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特表2023-537208拡張可能な医療デバイスを導入するためのカテーテルシステム及びその使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-31
(54)【発明の名称】拡張可能な医療デバイスを導入するためのカテーテルシステム及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 60/148 20210101AFI20230824BHJP
   A61F 2/97 20130101ALI20230824BHJP
   A61F 2/04 20130101ALI20230824BHJP
   A61M 60/865 20210101ALI20230824BHJP
【FI】
A61M60/148
A61F2/97
A61F2/04
A61M60/865
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023501107
(86)(22)【出願日】2021-07-08
(85)【翻訳文提出日】2023-02-15
(86)【国際出願番号】 US2021040814
(87)【国際公開番号】W WO2022011095
(87)【国際公開日】2022-01-13
(31)【優先権主張番号】62/705,662
(32)【優先日】2020-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517073591
【氏名又は名称】ティーシー1 エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フィッツジェラルド、キーフ・エム
(72)【発明者】
【氏名】カッサヤン、モヤン
(72)【発明者】
【氏名】スー、テッド
【テーマコード(参考)】
4C077
4C097
4C267
【Fターム(参考)】
4C077AA30
4C077KK25
4C097BB04
4C267AA56
4C267BB31
4C267CC19
4C267EE03
(57)【要約】
カテーテルシステムは、カテーテルと、リカバリーシースと、外側シースアセンブリとを備える。カテーテルは、その遠位端に結合された拡張可能な医療デバイスを備える細長い本体を有する。リカバリーシースは、カテーテル本体の近位部の周囲に配置され、その内部に拡張可能な医療デバイスを受け入れるための大きさ及び形状を有している。リカバリーシースは、カテーテル本体に対して軸方向に摺動可能である。外側シースアセンブリは、カテーテル本体上に配置された外側シースを備える。外側シースは、近位端から遠位端まで延在する細長い本体を有し、外側シース本体の近位端は、リカバリーシースの遠位に配置される。外側シースは、拡張可能な医療デバイスをその内部に受け入れ、拡張可能な医療デバイスを収納状態に固定する大きさ及び形状の保持部を有する。外側シースは、カテーテル本体から除去可能である。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテルシステムであって、
遠位端に結合された拡張可能な医療デバイスを有する細長い本体を有するカテーテルと、
前記カテーテル本体の近位部の周囲に配置され、収納状態の前記拡張可能な医療デバイスを内部に受け入れるような大きさ及び形状を有し、かつ前記カテーテル本体に対して軸方向に摺動可能なリカバリーシースと、
外側シースアセンブリとを備え、
前記外側シースアセンブリは、前記カテーテル本体を覆うように配置され、前記リカバリーシースの遠位に位置する近位端から遠位端まで延在する細長い外側シース本体を有する外側シースを備え、
前記外側シースが、前記拡張可能な医療デバイスをその内部に受け入れて前記拡張可能な医療デバイスを収納状態に固定する大きさ及び形状を有する保持部を有し、かつ前記カテーテル本体から除去可能である、カテーテルシステム。
【請求項2】
前記リカバリーシースが、前記リカバリーシースの近位端から遠位端まで延在する管腔を画定し、
前記管腔を通って延在し、かつ、近位端から遠位端まで延在する細長い本体を有する管状のプラグをさらに備え、
前記プラグの前記遠位端が前記リカバリーシースの前記遠位端から突出し、
前記プラグが前記カテーテル本体及び前記リカバリーシースの間に配置され、かつ、前記プラグが前記リカバリーシースに対して除去可能に固定されることにより前記リカバリーシースから除去可能となり、前記拡張可能な医療デバイスが通過できるように構成されている、請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項3】
前記外側シース及び前記拡張可能な医療デバイスが通過するための大きさ及び形状を有する管腔を画定するイントロデューサシースをさらに備え、
前記イントロデューサシースは、前記外側シースが前記イントロデューサシースの前記管腔を通じて患者の体内へ挿入された後に、前記外側シースから除去可能となるように、分離ゾーンに沿って分離可能となっている、請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項4】
前記外側シースが、少なくとも1つの長手方向に延在する分離ゾーンに沿って分離可能となっていることにより、前記カテーテル本体から除去可能となっている、請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項5】
少なくとも1つの前記分離ゾーンが、前記外側シース本体の前記近位端から前記遠位端まで延在している、請求項4に記載のカテーテルシステム。
【請求項6】
少なくとも1つの前記分離ゾーンは、ミシン目及びスコア線を含む群から選択される少なくとも1つの直線的な継ぎ目を有する、請求項4に記載のカテーテルシステム。
【請求項7】
前記外側シースが、第1の分離ゾーンと、前記第1の分離ゾーンの正反対に位置する第2の分離ゾーンとを有し、前記第1及び第2の分離ゾーンが、前記外側シースを第1のセグメント及び第2のセグメントの間の間隔の設定を可能にする、請求項4に記載のカテーテルシステム。
【請求項8】
前記外側シースアセンブリは、前記外側シースの前記近位端に配置された第1及び第2のハンドルを備え、前記第1及び前記第2のハンドルは、横方向に反対の力が加えられたときに、分離ゾーンに沿って前記外側シースを分離させるように構成される、請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項9】
前記カテーテル本体の前記近位部の外径は、前記外側シースの近位部の外径よりも小さく、前記外側シースの前記近位部の外径は、前記リカバリーシースの外径よりも小さい、請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項10】
前記カテーテル本体の前記近位部は2.67~3.3mmの外径を有し、前記外側シースの前記近位部は3.3~4.0mmの外径を有し、前記リカバリーシースは4.3mm~5.33mmの外径を有する、請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項11】
前記拡張可能な医療デバイスは、
拡張可能なカニューレと、
前記拡張可能なカニューレ内に配置され、かつ流体内で回転するときに、前記拡張可能なカニューレ内に前記流体を引き込む動作を可能とするインペラとを備える、請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項12】
切開部位を通じて患者の血管系にイントロデューサシースを挿入するステップと、
カテーテルシステムを前記イントロデューサシースの近位端に導入することにより、前記イントロデューサシースを通じて前記血管系に導入するステップと、
前記カテーテルシステムが、遠位端に結合された拡張可能な医療デバイス及び細長い本体を有するカテーテルを備え、前記カテーテルの前記本体の近位部の周囲に配置されたリカバリーシース、並びに、前記カテーテル本体を取り巻くように配置され、かつ前記リカバリーシースから遠位に配置された外側シースをさらに備えるものとするステップと、
前記カテーテルシステム及び患者の前記血管系から前記イントロデューサシースを除去するステップと、
前記カテーテル本体が前記血管系内に留置されている間に、前記外側シースを前記カテーテルの前記本体及び患者の前記血管系から除去するステップとを含む、方法。
【請求項13】
前記外側シースを除去するステップは、
長手方向に延在する少なくとも1つの分離ゾーンに沿って前記外側シースの外側シース本体を分離させるステップを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記外側シースが前記カテーテル本体から除去された後に続いて、前記リカバリーシースを前記カテーテル本体に沿って前記切開部内に進めるステップと、
前記リカバリーシースによって画定される管腔を通じて、前記カテーテルを前記患者の前記血管系から除去するステップとをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記カテーテル本体に沿って前記患者の前記血管系内に前記リカバリーシースを進める前に、前記カテーテル本体の周囲の前記切開部位を封止するステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記カテーテルシステムは、前記カテーテル本体及び前記リカバリーシースの間に配置された除去可能なプラグをさらに備え、
