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特表2023-537235組成物及びN-フェニルピラゾール-1-カルボキサミドを調製するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-31
(54)【発明の名称】組成物及びN-フェニルピラゾール-1-カルボキサミドを調製するための方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/04 20060101AFI20230824BHJP
   A01N 43/56 20060101ALI20230824BHJP
   A01P 7/04 20060101ALI20230824BHJP
【FI】
C07D401/04
A01N43/56 D
A01P7/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023503998
(86)(22)【出願日】2021-07-22
(85)【翻訳文提出日】2023-02-02
(86)【国際出願番号】 US2021042695
(87)【国際公開番号】W WO2022020547
(87)【国際公開日】2022-01-27
(31)【優先権主張番号】63/055,443
(32)【優先日】2020-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/144,115
(32)【優先日】2021-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391022452
【氏名又は名称】エフ エム シー コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】FMC CORPORATION
(71)【出願人】
【識別番号】518259165
【氏名又は名称】エフエムシー アグロ シンガポール プライベート リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【弁理士】
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】カレ・ソンダガード
(72)【発明者】
【氏名】ジャック・ケー・ヴィンター
【テーマコード(参考)】
4C063
4H011
【Fターム(参考)】
4C063AA01
4C063BB02
4C063CC22
4C063DD12
4C063EE03
4H011AC01
4H011BB09
(57)【要約】
(1)(a)結晶性有機殺生物剤;(b)及び(c)式1及び式2の化合物;(d)アミン塩基及び(e)非プロトン性溶媒を含む組成物を、(2)式3の塩化スルホニルと反応させ、そして(3)その混合物から式4-Aの有機殺生物剤を生成させる、式4Aの有機殺生物剤を調製するための改良された方法が開示されている。
【化1】
[式中、
、R、R、R、R、R、R、及びRは、本開示において定義されたものである。]
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物であって、
(a)結晶性有機殺生物剤、
(b)式1のカルボン酸化合物、
【化1】
(c)式2のアニリン化合物、
【化2】
(d)アミン塩基、及び
(e)非プロトン性溶媒
を含む組成物。
【請求項2】
前記結晶性有機殺生物剤が、式4の結晶性化合物である、請求項1に記載の組成物
【化3】
[式中、
が、CH又はClであり;
が、Br、Cl、I、又はCNであり;
が、H又はC~Cアルキルであり;
が、Cl、Br、CF、OCFH、又はOCHCFであり;
が、F、Cl、又はBrであり;
が、H、F、又はClであり;
Zが、CR又はNであり;そして
が、H、F、Cl、又はBrである]。
【請求項3】
前記アミン塩基が、場合によっては、置換されたピリジンから選択される、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記アミン塩基が3-ピコリンである、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記非プロトン性溶媒がアセトニトリルである、請求項2に記載の組成物。
【請求項6】
式中、
が、CHであり;
が、Cl又はCNであり;
が、CHであり;
が、Brであり;
が、Clであり;
が、Hであり;
Zが、Nである;
請求項2に記載の組成物。
【請求項7】
前記式4の結晶性化合物がクロルアントラニリプロールである、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記式4の結晶性化合物がシアントラニリプロールである、請求項6に記載の組成物。
【請求項9】
式4の結晶性化合物の量が、式1のカルボン酸化合物の1モルあたり、5モル%~30モル%である、請求項1~8に記載の組成物。
【請求項10】
式4の結晶性化合物の量が、式1のカルボン酸化合物の1モルあたり、10モル%~25モル%である、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
式4-Aの化合物を調製するための方法であって、
【化4】
[式中、
が、CH又はClであり;
が、Br、Cl、I、又はCNであり;
が、H又はC~Cアルキルであり;
が、Cl、Br、CF、OCFH、又はOCHCFであり;
が、F、Cl、又はBrであり;
が、H、F、又はClであり;
Zが、CR又はNであり;そして
が、H、F、Cl、又はBrである]
(1)請求項1に記載の前記組成物を形成させるステップ;
(2)請求項1に記載の前記組成物を、式3の塩化スルホニル化合物と反応させるステップ;
【化5】
[式中、Rが、炭素ベースの基である];及び
(3)前記酸で活性化された混合物をカップリングさせて、式4-Aの化合物の形成に到らせるステップ;
を含む、方法。
【請求項12】
前記式3の塩化スルホニル化合物が、塩化メタンスルホニルである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
(4)前記反応物に水を添加するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
式中、
が、CHであり;
が、Cl又はCNであり;
が、CHであり;
が、Brであり;
が、Clであり;
が、Hであり;
Zが、Nである;
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記式4Aの化合物がクロルアントラニリプロールである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記式4Aの化合物がシアントラニリプロールである、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
請求項2に記載の組成物を使用して形成される、式4-Aの有機殺生物剤。
【請求項18】
前記式4及び4-Aの化合物が、両方ともクロルアントラニリプロールである、請求項17に記載の有機殺生物剤。
【請求項19】
前記式4及び4-Aの化合物が、両方ともシアントラニリプロールである、請求項17に記載の有機殺生物剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国仮特許出願第63/055443号(出願日、2020年7月23日)及び米国仮特許出願第63/144115号(出願日、2021年2月1日)の利益を主張するものであり、それら全てを参考として引用し本明細書に組み入れたものとする。
【0002】
本開示は、新規な組成物及びN-フェニルピラゾール-1-カルボキサミドを調製するための改良された方法に関する。
【背景技術】
【0003】
