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特表2023-537252合成スポーツ表面用のトップコートとして有用な水性アクリルテクスチャ加工層形成組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-31
(54)【発明の名称】合成スポーツ表面用のトップコートとして有用な水性アクリルテクスチャ加工層形成組成物
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/00 20060101AFI20230824BHJP
   C08G 18/73 20060101ALI20230824BHJP
   C08G 18/08 20060101ALI20230824BHJP
   C08G 18/28 20060101ALI20230824BHJP
   C08G 18/62 20060101ALI20230824BHJP
   C08L 33/04 20060101ALI20230824BHJP
   C08L 21/02 20060101ALI20230824BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20230824BHJP
【FI】
C08G18/00 C
C08G18/73
C08G18/08 038
C08G18/28 090
C08G18/62 016
C08L33/04
C08L21/02
B32B27/30 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023504326
(86)(22)【出願日】2021-07-23
(85)【翻訳文提出日】2023-03-13
(86)【国際出願番号】 US2021042862
(87)【国際公開番号】W WO2022026300
(87)【国際公開日】2022-02-03
(31)【優先権主張番号】20305877.1
(32)【優先日】2020-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(71)【出願人】
【識別番号】590001418
【氏名又は名称】ダウ シリコーンズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】ヴュオルッカ、ヨウコ
(72)【発明者】
【氏名】ハウスヴァルト-グロリエール、ソフィー
(72)【発明者】
【氏名】バーチ、エイドリアン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】バウマン、ローベルト
(72)【発明者】
【氏名】ルコント、ジャン-ポール
【テーマコード(参考)】
4F100
4J002
4J034
【Fターム(参考)】
4F100AK25A
4F100AK28A
4F100AK51A
4F100AK62A
4F100AN00A
4F100AT00B
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4F100CA02A
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4F100EH46
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4F100EJ20
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4J034BA03
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4J034HA01
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4J034HC46
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4J034HC61
4J034HC64
4J034HC67
4J034HC71
4J034HC73
4J034JA13
4J034JA30
4J034JA32
4J034MA22
4J034QB13
4J034QB14
4J034QB17
4J034QC05
4J034RA03
4J034RA05
4J034RA07
(57)【要約】
本発明は、スポーツ表面用の可撓性トップコート層を形成するのに有用な二成分水性テクスチャ加工層形成組成物を提供する。組成物は、加硫又は架橋ゴム顆粒、例えば、EPDMゴム、1:4~1:9未満の範囲の加硫又は架橋ゴム顆粒固形分に対する固形分重量比の、軟質:硬質アクリルエマルジョンコポリマーブレンド、ポリアルキレンオキシドレオロジー調整剤、1つ以上の高沸点アルコール、及び別個の成分として、脂肪族ポリイソシアネートの水性分散液、並びにエポキシシランを含む。加硫又は架橋ゴム顆粒は、8mm以下のふるい粒径を有し得る。本発明のトップコート層は、向上した引張強度及び伸び、並びに改善されたポットライフ及び色安定性を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)25:75~90:1のコポリマーA:コポリマーBの固形分重量比での、(a)-60~-5℃の計算ガラス転移温度(計算Tg)を有する第1のアクリルエマルジョンコポリマーAと、(b)15~60℃の計算Tgを有する第2のアクリルエマルジョンコポリマーBとのアクリルエマルジョンコポリマーブレンドと、(ii)前記アクリルエマルジョンコポリマーブレンド:加硫又は架橋ゴム顆粒の固形分重量比が1:4未満~1:9の範囲である量の、加硫又は架橋ゴム顆粒と、(iii)400,000~5,000,000の粘度平均分子量を有する1つ以上のポリアルキレンオキシドレオロジー調整剤と、(iv)170~315℃の標準沸点を有し、更に100~250の式MWを有する1つ以上の高沸点アルコールと、の第1の成分と、
第2の成分として、(v)脂肪族水分散性ポリイソシアネート組成物及びエポキシシランの両方を含む架橋剤と、を含む、二成分水性テクスチャ加工層形成組成物。
【請求項2】
前記(ii)加硫又は架橋ゴム顆粒が、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)ゴム又は再生ゴムを含む、請求項1に記載の水性テクスチャ加工層形成組成物。
【請求項3】
前記アクリルエマルジョンコポリマーブレンド:加硫又は架橋ゴム顆粒の固形分重量比が、1:4.5~1:8の範囲である、請求項1に記載の水性テクスチャ加工層形成組成物。
【請求項4】
前記(iii)1つ以上のポリアルキレンオキシドレオロジー調整剤が、ポリエチレンオキシドである、請求項1に記載の水性テクスチャ加工層形成組成物。
【請求項5】
前記(iv)1つ以上の高沸点アルコールが、C~Cアルカノエートのヒドロキシル基含有エステル、脂肪酸のヒドロキシル基含有アルキルエステル、ヒドロキシル基含有アルキルエーテル、C~C12分岐アルカノール、又はヒドロキシル基含有脂肪族エーテルから選択される、請求項1に記載の水性テクスチャ加工層形成組成物。
【請求項6】
前記(iv)1つ以上の高沸点アルコールのうちの少なくとも1つが、ヒドロキシル基含有イソブチレートエステルである、請求項5に記載の水性テクスチャ加工層形成組成物。
【請求項7】