前記カテーテル本体から前記外側シースが除去された後に続いて、前記除去可能なプラグの遠位端が前記患者の前記血管系内に配置されるまで、前記カテーテル本体に沿って前記除去可能なプラグを進めるステップをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記プラグを前記リカバリーシースから除去するステップと、
前記カテーテルを前記リカバリーシースによって画定された管腔を通じて前記患者の前記血管系から前記カテーテルを除去するステップとを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記カテーテルを前記患者の前記血管系から除去するステップは、前記リカバリーシースの遠位端を前記拡張可能な医療デバイスに結合させることによって、前記拡張可能な医療デバイスを前記リカバリーシースと共に縮小させるステップを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記拡張可能な医療デバイスが前記外側シース内で縮小された状態に維持されている間に、前記患者の前記血管系を通じて前記拡張可能な医療デバイスを進めるステップと、
前記拡張可能な医療デバイスを前記外側シースから遠位方向に進めることによって、前記拡張可能な医療デバイスが縮小状態から拡張状態へ径方向に拡張するように、前記拡張可能な医療デバイスを患者の体内内に配置するステップとをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
カテーテルポンプ用のカテーテルシステムであって、
拡張可能な医療デバイスを遠位端に備える細長い本体及び前記カテーテル本体によって画定される管腔内に配置される駆動ケーブルを有するカテーテルと、
前記カテーテル本体の近位部の周囲に配置され、前記拡張可能な医療デバイスを収納状態で内部に受け入れるような大きさ及び形状を有し、前記カテーテル本体に対して軸方向に摺動可能なリカバリーシースと、
外側シースアセンブリとを備え、
前記拡張可能な医療デバイスは、拡張可能なカニューレ及び前記拡張可能なカニューレ内に配置され、流体内で回転したときに、前記拡張可能なカニューレの内部に前記流体を引き込むように動作可能に前記駆動ケーブルに結合されたインペラを備え、
前記外側シースアセンブリは、前記カテーテル本体を覆うように配置され、前記リカバリーシースの遠位に位置する近位端から遠位端まで延在する細長い本体を有する外側シースを備え、
前記外側シースが、前記拡張可能な医療デバイスを受け入れて前記拡張可能な医療デバイスを収納状態に固定する大きさ及び形状を有する保持部を有し、かつ前記カテーテル本体から除去可能である、カテーテルシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連技術の相互参照)
本出願は、2020年7月9日に出願され、「CATHETER SYSTEM FOR INTRODUCING EXPANDABLE MEDICAL DEVICE AND METHODS OF USING SAME」と題された米国仮特許出願第62/705,662号明細書に基づく優先権を主張し、その開示内容は、その全体がここで参照することによって本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般に、人体内で使用される医療デバイスに関する。特に、本開示は、拡張可能な医療デバイスを哺乳動物の体内に導入するためのカテーテルシステム及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
心臓病は健康上の主要な問題であり、心臓病によって毎年多くの命が失われている。心臓発作などの重大な心臓疾患に罹った後では、薬やその他の非侵襲的な治療が可能となるのは、少数の患者だけである。適切なタイミングで機械的循環装置を供給すれば、心臓発作などの心臓疾患から回復する患者の数は非常に多くなる。
【0004】
患者を治療するための従来のあるアプローチでは、心臓の左心室などの心腔及び大動脈弓に血液ポンプを挿入することにより、心臓のポンプ機能を補助する。他の従来の方法では、右心室から肺動脈へ静脈血を送り込み、心臓の右側を補助することが公知である。このポンプの目的は、心筋への負荷を一定期間軽減し、患部の心筋を回復・治癒させることにある。また、経皮的冠動脈インターベンションのために血液ポンプを使用することもある。場合によっては、外科的挿入は、心不全患者にさらなるストレスを与える恐れがある。
【0005】
カテーテルを患者の体内に挿入する場合、通常、薄肉ポリマーチューブで形成されたイントロデューサを切開部位から直接血管内に配置する。次いで、イントロデューサを通じてカテーテルを血管に挿入(すなわち、導入)する。カテーテルをその標的位置まで拡張した後、カテーテルを取り除くまで、イントロデューサを所定の位置に留置することがある。場合によっては、数時間または数日間にわたってイントロデューサを留置することがある。一部のカテーテルシステムでは、患者の血管系内に留置するカテーテルシステムの断面積を減少させるために、カテーテルを標的位置まで進めた後、イントロデューサをカテーテル及び患者の身体から(例えば、剥離することにより)除去することがある。しかし、カテーテルシステムの他の部分は、カテーテルが除去されるまで患者の血管系内に留置されたままとなる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、カテーテル、リカバリーシース、及び外側シースアセンブリを含むカテーテルシステムに関する。カテーテルは、その遠位端に結合された拡張可能な医療デバイスを備える細長い本体を有する。リカバリーシースは、カテーテル本体の近位部の周囲に配置され、収納状態の拡張可能な医療デバイスを内部に受け入れるような大きさ及び形状を有する。リカバリーシースは、カテーテル本体に対して軸方向に摺動可能となっている。外側シースアセンブリは、カテーテル本体を覆うように配置された外側シースを備える。外側シースは、近位端から遠位端まで延在する細長い本体を有し、外側シース本体の近位端は、リカバリーシースの遠位に配置される。外側シースは、内部に拡張可能な医療デバイスを受け入れ、拡張可能な医療デバイスを収納状態に固定するような大きさ及び形状の保持部を有する。外側シースはカテーテル本体から除去可能となっている。
【0007】
本開示はさらに、切開部位を通じて患者の血管系にイントロデューサシースを挿入するステップと、カテーテルシステムをイントロデューサシースの近位端及び導入シースを通じて血管系に導入するステップとを含む方法に関する。カテーテルシステムは、その遠位端に結合された拡張可能な医療デバイスを備える細長い本体を有するカテーテルを含む。カテーテルシステムはまた、カテーテル本体の近位部の周囲に配置されたリカバリーシースと、カテーテル本体の周囲に配置され、リカバリーシースから遠位に配置された外側シースとを備える。この方法はさらに、カテーテルシステム及び患者の血管系からイントロデューサシースを除去するステップと、カテーテル本体が血管系に留置されている間に、カテーテル本体及び患者の血管系から外側シースを除去するステップとを含む。
【0008】
本開示はさらに、カテーテルポンプ用のカテーテルシステムに関する。このシステムは、カテーテル、リカバリーシース、及び外側シースアセンブリを備える。カテーテルは、拡張可能なカニューレと、拡張可能なカニューレ内に配置され、流体中で回転したときに拡張可能なカニューレに流体を引き込むように動作することが可能なインペラとを備える拡張可能な医療デバイスを備える遠位部分を有する細長い本体を有する。カテーテルはまた、インペラに結合され、カテーテル本体によって画定される管腔内に配置される駆動ケーブルを含む。リカバリーシースは、カテーテル本体の近位部の周囲に配置され、収納状態の拡張可能な医療デバイスを内部に受け入れるような大きさ及び形状を有する。リカバリーシースは、カテーテル本体に対して軸方向に移動可能となっている。外側シースアセンブリは、カテーテル本体を覆うように配置された外側シースを含む。外側シースは、近位端から遠位端まで延在する細長い本体を有し、外側シース本体の近位端は、リカバリーシースの遠位に配置される。外側シースは、その中に拡張可能な医療デバイスを受け入れ、拡張可能な医療デバイスを収納状態に固定するような大きさ及び形状の保持部を有する。アウターシースはカテーテル本体から除去可能となっている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】カテーテルシステムの平面図である。
図2図1に示すカテーテルシステムの拡張可能な医療デバイスの拡大断面図である。
図3図1のカテーテルシステムの患者の心腔内における一例を示す図である。
図4】除去可能な外側シースアセンブリ及びリカバリーシースアセンブリを備える、図1のカテーテルシステムの平面図である。
図5図4に示す5-5線における図4のカテーテルシステムの断面図である。
図6図4のカテーテルシステムの一部の側面図であって、外側シースアセンブリがカテーテルシステムから除去される様子を示す図である。
図7】分離ゾーンに沿って外側シースを分離するために用いられる切断工具の斜視図である。
図8】分離ゾーンに沿って外側シースアセンブリを分離させるために、外側シースアセンブリを切断工具に対して近位方向に引っ張る様子を例示する図7の切断工具の他の斜視図である。
図9図4に示すリカバリーシースアセンブリの斜視図である。
図10図4に示すリカバリーシースアセンブリの断面図である。
図11】簡略化された患者の血管系を示す図であって、図4に示すカテーテルシステムを導入及び除去するための様々な技術を示す図である。
図12】簡略化された患者の血管系を示す図であって、図4に示すカテーテルシステムを導入及び除去するための様々な技術を示す図である。
