(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-31
(54)【発明の名称】ウィンドウホルダを含む車両ウィンドウ
(51)【国際特許分類】
C03C 27/06 20060101AFI20230824BHJP
B60J 1/17 20060101ALI20230824BHJP
B60J 1/00 20060101ALI20230824BHJP
【FI】
C03C27/06 101Z
B60J1/17 C
B60J1/00 J
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023506119
(86)(22)【出願日】2021-08-05
(85)【翻訳文提出日】2023-01-27
(86)【国際出願番号】 EP2021071865
(87)【国際公開番号】W WO2022029225
(87)【国際公開日】2022-02-10
(32)【優先日】2020-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510191919
【氏名又は名称】エージーシー グラス ユーロップ
【氏名又は名称原語表記】AGC GLASS EUROPE
【住所又は居所原語表記】Avenue Jean Monnet 4, 1348 Louvain-la-Neuve, Belgique
(74)【代理人】
【識別番号】100103816
【氏名又は名称】風早 信昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120927
【氏名又は名称】浅野 典子
(72)【発明者】
【氏名】デルヌフクール, セバスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ヒック, ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ベガ, マリア
【テーマコード(参考)】
3D127
4G061
【Fターム(参考)】
3D127AA17
3D127AA19
3D127BB01
3D127CB05
3D127CC05
3D127DF26
3D127EE04
4G061AA02
4G061BA02
4G061CA03
4G061CA05
4G061CB19
4G061CD02
4G061CD03
4G061CD18
4G061CD25
4G061DA22
(57)【要約】
本発明は、第1表面及び第2表面を有するパネルと、少なくとも、パネルの第1表面に接合される接合部分を有する内側部材、上昇システムに固定される固定部分を有する外側部材及び組み付け手段を含む、パネルを上昇システムに堅固に保持するためのウィンドウホルダとを含む車両ウィンドウを開示する。内側部材の接合部分は、前記第1表面に接合材料で接合され、及び外側部材は、パネルを把持するために、組み付け手段を介して内側部材に組み付けられる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両ウィンドウを上昇システムに堅固に保持するためのウィンドウホルダにおいて、少なくとも、
- 前記車両ウィンドウの第1表面に接合される接合部分と前記上昇システムに固定される固定部分とを含む内側部材、
- 外側部材、
- 前記外側部材を前記固定部分に組み付けるための組み付け手段
を含むことを特徴とするウィンドウホルダ。
【請求項2】
前記外側部材は、ベース要素と、外部要素とを含む、請求項1に記載のウィンドウホルダ。
【請求項3】
前記ベース要素は、プラスチックに基づく組成を有する、請求項2に記載のウィンドウホルダ。
【請求項4】
前記外部要素は、金属に基づく組成を有する、請求項2又は3に記載のウィンドウホルダ。
【請求項5】
前記外部要素は、補強手段を含む、請求項2~4のいずれか一項に記載のウィンドウホルダ。
【請求項6】
前記外側部材は、前記車両ウィンドウの第2表面と接触する圧縮パッドを更に含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のウィンドウホルダ。
【請求項7】
第1表面及び第2表面を有するパネルと、少なくとも、請求項1~6のいずれか一項に記載のウィンドウホルダとを含む車両ウィンドウであって、前記内側部材の前記接合部分は、前記第1表面に接合材料で接合され、前記外側部材は、前記内側部材の前記第2部分に組み付けられる、車両ウィンドウ。
