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▶ ジェイティー インターナショナル エス.エイ.の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-31
(54)【発明の名称】エアロゾル発生物品
(51)【国際特許分類】
   A24D 1/20 20200101AFI20230824BHJP
   A24F 40/465 20200101ALI20230824BHJP
   A24F 40/40 20200101ALI20230824BHJP
   A24F 40/485 20200101ALI20230824BHJP
【FI】
A24D1/20
A24F40/465
A24F40/40
A24F40/485
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023505880
(86)(22)【出願日】2021-07-28
(85)【翻訳文提出日】2023-01-27
(86)【国際出願番号】 EP2021071215
(87)【国際公開番号】W WO2022028993
(87)【国際公開日】2022-02-10
(31)【優先権主張番号】20189310.4
(32)【優先日】2020-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エスエイ
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100202854
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 卓行
(72)【発明者】
【氏名】ローガン,アンドリュー・ロバート・ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ライト,アレック
【テーマコード(参考)】
4B045
4B162
【Fターム(参考)】
4B045AA21
4B045AB16
4B045BC13
4B045BC23
4B045BC24
4B162AA03
4B162AA22
4B162AB12
4B162AC08
4B162AC22
4B162AC42
4B162AD28
(57)【要約】
気流チャネル(211)を備えるエアロゾル発生物品(201)が開示されている。物品(201)は、エアロゾルを発生するための基材(205)であって、気流チャネル(211)の内部に配置されている、基材(205)と、気流チャネル(211)の内部に配置されたバルブ(101)であって、開放状態及び閉鎖状態を有する、バルブ(101)と、を含み、バルブ(101)は、開放状態にあるときに対して閉鎖状態にあるときに、気流チャネル(211)を通る気流を制限するように構成されている。バルブ(101)は、形状記憶合金(105)の遷移温度まで加熱されるとバルブ(101)が閉鎖状態から開放状態に変化するように配置された、形状記憶合金(105)を備える。
【選択図】図2(a)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生物品であって、
気流チャネルと、
エアロゾルを発生するための基材であって、前記気流チャネルの内部に配置されている、基材と、
前記気流チャネルの内部に配置されたバルブであって、開放状態及び閉鎖状態を有する、バルブと、を備え、前記バルブが、前記開放状態にあるときに対して前記閉鎖状態にあるときに、前記気流チャネルを通る気流を制限するように構成されており、前記バルブが、形状記憶合金の遷移温度まで加熱されると前記バルブが前記閉鎖状態から前記開放状態に変化するように配置された、前記形状記憶合金を含む、エアロゾル発生物品。
【請求項2】
前記形状記憶合金が、前記バルブが前記閉鎖状態にあるときに第1の形態にあり、且つ前記バルブが前記開放状態にあるときに第2の形態にあるように構成されており、前記形状記憶合金が、前記第1の形態にある間に前記遷移温度まで加熱されると、前記形状記憶合金が前記第1の形態から前記第2の形態に遷移して前記バルブを前記閉鎖状態から前記開放状態に変化させるように配置されている、請求項1に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項3】
前記バルブが、
前記バルブが前記閉鎖状態にあるときに前記気流チャネルを実質的に閉鎖するように配置されたフラップと、
