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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-31
(54)【発明の名称】レーザー印刷可能なポリマー組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 23/04 20060101AFI20230824BHJP
   C08K 3/04 20060101ALI20230824BHJP
   C08L 79/04 20060101ALI20230824BHJP
   H01B 7/02 20060101ALI20230824BHJP
【FI】
C08L23/04
C08K3/04
C08L79/04 Z
H01B7/02 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023504831
(86)(22)【出願日】2021-07-26
(85)【翻訳文提出日】2023-02-15
(86)【国際出願番号】 US2021043183
(87)【国際公開番号】W WO2022026388
(87)【国際公開日】2022-02-03
(31)【優先権主張番号】63/058,671
(32)【優先日】2020-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100144417
【弁理士】
【氏名又は名称】堂垣 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】サバ、ステイシー エイ.
(72)【発明者】
【氏名】ブリガンディ、ポール ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】エセギエ、モハメド
(72)【発明者】
【氏名】チャウダリー、バーラト アイ.
【テーマコード(参考)】
4J002
5G309
【Fターム(参考)】
4J002BB031
4J002BB051
4J002BB061
4J002BB071
4J002BB101
4J002CM022
4J002CM023
4J002DA036
4J002FD052
4J002FD053
4J002FD096
4J002GQ01
5G309RA07
5G309RA12
(57)【要約】
ポリマー組成物は、エチレンポリマーと、ポリマー組成物の総重量に基づいて0.05重量%~0.25重量%のカーボンブラックと、ヒンダードアミン部分を含み、ゲル浸透クロマトグラフィーに従って測定して5,000g/mol~20,000g/molの重量平均分子量を有するポリマー紫外線安定剤と、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー組成物であって、
エチレンポリマーと、
前記ポリマー組成物の総重量に基づいて0.05重量%~0.25重量%のカーボンブラックと、
ヒンダードアミン部分を含み、ゲル浸透クロマトグラフィーに従って測定して5,000g/mol~20,000g/molの重量平均分子量を有するポリマー紫外線安定剤と、を含む、ポリマー組成物。
【請求項2】
前記ポリマー組成物の総重量に基づいて95重量%以上の前記エチレンポリマーを含む、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項3】
前記エチレンポリマーが、ASTM D792に従って測定した場合、0.919g/cc~0.950g/ccの密度を有する、請求項1又は2に記載のポリマー組成物。
【請求項4】
ゲル浸透クロマトグラフィーに従って測定して1,000g/mol~5,000g/molの重量平均分子量を有するオリゴマー紫外線安定剤を更に含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項5】
前記ポリマー組成物の総重量に基づいて0.25重量%~1.0重量%の前記オリゴマー紫外線安定剤を含む、請求項4に記載のポリマー組成物。
【請求項6】
前記オリゴマー紫外線安定剤が、ケミカルアブストラクトサービス登録番号136504-96-6又は71878-19-8を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項7】
前記ポリマー組成物の総重量に基づいて0.10重量%~0.25重量%のカーボンブラックを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項8】
前記ポリマー組成物の総重量に基づいて0.25重量%~2重量%の前記ポリマー紫外線安定剤を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項9】
前記ポリマー紫外線安定剤が、ゲル浸透クロマトグラフィーに従って測定して8,000g/mol~12,000g/molの重量平均分子量を有し、更に、前記ポリマー紫外線安定剤が、ケミカルアブストラクトサービス登録番号136504-96-6を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項10】
被覆導体であって、
導体と、
前記導体の周囲に少なくとも部分的に配置された、請求項1~9のいずれか一項に記載のポリマー組成物と、を含む、被覆導体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、組成物に関し、より具体的には、レーザー印刷可能なポリマー組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
