(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-31
(54)【発明の名称】水溶性気体の結合、輸送、反応活性化、変換、保存および放出のための方法
(51)【国際特許分類】
B01D 53/14 20060101AFI20230824BHJP
B01D 61/44 20060101ALI20230824BHJP
B01D 53/62 20060101ALI20230824BHJP
B01D 53/78 20060101ALI20230824BHJP
B01D 53/96 20060101ALI20230824BHJP
【FI】
B01D53/14 220
B01D61/44 500
B01D53/14 210
B01D53/62
B01D53/78
B01D53/96
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023505994
(86)(22)【出願日】2021-07-27
(85)【翻訳文提出日】2023-03-27
(86)【国際出願番号】 EP2021071081
(87)【国際公開番号】W WO2022023387
(87)【国際公開日】2022-02-03
(31)【優先権主張番号】102020004542.1
(32)【優先日】2020-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523029700
【氏名又は名称】デイツ ウルリッヒ
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】デイツ ウルリッヒ
【テーマコード(参考)】
4D002
4D006
4D020
【Fターム(参考)】
4D002AA09
4D002AC05
4D002AC10
4D002BA02
4D002BA20
4D002CA13
4D002CA20
4D002DA70
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4D020BA18
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4D020BC10
4D020CC06
4D020CC12
4D020CC21
4D020DA03
4D020DB02
4D020DB08
(57)【要約】
本発明は、水性媒体中での二酸化炭素(CO2)の選択的結合、選択的膜輸送および保存のための方法に関する。本発明の方法は、遊離グアニジノ基および/または遊離アミジノ基を有する少なくとも一つのアクセプター化合物を含む水性アクセプター溶液を提供することを含み、水性アクセプター溶液を、二酸化炭素を含む気体と接触させて、アクセプター溶液中の二酸化炭素を結合する。そのことよって得られた結合した二酸化炭素を含むアクセプター溶液は、結合した二酸化炭素を分離膜に通して水性媒体に選択的に輸送するために、二酸化炭素を水性媒体中で保存すること、二酸化炭素を再び放出すること、および電気透析などの電気化学プロセスにおける使用、において有用である。本発明は更に、結合した二酸化炭素を含むアクセプター溶液から出発する炭酸塩の調製に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のステップによって特徴付けられる、水性媒体中の二酸化炭素を選択的に結合する、輸送する、および保存する方法:
a)遊離グアニジノおよび/または遊離アミジノ基を有する少なくとも1つのアクセプター化合物を含む水性アクセプター溶液を提供すること、
b)二酸化炭素を含む気体をステップa)からの前記アクセプター溶液と接触させること、
c)ステップb)における前記アクセプター溶液中の結合した二酸化炭素/二酸化炭素誘導体を、分離膜に通して水性取り込みおよび放出媒体に輸送すること;または、
ステップb)からの結合した二酸化炭素/二酸化炭素誘導体を含む前記アクセプター溶液を保存する、および/または輸送すること。
【請求項2】
前記アクセプター化合物はアミノ酸であり、および前記アクセプター溶液のpHは8~13の範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップb)において、前記接触は、前記アクセプター溶液の加圧無しで行われる、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
ステップb)またはステップc)の後に、ステップc1)またはステップd1):前記アクセプター溶液中で結合された前記二酸化炭素を気体相として放出すること、が続く、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
ステップb)からの前記アクセプター溶液は、電気透析装置におけるアクセプターチャンバーに配置される、または導入され、およびステップc)に係る二酸化炭素/二酸化炭素誘導体の前記輸送は、前記アクセプターチャンバーと取り込みおよび放出チャンバーとの間に確立された電気勾配によって行われ、ここで、前記アクセプターチャンバーと前記取り込みおよび放出チャンバーとは、前記分離膜によって互いに分離される、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記分離膜は、イオンおよび/または気体分子に対して透過性の膜である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
>98.5vol.%の二酸化炭素を有する純粋な二酸化炭素気体の形態において前記分離膜に通して輸送された二酸化炭素/二酸化炭素誘導体の放出は、取り込みおよび放出チャンバーで行われる、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記取り込みおよび放出チャンバーは、少なくとも一つの酸基を有し、および3から5の間の範囲の等電点を有する少なくとも一つの化合物を含む取り込みおよび放出媒体を含む、請求項5から請求項7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
二酸化炭素および/または炭酸アニオン/炭酸水素アニオンの反応および/または結合のための一つ以上の反応化合物は、前記アクセプター溶液および/または前記取り込みおよび放出媒体に存在する、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
ステップb)の後に、前記アクセプター溶液中の結合された前記二酸化炭素は、反応化合物によって炭素化合物に変換される、請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
ステップc)の後に、前記取り込みおよび放出媒体中の結合された二酸化炭素、または前記輸送されおよび放出された二酸化炭素は、反応化合物によって炭素化合物に変換される、請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の方法であって、ステップc)の後に以下のステップc3’)およびステップc3)が続く方法:
c3’)ステップc)からの結合した二酸化炭素/二酸化炭素誘導体を含む前記水性取り込みおよび放出媒体を放出装置に導入すること;および
c3)放出チャンバー内で、ステップc3’)からの結合した二酸化炭素/二酸化炭素誘導体を含む前記取り込みおよび放出媒体から二酸化炭素を気体相として放出すること。
【請求項13】
前記水性アクセプター溶液から純粋な気体相として二酸化炭素の陰極分離を行う、請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
ステップb)の前に、二酸化炭素を含む気体を酸性溶液によって洗浄する、請求項1から請求項13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記反応化合物は、アルミニウム塩、好ましくは塩化アルミニウムである、請求項9に係る方法によって得られる炭酸アルミニウムおよび/または炭酸水素アルミニウム。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、水性媒体中での二酸化炭素(CO2)の選択的結合、選択的膜輸送および保存のための方法に関する。本発明の方法は、遊離グアニジノ基および/または遊離アミジノ基を有する少なくとも一つのアクセプター化合物を含む水性アクセプター溶液を提供することを含み、水性アクセプター溶液を、二酸化炭素を含む気体と接触させて、アクセプター溶液中で二酸化炭素を結合する。それによって得られた結合した二酸化炭素を含むアクセプター溶液は、結合した二酸化炭素を分離膜に通して水性媒体に選択的に輸送するために、二酸化炭素を水性媒体中で保存すること、二酸化炭素を再び放出すること、および電気透析などの電気化学的方法における使用、において有用である。本発明は更に、結合した二酸化炭素を含むアクセプター溶液から出発する炭酸塩および炭酸水素塩の調製に関する。
【0002】
[従来技術]
気体元素または元素分子または気体分子化合物は、化学合成のために非常に需要の多い出発材料である。したがって、これらの元素または元素分子または化合物を純粋な形で得るための試みが行われ、多くの場合、多大な技術的努力またはエネルギー投入を必要とする。従来技術において、分離膜を使用する分離による工業用気体の回収方法が知られている。空気混合物の場合、分離される気体元素または元素分子または気体分子化合物は、通常、非常に低濃度で存在する。分離効率は、特に関連する元素または元素分子または気体分子化合物が、それらの物理化学的特性に関して互いにわずかに異なるだけである場合に、通常、望ましい範囲にない。
【0003】
液体に取り込まれることができる気体元素または元素分子または気体分子化合物の場合、液体に取り込まれない/溶解されない、または少量しか取り込まれない/溶解されない気体元素または元素分子または気体分子化合物の分離を行うことができる。このことは、特に、水性媒体中の気体元素または元素分子または気体分子化合物が水分子の解離をもたらし、気体元素または元素分子または気体化合物の水溶性化合物、例えば酸形態、が形成される場合に当てはまる。このことは、例えば、二酸化炭素(CO2)または二酸化硫黄(SO2)などの、炭素および酸素、または硫黄および酸素の気体化合物を有する場合に当てはまり、ここで、例えば、炭酸または硫酸が低濃度で水性媒体中に形成される。二酸化炭素(CO2)または二酸化硫黄(SO2)などのこれらの気体分子化合物は、水性媒体中で水分子の解離をもたらし、水溶性の酸形態を形成し、先行技術において酸性ガスとも呼ばれる。イオン性またはイオン化化合物、例えば、塩などは、液体と一緒に、または液体から分離されることができる。水性媒体からの分離に関して、例えば、適切な膜を使用する電気透析などの方法が先行技術において知られている。電気透析は、塩溶液中でイオンを分離する方法である。塩、酸、および塩基における脱塩、分離、および濃縮は、電気透析法における可能な用途である。必要なイオンの分離は、陽極および陰極、およびイオン交換膜または半透過性のイオン選択的膜を介して印加される電場によって達成される。したがって、電気透析は、電気化学的に駆動される膜法であり、電気化学的に駆動される膜法において、イオン交換膜は、例えば非荷電溶媒または不純物などからイオン化合物を分離するために電位差と組み合わせて使用される。
【0004】
例えば、電気透析装置は、2つの電極間に配置された陰イオン交換膜と陽イオン交換膜との交互配置からなる先行技術から知られており、ここで、外部から取り付けられた電極は、膜上で行われる方法から分離され、電解分解される導電性の水性電極溶液によって分離チャンバー内で取り囲まれる。水素ガスは陰極で生成され、酸素ガスは陽極で生成される。問題は、例えば、炭酸または二酸化硫黄など、水と接触すると水と化学的に反応する液体化合物または気体化合物に溶解している水溶性ガスの化合物の濃度が低いだけの場合、電気透析における電気化学的方法において電気泳動分離性能は制限され、電気透析中に同時に起こる水分子の電気分解によるエネルギー損失がある、ということである。さらに、受容媒体、すなわち、分離される化合物、またはその水との反応生成物が濃縮される媒体は、電気伝導性を確立するために水ベースでなければならず、分離された化合物、またはその水との反応生成物は、使用のために最初に気体状態に戻らなければならない、という問題が通常ある。したがって、先行技術において、気体または気体化合物を、水性媒体に最初に溶解し、その後、気体相として回収するために、または気体もしくは気体化合物として再び放出することを可能にするために、他の水性媒体(受容媒体)に選択的に輸送する方法はない。
【0005】
硫黄および二酸化炭素からバイオガスの精製のための周知の方法は、いわゆる加圧水スクラビングである。加圧水スクラビングにおいて、水および生のバイオガスは、向流原理を使用して吸収装置内で、加圧下で精製され、これにより、分離されるガスおよび含まれる少量のメタンは、スクラビング溶液に溶解する。しかしながら、例えば、CO2などの続く材料利用は、加圧水スクラビングでは不可能である。
【0006】
天然ガス処理において気体混合物から二酸化炭素、硫化水素および他の酸性ガスを分離する他の周知の方法は、いわゆるアミンスクラビングである。アミンスクラビングにおいて、アミン、例えば、ジエタノールアミン、およびモノエタノールアミンなどの微アルカリ性アミン水溶液、さらにメチルジエタノールアミン、ジイソプロピルアミン、ジイソプロパノールアミン、およびジグリコールアミンも、酸性気体成分を可逆的に化学吸着(化学吸着(chemisorption))することができ、使用される。精製される気体は、通常、約8バールの圧力で、および約40℃の温度でアミン水溶液に導入される。CO2がアミン/水の混合物に吸収されると、CO2は、最初に水に溶解し、炭酸を形成する。形成された炭酸は、最初にH+およびHCO3-イオンに分解する。その後、これらはアミンと反応することができるので、吸収されたCO2は、化学的に可逆的に結合し、脱着装置において再溶解されることができるカルバメートを形成する。脱着装置において、化学平衡は、高温および低圧で逆転され、したがって、結合した酸気体をアミン溶液から除去および放出する。しかしながら、アミンスクラビングは、当該方法において使用されるアミンが健康に有害であり、および仕事場に関連する(workplace-related)癌の3番目の主な原因と考えられるという特定の欠点を有する。
【0007】
したがって、一方では、気体元素または元素分子または気体化合物、特に二酸化炭素を、水性液体に溶解させ、または吸収させ、イオン化またはイオン化可能な状態にする方法が非常に必要とされており、その後、拡散または電気泳動工程ステップによって分離膜に通し、および更なる水性媒体(受容媒体)に移し、そのことによって、分離された化合物の気体および/または反応性化合物は、水性媒体中に存在し、他の元素または元素分子または化合物と反応する、または水性媒体から気体として放出され、および分離される。好ましくは、気体元素または元素分子または気体化合物の溶解度およびイオン化性は、分離される化合物のエネルギー効率の良い輸送を可能にする当該方法で増加されるべきである。
【0008】
したがって、本発明の課題は、水性媒体中で気体元素または元素分子または気体化合物、特に酸性気体、特に二酸化炭素(CO2)を結合または吸収し、続いて貯蔵し、並びに純粋な気体元素または元素分子または気体化合物、特に二酸化炭素(CO2)を回収するための新しい方法を提供することである。したがって、本発明の課題は、水に可溶な気体化合物、特に二酸化炭素の溶解/結合/輸送/反応活性化/化学変換ならびに選択的放出のための方法の提供に関する。
【0009】
この課題は、独立請求項の技術的教示による本発明に従って解決される。本発明の更なる有利な実施形態は、従属請求項、明細書、図面、および実施例に起因する。
【0010】
[説明]
驚くべきことに、少なくとも一つのアミジノ基および/またはグアニジノ基を有し、および同時に親水性を示す有機アクセプター化合物を含む水性アクセプター媒体を提供することによって課題は解決されることが明らかになった。そのことによって、水溶性気体化合物の溶解/結合/輸送/反応活性化/化学変換、並びに選択的放出を可能にすることができることが明らかになっている。この文脈において、水溶性は、気体物質/気体化合物が水と化学的に反応し、水と接触すると、例えば、酸無水物または酸を形成することを意味する。その後、酸無水物または酸は、有機酸または無機酸として水中に存在するか、または水中で解離後、対応するアニオンとして存在する。
【0011】
気体化合物を水と接触させると、水溶性反応生成物を形成することができる。二酸化炭素の場合、水との反応は、炭酸水素塩(HCO3
-)および炭酸塩(CO3
2-)の形成をもたらし、これらは後に二酸化炭素誘導体とも呼ばれる。
【0012】
先行技術において、水と反応して水溶性誘導体を形成する気体元素または元素分子または気体化合物における水への溶解度は、アルカリ溶液を使用することによって増加させることできることが知られている。このことは、特に、二酸化炭素または二酸化硫黄などの酸性気体に当てはまる。
【0013】
先行技術において、アルカリ溶液の調製のために、アルカリ金属およびアルカリ土類金属のアルカリ溶液、例えば、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムの水溶液を使用する。水性媒体に気体化合物を溶解および吸収するために、これらの化合物を使用することは、二酸化炭素の存在下で炭酸塩または炭酸水素塩(炭酸の塩)の形成につながり、これらは、水に実質的に溶けない炭酸カルシウムなどの固体として沈殿する。このことは、水溶液に移行した気体化合物を純粋な気体状態で回収する場合に望ましくない。
【0014】
第三級または第四級窒素化合物を含み、水性媒体中で塩基性環境を作り出すのに適した化合物、例えば、アンモニアなどは、水性媒体中の気体および気体化合物の溶解度を改善することも先行技術からも知られている。ここでの欠点は、先行技術に存在する第三級または第四級窒素化合物が、DC電場において、水溶液中で陰極に向かって動電学的に輸送されることである。したがって、これらは、例えば、電気透析のような電気化学工程などの電気泳動分離を行う事に適していない。
【0015】
驚くべきことに、水性アクセプター媒体に溶解された塩基性アミノ酸を使用することにより、気体/気体化合物と水との反応を促進し、気体/気体化合物の水溶性化合物の形成をもたらすことが可能であることが明らかにされている。本明細書に使用される塩基性アミノ酸は、アミノ酸残基(側鎖)に自由電子対を有するアミノ基またはN原子を有するアミノ酸として定義される。これらのN原子がプロトンを受けとると、正に荷電した側鎖が形成される。アミノ酸のヒスチジン、リジンおよびアルギニンは塩基性アミノ酸に属する。本発明によると本明細書において好ましくは、少なくとも一つのグアニジノ基および/またはアミジノ基を有する塩基性アミノ酸、例えばアルギニンである。少なくとも一つのグアニジノ基および/またはアミジノ基を有し、および水性媒体に容易に溶解し、および水溶液中で解離して存在するプロトンを受け取る、または受け取ることができるアミノ酸の水溶液を使用する場合、並びに水中でのそれらの溶解によって、塩基性pHが確立され、気体または気体混合物を当該アクセプター溶液と接触させる場合、当該溶液中で気体二酸化炭素の非常に急速な取り込みが起こったことが実証された。グアニジノ基またはアミジノ基あたり1個の炭酸水素アニオンまたは炭酸アニオンが結合されることも明らかにされた。驚くべきことに、溶液のpHが>8である場合、結合した炭酸水素アニオンまたは炭酸アニオンの解離速度は非常に低くなり、したがって、二酸化炭素からなる、または二酸化炭素を含む気体と共に水性アクセプター媒体の加圧は、炭酸アニオン/炭酸水素アニオンを迅速かつ完全に結合するために必要ない。したがって、一つ以上の遊離グアニジノ基および/または遊離アミジノ基を有する水溶性化合物を、一方では、水性媒体中で二酸化炭素の非常に良好な溶解または吸収を達成するために、同時に、遊離グアニジノ基/遊離アミジノ基への炭酸アニオン/炭酸水素アニオンの非常に安定な結合を確実にするために、使用することができる。本発明に係るアクセプター媒体のこれらの特性は、他の有機および無機気体/気体化合物、例えば、硫化水素気体または塩素気体などを溶解および結合するためにも使用されることができることを示した。この方法において、水に可溶性であり、水と反応して水溶性化合物を形成する気体/気体混合物における吸収能力を大幅に増加させることができる。特に、水中における二酸化炭素の取り込み能力は、一つ以上の遊離グアニジノ基および/または遊離アミジノ基を有する水溶性化合物の存在によって大幅に増加させることができる。したがって、水性媒体への取り込み、水との反応、並びに水中における二酸化炭素および二酸化炭素誘導体の結合は、増加または加速される。
【0016】
したがって、少なくとも一つの遊離グアニジノ基および/または遊離アミジノ基を含む化合物は、水中における二酸化炭素および二酸化炭素の誘導体(炭酸アニオン/炭酸水素アニオン)に対する反応促進および結合特性を有することを明らかにした。水中における二酸化炭素または二酸化炭素の誘導体と、少なくとも一つの遊離グアニジノ基および/または遊離アミジノ基を有する化合物との間でもたらされる物理化学的相互作用は、少なくとも一つの遊離グアニジノ基および/または遊離アミジノ基を有する化合物に、水中における溶解および結合の両方、並びに反応促進および化学変換、およびさらに二酸化炭素または二酸化炭素の誘導体の保存を可能にするアクセプター特性を与える。したがって、遊離グアニジノ基および/またはアミジノ基を有する化合物は、以下アクセプター化合物と呼ばれ、少なくとも一つの遊離グアニジノ基および/または遊離アミジノ基を有する少なくとも一つの化合物が存在する媒体は、以下アクセプター媒体と呼ばれる。
【0017】
したがって、少なくとも一つの遊離グアニジノ基および/または遊離アミジノ基を有する少なくとも一つの化合物が存在し、および溶解形態で存在する水溶液を、アクセプター溶液を提供するために使用することができる。
【0018】
本明細書において好ましくは、気体化合物の溶解度を、水性アクセプター媒体、すなわちアクセプター溶液中で増加させる方法である。本明細書において特に好ましくは、気体化合物が二酸化炭素である方法である。本発明にしたがって、水性アクセプター媒体、すなわち遊離グアニジノ基および/または遊離アミジノ基を有する少なくとも一つのアクセプター化合物を含むアクセプター溶液を提供し、これは、気体化合物、特に二酸化炭素の溶解度を増加させる技術的効果を有する。この文脈において溶解度という用語は、水と接触すると水と化学的に反応する水溶性気体、例えば、水に溶解されると酸または弱酸を形成する酸性気体など、の溶解を指す。
【0019】
好ましくは、少なくとも一つの遊離グアニジノ基および/または遊離アミジノ基を有する少なくとも一つのアクセプター化合物を含む水性アクセプター溶液を提供し、これを気体または気体混合物と接触させる方法である。したがって、本発明は、より具体的に、遊離グアニジノ基および/または遊離アミジノ基を有する少なくとも一つのアクセプター化合物を含む水性アクセプター溶液を提供し、および気体または気体混合物から二酸化炭素を結合するために、水性アクセプター溶液を、二酸化炭素を含む気体または気体混合物と接触させる方法に関する。
【0020】
好ましくは、水性アクセプター媒体、すなわちアクセプター溶液と、水に溶解して酸および/またはアニオンを形成する少なくとも一つの気体化合物を含む気体/気体混合物とを接触させる方法であり、ここで、水に溶解して酸および/またはアニオンを形成する少なくとも一つの気体化合物は、アクセプター媒体、すなわちアクセプター溶液中に存在する少なくとも一つのアクセプター化合物によって結合される。
【0021】
好ましくは、水中で酸/アニオン化合物を形成する、および/またはアニオン形態で存在する気体、すなわち酸性気体の水性アクセプター媒体中での溶解度および結合を増加させる方法であり、ここで、少なくとも一つのアクセプター化合物が存在し、少なくとも一つのアクセプター化合物は、少なくとも一つのアミジノ基および/またはグアニジノ基を有する親水性有機化合物である。好ましくは、水性アクセプター媒体中の気体化合物がアクセプター化合物にアニオン的に結合される方法である。アニオン的とは、結合した気体化合物がアクセプター溶液中で解離し、水溶液中にアニオンとして存在し、およびアクセプター化合物がプロトン化されて対イオンを形成することを意味する。本発明によると、アクセプター化合物は、アクセプター溶液中の気体化合物のアニオンに対する対イオンとしてカチオンを提供するためにプロトン化されることができる遊離グアニジノ基および/またはアミジノ基を有する。
【0022】
したがって、本発明の方法は、少なくとも以下のステップを含む:
a)遊離グアニジノ基および/または遊離アミジノ基を有する少なくとも一つのアクセプター化合物を含む水性アクセプター溶液を提供すること;および
b)二酸化炭素を含む気体をステップa)のアクセプター溶液と接触させること。
【0023】
好ましくは、少なくとも一つのアミジノ基および/またはグアニジノ基を有する少なくとも一つの親水性有機化合物が、水性アクセプター媒体中に存在し、水と接触すると酸を形成する、または本明細書においてアニオン性形態で存在する気体化合物を溶解、中和および結合する、および/または、当該化合物を他の化合物と接触および反応させる、または結合した気体を選択的に気体として放出させる方法である。好ましくは、少なくとも一つのアミジノ基および/またはグアニジノ基を有する少なくとも一つの親水性有機化合物が、水性アクセプター媒体中に存在し、酸性気体、特に二酸化炭素を溶解、中和および結合する方法である。さらに、結合した酸性気体、特に二酸化炭素を変換するために、例えば二酸化炭素の場合には水に不溶性または水に難溶性の炭酸塩または炭酸水素塩に変換するために、または、結合した酸性気体、特に二酸化炭素を、気体として、特に気体二酸化炭素として選択的に放出するために、結合した酸性気体、特に二酸化炭素を含む水性アクセプター媒体を、他の化合物と接触させることができる。
【0024】
したがって、本発明は、水性媒体中の二酸化炭素を選択的に結合する、および保存する方法に関し、以下のステップを含む:
a)遊離グアニジノ基および/または遊離アミジノ基を有する少なくとも一つのアクセプター化合物を含む水性アクセプター溶液を提供すること;
b)二酸化炭素を含む気体をステップa)のアクセプター溶液と接触させること;および
c)ステップb)からの結合した二酸化炭素/二酸化炭素誘導体を含むアクセプター溶液を保存すること。
【0025】
好ましい実施形態は、以下のステップc)を含む:
c)ステップb)からの結合した二酸化炭素/二酸化炭素誘導体を含むアクセプター溶液を大気圧で保存すること。
【0026】
本発明は、好ましくは、水性媒体中の二酸化炭素を選択的に結合する、輸送する、および保存する方法に関し、以下のステップを含む:
a)遊離グアニジノ基および/または遊離アミジノ基を有する少なくとも一つのアクセプター化合物を含む水性アクセプター溶液を提供すること;
b)二酸化炭素を含む気体をステップa)のアクセプター溶液と接触させること;および
c)ステップb)におけるアクセプター溶液中の結合した二酸化炭素/二酸化炭素誘導体を、分離膜に通して水性取り込みおよび放出媒体に輸送すること。
【0027】
代替として定式化されると、本発明は、したがって、水性媒体中の二酸化炭素を選択的に結合する、輸送する、および保存する方法に関し、以下のステップを含む:
a)遊離グアニジノ基および/または遊離アミジノ基を有する少なくとも一つのアクセプター化合物を含む水性アクセプター溶液を提供すること;
b)二酸化炭素を含む気体をステップa)のアクセプター溶液と接触させること;および
c)ステップb)におけるアクセプター溶液中の炭酸アニオン/炭酸水素アニオンを、分離膜に通して水性取り込みおよび放出媒体に輸送すること。
【0028】
本発明は、好ましくは、水性媒体中の二酸化炭素を選択的に結合する、輸送する、および保存する方法に関し、以下のステップを含む:
a)遊離グアニジノ基および/または遊離アミジノ基を有する少なくとも一つのアクセプター化合物を含む水性アクセプター溶液を提供すること;
b)二酸化炭素を含む気体をステップa)におけるアクセプター溶液と接触させること;および
c)ステップb)におけるアクセプター溶液中の結合した二酸化炭素/二酸化炭素誘導体を、分離膜に通して水性取り込みおよび放出媒体に輸送すること、
c2)ステップc)における結合した二酸化炭素/二酸化炭素誘導体を含む取り込みおよび放出媒体から二酸化炭素を気体相として放出すること。
【0029】
代替として定式化されると、本発明は、したがって、水性媒体中の二酸化炭素を選択的に結合する、輸送する、および保存する方法に関し、以下のステップを含む:
a)遊離グアニジノ基および/または遊離アミジノ基を有する少なくとも一つのアクセプター化合物を含む水性アクセプター溶液を提供すること;
b)二酸化炭素を含む気体をステップa)におけるアクセプター溶液と接触させること;および
c)ステップb)におけるアクセプター溶液中の炭酸アニオン/炭酸水素アニオンを、分離膜に通して水性取り込みおよび放出媒体に輸送すること、
c2)ステップc)における炭酸アニオン/炭酸水素アニオンを含む取り込みおよび放出媒体から二酸化炭素を気体相として放出すること。
【0030】
本発明は、好ましくは、水性媒体中の二酸化炭素を選択的に結合する、輸送する、および保存する方法に関し、以下のステップを含む:
a)遊離グアニジノ基および/または遊離アミジノ基を有する少なくとも一つのアクセプター化合物を含む水性アクセプター溶液を提供すること;
b)二酸化炭素を含む気体をステップa)におけるアクセプター溶液と接触させること;および
c)結合した二酸化炭素/二酸化炭素誘導体を含むステップb)におけるアクセプター溶液中を、反応化合物と接触させること。
【0031】
本発明は、好ましくは、水性媒体中の二酸化炭素を選択的に結合する、輸送する、および保存する方法に関し、以下のステップを含む:
a)遊離グアニジノ基および/または遊離アミジノ基を有する少なくとも一つのアクセプター化合物を含む水性アクセプター溶液を提供すること;
b)二酸化炭素を含む気体をステップa)におけるアクセプター溶液と接触させること;および
c)ステップb)におけるアクセプター溶液中の結合した二酸化炭素/二酸化炭素誘導体を、分離膜に通して水性取り込みおよび放出媒体に輸送すること;および
d2)ステップc)からの結合した二酸化炭素/二酸化炭素誘導体を含む取り込みおよび放出媒体に反応化合物を添加すること。
【0032】
代替として定式化されると、本発明は、したがって、水性媒体中の二酸化炭素を選択的に結合する、輸送する、および保存する方法に関し、以下のステップを含む:
a)遊離グアニジノ基および/または遊離アミジノ基を有する少なくとも一つのアクセプター化合物を含む水性アクセプター溶液を提供すること;
b)二酸化炭素を含む気体をステップa)におけるアクセプター溶液と接触させること;および
c)ステップb)におけるアクセプター溶液中の炭酸アニオン/炭酸水素アニオンを、分離膜に通して水性取り込みおよび放出媒体に輸送すること、
d2)ステップc)からの炭酸アニオン/炭酸水素アニオンを含む取り込みおよび放出媒体に反応化合物を添加すること。
【0033】
本発明は、好ましくは、水性媒体中の二酸化炭素を選択的に結合する、輸送する、および保存する方法に関し、以下のステップを含む:
a)遊離グアニジノ基および/または遊離アミジノ基を有する少なくとも一つのアクセプター化合物を含む水性アクセプター溶液を提供すること;
b)二酸化炭素を含む気体をステップa)におけるアクセプター溶液と接触させること;および
c)ステップb)におけるアクセプター溶液中の結合した二酸化炭素/二酸化炭素誘導体を、分離膜に通して水性取り込みおよび放出媒体に輸送すること;または、
ステップb)からの結合した二酸化炭素/二酸化炭素誘導体を含むアクセプター溶液を保存すること。
【0034】
代替として定式化されると、本発明は、したがって、水性媒体中の二酸化炭素を選択的に結合する、輸送する、および保存する方法に関し、以下のステップを含む:
a)遊離グアニジノ基および/または遊離アミジノ基を有する少なくとも一つのアクセプター化合物を含む水性アクセプター溶液を提供すること;
b)二酸化炭素を含む気体をステップa)におけるアクセプター溶液と接触させること;および
c)ステップb)からの結合した二酸化炭素/二酸化炭素誘導体を含むアクセプター溶液を保存すること;および/または
ステップb)におけるアクセプター溶液中の結合した二酸化炭素/二酸化炭素誘導体を、分離膜に通して水性取り込みおよび放出媒体に輸送すること。
【0035】
本発明は、したがって、好ましくは、水性媒体中の二酸化炭素を選択的に結合する、輸送する、および保存する方法に関し、以下のステップを含む:
a)遊離グアニジノ基および/または遊離アミジノ基を有する少なくとも一つのアクセプター化合物を含む水性アクセプター溶液を提供すること;
b)二酸化炭素を含む気体をステップa)におけるアクセプター溶液と接触させること;
c)ステップb)におけるアクセプター溶液中の結合した二酸化炭素/二酸化炭素誘導体を、分離膜に通して水性取り込みおよび放出媒体に輸送すること;または、
ステップb)からの結合した二酸化炭素/二酸化炭素誘導体を含むアクセプター溶液を保存すること;および
c2)ステップc)からの結合した二酸化炭素/二酸化炭素誘導体を含む取り込みおよび放出媒体から二酸化炭素を気体相として放出すること;または
d2)ステップc)からの結合した二酸化炭素/二酸化炭素誘導体を含む取り込みおよび放出媒体に反応化合物を添加すること。
【0036】
本発明は、好ましくは、水性媒体中の二酸化炭素を選択的に結合する、輸送する、および保存する方法に関し、以下のステップを含む:
a)遊離グアニジノ基および/または遊離アミジノ基を有する少なくとも一つのアクセプター化合物を含む水性アクセプター溶液を提供すること;
b)二酸化炭素を含む気体をステップa)におけるアクセプター溶液と接触させること;および
c)ステップb)からの結合した二酸化炭素/二酸化炭素誘導体を含むアクセプター溶液を保存すること;および/または
ステップb)におけるアクセプター溶液中の結合した二酸化炭素/二酸化炭素誘導体を、分離膜に通して水性取り込みおよび放出媒体に輸送すること;および
c2)ステップc)における結合した二酸化炭素/二酸化炭素誘導体を含む取り込みおよび放出媒体から二酸化炭素を気体相として放出すること;または
d2)ステップc)からの結合した二酸化炭素/二酸化炭素誘導体を含む取り込みおよび放出媒体に反応化合物を添加すること。
【0037】
好ましくは、炭酸アニオン/炭酸水素アニオンを形成するために、水性媒体中に二酸化炭素を溶解する方法であり、当該方法において、得られた炭酸アニオン/炭酸水素アニオンの水性アクセプター媒体中での安定な物理化学的結合が、同時に確立される。
【0038】
