(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-31
(54)【発明の名称】癌を処置するためのBcl-2阻害薬と低メチル化剤との組合せ、その使用及び医薬組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/5377 20060101AFI20230824BHJP
A61K 31/706 20060101ALI20230824BHJP
A61K 31/7084 20060101ALI20230824BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230824BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20230824BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230824BHJP
【FI】
A61K31/5377
A61K31/706
A61K31/7084
A61P35/00
A61P35/02
A61P43/00 121
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023505990
(86)(22)【出願日】2021-07-30
(85)【翻訳文提出日】2023-03-23
(86)【国際出願番号】 EP2021071368
(87)【国際公開番号】W WO2022023514
(87)【国際公開日】2022-02-03
(32)【優先日】2020-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500287019
【氏名又は名称】レ ラボラトワール セルヴィエ
(71)【出願人】
【識別番号】504389991
【氏名又は名称】ノバルティス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】デッサン,エメリン
(72)【発明者】
【氏名】マーンケ,リサ
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC73
4C086EA16
4C086GA07
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA05
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC75
(57)【要約】
低メチル化剤と共にBcl-2阻害薬を含む組合せ、癌の処置における使用及びその医薬組成物。Bcl-2阻害薬は、5-(5-クロロ-2-{[(3S)-3-(モルホリン-4-イルメチル)-3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル]カルボニル}フェニル)-N-(5-シアノ-1,2-ジメチル-1H-ピロール-3-イル)-N-(4-ヒドロキシフェニル)-1,2-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドであり、そして低メチル化剤は、デシタビン、アザシチジン及びグアデシタビンから選択される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)下記式:
【化6】
で示される、5-(5-クロロ-2-{[(3S)-3-(モルホリン-4-イルメチル)-3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル]カルボニル}フェニル)-N-(5-シアノ-1,2-ジメチル-1H-ピロール-3-イル)-N-(4-ヒドロキシフェニル)-1,2-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミド(「化合物A」)であるBcl-2阻害薬、及び
(b)デシタビン、アザシチジン及びグアデシタビンから選択される低メチル化剤、
を含む、同時、連続、又は個別の使用のための組合せ。
【請求項2】
低メチル化剤が、アザシチジンである、請求項1記載の組合せ。
【請求項3】
化合物Aが、硫酸水素塩の形態である、請求項1又は2記載の組合せ。
【請求項4】
癌の処置に使用するための、請求項1~3のいずれか一項記載の組合せ。
【請求項5】
癌が、血液学的悪性腫瘍である、請求項4記載の使用のための組合せ。
【請求項6】
血液学的悪性腫瘍が、急性骨髄性白血病(AML)である、請求項5記載の使用のための組合せ。
【請求項7】
血液学的悪性腫瘍が、骨髄異形成症候群である、請求項5記載の使用のための組合せ。
【請求項8】
血液学的悪性腫瘍が、リンパ腫である、請求項5記載の使用のための組合せ。
【請求項9】
血液学的悪性腫瘍が、慢性リンパ球性白血病である、請求項5記載の使用のための組合せ。
【請求項10】
血液学的悪性腫瘍が、多発性骨髄腫である、請求項5記載の使用のための組合せ。
【請求項11】
化合物A及び低メチル化剤が、癌の処置に共同で治療上有効な量で提供される、請求項4~10のいずれか一項記載の使用のための組合せ。
【請求項12】
化合物A及び低メチル化剤が、癌の処置に相乗的に有効な量で提供される、請求項4~10のいずれか一項記載の使用のための組合せ。
【請求項13】
化合物A及び低メチル化剤が、有効な癌処置を提供しながら最終的に副作用を減少させる、癌の処置において各化合物に必要とされる用量の減少を可能にする相乗的に有効な量で提供される、請求項12記載の使用のための組合せ。
【請求項14】
化合物Aが、非経口投与、より詳細には静脈内投与される、請求項4~13のいずれか一項記載の使用のための組合せ。
【請求項15】
1回の投与あたりの化合物Aの用量が、25mg~1000mgである、請求項14記載の使用のための組合せ。
【請求項16】
化合物Aが、週1回投与される、請求項15記載の使用のための組合せ。
【請求項17】
化合物A及びアザシチジンが、以下のとおり:
(i)化合物Aは、1日目(D1)、8日目(D8)、15日目(D15)及び22日目(D22)に投与され、そして
(ii)アザシチジンは、5-2-2スケジュール:
-連続5日間(D1-D5)、これに続き2日間の中断(D6-D7)、その後2日間(D8-D9)
により投与され、
-これに19日間の休薬期間が続く
28日周期で投与される、請求項16記載の使用のための組合せ。
【請求項18】
更に1種以上の賦形剤を含む、請求項1~3のいずれか一項記載の組合せ。
【請求項19】
癌の処置用の医薬品の製造における、請求項1~3のいずれか一項記載の組合せの使用。
【請求項20】
癌が、血液学的悪性腫瘍である、請求項19記載の使用。
【請求項21】
血液学的悪性腫瘍が、急性骨髄性白血病(AML)である、請求項20記載の使用。
【請求項22】
血液学的悪性腫瘍が、骨髄異形成症候群である、請求項20記載の使用。
【請求項23】
血液学的悪性腫瘍が、リンパ腫である、請求項20記載の使用。
【請求項24】
血液学的悪性腫瘍が、慢性リンパ球性白血病である、請求項20記載の使用。
【請求項25】
血液学的悪性腫瘍が、多発性骨髄腫である、請求項20記載の使用。
【請求項26】
別々に又は一緒に以下:
(a)下記式:
【化7】
