック共重合体、およびイソシアネート含有架橋剤の3つの組み合わせは、そのため、無水変性ポリオレフィンと無水変性スチレンブロック共重合体の2つの組み合わせ、およびイソシアネート含有架橋剤と架橋性TPUの2つの組み合わせ以上に、剥離強度に対する相乗効果があると考えられる。
【0091】
実施例27:コンベアベルトのTPO上層上の架橋PUコーティングの接着
【0092】
表2のフォーミュレーション番号1、3~8、または11~14の1つと同様に、本発明の組成物を、市販されているコンベアベルト(出願人により市販されているCNB-8EまたはCNB-6EB-A1型で、後者は本発明のプライマーの接着を弱める摩耗向上剤を含む)のTPO層に塗布し、続いて100℃で5分間乾燥させた。市販されている溶媒ベースの架橋性PUを、本発明の組み合わせの乾燥層の上部に塗布し、本発明の組成物の塗布および乾燥と同じ条件で乾燥させた。上記の溶媒ベースの架橋性PUを、本発明の組成物を予め塗布しないこと以外は同じ条件で、コンベアベルトの同じ型のリファレンスサンプルのTPO層に塗布した。架橋性PUコートリファレンスコンベアベルトにおいては、PUコーティングは、TPO層から手動で離すことができた;つまり、架橋性PUコーティングは、TPO層に接着しなかった。一方、本発明の組み合わせであらかじめコーティングしたものを含むPUコートコンベアベルトは、De Mattia Flexon Check instrument from Gibitre Instrumentsで100万サイクル (屈曲および逆屈曲) の動的試験を受けることができ、その間、架橋されたPUコーティングはTPO層から剥離せず、亀裂も発生しなかった。
【手続補正書】
【提出日】2022-03-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶媒中の溶液または分散液の形態の組成物であって、
無水変性ポリオレフィン、
無水変性スチレンブロック共重合体、および
イソシアネート含有架橋剤
を含み、前記無水変性ポリオレフィンと前記無水変性スチレンブロック共重合体は、合計量で、前記組成物の全体に対して、7重量%から18重量%の範囲で存在し、
前記無水変性ポリオレフィンと前記無水変性スチレンブロック共重合体の重量比は2:1から6:1の範囲であり、
前記溶媒は第1成分として、以下の式:
【化1】
[式中、RおよびRは、各々独立して、メチル、エチル、及び分枝鎖又は直鎖のC-Cアルキルからなる群から選択され、ただし、RとRの合計炭素数は4から7の範囲であり;あるいは、RおよびRは結合して、(CH-(式中、mは4から7の整数である。)で表される架橋アルキレンを形成する。]
で表される、1つまたはそれ以上の脂肪族C-Cケトンであるケトン溶媒を含み、第2成分として、C-Cアルカン溶媒のいずれかを含む、TPOのポリエステルへの接着を促進するための組成物の使用であって、
前記組成物は、Furtイソシアネート含有架橋剤に対して、DIN規格11909(2007)に従って測定された10~35重量%のNCO含有量を有するイソシアネート含有架橋剤を、全組成物に対して2~6重量%の、前記イソシアネート含有架橋剤の剥離強度を増強する量で含み、
前記イソシアネート含有架橋剤と、前記無水変性ポリオレフィンと前記無水変性スチレンブロック共重合体の合計の重量比は、0.2:1~0.5:1である、
使用。
【請求項2】
無水変性ポリオレフィンが、
(1)ポリエチレン、エチレン-α-オレフィン共重合体(ここで、前記α-オレフィンは、プロペン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、および1-オクテンからなる群から選択される。)、およびポリプロピレンとからなる群から選択されるポリオレフィンを、
-無水マレイン酸
-無水マレイン酸と、ブタ-1,3-ジエン、シクロペンタジエン、またはシクロヘキサ-1,3-ジエンのディールズアルダー反応生成物、および
-無水マレイン酸と、プロペン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、および1-オクテンからなる群から選択されるα-オレフィンの反応生成物
からなる群から選択されるオレフィン無水物とグラフト化することにより、あるいは
(2)前記と同意義であるオレフィン無水物と、エチレンおよび/または上記と同意義であるα-オレフィンとを共重合することにより得られる、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
無水変性スチレンブロック共重合体中のスチレンブロック共重合体が、SBS(スチレン-ブタジエン-スチレン)、SIS(スチレン-イソプレン-スチレン)、およびSEBS(スチレン-(エチレン-コ-ブチレン)-スチレン)からなる群から選択される、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
イソシアネート含有架橋剤が、