図13】簡略化された患者の血管系を示す図であって、図4に示すカテーテルシステムを導入及び除去するための様々な技術を示す図である。
図14】簡略化された患者の血管系を示す図であって、図4に示すカテーテルシステムを導入及び除去するための様々な技術を示す図である。
図15】簡略化された患者の血管系を示す図であって、図4に示すカテーテルシステムを導入及び除去するための様々な技術を示す図である。
図16】簡略化された患者の血管系を示す図であって、図4に示すカテーテルシステムを導入及び除去するための様々な技術を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示は、カテーテルが体内に配置されている間における、血流の障害または閉塞の低減を容易にする、拡張可能な医療デバイスを哺乳動物の体内に導入するためのカテーテルシステムを対象とする。特に、本開示のカテーテルシステムは、カテーテルが患者の体内に配置されている間、カテーテルシステムの1以上の部分をカテーテル本体から除去することを可能にし、患者の血管系内のカテーテルシステムの断面積を減少させることにより、血流障害を低減させる。例えば、本明細書に記載のカテーテルシステムは、拡張可能な医療デバイスを収納または縮小状態で標的部位に送達し、その後、カテーテルシステムから(例えば、剥離によって)除去することにより、患者の血管系に留置されたカテーテルシステムの断面積を縮小するために使用することができる、除去可能な外側シースアセンブリを備える。
【0011】
さらに、本開示のカテーテルシステムは、外側シースアセンブリの除去に続いて切開部位におけるカテーテル本体の周囲の開口または隙間を封止し、カテーテルシステムが除去されたときに拡張可能な医療デバイスを再びシースに収めるか及び/または除去を容易にするためのリカバリーシースアセンブリを備えていてもよい。例えば、リカバリーシースアセンブリは、外側シースアセンブリの除去後に切開部位の開口部を封止するように構成された除去可能なプラグを含んでいてもよい。その結果として、本開示のカテーテルシステムは、縮小した直径の近位部を有していてもよく、それにより、血流障害を低減させる。さらに、リカバリーシースアセンブリは、拡張可能な医療デバイスが患者の体から除去される準備が整うまで、患者の体外に保持される比較的大きな直径のリカバリーシースを含んでいてもよい。次いで、リカバリーシースを患者の血管系内に進めて、リカバリーシースによって画定された管腔内で拡張可能な医療デバイスを縮小すること及び/または再びシースに収めることを容易にし、縮小された医療デバイスと共に患者の血管系から引き抜くことができる。
【0012】
本開示の実施形態は、多数の異なるカテーテル及びカテーテルシステムと組み合わせて用いるのに適している。図1~3は、本開示の実施形態が適用され得るカテーテルシステム100の非限定的な一例を示す。本実施形態では、カテーテルシステム100は、患者の左心室内に高性能な血液の流量を供給するのに適した経皮心臓ポンプカテーテルである。本開示の実施形態は、カテーテルポンプを参照して説明されるが、開示された実施形態は、カテーテルポンプとの使用に限定されず、他のカテーテル及びカテーテルシステムと組み合わせて用いられてもよいことを理解されたい。さらに、開示された実施形態は、カテーテルとの使用に限定されず、例えば、患者の体内での上記のような外科及び医療デバイスの挿入、配置、及び/または除去を容易にするために、他のサージカルまたは医療デバイスと組み合わせて使用してもよいことを理解されたい。
【0013】
図1は、カテーテルシステム100の平面図である。図1に示すように、カテーテルシステム100は、一般に、カテーテル102及び拡張可能な医療デバイス104を含む。カテーテル102は、近位端108から遠位端110まで延在する細長い本体106を有し、細長い本体106を覆うように配置されたリテーナまたは外側シース112を含む。本明細書で用いるとき、「近位」とは、患者の身体から離れてカテーテルシステム100の操作者に向かう方向を指す。その一方で、本明細書で用いるとき、「遠位」とは、患者の身体に向かい、カテーテルシステム100の操作者から離れる方向を指す。拡張可能な医療デバイス104は、カテーテル本体106の遠位端110に結合される。本明細書で使用される場合、「拡張可能な医療デバイス」とは、一般的に、カテーテルの遠位端に結合され、収納プロファイルまたは送達プロファイルから、送達プロファイルよりも大きい展開プロファイルまたは動作プロファイルへと径方向に拡張可能なカテーテル医療デバイスを指す。この実施形態では、拡張可能な医療デバイス104を、縮小及び拡張可能なカニューレ114と、縮小及び拡張可能なインペラ116(図2に示す)とを含む径方向に拡張可能な心臓ポンプとして示している。本発明の開示の実施形態は、径方向に拡張可能なポンプとの使用に限定されず、他の種類の拡張可能な医療デバイスとの使用に適していることを理解されたい。縮小した状態で、カテーテルシステム100の遠位端を、例えば、動脈を通過させて心臓まで進めてもよい。(図1~3に示す)拡張状態では、医療デバイス104は動作可能であり、設計された1以上の機能を実行することができる。図示の実施形態では、拡張可能な医療デバイス104は、拡張状態において、高流量で血液をポンピングまたは出力することが可能となる。
【0014】
図示した実施形態では、カテーテルシステム100は、インペラ116を駆動するためのモータ118と結合される。カテーテルシステム100は、ある実施形態においてモータ118と結合することができるカップリング120を含む。様々な実施形態において、インペラ116は、ポンプの動作時にカテーテル102の駆動ケーブルまたはシャフト122(図2)を介してモータ118によって回転される。例えば、モータ118は、患者の体外に配置することができる。実施形態によっては、モータ118は、モータ及びカテーテルシステム100の他の構成要素(例えば、注入システム)の動作を指示するコントローラ124に結合される。実施形態によっては、モータ118はコントローラ124から分離されており、例えば患者の近くに配置される。他の実施形態では、モータ118はコントローラ124の一部となっている。さらに他の実施形態では、モータは小型化されて、患者の体内に挿入可能となっている。さらに他の実施形態では、カテーテルシステム100は、モータ118を備えていなくてもよい。
【0015】
外側シース112は、カテーテル本体106を覆うように配置され、近位端128から遠位端130まで延在する細長い本体126を有する。細長い本体126は、カテーテル102の細長い本体106を収容する少なくとも1つの管腔をその内部に画定している。カテーテル本体106は、細長い本体106、126が互いに相対的に(例えば、軸方向に)摺動できるように、外側シース本体126の管腔に配置されてもよい。外側シースの細長い本体126は、カテーテル本体106が外側シース112によって画定された少なくとも1つの管腔を通って進められるように、内部にカテーテル本体106を受け入れるような大きさ及び形状を有している。以下でさらに説明する実施形態によっては、外側シース112は、例えば、1以上の分離ゾーンに沿って、カテーテル本体106から除去可能となっている。
【0016】
外側シース112は、患者の血管系を通してカテーテル102を容易に進めるために、拡張可能な医療デバイス104を縮小した状態に維持するように構成される。より具体的には、外側シース112は、外側シースの細長い本体126の遠位端130に位置し、縮小した状態となっているときに拡張可能な医療デバイス104を覆うように配置される保持部132を有する。保持部132は、その結果として、カテーテル本体の遠位端110が、例えば患者の心臓内部の所望の位置まで進めるまで、拡張可能な医療デバイス104を縮小状態に維持できるようにする。実施形態によっては、拡張可能な医療デバイス104は、拡張可能な医療デバイス104を外側シース112から遠位に進めたときに、展開状態または拡張状態へ、自ら展開または拡張するように構成される。外側シース112の遠位端130を、拡張可能な医療デバイス104を上から覆った状態で遠位に進めて拡張可能な医療デバイス104を縮小させることにより、拡張可能な医療デバイス104を縮小した状態にすることができる。
【0017】
実施形態によっては、カテーテル102は、カテーテル102の遠位端よりも小さい直径を有する縮径近位部134を有する。図示した実施形態では、例えば、外側シース112の保持部132は、拡張可能な医療デバイス104を受け入れて保持するのに適した直径を有する。拡張可能な医療デバイス104は、縮小状態であっても、カテーテル本体106の他の部分よりも大きな直径を有していてもよい。すなわち、カテーテル本体の遠位端110及び拡張可能な医療デバイス104は、縮小状態において、カテーテル本体の近位端108から延在するカテーテル102の近位部よりも大きな直径を有していてもよい。したがって、実施形態によっては、図1に示す実施形態のように、近位端108に位置するカテーテル102の近位部134は、カテーテル102の遠位端に対して小さい直径を有していてもよい。実施形態によっては、例えば、カテーテル本体106及び外側シース112のそれぞれは、カテーテル本体106及び外側シース112の遠位端に対して、カテーテル近位部134に沿って小さい直径を有する。外側シース112を備えない、または(以下でより詳細に説明される)除去可能な外側シース112を備える実施形態などの他の実施形態では、カテーテル本体106のみが、カテーテルの近位部134に沿って小さい直径を有していてもよい。縮径近位部134は、カテーテル102の遠位端の直径(例えば、カテーテル本体の遠位端110及び/または拡張可能な医療デバイス104の、縮小状態での直径)の95%未満、カテーテル102の遠位端の直径の90%未満、カテーテル102の遠位端の直径の85%未満、カテーテル102の遠位端の直径の80%未満、カテーテル102の遠位端の直径の75%未満、カテーテル102の遠位端の直径の70%未満、カテーテル102の遠位端の直径の60%未満、カテーテル102の遠位端の直径の50%未満であってもよい。実施形態によっては、例えば、カテーテル102の遠位端(すなわち、カテーテル本体106の遠位端110及び/または縮状態の拡張可能な医療デバイス104)は、13~16フレンチ(Fr)(約4.3~5.33mm)の直径を有し、縮径近位部134(例えば、カテーテル本体106)は、7~11Fr(約2.3~3.7mm)の直径を有している。ある一実施形態では、カテーテル本体106は、縮径近位部134に沿って9Fr(3.0mm)の外径を有する。カテーテルの近位部134の直径を小さくすることは、体内のカテーテル102の部分のプロファイルを縮小することを容易にする。また、より大きな直径のカテーテルの遠位端110及び拡張可能な医療デバイス104がそこを進んだ後に、血管系内に残るカテーテルシステム100の他の部分の周囲の血流用の空間を血管系内に開放する。