序論
レーザービーム印刷は、ポリマー組成物のマーキングに使用される方法である。ポリマー組成物とプリンターとの間に印刷インク又は物理的接触が必要ないので、レーザービーム印刷は有用である。更に、レーザービーム印刷のプロセスは、高速かつ単純であり、良好な耐久性のあるマーキングを提供することができる。
【0003】
全てのポリマー組成物がレーザー印刷できるわけではない。例えば、ポリマー組成物は、レーザー印刷可能にするために、特定の添加剤及び組成物を必要とすることが多い。ポリマー組成物をレーザー印刷可能にするための要件は、その最終用途に基づくポリマー組成物の設計と矛盾する場合がある。例えば、従来のワイヤ及びケーブルジャケットは、2000時間の加速紫外線曝露後の破断点伸びの50%保持を確保にするために、約2重量パーセント~3重量パーセントの濃度でカーボンブラックを含み得る。残念ながら、約2重量パーセント~3重量パーセントの従来のカーボンブラック濃度は、レーザー印刷時に不十分なコントラスト(すなわち、25%以下のコントラスト)をもたらす。
【0004】
カーボンブラックを紫外線(「UV」)光安定剤で置き換えることによって、前述の問題を解決しようとする試みもある。例えば、欧州特許庁特許公開番号EP0710570(A1)号(「‘570公開」)では、低いカーボンブラック濃度を可能にし、レーザー印刷可能なジャケットを提供するUV光安定剤のグループを開示している。‘570公開に開示されているUV光安定剤は、(a)4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジンエタノールを有するコハク酸ジメチルポリマー、(b)2-(2’-ヒドロキシ-5’-t-ブチルフェニル)-3-クロロベンゾトリアゾール、(c)2-ヒドロキシ-4-m-オクトキシベンゾフェノン、(d)2,4,6-トリクロロ-1,3,5-トリアジン及び2,4,4-トリメチル-1,2-ペンタンアミンを有するN,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)-1,6-ヘキサンジアミンポリマー、(e)2-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-2’-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、(f)ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)セバケート、及び(g)2H-1-ベンゾピラン-2-オン,7-(2H-ナフト[1,2D]トリアゾール-2-イル)-3-フェニルである。‘770公報に開示されているUV光安定剤は、本質的に小分子又はオリゴマーのいずれかである。例えば、UV光安定剤(b)、(c)、(e)、(f)及び(g)は全て小分子であるが、(a)は3100~4000の数平均分子量(Mn)を有し、(d)は2000~3100のMnを有し、(a)及び(d)をオリゴマーにする。‘570公報の表5に示されているように、オリゴマーUV光安定剤(a)を利用する実施例17Aは、2重量パーセント未満であるが0.3重量パーセントを超えるカーボンブラックを用いて、加速UV光曝露に耐えることができるポリマー組成物を生成することができる。しかし、‘570公報の表3は、オリゴマーUV光安定剤(a)が0.3重量パーセント以上のカーボンブラック濃度で25%を超えるグレーコントラストに達しないことを示している。これらの結果は、ヒンダードアミン部分を含むポリマー紫外線安定剤の使用には、加速UV光曝露に耐える組成物とレーザー印刷可能な組成物との間の妥協が必要であることを示唆している。
【0005】
レーザー印刷ワイヤ及びケーブルジャケットに関連する問題を解決するための当該技術分野における別の試みは、世界知的所有権機関公開番号WO2019068815(A1)号(「‘815公開」)によって提供されており、カーボンブラック及びオリゴマーヒンダードアミンUV光安定剤の相乗的ブレンドを利用する。‘815公報では、‘570公報のUV光安定剤(a)及び(d)の相乗的混合物をポリマー組成物において使用することを開示しているが、加速UV曝露後のポリマー組成物の機械的特性を保持するには、少なくとも0.25重量パーセントのカーボンブラック濃度が必要である。
【0006】
オリゴマーヒンダードアミン光安定剤の添加により、0.25重量パーセント未満のカーボンブラックを利用するポリマー組成物を達成することが複合技術では不可能であることを考えると、0.05重量%~0.25重量%のカーボンブラックと、ゲル浸透クロマトグラフィーに従って測定して5,000g/mol~20,000g/molの重量平均分子量を有するポリマー紫外線安定剤とを含み、レーザー印刷可能であり(すなわち、25%超のグレーコントラスト)、2000時間の加速紫外線曝露後にその破断点伸びの50%以上を保持するポリマー組成物を発見することは驚くべきことである。
【発明の概要】
【0007】