アントラニル酸ジアミドを製造するための従来からのプロセスは、たとえば、以下のようないくつかの点で工業的な関心の的となっている:加工性、環境危険性、高コスト、反応剤の反応性、特殊装置の必要性、及び商業的規模での運転方法の制限。より大きい商業的規模で高純度のアントラニルアミドを製造するための、新規な方法が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、シアントラニリプロール、クロルアントラニリプロール、及びそれらの誘導体を調製するのに有用な新規な方法を提供する。従来からの方法と比較したときの、本開示の方法の有益性としては、粘稠な反応混合物の生成及びバッチ交代の際の時間のかかる反応器洗浄操作の必要性を回避することによる、商業的規模でのプロセスを運転する際の顕著な改良が挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一つの態様においては、本明細書で提供される本開示は、以下のものを含む組成物を目的としている:
(a)結晶性有機殺生物剤、
(b)式1のカルボン酸化合物、
【化1】
[式中、
が、Cl、Br、CF、OCFH、又はOCHCFであり;
が、F、Cl、又はBrであり;
が、H、F、又はClであり;
Zが、CR又はNであり;そして
が、H、F、Cl、又はBrである]
(c)式2のアニリン化合物、
【化2】
[式中、
が、CH又はClであり;
が、Br、Cl、I、又はCNであり;
が、H又はC~Cアルキルである]
(d)アミン塩基、及び
(e)非プロトン性溶媒。
【0006】
また別の態様においては、本開示は、式4-Aの化合物を調製するための方法を提供する:
【化3】
[式中、
が、CH又はClであり;
が、Br、Cl、I、又はCNであり;
が、H又はC~Cアルキルであり;
が、Cl、Br、CF、OCFH、又はOCHCFであり;
が、F、Cl、又はBrであり;
が、H、F、又はClであり;
Zが、CR又はNであり;そして
が、H、F、Cl、又はBrである]
その方法には、以下のステップが含まれる:
(1)上で挙げたような組成物を形成させるステップ;
(2)その組成物を、式3の塩化スルホニル化合物と反応させるステップ;
【化4】
[式中、Rは、炭素ベースの基である];並びに
(3)その酸で活性化された混合物をカップリングさせて、式4-Aの化合物の形成に到らせるステップ。
【0007】
また別の態様においては、本開示は、上で挙げたような組成物使用して形成された式4-Aの有機殺生物剤を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書で使用するとき、「含む」(「comprises」、「comprising」、「includes」、「including」、「contains」、「containing」)、「有する」(「has」、「having」)、及び「を特徴とする」(「characterized by」)という用語、又はそれらの各種変化形は、明示的に指示された各種の制限に従った、非排他的な包含をカバーすることを意図している。たとえば、各種の要素を含む組成、混合物、プロセス又は方法は、必ずしもそれらの要素のみに限定されることはなく、そのような組成、混合物、プロセス、又は方法に明示的に指示されなかったり、或いは固有でなかったりする、他の要素も含むことができる。
【0009】
転換句(transitional phrase)の「からなる(consisting of)」は、特定されていない、いかなる要素、ステップ、又は成分も排除する。特許請求項において、請求項が、不純物は別として、明示的に引用されたものとは異なる物質を包含するようにして閉じているのなら、通常、それと関連している。「consisiting of」という文言が、前文の直後というよりは、請求項の主要部の条項の中に現れている場合には、それは、その請求項の中で言及された要素のみを限定し;その他の要素は、全体として、その請求項から排除されることはない。
【0010】
転換句の「から実質的になる(consisting essentially of)」は、文言として開示されたものに加わるが、ただし、これらの追加の物質、ステップ、構成、成分、又は要素が、本開示の基本的且つ新規な特性に、大きく影響することはないという場合の、物質、ステップ、構成、成分、又は要素を含む、組成物、プロセス、又は方法を定義するのに使用されている。「consisting essentially of」という用語は、「comprising」と、「connsisting of」の中間を占めている。
【0011】
出願人が、実施態様又はその一部を、たとえば「comprising」のようなオープンエンド用語で定義した場合には、(そうではないとの記述がない限り)、その記述は、「connsisting essentially of」又は「connsisting of」の用語を使用しているそのような実施態様もまた記述していると解釈するべきであるということは容易に理解されるべきである。
【0012】
さらに、それとは反対に、明示的に記述されていない限り、「又は(or)」は、包括的な「or」を指すのであって、排他的「or」を指すのではない。たとえば、条件「A又はB(A or B)」は、以下のいずれかにより満足される:Aが真であり(又は存在し)且つBが偽である(又は存在しない)、Aが偽であり(又は存在しない)且つBが真である(又は存在する)、並びに、AとBの両方が真である(又は存在する)。
【0013】
さらに、本開示の要素又は成分に先行する、不定冠詞の「a」及び「an」は、その要素又は成分の場合(すなわち、出現)の数に関しては非限定的であるものとする。したがって、「a」及び「an」は、一つ、又は少なくとも一つを含むと読み取るべきであり、そしてその要素又は成分のそのような単数の語形には、その数が単数を意味していることが明らかではない限り、複数もまた含まれる。
【0014】
本明細書で使用するとき、「アミン塩基(amine base)」という用語は、一級、二級、及び三級アミンも含めて、有機塩基及びそれらの塩を指している。適切なアミン塩基としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定される訳ではない:置換されたアミン、環状アミン、天然由来のアミンたとえばピリジン塩基(たとえば、3-ピコリン)、N,N’-ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2-ジエチルアミノエタノール、2-ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N-エチルモルホリン、N-エチルピペリジン、イソプロピルアミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなど。
【0015】
本明細書で使用するとき、「非プロトン性溶媒(aprotic solvent)」という用語は、プロトン供与性能を有さない各種の溶媒を指している。例としては、以下のものが挙げられるが、いかなる限定を与えるものではない:アセトニトリル、2-メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、酢酸プロピル(たとえば、酢酸イソプロピル)、アセトン、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、ヘキサメチルホスホルアミド、及びプロピレンカーボネート。
【0016】
本明細書で使用するとき、「極性非プロトン性溶媒(polar aprotic solvent)」という用語は、極性溶媒である、非プロトン性溶媒を指している。例としては、以下のものが挙げられるが、いかなる限定を与えるものではない:アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミドなど。
【0017】
本明細書で使用するとき、「酸活性化剤(acid activating agent)」という用語は、カルボン酸化合物とアニリンとのカップリングを容易とする反応物を指している。例としては、以下のものが挙げられるが、いかなる限定を与えるものではない:一般式RS(O)Cl(式3)の化合物(ここで、Rは、炭素ベースの基である)。例としては、以下のものが挙げられるが、いかなる限定を与えるものではない:塩化メタンスルホニル、塩化プロパンスルホニル、塩化ベンゼンスルホニル、及び塩化p-トルエンスルホニル。低コスト、添加の容易さ、及び/又は廃棄物の少なさの理由から、塩化メタンスルホニルがより好ましい。
【0018】