前記(iv)1つ以上の高沸点アルコールの量が、前記アクリルエマルジョンコポリマーブレンドの総重量に基づいて、0.5~10重量%の範囲である、請求項1に記載の水性テクスチャ加工層形成組成物。
【請求項8】
前記組成物が、充填剤を更に含む、請求項1に記載の水性テクスチャ加工層形成組成物。
【請求項9】
前記充填剤が、水性媒体中にヒドロキシル基又は加水分解性基を含む、請求項8に記載の水性テクスチャ加工層形成組成物。
【請求項10】
請求項1に記載の水性テクスチャ加工層形成組成物を使用する方法であって、前記二成分水性テクスチャ加工層形成組成物を基材に適用して、トップコート層として層を形成することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スポーツ表面上にテクスチャ加工トップコート層を形成するのに有用なアクリル水性テクスチャ加工層形成組成物に関する。より詳細には、本発明は、一方の成分として、軟質エマルジョンポリマーと硬質エマルジョンポリマーとのアクリルエマルジョンポリマーブレンド、ゴム顆粒、ポリアルキレンオキシドレオロジー調整剤、及び高沸点アルコールを含み、他方の成分として、水分散性ポリイソシアネートを含む、二成分アクリル水性組成物に関し、更には多層スポーツ表面を作製するための組成物の使用方法、及びそれによって作製された多層スポーツ表面に関する。
【背景技術】
【0002】
合成スポーツ表面は、運動競技用のランニングトラック、学校のスポーツ表面、テニスコート、及び運動場に広く使用されている。スポーツ表面は、ポリウレタン(PU)のような熱硬化ポリマーによって互いに結合されたゴム顆粒の層を含み得る。これらのスポーツ表面は、耐久性のあるセメント、コンクリート、突き固められた石又はアスファルトベースの上に、複数の層、例えば2層又は3層、すなわち、セメント、コンクリート、突き固められた石又はアスファルトベース基材又はベースへの接着を改善するプライマー層;芳香族ポリウレタンプレポリマーからの芳香族ポリカルバメート含有ポリウレタンマトリックスなどのエラストマー複合体を含み、その中にゴム顆粒が分散しているベース層又はクッション層;並びに、摩擦及び追加のクッション性の他に耐候性及び耐久性(例えば、紫外線(UV)安定性及び色保持性など)を提供するトップコート層で、形成され得る。スポーツ表面の層は、従来の舗装機又はスクリーイング機、又はこて塗り機器を使用して、例えば手作業でベースに適用され得る。
【0003】
適用をより容易にするために、同じ機器を使用して全ての層を形成することができる。例えば、PU組成物を使用して、結合剤として各層を形成することができる。しかし、スポーツ表面用のトップコート層としてPU組成物を使用することには、いくつかの欠点がある。芳香族イソシアネートはUV安定性ではないので、経時的に変色することがある。脂肪族イソシアネートにはこの欠点がない。しかし、反応性があまりなく、物理的特性は低くなる。
【0004】
Dow Global Technologies LLCの世界知的所有権機関(WIPO)公報番号、国際公開第2017/185332(A1)号では、好ましくは噴霧されるアクリルトップコート層形成組成物を含む、スポーツ床材用のアクリル多層系を開示している。しかし、アクリル組成物から形成されたトップコート層の伸びパーセント及び引張強度などの物理的特性は改善され得た。更に、ゴム顆粒からの分離を防ぐために、従来の増粘剤を用いてアクリルコーティング組成物の粘度を高めた。しかし、得られた水性コーティング組成物は、剪断下、混合及び適用中にゴム顆粒に好適に接着することができない。
【0005】
本発明者らは、UV安定性で耐候性のトップコート層において改善された機械的特性を提供する、スポーツ表面用のテクスチャ加工トップコート層を作製するための水性組成物を提供するという問題を解決しようと努めてきた。
【発明の概要】
【0006】
本発明によれば、二成分水性テクスチャ加工層形成組成物は、
(i)25:75~90:10、又は好ましくは30:70~80:20のコポリマーA:コポリマーBの固形分重量比での、(a)-60~-5℃の計算ガラス転移温度(計算Tg)を有する第1のアクリルエマルジョンコポリマーAと、(b)15~60℃の計算Tgを有する第2のアクリルエマルジョンコポリマーBとのアクリルエマルジョンコポリマーブレンド、(ii)アクリルエマルジョンコポリマーブレンド:加硫又は架橋ゴム顆粒の固形分重量比が1:4~1:9未満、又は好ましくは1:4.5~1:8の範囲である量の、加硫又は架橋ゴム顆粒、好ましくはエチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)ゴム又は再生ゴムと、(iii)400,000~5,000,000、又は好ましくは480,000~2,500,000の粘度平均分子量を有する1つ以上のポリアルキレンオキシドレオロジー調整剤、例えば400,000~5,000,000、又は好ましくは480,000~2,500,000の粘度平均分子量を有するポリエチレンオキシドと、(iv)170~315℃、又は好ましくは180~300℃の標準沸点を有し、更に100~250、例えば130~250の式MWを有する1つ以上の高沸点アルコールと、の第1の成分と、
第2の成分として、(v)水分散性ポリイソシアネート組成物及びエポキシシランの両方を含む架橋剤、好ましくは、ポリイソシアネートが脂肪族水分散性ポリイソシアネートである架橋剤と、を含む。水分散性イソシアネート組成物とエポキシシランとの固形分重量比は、0.4:1~5:1、又は好ましくは0.6:1~2.5:1の範囲であり得る。(iii)1つ以上のポリアルキレンオキシドレオロジー調整剤の好適な量は、アクリルエマルジョンコポリマーブレンドの総重量に基づいて、0.1~0.5重量%、又は好ましくは0.1~0.4重量%の範囲であり得る。(iv)1つ以上の高沸点アルコールの好適な量は、アクリルエマルジョンコポリマーブレンドの総重量に基づいて、0.5~10重量%、又は好ましくは0.5~7重量%の範囲であり得る。架橋剤の量は、アクリルエマルジョンコポリマーブレンドの全固形分重量に基づいて、1~10重量%、又は1~8重量%、又は好ましくは2~6重量%の範囲であり得る。
【0007】
本発明の水性テクスチャ加工層形成組成物による(i)アクリルエマルジョンコポリマーブレンドは、第1のアクリルエマルジョンコポリマーAとして、共重合形態で、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、エチルヘキシルアクリレート、エチルヘキシルメタクリレート、脂肪族アルキル(メタ)アクリレート、又はこれらの混合物から選択される1つ以上のアクリルエステルモノマーと、共重合形態で、1つ以上のC~Cアルキル(メタ)アクリレート、好ましくはメチルメタクリレートとのコポリマーを含み得る。第1のアクリルエマルジョンコポリマーAは、共重合形態で、コポリマーを作製するために使用されるモノマーの総重量に基づいて、最大5重量%、又は好ましくは0.1~2重量%の、アクリル酸若しくはメタクリル酸などのエチレン性不飽和カルボン酸基含有モノマー若しくはその塩、又は(メタ)アクリルアミドなどのカルボン酸アミド基含有モノマー若しくはその塩、又は好ましくはエチレン性不飽和カルボン酸基含有モノマー若しくはその塩を更に含み得る。