【0018】
図1に図示すような実施形態では、ルアー136または他の適切なコネクタが、その対応する近位端でカテーテル102及び/または外側シース112と流体連通して接続されている。図示した実施形態では、ルアー136は、その内部を流れる流体を制御するように構成された止血弁138によって結合されている。ルアー136は、プライミング液、輸液、または他の任意の適切な流体などの流体をカテーテル102に送達するように構成されてもよい。
【0019】
図2をさらに参照すると、図示した実施形態の拡張可能な医療デバイス104は、カニューレ114及びインペラ116を備えるポンプである。カニューレ114は、収納、すなわち、縮小状態と、展開、すなわち、拡張状態とを有する。カニューレ114は、超弾性材料で形成されてもよく、実施形態によっては、様々な形状記憶材料特性を有していてもよい。インペラ116は、カニューレ114内に配置され、インペラハブ142から延在する1以上のブレード140を含む。実施形態によっては、インペラ116のブレード140は、インペラ116が所望の場所、例えば、患者の心腔に配置されるとき、ブレード140がハブ142から径方向に延在する展開状態または拡張状態に拡張できるように自己拡張型であるように構成される。
【0020】
カニューレ114及びインペラ116は、外側シース112内における収納状態から、展開された状態へと展開されてもよい。そのような実施態様では、外側シース112は、ブレード140及びカニューレ114が外側シース112の管腔内から押し出されるまで、ブレード140及びカニューレ114を圧縮したままにしておいてもよい。ブレード140がシースアセンブリから解放されると、ブレード140は、外側シース112内のブレード140の変形によりブレード140に蓄積された歪みエネルギーを用いて展開状態に自己拡張することができる。拡張可能なカニューレ114は、外側シース112から押し出された後、蓄積された歪みエネルギーを使用して自己展開してもよい。拡張可能なカニューレ114及びブレード140に蓄えられた複合エネルギーは、好ましくは外側シース112の保持部132によって対抗する力を発生させる。したがって、保持部132は、例えば、心臓または他の血液源における位置決めの前に、カニューレ114及びブレード140の早すぎる展開を回避するために、堅牢な設計であることが好ましい。
【0021】
収納状態では、拡張可能な医療デバイス104は、好ましくは、患者の血管系に経皮的に挿入されるような十分に小さい直径を有する。したがって、拡張可能な医療デバイス104が、患者の静脈または動脈、特に末梢及び表在である小さな静脈または動脈、例えば、大腿静脈または動脈、頸静脈及び鎖骨下静脈、橈骨動脈及び鎖骨下動脈内に適合できるような十分に小さな収納状態へと縮小することが有利となることがある。したがって、実施形態によっては、拡張可能な医療デバイス104は、収納状態において、8~21Fr(約2.67~7.0mm)のカテーテルサイズに対応する直径を有していてもよい。
【0022】
拡張可能な医療デバイス104が心腔内に配置されるとき、拡張可能な医療デバイス104を拡張して、拡張または展開状態においてできるだけ大きな直径を有するようにすることが有利となることがある。例えば、図示した実施形態では、インペラ116の直径が増大すると、有利なことに、所定の回転速度でポンプを流れる流量を増大させる。より大きな直径のインペラは、溶血速度に対する流量の比率を改善することにも寄与する。実施形態によっては、拡張可能な医療デバイス104は、展開状態において12Fr(約7.3mm)を超えるカテーテルサイズに対応する直径を有していてもよい。他の実施形態では、拡張可能な医療デバイス104は、展開状態または拡張状態において21Fr(約7.0mm)より大きいカテーテルサイズに対応する直径を有していてもよい。
【0023】
図3は、カテーテルシステム100のある例示的な使用を示す図である。図示した実施形態では、拡張可能な医療デバイス104を含むカテーテルシステム100の遠位部分は、心臓の左心室(LV)に配置され、LVから大動脈に血液を送り出すように構成されている。カテーテルシステム100は、このように、心原性ショック、心筋梗塞などの心疾患の患者の治療や、経皮的冠動脈インターベンションなどの処置中の患者のサポートに幅広く使用することができる。カテーテルシステム100の遠位部分を心臓に配置するための便宜的な方法の一つとは、セルディンガー法または心臓専門医に馴染みのある他の方法を用いた経皮的アクセス及び送達によるものである。これらのアプローチにより、カテーテルシステム100は、救急医療、カテーテルラボ、及び他の非外科的環境において用いられることが可能になる。
【0024】
カテーテルシステム及び関連する構成要素の様々な追加の態様は、米国特許第7,022,100号明細書、米国特許第7,393,181号明細書、米国特許第7,841,976号明細書、米国特許第7,998,054号明細書、米国特許第8,376,707号明細書、米国特許第8,485,961号明細書、米国特許第8,535,211号明細書、米国特許第8,591,393号明細書、米国特許第8,597,170号明細書、米国特許第8,721,517号明細書、米国特許第9,138,518号明細書、米国特許第9,358,329号明細書、米国特許第9,421,311号明細書、米国特許第9,446,179号明細書、米国特許第9,872,947号明細書、及び、米国特許第10,105,475号明細書に開示されているものと同様であってもよい。これらの全内容は、参照することにより、様々な目的のために本明細書に組み込まれる。
【0025】
図4は、除去可能な外側シースアセンブリ200及びリカバリーシースアセンブリ300を備える、図1のカテーテルシステム100の他の平面図である。外側シースアセンブリ200及びリカバリーシースアセンブリ300は、操作中に患者の体内に留置されるカテーテルシステム100の断面積またはプロファイルを縮小させることを容易にする。本明細書でさらに説明するように、例えば、外側シースアセンブリ200の少なくとも一部は、カテーテル本体106から除去可能であり、それにより、患者の体内のカテーテルシステム100の断面積またはプロファイルを縮小させ、リカバリーシースアセンブリ300は、プロファイルが縮小した結果、カテーテル102及び切開部位の間に形成された開口またはギャップを封止または閉塞しやすくなり、さらにカテーテルシステム100を除去した際に患者の体から拡張可能な医療デバイス104を除去しやすくする。
【0026】
外側シースアセンブリ200は、外側シース112を備える。外側シース112は、本実施形態では、患者の体から除去可能であり、実施形態によっては、カテーテルシステム100の体内に残っている部分のプロファイルを低くするためにカテーテル本体106から完全に除去することができる。より具体的には、外側シースアセンブリ200の少なくとも一部は、指定された時間に制御された方法でカテーテル本体106から分離するように構成される。図示した実施形態では、例えば、分離ゾーン202が外側シース本体126に沿って設けられ、カテーテル本体106が分離ゾーン202を通過できるように外側シース本体126を開状態にすることができるようになっている。実施形態によっては、分離ゾーン202は、外側シース本体126が複数のピースまたはセグメントに分離されることを可能にする。
【0027】
分離ゾーン202は、外側シースアセンブリ200が本明細書に記載されるように機能することを可能にする外側シース本体126に沿った任意の適切な長さで延在してもよい。図示した実施形態では、分離ゾーン202は、外側シース本体126の全長、すなわち、外側シース本体126の近位端128から外側シース本体126の遠位端130まで延在している。他の実施形態では、分離ゾーン202は、外側シース本体126の全長より短くなるように延在していてもよい。実施形態によっては、例えば、分離ゾーン202は、外側シース本体126の近位端128から外側シース本体126の遠位端130に向かって遠位方向に延在し、外側シース本体126の遠位端130から近位方向に終端する。さらに他の実施形態では、分離ゾーン202は、外側シース本体126の遠位端130から外側シース本体126の近位端128に向かって近位方向に延在し、外側シース本体126の近位端128から遠位方向に終端している。分離ゾーン202が外側シース本体126の全長よりも短くなるように延在する実施形態では、外側シース112の他の部分が分離ゾーン202を介して除去された後、外側シース112の一部がカテーテル本体106上に残っていてもよい。外側シース112のカテーテル本体106上に残る部分は、以下でより詳細に説明するリカバリーシースアセンブリに画定された管腔を通じて患者の身体から除去されてもよい。