【請求項8】
前記接合材料は、65~95ショアA(65≦ショアA≦95)のショア値を有する、請求項7に記載の車両ウィンドウ。
【請求項9】
前記接合材料は、接着剤、好ましくはPUに基づく接着剤である、請求項7又は8に記載の車両ウィンドウ。
【請求項10】
前記パネルは、ガラスシートを含む、請求項7~9のいずれか一項に記載の車両ウィンドウ。
【請求項11】
前記パネルは、少なくとも1つの中間層によって交互に分離された少なくとも2つのガラスシートを含む、請求項7~9のいずれか一項に記載の車両ウィンドウ。
【請求項12】
前記少なくとも1つの中間層は、熱可塑性中間層である、請求項11に記載の車両ウィンドウ。
【請求項13】
第1及び第2表面を有する車両ウィンドウに対して、請求項1~6のいずれか一項に記載のウィンドウホルダを組み付ける方法であって、
- 前記内側部材の前記第1部分を前記車両ウィンドウの前記第1表面に接合するステップ、
- 前記外側部材を、前記第2表面と接触するように、前記組み付け手段を介して前記内側部材の前記第2部分に組み付けるステップ
を含む方法。
【請求項14】
第1及び第2表面を有する車両ウィンドウに対して、請求項1~6のいずれか一項に記載のウィンドウホルダを組み付ける方法であって、
- 周辺温度で反応し、6~30秒の範囲で硬化する、高速で硬化するPUに基づく接着剤で前記内側部材の前記第1部分を前記車両ウィンドウの前記第1表面に接合するステップ、
- 前記外側部材を、前記第2表面と接触するように、前記組み付け手段を介して前記内側部材の前記第2部分に組み付けるステップ
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウィンドウホルダを含む車両ウィンドウ及びそのような車両ウィンドウを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両では、いくつかのウィンドウは、移動可能なウィンドウ、特にサイドライトとも称される側部のウィンドウである。移動は、上昇装置によって行われる。その閉鎖位置でのウィンドウの位置は、封止問題及びホイッスリングノイズを回避するために重要である。
【0003】
車両のエネルギー消費を減少させる方法は、車両の空力性能を改善することである。この目的のために、いくつかのサイドウィンドウは、面一設計によって製造され得る。面一性を保証するために、ドアは、フレーム及びウィンドウがそれらの閉鎖位置で自動車ボディと連続するようにガイドすることなしに設計される。これは、上昇機システム、開放位置及び閉鎖位置間でのウィンドウの正しい位置決めを必要とする。
【0004】
これらの問題を回避し、OEMの要件を満たすために、車両内に取り付けられる移動可能なウィンドウは、車両内で正しく位置決めされなければならない。これらの問題は、ウィンドウがガイド構造内での上昇及び降下でガイドされない場合、更に重要なものとなり得る。コンバーチブル車両では、ウィンドウは、ガイドされないが、これらは、摺動ルーフと結合されるように空間内でその正しい位置に位置しなければならない。
【0005】
車両製造者の要件は、ウィンドウ自体の形状、寸法及び許容誤差のみならず、このウィンドウが車両内に取り付けられて、その閉鎖位置に上昇された際のウィンドウの位置にも言及している。この位置は、空間内の地点によって定義され、車両ボディの設計及び摺動ルーフの位置に依存する。
【0006】
ウィンドウの形状及び寸法の許容誤差、ホルダ内の固定の許容誤差及び車両製造者によって受け入れられる他の許容誤差に起因して、ウィンドウがホルダ上に装着された後でウィンドウが上昇装置を介して自動車ボディ上に取り付けられた際、上昇装置上でこの位置を調節することなく正しい位置にウィンドウを位置決めすることは、困難である。
【0007】
従来、ホルダは、車両ウィンドウに装着され、同時に車両ウィンドウを上昇及び下降させるための上昇装置にも装着される。これらの既知のホルダは、剛性を有し、ウィンドウは、ホルダ上に装着される。ホルダ上への装着は、クリッピング又はねじ留めによって実行され得る。この装着及び異なるコンポーネントの許容誤差に起因して、ウィンドウがホルダ内に固定されて車両上に取り付けられると、ウィンドウの正しい位置を再現することが困難である。
【0008】