本発明による(i)アクリルエマルジョンコポリマーブレンドにおいて、第2のアクリルエマルジョンコポリマーBは、共重合形態で、1つ以上のC~Cアルキルメタクリレート、好ましくはメチルメタクリレート、又は1つ以上のC~C12アルキルアクリレート又はシクロアルキルアクリレート、例えばイソボルニルアクリレート又はシクロヘキシルアクリレートと、共重合形態で、1つ以上の追加のアクリル又はビニルモノマー、例えばアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、アリル基含有モノマー、アリーレン又はこれらの混合物から選択されるものとのコポリマーを含み得る。第2のアクリルエマルジョンコポリマーBは、コポリマーを作製するために使用されるモノマーの総重量に基づいて、共重合形態で、最大5重量%、又は好ましくは0.1~2重量%の、エチレン性不飽和カルボン酸基含有モノマー若しくはその塩、例えばアクリル酸若しくはメタクリル酸、又はカルボン酸アミド基含有モノマー若しくはその塩、例えば(メタ)アクリルアミド、好ましくはエチレン性不飽和カルボン酸基含有モノマー若しくはその塩を更に含み得る。第1又は第2のアクリルエマルジョンコポリマーA又はBは、コポリマーを作製するために使用されるモノマーの総重量に基づいて、共重合形態で、最大3重量%、又は好ましくは0.05~2重量%の1つ以上の接着促進剤モノマー、例えばウレイド基含有(メタ)アクリレートを共重合形態で更に含み得る。
【0008】
加硫又は架橋ゴム顆粒は、0.7~8mm、又は好ましくは0.85~5mmのふるい粒径を有し得る。
【0009】
(iv)水性テクスチャ加工層形成組成物中の1つ以上の高沸点アルコールは、C~Cアルカノエートのヒドロキシル基含有エステル、例えば、ヒドロキシル基含有イソブチレートエステル;脂肪酸のヒドロキシル基含有アルキルエステル;ヒドロキシル基含有アルキルエーテル;C~C12分岐アルカノール;及びヒドロキシル基含有脂肪族エーテルから選択することができ、好ましくは、そのうちの少なくとも1つがヒドロキシル基含有イソブチレートエステルである。
【0010】
水性テクスチャ加工層形成組成物の第1の成分は、充填剤、好ましくは、水性媒体中にヒドロキシル基又は加水分解性基を含む充填剤、例えば、シリケート又は酸化アルミニウムを更に含み得る。
【0011】
本発明による別の態様では、本発明の第1の態様の水性テクスチャ加工層形成組成物を使用する方法は、二成分水性テクスチャ加工層形成組成物を、舗装機、スクリーイング機又はこてを使用することなどによって、基材に適用して、トップコート層としてトップコート層を形成することを含む。本方法は、トップコート層を乾燥させることを更に含み得る。基材は、セメント、コンクリート、突き固められた石若しくはアスファルトベース(ベース)、上にプライマー層を有するベースを含むプライマー処理されたベース、上に加硫又は架橋ゴム顆粒又はエラストマー層の複合体を含むクッション層を有するベース、又は上にクッション層及びプライマー層の両方を有するプライマー処理されたベースのいずれかから選択され得る。本方法は、本発明の水性テクスチャ加工層形成組成物の2つの成分を、それらの適用前又は適用中に混合することを含み得る。本発明の方法で使用される水性テクスチャ加工層形成組成物は、上記の段落[0006]、[0007]、[0008]、[0009]又は[0010]のいずれか1つに記載される組成物を含み得る。
【0012】
本発明によるなおも別の態様では、多層スポーツ表面は、セメント、コンクリート、突き固められた石又はアスファルトベース(ベース)を含み、その上に、加硫又は架橋ゴム顆粒又はエラストマー層の複合体を含むクッション層を有し、更にクッション層上にプライマー層を有し、なお更にその上に、(a)-60~-5℃の計算ガラス転移温度(計算Tg)を有する第1のアクリルコポリマーAと、(b)15~60℃の計算Tgを有する第2のアクリルコポリマーBとのポリウレタン(ポリカルバメート)架橋アクリルコポリマーブレンドのマトリックスを含む耐候性テクスチャ加工トップコート層を有し、コポリマーA:コポリマーBの固形分重量比が25:75~75:25、又は好ましくは30:70~70:30の範囲であり、マトリックスは、その中に分散された加硫又は架橋ゴム顆粒、好ましくはエチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)ゴム、又は再生ゴムを有し、アクリルコポリマーブレンド:加硫又は架橋ゴム顆粒の固形分重量比が1:4~1:9未満、又は好ましくは1:4.5~1:8の範囲の量であり、更に、マトリックスは、1つ以上のポリアルキレンオキシドレオロジー調整剤及び1つ以上の高沸点アルコールのそれぞれを含み、1つ以上のポリアルキレンオキシドレオロジー調整剤は、400,000~5,000,000の粘度平均分子量を有するポリエチレンオキシドなど、400,000~5,000,000、又は好ましくは480,000~2,500,000の粘度平均分子量を有し、1つ以上の高沸点アルコールは、170~315℃、又は好ましくは180~300℃の標準沸点を有し、100~250、例えば130~250の式MWを有する。架橋アクリルコポリマーブレンドは、架橋形態で、脂肪族ポリカルバメート及びシラン含有基を含む。好ましくは、テクスチャ加工トップコート層中の1つ以上の高沸点アルコールは、C~Cアルカノエートのヒドロキシル基含有エステル、例えば、ヒドロキシル基含有イソブチレートエステル;脂肪酸のヒドロキシル基含有アルキルエステル;ヒドロキシル基含有アルキルエーテル;C~C12分岐アルカノール;及びヒドロキシル基含有脂肪族エーテルから選択することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明によれば、加硫又は架橋ゴム顆粒を含む水性組成物により、耐候性トップコート層の形成が可能になる。水性組成物において、軟質及び硬質アクリルエマルジョンコポリマーをブレンドすること、並びに高沸点アルコール及びポリアルキレンオキシドレオロジー調整剤を組み合わせることにより、使用中、より高い割合の加硫又は架橋ゴム顆粒を提供することが可能になる。これにより次に、色及び紫外線(UV)安定性、引張強度及び破断点伸びが向上したトップコート層が得られる。水性組成物は2つの成分を有し、アクリルエマルジョンコポリマーブレンドは、水性テクスチャ加工層形成組成物中でポリイソシアネート及びエポキシシランと架橋される。本発明により、水性組成物へのポリエチレンオキシド(PEO)のような相溶性増粘剤の添加が、組成物中の水分含量を50重量%以上増加させるようなレベルの剪断を必要とするという問題が回避される。組成物中に増粘剤を導入するために低級アルカノールを使用すると、このようなアルカノールの低沸点は、不適切に高いVOC濃度をもたらす。2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールモノイソブチレート(沸点:255℃)などの沸点の高い高分子量アルコールを組成物中に含めることにより、VOC濃度の増加が回避される。同時に、高沸点アルコールは合体剤として機能し、トップコート層中のより可撓性のコポリマーマトリックスを実現し、それによって、例えばスポーツトラック又は運動場のトップコート層の低温での機能を改善する。本発明の水性テクスチャ加工層形成組成物中において、ゴム顆粒固形分の濃度が本発明より高いにもかかわらず、組成物は、2つの成分を一緒に混合した後に良好なポットライフを示す。更に、水性テクスチャ加工層形成組成物は、クッション層組成物が芳香族ポリイソシアネートを含む場合であっても、水性テクスチャ加工層形成組成物のポットライフに悪影響を与えることなく、クッション層を形成するために使用されるのと同じ機器内で混合することができる。