【0028】
1以上の分離ゾーン202は、外側シース本体126を複数のピースに分離することを容易にする、または外側シース本体126の構成を管状体から1以上のシート状体に変更することを容易にする任意の適切な構成を有していてもよい。実施形態によっては、分離ゾーン202は、外側シース本体126に沿って配置された直線状の継ぎ目を有する。分離ゾーン202は、一実施形態では2つの継ぎ目からなり、継ぎ目の1つは外側シース本体126の第1の横側面に沿って配置され、継ぎ目のもう1つは外側シース本体126の第2の横側面に沿って配置される。複数の継ぎ目のうちの2つは、外側シース本体126において互いに180度離れて配置されてもよい。1以上の直線状の継ぎ目は、例えば、これらに限定されないが、ミシン目線、スコアライン、及びそれらの組み合わせを含む、1以上の脆弱線を含んでもよい。ある実施形態では、1以上の直線状の継ぎ目は、レーザー切断によって形成される。実施形態によっては、1以上の直線状の継ぎ目は、複合的な継ぎ目を構成する。例えば、複合的な継ぎ目は、継ぎ目の遠位端に隣接する複合的な継ぎ目の第2の部分よりも分離に対する抵抗(すなわち、より高いまたはより低い)を有する継ぎ目の近位端に隣接する第1の部分を有していてもよい。
【0029】
実施形態によっては、1以上の分離ゾーン202は、外側シース本体126の一部のみに形成されてもよい。例えば、外側シース本体126は、内側チューブと、内側チューブを囲むまたは覆う外側ジャケットとを含む補強構造から構成されてもよい。このような実施形態では、1以上の分離ゾーン202は、内側チューブに沿うように、補強された外側シース本体126の一部のみに形成されてもよい。ある実施形態では、外側シース本体126は、内側チューブ及び外側ポリマージャケットを備え、少なくとも1つの分離ゾーン202が、例えば、レーザー切断(例えば、レーザー切断されたミシン目線)により内側チューブに沿って形成されている。このような実施形態では、外側ポリマージャケットは、分離ゾーンを有しなくてもよい。
【0030】
図5及び図6をさらに参照すると、図示した実施形態の外側シースアセンブリ200は、外側シース本体126の第1の側面側に配置された第1の側面分離ゾーン202a、及び外側シース本体126の第2の側面側に配置された第2の側面分離ゾーン202bを有する。第1及び第2の横方向側面は、例えば、約180度離れていることによって、互いに対向していてもよい。図示した実施形態では、第1及び第2の側面分離ゾーン202a、202bは、互いに径方向に対向して配置される。
【0031】
実施形態によっては、外側シースアセンブリ200は、外側シースアセンブリ200の操作及び/またはカテーテル本体106からの外側シースアセンブリ200の除去を容易にするためのハブを備えていてもよい。図示した実施形態では、例えば、外側シースアセンブリ200は、外側シース本体126の近位端128に配置されたハブ204を備えている。図5及び図6に示すように、ハブ204は、外側シース本体126とカテーテル本体106との間の相対的な動きを提供するために臨床医によって把持されることがある第1及び第2の側方ハンドル206、208を備える。第1及び第2のハンドル206、208は、例えば、第1及び第2のハンドル206、208に横向きに反対の力(矢印210で示す)を加えることによって、ハブ204を2つに分離させ、分離ゾーン202に沿って外側シース本体126の分離を伝達させるために用いられてもよい。
【0032】
実施形態によっては、カテーテルシステム100は、カテーテル本体106から外側シース112を除去することを容易にするために、図7及び図8に示す切断工具220をさらに備えていてもよい。切断工具220は、例えば、ハンドル222と、ハンドル222から突出するブレード224とを備え、1以上の分離ゾーンに沿って外側シース本体126を切断することを容易にすることができる。本実施形態では、分離ゾーンは外側シース本体126に予め形成されてもよく、または、外側シース本体126が分離されるのに沿って1以上の分離ゾーンを形成するために切断工具220が用いられてもよい。図7及び図8に示す実施形態では、切断工具220は、外側シース本体126の近位端128で分離ゾーンを開始するために用いられる。外側シース本体126は、ブレード224が外側シース本体126に結合している間、切断工具220に対して近位方向に引っ張られ、分離ゾーンに沿って外側シース本体126を分離させる。
【0033】
本明細書でさらに説明するように、外側シースアセンブリ200を、外側シースアセンブリ200が第1の分離していない(intact)(図4及び図5に示す)状態である間に、拡張可能な医療デバイス104を患者の体内の標的部位に送達するために用いてもよい。外側シースアセンブリ200は、その後、外側シースアセンブリ200を分離することによって(例えば、図6に示すように、分離ゾーン202に沿って)カテーテル本体106及び患者の身体から除去されてもよい。図示の実施形態では、外側シース本体126は、少なくとも2つの部分またはセグメント126a、126bに分離されているが、他の実施形態では、外側シース本体126は複数のセグメントに分離されなくてもよい。
【0034】
リカバリーシースアセンブリ300は、カテーテルから外側シースアセンブリ200が除去された後、次いで、切開部位の開口または隙間を封止または閉塞するように構成され、さらに、カテーテルシステム100が除去されるときに患者の体から拡張可能な医療デバイス104が容易に除去されるように構成される。リカバリーシースアセンブリ300は、カテーテルシステム100が本明細書に記載されるように機能することを可能にする任意の適切な構成を有していてもよい。実施形態によっては、リカバリーシースアセンブリ300は、2020年5月1日に出願された米国特許出願第16/864,545号明細書に記載されたイントロデューサシースアセンブリと同一または同様の構成を有し、その内容全体は、様々な目的のために参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0035】
図9をさらに参照すると、図示した実施形態のリカバリーシースアセンブリ300は、バルブ302と、バルブ302に接続され、バルブ302から突出するリカバリーシース304と、本明細書においてより詳細に説明するように、リカバリーシース304からプラグを除去または引き出すことができるようにリカバリーシース304に対して解放可能に固定されている管状のプラグ306と、を備える。この実施形態では、リカバリーシース304及び管状のプラグ306は、リカバリーシースアセンブリ300がカテーテル本体106に沿ってユニットとして摺動可能であるように、バルブ302に結合される。
【0036】
さらに図10に示すように、リカバリーシースアセンブリ300は、カテーテル102を覆うように、具体的にはカテーテル本体106の周囲を取り巻くように配置される。図示の実施形態では、リカバリーシースアセンブリ300は、カテーテル102の近位端に、具体的には、(図1に示す)カテーテル102の縮径近位部134に沿って配置される。実施形態によっては、リカバリーシースアセンブリ300は、(図1に示す)流体バルブ138から遠位にカテーテル102を覆うように配置される。他の実施形態では、流体バルブ138は、例えばバルブ302として、リカバリーシースアセンブリ300に組み込まれてもよい。
【0037】
バルブ302は、リカバリーシースアセンブリ300及び/またはカテーテル102によって画定された1つまたは複数の管腔を流れる流体の流れを制御し、例えば、患者からの血流を抑制するように構成される。バルブ302は、バルブ本体308と、アクチュエータ310と、バルブ部材312とを備える。バルブ302は、近位端314及び遠位端316を有し、その内部に画定された細長い通路318を有する。本実施形態では、細長い通路318は、バルブ本体308、アクチュエータ310、及びバルブ部材312の各々によって画定され、それらを通って延在している。バルブ本体308は、近位端320及び遠位端322を有し、本実施形態では、バルブ302の遠位端316を画定している。アクチュエータ310は、バルブ本体の近位端320に結合され、バルブ部材312は、バルブ本体308及びアクチュエータ310の間に配置される。
【0038】
本実施形態では、バルブ302は、回転可能なアクチュエータ310及び圧縮可能なバルブ部材312を含む回転可能な止血弁である。より具体的には、アクチュエータ310は、アクチュエータ310の結合部324及びバルブ本体308の間でバルブ部材312を圧縮し、それによってバルブ部材312を径方向内側に偏向させ、プラグ306に径方向の圧縮力を加えるように構成される。バルブ部材312は、それによって、プラグ306及びカテーテル102の間に画定された、及び/またはカテーテル102内に画定された1以上の管腔を封止する。アクチュエータ310は、本実施形態では、アクチュエータ310の第1の方向(例えば、時計回り)への回転により、アクチュエータ310がバルブ部材312に向かって変位し、アクチュエータ310及びバルブ本体308の間でバルブ部材312を圧縮するようにバルブ本体308にねじ止め結合されている。アクチュエータ310の第2の、反対方向(例えば、反時計回り)への回転は、アクチュエータ310をバルブ部材312から遠ざけ、バルブ部材312に対する圧縮を解放する。リカバリーシースアセンブリ300は、リカバリーシースアセンブリ300が本明細書に記載されるように機能することを可能にする任意の適切なバルブを含んでもよく、回転可能な止血バルブに限定されないことを理解されたい。