本出願の発明者らは、驚くべきことに、ヒンダードアミン部分を含み、ゲル浸透クロマトグラフィーに従って測定して5,000g/mol~20,000g/molの重量平均分子量を有するポリマー紫外線安定剤を使用することにより、レーザー印刷可能であり(すなわち、25%超のグレーコントラスト)、2000時間の加速UV光曝露後にその破断点伸びの50%以上を保持する、0.05重量パーセント~0.25重量パーセントのカーボンブラックを有するポリマー組成物を形成できることを発見した。理論に束縛されるものではないが、従来技術のオリゴマーUV光安定剤とは対照的に、分子量のより高いポリマーUV光安定剤は、ポリマー組成物の製造及び使用中の移動及び分離に抵抗すると考えられる。ポリマーUV光安定剤の移動が減少することにより、UV光への長時間の曝露の間、安定剤の保存性が強化される。安定剤の強化された保存及び維持された分散の結果として、ポリマー組成物は、2000時間の加速UV光曝露後にその破断点伸びの50%以上を保持することができる。ポリマーUV光安定剤の使用が成功したことは、等しい重量パーセントのオリゴマー安定剤が成功すると予想されることを考えると驚くべきことであるが、従来技術によって実証されたようにはなっていない。UV光安定剤は分散されたままであり、ポリマー組成物がその破断点伸びを保持することを可能にするので、ポリマー組成物をレーザー印刷可能にするより低い充填量のカーボンブラックを使用することができる。
【0008】
ポリマー組成物は、ワイヤ及びケーブル用のジャケットとして特に有用である。
【0009】
本開示の第1の特徴によれば、ポリマー組成物は、エチレンポリマーと、ポリマー組成物の総重量に基づいて0.05重量%~0.25重量%のカーボンブラックと、ヒンダードアミン部分を含み、ゲル浸透クロマトグラフィーに従って測定して5,000g/mol~20,000g/molの重量平均分子量を有するポリマー紫外線安定剤と、を含む。
【0010】
本開示の第2の特徴によれば、ポリマー組成物は、ポリマー組成物の総重量に基づいて95重量%以上のエチレンポリマーを含む。
【0011】
本開示の第3の特徴によれば、エチレンポリマーは、ASTM D792に従って測定した場合、0.919g/cc~0.950g/ccの密度を有する。
【0012】
本開示の第4の特徴によれば、ポリマー組成物は、ゲル浸透クロマトグラフィーに従って測定して1,000g/mol~5,000g/molの重量平均分子量を有するオリゴマー紫外線安定剤を更に含む。
【0013】
本開示の第5の特徴によれば、ポリマー組成物は、ポリマー組成物の総重量に基づいて0.25重量%~1.0重量%のオリゴマー紫外線安定剤を含む。
【0014】
本開示の第6の特徴によれば、オリゴマー紫外線安定剤は、ケミカルアブストラクトサービス登録番号136504-96-6又は71878-19-8を有する。
【0015】
本開示の第7の特徴によれば、ポリマー組成物は、ポリマー組成物の総重量に基づいて0.10重量%~0.25重量%のカーボンブラックを含む。
【0016】
本開示の第8の特徴によれば、ポリマー組成物は、ポリマー組成物の総重量に基づいて0.25重量%~2重量%のポリマー紫外線安定剤を含む。
【0017】
本開示の第9の特徴によれば、ポリマー紫外線安定剤は、ゲル浸透クロマトグラフィーに従って測定して8,000g/mol~12,000g/molの重量平均分子量を有し、更に、ポリマー紫外線安定剤は、ケミカルアブストラクトサービス登録番号136504-96-6を有する。
【0018】
本開示の第10の特徴によれば、被覆導体は、導体と、導体の周囲に少なくとも部分的に配置されたポリマー組成物と、を含む。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本明細書で使用される場合、「及び/又は」という用語は、2つ以上の項目の列挙で使用される場合、列挙された項目のうちのいずれか1つをそれ自体で用いることができるか、又は列挙された項目のうちの2つ以上の任意の組み合わせを用いることができることを意味する。例えば、組成物が成分A、B、及び/又はCを含有するものとして説明されている場合、組成物はAを単独で、Bを単独で、Cを単独で、A及びBを組み合わせて、A及びCを組み合わせて、B及びCを組み合わせて、又はA、B、及びCを組み合わせて、含有することができる。
【0020】
別途記載のない限り、全ての範囲は、終点を含む。
【0021】
試験方法は、試験方法番号でハイフン付きの2桁の数字で日付が示されていない限り、この文書の優先日における最新の試験方法を指す。試験方法への言及は、試験の協会及び試験方法番号への参照の両方を含む。試験方法組織は、以下の略語のうちの1つによって参照され、ASTMは、ASTMインターナショナル(ASTM International)(旧称、米国材料試験協会、American Society for Testing and Materials)を指し、ENは、欧州規格(European Norm)を指し、DINは、ドイツ規格協会(Deutsches Institut fur Normung)を指し、ISOは、国際標準化機構(International Organization for Standards)を指す。本明細書で使用される場合、ケミカルアブストラクトサービス登録番号は、本文書の優先日の時点でその登録番号に指定された最新の化学物質又は化学組成物を指す。
【0022】
本明細書で使用される場合、重量パーセント(「重量%」)という用語は、別途明記しない限り、成分が、ポリマー組成物の総重量に占める重量パーセンテージを示す。モルパーセント(「mol%」)という用語は、成分が存在するアイテムの総モル数に対する成分のモル百分率を示している。
【0023】
本明細書で別段の定めがない限り、密度は、ASTM D792、方法Bに従って測定される。結果は、立方センチメートル当たりのグラム数(g)(g/cc)で記録される。
【0024】