「炭素ベースの基(carbon-based radical)」という用語は、単結合を介して、その化学構造の残りに対して、その基を結合させる炭素原子を含む、一価の分子成分を指している。炭素ベースの基には、場合によっては、飽和、不飽和、及び芳香族基、鎖、環、及び環構造、並びにヘテロ原子を含んでいてもよい。本開示の文脈においては、炭素ベースの基のサイズには、何の特定な制限もないが、典型的には、それらには、1~16個の炭素原子及び0~3個のヘテロ原子が含まれる。注目すべきは、C~Cアルキル、C~Cハロアルキル、並びに、場合によっては、C~Cアルキル、ハロゲン、及びニトロから選択される1~3個の置換基を用いて置換されたフェニル、から選択される炭素ベースの基である。
【0019】
本明細書で使用するとき、「C~Cアルキル」という用語には、1~4個の炭素原子を有する直鎖状又は分岐状のアルキル基、たとえば、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、又は、各種のブチル、ペンチル、又はヘキシル異性体が含まれる。本明細書で使用するとき、「ハロゲン」という用語には、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素が含まれる。「ハロゲン」という用語には、単独で使用されるか、又は化合物の用語たとえば「ハロアルキル」中で使用されている場合のいずれでも、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素が含まれる。さらには、たとえば「ハロアルキル」のように化合物の用語の中で使用された場合、前記アルキルは、同一であっても異なっていてもよいハロゲン原子を用いて、部分的に置換されていても、或いは完全に置換されていてもよい。「ハロアルキル」の例としては、FC、ClCH、CFCH、及びCFCClが挙げられる。
【0020】
本明細書で使用するとき、「適切な(suitable)」という用語は、そのように記述されたエンティティが、指示された状況又は環境において使用するのに適しているということを示している。「反応させる(reacting)」などの用語は、適切な条件下で2種以上の反応剤を添加、接触又は混合して、指示されるか及び/又は所望の反応生成物を製造することをさせている。指示されるか及び/又は所望の反応生成物を製造するその反応が、必ずしも、最初に添加された2種の反応剤の組合せから直接的に得られる必要はない、すなわち、その混合物の中で製造される1種又は複数の中間体が存在していて、それが究極的には、指示されるか及び/又は所望の反応生成物を生成させてもよい、ということは理解されたい。反応は、溶媒の存在下又は非存在下、室温より高いか又は低い温度、不活性雰囲気下、などで実施することができる。
【0021】
本明細書において、「場合によっては(optioinally)」いう用語を使用した場合、その任意の条件が存在していても、存在していなくてもよいということを意味している。たとえば、「反応が、場合によっては、溶媒の存在下に実施される」といる場合には、その溶媒は、存在していても、存在していなくてもよい。
【0022】
「場合によっては置換された(optionally substituted)」という用語は、非置換であるか、又は非置換の類似体によって保持されている化学的又は生物学的活性を消失させることがない、少なくとも1種の非水素置換基を有している基であることを示している。本明細書で使用するとき、特に断らない限り、以下の定義が適用されるものとする。「場合によっては~を用いて置換された」という用語は、「非置換、又は~を用いて置換された」という文言、又は「~を用いて(非)置換の」という用語と、相互に置き換え可能に使用される。特に断らない限り、場合によっては置換された基では、その基のそれぞれの交換可能な位置に置換基を有していてよく、そしてそれぞれの置換は互いに独立している。
【0023】
本開示の実施態様としては、以下のものが挙げられる:
[実施態様C1]
組成物であって、(a)結晶性有機殺生物剤;(b)式1のカルボン酸;(c)式2のアニリン;(d)アミン塩基;及び(e)非プロトン性溶媒;を含む、「要約書」に記載の組成物。
[実施態様C2]
がClである、実施態様C1に記載の組成物。
[実施態様C3]
がCHである、実施態様C1~C2のいずれか1項に記載の組成物。
[実施態様C4]
ZがNである、実施態様C1~C3のいずれか1項に記載の組成物。
[実施態様C5]
が、Cl、Br、又はCFである、実施態様C1~C4のいずれか1項に記載の組成物。
[実施態様C6]
が、Cl又はCNである、実施態様C1~C5のいずれか1項に記載の組成物。
[実施態様C7]
がCHであり、RがClであり、RがCHであり、RがBrであり、RがClであり、RがHであり、そしてZがNである、実施態様C1~C6のいずれか1項に記載の組成物。
[実施態様C8]
がCHであり、RがCNであり、RがCHであり、RがBrであり、RがClであり、RがHであり、そしてZがNである、実施態様C1~C6のいずれか1項に記載の組成物。
[実施態様C9]
(前記式1の化合物)対(前記式2の化合物)のモル比が、約(1.2:1)~約(1:1.2)である、実施態様C1~C8のいずれか1項に記載の組成物。
[実施態様C10]
(前記式1の化合物)対(前記式2の化合物)のモル比が、約(1:1)~約(1:1.2)である、実施態様C1~C9のいずれか1項に記載の組成物。
[実施態様C11]
(前記式1の化合物)対(前記式2の化合物)のモル比が、約(1:1.1)である、実施態様C1~C10のいずれか1項に記載の組成物。
[実施態様C12]
(前記塩化スルホニル)対(前記式1の化合物)のモル比が、少なくとも約(1:1)である、実施態様C1~C11のいずれか1項に記載の組成物。
[実施態様C13]
(前記塩化スルホニル)対(前記式1の化合物)のモル比が、約(1:1)~約(2.5:1)である、実施態様C1~C12のいずれか1項に記載の組成物。
[実施態様C14]
(前記塩化スルホニル)対(前記式1の化合物)のモル比が、約(1.1:1)~約(1.4:1)である、実施態様C1~C13のいずれか1項に記載の組成物。
[実施態様C15]
前記アミン塩基の量が、前記式3の塩化スルホニルに対して、少なくとも約2当量である、実施態様C1~C14のいずれか1項に記載の組成物。
[実施態様C16]
前記アミン塩基の量が、前記式3の塩化スルホニルに対して、少なくとも約2.1当量である、実施態様C1~C15のいずれか1項に記載の組成物。
[実施態様C17]
前記アミン塩基の量が、前記式3の塩化スルホニルに対して、約2.1~2.2当量である、実施態様C1~C16のいずれか1項に記載の組成物。
[実施態様C18]
前記アミン塩基が、第三級アミン(場合によっては置換されたピリジンを含む)から選択される、実施態様C1~C17のいずれか1項に記載の組成物。
[実施態様C19]
前記アミン塩基が、場合によっては、置換されたピリジン及びそれらの混合物から選択される、実施態様C1~C18のいずれか1項に記載の組成物。
[実施態様C20]
前記アミン塩基が、2-ピコリン、3-ピコリン、2,6-ルチジン、ピリジン、及び前述のものの混合物から選択される、実施態様C1~C19のいずれか1項に記載の組成物。
[実施態様C21]
前記アミン塩基が3-ピコリンである、実施態様C1~C20のいずれか1項に記載の組成物。
[実施態様C22]
前記非プロトン性溶媒が、ニトリル(たとえば、アセトニトリル、プロピオニトリル)、エステル(たとえば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル)、ケトン(たとえば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン)、ハロアルカン(たとえば、ジクロロメタン、トリクロロメタン)、エーテル(たとえば、エチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、p-ジオキサン)、芳香族炭化水素(たとえば、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン)、第三級アミン(たとえば、トリアルキルアミン、ジアルキルアニリン、場合によっては置換されたピリジン)、及び前述のものの混合物から選択される、実施態様C1~C21のいずれか1項に記載の組成物。
[実施態様C23]