【0039】
また、バルブ302は、プラグ306をリカバリーシース304に対して解放可能に固定するためのリテーナ330を含む。本実施形態では、リテーナ330は、アクチュエータ310によって規定される環状凹部332内に配置されるO型リングを含む。O型リングは、プラグ306の一部と係合し、摩擦嵌合を介してリカバリーシース304に対するプラグ306の軸方向位置を維持する。他の実施形態では、バルブ302は、プラグ306をリカバリーシース304に対して解放可能に固定するためのO型リング以外のリテーナを含んでもよい。さらに他の実施形態では、プラグ306及びリカバリーシース304の一方また両方が、2つの構成要素の固定された相対位置を維持するためのリテーナを含んでもよい。
【0040】
リカバリーシース304は、近位端336から遠位端338まで延在する細長い本体334を含み、リカバリーシースの近位端336からリカバリーシースの遠位端338まで延在する管腔340をその内部に画定している。リカバリーシース本体334は、例えば患者の血管系に形成された切開部を密閉する大きさ及び形状を有する外径342を有する。リカバリーシース本体334は、リカバリーシースアセンブリ300が本明細書に記載されるように機能することを可能にする任意の適切な外径342を有してもよい。実施形態によっては、リカバリーシース304の外径342は、カテーテル102を患者の血管系に導入するために用いられるイントロデューサシースと同一である。リカバリーシース本体334の好ましい外径342は、例えば、これらに限定されないが、8~21Fr(2.67~7.0mm)、8~19(2.67~6.3mm)Fr、10~21Fr(3.3~7.0mm)、8~17(2.67~5.7mm)Fr、10~19Fr(3.3~6.3mm)、12~21Fr(4.0~7.0mm)、8~15Fr(2.67~5.0mm)、10~17Fr(3.3~5.7mm)、12~19Fr(4.0~6.3mm)、14~21Fr(4.7~7.0mm)、10~15Fr(3.3~5.0mm)、12~17Fr(4.0~5.7mm)、14~19Fr(4.7~6.3mm)、及び、13~16Fr(4.3~5.33mm)を有する。実施形態によっては、リカバリーシース本体334の外径342は、8Fr(2.67mm)未満である。さらに他の実施形態では、リカバリーシース304の外径342は21Fr(7.0mm)よりも大きい。一実施形態では、リカバリーシース本体334の外径342は14Fr(4.7mm)である。
【0041】
リカバリーシースの管腔340は、カテーテル102がリカバリーシース304に対して遠位及び近位に進められるように、カテーテル102を覆うように(例えば、カテーテル本体106を覆うように)に摺動可能に配置される。リカバリーシースの管腔340は、拡張可能な医療デバイス104や、実施形態によっては、外側シース112の保持部132がその内部を通過して嵌合できるような大きさである。例えば、リカバリーシース304の内径344は、カテーテル102を患者から除去するときにリカバリーシース304を用いて拡張可能な医療デバイス104を再びシースするかまたは縮小することができるように、縮小された状態における拡張可能な医療デバイス104の外径よりも大きい。実施形態によっては、リカバリーシースの内径344は、最大13Fr(4.3mm)、最大14Fr(4.7mm)、最大15Fr(5.0mm)、さらには最大16Fr(5.33mm)の外径を有する物体がリカバリーシースの管腔340が通過できるような大きさである。
【0042】
本実施形態では、リカバリーシース304は、バルブ本体の遠位端322でバルブ本体308に結合される。リカバリーシース304は、例えば、これらに限定されないが、摩擦嵌合、接着剤、及び鋲打ちを含む任意の適切な締結手段を用いてバルブ本体308に結合されてもよい。リカバリーシース304は、バルブ本体の遠位端322から長さ346(図9)にわたって延在している。リカバリーシース304は、例えば、これらに限定するものではないが、10~40cm、10cm~35cm、20cm~45cm、10cm~30cm、20cm~40cm、25cm~40cm、10cm~25cm、25cm~35cm、20cm~30cm、30cm~40cm、10cm~20cmを有するリカバリーシースアセンブリ300を本明細書で説明するように機能することが可能な任意の適切な長さ346によってバルブ本体308から延在してもよい。リカバリーシース304がバルブ本体308から延在する長さ346は、リカバリーシース304の遠位端338を患者の血管系に挿入して、患者の血管系に留置されている間にリカバリーシース304によって拡張可能な医療デバイス104を再びシースに収めることを可能にする十分な長さである。
【0043】
リカバリーシース304は、リカバリーシース304が本明細書に記載されるように機能することを可能にする任意の適切な技術を用いて、任意の適切な材料で構成されてもよい。実施形態によっては、リカバリーシース304は、カテーテル102が患者から除去されたときに、リカバリーシース304が拡張可能な医療デバイス104を再びシースに収めるかまたは縮小させることができるように、適切な剛性の構造を有している。リカバリーシース304の適切な構造は、例えば、これらに限定されないが、潤性ライナーを備える編組強化シース(例えば、編組ニチノール)、及び厚肉単一材料構成要素を備える。
【0044】
プラグ306は、カテーテル102に沿って、リカバリーシース304とカテーテル102の間に配置される。プラグは、プラグ306の近位端350(図10)から遠位端352まで延在する細長い管状の本体348を含み、その内部を通って延在する管腔354を画定している。細長い本体348は、細長い通路318及びリカバリーシースの管腔340のそれぞれを通過して延在している。
【0045】
図4図8に示すような実施形態では、リカバリーシースアセンブリ300は、リカバリーシース304とカテーテル102(例えば、カテーテル本体106)との間にギャップ356が画定されるように、カテーテル102の縮径近位部134を覆うように配置されている。図10に示すように、プラグ306は、カテーテル102を覆うように(具体的には、カテーテル本体106を覆うように)、かつ、カテーテル102及びリカバリーシース304の間に配置されて、それらの間に画定されたギャップ356を閉塞させるようになっている。プラグ306は、ギャップ356を実質的に充填または閉塞し、その内部を通過して外向きの流体の流れ(すなわち、リカバリーシースアセンブリ300の近位端に向かう流体)を阻害するのに適した厚さを有する。すなわち、実施形態によっては、プラグ本体348は、リカバリーシース304及びカテーテル102の間のギャップ356を実質的に充填するために、適切な内径358及び外径360を有する。実施形態によっては、例えば、プラグ本体348は、リカバリーシース内径344の85%~100%、リカバリーシース内径344の85%~95%、またはリカバリーシース内径344の90%~100%の外径360を有する。さらに、実施形態によっては、プラグ本体348は、カテーテル102(例えば、カテーテル102の縮径近位部)の外径の1.0倍~1.25倍、カテーテル102の外径の1.0倍~1.2倍、またはカテーテル102の外径の1.0倍~1.15倍の内径358を有している。ある実施形態では、プラグ本体348は、13Fr(4.3mm)の外径360と、10Fr(約3.3mm)までの直径を有する物体がその内部を通過することができる大きさの内径358を有している。
【0046】
上述したように、プラグ306は、リカバリーシース304に対して解放可能に固定されており、プラグ306は、カテーテル102の比較的大きな直径の遠位端(例えば、拡張可能な医療デバイス104)が通過することができるように、リカバリーシース管腔340から除去可能になっている。図示した実施形態では、プラグ306は、O型リングによってバルブ302、具体的にはバルブアクチュエータ310に解放可能に結合されている。リカバリーシースアセンブリ300を用いるある方法において、プラグ306は、カテーテル102が患者の血管系から除去される前に、リカバリーシース304に対してプラグ306を近位方向に引くことによってリカバリーシースの管腔340から除去され、それにより、バルブ302からプラグ306が分離される。
【0047】
図示した実施形態では、プラグ306は、プラグ近位端350と結合されたハンドル362を備え、プラグ306をリカバリーシース304及び/またはバルブ302に対して位置決め及び/または摺動させることを容易にする。ハンドル362の直径は、ハンドル362の把持を容易にするために、プラグ本体の外径360よりも大きい。さらに、本実施形態では、ハンドル362は、ハンドル362の把持を容易にするために、環状の凹溝364を有する。ハンドル362は、例えば、以下に限定されないが、リブ、溝、及びテクスチャ表面(複数可)等、凹溝に加えてまたはその代わりに他のグリップ機能を有してもよい。ハンドル362は、バルブ近位端314から近位方向に延在し、バルブ302の外部からアクセスすることが可能である。プラグハンドル362は、プラグ本体348と一体的に(すなわち、一体的な部材として)形成されてもよく、プラグ本体348と別個で形成された後、次いで、結合されてもよい。図示した実施形態では、プラグ306は、プラグハンドル362が摩擦嵌合を介してO型リングに固定されることにより、リカバリーシース304に対して相対的に固定される。
【0048】