(1)最初に塩酸触媒の存在下でアニリンとホルムアルデヒドを反応させ、続いて得られた均質なアニリン-ホルムアルデヒド付加物の混合物をホスゲンと反応させて得られる反応生成物;
(2)2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、m-キシレンジイソシアネート、p-キシレンジイソシアネート、ジイソホロンジイソシアネート、およびジフェニルエーテル-2,4,4-トリイソシアネートからなる群から選択される、または
(3)2,4-トリレンジイソシアネートおよび/または2,6-トリレンジイソシアネートの、ウレチジンジオン-および/または2,4,6-トリオキソトリアジン含有オリゴマー
である、請求項1~3のいずれか1項に記載の使用。
【請求項5】
溶媒の第1成分がシクロヘキサノンであり、溶媒の第2成分がメチルシクロヘキサンである、請求項1~4のいずれか1項に記載の使用。
【請求項6】
前記メチルシクロヘキサンと前記シクロヘキサノンの重量比は、15:1から30:1の範囲である、請求項5に記載の使用。
【請求項7】
アルキルベンゼン溶媒が、重量比が3:1から2:1のキシレンとエチルベンゼンの混合物である、請求項6に記載の使用。
【請求項8】
前記溶媒は、少なくとも95体積%の第1成分としてケトン溶媒および第2成分としてC-Cアルカン溶媒で構成される、請求項1~7のいずれか1項に記載の使用。
【請求項9】
TPOは、25℃における28~38mN/mの臨界第1表面エネルギーを有する平面第1表面を有するシート状材料の形態であるTPO部分である、請求項1~8のいずれか1項に記載の組成物の使用。
【請求項10】
無水変性ポリオレフィンが請求項2と同意義であり;無水変性スチレンブロック共重合体が請求項3と同意義であり;またはイソシアネート含有架橋剤が請求項4と同意義である、請求項1~7のいずれか1項に記載の使用。
【請求項11】
溶媒中の溶液または分散液の形態の組成物であって、
無水変性ポリオレフィン、
無水変性スチレンブロック共重合体、および
イソシアネート含有架橋剤
を含み、前記無水変性ポリオレフィンと前記無水変性スチレンブロック共重合体は、合計量で、前記組成物の全体に対して、7重量%から18重量%の範囲で存在し、
前記無水変性ポリオレフィンと前記無水変性スチレンブロック共重合体の重量比は2:1から6:1の範囲であり、
前記イソシアネート含有架橋剤と、前記無水変性ポリオレフィンと前記無水変性スチレンブロック共重合体の合計の重量比は、0.2:1から0.5:1の範囲であり、
前記溶媒は第1成分として、以下の式:
【化2】
[式中、RおよびRは、各々独立して、メチル、エチル、及び分枝鎖又は直鎖のC-Cアルキルからなる群から選択され、ただし、RとRの合計炭素数は4から7の範囲であり;あるいは、RおよびRは結合して、(CH-(式中、mは4から7の整数である。)で表される架橋アルキレンを形成する。]
で表される、1つまたはそれ以上の脂肪族C-Cケトンであるケトン溶媒を含み、第2成分として、キシレンとエチルベンゼンの混合物であるアルキルベンゼン溶媒を含む、組成物。
【請求項12】
無水変性ポリオレフィンが、
(1)ポリエチレン、エチレン-α-オレフィン共重合体(ここで、前記α-オレフィンは、プロペン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、および1-オクテンからなる群から選択される。)、およびポリプロピレンとからなる群から選択されるポリオレフィンを、
-無水マレイン酸
-無水マレイン酸と、ブタ-1,3-ジエン、シクロペンタジエン、またはシクロヘキサ-1,3-ジエンのディールズアルダー反応生成物、および
-無水マレイン酸と、プロペン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、および1-オクテンからなる群から選択されるα-オレフィンの反応生成物
からなる群から選択されるオレフィン無水物とグラフト化することにより、あるいは
(2)前記と同意義であるオレフィン無水物と、エチレンおよび/または上記と同意義であるα-オレフィンとを共重合することにより得られる、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
無水変性スチレンブロック共重合体中のスチレンブロック共重合体が、SBS(スチレン-ブタジエン-スチレン)、SIS(スチレン-イソプレン-スチレン)、およびSEBS(スチレン-(エチレン-コ-ブチレン)-スチレン)からなる群から選択される、請求項11または12に記載の組成物。
【請求項14】
イソシアネート含有架橋剤が、
(1)最初に塩酸触媒の存在下でアニリンとホルムアルデヒドを反応させ、続いて得られた均質なアニリン-ホルムアルデヒド付加物の混合物をホスゲンと反応させて得られる反応生成物;
(2)2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、m-キシレンジイソシアネート、p-キシレンジイソシアネート、ジイソホロンジイソシアネート、およびジフェニルエーテル-2,4,4-トリイソシアネートからなる群から選択される、または