で示される、5-(5-クロロ-2-{[(3S)-3-(モルホリン-4-イルメチル)-3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル]カルボニル}フェニル)-N-(5-シアノ-1,2-ジメチル-1H-ピロール-3-イル)-N-(4-ヒドロキシフェニル)-1,2-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミド(「化合物A」)である、Bcl-2阻害薬、及び
(b)低メチル化剤、好ましくはアザシチジン
を含有する、同時、連続、又は個別の投与のための医薬品であって、化合物A及び低メチル化剤が癌の処置に有効な量で提供される医薬品。
【請求項27】
共同で治療上有効な量の以下:
(a)下記式:
【化8】
で示される、5-(5-クロロ-2-{[(3S)-3-(モルホリン-4-イルメチル)-3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル]カルボニル}フェニル)-N-(5-シアノ-1,2-ジメチル-1H-ピロール-3-イル)-N-(4-ヒドロキシフェニル)-1,2-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミド(「化合物A」)である、Bcl-2阻害薬、及び
(b)低メチル化剤
をそれらを必要とする対象に投与することを含む、癌を処置する方法。
【請求項28】
(i)少なくとも1つの化学療法処置に抵抗性であるか、又は(ii)化学療法による処置後に再発しているか、あるいは(i)及び(ii)の両方である患者を感作させる方法であって、共同で治療上有効な量の下記式:
【化9】
で示される、5-(5-クロロ-2-{[(3S)-3-(モルホリン-4-イルメチル)-3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル]カルボニル}フェニル)-N-(5-シアノ-1,2-ジメチル-1H-ピロール-3-イル)-N-(4-ヒドロキシフェニル)-1,2-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミド(「化合物A」)を低メチル化剤と組合せて前記患者に投与することを含む方法。
【請求項29】
低メチル化剤が、アザシチジンである、請求項27又は28記載の方法。
【請求項30】
化合物A及びアザシチジンが、以下のとおり:
(iii)化合物Aは、1日目(D1)、8日目(D8)、15日目(D15)及び22日目(D22)に投与され、そして
(iv)アザシチジンは、5-2-2スケジュール:
-連続5日間(D1-D5)、これに続き2日間の中断(D6-D7)、その後2日間(D8-D9)
により投与され、
-これに19日間の休薬期間が続く
28日周期で投与される、請求項29記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、Bcl-2阻害薬と、デシタビン、アザシチジン及びグアデシタビンから選択される低メチル化剤(HMA)との、更に詳細にはアザシチジンとの組合せに関する。Bcl-2阻害薬は、5-(5-クロロ-2-{[(3S)-3-(モルホリン-4-イルメチル)-3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル]カルボニル}フェニル)-N-(5-シアノ-1,2-ジメチル-1H-ピロール-3-イル)-N-(4-ヒドロキシフェニル)-1,2-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミド(本明細書では「化合物A」と呼ばれる)、又はその薬学的に許容し得る塩である。本発明はまた、癌、特に血液学的悪性腫瘍、そして更に詳細には急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、リンパ腫、慢性リンパ球性白血病(CLL)及び多発性骨髄腫の処置における前記組合せの使用に関する。また、そのような組合せの投与に適した医薬製剤が提供される。本明細書に使用されるとき「化合物A」は、薬学的に許容し得るその塩を包含してもよい。
【0002】
各AML症例には複数のクローン内に複数の後天的変異が存在するため、選択的ターゲティングの成功という概念が特に困難になる。多様でマルチクローンの分子組成を有する癌が、Bcl-2の阻害薬と、無差別に細胞アポトーシスを効果的に活性化することができる細胞毒性薬物との組合せで成功裏に処置することが可能であり、これによりBcl-2阻害薬又は低メチル化剤を別々に使用して達成されるものを超える幅広い癌細胞の細胞死に導くという概念を、本発明は提案する。このアプローチは、一例として、疾患の再発率の低下とAMLの全体的な治癒率の向上につながる可能性がある。AMLは、デジタルPCR及びRT-qPCRを使用して、処置によるクローン組成の変化を連続的に定量的に測定できるため、モデル例として提案されている。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
アポトーシスは、発癌性ストレス及び化学療法剤を包含する、種々の細胞毒性刺激によって開始される高度に調節された細胞死経路である。アポトーシスの回避は癌の特徴であり、多くの化学療法剤の有効性は内因性ミトコンドリア経路の活性化に依存していることが示されている。Bcl-2ファミリータンパク質の3つの異なるサブグループが内因性アポトーシス経路を制御する:(i)アポトーシス促進BH3(Bcl-2相同3)のみのタンパク質;(ii)Bcl-2自体、Bcl-xl、Bcl-w、Mcl-1及びBcl-2a1などの生存促進メンバー;並びに(iii)アポトーシス促進エフェクタータンパク質BAX及びBAK(Czabotar et al., Nature Reviews Molecular Cell Biology 2014, 15, 49-63)。Bcl-2ファミリーの抗アポトーシスメンバーの過剰発現は、多くの癌、特にマントル細胞リンパ腫(MCL)、濾胞性リンパ腫/びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(FL/DLCL)及び多発性骨髄腫などの血液学的悪性腫瘍において観察される(Adams and Cory, Oncogene 2007, 26, 1324-1337)。ABT-199(ベネトクラクス(venetoclax))、ABT-263(ナビトクラックス(navitoclax))、S55746/BCL201及びS63845などの最近開発されたBH3模倣薬による抗アポトーシスタンパク質Bcl-2、Bcl-xl、Bcl-w及びMcl-1の薬理学的阻害は、アポトーシスを誘導し、癌の腫瘍退縮を引き起こす治療戦略として現れた(Zhang et al., Drug Resist. Updat. Updat. 2007, 10, 207-217; Casara et al., Oncotarget 2018, Vol.9, No.28 、20075-20088 and corresponding Supplementary Information; Kotschy et al., Nature 2016, 538, 477-482)。それにもかかわらず、BH3模倣薬に対する耐性のメカニズムが観察されており(Choudhary et al., Cell Death and Disease 2015, 6, e1593)、そして併用療法の利用が、有効性を改善し、耐性の発生を遅らせたり、抑止したりする可能性がある。
【0004】