固定前にウィンドウの位置を適合させるために、ウィンドウを特定の角度によってホルダ内に押し込み、固定ステップでこの角度に維持することができる。この位置でホルダ内にウィンドウを固定するには、多数の操作及び設定が必須である。また、ウィンドウが固定されると、残りの許容誤差を補償するためにホルダとグレージングとの間に形成される角度を変更することは不可能である。
【0009】
例えば、既知のホルダは、ガラスの底部エッジに接合されるアルミニウム又はプラスチックによって製造されたU字形状を含む。コンポーネントの設計に応じて、ホルダは、ある程度の剛性をガラスに付与することができ、反復可能な向きを付与するように調節され得る。この種の解決策は、ガラスシートに対する接合の制約に起因して、製造において実現されることが困難である。
【0010】
別の方法は、ホルダをガラス表面に直接適用するステップを含む。この場合、ホルダの向きは、ガラスの許容誤差に依存する。フレームレスドアの場合、システムは、封止コンポーネント上で正しい圧縮を取得し、空気、埃又は水の侵入を回避するために、ドア内に対するガラスの向きを調節する必要がある。それぞれのサイドライトは、自動車組立体内に対する異なる調節を得る必要があり、これは、OEM組立体ライン上における一定の調節問題をもたらし得る。
【0011】
本発明は、上述の課題を克服するための解決策を提供する。
【発明の概要】
【0012】
本発明の目的は、これらの問題を軽減し、自動車ボディ上で必要とされる調節なしに自動車ボディ内へのシステムの正しい形状を付与し得る車両ウィンドウを提供することである。ホルダは、裸のガラスの許容誤差とは独立してガラス上にセットアップすることができる。使用される接着剤は、補償的なものであり、ガラスの形状に対応し得る。高速硬化接着剤は、例えば、組み付けプロセス後のホルダの正しい位置決めの維持を許容し、これによりテープの使用を回避する。
【0013】
第2の利点は、剛性の観点における増大である。本発明は、ガラス内への応力レベルの増大なしにシステムの剛性を増大させる。本発明を使用することにより、サイドウィンドウは、空気、埃又は水の侵入を回避するために、自動車ボディシーラー上で圧力を維持する。
【0014】
本発明の第1態様によれば、本発明は、改善された車両ウィンドウに関し、このウィンドウは、
- 第1表面及び第2表面を有するパネルと、
- 少なくとも、パネルを上昇システムに堅固に保持するためのウィンドウホルダであって、
〇パネルの第1表面に接合される接合部分を有する内側部材、及び
〇上昇システムに固定される固定部分を有する外側部材
を含むウィンドウホルダと、
- 組み付け手段と
を含む。
【0015】
本発明は、本発明の第1態様による車両ウィンドウを製造する方法にも関する。
【0016】
本発明の第1態様で定義される解決策は、内側部材の接合部分が前記第1表面に接合部材で接合される場所に基づき、この場所では、外側部材は、パネルを把持するために、組み付け手段を介して内側部材に組み付けられる。
【0017】
一実施形態では、パネルは、異なる要素を固定するための複数の孔、又は複数の固定地点によって一つの要素を固定するための複数の孔を含む。
【0018】
プラスチック材料は、固定手段を維持し得る任意の材料であり得る。
【0019】
好適な一実施形態では、プラスチック材料は、剛性を有する材料であり、更に好ましくはポリブチレンに基づく材料である。ポリプロピレン、ポリアミド、スチレン及びその他の1000MPa超のヤング率を有する他の硬質材料を使用することもできる。
【0020】
別の実施形態では、プラスチック材料は、柔らかい材料、好ましくは熱可塑性エラストマに基づく材料であり得る。スチレンに基づく加硫された熱可塑性エラストマを使用することもできる。柔らかい材料は、別の実施形態では、柔らかいポリビニルクロライド又はポリウレタンに基づく材料である。
【0021】
ポリウレタンに基づく材料の場合、固定手段の接着剤による固定が好ましい。
【0022】
本発明は、請求項で記述される特徴のすべての可能な組み合わせに関することに留意されたい。
【0023】
以下の説明は、自動車のウィンドウユニットに関するものであるが、本発明は、装着する必要のある建築用ウィンドウのような他の分野にも適用可能であり得ることを理解されたい。
【0024】