【0014】
特に明記しない限り、全ての温度及び圧力の単位は、室温(21~23℃)及び標準圧力(1気圧)である。加えて、特に明記しない限り、全ての条件には45~55%の相対湿度(RH)が含まれる。
【0015】
文脈が明確に別段の指示をしない限り、単数形の「a」、「an」、及び「the」には、複数の指示対象が含まれる。
【0016】
特に規定しない限り、本明細書で使用する技術的及び科学的な用語は、当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。
【0017】
全ての範囲は包括的であり、組み合わせることが可能である。したがって、例えば、1:4~1:9未満、又は好ましくは1:4.5~1:8を含む範囲の開示は、1:4~1:9未満、又は1:4~1:8未満、又は1:4.5~1:9、又は1:4~1:4.5未満、又は好ましくは1:4.5~1:8の範囲を含むものとして読み取られる。
【0018】
括弧を含む全ての語句は、含まれる括弧内の事項及びその欠如のいずれか又は両方を示す。例えば、「(メタ)アクリレート」を含む語句は、代替的に、アクリレート及びメタクリレートを含む。
【0019】
本明細書で使用される場合、用語「アクリルモノマー」は、(メタ)アクリル酸、アルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、及びそれらの官能基含有形態、例えば、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートのいずれかを指す。
【0020】
本明細書で使用される場合、用語「水性」は、水、並びに水及び水混和性溶媒から実質的に構成される混合物を含み、「から実質的に構成される」は、列挙された材料のみが溶媒組成物中に含まれるか、又は溶媒組成物に添加されることを意味する。いくらかの不純物又は他の微量材料(例えば、0.5重量%未満)が、実質的に又は列挙された材料で構成される組成物中に依然として存在し得る。
【0021】
別段の指示がない限り、本明細書で使用される場合、用語「ふるい粒径」又は「PS」は、ふるい分けによって決定される平均粒径を指し、報告される粒径は、不純物を考慮せずに、組成物全体が通過する最小メッシュのmm又はマイクロメートル単位のメッシュサイズ又は線解像度である。
【0022】
本明細書で使用される場合、別段の指示がない限り、用語「計算Tg」又は「計算ガラス転移温度」は、Fox式(T.G.Fox,Bull.Am.Physics Soc.,Volume 1,Issue No.3,page 123(1956))を使用することによって計算されたポリマーのTgを指す。Tgを計算する際の参照及び使用のために、好適なモノマーからのホモポリマーのガラス転移温度を記述した利用可能なデータを包括的にまとめたものが、Polymer Handbook,Vol.1,editors Brandrup,J.;Immergut,E.H.;Grulke,E.A.,1999,pages VI/193-277に記載されている。
【0023】
別段の指示がない限り、本明細書で使用される場合、語句「適用条件」は、標準圧力及び周囲屋外温度又は室温(21~23℃)を意味する。適用条件は、二成分水性組成物が混合されるか、又は水性組成物が任意の基材に適用される全ての温度及び圧力を含む。
【0024】
本明細書で使用される場合、語句「エマルジョンポリマーを形成するために使用されるモノマーの総重量に基づいて」は、例えば、カルボン酸官能性ビニル又はエチレン性不飽和モノマーなどの全ての付加モノマー、及びポリマー中に次亜リン酸塩などの残留物又はその塩を残す連鎖移動剤を指す。
【0025】
本明細書で使用される場合、用語「コポリマー」は、代替的に、コポリマー、ターポリマー、テトラポリマー、ペンタポリマーなどの2つ以上の異なるモノマーから作製されるポリマーを指し、ランダム、ブロック、グラフト、逐次ポリマー又は傾斜ポリマーのいずれかであり得る。
【0026】
本明細書で使用するとき、用語「式MW」は、理想化された又は代表的な構造を有する分子の1モルの原子質量又はモル質量を指し、その分布又は異性体混合物の分子量までは考慮されていない。
【0027】
本明細書で使用される場合、「ISO」という用語は、国際標準化機構(International Organization for Standardization、Geneva、CH)の刊行物を指す。
【0028】
本明細書で使用される場合、別段の指示がない限り、用語「標準沸点」は、760mm/Hgにおける液体又は流体の沸点を指す。
【0029】
本明細書で使用される場合、ホルムアルデヒド、揮発性アミン、アルキルフェニルエトキシレート、又は溶液ポリマーなどの任意の所与の材料、組成物又は成分を「実質的に含まない」という用語は、参照される組成物、物品、又は方法がこのような添加された材料又は成分を含有しない、組成物、これらを含有する物品、及びこれらを作製又は使用する方法のいずれかを指す。所与の材料、組成物又は成分の量は、それを実質的に含まないと述べられている組成物の総重量に基づいて、5000ppm未満、又は好ましくは1000ppm未満である。
【0030】
本明細書で使用される場合、語句「全固形分」若しくは「固形分重量」又はその等価物は、揮発性物質を含み得る参照材料又は組成物の総重量と比較した、所与の組成物中の不揮発性成分又は材料の全ての重量を指す。揮発性成分としては、水及びアンモニアの両方、並びに標準圧力及び40℃以下で揮発する揮発性溶媒が挙げられる。
【0031】
本明細書で使用される場合、別段の指示がない限り、用語「粘度平均分子量」又は「MWv」は、組成物の粘度を、ポリアルキレンオキシドレオロジー調整剤のポリエチレンオキシドなどの既知の分子量及び粘度を有する一連の好適な参照標準の較正された粘度と比較することによって決定される組成物の分子量を指し、参照標準の粘度は、同じ指示された固体、同じ担体又は溶媒を用いて、分析物の粘度と同じ温度、剪断、及び測定条件下で、同じ方法で測定されている。
【0032】
本明細書で使用するとき、「重量%」という用語は、重量パーセントを表す。
【0033】
本発明による水性テクスチャ加工層形成組成物の第1の成分は、第1のアクリルエマルジョンコポリマーAと第2のアクリルエマルジョンコポリマーBとのアクリルエマルジョンコポリマーブレンドを含む。アクリルエマルジョンコポリマーブレンドは、軟質アクリルエマルジョンコポリマーAと硬質アクリルエマルジョンコポリマーBとのブレンドである。本発明によるアクリルエマルジョンコポリマーは、ビニルモノマー又はアクリルモノマーなどの付加重合性エチレン性不飽和モノマーの重合生成物を含む。好ましくは、水性テクスチャ加工層形成組成物は、アルキルフェニルエトキシレート(APEO)を実質的に含まない。より好ましくは、水性テクスチャ加工層形成組成物は、揮発性有機化合物及びアルキルフェニルエトキシレート(APEO)を実質的に含まない。
【0034】
水性テクスチャ加工層形成組成物において有用なアクリルエマルジョンコポリマーは、共重合形態で、1つ以上のアクリルエステルモノマー、1つ以上のエチレン性不飽和カルボン酸基含有モノマー又はそれらの塩、例えば、アクリル酸又はメタクリル酸、1つ以上のカルボン酸アミド基含有モノマー又はそれらの塩、例えば、(メタ)アクリルアミド、及び1つ以上の追加のアクリルモノマー又はビニルモノマーの種々の組み合わせを含み得る。モノマーの組み合わせは、本発明に従って列挙された計算Tgを有するアクリルエマルジョンコポリマーを提供する混合物及び割合において、当業者に公知の様式で選択され得る。