本明細書で別段の定めがない限り、メルトインデックス(melt index、MI)は、ASTM D1238、条件190℃/2.16キログラム(kg)重量に従って測定され、10分当たりに溶出されるグラム数(g/10分)で報告される。
【0025】
「ポリマー」は、同じであるか異なるタイプであるかにかかわらず、モノマーを重合することによって調製される高分子化合物を意味する。総称的な用語「ポリマー」は、ホモポリマー、インターポリマー、及びコポリマーを包含する。
【0026】
ポリマー組成物
本開示は、ポリマー組成物を提供する。ポリマー組成物は、エチレンポリマーと、カーボンブラックと、ポリマー紫外線安定剤(「ポリマー安定剤」)とを含む。ポリマー組成物はまた、オリゴマー紫外線安定剤(「オリゴマー安定剤」)を含み得る。以下でより詳細に説明されるように、ポリマー組成物は、被覆導体のジャケットを形成するために利用され得る。
【0027】
エチレンポリマー
ポリマー組成物は、エチレンポリマーを含む。エチレンポリマーは、核磁気共鳴(NMR)又はフーリエ変換赤外(FTIR)分光法を使用して測定して、50モル%以上、60モル%以上、70モル%以上、80モル%以上、85モル%以上、90モル%以上、又は91モル%以上、又は92モル%以上、又は93モル%以上、又は94モル%以上、又は95モル%以上、又は96モル%以上、又は97モル%以上、又は97.5モル%以上、又は98モル%以上、又は99モル%以上、同時に、100モル%以下、99.5モル%以下、又は99モル%以下、又は98モル%以下、又は97モル%以下、又は96モル%以下、又は95モル%以下、又は94モル%以下、又は93モル%以下、又は92モル%以下、又は91モル%以下、又は90モル%以下、又は85モル%以下、又は80モル%以下、又は70モル%以下、又は60モル%以下のエチレンを含み得る。エチレンポリマーの他の単位としては、C~C、又はC、又はC、又はC10、又はC12、又はC16、又はC18、又はC20α-オレフィン、例えば、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、及び1-オクテンを挙げることができる。エチレンポリマーの他の単位は、不飽和エステルなどの極性モノマーを含むが、これらに限定されない1つ以上の重合性モノマーから誘導され得る。不飽和エステルは、アクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキル、又はカルボン酸ビニルであり得る。アルキル基は、1~8個の炭素原子又は1~4個の炭素原子を有することができる。カルボキシレート基は、2~8個の炭素原子又は2~5個の炭素原子を有することができる。アクリレート及びメタクリレートの例としては、エチルアクリレート、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、t-ブチルアクリレート、n-ブチルアクリレート、n-ブチルメタクリレート、及び2エチルヘキシルアクリレートが挙げられるが、これらに限定されない。ビニルカルボキシレートの例としては、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、及びビニルブタノアートが挙げられるが、これらに限定されない。エチレンポリマーは、核磁気共鳴(NMR)又はフーリエ変換赤外(FTIR)分光法を使用して測定すると、エチレンポリマーの総重量に基づいて、40重量%以下、又は35重量%以下、又は30重量%以下、又は25重量%以下、又は20重量%以下、15重量%、又は10重量%、又は5重量%以下、又は3重量%以下、又は1重量%以下、又は0重量%の極性モノマー含有量を有し得る。
【0028】
エチレンポリマーの密度は、ASTM D792に従って測定して、0.900g/cc以上、又は0.904g/cc以上、又は0.910g/cc以上、又は0.915g/cc以上、又は0.919g/cc以上、又は0.920g/cc以上、又は0.921g/cc以上、又は0.922g/cc以上、又は0.925g/cc以上、又は0.926g/cc以上、又は0.930g/cc以上、又は0.935g/cc以上、0.940g/cc以上、0.945g/cc以上、同時に、0.950g/cc以下、又は0.940g/cc以下、又は0.935g/cc以下、又は0.930g/cc以下、又は0.925g/cc以下、又は0.920g/cc以下、又は0.919g/cc以下、又は0.915g/cc以下、又は0.910g/cc以下、又は0.905g/cc以下であり得る。
【0029】
エチレンポリマーのメルトインデックスは、ASTM D1238に従って測定して、0.1g/10分以上、又は0.3g/10分以上、又は0.5g/10分以上、又は1.0g/10分以上、又は1.5g/10分以上、又は2.0g/10分以上、又は2.5g/10分以上、又は3.0g/10分以上、又は3.5g/10分以上、又は4.0g/10分以上、又は4.5g/10分以上、又は10.0g/10分以上、又は18g/10分以上、同時に、30.0g/10分以下、又は25.0g/10分以下、又は20.0g/10分以下、又は18.0g/10分以下、又は15.0g/10分以下、又は10.0g/10分以下、又は5.0g/10分以下、又は4.5g/10分以下、又は4.0g/10分以下、又は3.5g/10分以下、又は3.0g/10分以下、又は2.5g/10分以下、又は2.0g/10分以下、又は1.5g/10分以下、又は1.0g/10分以下、又は0.5g/10分以下であり得る。
【0030】
