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特表2023-537259スマートカードチップモジュール用の電気回路、スマートカードチップモジュール、およびスマートカードチップモジュールの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-31
(54)【発明の名称】スマートカードチップモジュール用の電気回路、スマートカードチップモジュール、およびスマートカードチップモジュールの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G06K 19/077 20060101AFI20230824BHJP
   H01Q 7/00 20060101ALI20230824BHJP
【FI】
G06K19/077 196
G06K19/077 212
G06K19/077 244
G06K19/077 272
G06K19/077 296
H01Q7/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023504625
(86)(22)【出願日】2020-07-24
(85)【翻訳文提出日】2023-03-16
(86)【国際出願番号】 IB2020000614
(87)【国際公開番号】W WO2022018471
(87)【国際公開日】2022-01-27
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512063092
【氏名又は名称】リンゼンス・ホールディング
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】イェアン-ウェイ・ヤプ
(72)【発明者】
【氏名】ウェン-チアン・チン
(57)【要約】
前主面および後主面(7)を有する絶縁層を含む、スマートカードチップモジュール(2)用の電気回路。アンテナ(8)は、後主面(7)上に存在する第1の導電層内に作られる。このアンテナ(8)は、周縁(10)によって区切られたアンテナ領域にわたって延在する。アンテナ(8)は、少なくとも1つの内側ループおよび1つの外側ループを含む。外側ループは、アンテナ領域の中央ゾーン(15)に向かって、または中央ゾーン(15)内で、周縁(10)からそらされた少なくとも1つの第1の接続セグメント(16)上を除いて、周縁(10)に沿って延びる。さらに、アンテナの外側ループは、周縁(10)からアンテナ領域の中央ゾーンに向かってそらされた少なくとも第2の接続セグメント(18)を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前主面(6)および後主面(7)を有する絶縁層を含み、前記後主面(7)上に存在する導電層内に画定されるアンテナ(8)を有し、前記アンテナ(8)は、周縁(10)によって区切られたアンテナ領域にわたって延在し、前記アンテナ(8)は、少なくとも1つの内側ループおよび1つの外側ループを含み、前記外側ループは、少なくとも1つの第1の接続セグメント(16)および少なくとも1つの第2の接続セグメント(18)上を除いて、前記周縁(10)に沿って延び、前記第1の接続セグメント(16)および前記第2の接続セグメント(18)の両方が、前記アンテナ領域の中央ゾーン(15)に向かって、または中央ゾーン(15)内で、前記周縁(10)からそらされており、
前記第1および第2の接続セグメント(16、18)のそれぞれが、前記アンテナ領域の中心を通過する、前記アンテナ領域に垂直な平面の片側にそれぞれ配置され、
前記アンテナ(8)が、前記平面に関して本質的に対称であることを特徴とする、スマートカードチップモジュール(2)用の電気回路。
【請求項2】
各接続セグメント(16、18)が、接続パッド(13、17)に直接電気的に接続される、請求項1に記載の電気回路。
【請求項3】
前記内側ループが2つの内側部分を含み、前記内側部分のそれぞれが前記アンテナ領域の前記中央ゾーン(15)内に延在し、前記第1および第2の接続セグメント(16、18)の間を通過する、請求項1または2に記載の電気回路。
【請求項4】
前記周縁(10)が一般的な長方形の形状を有し、前記平面が前記長方形の2つの対向する辺(11)の中央を通過し、前記第1および第2の接続セグメント(16、18)は、2つの他の辺(12)のそれぞれの中央にそれぞれ配置される前記周縁(10)のセクションからそれぞれそらされている、請求項1から3のいずれか一項に記載の電気回路。
【請求項5】
前記前主面(6)上に存在する別の導電層に画定されたコンタクトパッド(5)を含み、前記コンタクトパッド(5)の少なくとも1つが前記アンテナ領域に対向する少なくとも1つのカットアウト(21)を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の電気回路。
【請求項6】