前記形状記憶合金材料を含み、且つ前記フラップに機械的に接続された作動部分と、を備え、前記バルブが前記閉鎖状態にある間に前記バルブが前記遷移温度まで加熱されると、前記作動部分が前記フラップを移動させて前記気流チャネルを開放するように配置されている、請求項1又は2に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項4】
前記作動部分及び前記フラップが、互いに一体である、請求項3に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項5】
前記形状記憶合金材料が、前記バルブが前記開放状態にあるときに実質的に平坦であるように構成されている、請求項1~4のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項6】
前記形状記憶合金材料が、200℃未満、好ましくは100℃未満のキュリー温度を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項7】
前記バルブが、誘導加熱可能である、請求項1~6のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項8】
前記基材を加熱するための1つ以上の誘導加熱可能なサセプタを更に備え、前記1つ以上の誘導加熱可能なサセプタが、前記気流チャネルの内部に配置されている、請求項1~7のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項9】
材料部分によって発生した前記エアロゾルを濾過するためのフィルタを更に備える、請求項1~8のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品と、
使用時に前記基材を加熱するように配置された加熱装置と、を備える、エアロゾル発生システム。
【請求項11】
前記エアロゾル発生物品が、前記基材を加熱するための1つ以上の誘導加熱可能なサセプタを備え、前記1つ以上の誘導加熱可能なサセプタが、前記気流チャネルの内部に配置されている、請求項10に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項12】
前記加熱装置が、使用時に、1つ以上の誘導加熱可能なサセプタの加熱に適した振動磁場を生成するように構成されたインダクタを備える、請求項11に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項13】
前記インダクタが、電動コイルを備える、請求項12に記載のエアロゾル発生システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザが吸入するエアロゾルを発生するためのエアロゾル発生物品に関する。
【背景技術】
【0002】
エアロゾル発生装置は、従来の可燃性タバコ製品の代替品として人気を博している。加熱式タバコ製品はまた、加熱非燃焼式製品とも呼ばれ、タバコ基材を、基材からエアロゾルを発生するには十分であるがタバコを燃焼させるほどは高くない温度まで加熱するように構成された、エアロゾル発生装置の1つのクラスである。本明細書は特に、加熱式タバコ製品に言及しているが、以下の議論は他の種類の加熱可能な基材を組み込むエアロゾル発生システムにも等しく適用されることを理解されたい。
【0003】
一部の加熱式タバコ製品では、タバコ基材は、物品を加熱するための装置を含む、エアロゾル発生装置内に装填される別個の物品として提供される。例えば、エアロゾル発生装置は、物品が装填されるオーブン区画を有することができ、又は物品の内部の1つ以上のサセプタを誘導加熱する電磁コイルを含むことができる。この構成により、廃棄物を最小化し(唯一の廃棄物は使用済み物品であるため)、ユーザは単一の再利用可能な装置を持ち運ぶだけでよいため、例えば使い捨て装置よりも優れた利点を提供する。しかしながら、ユーザが、加熱式タバコ装置内で物品をその意図された方法で使用するのではなく、(例えば、ライターを使用して)別個のエアロゾル発生物品に点火しようとするときに、安全上の懸念が生じる。
【0004】
現在の加熱式タバコシステムに関連する別の制限は、基材がその意図された動作温度に達する前に、ユーザが装置上で吸い込みを開始する場合があることである。これにより、ユーザが不十分な速度で、又は例えば組成及び温度の不満足な品質でエアロゾルを受け取ることをもたらし得るため、ユーザ体験を損なう可能性がある。
【0005】
