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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-31
(54)【発明の名称】能動補償を用いる電気穿孔
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/42 20060101AFI20230824BHJP
   G01N 27/04 20060101ALI20230824BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20230824BHJP
   C12N 15/87 20060101ALI20230824BHJP
【FI】
C12M1/42
G01N27/04 Z
C12M1/00 A
C12N15/87 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023504334
(86)(22)【出願日】2021-07-15
(85)【翻訳文提出日】2023-01-20
(86)【国際出願番号】 US2021041832
(87)【国際公開番号】W WO2022020175
(87)【国際公開日】2022-01-27
(31)【優先権主張番号】16/935,987
(32)【優先日】2020-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518419057
【氏名又は名称】ナントセル,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャン,チー-ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン リュー,ジョン トーマス
(72)【発明者】
【氏名】メーラビ,アーティン
【テーマコード(参考)】
2G060
4B029
【Fターム(参考)】
2G060AA15
2G060AD06
2G060AF07
2G060AG03
2G060KA09
4B029AA24
4B029BB11
4B029GB07
(57)【要約】
カーゴを用いて細胞を電気穿孔する装置は、細胞及びカーゴを含む流体が流れるための経路を画定する電極と、電極にわたって結合される電源と、制御回路とを含む。幾つかの例において、制御回路は、電極間の抵抗の増大に起因した誘導電流の低下を検出し、電源を制御して誘導電流を増大させ、電極間の電場を維持するように構成される。抵抗の前の値に基づいて、電極間の抵抗の将来の値を予測し得る。他の例において、制御回路は、電極間を流れる流体のパラメータを検出し、パラメータの検出に応答して、電気パルスを生成するか、又は電気パルスの生成を停止するように電源を制御するように構成される。カーゴを用いて細胞を電気穿孔する他の装置例及び方法例も開示される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーゴを用いて細胞を電気穿孔する装置であって、
互いから離間され、前記細胞及び前記カーゴを含む流体が間を流れるための経路を画定する2つの電極であって、前記電極は、流体が前記経路を通って流れるとき、間に抵抗を有する、2つの電極と、
前記電極にわたって結合されるDC電源と、
前記DC電源を制御して、ある電圧で複数の電気パルスを前記電極に提供し、定義された値において前記電極間に電場を生成する、前記電極を通る電流を誘導し、前記電極間の前記抵抗の増大に起因して前記誘導電流の低下を検出し、ある時間期間にわたる前記電極間の前記抵抗の複数の値を特定し、前記抵抗の前記特定された複数の値に基づいて前記電極間の前記抵抗の将来の値を予測し、前記抵抗の前記将来の値に基づいて前記誘導電流を増大させて、前記電極間の前記電場を前記定義された値に維持するように前記DC電源を制御するように構成された制御回路と、
を備える、装置。
【請求項2】
前記抵抗の前記特定される複数の値は、第1の値及び第2の値を含み、前記制御回路は、少なくとも前記抵抗の前記第1の値と前記抵抗の前記第2の値との間で直線投影を適用し、前記直線投影に基づいて前記電極間の前記抵抗の前記将来の値を予測するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記制御回路は、定義された数の電気パルスのデータ長に基づいて前記直線投影を適用するように構成される、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記制御回路は、前記誘導電流が定義された値であるとき、前記抵抗の前記第1の値を特定するように構成される、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記誘導電流の前記定義された値は、前記誘導電流のピーク値である、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記制御回路は、定義された値まで前記誘導電流を増大させるように前記DC電源を制御するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記誘導電流の前記定義された値は、前記誘導電流のピーク値である、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記制御回路は、前記複数の電気パルスの前記電圧を増大させて前記誘導電流を増大させるように前記DC電源を制御するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記制御回路は、比例積分偏差コントローラ、比例積分コントローラ、比例偏差コントローラ、及び比例コントローラの少なくとも1つを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記比例積分偏差コントローラ、前記比例積分コントローラ、前記比例偏差コントローラ、及び/又は前記比例コントローラの前記少なくとも1つの利得係数は、一定又は可変である、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記制御回路は、前記流体と関連するパラメータを検出し、前記流体と関連するパラメータの検出に応答して、前記複数の電気パルスを生成するように前記DC電源を制御するよう構成される、請求項1~10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記流体と関連する前記パラメータは第1のパラメータであり、前記制御回路は、前記流体と関連する第2のパラメータを検出し、前記流体と関連する前記第2のパラメータの検出に応答して、前記複数の電気パルスの生成を停止するように前記DC電源を制御するよう構成される、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
カーゴを用いて細胞を電気穿孔する装置であって、
互いから離間され、前記細胞及び前記カーゴを含む流体が間を流れるための経路を画定する2つの電極と、
前記電極にわたって結合され、複数の電気パルスを提供して、前記電極間に電場を生成するための前記電極を通る電流を誘導するDC電源と、
前記流体と関連する第1のパラメータを検出し、前記流体と関連する前記第1のパラメータの検出に応答して、前記複数の電気パルスを生成するように前記DC電源を制御し、前記流体と関連する第2のパラメータを検出し、前記流体と関連する前記第2のパラメータの検出に応答して、前記複数の電気パルスの生成を停止するように前記DC電源を制御するよう構成される制御回路と、
を備える、装置。
【請求項14】
前記流体と関連する前記第1のパラメータは、流体の存在を含み、且つ/又は前記流体と関連する前記第2のパラメータは流体の不在を含む、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記制御回路に結合された第1のセンサ及び第2のセンサを更に備え、前記第1のセンサは前記経路と流通して、流体の前記存在を検出し、前記第2のセンサは前記経路と流通して、流体の前記不在を検出する、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記第1のセンサ及び/又は前記第2のセンサは、前記流体と関連する電気パラメータを検知するように構成された光センサ又はセンサを含む、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記流体と関連する前記第2のパラメータは、流体の存在を含み、前記装置は、前記経路と流通する弁と、前記経路と流通し、前記弁の外側に位置決めされて、流体の前記存在を検出するセンサとを更に備え、前記制御回路は、前記弁が流体の前記存在を検出したことに応答して、前記複数の電気パルスの生成を停止するように前記DC電源を制御するように構成される、請求項13に記載の装置。
【請求項18】
カーゴを用いて細胞を電気穿孔する装置であって、
互いから離間され、前記細胞及び前記カーゴを含む流体が間を流れるための経路を画定する2つの電極であって、前記電極は、流体が前記経路を通って流れるとき、間に抵抗を有する、2つの電極と、
前記電極にわたって結合されるDC電源と、
前記DC電源を制御して、ある電圧で複数の電気パルスを前記電極に提供し、定義された値において前記電極間に電場を生成するための電流を前記電極を通して誘導し、前記電極間の前記抵抗の増大に起因した前記誘導電流の低下を検出し、前記誘導電流を増大させて前記電極間の前記電場を前記定義された値に維持するように前記DC電源を制御するように構成された制御回路と、
を備える、装置。
【請求項19】
前記制御回路は、定義された値まで前記誘導電流を増大させるように前記DC電源を制御するように構成される、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記誘導電流の前記定義された値は、前記誘導電流のピーク値である、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記制御回路は、前記複数の電気パルスの前記電圧を増大させて前記誘導電流を増大させるように前記DC電源を制御するように構成される、請求項18~20のいずれか一項に記載の装置。