再び図9を参照すると、プラグ遠位端352は、リカバリーシース304の遠位端338から距離366だけ突出する。プラグ遠位端352は、リカバリーシースアセンブリ300が本明細書に記載されるように機能することを可能にする任意の適切な距離366だけ、リカバリーシースの遠位端338から突出してもよい。実施形態によっては、例えば、プラグ遠位端352は、最大1cm、最大2cm、最大3cm、最大4cm、最大5cm、最大6cm、最大7cm、最大8cm、さらには最大10cmの距離366だけリカバリーシースの遠位端338から突出する。
【0049】
実施形態によっては、プラグの遠位端352は、プラグ306の遠位先端368に向かって径方向に内向きに傾斜しており、それにより、切開部位へのプラグ遠位端352の挿入を容易にする。さらに、実施形態によっては、プラグ本体348は、様々な硬度またはデュロメータ領域を含む。すなわち、プラグ本体348は、異なる硬度または剛性の領域を有するように構築されてもよい。実施形態によっては、例えば、プラグ遠位端352は、例えば、切開部位へのプラグ遠位端352の挿入を容易にするために、プラグ本体348の他の部分に対して比較的堅い(stiff)または硬い(hard)構造を有する。さらに、またはあるいは、実施形態によっては、バルブ部材312と結合するプラグ本体348の部分などのプラグ本体348の近位部分は、例えばバルブ部材312による圧縮と、プラグ本体348及び/またはカテーテル102によって画定される一つ以上の管腔の密閉を容易にするために、プラグ本体348の他の部分に対して比較的軟質(soft)、柔軟(flexible)、または弾性(elastic)構造を有している。すなわち、プラグ本体348の近位部分は、プラグ306によって、またはプラグ306内に画定される管腔を密閉することを容易にするために、半径方向に適合するものであってもよい。
【0050】
プラグ306は、プラグ306が本明細書に記載されるように機能することを可能にする任意の適切な技術を使用して、任意の適切な材料から構築されてもよい。ある実施形態では、プラグ306は、押出成形プロセスによって形成され、複数の硬度ゾーンが、既知のリフロー技術を使用してプラグ本体348に沿って形成される。プラグ306を構成する好適な材料は、例えば、これに限定されないが、ポリエチレンを含む。
【0051】
図10に示すように、バルブ本体308は、バルブ本体の細長い通路318と流体連通する流体ポート370を画定する。流体ポート370は、流体ライン372を介して流体源(例えば、ヘパリン化生理食塩水)に接続するように構成され、リカバリーシース304及び/またはプラグ306によって画定される1または複数の管腔に1または複数の流体Fを送達または供給可能にする。実施形態によっては、流体は、リカバリーシース304及び/またはプラグ306によって画定された1以上の管腔に供給され、管腔を洗浄し、血液製剤がリカバリーシースアセンブリ300内に蓄積して血栓を形成することを抑制する。本実施形態では、流体ポート370は、バルブ部材312及びバルブ本体308の遠位端322の間に位置し、バルブ本体308の径方向外面から細長い通路318まで径方向内側に延在している。
【0052】
リカバリーシースの近位端336は、リカバリーシースの管腔340が流体ポート370と流体連通するように、バルブ本体流体ポート370から遠位に配置される。さらに、本実施形態では、プラグ306は、プラグ本体348を通って延在する1以上の流体ポート374を画定する。プラグ306がバルブ302に接続されると、図7及び図8に示すように、プラグ流体ポート374は、流体がバルブ本体流体ポート370を介してプラグ管腔354に供給することができるようにバルブ本体流体ポート370と流体連通して結合される。言い換えれば、プラグ流体ポート374は、リカバリーシース管腔340に流体を供給するために用いられるのと同じ流体ポート370を使用して、プラグ管腔354に流体を供給することを可能にする。本実施形態では、プラグ流体ポート374は、流体ポート370を介して供給された流体がリカバリーシースアセンブリ300の近位端から漏れることを抑制するために、バルブ部材312と結合するプラグ本体348の弾性近位部分から遠位に配置されている。
【0053】
図11は、図4のカテーテルシステム100を患者の血管系に導入するための一手法を示す、患者の血管系を簡略化した図である。図11は、イントロデューサシース404を使用して切開部位402から患者の血管系にカテーテル102を挿入した後の、カテーテルシステム100のある動作構成を示したものである。
【0054】
より具体的には、図11は、外側シース112が近位に配置されており、拡張可能な医療デバイス104が外側シース112から遠位に進み、拡張状態にある様子を示す図である。実施形態によっては、拡張可能な医療デバイス104は、拡張可能な医療デバイス104が外側シース112内において、具体的には保持部132内で縮小された状態に維持されている間に、患者の血管系を通して進めることによって、標的部位に送達される。拡張可能な医療デバイス104は、その後、図11に示すように、拡張可能な医療デバイス104を外側シース112から遠位に進めることによって、拡張可能な医療デバイス104が縮小された状態から拡張した状態へと径方向に拡張するように、患者の体内に展開されることができる。
【0055】
図11は、カテーテルシステム100が、イントロデューサシース404が患者の血管系内に配置された状態を示している。本明細書に記載されるように、本開示のリカバリーシースアセンブリは、イントロデューサシース404を患者の血管系から除去することを可能にし、それによって、患者の血管系内の血流に対する閉塞を容易に低減できるようにする。実施形態によっては、例えば、リカバリーシースアセンブリ300は、図11に示すように、カテーテル102の近位部に配置される。カテーテル102の遠位端が患者の体内の所望の位置まで進められると、イントロデューサシース404は患者の血管系から除去され、例えば、図12に示すように、分離ゾーンに沿って(例えば、剥離によって)イントロデューサシース404を分離することによってカテーテル102から除去される。
【0056】
図13は、イントロデューサシース404を除去した後の患者の血管系内における図4のカテーテルシステム100を示す図である。図13に示すように、イントロデューサシース404の除去は、体内に残るカテーテルシステム100の部分のプロファイルまたは断面積を減少させ、カテーテルシステム100の他の部分の周囲の血流のための血管系の空間を開放する。本開示によれば、カテーテルシステム100のプロファイルまたは断面積は、カテーテルシステム100から外側シースアセンブリ200を除去することによって、さらに減少させることができる。図14に示すように、例えば、カテーテル本体106が分離ゾーン202を通過できるように、1以上の分離ゾーン(例えば、図4に示す分離ゾーン202)に沿って外側シース本体126を分離することによって、外側シースアセンブリ200をカテーテル本体106から除去することができる。図示した実施形態では、外側シース本体126は、外側シース本体126の近位端128において横方向に対向する力を加えることによって、第1及び第2の側面分離ゾーン202a、202b(図5及び図6に示される)に沿って126a、126bに2分割される。分離ゾーンを外側シース本体126の長さに沿って遠位に進めると、外側シースアセンブリ200は、外側シース本体126を患者の血管系から完全に除去されるまで、カテーテル本体106に沿って近位方向に引っ張られることにより、患者の血管系の外部に出る。
【0057】
図15に示すように、外側シースアセンブリ200の除去は、体内に留置されたカテーテルシステム100の部分のプロファイルまたは断面積をさらに減少させ、カテーテルシステム100の他の部分の周囲の血流のために血管系のさらなる空間を開放する。特に、外側シースアセンブリ200の除去後、カテーテル本体106の縮径近位部134(図1に示す)、及びその内部に封入された構成要素のみが大腿動脈内に残る。上述のように、カテーテル本体106の縮径近位部134の直径は、外側シースアセンブリ200の外径よりも小さくなっており、例えば、7~11Fr(約2.3~3.7mm)の範囲であってもよい。
【0058】
図15にさらに示すように、リカバリーシース304及び除去可能なプラグ306を備えるリカバリーシースアセンブリ300は、外側シースアセンブリ200がカテーテル本体106から除去された後に、カテーテル本体106に沿って遠位方向に進めてもよく、それにより、切開部位402を封止し、及び/または拡張可能な医療デバイス104の除去を容易にする。より具体的には、図示した実施形態では、リカバリーシース304及び除去可能なプラグ306は、外側シースアセンブリ200をカテーテル本体106から除去した後に、カテーテル本体106に沿って遠位方向に進められ、除去可能なプラグ306の遠位端352(図9に示す)が患者の血管系の切開部位402内に位置決めされるようになっている。上述のように、除去可能なプラグ306の遠位端352は、傾斜しており、切開部位402を封止または閉塞するために必要に応じて切開部位402を通じて挿入することができる。図15には図示していないが、実施形態によっては、リカバリーシースアセンブリ300は、リカバリーシース304が切開部位402内に配置されて切開部位402を封止するまで遠位方向に進められる。除去可能なプラグ306は、比較的大きな径のリカバリーシース304及び比較的小さな径のカテーテル本体106の間に形成される隙間を塞ぐ。
【0059】