ここで、限定ではなく、例示として提供される本発明の様々な例示的実施形態を示す添付図面を参照して、本発明のこの及び他の態様について更に詳細に説明する。図面は、概略表現であり、その縮尺は正確ではない。図面は、決して本発明を限定するものではない。例により、更なる利点について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の例示的実施形態による車両ウィンドウの概略断面図である。
【0026】
【
図2】パネルの前面におけるウィンドウホルダの概略分解図である。
【0027】
【
図3】本発明の例示的実施形態による車両ウィンドウの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。
【0029】
サイドウィンドウは、通常、閉鎖位置で開口部をカバーするように実質的に垂直方向に配置される。可動ウィンドウの場合、ウィンドウの下部部分は、自動車ボディ内に隠され、そこに上昇システムも隠される。
【0030】
いくつかの実施形態では、車両ウィンドウは、フレームを有さず、これにより圧力下でより大きい変形が生じる。これは、ウィンドウがガイド又は支持されないためである。
【0031】
移動可能なウィンドウを有するドアの場合、下部エリア内において、パネルをガイドする剛性ホルダを介して上昇システムがウィンドウに接続される。フレームレスドアの場合、ホルダは、パネルを上昇システムに固定するために、及び更にパネルの向きをガイドするために使用される。
【0032】
本発明は、パネルの許容誤差とは独立してホルダをパネルに固定することを可能にし、パネルの正しい向きの取得を可能にする。ホルダは、組立体の剛性も改善する。
【0033】
図1は、第1表面11及び第2表面12を有するパネル10を含む車両ウィンドウ1のホルダに焦点を当てた断面図を示す。車両ウィンドウは、少なくとも、パネルを上昇システム(図示せず)に堅固に保持するためのウィンドウホルダ100を更に含む。ウィンドウが車両内に配置されるとき、第1表面は、好ましくは、車両の内部に対向する表面である。
【0034】
ウィンドウホルダは、内側部材110と、外側部材120とを含む。ウィンドウホルダは、一般的なU字形状のプロファイルを有し、この場合、内側部材は、ブランチの1つを表し、及び外側部材は、第2ブランチを表す。パネルは、U字形状のプロファイルのブランチ間に配置される。
【0035】
内側部材110は、パネルの第1表面に接合される接合部分111を有する。
【0036】
いくつかの実施形態によれば、内側部材は、ホルダの重量を最小化するために、及びホルダの製造のプロセスを促進するために、プラスチックに基づく組成を有する。好ましくは、内側部材は、熱可塑性材料によって製造され得る。内側部材は、抵抗力を保証するためにファイバマット複合体によって製造され得る。いくつかの場合、価格が、プラスチックに基づく材料を上回る場合でも、ホルダの他の部材との良好な適合性を有するように、内側部材は、アルミニウム及びマグネシウム材料の鋳造によって製造され得る。
【0037】
本発明によれば、パネルの許容誤差とは独立してホルダをパネルに固定するために、及びパネルの正しい向きの取得を可能にするために、好ましくは、接合材料は、65~95ショアA(65≦ショア値≦95)、更に好ましくは65~85ショアA(65≦ショア値≦85)のショア値を有する。
【0038】
本発明によれば、内側部材とパネルの表面との間の接合材料の厚さは、2mm~4mmである。
【0039】
本発明によれば、ホルダとグレージングとの間の必要とされる定義された角度を維持しつつ、パネルに対する制約を最小化するために、接合材料のヤング率は、140MPa以下である。好ましくは、ホルダとグレージングとの間の必要とされる定義された角度を遵守するために、接合材料のヤング率は、20MPa~100MPa、更に好ましくは30MPa~50MPaである。ヤング率が過剰に小さい(<15MPa)場合、更なる力がパネル上に生じ得る。ヤング率が過剰に大きい(>140MPa)場合、更なる制約がパネル上に生じ得る。
【0040】
いくつかの実施形態では、接合材料は、接着テープ、TPEなどの熱可塑性に基づく材料又は接着剤である。
【0041】
いくつかの好適な実施形態では、接合材料は、ホルダとグレージングとの間の必要とされる角度を保証し、パネル上での力及び制約を最小化しつつ、ウィンドウホルダが使用される際にパネル上でのホルダの堅固な固定を許容する一方、パネル上でのこれらの更なる制約及び力の低減を許容する、2K-PU、PU-RなどのPUに基づく接着剤である。