これらの問題を克服するエアロゾル発生システムが必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様は、エアロゾル発生物品であって、気流チャネルと、エアロゾルを発生するための基材であって、気流チャネルの内部に配置されている、基材と、気流チャネルの内部に配置されたバルブであって、開放状態及び閉鎖状態を有する、バルブと、を備え、バルブが、開放状態にあるときに対して閉鎖状態にあるときに、気流チャネルを通る気流を制限するように構成されており、バルブが、形状記憶合金の遷移温度まで加熱されるとバルブが閉鎖状態から開放状態に変化するように配置された、形状記憶合金を含む、エアロゾル発生物品を提供する。
【0007】
形状記憶合金は、低温では塑性変形され得るが、各材料に対して固有の遷移温度まで加熱されると元の形状に戻ることができる、合金のクラスである。ニッケル-チタン及び銅-アルミニウム-ニッケルは、形状記憶合金の例である。
【0008】
物品が加熱されると、基材及びバルブの両方の温度が増加する。形状記憶合金材料が遷移温度に達するまで、バルブは閉鎖状態を維持して物品を通る気流を妨げ、形状記憶合金材料が遷移温度に達すると、バルブは開放し、ユーザが気流チャネルを通して空気を吸い込むことによってエアロゾルを消費することが可能になる。この構成により、バルブが閉鎖状態にある間、基材を含む気流チャネルを通って空気は流れることができず、基材の持続的な燃焼を防止するため、ユーザが物品に着火するのを防止する。また、物品が遷移温度に達するまで、発生したエアロゾルが気流チャネルの内部から放出されるのを防ぐため、バルブは、物品が最適な動作温度に近づくか又はそれになるまで、ユーザがエアロゾルを抽出するのを防止するように構成され得る。
【0009】
バルブの材料として形状記憶合金を選択することは、遷移温度においてバルブの形状が急激に変化するという事実により、特に有利である。これにより、物品が加熱されている間は気流チャンバが閉鎖されたままになり、いったんバルブがその遷移温度に達すると急速に開放する。対照的に、動作が熱膨張に依存するバルブ(例えば、バイメタルバルブ)は、温度が変化するにつれてはるかにゆっくりと形状を変化させる。これは、この目的に適した大部分の材料(例えば銅及びアルミニウム)の熱膨張率が、この種の物品が通常使用される温度範囲にわたって比較的一定であるという事実の結果である。したがって、熱膨張に依存するバルブは徐々に開く傾向があり、その結果、基材が必要とされる温度になる前に気流がチャネルを通るのをバルブが可能する結果となり得る。これにより、バルブが部分的に開放状態にある間にチャネルを通る気流を制限することによって、発生した蒸気の品質を低下させ、ユーザ体験を損なう可能性がある。本発明による形状記憶合金バルブの提供により、形状記憶合金バルブは遷移温度になるまで開放し始めないが、いったんこの温度になると、急速に全開放位置に切り替わってチャネルを通る気流の最大流量を迅速に達成することを可能にするという事実により、これらの限界を克服することができる。
【0010】
エアロゾル発生物品は、使い捨てエアロゾル発生物品であり得る。言い換えれば、エアロゾル発生物品は、使い捨てであり得る。これは、いったん基材が消費されると(例えば、エアロゾル発生装置における使用により、その例を以下に説明する)、物品を廃棄して交換すべきことが意図されていることを意味する。
【0011】
基材は、好ましくは、固体基材である。例えば、基材は、タバコを含む固体スティック又はペレットの形態を有し得る。
【0012】
気流チャネルは、好ましくは、シェルによって画定される。一般に、シェルは、気流チャネルを画定し、且つ上記で画定された方法で基材及びバルブを包含することができる任意の構造であり得る。シェルは、例えば、紙、カード、又は適切なポリマー材料で作成され得る。
【0013】
気流チャネルは、好ましくは、形状が直線であり、例えば円筒形である。これにより、気流チャネルの内部の基材、バルブ、及び他の構成要素を直線的に配置することが可能になる。円筒形状は、提供される場合、上述のシェルの形状によって画定され得る。
【0014】
好ましくは、形状記憶合金は、バルブが閉鎖状態にあるときに第1の形態にあり、且つバルブが開放状態にあるときに第2の形態にあるように構成されており、形状記憶合金は、第1の形態にある間に遷移温度まで加熱されると、形状記憶合金が第1の形態から第2の形態に遷移してバルブを閉鎖状態から開放状態に変化させるように配置されている。したがって、バルブの動作は、1つの形状から別の形状に変化する際の形状記憶合金が作用によって制御される。