【請求項22】
前記制御回路は、前記電極間の前記抵抗の前記増大を特定し、前記電極間の前記抵抗の前記特定された増大に基づいて前記誘導電流を増大させるように前記DC電源を制御するよう構成される、請求項18~21のいずれか一項に記載の装置。
【請求項23】
前記制御回路は、前記電極間の前記抵抗の将来の値を予測し、前記抵抗の前記将来の値に基づいて前記誘導電流を増大させるように前記DC電源を制御するよう構成される、請求項18~21のいずれか一項に記載の装置。
【請求項24】
前記制御回路は、ある時間期間にわたり前記抵抗の少なくとも2つの値間に直線投影を適用し、前記直線投影に基づいて前記電極間の前記抵抗の前記将来の値を予測するように構成される、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記制御回路は、定義された数の電気パルスのデータ長に基づいて前記直線投影を適用するように構成される、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記制御回路は、比例積分偏差コントローラ、比例積分コントローラ、比例偏差コントローラ、及び比例コントローラの少なくとも1つを含む、請求項18~25のいずれか一項に記載の装置。
【請求項27】
前記比例積分偏差コントローラ、前記比例積分コントローラ、前記比例偏差コントローラ、及び/又は前記比例コントローラの前記少なくとも1つの利得係数は、一定又は可変である、請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記制御回路は、前記流体と関連するパラメータを検出し、前記流体と関連するパラメータの検出に応答して、前記複数の電気パルスを生成するように前記DC電源を制御するよう構成される、請求項18~27のいずれか一項に記載の装置。
【請求項29】
前記流体と関連する前記パラメータは第1のパラメータであり、前記制御回路は、前記流体と関連する第2のパラメータを検出し、前記流体と関連する前記第2のパラメータの検出に応答して、前記複数の電気パルスの生成を停止するように前記DC電源を制御するよう構成される、請求項28に記載の装置。
【請求項30】
カーゴを用いて細胞を電気穿孔する方法であって、
互いから離間された2つの電極によって画定される経路に前記細胞及び前記カーゴを含む流体を流すことであって、前記電極は、流体が前記経路を流れるとき、間に抵抗を有する、流すことと、
DC電源を制御することであって、それにより、ある電圧で複数の電気パルスを前記電極に提供し、定義された値において前記電極間に電場を生成する、前記電極を通る電流を誘導する、制御することと、
前記電極間の前記抵抗の増大に起因して前記誘導電流の低下を検出することと、
ある時間期間にわたる前記電極間の前記抵抗の複数の値を特定することと、
前記抵抗の前記特定された複数の値に基づいて前記電極間の前記抵抗の将来の値を予測することと、
前記抵抗の前記将来の値に基づいて前記誘導電流を増大させて、前記電極間の前記電場を前記定義された値に維持するように前記DC電源を制御することと、
を含む、方法。
【請求項31】
カーゴを用いて細胞を電気穿孔する方法であって、
互いから離間された2つの電極によって画定される経路に前記細胞及び前記カーゴを含む流体を流すことと、
前記流体と関連する第1のパラメータを検出することと、
前記流体と関連する前記第1のパラメータの検出に応答して、前記電極間に電場を生成するために、複数の電気パルスを生成して前記電極を通る電流を誘導するようにDC電源を制御することと、
前記流体と関連する第2のパラメータを検出することと、
前記流体と関連する前記第2のパラメータの検出に応答して、前記複数の電気パルスの生成を停止するように前記DC電源を制御することと、
を含む、方法。
【請求項32】
カーゴを用いて細胞を電気穿孔する方法であって、
互いから離間された2つの電極によって画定される経路に前記細胞及び前記カーゴを含む流体を流すことであって、前記電極は、流体が前記経路を流れるとき、間に抵抗を有する、流すことと、
DC電源を制御することであって、それにより、ある電圧で複数の電気パルスを前記電極に提供し、定義された値において前記電極間に電場を生成する、前記電極を通る電流を誘導する、制御することと、
前記電極間の前記抵抗の増大に起因して前記誘導電流の低下を検出することと、
前記誘導電流を増大させて前記電極間の前記電場を前記定義された値に維持するように前記DC電源を制御することと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2020年7月22日付けで出願された米国特許出願第16/935,987号明細書からの米国特許法第120条下での優先権を主張するものであり、この内容全体は参照により本明細書に援用される。
【0002】
本開示は、能動補償を用いる電気穿孔に関する。
【背景技術】
【0003】
このセクションは、必ずしも先行技術ではない、本開示に関する背景情報を提供する。
【0004】
形質移入は、核酸を細胞に導入して、遺伝子組み換え細胞を生成するのに一般に使用される。光穿孔、リン酸カルシウムを利用したポリマーに基づく方法、微量注入法、電気穿孔法、ウイルス形質導入、及び脂質仲介法(例えばリポソーム-DNA複合体を使用する)を含め、細胞の形質移入するために種々の物理的、化学的、及びウイルス的方法が存在している。電気穿孔が細胞の形質移入に使用される場合、被制御直流(DC)電気パルスが細胞に印加されて、膜電位差を誘導する。この膜電位差は、細胞膜の規則構造の可逆的破壊を生じさせ、膜に孔を形成させる。次いで対象分子が孔を通して細胞に入ることができる。孔形成は、電気穿孔プロセスで使用される平行電極間の距離、電気パルスの特性、電極にわたる電場強度等を含め、種々のパラメータを調整することによって制御することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
このセクションは、本開示の概要を提供し、本開示の全範囲又はその特徴の全ての包括的開示ではない。
【0006】
本開示の一態様によれば、カーゴを用いて細胞を電気穿孔する装置が提示される。本装置は、互いから離間され、細胞及びカーゴを含む流体が間を流れるための経路を画定する2つの電極と、電極にわたって結合されるDC電源と、制御回路とを含む。流体が経路を通って流れるとき、間に抵抗を有する電極。制御回路は、DC電源を制御して、ある電圧で複数の電気パルスを電極に提供し、定義された値において電極間に電場を生成する、電極を通る電流を誘導し、電極間の抵抗の増大に起因して誘導電流の低下を検出し、誘導電流を増大させて電極間の電場を定義された値に維持するようにDC電源を制御するよう構成される。
【0007】
本開示の別の態様によれば、カーゴを用いて細胞を電気穿孔する装置が提示される。本装置は、互いから離間され、細胞及びカーゴを含む流体が間を流れるための経路を画定する2つの電極と、電極にわたって結合され、複数の電気パルスを提供して、電極間に電場を生成するための電極を通る電流を誘導するDC電源と、流体と関連する第1のパラメータを検出し、流体と関連する第1のパラメータの検出に応答して、複数の電気パルスを生成するようにDC電源を制御し、流体と関連する第2のパラメータを検出し、流体と関連する第2のパラメータの検出に応答して、複数の電気パルスの生成を停止するようにDC電源を制御するよう構成される制御回路とを含む。
【0008】
本開示の別の態様によれば、カーゴを用いて細胞を電気穿孔する装置が提示される。本装置は、互いから離間され、細胞及びカーゴを含む流体が間を流れるための経路を画定する2つの電極と、電極にわたって結合されるDC電源と、制御回路とを含む。流体が経路を通って流れるとき、間に抵抗を有する電極。制御回路は、DC電源を制御して、ある電圧で複数の電気パルスを電極に提供し、定義された値において電極間に電場を生成するための電流を電極を通して誘導し、電極間の抵抗の増大に起因した誘導電流の低下を検出し、ある時間期間にわたる電極間の抵抗の複数の値を特定し、抵抗の特定された複数の値に基づいて電極間の抵抗の将来の値を予測し、抵抗の将来の値に基づいて誘導電流を増大させて、電極間の電場を定義された値に維持するようにDC電源を制御するように構成される。
【0009】
本開示の別の態様によれば、カーゴを用いて細胞を電気穿孔する方法が提示される。本方法は、互いから離間された2つの電極によって画定される経路に細胞及びカーゴを含む流体を流すことを含む。流体が経路を流れるとき、間に抵抗を有する電極。本方法は、DC電源を制御することであって、それにより、ある電圧で複数の電気パルスを電極に提供し、定義された値において電極間に電場を生成する、電極を通る電流を誘導する、制御することと、電極間の抵抗の増大に起因して誘導電流の低下を検出することと、誘導電流を増大させて、電極間の電場を定義された値に維持するようにDC電源を制御することとを更に含む。
【0010】
本開示の別の態様によれば、カーゴを用いて細胞を電気穿孔する方法が提示される。本方法は、互いから離間された2つの電極によって画定される経路に細胞及びカーゴを含む流体を流すことと、流体と関連する第1のパラメータを検出することと、流体と関連する第1のパラメータの検出に応答して、電極間に電場を生成するために、複数の電気パルスを生成して電極を通る電流を誘導するようにDC電源を制御することと、流体と関連する第2のパラメータを検出することと、流体と関連する第2のパラメータの検出に応答して、複数の電気パルスの生成を停止するようにDC電源を制御することとを含む。
【0011】
本開示の別の態様によれば、カーゴを用いて細胞を電気穿孔する方法が提示される。本方法は、互いから離間された2つの電極によって画定される経路に細胞及びカーゴを含む流体を流すことを含む。流体が経路を流れるとき、間に抵抗を有する電極。本方法は、DC電源を制御することであって、それにより、ある電圧で複数の電気パルスを電極に提供し、定義された値において電極間に電場を生成する、電極を通る電流を誘導する、制御することと、電極間の抵抗の増大に起因して誘導電流の低下を検出することと、ある時間期間にわたる電極間の抵抗の複数の値を特定することと、抵抗の特定された複数の値に基づいて電極間の抵抗の将来の値を予測することと、抵抗の将来の値に基づいて誘導電流を増大させて、電極間の電場を定義された値に維持するようにDC電源を制御することとを更に含む。