前記非プロトン性溶媒が、第三級アミン(たとえば、トリアルキルアミン、ジアルキルアニリン、場合によっては置換されたピリジン、及び前述のものの混合物)から選択される、実施態様C22に記載の組成物。
[実施態様C24]
前記溶媒が、ニトリル(たとえば、アセトニトリル、プロピオニトリル)、エステル(たとえば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル)、ケトン(たとえば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン)、ハロアルカン(たとえば、ジクロロメタン、トリクロロメタン)、エーテル(たとえば、エチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、p-ジオキサン)、芳香族炭化水素(たとえば、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン)、及び前述のものの混合物から選択される、実施態様C22に記載の組成物。
[実施態様C25]
前記溶媒がアセトニトリルである、実施態様C22に記載の組成物。
[実施態様C26]
(前記結晶性有機殺生物剤)対(前記式1の化合物)のモル比が(0.001:1)より大である、実施態様C1~C25のいずれか1項に記載の組成物。
[実施態様C27]
(前記結晶性有機殺生物剤)対(前記式1の化合物)のモル比が(0.01:1)より大である、実施態様C1~C26のいずれか1項に記載の組成物。
[実施態様C28]
(前記結晶性有機殺生物剤)対(前記式1の化合物)のモル比が、約(0.001:1)~(0.25:1)の間である、実施態様C1~C25のいずれか1項に記載の組成物。
[実施態様C29]
(前記結晶性有機殺生物剤)対(前記式1の化合物)のモル比が、約(0.01:1)~(0.2:1)の間である、実施態様C1~C26のいずれか1項に記載の組成物。
[実施態様C30]
(前記結晶性有機殺生物剤)対(前記式1の化合物)のモル比が、約(0.05:1)~(0.2:1)の間である、実施態様C1~C29のいずれか1項に記載の組成物。
[実施態様C31]
(前記結晶性有機殺生物剤)対(前記式1の化合物)のモル比が(0.09:1)より大である、実施態様C1~C27のいずれか1項に記載の組成物。
[実施態様C32]
(前記結晶性有機殺生物剤)対(前記式1の化合物)のモル比が、約(0.10:1)~(0.25:1)の間である、実施態様C1~C31のいずれか1項に記載の組成物。
[実施態様C32a]
(前記結晶性有機殺生物剤)対(前記式1の化合物)のモル比が、約(0.1:1)~(0.2:1)の間である、実施態様C1~C32のいずれか1項に記載の組成物。
[実施態様C33]
(前記結晶性有機殺生物剤)対(前記式1の化合物)のモル比が約(0.1:1)である、実施態様C1~C32aのいずれか1項に記載の組成物。
[実施態様C34]
(前記結晶性有機殺生物剤)対(前記式1の化合物)のモル比が約(0.125:1)である、実施態様C1~C32aのいずれか1項に記載の組成物。
[実施態様C34a]
(前記結晶性有機殺生物剤)対(前記式1の化合物)のモル比が約(0.15:1)である、実施態様C1~C32aのいずれか1項に記載の組成物。
[実施態様C35]
(前記結晶性有機殺生物剤)対(前記式1の化合物)のモル比が約(0.20:1)である、実施態様C1~C32aのいずれか1項に記載の組成物。
[実施態様C36]
前記結晶性有機殺生物剤が殺真菌剤である、実施態様C1~C35のいずれか1項に記載の組成物。
[実施態様C37]
前記結晶性有機殺生物剤が殺菌剤である、実施態様C1~C35のいずれか1項に記載の組成物。
[実施態様C38]
前記結晶性有機殺生物剤が除草剤である、実施態様C1~C35のいずれか1項に記載の組成物。
[実施態様C39]
前記結晶性有機殺生物剤が殺線虫剤である、実施態様C1~C35のいずれか1項に記載の組成物。
[実施態様C40]
前記結晶性有機殺生物剤が殺虫剤である、実施態様C1~C35のいずれか1項に記載の組成物。
[実施態様C41]
前記結晶性有機殺生物剤が、クロルアントラニリプロール、シアントラニリプロール、フルトリアホール、インドキサカルブ、イミダクロプリド、フルインダピル、及びそれらの組合せから選択される、実施態様C1~C35のいずれか1項に記載の組成物。
[実施態様C42]
前記有機殺生物剤が、式4のアントラニル酸ジアミドである、実施態様C1~C35のいずれか1項に記載の組成物。
【化5】
[実施態様C43]
前記結晶性有機殺生物剤が、クロルアントラニリプロール及びシアントラニリプロールから選択される、実施態様C1~C35のいずれか1項に記載の組成物。
[実施態様C44]
前記結晶性有機殺生物剤がクロルアントラニリプロールである、実施態様C1~C35のいずれか1項に記載の組成物。
[実施態様C45]
前記結晶性有機殺生物剤がシアントラニリプロールである、実施態様C1~C35のいずれか1項に記載の組成物。
[実施態様M1]
要約書に記載の方法であって:(1)実施態様C1~C45のいずれか1項に記載の組成物を形成させるステップ;(2)前記組成物を、式3の塩化スルホニル化合物と反応させるステップ;及び(3)前記活性化された混合物を放置して、式4-Aの化合物の形成を進行させるステップ;を含む、式4-Aの化合物を調製するための方法。
[実施態様M2]
(前記式3の塩化スルホニル)対(前記式1の化合物)のモル比が、少なくとも約(1:1)である、実施態様M1に記載の方法。
[実施態様M3]
(前記式3の塩化スルホニル)対(前記式1の化合物)のモル比が、約(1:1)~約(2.5:1)である、実施態様M1~M2のいずれか1項に記載の方法。
[実施態様M4]
(前記式3の塩化スルホニル)対(前記式1の化合物)のモル比が、約(1.1:1)~約(1.4:1)である、実施態様M1~M3のいずれか1項に記載の方法。
[実施態様M5]
がBr、Cl、又はIであり、さらに(前記式3の塩化スルホニル)対(前記式1の化合物)のモル比が、約(1.2:1)である、実施態様M1~M4のいずれか1項に記載の方法。
[実施態様M6]
がCNであり、さらに(前記式3の塩化スルホニル)対(前記式1の化合物)のモル比が、約(1.3:1)である、実施態様M1~M4のいずれか1項に記載の方法。
[実施態様M7]
が、C~Cアルキル、C~Cハロアルキル、又は場合によっては、ハロゲン、C~Cアルキル、及びニトロからなる群より選択される1~3個の置換基を用いて置換されたフェニルである、実施態様M1~M6のいずれか1項に記載の方法。
[実施態様M8]
が、C~Cアルキル、CF、フェニル、又は4-メチルフェニルである、実施態様M1~M7のいずれか1項に記載の方法。
[実施態様M9]
が、C~Cアルキル、フェニル、又は4-メチルフェニルである、実施態様M1~M8のいずれか1項に記載の方法。
[実施態様M10]
がCHである、実施態様M1~M9のいずれか1項に記載の方法。
[実施態様M11]
前記式3の塩化スルホニルと反応させる前の、前記組成物の温度が、約-70℃~100℃の間である、実施態様M1~M10のいずれか1項に記載の方法。
[実施態様M12]
前記組成物の温度が、約-10℃~50℃の間である、実施態様M1~M11のいずれか1項に記載の方法。
[実施態様M13]
前記組成物の温度が、約10℃~40℃の間である、実施態様M1~M11のいずれか1項に記載の方法。
[実施態様M14]
前記温度が約20℃である、実施態様M1~M11のいずれか1項に記載の方法。
[実施態様M15]
(4)前記反応物に水を添加するステップ;をさらに含む、実施態様M1~M14のいずれか1項に記載の方法。
[実施態様M16]
水対前記式1の化合物のモル比が、少なくとも(1:1)である、実施態様M15に記載の方法。
[実施態様M17]
水対前記式1の化合物のモル比が、約(1:1)~約(100:1)である、実施態様M15に記載の方法。
[実施態様M18]
水対前記式1の化合物のモル比が、約(10:1)~約(50:1)である、実施態様M15に記載の方法。
[実施態様M19]
水対前記式1の化合物のモル比が、約(15:1)~約(40:1)である、実施態様M15に記載の方法。
[実施態様M20]
水対前記式1の化合物のモル比が、約(20:1)~約(35:1)である、実施態様M15に記載の方法。