【0015】
好ましい実装形態では、バルブは、バルブが閉鎖状態にあるときに気流チャネルを実質的に閉鎖するように配置されたフラップと、形状記憶合金材料を含み、且つフラップに機械的に接続された作動部分と、を備え、バルブが閉鎖状態にある間にバルブが遷移温度まで加熱されると、作動部分がフラップを移動させて気流チャネルを開放するように配置されている。これらの実施形態では、バルブが閉鎖状態にあるとき、フラップは気流チャネルを遮断する。これにより、チャネルを通る気流を妨げる。バルブが開放状態にあるとき、フラップは、チャネルを通る気流を、閉鎖状態にあるときよりも少ない程度に妨げる(好ましくは、実質的に全く妨げない)必要がある。作動部分は、バルブが閉鎖状態にあるときに上記で言及された第1の形態を有することができ、バルブが開放状態にあるときに上記で言及された第2の形態を有することができる。
【0016】
特に好ましい実装形態では、作動部分及びフラップは、互いに一体である。バルブは、例えば、形状記憶合金材料のシートを切断又は型抜きすることによって、この構成で容易に製造することができる。しかしながら、フラップは、例えば、金属又はポリマーなどの異なる材料で形成され、バルブに取り付けられてもよい。
【0017】
いくつかの好ましい実施形態では、バルブは、誘導加熱可能である。バルブが時間的に変化する磁場内に配置されると、バルブの温度(したがって形状記憶合金の温度)が増加することになり、これは後述するように、基材を加熱するために使用され得る。これにより、バルブは遷移温度に達し、正しく開放することを確実にする。形状記憶合金は導電性であるため(したがって、誘導加熱を引き起こす渦電流の形成を受けやすい)、単にバルブ全体を形状記憶合金で形成することによって、この特性を達成することができる。更に、形状記憶合金は、通常、永久磁化され得る。この場合、形状記憶合金は、振動磁場内に配置されると、磁場の変化によって引き起こされる磁化が繰り返し変化することにより、熱を生成することになる。これらの2つのメカニズムはそれぞれ、バルブの加熱に寄与する。上述したように、バルブは、形状記憶合金で形成された単一の一体型ユニットであり得る。しかしながら、バルブは、少なくとも1つが誘導加熱可能である限り、上記のようにいくつかの異なる材料を組み込むことができる。
【0018】
形状記憶合金材料は、経時的に変化する磁場に配置されると(例えば、後述するように、基材が誘導加熱されると)、誘導加熱を経験することになる。形状記憶合金材料の過熱は、例えば、基材、及び/又は気流チャネルを画定する材料を焦がすなど、様々な問題を引き起こす可能性がある。したがって、特に好ましい実施形態では、形状記憶合金材料は、バルブが開放状態にあるときに実質的に平坦であるように構成されている。形状記憶合金材料は、開放状態において磁場と平行な平面内に位置するように配向させることができ、それによって、遮断される磁束を最小化し、したがって誘導加熱される速度を低減することができる。形状記憶合金は、例えば、開放状態のときに気流チャネルの壁と平行になるように配置され得る。これにより、バルブが開放状態にあるときに、形状記憶合金による気流チャネルの遮断を最小化することができるという更なる利点を提供する。
【0019】
形状記憶合金材料は、好ましくは200℃未満、より好ましくは100℃未満のキュリー温度を有する。時間的に変化する磁場にあるとき、形状記憶合金材料は、磁場の強さ及び方向が変化することによって引き起こされる永久磁化の変化に部分的に起因する加熱を経験する。キュリー温度超では、永久磁化が存在し得ないため、この特徴は、形状記憶合金材料が使用中に過熱する可能性を低減する。
【0020】
好ましい実装形態では、エアロゾル発生物品は、基材を加熱するための1つ以上の誘導加熱可能なサセプタを備え、1つ以上の誘導加熱可能なサセプタは、気流チャネルの内部に配置されている。エアロゾル発生物品は、(物品が装填されるエアロゾル発生装置によって提供され得る)時間的に変化する磁場内に配置され得、これにより、サセプタを加熱し、その結果、基材を加熱することになる。これにより、基材が加熱される均一性を改善する。特に好ましい実施形態では、誘導加熱可能なサセプタが基材に組み込まれている。これにより、基材が加熱される均一性を更に改善する。
【0021】
エアロゾル発生物品は、好ましくは、材料部分によって発生したエアロゾルを濾過するためのフィルタを含む。フィルタは、例えば、気流チャネルの内部に配置され得る。フィルタは、通過するエアロゾルを冷却するように構成され得る。