急性骨髄性白血病(AML)は、造血幹細胞のクローン性形質転換に起因して、正常な骨髄機能の麻痺につながり、高度の汎血球減少症の合併症によって死亡に至る、急性致死性血液癌である。AMLは、全ての成人白血病の25%を占め、発生率が最も高いのは米国、オーストラリア及びヨーロッパである(WHO. GLOBOCAN 2012. Estimated cancer incidence, mortality and prevalence worldwide in 2012. International Agency for Research on Cancer)。世界中で、毎年約88,000の新しい症例が診断されている。AMLは、全ての白血病の中で最も低い生存率を有し続け、予測5年生存率はわずか26.9%である。未処置患者は、数週間以内にAMLで死亡する(Institute NC. Cancer Stat Facts: AML, 2017)。AMLの発生率は、年齢と共に約10倍に増加し、65歳未満の10万人あたり1.3症例から65歳以上の10万人あたり12.2症例に増加する(De Kouchkowsky et al, Blood Cancer J. 2016; 6( 7):e44)。高齢の患者は、AMLの管理に課題を提示する。この集団では、AMLは、好ましくない核型及びより高い突然変異負荷を特徴とする。更には、以前のMDS又は以前の化学療法に関連する二次性AMLの発生率が、現在の標準治療レジメンに耐えることが困難である可能性があり、処置関連の死亡率が予測される抗白血病反応を超える可能性があるこの集団では高くなる。AMLの再燃又は再発率がより高いせいで、効果的な第一選択療法の必要性が高い。
【0005】
AMLの処置のための現在の集中治療法には、シタラビンの単独投与、又はダウノルビシン若しくはイダルビシンなどのアントラサイクリンとの組合せ投与が含まれる。低用量のシタラビン処置、ならびにアザシチジン及びデシタビンなどの脱メチル化剤もまた、強化化学療法の対象外の患者に対する低強度の選択肢として推奨される(Dohner et al., DOI 10.1182/blood-2016-08-733196)。AMLの標準治療法 (シタラビンとアントラサイクリンとの組合せ)は40年以上前に考案されたが、この疾患に対する標的療法の導入の成功は、達成困難な目標のままである。AMLにおける標的療法の概念は、この疾患が、薬物耐性及び疾患再発の主な原因である白血病性サブクローンの急速な増殖を伴う多クローン性階層として進行することの認識によって妨げられてきた(Ding et al., Nature 2012, 481, 506-510)。最近の臨床研究では、AMLの処置におけるBcl-2阻害薬の有効性が実証されている(Konopleva et al., American Society of Hematology 2014, 118)。
【0006】
近年、AMLのゲノム及びエピゲノムの状況について多くのことが分かってきており、デノボ及び二次性AMLの両方のクローン構造が解明され始めている。新しい標的療法が、AMLの処置用に開発中であるか、あるいは米国食品医薬品局(FDA)及び/又は欧州医薬品庁(EMA)によって承認されている。実際、FLT3阻害薬のミドスタウリン及びギルテリチニブ、抗体薬物複合体のゲムツズマブ・オゾガマイシン、CPX-351(リポソームのダウノルビシン及びシタラビン)、IDH2阻害薬のエナシデニブ、IDH1阻害薬のイボシデニブ、ヘッジホッグ経路阻害薬のグラスデギブ(glasdegib)、及びBcl-2阻害薬のベネトクラクスが承認された。2018年に、ベネトクラクスは、HMAとの組合せによる強化化学療法の対象外である、第一選択療法に適さないAML患者における第I/II相試験の結果(完全奏効率に基づく)に基づいて、米国で迅速承認を取得した(DiNardo et al, Am J Hematol. 2018; 93:401-407; DiNardo et al, Lancet. 2018; 19 216-228; Wei et al, J Clin Oncol. 2019; 37:1277-1284)。2020年6月に、第III相確認試験の結果は、それまで未処置のAML患者において、HMAと組合せたベネトクラクスにより、アザシチジン単独と比較して死亡リスク(全生存[OS])が34%減少したことを示した。ベネトクラクスとアザシチジンの組合せはまた、アザシチジン単独の場合の28.3%と比較して、66.4%という高い複合完全奏効率(CR+不完全な血球数の回復を伴うCR[CR+CRi])に至った(p<0.001)(DiNardo et al, Abstract presented at EHA congress, June 2020)。
【0007】
AMLサブタイプの分子基盤、並びにFLT3変異体、IDH2変異体、CD33陽性AML、t-AML、及びAML-MRCの患者に対して承認された新しい標的療法(Wei et al, Blood 2017; 130(23) : 2469-2474)の理解が進んでいるにもかかわらず、かなりの割合のAML患者は処置の選択肢が限られている。新しい治療法が明らかに必要とされており、詳細には、細胞毒性薬の使用を回避する治療の組合せを開発する必要がある。
【0008】
もっと世界的には、前述のAML、骨髄異形成症候群、リンパ腫、慢性リンパ球性白血病及び多発性骨髄腫を包含する、血液学的悪性腫瘍の処置のための新しい処置法及び治療法が依然として必要とされている。これに関連して、本発明は、Bcl-2阻害薬、即ち、化合物Aと、デシタビン、アザシチジン及びグアデシタビンから選択される低メチル化剤との、より好ましくはアザシチジンとの新規な組合せを提供する。
【0009】
化合物Aの構造は、下記式:
【0010】
【化1】
で示される、5-(5-クロロ-2-{[(3S)-3-(モルホリン-4-イルメチル)-3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル]カルボニル}フェニル)-N-(5-シアノ-1,2-ジメチル-1H-ピロール-3-イル)-N-(4-ヒドロキシフェニル)-1,2-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドである。化合物Aの調製法、癌の処置のためのBcl-2阻害薬としてのその使用、及びその医薬製剤は、WO2015/011400号に記載されており、その内容は引用例として取り込まれる。調製法は、WO2015/011400号の実施例386に塩酸塩の形態で具体的に開示されており、その硫酸水素塩はまたWO2020/089281号に記載されている。更には、化合物Aを含むシクロデキストリン系製剤は、WO2020/089286号に示されている。
【0011】
結果は、本発明によるBcl-2阻害薬である化合物Aとアザシチジンが、AML細胞株において相乗的に相互作用することを示している(
図1~4;表2)。
【発明の概要】
【0012】
本発明は、
(a)「化合物A」であるBcl-2阻害薬、及び
(b)デシタビン、アザシチジン及びグアデシタビンから選択される低メチル化剤、
を含む、同時、連続、又は個別の使用のための組合せに関する。
【0013】
好ましい実施態様において、低メチル化剤はアザシチジンである。
【0014】
別の実施態様において、化合物Aは非経口投与される。詳細には、このような投与は、経口投与と比較して高い曝露を達成し、患者間の曝露の変動を減少させるために、静脈内注入によるものである。
【0015】
特定の実施態様において、化合物Aは週に1回投与される。そのような投与スケジュールは、前臨床観察によって支持されるとおり、化合物Aの有効性がCmaxによって推進されると仮定することにより、有効性-忍容性プロフィールに関して最適であろう。好ましくは、アザシチジンは、以下のとおり5-2-2スケジュール:
-連続5日間(D1-D5)、これに続き2日間の中断(D6-D7)、その後2日間(D8-D9)
により投与され、
-これに19日間の休薬期間が続く
28日周期で投与される。
このような5-2-2アザシチジンのレジメン(ラベルで推奨される7-0レジメンの代わりに)は、化合物Aとアザシチジンの同時投与が各周期のD1及びD8に起こるため、両薬物の重要な曝露の重複を可能にする。前臨床の相乗効果が2つの薬剤間で観測されるため、この同時曝露は併用療法の活性を高めると期待される。
【0016】
別の実施態様において、化合物Aは、周期の最初の2週間の1日目(D1)、3日目(D3)、5日目(D5)及び8日目(D8)に投与され、D1、D3、D5及びD8に投与される単回用量は互いに同一である。更なる実施態様において、化合物Aは、周期の最初の2週間の1日目(D1)、2日目(D2)、3日目(D3)、4日目(D4)、5日目(D5)、8日目(D8)及び9日目(D9)に投与され、D1、D2、D3、D4、D5、D8及びD9に投与される単回用量は互いに同一である。好ましくは、アザシチジンは、先に詳述したとおり、28日周期で5-2-2スケジュールにより投与される。これらの投与スケジュールは、全ての周期での最初の1週間の曝露の重複を増やすことにより、アザシチジンと化合物Aとの間の相乗的な抗腫瘍活性の潜在力を最大化することを目的とする。
【0017】
更には、ベネトクラクスなどの毎日投与される薬物と比較して、化合物Aの最高最低比が様々であり、濃度検出不能の時間が長いことは、特に骨髄に対してより良い効果が期待されることを意味するが、骨髄は回復するのに時間が必要であり、そしてベネトクラクスの一貫した投薬の制限因子である。血球減少症(好中球減少症を含む)がベネトクラクスと比べて改善されるならば、AML及び多発性骨髄腫などの感染性合併症に特別な感受性を持つ適応症は、化合物Aとアザシチジンで処置される患者では、より扱いやすいかもしれない。
【0018】
別の実施態様において、本発明は、癌の処置、より詳細には、血液学的悪性腫瘍の処置に使用するための、本明細書に記載の組合せを提供する。AML、骨髄異形成症候群、リンパ腫及び多発性骨髄腫の処置が特に好ましい。より詳細には、AMLの処置が対象となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、2つの独立した実験でAML細胞株のOCI-AML3においてアザシチジンと組合せた化合物A(Bcl-2阻害薬)によって得られる、細胞増殖の阻害(左)及びLoeweの過剰阻害(右)についての例示的な細胞増殖阻害効果及び相乗効果組合せマトリックスを示す。用量マトリックスの値は、0(阻害なし)から100(完全阻害)の範囲である。Loeweの過剰マトリックスの値は、試験濃度での化合物A及びアザシチジンの単剤活性に基づいて計算された理論的相加性を超える増殖阻害の程度を表す。
【
図2】
図2は、2つの独立した実験でAML細胞株のHL-60においてアザシチジンと組合せた化合物A(Bcl-2阻害薬)によって得られる、細胞増殖の阻害(左)及びLoeweの過剰阻害(右)についての例示的な細胞増殖阻害効果及び相乗効果組合せマトリックスを示す。
【
図3】
図3は、2つの独立した実験でAML細胞株のMV4;11においてアザシチジンと組合せた化合物A(Bcl-2阻害薬)によって得られる、細胞増殖の阻害(左)及びLoeweの過剰阻害(右)についての例示的な細胞増殖阻害効果及び相乗効果組合せマトリックスを示す。
【
図4】
図4は、2つの独立した実験でAML細胞株のEOL-1においてアザシチジンと組合せた化合物A(Bcl-2阻害薬)によって得られる、細胞増殖の阻害(左)及びLoeweの過剰阻害(右)についての例示的な細胞増殖阻害効果及び相乗効果組合せマトリックスを示す。
【0020】
発明の詳細な説明
したがって本発明は、実施態様E1において、以下:
(a)下記式:
【0021】
【化2】
で示される(「化合物A」)であるBcl-2阻害薬、及び
(b)デシタビン、アザシチジン及びグアデシタビンから選択される低メチル化剤を含む、同時、連続、又は個別の使用のための組合せを提供する。
【0022】
E2.低メチル化剤がアザシチジンである、E1に記載の組合せ。
【0023】
E3.化合物Aが硫酸水素塩の形態である、E1又はE2に記載の組合せ。
【0024】
E4.癌の処置に使用するための、E1~E3のいずれか一項に記載の組合せ。
【0025】
E5.癌が血液学的悪性腫瘍である、E4に記載の使用のための組合せ。
【0026】
E6.血液学的悪性腫瘍が急性骨髄性白血病(AML)である、E5に記載の使用のための組合せ。
【0027】
E7.血液学的悪性腫瘍が骨髄異形成症候群である、E5に記載の使用のための組合せ。
【0028】
E8.血液学的悪性腫瘍がリンパ腫である、E5に記載の使用のための組合せ。
【0029】
E9.血液学的悪性腫瘍が慢性リンパ球性白血病である、E5に記載の使用のための組合せ。
【0030】
E10.血液学的悪性腫瘍が多発性骨髄腫である、E5に記載の使用のための組合せ。
【0031】
E11.化合物A及び低メチル化剤が、癌の処置に共同で治療上有効な量で提供される、E4~E10のいずれか一項に記載の使用のための組合せ。
【0032】
E12.化合物A及び低メチル化剤が、癌の処置に相乗的に有効な量で提供される、E4~E10のいずれか一項に記載の使用のための組合せ。
【0033】
E13.化合物A及び低メチル化剤が、有効な癌処置を提供しながら最終的に副作用を減少させる、癌の処置において各化合物に必要とされる用量の減少を可能にする相乗的に有効な量で提供される、E12に記載の使用のための組合せ。
【0034】
E14.化合物Aが非経口投与、より詳細には静脈内投与される、E4~E13のいずれか一項に記載の組合せ。
【0035】
E15.1回の投与あたりの化合物Aの用量が25mg~500mgである、E14に記載の組合せ。別の実施態様において、1回の投与あたりの化合物Aの用量は、25~1000mg又は25~1500mgである。
【0036】
E16.化合物Aが週1回投与される、E15に記載の組合せ。
【0037】
E17.化合物A及びアザシチジンが、以下のとおり:
(i)化合物Aは、1日目(D1)、8日目(D8)、15日目(D15)及び22日目(D22)に投与され、そして
(ii)アザシチジンは、5-2-2スケジュール:
-連続5日間(D1-D5)、これに続き2日間の中断(D6-D7)、その後2日間(D8-D9)
により投与され、
-これに19日間の休薬期間が続く
28日周期で投与される、E16に記載の組合せ。
【0038】
E18.化合物A及びアザシチジンが、以下のとおり:
(i)化合物Aは、周期の最初の2週間の1日目(D1)、3日目(D3)、5日目(D5)及び8日目(D8)に投与され(D1、D3、D5及びD8に投与される単回用量は互いに同一である)、
(ii)アザシチジンは、5-2-2スケジュール:
-連続5日間(D1-D5)、これに続き2日間の中断(D6-D7)、その後2日間(D8-D9)
により投与され、
-これに19日間の休薬期間が続く
28日周期で投与される、E14に記載の組合せ。
【0039】
E19.化合物A及びアザシチジンが、以下のとおり:
(i)化合物Aは、周期の最初の2週間の1日目(D1)、2日目(D2)、3日目(D3)、4日目(D4)、5日目(D5)、8日目(D8)及び9日目(D9)に投与され(D1、D2、D3、D4、D5、D8及びD9に投与される単回用量は互いに同一である)、
(ii)アザシチジンは、5-2-2スケジュール:
-連続5日間(D1-D5)、これに続き2日間の中断(D6-D7)、その後2日間(D8-D9)
により投与され、
-これに19日間の休薬期間が続く
28日周期で投与される、E14に記載の組合せ。
【0040】
E20.更に1種以上の賦形剤を含む、E1~E3のいずれか一項に記載の組合せ。
【0041】
E21.癌の処置用の医薬品の製造における、E1~E3のいずれか一項に記載の組合せの使用。
【0042】
E22.癌が血液学的悪性腫瘍である、E21に記載の使用。
【0043】
E23.血液学的悪性腫瘍が急性骨髄性白血病(AML)である、E22に記載の使用。
【0044】
E24.血液学的悪性腫瘍が骨髄異形成症候群である、E22に記載の使用。
【0045】
E25.血液学的悪性腫瘍がリンパ腫である、E22に記載の使用。
【0046】
E26.血液学的悪性腫瘍が慢性リンパ球性白血病である、E22に記載の使用。
【0047】
E27.血液学的悪性腫瘍が多発性骨髄腫である、E22に記載の使用。
【0048】
E28.別々に又は一緒に以下:
(a)下記式:
【0049】
【化3】
で示される、5-(5-クロロ-2-{[(3S)-3-(モルホリン-4-イルメチル)-3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル]カルボニル}フェニル)-N-(5-シアノ-1,2-ジメチル-1H-ピロール-3-イル)-N-(4-ヒドロキシフェニル)-1,2-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミド(「化合物A」)である、Bcl-2阻害薬、及び
(b)低メチル化剤、好ましくはアザシチジン
を含有する、同時、連続、又は個別の投与のための医薬品であって、化合物A及び低メチル化剤が癌の処置に有効な量で提供される医薬品。
【0050】
E29.共同で治療上有効な量の以下:
(a)下記式:
【0051】
【化4】
で示される、5-(5-クロロ-2-{[(3S)-3-(モルホリン-4-イルメチル)-3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル]カルボニル}フェニル)-N-(5-シアノ-1,2-ジメチル-1H-ピロール-3-イル)-N-(4-ヒドロキシフェニル)-1,2-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミド(「化合物A」)である、Bcl-2阻害薬、及び
(b)低メチル化剤
をそれらを必要とする対象に投与することを含む、癌を処置する方法。
【0052】
E30.(i)少なくとも1つの化学療法処置に抵抗性であるか、又は(ii)化学療法による処置後に再発しているか、あるいは(i)及び(ii)の両方である患者を感作させる方法であって、共同で治療上有効な量の下記式:
【0053】
【化5】
で示される、5-(5-クロロ-2-{[(3S)-3-(モルホリン-4-イルメチル)-3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル]カルボニル}フェニル)-N-(5-シアノ-1,2-ジメチル-1H-ピロール-3-イル)-N-(4-ヒドロキシフェニル)-1,2-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミド(「化合物A」)を低メチル化剤と組合せて前記患者に投与することを含む方法。
【0054】
E31.低メチル化剤がアザシチジンである、E29又はE30に記載の方法。
【0055】
E32.化合物A及びアザシチジンが、以下のとおり:
(i)化合物Aは、1日目(D1)、8日目(D8)、15日目(D15)及び22日目(D22)に投与され、そして
(ii)アザシチジンは、5-2-2スケジュール:
-連続5日間(D1-D5)、これに続き2日間の中断(D6-D7)、その後2日間(D8-D9)
により投与され、
-これに19日間の休薬期間が続く
28日周期で投与される、E31に記載の方法。
【0056】
E33.化合物A及びアザシチジンが、以下のとおり:
(iii)化合物Aは、周期の最初の2週間の1日目(D1)、3日目(D3)、5日目(D5)及び8日目(D8)に投与され(D1、D3、D5及びD8に投与される単回用量は互いに同一である)、
(iv)アザシチジンは、5-2-2スケジュール:
-連続5日間(D1-D5)、これに続き2日間の中断(D6-D7)、その後2日間(D8-D9)
により投与され、
-これに19日間の休薬期間が続く
28日周期で投与される、E31に記載の方法。
【0057】
E34.化合物A及びアザシチジンが、以下のとおり:
(iii)化合物Aは、周期の最初の2週間の1日目(D1)、2日目(D2)、3日目(D3)、4日目(D4)、5日目(D5)、8日目(D8)及び9日目(D9)に投与され(D1、D2、D3、D4、D5、D8及びD9に投与される単回用量は互いに同一である)、
(iv)アザシチジンは、5-2-2スケジュール:
-連続5日間(D1-D5)、これに続き2日間の中断(D6-D7)、その後2日間(D8-D9)
により投与され、
-これに19日間の休薬期間が続く
28日周期で投与される、E31に記載の方法。
【0058】
「化合物A」は、5-(5-クロロ-2-{[(3S)-3-(モルホリン-4-イルメチル)-3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル]カルボニル}フェニル)-N-(5-シアノ-1,2-ジメチル-1H-ピロール-3-イル)-N-(4-ヒドロキシフェニル)-1,2-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドを意味する。本明細書に使用されるとき「化合物A」は、その薬学的に許容し得る塩を任意選択的に包含する。
【0059】
「化合物A、H2SO4」は、5-(5-クロロ-2-{[(3S)-3-(モルホリン-4-イルメチル)-3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル]カルボニル}フェニル)-N-(5-シアノ-1,2-ジメチル-1H-ピロール-3-イル)-N-(4-ヒドロキシフェニル)-1,2-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドが、硫酸水素塩の形態であることを意味する。
【0060】
「遊離分子」及び「遊離塩基」は、本明細書では同義で使用され、塩の形態でない場合の化合物Aのことをいう。
【0061】
「組合せ」とは、1つの単位剤形(例えば、カプセル剤、錠剤、又はサシェ剤)での固定用量の組合せ、非固定用量の組合せ、又は化合物Aと1種以上の組合せパートナー(例えば、「治療薬」又は「補助剤(co-agent)」とも呼ばれる、以下に説明される別の薬物)が、同時に又は時間間隔内で別々に(特にこれらの時間間隔によって組合せパートナーが共同的効果、例えば、相乗効果を示すことができる場合に)独立して投与されてもよい組合せ投与用の要素のキットのいずれかを指す。
【0062】
本明細書に使用されるとき、「同時投与」又は「組合せ投与」などの用語は、選択された組合せパートナーの、それを必要とする単一の対象(例えば、患者)への投与を包含することを意味し、薬剤が必ずしも同じ投与経路によって、又は必ずしも同時に投与されるわけではない処置レジメンを包含することが意図される。