【0012】
更なる態様及び適用可能な分野は、本明細書に提供される説明から明らかになろう。本開示の種々の態様は個々に又は1つ若しくは複数の他の態様と組み合わせて実施し得ることを理解されたい。本明細書における説明及び具体例が例示目的のみを意図し、本開示の範囲を限定する意図がないことも理解されたい。
【0013】
本明細書に記載される図面は、可能全ての実施態様ではなく、選択された実施形態の例示のみを目的とし、本開示の範囲の限定を意図しない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本開示の一実施形態例による、能動補償を採用して電場強度を維持する電気穿孔装置のブロック図である。
図2】別の実施形態例による、能動補償が適用されない場合の電気穿孔装置の電極に提供される電圧、電極を通して誘導される電流、電場強度を低下させる電極間の抵抗の増大を示すグラフである。
図3】別の実施形態例による、能動補償が適用されない場合の電気穿孔装置の電極に提供される電圧、電極を通して誘導される電流、電場強度を低下させる電極間の抵抗の増大を示すグラフである。
図4】別の実施形態例による、能動補償がない場合の異なる電気穿孔プロセスでの電場強度の低下を示すグラフである。
図5】別の実施形態例による能動補償を採用した電気穿孔装置の電極を通る誘導電流を示すグラフである。
図6】別の実施形態例による「全データ」直線投影を採用した予測補償技法を示すグラフである。
図7】別の実施形態例による「全データ」直線投影を採用した予測補償技法を示すグラフである。
図8】別の実施形態例による「移動窓」直線投影を採用した予測補償技法を示すグラフである。
図9】別の実施形態例による「移動窓」直線投影を採用した予測補償技法を示すグラフである。
図10】別の実施形態例による、異なる予測補償技法が採用された場合の電場強度を示すグラフである。
図11】別の実施形態例による、異なる予測補償技法が適用された場合の生物学的性能結果を示すグラフである。
図12】別の実施形態例による、電極と、流体が電極間に存在するときを検出するセンサとを含む電気穿孔装置のブロック図である。
図13図12の電気穿孔装置における流体フローのブロック図である。
図14】別の実施形態例による図1の電気穿孔装置で採用可能な電極のブロック図である。
図15】別の実施形態例による、図1の電気穿孔装置で採用可能な電源及び制御回路のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
対応する参照番号は、図面の幾つかの図を通して対応する(しかし必ずしも同一であるわけではない)部分及び/又は特徴を示す。
【0016】
この開示が完全であり、当業者に範囲を十分に伝えるように、実施形態例が提供される。本開示の実施形態の完全理解を提供するために、特定の構成要素、デバイス、及び方法の例等の多くの具体的な詳細が記載される。具体的な詳細が採用される必要はなく、実施形態例は多くの異なる形態で実施することが可能であり、本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではないことが当業者には明らかになろう。幾つかの実施形態例において、周知のプロセス、周知のデバイス構造、及び周知の技術については詳述していない。
【0017】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態例の説明を目的としており、限定を意図していない。本明細書で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、文脈が明らかに別のことを示す場合を除き、複数形も同様に包含することが意図され得る。「備える」、「備えている」、「含む」、及び「有する」という用語は包括的であり、したがって、述べられた特徴、整数、ステップ、動作、要素、及び/又は構成要素の存在を指定するが、1つ又は複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、及び/又はそのグループの存在又は追加を除外しない。本明細書に記載される方法のステップ、プロセス、及び動作は、実行順として特に識別される場合を除き、論考又は図示される特定の順序での実行を必ず必要とするものとして解釈されるべきではない。追加又は代替のステップを採用し得ることも理解されたい。
【0018】
第1、第2、第3等の用語は、本明細書において、種々の要素、構成要素、領域、層、及び/又はセクションを記載するために本明細書で使用され得るが、これらの要素、構成要素、領域、層、及び/又はセクションはこれらの用語によって限定されるべきではない。これらの用語は、ある要素、構成要素、領域、層、又はセクションを別の領域、層、又はセクションから区別するために使用されているだけであり得る。「第1」、「第2」、及び他の数値用語等の用語は、本明細書で使用される場合、文脈によって明確に示される場合を除き、シーケンス又は順序を黙示しない。したがって、後述する第1の要素、構成要素、領域、層、又はセクションは、実施形態例の教示から逸脱せずに、第2の要素、構成要素、領域、層、又はセクションと呼ぶことができる。
【0019】
「内」、「外」、「下方」、「下」、「下の方」、「上」、「上方」等の空間の相対的用語は、本明細書では、図に示されているある要素又は特徴の別の要素又は特徴への関係を説明するために説明を容易にするために使用し得る。空間の相対的用語は、図に示される向きに加えて、使用中又は動作中のデバイスの異なる向きも包含することを意図し得る。例えば、図中のデバイスが上下逆になった場合、他の要素又は特徴の「下方」又は「下」にあると説明された要素は、その他の要素又は特徴の「上」に向けられる。したがって、「下」という用語例は、上及び下の向きの両方を包含することができる。デバイスは別様に向けられてもよく(90度回転又は他の向き)、本明細書で使用される空間の相対的用語はそれに従って解釈される。
【0020】
実施形態例について添付図面を参照してより十分にこれより説明する。
【0021】
本開示の一実施形態例によるカーゴを用いて細胞を電気穿孔する装置が図1に示され、全体的に参照番号100によって示されている。図1に示されるように、装置100は2つの電極102、104、電極にわたって結合されたDC電源106、及び制御回路108を含む。電極102、104は互いから離間され、間を流れる細胞112及びカーゴ110を含む流体の経路(概して矢印Fで示されている)を画定する。電極は間に抵抗Rchipを有する。制御回路108はDC電源106を制御して、電圧Vpsにおいて直流(DC)電気パルスを電極102、104に提供して、電極102、104を通る電流Ichipを誘導し、電極102と104との間に電場Eを生成し、電極間の抵抗Rchipの増大に起因した誘導電流Ichipの低下を検出し、DC電源106を制御して誘導電流Ichipを上げ、電極102と104との間の電場Eを定義された値に維持する。
【0022】
例えば、電極102、104及び関連する構成要素はチップを形成し得る。電極102、104及び電極102と104との間を流れる流体は、抵抗Rchip(例えば流体が存在する場合のチップの抵抗)を有し得る。そのような例において、抵抗Rchipは少なくとも流体の抵抗Rb及び流体と電極102、104の表面との間の界面抵抗Riに等しい。図1に示されるように、電場Eは、DC電源106が電圧Vps(例えば調整電圧)において電気パルスを提供する場合、流体にわたって(例えば電極102と104との間に)生成される有効電場を表す。図1の特定の例において、電場Eは、電極102、104にわたる電圧Vchip(例えば電圧Vpsから任意の電圧降下を差し引いたもの)を電極102と104との間の距離で除したものに等しい。
【0023】
電極102、104を通る誘導電流Ichipを上げることにより、電気穿孔中の形質移入効率を維持し得、幾つかの例では改善し得る。例えば、電気穿孔中、抵抗Rchipは、DC電源106によって提供される電気パルス数の関すとして経時増大し得る。幾つかの例において、抵抗Rchipの増大は、界面抵抗Riの増大によって生じ得る。そのような例において、抵抗の増大は、例えば、電極パッシベーション、電極劣化等を生じさせる電極102、104の表面に付着した荷電分子、DNA、タンパク質等に起因し得る。抵抗Rchipが増大した結果として、誘導電流Ichipは下がり得、電極102と104との間を流れる流体にわたる有効電場Eは下がり得る。その結果、形質移入効率は、以下更に説明するように経時低下し得る。しかしながら、チップを通って流れる誘導電流Ichipが増大し、幾つかの例では、能動補償を通して定義された値に維持され得る場合(例えば更に以下説明するように)、電気穿孔中、流体にわたる有効電場及び形質移入効率は維持され得、幾つかの例では改善し得る。
【0024】
図2及び図3は、能動補償が採用されない場合の電気穿孔中の図1の電極102、104と関連する電気特性を示すグラフ200、300を示す。図2及び図3の特定の例では、本明細書において実施例1に記載されるようなα-CTLA-4/TxM-B融合タンパク質(例えばカーゴ)をコードするDNAを含む発現プラスミドのCHO-S細胞への形質移入に関連する電気特性。
【0025】
特に、図2は、チップと関連する抵抗Rchip(線202)及び図1の流体にわたる電場E(線204)を示す。図3は、チップを通って流れる誘導電流Ichip(線302)及び電極102、104にわたる電圧Vchip(線304)を示す。テストにより、DC電源106によって提供される電気パルスの数が上がるにつれて抵抗Rchip(線202)が上がることが示された。この抵抗の増大は、流体が電極102と104との間の経路(例えばチャンバ)に入るとき、開始される。図2の特定の例において、抵抗Rchipは、線206によって示されるように、7番目のパルスの前後(例えば低下が始まるとき)で増大し始める。抵抗が経時増大するにつれて、図2及び図3に示されるように、チップを通って流れる誘導電流Ichip(線302)は低下し、電圧Vchip(線304)は増大する。この時間中、電場E(線204)は線206において低下し始め、電気穿孔プロセスが線208において終わるまで低下し続ける。