【0022】
本発明の第2の態様は、本発明の第1の態様によるエアロゾル発生物品と、使用時に基材を加熱するように配置された加熱装置と、を含むエアロゾル発生システムを提供する。加熱装置は、発生した蒸気の吸入による消費を容易にする手持ち式装置とすることができ、加熱装置に電力を供給するための電源、及びユーザにより物品からエアロゾルが引き込まれ得るチャンバと流体連通しているマウスピースなどの追加の特徴を含むことができる。
【0023】
加熱装置は、好ましくは、加熱装置によって加熱されている間にエアロゾル発生物品を保持するように適合され、且つそこからエアロゾル発生物品を取り出すことができるチャンバを備える。これにより、エアロゾル発生物品がいったん消費されると取り外して交換することを可能にし、これは、提供されるエアロゾル発生物品が使い捨ての種類のものである場合に特に便利である。例えば、チャンバは、エアロゾル発生物品を受容し、取り出すことができる開口部を備えることができる。
【0024】
本発明の第2の態様によるシステムでは、エアロゾル発生物品は、好ましくは、基材を加熱するための1つ以上の誘導加熱可能なサセプタを備え、1つ以上の誘導加熱可能なサセプタは、気流チャネルの内部に配置されている。本発明の第1の態様を参照して上述したこれらの特徴の議論は、ここでも同じく適用される。
【0025】
エアロゾル発生物品が1つ以上の誘導加熱可能なサセプタを備える場合、加熱装置は、好ましくは、使用時に、1つ以上の誘導加熱可能なサセプタの加熱に適した振動磁場を生成するように構成されたインダクタを備える。有利には、インダクタは、電動コイル、例えばらせん状コイルを備え得る。そのようなコイルを電流が通過するときにその内部で生成される磁場は、コイルが巻かれた軸に沿って磁力線が互いに平行に走るため、強力で均一性が高くなり得る。したがって、コイルは、エアロゾル発生物品をその内部に配置できるように、好ましくは気流チャネルがコイルと同心になるように適合され得る。特に好ましい実施形態では、コイルは、上述の種類のチャンバを取り囲むように配置することができ、これにより、エアロゾル発生物品をコイルの内部に容易に配置し、そこから容易に取り出すことができる。
【0026】
ここで、本発明によるエアロゾル発生装置の一例を、添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】(a)開放状態及び(b)閉鎖状態での、本発明の実施形態における使用に適したバルブを示す図である。
図2】本発明の一実施形態によるエアロゾル発生物品の断面図である。
図3】本発明の第2の態様によるエアロゾル発生システムの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1(a)及び図1(b)は、本発明によるエアロゾル発生物品における使用に適したバルブ101の一例を示している。バルブは、作動部分105に取り付けられた楕円形状のフラップ103を含む。
【0029】
作動部分105は、形状記憶合金材料で形成されている。形状記憶合金は、その遷移温度よりも低いときに、第1の形態を有し、遷移温度まで加熱されると、第2の形態に遷移する。第1の形態にあるとき、図1(a)に示されるように、作動部分105は、湾曲形状を有する。作動部分105が遷移温度まで加熱されると、作動部分105は、図1(b)に示される平坦な形状である第2の形態に遷移する。作動部分105が第1の形態から第2の形態に遷移すると、フラップ103を移動させる。後で示されるように、作動部分105の第1及び第2の形態は、バルブ101の閉鎖及び開放状態を画定することができる。
【0030】
フラップ103は、作動部分105と同じ形状記憶合金で形成することができ、この場合、バルブ101は、単一の一体型ユニットとして形成され得る。しかしながら、フラップ103自体は、形状記憶合金によって可能になるように形状を変化させる必要はないため、これは必須ではない。したがって、フラップ103は、例えば金属又はポリマーから別個に製造され、作動部分105に取り付けられ得る。
【0031】
図2(a)は、本発明の一実施形態によるエアロゾル発生物品201の断面図を示している。エアロゾル発生物品201は、シェル203を含み、シェル203は、エアロゾル発生物品201の構成要素がその内部に配置される気流チャネル211を画定する。シェル203は、形状が円筒形であり、例えば、紙、厚紙、又は適切なポリマーベースの材料で作成され得る。