【0063】
「固定用量の組合せ」という用語は、活性成分、例えば、化合物A及び1種以上の組合せパートナーが、両方とも単一の存在又は用量の形態で同時に患者に投与されることを意味する。
【0064】
「非固定用量の組合せ」という用語は、活性成分、例えば、化合物A及び1種以上の組合せパートナーが、特定の時間制限なしに、同時に又は連続的にのいずれかで、別々の存在として両方とも患者に投与される(ここで、そのような投与は、患者の体内で2つの化合物の治療有効レベルを提供する)ことを意味する。後者はまた、カクテル療法、例えば、3種以上の活性成分の投与にも適用される。
【0065】
「癌」とは、一群の細胞が制御されない増殖を示す疾患の種類を意味する。想定される癌処置の中には、血液学的悪性腫瘍及び固形腫瘍の処置が挙げられてもよいが、何ら限定を意味するものではない。血液学的悪性腫瘍には、骨髄腫、特に多発性骨髄腫、リンパ腫、特に非ホジキンリンパ腫(NHL)、更にはびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、並びに白血病、特に慢性リンパ球性白血病(CLL)、T細胞性急性リンパ芽球性白血病(T-ALL)、B細胞性急性リンパ性白血病(B-ALL)、急性骨髄性白血病(AML)及び骨髄異形成症候群が包含される。固形腫瘍には、癌腫、肉腫、又は芽細胞腫が包含され、そしてより好ましくは、膀胱癌、脳腫瘍、乳癌、子宮癌、食道癌及び肝臓癌、大腸癌、腎癌、黒色腫、卵巣癌、前立腺癌、膵臓癌並びに肺癌、特に非小細胞肺癌及び小細胞肺癌が包含される。
【0066】
「Cmax」とは、薬物が投与された後、かつ2回目の投与が行われる前に、体の特定のコンパートメント又は試験領域で薬物が達成する最大(又はピーク)血清濃度である。
【0067】
「共同で治療上有効な」という用語は、治療剤が、処置される温血動物、特にヒトで、なおも(好ましくは相乗的な)相互作用(共同治療効果)を示すような時間間隔で別々に(時間的にずらして、特に順序を特定して)投与され得ることを意味する。これが事実であるかどうかは、とりわけ、少なくとも特定の時間間隔中に処置されるヒトの血中に両方の化合物が存在することを示す血中レベルを追跡することによって決定することができる。
【0068】
「相乗的に有効」又は「相乗効果」とは、2つ以上の薬剤の投与後に観測される治療効果が、各単一薬剤の投与後に観測される治療効果の合計よりも大きいことを意味する。
【0069】
本明細書に使用されるとき、任意の疾患又は障害の「処置する」、「処置すること」又は「処置」という用語は、1つの実施態様において、疾患又は障害を改善すること(即ち、疾患又はその臨床症状の少なくとも1つの進行を遅らせるか又は止めるか又は弱めること)を指す。別の実施態様において「処置する」、「処置すること」又は「処置」は、患者が識別できない可能性のあるものを含む少なくとも1つの身体的パラメータを軽減又は改善することを指す。更に別の実施態様において、「処置する」、「処置すること」又は「処置」は、身体的に(例えば、識別可能な症状の安定化)、生理的に(例えば、身体的パラメータの安定化)、又は両方のいずれかで、疾患又は障害を調節することを指す。
【0070】
本明細書に使用されるとき、ある対象がある処置から生物学的、医学的、又は生活の質において恩恵を得るような場合、このような対象はこのような処置を「必要として」いる。
【0071】
別の態様において、(i)少なくとも1つの化学療法処置に抵抗性であるか、又は(ii)化学療法による処置後に再発しているか、あるいは(i)及び(ii)の両方であるヒトを感作させる方法であって、本明細書に前記のとおり、化合物AであるBcl-2阻害薬を低メチル化剤と組合せて患者に投与することを含む方法が提供される。感作される患者は、本明細書に前記のとおり、低メチル化剤と組合せた化合物Aの投与を伴う処置に反応するか、又はそのような処置に耐性を生じていない患者である。
【0072】
「医薬品」とは、1種以上の賦形剤の存在下で1種以上の活性成分を含有する、医薬組成物、又は幾つかの医薬組成物の組合せを意味する。
【0073】
「AML」とは、急性骨髄性白血病を意味する。
【0074】
「標準治療薬」又は「標準治療の化学療法」には、イダルビシン、ダウノルビシン、ミトキサントロン、シタラビン、デシタビン、グアデシタビン又はアザシチジンが含まれる。詳細には、「標準治療薬」又は「標準治療の化学療法」はアザシチジンを意味する。
【0075】
本発明の医薬組成物において、活性成分の重量割合(組成物の総重量に対する活性成分の重量)は、5~50%である。
【0076】
本発明の医薬組成物の中では、経口、非経口そして特に静脈内、経皮(per- or trans-cutaneous)、鼻内、直腸内、経舌、眼内又は呼吸経路による投与に適したもの、より具体的には錠剤、糖衣錠、舌下錠、硬ゼラチンカプセル剤、グロセット(glossettes)、カプセル剤、トローチ剤、注射剤、エアゾール剤、点眼薬又は点鼻薬、坐剤、クリーム剤、軟膏剤、皮膚用ジェル剤などが特に使用されよう。
【0077】
本発明の医薬組成物は、希釈剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、安定剤、保存料、吸収剤、着色料、甘味料、香料などから選択される、1種以上の賦形剤又は担体を含む。
【0078】
非限定的な例として、以下を挙げることができる:
・希釈剤として:乳糖、デキストロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、セルロース、グリセロール、
・滑沢剤として:シリカ、タルク、ステアリン酸並びにそのマグネシウム及びカルシウム塩、ポリエチレングリコール、
・結合剤として:ケイ酸アルミニウムマグネシウム、デンプン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム及びポリビニルピロリドン、
・崩壊剤として:寒天、アルギン酸及びそのナトリウム塩、発泡性混合物。
【0079】
組合せの化合物は、同時に又は連続して投与され得る。投与経路は、好ましくは静脈内注入であり、対応する医薬組成物は、活性成分の即時放出又は遅延放出を可能にすることができる。組合せの化合物は更に、活性成分の1つをそれぞれ含有する2つの別個の医薬組成物の形態で、又は活性成分が混合されている単一の医薬組成物の形態で投与され得る。
【0080】
有用な投薬レジメンは、患者の性別、年齢及び体重、投与経路、癌及び関連する処置の性質によって異なり、1週間あたり12mg~1500mgのBcl-2阻害薬(化合物A)、より好ましくは1週間あたり25mg~1000mgの範囲である。本明細書に記載の低メチル化剤の用量は、単独で投与される場合に使用されるのと同じだろう。詳細には、アザシチジンは、75mg/m2体表面積の用量で皮下(SC)注射又はIV注入によって投与される。アザシチジンは、各周期で連続5日間(D1-D5)毎日投与され、2日間の中断(D6-D7)が続き、その後2日間(D8-D9)毎日投与され、19日間の休薬期間が続く。
【0081】
薬理学及び臨床データ
【実施例】
【0082】
AML細胞株(OCI-AML3、HL-60、MV4;11、EOL-1)における5-アザシチジンとの化合物Aの組合せ処置後の増殖阻害、生存率の阻害、及びアポトーシスの割合のインビトロ評価
化合物Aと5-アザシチジンとの組合せを、4つのAML細胞株で試験した。組合せ試験の適切な用量範囲を選択するために、単剤のプロファイリングを実施した。