前記前主面(6)上に存在する別の導電層に画定されたコンタクトパッド(5)を含み、前記コンタクトパッド(5)の少なくとも1つが前記絶縁層を通過するボンディング孔(20)に接続される、請求項1から5のいずれか一項に記載の電気回路。
【請求項7】
前記ボンディング孔(20)は、前記後主面(7)上で自身を取り囲む導電性リングを有していないことを特徴とする、請求項6に記載の電気回路。
【請求項8】
アンテナループが、チップ(100)がまたがって配置され得る少なくとも2つの支持ゾーンを形成し、前記2つの支持ゾーンが前記接続セグメント(16、18)の間に配置される、請求項1から7のいずれか一項に記載の電気回路。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の電気回路(3)と、前記第1および第2の接続セグメント(16、18)の1つに直接接続された接続パッド(13、17)、および前記内側ループに直接接続された別の接続パッド(14、19)に接続されたチップ(100)とを含む、スマートカード用のチップモジュール。
【請求項10】
請求項9に記載のチップモジュールの製造方法であって、
- 前主面(6)および後主面(7)を有する絶縁層、並びに前記後主面(7)上に存在する導電層内に画定されるアンテナ(8)を設けるステップであって、前記アンテナ(8)は、周縁(10)によって画定されるアンテナ領域にわたって延在し、前記アンテナ(8)は、少なくとも1つの内側ループおよび1つの外側ループを含み、前記外側ループは、少なくとも1つの第1の接続セグメント(16)および少なくとも1つの第2の接続セグメント(18)上を除いて前記周縁(10)に沿って延び、前記第1の接続セグメント(16)および前記第2の接続セグメント(18)の両方が、前記アンテナ領域の中央ゾーン(15)に向かって、または中央ゾーン(15)内で、前記周縁(10)からそらされる、ステップを含み、
前記第1および第2の接続セグメント(16、18)のそれぞれが、前記アンテナ領域の中心を通過する、前記アンテナ領域に垂直な平面の片側にそれぞれ配置され、前記アンテナ(8)が前記平面に関して本質的に対称であり、
前記チップ(100)を前記アンテナ(8)に接続するステップをさらに含み、前記チップの仕様に応じて、前記チップ(100)が、前記第1の接続セグメント(16)に直接接続される接続パッド、または前記第2の接続セグメント(18)に直接接続される別の接続パッドのどちらかに接続されることを特徴とする、チップモジュールの製造方法。
【請求項11】
前記チップの仕様に応じて、前記チップ(100)が、前記内側ループに直接接続された接続パッド(14、19)、または前記内側ループに直接接続された別の接続パッドのどちらかに接続され、前記接続パッドと前記別の接続パッドとの間での選択が、アンテナの2つの異なる長さを定義する、請求項10に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スマートカードの分野、より詳細には、スマートカード用の電子モジュールの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートカードには、クレジットカード、携帯電話用のSIMカード、トランスポートカード、身分証明書など多様な用途がある。
【0003】
スマートカードは通常、カードの本体を形成する、例えばプラスチック製の、剛性のあるキャリアまたは支持体で構成され、そのキャビティ内に、チップモジュールとも呼ばれる個別に製造された電子モジュールが収容される。このチップモジュールは、例えば、電子チップ(集積回路)を有するフレキシブル電気回路と、チップに記録されたデータを読み取りおよび/または書き込むためのデバイスにチップを接続する手段とを含む。
【0004】
本発明は、特に、いわゆる「デュアル」カード、すなわち、チップとの二重通信インターフェースを有するカードの分野に関する。言い換えれば、これらのカードはコンタクトの有無にかかわらず通信を可能にする。これらは「コンビ」カードとも呼ばれる。
【0005】
「コンタクトあり」で使用する場合、カードがこのデバイスに挿入されたときに、カード表面と同じ高さになり、読み取りおよび/または書き込みデバイスへの電気的接続を可能にするように、コンタクトはチップに接続され、モジュールの片側に配置される。
【0006】
「コンタクトレス」で使用する場合のデュアルカードには2つのタイプがある。
【0007】
カードの第1のタイプによると、カード本体に配置された(すなわち、組み込まれた、埋め込まれた等の)アンテナは、チップに電気的に接続される。この場合、チップは、読み取り/書き込みデバイスとモジュールコンタクトとの間に直接的な電気的接続を行うか、アンテナと読み取り/書き込みデバイスとの間に(例えば、近距離無線通信-NFC-技術を使用して)直接的な電磁通信を行うことによって、読み取り/書き込みデバイスとデータを交換することができる。
【0008】