【0026】
図4は、本明細書において実施例2に記載されるように、異なる量のパルスにわたる、α-CTLA4/TxM-B融合タンパク質(例えばカーゴ)をコードするDNAを含む発現プラスミドをCHO-S細胞に形質移入するための4つの実験電気穿孔プロセスP1、P2、P3、P4の電場を表す線402、404、406、408を含むグラフ400を示す。特に、線402(実線構成を有する)は電気穿孔プロセスP1中の電場を表し、線404(破線構成を有する)は電気穿孔プロセスP2中の電場を表し、線406(一点鎖線構成を有する)は電気穿孔プロセスP3中の電場を表し、線408(二点鎖線構成を有する)は電気穿孔プロセスP4中の電場を表す。本明細書における実施例2を参照のこと。
【0027】
図4及び以下の表1に示されるように、有効電場は、電極102と104との間を通る流体量が増大するにつれてより大きな低下を経験する。流体量は、各電気穿孔プロセスP1、P2、P3、P4中に受け取られた電気パルス数に関連する。例えば、電気穿孔プロセスP1は、プロセスP1が線410で終わるとき、120マイクロリットル(μL)の流体を処理し(例えば約60パルスの持続時間)、電気穿孔プロセスP2は、プロセスP2が線412で終わるとき、240μLの流体を処理し(例えば約83パルスの持続時間)、電気穿孔プロセスP3は、プロセスP3が線414で終わるとき、400μLの流体を処理し(例えば約125パルスの持続時間)、電気穿孔プロセスP4は、プロセスP4が線416で終わるとき、600μLの流体を処理する(例えば約155パルスの持続時間)。
【0028】
【表1】
【0029】
図4に示されるように、電気穿孔プロセスP1、P2、P3、P4と関連する有効電場(線402、404、406、408)は、約20~25のパルスで低下し始める。この時間における各有効電場の値は、上の表1に示されるように約1.31kV/cmである。図4及び上の表1に示されるように、電気穿孔プロセスP1、P2、P3、P4が終わるとき、プロセスP1と関連する電場(即ち線402)は0.9kV/cmであり、プロセスP2と関連する電場(即ち線404)は0.71kV/cmであり、プロセスP3と関連する電場(即ち線406)は0.54kV/cmであり、プロセスP4と関連する電場(即ち線408)は0.46kV/cmである。したがって、上の表1に示されるように、電気穿孔プロセスP1中に受ける電場は31%のパーセント変化を有し、電気穿孔プロセスP2中に受ける電場は46%のパーセント変化を有し、電気穿孔プロセスP3中に受ける電場は58%のパーセント変化を有し、電気穿孔プロセスP4中に受ける電場は65%のパーセント変化を有する。したがって、電極102と104との間を通る流体が多くなるほど、有効電場は大きな低下を経験する。
【0030】
さらに、電気穿孔プロセスP1、P2、P3、P4と関連する歩留まりは、電極102と104との間を通る流体量が増える(例えば電気パルス数が増大する)につれて低下し得る。例えば、上の表1に示されるように、電気穿孔プロセスP1の力価は4日目で34.5μg/mLであり、電気穿孔プロセスP2の力価は4日目で24.7μg/mLであり、電気穿孔プロセスP3の力価は4日目で27.2μg/mLであり、電気穿孔プロセスP4の力価は4日目で22μg/mLである。したがって、図4に示されるように、α-CTLA4/TxM-Bタンパク質が形質移入されるCHO-S細胞の濃度は、電気穿孔プロセスP1、P2、P3、P4と関連する電場が低下するとき、低下する。したがって、形質移入効率は、電場Eが低下するにつれて低下し得る。
【0031】
しかしながら、形質移入効率は、流体にわたる有効電場が十分であることを保証することにより、電気穿孔プロセス全体を通して所望のレベルに維持し得る。例えば、図1を参照すると、制御回路108は、電流センサ114を用いて電極102、104を通る誘導電流Ichipをモニタし得る。そのような例において、制御回路108は電流Ichipをモニタしてピーク電流値を検出し得る。有効電場Eの低下を示す電流Ichipの低下が検出される場合(例えば電流Ichipがピーク電流値に達し、それから低下する場合)、制御回路108はDC電源106を制御して、電流Ichipを上げ、ピーク電流値、ピーク電流値未満の所望の値等の定義された値に維持する。したがって、この特定の例において、制御回路108は、DC電源106によって提供される電流の低下の検出に応答してDC電源106を制御し、電流Ichipを定義された値に維持する(例えば補償プロセスを開始する)。
【0032】
他の例において、制御回路108は、電圧センサ116を用いて電極102、104にわたる電圧Vchipをモニタし、電圧Vchipが定義された電圧閾値以上であることに応答して、DC電源106を制御し、電流Ichipを定義された値に維持し得る。例えば、先に説明したように、電圧Vchipは、有効電場Eの低下が生じると増大し始め得る。そのような例において、制御回路108は、電圧を定義された電圧閾値と比較することにより、電圧Vchipが増大し始めるときを検出し得る。電圧Vchipが定義された電圧閾値に達するか、又は超えたことに応答して、本明細書において説明したように、制御回路108はDC電源106を制御して、電流Ichipを定義された値に維持し得る。
【0033】
誘導電流Ichipは、電流の損失を能動的に補償することによって維持し得る。例えば、電流Ichipは、DC電源106によって提供される電圧Vps及び/又は誘導電流Ichipを調整することによって維持し得る。電圧Vps及び/又は電流Ichipは、電気穿孔プロセス中、1回又は複数回調整し得る(例えばランダムに又は検知されたパラメータに基づいて周期的に等)。幾つかの例において、電圧Vps及び/又は電流Ichipは固定された定値に調整し得る。他の例において、電圧Vps及び/又は電流Ichipは、所望の正/負の傾き、数式(例えば多項式関数)等に従って調整し得る。例えば、DC電源106は、異なる(例えばより高い)電流を提供して電流低下を補償するように制御し得る。他の例において、DC電源106は、電流低下を補償するように異なる電圧を提供するよう制御し得る。そのような例において、DC電源106によって提供される電圧は変更し得る。例えば、制御回路108は、電圧をピーク電圧値まで増大させるため、電圧を異なる設定値に調整するため等でDC電源106を制御し得る。
【0034】
例えば、チップに供給されるチップ電圧Vchipを所与として、図1のチップを通って流れる誘導電流Ichipは、総チップ抵抗Rchipの関数である。そのような例において、以下の式(1)はこの関係を表す。先に説明したように、抵抗Rchipは、以下の式(2)に示されるように、DC電源106によって提供される電気パルス数の関数として増大し得る。抵抗Rchipが増大した結果として、電流Ichipは経時低下する。
式(1) Vchip=Ichip・Rchip
式(2) Rchip=R(パルス数)
【0035】
DC電源106は、低下している電流Ichipを補償するように、定義されたパラメータに基づいて制御し得る。例えば、制御回路108が電流Ichipの低下を検出する場合、制御回路108はDC電源106を制御して、以下の式(3)に示されるように、ピーク電流Ipeak等の定義された値に電流Ichipを維持し得る。そのような例において、DC電源106がピーク値の電流Ichipを提供することが望ましい場合、式(3)は以下の式(4)に変更することができる。電流Ichipがピーク値(例えば定数)に維持される場合、電圧は、抵抗が増大するにつれて増大する必要がある。幾つかの例において、制御回路108は、電気パルスの電圧をピーク電圧値Vpeak又は別の適した値に増大させるようにDC電源106を制御し得る。
式(3) Vpeak=Ipeak・R0
式(4) Vpeak/R0=Ipeak=V(パルス数)/R(パルス数)
【0036】
したがって、電流Ichipをピーク定数値に維持するために、DC電源106によって提供される調整電圧Vpsは、以下の式(5)に示されるように、電気パルス数及び定義された電流レベル(例えばピーク電流値)の関数として変化する抵抗に基づいて設定値Vsetに増大させ得る。
式(5) Vset=Ipeak・R(パルス数)
【0037】
図5は、経時変化する図1の誘導電流Ichipを示すグラフ500を示す。例えば、グラフ500は5つの段階に分けられる:(1)電気穿孔プロセスの開始、(2)流体が電極102と104との間を流れる、(3)低下、(4)電流補償、及び(5)電気穿孔プロセスの完了。図5に示されるように、電流Ichipは、流体が電極102と104との間を流れるとき、ピーク値に増大する。制御回路108が電流Ichipの低下を検出した場合(低下段階の開始時に)、DC電源106によって提供される電圧Vpsは設定値Vsetに増大する。その結果として、図5に示されるように、電流Ichipは、補償段階中、電気穿孔プロセスが終わるまで、ピーク値(又は別の適した定義された値)まで増大して維持される。先に説明したように、電圧Vpsが増大しない場合、電流Ichipは低下する。
【0038】
補償を開始するには、誘導電流Ichipが閾値を超える必要があり得る。例えば、図5に示されるように、制御回路108がDC電源106を制御して電流チップを増大させるには、誘導電流Ichipが補償閾値を超える必要があり得る。これは、流体がチャンバに入る際のノイズに起因して、制御回路108が、誘導電流Ichipがピークに達したときに補償段階を時期尚早に開始しないようにし得る。
【0039】