好ましくは、二酸化炭素の溶解、並びに二酸化炭素の溶解によって形成された炭酸アニオン/炭酸水素アニオンの結合が、水性アクセプター媒体中の遊離グアニジノ基および/または遊離アミジノ基を介して/遊離グアニジノ基および/または遊離アミジノ基でもたらされる方法である。
【0039】
好ましくは、水溶性アクセプター化合物が、水に溶解された場合に、少なくとも一つのプロトンを受け入れる、または受け入れることができる遊離グアニジノ基および/または遊離アミジノ基を有する化合物である方法である。
【0040】
好ましくは、水溶性アクセプター化合物が、少なくとも一つグアニジノ基および/またはアミジノ基を有するアミノ酸であり、水性媒体中で少なくとも一つのプロトンを結合する、または受け入れることができる方法である。
【0041】
好ましくは、二酸化炭素を溶解するための、並びに水中での二酸化炭素または二酸化炭素誘導体およびそれにより形成される炭酸アニオン/炭酸水素アニオンを結合および輸送するための水溶性アクセプター化合物が、アルギニンおよび/またはアルギニン誘導体である方法である。
【0042】
特に好ましくは、したがって、遊離グアニジノ基および/または遊離アミジノ基を有する少なくとも一つのアクセプター化合物が、アルギニン誘導体、または最も好ましくはアルギニンである方法である。少なくとも一つのアルギニン誘導体、または最も好ましくはアルギニンを含むアクセプター溶液は、水性媒体中での二酸化炭素の結合および貯蔵に特に有利および効果的であることが明らかにされている。
【0043】
驚くべきことに、本発明の方法を用いて、気体混合物に含まれる二酸化炭素を気体混合物から完全に除去することが可能であることが明らかにされている。
完全な除去とは、二酸化炭素を含む気体混合物をアクセプター溶液と接触させた後に、処理された気体/気体混合物中の二酸化炭素の含有量が<1ppmであることを意味する。
【0044】
気体または気体混合物と水性アクセプター媒体との接触を、先行技術で知られている様々な工程実施形態で行うことができる。例えば、2つの相の接触は、気体相を液体相に導入することによって達成されてもよく、または気体相を、液体相で湿った表面上に通過させてもよい。好ましい方法実施形態において、気体相と液体相とを接触させる方法が使用され、相間に非常に大きな界面をもたらす。これらは、ホモジナイザー/ダイナミックミキサーなどの装置で行われ、さらに静的ミキサー、および充填気体スクラビング装置でも行われる。
【0045】
好ましくは、気体/気体混合物をアクセプター媒体と接触させる方法である。
好ましくは、気体/気体混合物とアクセプター媒体との接触により、そこで二酸化炭素含有量をアクセプター媒体に完全に溶解させ、そこで結合させる方法である。
【0046】
好ましくは、気体/気体混合物をアクセプター媒体と接触させることによって、そこで存在する二酸化炭素の一部および/または二酸化炭素と水との反応生成物がアクセプター化合物によって完全に結合される方法である。
【0047】
好ましい方法は、水性アクセプター媒体と二酸化炭素を含む気体相との間に大きな界面が確立される方法である。
特に、遊離グアニジノ基および/または遊離アミジノ基と炭酸アニオン/炭酸水素アニオンとの間の安定した結合による大きな利点は、アクセプター媒体における高濃度の溶解された二酸化炭素にもかかわらず、気体状態への再解離が起こらず、したがって、高濃度の溶解した二酸化炭素、またはその水との反応生成物を維持するためにアクセプター媒体の加圧が必要とされないことである。
【0048】
好ましくは、二酸化炭素の、および二酸化炭素誘導体の溶解および結合が、アクセプター溶液の加圧無しで行われる方法である。好ましくは、二酸化炭素の溶解および結合が、大気圧下で行われる方法である。好ましくは、二酸化炭素の溶解および結合が、過圧無しで達成される方法である。基準によると、海面での平均大気圧(大気圧)は、101,325Pa=101.325kPa=1013.25hPa≒1バール(bar)である。好ましくは、二酸化炭素の溶解および結合が、常圧で起こる方法である。好ましくは、二酸化炭素の溶解および結合が、101.325kPaの常圧で達成される方法である。好ましくは、二酸化炭素の溶解および結合が、加圧無しで行われる方法である。
【0049】
本発明に係る方法における好ましい実施形態は、以下のステップb)を含む:
b)二酸化炭素を含む気体をステップa)からのアクセプター溶液と接触させること、ここで、当該ステップb)における接触は、常圧または大気圧で行われる。
【0050】
本発明に係る方法における好ましい実施形態は、以下のステップb)を含む:
b)二酸化炭素を含む気体をステップa)からのアクセプター溶液と接触させること、ここで、当該ステップb)における接触は、常圧で行われる。
【0051】
本発明に係る方法における好ましい実施形態は、以下のステップb)を含む:
b)二酸化炭素を含む気体をステップa)のアクセプター溶液と接触させること、ここで、当該ステップb)における接触は、大気圧で行われる。
【0052】
本発明に係る方法における好ましい実施形態は、以下のステップb)を含む:
b)二酸化炭素を含む気体をステップa)のアクセプター溶液と接触させること、ここで、当該ステップb)における接触は、加圧無しで行われる。
【0053】
本発明に係る方法における好ましい実施形態は、以下のステップb)を含む:
b)二酸化炭素を含む気体をステップa)からのアクセプター溶液と接触させること、ここで、当該ステップb)における接触は、加圧無しで行われる。
【0054】
ここで、常圧で、または大気圧で、または加圧無しで接触させるとは、アクセプター溶液が、常圧下、または大気圧下、または加圧無しの下で提供されることを意味する。
【0055】
本発明は、好ましくは、水性媒体中の二酸化炭素を選択的に結合する、輸送する、および保存する方法に関し、以下のステップ:
a)遊離グアニジノ基および/または遊離アミジノ基を有する少なくとも一つのアクセプター化合物を含む水性アクセプター溶液を提供すること;
b)二酸化炭素を含む気体をステップa)におけるアクセプター溶液と接触させること;および
c)ステップb)におけるアクセプター溶液中の結合した二酸化炭素/二酸化炭素誘導体を、分離膜に通して水性取り込みおよび放出媒体に輸送すること;または
ステップb)からの結合した二酸化炭素/二酸化炭素誘導体を含むアクセプター溶液を保存すること、
を含み、
ここで、ステップb)における接触は、大気圧であり、および/または、ここで、ステップc)からのアクセプター溶液は、大気圧で保存される。好ましい実施形態は、ここで、ステップb)における接触が、大気圧であり;および、ここで、ステップc)からのアクセプター溶液が、大気圧で保存される。
【0056】
好ましくは、本発明は、水性媒体中の二酸化炭素を選択的に結合する、輸送する、および保存する方法に関し、以下のステップ:
a)遊離グアニジノ基および/または遊離アミジノ基を有する少なくとも一つのアクセプター化合物を含む水性アクセプター溶液を提供すること;
b)二酸化炭素を含む気体をステップa)におけるアクセプター溶液と接触させること;および
c)ステップb)からの結合した二酸化炭素/二酸化炭素誘導体を含むアクセプター溶液を保存すること;および/または
ステップb)におけるアクセプター溶液中の結合した二酸化炭素/二酸化炭素誘導体を、分離膜に通して水性取り込みおよび放出媒体に輸送すること、
を含み、
ここで、ステップb)における接触は、大気圧で行われ、および/または、ここで、ステップc)からのアクセプター溶液は、大気圧で保存される。好ましい実施形態は、ここで、ステップb)における接触が、大気圧で行われ、および、ここで、ステップc)からのアクセプター溶液が、大気圧で保存される。
【0057】
本発明のこの態様は、更なる方法実施形態に関して更に特に有利な効果をもたらす。例えば、アクセプター溶液に吸収された二酸化炭素、またはその水との反応生成物を、圧力無しで(すなわち、加圧されない)、すなわち陽圧無しで、または大気圧もしくは常圧で、損失無く、>6ヶ月保存することが可能である。したがって、結合した二酸化炭素、またはその水との反応生成物を含む非腐食性アクセプター溶液は、危険性が無く保管され、およびコンテナで輸送されることができる。ここで、輸送とは、結合した二酸化炭素を含むアクセプター溶液を輸送可能な容器、例えば大きなタンク、コンテナまたはバレルなどに移すことを意味する。液体を輸送するための適切な輸送コンテナは、当業者に周知である。ここで危険性が無い保存および輸送は、結合した二酸化炭素を含むアクセプター溶液中の結合した二酸化炭素/二酸化炭素誘導体を、分離膜に通して水性取り込みおよび放出媒体に輸送することを指さない。したがって、結合した二酸化炭素を含むアクセプター溶液中の結合した二酸化炭素/二酸化炭素誘導体を、分離膜に通して水性取り込みおよび放出媒体に輸送することは、本明細書において膜輸送とも呼ばれ得る。
【0058】
好ましくは、気体二酸化炭素および水との気体二酸化炭素の反応生成物における溶解および結合が、アクセプター溶液の加圧無しで行われる方法である。好ましくは、気体二酸化炭素および水との気体二酸化炭素の反応生成物のアクセプター溶液への溶解および結合が、大気圧または常圧で行なわれる方法である。好ましくは、二酸化炭素を含む気体とアクセプター溶液との接触が、圧力無し(すなわち、加圧されない)で行われる方法である。好ましくは、二酸化炭素を含む気体とアクセプター溶液との接触が、大気圧で行われる方法である。
【0059】
好ましくは、溶解した、および結合した二酸化炭素、またはその水との反応生成物を含むアクセプター溶液の貯蔵および/または輸送(輸送コンテナ中で)が、圧力無しで行われる方法である。好ましくは、溶解した、および結合した二酸化炭素、またはその水との反応生成物を含むアクセプター溶液の貯蔵および/または輸送(輸送コンテナ中で)が、大気圧で行われる方法である。
【0060】
本発明は、好ましくは、水性媒体中の二酸化炭素を選択的に結合する、輸送する、および保存する方法に関し、以下のステップ:
a)遊離グアニジノ基および/または遊離アミジノ基を有する少なくとも一つのアクセプター化合物を含む水性アクセプター溶液を提供すること;
b)二酸化炭素を含む気体をステップa)におけるアクセプター溶液と接触させること;および
c)ステップb)からの結合した二酸化炭素を含むアクセプター溶液を保存すること、および/または輸送すること、
を含み、
ここで、本明細書において好ましくは、ステップb)における接触が大気圧で行われ、および/または、ここで、ステップc)からのアクセプター溶液が、大気圧で、保存コンテナおよび/または輸送コンテナ中で保存される、および/または輸送される。
【0061】
さらに、好ましい実施形態は、ここで、ステップb)における接触が大気圧で行われ、および、ここで、ステップc)からのアクセプター溶液が、大気圧で、保存コンテナおよび/または輸送コンテナ中で保存される、または輸送される。
【0062】
本発明は、好ましくは、水性媒体中の二酸化炭素を選択的に結合する、輸送する、および保存する方法に関し、以下のステップ:
a)遊離グアニジノ基および/または遊離アミジノ基を有する少なくとも一つのアクセプター化合物を含む水性アクセプター溶液を提供すること;
b)二酸化炭素を含む気体をステップa)におけるアクセプター溶液と接触させること;および
c)ステップb)におけるアクセプター溶液中の結合した二酸化炭素/二酸化炭素誘導体を、分離膜に通して水性取り込みおよび放出媒体に輸送すること;または
ステップb)からの結合した二酸化炭素/二酸化炭素誘導体を含むアクセプター溶液を保存すること、および/または輸送すること、
を含み、
ここで、本明細書において好ましくは、ステップb)における接触が大気圧で行われ、および/または、ここで、ステップc)からのアクセプター溶液が、大気圧で、保存コンテナおよび/または輸送コンテナ中で保存される、および/または輸送される。更に好ましくは、ここで、ステップb)における接触が、大気圧で行われ、および、ここで、ステップc)からのアクセプター溶液が、大気圧で、保存コンテナおよび/または輸送コンテナ中で保存される、または輸送される、実施形態である。
【0063】
本発明は、好ましくは、水性媒体中の二酸化炭素を選択的に結合する、輸送する、および保存する方法に関し、以下のステップ:
a)遊離グアニジノ基および/または遊離アミジノ基を有する少なくとも一つのアクセプター化合物を含む水性アクセプター溶液を提供すること;
b)二酸化炭素を含む気体をステップa)におけるアクセプター溶液と接触させること;および
c)ステップb)からの結合した二酸化炭素/二酸化炭素誘導体を含むアクセプター溶液を保存すること、および/または輸送すること;および/または
ステップb)におけるアクセプター溶液中の結合した二酸化炭素/二酸化炭素誘導体を、分離膜に通して水性取り込みおよび放出媒体に輸送すること、
を含み、
ここで、本明細書において好ましくは、ステップb)における接触が大気圧で行われ、および/または、ここで、ステップc)からのアクセプター溶液が、大気圧で、保存コンテナおよび/または輸送コンテナ中で保存される、および/または輸送される。更に好ましくは、ここで、ステップb)における接触が大気圧で行われ、および、ここで、ステップc)からのアクセプター溶液が、大気圧で、保存コンテナおよび/または輸送コンテナ中で保存される、または輸送される、実施形態である。
【0064】
しかしながら、アクセプター媒体を、二酸化炭素を含む気体/気体混合物と接触させることを、気体/気体混合物を加圧しながら行うと、単位時間当たりに溶解される、および結合される二酸化炭素の量を増加させることができる。
【0065】
したがって、他の好ましい実施形態において、溶解された二酸化炭素でのグアニジノ基および/またはアミジノ基含有化合物を含む水性アクセプター溶液の濃縮または飽和は、加圧を可能にする濃縮装置で行われる。このことにより、濃縮の加速、または飽和する点への到達の加速を可能にすることが達成される。二酸化炭素でのアクセプター媒体の飽和の存在は、例えば、濃縮装置を通過して排出される気体混合物中の二酸化炭素の濃度の増加によって検出されることができる。驚くべきことに、水性アクセプター媒体において、アクセプター化合物の遊離グアニジノ基および/または遊離アミジノ基が、気体/気体混合物中の二酸化炭素分子と比較して過剰である場合、気体相がアクセプター媒体と十分に長い時間接触する時に二酸化炭素の完全な、またはほぼ完全な枯渇があることを明らかにしている。この文脈において、ほぼ完全とは、</=100ppmの濃度/部分(portion)を意味する。
この点において、方法は、気体/気体混合物からの二酸化炭素の完全な、またはほぼ完全な抽出を対象とする。
【0066】
本発明は、好ましくは、水性媒体中の二酸化炭素を選択的に結合する、輸送する、および保存する方法に関し、以下のステップを含む:
a)加圧を可能にする濃縮装置において、遊離グアニジノ基および/または遊離アミジノ基を有する少なくとも一つのアクセプター化合物を含む水性アクセプター溶液を提供すること;
b)二酸化炭素を含む気体をステップa)におけるアクセプター溶液と接触させること、ここで、ステップb)における接触は、加圧下で、好ましくは、アクセプター溶液が二酸化炭素で飽和されるまで行われる。
【0067】
本発明は、好ましくは、水性媒体中の二酸化炭素を選択的に結合する、輸送する、および保存する方法に関し、以下のステップ:
a)遊離グアニジノ基および/または遊離アミジノ基を有する少なくとも一つのアクセプター化合物を含む水性アクセプター溶液を提供すること;
b)二酸化炭素を含む気体をステップa)におけるアクセプター溶液と接触させること;および
c)ステップb)におけるアクセプター溶液中の結合した二酸化炭素/二酸化炭素誘導体を、分離膜に通して水性取り込みおよび放出媒体に輸送すること;または、
ステップb)からの結合した二酸化炭素/二酸化炭素誘導体を含むアクセプター溶液を保存すること、
を含み、
ここで、ステップa)におけるアクセプター溶液は、加圧を可能にする濃縮装置において提供され;および
ステップb)における接触は、加圧下で、好ましくは、アクセプター溶液が二酸化炭素で飽和されるまで行われる。
【0068】
本発明は、好ましくは、水性媒体中の二酸化炭素を選択的に結合する、輸送する、および保存する方法に関し、以下のステップ:
a)遊離グアニジノ基および/または遊離アミジノ基を有する少なくとも一つのアクセプター化合物を含む水性アクセプター溶液を提供すること;
b)二酸化炭素を含む気体をステップa)におけるアクセプター溶液と接触させること;および
c)ステップb)からの結合した二酸化炭素/二酸化炭素誘導体を含むアクセプター溶液を保存すること;および/または
ステップb)におけるアクセプター溶液中の結合した二酸化炭素/二酸化炭素誘導体を、分離膜に通して水性取り込みおよび放出媒体に輸送すること、
を含み、
ここで、ステップa)におけるアクセプター溶液は、加圧を可能にする濃縮装置において提供され;および
ステップb)における接触は、加圧下で、好ましくは、アクセプター溶液が二酸化炭素で飽和されるまで行われる。
【0069】
好ましくは、二酸化炭素を含む気体/気体混合物を、気体が<100ppmの二酸化炭素濃度に達するまで、アクセプター溶液と接触させる方法である。
好ましくは、二酸化炭素を含む気体/気体混合物を、気体の二酸化炭素濃度が<100ppmに達するまで、アクセプター溶液と接触させる方法であり、ここで、当該接触は圧力下で行われる。
【0070】
好ましくは、気体の二酸化炭素濃度が<100ppmに達するまで、二酸化炭素を含む気体をアクセプター溶液と接触させる方法であり、当該方法において、気体/気体混合物中に存在する二酸化炭素分子の数に対してアクセプター化合物の遊離グアニジノ基および/または遊離アミジノ基が過剰である。
【0071】
しかしながら、以下に示されるように、当該方法は、抽出および結合した二酸化炭素、並びに当該誘導体を変換するために使用されることもできる。この目的のために、水中の二酸化炭素および/または二酸化炭素誘導体の濃度/含有量は、できるだけ高い場合に有利である。したがって、本明細書において、更なる取り込みが達成されなくなるまで、すなわちアクセプター媒体が二酸化炭素で飽和されるまで、アクセプター媒体を、二酸化炭素を含むまたは二酸化炭素からなる気体/気体混合物と接触させることが好ましい。このことは、例えば、アクセプター媒体と接触させられた気体/気体混合物において、二酸化炭素の含有量が例えば、>100ppmに再び増加するという事実によって認識されることができる。したがって、アクセプター媒体の吸収能力は、使い果たされ、およびアクセプター媒体は二酸化炭素で飽和される。
【0072】
好ましくは、アクセプター媒体を、二酸化炭素で、および/または炭酸アニオンおよび/または重炭酸アニオンで飽和させる方法であり、当該方法において、アクセプター媒体と気体/気体混合物との接触は、アクセプター媒体と接触している気体/気体混合物中の二酸化炭素の濃度が>100ppmに増加するまで行われる。
【0073】
好ましくは、二酸化炭素で飽和されたアクセプター媒体である。好ましい実施形態において、二酸化炭素で飽和されたアクセプター溶液を、本発明に係る方法におけるステップb)において得る。
【0074】
好ましい実施形態において、アクセプター媒体を飽和させるために大気圧に対して増加した圧力が気体/気体混合物に適用される濃縮段階に続いて、減圧段階が行われ、当該減圧段階において、大気圧下またはわずかに増加もしくは減少しただけの圧力下で、分離されることを目的としない、または更なる工程において起こる反応ステップを妨げる可能性がある、例えば、窒素または酸素またはメタンなどの、溶解した気体化合物の脱気が達成される。驚くべきことに、100mバール(bar)の陰圧が適用される場合でさえ、二酸化炭素またはその水との反応生成物は、二酸化炭素での水性アクセプター媒体の飽和後に溶液から脱着されない、または放出されないことを明らかにしており、しかし、このことは高圧下で達成されている。好ましい実施形態において、大気圧または過圧で達成された、水性アクセプター媒体の二酸化炭素を含む気体/気体混合物との接触の後、水性アクセプター媒体からの二酸化炭素以外の気体化合物の除去は、水性アクセプター媒体に対して、大気圧へ圧抜きすることによって、および/または陰圧を適用することによってもたらされる。好ましい実施形態において、二酸化炭素に相当しない気体/気体成分、またはその水との反応生成物は、圧抜きすることによって、または減圧(陰圧)を適用することによって水性アクセプター媒体から除去される。
【0075】
この実施形態において、二酸化炭素の選択的分離は、好ましくは、膨張段階に続いて行われる。好ましくは、気体/気体混合物と水性アクセプター媒体との接触が、大気圧または高圧下で行われ、続いて、二酸化炭素に相当しない気体/気体成分が、大気圧または陰圧下で行われる膨張段階において逃がされる、または抽出される、方法である。
【0076】
本発明は、好ましくは、水性媒体中の二酸化炭素を選択的に結合する、輸送する、および保存する方法に関し、以下のステップを含む:
a)加圧を可能にする濃縮装置において、遊離グアニジノ基および/または遊離アミジノ基を有する少なくとも一つのアクセプター化合物を含む水性アクセプター溶液を提供すること;
b)二酸化炭素を含む気体をステップa)におけるアクセプター溶液と接触させること、ここで、ステップb)における接触は、加圧下で、好ましくは、アクセプター溶液が二酸化炭素で飽和されるまで行われる;および
b’)結合した二酸化炭素/二酸化炭素誘導体を含むステップb)からのアクセプター溶液を、大気圧で、または減圧で圧抜きすること。
【0077】
代替として定式化されると、本発明は、したがって、水性媒体中の二酸化炭素を選択的に結合する、および保存する方法に関し、以下のステップを含む:
a)加圧を可能にする濃縮装置において、遊離グアニジノ基および/または遊離アミジノ基を有する少なくとも一つのアクセプター化合物を含む水性アクセプター溶液を提供すること;
b)二酸化炭素を含む気体を、加圧下で、ステップa)におけるアクセプター溶液と接触させること;および
b’)結合した二酸化炭素/二酸化炭素誘導体を含むステップb)からのアクセプター溶液を、大気圧に、または減圧にさらすこと。
【0078】
本発明は、好ましくは、水性媒体中の二酸化炭素を選択的に結合する、輸送する、および保存する方法に関し、以下のステップ:
a)遊離グアニジノ基および/または遊離アミジノ基を有する少なくとも一つのアクセプター化合物を含む水性アクセプター溶液を提供すること;
b)二酸化炭素を含む気体をステップa)におけるアクセプター溶液と接触させること;および
c)ステップb)におけるアクセプター溶液中の結合した二酸化炭素/二酸化炭素誘導体を、分離膜に通して水性取り込みおよび放出媒体に輸送すること;または、
ステップb)からの結合した二酸化炭素/二酸化炭素誘導体を含むアクセプター溶液を保存すること、
を含み、
ここで、ステップa)におけるアクセプター溶液は、加圧を可能にする濃縮装置において提供され;および
ステップb)における接触は、加圧下で、好ましくは、アクセプター溶液が二酸化炭素で飽和されるまで行われ、
ここで、当該方法は、ステップb)の後に以下のステップb’)を更に含む:
b’)結合した二酸化炭素/二酸化炭素誘導体を含むステップb)からのアクセプター溶液を、大気圧で、または減圧で、圧抜きすること。
【0079】
本発明は、好ましくは、水性媒体中の二酸化炭素を選択的に結合する、輸送する、および保存する方法に関し、以下のステップ:
a)遊離グアニジノ基および/または遊離アミジノ基を有する少なくとも一つのアクセプター化合物を含む水性アクセプター溶液を提供すること;
b)二酸化炭素を含む気体をステップa)におけるアクセプター溶液と接触させること;および
c)ステップb)からの結合した二酸化炭素/二酸化炭素誘導体を含むアクセプター溶液を保存すること;および/または
ステップb)におけるアクセプター溶液中の結合した二酸化炭素/二酸化炭素誘導体を、分離膜に通して水性取り込みおよび放出媒体に輸送すること、
を含み、
ここで、ステップa)からのアクセプター溶液は、加圧を可能にする濃縮装置において提供され;および
ステップb)における接触は、加圧下で、好ましくは、アクセプター溶液が二酸化炭素で飽和されるまで行われ、
ここで、当該方法は、ステップb)の後に以下のステップb’)を更に含む:
b’)結合した二酸化炭素/二酸化炭素誘導体を含むステップb)からのアクセプター溶液を、大気圧で、または減圧で、圧抜きすること。
【0080】
好ましい実施形態において、二酸化炭素を含む気体/気体混合物をアクセプター溶液と接触させた後で、水性アクセプター媒体に溶解した二酸化炭素、またはその水との反応生成物は、気体相として放出される。
【0081】
一般に、電解は、導電性液体(電解液)を介して、2つの電極を介して直流を伝導することを含む。電極で、電解反応生成物は、電解液に含まれる物質から生成される。驚くべきことに、二酸化炭素が添加されている水性アクセプター媒体にDC電圧を印加することによって、二酸化炭素が両方の電極で気泡の形態で放出されることが明らかになった。このことは、(結合した)二酸化炭素、またはその水との反応生成物の全含有量が水性アクセプター媒体から除去される/放出されることを可能にすることを明らかにしている。
【0082】
本発明は、好ましくは、水性媒体中の二酸化炭素を選択的に結合する、輸送する、および保存する方法に関し、以下のステップを含む:
a)遊離グアニジノ基および/または遊離アミジノ基を有する少なくとも一つのアクセプター化合物を含む水性アクセプター溶液を提供すること;
b)二酸化炭素を含む気体をステップa)におけるアクセプター溶液と接触させること;および
c1)ステップb)からの結合した二酸化炭素/二酸化炭素誘導体を含むアクセプター溶液から気体相として二酸化炭素を放出すること。
【0083】
本発明は、好ましくは、水性媒体中の二酸化炭素を選択的に結合する、輸送する、および保存する方法に関し、以下のステップを含む:
a)遊離グアニジノ基および/または遊離アミジノ基を有する少なくとも一つのアクセプター化合物を含む水性アクセプター溶液を提供すること;
b)二酸化炭素を含む気体をステップa)におけるアクセプター溶液と接触させること;および
c1)ステップb)からのアクセプター溶液にDC電圧を印加することによって、ステップb)からの結合した二酸化炭素/二酸化炭素誘導体を含むアクセプター溶液から気体相として二酸化炭素を放出すること。
【0084】
したがって、好ましい実施形態は、水性媒体中の二酸化炭素を選択的に結合する、および放出する方法に関し、以下のステップを含む:
a)遊離グアニジノ基および/または遊離アミジノ基を有する少なくとも一つのアクセプター化合物を含む水性アクセプター溶液を提供すること;
b)二酸化炭素を含む気体をステップa)からのアクセプター溶液と接触させること;および
c1)電解によって、ステップb)からの結合した二酸化炭素/二酸化炭素誘導体を含むアクセプター溶液から気体相として二酸化炭素を放出すること。
【0085】
本発明は、好ましくは、水性媒体中の二酸化炭素を選択的に結合する、輸送する、および保存する方法に関し、以下のステップを含む:
a)遊離グアニジノ基および/または遊離アミジノ基を有する少なくとも一つのアクセプター化合物を含む水性アクセプター溶液を提供すること;
b)二酸化炭素を含む気体をステップa)におけるアクセプター溶液と接触させること;
c)ステップb)におけるアクセプター溶液中の結合した二酸化炭素/二酸化炭素誘導体を、分離膜に通して水性取り込みおよび放出媒体に輸送すること;および
c2)ステップc)における水性取り込みおよび放出媒体にDC電圧を印加することによって、ステップc)における結合した二酸化炭素/二酸化炭素誘導体を含む取り込みおよび放出媒体から気体相として二酸化炭素を放出すること。
【0086】
好ましくは、水性アクセプター媒体を二酸化炭素と接触させて二酸化炭素をロードし、続いてアクセプター媒体に溶解された/結合された二酸化炭素、またはその水との反応生成物を、アクセプター媒体にDC電圧を印加することによって、二酸化炭素気体として放出する方法である。
【0087】
予想通り、二酸化炭素に加えて酸素が陽極で放出され、および水素が陰極で放出される。驚くべきことに、その後、電気泳動法を用いることによって、アクセプター溶液中に存在する炭酸アニオン/炭酸水素アニオンをそこから空間的に分離し、その後、水分離(水の分離)により二酸化炭素を放出することによって、二酸化炭素を高純度の気体相として利用することができることを明らかにした。
【0088】
水性アクセプター媒体に溶解された、および結合された二酸化炭素の、または炭酸アニオン/炭酸水素アニオンの電気泳動分離は、先行技術において利用可能な電気透析装置によって達成されることがきることが明らかにされた。
【0089】
オープンポア膜(open-pore membranes)は、溶解した二酸化炭素、または炭酸アニオン/炭酸水素アニオンの電気泳動通過を可能にするのに適していることがさらに明らかにされた。この方法において、溶解した二酸化炭素、または炭酸アニオン/炭酸水素アニオンが陽極に向かって電気泳動的に輸送される。DC電圧が電極に印加される場合、アニオンが陽極に移動し、およびアニオンは正に荷電されたアニオン交換膜を通過することができる。
【0090】
電気透析ユニットを使用する次の実験的配置は、最も純粋な形態で気体二酸化炭素を得るのに特に適していることが明らかにされた:陰極チャンバー/アクセプター溶液を受けるためのチャンバー(以下、アクセプターチャンバーと呼ばれる)/二酸化炭素の放出が気体相の形態で行われるチャンバー(以下、取り込みおよび放出チャンバーと呼ばれる)/陽極チャンバー。
【0091】
アクセプター溶液からの溶解した二酸化炭素およびその誘導体の電気泳動分離を達成するために、アクセプターチャンバーは、陽極側で、導電性媒体によって、取り込みおよび放出チャンバーに連結されることになり、それにおいて、輸送された化合物が好ましくは取り込まれる、および/または輸送された化合物の放出または反応が達成される。取り込みおよび放出チャンバー内に存在する媒体は、好ましくは水溶液であり、以降、取り込みおよび/または放出媒体と呼ばれる。
【0092】
したがって、本発明の好ましい実施形態は、水性媒体中の二酸化炭素を選択的に結合する、輸送する、および保存する方法に関し、以下のステップ:
a)遊離グアニジノ基および/または遊離アミジノ基を有する少なくとも一つのアクセプター化合物を含む水性アクセプター溶液を提供すること;
b)二酸化炭素を含む気体をステップa)におけるアクセプター溶液と接触させること;および
c)ステップb)からのアクセプター溶液中の結合した二酸化炭素/二酸化炭素誘導体を、分離膜に通して水性取り込みおよび放出媒体に輸送すること、
を含み、
ここで、ステップb)からのアクセプター溶液は、電気透析装置のアクセプターチャンバー内にある、または電気透析装置のアクセプターチャンバーに導入され;および
ここで、ステップc)における二酸化炭素/誘導体を輸送することは、アクセプターチャンバーと取り込みおよび放出チャンバーとの間に確立された電気的勾配によって達成され、
ここで、アクセプターチャンバーと取り込みおよび放出チャンバーとは、分離膜によって互いに分離される。
【0093】
したがって、本発明の好ましい実施形態は、水性媒体中の二酸化炭素を選択的に結合する、輸送する、および保存する方法に関し、以下のステップ:
a)遊離グアニジノ基および/または遊離アミジノ基を有する少なくとも一つのアクセプター化合物を含む水性アクセプター溶液を提供すること;
b)二酸化炭素を含む気体をステップa)におけるアクセプター溶液と接触させること;および
c)ステップb)におけるアクセプター溶液からの炭酸アニオン/炭酸水素アニオンを、分離膜に通して水性取り込みおよび放出媒体に輸送すること、
を含み、
ここで、ステップb)からのアクセプター溶液は、電気透析装置のアクセプターチャンバー内にある、または電気透析装置のアクセプターチャンバーに導入され;および
ここで、ステップc)に係る炭酸アニオン/炭酸水素アニオンを輸送することは、アクセプターチャンバーと取り込みおよび放出チャンバーとの間に確立された電気的勾配によって達成され、
ここで、アクセプターチャンバーと取り込みおよび放出チャンバーとは、分離膜によって互いに分離される。
【0094】
水道水が、取り込みおよび放出チャンバー内で、当該配置で、取り込みおよび放出媒体として使用される場合、二酸化炭素からなる気泡の形成が、取り込みおよび放出チャンバー内で、このチャンバーをアクセプターチャンバーから分離する膜で生じる。アクセプターチャンバーと取り込みおよび放出チャンバーとの間の膜を覆う気泡の形成は、気体層によりこれらの領域での電気絶縁が発達し、そのことにより当該方法の効率が大幅に低下するので、非常に不利であることが示されている。さらに、電解質を含む水性媒体の使用は、固体が、例えば、炭酸ナトリウムおよび/または炭酸カルシウムの形で、形成し得るので、不利である。特に、炭酸カルシウムなどの実質的に非水溶性の炭酸塩を生成する電解質は不利である。
【0095】
それにもかかわらず、取り込みおよび放出媒体が高い電気伝導率を有することが、電気泳動法の実行のために必要である。さらに、取り込みおよび放出媒体中で電気伝導性を確立する化合物は、印加されたDC電場においてそれ自体電気泳動的に輸送されるべきではない。驚くべきことに、有機酸および無機酸が上記の要件を提供するのに適していることが明らかになった。
【0096】
驚くべきことに、一つ以上の酸基を有する水溶性有機化合物が、溶解した二酸化炭素/炭酸アニオン/炭酸水素アニオンを変換するために特に適していることが明らかにされ、一つ以上の酸基を有する水溶性有機化合物は、分離膜を通って取り込みおよび/または放出媒体を含むチャンバーに入り、溶解した二酸化炭素/炭酸アニオン/炭酸水素アニオンを気体状態にする、または発生/放出する。この有機化合物が電場内で輸送されない、および/または当該分子サイズのために分離膜を通って取り込みおよび/または放出媒体を含むチャンバーから離れることができない場合、特に有利である。
【0097】
したがって、本発明の好ましい実施形態は、水性媒体中の二酸化炭素を選択的に結合する、輸送する、および保存する方法に関し、以下のステップ:
a)遊離グアニジノ基および/または遊離アミジノ基を有する少なくとも一つのアクセプター化合物を含む水性アクセプター溶液を提供すること;
b)二酸化炭素を含む気体をステップa)におけるアクセプター溶液と接触させること;および
c)ステップb)におけるアクセプター溶液からの結合した二酸化炭素/二酸化炭素誘導体を、分離膜に通して水性取り込みおよび放出媒体に輸送すること、
を含み、
ここで、水性取り込みおよび放出媒体は、有機酸、または無機酸を含む。
【0098】
したがって、本発明の好ましい実施形態は、水性媒体中の二酸化炭素を選択的に結合する、輸送する、および保存する方法に関し、以下のステップ:
a)遊離グアニジノ基および/または遊離アミジノ基を有する少なくとも一つのアクセプター化合物を含む水性アクセプター溶液を提供すること;
b)二酸化炭素を含む気体をステップa)におけるアクセプター溶液と接触させること;および
c)ステップb)におけるアクセプター溶液からの結合した二酸化炭素/二酸化炭素誘導体を、分離膜に通して水性取り込みおよび放出媒体に輸送すること、
を含み、