ポリマー組成物は、80重量%~99重量%のエチレンポリマーを含む。例えば、ポリマー組成物は、ポリマー組成物の総重量に基づいて、80重量%以上、又は82重量%以上、又は84重量%以上、又は86重量%以上、又は88重量%以上、又は90重量%以上、又は92重量%以上、又は94重量%以上、又は95重量%以上、又は96重量%以上、又は98重量%以上、同時に、99重量%以下、又は98重量%以下、又は96重量%以下、又は95重量%以下、又は94重量%以下、又は92重量%以下、又は90重量%以下、又は88重量%以下、又は86重量%以下、又は84重量%以下、又は82重量%以下のエチレンポリマーを含み得る。
【0031】
カーボンブラック
ポリマー組成物はカーボンブラックを含む。カーボンブラックは、ケミカルアブストラクトサービス(「CAS」)登録番号1333-86-4を有する。ポリマー組成物は、ポリマー組成物の総重量に基づいて0.05重量%~0.25重量%の量でカーボンブラックを含み得る。例えば、ポリマー組成物は、ポリマー組成物の総重量に基づいて、0.05重量%以上、又は0.06重量%以上、又は0.07重量%以上、又は0.08重量%以上、又は0.09重量%以上、又は0.10重量%以上、又は0.11重量%以上、又は0.12重量%以上、又は0.13重量%以上、又は0.14重量%以上、又は0.15重量%以上、又は0.16重量%以上、又は0.17重量%以上、又は0.18重量%以上、又は0.19重量%以上、又は0.20重量%以上、又は0.21重量%以上、又は0.22重量%以上、又は0.23重量%以上、又は0.24重量%以上、同時に、0.25重量%以下、又は0.24重量%以下、又は0.23重量%以下、又は0.22重量%以下、又は0.21重量%以下、又は0.20重量%以下、又は0.19重量%以下、又は0.18重量%以下、又は0.17重量%以下、又は0.16重量%以下、又は0.15重量%以下、又は0.14重量%以下、又は0.13重量%以下、又は0.12重量%以下、又は0.11重量%以下、又は0.10重量%以下、又は0.09重量%以下、又は0.08重量%以下、又は0.07重量%以下、又は0.06重量%以下のカーボンブラックを含み得る。
【0032】
カーボンブラックは、レーザー回折分光法を用いて測定して、約10nm~約300nm、又は10nm~100nm、又は15nm~50nmの平均粒径を有し得る。カーボンブラックは、ニート又は純粋な成分としてポリマー組成物に添加されてもよく、又は1つ以上の他の成分(例えば、樹脂、酸化防止剤及び/又は加工助剤)と組み合わされたマスターバッチの一部として添加されてもよい。
【0033】
ポリマー紫外線安定剤
ポリマー組成物は、ポリマー紫外線安定剤を含む。ポリマー安定剤は、1つ以上のヒンダードアミン部分を含む。本明細書で使用される場合、ヒンダードアミン部分は、窒素原子の孤立電子対が芳香環に共役されるように芳香環上に存在するアミン部分である。ヒンダードアミン部分を含むポリマー安定剤の例は、ケミカルアブストラクトサービス(「CAS」)登録番号136504-96-6を有し、1,3-プロパンジアミン、N1,N1’-1,2-エタンジイルビス-、2,4,6-トリクロロ-1,3,5-トリアジンとのポリマー、N-ブチル-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジンアミンとの反応生成物として記載されている。ポリマー安定剤の市販例は、3V Sigma USA(Georgetown,South Carolina,USA)から商品名UVASORB(商標)HA10で販売されている。ポリマー安定剤は、ゲル浸透クロマトグラフィーに従って測定して、5,000グラム/モル(「g/mol」)~20,000g/molの重量平均分子量を有する。例えば、ポリマー安定剤は、ゲル浸透クロマトグラフィーに従って測定して、5,000g/mol以上、又は6,000g/mol以上、又は7,000g/mol以上、又は8,000g/mol以上、又は9,000g/mol以上、又は10,000g/mol以上、又は11,000g/mol以上、又は12,000g/mol以上、又は13,000g/mol以上、又は14,000g/mol以上、又は15,000g/mol以上、又は16,000g/mol以上、又は17,000g/mol以上、又は18,000g/mol以上、又は19,000g/mol以上、同時に、20,000g/mol以下、又は19,000g/mol以下、又は18,000g/mol以下、又は17,000g/mol以下、又は16,000g/mol以下、又は15,000g/mol以下、又は14,000g/mol以下、又は13,000g/mol以下、又は12,000g/mol以下、又は11,000g/mol以下、又は10,000g/mol以下、又は9,000g/mol以下、又は8,000g/mol以下、又は7,000g/mol以下、又は6,000g/mol以下の重量平均分子量を有し得る。
【0034】
ポリマー組成物は、ポリマー組成物の総重量に基づいて0.25重量%~2.00重量%の量でポリマー安定剤を含み得る。例えば、ポリマー組成物は、ポリマー組成物の総重量に基づいて、0.25重量%以上、又は0.50重量%以上、又は0.75重量%以上、又は1.00重量%以上、又は1.25重量%以上、又は1.50重量%以上、又は1.75重量%以上、同時に、2.00重量%以下、又は1.75重量%以下、又は1.50重量%以下、又は1.25重量%以下、又は1.00重量%以下、又は0.75重量%以下、又は0.50重量%以下のポリマー安定剤を含み得る。
【0035】
オリゴマー紫外線安定剤