【0032】
材料部分213は、物品201の一端で、気流チャネル211の内部に配置されている。材料部分は、基材205を含み、これが加熱されると、吸入による消費に適したエアロゾルを発生する。基材には、例えば再構成タバコの形態のタバコ、又は加熱されると吸入による消費に適した蒸気を発生する任意の他の基材を含み得る。また、保湿剤、芳香剤、香料などの添加物が含まれてもよい。この例では、材料部分213はまた、基材205に組み込まれた複数の誘導加熱可能なサセプタ207を含む。時間的に変化する磁場内に配置されると、サセプタ207は、電磁場から受け取った電磁エネルギーを熱に変換し、次いで基材205を加熱する。サセプタ207は、例えば、アルミニウム、鉄、ニッケル、ステンレス鋼、又は合金(例えば、ニッケルクロム若しくはニッケル銅)で作成され得る。この例では、各サセプタ207は、気流チャネル211の方向に沿って延びる細長いストリップ又はロッドの形態を有する。
【0033】
気流チャネル211の他端には、フィルタ209がある。フィルタ209は、基材205によって発生したエアロゾルがユーザによって吸い込まれ、通過するエアロゾルを冷却することを可能にする。フィルタ209は、従来のシガレットフィルタの外観及び触覚を模倣するように適合され得る。
【0034】
図1(a)及び図1(b)を参照して上述したバルブ101は、基材205とフィルタ209との間の気流チャネル211の内部に配置されている。作動部分105は、(例えば、接着剤によって)シェル203の内面に取り付けられている。図2(a)では、バルブ101は遷移温度を下回っており、作動部分は、上述の第1の形態を有している。フラップ103は、気流チャネル211を閉鎖して、物品201を通る気流を妨げるように、シェル203の表面から離れて突出している。この例では、フラップ103は、垂直でない角度で気流チャネル211の内面から離れて突出し、フラップ103の楕円形状は、気流チャネル211の円筒形状と協働して、フラップ103がこの位置にあるときに気流チャネル211がほとんど又は完全に閉鎖される。バルブ101が閉鎖状態にある間、物品201を通して空気を吸い込むことができないため、基材205の持続的な燃焼を達成することは非常に困難である。これにより、ユーザが従来のシガレットのような方法で物品201に火をつけることを防止し、バルブ101を開放させるように物品201を加熱することができる適切な装置を使用することによってのみ、物品201を消費することができることを確実にする。
【0035】
上述したように、作動部分105は、形状記憶合金の遷移温度まで加熱されると、第2の形態に遷移する。これが起こると、作動部分105は、フラップ103がシェル203の内面に対して平坦になるようにフラップ103を移動させる。したがって、作動部分105の第2の形態は、バルブ101の開放状態を画定し、フラップは実質的に気流チャネル211を遮断せず、空気はユーザが物品201を通して吸い込むことができる。図2(b)は、バルブ101が開放状態にあるときの物品201を示している。
【0036】
バルブ101が形状記憶合金の遷移温度に達する速度は、基材が加熱される速度に対して、バルブ101の特性を変化させることによって制御することができる。バルブ101の総熱容量は、フラップ103及び作動部分105が形成される材料、及びこれらの構成要素の寸法にも依存する(なぜなら、バルブ101内の所与の材料の量が増加すると、バルブ101の熱容量もまた増加するからである)。バルブ101の熱容量が増加すると、遷移温度に達する前により多くの量の熱を吸収及び保持しなければならない。したがって、バルブ101の材料及び寸法を選択して適切な熱容量を提供することにより、バルブ101が開放する時間まで、物品201、したがって基材205に供給されることになる量の熱をより多く又はより少なくなるように、(物品201の加熱の開始に対する)バルブ101が開放する時間を変化させることができる。
【0037】
物品101の使用中にバルブ101の加熱に寄与するプロセスをここで論じる。この例では、基材205は、複数の誘導加熱可能なサセプタ207を含み、サセプタ207は、上記で説明したように、気流チャネル211が延びる方向に沿って整列される(又はそれに沿って実質的な成分が整列される)時間的に変化する磁場内に配置されると、熱を生成する。サセプタ207は周囲の基材205を加熱し、これによりエアロゾルが放出される。エアロゾルは、バルブ101が配置されている気流チャネル211のセクションを満たし、したがってバルブ101を加熱する。いくつかの実施形態では、バルブ101は、バルブ101が開放状態に変化するように作動部分105を第2の形態に遷移させるために、エアロゾルのみによる加熱で十分であるように構成され得る。