幾つかの例において、電流Ichipは、応答的補償技法に基づいて定義された値(例えばピーク電流値)まで増大且つ/又は維持し得る。そのような例において、図1の制御回路108は、抵抗Rchipの増大を特定し、次いで電極102と104との間の抵抗の特定された増大に基づいて誘導電流Ichipを増大且つ/又は維持するようにDC電源106を制御し得る。抵抗変化を特定し、抵抗変化に基づいてDC電源106を制御するこのプロセスは、所望のように繰り返し得る。例えば、電流Ichipをピーク電流値に維持することが望ましい場合、ピーク電流値は、以下の式(6)に示されるように、システム電圧Vsys及びシステム抵抗Rsys(例えば抵抗Rchip及び任意の寄生抵抗)に基づいて決定し得る。そのような例において、抵抗Rsysが低下に起因して増大する場合(先に説明したように)、電圧Vsysは増大し、電流Ichipはピーク電流値のままである。抵抗Rsysは、以下の式(7)に示されるように、電圧及び電流の測定値に基づいて特定し得る。
式(6) Vsys=Ipeak・Rsys
式(7) Rsys=Vmeas/Imeas
【0040】
先に説明したように、DC電源106は、電流Ichipをピーク電流値に維持するように制御される。例えば、電圧Vsysは、電流Ichipを維持するように変更し得る。そのような例において、新しいシステム電圧Vsys,newは、先の式(6)及び(7)を使用する場合、以下の式(8)に示されるように変化する抵抗に基づいて決定し得る。電圧Vsysは、抵抗Rsysが経時変化し続けるにつれて、複数回変化し得る(例えばVsys,new1、Vsys,new2等)。
式(8) Vsys,new=Ipeak・(Vmeas/Imeas)
【0041】
幾つかの例において、制御回路108が電流補償段階を開始する前、図5に示されるように、電流Ichipは減少傾向を有し得る。そのような例において、以下の式(9)に示されるように、予測された電圧及び電流を第1の補償値に使用し得る(電圧及び電流の測定値の代わりに)。
式(9) Vsys,new=Ipeak・(Vprojected/Iprojected)
【0042】
さらに、システムの運動学を考慮に入れるために、フィードバック利得係数を導入し得る。例えば、新しい電圧の値Vsys,newと電圧の前の値Vsys,previousとの間の電圧差ΔVは、以下の式(10)を用いて特定し得る。そのような例において、DC電源106は、以下の式(11)に示されるように、電圧差ΔV及びフィードバック利得係数Gに基づいて設定電圧Vsys,setを提供するように制御し得る。フィードバック利得係数Gは、固定値であってもよく、又は前の補償結果から機械学習された(オンライン計算、オフラインデータベース等に基づいて)値等の変数値であってもよい。
式(10) ΔV=Vsys,new-Vsys,previous
式(11) Vsys,set=G・ΔV
【0043】
他の例において、誘導電流Ichipは、予測補償技法に基づいて定義された値(例えばピーク電流値)まで増大且つ/又はそこに維持し得る。そのような例において、図1の制御回路108は、電極102と104との間の抵抗の将来の値Rchipを予測し、次いで抵抗の予測値に基づいて定義された値(例えばピーク電流値)に増大且つ/又はそこに維持するようにDC電源106を制御し得る。例えば、制御回路108は、電極102と104との間の抵抗Rchip(例えば変化する抵抗の値)を複数回特定し、特定された抵抗間の直線投影を適用して、抵抗の将来の値を予測し得る。更に以下説明するように、直線投影は、例えば、「全データ」直線統計又は「移動窓」直線投影に基づいて適用し得る。
【0044】
例えば、図6は、チップ抵抗Rchipの測定値(線602)及び「全データ」直線投影に基づいて適用される直線投影(線604)を含むグラフ600を示す。この例において、チップ抵抗Rchipは、全低下期間を通してDC電源106によって提供された電気パルス数の関数として線形増大すると仮定される。この特定の例において、制御回路108は、2つの連続パルスで電流低下を検出した後、ピーク電流値を決定する。ピーク電流において、チップ抵抗Rchipの値が特定される(線602の点606において)。例えば、ピーク電流におけるチップ抵抗Rchipの値は、先に説明したように、電流及び電圧の測定値に基づいて決定し得る。このピーク電流値は、低下中に増大し始める前のチップ抵抗Rchipの最小値に対応する。ピーク電流(及び最小抵抗)において、パルス点値Pは0に等しく設定される。電流低下の2つの連続パルス後、チップ抵抗Rchipの値が再び特定される(線602の点608における)。この電流において、パルス点値Pはnに等しく設定される。
【0045】
次に、直線投影(破線604)が、点606におけるパルス点値P=0(ピーク電流)から点608におけるパルス点値P=n(最新パルス点)に適用し得る(例えば線形適合)。この直線投影を使用して、電極劣化に起因した次のパルス(例えばパルス点値P=n+1)における抵抗の将来値(R_n+1)を予測し得る。これは、直線投影線604上の点610として示されている。抵抗(R_n+1)が予測された後、電源106は、以下の式(12)に示されるように、予測抵抗値及び電流Ichipの定義された値(例えばピーク電流値)に基づいて新しい電圧Vsys,newを提供するように制御し得る。
式(12) Vsys,new=Ipeak・R_n+1
【0046】
「全データ」直線投影プロセスは、所望のように繰り返されて(例えば電気穿孔プロセスの終わりまで)、次のパルスにおける抵抗(R_n+2、R_n+3)を予測し、電流Ichipを定義された値に維持するために必要な電圧を決定し得る。例えば、図7は、将来のパルスにおける抵抗値を予測するために適用される複数の直線投影(例えば破線702a~n)を示すグラフ700を示す。図6及び図7に示される「全データ」直線投影を使用することにより、適用される直線投影、ひいては抵抗の予測値は、抵抗値を特定する際に受けるノイズに起因した電圧変化の不規則性を受けにくいことができる。しかしながら、「全データ」直線投影法の使用は、チップ抵抗Rchipが非線形的に変化する(例えば非線形低下)場合、正確な予測を提供しないことがある。
【0047】
図8は、チップ抵抗の測定値Rchip(線802)及び「移動窓」直線投影に基づいて適用される直線投影(線804)を含むグラフ800を示す。この例において、チップ抵抗Rchipは局所間隔で線形増大(例えば区分的線形増大)すると仮定される。「移動窓投影法において、図1の制御回路108は、2つの連続パルスで電流低下を検出した後、ピーク電流値を決定する。ピーク電流において、チップ抵抗Rchipの値が特定される(例えば測定等される)。線802上のこの抵抗値は点806として識別される。ピーク電流において、パルス点値Pは0に等しく設定される。チップ抵抗Rchipの値は、初期抵抗値後(例えばP=0の後)、1回又は複数回特定される。図8の特定の例において、制御回路108は、線802の点808(パルス点値P=n-1に対応する)におけるチップ抵抗Rchipの値及び線802の点810(パルス点値P=nに対応する)におけるチップ抵抗Rchipの値を特定する。他の例において、制御回路108はチップ抵抗のより多数又は少数の値を特定し得る。
【0048】
次に、直線投影(線804)が、パルス点値P=n-mからパルス点値P=n(最新パルス点)に適用し得(例えば線形適合)、mは区分のデータ長(例えば局所間隔にわたる定義された電気パルス数)である。図8の例において、mは3に等しく(例えば点806、808、810)、点810は最新パルス点である。したがって、この特定の例において、直線投影は、図8に示されるように、点806(例えばP=n-m)と点810(例えばP=n)との間で線形適合される。次いでこの直線投影を使用して、次のパルス(例えばパルス点値P=n+1)における抵抗の将来値(R_n+1)を予測し得る。これは、直線投影線804上の点812として示される。抵抗(R_n+1)が予測された後、電源106は、予測抵抗値及び電流Ichipの定義された値(例えばピーク電流値)に基づいて新しい電圧Vsys,newを提供するように制御し得る。
【0049】
「移動窓」直線投影プロセスは、所望のように繰り返されて(例えば電気穿孔プロセスの終わりまで)、次のパルスにおける抵抗を予測し、電流Ichipを定義された値に維持するために必要な電圧を決定し得る。例えば、図9は、将来のパルスにおける抵抗値を予測するために適用される複数の直線投影(例えば破線902a~n)を示すグラフ900を示す。各直線投影の区分のデータ長(m)は同じであってもよく、又は異なってもよい。図8及び図9に示される「移動窓」直線投影を使用することにより、制御回路108は、チップ抵抗Rchipが非線形的に変化する(例えば非線形低下)場合、積極的補償手法で応答し得る。しかしながら、「移動窓」直線投影法の使用は、予測プロセス中、望ましくないノイズを導入し得る。
【0050】
図1の制御回路108は、先に説明した予測補償技法を採用する場合、種々の構成要素及び/又は方法を採用し得る。例えば、「全データ」及び「移動窓」直線投影技法は、フィードバック制御のために線形回帰に基づく。そのような例において、単純な利得係数Gをフィードバック制御と共に採用し得る。
【0051】
他の例において、制御回路108はフィードバック制御に特定のコントローラを含み得る。例えば、制御回路108は、比例積分偏差(PID)コントローラ、比例積分(PI)コントローラ、比例偏差(PD)コントローラ、及び/又は比例(P)コントローラを含み得を含み得る。さらに、システムの運動学を考慮に入れるために、PIDコントローラ、PIコントローラ、PDコントローラ、及び/又はPコントローラの利得係数を導入し得る。フィードバック利得係数は固定値であってもよく、又は変数値であってもよい。
【0052】
幾つかの例において、フィードバック利得係数は、前の補償結果(オンライン計算、オフラインデータベース等に基づく)等から機械学習し得る。例えば、予測補償技法は、形質移入されている同じ細胞株又は同じ用途(例えばタンパク質産生)に、実験で得られた既知のデータ点、過去のデータベース等に基づいて機械学習法を使用し得る。
【0053】