ポリマー組成物は、オリゴマー紫外線安定剤を含み得る。オリゴマー安定剤は、1つ以上のヒンダードアミン部分を含み得る。オリゴマー安定剤の例は、CAS登録番号136504-96-6を有し、1,3-プロパンジアミン、N1,N1’-1,2-エタンジイルビス-、2,4,6-トリクロロ-1,3,5-トリアジンとのポリマー、N-ブチル-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジンアミンとの反応生成物として記載されている。このようなオリゴマー安定剤は、3V Sigma USA(Georgetown,South Carolina,USA)から商品名UVASORB(商標)HA88で販売されている。オリゴマー安定剤の別の例は、CAS登録番号71878-19-8を有し、ポリ[[6-[(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ]-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル][(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)イミノ]-1,6-ヘキサンジイル[(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)イミノ]]として記載される。このようなオリゴマー安定剤は、BASF(Ludwigshafen,Germany)からCHIMASSORB(商標)944 LDの商品名で販売されている。
【0036】
オリゴマー安定剤は、ゲル浸透クロマトグラフィーに従って測定して、1,000g/mol~5,000g/molの重量平均分子量を有する。例えば、ポリマー安定剤は、ゲル浸透クロマトグラフィーに従って測定して、1,000g/mol以上、又は1,500g/mol以上、又は2,000g/mol以上、又は2,500g/mol以上、又は3,000g/mol以上、又は3,500g/mol以上、又は4,000g/mol以上、又は4,500g/mol以上、同時に、5,000g/mol以下、又は4,500g/mol以下、又は4,000g/mol以下、又は3,500g/mol以下、又は3,000g/mol以下、又は2,500g/mol以下、又は2,000g/mol以下、又は1,500g/mol以下の重量平均分子量を有し得る。
【0037】
ポリマー組成物は、ポリマー組成物の総重量に基づいて0.25重量%~2.00重量%の量でオリゴマー安定剤を含み得る。例えば、ポリマー組成物は、ポリマー組成物の総重量に基づいて、0.25重量%以上、又は0.50重量%以上、又は0.75重量%以上、又は1.00重量%以上、又は1.25重量%以上、又は1.50重量%以上、又は1.75重量%以上、同時に、2.00重量%以下、又は1.75重量%以下、又は1.50重量%以下、又は1.25重量%以下、又は1.00重量%以下、又は0.75重量%以下、又は0.50重量%以下のオリゴマー安定剤を含み得る。
【0038】
添加剤
ポリマー組成物は、1つ以上の添加剤を含み得る。好適な添加剤の非限定的な例としては、酸化防止剤、着色剤、腐食防止剤、潤滑剤、紫外線(ultraviolet、UV)吸収剤又は安定剤、ブロッキング防止剤、難燃剤、カップリング剤、相溶化剤、可塑剤、充填剤、加工助剤、及びこれらの組み合わせが挙げられる。1つ以上の添加剤をポリエチレン樹脂と組み合わせてマスターバッチを形成し、添加剤の一部又は全部を1つ以上のマスターバッチ中のポリマー組成物に導入することができる。
【0039】
ポリマー組成物は、酸化防止剤を含み得る。好適な酸化防止剤の非限定的な例としては、フェノール系酸化防止剤、チオ系酸化防止剤、リン酸系酸化防止剤、及びヒドラジン系金属不活性化剤が挙げられる。好適なフェノール系酸化防止剤としては、高分子量ヒンダードフェノール、メチル置換フェノール、一級又は二級カルボニルを有する置換基を有するフェノール、並びに硫黄及びリン含有フェノールなどの多官能フェノールが挙げられる。代表的なヒンダードフェノールとしては、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ペンタエリスリチルテトラキス-3(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオネート、n-オクタデシル-3(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4,4’-メチレンビス(2,6-tert-ブチル-フェノール)、4,4’-チオビス(6-tert-ブチル-o-クレゾール)、2,6-ジ-tertブチルフェノール、6-(4-ヒドロキシフェノキシ)-2,4-ビス(n-オクチル-チオ)-1,3,5トリアジン、ジ-n-オクチルチオ)エチル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-ベンゾエート、及びソルビトールヘキサ[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-フェニル)-プロピオネート]が挙げられる。ポリマー組成物は、BASFからIrganox(商標)1010として市販されているペンタエリスリトールテトラキス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)を含み得る。好適なメチル置換フェノールの非限定的な例は、イソブチリデンビス(4,6-ジメチルフェノール)である。好適なヒドラジン系金属不活性化剤の非限定的な例は、オキサリルビス(ベンジリデンヒドラジド)である。ポリマー組成物は、ポリマー組成物の総重量に基づいて、0重量%、又は0.001重量%、又は0.01重量%、又は0.02重量%、又は0.05重量%、又は0.1重量%、又は0.2重量%、又は0.3重量%、又は0.4重量%~0.5重量%、又は0.6重量%、又は0.7重量%、又は0.8重量%、又は1.0重量%、又は2.0重量%、又は2.5重量%、又は3.0重量%の酸化防止剤を含有し得る。