ここで、水性取り込みおよび放出媒体は、有機酸、または無機酸を含み、およびpHは、1から7の間、より好ましくは2から6の間、より好ましくは3から5の間の範囲を有する。
【0099】
したがって、本発明の更に好ましい実施形態は、水性媒体中の二酸化炭素を選択的に結合する、輸送する、および保存する方法に関し、以下のステップ:
a)遊離グアニジノ基および/または遊離アミジノ基を有する少なくとも一つのアクセプター化合物を含む水性アクセプター溶液を提供すること;
b)二酸化炭素を含む気体をステップa)からのアクセプター溶液と接触させること;および
c)ステップb)におけるアクセプター溶液からの結合した二酸化炭素/二酸化炭素誘導体を、分離膜に通して水性取り込みおよび放出媒体に輸送すること、
を含み、
ここで、水性取り込みおよび放出媒体は、有機酸を含み、および好ましくは、pHは、1から7の間、より好ましくは2から6の間、より好ましくは3から5の間の範囲を有する。好ましくは、有機酸は、少なくとも一つの酸基を有する化合物であり、および、pHが、3から5の間、好ましくは3.5から4.5の間で等電点を有する。好ましい実施形態において、有機酸は、好ましくは、クエン酸、酒石酸、およびアスコルビン酸を含む、またはからなる群から選択される。特に好ましい実施形態において、有機酸はクエン酸である。特に好ましい実施形態において、水性取り込みおよび放出媒体はクエン酸を含む。
【0100】
さらに好ましい実施形態において、水性取り込みおよび放出媒体は、有機酸を含み、ここで、有機酸は、側鎖にカルボン酸基(COOH)を有する酸性アミノ酸である。本明細書において更に好ましくは、水性取り込みおよび放出媒体が有機酸を含み、有機酸が酸基を有するアミノ酸である実施形態である。本明細書において更に好ましくは、水性取り込みおよび放出媒体が有機酸を含み、有機酸が、アスパラギン酸およびグルタミン酸を含む、またはからなる群から選択される実施形態である。本明細書において更に好ましくは、水性取り込みおよび放出媒体が有機酸を含み、有機酸が、クエン酸、酒石酸、およびアスコルビン酸を含む、またはからなる群から選択される実施形態である。特に好ましくは、酒石酸である。本明細書において更に好ましくは、水性取り込みおよび放出媒体が無機酸を含み、無機酸が、好ましくは硫酸または二リン酸を含む、またはからなる群から選択される、実施形態である。
【0101】
したがって、本発明の好ましい実施形態は、水性媒体中の二酸化炭素を選択的に結合する、輸送する、および保存する方法に関し、以下のステップ:
a)遊離グアニジノ基および/または遊離アミジノ基を有する少なくとも一つのアクセプター化合物を含む水性アクセプター溶液を提供すること;
b)二酸化炭素を含む気体をステップa)におけるアクセプター溶液と接触させること;および
c)ステップb)からのアクセプター溶液中の結合した二酸化炭素/二酸化炭素誘導体を、分離膜に通して、クエン酸を含む水性取り込みおよび放出媒体に輸送すること、
を含み、
ここで、ステップb)におけるアクセプター溶液は、電気透析装置のアクセプターチャンバー内にある、または電気透析装置のアクセプターチャンバーに導入され;および
ここで、ステップc)における二酸化炭素/二酸化炭素誘導体を輸送することは、アクセプターチャンバーと取り込みおよび放出チャンバーとの間に確立された電気的勾配によって達成され、
ここで、アクセプターチャンバーと取り込みおよび放出チャンバーとは、分離膜によって互いに分離される。
【0102】
酸基を有するアミノ酸は、この条件を特によく満たすことが明らかにされ、したがって特に好ましい。
好ましくは、取り込みおよび/または放出媒体のpHは、溶解したアミノ酸の解離によって自己調節される。アミノ酸は、アミノ酸の等電点では電気泳動移動度を示さない。したがって、水溶解したアミノ酸が、アクセプター媒体、並びに取り込みおよび/または放出媒体のそれぞれにおいて、それらの等電点で存在する場合、特に有利である。このことは、可溶化を担う化合物であって、一方で輸送を担う化合物、および他方で二酸化炭素/炭酸水素アニオンの分離/放出を担う化合物は、各溶液に残っているので、混合しない、または消費されないという特に有利な効果をもたらす。炭酸アニオン/炭酸水素アニオンの電気泳動分離、および、オープンポアメソ多孔性膜(open-pored mesoporous membrane)を介した、例えば、セラミックフィルタープレート(ceramic filter plate)の形態での、溶解した二酸化炭素の拡散誘起輸送が可能であることを示している。この場合において、アクセプター溶液、並びに取り込みおよび放出媒体のpHも、電気泳動中に変化せず、二酸化炭素の放出は、取り込みおよび放出チャンバーにおいて達成され、そのことによって、分離膜への気泡形成および付着による電圧降下は電気泳動中に存在しない。この点において、二酸化炭素の、または炭酸アニオン/炭酸水素アニオンの取り込みおよび結合が、媒体中で達成され、および取り込まれた/結合した二酸化炭素、または炭酸アニオン/炭酸水素アニオンが除去されることができ、および分離媒体から離れて輸送されることができ、したがって、二酸化炭素の放出が、分離媒体または取り込みおよび放出チャンバーから空間的に離れて実行されることができる、という条件を本発明に係る取り込み媒体は満たす。
【0103】
好ましくは、二酸化炭素/炭酸アニオン/炭酸水素アニオンの溶解、電気泳動輸送、および分離/放出が、塩基性アミノ酸を水性アクセプター媒体に提供することによって、および酸基を有するアミノ酸を水性取り込みおよび/または放出媒体に、それらの等電点で提供することによって、達成される方法である。
【0104】
好ましくは、気体または気体化合物、およびそれらの誘導体が、水性アクセプター媒体中で結合され、電気泳動法によって、水中の気体/気体化合物、またはそれらの誘導体が、分離媒体(分離膜)を通って輸送され、およびそのことによって取り込みおよび放出媒体に入る、方法である。
【0105】
好ましくは、気体または気体化合物、およびそれらの誘導体が、水性アクセプター媒体中で結合され、電気泳動法によって、水中において気体/気体化合物、またはそれらの誘導体が、分離媒体を通って輸送され、およびそのことによって取り込みおよび放出媒体に入る、方法であって、ここで、気体または気体化合物、およびそれらの誘導体は、気相として放出/発生され、および/または化学的に反応する。
【0106】
好ましくは、分離媒体(分離膜)を通って輸送される二酸化炭素/誘導体の放出が、純粋な二酸化炭素ガスの形で取り込みおよび放出チャンバー内で達成される方法である。
【0107】
好ましい塩基性アミノ酸は、アルギニンおよびリジンである。好ましい酸基を有するアミノ酸は、アスパラギン酸およびグルタミン酸である。
pKs>3を有する酸を、取り込みおよび放出媒体として使用した場合、そこにおいて電気泳動的に輸送された二酸化炭素、または炭酸アニオン/炭酸水素アニオンは、膜において、または取り込み-放出チャンバー内で、気体二酸化炭素として放出/発生されない、または少量のみがすでに放出/発生されるということを明らかにした。この場合において、取り込みおよび放出媒体における溶解/結合された二酸化炭素の、または炭酸アニオン/炭酸水素アニオンの、完全な放出は、取り込みおよび放出媒体を通過させることによって、取り込みおよび放出チャンバーの外で、好ましくは、収集容器内の疎水性表面で、達成されることができることを明らかにした。
【0108】
取り込みおよび放出チャンバー内の取り込みおよび放出媒体を有する分離媒体(分離膜)における高いオーバーフロー率が、特に、取り込みおよび放出チャンバー内で乱流を引き起こすハニカム様スペーサーを使用することによって確立され、このことは、取り込みおよび放出媒体が二酸化炭素の放出/発生が達成される表面、または二酸化炭素の放出/発生が陰圧の印加によってもたらされる表面と接触する放出装置に伝えられる場合、気体としての二酸化炭素の放出は、実質的に放出装置だけで達成され、取り込みおよび放出チャンバーにおいては全くない、または非常に少量だけであることが明らかになっている。したがって、好ましい方法実施形態において、取り込みおよび放出媒体からの気体としての二酸化炭素の放出は、取り込みおよび放出媒体が取り込みおよび放出チャンバーから導入される放出装置で行われる(
図1参照)。好ましくは、二酸化炭素の放出/発生のための放出装置における界面の提供である。疎水性界面が好ましい。
【0109】
界面面積を増加させるための適切な装置は、例えば、カラム充填材料などである。
好ましくは、二酸化炭素/炭酸アニオン/炭酸水素アニオンを、取り込みおよび放出チャンバー内で取り込みおよび放出媒体に取り込んだ後、取り込みおよび放出媒体が、放出装置に導入され、および二酸化炭素が気体として放出装置に放出される方法である。
【0110】
したがって、本発明の好ましい実施形態は、水性媒体中の二酸化炭素を選択的に結合する、輸送する、および保存する方法に関し、以下のステップ:
a)遊離グアニジノ基および/または遊離アミジノ基を有する少なくとも一つのアクセプター化合物を含む水性アクセプター溶液を提供すること;
b)二酸化炭素を含む気体をステップa)におけるアクセプター溶液と接触させること;および
c)ステップb)からのアクセプター溶液中の結合した二酸化炭素/二酸化炭素誘導体を、分離膜に通して、水性取り込みおよび放出媒体に輸送すること、
を含み、
ここで、ステップb)におけるアクセプター溶液は、電気透析装置のアクセプターチャンバー内にある、または電気透析装置のアクセプターチャンバーに導入され;および
ステップc)における二酸化炭素/誘導体を輸送することは、アクセプターチャンバーと取り込みおよび放出チャンバーとの間に確立された電気的勾配によって達成され、
ここで、アクセプターチャンバーと取り込みおよび放出チャンバーとは、分離膜によって互いに分離され;
ここで、方法は、ステップc)の後に、以下のステップc3)を含む:
c3)放出チャンバー内で、ステップc)からの結合した二酸化炭素/誘導体を含む取り込みおよび放出媒体から二酸化炭素を気体相として放出すること。
【0111】
好ましい実施形態において、気体相として二酸化炭素は、ステップc3)からの取り込みおよび放出媒体にDC電圧を印加することによって、放出される。
【0112】
したがって、本発明の好ましい実施形態は、水性媒体中の二酸化炭素を選択的に結合する、輸送する、および保存する方法に関し、以下のステップ:
a)遊離グアニジノ基および/または遊離アミジノ基を有する少なくとも一つのアクセプター化合物を含む水性アクセプター溶液を提供すること;
b)二酸化炭素を含む気体をステップa)におけるアクセプター溶液と接触させること;および
c)ステップb)からのアクセプター溶液中の結合した二酸化炭素/二酸化炭素誘導体を、分離膜に通して、水性取り込みおよび放出媒体に輸送すること、
を含み、
ここで、ステップb)におけるアクセプター溶液は、電気透析装置のアクセプターチャンバー内にある、または電気透析装置のアクセプターチャンバーに導入され;および
ここで、ステップc)における二酸化炭素/誘導体を輸送することは、アクセプターチャンバーと取り込みおよび放出チャンバーとの間に確立された電気的勾配によって達成され、
ここで、アクセプターチャンバーと取り込みおよび放出チャンバーとは、分離膜によって互いに分離され;
ここで、方法は、ステップc)の後に、以下のステップc3’)を含む:
c3’)ステップc)からの結合した二酸化炭素/二酸化炭素誘導体を含む水性取り込みおよび放出媒体を放出装置に導入すること。
【0113】
好ましい実施形態において、方法は、ステップc3’)の後に、以下のステップc3)を含む:
c3)放出装置内で、ステップc3’)からの結合した二酸化炭素/二酸化炭素誘導体を含む取り込みおよび放出媒体から二酸化炭素を気体相として放出すること。
【0114】
したがって、本発明の好ましい実施形態は、水性媒体中の二酸化炭素を選択的に結合する、輸送する、および保存する方法に関し、以下のステップ:
a)遊離グアニジノ基および/または遊離アミジノ基を有する少なくとも一つのアクセプター化合物を含む水性アクセプター溶液を提供すること;
b)二酸化炭素を含む気体をステップa)におけるアクセプター溶液と接触させること;および
c)ステップb)からのアクセプター溶液中の結合した二酸化炭素/二酸化炭素誘導体を、分離膜に通して、水性取り込みおよび放出媒体に輸送すること、
を含み、
ここで、ステップb)におけるアクセプター溶液は、電気透析装置のアクセプターチャンバー内にある、または電気透析装置のアクセプターチャンバーに導入され;および
ステップc)における二酸化炭素/誘導体を輸送することは、アクセプターチャンバーと取り込みおよび放出チャンバーとの間に確立された電気的勾配によって達成され、
ここで、アクセプターチャンバーと取り込みおよび放出チャンバーとは、分離膜によって互いに分離され;
ここで、ステップc)に係る方法は、以下のステップc3’)およびc3)を含む:
c3’)ステップc)からの結合した二酸化炭素/二酸化炭素誘導体を含む水性取り込みおよび放出媒体を放出装置に導入すること;および
c3)放出装置内で、ステップc3’)からの結合した二酸化炭素/二酸化炭素誘導体を含む取り込みおよび放出媒体から二酸化炭素を気体相として放出すること。
【0115】
放出チャンバー/放出装置内で、または取り込みおよび放出媒体から発生/放出される気体は、二酸化炭素のみ、またはほとんど二酸化炭素だけからなることが更に明らかにされた。放出装置において気体相として二酸化炭素の放出を伴う本発明に係る方法実施形態が行われる場合、分離膜での気体放出/発生による電気透析装置内での二酸化炭素/炭酸アニオン/炭酸水素アニオンの電気泳動輸送中の電気抵抗の増加がない、または取り込みおよび放出チャンバー内での気泡形成の増加がない。
【0116】
好ましくは、純粋な二酸化炭素気体を回収し、および得る方法である。
純粋な気体は、他の化合物からの不純物を<0.5vol%含む。
方法における更に好ましい実施形態において、イオン性液体が放出媒体として使用される。イオン性液体は、一般的に水溶性ではなく、およびイオン性液体を構成するアニオンおよびカチオン化合物の電気泳動輸送がないので、特に有利である。したがって、取込みおよび放出チャンバーからアクセプターチャンバーを分離するオープンポア膜と組み合わせて放出媒体としてのイオン性液体の適用は、本方法の特に好ましい実施形態である。
【0117】
好ましくは、気体または気体化合物、およびそれらの誘導体が水性アクセプター媒体に結合され、電気泳動工程によって、水中の気体/気体化合物、またはそれらの誘導体が、分離媒体(分離膜)を通って輸送され、および、そのことによって取り込みおよび放出媒体に入る、方法であり、ここで、取り込みおよび放出媒体は、イオン性液体である。
【0118】
好ましくは、気体または気体化合物および当該誘導体が、水性アクセプター媒体に結合され、および電気泳動工程によって、気体/気体化合物または当該誘導体が分離媒体(分離膜)を通って水中で輸送され、そのことによって、イオン性液体である取り込みおよび放出媒体に入る方法であり、ここで、気体または気体化合物および当該誘導体を、化学的に反応させる。
【0119】
特に好ましい実施形態において、気体/気体混合物からの二酸化炭素の分離は、半連続的または連続的である。この目的のために好ましくは、本発明に係る水性アクセプター溶液の一つにおいて二酸化炭素の溶解/解離が行われ、および、同時に、アクセプター溶液からの溶解した二酸化炭素または炭酸アニオン/炭酸水素アニオンの分離が達成される装置である。結合した二酸化炭素/炭酸アニオン/炭酸水素アニオンの選択的分離は、好ましくは、分離媒体(分離膜)を介した輸送によって達成される。溶解した二酸化炭素または炭酸アニオン/炭酸水素アニオンの分離のための分離媒体として膜の使用が好ましい。電気泳動分離が好ましい。この目的のために、電気透析ユニットの使用が特に好ましい。一実施形態において、二酸化炭素を含む気体/気体混合物を適用することによってロードすることは、アクセプター溶液を含むチャンバー内で行われる。その後、このチャンバーから出る二酸化炭素が減少した気体/気体混合物は、アクセプター溶液を含む次のチャンバーに移動される。この配置を、連続して何回も行うことができる。気体をロードすることは、それぞれの透析セルにおけるアクセプター溶液を含むチャンバーとその外側の容器との両方で行うことができ、そのことによって、透析ユニットにおける容器とそれぞれのチャンバーとの間に再循環が確立される。好ましくは、アクセプター媒体中の気体/気体混合物の可能な限り微細な分散である。
【0120】
この目的のために、従来技術を使用することができる。二酸化炭素含有気体流がアクセプター媒体と数回連続して接触するように、当該方法配置を用いて、気体スクラビングカラムを設定することができる。
【0121】
二酸化炭素で飽和されたアクセプター媒体からの二酸化炭素/炭酸アニオン/炭酸水素アニオンの分離後、二酸化炭素を溶解、結合、および輸送するために、アクセプター媒体を再利用することができることが実証されている。特に有利な方法において、これはアクセプター媒体を再循環させることを可能にするので、二酸化炭素を損失なく連続的または半連続的に取り込む、輸送する、および分離することができ、アクセプター媒体は、工程を再度行うために必要に応じて度々利用することができる。
【0122】
好ましい方法は、アクセプター媒体から二酸化炭素/炭酸アニオン/炭酸水素アニオンの分離後に、そこにおいて再び二酸化炭素を溶解し、および結合するために、アクセプター媒体の再利用が、損失無く行われる方法である。
【0123】
溶解したアクセプター化合物の中で非プロトン化グアニジノ基/アミジノ基が存在するという条件で、気体二酸化炭素は、グアニジノ基/アミジノ基を有する化合物の水溶液に完全に可溶化され、および結合されることができることを示している。二酸化炭素が他の気体化合物/元素に対してどの比率で存在するか、またはそれが純粋な二酸化炭素気流であるかどうかは無関係である。この条件下で、接触時間、および、水性アクセプター媒体と気体/気体混合物との間に達する界面に応じて、気体/気体混合物から二酸化炭素の完全な(<1ppm)、または、ほぼ完全な(</=100ppm)除去が達成される。
【0124】
好ましくは、気体または気体混合物から二酸化炭素を除去するための方法である。
したがって、初めて、大気圧で、気体または気体混合物を、水性アクセプター媒体と接触させることによって、気体または気体混合物から二酸化炭素の完全、または、ほぼ完全な除去を可能にし、続いて、気体二酸化炭素を、高純度または純粋な形で再び選択的に得ることができる方法を提供することができる。この文脈において、高純度とは、二酸化炭素含有量が>99.5vol%であることを意味し、および純粋とは二酸化炭素含有量が>98.5vol%であることを意味する。
【0125】
この点において、方法は更に、純粋な二酸化炭素の選択的分離および回収および生成を対象にする。
好ましくは、純粋または高純度である二酸化炭素の選択的な分離、回収、および生成のための方法である。
【0126】
気体/気体混合物が水中で酸を形成するいくつかの気体化合物を含む場合、これらは、アクセプター媒体に取り込まれることができ、したがって、気体化合物の一つだけが回収される場合、分離効率に影響を与えることが明らかになっている。このことは、特に、有機材料の発酵中に生成される気体、いわゆる「酸性天然ガス」、および排煙または消化ガスの場合に当てはまり得る。さらに、排煙は、アクセプター溶液を煤にすることにつながる可能性のある固体を含んでもよい。方法の好ましい実施形態において、気体/気体混合物をアクセプター媒体と接触させる前に、水性媒体に溶解する、またはそこにおいて水溶性反応生成物を形成する全ての固体粒子/液体および気体化合物が分離される。このことは、先行技術の方法を用いて可能である。
したがって、二酸化炭素を結合させる、または結合して回収する気体流の予備精製が好ましい。
【0127】
好ましくは、二酸化炭素を含む気体/気体混合物をアクセプター媒体と接触させる前に、水に溶解する、または水と接触して水溶性反応生成物を形成する液体成分および固体成分、並びに二酸化炭素以外の気体成分の分離/吸着が行われる方法である。
【0128】
したがって、二酸化炭素の吸着、輸送、および選択的放出のための方法を提供することができ、方法において、腐食性または健康に有害な化合物が存在せず、および、そこにおいて結合された二酸化炭素の分離後に、水性アクセプター媒体を、完全に再循環することができ、および二酸化炭素の新たな吸収に使用することができる。
【0129】
好ましくは、水性アクセプター媒体が、二酸化炭素の吸収、輸送、および選択的放出のために提供され、腐食性または健康に有害な化合物が使用されず、および水性アクセプター媒体が完全に再循環され、およびそこにおいて結合された二酸化炭素の分離後に、水性アクセプター媒体を、完全に再循環することができ、および二酸化炭素の再吸収に使用する、方法である。
【0130】
好ましくは、水性アクセプター媒体中で水に溶解したアクセプター化合物に気体化合物を可逆的に結合させる方法である。
好ましくは、水性アクセプター媒体中に存在する気体化合物と水溶性アクセプター化合物との間の可逆的結合が、気体状化合物と水との反応生成物を介して達成される方法である。
【0131】
好ましくは、水性アクセプター媒体における気体化合物と水相との反応生成物が、溶解したアクセプター化合物によって可逆的に結合される方法である。
好ましくは、水性アクセプター媒体中の気体化合物がアクセプター化合物によって結合され、および結合した気体化合物が、アクセプター溶液におけるpHの変化によって、アニオン性化合物の添加による気体化合物の置換よって、または電気泳動分離によって、ガスとして再び放出されることができる方法である。
【0132】
好ましくは、方法は、気体化合物を水性アクセプター媒体中で結合させ、続いて気体化合物を放出させ、アクセプター化合物を再生し、続いて気体化合物を再結合させるためにアクセプター媒体を提供すること、を含む。
【0133】
更なる方法実施形態は、二酸化炭素の吸収、輸送、および選択的放出のために本発明の方法によって、実現されることができることを明らかにした。
二酸化炭素を水性アクセプター媒体に溶解する工程中に水素が放出されることを明らかにした。0.5モルから2モルの間の水素を、アクセプター媒体に結合している二酸化炭素の各モルに対して生成することができる。水素は、気体として気体/気体混合物に入り、アクセプター媒体と接触された後に放出する。水素は需要が高い原料であり;したがって、方法の好ましい実施形態において、本発明に係る方法実施形態で得ることができる水素量の回収が行われる。好ましい方法実施形態において、工程実施形態中に生成される水素の吸着が行われる。水素の吸着および分離のための方法および装置は、先行技術において知られている。例えば、アクセプター媒体と接触させた後に収集された気体/気体混合物を、そこにおいて水素を結合する、および/または分離するのに適した媒体に通過させることができ、直接的に、または二次回路において回収する、および/または反応させることができる。この点において、方法は更に、水素の生成および回収を対象にする。
【0134】
好ましくは、二酸化炭素を含む気体/気体混合物をアクセプター媒体と接触させることによって水素を生成し、および生成された水素を吸着および/または分離回収する方法である。好ましくは、水素の生成および回収のための方法であり、方法において気体/気体混合物をアクセプター媒体と接触させる。好ましくは、水素の生成および回収のためのアクセプター媒体である。
【0135】
驚くべきことに、本発明に係る水性アクセプター媒体中に/水性アクセプター媒体へのカチオン性化合物の存在によって、または添加によって、二酸化炭素が取り込まれること、または二酸化炭素が既に結合しており、炭酸塩の自発的な形成があること、を明らかにした。水性アクセプター媒体においてナトリウムイオン、またはカルシウムイオンの存在下で、水溶性気体化合物を含む気体と接触すると、固体が形成されることを明らかにしている。水溶性気体化合物が二酸化炭素である場合、炭酸ナトリウムまたは炭酸カルシウムが形成されることを明らかにしている。
【0136】
好ましくは、気体化合物をアクセプター媒体中で結合させ、一つ以上の化合物とここにおいて接触させる方法であり、ここで、物理化学的または化学的反応は、アクセプター化合物に結合された気体化合物と、または気体化合物のアニオン性形態と、少なくとも一つの他の化合物との間で達成される。
【0137】
好ましくは、アクセプター媒体中の気体化合物が、結合した気体化合物または気体化合物のアニオン性形態と、一つ以上の他の化合物との間の反応を可能にする、および/または触媒するアクセプター化合物によって結合される方法である。
【0138】
次に、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の塩が、本発明に係る水性アクセプター媒体に非常に容易に溶解することを明らかにした。驚くべきことに、水中での溶解工程と比較して、反応が起こらなかった、または非常に小さな発熱反応が起こった。このことは、特に、塩化カルシウム、塩化鉄または塩化アルミニウムなどのカルシウム、鉄およびアルミニウムの塩の溶解に当てはまる。驚くべきことに、このことは、炭酸塩および炭酸水素塩の生成において更に特に有利な機会をもたらす。
【0139】
本発明に係るアクセプター溶液が、例えば塩化アルミニウムまたは塩化鉄が溶解され、二酸化炭素で飽和されたアクセプター溶液に導入される場合、非常に微細な白色または薄茶色の固体粒子が形成され、それは、攪拌下で懸濁液として存在し、攪拌を停止した後に沈降した。固体は、炭酸アルミニウムまたは炭酸鉄であったことを実証することが可能である。驚くべきことに、溶解した塩を含むアクセプター溶液を、二酸化炭素で飽和されたアクセプター溶液に混合する場合、大気条件下で気体の二酸化炭素の放出はなかった、または最小限であった。したがって、常圧条件下および室温で、アクセプター媒体に結合された二酸化炭素/炭酸アニオン/炭酸水素アニオンのほぼ完全な、または完全な化学変換を可能にするための方法を提供することができる。
【0140】
したがって、非常に有利な方法において、二酸化炭素および/または炭酸アニオンおよび/または炭酸水素アニオンを用いて化学変換が行われる化合物(反応化合物)は、少なくとも一つのアクセプター化合物を含むアクセプター媒体に完全に溶解し、および水性媒体中で発熱反応を引き起こすことなく、および二酸化炭素の放出なく、二酸化炭素/炭酸アニオン/炭酸水素アニオンと容易に、迅速に接触する。これらの有益な効果は、反応化合物が、化学変換のために取り込みおよび放出媒体、または反応媒体において、同じ方法で提供される場合にも生じることが明らかになっている。
【0141】
好ましくは、少なくとも一つの反応化合物を、アクセプター化合物とともに溶解し、および溶解した反応化合物を、そこにおいて、二酸化炭素および/または炭酸アニオンおよび/または炭酸水素アニオンと接触させて、二酸化炭素および/または炭酸アニオンおよび/または炭酸水素アニオンと化学的に反応させる方法である。
【0142】
炭酸塩および/または炭酸水素塩を形成できるカチオン/カチオン性化合物が、すでに溶解した形で存在するアクセプター溶液を、二酸化炭素、炭酸塩および/または炭酸水素塩を含む気体/気体混合物と接触させる場合、炭酸塩および/または炭酸水素塩が形成され、気体適用の工程で沈殿することを更に明らかにしている。
【0143】
好ましくは、気体化合物を、水との反応生成物の形で溶解したアクセプター化合物に結合させ、それらをこの形で他の化合物と接触させることにより、気体化合物を水性アクセプター媒体中で化学的に反応させることができる方法である。
【0144】
好ましくは、少なくとも一つの水溶性無機または有機化合物が、水性アクセプター媒体に溶解されたアクセプター化合物によって溶解され、または可溶化が達成され、したがって、少なくとも一つの化合物が、アクセプター媒体に部分的または完全に溶解され、およびアクセプター媒体が、少なくとも一つの化合物の溶解と同時に、または続いて、少なくとも一つの気体化合物と接触し、そのことによって、物理化学的または化学的反応が、アクセプター媒体中に溶解された少なくとも一つの気体化合物と少なくとも一つの化合物との間でもたらされる、方法である。
【0145】
方法の更に好ましい実施形態において、炭酸塩または炭酸水素塩を形成することができるカチオン/カチオン性化合物の導入は、電気泳動法によってそれらをアクセプター溶液に選択的に導入することによって行われる。このことは、好ましくは、炭酸塩または炭酸水素塩の生成に適したカチオン/カチオン性化合物が溶解した形で存在する電解質溶液が、電気透析装置内において、電気透析チャンバーに導入され、取り込みおよび放出チャンバーの代わりに、電解質チャンバーは、アクセプター溶液を含むアクセプターチャンバーの一つに接続され、カチオン選択膜が電解質チャンバーとアクセプターチャンバーとの間に配置され、そのことによって、チャンバーが電気的に互いに結合される、方法配置において行われる。陽極チャンバーと陰極チャンバーとの間にDC電圧を印加することにより、電解質チャンバーからアクセプターチャンバーへのカチオン/カチオン性化合物の電気泳動輸送が達成される。任意に、アクセプターチャンバーは、二酸化炭素ですでに飽和された、または透析工程中に二酸化炭素で連続的に充満されるアクセプター溶液を含んでもよい。以下により詳細に開示されるように、二酸化炭素および/または炭酸塩および/または炭酸水素塩の化学変換は、他の化合物を用いても可能である。アクセプター媒体中にある、またはアクセプター媒体中に輸送されることによって、二酸化炭素および/または炭酸塩および/または炭酸水素塩と反応する、または反応されることができる、または、変換が、アクセプター媒体によって溶解および輸送される二酸化炭素および/または炭酸アニオンおよび/または炭酸水素アニオンを用いてアクセプター媒体の外で達成される、化合物は、以下において、反応化合物と呼ばれる。
【0146】
したがって、反応化合物を炭酸アニオン/炭酸水素アニオンと接触させ、およびそれらを互いに化学的に反応させることができる変換方法を確立することが可能であった。以下で更に記載されるように、反応方法を、さまざまな実施形態において設計することができ、さまざまな反応化合物を用いて行うことができる。
【0147】
アクセプター媒体の塩基性による改善された溶解度のために、純水中で可能であるよりも著しく高い濃度の特に反応化合物の塩を有する(しかし非塩化合物も有する)溶液を、調製することができることを更に明らかにした。溶解したナトリウム、カルシウム、またはアルミニウム塩を含むアクセプター溶液を、二酸化炭素からなる純粋な気体、または二酸化炭素を含む気体混合物を用いてガス処理する実験において、乳状の懸濁液が非常に急速に形成することが明らかになった。結果的に得られた固体は自然に堆積し、したがって完全な相分離を、撹拌のない沈降相または沈降ゾーンによって達成することができる。しかしながら、相分離を、遠心分離法または濾過分離法によって達成することもできる。
【0148】
この方法において生成された炭酸塩または炭酸水素塩は、化学的に純粋であり、および<1μmの非常に小さい粒子の形態ですぐに利用可能であり、またはエネルギーをほとんど投入せずに非常に小さい粒子に分散されることができる。
【0149】
アクセプター溶液中の溶解塩のアニオン、例えば、塩化物イオンなどの保持は、欠点であることが明らかになった。アクセプター溶液に溶解された塩のアニオンを結合する、または分離することは、さまざまな先行技術の方法で可能であることが明らかになった。一実施形態において、塩のアニオンの分離は、塩または塩の溶液を水性アクセプター媒体に導入した後、または水性アクセプター媒体を、二酸化炭素を含む気体/気体混合物と接触させた後に、電気透析によって行われる。
【0150】
好ましくは、アクセプター媒体中に存在するアクセプター化合物が、気体化合物または気体化合物のアニオン形態の結合に続いて、ヒドロキシドアニオンを除くアニオン性化合物のアクセプター媒体を精製することによって、電気透析、またはイオン交換化合物または吸着剤との接触によって、再び再生される方法である。
【0151】
したがって、方法は、粉末形態で入手可能である、化学的に純粋な炭酸塩および炭酸水素塩の生成も対象にする。好ましくは、炭酸塩および炭酸水素塩は非晶質形態で存在する。
【0152】
好ましくは、溶解したグアニジノ基および/またはアミジノ基含有化合物を含む水性アクセプター媒体を用いて、二酸化炭素または炭酸アニオン/炭酸水素アニオンを溶解することによって、およびそこにおいてそれらを結合し、およびそれらを炭酸塩または炭酸水素塩を形成することが可能な溶解したカチオン/カチオン性化合物と接触させることによって、炭酸塩および/または炭酸水素塩を化学的に純粋な形態で得ることができる方法である。
【0153】
好ましくは、溶解したグアニジノ基および/またはアミジノ基含有化合物を含む水性アクセプター媒体中に、炭酸塩または炭酸水素塩を形成することが可能なカチオン/カチオン性化合物を溶解することによって、および、それらを二酸化炭素、各炭酸アニオン/炭酸水素アニオンと接触させることによって、炭酸塩および炭酸水素塩を化学的に純粋な形態で得ることができる方法である。
【0154】
好ましくは、炭酸塩および炭酸水素塩の調製方法である。
当該炭酸塩および炭酸水素塩は、本発明に係る再生原料源から放出される、例えば、バイオガスへの発酵または木材の燃焼などでの二酸化炭素の吸収および溶解によって生成されることができることを明らかにしている。例えば、有機化合物および無機化合物の再生のための方法の一つによって得ることができる再生カチオン/カチオン性化合物、および再生エネルギーを、方法の実行に使用するという条件で、再生炭酸塩および炭酸水素塩を生成することが現在可能である。
【0155】
好ましくは、再生炭酸塩および再生炭酸水素塩の生成のための方法である。
好ましくは、再生炭酸塩および再生炭酸水素塩である。
したがって、本発明の他の態様において、方法は更に、二酸化炭素、または炭酸アニオン/炭酸水素アニオンを水性アクセプター媒体中に高濃度で提供し、および、そこにおいてそれらを他の化合物と化学的に反応させることを対象にする。
【0156】
好ましくは、二酸化炭素、または炭酸アニオン/炭酸水素アニオンを、水性アクセプター媒体中に高濃度で提供する、および、そこにおいて他の化合物と化学的に反応させる、方法である。
【0157】
したがって、方法は更に、溶解された、または溶解および輸送された気体/気体化合物および/またはそれらの誘導体を使用して、有機および/または無機化合物を変換することによって、反応生成物を得ることができる変換方法を対象にする。
【0158】
好ましくは、有機および/または無機化合物を、溶解された、または溶解および輸送された気体/気体化合物および/またはそれらの誘導体と接触させる、および反応させる変換方法である。
【0159】
好ましくは、有機および/または無機化合物を、溶解された、または溶解および輸送された気体/気体化合物および/またはそれらの誘導体を用いて変換することによって得ることができる反応生成物である。
【0160】
好ましくは、二酸化炭素の選択的結合、輸送、反応活性化、変換および/または放出のための方法である。