[実施態様M21]
水を添加する際の温度が、約-70℃~100℃の間である、実施態様M15~M20のいずれか1項に記載の方法。
[実施態様M22]
水を添加する際の温度が、約0℃~80℃の間である、実施態様M15~M20のいずれか1項に記載の方法。
[実施態様M23]
水を添加する際の温度が、約15℃~75℃の間である、実施態様M15~M20のいずれか1項に記載の方法。
[実施態様M24]
水を添加する際の温度が、約20℃~65℃の間である、実施態様M15~M20のいずれか1項に記載の方法。
[実施態様M25]
水を添加する際の温度が、約40℃~60℃の間である、実施態様M15~M20のいずれか1項に記載の方法。
[実施態様M26]
水を添加する際の温度が、少なくとも50℃である、実施態様M15~M20のいずれか1項に記載の方法。
[実施態様M27]
水を添加する際の温度が、約65℃である、実施態様M15~M20のいずれか1項に記載の方法。
[実施態様F1]
式4-Aの化合物が、M1~M27のいずれか1項に記載の方法により調製される。
[実施態様F2]
がClである、実施態様F1に記載の組成物。
[実施態様F3]
がCHである、実施態様F1~F2のいずれか1項に記載の組成物。
[実施態様F4]
ZがNである、実施態様F1~F3のいずれか1項に記載の組成物。
[実施態様F5]
が、Cl、Br、又はCFである、実施態様F1~F4のいずれか1項に記載の組成物。
[実施態様F6]
が、Cl又はCNである、実施態様F1~F5のいずれか1項に記載の組成物。
[実施態様F7]
がCHであり、RがClであり、RがCHであり、RがBrであり、RがClであり、RがHであり、そしてZがNである、実施態様F1~F6のいずれか1項に記載の組成物。
[実施態様F8]
がCHであり、RがCNであり、RがCHであり、RがBrであり、RがClであり、RがHであり、そしてZがNである、実施態様F1~F6のいずれか1項に記載の組成物。
【0024】
実施態様C1~C45;M1~M27;F1~F8;並びに本明細書に記載された各種その他の実施態様(1種又は複数)は、各種の方法で組み合わせることが可能であり、そしてそれらの実施態様における変数の記述は、有機殺生物剤を調製するために有用な、式4及び4-Aのアントラニル酸ジアミドのみならず、式1、2及び3の出発中間体化合物にも関連する。
【0025】
特に注目すべきは、本開示の方法によって、式3の塩化スルホニルと反応させるより前に、高度に粘稠な懸濁液が生成することが防止されるということである。当業熟練者の認識するところであろうが、粘稠な懸濁液は、撹拌を妨害し、その結果、熱伝達の調節及び反応剤の混合が悪くなる。当業熟練者がさらに認識するところであろうが、反応制御を維持するためにはさらなる溶媒を添加することが必要となるために、反応器の容量及び製造規模が限定され、その結果、製造コストが上がり、廃棄物が増える。本発明の方法の機能により、プロセス全体にわたって、容易に撹拌可能な自由流動性の反応懸濁液が得られ、式4-Aのアントラニル酸ジアミドのような有機殺生物剤を製造するためのこれまで公知のプロセスに比較して、カップリングプロセスをうまく制御することが可能となる。いくつかの実施態様においては、本発明の方法により、改良された撹拌、熱伝達、及び反応制御のメリットから、有機殺生物剤の製造能力の増大がもたらされる。
【0026】
いくつかの実施態様においては、その結晶性有機殺生物剤が、有機殺生物剤の結晶化の際の核生成源として機能することができる。いくつかの実施態様においては、その結晶性有機殺生物剤によって、より均質な結晶粒度分布を有し、結晶がより大きい点で、改良された固態特性がもたらされ、その結果商業的規模での操作方法における濾過時間を短縮し、バッチ交代の際の時間のかかる反応器洗浄操作の必要性を低下させることができるようになる。
【0027】
各種の実施態様においては、その結晶性有機殺生物剤の最高約10モル%までが、ステップ(1)における組成物の一部である場合には、ステップ(2)において、酸活性化剤の一部、たとえば酸活性化剤の少なくとも約5モル%、又は活性化剤の約10モル%~約20モル%、又は活性化剤の約15モル%~約20モル%を添加した後で、追加の結晶性有機殺生物剤を添加してもよい。別な方法として、ステップ(1)において、すでに製造した結晶性有機殺生物剤を含んでいる反応器を、その結晶性有機殺生物剤に代えて使用してもよい。
【0028】
各種の実施態様においては、本開示の方法を広い範囲の温度で実施してもよいが、一般的には、-70℃~100℃、又は0℃~還流温度、又は10℃~70℃で実施される。いくつかの実施態様においては、その反応が、約20℃の温度で実施される。当業熟練者の認識するところであろうが、本開示の発熱反応の温度は、単純に塩化スルホニル化合物の添加速度を制御することによって、容易に制御される。
【0029】
本開示の組成物の中で使用される結晶性有機殺生物剤は、生物活性の化合物又は薬剤であって、以下のものが挙げられる:結晶性の形態の、殺虫剤、殺真菌剤、殺線虫剤、殺菌剤、ダニ駆除剤、除草剤、除草剤毒性緩和剤(herbicide safener)、成長調節因子たとえば昆虫脱皮阻害剤及び発根刺激剤、化学不妊剤、信号化学物質、忌避剤、誘引剤、フェロモン、摂食刺激剤、及びその他の生物活性化合物、又は昆虫病原性細菌、ウイルス若しくは真菌。
【0030】
本開示の組成物において使用可能な、本開示の有機殺生物剤の例は、たとえば、以下の殺虫剤である:アバメクチン、アセフェート、アセキノシル、アセタミプリド、アクリナトリン、アシノナピル、アフィドピロペン([(3S,4R,4aR,6S,6aS,12R,12aS,12bS)-3-[(シクロプロピルカルボニル)オキシ]-1,3,4,4a,5,6,6a,12,12a,12b-デカヒドロ-6,12-ジヒドロキシ-4,6a,12b-トリメチル-11-オキソ-9-(3-ピリジニル)-2H,11H-ナフト[2,1-b]ピラノ[3,4-e]ピラン-4-イル]メチルシクロプロパンカルボキシレート)、アミドフルメット、アミトラズ、エバーメクチン、アザジラクチン、アジンホスメチル、ベンフラカルブ、ベンスルタップ、ベンツピリモキサン、ビフェトリン、カッパ-ビフェトリン、ビフェナゼート、ビストリフルロン、ホウ酸塩、ブロフラニリド、ブプロフェジン、カズサホス、カルバリル、カルボフラン、カルタップ、カルゾル、クロルアントラニリプロール、クロルフェナピル、クロルフルアズロン、クロロプラレトリン、クロルピリホス、クロルピリホス-e、クロルピリホス-メチル、クロマフェノジド、クロフェンテジン、クロロプラレトリン、クロチアニジン、シアントラニリプロール、(3-ブロモ-1-(3-クロロ-2-ピリジニル)-N-[4-シアノ-2-メチル-6-[(メチルアミノ)カルボニル]フェニル]-1H-ピラゾール-5-カルボキサミド)、シクラニリプロル(3-ブロモ-N-[2-ブロモ-4-クロロ-6-[[(1-シクロプロピルエチル)アミノ]カルボニル]フェニル]-1-(3-クロロ-2-ピリジニル)-1H-ピラゾール-5-カルボキサミド)、シクロプロトリン、シクロキサプリド((5S,8R)-1-[(6-クロロ-3-ピリジニル)メチル]-2,3,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-9-ニトロ-5,8-エポキシ-1H-イミダゾ[1,2-a]アゼピン)、シエノピラフェン、シフルメトフェン、シフルトリン、ベータ-シフルトリン、シハロジアミド、シハロトリン、ガンマ-シハロトリン、ラムダシハロトリン、シペルメトリン、アルファ-シペルメトリン、ゼータ-シペルメトリン、シロマジン、デルタメトリン、ジアフェンチウロン、ダイアジノン、ジクロロメゾチアズ、ジエルドリン、ジフルベンズロン、ジメフルトリン、ジメヒポ、ジメトエート、ジンプロピリダズ、ジノテフラン、ジオフェノラン、エマメクチン、エマメクチンベンゾエート、エンドスルファン、エスフェンバレレート、エチプロール、エトフェンプロックス、イプシロン-メトフルトリン、エトキザゾール、フェンブタチンオキシド、フェニトロチオン、フェノチオカルブ、フェノキシカルプ、フェンプロパトリン、フェンバレレート、フィプロニル、フロメトキン(2-エチル-3,7-ジメチル-6-[4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