【0035】
本発明のアクリルエマルジョンコポリマーの作製に使用するのに好適なビニルモノマー又はアクリルモノマーとしては、エチレン性不飽和モノマー、例えば、C~C18アルキル(メタ)アクリレートのような(メタ)アクリルエステルモノマー、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、ノニルアクリレート、デシルアクリレート、ラウリルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ノニルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート;ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、例えば、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、及びヒドロキシプロピルメタクリレート:ジエチレン性不飽和モノマー、例えば、1,3-ブタンジオールジメタクリレート;(メタ)アクリルアミド;アルキルアリルエーテル;アリルアルコール;(メタ)アクリロニトリル;スチレン若しくはアルキル置換スチレン;又はこれらの混合物が挙げられる。
【0036】
好適なアクリルエマルジョンコポリマーBは、PRIMAL(商標)AC-261K結合剤(The Dow Chemical Co.,Midland,MI)である。好適なアクリルエマルジョンコポリマーAの例は、Elastene(商標)2848 NG結合剤又はPRIMAL(商標)EC-2949 APEOフリー結合剤(Dow)のいずれかであり得る。
【0037】
本発明によるアクリルエマルジョンコポリマーブレンドのコポリマーを調製するのに有用な好適な水性エマルジョン重合技術は、当該技術分野において周知である。水性重合媒体が1つ以上の開始剤、及び1つ以上の界面活性剤又は乳化剤を含む、熱、レドックス、光化学、及び電気化学開始プロセスが使用され得る。コポリマーは、20~70重量%、好ましくは30~60重量%の範囲の固形分レベルを有する水性混合物として調製することができる。
【0038】
好適なフリーラジカル開始剤又は酸化剤としては、例えば、過硫酸塩、例えばアンモニウム及び/又はアルカリ金属過硫酸塩;過酸化物、例えばナトリウム又はカリウムヒドロパーオキシド、t-アルキルパーオキシド、t-アルキルヒドロパーオキシド、ジクミルヒドロパーオキシド;過ホウ酸及びその塩、例えば過ホウ酸ナトリウム;並びにパーオキシ二硫酸のアンモニウム塩又はアルカリ金属塩が挙げられ得る。このような開始剤は、コポリマーを作製するために使用されるモノマーの総重量に基づいて、0.05~3.0重量%の範囲の量で使用され得る。好適なレドックス触媒は、好適な還元剤と組み合わせた同じフリーラジカル開始剤を使用することができ、好適な還元剤の例としては、例えば、(イソ)アスコルビン酸、ナトリウムスルホキシレートホルムアルデヒド、ナトリウム又はアルカリ金属(重)亜硫酸塩;チオ硫酸塩、ヒドロ亜硫酸塩;(ヒドロ)硫化物又は亜ジチオン酸塩;ホルムアミジンスルフィン酸;ヒドロキシメタンスルホン酸;ナトリウム2-ヒドロキシ-2-スルフィナト酢酸;並びにアセトン重亜硫酸塩があり、これらの塩は、コポリマーを作製するために使用されるモノマーの総重量に基づいて、0.01~5.0重量%の量で使用され得る。
【0039】
従来の界面活性剤又は乳化剤を重合に用いることができ、これらとしては、アニオン性乳化剤、例えばアルカリ又はアンモニウムアルキルサルフェート及びオキシエチル化アルキルフェノールサルフェート;非イオン性乳化剤、例えばポリオキシエチレン化アルキルアルコール、アミンポリグリコール縮合物及びアルキルポリエーテルアルコール;又はこれらの組み合わせが挙げられる。界面活性剤の典型的な範囲は、コポリマーを作製するために使用されるモノマーの総重量に基づいて、0.05~10重量%、又は好ましくは0.05~5重量%である。
【0040】
コポリマーの分子量を制御するために、連鎖移動剤を使用することができる。好適な連鎖移動剤の例としては、メルカプタン、ポリメルカプタン、及びポリハロゲン化合物(n-ドデシルメルカプタンなどのアルキルメルカプタンを含む)が挙げられ、これらは、コポリマーを調製するために使用されるモノマー混合物中のエチレン性不飽和モノマーの重量に基づいて、0~6重量%、又は0.1~3重量%で使用され得る。メルカプタンが好ましい。ポリマー分子量は、開始剤とエチレン性不飽和モノマーとの比を選択することなど、当技術分野で公知の他の技術によって制御することができる。
【0041】
本発明のアクリルエマルジョンコポリマーブレンドによるコポリマーA及びBは、100~500nm、又は好ましくは200~400nmの重量平均粒径を有し得る。コポリマー粒子の直径は、当技術分野で公知のいくつかの方法のうちの1つ以上で制御することができる。重量平均粒径を大きくするには、乳化重合プロセス中に添加される従来の界面活性剤若しくは乳化剤の量を減らすか、又は重合中の剪断速度を下げるか、又は重合中及び重合後に存在する金属イオン若しくは塩含有量を上げるか、又はこれらの組み合わせで行うことができる。好ましくは、予備形成されたポリマーシードを使用することもでき、その場合、シードの重量平均粒径は、コポリマーを所望の平均粒径に成長させるのに十分に小さい、例えば、25~60nmである。
【0042】
本発明の水性テクスチャ加工層形成組成物の第1の成分は、(ii)加硫又は架橋ゴム顆粒を更に含む。本発明において有用な好適な加硫又は架橋ゴム顆粒の例としては、スチレンブタジエンゴム(SBR)、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)ゴム、エチレンプロピレンゴム、ブタジエンゴム、天然ゴム、スチレンブタジエンコポリマー、水素化ニトリル、ニトリルゴム、ネオプレン、ポリクロロプレン、又は再生ゴム、例えば粉砕タイヤゴム(GTR)、廃ゴム、又はこれらの混合物が挙げられる。廃ゴムは、例えば、タイヤ、靴底、及び粉砕タイヤゴムなどの任意の既知の供給源に由来し得る。本発明において有用な加硫又は架橋ゴム顆粒は、0.5mm以上、0.7mm以上、更には0.85mm以上、かつ同時に8mm以下、又は5mm以下のふるい粒径を有し得る。
【0043】
加硫又は架橋ゴム顆粒は、好ましくは、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)ゴム、ポリウレタンゴム、スチレンブタジエンゴム、天然ゴム、ニトリル若しくはアクリロニトリルブタジエンスチレンゴム(ABN)、又は再生ゴム、例えば粉砕タイヤゴム(GTR)から、アクリルエマルジョンコポリマー全固形分:ゴム顆粒固形分重量比1:4~1:9未満、又は好ましくは1:4.5~1:8で選択され得る。
【0044】