したがって、二酸化炭素を、溶解したグアニジノ基および/またはアミジノ基含有化合物を含む水性媒体に溶解し、そこにおいて貯蔵し、および/または輸送し、および/またはそこにおいて反応させ、および/またはそこから放出する方法によって課題が解決される。
【0161】
上記のように、驚くべきことに、水性媒体中の二酸化炭素の溶解度は、水性媒体中に溶解された遊離グアニジノ基および/またはアミジノ基を有する化合物によって、純水と比較して有意に増加し、二酸化炭素が水溶液中で結合したままであることが明らかにされた。更に驚くべきことは、結合した二酸化炭素の量が増加すると、グアニジノ基および/またはアミジノ基を有する化合物の溶解度が増加し得るという観察であった。例えば、アルギニンの場合、水中の溶解限度は20℃で0.6mol/l(または、原料に依存して、20℃で約150g/l、および150g≒0.86mol、M(アルギニン)=174.20g/mol)であり、二酸化炭素を同時に導入すると、3mol/l(522.6g/l)を超える量が溶解する、または溶液に溶けていくことを明らかにした。水性媒体は透明のままであり、pHは10から12.5の間を有する。二酸化炭素、または水中でのその反応生成物、例えば、炭酸アニオンおよび炭酸水素アニオンなどを、溶解したグアニジノ基および/またはアミジノ基含有化合物を含む水溶液に加圧無しで(大気圧または常圧で)溶解し、そこにおいて、>/=1:1のモル比で、結合することを明らかにしている。したがって、加圧無しで(大気圧または常圧で)水性媒体に溶解された遊離グアニジノ基および/またはアミジノ基を有する化合物によって、二酸化炭素または炭酸アニオン/炭酸水素アニオンそれぞれを、加圧無しで(大気圧または常圧で)、好ましくは>0.5mol/l、より好ましくは>1.0mol/l、より好ましくは>1.5mol/l、より好ましくは>2.0mol/l、より好ましくは>2.5mol/l、より好ましくは>3.0mol/l、および更により好ましくは>3.5mol/lの濃度で、本明細書において結合することができる。
【0162】
好ましい実施形態において、二酸化炭素の取り込み、輸送、変換、放出および/または保存のための水溶液の提供は、アクセプター溶液の形態である。好ましくは、アクセプター溶液は、アクセプターチャンバーまたはアクセプター装置に提供される。
【0163】
アクセプター装置は、気体/気体混合物とアクセプター媒体との間の可能な限り大きな交換面積を確立するのに、および/または気体/気体混合物をアクセプター媒体と接触させるのに適した装置を含む。この目的のために、先行技術の方法が知られている。
【0164】
気体スクラビング装置(
図1も参照)または気体スクラビングカラムは、1つの形態を表す。したがって、気体スクラビング装置または気体スクラビングカラムにおいて二酸化炭素を含む気体をステップa)からのアクセプター溶液と接触させるステップを含む方法が好ましい。
【0165】
非気体成分を含む気体混合物の場合、非気体混合物から気体成分を、例えば、ろ過または気体を他の液体で洗浄することなどによって、最初に除去することが好ましい。従来技術から非気体成分を分離する方法は、当業者に知られている。好ましい実施形態において、二酸化炭素を含む気体は、非気体成分を除去するために、本発明に係るアクセプター溶液と接触させる前にろ過および/または洗浄される。例えば、H2SおよびNH3またはSO2および二酸化炭素以外の酸性気体などの望ましくない気体を除去するために、これらを上流の気体洗浄カラムで二酸化炭素を含む気体から洗い流すことができる。
【0166】
好ましくは、気体混合物は更に、酸性溶液によって最初にスクラビングにさらされる。驚くべきことに、気体/気体混合物の二酸化炭素濃度は、酸含有溶液と接触させることによって、気体混合物を予備活性化しない場合よりも、後にアクセプター溶液と接触させる際に、大幅に速く減少させることができることを明らかにしている。
【0167】
本発明は、好ましくは、水性媒体中の二酸化炭素を選択的に結合する、輸送する、および保存する方法に関し、以下のステップ:
a)遊離グアニジノ基および/または遊離アミジノ基を有する少なくとも一つのアクセプター化合物を含む水性アクセプター溶液を提供すること;
b)二酸化炭素を含む気体をステップa)におけるアクセプター溶液と接触させること;および
c)ステップb)におけるアクセプター溶液中の結合した二酸化炭素/二酸化炭素誘導体を、分離膜に通して、水性取り込みおよび放出媒体に輸送すること;または
ステップb)からの二酸化炭素/二酸化炭素誘導体を含むアクセプター溶液を保存する、および/または輸送すること、
を含み、
ここで、二酸化炭素を含む気体は、ステップb)より前に酸性溶液によって洗浄される。
【0168】
本発明は、好ましくは、水性媒体中の二酸化炭素を選択的に結合する、輸送する、および保存する方法に関し、以下のステップ:
a)遊離グアニジノ基および/または遊離アミジノ基を有する少なくとも一つのアクセプター化合物を含む水性アクセプター溶液を提供すること;
b)二酸化炭素を含む気体をステップa)におけるアクセプター溶液と接触させること;および
c)ステップb)からの二酸化炭素/二酸化炭素誘導体を含むアクセプター溶液を保存する、および/または輸送すること;および/または
ステップb)からのアクセプター溶液中の結合した二酸化炭素/二酸化炭素誘導体を、分離膜に通して、水性取り込みおよび放出媒体に輸送すること、
を含み、
ここで、二酸化炭素を含む気体は、ステップb)より前に酸性溶液によって洗浄される。
【0169】
好ましくは、気体混合物の活性化は、酸性溶液と接触させることによってもたらされ、そのことによってアクセプター媒体中の二酸化炭素の溶解度を改善する方法である。好ましい実施形態において、二酸化炭素を含む気体は、本発明に係るアクセプター溶液と接触させる前に、酸性溶液によって洗浄される。原則として、任意の酸または酸形成化合物を、この目的のために使用することができる。好ましい酸は、HCl(塩酸)、硫酸またはリン酸である。好ましい実施形態において、二酸化炭素を含む気体は、本発明に係るアクセプター溶液と接触させる前に、塩酸、硫酸またはリン酸から選択される酸性溶液を使用して洗浄される。
【0170】
水性アクセプター媒体を気体/気体混合物と直接接触させるためのすでに上述された方法に加えて、方法は、気体媒体と液体媒体とを間接的に接触させることについて研究された。二酸化炭素、またはその水溶性誘導体は、二酸化炭素を含む気体相および水性アクセプター溶液を分離する固体または半固体の分離媒体(気体/液体分離膜)を通過することができ、そのことによって、水性アクセプター媒体への二酸化炭素またはその誘導体の高効率および選択的な輸送を提供すること、を示している。好ましい実施形態において、気体相と液体相との間接的な接触は、膜接触体によって達成される。
【0171】
好ましくは、膜接触体を用いて二酸化炭素を含む気体をステップa)からのアクセプター溶液と接触させるステップを含む方法である。
膜接触体において、互いに接触する相を、膜によって互いに分離される。好ましい方法の実施形態において、水性アクセプター媒体と気体/気体混合物との接触は、膜接触体によって行われる。驚くべきことに、当該膜接触体においてオープンポア膜を使用する場合、当該膜接触体は、気体相から液体相への水溶性気体または気体化合物の非常に高い拡散速度を可能にすることを明らかにした。気体水溶性化合物についての高い拡散/輸送速度は、アクセプター媒体の特性によるものであることを明らかにした。例えば、アルカノールアミンの溶液などの先行技術の水性吸収媒体と比較して、水と異ならない水性アクセプター溶液の表面張力がある。対照的に、表面張力は、界面活性剤またはアルコール特性を示す吸収性化合物では低下します。したがって、オープンポア膜は、先行技術の吸収性化合物を有する水溶液を使用する場合、液体の漏出があるので適用できない。気体側または液体側のどちらかで、大気圧条件で、平均孔径200μmを有するオープンポア膜を通って/から外へアクセプター溶液の漏れがないことを示した。膜接触体の構成可能性を使用することにより、パッキンを備えたガススクラビング装置よりもはるかに小さい空間寸法を有する膜接触装置において、二酸化炭素の完全な抽出を達成することができることを示した。
【0172】
例えば、一方では気体相および液体相のための非常に平坦なチャネルを有し、同時に比較的短いチャネル長を有する平膜モジュールを提供することができる。このことは、フロー技術の観点から個々の気体/気体組成および体積流量に最適に適合させることができる膜接触体の設計を可能にする。例えば、巻きモジュールまたは中空繊維モジュールまたはチューブモジュールなど、様々な設計が従来技術で知られている。
【0173】
本発明に係る、二酸化炭素を有する気体をアクセプター溶液と接触させるステップのための好ましい膜/固体分離媒体は、低い積み上げ(build-up)高さ(膜の厚さ)を有する。これは、好ましくは<300μm、より好ましくは<200μm、より好ましくは<150μm、より好ましくは<100μm、より好ましくは<50μm、および更により好ましくは<25μmである。したがって、好ましくは、大気圧で、200μmの平均孔径を有する気体-液体分離膜を用いて、二酸化炭素を含む気体をステップa)におけるアクセプター溶液と接触させるステップを含む方法である。したがって、好ましくは、二酸化炭素を含む気体をステップa)におけるアクセプター溶液と、<300μm、より好ましくは<200μm、より好ましくは<150μm、より好ましくは<100μm、より好ましくは<50μm、および更により好ましくは<25μmの膜厚を有する膜を用いて接触させるステップを含む方法である。したがって、好ましくは、大気圧で二酸化炭素を含む気体をステップa)におけるアクセプター溶液と、200μmの平均孔径を有する膜を用いて接触させるステップを含む方法であり、ここで、膜は、<300μm、より好ましくは<200μm、更に好ましくは<150μm、より好ましくは<100μm、更に好ましくは<50μm、および更に好ましくは<25μmの膜厚を有する。したがって、好ましくは、平均孔径が>10μm、より好ましくは>50μm、より好ましくは>100μm、より好ましくは>150μm、より好ましくは>200μm、更により好ましくは>250μm、および最も好ましくは>300μm、を有する膜を用いて、二酸化炭素を含む気体をステップa)におけるアクセプター溶液と接触させるステップを含む方法である。したがって、好ましくは、平均孔径が>10μm、より好ましくは>50μm、より好ましくは>100μm、より好ましくは>150μm、より好ましくは>200μm、更に好ましくは>250μm、および最も好ましくは>300μm、を有する膜を用いて、二酸化炭素を含む気体をステップa)におけるアクセプター溶液と、大気圧で接触させるステップを含む方法であり、ここで、膜は、<300μm、より好ましくは<200μm、更に好ましくは<150μm、より好ましくは<100μm、更に好ましくは<50μm、および更に好ましくは<25μmの膜厚を有する。したがって、好ましくは、平均孔径が>10μm、より好ましくは>50μm、より好ましくは>100μm、より好ましくは>150μm、より好ましくは>200μm、更に好ましくは>250μm、および最も好ましくは>300μm、を有する膜を用いて、二酸化炭素を含む気体をステップa)におけるアクセプター溶液と、接触させるステップを含む方法であり、ここで、膜は、<300μm、より好ましくは<200μm、更に好ましくは<150μm、より好ましくは<100μm、更に好ましくは<50μm、および更に好ましくは<25μmの膜厚を有する。
【0174】
この文脈において、膜/箔は、支持材料に付着または結合され得る。好ましくは、オープンポアである膜/固体分離媒体、すなわち膜/固体分離媒体の両側が開いている連続チャネルまたはチャネル様構造を示す。先行技術において、平均チャネル直径または平均孔径が報告されている。好ましい膜/固体分離媒体は、平均チャネル直径、または平均孔径が>10μm、より好ましくは>50μm、より好ましくは>100μm、より好ましくは>150μm、より好ましくは>200μm、さらにより好ましくは>250μm、および最も好ましくは>300μmを有するオープンチャンネルを有する。
【0175】
好ましくは、高い気孔率(単位面積当たりの孔の数)を有する膜/固体分離媒体である。好ましくは、気孔率が>50%、より好ましくは>60%、より好ましくは>70%、より好ましくは>80%、および更により好ましくは>90%を有する膜/固体分離媒体である。原則として、先行技術の膜/固体分離媒体を製造することができる任意の材料は、本発明に係る方法に適している。個々の適用目的にしたがって選択することが好ましい。例えば、高温気体/気体混合物(例えば>130℃)を膜と接触させる適用において、耐熱材料を選択することが好ましい。これに関して適切な材料は、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)またはPC(ポリカーボネート)またはセラミック膜を含む。したがって、好ましくは、平均孔径が>10μm、より好ましくは>50μm、より好ましくは>100μm、より好ましくは>150μm、より好ましくは>200μm、さらにより好ましくは>250μm、および最も好ましくは>300μmを有する膜を用いて、二酸化炭素を含む気体をステップa)からのアクセプター溶液と接触させるステップを含む方法であり、ここで、膜は、<300μm、より好ましくは<200μm、より好ましくは<150μm、より好ましくは<100μm、より好ましくは<50μm、および更により好ましくは<25μmの膜厚を有し、ここで、膜は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)膜、ポリカーボネート(PC)膜またはセラミック膜から選択される。
【0176】
膜/固体分離媒体が作られる特に適切な材料を、異なる適用のために選択することができる。例えば、好ましい実施形態において、空気中の二酸化炭素含有量を除去するために、空気を気体相として使用し、>90°の水接触角によって測定可能な疎水性表面特性を有する膜を好ましくは使用する。好ましくは、この膜は更に、例えばオレイン酸との接触角<10°によって測定可能な親油性表面特性を示す。更に好ましい方法実施形態において、空気が気相として使用され、本発明に係る膜/固体分離媒体が使用され、さらに親水性表面被覆が与えられる。好ましくは、親水性表面被覆は、同時に吸湿特性を示す。
【0177】
膜接触体が水溶性であり、および本発明に係るアクセプター媒体によって吸収されるという条件で、二酸化炭素以外の気体/気体成分を気体/気体混合物から除去するためにも膜接触体を使用することができることを示している。
【0178】
好ましい方法実施形態において、液体相および/または気体相における高いオーバーフロー速度が、膜接触体において膜接触体の膜/固体分離媒体に設定される。
【0179】
アクセプター溶液は、水に容易に溶解する少なくとも一つのアクセプター化合物を含む。このアクセプター化合物は、完全に溶解されてもよく、または不完全に溶解されてもよい。好ましくは、アクセプター溶液における二酸化炭素の/二酸化炭素と共に溶解および混合することは、アクセプター溶液を通って/アクセプター溶液を用いて気体/気体混合物の通過/接触の間に達成される。
【0180】
アクセプター溶液における少なくとも一つの溶解/可溶性化合物は、好ましくは溶液を塩基性pHにさせる。アクセプター溶液のpHは、好ましくは7から14の間であり、より好ましくは8から13の間であり、更により好ましくは9から12.5の間である。言い換えると、アクセプター化合物の溶解時に、pHは7から14の間、より好ましくは8から13の間、更に好ましくは9から12.5の間が確立される。
【0181】
好ましい水溶性アクセプター化合物は、少なくとも一つのグアニジノ基および/またはアミジノ基を有する。好ましいアクセプター化合物はグアニジノ基および/またはアミジノ基を有し、更に好ましくは、遊離グアニジノ基および/またはアミジノ基を有するアクセプター化合物である。いくつかの実施形態において、アミジノ基を有するアクセプター化合物が好ましく、更に好ましくは、遊離アミジノ基を有するアクセプター化合物である。
【0182】
いくつかの実施形態において、グアニジノ基を有するアクセプター化合物が好ましく、更に好ましくは、遊離グアニジノ基を有するアクセプター化合物である。遊離グアニジノ基を有する水溶性化合物は特に好ましい。
【0183】
特に好ましいグアニジノ基を有する化合物はアミノ酸アルギニンである。アクセプター溶液中のアクセプター化合物における好ましい濃度は、10μmolから10mol/lの間、より好ましくは10mmol/lから5mol/lの間、更に好ましくは0.1mol/lから3mol/lの間である。アクセプター化合物の溶解度は、二酸化炭素の結合によって増加させることができることに注意すべきである。したがって、アクセプター化合物を、二酸化炭素を含む気体をアクセプター溶液と接触させながら添加することができる。
【0184】
アクセプター溶液を気体/気体相と接触させる温度は、原則として0℃から100℃の範囲であることができる。気体/気体混合物と受容体溶液との接触が行われる好ましい温度は、1℃から60℃の間、より好ましくは10℃から35℃の間、更に好ましくは15℃から30℃の間である。
【0185】
驚くべきことに、アクセプター溶液は、溶解した二酸化炭素の無加圧(大気圧または常圧)貯蔵に特に適している。溶解した、および結合した二酸化炭素を含むアクセプター溶液は、12か月間安定したままであり、特に、二酸化炭素の放出/発生または当該媒体の微生物コロニー形成はないことを示している。驚くべきことに、高濃度のアルギニン、例えば3mol/lなどでさえ、3℃の温度で保存された場合でさえ、アルギニンの結晶化または沈殿物の形成はない。
【0186】
本発明に係る水性アクセプター溶液は、好ましくは、1つ、2つ、またはそれ以上のアミノ酸および/またはペプチドの溶液であり、それらは、10mmol/lから15mol/lの範囲、より好ましくは100mmol/lから10mol/lの間、更に好ましくは0.1mol/lから5mol/lの間の個々の濃度および/または総濃度で存在する。これらは、化合物のL型またはD型またはラセミ体であり得る。好ましいアミノ酸は、アルギニンであり、さらに好ましいのはそれらの誘導体である。特に好ましくは、カチオン性基(正に荷電されたた官能基)を有する塩基性アミノ酸およびペプチドである。本発明に従って使用されることができるペプチドは、ジ-、トリ-および/またはポリペプチドであってもよい。本発明に係るペプチドは、プロトンを結合する、または結合することができる少なくとも一つの官能基を有する。したがって、好ましい分子量は、500kDa未満、より好ましくは<250kDa、さらに好ましくは<100kDa、特に好ましくは<1000Daである。したがって、好ましい官能基は、特に、グアニジン、アミジン、アミン、アミド、ヒドラジン、ヒドラゾン、ヒドロキシイミンまたはニトロ基である。したがって、アミノ酸は、単一の官能基を有する、またはいくつかの同じ化合物クラス、もしくは異なる化合物クラスのうちの一つ以上の官能基を含んでもよい。
【0187】
好ましくは、本発明に係るアミノ酸およびペプチドは、少なくとも一つの正荷電基(カチオン性基/正荷電官能基)を有する、または全体的に正荷電を有する。
【0188】
特に好ましいペプチドは、任意の数および順序において、アミノ酸アルギニン、リジン、ヒスチジンのうちの少なくとも一つを含む。
特に好ましくは、少なくとも一つのグアニジノ基および/またはアミジノ基を有するアミノ酸および/またはアミノ酸の誘導体である。しかしながら、少なくとも一つのグアニジノ基および/またはアミジノ基を有する他のアクセプター化合物もさらに好ましい。グアニジノ基は、化学残基H2N-C(NH)-NH-およびその環状形態であり、およびアミジノ基は、化学残基H2N-C(NH)-およびその環状形態である。これらのグアニジノ化合物およびアミジノ化合物は、好ましくは、n-オクタノールと水との間の分配係数KOWが6.3未満(KOW<6.3)を有する。
【0189】
アルギニン誘導体が特に好ましい。
アルギニン誘導体は、グアニジノ基およびカルボキシレート基、またはアミジノ基およびカルボキシレート基を有する化合物として定義され、ここで、グアニジノ基およびカルボキシレート基、またはアミジノ基およびカルボキシレート基は、少なくとも一つの炭素原子によって離れて配置され、すなわち、少なくとも一つの以下の基が、グアニジノ基またはアミジノ基とカルボキシレート基との間に位置する:-CH2-、-CHR-、-CRR’-、式中、RおよびR’は、独立して任意の化学残基を表す。もちろん、グアニジノ基とカルボキシレート基との間、またはアミジノ基とカルボキシレート基の間の距離は、例えば、以下の基、-(CH2)n-、-(CHR)n-、-(CRR’)n-、n=2、3、4、5、6、7、8、または9を有する場合に、例えば、アミジノプロピオン酸、アミジノ酪酸、グアニジノプロピオン酸、またはグアニジノ酪酸の場合と同様に、一つより多い炭素原子であってもよい。一つより多いグアニジノ基および一つより多いカルボキシレート基を有する化合物は、オリゴアルギニンおよびポリアルギニンを含む。この定義に該当する化合物の他の例は、グアニジノ酢酸、クレアチン、グリコシアミンである。
【0190】
好ましい化合物は、一般式(I)または(II)を共通の特徴として有する。
【0191】
【0192】
式中、
R、R’、R’’、R’’’、およびR’’’’は、互いに独立して、-H、-CH=CH2、-CH2-CH=CH2、-C(CH3)=CH2、-CH=CH-CH3、-C2H4-CH=CH2、-CH3、-C2H5、-C3H7、-CH(CH3)2、-C4H9、-CH2-CH(CH3)2、-CH(CH3)-C2H5、-C(CH3)3、-C5H11、-CH(CH3)-C3H7、-CH2-CH(CH3)-C2H5、-CH(CH3)-CH(CH3)2、-C(CH3)2-C2H5、-CH2-C(CH3)3、-CH(C2H5)2、-C2H4-CH(CH3)2、-C6H13、-C7H15、シクロ-C3H5、シクロ-C4H7、シクロ-C5H9、シクロ-C6H11,-C≡CH、-C≡C-CH3、-CH2-C≡CH、-C2H4-C≡CH、-CH2-C≡C-CH3を表し、
またはR’およびR’’はともに残基-CH2-CH2-、-CO-CH2-、-CH2-CO-、-CH=CH-、-CO-CH=CH-、-CH=CH-CO-、-CO-CH2-CH2-、-CH2-CH2-CO-、-CH2-CO-CH2-、または-CH2-CH2-CH2-を形成し;
Xは、-NH-、-NR’’’’-、または-CH2-、または置換された炭素原子を表し;および
Lは、
-NH2、-OH、-PO3H2-、-PO3H-、-PO3
2-、-OPO3H2、-OPO3H-、-OPO3
2-、-COOH、-COO-、-CO-NH2、-NH3
+、-NH-CO-NH2、-N(CH3)3
+、-N(C2H5)3
+、-N(C3H7)3
+、-NH(CH3)2
+、-NH(C2H5)2
+、-NH(C3H7)2
+、-NHCH3、-NHC2H5、-NHC3H7、-NH2CH3
+、-NH2C2H5
+、-NH2C3H7
+、-SO3H、-SO3
-、-SO2NH2、-C(NH)-NH2、-NH-C(NH)-NH2、-NH-COOH、または
【0193】
【化2】
を含む、またはからなる群から選択される少なくとも一つの置換基を有する、C1からC8の直鎖状または分枝状の飽和または不飽和炭素鎖を表す。
【0194】
炭素鎖Lは、C1~C7の範囲であることが好ましく、より好ましくはC1~C6の範囲、更に好ましくはC1~C5の範囲であり、最も好ましくはC1~C4の範囲である。
【0195】
好ましくは、Lは、-CH(NH2)-COOH、-CH2-CH(NH2)-COOH、-CH2-CH2-CH(NH2)-COOH、-CH2-CH2-CH2-CH(NH2)-COOH、-CH2-CH2-CH2-CH2-CH(NH2)-COOH、または-CH2-CH2-CH2-CH2-CH2-CH(NH2)-COOHを表す。
【0196】
好ましくは、以下に示されるように、遊離グアニジノ基および/またはアミジノ基を有する一般式(III)の化合物であり:
【0197】
【0198】
式中、残基XおよびLは、本明細書に開示される意味を有する。
【0199】
遊離グアニジノ基および/またはアミジノ基を有する好ましい化合物は、共通の特徴として一般式(III)を有し:
【0200】
【0201】
式中、
Xは、-NH-、-NR’’’’-、または-CH2-、または置換された炭素原子を表し;および
Lは、
-NH2、-OH、-PO3H2-、-PO3H-、-PO3
2-、-OPO3H2、-OPO3H-、-OPO3
2-、-COOH、-COO-、-CO-NH2、-NH3
+、-NH-CO-NH2、-N(CH3)3
+、-N(C2H5)3
+、-N(C3H7)3
+、-NH(CH3)2
+、-NH(C2H5)2
+、-NH(C3H7)2
+、-NHCH3、-NHC2H5、-NHC3H7、-NH2CH3
+、-NH2C2H5
+、-NH2C3H7
+、-SO3H、-SO3
-、-SO2NH2、-C(NH)-NH2、-NH-C(NH)-NH2、-NH-COOH、または
【0202】
【化5】
を含む、またはからなる群から選択される少なくとも一つの置換基を有する、C1からC8の直鎖状または分枝状の飽和または不飽和炭素鎖を表す。
【0203】
R’’’は、-H、-CH=CH2、-CH2-CH=CH2、-C(CH3)=CH2、-CH=CH-CH3、-C2H4-CH=CH2、-CH3、-C2H5、-C3H7、-CH(CH3)2、-C4H9、-CH2-CH(CH3)2、-CH(CH3)-C2H5、-C(CH3)3、-C5H11、-CH(CH3)-C3H7、-CH2-CH(CH3)-C2H5、-CH(CH3)-CH(CH3)2、-C(CH3)2-C2H5、-CH2-C(CH3)3、-CH(C2H5)2、-C2H4-CH(CH3)2、-C6H13、-C7H15、シクロ-C3H5、シクロ-C4H7、シクロ-C5H9、シクロ-C6H11,-C≡CH、-C≡C-CH3、-CH2-C≡CH、-C2H4-C≡CH、-CH2-C≡C-CH3を表す。
【0204】
炭素鎖Lは、C1~C7の範囲であることが好ましく、より好ましくはC1~C6の範囲、更に好ましくはC1~C5の範囲であり、最も好ましくはC1~C4の範囲である。
【0205】
好ましくは、Lは、-CH(NH2)-COOH、-CH2-CH(NH2)-COOH、-CH2-CH2-CH(NH2)-COOH、-CH2-CH2-CH2-CH(NH2)-COOH、-CH2-CH2-CH2-CH2-CH(NH2)-COOH、または-CH2-CH2-CH2-CH2-CH2-CH(NH2)-COOHを表す。
【0206】
遊離グアニジノ基および/またはアミジノ基を有する好ましい化合物は、共通の特徴として一般式(I)を有し:
【0207】
【0208】
式中、
Xは、-NH-、または-CH2-、または置換された炭素原子を表し;および
Lは、
-NH2、-OH、-PO3H2-、-PO3H-、-PO3
2-、-OPO3H2、-OPO3H-、-OPO3
2-、-COOH、-COO-、-CO-NH2、-NH3
+、-NH-CO-NH2、-N(CH3)3
+、-N(C2H5)3
+、-N(C3H7)3
+、-NH(CH3)2
+、-NH(C2H5)2
+、-NH(C3H7)2
+、-NHCH3、-NHC2H5、-NHC3H7、-NH2CH3
+、-NH2C2H5
+、-NH2C3H7
+、-SO3H、-SO3
-、-SO2NH2、-C(NH)-NH2、-NH-C(NH)-NH2、-NH-COOH、または
【0209】
【化7】
を含む、またはからなる群から選択される少なくとも一つの置換基を有する、C1からC8の直鎖状または分枝状の飽和または不飽和炭素鎖を表す。
【0210】
炭素鎖Lは、C1~C7の範囲であることが好ましく、より好ましくはC1~C6の範囲、更に好ましくはC1~C5の範囲であり、最も好ましくはC1~C4の範囲である。
【0211】
好ましくは、Lは、-CH(NH2)-COOH、-CH2-CH(NH2)-COOH、-CH2-CH2-CH(NH2)-COOH、-CH2-CH2-CH2-CH(NH2)-COOH、-CH2-CH2-CH2-CH2-CH(NH2)-COOH、または-CH2-CH2-CH2-CH2-CH2-CH(NH2)-COOHを表す。
【0212】
本発明は、好ましくは、水性媒体中の二酸化炭素を選択的に結合する、輸送する、および保存する方法に関し、以下のステップ:
a)遊離グアニジノ基および/または遊離アミジノ基を有する少なくとも一つのアクセプター化合物を含む水性アクセプター溶液を提供すること;
b)二酸化炭素を含む気体をステップa)におけるアクセプター溶液と接触させること;および
c)ステップb)におけるアクセプター溶液中の結合した二酸化炭素/二酸化炭素誘導体を、分離膜に通して水性取り込みおよび放出媒体に輸送すること;または
ステップb)からの結合した二酸化炭素/二酸化炭素誘導体を含むアクセプター溶液を、保存する、および/または輸送すること、
を含み、
ここで、アクセプター化合物は、一般式(I)を有し:
【0213】
【0214】
式中、
Xは、-NH-、-NR’’’’-、または-CH2-、または置換された炭素原子を表し;および
Lは、
NH2、-OH、-PO3H2、-PO3H-、-PO3
2-、-OPO3H2、-OPO3H-、-OPO3
2-、-COOH、-COO-、-CO-NH2、-NH3
+、-NH-CO-NH2、-N(CH3)3
+、-N(C2H5)3
+、-N(C3H7)3
+、-NH(CH3)2
+、-NH(C2H5)2
+、-NH(C3H7)2
+、-NHCH3、-NHC2H5、-NHC3H7、-NH2CH3
+、-NH2C2H5
+、-NH2C3H7
+、-SO3H、-SO3
-、-SO2NH2、-C(NH)-NH2、-NH-C(NH)-NH2、-NH-COOH、または
【0215】
【化9】
を含む、またはからなる群から選択される少なくとも一つの置換基を有する、C1からC8の直鎖状または分枝状の飽和または不飽和炭素鎖を表し;
【0216】
R’’’は、-H、-CH=CH2、-CH2-CH=CH2、-C(CH3)=CH2、-CH=CH-CH3、-C2H4-CH=CH2、-CH3、-C2H5、-C3H7、-CH(CH3)2、-C4H9、-CH2-CH(CH3)2、-CH(CH3)-C2H5、-C(CH3)3、-C5H11、-CH(CH3)-C3H7、-CH2-CH(CH3)-C2H5、-CH(CH3)-CH(CH3)2、-C(CH3)2-C2H5、-CH2-C(CH3)3、-CH(C2H5)2、-C2H4-CH(CH3)2、-C6H13、-C7H15、シクロ-C3H5、シクロ-C4H7、シクロ-C5H9、シクロ-C6H11,-C≡CH、-C≡C-CH3、-CH2-C≡CH、-C2H4-C≡CH、-CH2-C≡C-CH3を表し、
Lは、C1~C7の範囲であり、より好ましくはC1~C6の範囲であり、更に好ましくはC1~C5の範囲であり、最も好ましくはC1~C4の範囲であり、Lは、好ましくは、-CH(NH2)-COOH、-CH2-CH(NH2)-COOH、-CH2-CH2-CH(NH2)-COOH、-CH2-CH2-CH2-CH(NH2)-COOH、-CH2-CH2-CH2-CH2-CH(NH2)-COOH、または-CH2-CH2-CH2-CH2-CH2-CH(NH2)-COOHを表す。
【0217】
本発明に係るアクセプター溶液は、グアニジノ基および/またはアミジノ基を有さず、方法の実施に有利な効果を有する更なる化合物を含有することができる。これらは、例えば、リジンおよびヒスチジンなどの塩基形成化合物であり得る。さらに、アクセプター溶液は、例えば、抗菌効果を有する、または媒体の表面張力を変化させる化合物を含み得る。
【0218】
好ましくは、アクセプター化合物がアミノ酸であり、アクセプター溶液のpHが8から13の間の範囲である方法である。
更に好ましい方法の実施形態において、水性アクセプター媒体は、更なる化合物または添加剤を含む。好ましい更なる化合物は、特に水酸化カリウムおよび水酸化ナトリウムである。驚くべきことに、これらの化合物の存在は、アクセプター媒体に結合した二酸化炭素、または炭酸アニオン/炭酸水素アニオンを、DC電圧が印加される場合に低エネルギー入力を用いて分離すること可能にする。
【0219】
カリウム(KOH)またはナトリウム(NaOH)の苛性溶液は、濃度依存的な方法で水の電気伝導度(電解性)を改善する。水の電気分解が起こる電圧も低下し、選択された電極構成に依存して0.6~2ボルトの範囲である。アクセプター化合物としてアルギニンを含む溶液と、水酸化カリウム溶液または水酸化ナトリウム溶液との混合物において、水の電気分解が起こらなかったことを明らかにし、一方、このことは、アルギニンを含まない同じ濃度を有する水酸化カリウム溶液、または水酸化ナトリウム溶液を用いても当てはまった。例えば、電解装置内で30分後に、12Vの電圧を3%NaOH溶液に印加する場合に、陽極で18.2mlの酸素および陰極で6.4mlの水素が発生した。同じ実験設定を使用すると、3wt%NaOHを含む2モル濃度のアルギニン溶液を用いて気体形成は観察されなかった。二酸化炭素を用いて飽和された2モル濃度のアルギニン溶液を用いて同じ実験設定を使用すると、12Vの電圧が印加された場合に、30分の期間中、気体形成は観察されなかった。3wt%溶液が存在するようにNaOHをこの溶液に添加すると、7.8mlの気体が陰極で形成され、同じ条件下(12V)で気体は陽極で形成されなかった。陰極で形成され/発生された気体は二酸化炭素であった。したがって、DC電圧が印加される場合、アクセプター媒体に結合される炭酸水素アニオン/炭酸アニオンは、水酸化物イオンの存在下で、二酸化炭素の形態で、陰極で放出されることができることを示すことが可能である。40Vを超えるDC電圧の場合、アルギニンおよび溶解された二酸化炭素/炭酸水素アニオン/炭酸アニオンを含む水溶液中に4wt%のNaOHまたはKOHを有する溶液を用いてさえも、酸素形成につながる水の電気分解が起こらないことを示した。しかしながら、DC電圧が高くなると、かなりの量の二酸化炭素が陰極で発生した。
【0220】
したがって、驚くべきことに、本発明に係る水性受容体溶液中に、水酸化カリウムおよび/または水酸化ナトリウム溶液が存在すると、二酸化炭素が豊富なアクセプター溶液にDC電圧を印加する間、炭酸水素アニオン-炭酸アニオンの分離、および陰極で気体二酸化炭素の放出が結果的に生じ、そのことにより、水の電気分解が起こらず、すなわち酸素および水素が生成されないことを示している。このことは、アクセプター溶液から二酸化炭素を分離および回収するために必要とされる電力の非常に効率的な利用を可能にする。
【0221】
次に、アクセプター液中の苛性アルカリ溶液の存在が、二酸化炭素を吸収するためにアクセプター溶液の容量を増加させ、および固体としての炭酸カリウムまたは炭酸ナトリウムの形成がないことを明らかにし、一方で、このことは、本発明におけるアクセプター化合物が、アクセプター媒体に存在しない場合に当てはまる。これは、二酸化炭素がアルギニンと優先的に反応することを意味する。