【0040】
組成物は、加工助剤を含み得る。好適な加工助剤の非限定的な例としては、油、有機酸(例えば、ステアリン酸)、及び有機酸の金属塩(例えば、ステアリン酸亜鉛)が挙げられる。一実施形態では、組成物は、組成物の総重量に基づいて、0重量%、又は0.01重量%、又は0.02重量%、又は0.05重量%、又は0.07重量%、又は0.1重量%、又は0.2重量%、又は0.3重量%、0.4重量%~0.5重量%、又は0.6重量%、又は0.7重量%、又は0.8重量%、又は1.0重量%、又は2.0重量%、又は2.5重量%、又は3.0重量%、又は5.0重量%、又は10.0重量%、又は20.0重量%の加工助剤を含有する。
【0041】
組成物は、ポリマー組成物の総重量に基づいて、0重量%以上、又は0.001重量%以上、又は0.002重量%以上、又は0.005重量%以上、又は0.006重量%以上、又は0.008重量%以上、又は0.009重量%以上、又は0.01重量%以上、又は0.2重量%以上、又は0.3重量%以上、又は0.4重量%以上、又は0.5重量%以上、又は1.0重量%以上、又は2.0重量%以上、又は3.0重量%以上、又は4.0重量%以上、又は5.0重量%以上、又は10.0重量%以上、又は15.0重量%以上、又は20.0重量%以上、又は30重量%以上、又は40重量%以上、又は50重量%以上の添加剤を含有し得る。
【0042】
被覆導体
本開示はまた、被覆導体を提供する。被覆導体は、導体と、導体上の被覆とを含み、被覆は、ポリマー組成物を含む。ポリマー組成物は、導体の周囲に少なくとも部分的に配置されて、被覆導体を製造する。導体は、導電性金属又は光学的に透明な構造を含み得る。
【0043】
被覆導体を製造するためのプロセスは、ポリマー組成物を混合し、押出機中で少なくともポリマー成分の溶融温度まで加熱してポリマー溶融ブレンドを形成し、次いで、ポリマー溶融ブレンドを導体上に被覆することを含む。「上に」という用語は、ポリマー溶融ブレンドと導体との間の直接接触又は間接接触を含む。ポリマー溶融ブレンドは、押出可能な状態にある。
【0044】
ポリマー組成物は、導体の上及び/又は周囲に配置されて、被覆を形成する。被覆は、絶縁層などの1つ以上の内層であり得る。被覆は、導体を全体的に若しくは部分的に覆うか、又はそうでなければ取り囲むか、又は包み得る。被覆は、導体を取り囲む唯一の構成要素であり得る。代替的に、被覆は、導体を包む多層ジャケット又はシースのうちの1層であってもよい。被覆は、導体と直接接触し得る。被覆は、導体を取り囲む絶縁層に直接接触し得る。
【実施例
【0045】
試験方法
破断点伸び:破断点伸びを求めるための引張試験は、ASTM D638に従って、5.08センチメートル/分で、国際標準化機構527タイプ5aのドッグボーンを使用し、INSTRU-MET(商標)4201引張試験機を使用して行った。伸びの保持率を、UVエージング後の試料の平均破断点伸びをエージング前の試料の破断点伸びで割ることによって求めた。表3の破断点伸びデータは、5つの試料の平均破断点伸びとして報告され、1標準偏差も報告されている。
【0046】
グレーコントラスト:ビーム波長1064.6nm、周波数60kHz、強度90%、及びマーキング速度2000mm/秒で生成されたマーキングに対して、ImageJソフトウェア(NIH)を使用して、グレーコントラスト率を計算した。
【0047】
分子量:本明細書において他に示されない限り、分子量は重量平均分子量であり、ゲル浸透クロマトグラフィーによって求められる。ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)は、WatersモジュラークロマトグラフィーHPLC/SECシステムで行った。移動相は、0.08モルのジエタノールアミンを含むテトラヒドロフランであり、ヘリウムで脱気した。Polymer Laboratories製の2つのメソ細孔カラムを使用した。GPCは、温度30℃及び流量0.6リットル/分で行った。使用した濃度は10ミリグラム/ミリリットルより大きく、注入量は50マイクロリットルであった。GPC測定は40分間行った。GPCの較正は、ピーク分子量が382g/mol~95000g/molの狭分子量分布を有する8つのポリスチレン標準に基づく3次の多項式を使用して行った。
【0048】
材料
実施例で使用された材料が、以下に記載される。
【0049】
樹脂は、0.935g/ccの密度及び0.6g/10分(190℃/2.16kg)のメルトインデックス(MI、I)を有するUNIPOL(商標)気相単峰性中密度ポリエチレンである。
【0050】
CBMBは、45重量%のカーボンブラックであるカーボンブラックマスターバッチであり、The Dow Chemical Company(Midland,MI,USA)から入手可能である。
【0051】
HALSは、CAS登録番号70624-18-9を有するヒンダードアミン光安定剤であり、BASF(Ludwigshafen,Germany)から商品名CHIMASSORB(商標)944で市販されている。