レオロジーを調整するために、本発明による水性テクスチャ加工層形成組成物の第1の成分は、(iii)少なくとも500,000の粘度平均分子量を有する1つ以上のポリアルキレンオキシド、又は好ましくはポリエチレンオキシドを含む。レオロジー調整剤は、架橋又は加硫ゴム顆粒にいくらかの内部凝集性及び湿潤接着性/粘着性を提供することが見出された。加えて、水性テクスチャ加工層形成組成物は、1つ以上の(iv)高沸点アルコールを含む。高沸点アルコールは、揮発性有機化合物の非存在下でレオロジー調整剤を分散させるのを助けることができる。
【0045】
水性テクスチャ加工層形成組成物中の1つ以上の(iv)高沸点アルコールは、C~Cアルカノエートのヒドロキシル基含有アルキル、酸素化アルキル及び分岐アルキルエステル、例えばイソブチレートのエステル、例えば2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールモノイソブチレート又は2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールジイソブチレート;脂肪酸のヒドロキシル基含有(分岐)アルキル、アルキルアリール若しくはアルコキシアルキルエステル、グリセリド、アミド若しくはアルコキシレート;又は脂肪アルコールのヒドロキシル基含有(分岐)アルキル、アルキルアリール若しくはアルコキシアルキルエーテル及びアルコキシレートから選択することができる。1つ以上の高沸点アルコールの好適な量は、水性テクスチャ加工層形成組成物のアクリルエマルジョンコポリマーブレンドの総重量に基づいて、1~10重量%の範囲であり得る。
【0046】
本発明による水性テクスチャ加工層形成組成物は、第1の成分中に1つ以上の消泡剤を更に含み得る。好適な消泡剤は、シリコーン含有消泡剤、鉱油含有消泡剤、エチレンオキシド又はプロピレンオキシド含有消泡剤、又はこれらの混合物であり得る。好適な市販の消泡剤としては、例えば、NOPCO(商標)NXZ金属石鹸、TEGO(商標)Airex 902 W及びTEGO(商標)Foamex 1488ポリエーテルシロキサンコポリマーエマルジョン(Tego,Evonik Industries,Essen,DE)、BYK-024シリコーン消泡剤(BYK,BYK-Chemie GmbH,Wesel,DE)、又はこれらの混合物が挙げられ得る。消泡剤の好適な量は、水性テクスチャ加工層形成組成物の第1の成分の総重量に基づいて、0.01~1重量%、0.05~0.8重量%、又は0.1~0.3重量%の範囲であり得る。
【0047】
本発明による水性テクスチャ加工層形成組成物の第1の成分は、好ましくは、ステアリン酸カルシウムのような脂肪酸金属塩などの潤滑剤を更に含む。潤滑剤の好適な量は、固形分として、水性テクスチャ加工層形成組成物の第1の成分の総重量に基づいて、0.05~1重量%、0.1~0.8重量%、又は0.1~0.5重量%であり得る。
【0048】
本発明による水性テクスチャ加工層形成組成物の第1の成分は、好ましくは充填剤、又はより好ましくは加水分解性基若しくはヒドロキシル基含有充填剤、例えばシリケート、例えばナトリウム-カリウムアルミナシリケート(霞石閃長岩)又は酸化アルミニウムを更に含む。このような充填剤は、水中でヒドロキシル基又は加水分解性基を形成する。充填剤の好適な量は、固形分として、水性テクスチャ加工層形成組成物の第1の成分の総重量に基づいて、0~50重量%、又は1~40重量%の範囲であり得る。
【0049】
水性テクスチャ加工層形成組成物の第1の成分は、以下の添加剤:無機増量剤、顔料、充填剤、緩衝剤、中和剤、分散剤、湿潤剤、防かび剤、殺生物剤、皮張り防止剤、着色剤、流動剤、酸化防止剤、可塑剤、レベリング剤、分散剤、接着促進剤、希釈剤、及び粉砕ビヒクルのうちのいずれか1つ又は組み合わせを更に含み得る。
【0050】
任意の添加剤は、水性テクスチャ加工層形成組成物の第1の成分の総重量に基づいて、0.001~10重量%、又は0.01~2重量%の量であり得る。
【0051】
第2の成分として、本発明の水性テクスチャ加工層形成組成物は、(v)1つ以上の水性ポリイソシアネート分散液及び架橋剤としてのエポキシシランを含む。このような水性ポリイソシアネート分散液は、ポリイソシアネートを、少なくとも1つのアニオン性基含有反応物、少なくとも1つのポリエチレンオキシド、アニオン性基含有反応物及びポリエチレンオキシドの両方、トリエチルアミンなどの第三級アミン、又はトリエタノールアミンなどのアミノアルコール、好ましくはアニオン性基と少なくとも部分的に反応させることによって、ポリイソシアネートから作製することができる。中和後、ポリウレタンを撹拌下で水中に分散させて分散液を得ることができる。本明細書で使用される場合、用語「アニオン性基」は、水と混合したときに負電荷を担持する化学基を指す。アニオン性基は、金属カチオン、又はカチオン性基を有する有機化合物であり得る1つ以上のカチオンと会合し得る。好ましいアニオン性基は、スルホネート基、カルボキシレート基、カルボン酸基例えば、ジメチルプロピオン酸におけるカルボン酸基、ホスホネート基、又はこれらの混合物から選択され得る。
【0052】
好適なポリイソシアネートは、2つ以上のイソシアネート基を有する任意のイソシアネート官能基含有化合物である。ポリイソシアネートは、過剰の有機ポリイソシアネートと、2つ以上のイソシアネート反応性基を含有する有機化合物、特にポリオールとを反応させることによって作製されるプレポリマーであり得る。反応は、有機スズ化合物及び/又は第三級アミンなどの触媒の存在下で実施することができる。
【0053】
ポリイソシアネートは当該技術分野において周知であり、1分子当たり少なくとも2つのイソシアネート基を含有する脂肪族、脂環式及び/又は芳香族イソシアネートを含む。好適な脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート及びプロピレンジイソシアネートを挙げることができる。好適な脂環式ジイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート、及びメチレンジフェニルイソシアネート(MDI)などの芳香族ジイソシアネートの水素化生成物が挙げられる。好適な芳香族ジイソシアネートとしては、例えば、トルエンジイソシアネート及びメチレンジフェニレンジイソシアネート、並びに当技術分野で公知の他のもの、並びにそれらの異性体又は異性体混合物が挙げられる。好適なトリイソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートと水とのビウレットのようなビウレット、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレートのようなイソシアヌレート、トリメチロールプロパンへのイソホロンジイソシアネートの付加生成物を挙げることができる。他の好適な脂肪族ポリイソシアネートとしては、1、6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、1-イソシアナト-3-イソシアナトメチル-3,5,5-トリメチル-シクロヘキサン(IPDI)、4,4’-ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン(HMDI)、ジイソシアナトメチル-シクロヘキサン(ADI)、それらの異性体、それらのポリマー、又はそれらの混合物が挙げられる。他の好適な芳香族ポリイソシアネートは、トルエン-2,4-ジイソシアネート(2,4-TDI)、トルエン-2,6-ジイソシアネート(2,6-TDI)、ナフチレン-1,5-ジイソシアネート、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート(MDI)、それらの異性体、それらのポリマー、及びそれらの混合物である。