【0222】
さらに、苛性アルカリ溶液の存在は、アクセプター溶液の保存特性に影響を与えないことを示した。特に、アルカリの存在下でアクセプター溶液からの二酸化炭素の自然放出はない。
【0223】
したがって、水性アクセプター媒体への水酸化ナトリウム溶液または水酸化カリウム溶液の添加は、本発明に係る方法における特に好ましい実施形態である。
好ましくは、NaOHおよび/またはKOHは、0.01wt%から10wt%の間、より好ましくは0.5wt%から8wt%の間、より好ましくは1wt%から6wt%の間、およびより好ましくは2wt%から5wt%の間の濃度を形成する水性アクセプター溶液に添加される。更に好ましい方法の実施形態において、水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムを含む水性アクセプター溶液は、pH12から14の間で提供される。
【0224】
好ましくは、溶解したアクセプター化合物を含む水性アクセプター媒体が水酸化カリウムおよび/または水酸化ナトリウム溶液を更に含む方法である。
好ましくは、溶解した二酸化炭素/炭酸水素アニオン/炭酸アニオンを含むアクセプター溶液への水酸化カリウムおよび/または水酸化ナトリウム溶液の添加は、炭酸水素アニオン/炭酸アニオンの電気分解を伴わない電気泳動分離、および気体相として気体二酸化炭素の形成を伴う放出をもたらす方法である。
【0225】
NaOHまたはKOHの添加は、濃度が高くなるとアクセプター媒体の腐食性をもたらす。例えば、炭素またはアルミニウムからなる電極材料の分解が起こった。
【0226】
本発明に係るアクセプター媒体からの二酸化炭素または当該誘導体における電気泳動分離の改善は、ナトリウムおよび/またはカリウムの塩によっても可能であることを明らかにした。
【0227】
例えば、クエン酸ナトリウムまたは硫酸ナトリウムまたは酒石酸カリウムを2モル濃度のアルギニン溶液に添加する場合、したがって各場合において8wt%~14wt%の塩溶液が存在し、同時に溶液のpHが<12.5に維持しながら、NaOHまたはKOHの使用と比較すると二酸化炭素の電気泳動分離が改善したことを示した。
【0228】
二酸化炭素またはその水溶性誘導体に対するナトリウムおよび/またはカリウムの溶解塩を含む水性アクセプター溶液の結合能についての調査は、結合能力を濃度の関数として増加させることができることを示した。したがって、本発明に係るアクセプター化合物に加えて、ナトリウムおよび/またはカリウムの溶解塩を含む水性アクセプター溶液を提供することによって、二酸化炭素またはその誘導体に対するアクセプター溶液の吸収能力を改善することができる。電気泳動法による二酸化炭素の吸収または脱離のいずれも固体の形成をもたらさないことを示した。
【0229】
本発明に係るアクセプター溶液中のナトリウム塩またはカリウム塩の好ましい濃度は、0.1wt%から25wt%の間、より好ましくは1wt%から20wt%の間、および更に好ましくは2wt%から15wt%の間ある。塩における好ましい対イオンは:硫酸塩SO4
2-、リン酸塩PO4
3-、酢酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、シュウ酸塩である。塩を、個々に、または任意の組み合わせでアクセプター溶液に添加することができる。溶解したナトリウム塩および/またはカリウム塩を含むアクセプター溶液のpHは、好ましくは8.0から13.5の間、より好ましくは8.5から13の間、更に好ましくは9から12.5の間である。ナトリウム塩およびまたはカリウム塩を含む好ましいアクセプター溶液は非腐食性である。
【0230】
好ましくは、少なくとも一つの溶解したアクセプター化合物および少なくとも一つの溶解したナトリウム塩および/またはカリウム塩を含む水性アクセプター溶液を、二酸化炭素の吸収のために提供し、および二酸化炭素または二酸化炭素の誘導体を、そこにおいて溶解する/結合する方法である。
【0231】
ナトリウム塩および/またはカリウム塩を含み、二酸化炭素が飽和状態になるまでロードされているアクセプター溶液からでさえも、大気圧下では二酸化炭素が自発的に放出されないことを明らかにした。
【0232】
好ましいものが、水性アクセプター溶液を用いて、12ヶ月を超える間に、二酸化炭素を圧力なしで(大気圧または常圧で)結合させることができる方法に与えられる。
【0233】
この特性は更に、二酸化炭素を水性アクセプター溶液中に無加圧方法で(大気圧または常圧で)輸送する能力をもたらすことを明らかにしている。
好ましくは、水性アクセプター溶液を用いて二酸化炭素を無加圧(大気圧または常圧)で輸送することができる方法である。
好ましくは、アクセプター溶液に結合した二酸化炭素/二酸化炭素誘導体を、輸送および/または保存することができる工程である。
【0234】
したがって、課題は、以下のステップ:
a)遊離グアニジノ基および/または遊離アミジノ基を有する少なくとも一つのアクセプター化合物を含む水性アクセプター溶液を提供すること、
b)気体の二酸化炭素濃度が<100ppmに達するまで、二酸化炭素を含む気体をステップa)におけるアクセプター溶液と接触させること、
c)ステップb)における結合した二酸化炭素/二酸化炭素誘導体を含むアクセプター溶液を輸送および/または貯蔵すること、
によって特徴付けられる水性媒体中の二酸化炭素の選択的結合、輸送、および貯蔵のための方法によって解決される。
【0235】
好ましくは、方法は、アクセプター化合物がアミノ酸であり、アクセプター溶液におけるpHは8から13の間の範囲にある方法である。
好ましくは、アクセプター溶液は、脱イオン水(DI水)を用いて調製される。一つ以上のアクセプター化合物は、好ましくは、水に完全に溶解される。この方法において、溶液は、一つ以上の化合物の溶解度を増加させるために加熱されてもよい。
【0236】
驚くべきことに、アクセプター化合物の溶解度を、アクセプター化合物の一部の熱誘導溶解方法の間またはその後に、二酸化炭素をアクセプター溶液と接触させることによって大幅に増加させることができることを明らかにしているので、好ましい実施形態において、アクセプター化合物の溶解方法は、二酸化炭素を導入しながら行われる。この方法において、溶解されていないアクセプター化合物を溶液中に溶解する/または溶液中に入れる、またはアクセプター化合物の濃度をさらに増加させることが可能である。例として、アルギニンを使用すると、5mol/l以上の濃度を達成することができることを示した。さらに、これらの溶液は安定したままあり、すなわち、アクセプター化合物の結晶化は生じない。
【0237】
好ましくは、アクセプター化合物の溶解度が、アクセプター媒体を二酸化炭素からなる、または含む気体/気体混合物と接触させることによって増加し、アクセプター媒体において、アクセプター化合物は溶解された形態および/または溶解されていない形態で存在する、方法である。
【0238】
好ましくは、水と接触すると水溶性化合物を形成する少なくとも一つの気体化合物を含む気体/気体混合物とアクセプター媒体との接触が行われ、および水溶性化合物が、溶解した化合物と溶解したアクセプター化合物との可逆的結合の形成を伴って、アクセプター媒体中で、イオン性またはイオン化可能な形態で存在する、方法である。
【0239】
好ましくは、気体相とアクセプター媒体との接触は、アクセプター媒体中に溶解された気体/気体化合物の含有量が<100ppmになるまで行われる。
本発明に係る二酸化炭素の抽出は、様々な気体/気体混合物に対して可能であり、結果的に非常に有利な効果をもたらすことを示している。ディーゼルエンジンおよびガソリンエンジン、並びに石炭溶鉱炉からの燃焼気体に関して、そこにおいて含まれる二酸化炭素含有量は、10wt%から25wt%であり、例えば、気体を、静的ミキサーを用いて気体をアクセプター溶液と接触させることによって、<0.01vol.%に減少することができる。バイオガス生産からの気体混合物中に52vol%の量で存在する二酸化炭素含有量の除去が可能であり、>98.5vol%の純度のバイオメタンを得た。水と接触して酸を形成しない気体または気体化合物は、本発明に係るアクセプター化合物に結合されず、したがって、アクセプター溶液と接触させた気体/ガス混合物からの放出はない、または、気体相およびアクセプター媒体を接触させる場合に確立された所与の分圧での場合よりも高い濃度でアクセプター溶液中に存在することもないことを明らかにした。例えば、酸素、窒素、一酸化炭素、希ガス、または例えばメタンおよびブタンなどの炭化水素のためのアクセプター溶液には濃縮されない。
【0240】
好ましくは、メタン純粋気体の生成方法である。
好ましくは、バイオメタン純粋気体の生成方法である。
本発明に係るアクセプター溶液を用いて、水と接触すると酸を形成する気体/気体化合物を水性アクセプター溶液中で結合することができることを明らかにしている。二酸化炭素の選択的抽出および/または回収が望まれる場合、水中において酸も形成し、したがって、本発明に係るアクセプター化合物の一つと接触させる前に、気体/気体混合物からの二酸化炭素の吸収と競合し得る他の気体/気体化合物を除去することが有利である。
【0241】
好ましくは、例えばSO2、H2S、NO、NO2、並びに他の窒素酸化物、またはCl2もしくはHClなどの成分を含むこれらの気体/気体混合物からの化合物の除去または低減である。これは、例えば、触媒、吸着剤または水性気体スクラビングなどの先行技術の方法で行うことができる。
【0242】
アクセプター溶液と接触させるための気体/気体混合物は、好ましくは、0℃から100℃の間、より好ましくは10℃から85℃の間、および更に好ましくは15℃から70℃の間の温度を有する。原則として、アクセプター溶液を、気体/気体混合を冷却するためにも使用することができ、したがって、より高温の気体/気体混合物も可能である。水性アクセプター媒体の蒸発を避けるために、この場合において、好ましくは溶液の冷却が提供されるべきである。水性アクセプター媒体との接触後に得ることができる気体/気体混合物は、温度、組成、体積流量または接触型に依存して、水蒸気および液滴形態の水を含み得る。
【0243】
結果として、アクセプター溶液、およびアクセプター化合物が失われる可能性がある。したがって、処理された気体/気体混合物からできる限り多くの残留水を除去することが好ましい。このことは、例えば、凝縮物分離用の装置などの先行技術からの方法を用いて行うことができる。分離された水相は、その後、アクセプター溶液に戻される。本発明に係るアクセプター化合物は、本発明に係る方法の実施において使い果たさず、自己触媒的方法にさらされない。したがって、方法は、再循環方法においてアクセプター化合物を損失なく再利用する経済的な方法特性を対象にする。
好ましくは、アクセプター化合物の損失のない再利用が行われるプロセス経済的な(process-economic)方法が好ましい。
【0244】
膜接触体を使用する場合、高温乾燥気体流を接触させても、水性アクセプター溶液における関係のある損失をもたらさないことを明らかにしている。このことは、適切な膜/固体分離媒体を選択することによって可能である。例えば、ポリカーボネート膜を界面として有する膜接触体において、最大150℃までの温度を有する気体を処理することが可能である。セラミック膜を使用する場合、>200℃の温度を有する気体流も処理されることができる。したがって、好ましい工程設計において、気体流における水溶性気体/気体成分の抽出は、アクセプター媒体を膜接触体で気体流と接触させることによって行われる。特に好ましい工程実施形態において、最大350℃の温度を有する少なくとも一つの水溶性気体成分を含む気体流を、水性アクセプター媒体と接触することは、膜接触体において行われる。したがって、工程における好ましい実施形態において、使用は、アクセプター液体(アクセプター溶液)を、少なくとも一つの水溶性気体画分を有する、またはからなる気体流と接触させるための膜接触体から作られ、および好ましくは、10℃から400℃の間、より好ましくは50℃から350℃の間、更に好ましくは70℃から300℃の間の温度範囲で膜接触体に導入される。
好ましくは、少なくとも一つの水溶性気体成分を含み、および最大350℃までの温度を有する気体流を、膜接触体において水性アクセプター媒体と接触させる方法である。
【0245】
気体二酸化炭素は、二酸化炭素/炭酸アニオン/炭酸水素アニオンの結合に関与していないアクセプター化合物がまだ存在する限り、アクセプター媒体との界面で非常に急速に、および完全に取り込まれる。二酸化炭素が完全に溶解している二酸化炭素飽和アクセプター溶液は透明であり、および気体の自然放出/発生はない。
【0246】
この文脈において、完全に溶解しているとは、20℃で溶解した二酸化炭素/炭酸アニオン/炭化水素アニオンを含む密閉容器内で、二酸化炭素に起因する2kPaを超える蒸気圧が発生しないことを意味する。
【0247】
例えば、アクセプター媒体のpHを低くすることによって、脱気(気体相としてCO2の発生)を行うことができることを明らかにした。このこと、例えば、酸を加えることによって行うことができる。
【0248】
グアニジノ基および/またはアミジノ基を有する化合物、および飽和形態でそこにおいて溶解された二酸化炭素を含む水性アクセプター溶液を脱気することによって得られた気体流の分析において、酸(例えば、HClなど)の添加に対して、二酸化炭素以外の化合物を検出することができなかった。
【0249】
本発明のアクセプター媒体に溶解された二酸化炭素の、または結合した炭酸アニオン/炭酸アニオンの純粋な二酸化炭素気体相の形での放出/発生は、アクセプター液(アクセプター溶液)のプロトン化につながる方法によって達成されることができる。方法の一実施形態において、例えば、先行技術からの酸を使用することができる。
【0250】
これらは、有機酸または無機酸であることができる。好ましい有機酸はギ酸または酢酸である。好ましい無機酸は、次亜塩素酸(HCl)または硫酸である。酸の濃度およびアクセプター液に添加する体積比は、原則として自由に選択可能である。濃酸は好ましい。酸を添加することにより、アクセプター液のpHは、好ましくは2から7の範囲、より好ましくは3から6の範囲、およびより好ましくは3.5から5の範囲に調整される。したがって、アクセプター液体に溶解され/結合された二酸化炭素、またはその水溶性誘導体の、好ましくは>70wt%、より好ましくは>80wt%、およびより好ましくは>90wt%の除去が達成され、純粋な二酸化炭素気体相として得ることが可能である。
【0251】
好ましくは、水性アクセプター媒体を、水溶性気体を用いて飽和させ、続いてアクセプター液(アクセプター溶液)に結合された水溶性気体の放出/発生は、アクセプター媒体のpHを2から7の間の範囲に調節することによって達成される方法である。
【0252】
好ましくは、水性アクセプター媒体を、水溶性気体を用いて飽和させ、続いてアクセプター液(アクセプター溶液)に結合された水溶性気体の放出/発生は、アクセプター媒体のpHを、酸を添加することによって2から7の間の範囲に調節することによって達成される方法である。
【0253】
アクセプター媒体への酸の添加は、アニオンの導入を引き起こし、アクセプター液体中での保持は、水溶性気体、またはその誘導体に対するアクセプター化合物の再吸収能力に有害な影響を与える。したがって、方法実行における好ましい形態において、アクセプター液(アクセプター溶液)を処理している水溶性気体/気体成分の水溶性形態の一つに対応しないアニオンの導入に続いて、添加されたアニオンは、アクセプター液(アクセプター溶液)が水溶性気体/気体成分に再びさらされる前に分離される。この目的のために、先行技術の方法が知られている。例えば、Cl-(塩化物)またはSO4
2-(硫酸塩)などのアニオンの除去は、電気透析によって可能である。しかしながら、このような電気泳動方法は、有機酸残基を除去するためにも使用することができ、そのことによってアクセプター液(アクセプター溶液)の再生を達成することもできる。更なる好ましい方法の実施形態において、例えば、水酸化カリウム溶液または水酸化ナトリウム溶液などの苛性溶液は、無機酸が添加されたアクセプター液(アクセプター溶液)に添加される。好ましくは、苛性溶液は、一方でアクセプター媒体に添加されているアニオンと他方で苛性溶液の添加によって添加されるカチオンとの間で等モル濃度比を生成するように測定される。
【0254】
好ましくは、これに続いて得られた塩を分離する。このことは、好ましくは電気泳動法、例えば、電気透析などによって行うことができる。この方法で再生されたアクセプター液(アクセプター溶液)を、その後、水溶性気体/気体成分または当該水溶性誘導体の新たな取り込みのために使用することができる。
【0255】
しかしながら、他のカチオン性化合物も先行技術において知られており、他のカチオン性化合物を、遊離アニオンおよびアクセプター化合物に結合されたアニオンを結合または溶解するために、本明細書に列挙される方法型の一つを用いて水性アクセプター媒体から除去するために、アルカリの代替として使用することができ、したがって、アクセプター液(アクセプター溶液)は、水溶性気体/気体成分の新たな吸収に利用可能である。
【0256】
好ましくは、水性アクセプター媒体は、水溶性気体で飽和し、続いてアクセプター液(アクセプター溶液)に結合された水溶性気体は、酸の添加によって放出/発生され、続いて、アクセプター液(アクセプター溶液)を、苛性アルカリ溶液の添加によって再生し、続いて、形成された塩を電気泳動分離によって分離する。
【0257】
更に好ましい方法の実施形態において、水溶性気体/気体成分、または当該水溶性誘導体で飽和されたアクセプター液(アクセプター溶液)のpHは、電気化学的方法によって低下する。このことを、例えば、溶解した水溶性気体/気体画分、または当該誘導体を含むアクセプター液(アクセプター溶液)を電気透析装置に導入することによって達成することができる。好ましくは、電気透析チャンバーの配置は、電解質チャンバーが陽極側でアクセプターチャンバーに接続される配置が選択される。好ましくは、チャンバー間にカチオン選択膜がある。炭酸の水溶性誘導体を、その後、アクセプターチャンバー内で二酸化炭素として放出/発生する。
【0258】
好ましくは、水性アクセプター媒体を水溶性気体を用いて飽和し、およびその後、アクセプター液に結合された水溶性気体の放出/発生が、電気化学的方法によって、アクセプター媒体のpHを2から7の間の範囲に調節することによって達成される方法である。
【0259】
好ましくは、二酸化炭素を含む気体をアクセプター溶液と接触させることは、気体が<100ppmの二酸化炭素濃度に達するまで、または結合した二酸化炭素/二酸化炭素誘導体を含むアクセプター溶液の輸送および/または貯蔵の後に行われる方法であり、以下の方法ステップが実行される:
気体相としてアクセプター媒体に結合された二酸化炭素の放出/発生。
【0260】
更に好ましい方法の実施形態において、水溶性気体/水性アクセプター媒体に溶解および結合された気体画分、または当該誘導体の放出は、アクセプター媒体からの空間的分離に続いて行われる。好ましい方法の実施形態において、溶解および結合した二酸化炭素/炭酸アニオン/炭酸水素アニオンは、電気泳動法によって取り込みおよび放出媒体に輸送される。炭酸アニオン/炭酸水素アニオンが輸送された本発明に係る取り込みおよび/または放出媒体において、気体相が自発的に形成することを示している。形成する気体相において、二酸化炭素のみを検出した。したがって、任意の圧力を適用することなく、気体混合物から二酸化炭素を選択的に除去し、二酸化炭素を単離された形で収集容器に放出することが可能である。
【0261】
驚くべきことに、溶解した二酸化炭素/炭酸アニオン/炭酸水素アニオンは、膜方法を使用してアクセプター溶液から非常に容易に分離されることできることを明らかにした。このことは、アクセプター溶液のpHにおいて任意の変更を必要としない。したがって、気体化合物および/またはアニオンに対して透過性の膜は、二酸化炭素/炭酸アニオン/炭酸水素アニオンの選択的輸送に適していることを明らかにした。しかしながら、オープンポア膜/分離媒体もまた、二酸化炭素/炭酸アニオン/炭酸水素陰イオンの非選択的通過を可能にするのに適していることを明らかにした。
【0262】
驚くべきことに、オープンポア膜は、本発明の水性媒体から溶解した二酸化炭素/炭酸アニオン/炭酸水素アニオンの分離に特に適している。微多孔膜またはメソ多孔性膜が好ましい。しかしながら、マクロ多孔性膜およびナノ多孔性膜を使用することもできる。外側および内側膜表面は、親水性または疎水性であることができる。疎水性膜表面は好ましい。密閉したポリマーフィルムからなるアニオン交換膜またはバイポーラ膜と比較して、電気泳動的に輸送される二酸化炭素/炭酸アニオン/炭酸水素アニオンの質量/体積流量が大幅に大きくなる可能性があることを示している。
【0263】
好ましくは、溶解した二酸化炭素/炭酸アニオン/炭酸水素アニオンの分離がオープンポア膜によって行われる方法である。オープンポア膜は、好ましくは、微多孔性および/またはメソ多孔性であり、および疎水性表面特性を有する。
【0264】
二酸化炭素/炭酸アニオン/炭酸水素アニオンに関して好ましい輸送方法は、拡散法、濃度勾配、または熱もしく電気勾配、並びにそれらの組み合わせに基づかれる。好ましくは、オープンポア膜、すなわち加圧無しで水性媒体を保持するのに適しており、膜の両側を接続し、気体および/またはアニオンに対して透過可能なオープンポアを有する固体または半固体の分離媒体(分離膜)である。好ましくは、オープンポアは、10nmから1mmの間、より好ましくは100nmから500マイクロメートルの間、およびより好ましくは1マイクロメートルから200マイクロメートルの間の平均直径を有する。好ましい膜は、膜の内面および/または外面に親水性または疎水性の静電特性を示す。
【0265】
本発明に係るアクセプター媒体の飽和により、二酸化炭素は完全に結合され、したがって、分離はないのでアクセプターチャンバー内の圧力増大はなかった。このことは、溶解した二酸化炭素またはその反応生成物を分離するための分離方法は、アクセプター媒体または取り込みおよび/または放出媒体を含む容器間で均圧の必要性はないオープンポア分離膜を用いて行われるので、特に有利である。これにより、取り込みおよび/または放出媒体のための受容装置は、大気圧に開放されることができる。好ましい実施形態において、アクセプター媒体および取り込みおよび/または放出媒体のための受容装置(チャンバー)は、大気圧に開放される。
【0266】
驚くべきことに、酸を含む水溶液がアクセプターチャンバーに隣接するチャンバーユニットに置かれた場合、コンフルエントな気泡が当該分離膜の両側に非常に急速に形成した。したがって、拡散法によって、炭酸アニオン/炭酸水素アニオンは、分離媒体(分離膜)を通過して、酸が配置されたアクセプターチャンバーに隣接するチャンバーユニットに入り、二酸化炭素を放出することになる。以下において、このチャンバーユニットを取り込みおよび放出チャンバーと呼ぶ。結果的に、取り込みおよび放出チャンバーに含まれる媒体は、取り込みおよび放出媒体と呼ばれる。
【0267】
以下に述べられるように、取り込みおよび放出媒体における水性アクセプター媒体からの二酸化炭素/炭酸アニオン/炭化水素アニオンの輸送を可能にするために、他の分離媒体を使用することも可能である。
【0268】
好ましくは、水性アクセプター媒体からの二酸化炭素/炭酸アニオン/炭酸水素アニオンの分離が分離媒体(分離膜)を通って行われ、およびそのことによって取り込みおよび放出媒体に取り込まれ、および/または放出される方法である。
【0269】
好ましくは、水性アクセプター媒体からの二酸化炭素/炭酸アニオン/炭酸水素アニオンの分離は、拡散法、浸透法および/または電気泳動法に基づかれる分離媒体(膜)によって行われる方法である。
【0270】
好ましくは、水性アクセプター媒体から二酸化炭素/炭酸アニオン/炭酸水素アニオンを分離するための分離媒体は、加圧無し(大気圧)で水性媒体を保持することができ、および膜の両側を接続し、気体および/またはアニオンを透過するオープンポアを有する固体または半固体分離媒体(分離膜)である、方法である。
【0271】
好ましくは、二酸化炭素/炭酸アニオン/炭酸水素アニオンを分離するための固体または半分離された分離媒体(分離膜)が分離膜である方法である。
好ましくは、二酸化炭素/炭酸アニオン/炭酸水素アニオンの分離のための分離膜がアニオン選択性または両極性ポリマー膜である方法である。
【0272】
驚くべきことに、溶解した二酸化炭素、または炭酸アニオン/炭酸水素アニオンを、電気泳動技術を用いて、本発明のアクセプター溶液から、非常に効率的に分離することができる。
【0273】
好ましくは、溶解した二酸化炭素/炭酸水素アニオンの分離のために電気透析が行われる。この点に関して、電気透析を、先行技術の方法および装置を使用して行うことができる。
【0274】
電気泳動的に輸送された二酸化炭素/炭酸アニオン/炭酸水素アニオンは、アニオン性アミノ酸を含む取り込みおよび/または放出媒体中で分離し、気体二酸化炭素として放出されることを明らかにしている。
【0275】
好ましい方法の実施形態において、水性アクセプター媒体からの二酸化炭素/炭酸アニオン/炭酸水素アニオンの分離は、二酸化炭素/炭酸アニオン/炭酸水素アニオンを含むアクセプター媒体を、アクセプターチャンバーに充填することによって行われ、アクセプターチャンバーに隣接する取り込みおよび放出チャンバーからの分離媒体(分離膜)によって分離される。取り込みおよび放出チャンバーは、好ましくは、取り込みおよび/または放出媒体を含む。取り込みおよび/または放出媒体は、好ましくは水性媒体である。好ましくは、水性媒体は、pHが1から7の間、より好ましくは2から6の間、およびより好ましくは3から5の間の範囲を有する。特に好ましい実施形態において、酸基を有する化合物は、取り込みおよび/または放出媒体に溶解される。特に好ましくは、少なくとも一つの酸基を有し、等電点が3から5の間、またはより好ましくは3.5から4.5の間の範囲にある化合物である。特に好ましくは、酸基を有するアミノ酸であり、特にアスパラギン酸およびグルタミン酸である。好ましい濃度は、1mmol/lから3mol/lの間の範囲である。さらに好ましくは、クエン酸またはアスコルビン酸などの、2つ以上の酸基を有し、良好な水溶性を有する有機酸である。原則として、例えば、硫酸または二リン酸などの無機酸も適している。無機酸が使用される場合、1wt%から50wt%の間の濃度を有するこれらの酸の水溶液が好ましい。さらに、異なる酸の混合物が好ましい。取り込みおよび放出媒体が使用される温度範囲は、原則として、1℃から99℃の間で自由に選択されることができる。好ましくは、30℃から80℃の間、更に好ましくは40℃から75℃の間であり、更に好ましくは50℃から70℃の間の温度範囲である。
【0276】
好ましくは、取り込みおよび放出チャンバーが、取り込みおよび/または放出媒体を含み、少なくとも一つの化合物が存在し、少なくとも一つの化合物が、少なくとも一つの酸基を有し、3から5の間の範囲の等電点を有する、方法である。
【0277】
好ましくは、取り込みおよび/または放出媒体が、有機酸および/または無機酸の水溶液である方法である。
驚くべきことに、この方法の実施形態は、二酸化炭素または炭酸アニオン/炭酸水素アニオンを取り込みおよび放出チャンバー、または取り込みおよび/または放出媒体への選択的輸送を可能にするのに適していることを明らかにしており、そのことにより、二酸化炭素は、取り込みおよび/または放出媒体から放出/発生され、および気体二酸化炭素は、水の分解によって炭酸アニオン/炭酸水素アニオンから形成され、したがって、二酸化炭素のみが存在する気体相が形成される。したがって、二酸化炭素を選択的に結合および輸送し、任意の所望の場所で二酸化炭素を選択的に放出することが可能である。
【0278】
好ましい方法の実施形態において、取り込みおよび放出チャンバーを通って取り込みおよび放出媒体における連続的または不連続的な流れがあり、好ましくは放出媒体(分離膜)の表面で高いオーバーフロー速度を有し、そのことによって、放出媒体(分離膜)の表面での気体発生を、完全に、またはほぼ完全に防止することができ、および取り込みおよび放出媒体への炭酸水素アニオン/炭酸アニオンの取り込みが達成され、そのことに伴って、炭酸水素アニオン/炭酸アニオンは、好ましくは別々のコンテナに導入され、分離コンテナにおいて、その後、気体放出/放出が行われる。二酸化炭素の放出/除去がこの別々の放出容器内で可能な限り完全であり、取り込みおよび放出媒体が、取り込みおよび放出チャンバーに戻される場合、特に有利であることを明らかにしたので、そのことにより、分離媒体を通って、および取り込みおよび放出媒体において、の両方での輸送特性を大幅に増加させることができる(
図1参照)。取り込みおよび放出媒体における効率的な脱気を、例えば、表面上を流れることによって達成することができる。好ましくは、表面は、例えばPTFEまたはグラファイトなどの材料から作られた疎水性表面である。さらに、キャビテーションの生成のために例えば、真空の適用、超音波の適用、せん断力の適用など、および/または取り込みおよび放出媒体の加熱など、の既知の技術によって、脱気を達成することができる。
【0279】
好ましい実施形態において、水性アクセプター媒体からの二酸化炭素/炭酸アニオン/炭酸水素アニオンの分離は、電気透析法によって行われる。この方法において、二酸化炭素または二酸化炭素の水との反応生成物が溶液中に存在するアクセプター溶液は、電気透析ユニットのアクセプターチャンバーに供給される。最も単純な場合、電気透析ユニットは、アクセプターチャンバー、および取り込みおよび放出チャンバーからなり、アクセプターチャンバー、および取り込みおよび放出チャンバーは、分離媒体(分離膜)によって互いに分離される。
【0280】
電極は、プロセス媒体に直接的に配置されることができ、すなわち、陽極を取り込みおよび/または放出媒体に配置することができ、および陰極はアクセプター溶液に配置することができる。
【0281】
より好ましくは、電極が陽極チャンバーまたは陰極チャンバ(電極チャンバー)に配置され、アクセプタチャンバーまたは取り込みおよび放出チャンバーが、電極チャンバー、電子輸送に適した媒体、例えば、電解溶液などで満たされている陽極チャンバーおよび陰極チャンバーから、イオン選択膜によってから分離される電気透析装置である。(
図1参照)。更に好ましい実施形態において、アクセプタチャンバーおよび取り込みおよび放出チャンバーとからなる複数のチャンバーユニットは、繰り返し構成において一緒に接合され、チャンバースタックは、陽極チャンバーおよび陰極チャンバーによってそれぞれ両端で終結させ、およびそこで電気的に導電的に接続される。好ましい工程構成において、最初のアクセプターチャンバーは、陰極チャンバーに隣接し、最後の取り込みおよび放出チャンバーは、陽極チャンバーに隣接する。更に好ましい工程実施形態において、アクセプターチャンバーは、それぞれ、両極性膜によって取り込みおよび放出チャンバーから分離される。
【0282】
好ましくは、二酸化炭素または炭酸アニオン/炭酸水素アニオンの輸送は、陰極と陽極との間にDC電圧を印加することによって行われる。本発明に係る電気透析が実施される電圧および電流は、特定の工程パラメーター、例えば、電極間の距離、チャンバーユニットの数、膜の抵抗性、およびプロセス溶液の抵抗性、並びに断面積などに依存して行われ、したがって、個別に決定されることになる。
【0283】
好ましい実施形態において、分離媒体(分離膜)を通って輸送される二酸化炭素は、取り込み/放出媒体を含む取り込みおよび放出チャンバー内で気体として放出される。更に好ましい実施形態において、分離媒体(分離膜)を通って輸送される二酸化炭素または二酸化炭素誘導体は、取り込み/放出媒体に取り込まれ、および放出装置において気体として放出される。
【0284】
好ましくは、ステップb)またはステップc)の後に、以下のステップc1)またはステップd1)が続く方法である:気相としてアクセプター媒体中に結合された二酸化炭素の放出。
【0285】
好ましくは、ステップb)からのアクセプター媒体が電気透析装置のアクセプターチャンバー内に配置、または電気透析装置のアクセプターチャンバーに導入され、およびステップc)に係る二酸化炭素/二酸化炭素誘導体の輸送が、分離媒体(分離膜)によって互いに分離されているアクセプターチャンバーと取り込みおよび放出チャンバーとの間、複数のアクセプターチャンバーと取り込みおよび放出チャンバーとの間に確立された電気的勾配によって行われる方法である。
【0286】
好ましくは、二酸化炭素/二酸化炭素誘導体が分離媒体(分離膜)を通って輸送される方法であり、ここで、分離媒体はイオンおよび/または気体分子に対して透過性の膜である。
【0287】
好ましくは、アクセプターチャンバーと取り込みおよび放出チャンバーとの間に確立された電気的勾配を用いてステップc)に係るアクセプター媒体の電気透析および二酸化炭素/二酸化炭素誘導体の輸送のための方法であり、ここで、分離媒体は、イオンおよび/または気体分子に対して透過性の膜である。
【0288】
好ましくは、分離媒体(分離膜)を通って輸送される二酸化炭素/二酸化炭素誘導体の放出/発生が、純粋な二酸化炭素気体の形で取り込みおよび放出チャンバー内で行われる方法である。
【0289】
好ましくは、分離媒体(分離膜)を通って輸送される二酸化炭素/炭酸アニオン/炭酸水素アニオンが、取り込みおよび放出チャンバー内で純粋な二酸化炭素気体の形態で放出される方法である。
【0290】
好ましくは、ステップb)またはステップc)の後に以下のステップb2)またはステップc2)が続く方法であり:拡散法、浸透法、または電気泳動法によって分離媒体(分離膜)を通ってアクセプター媒体からの二酸化炭素/炭酸アニオン/炭酸水素アニオンの分離、および取り込み/放出媒体への輸送、ここで、純粋な気体相として二酸化炭素の放出は、取り込み/放出媒体において達成される。
【0291】
好ましくは、ステップb)またはステップc)の後に以下のステップb3)またはステップc3)が続く方法であり:拡散法、浸透法、または電気泳動法によって分離媒体(分離膜)を通ってアクセプター媒体からの二酸化炭素/炭酸アニオン/炭酸水素アニオンの分離、および取り込み/放出媒体への輸送、ここで、取り込み/放出媒体からの純粋な気体相として二酸化炭素の放出は、放出装置において達成される。
【0292】
好ましくは、ステップc)の後に以下のステップc3’)およびステップc3)が続く方法であり:c3’):ステップc)からの結合した二酸化炭素/二酸化炭素誘導体を含む水性取り込みおよび放出媒体を、放出装置に導入すること;およびc3):放出チャンバーにおいてステップc3’)からの結合した二酸化炭素/二酸化炭素誘導体を含む取り込みおよび放出媒体から気体相として二酸化炭素を放出すること。
【0293】
好ましくは、ステップb)からのアクセプター媒体が電気透析装置の陰極チャンバー内に配置、または陰極チャンバーに導入され、およびステップc)に係る二酸化炭素/二酸化炭素誘導体の輸送が、イオン透過性、または気体透過性の分離媒体(分離膜)によって互いに分離されている陰極チャンバーと陽極チャンバーとの間に、および複数の陰極チャンバーと複数の陽極チャンバーとの間に確立された電気的勾配によって行われる方法である。