テストにより、「移動窓」直線投影の使用が、低下期間中、他の補償技法よりも良好な補償結果を生成し得ることが示された。例えば、図10は、位置合わせされた時間期間にわたる正規化された電場値を表す線1002、1004、1006、1008を含むグラフ1000を示す。特に、線1002(点線構成を有する)は「移動窓」直線投影が適用される場合の電場を表し、線1004(二点鎖線構成を有する)は「全データ」直線投影が適用される場合の電場を表し、線1006(破線構成を有する)は応答補償技法が適用される場合の電場を表し、線1008(実線構成を有する)は補償技法が適用されない場合の電場を表す。10秒の印の後(例えば正規化電場値がピークに達すると)、低下が始まり、低下が検出された後、「移動窓」直線投影、「全データ」直線投影、及び応答技法の補償が始まる。図10に示されるように、「移動窓」直線投影技法に対応する電場(線1002)は、低下期間中、約1の正規化値に維持され、「全データ」直線投影技法に対応する電場(線1004)は、低下期間中、約0.95の正規化値に維持され、応答補償技法に対応する電場(線1006)は、低下期間中、約0.85の正規化値に維持される。したがって、図10の例において、「移動窓」直線投影技法は、「全データ」直線投影及び応答補償技法よりも良好な形質移入効率を提供する。
【0054】
さらに、「移動窓」直線投影技法を使用した電気穿孔プロセスは、従来の電気穿孔プロセスよりも大きな歩留まりを受け得る。本明細書における実施例3を参照のこと。例えば、図11は、異なる電気穿孔プロセスを使用してCHO-S細胞にα-CTLA4/TxM-B融合タンパク質を形質移入する場合の生物学的性能結果を表す線1102、1104、1106、1108、1110を含むグラフ1100を示す。図11の例において、本明細書に開示されるような「移動窓」直線投影技法が適用される電気穿孔プロセス又は補償のない従来の電気穿孔プロセスを使用して、α-CTLA4/TxM-B融合タンパク質をコードするDNAを含む発現プラスミドをCHO-S細胞に形質移入した。特に、線1102、1104、1106は、補償中、「移動窓」直線投影技法を採用する電気穿孔プロセスと関連し、線1108は補償のないMaxcyte(登録商標)電気穿孔プロセスと関連し、線1100は補償のない従来の電気穿孔プロセスである。
【0055】
示されるように、力価線1102(点線構成を有する)は、1.45kV/cmの電場が10mLの二相性試料に適用された場合、335.3μg/mLに達し、力価線1104(破線構成を有する)は、1.45kV/cmの電場が10mLの試料に適用された場合、306μg/mLに達し、力価線1106(一点鎖線構成を有する)は、1.3kV/cmの電場が10mLの試料に適用された場合、276.9μg/mLに達する。さらに、力価線1108(二点鎖線構成を有する)は、100mL試料で214.2μg/mLに達し、力価線1110(実線構成を有する)は、10mL試料で160.9μg/mLに達する。したがって、形質移入効率は、補償が適用されない場合(例えば線1108、1110)と比較して、「移動窓」直線投影技法に基づく補償が適用される場合(例えば線1102、1104,1106)、はるかに高くなり得る。
【0056】
幾つかの例において、制御回路(例えば図1の制御回路108)は、電極間を流れる流体をモニタし、流体と関連する1つ又は複数のパラメータの検出に応答して、関連するDC電源を制御して、電気パルスを生成且つ/又は電気パルスの生成を停止させ得る。例えば、図12は、カーゴを用いて細胞に形質移入する装置1200を示し、電極1202、1204、1210、1212と、電極1210、1212に結合されたセンサ1206とを含む。電極1202、1204は図1の電極102、104と略同様である。したがって、電極1202、1204は互いから離間され得、間を流れる細胞及びカーゴを含む流体の経路1208を画定し得る。経路1208は蛇行構成又は任意の他の適した構成を有し得る。
【0057】
図12に示されるように、電極1210、1212は電極1202、1204の逆側の経路1208(例えば流体チャネル)の流入口及び流出口に位置決めされる。例えば、図12に示されるように、電極1210(破線で示される)は、電極1202、1204の下側の流入口及び流出口に位置決めされ、電極1212(実線で示される)は電極1202、1204の上側の流入口及び流出口に位置決めされる。電極1210、1212は、電極1202と1204との間の流体経路1208への流体の流入及び流出を検出するために採用し得る。
【0058】
図12の例において、センサ1206は、本明細書で説明されるように、DC電源(図示せず)を制御して、電場低下の補償する制御回路(図示せず)又はその一部と通信し得る。センサ1206は電流センサ又はインピーダンスセンサであり得る。
【0059】
図12の特定の例において、経路1208を通る流体は、電圧が電極1210、1212に印加されるとき、電極1210、1212を取って流れる電流及び/又は電極1210、1212にわたる抵抗を検知することによって検出される。例えば、電極1202と1204との間の経路1208を通って流れる流体は、電極1210、1212を通る電流を変化させ得、且つ/又は電極1210、1212にわたる抵抗を変化させ得る。そのような例において、センサ1206はこの電流及び/又は抵抗の変化を検出し、電気穿孔プロセスが開始された(例えば流体が電極1210と1212との間を流れている)、終了しつつある等を示す信号を制御回路に送信し得る。
【0060】
例えば、図13は、5つの段階での流体フローと、5つの段階にわたる電極1210、1212と関連する検知パラメータ(例えば電流又は抵抗)のグラフとを示す。第1の段階において、流体は電極1210、1212に達しておらず、検知パラメータは初期状態(例えば流体のない定常状態値)のままである。第2の段階において、流体は経路1208の流入口において電極1210、1212を通り、検知パラメータを増大させる。第3の段階において、流体は経路1208の流入口及び流出口において電極1210、1212を通り、検知パラメータを再び増大させる。第4の段階において、流体は、経路1208の流出口において電極1210、1212を通り、検知パラメータを低下させる。第5の段階において、流体は電極1210、1212を通過してしまっており、検知パラメータを再び低下させる(例えば定常状態値に戻る)。したがって、制御回路は、パラメータの増大(例えば流体が段階2~4に存在する場合)に基づいて電気パルスを生成し、定常状態パラメータ(例えば段階5において)に基づいて電気パルスの生成を停止するようにDC電源を制御し得る。さらに、流体が存在するときに関連して電場が低下し始めるときが既知である場合、制御回路は、チャンバに流体が充填されたとき(例えば段階3)、電場低下を補償するようにDC電源を制御し始め得る。これにより、制御回路は、例えばDC電源によって提供される電流の低下検出に基づく他の技法と比較して、早期の時点で補償プロセスを開始することができる。
【0061】
図14は、電極間を流れる流体をモニタし、流体と関連する1つ又は複数のパラメータの検出に応答して、電気パルスを生成且つ/又は電気パルスの生成を停止するように関連するDC電源を制御し得る別の装置1400を示す。例えば、図14に示されるように、装置1400は、流体経路1420、1422、1424、流体経路1422における逆止め弁1426、経路1420、1422、1424と流通するセンサ1406a~d、及び経路1208を画定する図12の電極1202、1204を含む。示されるように、流体経路1208(電極1202と1204との間)は、流体経路1420と1424との間に結合され、流体経路1422(例えば側方経路)は流体経路1420から延びる。図13の例において、センサ1406a~dは、本明細書で説明されたように、電場低下を補償するようにDC電源(図示せず)を制御する制御回路又はその一部と通信し得る。
【0062】
電気穿孔プロセスが開始されると、流体は、破線矢印で示されるように、経路1208、1420、1422、1424を通って流れ始める。特に、流体は経路1420(例えば流入経路)を通って流れ、経路1208に入り、経路1424(例えば流出経路)から出る。そのような例において、一方又は両方のセンサ1406a~bは、経路1208(例えばチップ)に流入する流体を検知し、信号を制御回路に送信し得る。これにより、制御回路は、電気穿孔プロセスが開始されたことを示す流体の存在を検出することができる。したがって、制御回路は、流体の存在に基づいて、DC電源を制御して電気パルスを生成し得る。制御回路は次いで、センサ1406a~cのいずれか1つが流体の存在を検出したことに応答して、電場の低下を補償するようなDC電源の制御を開始し得る。これは、例えばDC電源によって提供される電流の低下検出に基づく他の技法と比較して、早期の時点で補償プロセスを開始し得る。
【0063】
さらに、制御回路は、流体と関連するパラメータに基づいて電気穿孔プロセスを停止し得る。例えば、センサ1406cは、流体が経路1208(例えばチップ)を通過し終えており、電気穿孔プロセスが終了したことを示す流体の低下及び/又は流体の不在を検知し得る。そのような例において、センサ1406cは信号を制御回路に送信し得、制御回路は、電気パルスの生成を停止(例えば電気穿孔プロセスを停止)するようにDC電源を制御し得、且つ/又はオフにするように流体ポンプを制御し得る。
【0064】
幾つかの例において、逆止め弁1426は、経路1208、1420、1424の1つでの流体の詰まりを検知する閉塞検出器として機能し得る。例えば、流体の詰まりが存在する場合、圧力が逆止め弁1426の内側に蓄積し得る。圧力が逆止め弁1426の定義された作動閾値(例えば20~40psi)を超える場合、逆止め弁1426は開かれて、流体が経路1422を通り、弁1426の外側に位置決めされたセンサ1406dを超えて流れさせ得る。そのような例において、センサ1406dは流体を検出し(経路1208、1420、1424の1つにおける詰まりを示す)、信号を制御回路に送信して、電気パルスの生成及び/又は流体ポンプを停止させる。他の例において、逆止め弁1426は、弁1426の状態(例えば開又は閉)に基づいて制御回路に信号を送信して、詰まりが存在するか否かを示し得る。そのような例において、センサ1406dは採用されなくてよい。
【0065】