(3)2,4-トリレンジイソシアネートおよび/または2,6-トリレンジイソシアネートの、ウレチジンジオン-および/または2,4,6-トリオキソトリアジン含有オリゴマー
である、請求項11~13のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項15】
溶媒の第1成分がシクロヘキサノンである、請求項11~14のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項16】
無水変性ポリオレフィンと無水変性スチレンブロック共重合体は、合計量で、組成物に対して、7重量%から11重量%の範囲で、かつ、無水変性ポリオレフィンと無水変性スチレンブロック共重合体は、重量比2:1から6:1の範囲で存在し;
イソシアネート含有架橋剤は、最初に塩酸触媒の存在下でアニリンとホルムアルデヒドを反応させ、続いて得られた均質なアニリン-ホルムアルデヒド付加物の混合物をホスゲンと反応させて、芳香族アミン基をイソシアネート基に変換することにより得られる反応生成物であり、前記イソシアネート含有架橋剤は、無水変性ポリオレフィンと無水変性スチレンブロック共重合体の合計に対して、0.2:1から0.5:1の重量比の範囲で存在し、および
前記アルキルベンゼン溶媒と前記ケトン溶媒は、6:1から3:1の重量比である、
のいずれかである、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
アルキルベンゼン溶媒が、重量比が3:1から2:1のキシレンとエチルベンゼンの混合物である、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
前記溶媒は、少なくとも95体積%の第1成分としてケトン溶媒および第2成分としてアルキルベンゼン溶媒で構成される、請求項11~17のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項19】
TPOのTPU、ポリエステルまたはPUへの接着を促進するための、請求項11~18のいずれか1項に記載の組成物の使用。
【請求項20】
無水変性ポリオレフィンは請求項2の記載と同意義であり、無水変性スチレンブロックコポリマーは請求項13の記載と同意義であり、イソシアネート含有架橋剤は請求項14の記載と同意義である、請求項19に記載の使用。
【請求項21】
加熱および、任意の加圧を使用して、TPOの第1部分の第1表面と、ポリエステルまたはTPUの第2部分の第2表面とを接着させる方法であって、下記工程;
-請求項11~18のいずれか1項に記載の組成物を、第1、および/または第2表面に塗布すること;および、
加熱および任意の加圧を使用して、組成物でコートされた第1表面と第2表面、または第1表面と組成物でコートされた第2表面、または組成物でコートされた第1表面と組成物でコートされた第2表面同士を接着させること
を含む、方法。
【請求項22】
第1表面と第2表面の接着中に、第1および第2表面を、第1部分のTPOの融点よりも20℃から50℃、好ましくは30℃から40℃高い温度に加熱する、ここに、融点は、ISO規格11357-3に従って示差走査熱量測定(DSC)により測定される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
押し出しおよびメルトコーティングによりTPOの第1コーティングと、ポリエステルまたはTPUの第2部分の第2表面とを接着する方法であって、請求項11~18のいずれか1項に記載の組成物を第2表面に塗布し、組み合わせまたは組成物でコートされた第2表面上にTPOを押し出し、およびメルトコーティングする工程を含む、方法。
【請求項24】
TPUの第2コーティングと、TPOの第1部分の第1表面とを、押し出しおよびメルトコーティングにより接着する方法であって、請求項11~18のいずれか1項に記載の組成物を第1表面に塗布し、組成物でコートされた第1表面上にTPUを押し出し、およびメルトコーティングする工程を含む、方法。
【請求項25】
架橋PUの第2コーティングと、TPOの第1部分の第1表面とを、加熱および任意の加圧により接着する方法であって、下記工程:
-請求項11~18のいずれか1項に記載の組成物の、第1表面上への架橋性TPUの塗布;および
-加熱および任意の加圧により、架橋性TPUと、組成物でコートされた第1表面とを接着し、それにより、同時に、架橋性PUは、架橋PUに架橋すること
を含む、方法。
【請求項26】
架橋性PUを、溶媒中の溶液として塗布し、加熱および任意の加圧により接着する前に溶媒を蒸発させる、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
組成物を、第1表面および/または第2表面に、第1表面および/または第2表面の全領域の1平方メートルあたり10gから40gの乾燥質量で塗布する、請求項21~26のいずれか1項に記載の方法。
【国際調査報告】