細胞生存率、増殖阻害(GI)及びアポトーシス細胞の%(表示なし)は、蛍光イメージングアッセイ(細胞をHoechst 34580(Invitrogen、ref#H3570)及びNucView NucView(VWR、ref#10403)プローブで染色し、OperaPhenix High Content Imagingプラットフォームによって読み取るアッセイ)によって評価した。
Chaliceソフトウェアを使用して相乗効果を分析した。
【0083】
材料と方法
表1に示されるとおり、細胞株を調達して、FBS(ウシ胎仔血清)を補足した基本培地で維持した。更に、全ての培地はペニシリン(100IU/mL)、ストレプトマイシン(100μg/mL)及びL-グルタミン(2mM)を含有した。
細胞株は、5% CO2を含有する加湿雰囲気で37℃で培養し、T-150フラスコで増殖させた。全ての場合において、細胞は凍結ストックから解凍し、適切な希釈液を使用して継代数1以上増殖させ、ViCellセルカウンターを使用して計数して生存率を評価した。全ての細胞株は、施設内でマイコプラズマ汚染がないことが確認された。化合物の原液は、DMSO中5mMの濃度で調製し、-20℃で保存した。
単剤としての化合物の活性を分析するために、AML細胞を適切な条件で384ウェルプレートに80μLの培地で播種した。インキュベーション時間(細胞+試験薬及びHoechst/NucView染色)は96時間続いた。次に、細胞を72時間の時点でビヒクルのみ(DMSO)で、又は9つの用量のアザシチジンと組合せた9つの異なる用量の化合物Aで処置した。DMSOの最終濃度は、100μLの最終容量で0.2%とした。未処置AML細胞のプレート1枚を200ng/mLのHoechst及び10μMのNucViewで3時間染色することによって、生存細胞数及びアポトーシスの基礎レベルを取得した。細胞を含有するこのプレートは、5X対物レンズを備えたOpera Phenixイメージングシステムで取得され、37℃及び5% CO2でプログラムされた。
72時間処置した細胞を200ng/mLのHoechst及び10μMのNucViewで染色し、次に37℃で3時間インキュベートした。細胞を含有するプレートは、5X対物レンズを備えたOpera Phenixイメージングシステムで取得され、37℃及び5% CO2でプログラムされた。
単剤として、又は組合せた化合物の細胞生存率に対する効果を、37℃/5% CO2で3日間インキュベーションした後、75μL試薬/ウェルでCellTiterGloを使用して細胞内ATPレベルを定量することにより評価した。全ての実験は二重反復して実行された。多目的プレートリーダーで発光を定量した。単剤IC50は、標準的な4パラメータ曲線フィッティングを使用して算出された。IC50は、CTGシグナルがビヒクル(DMSO)対照について測定された値の50%に減少する化合物濃度として定義される(表2)。
化合物の組合せ間の潜在的な相乗的相互作用は、Loewe相加性モデルに従って過剰阻害2次元(Excess Inhibition 2D)マトリックスを使用して評価され、相乗効果スコア(Synergy Score)として報告された(Lehar et al., Nature Biotechnology 2009, 27(7), 659-66)。全ての計算は、Horizonウェブサイトで入手可能なChalice(商標)Bioinformatics Softwareを使用して実行された。
表1に示されている倍加時間は、細胞の解凍から384ウェルプレートへの播種までに行われた異なる継代数(T-150フラスコ内)で得られた倍加時間の平均である。
【0084】
相乗効果スコア
SS≒0 →相加的
SS≧1 →弱い相乗効果
SS≧2 →相乗効果
【0085】
【0086】
【0087】
結果
本発明のBcl-2阻害薬である化合物Aをアザシチジンと組合せることの増殖に対する効果を、4つのAML細胞株のパネルで評価した。アザシチジンと組合せると、試験した全ての細胞株で相乗的な増殖阻害(即ち、2を超える相乗効果スコア(Lehar et al, 2009))が観測された(表2)。これらのデータは、化合物Aとアザシチジンとの組合せが各単剤の抗増殖効果を増強し、そして結果AML患者の処置に有効であろうことを示している。
【実施例】
【0088】
臨床試験プロトコール
集中処置の対象外のそれまで未処置の急性骨髄性白血病の成人患者におけるアザシチジンと組合せたBcl2阻害薬である化合物Aの第I/II相、非盲検、用量漸増部(第I相)とこれに続く非比較拡大部(第II相)、多施設試験、安全性評価、薬物動態及び有効性。
【0089】
主要な目的:
-第1相/用量漸増部:
・アザシチジンと組合せた化合物Aの安全性プロフィール、忍容性及び第II相試験の推奨用量(RP2D)を決定すること
-第2相/両方の拡大部:
・完全奏効(CR)率によって測定される、アザシチジンと組合せた化合物Aの有効性を評価すること
【0090】
副次的な目的:
-第1相/用量漸増部:
・組合せて投与された化合物Aとアザシチジン、及び潜在的な代謝産物(該当する場合)の薬物動態(PK)プロフィールを決定すること
・アザシチジンと組合せた化合物Aの有効性を評価すること
-第2相/両方の拡大部:
・全奏効率(ORR)、周期2の開始によるCR率(CR2)、不完全な血球数回復を伴う完全奏効率(CRi率)、奏効持続時間(DOR)、無イベント生存期間(EFS)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、及び初回奏効までの時間によって測定される、アザシチジンと組合せた化合物Aの有効性を評価すること
・CRの被験者の微小残存病変(MRD)を分析することにより、奏効の深さ及び奏効持続時間を評価すること
・アザシチジンと組合せた化合物Aの安全性プロフィール及び忍容性を決定すること
・組合せて投与された化合物Aとアザシチジン、及び潜在的な代謝産物(該当する場合)の薬物動態(PK)プロフィールを更に特性決定すること
【0091】
試験薬:
アザシチジンに化合物A(試験薬)を組合せる。用量漸増中、化合物Aの用量のみが漸増する。
【0092】
化合物Aの用量割付け方法:
最初のコホート試験では、用量割付けは毎週の用量50mg(C1D8と略される周期1の8日目から)で開始し、25mgの用量を2回漸増させる。被験者は、評価可能な3~6人の被験者のコホートに含める。
12mg~450mgの化合物A用量のパネルは、ベイジアン(Bayesian)ロジスティック回帰モデルの用量割付けプロセスにより試験することができた。試験中に中間用量レベルを試験することができた。コホート試験の終了ミーティングで、利用可能な安全性、薬物動態及び有効性の結果に従って、化合物Aの漸増用量及び総用量を適合させることができた。必要に応じて、450mgを超える用量を試験できた。
この試験では、レベル12mg未満の減量は許可されない。
安全性及びPKをもっとよく理解するために、最大耐量(MTD)未満の任意の用量レベルでコホートを追加してもよい。
MTD(特性決定されている場合)及びRP2Dが決定された後、MTDを超えない最大6人の患者の3つのコホートが、用量制限毒性(DLT)評価なしに、PK/PD(薬物動態(PharmacoKinetics)/薬力学(PharmacoDynamics))目的で種々の用量レベルに割り当てられてもよい。
【0093】
用量と処置スケジュール:
化合物Aは、中心静脈ライン又は末梢静脈ラインを介して30分(+/-5分)にわたって静脈内(IV)注入によって投与される。