【0052】
HA10は、CAS登録番号136504-96-6、及びゲル浸透クロマトグラフィーに従って測定して約10,000の重量平均分子量を有するポリマー紫外線安定剤である。HA10は、3V Sigma USA(Georgetown,South Carolina,USA)から商品名UVASORB(商標)HA10で市販されている。
【0053】
HA88は、CAS登録番号136504-96-6、及びゲル浸透クロマトグラフィーに従って測定して約3,000の重量平均分子量を有するオリゴマー紫外線安定剤である。HA88は、3V Sigma USA(Georgetown,South Carolina,USA)から商品名UVASORB(商標)HA88で市販されている。
【0054】
AOは、CAS登録番号26780-96-1を有し、Addivant(Danbury,Connecticut,USA)からNAUGARD(商標)Super Q安定剤の商品名で市販されているポリ(1,2-ジヒドロ-2,2,4-トリメチルキノリン)である。
【0055】
PAは、3M(Saint Paul,Minnesota,US)から入手可能な商品名DYNAMAR(商標)FX 5912で市販されているフッ素樹脂加工助剤である。
【0056】
樹脂2:密度が0.945g/cc、メルトインデックス(MI、I)が0.8g/10分(190℃/2.16kg)のUNIPOL(商標)気相単峰性高密度ポリエチレンである。
【0057】
試料の調製
本発明の実施例(「IE」)、比較例(「CE」)及び試験試料(S)を、180℃に予熱したBRABENDER(商標)ミキサー上で調製し、ローラーブレードを用いて40回転/分(「rpm」)で混合した。最初に、全ての樹脂を添加し、フラックスした。次いで、安定剤及び加工助剤を添加し、5分間フラックスした。次に、実施例及び試験試料をコールドプレスし、粗くペレット化し、BRABENDER(商標)押出機で押出した。押出機の温度プロファイルは、150℃~180℃、40rpm、及び20/40/20スクリーンパックであった。次いで、ストランドをペレット化してペレットを形成した。
【0058】
180℃に予熱したArborプレス上でペレットを圧縮成形することによってプラークを調製した。ペレットを1.905ミリメートル(mm)の成形型に入れた。試料を180℃に4分間加熱し、次いで3.45MPaの圧力で3分間、続いて17.24MPaの圧力で3分間プレスした。試料をプレス内で15℃/分で約23℃に達するまで冷却し、次いで試験要件に従って調整した。ドッグボーンの標本は、圧縮成形されたプラークから切り取られた。
【0059】
70℃、0.7W/(m nm)で20時間照射し、続いて55℃で4時間の暗凝縮のサイクルで、Telecordia GR-20に従って、ドッグボーン試料に対して紫外線エージングを行った。試料を1000時間及び2000時間の増分で引っ張った。
【0060】
試験試料の圧縮成形プラーク(1.27mm×101.6mm×101.6mm)を調製し、表1のパラメータに従ってレーザーマーキングした。
【0061】
【表1】
【0062】
結果
表2は、試験試料の組成及びグレーコントラストを提供する。試験試料の目的は、カーボンブラック濃度の関数としてグレーコントラストを実証することであった。表2のCBMB値は、試験試料の総重量に基づくCBMBの重量パーセントを提供し、括弧内はカーボンブラックの重量パーセントを提供する。
【0063】
【表2】
【0064】
表2から分かるように、試験試料1及び2は両方とも、25%を超えるグレーコントラストを可能にするのに十分に低いカーボンブラック濃度を有する。したがって、試験試料1及び2はレーザー印刷可能である。試験試料S3~S6は、25%以下のグレーコントラストを示し、これは、0.38重量パーセント以上のカーボンブラックを有する組成物がレーザー印刷可能でないことを意味する。
【0065】
表3は、IE1~IE4及びCE1~CE3の組成を記載している。表3には、初期状態(すなわち、加速UVエージングなし)及び1000時間(「h」)又は2000時間の加速UV曝露後のUVエージング状態についての機械的試験データも記載されている。
【0066】
【表3】
【0067】
表3から分かるように、IE1~IE4は全て、レーザー印刷を可能にするのに十分に低いカーボンブラック濃度を有し、したがって、IE1~IE4はレーザー印刷可能であると考えられる。更に、IE1~IE4は全て、2000時間の加速紫外線曝露後に50%以上の破断点伸びを保持している。I1Eは、追加のオリゴマー安定剤を使用せずにポリマー安定剤を使用すると、2000時間の加速紫外線曝露後にその破断点伸びの50%以上を保持するレーザー印刷可能な組成物の形成が可能になり得ることを示している。IE2~IE4はそれぞれ、ポリマー安定剤に加えて、ポリマー安定剤と同じ又は異なる種類のオリゴマー安定剤を利用することができ、2000時間の加速紫外線曝露後にその破断点伸びの50%以上を保持するレーザー印刷可能な組成物を一層可能にすることを示している。2.55重量%のカーボンブラックを有するCE1は、驚くべきことに、2000時間の加速紫外線曝露後にもその破断点伸びの50%以上を保持しているが、表2による理解では、レーザー印刷可能ではない。CE2及びCE3は、ポリマー安定剤なしでは、カーボンブラックの濃度が低いために組成物がレーザー印刷可能であり得るが、2000時間の加速紫外線曝露後にその破断点伸びの50%以上を保持することができないことを示している。
【国際調査報告】