【0038】
バルブ101、特に(作動部分105を形成し、いくつかの実施形態ではフラップ103も形成する)形状記憶合金はまた、時間的に変化する磁場内に配置されると熱を発生するように構成され得る。この加熱は、2つの主なモードによって生じる。第1のモードは、時間変化する電磁場によって、(形状記憶合金を含むが必ずしもこれに限定されない)バルブ内の導電性材料に誘導される渦電流による抵抗性加熱である。第2のモードは、電磁場の変化によって引き起こされる形状記憶合金(及びバルブ内の任意の他の磁化可能材料)の磁化の変化による熱の生成である。この熱生成の第2のモードは、形状記憶合金がそのキュリー温度を下回っている場合にのみ生じることができ、その温度を上回ると永久磁化は存在しない。上述したように、バルブ101を形成する材料のキュリー温度は、バルブ101が開放状態にあるときにこの熱生成モードが停止するように十分に低いことが好ましい。
【0039】
図2(b)に見られ得るように、バルブ101が開放状態にあるとき、フラップ103及び作動部分105は、実質的に平坦な構成をとる。第1に、これにより、開放しているときに、バルブ101による気流チャネル211の遮断が最小化される。また、サセプタ207を加熱するのに適した種類の振動磁場、すなわち気流チャネル211が延びる方向に実質的に沿って整列される振動磁場の内部に物品が配置されたときに、バルブ101によって遮断される磁束を最小化する。その結果、バルブ101が開放状態にあるとき、バルブ101がそのような磁場によって誘導加熱される速度が、大幅に低減する。これにより、バルブ101が過度に高温に達することを防ぎ、次いで、シェル203、フィルタ209、及び基材205がバルブ101によって焦げることを防止することができる。
【0040】
これまで、物品101の構成要素の振動磁場との相互作用による熱生成モードについて説明してきた。しかしながら、物品201が上述のように誘導加熱可能なサセプタ207を含むことは必須ではない。サセプタ207が省略される場合、エアロゾルを発生するのに十分な温度を達成するために、材料部分213(又は実際には物品201全体)を実質的に均一に加熱するオーブン内に、物品201を単に配置することができる。その場合、バルブ101は、物品101の全体的な加熱、及び基材205によって放出される高温エアロゾルの存在の結果として、加熱されることになる。上記の例のように、バルブ101の特性(例えば、バルブ及び作動部分の材料及び形状及び厚さ)は、物品101が特定の所望の温度に達したときに開放状態への遷移が生じるように制御することができる。
【0041】
図3は、本発明の第2の態様によるエアロゾル発生システムの一部の断面図である。システムは、らせん状コイル301の形態のインダクタを含む。システムはまた、図2を参照して上述したように、エアロゾル発生物品201を含む。物品201は、コイル301と気流チャネル211とが互いに同心となるように、コイル301の内部に配置される。コイル301に交流電流が通過すると、振動磁場が生成されて、コイル内部で、気流チャネル211の方向に沿って整列される。これにより、上述の方法でサセプタ207を加熱し、また、バルブ101を誘導及び/又は磁気熱損失によって加熱させることもできる。
【0042】
システムは、ここに示されていない他の構成要素を含み得る。コイル301は、物品101を保持するのに適したチャンバの内部に、又はチャンバを取り囲んで配置され得る。チャンバは、ユーザがマウスピース上で吸い込むことによってエアロゾルを消費できるように、物品を通して空気を一緒に吸い込む(それによって、空気は入口を通って入り、マウスピースを介して出ていく)ことを可能にする、入口及びマウスピースと流体連通することができる。チャンバは、コイル301によって加熱されている間、エアロゾル発生物品201を保持するように適合され得、その結果、エアロゾル発生物品201は、使用後に、例えばチャンバの開口部を通してチャンバから取り出すことができる。コイルを組み込んだ装置はまた、使用時にコイル301に電力を供給する電源(例えば、再充電可能バッテリ)を含み得る。いったん物品101が使い果たされると、廃棄のために装置から排出され、新しい物品と交換することができる。
図1(a)】
図1(b)】
図2(a)】
図2(b)】
図3
【国際調査報告】