-注入用溶液は、下記のとおりHP-β-シクロデキストリンを配合した150mgの化合物A(遊離塩基として表される)を含有する20mLバイアルを使用して調製される。
化合物Aの注入期間は、予備的な安全性及びPKデータに基づいて適合させることができた。
試験のどの相でも、アザシチジンは皮下(SC)又はIV注入を介して75mg/m2体表面積の用量で投与される。
同時処置の日には、化合物Aを最初に投与し、アザシチジンを30分から1時間後に投与する(化合物Aの注入終了からアザシチジンの投与開始まで最短30分かつ1時間を超えない遅延を順守すること)。
【0094】
投与スケジュール1:第1相部での組合せ処置:
漸増用量期間:
C1D-4又はC1D-3(併用療法開始の3日前又は4日前)及びC1D1(アザシチジンの最初の投与と組合せる)で、化合物Aの2回の漸増注入量が被験者に投与される。この用量は、コホート試験の終了ミーティングで適合させることができた。アザシチジンとの組合せを開始する前に、最初の漸増用量が投与される。2回目の漸増用量は、アザシチジンと同時投与される。
処置周期は28日からなる:
-化合物Aの総用量は4週間周期で投与される(1日目はD1、D8、D15、D22と略される)。周期1で、C1D1は2回目の漸増用量に対応する。
-アザシチジンは、各周期で連続5日間毎日投与され(D1-D5)、これに続き2日間の中断(D6-D7)、その後2日間(D8-D9)毎日投与され、これに続いて19日間の休薬期間となる。
【0095】
投与スケジュール2:第1相部での組合せ処置:
漸増用量期間
C1D-4又はC1D-3で、化合物Aの1回の漸増注入量が被験者に投与される。この用量は、コホート試験の終了ミーティングで適合させることができた。この投与スケジュール2の被験者には、1回の漸増用量のみが投与される。
各処置周期は28日からなる:
-第1週:
・化合物Aの総用量はD1、D3及びD5に投与される。
・アザシチジンは、5日間連続投与され(D1-D5)、これに続き2日間中断(D6-D7)される。
-第2週:
・化合物Aの総用量はD8に投与される。
・アザシチジンは、2日間連続投与され(D8-D9)、これに続いて19日間の休薬期間となる。
【0096】
以下に更に説明されるとおり、コホート試験の終了ミーティング中の決定に従って、化合物Aの3回の追加用量をD2、D4及びD9に加えてもよい。
【0097】
投与スケジュール3:第1相部での組合せ処置:
漸増用量期間
C1D-4又はC1D-3で、化合物Aの1回の漸増注入量が被験者に投与される。この用量は、コホート試験の終了ミーティングで適合させることができた。この投与スケジュール3の被験者には、1回の漸増用量のみが投与される。
各処置周期は28日からなる:
-第1週:
・化合物Aの総用量はD1、D2、D3、D4及びD5に投与される。
・アザシチジンは、5日間連続投与され(D1-D5)、これに続き2日間中断(D6-D7)される。
-第2週:
・化合物Aの総用量はD8及びD9に投与される。
・アザシチジンは、2日間連続投与され(D8-D9)、これに続いて19日間の休薬期間となる。
【0098】
第II相部での組合せ処置:
漸増用量及び総用量は、第I相部で決定されたRP2Dになる。
漸増用量期間
D-4又はD-3で及びD1で、化合物Aの2回の漸増注入量が被験者に投与される。アザシチジンとの組合せを開始する前に、最初の漸増用量が投与される。2回目の漸増用量は、アザシチジンと同時投与される。
処置周期は28日からなる:
-化合物Aの総用量は4週間周期で投与される(D1、D8、D15、D22)。周期1で、C1D1は2回目の漸増用量に対応する。
-アザシチジンは、各周期で連続5日間毎日投与され(D1-D5)、これに続き2日間の中断(D6-D7)、その後2日間(D8-D9)毎日投与され、これに続いて19日間の休薬期間となる。
【0099】
あるいは、第II相部で使用される投与スケジュールは、第I相部のコホート試験の最後の終了ミーティングで決定され、臨床試験プロトコールの修正によって実施される。
【0100】
20mLバイアル中のHP-β-シクロデキストリンに可溶化された化合物Aの凍結乾燥物の調製:
凍結乾燥物は、非経口経路によって投与される溶液を再構成することが可能な20mLバイアル中で調製される。それらは、20mg/mLの用量の化合物A(遊離塩基)を含有する20% Cavitron(商標)W7HP5液の凍結乾燥によって得られる。
【0101】
手順
5L反応器に、水 1500gを秤量する。磁気撹拌により渦を作り、次に600gのCavitron(商標)W7HP5を注ぎ入れる。シクロデキストリンが完全に可溶化するまで媒体を周囲温度で撹拌し、68.16gの「化合物A、H2SO4」を加え、溶液を最高で60℃まで加熱する。懸濁液を数時間磁気撹拌下に置き、次に媒体を30℃未満の温度に戻す。このように得られた溶液のpHを測定し、次に0.5M NaOH溶液をゆっくりと注いでpH3.0に調整する。磁気撹拌を維持しながら、水を加えて溶液を3Lの体積にする。
このように得られた溶液を0.2μmフィルターに通す。
20mLバイアルに濾過溶液を、各バイアルが少なくとも150mgの化合物A(遊離塩基として表される)を含有するように充填して、試料を凍結乾燥工程に付す。
生じた凍結乾燥物は、非経口投与用の医薬組成物の調製に使用することが意図される。
【0102】
方法:
第I/II相の非比較試験、非盲検、多施設試験は、次の2つの相に分けられる:
-シングルアーム用量漸増第I相部:
用量漸増レベルで設計された過量投与制御を伴う漸増(EWOC)方法によって導かれる適応ベイジアンロジスティック回帰モデル(BLRM)が、周期1の終了までのDLTの発生に基づく推奨用量を作るため、及びアザシチジンと組合せた化合物AのMTD(特性決定されている場合)/RP2Dを推定するために使用される。
RP2Dが決定された後、DLT評価なしに、安全性、PK及びPDをもっとよく理解するために、最大6人の被験者の3つのコホートが、MTD(特性決定されている場合)以下の任意の用量レベルで追加できる。
【0103】
-用量拡大第II相部:
初回の拡大:
RP2Dでの1つのアームで設計された1つの無益性中間解析を含むベイジアン2段階適応モデルが、用量漸増部の後に実施される。
段階1では、被験者が登録され、対応するRP2Dで処置される。段階1の終了時、周期2の開始又は早期中止により、10人の被験者でベイジアン無益性中間解析が実行される。
段階1の終了時の無益性中間解析結果により、補充は次のようになる:
-周期2の開始までのCR率の結果が無益であると見なされた場合は中止し;
-周期2の開始までのCR率の結果が無益ではないと見なされた場合は継続する。その場合、11人の被験者の1つの追加コホートが段階2に登録され、事前に定義された試験終了まで、対応するRP2Dで処置される。
段階2の終了時、少なくとも2周期又は早期中止を含む、段階1及び段階2に含まれる被験者(約21人の被験者)を考慮した全体的なCR率の結果が提供される。
【0104】
2回目の拡大:
漸増及び/又は初回の拡大の初回解析で強い活性の初期兆候が見られた場合、約21人の追加の被験者を含めて、最初の拡大コホートと同じ設計でTP53サブ集団の組合せ活性を評価できる。
各拡大コホートについて、段階2の終了時に活性の強力な証拠があり(21人の被験者の評価に基づく)、安全性、PK及びPDデータの包括的評価を考慮すると、保健当局との協議の後に最大40人の追加の被験者を含めて、調査結果を確認し、推定精度を高めることができる。
【国際調査報告】