【0294】
好ましい実施形態において、二酸化炭素を放出する、または放出することができるチャンバーは、好ましくはこのチャンバー内で圧力上昇が起こらないようにする気体用の収集装置と共に提供される。
【0295】
好ましい実施形態において、アクセプター媒体における結合に続く方法のうちのいずれかの後に放出される二酸化炭素は、気体収集装置で収集され、およびそこから更なる使用に供給される(
図1参照)。
【0296】
結合/輸送またはアクセプター媒体中での保存に続いて、二酸化炭素を気体相として再び放出し、更なる使用に供給される方法が好ましい。
本発明に係る方法における更に好ましい実施形態において、本発明に係る工程構成は、水溶性気体/気体成分の分離および選択的放出に加えて、水素および酸素を生成するために使用される。好ましい工程実施形態において、電気透析装置が二酸化炭素/炭酸アニオン/炭酸水素アニオンの輸送のために使用され、一般に、それぞれの選択された電解質溶液で電気分解を引き起こす電圧を印加しなければならないので、電極チャンバーにおいて水の電気分解が起こる。アクセプターチャンバーおよび取り込みおよび放出チャンバーからなるチャンバー配置を、電気分解のための工程配置に導入することができ、そのことによって、本発明に係る方法のエネルギー効率を大幅に増加させることができることを明らかにした。水素および酸素の更なる利用可能性により、方法における非常に高いエネルギー効率を達成することができ、これは、好ましくは>90%、より好ましくは>95%、および更に好ましくは>98%である。
【0297】
更に好ましい方法実施形態において、水溶性気体/水性アクセプター媒体に溶解された気体画分の放出/発生を陰極で行う。驚くべきことに、本発明に係るアクセプター溶液は、アクセプター溶液の導電率による電流フローがあるけれども、DC電圧が印加される場合に酸素および水素の形成をもたらす水の電気分解を抑制するのに適していることを明らかになった。この現象は、アクセプター化合物としてアルギニンを使用した場合に特に明らかになった。したがって、分子電荷移動が起こる。分子電荷移動は、陽極と陰極との間の距離が長くなると、電気分解よりも優先的に起こることを明らかにした。したがって、40Vの電圧と低アンペア数の電流フロー(<200mA)を適用した場合でさえ、気体形成は観察されなかった。さらに溶解したアルギニンを含むアクセプター溶液中に水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムを有する溶液の存在下において、水の電気分解が、同一濃度の純粋な水酸化カリウム溶液または水酸化ナトリウムを有する溶液を用いて同じ電圧および電流設定で見られるが、水素または酸素の生成をもたらす水の電気分解もなかったという観察は予想外であった。
【0298】
したがって、選択的電荷移動は、溶解したアクセプター化合物を介して達成される。次に、アクセプター溶液が水溶性気体と共にロードされると、アクセプター溶液中に水溶性誘導体の形成を伴って、DC電圧の印加時に陽極でのみ気体形成が明白であったことを明らかにした。アクセプター液体アクセプター溶液がさらされる水溶性気体として二酸化炭素を使用した場合、陰極で形成された気体は純粋な二酸化炭素からなった。したがって、水溶性気体の水溶性形態を、DC電圧が印加される場合にアクセプター溶液中の内部電荷移動を介して陰極で気体として選択的に放出/発生することができる方法を明らかにした。
【0299】
好ましくは、溶解したアルギニンを含む水溶液は、DC電圧を水溶液に印加すると、水の電気分解の抑制を引き起こし、水素または酸素の形成をもたらす方法である。
【0300】
好ましくは、溶解したアルギニンを含む溶液は、DC電圧が水溶液に印加されると、分子電荷移動をもたらす方法である。
好ましくは、DC電圧が印加される場合、アクセプター溶液を与えることにより電気分解を抑制することができる方法である。好ましくは、アクセプター水溶液中に溶解された気体、または当該水溶性誘導体を、DC電圧の印加下で、陰極で気体相として放出/発生させることができ、結果的に水素または酸素の形成をもたらす電気分解を伴わない、方法である。
【0301】
したがって、水溶性気体における水溶性誘導体の分離は、DC電圧の印加と共に、および酸素または水素の形成をもたらす電気分解による電気損失がない方法を提供することができる。原則として、この方法の実行を、先行技術からの電気透析のための装置を用いて行うことができる。DC電圧が印加される場合に電極で生成されるエネルギー密度に応じて、電極間の距離を、酸素が形成されないように十分に大きくなることを選択するべきであることを示している(陽極での気体形成がないことから明らかである)。したがって、電極における所与の構成およびそれらの間における所与の距離に関して、電圧が、ロードされていないアクセプター溶液に印加される場合に、電極での気体形成がないように電圧を選択することができる。大きな表面積を有する電極を使用することが有利である。陽極の表面積が陰極の表面積よりも大きい場合、更に有利である。有利な実施形態において、陽極チャンバーおよび陰極チャンバーは、分離媒体(膜)によって分離され、結果的に電気的に相互接続された陽極チャンバーおよび陰極チャンバーをもたらす。
【0302】
分離媒体(膜)が可能な限り低い電気抵抗を有することは有利である。好ましくは、分離媒体(膜)はオープンポアであるべきであるが、気体通過を防止するべきである。好ましい実施形態において、アクセプター流体が電極レベルより下、電極レベルで、またはその両方で自由に通過することができるように、チャンバー間で直接的および開放的な接続がある。更に好ましい実施形態において、電極チャンバーを通る流れは、水溶性気体をロードされたアクセプター液体を、陰極チャンバーに導入し、および溶液を陽極チャンバーに連続的に通過させることによって達成される。溶液は、開いた接続および/または分離媒体(分離膜)を通過し、開いた接続および/または分離媒体(分離膜)は、液体が通過することができ、電極チャンバー間に配置される。このことは、水性アクセプター媒体に溶解された気体、またはそれらの水溶性誘導体における気体相の分離/発生が大幅に増加することを可能にすることを明らかにしている。
【0303】
原則として、電極材料を自由に選択することができる。本発明に係るアクセプター化合物に加えて、水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムがアクセプター媒体中に存在する場合、それに応じて選択を適合させなければならない。好ましい電極材料は、グラファイト、ニッケル、ステンレス鋼、白金または金である。陽極と陰極のための材料の組み合わせ、および混合合金も好ましい。陽極と陰極との間に好ましくは印加される電気的DC電圧は、電極構成および電極間の距離に依存し、したがって個別に決定されなければならない。水素および酸素の形成を引き起こさない最大の可能な電圧は、陽極での酸素形成における試験に基づいて決定されることができ;この文脈において、選択された電圧は、酸素が気体相として形成される電圧より低くなければならない。
【0304】
この点において、本発明に係る方法は更に、水性アクセプター媒体からの純粋な気体相としての二酸化炭素または他の水溶性気体における陰極分離/発生を対象にする。
【0305】
好ましくは、水溶性気体における陰極分離が水性アクセプター媒体から行われる方法である。
好ましくは、そこにおいて溶解された気体、または当該水溶性誘導体を、水性アクセプター媒体中で陰極分離を行うことによって、水性アクセプター媒体から純粋な気体相の形態で分離する方法である。
【0306】
更に好ましい実施形態において、アクセプター溶液から輸送される二酸化炭素または炭酸アニオン/炭酸水素アニオンと反応し、および、またはこれ/これらを結合する一つ以上の化合物が、アクセプターおよび/または放出媒体中に存在する。これらの化合物は、以下に、反応化合物と呼ばれ、液体、固体または気体状態を有し得る。さらに、触媒などの反応促進化合物は、取り込みおよび放出媒体中に存在し得る。この点に関して、取り込みおよび放出媒体は、アクセプター媒体と異なる温度であってもよい。更に好ましい実施形態において、アクセプター媒体中に溶解された二酸化炭素/炭酸アニオン/炭酸水素アニオンの反応および/または結合は、そこにおいて存在する適切な化合物を用いて/により達成される。好ましくは、アクセプター溶液および/または取り込みおよび放出媒体中に存在する二酸化炭素および/または炭酸アニオン/炭酸水素アニオンの反応および/または結合のための反応化合物の使用である。
【0307】
好ましくは、二酸化炭素および/または炭酸アニオン/炭酸水素アニオンを反応する、および/または結合するための一つ以上の反応化合物が、アクセプター溶液および/または取り込みおよび/または放出媒体中に存在する方法である。
【0308】
驚くべきことに、二酸化炭素および/または炭酸アニオン/炭酸水素アニオンが高濃度で存在するアクセプター溶液中に存在する反応条件は、炭素化合物の合成に特に適している。例えば、カルボン酸の合成を達成することができる。例えば、グリニャール試薬を用いての反応、またはパラジウム触媒を用いての短鎖縮合を含む。好ましい炭素化合物は、ギ酸、メタノール、一酸化炭素(CO)、およびホルムアルデヒドを含むが、限定されない。方法によって可能になる二酸化炭素および二酸化炭素の水溶性誘導体の濃縮は、常圧条件下で有機化合物の化学合成を可能にすることを示している。水性アクセプター媒体中で合成されたカルボン酸を、電気透析によって連続的に分離することができることも示した。
【0309】
電気泳動的に分離されたカルボン酸は、好ましくは水性媒体に取り込まれ、およびそこから放出される。次に、溶解したアルギニンを含む溶液は、この方法実施形態において、輸送されたカルボン酸のための取り込みおよび/または放出媒体として使用するのに非常に適していることを示している。
【0310】
好ましくは、二酸化炭素および/または炭酸アニオン/炭酸水素アニオンを反応する、および/または結合するための一つ以上の反応化合物がアクセプター溶液、および/または取り込みおよび/または放出媒体中に存在する方法である。
【0311】
好ましくは、ステップb)の後に、アクセプター溶液中に結合された二酸化炭素を、炭素化合物を形成するために反応化合物を用いて反応させる方法である。
特に好ましい方法実施形態において、最大400Daの分子量を有するアニオンに対して透過性であるアニオン交換膜を、短鎖カルボン酸の選択的電気泳動輸送に使用する。
【0312】
排煙における総二酸化炭素含有量を、本明細書に記載される方法の一つによって、分離する、輸送する、および化学的に変換することができることを示している。
【0313】
[変換方法]
好ましくは、ステップb)の後に、受容体溶液中に結合された二酸化炭素を、反応化合物によって炭素化合物に変換する方法である。
【0314】
好ましくは、ステップc)の後、アクセプターおよび/または放出媒体に結合された二酸化炭素、または輸送および放出された二酸化炭素を、反応化合物を用いて炭素化合物に変換する方法である。
【0315】
したがって、常圧条件下で水性アクセプター媒体中の二酸化炭素の、および炭酸アニオン/炭酸水素アニオンの含有量/濃度を増加させることが可能であり、同時に、最適な反応条件を確立し、したがって、アクセプター溶液中の固定化反応促進化合物による即時の化学変換を行うことができる、ことを示すことができた。さらに、本発明に係る方法構成を使用することによって、化学変換から結果的に生じる反応物、例えば、カルボン酸などを連続的に除去することが可能であり、同時に、そのことは、例えば、アニオン交換膜などを用いて行われることができることを示した。さらに、当該方法実施形態において、次に、取り込みおよび放出媒体に溶解されたグアニジノ基またはアミジノ基を有する化合物を含む溶液が、前の反応から結果的に生じるカルボン酸の取り込みおよび輸送に適しており、前の反応から結果的に生じるカルボン酸は、電気透析によって運ばれていることを示している。
【0316】
好ましくは、二酸化炭素から炭素化合物の生成のための方法である。
さらに好ましい実施形態において、炭酸アニオン/炭酸水素アニオンの形態で水性アクセプター媒体に結合された二酸化炭素の炭酸塩への化学変換が行われる。
【0317】
驚くべきことに、本発明に係る二酸化炭素、およびその水との反応生成物を吸収することによって、化学変換を、様々な方法構成を用いて行うことができることを明らかにした。例として、3つの可能な種類の変換方法をここに列挙する。
【0318】
変換方法1:
驚くべきことに、水性アクセプター媒体に溶解された二酸化炭素、並びに炭酸アニオンおよび炭酸水素アニオンは、炭酸塩を形成するために、アクセプター溶液中で、またはアクセプター溶液を用いて直接的に反応することができることを明らかにした。この目的のために、炭酸塩の生成に適したカチオン性化合物が溶解した(イオン化した)形態で存在する溶液を、二酸化炭素または二酸化炭素の水溶性誘導体が溶解した/結合した形態ですでに存在するアクセプター溶液に加える。
【0319】
この場合において、化学変換は、反応化合物を含む溶液が好ましくは飽和アクセプター溶液に導入されるときに達成される。
この変換方法の他の好ましい実施形態において、炭酸塩/炭酸水素塩の生成のために使用されるカチオン/カチオン性化合物の塩がすでに溶解しているアクセプター溶液が二酸化炭素と接触する時に、炭酸塩が生成される。
【0320】
他の方法実施形態において、二酸化炭素または二酸化炭素の水溶性誘導体が溶解した/結合した形態ですでに存在するアクセプター溶液を、炭酸塩生成に適したカチオン/カチオン性化合物が溶解された(イオン化された)形態で存在する溶液に加える。飽和アクセプター溶液が導入される場合に、化学変換がもたらされる。
【0321】
全ての異なる方法において、乳状の懸濁液が急速に発生し、そこから固体が沈降によって自然に分離する。しかしながら、相分離を、先行技術のろ過方法または遠心方法によっても達成することができる。
【0322】
変換方法2:
更に好ましい方法の実施形態において、炭酸塩/炭酸水素塩の生成に適したカチオン/カチオン性化合物のアクセプター溶液への添加は、アクセプター溶液を水溶性気体/気体成分、例えば、二酸化炭素などと接触させる間に、またはそれに続いて、電気泳動法を用いて行われる。好ましくは、これは電気透析によって行われる。好ましくは、これは、アクセプターチャンバーが陽極側で電解質チャンバーに隣接し、カチオン選択膜によって電解質チャンバーから分離される方法配置で行われる。電解質チャンバーにおいて、カチオン/カチオン性化合物が溶解された(イオン化された)形で存在し、そのことは、炭酸塩/炭酸水素塩の生成に適している。DC電圧を印加することにより、カチオン/カチオン性化合物の電気泳動輸送がカチオン選択膜を通してアクセプター溶液にもたらされ、その後、そこにおいてカチオン/カチオン性化合物は、対応する炭酸塩に自然に変換される。この方法において、アクセプター溶液を、二酸化炭素を用いて既に飽和してもよく、または電気透析中もしくはその後に、二酸化炭素と接触させてもよい。
【0323】
本方法における更に好ましい実施形態において、炭酸塩/炭酸水素塩の生成に適したカチオン/カチオン性化合物は、取り込みおよび放出媒体中にイオン形態で存在する。二酸化炭素/炭酸アニオン/炭酸水素アニオンは、アニオン選択性分離媒体(分離膜)を通ってアクセプターチャンバーから取り込みおよび放出媒体に輸送される。その後、この媒体中において対応する炭酸塩が形成される。この反応のほとんどは、分離媒体(分離膜)で直接的に起こることを明らかにした。驚くべきことに、この反応は、本発明におけるアクセプター化合物の一つがそこにおいて溶解された場合に、水性取り込みおよび放出媒体中でより迅速に、および均一に進行した。両極性膜も、この目的のために使用することができることを示した。この方法において、取り込みおよび放出媒体中に無機酸が存在しない、および少量だけの有機酸が存在する場合に有利である。
【0324】
変換方法3
本方法の更に好ましい実施形態において、二酸化炭素および/または炭酸アニオンおよび/または炭酸水素アニオンの化学変換が、取り込みおよび放出媒体中で達成され、そのことによって、一方で、二酸化炭素および/または炭酸アニオンおよび/または炭酸水素アニオンは、アクセプターチャンバーから分離媒体(分離膜)を通って取り込みおよび放出チャンバーに輸送され、他方、炭酸塩/炭酸水素塩の生成に適したカチオン/カチオン性化合物は、電解質チャンバーから取り込みおよび放出チャンバーに輸送され、電解質チャンバーにおいて、少なくとも一つのカチオン/カチオン性化合物は、イオンまたはイオン化可能な形態で存在する。
【0325】
取り込みおよび放出チャンバーは、陰極側で受容体チャンバーに隣接し、および陽極側で電解質チャンバーに隣接する。好ましくは、アクセプターチャンバーと取り込みおよび放出チャンバーとの間の分離媒体(分離膜)として使用されている両極性またはアニオン選択膜および、取り込みおよび放出媒体と電解質チャンバーとの間で使用されているカチオン選択膜を用いての物質移動は、電気泳動的にもたらされる。この方法実施形態において、少なくとも一つのアクセプター化合物が、取り込みおよび放出媒体中に溶解した形態で存在することが有利であり、および好ましい。取り込みおよび放出媒体中に無機酸が存在しない、および少量だけの有機酸が存在することが好ましい。
【0326】
変換工程における全ての実施形態において、局所的な分離工程を防ぐために、化学変換が行われる水溶液を攪拌することが有利である。本発明に係る工程実施形態において、化学変換中に二酸化炭素は、気体相として放出されない、または実質的に放出されない。分離は、炭酸塩の生成に使用される化合物の対イオンの濃度によって引き起こされ得る。したがって、二酸化炭素および/または炭酸アニオンおよび/または炭酸水素アニオンの化学変換が行われる工程溶液からの対イオンの除去は有利である。
【0327】
好ましくは、炭酸塩の調製のためのカチオン/カチオン性化合物を提供するために使用される化合物における対イオン(アニオン)の除去は、変換工程の一つの実行中または実行後に行われる。これらは、例えば、Cl-またはSO4
2-である。この目的のために、好ましい方法実施形態において、対イオンが蓄積するチャンバーユニットは、陽極側で、アニオン選択膜を用いて陽極チャンバーまたは洗浄(rinsing)チャンバーのいずれかに接続される。洗浄チャンバーにおいて、水性の導電性媒体があり、水性の導電性媒体は、対イオンを吸着する、および洗浄チャンバー中で対イオンを吸着する、または洗浄液が陽極チャンバーを通って再循環される、のいずれかである。好ましい実施形態において、酸、例えば、塩酸または硫酸などは、陽極チャンバー内で形成され、これらを更に濃縮し、炭酸塩の生成に適したカチオン/カチオン性化合物を含む溶液を生成するために使用してもよい。例えば、塩化アルミニウムまたは硫酸第一鉄を、この方法によって金属アルミニウムまたは鉄から生成することができ、その後、更なる炭酸塩/炭酸水素塩の生成に使用することができる。
【0328】
変換方法2および変換方法3の実施は、アクセプター媒体中に固体凝集体が形成されず、および炭酸アニオン/炭酸水素塩アニオンの取り込みと競合する可能性がある更なるアニオンが導入されないので、この点で特に有利である。このことは、二酸化炭素および/または炭酸アニオンおよび/または炭酸水素アニオンの取り込みおよび放出のためにアクセプター溶液を循環させることを可能にし、二酸化炭素および/または炭酸アニオンおよび/または炭酸水素アニオンは、二次循環方法において化学的に反応する。変換方法1において、炭酸アニオンおよび/または炭酸水素アニオン以外のアニオンの連続的または非連続的な分離を、吸着法または電気透析法によって行うことができる。したがって、アクセプター溶液における再循環も変換方法1において確実にすることができる。
【0329】
炭酸塩生成後にアクセプター溶液中に残るCl-またはSO4
2-などの対イオンの分離は、水酸化カリウム溶液または水酸化ナトリウム溶液を、この溶液に添加する場合、電気透析の過程においてより低いエネルギー入力で達成されるできることも明らかにしている。
【0330】
好ましくは、用量は、対イオンが受容体化合物から完全に溶解する溶液のpHまで滴定される。このことは、水溶性ガスの吸着のためにアクセプター溶液の再循環中に添加されているアクセプター溶液中に残っているカチオンを、それらの水酸化物形態、例えばCa(OH)2などに変換し、このことにより、それらは固体になり、分離が非常に容易になり、および結果として、アクセプター溶液の再循環中に気体スクラビング装置での固体の形成(炭酸塩の形成)がないので更に特に有利であることを明らかにしている。水酸化カリウム溶液または水酸化ナトリウム溶液を用いて滴定後に形成された固体の分離に続いて、アクセプター溶液は、含まれる塩成分(例えば、Na+、K+、Cl-またはSO4
2-)から電気透析によって精製される。続いて、最初に使用したアクセプター溶液の吸収能力に対応する吸収能力を有するアクセプター溶液を、水溶性気体/気体成分を再吸収するために使用することができる。
【0331】
本発明に係る変換方法は、5℃から70℃の間、より好ましくは10℃から60℃の間、更に好ましくは15℃から50℃の間の温度範囲で好ましくは実施される。炭酸塩/炭酸水素塩の生成を行う水溶液のpHは、好ましくは5から13の間、より好ましくは6から12.5の間、更に好ましくは7から12の間の範囲である。炭酸塩/炭酸水素塩の生成は、常圧条件下で好ましくは行われる。
【0332】
更に好ましい実施形態において、変換方法の一つに係る化学変換は、高圧および/または高温で、および/または触媒の存在下で変換を行うことによって行われる。
【0333】
しかしながら、変換方法は、他の化合物を二酸化炭素および/または炭酸アニオンおよび/または炭酸水素アニオンと接触させ、およびそれらを互いに化学的に反応させることにも適している。したがって、好ましい方法実施形態において、一つ以上の化合物は、以下、反応化合物とも呼ばれ、水性アクセプター媒体に添加され、一つ以上の化合物を用いてアクセプター溶液中の二酸化炭素の吸収前、および/または吸収の間、および/または吸収後に、二酸化炭素および/または炭酸アニオンおよび/または炭酸水素アニオンと接触し、およびそれらを互いに反応させる。さらに好ましい方法実施形態において、二酸化炭素および/または炭酸アニオンおよび/または炭酸水素アニオンの化学変換は、本発明に係る二酸化炭素および/または炭酸アニオンおよび/または炭酸水素アニオンの吸収工程と並行して、または続いて行われる二酸化炭素および/または炭酸アニオンおよび/または炭酸水素アニオン吸収工程において、一つ以上の反応化合物が含まれ、または輸送される取り込みおよび放出媒体への二酸化炭素および/または炭酸アニオンおよび/または炭酸水素アニオンの輸送を介して、行われる。
【0334】
好ましくは、少なくとも一つの反応化合物が、水性アクセプター媒体中に存在し、および二酸化炭素および/または炭酸アニオンおよび/または炭酸水素アニオンとの反応が、アクセプター溶液中の二酸化炭素の吸着の間および/または吸着後にもたらされる方法である。
【0335】
好ましくは、アクセプター溶液中の二酸化炭素の吸着が水性アクセプター媒体を用いて行われ、および二酸化炭素および/または炭酸アニオンおよび/または炭酸水素アニオンを含む水性吸収媒体を、少なくとも一つの反応化合物と接触させ、および少なくとも一つの反応化合物と二酸化炭素および/または炭酸アニオンおよび/または炭酸水素アニオンとの反応が行われる、方法である。
【0336】
好ましくは、少なくとも一つの反応化合物が二酸化炭素および/または炭酸アニオンおよび/または炭酸水素アニオンについての取り込みおよび放出媒体中に存在し、および二酸化炭素および/または炭酸アニオンおよび/または炭酸水素アニオンとの反応がそこにおいて達成される方法であり、少なくとも一つの反応化合物は、アクセプターチャンバーと取り込みおよび放出チャンバーとの間の分離媒体(膜)を通って輸送されている。
【0337】
好ましくは、少なくとも一つの反応化合物および少なくとも一つのアクセプター化合物が取り込みおよび放出媒体中に存在し、アクセプターチャンバーと取り込みおよび放出チャンバーとの間の分離媒体(膜)を通って輸送されている二酸化炭素および/または炭酸アニオンおよび/または炭酸水素アニオンとの化学反応が取り込みおよび放出媒体において行われる方法である。
【0338】
好ましくは、アクセプター溶液中の二酸化炭素の吸着が水性アクセプター媒体を用いてもたらされ、および吸着された二酸化炭素および/または炭酸アニオンおよび/または炭酸水素アニオンが分離媒体(膜)を通って少なくとも一つの溶解された反応化合物を含む反応チャンバーに輸送され、そこにおいて反応化合物と反応する方法である。
【0339】
好ましくは、アクセプター溶液中の二酸化炭素の吸着が水性アクセプター媒体によってもたらされ、および吸着された二酸化炭素および/または炭酸アニオンおよび/または炭酸水素アニオンが分離媒体(膜)を通って反応チャンバーに輸送され、および、二酸化炭素および/または炭酸アニオンおよび/または炭酸水素アニオンの反応チャンバーへの輸送前および/または輸送中および/または輸送後に、少なくとも一つの反応化合物が電解質チャンバーから反応チャンバーに輸送され、ここで、少なくとも一つの反応化合物は、溶解した形態で存在し、化合物の輸送が電気泳動的に行われている、方法である。
【0340】
相分離によって得られた固体中に含まれる、アクセプター化合物および/または使用された反応化合物のアニオンの残存量を、例えば、洗浄法などによって完全に除去することができる。
【0341】
得られた固体を非常に容易に乾燥することができることが明らかになっている。このことは、例えば、多孔性セラミック膜で達成され、水は膜によって非常に急速に吸着され、および輸送される。この方法において乾燥された炭酸塩または炭酸水素塩は、その後、微粉末としてすぐに利用可能であり、または粉砕法によって非常に簡単に微粉末にすることができる。この場合において、粒子の平均直径は<1μmである。この方法において得られた炭酸塩または炭酸水素塩は、化学的に純粋な非晶質の形態ですぐに利用可能である。この文脈において、純粋とは、炭酸塩または炭酸水素塩が、>95wt%、より好ましくは>98wt%、更に好ましくは>99.5wt%の純度で存在することを意味する。
【0342】
驚くべきことに、本発明に係る方法は、例えば、鉄イオン、アルミニウムイオン、および銅イオンなどの金属イオンを用いて炭酸塩を生成するために使用することもできる。
【0343】
驚くべきことに、炭酸アルミニウムを、列挙された変換方法によって生成することができた。このことは、例えば、アルギニンを0.3mol/lの濃度で含む溶液に塩化アルミニウムを溶解することによって、塩化アルミニウムの10%水溶液を得ることを可能にした。この溶液を、二酸化炭素で飽和させたアクセプター溶液(アルギニン溶液2mol/l)に、1:4の比率で、撹拌下でゆっくりと加えることによって、白濁が生じた。懸濁液の添加、および攪拌の完了後、沈降した白っぽい固体材料を遠心分離によって分離し、その後、脱イオン化水を用いて2回洗浄した。ペースト状の材料を対流によって乾燥し、およびその後、機械的に粉砕し、白っぽい粉末を得た。粉末を、濃塩酸によって完全に分解することができ、二酸化炭素および塩化アルミニウム溶液が生成された。驚くべきことに、アクセプター溶液中への塩化アルミニウム塩の溶解の間、または溶液を接触させた場合のいずれかで、ガス形成または加熱はなかった。
【0344】
驚くべきことに、炭酸塩の生成が達成される本発明に係る溶液中にアンモニウムイオンが同時に存在する場合、炭酸水素塩の生成が優先的に進行することを明らかにした。好ましい実施形態において、炭酸塩/炭酸水素塩の生成が達成される溶液にアンモニアが添加される。このことは、溶液を水溶性気体/気体成分と接触させる前、間、または後に行うことができる。好ましくは、この方法実施形態は、本発明に係るアクセプター溶液の場合に行われる。しかしながら、添加を、変換方法2および変換方法3においても行うこともでき、その場合に、添加は反応チャンバーおよび/または取り込みおよび放出チャンバーにおいて行われる。炭酸水素塩/炭酸塩への変換が行われる溶液の一つにおいて低濃度のアンモニアでさえ、炭酸塩よりも炭酸水素塩の優先的な形成が起こることを可能にするのに十分であることを明らかにしている。炭酸水素塩/炭酸塩の生成が達成される溶液中の好ましいアンモニア濃度は、0.001wt%から5.0wt%の間、より好ましくは0.005wt%から3.0wt%の間、更に好ましくは0.01wt%から1.5wt%の間である。炭酸水素塩の好ましい形成は、アンモニウムイオンによって結合される導入されたアニオン(例えば、Cl-またはSO4
2-など)の濃度に依存するので、アンモニアの最適濃度は個別に決定されなければならない。結果的に得られた炭酸水素塩は、本明細書に記載されるのと同じ分離技術を使用して分離され、および精製される。好ましい方法実施形態において、炭酸水素塩または炭酸塩の生成は、好ましくは<50℃、より好ましくは<35℃、更に好ましくは<20℃、更により好ましくは<10℃である方法温度で行われる。好ましい方法実施形態において、アクセプター溶液または反応溶液中に存在するアンモニウム塩の分離が行われる。好ましくは、これは電気透析によって行われることができる。
【0345】
炭酸塩または炭化水素塩の生成に適したカチオンまたはカチオン性化合物、およびアニオンまたはアニオン性化合物が存在する電解質溶液から、アニオンまたはアニオン性化合物を、アンモニアとの反応を用いて分離することが特に有利であることを更に明らかにした。カチオンまたはカチオン性化合物の炭酸塩または炭酸水素塩へのより高い変換速度および変化量に加えて、電解質溶液中に存在し得る不純物を非常に容易に除去することもできることを明らかにしている。このことを、例えば、再利用された、および有機化合物を含んだアルミニウム材料(アルミホイルを含む)を用いて実証することができる。酸加水分解を、濃塩酸を用いて行った。pH1を有する灰色の固体を形成し、これを水に完全に溶解することが可能であった。25wt%アンモニア溶液中で混合すると、pH2.5で凝集開始をもたらし、このことはアンモニア溶液の更なる添加で増大した。pH4で、溶液を遠心分離した。暗褐色の固体が、白色の遠心分離されたもの(centrifugate)にも沈殿していた。上清は透明であり、pH4でアンモニア臭がなかった。上清を、二酸化炭素で飽和された2モル濃度のアルギニン溶液に加え、白色の固体がすぐに生成した。アンモニアを添加しない溶液を用いての実験と比較して、3倍より多い量の固体をアクセプター溶液から分離することができ、このことは、アンモニアを用いて前処理された2倍以上の量の電解質溶液を、炭酸塩または炭酸水素塩の更なる形成がないアクセプター溶液のpHに達するまで、アクセプター溶液に添加することができた、という事実にも起因する。純粋な炭酸水素アルミニウムを、固体分析において明らかにした。
【0346】
硫酸アニオンを、当該工程によって電解質溶液から除去することもでき、および硫酸塩が少ない電解質溶液は、硫酸塩またはアニオン豊富な電解質溶液を用いるよりもカチオン性化合物のより多くの変換を可能にすることも示された。他の適用において、脱イオン化水を生成するために使用されるカチオン交換体における再生液(pH7)が研究された。再生は、NaCl溶液を用いて行われている。アンモニアを混合すると結果的に凝集をもたらし、凝集は遠心分離によって分離可能であることを明らかにした。透明な上清(pH9)を、二酸化炭素飽和アクセプター溶液に添加すると固体を形成した。炭酸水素カルシウムおよび炭酸水素マグネシウムの混合物を、固体分析において実証した。
【0347】
好ましくは、炭酸水素塩を生成する方法であり、方法において、アンモニウムイオンを電解質溶液に添加し、その後、混合物を合わせて、二酸化炭素またはその水溶性誘導体で飽和された水性アクセプター溶液と混合する。
【0348】
炭酸塩および/または炭酸水素塩を調製するための好ましい方法は、アニオンまたはアニオン性化合物が、錯体化され、およびアンモニウムイオンによってカチオンまたはカチオン性化合物およびアニオンまたはアニオン性化合物を含む電解質溶液から分離され、およびその後、アニオンが少ない電解質液体は、二酸化炭素またはその水溶性誘導体で飽和された水性アクセプター溶液と組み合わされ、および混合され、炭酸塩および/または炭酸水素塩の自然形成を伴う方法である。
【0349】
したがって、原則として、炭酸塩および炭酸水素塩を、二酸化炭素またはその誘導体から調製することができ、二酸化炭素またはその誘導体は、アクセプター溶液中に反応形態で存在する、またはアクセプター化合物によって反応形態にされる、または当該反応形態に結合して存在し、二酸化炭素またはその誘導体を、カチオン/カチオン性化合物として、すなわちイオン形態で存在する元素または化合物と接触させることにより、結果的に化学変換をもたらす。これにより、炭酸塩(炭酸水素塩)を得ることが可能であり、および例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸リチウム、炭酸コバルト、炭酸鉄、炭酸銅、炭酸アルミニウム、炭酸ケイ素、炭酸亜鉛、炭酸銀、炭酸鉛、および炭酸アンモニウム、並びに対応する炭酸水素塩などを、純粋な非結晶形態で生成することが可能である。
【0350】
本発明に係る方法によって生成される好ましい炭酸水素塩および炭酸塩は、好ましくは<2μm、より好ましくは<1.5μm、更に好ましくは<1μm、更により好ましくは<0.5μmの平均粒径を有する。
【0351】
好ましくは、非晶質形態である炭酸水素塩および炭酸塩の調製である。
好ましくは、炭酸塩および/または炭酸水素塩の低エネルギー生成方法である。
【0352】
好ましくは、再生可能な原材料から炭酸塩および/または炭酸水素塩を低エネルギー生成するための方法である。
好ましくは、本発明に係る方法によって生成される再生炭酸塩および再生炭酸水素塩である。
【0353】
好ましくは、炭酸アルミニウムの生成方法である。
好ましくは、本発明に係る方法によって生成された炭酸アルミニウムである。
好ましくは、炭酸水素アルミニウムの調製方法である。
【0354】
好ましくは、本発明に係る方法によって生成された炭酸水素アルミニウムである。
好ましくは、本発明に係る方法によって調製された炭酸アルミニウムであり、ここで、反応化合物は、アルミニウム塩、好ましくは塩化アルミニウムである。
【0355】
好ましくは、本発明に係る方法によって調製された炭酸水素アルミニウムであり、ここで、反応化合物は、アルミニウム塩、好ましくは塩化アルミニウムである。
【0356】
炭酸アルミニウムおよび/または炭酸水素アルミニウムの調製のためのアルミニウム塩の形態の反応化合物は、それ自体は炭酸アルミニウムおよび/または炭酸水素アルミニウムではない。
【0357】
本発明の実施形態の一つに係る炭酸塩または炭酸水素塩の調製に好ましいアクセプター溶液のpHは、7から13.5の間、より好ましくは8から12.5の間、より好ましくは8.5から12の間の範囲である。
【0358】