センサ1406a~dは任意の適したセンサであり得る。例えば、センサ1406a~dのいずれか1つは、超音波センサ、光センサ(例えば赤外線センサ)等であり得る。そのような例において、流体は、流体、流体を通る移動を反映した波及び/又は光によって検出し得る。光センサは、可視光又は非可視光を提供且つ/又は検出し得る。幾つかの例において、LED、レーザ、赤外線光等の1つ又は複数の光源は、センサ1406a~dと併せて採用されてもよく、且つ/又はセンサ1406a~dの一部であってもよい。さらに、図13の特定の例において、4つのセンサ1406a~dは電極1202、1204の外部に位置決めされる。他の例において、所望であれば、センサ1406a~dのいずれか1つは経路1208に沿って(例えば電極1202と1204との間)位置決めし得る。さらに、幾つかの例において、1つのみのセンサ(例えばセンサ1406a、センサ1406b等)を利用してもよく、4つよりも多くのセンサを利用してもよい等である。
【0066】
本明細書に開示される電極は、任意の適したタイプの導電性電極であり得る。例えば、電極102、104、1202、1204、1210、1212のいずれか1つは、細胞及びカーゴを含む流体を通過させる多孔性を有するメッシュ板、固体板等を含み得る。
【0067】
さらに、本明細書に開示される電源及び制御回路は種々の適した構成要素を含み得る。例えば、図15は、DC電源106と、図1の制御回路108とを含む装置1500を示す。図15の例において、DC電源106は電力変換器1502及びパルス回路1504を含む。電力変換器1502は、任意の適した変換器トポロジを有するDC-DC電力変換回路及び/又はAC-DC電力変換回路を含み得る。例えば、電力変換器1502はDC又はAC電力を受け取り、調整DC電圧をパルス回路1504に出力し得る。幾つかの例において、電源106はAC-DC整流器と、AC-DC整流器に結合されたDC-DCバック、ブースト等の変換回路とを含み得る。
【0068】
図15のパルス回路1504は調整DC電圧を電力変換器1502から受け取り、DC電圧をDC電気パルスに変換する。本明細書に説明したように、電気パルスは次いで電極(例えば図1の電極102、104、図12の電極1202、1204等)に提供される。例えば、パルス回路1504は、電力変換器1502からのDC電圧を解釈して電気パルスを作成する1つ又は複数のスイッチングデバイスを含み得る。
【0069】
図15の例において、制御回路108はコントローラ1506と、コントローラ1506に結合されたパルス生成器1508とを含む。示されるように、コントローラ1506は、電力変換器1502の出力パラメータ(例えば出力電圧)を表すフィードバック信号を受信し、フィードバック信号に基づいて電力変換器1502内の1つ又は複数のスイッチングデバイスを制御するための1つ又は複数の制御信号を電力変換器1502に提供する。幾つかの例において、コントローラ1506は、図1の電圧センサ116によって検知された電圧Vchip及び/又は図1の電流センサ114によって検知された誘導電流Ichipに基づいて電力変換器のスイッチングデバイスを制御して、異なる設定値における電力変換器の出力電圧を調整する。したがって、コントローラ1506は電気パルスの振幅を制御し得る。そのような例において、コントローラ1506は、本明細書に説明したように、電場低下を補償するように電力変換器1502の出力を制御し得る。
【0070】
コントローラ1506は、信号をパルス生成器1508に提供し、パルス生成器1508は、コントローラ1506から受信した信号に基づいて電気パルスを生成するようにスイッチデバイスを制御するための1つ又は複数の制御信号をパルス回路1504に提供する。幾つかの例において、パルス生成器1508は、コントローラ1506から受信した信号に基づいて電気パルスの周波数、パルス幅、デューティサイクル等を調整し得る。
【実施例
【0071】
実施例1(図2及び図3
細胞調製:実験前、Gibco(商標)CHO-S(商標)細胞(ThermoFisher Cat.A11557-01)をCD-CHO培地(ThermoFisher Cat.10743029)+8mMのL-グルタミンで増殖させた。CHO-S細胞を培養し、2e6細胞/mL未満の濃度で採取した。実験の0日目、37℃で5%の自家製ナトリウム系電気穿孔バッファーが存在し、実験の1日目、1mMの酪酸ナトリウムが添加され、5%の自家製ナトリウム系電気穿孔バッファーを32℃にした。実験の4日目及び8日目に自家製ナトリウム系電気穿孔バッファーを供給した。電気穿孔プロセス中、生存力及びVCD(生細胞密度)は同様の傾向線を辿る。
【0072】
細胞を採取し、自家製ナトリウム系電気穿孔バッファー(ナトリウム濃度8mM/L、導電率=10~14mS/cm、モル浸透圧濃度=265~300mOSM/L、pH7.2~7.4)で洗浄し、細胞密度100e6細胞/mLで自家製ナトリウム系バッファーに再懸濁させた。自家製ナトリウム系電気穿孔バッファーの以下の表2に示す。
【0073】
【表2】
【0074】
α-CTLA-4/TxM-B融合タンパク質(N-844-2)DNA調製:N-844-2は、抗CTLA-4scFvがIL-15RαSu部分に付着した抗CTLA-4/TxM分子である。抗CTLA-4scFv/IL-15RαSu分子の調製及び開示は、国際公開第2018/075989号パンフレットに開示されており、これは全体的に、参照により本明細書に援用される。N-844-2のDNA配列を哺乳類発現プラスミドに移植した。次いで、Endo Free DNA Gigaキット(Qiagenカタログ番号12391)を使用して、N-844-2配列を含むDNAプラスミドをミリグラム量で調製した。α-CTLA4/TxM-B融合タンパク質をコードするDNAを含む発現プラスミドを水中に希釈し、電気穿孔プロセスの直前、細胞懸濁液と混合した。
【0075】
電気穿孔:細胞及びDNA混合懸濁液を50mLのfalconチューブに入れ、蠕動ポンプ及び管類を用いて電気穿孔チップに圧送した。パルス波形は40Vであり、パルス幅は450μsであり、パルス間隔は2.7秒であり、流量は2mL/分であった。各パルス(p)の関数として実験全体にわたって電圧V(p)及び電流I(p)を記録し、抵抗R(p)をR(p)=V(p)/I(op)として計算した。R0=min(R(p))は、流体が完全に電気穿孔チャンバを充填したときであり、これが図1における初期電極-流体界面抵抗Riとして設定される。有効電場をE=V(p)R0/(R(p)d)として計算し、dは電極対間の距離であった。図2及び図3:V、I、R、Eを次いでパルスpの関数数としてプロットした。
【0076】
実施例2(図4
細胞調製及びα-CTLA-4/TxM-B融合タンパク質(N-844-2)DNA調製は実施例1と同じであった。
【0077】
電気穿孔:細胞及びDNA混合懸濁液を1.5mL管に入れ、蠕動ポンプ及び管類を用いて電気穿孔チップに圧送した。4つの異なる総量の細胞及びDNA混合液をこの実験でテストした:120μL、240μL、400μL、及び600μL。パルス波形は38Vであり、パルス幅は450μsであり、パルス間隔は0.27秒であり、流量は1mL/分であった。各パルス(p)の関数として実験全体にわたって電圧V(p)及び電流I(p)を記録し、抵抗R(p)をR(p)=V(p)/I(op)として計算した。R0=min(R(p))は、流体が完全に電気穿孔チャンバを充填したときであり、これが図1における初期電極-流体界面抵抗Rとして設定された。有効電場をE=V(p)R0/(R(p)d)として計算し、dは電極対間の距離であった。図4:次いでパルスpの関数数として有効電場Eをプロットした。
【0078】
実施例3(図11
細胞調製及びα-CTLA-4/TxM-B融合タンパク質(N-844-2)DNA調製は実施例1と同じであった。
【0079】
電気穿孔:細胞及びDNA混合懸濁液を50mL管に入れ、蠕動ポンプ及び管類を用いて電気穿孔チップに圧送した。上述したように同じ細胞調製を用いた5つの異なる電気穿孔条件を比較した。5つの異なる条件を以下の表3に示す。
【0080】
【表3】
【0081】
図11は、補償法を用いて、タンパク質産生力価結果が改善することを示す。力価は、 N-601(モノクローナルIgG1抗体)を使用して準備した標準曲線と共にOctet Red 96eでのタンパク質Aバイオセンサを使用して測定した。
【0082】
実施形態の上記説明は、例示及び説明を目的として提供されている。網羅的である、即ち本開示の限定は意図していない。特定の実施形態の個々の要素又は特徴は一般に、その特定の実施形態に限定されず、適用可能な場合には相互交換可能であり、特に図示又は説明されていない場合であっても、選択された実施形態において使用することができる。特定の実施形態の個々の要素又は特徴は多くの方法で変更することもできる。そのような変更は本開示からの逸脱として見なされるべきではなく、そのような全ての変更は本開示の範囲内に包含されると意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【手続補正書】
【提出日】2023-01-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーゴを用いて細胞を電気穿孔する装置であって、
互いから離間され、前記細胞及び前記カーゴを含む流体が間を流れるための経路を画定する2つの電極であって、前記電極は、流体が前記経路を通って流れるとき、間に抵抗を有する、2つの電極と、
前記電極にわたって結合されるDC電源と、
前記DC電源を制御して、ある電圧で複数の電気パルスを前記電極に提供し、第一の定義された値において前記電極間に電場を生成する、前記電極を通る電流を誘導し、前記電極間の前記抵抗の増大に起因して前記誘導電流の低下を検出し、ある時間期間にわたる前記電極間の前記抵抗の複数の値を特定し、前記抵抗の前記特定された複数の値に基づいて前記電極間の前記抵抗の将来の値を予測し、前記抵抗の前記将来の値に基づいて前記誘導電流を第二の定義された値へ増大させて、前記電極間の前記電場を前記第一の定義された値に維持するように前記DC電源を制御するように構成された制御回路と、
を備える、装置。
【請求項2】