【0054】
好適な市販の水分散性イソシアネート組成物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートから作製されたBAYHYDUR(商標)XP2655親水性脂肪族ポリイソシアネート、又はヘキサメチレンジイソシアネートから作製されたBAYHYDUR(商標)ULTRA 2487/1親水性脂肪族ポリイソシアネート(Covestro,Pittsburgh,PA)が挙げられる。
【0055】
本発明の水性テクスチャ加工層形成組成物中のポリイソシアネート架橋剤の濃度は、アクリルエマルジョンコポリマーブレンドの全固形分重量に基づいて、1重量%以上、2重量%以上、かつ同時に10重量%以下、又は8重量%以下、又は5重量%以下の範囲であり得る。好ましくは、ポリイソシアネート組成物の濃度は、アクリルエマルジョンコポリマーブレンドの全固形分重量に基づいて、2~8重量%の範囲である。
【0056】
本発明による水性テクスチャ加工層形成組成物の第2の成分は、好ましくは、エポキシシラン、例えば、グリシドキシプロピルトリアルコキシシランを更に含む。エポキシシランの好適な量は、固形分として、水性テクスチャ加工層形成組成物の成分の総重量に基づいて、0.5~8重量%、又は1~7重量%の範囲であり得る。水分散性イソシアネート組成物とエポキシシランとの固形分重量比は、0.4:1以上、又は0.6:1以上、又は更に1.5:1以上、かつ同時に、10:1以下、又は5:1以下、又は2.5:1以下の範囲であり得る。
【0057】
好適な市販のエポキシシランとしては、例えば、Momentive Performance Materialから入手可能なSILQUEST(商標)A-187、SILQUEST(商標)WetLink 78、SILQUEST(商標)A-186、及びCOATOSIL(商標)2287エポキシシラン、又はOFS 6040シラン(Dow Corning,Midland,MI)が挙げられる。
【0058】
本発明による別の態様では、本発明は、二成分水性テクスチャ加工層形成組成物を基材に適用してテクスチャ加工トップコート層を形成することを含む、方法を提供する。適用は、既知のこて塗り、舗装又は整地機器を含み得る。基材がプライマー層、クッション層、又はセメント若しくはアスファルトベース、又は本発明による多層スポーツ表面のいずれかの層である場合、いずれか又は全ての層に対して同じ適用機器を使用することができる。本方法は、テクスチャ加工トップコート層を硬化させることを更に含み得る。なおも更に、本方法は、適用直前又は適用時に水性テクスチャ加工層形成組成物の2つの成分を混合することを含み得、これは適用機器自体で混合することを含み得る。
【0059】
本発明による方法において、任意の水性組成物を、任意の既知の方法、例えば、PlanoMatic(商標)P928自動舗装機タイプの合成ランニングトラック舗装機又はPlanoMatic(商標)P211半自動舗装機(SMG Sportplatzmaschinenbau Gmbh,Voehringen,DE)などの従来のランニングトラック舗装機器を使用する手動こて塗り又は機械適用によってベースに適用することができる。得られた表面は、こて塗りによって更に平滑化されてもよい。ベースは、任意の、例えば、コンクリート、ビチューメン、金属、又は木材であり得る。ベース又はクッション層は、水性テクスチャ加工層形成組成物を適用する前に、ポリウレタンプライマーなどのポリウレタン含有プライマー組成物によってプライマー処理することができる。多層スポーツ表面の調製において、任意の水性組成物の乾燥及び硬化は、水を蒸発させるのに十分な所定の温度及び所定の時間で実施することができる。乾燥及び硬化は周囲温度で行うことができる。
【0060】
本発明の水性テクスチャ加工層形成組成物は、概ね5~80℃、又は10~50℃、又は15~40℃、又は20~35℃の温度で硬化され得る。ポリマー混合物の硬化時間は、30分~8日間、1時間~48時間、又は2時間~10時間の範囲であり得る。温度が高くなると硬化が速くなる。また、ポリマー混合物を部分的に硬化させ、次いでその後硬化プロセスを完了させるよう、操作可能である。
【0061】
本発明による多層スポーツ表面の作製において、任意の組成物、例えば、クッション層形成組成物、プライマー層形成組成物又は水性テクスチャ加工層形成組成物の第1の層の適用と、水性組成物の層又はその第2の層の適用との間の時間は、例えば、8時間以下、6時間以下、又は更に5時間以下、かつ同時に、2時間以上、2.5時間以上、又は更に3時間以上の範囲であり得る。
【0062】
なおも別の態様では、本発明は、ベースを含む多層スポーツ表面を提供し、ベースは、その上にクッション層を有し、更にクッション層上にプライマー層を有し、更にその上に耐候性テクスチャ加工トップコート層を有する。クッション層は、加硫又は架橋ゴム顆粒又はエラストマー層の複合体、例えば、ポリウレタン、エラストマーアクリルポリマー、又はそれらの混合物若しくは組み合わせのマトリックス中に分散された加硫又は架橋ゴム顆粒の架橋複合体分散液を含む。エラストマーアクリルは、テクスチャ加工トップコート層若しくは組成物を形成するために使用されるのと同じアクリルエマルジョンコポリマーブレンドから形成され得るか、又はジビニルベンゼンなどのジエチレン性不飽和モノマーを共重合形態で含み、-60~5℃の計算Tgを有するアクリルエマルジョンコポリマーから形成され得る。ポリウレタンは、テクスチャ加工トップコート層のポリイソシアネートと、ポリエーテルポリオールなどのポリオールとの反応生成物から形成することができ、ポリイソシアネートは、好ましくは芳香族ポリイソシアネートである。プライマー層は、ポリマーマトリックスを形成するための組成物と、γ-グリシドキシプロピルトリアルコキシシランなどのエポキシシラン又はエポキシ樹脂とを含む。プライマー層のポリマーマトリックスは、テクスチャ加工トップコート層組成物のアクリルエマルジョンコポリマーブレンドなどの組成物から形成され得るか、又はクッション層におけるように-60~5℃の計算Tgを有するアクリルエマルジョンコポリマーから形成され得る。プライマー層形成組成物中のエポキシ樹脂又はシランの量は、ポリマーマトリックス形成組成物の全固形分重量に基づいて、0.1~5重量%の範囲であり得る。本発明の多層スポーツ表面のクッション層において、アクリルエマルジョンコポリマー及び/又はポリウレタン固形分と加硫又は架橋ゴム顆粒との重量比は、1:6.5以下、又は更に1:7以下、かつ同時に、1:11以上、又は更に1:10以上であり得る。ベース層中の加硫又は架橋ゴム顆粒は、0.7~8mm、好ましくは0.85~5mm、より好ましくは1~5mmのふるい粒径を有し得る。ベース層中の加硫又は架橋ゴム顆粒は、好ましくは再生ゴム又はスチレンブタジエンゴムを含む。
【0063】