好ましくは、炭酸塩/炭酸水素塩の生成に使用されるカチオン/カチオン性化合物の塩の水溶液が調製され、二酸化炭素で飽和されたアクセプター溶液に添加される。原則として、塩溶液の濃度を自由に選択することができる。好ましくは、アクセプター溶液のpHは、塩溶液の添加によって4未満に低くするべきではなく、そうでなければ、結合した二酸化炭素の放出/発生が生じるだろう。他の好ましい実施形態において、溶解した塩溶液の導入は、加圧下で行われる。pHの局所的な低下を避けるために、塩溶液の導入は、好ましくは撹拌下で行われるべきである。塩のアニオンは、原則として自由に選択することできる。好ましくは、低分子量化合物を使用するべきである。好ましいアニオンは、塩化物イオン、ヒドロキシルイオン、硫酸イオン、およびクエン酸イオンである。
【0359】
アクセプター溶液に塩を導入することにより、使用されるアニオンが蓄積し、アニオンは、アクセプター化合物におけるグアニジノ基またはアミジノ基に静電的にされる。したがって、アクセプター溶液からのアニオンの除去は、先行技術方法によって有利に行われる。これは、連続的に、例えば、電気透析などによって、または不連続的に、例えば、アニオン交換化合物、または吸着/錯体化剤を用いて行われることができる。
【0360】
したがって、本方法は更に、炭酸塩および炭酸水素塩の生成および取得を対象にする。したがって、次のステップによって特徴付けられる方法が好ましい:
a)遊離グアニジノ基および/または遊離アミジノ基を有する少なくとも一つのアクセプター化合物を含む水性アクセプター溶液を提供すること、
b)二酸化炭素を含む気体をステップa)におけるアクセプター溶液と接触させること、
c)ステップb)におけるアクセプター溶液に含まれ、および結合された二酸化炭素、および/または二酸化炭素誘導体の変換であって、当該変換は、
-ステップb)におけるアクセプター溶液に、少なくとも一つのカチオン性化合物を添加し、そこにおいて、少なくとも一つのカチオン性化合物を溶解および混合することによって、または
d2)-アクセプター溶液に含まれ、および結合された二酸化炭素および/または二酸化炭素誘導体は、取り込みおよび放出チャンバーまたは反応チャンバーに電気泳動的に輸送され、そこにおいて、少なくとも一つのカチオン性化合物と接触され、および混合されることによって、
達成される、
d)ステップc)における二酸化炭素および/または二酸化炭素誘導体を用いて反応生成物を得ることであって、反応生成物は、反応が行われたチャンバー内で得ることができ、その後、反応生成物を分離法によって分離し、乾燥する。
【0361】
したがって、本方法は更に、炭酸塩および炭酸水素塩の生成および取得を対象にする。したがって、次のステップによって特徴付けられる方法が好ましい:
a)遊離グアニジノ基および/または遊離アミジノ基を有する少なくとも一つのアクセプター化合物を含む水性アクセプター溶液を提供すること、
b)気体における二酸化炭素濃度が<100ppmに達するまで、二酸化炭素を含む気体をステップa)におけるアクセプター溶液と接触させること、
c)ステップb)からのアクセプター溶液に含まれ、および結合された二酸化炭素、および/または二酸化炭素誘導体の変換であって、当該変換は、
-ステップb)におけるアクセプター溶液に、少なくとも一つのカチオン性化合物を添加し、そこにおいて、少なくとも一つのカチオン性化合物を溶解および混合することによって、または
d2)-アクセプター溶液に含まれ、および結合された二酸化炭素および/または二酸化炭素誘導体は、取り込みおよび放出チャンバーまたは反応チャンバーに電気泳動的に輸送され、そこにおいて、少なくとも一つのカチオン性化合物と接触され、および混合されることによって、
達成される、
d)ステップc)からの二酸化炭素および/または二酸化炭素誘導体を用いて反応生成物を得ることであって、反応生成物は、反応が行われているチャンバー内で得ることができ、その後、反応生成物を分離法によって分離し、および乾燥している。
【0362】
したがって、本明細書に記述される方法実施形態は、さらに好ましくは、更なる方法型、特に以下に適用できる:
好ましくは、ステップc)における反応が反応化合物との化学反応である方法であり;
好ましくは、反応溶液を生成するために、反応化合物を、アクセプター化合物および/または取り込み放出化合物を含む水溶液に溶解する方法であり;
好ましくは、ステップc)における反応を、ステップb)から得ることが可能なアクセプター溶液中、および/または取り込みおよび放出媒体中、および/または反応媒体中で行われる方法であり;
好ましくは、反応媒体が少なくとも一つのアクセプター化合物を含む方法であり;
好ましくは、ステップc)における、ステップb)から得ることが可能なアクセプター溶液中での、またはステップb)に係るアクセプター媒体からの二酸化炭素および/または二酸化炭素誘導体の取り込みおよび放出媒体への輸送後の取り込みおよび放出媒体中での、変換が、溶解された、または溶解されていない反応化合物を組み合わせることによって行われる方法であり;
好ましくは、ステップc)における変換が、取り込みおよび放出媒体中で、および/または反応媒体中で行われ、ステップb)から得ることが可能なアクセプター溶液からの二酸化炭素および/または二酸化炭素誘導体の各媒体への輸送中、または輸送後に行われる方法であり;
好ましくは、ステップb)から得ることが可能なアクセプター溶液からの二酸化炭素および/または二酸化炭素誘導体の取り込みおよび放出媒体への、および/または反応媒体への輸送は、電気泳動法によって行われる方法であり;
好ましくは、ステップc)における化学変換が、炭酸塩または炭酸水素塩の形成を可能にするカチオン/カチオン性化合物を用いて行われる方法であり;
好ましくは、化学的に純粋な炭酸塩および/または炭酸水素塩がステップd)において非晶質形態で得られる方法である。
【0363】
驚くべきことに、二酸化炭素を溶解する、および輸送するための本発明の方法は、本明細書に開示される変換方法のいずれかと併せて、二酸化炭素および/または二酸化炭素の誘導体を、メタンに、および他の炭化水素化合物に変換することを可能にする/可能にすることを明らかにしている。
【0364】
特に好ましい実施形態において、変換方法3は、この目的のために使用される。一実施形態において、変換方法3は、電気透析装置において行われ、電気透析装置において、一つ以上のチャンバー配列が、受容体チャンバー/反応チャンバー/電解質チャンバーの配列で、陰極チャンバーと陽極チャンバーとの間に順番に積み重ねられる。好ましくは、陽極チャンバーを通って循環する電解質溶液は、電解質チャンバーを通って流れる。好ましくは、電気分解を促進する、または触媒する少なくとも一つの化合物は、電解質溶液中に存在する。好ましくは、アニオンおよびカチオンを取り込み、可逆的に結合するのに適した媒体が反応チャンバー内に存在する。一実施形態において、この目的のためにイオン性液体が使用される。好ましくは、塩化合物が>/=1のモル比で水素イオン(プロトン)を結合することができるイオン液体である。これは、例えば、一つ以上の第三級または第四級窒素化合物によって行うことができる。更なる実施形態において、水素イオン(プロトン)を結合するのに適した化合物がイオン性液体に溶解される。更なる実施形態において、触媒特性、または反応促進特性を有する化合物がイオン性液体中に存在する。更に好ましい実施形態において、電解質チャンバーと陰極チャンバーとの間で電解質溶液の循環が提供される。
【0365】
好ましくは、アクセプターチャンバーと反応チャンバーとの間にオープンポア膜または両極性膜があり、および電解質チャンバーと反応チャンバーとの間にカチオン選択性膜がある。当該配置を用いて、陽極と陰極との間にDCを印加する間に、メタンが反応チャンバー内で形成され、そこから自然発生されることを示している。
【0366】
有利なことに、本発明による工程実施において、電気透析工程において生成された水素は、本発明に従って実行される工程中または工程後に、本明細書に開示される変換方法における反応の一つに直接利用可能にされることができる。
【0367】
したがって、方法はさらに、炭素化合物の生成および取得を対象にする。
したがって、以下のステップによって特徴付けられる方法が好ましい:
a)遊離グアニジノ基および/またはアミジノ基を有する少なくとも一つのアクセプター化合物を含む水性アクセプター溶液を提供すること;
b)二酸化炭素を含む気体をステップa)におけるアクセプター溶液と接触させること、
c)ステップb)におけるアクセプター溶液に含まれ、および結合された二酸化炭素、および/または二酸化炭素誘導体の変換、または
ステップb)に係るアクセプター溶液に含まれ、および結合された二酸化炭素、および/または二酸化炭素誘導体の輸送、並びにd2)取り込みおよび放出媒体、または反応媒体中での変換、
d)相分離または電気泳動質量分離によって、ステップc)における二酸化炭素および/または二酸化炭素誘導体を用いて反応生成物を得ること。
【0368】
したがって、方法は更に、炭素化合物の回収および生成を対象にする。
したがって、以下のステップによって特徴付けられる方法が好ましい:
a)遊離グアニジノ基および/または遊離アミジノ基を有する少なくとも一つのアクセプター化合物を含む水性アクセプター溶液を提供すること;
b)二酸化炭素を用いてアクセプター溶液の飽和が達成されるまで、二酸化炭素を含む気体をステップa)におけるアクセプター溶液と接触させること、
c)ステップb)におけるアクセプター溶液に含まれ、および結合された二酸化炭素、および/または二酸化炭素誘導体の変換、または
ステップb)に係るアクセプター溶液に含まれ、および結合された二酸化炭素、および/または二酸化炭素誘導体の輸送、並びにd2)取り込みおよび放出媒体、または反応媒体中での変換、
d)相分離または電気泳動質量分離によって、ステップc)における二酸化炭素および/または二酸化炭素誘導体を用いて反応生成物を得ること。
【0369】
したがって、少なくとも一つのグアニジノ基またはアミジノ基を有する少なくとも一つの溶解したアクセプター化合物を含むアクセプター溶液を用いることによって、極めて有利な効果を得ることができる。特に、気体/気体混合物からの二酸化炭素の非常に効果的および選択的な除去を、常圧および室温で達成することができる。アクセプター媒体に結合された二酸化炭素、並びに炭酸アニオンおよび/または炭酸水素イオンは、少なくとも6か月間、加圧無しで(常圧で)そこに残り、この形で輸送されることができる。さらに、二酸化炭素、並びに炭酸アニオンおよび/または炭酸水素アニオンが溶液中に存在するアクセプター媒体を使用して、二酸化炭素並びに炭酸アニオンおよび/または炭酸水素アニオンの化学変換をすぐに行うことができる反応溶液を提供することができる。さらに、アクセプター媒体は、二酸化炭素の変換から結果的に生じるカルボン酸を溶解する、および輸送するのに適している。さらに、アクセプター溶液を、二酸化炭素を用いて何度も飽和させることができ、およびその後、アクセプター化合物の消費または損失なく、これらを除去することができる。
【0370】
[定義]
アクセプター媒体
用語「アクセプター媒体」は、二酸化炭素/二酸化炭素誘導体を結合することができる少なくとも一つの溶解した化合物が存在する液体または溶媒を指す。この化合物は、本明細書において「アクセプター化合物」とも呼ばれる。アクセプター化合物は、少なくとも一つの遊離グアニジノ基および/またはアミジノ基を有する。アクセプター化合物は、反応化合物および他の化合物も含み得る。少なくとも一つの溶解した化合物が存在する液体または溶媒が水である場合、「アクセプター媒体」は、本明細書において「水性アクセプター媒体」または「アクセプター溶液」とも呼ばれる。用語「水性アクセプター媒体」および「アクセプター溶液」またはさらに「水性アクセプター溶液」は、本明細書において互いに交換可能に使用される。
【0371】
アクセプター溶液
本明細書において使用される場合、「アクセプター溶液」は、二酸化炭素、二酸化炭素誘導体を結合することができる少なくとも一つの溶解した化合物を含む水性媒体であると理解される。この化合物は、本明細書において「アクセプター化合物」とも呼ばれる。アクセプター化合物は、少なくとも一つの遊離グアニジノ基および/またはアミジノ基を有する。アクセプター化合物は、反応化合物および他の化合物も含み得る。
【0372】
アクセプター化合物
本明細書において使用される用語「アクセプター化合物」は、遊離グアニジノ基および/またはアミジノ基を有する化合物を指す。アクセプター化合物は、特に好ましくはアルギニンである。
【0373】
カチオン性基
本明細書において使用される用語「カチオン性基」は、プロトン取り込み後に正荷電を有する化学官能基を指す。したがって、「カチオン性基」は、正に荷電した官能基を表す。「カチオン性基」は、本明細書において正の「荷電基」とも呼ばれる。本明細書において「カチオン性基」を有する好ましい化合物は、好ましくは、少なくとも一つのグアニジノ基および/またはアミジノ基を含むアミノ酸および/またはアミノ酸の誘導体である。
【0374】
カチオン性化合物
本明細書で使用される用語「カチオン性化合物」は、正荷電を有する物質を指す。特に、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の塩は、本明細書において「カチオン性化合物」と呼ばれる。特に、炭酸塩および炭酸水素塩をそれぞれ形成することができるアルカリ金属およびアルカリ土類金属である。好ましい「カチオン性化合物」は、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の無機塩および有機塩であり、それらは水に実質的に不溶性または難溶性である炭酸塩または炭酸水素塩を形成する。結合した二酸化炭素を含む水性アクセプター溶液に、または結合した二酸化炭素を含む水性アクセプター溶液に「カチオン性化合物」を添加することによって、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の炭酸塩または炭酸水素塩を、選択的に得ることができる。アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩に加えて、他の金属カチオンを、本明細書に開示されるように炭酸アニオンまたは炭酸水素アニオンと反応させるために使用してもよい。本明細書において好ましい「カチオン性化合物」の例は、塩化カルシウム、塩化第二鉄、および塩化アルミニウムを含むが、これに限定されない。ナトリウム、カルシウム、バリウム、マグネシウム、リチウム、コバルト、鉄、銅、アルミニウム、ケイ素、亜鉛、銀、鉛、を含むがこれに限定されない、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸リチウム、炭酸コバルト、炭酸鉄、炭酸銅、炭酸アルミニウム、炭酸ケイ素、炭酸亜鉛、炭酸銀、炭酸鉛、および炭酸アンモニウム、並びに対応する炭酸水素塩、並びに炭酸アルミニウム、または炭酸水素アルミニウムなどの炭酸塩、または炭酸水素塩を有する物質の例を得ることができる。ナトリウム、カルシウム、バリウム、マグネシウム、リチウム、コバルト、鉄、銅、アルミニウム、ケイ素、亜鉛、銀、および鉛の塩を、本明細書においてカチオン性化合物として使用してもよい。本明細書において特に好ましいカチオン性化合物は、塩化アルミニウムなどのアルミニウム塩である。
【0375】
二酸化炭素誘導体
用語「二酸化炭素誘導体」は、本明細書において、二酸化炭素の水中における溶解工程によって形成される、または形成され得る全ての化合物を指すために使用される。特に、これらはH2CO3、HCO3
-、CO3
2-を含む。二酸化炭素(CO2)は水中で炭酸を形成する。炭酸(H2CO3)は無機酸であり、および当該酸無水物二酸化炭素(CO2)と水との反応生成物である。
【0376】
反応化合物
反応化合物という用語は、二酸化炭素および/または二酸化炭素誘導体との反応を受ける、または反応を引き起こす化合物を指す。この工程において、二酸化炭素および/または二酸化炭素誘導体は、化学的に反応および/または結合する。本明細書において好ましい「反応化合物」は、上記で定義された「カチオン性化合物」である。
【0377】
取り込みおよび放出媒体
用語「取り込みおよび放出媒体」は、二酸化炭素およびまたは二酸化炭素誘導体を吸着する、吸収する、物理吸収する、または結合する、またはこれらを反応させる、および/または放出する/発生する、気体、液体、または固体を意味する。好ましくは、前記媒体は、一つ以上の前述の特性をもたらす化合物を含む。これに関して、取り込みおよび放出媒体は、反応化合物、アクセプター化合物、および他の化合物も含み得る。本明細書において好ましくは、特に、水性取り込みおよび放出媒体である。本明細書において使用される用語「取り込みおよび放出媒体」は、結合した二酸化炭素を放出/発生することができる媒体を指す。これに関して、二酸化炭素の放出/発生は、炭酸アニオン/炭酸水素アニオンなどの二酸化炭素誘導体の、取り込みおよび放出媒体へ入る時に直接起こり得る。好ましくは、取り込みおよび放出媒体からの二酸化炭素の放出/発生は、二酸化炭素が放出装置または放出チャンバーに導入された後に行われる。
【0378】
元素または元素分子
本明細書において使用される用語「元素」は、周期表(PTE)において原子番号が増加するように配列された既知の化学元素を指す。「元素分子」は、単一の化学元素の二つ以上の原子のみからなる分子である。元素分子とは対照的に、全ての他の分子は、異なる化学元素の少なくとも二つの原子(例えば、炭素および酸素でできた二酸化炭素(CO2)など)からなる。「気体元素」または「気体元素分子」は、通常の条件下で気体である元素または元素分子である。これらは、六つの希ガスHe、Ne、Ar、Kr、Xe、Rn、および、通常の条件下で気体である他の5つの元素:水素(H2)、窒素(N2)、酸素(O2)、フッ素(F2)、および塩素(Cl2)、である。
【0379】
分子化合物
用語「分子化合物」は、少なくとも二つの原子の異なる化学元素の分子(例えば、炭素および酸素からの二酸化炭素(CO2)など)を指す。用語「気体分子化合物」または略して「気体化合物」は、通常の条件下で気体である分子化合物を指す。通常の条件下で気体である「気体分子化合物」の例は、二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、アンモニア(NH3)、一酸化炭素(CO)、一酸化窒素(NO)、二酸化窒素(亜酸化窒素とも呼ばれる)(N2O)、二酸化硫黄(SO2)、塩化水素(HCl)、エタン(CH3CH3)、プロパン(CH3CH2CH3)、ブタン(CH3CH2CH2CH3)、アセチレン(CH≡CH)などを含むが、これに限定されない。
【0380】
気体/気体相
本明細書で使用される用語「気体」または「気体相」は、純粋な物質として、または混合物として存在する元素または化合物の気体相を指す。純粋な気体の例は、気体二酸化炭素、メタン、または水素である。気体混合物の例は、空気、燃焼/煙気体、バイオガス、下水ガスまたは酸性天然ガスである。固体および液体に加えて、気体は凝集における三つの古典的な状態の一つである。いくつかの元素および化合物に関して、標準条件(温度20℃、圧力101,325Pa)は、元素および化合物が気体として存在するのにすでに十分である。この文脈において、用語「空気」は、地球の大気の気体混合物を指す。乾燥空気は、主に二つの気体窒素(体積で約78.08%)および酸素(体積で約20.95%)からなる。さらに、成分アルゴン(0.93vol.%)、二酸化炭素(0.04vol.%または400ppm)および他の気体が0.002vol.%未満の濃度で、または20ppm、微量で、例えば、ネオン(Ne)、ヘリウム(He)、メタン(CH4)、クリプトン(Kr)、亜酸化窒素(N2O)、一酸化炭素(CO)、キセノン(Xe)、様々なクロロフルオロカーボン(CFC)、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、クロロジフルオロメタン、トリクロロトリフルオロエタン、1,1-ジクロロ-1-フルオロエタン、1-クロロ,1-1-ジフルオロエタン、並びに四塩化炭素、六フッ化硫黄、ブロモクロロジフルオロメタン、およびブロモトリフルオロメタンが存在する。
【0381】
水溶性気体
液体への気体の溶解において、用語溶解度は、気体が気体相と液体との間で拡散平衡にある場合、すなわち、気体相および液体からの拡散がちょうど同じ量を拡散する場合、所与の圧力の気体で液体に溶解された気体の量を示す。溶解度は、温度、圧力に依存し、いくつかの化合物についてはpHに依存する。本明細書において使用される用語「水溶性気体」は、この文脈において、気体分子化合物が水と接触すると化学的に反応し、例えば、酸無水物または酸を形成することを意味する。その後、有機酸または無機酸として、またはアニオンとして水中に存在する。本明細書において好ましい「水溶性気体」は、特に、水に溶解すると酸または弱酸を形成する用語「酸性気体」に該当する気体である。
【0382】
用語「水溶性気体」に含まれる気体は、水と接触すると水と化学的に反応しない気体と区別されるべきである。例えば、メタン(CH4)は、常圧および20℃で36.7ml/l水の溶解度を有する。メタンは、水と反応しないので、水溶性気体ではない。
【0383】
水溶性気体
用語「水溶性気体成分」は、気体相中に存在し水と接触および/または混合される場合、水と水溶性化合物を形成する全ての気体化合物を含む。例えば、二酸化炭素、二酸化硫黄、硫化水素、一酸化窒素、亜酸化窒素、塩化水素、または二酸化塩素を含む。したがって、「水溶性気体画分」は、「水溶性気体」、および特に「酸性気体」を含む。
【0384】
酸性気体
本明細書において使用される用語「酸性気体」は、水に溶解された場合に酸または弱酸を形成する気体、または気体混合物も指す。酸性気体は、頻繁に、腐食性(corrosive)および腐食性(caustic)、並びに有毒であり、この点において人間および環境に危険を及ぼす。酸性気体は、天然由来であってもよく、または、工業工程において望ましい、または望ましくない反応気体として生成されてもよい。酸性気体の例は、二酸化炭素(CO2)(水中で炭酸および炭酸水素塩を形成する)、二酸化硫黄(SO2)(水中で亜硫酸を形成する)、硫化水素(H2S)、塩化水素(HCl)(水中で塩酸を形成する)、二酸化窒素(N2O)(水中で硝酸を形成する)、シアン化水素(HCN)(水中でシアン化水素を形成する)、臭化水素(HBr)(水中で臭化水素酸を形成する)、二酸化セレン(SeO2)(水中で亜セレン酸を形成する)、を含むが、これに限定されない。
【0385】
塩基性アミノ酸
本明細書において使用される用語「塩基性アミノ酸」は、アミノ酸残基(側鎖)に自由電子対を有するアミノ基またはN原子を有するアミノ酸を指す。これらのN原子がプロトンを受け入れる場合、正に荷電された側鎖を形成する。アミノ酸のヒスチジン、リジン、アルギニンは塩基性アミノ酸に属する。本発明に係る本明細書において好ましくは、少なくとも一つのグアニジノ基および/またはアミジノ基を有する塩基性アミノ酸であり、および特に好ましくは、塩基性アミノ酸アルギニンである。
【0386】
電気泳動分離
本明細書において使用される用語「電気泳動分離」という用語は、電気透析などの電気化学工程において分離膜を用いる電気化学的分離を指す。電解工程において、電解は電解セル内で行われる。電解セルは、例えば、炭素またはプラチナで作られた二つの電極、および導電性液体からなる。陽極に接続された電極を陽極と呼び、および陰極に接続された電極を陰極と呼ぶ。カチオンは負に荷電された陰極に移動し、およびアニオンは正に荷電された陽極に移動する。「電気泳動分離」を達成するために本明細書において使用される「電気泳動分離セル」は、分離膜によって分離された少なくとも二つのチャンバーからなる。「アクセプターチャンバー」は、遊離グアニジノ基および/またはアミジノ基を有する少なくとも一つのアクセプター化合物を含む本発明に係る水性アクセプター溶液を含む。DC電圧が「電気泳動分離セル」に印加される場合、結合した二酸化炭素/二酸化炭素誘導体は、分離膜を通って「取り込みおよび放出チャンバー」中の取り込みおよび放出媒体に輸送される。「電気泳動分離」は、電気透析工程の原理に基づく。
【0387】
電気透析
電気透析は、塩溶液中のイオンを分離する工程である。必要なイオンの分離は、陽極および陰極、およびイオン交換膜、または半透過性のイオン選択膜にわたって印加される電場によって達成される。電気透析は、電気化学的に駆動された膜工程であり、電気化学的に駆動された膜工程において、イオン交換膜は、荷電されていない溶媒または不純物からイオン種を分離するために電位差と組み合わせて使用される。最も一般的な膜材料の一つは、ポリスチレン(PS)である。イオン交換膜は、イオン選択性を達成するために、アニオン選択膜の場合は第4級アミンを、カチオン選択膜の場合はカルボン酸基またはスルホン酸基を組み込むことによって、表面で修飾されることができる。いくつかの膜型は、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン(PP)、またはポリエチレンテレフタレート(PET)によって機械的に強化される。
【0388】
分離媒体
本明細書において使用される用語「分離媒体」は、選択的な物質移動を達成することができる媒体を指す。したがって、本明細書において使用される「分離媒体」は、分離膜または輸送膜と呼ばれることもある。
【0389】
分離膜
本明細書において使用される「分離膜」または略して「膜」は、一般に、層を通る物質輸送に影響を与える材料の薄い層を指す。分離技術において、膜は分離層として使用される。膜は、さまざまな方法:不透過性、選択的透過性、一方向透過性、または全透過性(omnipermeable)などで、透過性であることができる。商業用の膜の大多数はポリマーから作られる。多数の異なるプラスチックが使用されており、適用領域に依存して要件が大きく異なる。最も一般的な二つの形態は、巻き膜および中空繊維である。親油性高分子膜は、いくつかの気体または有機物を通すことを可能にすることができるが、水および水溶液を通過させることができない。しかしながら、ポリマー層において、ポリマー内のイオン性基は、膜を通ってイオンが通過することを妨げることもできる。当該膜は、例えば電気透析に使用される。他の膜は、水および特定の気体のみを透過させる。一般的に使用される膜材料は:ポリスルホン、ポリエーテルスルホン(PES)セルロース、セルロースエステル(酢酸セルロース、硝酸セルロース)、再生セルロース(RC)、シリコーン、ポリアミド(「ナイロン」、より正確には:PA6、PA6.6、PA6.10、PA6.12、PA11、PA12)、ポリアミドイミド、ポリアミド尿素、ポリカーボネート、セラミック、ステンレス鋼、銀、シリコン、ゼオライト(アルミノシリケート)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリピペラジン-アミド、である。セラミック膜は、フィルター上に高い化学的または熱的要求を設定する領域において主に使用される。
【0390】
電気泳動分離用分離膜
本明細書において使用される用語「分離膜」は、電気泳動分離または電気分解において使用される分離媒体に関する。好ましくは、分離膜はオープンポア膜であり、更に好ましくはオープンポアメソ多孔性膜である。いくつかの実施形態において、分離膜はセラミックフィルタープレートである。いくつかの実施形態において、分離膜はアニオン選択膜である。先行技術からの全ての適切な分離膜を分離膜として使用してもよい。先行技術から、イオン選択分離膜および両極性分離膜はよく知られている。
【0391】
二酸化炭素を含む気体をアクセプター媒体と接触させるための分離膜。
本明細書において使用される場合、二酸化炭素含有気体をアクセプター媒体と接触させるための分離媒体は、気体相と液体相との間の物質移動に適した「分離膜」を指す。
これらの分離媒体は、本明細書において「気液分離膜」とも呼ばれる。二酸化炭素含有気体をアクセプター媒体と接触させることは、本明細書において「間接接触」とも呼ばれる。気液分離膜は、膜接触体の形態で提供されてもよい。膜接触体は、好ましくは、本明細書において、二酸化炭素を含む気体をアクセプター媒体と間接的に接触させるために使用される。膜フィルムを、支持材に取り付けられた気液分離膜として提供することもできる。当該気液分離膜は、先行技術から知られている。好ましい気液分離膜は、>10μm、より好ましくは>50μm、より好ましくは>100μm、より好ましくは>150μm、より好ましくは>200μmの平均孔径を有する。200μmの平均孔径を有する気液分離膜が特に好ましい。好ましい気液分離膜は、<300μm、より好ましくは<200μm、より好ましくは<150μm、より好ましくは<100μm、より好ましくは<50μm、更により好ましくは<25μmの膜厚を有する。好ましい気液分離膜は、>10μm、より好ましくは>50μm、さらに好ましくは>100μm、より好ましくは>150μm、更に好ましくは>200μm、更により好ましくは>250μm、最も好ましくは>300μmの平均チャネル直径を有する開口チャネルを有する。好ましい気液分離膜は、>50%、より好ましくは>60%、より好ましくは>70%、より好ましくは>80%、更により好ましくは>90%の多孔率を有する。多孔率は、単位面積あたりの細孔の数として定義される。気液分離膜に適した材料は、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)またはPC(ポリカーボネート)またはセラミックを含むが、これに限定されない。
【0392】
気体スクラビング
気体流または空気流がスクラビング液を通過する時、それは気体スクラビングまたは吸収と呼ばれる。この工程において、吸収される(吸収される-未結合、吸収済み-結合)気体成分は、スクラビング液中で結合される(吸収する-ロードされない、吸収された物質-ロードされた)。
【0393】
塩
本明細書において使用される用語「塩」は、正に荷電されたイオン(カチオン)および負に荷電されたイオン(アニオン)から構成される化合物を指す。イオン結合は、これらのイオンの間に存在する。「無機塩」において、カチオンは金属によって形成されることが多く、アニオンは非金属または非金属の酸化物によって形成されることが多い。「有機塩」は、少なくとも一つのアニオンまたはカチオンが有機化合物である全ての化合物であり;定義によると無機である炭酸(H2CO3)に由来する炭酸塩を除く。
【0394】
通常の条件
用語「通常の条件」またはSTP(標準温度および圧力)条件は、本明細書において、101.325Pa=1.01325bar=1atm=760Torrの「標準圧力」、および293.15K≒20℃の「標準温度」を指す。用語「大気圧」は、地球の大気中の任意の場所での気圧を指す。海面での標準的な平均大気圧(「大気圧」)は、101,325Pa=101.325kPa=1013.25hPa≒1barである。用語「大気圧」および「標準圧力」は、本明細書において交換可能に使用される。本明細書において使用される用語「加圧されない」は、用語「大気圧」および「常圧」も指す。工程ステップは、本出願において「加圧されない」で実施されると記載される場合、これは、「大気圧」および「常圧」下で実施される工程ステップに対応する。本明細書において使用される用語「無加圧」は、用語「大気圧」および「常圧」も指す。本出願が工程ステップを「加圧なしで」実施されると記載する場合、これは「大気圧」および「常圧」下での工程性能に対応する。
【0395】
気体スクラバー
気体スクラバー、湿式分離体、または吸収体は、気体流を液体流と接触させて、液体中の気体流の成分を吸収する工程装置である。輸送される気体流の成分は、固体、液体、または気体の物質であることができる。先行技術で知られる気体スクラビング装置を、排煙またはバイオガスからCO2を分離するために使用することができる。気体スクラビング装置は、予備スクラビング気体スクラビングカラムを備えてもよい。差異は、固定床カラム、充填カラム、トレイカラム、およびスプレーカラムの間で作られる。
【0396】
クリーンガス
本明細書において使用される用語「クリーンガス」は、以下の純度クラスへの分割に起因する:
生ガス(Raw gas)(同様にクルダム(crudum),crd.)-未精製の品質。
工業用気体-気体は一般的な技術目的のために使用され、通常は大規模で生産され、および異質な臭気および色を有してもよい。
合成用気体-合成生成物の生成中に精製が行われるので、気体は少量の不純物を含み、不純物は、通常は合成を妨げない。
純粋な気体(プールム(purum))-特別の定めのない限り、物質含有量が>98.5%容量を有する化学的に純粋な品質。色と特性データに関して、関連する文献にほとんど対応する。合成および実験目的に適している。
最も純粋な気体(プーリシマム(purissimum)、プーリス(puriss).)-少なくとも>99.5Vol%の物質含有量を有する特に純粋な品質。不純物を、一般的な分析方法によって検出することができない。外観および特性データは関連文献に対応する。
【0397】
[適用]
工程は、気体または気体混合物から二酸化炭素成分を選択的に除去するのに特に適している。好ましい気体/気体混合物は、排煙/燃焼気体などの二酸化炭素含有量の高いものである。さらに、技術的工程/合成中に、またはバイオガス生産などの発酵工程によって生成される気体混合物。これは、例えば、下水残留物の分解中などに生成される、いわゆる消化ガスも含む。さらに、工程は、鉱物または技術的に生成された気体の精製に適している。したがって、工程は、水溶性気体成分を含む気体/気体混合物の精製に適している。
【0398】
工程を用いて達成可能な気体/気体混合物における水溶性成分の抽出を、技術的に純粋な、または最も純粋な気体を、例えばメタン、またはバイオメタンとして得るために、消化ガスまたはバイオガスなどの嫌気性気体相を水溶性気体成分から精製するために更に使用することができる。この点において、工程は、工業用ガス/ガス混合物を生成するために使用されることができる。
【0399】
このプロセスは、水素の製造、回収、変換にも適している。
方法は更に、気体/気体混合物から気体成分を抽出し、それらを輸送し、それらを貯蔵し、およびそれらを入手可能にするのに適している。特に、方法を、さまざまな工業適用に使用されることができる純粋な気体二酸化炭素を得るために使用することができる。例えば、抽出された二酸化炭素を、工業用気体として、推進剤(例えば、ディスペンサーなど)として、炭酸の濃縮(例えば、食品またはコンクリートなど)のために、またはドライアイス生成のために使用することができる。したがって、方法は、純粋な、および最も純粋な二酸化炭素の生成に適している。
【0400】
特に、方法は、再生二酸化炭素を得ることを可能にし、そのことと共に/そのことによって再生生成物を生成することができる。適用の例は、植物育種または再生炭素循環経済の生成を含み、そのことによって合成燃料化合物または合成炭素化合物などのサイクル成分を生成することができる。したがって、方法は再生二酸化炭素の生成に適している。
【0401】
方法は、捕捉された二酸化炭素を長期間保存する、または輸送するのに更に適している。
さらに、方法は、結合した二酸化炭素を、直接的に、更なるエネルギー投入無しに化学的に変換することを可能にし、そのことによって、有機合成(炭素化合物の生成)のために重要な出発材料を直接的に生成し、および簡単な方法によって分離することができる。したがって、方法は有機化合物の生成に適している。