-4-キノリニルメチルカーボネート)、フロニカミド、フルアザインドリジン、フルベンジアミド、フルシトリネート、フルフェネリム、フルフェノクスロン、フルフェンオキシストロビン(メチル(αE)-2-[[2-クロロ-4-(トリフルオロメチル)フェノキシ]メチル]-α-(メトキシメチレン)ベンゼンアセテート)、フルエンスルホン(5-クロロ-2-[(3,4,4-トリフルオロ-3-ブテン-1-イル)スルホニル]チアゾール)、フルヘキサフォン、フルオピラム、フルピプロル(1-[2,6-ジクロロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]-5-[(2-メチル-2-プロペン-1-イル)アミノ]-4-[(トリフルオロメチル)スルフィニル]-1H-ピラゾール-3-カルボニトリル)、フルピラジフロン(4-[[(6-クロロ-3-ピリジニル)メチル](2,2-ジフルオロエチル)アミノ]-2(5H)-フラノン)、フルピリミン、フルバリネート、タウフルバリネート、フルキサメタミド、フォノホス、ホルメタネート、フォスチアゼート、ガンマ-シハロトリン、ハロフェノジド、ヘプタフルトリン([2,3,5,6-テトラフルオロ-4-(メトキシメチル)フェニル]メチル 2,2-ジメチル-3-[(1Z)-3,3,3-トリフルオロ-1-プロペン-1-イル]シクロプロパンカルボキシレート)、ヘキサフルムロン、ヘキシチアゾクス、ヒドラメチルノン、イミダクロプリド、インドキサカルブ、殺虫性石鹸、イソフェンホス、イソシクロセラム、カッパ-テフルトリン、ラムダシハロトリン、ルフェヌロン、マラチオン、メペルフルトリン([2,3,5,6-テトラフルオロ-4-(メトキシメチル)フェニル]メチル(1R,3S)-3-(2,2-ジクロロエテニル)-2,2-ジメチルシクロプロパンカルボキシレート)、メタフルミゾン、メタアルデヒド、メタミドホス、メチダチオン、メチオカルブ、メソミル、メトプレン、メトキシクロル、メトフルトリン、メトキシフェノジド、イプシロン-メトフルトリン、イプシロン-モンフルオロトリン、モノクロトホス、モノフルオロトリン([2,3,5,6-テトラフルオロ-4-(メトキシメチル)フェニル]メチル 3-(2-シアノ-1-プロペン-1-イル)-2,2-ジメチルシクロプロパンカルボキシレート)、ニコチン、ニテンピラム、ニチアジン、ノバルロン、ノビフルムロン、オキサミル、オキサゾスルフィル、パラチオン、パラチオンメチル、ペルメトリン、ホレート、ホサロン、ホスメット、ホスファミドン、ピリミカーブ、プロフェノホス、プロフルトリン、プロパルガイト、プロトリフェンブテ、ピフルブミド(1,3,5-トリメチル-N-(2-メチル-1-オキソプロピル)-N-[3-(2-メチルプロピル)-4-[2,2,2-トリフルオロ-1-メトキシ-1-(トリフルオロメチル)エチル]フェニル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド)、ピメトロジン、ピラフルプロール、ピレトリン、ピリダベン、ピリダリル、ピリフルキナゾン、ピリミノストロビン(メチル(αE)-2-[[[2-[(2,4-ジクロロフェニル)アミノ]-6-(トリフルオロメチル)-4-ピリミジニル]オキシ]メチル]-α-(メトキシメチレン)ベンゼンアセテート)、ピリプロール、ピリプロキシフェン、ロテノン、リアノジン、シラフルオフェン、スピネトラム、スピノサド、スピロジクロフェン、スピロメシフェン、スピロピジオン、スピロテトラマト、スルプロホス、スルホキサフロール(N-[メチルオキシド[1-[6-(トリフルオロメチル)-3-ピリジニル]エチル]-λ4-スルファニリデン]シアナミド)、テブフェノジド、テブフェンピラド、テフルベンズロン、テフルトリン、カッパ-テフルトリン、ターブホス、テトラクロルアントラニリプロール、テトラクロルビンホス、テトラメトリン、テトラメチルフルトリン([2,3,5,6-テトラフルオロ-4-(メトキシメチル)フェニル]メチル 2,2,3,3-テトラメチルシクロプロパンカルボキシレート)、テトラニリプロル、チアクロプリド、チアメトキサム、チオジカルブ、チオスルタップ-ナトリウム、チオキサザフェン(3-フェニル-5-(2-チエニル)-1,2,4-オキサジアゾール)、トルフェンピラド、トラロメトリン、トリアザメート、トリクロルホン、トリフルメゾピリム(2,4-ジオキソ--1-(5-ピリミジニルメチル)-3-[3-(トリフルオロメチル)フェニル]-2H-ピリド[1,2-a]ピリミジニウム分子内塩)、トリフルムロン、チクロピラゾフロル、ゼータ-シペルメトリン、バチルス・チューリングエンシス(Bacillus thuringlensis)デルタ-エンドトキシン、昆虫病原性細菌、昆虫病原性ウイルス、又は昆虫病原性真菌。
【0031】
本開示の組成物の中で使用可能な本開示の有機殺生物剤のさらなる例は、たとえば、以下の殺真菌剤である:アシベンゾラル-S-メチル、アルジモルフ、アメトクトラジン、アミノピリフェン、アミスルブロム、アニラジン、アザコナゾール、アゾキシストロビン、ベナラキシル(ベナラキシル-Mを含む)、ベノダニル、ベノミル、ベンチアバリカルブ(ベンチアバリカルブ-イソプロピルを含む)、ベンゾビンジフルピル、ベトキサジン、ビアンパクリル、ビフェニル、ビテルタノール、ビキサフェン、ブラスチシジン-S、ボスカリド、ブロムコナゾール、ブピリメート、ブチオベート、カルボキシン、カルプロパミド、カプタホール、キャプタン、カルベンダジム、クロロネブ、クロロタロニル、クロゾリネート、水酸化銅、銅オキシクロリド、硫酸銅、コウモキシストロビン、シアゾファミド、シフルフェナミド、シモキサニル、シプロコナゾール、シプロジニル、ジクロベンチアゾクス、ジクロフルアニド、ジクロシメト、ジクロメジン、ジクロラン、ジエトフェンカルブ、ジフェノコナゾール、ジフルメトリム、ジメチリモール、ジメトモルフ、ジモキシストロビン、ジニコナゾール(ジニコナゾールMを含む)、ジノカップ、ジピメチトロン、ジチアノン、ジチオラン、ドデモルフ、ドジン、エコナゾール、エタコナゾール、エジフェンホス、エノクサストロビン(エネストロブリンとも呼ばれている)、エポキシコナゾール、エタボキサム、エチリモール、エトリジアゾール、ファモキサドン、フェナミドン、フェナミンストロビン、フェナリモル、フェンブコナゾール、フェンフラム、フェンヘキサミド、フェノキサニル、フェンピクロニル、フェンピコキサミド、フェンプロピジン、フェンプロピモルフ、フェンピラザミン、フェンチン酢酸塩、フェンチン水酸化物、フェルバム、フェリムゾン、フロメトキン、フロリルピコキサミド、フルオピモミド、フルアジナム、フルジオキソニル、フルフェンオキシストロビン、フルインダピル、フルモルフ、フルオピコリド、フルオピラム、フルオキサピプロリン、フルオキサストロビン、フルキンコナゾール、フルシラゾール、フルスルフアミド、フルチアニル、フルトラニル、フルトリアホール、フルキサピロキサド、ホルペット、フタリド(fthalide)(フタリド(phthalide)とも呼ばれている)、フベリダゾール、フララキシル、フラメトピル、ヘキサコナゾール、ヒメキサゾール、グアザチン、イマザリル、イミベンコナゾール、イミノオクタジンアルベシレート、イミノオクタジントリアセテート、インピルフルキサム、ヨージカルブ、イプコナゾール、イプフェントリフルコナゾール、イプフルフェノキン、イソフェタミド、イプロベンホス、イプロジオン、イプロバリカルブ、イソフルシプラム、イソプロチオラン、イソピラザム、イソチアニル、カスガマイシン、クレソキシムメチル、ランコトリオン、マンコゼブ、マンジプロパミド、マンデストロビン、マンネブ、マパニピリン、メフェントリフルコナゾール、メプロニル、メプチルジノカップ、メタラキシル(メタラキシル-M/メフェノキサムを含む)、メトコナゾール、メタスルホカルブ、メチラム、メトミノストロビン、メチルテトラプロール、メトラフェノン、ミクロブタニル、ナフチチン、ネオ-アソジン(メタンアルソン酸第二鉄)、ヌアリモル、オクチリノン、オフラセ、オリサストロビン、オキサジキシル、オキサチアピプロリン、オキソリン酸、オクスポコナゾール、オキシカルボキシン、オキシテトラサイクリン、ペンコナゾール、ペンシクロン、ペンフルフェン、ペンチオピラド、ペルフルアゾレート、亜リン酸(それらの塩たとえば、フォセチル-アルミナムを含む)、ピコキシストロビン、ピペラリン、ポリオキシン、プロベナゾール、プロクロラズ、プロシミドン、プロパモカルブ、プロピコナゾール、プロピネブ、プロキナジド、プロチオカルブ、プロチオコナゾール、ピジフルメトフェン(Adepidyn(登録商標))、ピラクロストロビン、ピラメトストロビン、ピラプロポイン、ピラオキシストロビン、ピラジフルミド、ピラゾフォス、ピリベンカルブ、ピリブタカルブ、ピリダクロメチル、ピリフェノクス、ピリオフェノン、ペリソクサゾール、ピリメタニル、ピリフェノクス、ピロルニトリン、ピロキロン、キンコナゾール、キンメチオネート、キノフメリン、キノキシフェン、キントゼン、シルチオファム、セダキサン、シメコナゾール、スピロキサミン、ストレプトマイシン、硫黄、テブコナゾール、テブフロキン、テレクロサラム、テクロフタラム、テクナゼン、テルビナフィン、テトラコナゾール、チアベンダゾール、チフルザミド、チオファネート、チオファネート-メチル、サイラム、チアジニル、トルクロフォス-メチル、トルプロカルブ、トリフルアニド、トリアジメホン、トリアジメノール、トリアリモル、トリアゾキシド、三塩基性硫酸銅、トリクロピリカルブ、トリデモルフ、トリフロキシストロビン、トリフルミゾール、トリモフラミド、トリシクラゾール、トリフロキシストロビン、トリフォリン、トリチコナゾール、ウニコナゾール、バリダマイシン、バリフェナレート(バリフェナールとも呼ばれている)、ビンクロゾリン、ジネブ、ジラム、ゾクサミド、及び1-[4-[4-[5-(2,6-ジフルオロフェニル)-4,5-ジヒドロ-3-イソオキサゾリル]-2-チアゾリル]-1-ピペリジニル]-2-[5-メチル-3-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾル-1-イル]エタノン;殺線虫剤たとえば、フルオピラム、スピロテトラマト、チオジカルブ、フォスチアゼート、アバメクチン、イプロジオン、フルエンスルホン、ジメチルジスルフィド、チオキサザフェン、1,3-ジクロロプロペン(1,3-D)、メタム(ナトリウム、及びカリウム)、ダゾメット、クロロピクリン、フェナミホス、エトプロホス、カズサフォス、ターブホス、イミシアホス、オキサミル、カルボフラン、チオキサザフェン、バチルス・フィルムス(Bacillus firmus)、及びパスツリア・ニシザワエ(Pasteuria nishizawae);殺菌剤たとえば、ストレプトマイシン;ダニ駆除剤たとえば、アミトラズ、キノメチオナト、クロロベンジレート、シヘキサチン、ジコホール、ジエノクロル、エトキザゾール、フェナザキン、フェンブタチンオキシド、フェンプロパトリン、フェンピロキシメート、ヘキシチアゾクス、プロパルガイト、ピリダベン、及びテブフェンピラド。
【0032】
有機殺生物剤(すなわち、殺虫剤、殺真菌剤、殺線虫剤、ダニ駆除剤、除草剤、及び生物学的薬剤)の一般的参考文献としては、以下のものが挙げられる:「The Pesticide Manual,13th Edition」,C.D.S.Tomlin,Ed.,British Crop Protection Council,Farnham,Surrey,U.K.,2003、及び「The BioPesticide Manual,2nd Edition」,L.G.Copping,Ed.,British Crop Protection Council,Farnham,Surrey,U.K.,2001。
【0033】
いくつかの実施態様においては、式4-Aの化合物と類似の結晶構造又は類似の結晶構造特性を有する物質を、所望の反応生成物の結晶を形成させ、成長させるための不均一な核生成源として使用してもよい。式4-Aの化合物と類似の結晶構造を有する物質を使用して、改良された化学反応プロセスをもたらす、有益な多形的特性を導入してもよい。
【0034】
式4-Aの有機殺生物剤は、式1、2、及び3の出発化合物を、その中ではそれぞれが少なくとも部分的には可溶性である、組み合わせた液相の中で、相互に接触させることにより形成される。特に、式1及び2の出発物質は、典型的には、通常の周囲温度では固体であるので、その方法を、それらの出発化合物が十分な溶解度を有する溶媒の中で実施するのが、最も好適である。したがって、典型的には、その方法は、溶媒を含む液相の中で実施される。いくつかの場合においては、式1のカルボン酸がほんのわずかな溶解度しか有さない場合もあり得るが、塩基を添加したその塩が、その溶媒の中で、より大きい溶解度を持つということもあり得る。この方法に好適な溶媒としては、以下のものが挙げられる:ニトリルたとえば、アセトニトリル及びプロピオニトリル;エステルたとえば、酢酸メチル、酢酸エチル、及び酢酸ブチル;ケトンたとえば、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、及びメチルブチルケトン;ハロアルカンたとえば、ジクロロメタン及びトリクロロメタン;エーテルたとえば、エチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、及びp-ジオキサン;芳香族炭化水素たとえば、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、及びジクロロベンゼン;第三級アミンたとえば、トリアルキルアミン、ジアルキルアニリン、及び場合によっては置換されたピリジン;並びに前述のものの混合物。注目すべき溶媒としては、アセトニトリル、プロピオニトリル、酢酸エチル、アセトン、MEK、ジクロロメタン、メチルtert-ブチルエーテル、THF、p-ジオキサン、トルエン、及びクロロベンゼンが挙げられる。溶媒として特に注目すべきはアセトニトリルであるが、その理由は、それが、優れた収率及び/又は純度の反応生成物を与えることが多いからである。
【0035】
本発明の方法の反応では、副生物として塩化水素(これは、そのままでは式1、2及び4の化合物上の塩基中心に結合する可能性がある)を発生するので、この方法を、少なくとも1種の添加の塩基の存在下で実施するのが、最も好適である。その塩基はさらに、カルボン酸と塩化スルホニル化合物及びアントラニルアミドとの構成的相互作用にも有利に働くことができる。添加された塩基と式1のカルボン酸との反応によって、塩が形成されるが、その塩は、カルボン酸よりも高い、その反応媒体の中への溶解度を有している可能性がある。その塩基の添加が、塩化スルホニルの添加と同時か、交互か、又は後になってもよいが、その塩基は、典型的には、塩化スルホニルの添加よりも前に添加される。いくつかの溶媒たとえば第三級アミンもまた塩基として機能し、それらを溶媒として使用した場合、それらが、塩基としては、化学量論的には大過剰となるであろう。塩基を溶媒として使用しない場合には、仕込んだ塩基の、仕込んだ塩化スルホニルに対する名目上のモル比は、典型的には約2.0~2.2であり、約2.1~2.2であるのが好ましい。好ましい塩基は、第三級アミン(置換されたピリジンを含む)である。最も好ましい塩基としては、2-ピコリン、3-ピコリン、2,6-ルチジン、及びピリジンが挙げられる。塩基として特に注目すべきは3-ピコリンであるが、その理由は、式1のカルボン酸とのその塩が、多くの場合、溶媒たとえばアセトニトリルの中に非常に溶けやすいからである。
【0036】
式4及び4-Aのアントラニル酸ジアミドの製造においては、典型的には、2種以上の固体が存在しうる。したがって、式4及び4-Aのアントラニル酸ジアミドには、式4及び4-Aで表される属の中でのアントラニル酸ジアミドの、すべての結晶性及び非晶性の形態が含まれる。非晶性の形態には、固体である実施態様たとえばワックス及びゴム、さらには液体である実施態様たとえば溶液及び溶融物が含まれる。結晶性の形態には、実質的に単結晶タイプを表す実施態様、及び多形の混合物(すなわち、複数の結晶性タイプ)を表す実施態様が含まれる。「多形(polymorph)」という用語は、各種の結晶性の形態で結晶化することが可能な、化合物の特定の結晶性の形態を表しており、これらの形態は、結晶格子の中での、各種の分子の配列及び/又は配座を有している。複数の多形が、同一の化学組成を有することできるが、それらはさらに、その格子の中に弱く、又は強く結合されることが可能な、共結晶された水又は他の分子の存否によって、組成が異なっていることも可能である。多形は、結晶の形状、密度、硬度、色、化学的安定性、融点、吸湿性、懸濁性、溶解速度、及び生物学的アベイラビリティーのような、化学的、物理的、及び生物学的性質の面で異なっている可能性がある。