カードの第2のタイプによると、「モジュールアンテナ」として知られる第1のアンテナは、上記の剛性のあるカード本体に埋め込まれた、「ブースターまたはマスターアンテナ」として知られる、第2のアンテナとの誘導結合(したがって、電気的接続なし)によって、モジュールに組み込まれ、電磁結合を可能にする。第1のアンテナは第2のアンテナよりも小さい。第2のアンテナは、モジュールよりもカード本体の広い領域を覆い得る。これは、より大きな通信距離の範囲を提供する。また、この場合、チップは、読み取り/書き込みデバイスとモジュールコンタクトとの間に直接的な電気的接続を行うか、一方はモジュールアンテナとブースターアンテナとの間、もう一方はブースターアンテナと読み取り/書き込みデバイスとの間で電磁通信を行うことにより、読み取り/書き込みデバイスとデータを交換することができる。したがって、モジュールアンテナは、ブースターアンテナを介してコンタクトレスの読み取りおよび/または書き込みデバイスと(共鳴効果で)通信する。したがって、このデュアルカードの第2のタイプにおける唯一の物理的な接続は、チップとコンタクトとの間、およびチップとモジュールアンテナとの間のモジュールレベルにある。これらの接続はすべてモジュール上で行われる。これにより、カード本体に組み込まれたアンテナとモジュールに組み込まれたチップとの間の物理的な相互接続を行う必要がなくなる。
【0009】
例えば、特許出願WO2014016332A1、US2019392283A1、US2015186769A1は、コンタクトを支持する前面と、チップおよびモジュールアンテナを支持する後面とを有する絶縁層を含むフレキシブル電気回路を含むモジュールを記載している。次に、孔(「ビア」とも呼ばれる)が絶縁層を貫通して作製され得、これらの孔の内側表面は、モジュールの前面および後面を電気的に接続するために金属化されている。チップは、ワイヤボンディングまたはフリップチップ技術で、コンタクトおよびモジュールアンテナに接続される。
【0010】
カードへのモジュールの組み込みを容易にするために、アンテナは、ISO7816-2規格で定義された寸法を有するモジュールに含まれる必要がある。これらの寸法内で、モジュールの後面に、チップを配置するための領域、孔のための領域、チップをコンタクトおよびアンテナに接続するための接続パッドまたはボンディングパッドを有する領域が設けられる必要がある。加えて、アンテナループは、所望の共振周波数を達成するための電磁特性を得るために、一定の幅でループ間の最小距離で、十分な数が作られる必要がある。例えば、ループの数が多いほど、インダクタンスは高くなる。
【0011】
本発明は、アンテナ特性をチップの仕様に適合させるためのより高い柔軟性を提供することを目的とする。本発明は、あるいは、より高いインダクタンスを有するモジュールアンテナを提供することも目的とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】国際公開第2014/016332号
【特許文献2】米国特許出願公開第2019/392283号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2015/186769号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
解決策によれば、請求項1に記載の電気回路が開示される。
【0014】
実際、周縁から少なくとも2つのセグメントをそらすことで、より長いアンテナを提供する。さらに、アンテナの対称性は、アンテナによって検出または生成される表面電流および磁場を改善する。
【0015】
開示された電気回路はまた、任意選択で、請求項2から8のいずれか一項の特徴の1つおよび/または他の特徴を含み得る。
【0016】
本開示は、請求項9に記載のチップモジュール、並びに請求項10または11に記載のチップモジュールの製造方法にも関する。
【0017】
本発明の他の特徴、目的、および利点は、以下の詳細な説明を読むこと、および非限定的な例として与えられた添付の図面から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】チップモジュールを収容するスマートカードの一例を斜視図で概略的に示す。
図2図1に示されるようなスマートカード用のチップモジュールの一例の前面の立面図である。
図3図2に示されるチップモジュールの例の後面の立面図である。
図4】チップを接続するための様々な解決策の概略図である。
図5図2に示されるチップモジュールの例の変形例の前面の立面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
電気回路の実施形態の例を以下に説明する。
【0020】
モジュール2を含むコンタクトおよびコンタクトレススマートカード1を図1に示す。モジュール2は、特に、電気回路3およびチップ100(図1では見えない)を含む。モジュール2は、カード1の本体に削り込まれたリセスに挿入される個別のコンポーネントとして製造される。ブースターアンテナ(図示せず)は、既知の方法でカード1の本体に組み込まれる。