本発明の多層スポーツ表面のプライマー層は、ベース又は他の層基材への多層物品の接着性を更に改善するために使用され得る。プライマー層は、第1のアクリルエマルジョンコポリマーA、第2のアクリルエマルジョンコポリマーB、アクリルエマルジョンコポリマーブレンドとしてのこれらの混合物、又は別のアクリルエマルジョンコポリマーを含むプライマー組成物から作製され得る。プライマー組成物は、得られる多層物品の湿潤条件下でのベースへの接着性を更に改善するために、エポキシシランを更に含み得る。プライマー組成物はまた、水性テクスチャ加工層形成組成物のもののようなイソシアネートプレポリマー組成物を含み得る。好ましくは、プライマー組成物は、ブレンドとしての第1及び第2のアクリルエマルジョンコポリマーA及びBと、エポキシシランと、水分散性ポリイソシアネート組成物とを含む。プライマー組成物中の上記材料の量は、水性テクスチャ加工層形成組成物中で使用される場合、上記の範囲を有し得る。本発明の多層物品は、他の機能層を更に含んでもよい。例えば、多層物品は保護層を更に含んでもよく、それにより、トップ層は、保護層とベース層との間に存在する。保護層の存在は、多層物品の耐摩耗性及び耐老化性を更に改善するのに有用であり得る。
【0064】
本発明による多層スポーツ表面及び水性テクスチャ加工層形成組成物は、例えば、防音材料、音響下敷き、フローリング下敷き及びマットにおいて;人工トラック及び運動場表面、ボールコアなどの産業用又はスポーツ用ユーティリティ、並びに床タイル及びカバーリングなどの消費者製品において;成形製品において;並びに道路舗装及びメンテナンス用途において使用することができる。特に、多層スポーツ表面は、ランニングトラック、テニスコート又はゴム引きされた運動場表面における使用に好適である。
【実施例
【0065】
以下の実施例により、本発明を例示する。別段に示されない限り、全ての部及び百分率は重量基準であり、全ての温度は℃である。以下の実施例並びに表1、表2及び表3において、以下の略語を使用した。AA:アクリル酸、AN:アクリロニトリル;DVB:ジビニルベンゼン;MAA:メタクリル酸、S:スチレン、MMA:メチルメタクリレート、BA:ブチルアクリレート、SHP:次亜リン酸ナトリウム;UEMA:ウレイドエチル官能性メタクリレート;BP:ベンゾフェノン。以下の表1は、使用した材料を示す。
【0066】
以下の実施例において、試験した配合物を以下の表2A及び表2Bに示す。全ての配合物において、高沸点アルコール及びポリアルキレンオキシドレオロジー調整剤を、スパチュラを用いて手で事前にブレンドし、別々の成分のそれぞれを第1の成分と予備混合し、600RPMで粉砕してゴム顆粒及び任意の充填剤を分散させた。使用前に、材料を混合して水性組成物を形成し、これを以下の試験方法に記載のように適用し、使用した。
【0067】
以下の実施例において、以下の試験方法を使用した。
【0068】
圧力下で成形されたドッグボーン試料試験片による引張強度及び伸び:ゴム顆粒を有する示された配合物を混合し、スチールスペーサー(1cm)がテープで固定されたポリテトラフルオロエチレン剥離表面を有する型の上に広げて、18cm×30cmの面積を有するシートを形成した。配合物を枠内でスパチュラによってプレスして、厚さ1cmの層を有するテクスチャ加工トップコート層を得た。より均質な層を得るために、シリコン剥離紙、次いで3Kgの重量の繊維セメントパネルを層の上に置き、30分間プレスした。試験前に層を23℃及び50%RHで7日間硬化させ、ドッグボーン形状(ISO 527-2 Typ 1A)の切断ダイで切断して15個の試料を作製した。10個の試験片をRT条件で試験し、5個の試験片を水中に1日浸漬した後に試験した。引張及び伸びの測定は、Zwick Roell Allround-Line 2.5kN試験機(Zwick GmbH & Co.KG,Ulm,DE)を用いて行った。引張速度を100mm/分に設定した。110mmのクランプギャップを使用した。引張強度を最大で報告し、伸びを破断時で報告した。結果を以下の表3に示す。
【0069】
引張強度及び伸び長方形試験片:剥離紙及び繊維セメントプレスを用いないことを除いて、示された配合物を1cm厚の硬化試料シートとして上記のように硬化させ、3.5×10cmの長方形に切断した。次いで、Zwick Roell Z005機械試験機(Zwick GmbH & Co)を用いて引張試験を行った。クランプギャップを50mmにし、引張速度を50mm/分に設定した。引張強度については、最大値を報告した。報告された伸び値は、破断点伸び値であった。結果を以下の表3に示す。
【0070】
色安定性:示された配合物の2つの成分を一緒に混合し、次いで、示されたゴム顆粒と2分間組み合わせた。次いで、得られた組成物をペトリ皿に充填して層を形成し、キセノンランプを備えた紫外線(UV)チャンバ内で48時間エージングさせた。エージング後、層を黄変について目視検査した。
【0071】
【表1】
【0072】
【表2】

-比較例を示す;1.EPDMサイズ範囲1~3mm;2.2.39gの第二級アルコールエトキシレート(98%)界面活性剤を含有する。
【0073】
【表3】

-比較例を示す;1.Portaflame(商標)SG-10充填剤合成水酸化アルミニウム(D50:3.5マイクロメートル,Sibelco,Antwerp,BE);2.Minex(商標)4霞石閃長岩(Sibelco);3.Orotan(商標)2500分散剤S-AAコポリマー24.8重量%、25%アンモニア水(6.7重量%)及びDI水(68.5重量%)(Dow);4.ゴム顆粒を使用前に水中で洗浄し、ふるいにかけた。5.EPDMサイズ範囲1~3mm;6.メチレンジフェニルイソシアネート(MDI)(47重量%の2,4’異性体)。
【0074】
【表4】

-比較例を示す。
【0075】
上記表3に示されるように、高沸点アルコールを含む実施例2、3、4及び5の本発明の組成物は、比較例1のエタノールを有する同じ水性組成物と比較した場合、劇的に改善された室温引張強度及び破断点伸びを示す。
【0076】
【表5】

-比較例を示す。
【0077】
上記の表4に示されるように、実施例6、7、8、9及び10の本発明の組成物は全て、実施例2、3、4及び5の組成物が示すように、ドッグボーン試験片において同レベルの改善された湿潤及び乾燥引張及び伸びを示す。全ての本発明の組成物は、水性であり、実質的にVOCを含まず、実質的にAPEOを含まず、高沸点アルコールを含む。
【0078】
本発明の実施例6の組成物における試験の色安定性の結果は、48時間の紫外線(UV)エージング後にわずかな黄変しか示さないが、脂肪族ポリイソシアネートの代わりに芳香族ジイソシアネートを有する同じ組成物は、アクリルエマルジョンコポリマーブレンドの全固形分重量に基づいてより少ない量であっても、48時間のUVエージング後に顕著な黄変を示す。色安定性試験は、脂肪族架橋剤を有する本発明の水性テクスチャ加工層形成組成物が、架橋剤として芳香族ジイソシアネートを有する同じ水性テクスチャ加工層形成組成物と比較して、よりUV安定性の製品を提供することを示す。
【0079】
ポットライフ試験及び結果:比較例1と実質的に同じ3つの組成物を、芳香族架橋剤3を使用してゴム顆粒なしで形成し、層に引き伸ばした。組成物は、それぞれ2.5、5及び10重量%の架橋剤を含んでいた。5重量%及び10重量%の芳香族架橋剤を含有する組成物は、1時間後にほぼ完全に硬化した膜を層の上に示したが、2.5重量%の芳香族架橋剤を含有する組成物は、1時間後及び3時間後に膜のない層を保持した。これは、加工可能な粘度を維持しながら、より高いゴム顆粒割合を可能にする本発明の組成物のような組成物が、既知の組成物よりも長いポットライフも保持することを示す。水性テクスチャ加工層形成組成物の総重量に対する架橋剤の量が少なくなることも、ポットライフを長くすることに寄与している。
【国際調査報告】