【0037】
当業熟練者が認識するであろうことであるが、式4及び4-Aのアントラニル酸ジアミドのひとつの多形が、同じ式4及び4-Aのアントラニル酸ジアミドのまた別の多形又は多形の混合物に比較して、有益な効果(たとえば、改良された撹拌、熱伝達、及び濾過での適合性)を示すことができる。式4及び4-Aのアントラニル酸ジアミドの特定の多形の調製及び単離は、たとえば、選択された溶媒及び温度を使用する結晶化など、当業者には公知の方法によって達成することができる。多形についての包括的な議論に関しては、次の文献を参照されたい:R.Hilfiker Ed.,「Polymorphism in the Pharmaceutical Industry」,Wiley-VCH,Weinheim,2006。
【0038】
先の記述を使用する当業熟練者は、余分な努力をしなくても、本開示を、その最大限まで利用することが可能であると考えられる。従って、以下の実施例は、単に説明のためと受け取るべきであって、いかなる点においても本開示を限定するものではない。以下の実施例におけるステップは、合成変換全体におけるそれぞれのステップのための手順を説明するものであり、そしてそれぞれのステップのための出発物質は、必ずしも、その手順が他の実施例又はステップで記述されている、特定の調製操作によって調製される必要はない。周囲温度又は室温は、約20~25℃と定義される。特に断らない限り、パーセントは重量基準である。本明細書に引用された全ての特許及び公刊物は、それら全てを参考として、全てを組み入れたものとする。
【0039】
実施例1
3-ブロモ-1-(3-クロロ-2-ピリジニル)-N-[4-シアノ-2-メチル-6-[(メチルアミノ)-カルボニル]フェニル]-1H-ピラゾール-5-カルボキサミド(シアントラニリプロール)の調製
結晶性の3-ブロモ-1-(3-クロロ-2-ピリジニル)-N-[4-シアノ-2-メチル-6-[(メチルアミノ)カルボニル]フェニル]-1H-ピラゾール-5-カルボキサミド(10.3g、0.020モル)、3-ブロモ-1-(3-クロロ-2-ピリジニル)-1H-ピラゾール-5-カルボン酸(調製法については、国際公開第03/015519号パンフレット参照)(40.0g、0.132モル)、及び2-アミノ-5-シアノ-N,3-ジメチルベンズアミド(調製法については、国際公開第03/015519号パンフレット参照)(27.5g、0.142モル)の混合物に、アセトニトリル(123.5g、3.01モル)を添加し、20℃で撹拌した。3-ピコリン(34.5g、0.367モル)を、5分かけて添加した。塩化メタンスルホニル(19.6g、0.171モル)を、1.5時間かけて、均等に添加した。その混合物を、2時間撹拌した。水(76.2g、4.23モル)を、1.2時間かけて、均等に添加した。濃塩酸(4.37g、0.043モル)を用いてそのpHを調節して1.1とし、その混合物を1時間撹拌した。次いで、水酸化ナトリウム(4.34g、0.027モル)を用いてそのpHを調節して3.3とし、その混合物を15分間撹拌した。その混合物を濾過し、それによって得られた物質を、アセトニトリル水溶液(84%(w/w)、43.0g)、次いでアセトニトリル(83.2g)を用いて洗浄し、乾燥させると、表題の化合物が得られた。
単離収率:95%(シード補正、3-ブロモ-l-(3-クロロ-2-ピリジニル)-1H-ピラゾール-5-カルボン酸基準)
結晶粒度分布:D[4,3]値は50~65μmの範囲であるが、少量の微細物を含んでいた。
【0040】
実施例2
3-ブロモ-1-(3-クロロ-2-ピリジニル)-N-[4-シアノ-2-メチル-6-[(メチル-アミノ)-カルボニル]フェニル]-1H-ピラゾール-5-カルボキサミド(シアントラニリプロール)の調製
実施例1と同様にして、実施例1~10及びA~Fにおいて、以下の表A、B、及びCに記載のパラメーターを使用して、シアントラニリプロールを調製した。実施例1~10は、100gの3-ブロモ-1-(3-クロロ-2-ピリジニル)-1H-ピラゾール-5-カルボン酸のスケールで実施した。実施例A~Fは、40gの3-ブロモ-1-(3-クロロ-2-ピリジニル)-1H-ピラゾール-5-カルボン酸のスケールで実施した。実施例A~Fでは、得られた物質を濾過及び洗浄するために、Grade GF/Bのバインダーフリーのガラス繊維フィルターを備えた直径5cmのブフナー漏斗を使用して実施した。
【0041】
表A及びBでの観察は、3-ピコリンの添加後、且つ塩化メタンスルホニルの添加前に行われた。実施例1~4においては、十分な混合を得るための撹拌速度は、反応物質が増粘した後で測定した。
【0042】
表A及びBに見られるように、反応剤に対して結晶性有機殺生物剤を添加することによって、改良された反応懸濁液特性が得られた。特性が改良されたことによって、反応物を十分に混合するのに必要な撹拌速度が低くなった。このように特性が改良されたことによって、より少ない溶媒を使用しても(すなわち、より高い反応濃度でも)、撹拌が可能となった。
【0043】
表Cに見られるように、使用する溶媒が少なくなると、結晶化を制御するには、より多い量の結晶性有機殺生物剤が必要となる。結晶化制御の程度は、より大きいD10値と改良された固態品質(すなわち、より早い濾過及び洗浄時間)との間の相関によって表される。D10値は、そのサンプルの10%に、そのサイズ又はそれより小さい粒子状物質が含まれている場合の粒径を表している。D50値は、そのサンプルの50%に、そのサイズ又はそれより小さい粒子状物質が含まれている場合の粒径を表している。D90値は、そのサンプルの90%に、そのサイズ又はそれより小さい粒子状物質が含まれている場合の粒径を表している。
【0044】
「Exp.」の略称は、「実験」を表している。「rpm.」の略称は、「回転/分」を表している。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
【表3】
【0048】
実施例3
3-ブロモ-1-(3-クロロ-2-ピリジニル)-N-[4-シアノ-2-メチル-6-[(メチルアミノ)-カルボニル]フェニル]-1H-ピラゾール-5-カルボキサミド(シアントラニリプロール)の調製
結晶性の3-ブロモ-1-(3-クロロ-2-ピリジニル)-N-[4-シアノ-2-メチル-6-[(メチルアミノ)-カルボニル]フェニル]-1H-ピラゾール-5-カルボキサミド(22.8g、0.043モル)、3-ブロモ-1-(3-クロロ-2-ピリジニル)-1H-ピラゾール-5-カルボン酸(調製法については、国際公開第03/015519号パンフレットを参照)(65.0g、0.214モル)、2-アミノ-5-シアノ-N,3-ジメチルベンズアミド(調製法については、国際公開第03/015519号パンフレットを参照)(42.7g、0.221モル)、及びアセトニトリル(85.0g、2.07モル)を、温度計、錨型の機械式撹拌機、シリンジポンプ、及び還流冷却器を備えた、400mLの温度調節、ジャケット付き反応器の中に仕込んだ。その混合物を250rpmで撹拌し、温度を調節して20℃とした。3-ピコリン(56.1g、0.596モル)を、5分かけて添加した。塩化メタンスルホニル(31.8g、0.278モル)をシリンジの中に仕込み、その反応混合物に4.0時間かけて均等に添加した。塩化メタンスルホニルの添加が完了した後で、その反応混合物を、2時間かけて50℃にまで直線的に加熱した。水(128.3g、7.12モル)を、次表のプロファイルに従って、146.5分かけて添加した。
【0049】
【表4】
【0050】
水を添加した後で、その反応混合物を、30分かけて、20℃にまで直線状に冷却した。その混合物を濾過し、それによって得られた物質を、アセトニトリル水溶液(84%(w/w)、140.0g)、次いでアセトニトリル(135.0g)を用いて洗浄し、乾燥させると、表題の化合物が得られた。
単離収率:95%(シード補正、3-ブロモ-l-(3-クロロ-2-ピリジニル)-1H-ピラゾール-5-カルボン酸基準)
結晶粒度分布:D[4,3]値は50~65μmの範囲であるが、少量の微細物を含んでいた。
【国際調査報告】