【0042】
接合材料、特にPUに基づく接着剤は、内側部材とパネルの第1表面との間に注入して硬化させることができる。
【0043】
いくつかの好適な実施形態では、PUに基づく接着剤は、内側部材及びパネルの表面によって生成されたチャンバ内に注入される。PUに基づく接着剤は、2つの成分、即ちポリオール及びイソシアネートの定義された比率での混合を可能にするディスペンシングシステムによって注入される。攪拌装置は、500~2000RPMの速度範囲及び実質的に10℃~20℃の温度で機能する。攪拌装置は、エネルギーを材料に付与することが可能であり、これが2つの成分の反応を可能にする。材料の硬化反応を加速するために、実質的に40~80℃の温度にパネルの表面を事前加熱することができる。
【0044】
いくつかの好適な実施形態では、接合材料は、約90ショアAのショア値及び約40MPaのヤング率を有する、PUに基づく接着剤である。
【0045】
好ましくは、パネルへのホルダの固定及び方向付けを保証するために、接合材料は、少なくとも650N、好ましくは680N以上の接線方向の力に耐え得る組立体を有することを許容する。
【0046】
いくつかの実施形態では、パネルの表面の組成に応じて、接合材料は、PUに基づく接着剤(2K-PU、PU-R)TPE、接着テープ又は別の接着剤である。接着剤、特にPUに基づく接着剤は、内側部材とパネルの第1表面との間に注入して硬化させることができる。PUに基づく接着剤は、内側部材及びパネルの表面によって生成されたチャンバ内に注入することもできる。第1表面に対するホルダの位置を保証するための接着テープと、固定を保証するためのPUに基づく接着剤の材料との混合物を使用することができる。
【0047】
外側部材120は、上昇システムに固定される固定部分121を有する。外側部材は、パネルを把持するために、組み付け手段を介して内側部材に組み付けられる。この結果、外側部材は、パネルの第2表面と接触する。
【0048】
より大きいパネル表面上で圧縮力を拡散させて破壊を回避するために、外側部材は、ベース要素と、ベース要素に固定された外部要素とを含む。ベース要素は、外部要素よりも低い剛性を有する。
【0049】
いくつかの実施形態では、ベース要素は、ホルダの重量を最小化するために、及びホルダの製造のプロセスを促進するために、プラスチックに基づく組成を有する。好ましくは、ベース要素は、熱可塑性材料によって製造され得る。ベース要素は、抵抗力を保証するために、ファイバマット複合体によって製造され得る。好ましくは、外部要素は、金属に基づく組成を有する。ホルダの重量を最小化するために、外部要素は、プラスチックに基づく組成を有し得る。プラスチックに基づく組成は、複合体を形成するためにファイバによって補強され得る。ウィンドウを把持するために、外側部材は、60GPa超のヤング率を有する材料から製造された剛性部材である。ホルダの剛性を保証するために、外部要素は、補強手段を含み得る。これらの補強手段は、局所的な過大な厚さ又は特定の3D形状で製造され得る。
【0050】
本発明によれば、外側部材は、破壊を回避するために、車両ウィンドウの第2表面と接触する圧縮パッド122を含み得る。
【0051】
ホルダは、その下部部分内において、それを上昇システムに固定するためのねじ付き孔130を含み得る。これは、ホルダとパネルとの間の接触の表面積を最大化しつつ、パネル自体を通した上昇システムの固定又はパネル内での孔の穿孔の回避を許容する。
【0052】
いくつかの実施形態では、ベース要素及び外部要素は、単一の要素内又は単一のプロセスにおいて製造され得る。
【0053】
車両ウィンドウは、システムの剛性を増大させるか又はパネルの形状、重量などの特性に依存するように複数のホルダを含み得る。同じウィンドウに異なるタイプのホルダを設置することができる。例えば、より小さいホルダは、いかなる回転も回避するためにウィンドウの底部の前面に配置され得、及び本発明によるホルダは、ウィンドウが移動することを許容するためにウィンドウの背後で使用される。
【0054】
パネルは、自動車の設計に適合するようにフラットな又は湾曲したパネルであり得る。
【0055】
一実施形態では、パネルは、少なくともガラスシートを含む。ガラスシートは、セキュリティの仕様及び盗難防止要件を遵守するために、加工、即ちアニーリング、焼き戻しなどを行うことができる。例えば、霜取り及び/又は曇り止め機能を追加するために、例えば被覆又はワイヤのネットワークなどの加熱可能なシステムをパネル上に適用することができる。