他の実施形態では、切開部位402は、除去可能なプラグ306以外の手段で封止されてもよい。実施形態によっては、例えば、切開部位402は、カテーテル本体106の周囲を縫合することによって、及び/またはAbbott Laboratoriesから市販されているPerclose ProGlide(登録商標)などの縫合糸介在閉鎖システムを用いることによって封止されてもよい。そのような実施形態では、リカバリーシース304は、患者の血管系からカテーテル102を除去する直前まで、患者の血管系の外部に留置されていてもよい。
【0060】
図16は、患者の血管系からカテーテルシステム100を除去するためのある技術を示す図である。本実施形態では、カテーテル102は、リカバリーシース管腔340(図10に示す)を通じて患者の血管系から近位方向に引き抜くことによって、患者の血管系から除去される。より具体的には、除去可能なプラグ306は、カテーテル102の大径の遠位端がリカバリーシース管腔340を通過できるように(例えば、リカバリーシース304に対してカテーテル102に沿って近位側に除去可能なプラグ306をスライドさせることにより)、リカバリーシース304から除去される。図16に示すように、カテーテル102が患者の血管系から近位方向に引き抜かれると、拡張可能な医療デバイス104は、リカバリーシース304(図9に示す)の遠位端338に結合し、拡張可能な医療デバイス104が縮小状態へと縮小する。次いで、拡張可能な医療デバイス104はリカバリーシース管腔340を通して近位方向に引っ張られることにより、カテーテル102が、患者の血管系から除去されるようになっている。
【0061】
カテーテル102がリカバリーシース304から除去されると、バルブ302(図9に示す)を作動させて(例えば、アクチュエータ310を回転させてバルブ部材312にリカバリーシース304を圧縮させて)バルブ部材312を閉じることにより、リカバリーシース304からの血流を抑制してもよい。さらに、実施形態によっては、リカバリーシース304は、例えば、オペレータによって導入される他のカテーテルのアクセスを可能にするために、所定の位置に残されてもよい。
【0062】
本明細書に開示された実施形態及び例を、特定の実施形態を参照して説明してきたが、これらの実施形態及び例は、本開示の原理及び用途を単に例示するものであることを理解されたい。したがって、特許請求の範囲によって定義される本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、例示的な実施形態及び実施例に多数の変更を加えることが可能であり、他の構成を考案することができることを理解されたい。したがって、本願は、これらの実施形態並びにその等価物の修正及び変形を対象とすることを意図している。
【0063】
この書面の説明は、実施例を用いて、最良の態様(ベストモード)を含む本発明を開示し、また、当業者であれば誰でも、任意の装置またはシステムの製造及び使用、並びに任意の組み込まれた方法の実行を含む本発明を実施することをできるようにするものである。本発明の特許性の範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者に思いつく他の実施例を含んでいてもよい。このような他の例は、特許請求の範囲の文言と異ならない構造要素を有する場合、または特許請求の範囲の文言と実質的に異ならない同等の構造要素を含む場合に、特許請求の範囲に含まれることを意図している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【手続補正書】
【提出日】2022-05-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテルシステムであって、
遠位端(110)に結合された拡張可能な医療デバイス(104)を有する細長い本体(106)を有するカテーテル(102)と、
前記カテーテル本体(106)の近位部(108)の周囲に配置され、収納状態の前記拡張可能な医療デバイス(104)を内部に受け入れるような大きさ及び形状を有し、かつ前記カテーテル本体(106)に対して軸方向に摺動可能なリカバリーシース(304)と、
前記カテーテル(102)に沿って前記リカバリーシース(304)及び前記カテーテル(102)の間に径方向に配置され、かつ前記リカバリーシース(304)から遠位方向に突出した管状のプラグ(306)と、
外側シースアセンブリとを備え、
前記外側シースアセンブリ(200)は、前記カテーテル本体(106)を覆うように配置され、前記リカバリーシース(304)の遠位に位置する近位端(128)から遠位端(130)まで延在する細長い外側シース本体(126)を有する外側シース(112)を備え、
前記外側シース(112)が、前記拡張可能な医療デバイス(104)をその内部に受け入れて前記拡張可能な医療デバイス(104)を収納状態に固定する大きさ及び形状を有する保持部(132)を有し、かつ前記カテーテル本体(106)から除去可能である、カテーテルシステム。
【請求項2】
前記リカバリーシース(304)が、前記リカバリーシース(304)の近位端(336)から遠位端(338)まで延在する管腔(340)を画定し、
前記管状のプラグ(306)が、前記管腔(340)を通って延在し、かつ、近位端(350)から遠位端(352)まで延在する細長い本体(348)を有
前記管状のプラグ(306)の前記遠位端(352)が前記リカバリーシース(304)の前記遠位端(338)から突出し、
前記管状のプラグ(306)が前記リカバリーシース(304)に対して除去可能に固定されることにより前記リカバリーシース(304)から除去可能となり、前記拡張可能な医療デバイス(104)が通過できるように構成されている、請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項3】
前記外側シース(112)及び前記拡張可能な医療デバイス(104)が通過するための大きさ及び形状を有する管腔を画定するイントロデューサシース(404)をさらに備え、
前記イントロデューサシース(404)は、前記外側シース(112)が前記イントロデューサシース(404)の前記管腔を通じて患者の体内へ挿入された後に、前記外側シース(112)から除去可能となるように、分離ゾーンに沿って分離可能となっている、請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項4】
前記外側シース(112)が、少なくとも1つの長手方向に延在する分離ゾーン(202)に沿って分離可能となっていることにより、前記カテーテル本体(106)から除去可能となっている、請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項5】
少なくとも1つの前記分離ゾーン(202)が、前記外側シース(112)の前記外側シース本体(126)の前記近位端(128)から前記遠位端(130)まで延在している、請求項4に記載のカテーテルシステム。
【請求項6】
少なくとも1つの前記分離ゾーン(202)は、ミシン目及びスコア線を含む群から選択される少なくとも1つの直線的な継ぎ目を有する、請求項4に記載のカテーテルシステム。
【請求項7】
前記外側シース(112)が、第1の分離ゾーン(202a)と、前記第1の分離ゾーン(202a)の正反対に位置する第2の分離ゾーン(202b)とを有し、前記第1及び第2の分離ゾーン(202a,202b)が、前記外側シース(112)を第1のセグメント及び第2のセグメントの間の間隔の設定を可能にする、請求項4に記載のカテーテルシステム。
【請求項8】
前記外側シースアセンブリ(200)は、前記外側シース(112)の前記近位端(128)に配置された第1及び第2のハンドル(206,208)を備え、前記第1及び前記第2のハンドル(206,208)は、横方向に反対の力が加えられたときに、分離ゾーン(202)に沿って前記外側シース(112)を分離させるように構成される、請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項9】
前記カテーテル本体(106)の前記近位部(108)の外径は、前記外側シース(112)の近位部(134)の外径よりも小さく、前記外側シース(112)の前記近位部(134)の外径は、前記リカバリーシース(304)の外径よりも小さい、請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項10】
前記カテーテル本体(106)の前記近位部(108)は2.67~3.3mmの外径を有し、前記外側シースの前記近位部は3.3~4.0mmの外径を有し、前記リカバリーシース(304)は4.3mm~5.33mmの外径を有する、請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項11】
前記拡張可能な医療デバイス(104)は、
拡張可能なカニューレ(114)と、
前記拡張可能なカニューレ(114)内に配置され、かつ流体内で回転するときに、前記拡張可能なカニューレ(114)内に前記流体を引き込む動作を可能とするインペラ(116)とを備える、請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項12】
カテーテルシステムであって、
前記カテーテル(102)が前記カテーテル本体によって画定される管腔内に配置される駆動ケーブル(122)を備え、
前記拡張可能な医療デバイス(104)は、拡張可能なカニューレ(114)、及び前記拡張可能なカニューレ(114)内に配置され、流体内で回転したときに、前記拡張可能なカニューレ(114)の内部に前記流体を引き込むように動作可能に前記駆動ケーブル(122)に結合されたインペラ(116)を備える、請求項1に記載のカテーテルシステム。
【国際調査報告】