【0021】
電気回路3の前側6(すなわちコンタクト側)が図2に示されている。電気回路3の後側7(ボンディング側)が図3に示されている。図2、3、および4に示される電気回路3は両面プリント回路基板であり、前面6にコンタクト5を有し、後面7にアンテナ8を有する。コンタクト5は、絶縁層(例えば、エポキシガラス、紙、PET、PEN、またはポリイミド)の前面6上に存在する第1の導電層(例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金層)に作製される。アンテナ8および接続パッド9は、絶縁層の後面7上に存在する第2の導電層(例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金層)に作製される。第1および/または第2の導電層は、ニッケル、金、パラジウム、または銀の少なくとも1つの金属でめっきされ得る。
【0022】
実際には、電気回路3の一部分のみが図に示されている。この部分は、モジュール2を作製するために必要とされる電気回路3の一部分に本質的に対応する。例えば、本発明によるプロセスの連続的(すなわち、「リール・ツー・リール」または「ロール・ツー・ロール」)な実施のために、いくつかの同様の部分が同じフレキシブル基板によって支持され得る。モジュール2は、周縁10によって電気回路3上に画定される。モジュール2に対応する電気回路3の一部分の周縁10は、2つの隣接する辺11、12の間に丸みを帯びた角を有する長方形の形状を有する。周縁10は、長方形の2つの最短辺に対応する2つの短辺11と、長方形の2つの最長辺に対応する2つの長辺12とを含む。
【0023】
電気回路3は、チップ100が接続されるいくつかのコンタクト5を有する(図4参照)。例えば、電気回路3の各モジュール2は、6つのコンタクト5を含む。このコンタクトの1つはL字型であり、他のコンタクト5の2つの列の間に延在する。
【0024】
例えば、アンテナ8は10から13程度のループを有する。ループは、例えば40から100マイクロメートルの幅を有する。ループ間のギャップは、例えば25から100マイクロメートルの幅である。アンテナ8は、開始接続パッド13と最終接続パッド14との間に延在する。最終接続パッドは、アンテナ8の内側ループに直接接続される(「直接」とは、アンテナトレースと最終接続パッド14との間にアンテナまたは他の接続部分がないこと、すなわち、接続パッド14の片側がアンテナトレースに対応することを意味する)。開始接続パッド13は、チップ100が取り付けられるアンテナ8の中央ゾーンの近くまたは中に配置される。この文書中では、中央ゾーン15は、U字型の内側部分以外のアンテナの内側ループによって区切られるモジュール2の領域として定義される(図3の点線を参照)。開始接続パッド13は、チップ100をアンテナ8に電気的に接続するワイヤの長さを減少させるように、モジュールの中心点から十分に近い。開始接続パッド13から、アンテナ8は、最長辺12に本質的に垂直に延在する第1の接続セグメント16を形成する。第1の接続セグメント16は、中央ゾーン15において、アンテナ8の外側ループを最長辺12の1つからそらす。
【0025】
アンテナ8はまた、2つの最短辺11とそれらの中央で接合し交差する中線ML1に関して開始接続パッド13と本質的に対称である中間接続パッド17を有する。この中線ML1はまた、アンテナが存在する平面と、後者に垂直な平面との間の交点に対応する(「後者」はアンテナ平面に対応する)。
【0026】
中間接続パッド17は、アンテナ8の中央ゾーン15に配置される。中間接続パッド17は、チップ100をアンテナ8に電気的に接続するワイヤの長さを減少させるように、モジュール2の中心点から十分に近い。中間接続パッド17から、アンテナ8は、最長辺12に本質的に垂直に延在する2つの第2の接続セグメント18を形成する。第2の接続セグメント18は、中央ゾーン15において、アンテナ8の外側ループを最長辺12の1つからそらす。第1および第2の接続セグメント16、18は、互いに平行に延在する。第1および第2の接続セグメントは、それぞれ、接続パッド13、17に直接電気的に接続される(「直接」とは、アンテナトレースと接続パッド13または17との間にアンテナまたは他の接続部分がないこと、すなわち、接続パッド13または17の片側がアンテナトレースに対応することを意味する)。
【0027】