【0056】
別の実施形態では、パネルは、少なくとも1つの中間層によって交互に分離された少なくとも2つのガラスシートを含み得る。中間層は、2つのガラスシート間の直接的な接触を回避するためのスペーサを使用したガス、真空などであり得る。
【0057】
いくつかの実施形態では、パネルは、ノイズを低減し、及び/又はより安全なパネルを付与するために、ラミネートされたガラスシートであり得る。これらの実施形態では、中間層は、熱可塑性中間層である。ラミネートされたグレージングは、ガラスシート間に位置決めされた1つ又は複数の中間層によって維持されたガラスシートを含む。利用される中間層は、通常、剛性が調節され得るポリビニルブチラル(PVB)又はエチレンビニルアセテート(EVA)である。これらの中間層は、大きく鋭い断片に分解されることを防止するような方式でガラスが破壊された場合でも、1つに接合された状態でガラスシートを維持する。ラミネートされたガラスシートの場合、重量及びノイズを低減するために、変化する厚さのガラスシートを有することが有利であり得る。パネル上で誘発される変形に起因して、1mm未満の厚さを有する薄いガラスシートを折り曲げ又は変形なしに使用することができる。従って、このような薄いガラスシートは、望ましい設計を維持することができる。
【0058】
ラミネートされたパネル及び特に薄いラミネートされたパネルは、モノリシックなパネルよりも曲がりやすく、変形に対して敏感である。驚くべきことに、本発明は、より大きい許容誤差及び曲がりやすいパネルの場合でも正しい形状の付与を許容する。
【0059】
ガラスシートは、クリアガラスであり得るか、或いはガラスの特定の組成又は例えば被覆若しくはプラスチック層を適用することによって着色された有色ガラスであり得る。
【0060】
図1は、熱可塑性中間層によって1つにラミネートされた2つのガラスシートを含むパネル10を示す。
【0061】
図2は、本発明によるホルダの異なる部材の分解図を示す。
【0062】
ホルダ100の内側部材110は、ラミネートされたガラスパネル11の第1表面に接合材料112で接合される。次いで、外側部材120は、パネルを把持するために、接合された内側部材に組み付けられる。外側部材は、補強手段129を含む。
【0063】
図3は、ホルダ100によって把持されたパネル11を示す。ホルダを通した孔は、上昇システムに対するホルダの固定を許容する。
【0064】
本発明のいくつかの実施形態によれば、内側部材110は、PUに基づく材料で接合され、この場合、PUに基づく材料は、1バール未満を意味する低圧力において、内側部材、パネル及び上部パッドによって生成されたチャンバ内にディスペンシングユニットを介して注入され、上部パッドは、このチャンバを閉鎖する。前記上部パッドは、プロセスで変形され得ない剛性を有するコンポーネントと、25~60ショアAの範囲内の柔らかい材料とから製造される。PUに基づく材料は、1つの側部における上部パッドを通して注入され、これは、上部パッドの他の側部内のアパーチャを通してチャンバから通気することを可能にする。
【0065】
PUは、定義された重量比で混合されたイソシアネート及びポリオール成分から製造される。好適な比率は、2に対して約1である。例えば、100gのポリオール成分に対して58gのイソシアネートなど、他の比率を使用することができる。材料は、1~3g/sの流量範囲によって注入される。高速で硬化するPUに基づく材料を使用することができる。高速で硬化するPUに基づく材料は、周辺温度で反応し、6~30秒の範囲で硬化する。
【0066】
本発明は、車両ウィンドウの使用時、車両の開口部の前面における車両ウィンドウの位置の最小程度の許容誤差を保証し、これにより風に起因するユーザーにとってのノイズを回避し、車両ウィンドウが閉鎖位置にあるとき、場合によりガイドなしに車両ウィンドウの周りでの封止性を保証し、車両ウィンドウの事前の折り曲げを保証する一方、パネルの3D形状の許容誤差を考慮することなく、定義された角度でホルダをパネル上に設定することを許容する。これは、自動車ボディに伴う封止性、平坦性などを有し、組立時間の最小化及び費用の節約を許容するように、必要とされる位置に車両ウィンドウを有するために車両組立ライン内でのいかなる特定の設定も必須ではないことを意味する。
【国際調査報告】