【0402】
さらに、炭酸塩および炭化水素塩を、ほとんど技術的努力なしに純粋な形態で得ることができる。したがって、方法は、炭酸塩および炭化水素塩の生成に適している。炭酸塩および炭酸水素塩は、例えば、建築材料および製紙産業において充填剤としてだけでなく、ヒトおよび動物のための栄養補助食品、および錠剤または歯磨剤の成分として、重要な基礎材料である。
【0403】
特に、本発明に係る方法実施形態は、再生可能および持続可能な生成物を生成するのに適している。
【図面の簡単な説明】
【0404】
【
図1】水溶性気体の吸着、輸送、および放出のための装置の概略図。
図1において:1)は水溶性気体または気体成分を含む任意の気体/気体混合物、1a)は精製される気体/気体混合物1)のための入口装置を表す;2)は気体1)がアクセプター溶液と接触する気体スクラビング装置を表す;水溶性気体成分の抽出後に気体1)が出口3)を通って出る;4)は、気体スクラビング装置2)において気体1)と接触したアクセプター溶液のための収集装置を表す;5)は、気体スクラビング装置と電気透析装置のアクセプターチャンバー7)との間に存在するアクセプター媒体の循環回路を表し、ここで4)から、可溶性気体で飽和されたアクセプター溶液は、入口を通ってアクセプターチャンバー7)に供給され、ここで、可溶性気体が取り出されたアクセプター溶液は、アクセプターチャンバーの出口から出て、導管を通って気体スクラビング装置2)に供給される;電気透析装置は、以下の個々の構成要素で構成されている:6)陰極チャンバー、7)アクセプターチャンバー、8)取り込みおよび放出チャンバー、9)陽極チャンバー、および10)分離媒体(膜)(電極チャンバーを閉鎖するイオン選択性分離膜は示されない);11)は、取り込みおよび放出媒体の循環を表し、取り込みおよび放出媒体において、電気泳動的に輸送された気体がアクセプターチャンバーから取り込まれた後、取り込みおよび放出媒体は、出口を通って放出装置12)に運ばれ、放出装置12)において、取り込みおよび放出媒体の脱気、および輸送された気体の放出が起こり、および気体の放出のために、脱気された取り込みおよび放出媒体は、その後、入口を介してチャンバー8)に再導入される;12)において放出された気体は、気体収集装置13)に収集され、気体収集装置13)に貯蔵されることができる。
【発明を実施するための形態】
【0405】
[実施例]
特に明記しない限り、全ての研究を、常圧条件(101.3kPa)および室温(20℃)で脱イオン水(DI水)を使用して行った。
【0406】
[実施例1]
脱イオン化水を使用して調製された0.5モル濃度のアルギニン溶液を、ガス洗浄装置に入れる。一定流量の二酸化炭素気体を、10時間装置に通し、および溶液のpHを連続的に決定する。溶液のpHが9を下回った時、粉末形態のアルギニンを、液体に添加し、および装置に配置された混合ユニットを使用して溶解した。このことを、アルギニンの全モル濃度が3mol/lで溶液中に存在するまで繰り返した。pH8に達すると、固体の無い透明な液体の同時存在と関係し、気体導入を終了した。長期実験のために溶液の一部を取り出し、環境気圧条件下(101.3kPa)で20℃の温度で、気体の密閉のための装置に保存した。ここで、3か月間および6か月間保存された溶液から放出/発生された気体の量を測定した。長期実験の終了時に、実験の終了後に存在した試料の場合と同様に、これらの溶液を気体収集装置に充填し、およびHClを加え、およびpH1が達成されるまで混合した。モル質量を、放出/発生された気体における決定された体積と、その中に存在する二酸化炭素の濃度から決定し、溶液中に存在するアルギニンのモル濃度との関係を算出した。実験を3回繰り返した。続いて、溶液を電気透析ユニットにおいて、ここに存在する塩化物イオンおよび水素イオンから、pH12.5の溶液を得るまで精製した。これらの溶液を、溶液のpHが8に達するまで、アクセプター溶液に二酸化炭素をロードして、更なる繰り返し実験のために使用した。これに続いて、前述の手順を使用して、3つの試料における溶液に結合された二酸化炭素気体の量を測定する。
【0407】
結果:
溶液のpHが8で、溶液中に結合された二酸化炭素とアルギニンとの間に存在するモル比は、0.96から1.01の範囲であった。3ヶ月~6か月の間に、0.1vol%から0.3vol%の間の二酸化炭素画分を放出/発生した。経過中、溶液は透明なままであった。実験を、電気透析によって再生されたアルギニン溶液を用いて繰り返した時、結合された二酸化炭素の割合は、最初の実験において結合された二酸化炭素の割合と変わらなかった。
【0408】
[実施例2]
セメント生産工場からの、および木材チップ熱電併給(CHP)工場からの二酸化炭素含有量11.2vol%および16.9vol%を有する排煙を、気体スクラビングカラムに通した。
【0409】
スクラビングカラムに入る前に、排煙を、すすフィルターに通した。スクラビングカラムの最初の部分は、スクラビング媒体として、硝酸を用いてpH5に酸性化された50%硝酸アンモニウム溶液を含んだ。その後、気体流をエアロゾルフィルターに通した。気体スクラビングカラムの第二の部分は、アルギニン溶液で満たされた気体入口装置を有し、チャンバーの底に置かれる60m2の総表面積を有するナノ多孔性ファイン付きセラミック膜(ケラフォル社(Kerafol)、ドイツ)を通ってアクセプター液への気体放電を伴い、およびそれを介して排煙が導入され、放出される気泡の平均サイズは1μmから20μmの範囲であった。
【0410】
このカラム部分は、10個の連続的に配置されたチャンバー部分から成り、各チャンバー部分において、液面より上に収集された気体相を、パイプを介して次のチャンバー部分の気体入口装置の入口に供給した。スクラビングカラム内のアクセプター溶液は、向流工程において当該部分を通過した。精製された気体混合物を収集し、および二酸化炭素の濃度を決定した。実験を、0.1mol/lから0.5mol/lの間のアルギニン濃度、および100ml/分から1,000ml/分の体積流量で行った。さらに、精製される排煙の体積流量は、200cm3/分から1m3/分の間で変化した。接触時間を、二酸化炭素が<0.01Vol%(100ppm)未満の濃度範囲に減少するまで算出した。したがって、接触時間を、10μmの平均気泡サイズ10μmに関して計算した。
【0411】
結果:
二酸化炭素含有量を<100ppmまで除去することを、両方の排煙混合物について達成した。このことは、選択されたアルギニン濃度および1秒から33秒の範囲に依存し、アクセプター溶液と精製される気体混合物との間の平均接触時間を有する全ての実験条件下で可能であった。
【0412】
[実施例3]
気体混合物からの二酸化炭素の連続分離を行い、これは、二酸化炭素の分離ユニットおよび二酸化炭素の放出ユニットからなる工程構成によって行われた。この目的のために、排煙、バイオガス生産からの気体混合物、および3.5vol%から65vol%の間の二酸化炭素濃度を有する工業用気体を使用した。これらを、500cm3/時間から1.5m3/時間の間の流速で実施例2に記載されたスクラビングカラムに通過させた。通過させた気体を採取し、および二酸化炭素の濃度を測定した。アクセプター溶液において、アルギニンが0.5mol/lの濃度で溶解して存在した(脱イオン化水を溶解のために使用した)。スクラビングカラム内の二酸化炭素を用いて濃縮されたアクセプター溶液を、アクセプターチャンバーおよび取り込みおよび放出チャンバーからそれぞれなる12個の連続した透析チャンバーユニットで構成される電気透析ユニットに供給した。導入は、陰極が配置された陰極チャンバーに行われた。アクセプター液は、隣接するアクセプターチャンバーに連続的に通過させた。陽極側に排出されたアクセプター液を、アクセプター液入口の気体スクラビングカラムに戻した。したがって、循環は、気体スクラビングカラムと電気透析ユニットとの間で、500ml/分から1.5l/分の間の流速で確立された。電気透析ユニットの取り込みおよび放出チャンバーを相互接続し、したがって、取り込みおよび放出媒体を有するチャンバーを一定に満たすことを確実にすることを可能にした。取り込みおよび放出媒体の液体レベルの上に、大容量の外部気体容器に導かれた放出/発生気体用の容器があった。陰極チャンバーとアクセプターチャンバーの間、並びに取り込みおよび/または放出チャンバーとの間に、疎水的に表面被覆されたメソ多孔性セラミック分離膜(水接触角>120゜)があった。隣接する透析チャンバーユニットは、アクセプターチャンバーと取り込みおよび放出チャンバーとの間に固定された電子導電膜(両極性膜)によって圧力安定的方法において分離された。他のチャンバーユニットはそれに応じて配置された。取り込みおよび放出媒体は、溶液中にa)グルタミン酸(10g/l)またはb)クエン酸(100g/l)を含んだ。電気透析中に、取り込みおよび放出媒体のpHを観察した。陰極と陽極との間に20VのDC電圧を印加した。取り込みおよび放出チャンバー内で放出された気体の量を決定し、そこにおいて含まれる気体化合物を分析した。
【0413】
さらに、気体収集装置に通過させた気体混合物中に存在する二酸化炭素濃度を決定した。各試験設定において気体スクラビングカラムに通過させた気体混合物中の二酸化炭素濃度の<100ppmに減少することを達成するために必要とされる接触時間を算出した。実験を、20℃で、常圧条件下で行った。
【0414】
結果:
装置構成によって処理された、調査された全ての気体混合物に関して、二酸化炭素濃度を<100ppmに減少することができた。これについて必要とされる接触時間は、0.5秒から2分の範囲であり、最初の気体混合物における二酸化炭素濃度および電気透析ユニットを通過するアクセプター流体の流量に大きく依存した。電気透析ユニットにおける取り込みおよび放出チャンバーにおいて放出された気体は、>99vol%の二酸化炭素含有量を有した。分離された気体量中にあった二酸化炭素の算出された質量は、最初の気体混合物から除去された二酸化炭素の算出された質量に等しかった。
【0415】
[実施例4]
アクセプター媒体において溶解され、または結合されて存在する二酸化炭素または炭酸アニオン/炭酸水素アニオンにおける化学的変換性を調査した。この目的のために、アクセプター化合物であるアルギニンおよびリジン、またはヒスチジンを0.1mol/lから0.5mol/lの濃度で含む水溶液を、アクセプター溶液として使用し、溶液は脱イオン化水を用いて作製された。二酸化炭素を、実施例2に係る気体スクラビングカラムによって導入し、二酸化炭素の抽出のために22容量%の二酸化炭素含有量を有する排煙を適用する。実施例2の実験手順からの変形として、実施例1に従って、pHの連続的な記録と共に、使用されるアクセプター化合物は、アクセプター溶液のpHが二酸化炭素の取り込みによりアウトプットと比較して1を超えて低下した場合、固体(粉末)形態で添加された。3mol/lの各アクセプター化合物の全部が、完全に溶解し、および透明な溶液になった時に添加を終了した。触媒(MCM-41に固定化されたルテニウム錯体)を、接着剤を使用してPUメッシュに取り付けた。これらのネットは、実施例3に係る電気透析ユニットのアクセプターチャンバーに取り付けられ、したがって、これらのネットは、アクセプターチャンバーを通って流れるアクセプター媒体によって覆われた(circumflushed)。実施例3とは異なり、400Daの遮断(cut-off)を有する陰イオン交換膜を、アクセプターチャンバーと取り込みおよび放出チャンバーとの間の分離膜として使用した。この実験において、0.3mol/lの濃度を有するアルギニン溶液を、取り込みおよび放出媒体として使用した。さらに、実施例3からの変形として、取込みおよび放出媒体は、第二の回路で循環され、第二の回路において、媒体は、分離装置を通過し、分離装置において、炭酸カルシウムが溶液に添加され、その後、沈殿槽に運ばれ、沈殿槽において、取り込みおよび放出媒体に輸送されたカルボン酸の複合体およびカルシウム複合体が沈殿した。カチオン交換樹脂を含むカラムを通過した後、溶液を陽極チャンバーに戻した。分離装置の沈殿槽から沈殿した固体の断続的な除去を行い、および固体を遠心分離により脱水した。遠心分離において結合された有機酸(白色固体)を、エタノールを用いて抽出し、続いてメチル化し、続いてガスクロマトグラフィー分析を行うことによって調製した。
【0416】
二酸化炭素および炭酸アニオン/炭化水素アニオンを含むアクセプター溶液がアクセプターチャンバーを通過する間、陽極と陰極の間に20VのDC電圧を印加して電気透析を行った。
【0417】
結果:
排煙を、二酸化炭素含有量が<100ppmのレベルに精製することができた。取り込みおよび輸送を、塩基性アミノ酸が溶液中に存在するアクセプター溶液によって行った。溶液中のこれらのアミノ酸の濃度は、溶液への二酸化炭素の取り込みによって、中性の水中で使用されるアミノ酸のそれぞれの溶解限界を超えて大幅に増加することができた。このことは、水性アクセプター溶液中に高濃度の二酸化炭素および炭酸アニオン/炭酸水素アニオンが得られることを可能にした。
【0418】
第二の回路における分離されたカルシウム複合体からのアルコール抽出によって、高濃度で存在するギ酸を検出することができた。したがって、一方でアクセプター溶液中に存在する二酸化炭素、および当該誘導体の化学変換が達成され、および他方で、結果的に生じるカルボン酸は、電気透析によって取り込みおよび放出媒体に輸送されたことを示すことができた。
【0419】
[実施例5]
二酸化炭素の炭酸塩への変換に関する調査。
脱イオン水を用いて2モル濃度のアルギニン溶液1リットルを調製し、200gの塩化ナトリウム(A)および塩化カルシウム(B)それぞれを、加え、および溶解する。二酸化炭素を、実施例2に従って、気体処理装置において溶液に添加する。溶液のpHを監視する。気体適用を、30分後に停止し、および溶液を24時間静置させる。その後、上清を完全に静かに移し、および結果的に得られた固体を、100mlの脱イオン水を用いて懸濁した。その後、懸濁液を遠心分離した。洗浄ステップを、さらに2回繰り返した。得られた遠心分離物を、セラミックフィルタープレートに広げ、室温で乾燥する。乾燥した固体を、固体NMR分析にさらした。さらに、炭酸塩の存在を検出するために、化学分解を、窒素雰囲気下でガラス製フラスコにおいて各粉末(3g)に濃塩酸溶液を加えて行った。結果的に得られた気体を、CO2分析装置に通過させた。静かに移された上清を、アニオン選択膜を用いる電気透析によって処理した。
【0420】
結果:
溶液は、最初は透明であった。2分間の気体適用期間の後、乳白色の濁ったアクセプター溶液が明らかになり、急速に濁り続けた。気体適用中に、pHは12.4(A)および11.8(B)から、8.6(A)および8.3(B)それぞれに減少した。24時間後、両方の反応容器に白色固体層が沈降しており、および上清はいずれの場合において透明であった。固体を、乾燥後に微細な白色粉末として得た。二酸化炭素は、酸触媒分解中に放出された。NMR分析において、炭酸ナトリウム(A)および炭酸カルシウム(B)を明らかにし、他の元素または化合物は存在しなかった。上清の電気透析は、陽極での塩素の除去を伴ってここに含まれる塩化物イオンの除去を結果的にもたらした。このことにより、各上清溶液のpHは、各出発溶液のレベルまで上昇した。
【0421】
[実施例6]
二酸化炭素の炭酸塩への変換に関する調査。
各場合において、2モル濃度のアルギニン溶液1リットルを調製した。これらを、実施例2に従って、二酸化炭素を用いてそれぞれ1時間ガス処理した。さらに、1リットルの1モル濃度のアルギニン溶液を、各場合において調製し、および(A)塩化アルミニウムまたは(B)塩化第二鉄がそれぞれを、溶液のpHが8になるまで溶解した。
【0422】
溶液を、攪拌下で、二酸化炭素を用いて飽和されたアルギニン溶液の一つにそれぞれ添加した。これに続いて遠心分離を行った。その後、上清を完全に静かに移し、および結果的に得られた固体を、100mlの脱イオン水に懸濁した。その後、懸濁液を遠心分離した。洗浄工程をさらに2回繰り返した。得られた遠心分離物を、室温で、セラミックフィルタープレート上で乾燥した。各粉末2gの化学分解を実施例5に従って行った。乾燥固体を、900℃で分解し、残留物を元素分析にさらした。
【0423】
結果:
アルミニウムイオンまたは鉄イオンを含む溶液を、二酸化炭素を用いて飽和されたアクセプター溶液に混合すると、白色、またはさび色の固体を形成した。これらは遠心分離によって完全に分離されることができ、および上清は透明であった。可溶性化合物を洗い流し、および乾燥させた後、乾燥固体凝集物を得て、乾燥固体凝集物を、すり鉢で微粉末に粉砕することができた。酸触媒分解は、二酸化炭素を放出した。熱分解は、結合した二酸化炭素を放出した。元素分析において、酸化アルミニウム(A)または酸化鉄(B)のみを検出することができた。
【0424】
[実施例7]
純粋な気体の回収に関する調査。
二酸化炭素の吸収および抽出のために、アクセプター溶液を連続的に噴霧される充填床を含む気体スクラビング装置を使用した(
図1:2))。100m
3/h体積流量を有するバイオガスの部分流は、この装置を通過した(
図1:2))。充填物を、100l/分のアクセプター溶液の容積流にさらした。この目的のために、供給タンク1からのアクセプター溶液を使用した(
図1:4))。気体スクラビングのために使用されるアクセプター溶液を、アクセプター溶液に結合された二酸化炭素の脱離のために気体スクラビングユニットから電気透析ユニットに供給した(
図1:5))。これは、陰極液チャンバー(
図1:6))および陽極液チャンバー(
図1:9))、並びにアクセプター溶液を受け取るためのチャンバーにおける交互配置(
図1:7))および、取り込みおよび放出媒体を受け取るためのチャンバー(
図1:8))からなる。後者は両極性膜によって分離され(
図1:10))、一方、それぞれ、陽極チャンバーは、アニオン選択膜を用いて最初のアクセプターチャンバーに接続され、および陰極チャンバーは、カチオン選択膜を用いてで最後の取り込みおよび放出チャンバーに接続された。両極性膜の総面積は10m
2であった。
【0425】
アクセプター溶液として濃度2mol/lのアルギニン溶液を選択した。アクセプター溶液を、吸収工程中に34℃から56℃の間の温度に加熱した。取り込みおよび放出媒体として、10wt%クエン酸溶液を使用した。透析ユニットを流れるアクセプター媒体と取り込み媒体との間の体積比は2:1であった。陽極と陰極との間に20VのDC電圧を印加した。
【0426】
取り込みおよび放出媒体を受容するためのチャンバー装置は、最初に排出された気体の収集装置に接続された気体用の出口が提供された。取り込みおよび放出媒体用の貯蔵容器は、この収集装置にも接続され、したがって発生した気体を圧力なしでこの収集装置中に収集することができた。気体スクラバーを通過した気体流、および気体収集装置中に収集された気体のCO2含有量を、連続的に測定した。
【0427】
結果
処理されたバイオガスは、48容量%のCO2含有量を有した。気体スクラバーを通過した気体は、0.002vol%のCO2含有量、および99.1vol%のメタン含有量を有した。
【0428】
連続的な気体スクラビング、およびアクセプター媒体の電気透析ユニットの通過中に、CO2は、取り込みおよび放出チャンバーの両方において、および取り込みおよび放出媒体のための貯蔵容器において放出(発生)された。放出され、および収集された気体におけるCO2含有量は、>98.5vol%であり;メタンはここにおいて検出されなかった。連続操作は、任意の障害なく8時間を超えて可能であった。工程媒体の適切な加熱はなかった。
【0429】
[実施例8]
炭酸塩の生成に関する調査。
5リットルの2モル濃度のアルギニン溶液を、脱イオン水を用いて調製し;500gの塩化鉄(III)を、この溶液に完全に溶解した。気体CO2を、実施例2に従って赤茶色の透明な溶液に通過させた。そのことにより、pHは9.2から8.5に減少した。その後、溶液は、透明であり、および固体物を含まなかった。その後、脱イオン水を、1:1の容量比で溶液に添加し、および混合した。綿状の薄茶色の固体を、直ちに形成し、ゆっくりと沈殿した。静かに移された上清は透明であり、わずかに赤みがかった色合いを有した。沈殿相を遠心分離し、上清を、以前に静かに移された上清(WP1)と合わせた。遠心分離物を、3リットルの脱イオン水に懸濁し、および1時間撹拌した。その後、遠心分離による相分離を、それぞれの場合において行った。茶色の赤みがかった塊を、200μmの平均孔径を有するセラミックフィルタープレートに広げた。材料が完全に乾燥するまで、フィルタプレートを吸収材料上に広げた。砕けやすい茶色の材料を乳鉢で粉砕し;480gの褐色粉末を得た。試料を水に懸濁し、そこにおいて攪拌した。粉末の沈殿が続いた。続いて、上清は無色透明であり、pHは6.8であり、したがってベースラインから変化しなかった。10%HCl溶液を粉末の他の試料に加えた。CO2の放出とともに発泡が起こった。続いて、溶液は赤褐色になり、および固体は残っていなかった。この分解溶液の分析において窒素は検出されなかった。したがって、得られた粉末は炭酸鉄に相当する。WP1を電気透析装置に通過させた。アニオン選択膜を使用して、陽極側でドナーチャンバーを終結させ、およびカチオン選択膜を使用して、陰極側を密閉した。10VのDC電圧を印加した。塩素気体は、陽極チャンバーにおいて放出され、および陰極チャンバーにおいて水素が放出されたことを示した。電気透析に続いて、溶液は、CO2を用いて気体処理された。気体処理に続いて、酸(HCl)を使用してpHを変更することにより、溶液に結合されたCO2を、再び放出/発生することができた。
【0430】
[実施例9]
二次ループ工程における炭酸塩の生産。
都市下水処理工場のバイオリアクターの部分気体流(10m3/h)を、水ジェットポンプ装置によって回収し、および水性アクセプター媒体と接触させた。水/気体混合物を、パイプを介して静的ミキサーに供給し、および静的ミキサーに通した。混合物は、その後、収集タンクに入り、そこから気体を自由に大気中に放出された。水性アクセプター媒体は、2モル濃度のアルギニン溶液として存在した。収集タンクから、二酸化炭素をロードされたアクセプター媒体を、二次回路に連続的に送り込んだ。二次回路は、陽極チャンバー、陰極チャンバー、および配置:アクセプターチャンバー/反応チャンバー/電解液チャンバーの10個の連続したチャンバーユニットからなる電気透析装置からなる。アクセプターチャンバーは、アクセプター媒体によって連続的にかん流され、およびその後、水ジェットポンプ装置に供給された。
【0431】
反応媒体および電解質溶液を、貯蔵タンクからそれぞれ取り出され、反応チャンバーおよび電解質チャンバーに、それぞれ通した。
アクセプターチャンバーを、アニオン選択膜によって陽極側の反応チャンバーから分離した。陰極側では、アクセプターチャンバーを、両極性膜によって電解質チャンバーから分離した。反応チャンバーおよび電解質チャンバーを、カチオン選択膜によって分離した。反応媒体用のチャンバーユニットは、陽極側で電解質チャンバーに隣接した。異なる反応媒体を調査した。この目的のために、続く反応溶液を、それぞれの場合:a)30%塩化マグネシウム溶液、b)20%塩化銅溶液、c)15%塩化アルミニウム溶液、における1モル濃度のアルギニン溶液から調製した。反応媒体を、それぞれの場合において、沈殿タンクから反応チャンバーに通して連続的に再循環した。反応媒体がチャンバーを通って垂直に流れ、および円錐形の底部出口を通って収集タンクに排出されるように、反応チャンバーを設計し、そのことにより反応媒体と共に生成された任意の固体を排出する。それぞれ5時間行われた各実験の後、12時間、反応媒体の更なる撹拌を行わなかった。その後、水性上清を、沈殿物相の上に配置された出口を通って排出し、その後、沈殿物を除去し、および脱イオン水を用いて2回すすぎ、およびその後接触ベルト乾燥機で乾燥した。
【0432】
電解質溶液を、三次回路において他の電気透析ユニットに供給され、そこで塩化物イオンを分離した。
固体として得られた各炭酸塩の検出を、実施例6の手順に従って行った。
【0433】
結果:
アクセプター媒体の温度範囲は45℃から75℃の間の範囲であった。下水ガスは、26vol%の二酸化炭素含有量を有した。下水ガスをアクセプター媒体と接触させることにより、二酸化炭素含有量は<0.01vol%に減少した。アクセプター媒体が電気透析ユニットを流れ始めた後、反応溶液は急速に乳白色になり、およびそれぞれの場合において固体の連続的な沈殿が起こった。すすぎし、および乾燥した固体の分析は、固体がそれぞれの場合に使用された電解質のカチオンの炭酸塩であったことを示した。したがって、炭酸マグネシウム、炭酸銅および炭酸アルミニウムを形成した。
【0434】
[実施例10]
再生原材料画分を得るために再生サイクル工程における二酸化炭素/二酸化炭素誘導体を用いての変換による、有機および無機起源の残留物質の利用に関する調査。
破砕された形態の使用済みアルミ缶(100g)を、200mlの濃硫酸中で、水素および漏れ出た水蒸気の量に比例して脱イオン水を加えることによって完全に分解した。蒸気/気体混合物を収集し、および水素を分離した。得られた溶液は、灰褐色で非常に濁っていた。溶液を、ガラスフリットを使用して濾過し、600mlの1モル濃度のアルギニン溶液と共に混合した。この混合物を、バイオガス工場におけるガス混合物からの二酸化炭素を用いて飽和された3モル濃度のアルギニン溶液に分けて攪拌した。取り込み後、懸濁液を遠心分離し、および遠心分離物を、脱イオン水を用いて2回すすぎ、遠心分離後に乾燥した。
【0435】
精製されたニワトリの卵殻の試料200gを、500mlの60wt%塩酸溶液中で分解した。実施例2に係る装置を使用して、発生する二酸化炭素を収集し、および2モル濃度のアルギニン溶液中に吸着させた。有機材料、例えば、卵殻膜などは、結果的に得られた濁った溶液中に存在した。これをろ別し、得られた溶液を、実施例9に係る電気透析装置の電解質チャンバーに通した。アクセプターチャンバーおよび反応チャンバーを、アクセプター媒体および反応媒体、それぞれを用いて満たし、およびアクセプター媒体および反応媒体、それぞれによってフラッシュした。この工程において、アクセプター溶液は、卵殻の分解から得られた二酸化炭素を用いて飽和状態になっていた。反応チャンバーにおいて形成された固体を分離し、および脱イオン水を用いて2回すすぎ、遠心分離後に対流的に乾燥した。陽極チャンバーにおける電解質溶液は、調査の最後で利用可能であり、膜蒸留によって濃縮され、および他の実験手順のために使用された。アクセプター溶液を、骨の分解中に二酸化炭素の吸収のためにも使用した。エネルギーを、調査中に太陽光発電から得た。
得られた固体の分析は、実施例6に従って行った。
【0436】
結果:
2つの工程設計において得られた固体画分は、炭酸アルミニウムおよび炭酸カルシウムであった。これらは、非晶質粒子の形で化学的に純粋な粉末の形で存在した。出発物質を分解するために使用される化合物(酸)を、二次回路で再生することができ、および新しいテストランに再使用することができた。アクセプター溶液も、再生し、および再使用することができた。したがって、使用される化合物の持続可能なサイクルを可能にしながら、再生二酸化炭素および再生可能エネルギーを使用して、無機残留物をリサイクルすることが可能であった。
【0437】
[実施例11]
実験手順1)に関して、50gの破砕されたアルミホイルを、300mlの35%HCl溶液を用いて加水分解する。pH1で完全な変換が行われ、結果的に明るい灰色の塊を得る。塊を、1リットルの脱イオン水(1A)に完全に溶解する。これから、150mlを分離し、および攪拌下でアンモニア溶液を用いてpH4に滴定する。10分後、溶液を遠心分離し、および上清を静かに移す(1U)。
【0438】
実験2)に関して、100gの硫酸アルミニウムを、300mlの脱イオン水に完全に溶解する(2A)。このうち150mlを分取し、攪拌下でアンモニア溶液を用いてpH3に滴定する。10分後、溶液を遠心分離し、および上清を静かに移した(1U)。
【0439】
2モル濃度のアルギニン溶液(脱イオン水を用いて調製される)を、静的ミキサーに通して循環し、静的ミキサーにおいて、二酸化炭素を、静的ミキサーに対して上流に気体相として溶液に加える。気体を、アクセプター溶液がpH8に達するまで気体を圧力無しで適用する。
【0440】
化学変換は、透明および無色の電解質溶液1A、1U、2Aおよび2U、それぞれを、1000mlのアクセプター溶液に定量ポンプを用いてpH7に達するまで混合することによって行われる。調製において電解質溶液を、完全に消費/反応することできなかった場合は、混合工程を、新しい飽和アクセプター溶液を用いて続けた。混合が完了して15分後、反応混合物を遠心分離した。上清を静かに移し、合わせた(V1)。一連の調査ごとに得られた遠心分離液を、1000mlの脱イオン水に懸濁し、この中で15分間攪拌した。その後、遠心分離によって相分離を行った。この手順をさらに2回繰り返した。遠心分離物を、メソ多孔性セラミック膜上に広げ、およびこの直後に室温で24時間放置した。続いて乾燥材料を秤量し、および試料を分析用に採取し、これを実施例5および実施例6に従って行った。
ニンヒドリン試薬の添加後、アルギニン濃度を分光学的に決定した。
【0441】
結果:
透明な溶液を、アルミニウム箔から得られた加水分解物から調製した(実験手順1)。アンモニアの添加は、結果的に凝集をもたらした。得られた固体を、遠心分離によって完全に分離することができた。遠心分離体2は、さまざまな色の部分:底部に純白な、ややガラス状の塊と、その上方に灰褐色の固体の塊、を有した。実験2において、アンモニアを電解液に加えた場合にも凝集が発生したが、遠心分離体は均一に白く、およびゲルのような粘度を有した。
【0442】
全ての電解質溶液を用いて、白色固体を、飽和アクセプター溶液と混合することによって生成することができた。視覚的に、遠心分離相は互いに違いがなかった。プロトコルに従って混合するために、アンモニアを用いて前処理されたものと比較して、アンモニアを用いて前処理されていない電解質溶液は、電解質溶液のそれぞれの総量を変換するために、アクセプター溶液の体積の1.6倍(実験1)および1.8倍(実験2)使用する必要があった。一方で、1Aおよび2Aは、1Uおよび2U、それぞれから得られることができた固体量の80wt%および75wt%のみ得られることが可能であった。
【0443】
化学分析は、得られた固体が炭酸アルミニウムおよび炭酸水素アルミニウムであったことを示した。
最初の遠心分離後の上清を、電気透析によって、本明細書に存在する電解質から精製した。続いて、膜蒸留によって、液体の体積は減少し、したがって、アルギニン溶液の初期濃度を再確立した。これを、二酸化炭素を再吸収するために、およびその後、実験手順を繰り返すために使用した。炭酸アルミニウムおよび炭酸水素アルミニウムを同じ効率で得た。
【0444】
[実施例12]
水性アクセプター媒体からの気体相における陰極放出に関する調査。
2モル濃度のアルギニン溶液を、脱イオン水を用いて調製した。このうち2リットルを分離し、および空気の遮断下で保存した(A0)。残りのアクセプター溶液を、実施例7に従って二酸化炭素の気体流と共にロードした。二酸化炭素または二酸化炭素の水溶性誘導体を用いての飽和度を、導電率測定によって監視した。アクセプター媒体を、150mSiの導電率が達成されるまで二酸化炭素と共にロードした(A1)。
【0445】
KOH(K)およびNaOH(N)の20wt%溶液を、貯蔵液として調製した。これらのそれぞれから、2リットルのa)1wt%、b)2wt%、c)3wt%およびd)4wt%溶液を調製した。
【0446】
KOH(A1K)およびNaOH(AlN)のそれぞれが、a)1wt%、b)2wt%、c)3wt%、およびd)4wt%溶液として存在するように、2リットルのA1それぞれに対して、KOH(A1K)およびNaOH(AlN)を固体として添加し、および溶解した。分離装置を、容器内の2つのチャンバーを互いに分離するために取り付けることができるように、500mlの液体を保持することができる長方形のガラス容器を構築した。分離装置は、直径2mm、および多孔率70%を有する孔のあいたポリカーボネートディスクであった。 グラファイト電極は、電極の軸方向変位を可能にするホルダー内の各チャンバーに配置され、分離装置と平行して配置された。容器は上位で気密に密閉され、各チャンバーの蓋に出口を有した。これらの出口は、気体収集装置にそれぞれ接続され、各チャンバー内で形成される低い圧力での排出を可能にした。したがって、各気体量を定量化することができる。
【0447】
容器は、液体の充填および通過のために、入口および出口を両方の前端にそれぞれ有した。電極を整流器に接続した。
容器を、容器内に空気が残らないように、様々な試験溶液を用いて連続的に満たした。試験シリーズ0)において、溶液K)および溶液N)を、a)~d)の濃度でそれぞれ容器に満たした。最初に、電流が流れ始めるDC電圧(Smin)を、各溶液について決定した。その後、両方の電極で気泡が形成した電圧を測定、したがって、結果的に気体形成をもたらす。実験シリーズI)において、溶液A0およびA1並びにA1KおよびA1Nを、その後、濃度a)~d)で連続的に研究した。定電圧を、各溶液に、10分間印加し、定電圧は、Sminよりも少なくとも1ボルト高く、および2の倍数であった。10分ごとに、電圧を32ボルトの電圧まで2ボルトずつ増加させた。電極での気泡の形成、各時間で存在する電流(mA)、および電流の供給中に発生された気体量を記録した。
【0448】
実験シリーズII)において、溶液のそれぞれに関して、陰極でガス形成が起こらなかった各溶液について事前に決定された電圧を用いて試験を繰り返し、ここで、各溶液を含む容器は、かん流され、したがって、陰極チャンバーから分離媒体を取って陽極チャンバーへ流れる。陰極チャンバーで放出され、および収集された気体を、化学組成に関して分析した。
【0449】
結果(表1aおよび表1bを参照):
実験シリーズI)において、溶液Kおよび溶液Nに関して濃度依存的に電気分解が発生し、結果的に2Vから4Vの間の電圧で水素および酸素の形成が開始する。溶液A0の場合、24Vまで電流はなく、32Vまで気体相の形成につながる電気分解はなかった。溶液A1の場合、電流は12Vで開始して存在し;陰極での気体形成は、20Vの電圧で始まった。陽極での気体形成は、32Vの電圧でさえも起こらなかった。溶液A1KおよびA1Nに関して、濃度の増加に伴いSminが減少した。さらに、濃度の関数として、陰極での気体の形成をもたらす電圧は減少した。さらに、これらの溶液を用いて、測定可能な量の酸素は陽極で形成されなかった。溶液A1および溶液A1Kおよび溶液A1N中において陰極で形成された気体は、二酸化炭素に対応した。ここで、同じ電圧システムで利用可能になった気体の量は、A1よりもA1KおよびA1Nがかなり多く、および添加された電解質の濃度とともに増加した。
【0450】
一連の実験II)において、陰極で放出される二酸化炭素の量は、溶液A1、A1K、およびA1Nを用いての容器のかん流により、20Vol%~40Vol%増加した。
【0451】
【0452】
【0453】
【0454】
【国際調査報告】