アンテナ8は、周縁10のそれぞれの辺11、12に本質的に平行な直線部分、周縁10の角にある湾曲部分、および最長辺12の本質的に中央にあるU字型の内側部分を有するループを含む。これらのU字型の内側部分は、開始および中間接続パッド13、17を迂回している。U字型の内側部分は、L字型のコンタクトによって前面6上で覆われた領域にわたって後面7上に延在する(図4を参照)。ループの一般的な形状は、2つの最短辺11とそれらの中央で接合し交差する中線ML1に関して、並びに2つの最長辺12とそれらの中央で接合し交差する別の中線ML2に関して本質的に対称である。内側接続パッド19は、アンテナの内側ループに直接電気的に接続され、必ずしも同じ対称性に従うとは限らない(「直接」とは、アンテナトレースと考慮される接続パッド19との間にアンテナまたは他の接続部分がないこと、すなわち、考慮される接続パッド19の片側がアンテナトレースに対応することを意味する)。それらのそれぞれの位置はむしろ、モジュール2の中心に関して対称的である。モジュールの中心は、2つの最短辺11および2つの最長辺12とそれらの中央でそれぞれ接合し交差する中線ML1、ML2の交点に対応する。
【0028】
アンテナ8の対称性は、アンテナ8によって検出または生成される表面電流および磁場を改善する。
【0029】
アンテナループは、チップ100がまたがって配置され得る2つの支持ゾーンを形成し、これら2つの支持ゾーンは、接続セグメント16、18の間に配置される。すなわち、U字型の内側部分は中央領域15に延在して少なくとも1.5×1.5平方ミリメートルのコプレーナ構造を形成し、その上にチップが取り付けられ得る。このコプレーナ構造は、チップ100の傾斜に連続する可能性のある問題を回避する。
【0030】
孔20は、絶縁層を貫通して、L字型コンタクトの最も長いブランチによって前面6上で覆われた領域の両側に形成される。これらの孔20の各々は、導電性材料でめっきされ得る内側の円筒形の壁を有する(しかしながら、これは本発明では必要ではない)。各孔20の底も第1の導電層によって閉じられる。これらの孔20は、チップ100をコンタクト5に接続するために使用される。これらの孔は、導電性リングなしで製造され得る。導電性リングなしでそのようなボンディング孔を作る方法の開示に関して、例えば、特許文献FR3006551B1を参照することができる。導電性リングが存在しないことにより、アンテナループの数および/または内側接続パッド19の数を増やすための多くの余地が残される。これにより、内側接続パッド19を配置するための柔軟性も増す。これにより、リング内を循環し、アンテナ8によって検出または発生される磁場との干渉を発生させるような表面電流も減少する。
【0031】
図4に示されるように、上述のアンテナ構成は、様々な接続ルートを可能にする(もちろん、チップ100と接続パッド13、14、17、19との間の図4に示されるすべての接続が実際の製品に対して行われるわけではない。チップ100は、2つの接続パッドのみでアンテナに接続される。)。チップのアンテナボンディングパッドの1つは、開始および中間接続パッド13、17の1つに接続され得るが、チップの別のアンテナボンディングパッドは、最終接続パッド14または内側接続パッド19の1つまたはその他に接続される(例えば、図4のルートAおよびBを参照)。これらのさまざまな接続ルートは、チップをアンテナのさまざまな長さに接続する。結果として、これは、チップインダクタンスなどのチップ特性に適応することだけでなく、市販のチップから別のチップに変化するチップ上のアンテナボンディングパッドのさまざまな位置に適応することを可能にする。特に、開始接続パッド13と中間接続パッド17との間のチップ100の接続は、より短いワイヤを使用することを可能にする。言い換えると、チップの仕様に応じて、チップ100は、様々なパッドを用いてアンテナ8に接続され得る。例えば、チップ100は、第1の接続セグメント16に直接接続された1つの接続パッドまたは第2の接続セグメント18に直接接続された別の1つの接続パッドのいずれかに接続されるパッドを有する。同様に、チップの仕様に応じて、チップ100はまた、内側ループに直接接続された1つの接続パッド14、19、または内側ループに直接接続された別の1つの接続パッドに接続され得る。
【0032】
孔の周りに導電性リングがないため、短絡のリスクなしにワイヤを下げることが可能である。これにより、ワイヤボンディングプロセスの速度を上げることも可能になる。
【0033】
上述の電気回路3の変形例として、L字型コンタクトは、ロゴ21に対応し得る1つまたは複数のカットアウトを有する(図5を参照)。このようなカットアウトは、例えば、インダクタンスが0.3または0.4マイクロヘンリー増加するのを可能にできる。
【符号の説明】
【0034】
1 スマートカード
2 スマートカードチップモジュール
3 電気回路
5 コンタクト
6 前主面
7 後主面
8 アンテナ
9 接続パッド
10 周縁
11 辺
12 辺
13 開始接続パッド
14 最終接続パッド
15 中央ゾーン
16 接続セグメント
17 中間接続パッド
18 接続セグメント
19 内側接続パッド
20 孔
21 ロゴ
100 チップ
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】