前記抵抗の前記特定される複数の値は、第1の値及び第2の値を含み、前記制御回路は、少なくとも前記抵抗の前記第1の値と前記抵抗の前記第2の値との間で直線投影を適用し、前記直線投影に基づいて前記電極間の前記抵抗の前記将来の値を予測するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記制御回路は、定義された数の電気パルスのデータ長に基づいて前記直線投影を適用するように構成される、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記制御回路は、前記誘導電流が第二の定義された値であるとき、前記抵抗の前記第1の値を特定するように構成される、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記誘導電流の前記第二の定義された値は、前記誘導電流のピーク値である、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
記誘導電流の前記第2の定義された値は、前記誘導電流のピーク値である、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記制御回路は、前記複数の電気パルスの前記電圧を増大させて前記誘導電流を増大させるように前記DC電源を制御するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記制御回路は、比例積分偏差コントローラ、比例積分コントローラ、比例偏差コントローラ、及び比例コントローラの少なくとも1つを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記比例積分偏差コントローラ、前記比例積分コントローラ、前記比例偏差コントローラ、及び/又は前記比例コントローラの前記少なくとも1つの利得係数は、一定又は可変である、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記制御回路は、前記流体と関連するパラメータを検出し、前記流体と関連するパラメータの検出に応答して、前記複数の電気パルスを生成するように前記DC電源を制御するよう構成される、請求項1~9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記流体と関連する前記パラメータは第1のパラメータであり、前記制御回路は、前記流体と関連する第2のパラメータを検出し、前記流体と関連する前記第2のパラメータの検出に応答して、前記複数の電気パルスの生成を停止するように前記DC電源を制御するよう構成される、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
カーゴを用いて細胞を電気穿孔する装置であって、
互いから離間され、前記細胞及び前記カーゴを含む流体が間を流れるための経路を画定する2つの電極と、
前記電極にわたって結合され、複数の電気パルスを提供して、前記電極間に電場を生成するための前記電極を通る電流を誘導するDC電源と、
流体の存在を含む、前記流体と関連する第1のパラメータを検出し、前記流体と関連する前記第1のパラメータの検出に応答して、前記複数の電気パルスを生成するように前記DC電源を制御し、流体の存在又は不在のいずれかを含む、前記流体と関連する第2のパラメータを検出し、前記流体と関連する前記第2のパラメータの検出に応答して、前記複数の電気パルスの生成を停止するように前記DC電源を制御するよう構成される制御回路と、
を含む、装置。
【請求項13】
前記制御回路に結合された第1のセンサ及び第2のセンサを更に備え、前記第1のセンサは前記経路と流通して、流体の前記存在を検出し、前記第2のセンサは前記経路と流通して、流体の前記不在を検出する、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記第1のセンサ及び/又は前記第2のセンサは、前記流体と関連する電気パラメータを検知するように構成された光センサ又はセンサを含む、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記流体と関連する前記第2のパラメータは、流体の存在を含み、前記装置は、前記経路と流通する弁と、前記経路と流通し、前記弁の外側に位置決めされて、流体の前記存在を検出するセンサとを更に備え、前記制御回路は、前記弁が流体の前記存在を検出したことに応答して、前記複数の電気パルスの生成を停止するように前記DC電源を制御するように構成される、請求項12に記載の装置。
【請求項16】
カーゴを用いて細胞を電気穿孔する装置であって、
互いから離間され、前記細胞及び前記カーゴを含む流体が間を流れるための経路を画定する2つの電極であって、前記電極は、流体が前記経路を通って流れるとき、間に抵抗を有する、2つの電極と、
前記電極にわたって結合されるDC電源と、
前記DC電源を制御して、ある電圧で複数の電気パルスを前記電極に提供し、定義された値において前記電極間に電場を生成するための電流を前記電極を通して誘導し、前記電極間の前記抵抗の増大に起因した前記誘導電流の低下を検出し、前記電極間の前記抵抗の将来の値を予測し、前記抵抗の前記将来の値に基づいて前記誘導電流を増大させて前記電極間の前記電場を前記定義された値に維持するように前記DC電源を制御するよう構成された制御回路と、
を備える、装置。
【請求項17】
前記制御回路は、定義された値まで前記誘導電流を増大させるように前記DC電源を制御するように構成される、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記誘導電流の前記定義された値は、前記誘導電流のピーク値である、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記制御回路は、前記複数の電気パルスの前記電圧を増大させて前記誘導電流を増大させるように前記DC電源を制御するように構成される、請求項16~18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
前記制御回路は、前記電極間の前記抵抗の前記増大を特定し、前記電極間の前記抵抗の前記特定された増大に基づいて前記誘導電流を増大させるように前記DC電源を制御するよう構成される、請求項16~19のいずれか一項に記載の装置。
【請求項21】
前記制御回路は、ある時間期間にわたり前記抵抗の少なくとも2つの値間に直線投影を適用し、前記直線投影に基づいて前記電極間の前記抵抗の前記将来の値を予測するように構成される、請求項19に記載の装置。
【請求項22】
前記制御回路は、定義された数の電気パルスのデータ長に基づいて前記直線投影を適用するように構成される、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記制御回路は、比例積分偏差コントローラ、比例積分コントローラ、比例偏差コントローラ、及び比例コントローラの少なくとも1つを含む、請求項16~22のいずれか一項に記載の装置。
【請求項24】
前記比例積分偏差コントローラ、前記比例積分コントローラ、前記比例偏差コントローラ、及び/又は前記比例コントローラの前記少なくとも1つの利得係数は、一定又は可変である、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記制御回路は、前記流体と関連するパラメータを検出し、前記流体と関連するパラメータの検出に応答して、前記複数の電気パルスを生成するように前記DC電源を制御するよう構成される、請求項16~24のいずれか一項に記載の装置。
【請求項26】
前記流体と関連する前記パラメータは第1のパラメータであり、前記制御回路は、前記流体と関連する第2のパラメータを検出し、前記流体と関連する前記第2のパラメータの検出に応答して、前記複数の電気パルスの生成を停止するように前記DC電源を制御するよう構成される、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
カーゴを用いて細胞を電気穿孔する方法であって、
互いから離間された2つの電極によって画定される経路に前記細胞及び前記カーゴを含む流体を流すことであって、前記電極は、流体が前記経路を流れるとき、間に抵抗を有する、流すことと、
DC電源を制御することであって、それにより、ある電圧で複数の電気パルスを前記電極に提供し、定義された値において前記電極間に電場を生成する、前記電極を通る電流を誘導する、制御することと、
前記電極間の前記抵抗の増大に起因して前記誘導電流の低下を検出することと、
ある時間期間にわたる前記電極間の前記抵抗の複数の値を特定することと、
前記抵抗の前記特定された複数の値に基づいて前記電極間の前記抵抗の将来の値を予測することと、
前記抵抗の前記将来の値に基づいて前記誘導電流を増大させて、前記電極間の前記電場を前記定義された値に維持するように前記DC電源を制御することと、
を含む、方法。
【請求項28】
カーゴを用いて細胞を電気穿孔する方法であって、
互いから離間された2つの電極によって画定される経路に前記細胞及び前記カーゴを含む流体を流すことと、
前記流体と関連する第1のパラメータを検出することと、
前記流体と関連する前記第1のパラメータの検出に応答して、前記電極間に電場を生成するために、複数の電気パルスを生成して前記電極を通る電流を誘導するようにDC電源を制御することと、
前記流体と関連する第2のパラメータを検出することと、
前記流体と関連する前記第2のパラメータの検出に応答して、前記複数の電気パルスの生成を停止するように前記DC電源を制御することと、
を含む、方法。
【請求項29】
カーゴを用いて細胞を電気穿孔する方法であって、
互いから離間された2つの電極によって画定される経路に前記細胞及び前記カーゴを含む流体を流すことであって、前記電極は、流体が前記経路を流れるとき、間に抵抗を有する、流すことと、
DC電源を制御することであって、それにより、ある電圧で複数の電気パルスを前記電極に提供し、定義された値において前記電極間に電場を生成する、前記電極を通る電流を誘導する、制御することと、
前記電極間の前記抵抗の増大に起因して前記誘導電流の低下を検出することと、
前記誘導電流を増大させて前記電極間の前記電場を前記定義された値に維持するように前記DC電源を制御することと、
を含む、方法。
【国際調査報告】